IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-乗物シート用ネックレスト 図1
  • 特許-乗物シート用ネックレスト 図2
  • 特許-乗物シート用ネックレスト 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】乗物シート用ネックレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20250311BHJP
【FI】
B60N2/90
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021132173
(22)【出願日】2021-08-16
(65)【公開番号】P2023026804
(43)【公開日】2023-03-01
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤池 文敏
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
(72)【発明者】
【氏名】山田 純
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3095765(JP,U)
【文献】特開2018-187977(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0142448(KR,A)
【文献】特開2018-188137(JP,A)
【文献】特開2019-206229(JP,A)
【文献】特開2018-043677(JP,A)
【文献】米国特許第06123389(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/90
B60N 2/22
B60N 2/80
B60N 2/00
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの上面部とヘッドレストとの間に配置される乗物シート用ネックレストであって、
前記ヘッドレストは本体部から下方に延出するステー部の先端部側が前記シートバックの中に挿入されることにより前記シートバックに支持されるものであり、
前記乗物シート用ネックレストは前記ステー部を上下に通す貫通孔が設けられ前記ステー部を前記貫通孔に上方から通した状態で前記ステー部に取付けられて前記本体部と前記シートバックの前記上面部との間に配置されるベース部と、
該ベース部の前端部側に取付けられ着座乗員の首部を後方から支持するネックレスト本体部と、を有し、
前記ネックレスト本体部は、前記ベース部に対して前後位置が調整可能に取付けられており、
前記ネックレスト本体部は、前記ベース部に対し前後動が可能な可動フレームを有し、
該可動フレームの前側には空気の出し入れにより膨張収縮するブラダを介してクッション部材が取付けられており、
前記ネックレスト本体部の左右両側部には略上下方向に延びる回転軸を中心に前後方向に回転して前記着座乗員の首部を側方から支持する側支持部が設けられており、
該側支持部の前記可動フレームに対する前後方向の回転も前記ブラダの膨張収縮によって行われるものである乗物シート用ネックレスト。
【請求項2】
請求項1において、前記クッション部材の前面側又は後面側には前記着座乗員の首部に振動を印加する振動子が配設されている乗物シート用ネックレスト。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記側支持部には内部にスピーカが配設されている乗物シート用ネックレスト。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物シート用ネックレストに関する。
【背景技術】
【0002】
シートバックの上部に着座乗員の頭部を支持するヘッドレストと、ヘッドレストの下部に着座乗員の首部を支持するネックレストと、が配設された自動車用シートが知られている。特許文献1に記載される自動車用シートにおいては、下部に後方に向かって凹む凹部を有する形状のヘッドレストがシートバックの上部に取付けられ、この凹部の中にネックレストが前後方向に出入可能に配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-206229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される自動車用シートにおいては、ネックレストを配設するためにヘッドレストが通常のタイプとは異なる特殊な形状のものとされている。同車型の自動車に搭載される自動車用シートがすべてネックレストを配設するものであればよいが、グレード等によってネックレストを備えるシートと備えないシートを設けようとすると複数の種類のヘッドレストを準備しなければならないという問題があった。そこで、通常のタイプのヘッドレストを使用しながら必要に応じて取付けられるネックレストが望まれていた。
