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特許7647393クリーニング装置、画像形成装置、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】クリーニング装置、画像形成装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G21/00 370
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021108393
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006024
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 久
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-338170(JP,A)
【文献】特開2004-333962(JP,A)
【文献】特開2004-094097(JP,A)
【文献】特開2007-086591(JP,A)
【文献】特開2004-109587(JP,A)
【文献】特開2004-117438(JP,A)
【文献】特開2010-151900(JP,A)
【文献】特開平11-174922(JP,A)
【文献】特開平11-194557(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0022529(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
13/14-13/16
13/34
15/00
15/02
15/14-15/16
15/36
21/00-21/04
21/10-21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に軸支された像担持体の表面に当接することにより当該像担持体を清掃するブレードと、
前記ブレードに振動を加える加振部と、
前記加振部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記加振部によって前記ブレードに加える振動の周波数を、前記ブレードの前記像担持体の表面に対する食込み量に基づき決定す決定部を有する、クリーニング装置。
【請求項2】
前記ブレードの周囲温度を検出する温度検出部を、さらに備え、
前記制御部は、
前記温度検出部によって検出される温度が予め定められた条件を満たすとき、前記決定部が決定する周波数の振動を前記ブレードに加えるよう、当該加振部を制御する、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記予め定められた条件は、前記温度検出部によって検出される温度が第1閾値以下であるとの第1条件を含む、請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記像担持体の表面に形成されるトナー像を用紙に転写する印刷の開始時に、前記第1条件が満たされる場合、前記決定部が決定する周波数の振動を前記ブレードに加えることを開始するよう、当該加振部を制御する、請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記予め定められた条件は、前記温度検出部によって検出される温度が第2閾値以下であるとの第2条件を含み、
前記制御部は、
前記決定部が決定する周波数の振動を前記ブレードに加えることを開始し、その後に、前記第2条件が満たされる場合、前記決定部が決定する周波数の振動を前記ブレードに加えることを停止するよう、当該加振部を制御する、請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記クリーニング装置は、前記像担持体の表面に形成されたトナー像を用紙に印刷するプリンターに関連して設けられ、
記決定部は、さらに、
前記加振部によって前記ブレードに加える振動の周波数を、前記食込み量と、前記プリンターによって前記用紙に印刷される画像のカバレッジとに基づき決定する、請求項1から5のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記食込み量のデータを読取り可能に記録する記録媒体を、さらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記記録媒体は、前記食込み量のデータを格納したメモリデバイスを含む、請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記記録媒体は、前記食込み量を表すバーコード画像が印刷された媒体を含む、請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載のクリーニング装置を備える画像形成装置。
【請求項11】
回転可能に軸支された像担持体の表面に当接することにより当該像担持体を清掃するブレードの当該像担持体の表面に対する食込み量を取得するステップと、
前記ブレードに対し前記清掃時に加える振動の周波数を、取得された前記食込み量に基づき決定するステップとを、有する、振動量を決定する方法。
【請求項12】
方法をプロセッサに実行させるプログラムであって、
前記方法は、
回転可能に軸支された像担持体の表面に当接することにより当該像担持体を清掃するブレードの当該像担持体の表面に対する食込み量を取得するステップと、
前記ブレードに対し清掃時に加える振動の周波数を、取得された前記食込み量に基づき決定するステップとを、有する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はクリーニング装置、画像形成装置、方法およびプログラムに関し、特に、ブレードを用いた清掃に関するクリーニング装置、画像形成装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置において、感光体などの像担持体を清掃するブレードを有する構成が、特開2010-151900号公報(特許文献1)、特開2005-338170号公報(特許文献2)および特開2011-237536号公報(特許文献3)に開示されている。また、ブレードとの接触により感光体の膜が削られることが知られている。例えば特開2018-87855号公報(特許文献4)は、感光体の膜の削れを回避する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-151900号公報
【文献】特開2005-338170号公報
