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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】汚泥の処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/121 20190101AFI20250311BHJP
   C02F 11/14 20190101ALI20250311BHJP
【FI】
C02F11/121 ZAB
C02F11/14
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021133351
(22)【出願日】2021-08-18
(65)【公開番号】P2023027960
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】坂本 大樹
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-010860(JP,A)
【文献】特開平05-111698(JP,A)
【文献】特開平03-275200(JP,A)
【文献】特開昭58-143897(JP,A)
【文献】特開2019-093354(JP,A)
【文献】特開2020-114569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の器具の水洗により生じた水が送られる排水貯槽と、前記排水貯槽に送られてきた水を処理する排水処理系統と、前記排水貯槽から前記排水処理系統を経由してきた水に含まれる汚泥を処理する第1の汚泥処理系統とを備え、
前記排水処理系統は、当該排水処理系統を構成する設備として、前記排水貯槽から送られてきた水に含まれる汚泥を沈殿させる沈殿槽を有し、
前記第1の汚泥処理系統は、当該第1の汚泥処理系統を構成する設備として、前記汚泥を所定の水分濃度まで脱水してケーキにする脱水機を有する排水処理施設で用いられる汚泥の処理方法であって、
前記排水貯槽から前記排水処理系統を経由する水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥を、前記排水貯槽から取り出す工程と、前記汚泥を、前記排水処理系統のうちの前記排水貯槽から前記沈殿槽までを経由せずに、前記汚泥に凝集剤を注入した状態で前記脱水機に送る工程とを有する第2の汚泥処理系統を形成したことを特徴とする汚泥の処理方法。
【請求項2】
前記排水処理施設は、前記第1の汚泥処理系統を構成する設備として、前記脱水機で脱水される前の状態の汚泥が送られる濃縮槽を更に有すると共に、
前記第2の汚泥処理系統として、前記排水貯槽から前記排水処理系統を経由する水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥を、前記排水貯槽から取り出して前記濃縮槽に直接に送る工程と、前記汚泥が前記濃縮槽から前記脱水機に送られる間に前記汚泥に前記凝集剤を注入する工程とを有することを特徴とする請求項1に記載の汚泥の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば火力発電所等の発電施設が有する排水処理施設内における所定の排水貯槽に沈殿堆積した汚泥の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
濃縮槽と脱水機とを備えた排水処理施設の一例が特許文献1に示されており、この排水処理施設は、排煙脱硫排水を処理して生じたスラリーを濃縮槽に送って濃縮槽内で沈殿濃縮した後、脱水機に送り、脱水処理して所定の水分濃度まで下げてケーキ化し、トラックにてケーキを産業廃棄物として外部に搬出している。
【0003】
一方で、例えば火力発電所等の発電施設が有する排水処理施設は、ボイラにおいて熱交換をする、空気予熱器(AH)と呼ばれる熱交換器が灰等で目詰まりするのを防止し、或いは熱交換器が灰等で目詰まりした状態を解消するために、前記空気予熱器(熱交換器)を水洗して生じた水等が送られる2つの並設された排水貯槽(例えば、一方がA排水貯槽、他方がB排水貯槽と称される。)が設置されている場合がある。