【0005】
このような要請に鑑み本発明の課題は、通常のヘッドレストを使用する乗物用シートに必要に応じて取付けられるネックレストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、シートバックの上面部とヘッドレストとの間に配置される乗物シート用ネックレストであって、前記ヘッドレストは本体部から下方に延出するステー部の先端部側が前記シートバックの中に挿入されることにより前記シートバックに支持されるものであり、前記乗物シート用ネックレストは前記ステー部を上下に通す貫通孔が設けられ前記ステー部を前記貫通孔に上方から通した状態で前記ステー部に取付けられて前記本体部と前記シートバックの前記上面部との間に配置されるベース部と、該ベース部の前端部側に取付けられ着座乗員の首部を後方から支持するネックレスト本体部と、を有することを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、シートバックの上部に取付けられた通常のヘッドレストにおけるステー部にベース部が取付けられて本体部とシートバックの上部との間に配置されることによって別部材を使用せず簡便にネックレストを取付けることができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記ネックレスト本体部は、前記ベース部に対して前後位置が調整可能に取付けられていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、ネックレスト本体部の前後位置を着座乗員の好みに合わせて調整できるので快適性を高めることができる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記ネックレスト本体部は、前記ベース部に対し前後動が可能な可動フレームを有し、該可動フレームの前側には空気の出し入れにより膨張収縮するブラダを介してクッション部材が取付けられていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、着座乗員の首部を後方から支持する押圧力をブラダへの空気の出し入れにより簡便に調節することができる。
【0012】
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記クッション部材の前面側又は後面側には前記着座乗員の首部に振動を印加する振動子が配設されていることを特徴とする。
【0013】
第4発明によれば、着座乗員の首部に振動子により音を伝える効果として、例えばスピーカのように低音を出すことや、骨伝導音響効果を与えることができ、また、マッサージ効果を与えることもできる。
【0014】
本発明の第5発明は、上記第1発明から上記第4発明のいずれかにおいて、前記ネックレスト本体部の左右両側部には略上下方向に延びる回転軸を中心に前後方向に回転して前記着座乗員の首部を側方から支持する側支持部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
第5発明によれば、着座乗員の首部は後方からだけではなく左右両方向からも支持されることができるので快適性が高まる。
【0016】
本発明の第6発明は、上記第5発明において、前記側支持部には内部にスピーカが配設されていることを特徴とする。
【0017】
第6発明によれば、側支持部のスピーカから音声を発せられるので音響効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態のネックレストの正面図である。
図2図1のII-II矢視線断面図である。
図3図1のIII-III矢視線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1図3に、本発明の一実施形態であるネックレスト10を示す。この実施形態は、自動車用シート1に本発明を適用した例である。各図中、矢印により自動車用シート1に着座した着座乗員Pを基準とした各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。ここで、ネックレスト10が、特許請求の範囲の「乗物シート用ネックレスト」に相当する。
【0020】