【文献】特開2011-237536号公報
【文献】特開2018-87855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレードは像担持体と接触し、接触する部分の摩擦によってブレードが振動する。振動が大きくなると、騒音(いわゆる、鳴き)が発生し、また、画像上にピッチむらが発生する。特許文献1と2は、振動を検知し、検知された振動を打ち消す振動をブレード自体に加える方法を記載する。特許文献3は、画像形成プロセス部品の共振による振動を検出し、検出された振動を小さくするようなプロセス電圧の周波数を設定する構成を記載する。
【0005】
特許文献1~3は、いずれも振動を検知する構成であるから、すなわち振動を発生させることを前提として振動を防止する構成であるから、上記に述べた騒音および画像上のピッチむらの発生を防止する精度は高いとは言えない。
【0006】
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、ブレードの像担持体との接触に伴う振動の発生を未然に防止可能なクリーニング装置、画像形成装置、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るクリーニング装置は、回転可能に軸支された像担持体の表面に当接することにより当該像担持体を清掃するブレードと、ブレードに振動を加える加振部と、加振部を制御する制御部と、を備え、制御部は、加振部によってブレードに加える振動量を、ブレードの像担持体の表面に対する食込み量に基づき決定する振動量決定部を有する。
【0008】
上述の開示において、クリーニング装置は、ブレードの周囲温度を検出する温度検出部を、さらに備え、制御部は、温度検出部によって検出される温度が予め定められた条件を満たすとき、食込み量に基づく振動量をブレードに加えるよう、当該加振部を制御する。
【0009】
上述の開示において、予め定められた条件は、温度検出部によって検出される温度が第1閾値以下であるとの第1条件を含む。
【0010】
上述の開示において、制御部は、像担持体の表面に形成されるトナー像を用紙に転写する印刷の開始時に、第1条件が満たされる場合、食込み量に基づく振動量をブレードに加えることを開始するよう、当該加振部を制御する。
【0011】
上述の開示において、予め定められた条件は、温度検出部によって検出される温度が第2閾値以下であるとの第2条件を含み、制御部は、食込み量に基づく振動量をブレードに加えることを開始し、その後に、第2条件が満たされる場合、食込み量に基づく振動量をブレードに加えることを停止するよう、当該加振部を制御する。
【0012】
上述の開示において、クリーニング装置は、像担持体の表面に形成されたトナー像を用紙に印刷するプリンターに関連して設けられ、振動量決定部は、さらに、加振部によってブレードに加える振動量を、食込み量と、プリンターによって用紙に印刷される画像のカバレッジとに基づき決定する。
【0013】
上述の開示において、食込み量のデータを読取り可能に記録する記録媒体を、さらに備える。
【0014】
上述の開示において、記録媒体は、食込み量のデータを格納したメモリデバイスを含む。
【0015】
上述の開示において、記録媒体は、食込み量を表すバーコード画像が印刷された媒体を含む。
【0016】
上述の開示において、振動量決定部が決定する振動量は、清掃において当該ブレードに発生する振動を抑制する方向に加える振動量である。
【0017】
上述の開示において、清掃においてブレードに発生する振動を抑制する方向に加える振動量は、ブレードに発生する振動の位相とは逆の位相を有する。
【0018】
他の開示に係る画像形成装置は、上記に記載のクリーニング装置を備える画像形成装置である。
【0019】
他の開示に係る方法は、回転可能に軸支された像担持体の表面に当接することにより当該像担持体を清掃するブレードの当該像担持体の表面に対する食込み量を取得するステップと、ブレードに対し清掃時に加える振動量を、取得された食込み量に基づき決定するステップとを、有する。
【0020】
他の開示に係るプログラムは、プロセッサーに方法を実行させるプログラムである。方法は、回転可能に軸支された像担持体の表面に当接することにより当該像担持体を清掃するブレードの当該像担持体の表面に対する食込み量を取得するステップと、ブレードに対し清掃時に加える振動量を、取得された食込み量に基づき決定するステップとを、有する。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、加振部によってブレードに加える振動量を、ブレードの像担持体の表面に対する食込み量に基づき決定するので、ブレードの像担持体との接触に伴う振動の発生を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】画像形成装置100の装置構成の一例を示す図である。
図2図1に示すイメージングユニット5の構成を示す図である。
図3】本実施の形態に係る食込み量の一例について説明するための図である。
図4】本実施の形態に係る画像形成装置100のハードウェアの構成の一例を概略的に示す図である。
図5】本実施の形態に係るクリーニング部20の制御に係るモジュール構成を模式的に示す図である。
図6】本実施の形態に係る第1テーブルの構成を模式的に示す図である。
図7】本実施の形態に係る第2テーブルの構成を模式的に示す図である。
図8】本実施の形態に係る第3テーブル60の構成を模式的に示す図である。
図9】本実施の形態に係る第4テーブル70の構成を模式的に示す図である。
図10】本実施の形態に係るフローチャートの一例を示す図である。
図11】本実施の形態に係るフローチャートの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態における画像形成装置について、以下、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0024】
図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0025】
また、以下では、カラープリンタとしての画像形成装置について説明するが、画像形成装置は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置は、電子写真方式または静電記録方式等によって画像形成を行う複写機、カラーまたはモノクロプリンタ、ファクシミリ装置、およびこれらの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0026】
