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特許7647511ステータ、回転機、及びステータの製造方法
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  • 特許-ステータ、回転機、及びステータの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】ステータ、回転機、及びステータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20250311BHJP
   H02K 3/04 20060101ALI20250311BHJP
   H02K 15/35 20250101ALI20250311BHJP
【FI】
H02K3/28 N
H02K3/04 E
H02K15/35
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021191566
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2022180279
(43)【公開日】2022-12-06
【審査請求日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2021087204
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】上野 駿
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157709(JP,A)
【文献】特開2011-182524(JP,A)
【文献】特開2020-048295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0235623(US,A1)
【文献】特開2011-109895(JP,A)
【文献】特開2013-219890(JP,A)
【文献】特開2019-201485(JP,A)
【文献】特開2017-034847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/28
H02K 3/04
H02K 15/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機のステータであって、
前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、
複数のスロットを有するステータコアと、前記複数のスロットに収容される平角線である複数のセグメントコイルと、を備え、
前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、
前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、
前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、
前記複数のセグメントコイルは、第一のコイル群として、
前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始められ、
前記第一のスロットの1層目と、前記第一のスロットから周方向一方側に所定のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの1層目にプラス方向で隣接する層とが繋がれ、同じ繋ぎ方でN層目まで繋がれ、該N層目のスロットは、第三のスロットであり、
N層目同士の渡りとして、前記第三のスロットのN層目と、前記第三のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットのN層目とが繋がれ、
前記第四のスロットのN層目と、前記第四のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層とが繋がれ、同じ繋ぎ方で1層目まで繋がれ、該1層目のスロットは、第六のスロットであり、
1層目同士の渡りとして、前記第六のスロットの1層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットの1層目とが繋がれ、
前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第七のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第八のスロットの1層目まで繋ぐように波巻で巻かれた、
ステータ。
【請求項2】
前記N層目同士の渡りは、軸方向の反ロータ挿入側に配置され、
前記1層目同士の渡りは、軸方向のロータ挿入側に配置された、
請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記複数のセグメントコイルは、第二のコイル群として、前記第一のスロットの1層目にプラス方向で隣接する第九のスロットから巻き始められ、前記第一のコイル群と同じ波巻で巻かれた、
請求項1又は2に記載のステータ。
【請求項4】
前記複数のセグメントコイルは、前記第一のコイル群の巻き始めと前記第二のコイル群の巻き終わりとが接続され、前記第一のコイル群と前記第二のコイル群とが直列接続された、
請求項3に記載のステータ。
【請求項5】
前記複数のセグメントコイルは、前記第一のコイル群の巻き始めと前記第二のコイル群の巻き始めとが接続され、前記第一のコイル群の巻き終わりと前記第二のコイル群の巻き終わりとが接続され、前記第一のコイル群と前記第二のコイル群とが並列接続された、
請求項3に記載のステータ。
【請求項6】
前記第一のコイル群は、複数のコイル群に分割され、
前記第二のコイル群は、複数のコイル群に分割され、
前記複数のセグメントコイルは、
前記分割された前記第一のコイル群の巻き始め同士が接続され、
前記分割された前記第一のコイル群の巻き終わり同士が接続され、
前記分割された前記第二のコイル群の巻き始め同士が接続され、
前記分割された前記第二のコイル群の巻き終わり同士が接続され、
前記分割された前記第一のコイル群の巻き始めと前記分割された前記第二のコイル群の巻き始めとが接続され、
前記分割された前記第一のコイル群の巻き終わりと前記分割された前記第二のコイル群の巻き終わりとが接続され、
前記分割された前記第一のコイル群と前記分割された前記第二のコイル群とが多並列接続された、
請求項3に記載のステータ。