図1及び図3に示すように、本実施形態に係るネックレスト10が取付けられた自動車用シート1は、乗員の着座部となるシートクッション(図示せず)と、乗員の背凭れ部となるシートバック2と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト3と、を有している。シートバック2は、骨格をなすバックフレーム(図示せず)に被せつけられたクッション材としてのバックパッド(図示せず)の表面が表皮材としてのバックカバー2aで覆われて形成されている。バックパッドを覆うバックカバー2aの外形線がシートバック2の外形線を構成する。シートクッションに対してシートバック2は前後方向に傾動可能に取付けられており、図3に示す通常状態において上面部2bは、略水平状態となっている。
【0021】
図1及び図3に示すように、ヘッドレスト3は、自動車用シートに一般的に用いられるタイプのもので、骨格を成すヘッドレストフレーム3aと、ヘッドレストフレーム3aに対して固定された本体部3bと、を有する。ヘッドレストフレーム3aは、金属製パイプが、正面視で下方に開口を有する略U字状に曲げ加工されて形成されている。そして、上部の開口と反対側の部分が本体部3bの中に埋設されることによって本体部3bと一体化されている。本体部3bの下側から下方に向かって延びる左右一対の部分がステー部3a1である。本体部3bは、着座乗員Pの頭部に後方から当接して支持する部分であり、クッション材としてのヘッドレストパッド(図示せず)を表皮材としてのヘッドレストカバー3b1で覆って形成されている。ヘッドレストパッドを覆うヘッドレストカバー3b1の外形線が本体部3bの外形線を構成する。ステー部3a1は、それぞれシートバック2の上部に固定されたヘッドレストサポート(図示せず)の中に挿入されることによりシートバック2に対して上下位置の調節可能に支持されている。
【0022】
図1図3に示すように、ネックレスト10は、骨格を成すネックレストフレーム11と、ネックレストフレーム11の前側に取付けられたクッション材としてのネックレストパッド12と、ネックレストパッド12を覆う表皮材としてのネックレストカバー13と、を有している。さらに、ネックレスト10は、ネックレストパッド12とネックレストフレーム11との間に配置されるブラダ14、振動子15、スピーカ16を有している。
【0023】
ネックレストフレーム11は、平板状の第1フレーム部11aと、第1フレーム部11aの前端部に取付けられた第2フレーム部11bと、を有している。第1フレーム部11aは、ヘッドレスト3の本体部3bとシートバック2の上面部2bとの間に配置された状態でヘッドレスト3のステー部3a1に取付けられている。したがって、シートバック2に対してヘッドレスト3を上下動させると、それに伴って上下動する。第1フレーム部11aに対し第2フレーム部11bは前後方向に移動可能かつ適宜の位置で移動を止めて前後位置を調節可能とされている。ここで、第1フレーム部11aと第2フレーム部11bが、それぞれ特許請求の範囲の「ベース部」と「可動フレーム」に相当する。
【0024】
第1フレーム部11aは、上面視で長軸方向を左右方向とする略矩形状をしたメイン部11a1と、メイン部11a1の前端部側における左右方向中央部に設けられた前方に向かって突出する上面視で矩形枠状の突出部11a2を備えている。突出部11a2の右側面部11a21と左側面部11a22には、前後方向に延びる凸条(図示せず)が配設されている。メイン部11a1と突出部11a2は上下方向に所定の厚みを有する同一平面板状に形成されている。
【0025】
メイン部11a1には、左右対称な位置に長軸方向を左右方向とする断面が長円状の上下に貫通する貫通孔11a11が同一形状で2つ設けられている。貫通孔11a11の短軸方向すなわち前後方向の幅は、ステー部3a1の直径より若干大きく設定されているとともに、左右の貫通孔11a11の左右方向の位置は、左右のステー部3a1をそれぞれ左右の貫通孔11a11の中に通すことができる位置とされている。
【0026】
図2に示すように、左右の貫通孔11a11の中に左右のステー部3a1がそれぞれ通された状態で、右側のステー部3a1の右側面に当接する円弧状の右外押圧部材11eと、左側のステー部3a1の左側面に当接する円弧状の左外押圧部材11fと、右側のステー部3a1の左側面に当接する円弧状の右内押圧部材11gと、左側のステー部3a1の右側面に当接する円弧状の左内押圧部材11hと、が配設されている。右外押圧部材11eは、左右方向に延びる右前棒状体11e1の右端部側に連結され、左外押圧部材11fは、左右方向に延びる左前棒状体11f1の左端部側に連結されている。そして、右前棒状体11e1の後側面にはラックギアが設けられ、左前棒状体11f1の前側面にはラックギアが設けられて、その間に前ピニオンギア11mが上下方向に延びる軸を中心に回転可能に配設されて螺合状態とされている。