<A.画像形成装置の全体構成>
図1は、画像形成装置100の装置構成の一例を示す図である。図1を参照して、実施の形態の画像形成装置100の概略的な構成および動作について説明する。
【0027】
画像形成装置100は、装置本体2と、収容部9と、制御装置150とを主として備えている。装置本体2は、記録媒体としての用紙Sに画像を形成するための部位である画像形成ユニット2Aと、画像形成ユニット2Aに用紙Sを供給するための部位である給紙ユニット2Bとを含んでいる。収容部9は、画像形成ユニット2Aに供給するための用紙Sを収納するものであり、給紙ユニット2Bに着脱自在に設けられている。
【0028】
画像形成装置100の内部には、複数のローラー3が設置されており、これにより用紙Sが所定の方向に沿って搬送される搬送経路4が、上述した画像形成ユニット2Aおよび給紙ユニット2Bに跨って構築されている。図1中に示すように、装置本体2には、画像形成ユニット2Aに用紙Sを供給するための手差しトレイ9aが別途設けられていてもよい。
【0029】
画像形成ユニット2Aは、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー像を形成可能なイメージングユニット5と、イメージングユニット5に含まれる像担持体11を露光するための露光ユニット6と、イメージングユニット5に張架された中間転写ベルト7aと、搬送経路4上であってかつ中間転写ベルト7aの走路上に設けられた二次転写部7と、ベルトクリーニング部8と、二次転写部7よりも下流側の部分の搬送経路4上に設けられた、定着装置1とを主として備えている。
【0030】
制御装置150は、画像形成装置100全体を制御する。制御装置150は、露光ユニット6に用紙Sに形成される画像に応じた信号を送信する。露光ユニット6は、制御装置150からの信号に基づいて、各色の露光手段のそれぞれを駆動させる。
【0031】
イメージングユニット5は、回転可能に軸支された像担持体11を含んでいる。イメージングユニット5は、露光ユニット6からの露光を受けてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー像あるいはブラック(K)のみからなるトナー像を像担持体11の表面に形成される。上記各色のトナー像は、各一次転写ローラー12によって中間転写ベルト7aに転写される(いわゆる一次転写)。これにより、中間転写ベルト7aには、カラートナー像あるいはモノクロトナー像が形成されることになる。イメージングユニット5についての詳細は後述する。
【0032】
中間転写ベルト7aは、中間転写ベルト7aの表面に形成されたカラートナー像あるいはモノクロトナー像を二次転写部7へと移送し、給紙ユニット2Bから二次転写部7へと搬送されてきた用紙Sとともに二次転写部7において圧接される。これにより、中間転写ベルト7aの表面に形成されたカラートナー像あるいはモノクロトナー像が用紙Sへと転写される(いわゆる二次転写)。
【0033】
二次転写部7により用紙Sにカラートナー像あるいはモノクロトナー像を転写した後、用紙Sを曲率分離した中間転写ベルト7aは、ベルトクリーニング部8により残留トナーが除去される。
【0034】
カラートナー像あるいはモノクロトナー像が転写された用紙Sは、その後、定着装置1によって加圧および加熱され、用紙S上に形成されたトナー像が定着される。これにより、用紙Sにカラー画像あるいはモノクロ画像が形成(印刷)されることになり、当該カラー画像あるいはモノクロ画像が形成された用紙Sは、その後、装置本体2から排出される。
【0035】
<B.イメージングユニット5の構成>
図2は、図1に示すイメージングユニット5の構成を示す図である。図2では、イメージングユニット5の構成を説明するために、図1に示す領域IIを拡大して模式的に示されて、とりわけ、像担持体11周辺が拡大して示される。図2では、中間転写ベルト7aの記載を省略している。図2中の回転方向DR1は、像担持体11の回転方向である。
【0036】
イメージングユニット5は、ユニットの筐体51を有する。筐体51内において、「クリーニング装置」の一実施例であるクリーニング部20と、帯電部15と、現像装置13とをさらに含んでいる。クリーニング部20、帯電部15、現像装置13、および一次転写ローラー12は、回転方向DR1に沿ってこの順に配置されている。
【0037】
帯電部15は、像担持体11を帯電する。帯電部15が像担持体11を帯電した後に、露光ユニット6が像担持体11に向かって発光することにより、像担持体11の表面上に静電潜像が形成される。露光ユニット6は図2では筐体51の外側に設けられるが、筐体51の内側に設けられてもよい。
【0038】
現像装置13は、像担持体11に現像剤を供給する。これにより、像担持体11の表面にトナー像が形成される。トナー像は、現像装置13に対して回転方向DR1の下流側に配置された一次転写ローラー12によって、図示しない中間転写ベルト7aに一次転写される。一次転写後の像担持体11の表面には、中間転写ベルト7aに転写されなかったトナー(転写残トナー)が残存する。
【0039】
一次転写ローラー12に対して回転方向DR1の下流側に配置されたクリーニング部20は、転写残トナーを清掃する。クリーニング部20は、像担持体11に当接することにより像担持体11上を清掃する。
【0040】
クリーニング部20は、「ブレード」を有し、ブレードは弾性部25と、板バネ24と、保持体23とを有して構成される。弾性部25は、ウレタン樹脂を含む弾性体から形成されている。弾性部25は、板状の形状を有している。弾性部25は、像担持体11の軸方向に見て、像担持体11に近い方の端部である先端25aを有する。先端25aの一部は、像担持体11の表面に当接する接触部25cを構成する。より具体的には、弾性部25の先端25aが撓んだ状態で接触部25cが像担持体11の表面に当接する。
【0041】
板バネ24は、弾性部25を支持する板状の形状を有している。板バネ24の先端は、像担持体11の軸方向に見て、像担持体11に近い方の端部であり、他の端部は保持体23と、接合領域23aにおいて接合されている。
【0042】
保持体23の位置は、固定されている。保持体23は、一方端は板バネ24を保持し、他方端は筐体51に支持されている。
【0043】
(b1.ブレードの振動を抑制する構成)
クリーニング部20は、さらに、ブレードに振動を加える加振部と、後述する食込み量を表すデータ53を読取り可能に記録する記録媒体52と、クリーニング部20を制御する制御部と、後述する温度センサ169を含んで構成される温度検出部とを有する。温度センサ169により画像形成装置100の内部温度が測定される。この内部温度は、ブレードの周囲温度とみなすことができるので、本実施の形態では、温度センサ169によってブレードの周囲温度を測定することができる。