【請求項7】
回転機のステータであって、
前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、
複数のスロットを有するステータコアと、前記複数のスロットに収容される平角線である複数のセグメントコイルと、を備え、
前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、
前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、
前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、
前記複数のセグメントコイルは、第一のコイル群として、
前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始められ、
前記第一のスロットの1層目である第一の層と、前記第一のスロットから周方向一方側に第一のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの前記第一の層にプラス方向で隣接する層である第二の層とが繋がれる第一の手順がされ、
前記第二のスロットの前記第二の層と、前記第二のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第三のスロットの前記第二の層にプラス方向で隣接する層である第三の層とが繋がれる第二の手順がされ、
前記第三のスロットの前記第三の層と、前記第三のスロットから周方向一方側に第三のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットの前記第三の層にプラス方向で隣接する層である第四の層とが繋がれる第三の手順がされ、
前記第四のスロットの前記第四の層と、前記第四のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットの前記第四の層にプラス方向で隣接する層である第五の層とが繋がれる第四の手順がされ、
前記第一の手順、前記第二の手順、前記第三の手順及び前記第四の手順を同じ繋ぎ方でN層目まで繋がれ、該N層目のスロットは、第六のスロットであり、
N層目同士の渡りとして、前記第六のスロットのN層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットのN層目とが繋がれ、
前記第七のスロットのN層目と、前記第七のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第八のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層である第六の層とが繋がれる第五の手順がされ、
前記第八のスロットの前記第六の層と、前記第八のスロットから周方向他方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第九のスロットの前記第六の層にマイナス方向で隣接する層である第七の層とが繋がれる第六の手順がされ、
前記第九のスロットの前記第七の層と、前記第九のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十のスロットの前記第七の層にマイナス方向で隣接する層である第八の層とが繋がれる第七の手順がされ、
前記第十のスロットの前記第八の層と、前記第十のスロットから周方向他方側に前記第一のスロットピッチ数だけ離れた第十一のスロットの前記第八の層にマイナス方向で隣接する層である第九の層とが繋がれる第八の手順がされ、
前記第五の手順、前記第六の手順、前記第七の手順及び前記第八の手順を同じ繋ぎ方で1層目まで繋がれ、該1層目のスロットは、第十二のスロットであり、
1層目同士の渡りとして、前記第十二のスロットの1層目と、前記第十二のスロットから周方向一方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十三のスロットの1層目とが繋がれ、
前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第十三のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第十四のスロットの1層目まで繋ぐように波巻で巻かれた、
ステータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の前記ステータと、ロータと、を有する回転機。
【請求項9】
回転機のステータの製造方法であって、
前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、
ステータコアが有する複数のスロットに、平角線である複数のセグメントコイルを収容し、
前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、
前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、
前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、
前記複数のセグメントコイルを、第一のコイル群として、
前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始め、
前記第一のスロットの1層目と、前記第一のスロットから周方向一方側に所定のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの1層目にプラス方向で隣接する層とを繋ぎ、同じ繋ぎ方でN層目まで繋ぎ、該N層目のスロットは、第三のスロットであり、
N層目同士の渡りとして、前記第三のスロットのN層目と、前記第三のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットのN層目とを繋ぎ、
前記第四のスロットのN層目と、前記第四のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層とを繋ぎ、同じ繋ぎ方で1層目まで繋ぎ、該1層目のスロットは、第六のスロットであり、
1層目同士の渡りとして、前記第六のスロットの1層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットの1層目とを繋ぎ、