これによって、前ピニオンギア11mを回転させると、右外押圧部材11eが右側のステー部3a1の右側面を押圧するとともに左外押圧部材11fが左側のステー部3a1の左側面を押圧する状態と、右外押圧部材11eが右側のステー部3a1の右側面から離隔するとともに左外押圧部材11fが左側のステー部3a1の左側面から離隔する状態と、を選択的に採ることができる。右内押圧部材11gは、左右方向に延びる右後棒状体11g1の右端部側に連結され、左内押圧部材11hは、左右方向に延びる左後棒状体11h1の左端部側に連結されている。そして、右後棒状体11g1の前側面にはラックギアが設けられ、左後棒状体11h1の後側面にはラックギアが設けられて、その間に後ピニオンギア11nが上下方向に延びる軸を中心に回転可能に配設されて螺合状態とされている。これによって、後ピニオンギア11nを回転させると、右内押圧部材11gが右側のステー部3a1の左側面を押圧するとともに左内押圧部材11hが左側のステー部3a1の右側面を押圧する状態と、右内押圧部材11gが右側のステー部3a1の左側面から離隔するとともに左内押圧部材11hが左側のステー部3a1の右側面から離隔する状態と、を選択的に採ることができる。これによって、前ピニオンギア11mと後ピニオンギア11nを回転操作することによって、右側のステー部3a1を右外押圧部材11eと右内押圧部材11gで挟みつけるとともに、左側のステー部3a1を左外押圧部材11fと左内押圧部材11hで挟みつけて、第1フレーム部11aを左右のステー部3a1に対して固定することができる。なお、右外押圧部材11e、左外押圧部材11f、右内押圧部材11g、左内押圧部材11h、右前棒状体11e1、左前棒状体11f1、右後棒状体11g1、左後棒状体11h1、前ピニオンギア11m、後ピニオンギア11nは、メイン部11a1の内部に設けられた空間部(図示せず)の中に配設されている。
【0027】
図1図3に示すように、第2フレーム部11bは、ネックレストパッド12、ブラダ14、振動子15、スピーカ16を支持する主体部11b1と、主体部11b1の後端部側における左右方向中央部に設けられた後方に向かって突出する上面視で略U字状の連結部11b2と、を備えている。連結部11b2の左右方向内側面には、第1フレーム部11aにおける突出部11a2に設けられた凸条に対して摺動可能に嵌合する凹溝(図示せず)が設けられている。そして、適当な前後位置で第1フレーム部11aの突出部11a2に対する摺動を止めるロック釦11b21が配設されている。これによって、第2フレーム部11bは、第1フレーム部11aに対して前後方向の位置を調整可能とされている。
【0028】
主体部11b1は、中央部11b11と、中央部11b11の左右側部に設けられた側部11b12と、を有する。中央部11b11は、着座乗員Pの首部後方に位置し後方に向かってわずかに凸形状となる板状をしている。側部11b12は、左右対称形状をした左右一対の部分で、中央部11b11の右端部から右上方に延びる板状の部分と、中央部11b11の左端部から左上方に延びる板状の部分と、がある。中央部11b11の前面部側における左右方向中央部には、空気の出し入れにより膨張収縮するブラダ14が取付けられている。また、中央部11b11の前面部側におけるブラダ14の両サイドには着座乗員Pに対しマッサージ効果や骨伝導音響効果を与える左右一対の振動子15が取付けられている。なお、ブラダ14への空気の供給及び排出を行う空気供給排出機構と振動子15の作動を制御する制御装置については図示を省略している。そして、ブラダ14及び左右一対の振動子15を前から覆うようにネックレストパッド12が取付けられてその上からネックレストカバー13が被せつけられてその端部が中央部11b11に固定されることによって中央支持部11Aが形成されている。これによって、中央支持部11Aは、着座乗員Pの首部を後方から押圧したりマッサージしたり骨伝導による音響効果を与えたりすることができるようになっている。ネックレストパッド12は発泡ウレタンフォーム等が好適に用いられ、ネックレストカバー13はファブリックや合成皮革等の通常自動車用シートの表皮材に使用されるものが好適に用いられる。ここで、中央支持部11Aとネックレストパッド12が、それぞれ特許請求の範囲の「ネックレスト本体部」と「クッション部材」に相当する。
【0029】