【0044】
本実施の形態では、クリーニング部20の制御部はCPU101により構成されるが、制御部は、CPU101とは異なる専用回路で構成されてもよい。専用回路はCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのプロセッサー回路を含んで構成され得る。制御部は、加振部によってブレードに加える振動量を、ブレードの像担持体11の表面に対する食込み量に基づき決定する。決定される振動量は、ブレードに対して、クリーニング(清掃)において当該ブレードに発生する振動を抑制する方向に加える振動量である。ブレードに発生する振動の制御部は、また、決定された振動量が示す周波数に基づく指令2aを出力する。本実施の形態では、指令2aによって、ブレードに発生する振動を抑制する方向に加えられる振動量は、ブレードに発生する振動に基づく周波数、ブレードに発生する振動に基づく振幅、およびブレードに発生する振動の位相とは逆の位相を有した振動を示す。以下では、説明を簡単にするために、食込み量に基づき決定される振動量は、主に周波数を示し、振幅および位相は所与であるとする。
【0045】
加振部は、ブレードにおける像担持体11との非当接面側に配置される振動部21と、振動部21に駆動信号を印加するAC(Alternating Current)電源22aを有した駆動部22とを有する。駆動部22は、制御部から出力される指令2aを用いてAC電源22aを制御することにより、指令2aが示す振動の周波数に同期した位相の交流電圧を、駆動信号として振動部21に印加する。振動部21は、例えば圧電素子を含む。圧電素子は、駆動部22からの交流電圧の印加に応じて伸縮するとともに、印加された交流電圧の周波数で振動する。ブレードは、ブレードに一体的に取付けられた振動部21の振動が伝わることで振動が加えられ、当該振動の位相および周波数で振動する。本実施の形態では、振動部21は圧電素子で構成されるが、電気的な信号を機械的動きに変換可能な素子であればよく、圧電素子に限定されない。
【0046】
クリーニング時には、ブレードに対して、当該ブレードに発生する振動を抑制する方向に作用する振動が加えられるので、発生する振動を抑制することができる。また、加える振動量は、クリーニング時に検出される振動量ではなく、記録媒体52に記録された食込み量データ53に基づいて決定される。したがって、クリーニング時に振動を発生させることなく、振動抑制の為の振動量を決定できる。
【0047】
<C.食込み量の初期値>
本実施の形態では、ブレードの固有振動に関わる「ブレードと像担持体11の接触状態」、すなわちブレードに固有の食込み量をもとに、食込み量と当該食込み量とブレードの振動量との関係から、ブレードに加える振動量を決定する。加える振動量を決定するために、記録媒体52には、初期パラメーターの1つとして、食込み量データ53が記録されている。
【0048】
食込み量データ53は、クリーニング部20およびイメージングユニット5が未使用である状態、例えば工場の組立工程などにおいて測定されてブレードの像担持体11に対する押圧状態に関する値である。この押圧状態に関する値として、食込み量と比例関係にある初期圧力を説明する。
【0049】
図3は、本実施の形態に係る食込み量の一例について説明するための図である。図3(A)は、弾性部25が像担持体11に押圧されている状態を表す。図3(B)は弾性部25が像担持体11に押圧されていない状態を表す。
【0050】
図3(A)を参照して、弾性部25は像担持体11と接触する位置で板バネ24に固定されている。そのため、弾性部25から像担持体11に対して、像担持体11の中心520に向かう方向530に当接力Fが作用する。未使用状態のクリーニング部20における当接力Fが、初期圧力に相当する。この初期圧力は、イメージングユニット5のクリーニング部20が画像形成装置100において使用される前の、ブレードの像担持体11に対する圧力を表す。クリーニング部20および像担持体11の製造精度並びに配置位置が、イメージングユニット5毎に異なるため、初期圧力はイメージングユニット5ごとに、および画像形成装置100ごとに異なる。
【0051】
像担持体11は、円筒状の基材の周面に予め定められた厚みの感光層が形成されている。弾性部25は、像担持体11に当接力Fを作用させて像担持体11の感光層の表面を適切に削ることにより、像担持体11上に残留する未転写のトナーを回収する。
【0052】
より具体的には、ブレードは、その先端の接触部25cに相当するエッジ(以下、「ブレードエッジ」とも称す。)を像担持体11に押し付け、高いピーク圧を掛けることによってトナーを堰き止め、これによって像担持体11上に残った残留トナーを除去する。このとき、ブレードは、像担持体11上に接する端面の接線方向が像担持体11の接線方向に対してある程度の角度をもって、すなわち食込み量をもって当接される。この当接によりブレードエッジと像担持体11との間には、くさび状の空間ができる。イメージングユニット5での画像形成が繰り返されると、くさび状の空間には、削られた残留トナーが堆積する溜り部が形成される。このように、クリーニング動作では、回収した残留トナーはブレードエッジの溜り部に溜まる。
【0053】
上述の通り、初期圧力はイメージングユニット5ごとにばらつく。この点を、図3(B)を参照し説明する。
【0054】
像担持体11(の中心520)はクリーニング部20のうち予め定められた位置に設置される。そのため、像担持体11の位置および像担持体11の外周面位置は既知の値である。食込み量Δuは、像担持体11が配置されていない状態において、弾性部25のうち像担持体11に最も食込んでいる部分(図3(B)の例では弾性部25の上面の左辺)から像担持体11の外周面までの距離540を表す。
【0055】
この食込み量Δuは、像担持体11および弾性部25の製造精度並びに配置位置によってばらつく。より具体的には、弾性部25の板バネ24に対する取り付け位置がばらつくことにより、弾性部25の板バネ24により固定されていない部分の長さ(自由長)がばらつく。自由長がばらつくと、食込み量Δu(単位mm)がばらつく。また、クリーニング部20における板バネ24の取り付け位置および像担持体11(の中心520)の取り付け位置がばらつくことによっても、食込み量Δuがばらつく。加えて、像担持体11の半径および弾性部25の厚みがばらつくことによっても、食込み量Δuがばらつく。
【0056】