前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第七のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第八のスロットまで繋ぐように波巻で巻く、
ステータの製造方法。
【請求項10】
回転機のステータの製造方法であって、
前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、
ステータコアが有する複数のスロットに、平角線である複数のセグメントコイルを収容し、
前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、
前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、
前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、
前記複数のセグメントコイルを、第一のコイル群として、
前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始め、
前記第一のスロットの1層目である第一の層と、前記第一のスロットから周方向一方側に第一のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの前記第一の層にプラス方向で隣接する層である第二の層とを繋ぐ第一の手順を有し、
前記第二のスロットの前記第二の層と、前記第二のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第三のスロットの前記第二の層にプラス方向で隣接する層である第三の層とを繋ぐ第二の手順を有し、
前記第三のスロットの前記第三の層と、前記第三のスロットから周方向一方側に第三のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットの前記第三の層にプラス方向で隣接する層である第四の層とを繋ぐ第三の手順を有し、
前記第四のスロットの前記第四の層と、前記第四のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットの前記第四の層にプラス方向で隣接する層である第五の層とを繋ぐ第四の手順を有し、
前記第一の手順、前記第二の手順、前記第三の手順及び前記第四の手順を同じ繋ぎ方でN層目まで繋ぎ、該N層目のスロットは、第六のスロットであり、
N層目同士の渡りとして、前記第六のスロットのN層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットのN層目とを繋ぎ、
前記第七のスロットのN層目と、前記第七のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第八のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層である第六の層とを繋ぐ第五の手順を有し、
前記第八のスロットの前記第六の層と、前記第八のスロットから周方向他方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第九のスロットの前記第六の層にマイナス方向で隣接する層である第七の層とを繋ぐ第六の手順を有し、
前記第九のスロットの前記第七の層と、前記第九のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十のスロットの前記第七の層にマイナス方向で隣接する層である第八の層とを繋ぐ第七の手順を有し、
前記第十のスロットの前記第八の層と、前記第十のスロットから周方向他方側に前記第一のスロットピッチ数だけ離れた第十一のスロットの前記第八の層にマイナス方向で隣接する層である第九の層とを繋ぐ第八の手順を有し、
前記第五の手順、前記第六の手順、前記第七の手順及び前記第八の手順を同じ繋ぎ方で1層目まで繋ぎ、該1層目のスロットは、第十二のスロットであり、
1層目同士の渡りとして、前記第十二のスロットの1層目と、前記第十二のスロットから周方向一方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十三のスロットの1層目とを繋ぎ、
前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第十三のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第十四のスロットの1層目まで繋ぐように波巻で巻く、
ステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、回転機、及びステータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機においては、例えば電動車両用のモータのように高トルク密度化、及び高出力密度化が求められている。最近では、ステータの巻き線として平角線を用いることで占積率を向上することが行われている。
【0003】
また従来、平角線を用いた波巻コイルをスタータコアのスロットへ容易に装着できるようにするために、各層において隣り合うコイルのストレート部をスロット内の径方向の同一位置に配置する構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-115180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のような、セグメントコイルのペア同士を交互に接続するヘアピン方式では、偶数ターン数しか選択できないという問題があった。これは、軸方向他方側でセグメントコイルの脚を1層目と2層目、3層目と4層目と、順に接続していくため、ターン数が奇数の場合には脚が余り、ペアを作れないためである。偶数ターン数しか選択できない場合、偶数ターン数の電気特性しか実現できず、電気特性の自由度が低いという問題があった。
【0006】