左右の側部11b12には、それぞれ、略上下方向に延びる回転軸Aを中心に前後方向に回転可能に前方向に開口するボックス状のスピーカフレーム11cが取付けられている。そして、回転軸Aを中心にスピーカフレーム11cを側部11b12の方向に回動付勢するトーションスプリング11dが配設されるとともに、側部11b12の前面部とスピーカフレーム11cの後面部との間にはブラダ14が配設されている。スピーカフレーム11cの中には、左右2つずつのスピーカ16が上下に並べて取付けられており、その前面部には薄手のネックレストパッド12が取付けられてその上からネックレストカバー13が被せつけられてその端部がスピーカフレーム11cに固定されることにより側支持部11Bが形成されている。これによって、図2の左側の側支持部11Bにおいて示すように、実線で示す開いた状態と二点鎖線で示す閉じた状態に切り替えることができるようになっている。具体的には、開いた状態においてブラダ14に空気を入れることによってスピーカフレーム11cを側部11b12に対して前方に押圧しトーションスプリング11dの付勢力に抗して回転させることにより側支持部11Bを閉じた状態とすることができる。そして、ブラダ14から空気を抜くとトーションスプリング11dの付勢力によって側支持部11Bは開いた状態に復帰する。側支持部11Bを閉じた状態にすることにより着座乗員Pの首部を側方から支持することができる。右側の側支持部11Bについても左側と同様である。なお、スピーカ16に電力を供給する機構については図示を省略している。
【0030】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。ネックレスト10は、本体部3bから下方に延びる左右一対のステー部3a1の先端部側がシートバック2の中に挿入されることによりシートバック2に支持される通常のヘッドレスト3に取付けられることができる。具体的には、ネックレスト10は、第1フレーム部11aが本体部3bとシートバック2の上面部2bとの間に配置されるとともに、左右の貫通孔11a11の中にヘッドレスト3の左右のステー部3a1がそれぞれ通された状態で、ステー部3a1に対して連結される。これによって、別部材を使用せず簡便にネックレスト10を自動車用シート1に取付けることができる。
【0031】
また、第1フレーム部11aの前側に取付けられた第2フレーム部11bの前側には、ブラダ14を介してネックレストカバー13で被覆されたネックレストパッド12が取付けられている。これによって、ブラダ14に空気を出し入れすることにより着座乗員Pの首部を後方から支持する押圧力を簡便に調節することができる。さらに、第2フレーム部11bの前側とネックレストパッド12の後側の間には、左右一対の振動子15が配設されているので、振動子15を振動させることにより着座乗員Pの首部にマッサージ効果や骨伝導音響効果を与えることができる。さらに、ネックレスト10の左右両側部には回転軸Aを中心に前後方向に回転して着座乗員Pの首部を側方から支持する側支持部11Bが設けられている。これによって、着座乗員Pの首部は後方からだけではなく左右両方向からも支持されることができるので快適性が高まる。加えて、左右の側支持部11Bの内部にはスピーカ16が配設されているので音響効果を高めることができる。
【0032】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0033】
1.上記実施形態においては、第1フレーム部11aに対して第2フレーム部11bを介してネックレストカバー13で被覆したネックレストパッド12を取付けたが、これに限らず、第1フレーム部11aに直接ネックレストカバー13で被覆したネックレストパッド12を取付けることもできる。
【0034】
2.上記実施形態においては、中央支持部11Aの内部にブラダ14と振動子15を配設したが、いずれか一方を配設してもよいし、振動子15の代わりにスピーカ16を配設してもよい。また、側支持部11Bの内部にスピーカ16を配設したが、スピーカ16の代わりに振動子15を配設することもできる。
【0035】
3.上記実施形態においては、ネックレスト10を自動車用シート1に適用したが、これに限らず、飛行機、船、電車等に搭載のシートに適用してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 自動車用シート
2 シートバック
2b 上面部
3 ヘッドレスト
3a ヘッドレストフレーム
3a1 ステー部
3b 本体部
10 ネックレスト(乗物シート用ネックレスト)
11 ネックレストフレーム
11a 第1フレーム部(ベース部)
11a11 貫通孔
11b 第2フレーム部(可動フレーム)
11A 中央支持部(ネックレスト本体部)
11B 側支持部
12 ネックレストパッド(クッション部材)
14 ブラダ
15 振動子
16 スピーカ
A 回転軸
P 着座乗員
図1
図2
図3