【0004】
これらの2つの並設された排水貯槽には、空気予熱器(熱交換器)の水洗を繰り返すことに伴って、当該空気予熱器(熱交換器)の水洗により生じた粒子の大きな汚泥が時間の経過とともに沈殿し堆積していくこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-127911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これまでは、このような排水貯槽に沈殿堆積されていく粒子の大きな汚泥の処理方法が確立していなかった。このため、2つの並設された排水貯槽について例えば2年間隔等の一定周期で交互に定期点検を行う必要があるところ、一方の排水貯槽の定期点検を行う場合には、一方の排水貯槽から他方の排水貯槽に沈殿堆積している汚泥を移送するという方法を採っていた。
【0007】
もっとも、一方の排水貯槽から他方の排水貯槽に沈殿堆積している汚泥を移送するのみでは、排水貯槽に沈殿堆積している粒子の大きな汚泥に対する最終的な解決方法にはならない。このため、排水貯槽が汚泥の沈殿堆積により機能を果たさなくなる前に、排水貯槽からの汚泥の除去並びにかかる汚泥の処理を図る必要があり、汚泥の処理費用が高額になることが考えられる。また、双方の排水貯槽に沈殿堆積する粒子が大きな汚泥の総量も時間の経過により暫時多くなるので、一方の排水貯槽から他方の排水貯槽に汚泥を移送する時間も長くなるという不都合が生ずる。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、粒子の大きな汚泥は重く自然に沈殿するので、このような汚泥に対し沈殿可能な状態にするための工程を必要としないことに着目した汚泥の処理方法を提供することを主たる課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明の汚泥の処理方法は、所定の器具の水洗により生じた水が送られる排水貯槽と、前記排水貯槽に送られてきた水を処理する排水処理系統と、前記排水貯槽から前記排水処理系統を経由してきた水に含まれる汚泥を処理する第1の汚泥処理系統とを備え、前記排水処理系統は、当該排水処理系統を構成する設備として、前記排水貯槽から送られてきた水に含まれる汚泥を沈殿させる沈殿槽を有し、前記第1の汚泥処理系統は、当該第1の汚泥処理系統を構成する設備として、前記汚泥を所定の水分濃度まで脱水してケーキにする脱水機を有する排水処理施設で用いられる汚泥の処理方法であって、前記排水貯槽から前記排水処理系統を経由する水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥を、前記排水貯槽から取り出す工程と、前記汚泥を、前記排水処理系統のうちの前記排水貯槽から前記沈殿槽までを経由せずに、前記汚泥に凝集剤を注入した状態で前記脱水機に送る工程とを有する第2の汚泥処理系統を形成したことを特徴としている。排水処理施設は、例えば火力発電所等の発電施設が有する排水処理施設である。所定の器具とは、例えばボイラにおいて熱交換をする空気予熱器と呼ばれる熱交換器である。排水貯槽とは、例えば、一方がA排水貯槽、他方がB排水貯槽と称される2つの並設された排水貯槽である。
【0010】
これにより、所定の器具の水洗により生じた、排水貯槽から排水処理系統に送られる水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥について、第2の汚泥処理系統を形成することで前記排水貯槽から取り出して処理することが可能になった。しかも、排水貯槽の点検タイミングで、点検対象の排水貯槽内に堆積した粒子の大きな汚泥を排出することができるので、汚泥の排出作業に要する費用の低減を図ることが可能である。更には、第2の汚泥処理系統の工程で第1の汚泥処理系統の設備である脱水機を用いることが可能であるので、新たな設備を必要としない。
【0011】