本発明は、ヘアピン方式のステータにおいて、ターン数を奇数にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るステータは、回転機のステータであって、前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、複数のスロットを有するステータコアと、前記複数のスロットに収容される平角線である複数のセグメントコイルと、を備え、前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、前記複数のセグメントコイルは、第一のコイル群として、前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始められ、前記第一のスロットの1層目と、前記第一のスロットから周方向一方側に所定のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの1層目にプラス方向で隣接する層とが繋がれ、同じ繋ぎ方でN層目まで繋がれ、該N層目のスロットは、第三のスロットであり、N層目同士の渡りとして、前記第三のスロットのN層目と、前記第三のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットのN層目とが繋がれ、前記第四のスロットのN層目と、前記第四のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層とが繋がれ、同じ繋ぎ方で1層目まで繋がれ、該1層目のスロットは、第六のスロットであり、1層目同士の渡りとして、前記第六のスロットの1層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットの1層目とが繋がれ、前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第七のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第八のスロットの1層目まで繋ぐように波巻で巻かれた。
【0008】
上記の一態様のステータにおいて、前記N層目同士の渡りは、軸方向の反ロータ挿入側に配置され、前記1層目同士の渡りは、軸方向のロータ挿入側に配置されてもよい。
【0009】
本発明の一態様に係るステータは、前記複数のセグメントコイルは、第二のコイル群として、前記第一のスロットの1層目にプラス方向で隣接する第九のスロットから巻き始められ、前記第一のコイル群と同じ波巻で巻かれてもよい。
【0010】
本発明の一態様に係るステータは、前記複数のセグメントコイルは、前記第一のコイル群の巻き始めと前記第二のコイル群の巻き終わりとが接続され、前記第一のコイル群と前記第二のコイル群とが直列接続されてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るステータは、前記複数のセグメントコイルは、前記第一のコイル群の巻き始めと前記第二のコイル群の巻き始めとが接続され、前記第一のコイル群の巻き終わりと前記第二のコイル群の巻き終わりとが接続され、前記第一のコイル群と前記第二のコイル群とが並列接続されてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係るステータは、前記第一のコイル群は、複数のコイル群に分割され、前記第二のコイル群は、複数のコイル群に分割され、前記複数のセグメントコイルは、前記分割された前記第一のコイル群の巻き始め同士が接続され、前記分割された前記第一のコイル群の巻き終わり同士が接続され、前記分割された前記第二のコイル群の巻き始め同士が接続され、前記分割された前記第二のコイル群の巻き終わり同士が接続され、前記分割された前記第一のコイル群の巻き始めと前記分割された前記第二のコイル群の巻き始めとが接続され、前記分割された前記第一のコイル群の巻き終わりと前記分割された前記第二のコイル群の巻き終わりとが接続され、前記分割された前記第一のコイル群と前記分割された前記第二のコイル群とが多並列接続されてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係るステータは、回転機のステータであって、前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、複数のスロットを有するステータコアと、前記複数のスロットに収容される平角線である複数のセグメントコイルと、を備え、前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、前記複数のセグメントコイルは、第一のコイル群として、前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始められ、前記第一のスロットの1層目である第一の層と、前記第一のスロットから周方向一方側に第一のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの前記第一の層にプラス方向で隣接する層である第二の層とが繋がれる第一の手順がされ、前記第二のスロットの前記第二の層と、前記第二のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第三のスロットの前記第二の層にプラス方向で隣接する層である第三の層とが繋がれる第二の手順がされ、前記第三のスロットの前記第三の層と、前記第三のスロットから周方向一方側に第三のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットの前記第三の層にプラス方向で隣接する層である第四の層とが繋がれる第三の手順がされ、前記第四のスロットの前記第四の層と、前記第四のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットの前記第四の層にプラス方向で隣接する層である第五の層とが繋がれる第四の手順がされ、前記第一の手順、前記第二の手順、前記第三の手順及び前記第四の手順を同じ繋ぎ方でN層目まで繋がれ、該N層目のスロットは、第六のスロットであり、N層目同士の渡りとして、前記第六のスロットのN層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットのN層目とが繋がれ、前記第七のスロットのN層目と、前記第七のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第八のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層である第六の層とが繋がれる第五の手順がされ、前記第八のスロットの前記第六の層と、前記第八のスロットから周方向他方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第九のスロットの前記第六の層にマイナス方向で隣接する層である第七の層とが繋がれる第六の手順がされ、前記第九のスロットの前記第七の層と、前記第九のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