ある実施形態において、弾性部25の像担持体11に対する押圧状態に関する食込み量データ53として、食込み量Δuが設定される。食込み量Δuは、以下の方法でクリーニング部20ごとに測定される。クリーニング部20の製造者は、クリーニング部20に像担持体11が配置されていない状態において、弾性部25のうち像担持体11に最も食込んでいる部分から、予め定められた像担持体11の中心520の位置までの距離550を測定する。像担持体11の半径(既知の値)から距離550を差し引いた長さが食込み量Δuとなる。一例として、クリーニング部20の製造者は、クリーニング部20の製造段階において食込み量Δuを測定し、測定結果を食込み量データ53として記録媒体52に記録する。食込み量Δuと当接力Fとは、略比例している。より具体的には、食込み量Δuが大きくなるほど、当接力Fが大きくなる。当接力Fが大きくなると、クリーニング時に接触部25cにおいて生じる摩擦力が大きくなり、その結果、ブレードは大きく振動し、振動に伴う発生する騒音も大きくなる。
【0057】
本実施の形態では、イメージングユニット5ごとに固有の食込み量Δuを工場出荷段階の初期に測定し記録媒体52に食込み量データ53として記録する。クリーニング時には食込み量データ53に基づきブレードに加える振動量を決定するから、イメージングユニット5およびクリーニング部20の素材および構成のばらつきによらず、クリーニング時のブレードの振動の発生を抑制できる。
【0058】
<D.画像形成装置の構成>
図4は、本実施の形態に係る画像形成装置100のハードウェアの構成の一例を概略的に示す図である。図4を参照して、画像形成装置100は、画像形成装置100を制御するための制御装置150と、プログラムおよびデータを格納するための記憶部160と、情報の入出力部170と、サーバー等と通信するための通信I/F(Interfaceの略)156と、パーソナルコンピューターを含む情報処理装置と通信するための通信回路175と、携帯端末などの装置と近距離無線通信するための無線通信回路178と、画像形成装置100が有する各種のセンサからなるセンサ群162とデータ・信号を遣り取りするセンサI/F(Interfaceの略)161と、外部記憶媒体176が脱着自在に装着されるデータリーダー/ライター174と、各種処理部とを含む。センサ群162は、画像形成装置100の内部の温度を検出する温度センサ169を含む。画像形成装置100の内部温度は、ブレードの周囲温度と略等しいことから、温度センサ169は、ブレードの周囲温度を検出する「温度検出部」を構成する。
【0059】
制御装置150は、CPU101、ASICおよびFPGAなどのプロセッサー回路を含む。
【0060】
記憶部160は、CPU101により実行されるプログラムおよびデータを記憶するためのROM(Read Only Memory)、CPU101によりプログラムを実行する際の作業領域として供されるRAM(Random Access Memory)および不揮発メモリなどを含む。また、RAMには、プログラム実行時に読み書きされる各種データも格納される。
【0061】
記憶部160の不揮発メモリは、カバレッジ・サイズ情報161を格納する。本実施の形態では、「カバレッジ(単位%)」は、プリントされる用紙S全体の表面のトナーで覆われている領域の面積の割合である。例えば、用紙Sの表面の半分がトナーに覆われている場合、カバレッジは50%になる。CPU101は、印刷ジョブを受付ける毎に、当該印刷ジョブに基づきカバレッジ61を算出するとともに、印刷ジョブから用紙Sのサイズを抽出し、カバレッジ61と用紙Sのサイズを含むカバレッジ・サイズ情報161を記憶部160の不揮発メモリに格納する。
【0062】
入出力部170は、ディスプレイを含む表示部171およびユーザーが画像形成装置100に情報を入力するために操作するキー、スイッチなどの操作部172を含む。ここでは、表示部171と操作部172は、一体的に構成されたタッチパネルとして提供され得る。
【0063】
通信I/F156は、外部のネットワークと通信するためのNIC(Network Interface Card)などの回路を含んで構成される。
【0064】
通信回路175は、ユーザーのパーソナルコンピューターなどの情報処理装置と通信するための例えばLAN(Local Area Network)またはNFC(Near Field Communication)などの通信回路を含む。無線通信回路178は、NFCまたはBluetooth(登録商標)などの通信回路を含む。例えば、無線通信回路178は、Bluetoothに従い、ユーザーの携帯端末を含む他の装置と、例えばビーコン信号の通信を実施する。
【0065】
上記の各種処理部は、画像処理部151と、画像形成部152と、画像データを含む各種データを記憶処理するためのハードディスクなどを含む記憶部153と、プリンター157を制御する画像出力部154と、図示しないファクシミリ回路を制御するためのファクシミリ制御部155と、原稿を光学的に読み取って画像データを得るための画像読取部173とを含む。CPU101は、ジョブ情報が示すジョブを実行し、実行結果に従う制御コマンドを、これら処理部に出力する。これにより、ジョブ情報に従って各処理部が制御されて、画像形成装置100は、ジョブ情報に従う処理(プリント、ファクシミリ、画像読取など)を実行する。
【0066】
画像出力部154が有するプリンター157は図2に示したイメージングユニット5を含み、例えばジョブ情報に基づくデータを用いて用紙S上に画像を印刷する。データリーダー/ライター174は、装着された外部記憶媒体176からプログラムまたはデータを読出す回路と、外部記憶媒体176にデータを書込む回路を有する。外部記憶媒体176は、SDカードなどを含むが、これに限定されない。外部記憶媒体176は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的または化学的作用によって蓄積する媒体である。
【0067】
記憶部153は、OS(Operating System)1531および各種のアプリケーションプログラム1532と、ブレードに振動を加える振動量を決定するために検索され得る情報である第1テーブル40と、第2テーブル50と、第3テーブル60と、第4テーブル70とを格納し得る。第1テーブル40、第2テーブル50、第3テーブル60および第4テーブル70を格納する記憶媒体は、記憶部153に限定されず、例えば記憶部160に格納されてもよい。
【0068】
<E.モジュール構成>