そして、本発明の汚泥の処理方法では、前記排水処理施設は、前記第1の汚泥処理系統を構成する設備として、前記脱水機で脱水される前の状態の汚泥が送られる濃縮槽を更に有すると共に、前記第2の汚泥処理系統として、前記排水貯槽から前記排水処理系統を経由する水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥を、前記排水貯槽から取り出して前記濃縮槽に直接に送る工程と、前記汚泥が前記濃縮槽から前記脱水機に送られる間に前記汚泥に前記凝集剤を注入する工程とを有することを特徴としている。
【0012】
これにより、排水貯槽から取り出した、当該排水貯槽から排水処理系統に送られる水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥を濃縮槽に沈殿させることが可能となり、濃縮槽に設けられたポンプや濃縮槽と脱水機とを接続する配管を利用して、前記汚泥を濃縮槽から脱水機に円滑に移送させることができる。しかも第2の汚泥処理系統の工程で第1の汚泥処理系統の設備である濃縮槽やその周辺設備を用いることが可能であるので、新たな設備を必要としない。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べたように、本発明の汚泥の処理方法によれば、所定の器具の水洗により生じた、排水貯槽から排水処理系統を経由する水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥について、第2の汚泥処理系統を形成することで前記排水貯槽から取り出して処理することが可能になった。しかも、排水貯槽の点検タイミングで、点検対象の排水貯槽内に堆積した粒子の大きな汚泥を排出することができる。これに伴い、排水貯槽に沈殿堆積していた汚泥の処理費用の低減化が図られる。
【0014】
特に請求項2に係る発明の汚泥の処理方法によれば、排水貯槽から取り出した、当該排水貯槽から排水処理系統に送られる水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥を濃縮槽に沈殿させることが可能となり、濃縮槽に設けられたポンプや濃縮槽と脱水機とを接続する配管を利用して、前記汚泥を濃縮槽から脱水機に円滑に移送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明が適用される排水処理施設の一例として、排水処理系統の一部、第1の汚泥処理系統及び第2の汚泥処理系統を示し、且つA、B排水貯槽から濃縮槽に粒子の大きな汚泥が排水系統を経ずに送られる態様を示した概略図である。
図2】第2の汚泥処理系統での粒子の大きな汚泥の移送の一例を示す概略図であり、(a)は排水貯槽から粒子の大きな汚泥を取り出す工程が示され、(b)は取り出した粒子の大きな汚泥を濃縮槽に直接に送る工程が示されている。
図3】本発明が適用される排水処理施設の他例として、排水処理系統の一部、第1の汚泥処理系統及び第2の汚泥処理系統を示し、且つA、B排水貯槽から脱水機に粒子の大きな汚泥が排水系統を経ずに送られる態様を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1において、例えば火力発電所等の発電施設が有する排水処理施設1の一例が示されている。図1では、排水処理施設1の設備の全部ではなく、本発明に関連した設備が部分的に示されている。
【0018】
排水処理施設1は、例えば排水ピット2から水等が送られるA排水貯槽3及びB排水貯槽4を有している。排水ピット2は、例えばボイラにおいて熱交換をする空気予熱器と呼ばれる熱交換器(図示せず)を水洗して生じた洗浄水等が送られるもので、更に、洗浄水は、この排水ピット2からA排水貯槽3及びB排水貯槽4のいずれか又は双方に送り込まれる。すなわち、熱交換器の洗浄水には、熱交換器内に目詰まり等して溜っていた灰や錆等が含まれるところ、図2(a)に示されるように、A排水貯槽3及びB排水貯槽4にて相対的に大きな粒子の汚泥Sとして沈殿堆積してきた。
【0019】
A排水貯槽3及びB排水貯槽4は、この実施例では、図2(a)でその一部が示されるように、上方が開放された排水貯槽であり、A排水貯槽3とB排水貯槽4とは、図示しないが例えば仕切り壁により2つに仕切られるかたちで並設されている。図1では、排水ピット2とA排水貯槽3、B排水貯槽4とを結ぶ配管に弁5、6、7が設けられているが、排水ピット2からA排水貯槽3とB排水貯槽4との一方或いは双方に水等を送ることがでれば、図1に示される弁の数や配置に限定されない。なお、図示しないが、A排水貯槽3及びB排水貯槽4とボイラ受水槽や排水槽ポンプ等とが適宜に配管接続されて、A排水貯槽3及びB排水貯槽4へ水等が送られてくると共にその配管の経路に弁が配置されている。