十のスロットの前記第七の層にマイナス方向で隣接する層である第八の層とが繋がれる第七の手順がされ、前記第十のスロットの前記第八の層と、前記第十のスロットから周方向他方側に前記第一のスロットピッチ数だけ離れた第十一のスロットの前記第八の層にマイナス方向で隣接する層である第九の層とが繋がれる第八の手順がされ、前記第五の手順、前記第六の手順、前記第七の手順及び前記第八の手順を同じ繋ぎ方で1層目まで繋がれ、該1層目のスロットは、第十二のスロットであり、1層目同士の渡りとして、前記第十二のスロットの1層目と、前記第十二のスロットから周方向一方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十三のスロットの1層目とが繋がれ、前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第十三のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第十四のスロットの1層目まで繋ぐように波巻で巻かれた。
【0014】
本発明の一態様に係る回転機は、上記の一態様のステータと、ロータと、を有する。
【0015】
本発明の一態様に係るステータの製造方法は、回転機のステータの製造方法であって、前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、ステータコアが有する複数のスロットに、平角線である複数のセグメントコイルを収容し、前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、前記複数のセグメントコイルを、第一のコイル群として、前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始め、前記第一のスロットの1層目と、前記第一のスロットから周方向一方側に所定のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの1層目にプラス方向で隣接する層とを繋ぎ、同じ繋ぎ方でN層目まで繋ぎ、該N層目のスロットは、第三のスロットであり、N層目同士の渡りとして、前記第三のスロットのN層目と、前記第三のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットのN層目とを繋ぎ、前記第四のスロットのN層目と、前記第四のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層とを繋ぎ、同じ繋ぎ方で1層目まで繋ぎ、該1層目のスロットは、第六のスロットであり、1層目同士の渡りとして、前記第六のスロットの1層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットの1層目とを繋ぎ、前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第七のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記所定のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第八のスロットまで繋ぐように波巻で巻く。
【0016】
本発明の一態様に係るステータの製造方法は、回転機のステータの製造方法であって、前記回転機の毎極毎相スロット数q=2であり、ステータコアが有する複数のスロットに、平角線である複数のセグメントコイルを収容し、前記複数のスロットの層数はNであり(Nは奇数)、前記複数のスロットのうちの最外径層は1層目であり、前記複数のスロットのうちの最内径層はN層目であり、前記複数のセグメントコイルを、第一のコイル群として、前記複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始め、前記第一のスロットの1層目である第一の層と、前記第一のスロットから周方向一方側に第一のスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの前記第一の層にプラス方向で隣接する層である第二の層とを繋ぐ第一の手順を有し、前記第二のスロットの前記第二の層と、前記第二のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第三のスロットの前記第二の層にプラス方向で隣接する層である第三の層とを繋ぐ第二の手順を有し、前記第三のスロットの前記第三の層と、前記第三のスロットから周方向一方側に第三のスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットの前記第三の層にプラス方向で隣接する層である第四の層とを繋ぐ第三の手順を有し、前記第四のスロットの前記第四の層と、前記第四のスロットから周方向一方側に第二のスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットの前記第四の層にプラス方向で隣接する層である第五の層とを繋ぐ第四の手順を有し、前記第一の手順、前記第二の手順、前記第三の手順及び前記第四の手順を同じ繋ぎ方でN層目まで繋ぎ、該N層目のスロットは、第六のスロットであり、N層目同士の渡りとして、前記第六のスロットのN層目と、前記第六のスロットから周方向一方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットのN層目とを繋ぎ、前記第七のスロットのN層目と、前記第七のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第八のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層である第六の層とを繋ぐ第五の手順を有し、前記第八のスロットの前記第六の層と、前記第八のスロットから周方向他方側に前記第三のスロットピッチ数だけ離れた第九のスロットの前記第六の層にマイナス方向で隣接する層である第七の層とを繋ぐ第六の手順を有し、前記第九のスロットの前記第七の層と、前記第九のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十のスロットの前記第七の層にマイナス方向で隣接する層である第八の層とを繋ぐ第七の手順を有し、前記第十のスロットの前記第八の層と、前記第十のスロットから周方向他方側に前記第一のスロットピッチ数だけ離れた第十一のスロットの前記第八の層にマイナス方向で隣接する層である第九の層とを繋ぐ第八の手順を有し、前記第五の手順、前記第六の手順、前記第七の手順及び前記第八の手順を同じ繋ぎ方で1層目まで繋ぎ、該1層目のスロットは、第十二のスロットであり、1層目同士の渡りとして、前記第十二のスロットの1層目と、前記第十二のスロットから周方向一方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた第十三のスロットの1層目とを繋ぎ、前記第一のスロットの1層目からの巻き回しを、前記第十三のスロットの1層目から繰り返し、前記第一のスロットから周方向他方側に前記第二のスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第十四のスロットの1層目まで繋ぐように波巻で巻く。