図5は、本実施の形態に係るクリーニング部20の制御に係るモジュール構成を模式的に示す図である。図5の破線内はクリーニング部20を実現するための複数のモジュールを示し、これらモジュールは、例えばCPU101が、記憶部153のアプリケーションプログラム1532を読出し、RAMに展開して実行することで実現される。本実施の形態では、これらモジュールは、アプリケーションプログラム1532によって実現されるとしたが、アプリケーションプログラム1532とASICまたはFPGA等の回路の組合せにより実現されてもよく、回路のみを用いて実現されてもよい。
【0069】
図4を参照して、クリーニング部20は、食込み量データ53を取得する食込み量取得部31と、温度センサ169の出力をデジタルデータに変換する等によってブレードの周囲温度3aを取得する温度取得部33と、ブレードに加える振動量を決定する振動量決定部30と、印刷ジョブからカバレッジ・サイズ情報161を取得し記憶部160に格納するとともに、カバレッジ・サイズ情報161を記憶部160から読出し、振動量決定部30に出力するカバレッジ取得部32とを含む。温度取得部33は、温度センサ169を含んで構成されてもよい。
【0070】
(e1.テーブルの一例)
振動量決定部30は、第1テーブル40,第2テーブル50、第3テーブル60および第4テーブル70を検索することにより、ブレードに加える振動量を決定する。図6は、本実施の形態に係る第1テーブルの構成を模式的に示す図である。図6を参照して、第1テーブル40は、横軸に食込み量の値がとられて、縦軸に振動量として振動周波数(単位Hz)の値が取られる、いわゆるルックアップテーブルの構成を有する。CPU101は、振動量決定部30として、食込み量データ53に基づき、第1テーブル40から、当該食込み量に対応したブレードに固有の振動周波数4aを検索する。
【0071】
図7は、本実施の形態に係る第2テーブルの構成を模式的に示す図である。図7を参照して、第2テーブル50は、縦軸にブレードが振動周波数として採り得る値(単位Hz)がとられて、横軸にAC電源22aから出力される交流電圧の周波数としての印加AC周波数(単位Hz)の値が取られる、いわゆるルックアップテーブルの構成を有する。CPU101は、振動量決定部30として、振動周波数4aに基づき、第2テーブル50から該振動周波数に対応した印加AC周波数5aを検索することができる。
【0072】
図8は、本実施の形態に係る第3テーブル60の構成を模式的に示す図である、図8を参照して、第3テーブル60は、カバレッジ61とブレードエッジに溜まるブレードエッジトナー量62の関係を示している。ここで、クリーニング動作において、ブレードエッジに供給されて食込み部に溜まるトナー量はブレードの動き(振動)を止める方向に作用することが知られている。
【0073】
カバレッジとの関係では、同じ食込み量であれば、カバレッジが高いほど溜まるトナー量は多くなりブレードの振動を止める作用は大きくなる。したがって、ブレードに加える振動量は少なくてよい。一方、食込み量が多いほどブレードエッジに形成され得る溜り部のための空間は狭くなるので、カバレッジが同じであれば、食込み量が多いほど溜まるトナー量は少なくなり、ブレードの振動を止める作用は小さくなる。したがって、ブレードに加える振動量を大きくする必要がある。
【0074】
図8の第3テーブル60は、カバレッジ61と用紙Sのサイズ63の組合せと、ブレードエッジに溜まるトナー量を示すブレードエッジトナー量62の関係に基づき検索可能な、いわゆるルックアップテーブルの構成を有する。用紙Sのサイズ63はサイズA3とA4を示すが、これらサイズに限定されない。図8によれば、カバレッジ61が大きいほど、また、用紙Sのサイズが大きいほどブレードエッジトナー量62が多くなることが示される。ブレードエッジトナー量62としては、例えば、20,40,60,80,100,120,160,200の8種類を例示するが、これらのトナー量に限定されない。CPU101は、振動量決定部30として、カバレッジ取得部32によって記憶部160から読出したカバレッジ・サイズ情報161に基づき、第3テーブル60から、当該カバレッジ・サイズ情報161(カバレッジ61と用紙Sのサイズ)に対応したブレードエッジトナー量62を検索することができる。
【0075】
図9は、本実施の形態に係る第4テーブル70の構成を模式的に示す図である。図9を参照して、第4テーブル70は、8種類のブレードエッジトナー量62のそれぞれについて、横軸に食込み量の値がとられて、縦軸に振動量として振動周波数(単位Hz)の値が取られる、いわゆるルックアップテーブルの構成を有する。CPU101は、振動量決定部30として、ブレードエッジトナー量62および食込み量データ53に基づき、第4テーブル70から、当該ブレードエッジトナー量62および食込み量データ53に対応した振動周波数4aを検索する。CPU101は、検索された振動周波数4aに基づき図6の第3テーブル60から、振動部21に印加する交流電圧の周波数である印加AC周波数5aを検索する。
【0076】
第1テーブル40、第2テーブル50、第3テーブル60および第4テーブル70のデータは、画像形成装置100の工場出荷時に、ブレードに加振を実施する条件(食込み量、ブレードの周囲温度、ブレードのサイズの情報等)下で、実験を実施することにより取得されて、各テーブルは画像形成装置100に格納される。
【0077】
<F.フローチャート>
図10は、本実施の形態に係るフローチャートの一例を示す図である。図10のフローチャートは、CPU101が、OS1531のもとでアプリケーションプログラム1532を実行することにより実現される。本実施の形態では、画像形成装置100は、動作モードとして、印刷において加振部によってブレードに振動を加える加振モードと、ブレードに振動を加えない非加振モードとを有する。画像形成装置100は、例えば操作部172から受付けるユーザー操作に従い、動作モードとして加振モードと非加振モードのいずれかが設定される。
【0078】
図10を参照して、CPU101は、画像形成装置100の電源オン指令または印刷指令を受付けるか否かを判定する(ステップS1)。より具体的には、CPU101は、電源オン指令を、例えば操作部172からのユーザー操作として受付ける。CPU101は、補助電源で駆動され得るから、電源オフ状態であっても電源オン操作を受付けることができる。また、印刷指令は、操作部172からのユーザー操作に基づく印刷ジョブの実行開始指示、または、外部装置から印刷ジョブとともに受信する当該印刷ジョブの実行開始指示等に基づいている。PU101は、外部装置からの印刷ジョブおよび当該印刷ジョブの実行開始指示を、通信I/F156、通信回路175および無線通信回路178から受信することができる。また、CPU101は、印刷ジョブと印刷指令を、電源オン操作とともに受付けることができる。
【0079】