【0020】
A排水貯槽3、B排水貯槽4に送られてきた水について排水処理するための排水処理系統L1を構成する設備として、排水処理施設1は、この実施例では、PH調整槽10、凝集槽11、沈殿槽12、中間水槽13、及びろ過機14を有している。これらのPH調整槽10、凝集槽11、沈殿槽12、中間水槽13、及びろ過機14は、排水処理系統L1の一部である。
【0021】
相対的に粒子の小さな汚泥を含む水は、A排水貯槽3、B排水貯槽4からポンプ8、9によりPH調整槽10に送られ、PH調整槽10で薬剤投入により水のPH調整が行われた後、凝集槽11で薬剤の投入によりフロックが形成される。更に、凝集槽で処理がされた水は、沈殿槽12に送られて、相対的に粒子の小さな汚泥であっても、沈殿槽12の下部に沈殿堆積することとなる。沈殿槽12で汚泥と分離された上済みの水は、中間水槽13に送られた後、更に、ポンプ15によりろ過機14に送られ、ろ過機14で異物の除去がなされて、ポンプ16により排水処理系統L1を構成する図示しない設備へと送られる。この実施例では、配管のポンプ8とPH調整槽10との間の経路に弁17が配置され、配管のポンプ9とPH調整槽10との間の経路に弁18が配置されると共に、配管のポンプ16に対してろ過機14側となる経路に弁19が配置され、配管のポンプ16に対してろ過機14とは反対側となる経路に弁20が配置されている。
【0022】
沈殿槽12で水と分離された汚泥を処理するための通常の、第1の汚泥処理系統L2を構成する設備として、排水処理施設1は、この実施例では、濃縮槽21、凝集剤溶解液槽22及び脱水機23を有している。濃縮槽21は、沈殿槽12の下部からポンプ24により送られた汚泥を濃縮させるためのもので、図2(b)でその一部が示されるように、上方が開放された槽となっている。汚泥は、ポンプ24と濃縮槽21とを結ぶ配管内を通る際に、凝集剤溶解液槽22からポンプ25で送られてきた凝集剤が投入されて、濃縮槽21に送られる。そして、汚泥は、濃縮槽21の下部からポンプ26で脱水機23に送られて、脱水機23で所定の水分まで脱水されてケーキとなった後、ベルトコンベア27、28でケーキホッパ29、30まで送られ、産業廃棄物として排水処理施設1の外に運搬される。脱水機23は、遠心分離式のものと2つのベルトで挟んで水を抜くベルト式のものとがある。脱水機23は、遠心分離式では粒子の大きな汚泥での目詰まりが考えられるので、ベルト式の方がより好ましい。
【0023】
この実施例では、配管のポンプ24に対して沈殿槽12側となる経路に弁31が配置され、配管のポンプ24に対して濃縮槽21側となる経路に弁32が配置され、また、配管のポンプ25に対して凝集剤溶解液槽22側となる経路に弁33が配置され、配管のポンプ25に対して凝集剤溶解液槽22とは反対側となる経路に弁34が配置され、更に、配管のポンプ26に対して濃縮槽21側となる経路に弁35が配置され、配管のポンプ26に対して脱水機23側となる経路に弁36が配置されている。
【0024】
本発明では、排水処理施設1は、排水処理系統L1を経由しないで汚泥を処理する第2の汚泥処理系統L3を有している。第2の汚泥処理系統L3は、A排水貯槽3、B排水貯槽4から排水処理系統L1を経由する水に含まれる汚泥よりも粒子の大きな汚泥Sの処理に対応したものである。
【0025】
より具体的には、第2の汚泥処理系統L3は、A排水貯槽3、B排水貯槽4に沈殿堆積した汚泥Sを、当該A排水貯槽3、B排水貯槽4から取り出す工程と、取り出された汚泥Sを、排水処理系統L1のうちのA排水貯槽3、B排水貯槽4から沈殿槽12までを経由しないで、第1の汚水処理系統L2を構成する濃縮槽21に直接に送る工程とを有する汚泥処理の方法となっている。濃縮槽21に送られた汚泥Sは、第1の汚泥処理系統L2と同様に、濃縮槽21から脱水機23に延びる配管を通るときに、凝集剤溶解液槽22からポンプ25で送られてきた凝集剤が投入される工程も有することから、脱水機23に送られてケーキ化され、その後の産業廃棄物としての処理が可能となる。