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、ヘアピン方式のステータにおいて、ターン数を奇数にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るモータの一部を破断して示す概略斜視図である。
図2】ステータコア及びセグメントコイルを示す概略斜視図である。
図3】本発明の実施例1に係るステータにおけるセグメントコイルの配置について示す図であって、U1相の一例を示す図である。
図4】本発明の実施例1に係るステータにおけるセグメントコイルの接続について示す図であって、U2相の一例を示す図である。
図5】本発明の実施例4に係るステータにおけるセグメントコイルの配置について示す図であって、U1相の一例を示す図である。
図6】本発明の実施例4に係るステータにおけるセグメントコイルの接続について示す図であって、U2相の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るモータの一部を破断して示す概略斜視図である。モータ100は、回転機の一例である。モータ100は、例えば、EV(Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、又はPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の電動車両の駆動モータである。
【0021】
モータ100は、毎極毎相スロット数q=2のモータである。モータ100は、ハウジング101と、ロータ102と、ステータ103と、を備える。ハウジング101は、ロータ102及びステータ103を収容する。ロータ102は、ステータ103との間に空隙を設けて配置される。ロータ102は、シャフト104を有する。シャフト104の延びる方向を軸方向と呼ぶ。シャフト104の軸方向一方側は軸受105によって軸支され、シャフト104の軸方向他方側は軸受106によって軸支される。シャフト104の中心軸は、ロータ102の回転軸である。シャフト104の中心軸の軸回りを周方向と呼ぶ。シャフト104を図1の左側から軸方向に見たときに時計回り側を周方向一方側と呼び、反時計回り側を周方向他方側と呼ぶ。
【0022】
ステータ103は、ステータコア107及び巻線108を有する。ステータコア107及び巻線108について図2を参照してさらに説明する。巻線108は、分布巻きである。ステータコア107は、複数のスロットを有する。
【0023】
図2は、ステータコア及びセグメントコイルを示す概略斜視図である。図2では、スロット数を36としているが、これは一例であって、毎極毎相スロット数q=2を満たしていれば、スロット数は他の数であってもよい。ステータコア107の複数のスロットのそれぞれには、セグメントコイル110が挿入される。ステータ103は、複数のセグメントコイル110を有する。複数のセグメントコイル110のそれぞれは、頭部111と、頭部111の一方側に延びる第一の脚部112と、頭部111の他方側に延びる第二の脚部113とを有する。第一の脚部112及び第二の脚部113のいずれかを指す場合に、単に脚部と呼ぶ場合がある。複数のセグメントコイル110のそれぞれは、ヘアピン形状である。巻線108は、ヘアピン方式の巻線方式で製造される。巻線108は、複数のセグメントコイル110をステータコア107の複数のスロットに挿入し、第一の脚部112及び第二の脚部113を、スター結線又はデルタ結線になるように接続して成る。第一の脚部112及び第二の脚部113の結線は、溶接で行ってもよいが、コイルエンドのサイズ縮小のために、バスバーで接続するようにしてもよい。
【0024】
複数のスロットの層数すなわちターン数は、Nである(Nは奇数)。従って、本実施の形態のステータ103は、ターン数が奇数である。後述する図3及び図4の実施例では、ターン数は7である。複数のスロットのうちの最外径層は1層目である。図3及び図4の実施例では、最外径層に層番号1を付してある。複数のスロットのうちの最内径層はN層目である。図3及び図4の実施例では、最内径層に層番号7を付してある。
【0025】
複数のセグメントコイルは、第一のコイル群として、複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始められる。図3の実施例では、スロット番号1の層番号1から巻き始められる。
【0026】
複数のセグメントコイルは、第一のスロットの1層目と、第一のスロットから周方向一方側にスロットピッチ数だけ離れた第二のスロットの1層目にプラス方向で隣接する層とが繋がれ、同じ繋ぎ方でN層目まで繋がれる。このN層目のスロットは、第三のスロットである。図3の実施例では、ステータの巻線は、U1相、U2相、V1相、V2相、W1相、及びW2相の各相の巻線から成り、スロットピッチ数は6である。図3の実施例では、周方向一方側は、図3における右側(スロット番号が増加する側)である。図3の実施例では、プラス方向で隣接するとは、図3における下側(層番号が増加する側)である。図3の実施例では、スロット番号1の層番号1とスロット番号7の層番号2とが繋がれ、同じ繋ぎ方で7層目まで、すなわちスロット番号37の層番号7まで繋がれる。
【0027】
複数のセグメントコイルは、N層目同士の渡りとして、第三のスロットのN層目と、第三のスロットから周方向一方側にスロットピッチ数だけ離れた第四のスロットのN層目とが繋がれる。図3の実施例では、スロット番号37の層番号7とスロット番号43の層番号7とが繋がれる。
【0028】