CPU101は、電源オン指令または印刷指令を受付けないと判定すると(ステップS1でNO)、ステップS1を繰返し実施する。CPU101は、電源オン指令または印刷指令を受付けたと判定すると(ステップS1でYES)、CPU101は、温度センサ169からの出力に基づき、温度データを検出する(ステップS3)。検出された温度は、ブレードの周囲温度に略等しい。
【0080】
CPU101は、検出された温度データと閾値TH1とを比較し、比較の結果に基づき(検出温度≦TH1)の条件が満たされるか否かを判定する(ステップS5)。閾値TH1は比較的低温の例えば10℃を示すが、閾値TH1は10℃に限定されない。CPU101は、当該条件が満たされないと判断すると(ステップS5でNO)、後述する加振処理は実行せずに、プリンター157を用いて印刷ジョブを実行する(ステップS6)。その後、ステップS1戻る。一方、CPU101は、当該条件が満たされると判断すると(ステップS5でYES)、ステップS7以降の、加振部によってブレードに振動を加える加振処理に実行する。
【0081】
ステップS7では、CPU101は、動作モードは加振モードであるか否かを判断する(ステップS7)。CPU101は、動作モードは加振モードでないと判定すると(ステップS7でNO)、すなわち非加振モードであると判定すると後述する加振処理は実行せずに、プリンター157を用いて印刷ジョブを実行する(ステップS8)。その後、ステップS1戻る。
【0082】
CPU101は、動作モードは加振モードであると判定すると(ステップS7でYES)、加振処理に実行する(ステップS9)。ステップS9では、CPU101は、食込み量データ53に基づき第1テーブル40から振動周波数4aを検索し、検索された振動周波数4aに基づき第2テーブル50から印加AC周波数を検索し、これにより印加AC周波数5aを決定する(ステップS91)。また、ステップS9では、CPU101は、決定された印加AC周波数5aに基づく指令2aを生成し、クリーニング部20の駆動部22に出力する(ステップS92)。駆動部22は、指令2aに従ってAC電源22aを駆動するので、AC電源22aからの交流電圧信号に従い振動部21は振動する。また、指令2aの出力とともに、CPU101は、プリンター157を用いて印刷ジョブを実行開始する(ステップS10)。
【0083】
ここで、低温下では、樹脂などの弾性体で形成されるブレード材の硬度が上がることにより、像担持体11とブレードの接触部25cの振動量が顕著になる傾向にある。このような傾向があるとしても、上記のプロセスでは、印刷ジョブの実行開始とともに、振動部21は、指令2aで指定された周波数および位相を有した振動量で振動するので、低温時のブレードの硬度に起因するブレードの振動を、振動部21によって加えられる振動量で抑制することができる。
【0084】
CPU101は、印刷ジョブを実行停止するかを判断する(ステップS10)。この実行停止は、例えばユーザー操作に基づく指令、または、通信I/F156、通信回路175および無線通信回路178を介して受信した指令などに基づいている。
【0085】
CPU101は、印刷ジョブの実行を停止する、すなわち像担持体11の回転を停止すると判定すると(ステップS11でYES)、印刷ジョブの実行を停止し、振動停止の指令を駆動部22に出力する(ステップS17)。駆動部22は、振動停止の指令に基づき、振動部21に振動を停止させるための信号を出力する。その後、ステップS1に戻る。
【0086】
CPU101は、印刷ジョブの実行を停止しないと判定すると(ステップS11でNO)、温度センサ169の出力からブレードの周囲温度を検出し(ステップS13)、検出した周囲温度3aと閾値TH2(ただし、TH1<TH2である)について(周囲温度≧TH2)の条件が満たされるかを判定する(ステップS15)。閾値TH2は、例えば11℃であるが、この温度に限定されない。
【0087】
CPU101は、(周囲温度≧TH2)の条件が満たされないと判断すると(ステップS15でNO)ステップS11に戻るが、(周囲温度≧TH2)の条件が満たされると判断すると(ステップS15でYES)、ステップS17に移行して、振動部21に振動を停止させる。
【0088】
上記に述べた閾値TH1とTH2は、ブレードのサイズおよび材質などの条件により設定されることが望ましい。
【0089】
ステップS6とステップS8でも、印刷ジョブを実行することに伴い、非加振モードによるブレードを用いた通常のクリーニングが実行される。また、ステップS10の印刷ジョブの実行では、加振モードに従って加振されながらブレードによるクリーニングが実施される。印刷ジョブの実行では例えば、所定枚数のページ(用紙)の印刷毎にクリーニングが実施される。
【0090】
図10では、印刷ジョブを実行開始するとき、ブレードの周囲温度が予め定められた第1条件(周囲温度が閾値TH1以下、またはTH1未満)を満たす場合、ブレードの像担持体11の表面に対する食込み量に基づく振動量を加振部によって当該ブレードに加えるとともに印刷ジョブの実行を開始する。その後、印刷ジョブの実行中にブレード周囲温度が上昇し予め定められた第2条件(周囲温度が閾値TH2以上、またはTH2より大きい)が満たされると、振動部21は停止する。すなわちブレード硬度は周囲温度の上昇により低下し、ブレード材の硬度に起因した振動量は発生しにくくなるタイミングで振動部21の振動を停止させることで、振動部21の振動がブレードに加えられることに起因した騒音の発生を防止できる。
【0091】
<f1.フローチャートの他の例>
図11は、本実施の形態に係るフローチャートの他の例を示す図である。図11のフローチャートは、図10のフローチャートの変形例である。図11のフローチャートでは、図10の処理にステップS19の処理が追加されるとともに、図10のステップS9の処理をステップS9aの処理に変更している。図11のその他の処理は、図10と同様であるから詳細な説明は繰り返さない。ここでは、主に、ステップS9aとステップS19を説明する。
【0092】
CPU101は、印刷ジョブの処理(ステップS6,ステップS8およびステップS10)を実行すると、その後に、当該印刷ジョブからカバレッジ・サイズ情報161を取得し、記憶部160に格納する(ステップS19)。その後、ステップS1に戻る。
【0093】