【0026】
汚泥Sは排水処理系統L1を経由する汚泥よりも粒子が大きく重いため自然に沈殿するので、沈殿可能な状態にするための工程を必要としないことから、汚泥Sについて沈殿槽12を経由しないでも、濃縮槽21以後の汚泥処理を行うことが可能である。
【0027】
そして、図1に一例として示される排水処理施設1は、汚泥SをA排水貯槽3、B排水貯槽4から取り出す工程として、例えば図2(a)に示されるように、プロベスターと呼ばれる吸入/吐出装置101を有する車両100が用いられる。車両100は、吸入/吐出装置101から延びるホース102の先端部103をA排水貯槽3、B排水貯槽4の汚泥Sまで到達した状態で、吸入/吐出装置101を稼働させて、汚泥Sを吸入/吐出装置101に取り込む。これにより、汚泥SがA排水貯槽3、B排水貯槽4から取り出される。汚泥Sを吸入/吐出装置101に取り込んだ車両100は、図1の太い破線に示されるように、A排水貯槽3、B排水貯槽4から濃縮槽21まで移動した後、例えば図2(b)に示されるように、吸入/吐出装置101から延びるホース102の先端部103を濃縮槽21内に入れて、汚泥Sを濃縮槽21に上方から送り出す。汚泥Sは上述したように粒子が大きく重いので、そのまま濃縮槽21の下方に沈殿していく。このような第2の排水処理系統L3としたことにより、第1の排水処理施設の濃縮槽21や脱水機23を用い、更に凝集剤溶解液槽22から凝集剤を注入する経路も既存のものを用いることが可能である。しかも、しかも、A排水貯槽3、B排水貯槽4の定期点検等の点検タイミングで、点検対象の排水貯槽3、4内に堆積した粒子の大きな汚泥を排出することができる。よって、第2の排水処理系統L3を採用することに伴う費用を抑制することが可能である。
【0028】
図3において、図1に示された第2の排水系統L3とは異なる態様の第2の排水系統L3を用いた態様が示されている。図3に示される第2の排水系統L3は、例えば排水処理施設1自体を新設する場合に好適なものであり、また、汚泥Sの直接の送り先を、濃縮槽21を経由しないかたちで脱水機23にしたものとなっている。
【0029】
図3の第2の排水処理系統L3では、A排水貯槽3、B排水貯槽4に沈殿堆積した汚泥Sを、A排水貯槽3、B排水貯槽4から取り出す工程として、ポンプ41、42でA排水貯槽3、B排水貯槽4から吸い上げる工程が用いられている。ポンプ41、42は、例えば排水貯槽3、4内に設置された水中ポンプであっても、排水貯槽3、4の周囲を囲むようにレールを敷設して、このレール上を移動可能なポンプ車であっても良い。
【0030】
ポンプ41、42は、この実施例では、配管により脱水機23と接続されているので、ポンプ41、42でA排水貯槽3、B排水貯槽4から取り出された汚泥Sが、配管を通って脱水機23まで送られるという工程が行われる。そして、ポンプ41、42と脱水機23との間で凝集剤溶解液槽22からポンプ43により送られてきた凝集剤が汚泥Sに注入される。これにより、図3の排水処理系統L3でも、汚泥Sは凝集剤が注入された状態で脱水機23に送られるので、脱水機23で適宜にケーキ化され、産業廃棄物として外部に搬出される。
【0031】
この実施例では、配管のポンプ41と脱水機23との間の経路に弁44が配置され、配管のポンプ42と脱水機23との間の経路に弁45が配置されると共に、配管のポンプ43に対して凝集剤溶解液槽22側となる経路に弁46が配置され、配管のポンプ43に対して凝集剤溶解液槽22とは反対側となる経路に弁47が配置されている。
【0032】
なお、図1に示される排水処理施設1においても、図示しないが、ポンプ41、42を設け、且つ、A排水貯槽3、B排水貯槽4から取り出された汚泥Sを濃縮槽21まで送るための配管を設け、配管の開口部から濃縮槽21内に汚泥が送り込まれるようにしても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 排水処理施設
3 A排水貯槽
4 B排水貯槽
12 沈殿槽
21 濃縮槽
23 脱水機
L1 排水処理系統
L2 第1の汚泥処理系統
L3 第2の汚泥処理系統
S 汚泥
図1
図2
図3