複数のセグメントコイルは、第四のスロットのN層目と、第四のスロットから周方向他方側にスロットピッチ数だけ離れた第五のスロットのN層目にマイナス方向で隣接する層とが繋がれ、同じ繋ぎ方で1層目まで繋がれる。この1層目のスロットは、第六のスロットである。図3の実施例では、周方向他側は、図3における左側(スロット番号が減少する側)である。図3の実施例では、マイナス方向で隣接するとは、図3における上側(層番号が減少する側)である。図3の実施例では、スロット番号43の層番号7とスロット番号37の層番号6とが繋がれ、同じ繋ぎ方で1層目まで、すなわちスロット番号7の層番号1まで繋がれる。
【0029】
複数のセグメントコイルは、1層目同士の渡りとして、第六のスロットの1層目と、第三のスロットから周方向一方側にスロットピッチ数だけ離れた第七のスロットの1層目とが繋がれる。図3の実施例では、スロット番号7の層番号1とスロット番号13の層番号1とが繋がれる。
【0030】
複数のセグメントコイルは、第一のスロットの1層目からの巻き回しを、第七のスロットの1層目から繰り返し、第一のスロットから周方向他方側にスロットピッチ数だけ離れた巻き終わりである第八のスロットまで繋ぐように波巻で巻かれる。図3の実施例では、スロット番号1の層番号1からの巻き回しを、スロット番号13の層番号1から繰り返し、巻き終わりであるスロット番号43の層番号1まで繋ぐように波巻で巻かれる。
【0031】
複数のセグメントコイルは、第二のコイル群として、複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始められる。図4の実施例では、スロット番号2の層番号1から巻き始められる。
【実施例1】
【0032】
図3は、本発明の実施例1に係るステータにおけるセグメントコイルの配置について示す図であって、U1相の一例を示す図である。図4は、本発明の実施例1に係るステータにおけるセグメントコイルの配置について示す図であって、U2相の一例を示す図である。
【0033】
実施例1では、ステータのスロット数が48である場合を示している。実施例1のステータが適用されるモータは、毎極毎相スロット数q=2である。実施例1のステータが適用されるモータは、三相交流で駆動するモータである。実施例1のステータの巻線は、U1相、U2相、V1相、V2相、W1相、及びW2相の各相の巻線から成る。図3及び図4では、U1相及びU2相についてのみ示している。他の相のセグメントコイルの配置及び接続についても、U1相及びU2相と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
図3及び図4において、各スロットの各層には、図2に示したセグメントコイル110の第一の脚部112及び第二の脚部113が挿入される。図3及び図4における破線は、セグメントコイル110の頭部111による接続を示す。図3及び図4における実線は、所定のセグメントコイル110の第一の脚部112又は第二の脚部113と、別のセグメントコイル110の第一の脚部112又は第二の脚部113との溶接による接続を示す。
【0035】
図3及び図4では、周方向に配置された複数のスロットのそれぞれに1から48のスロット番号を付している。複数のスロットのそれぞれは、7層であり、径方向外側から径方向内側に向かって順に1から7のスロット層番号を付している。
【0036】
図3は、U1相のセグメントコイル110の第一の脚部112が挿入される位置を白丸で示し、第二の脚部113が挿入される位置を黒丸で示している。セグメントコイル110の波巻の巻き始めであるスロット番号1の層番号1は端子Aに接続される。セグメントコイル110の波巻の巻き終わりであるスロット番号43の層番号1は端子Bに接続される。巻き始めと巻き終わりは、必ず最外径層となるため、中性点やUVW端子への接続が容易となる。
【0037】
なお、層番号1や層番号7のスロット端で同じ層同士を接続する場合、コイル同士の干渉を避けるために内径側(又は外径側)に膨らませるようにコイルを成形する必要がある。軸方向のロータ挿入側で内径側に膨らむと、ロータとコイルが干渉しロータ挿入ができない。そこで、本実施例では、最終層同士の接続をセグメントコイルの頭部側(反ロータ挿入側)で行うため、コイルが内径側に膨らんでもロータ挿入に影響しない。本実施例では、7層目同士の渡りは、軸方向の反ロータ挿入側に配置され、1層目同士の渡りは、軸方向のロータ挿入側に配置される。
【0038】
図4は、U2相のセグメントコイル110の第一の脚部112が挿入される位置を白丸で示し、第二の脚部113が挿入される位置を黒丸で示している。セグメントコイル110の波巻の巻き始めであるスロット番号2の層番号1は端子Cに接続される。セグメントコイル110の波巻の巻き終わりであるスロット番号44の層番号1は端子Dに接続される。巻き始めと巻き終わりは、必ず最外径層となるため、中性点やUVW端子への接続が容易となる。
【0039】
本実施例では、U1相とU2相とを直列に接続する。すなわち、図3のセグメントコイル110の巻き始めである端子Aと、図4のセグメントコイル110の巻き終わりである端子Dとを接続する。この接続は、例えば、スロットピッチ数-1である7-1=6の長さを有する溶接部によって接続する。例えば、図3の端子BをU相端子に接続し、図4の端子Cを中性点に接続する。
【0040】
本実施例によれば、ターン数を奇数にすることである。また本実施例によれば、コイルの接続は隣接の層または同層同士で行うため、コイルの形状が単純化され、コイルエンドを小型化することができる。
【実施例2】
【0041】
実施例2では、U1相とU2相とを並列に接続する。すなわち、図3のセグメントコイル110の巻き始めである端子Aと、図4のセグメントコイル110の巻き始めである端子Cとを接続する。また、図3のセグメントコイル110の巻き終わりである端子Bと、図4のセグメントコイル110の巻き終わりである端子Dとを接続する。例えば、図3の端子A及び図4の端子CをU相端子に接続し、図3の端子B及び図4の端子Dを中性点に接続する。
【実施例3】
【0042】
実施例3では、U1相及びU2相のほかに、例えばU3相及びU4相といった新たなU相を備え、この新たなU相をU1相及びU2相と並列に接続することにより、多並列接続を実現する。この多並列接続は、例えば、図3に示した第一のコイル群及び図4に示した第二のコイル群を分割することで実現してもよい。
【0043】
図3の第一のコイル群は、スロット番号1が巻き始めであってスロット番号43が巻き終わりである。これに対して本実施例では、この第一のコイル群を分割する。例えば、第一のコイル群を、スロット番号1が巻き始めであってスロット番号19が巻き終わりである第三のコイル群(例えばU1相)と、スロット番号25が巻き始めであってスロット番号43が巻き終わりである第四のコイル群(例えばU2相)と、に分割する。