また、CPU101は、ステップS9aの加振処理を実行する。ステップS9aでは、CPU101は、記憶部160のカバレッジ・サイズ情報161に基づき第3テーブル60からブレードエッジトナー量62を検索し、検索されたブレードエッジトナー量62と食込み量データ53に基づき第4テーブル70から振動周波数4aを検索し、検索された振動周波数4aに基づき第2テーブル50が印加AC周波数5aを検索する(ステップS91a)。これにより、印加AC周波数5aが決定する。また、ステップS9aでは、CPU101は、ステップS91aで決定された印加AC周波数5aに基づく指令2aを生成し、クリーニング部20の駆動部22に出力する(ステップS92)。駆動部22は、指令2aに従ってAC電源22aを駆動するので、AC電源22aからの交流電圧信号に従い振動部21は振動する。また、指令2aの出力とともに、CPU101は、プリンター157を用いて印刷ジョブを実行開始する(ステップS10)。
【0094】
これにより、低温下の印刷時において、低温でブレードの硬度が上がることに起因した振動を抑制するために加える振動量(すなわち、印加AC周波数5a)を、ブレードエッジに溜まるトナー量によるブレードの振動を小さくする作用の大きさを考慮して決定し、ブレードに加えることができる。
【0095】
<G.プログラム>
図10図11のフローチャートに示す処理のプログラムは、主に、アプリケーションプログラム1532として提供される。このプログラムは、画像形成装置100のコンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリーカードなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0096】
なお、プログラムは、コンピュータのOS1531の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、実施の形態のプログラムに含まれ得る。
【0097】
また、実施の形態にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本実施の形態にかかるプログラムに含まれ得る。
【0098】
提供されるプログラムは、ハードディスクなど記憶部153のプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラムは、プログラム自体と、プログラムを実行するための各種データが記録された記録媒体とを含む。
【0099】
<H.変形例>
図10図11のフローチャートでは、加振モードの判定(ステップS7)を、温度の判定(ステップS3,ステップS5)の後で実施したが、温度の判定(ステップS3,ステップS5)の前で実施してもよい。また、加振処理(ステップS9、ステップS9a)では、印刷ジョブを実施するごとに、食込み量データ53を記録媒体52から読出す構成にしたが、別の構成にしてもよい。より具体的には、記録媒体52から読出された食込み量データ53は、記録媒体52から読出されると、記録媒体52よりも高速に読出し可能な記録媒体、例えば記憶部160の不揮発メモリに格納し、格納後は、記録媒体52に代えて不揮発メモリから食込み量データ53を読出すようにしてもよい。
【0100】
本実施の形態において、食込み量データ53を記録する記録媒体52は、例えばフラッシュメモリなどのメモリデバイスで構成することができる。または、記録媒体52は、CPU101が光学的に読取り可能に、食込み量を表すバーコード画像が印刷された媒体で構成されてもよい。
【0101】
本実施の形態では、振動量決定部30によって決定される振動量は主に振動の周波数を示すが、周波数に限定されない。例えば、振動量は、振幅や位相なども含み得る。
【0102】
<I.実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、クリーニング時のブレードの振動を打ち消すため、ブレードの振動を検知して、ブレード自体に当該振動を打ち消す振動を加える従来の方法に関しては、直接ブレードの振動を検知する装置が必要となる。このような検知装置は、検知装置が振動を受け続けることで検知精度が低下することになる。対照的に、本実施の形態では、ブレードに固有の食込み量データ53と振動周波数4aの関係から、当該ブレードに加える振動量を決定するから、従来方法に残された、振動を検知する精度の低下などの課題を解消できる。また、本実施の形態では、従来方法の検知装置を設置するためのスペースおよびコストを削減できる。
【0103】
また、ブレードに打ち消す振動を与える加振機構について、ブレードに加える振動の、大きさ、時間の長さによっては、加振機構への負荷、または精度を維持するコストが大きくなる傾向がある。すなわち、振動機構が発生させる振動によって、ブレードを以外の他の部品にも振動の影響が及ぶため、加える振動量はなるべく最適化し、加える期間も短くすることが望まれる。この点に関して、本実施の形態では、ブレード周辺温度が、ブレードの硬度が高くなり振動量が大きくなるような低温時においてブレードへの加振が実施されるので、上記の要望に応えることができる。
【0104】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
1 定着装置、2 装置本体、2A 画像形成ユニット、2B 給紙ユニット、2a 指令、3a 周囲温度、4 搬送経路、4a 振動周波数、5 イメージングユニット、5a AC周波数、6 露光ユニット、7 二次転写部、7a 中間転写ベルト、8 ベルトクリーニング部、9 収容部、9a 手差しトレイ、11 像担持体、12 一次転写ローラー、13 現像装置、15 帯電部、20 クリーニング部、21 振動部、22 駆動部、22a AC電源、23 保持体、23a 接合領域、24 板バネ、25 弾性部、25a 先端、25c 接触部、30 振動量決定部、31 食込み量取得部、32 カバレッジ取得部、33 温度取得部、40 第1テーブル、50 第2テーブル、51 筐体、52 記録媒体、53 食込み量データ、60 第3テーブル、61 カバレッジ、62 ブレードエッジトナー量、63 サイズ、70 第4テーブル、100 画像形成装置、150 制御装置、151 画像処理部、152 画像形成部、153,160 記憶部、154 画像出力部、155 ファクシミリ制御部、157 プリンター、161 カバレッジ・サイズ情報、162 センサ群、169 温度センサ、170 入出力部、171 表示部、172 操作部、173 画像読取部、174 データリーダー/ライター、175 通信回路、176 外部記憶媒体、178 無線通信回路、520 中心、530 方向、540,550 距離、1532 アプリケーションプログラム、DR1 回転方向、F 当接力、S 用紙、S1,S3,S5,S6,S7,S8,S9a,S9,S10,S11,S13,S15,S17,S19,S91a,S91,S92 ステップ、TH1,TH2 閾値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11