【0044】
図4の第二のコイル群は、スロット番号2が巻き始めであってスロット番号44が巻き終わりである。これに対して本実施例では、この第二のコイル群を分割する。例えば、第二のコイル群を、スロット番号2が巻き始めであってスロット番号20が巻き終わりである第五のコイル群(例えばU3相)と、スロット番号26が巻き始めであってスロット番号44が巻き終わりである第六のコイル群(例えばU4相)と、に分割する。
【0045】
また、スロット番号1とスロット番号2とスロット番号25とスロット番号26とを接続(例えばU相端子)し、スロット番号19とスロット番号20とスロット番号43とスロット番号44とを接続(例えば中性点)することで、第三のコイル群と第四のコイル群と第五のコイル群と第六のコイル群とを並列に接続し、4並列接続を実現することが出来る。
【0046】
なお、上述の例では、第一のコイル群及び第二のコイル群をそれぞれ2分割したが、ほかの分割数であってもよく、例えば4分割としてもよい。
【実施例4】
【0047】
次に、図5及び図6を参照して実施例4について説明する。
【0048】
図5は、本発明の実施例4に係るステータにおけるセグメントコイルの配置について示す図であって、U1相の一例を示す図である。図6は、本発明の実施例4に係るステータにおけるセグメントコイルの配置について示す図であって、U2相の一例を示す図である。本実施例は、8極48スロットの例であり、U相についてのみ示し、他の相はU相と同様であるので、説明を省略する。本実施例は、48スロット7ターン、U相コイルの場合で説明する。本発明は、これに限られるものではなく、6極36スロットや、奇数なら他のターン数(例えば9ターン)であってもかまわない。
【0049】
複数のスロットの層数すなわちターン数は、Nである(Nは奇数)。従って、本実施例のステータ103は、ターン数が奇数である。本実施例では、ターン数は7である。複数のスロットのうちの最外径層は1層目である。本実施例では、最外径層に層番号1を付してある。複数のスロットのうちの最内径層はN層目である。本実施例では、最内径層に層番号7を付してある。
【0050】
複数のセグメントコイルは、第一のコイル群として、複数のスロットのうちの第一のスロットの1層目から巻き始められる。本実施例では、スロット番号1の層番号1から巻き始められる。
【0051】
複数のセグメントコイルは、第一のスロットピッチ(例えば7)、第二のスロットピッチ(例えば6)、第三のスロットピッチ(例えば5)及び第二のスロットピッチの順で、これを繰り返してN層目まで繋がれる。複数のセグメントコイルは、N層目で折り返し、第二のスロットピッチ、第三のスロットピッチ、第一のスロットピッチ及び第二のスロットピッチの順で、これを繰り返して1層目まで繋がれる。さらにこれを繰り返す。
【0052】
本実施例では、5スロットピッチと7スロットピッチのセグメントコイルを交互に巻く重ね巻き方式で、波巻で接続していき、最内径層はセグメントコイル頭部側で内径側にふくらまるように成形し折り返し、最外径層はセグメントコイル脚部側で外径側にふくらませるように成形し溶接で接続する。
【0053】
本実施例は、図5及び図6のようにセグメントコイルを波状に接続していく接続方法であり、脚部側は6スロットピッチで溶接し、頭部側を5スロットピッチと7スロットピッチを交互に配置する。頭部側の最内径層は反ロータ挿入側で内径側にふくらませて折り返し、脚部側は最外径層で外径側にふくらませるように成形し溶接で接続する。図5のU1相と図6のU2相は、直列、又は並列の任意の接続が可能である。
【0054】
本実施例では、ステータの巻線は、U1相、U2相、V1相、V2相、W1相、及びW2相の各相の巻線から成り、スロットピッチ数は5、7である。本実施例では、周方向一方側は、図5及び図6における右側(スロット番号が増加する側)である。本実施例では、プラス方向で隣接するとは、図5及び図6における下側(層番号が増加する側)である。
【0055】
図5及び図6において、各スロットの各層には、図2に示したセグメントコイル110の第一の脚部112及び第二の脚部113が挿入される。図5及び図6における破線は、セグメントコイル110の頭部111による接続を示す。図5及び図6における実線は、所定のセグメントコイル110の第一の脚部112又は第二の脚部113と、別のセグメントコイル110の第一の脚部112又は第二の脚部113との溶接による接続を示す。
【0056】
図5及び図6では、周方向に配置された複数のスロットのそれぞれに1から48のスロット番号を付している。複数のスロットのそれぞれは、7層であり、径方向外側から径方向内側に向かって順に1から7のスロット層番号を付している。
【0057】
図5は、U1相のセグメントコイル110の第一の脚部112が挿入される位置を白丸で示し、第二の脚部113が挿入される位置を黒丸で示している。セグメントコイル110の波巻の巻き始めであるスロット番号1の層番号1はU相端子に接続される。セグメントコイル110の波巻の巻き終わりであるスロット番号43の層番号1は中性点に接続される。巻き始めと巻き終わりは、必ず最外径層となるため、中性点やUVW端子への接続が容易となる。
【0058】
図6は、U2相のセグメントコイル110の第一の脚部112が挿入される位置を白丸で示し、第二の脚部113が挿入される位置を黒丸で示している。セグメントコイル110の波巻の巻き始めであるスロット番号2の層番号1はU相端子に接続される。セグメントコイル110の波巻の巻き終わりであるスロット番号44の層番号1は中性点に接続される。巻き始めと巻き終わりは、必ず最外径層となるため、中性点やUVW端子への接続が容易となる。
【0059】
本実施例によれば、ターン数を奇数にすることである。また本実施例によれば、コイルの接続は隣接の層または同層同士で行うため、コイルの形状が単純化され、コイルエンドを小型化することができる。
【0060】
また、本実施例によれば、ピッチの異なるコイルを交互に配置することで、U1相とU2相の電位差が低減し、循環電流が低減される。循環電流の低減により損失低減、騒音・振動低減の効果がある。
【0061】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
100…モータ、101…ハウジング、102…ロータ、103…ステータ、104…シャフト

図1
図2
図3
図4
図5
図6