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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20250311BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20250311BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20250311BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20250311BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20250311BHJP
【FI】
H02G3/04 037
F16L57/00 A
H01B7/00 301
H02G3/04 068
H02G3/06 008
B60R16/02 620A
B60R16/02 623U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021192265
(22)【出願日】2021-11-26
(65)【公開番号】P2023078927
(43)【公開日】2023-06-07
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆太
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 克俊
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-200368(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0312182(US,A1)
【文献】特開2013-201851(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第4141689(DE,A1)
【文献】特開2009-038899(JP,A)
【文献】特開2019-053894(JP,A)
【文献】特開平06-070425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16L 57/00
H01B 7/00
H02G 3/06
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材及び前記電線部材の外周を覆う外装部材を有するワイヤハーネス本体と、
前記外装部材の外周に取り付けられ、前記ワイヤハーネス本体の経路を規制する第1経路規制部材と、
前記第1経路規制部材の長さ方向の一部における外周に取り付けられる取付部材と、を備え、
前記第1経路規制部材は、前記第1経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに前記第1経路規制部材の長さ方向の全体にわたって延びる挿入口を有し、
前記取付部材は、前記第1経路規制部材の周方向の一部を覆う受け部と、前記受け部と共に前記第1経路規制部材の全周を覆う蓋と、前記受け部に対して前記蓋が離れることを前記蓋の外側から押さえ込んで抑制する抑制部材と、を有し、
前記受け部と前記蓋とは、前記第1経路規制部材を挟み込んでいる、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記抑制部材は、可撓性を有し、前記受け部及び前記蓋を外側から覆うCリングである、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記受け部における周方向の一端部と前記蓋における周方向の他端部とは、ヒンジ部を介して連結され、
前記抑制部材は、前記受け部における周方向の他端側と前記蓋における周方向の一端側とを近づける方向に付勢するばね部材である、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記抑制部材は、前記受け部と前記蓋の周方向の全体を覆いつつ前記受け部と前記蓋とを結束する結束バンドである、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記受け部及び前記蓋の少なくとも一方は、前記取付部材の長さ方向において前記抑制部材と係合可能な係合部を有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記取付部材は、前記外装部材の外周に取り付けられ、前記ワイヤハーネス本体の経路を規制する第2経路規制部材であり、
前記受け部は、前記第2経路規制部材の長さ方向の端部に設けられ、前記第1経路規制部材の長さ方向の端部における周方向の一部を覆う、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記第1経路規制部材は、前記ワイヤハーネス本体の経路において直線状をなす部分である直線部の経路を規制しており、
前記第2経路規制部材は、前記ワイヤハーネス本体の経路において屈曲する部分である屈曲部の経路を規制している、
請求項6に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のワイヤハーネスとしては、電線部材及び電線部材を覆う外装部材を有するワイヤハーネス本体と、外装部材に外周に取り付けられ、ワイヤハーネス本体の経路を規制する経路規制部材とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-53894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなワイヤハーネスにおいて、経路規制部材は、他の経路規制部材等の取付部材に対して取り付けられることがあり、その場合、経路規制部材と取付部材との取付部位にがたつきが生じないことが望まれる。なお、取付部位のがたつきは、例えば、振動等によって取付部位を破損させる原因となる。
【0005】
本開示の目的は、がたつきを抑制可能としたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、電線部材及び前記電線部材の外周を覆う外装部材を有するワイヤハーネス本体と、前記外装部材の外周に取り付けられ、前記ワイヤハーネス本体の経路を規制する第1経路規制部材と、前記第1経路規制部材の長さ方向の一部における外周に取り付けられる取付部材と、を備え、前記第1経路規制部材は、前記第1経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに前記第1経路規制部材の長さ方向の全体にわたって延びる挿入口を有し、前記取付部材は、前記第1経路規制部材の周方向の一部を覆う受け部と、前記受け部と共に前記第1経路規制部材の全周を覆う蓋と、前記受け部に対して前記蓋が離れることを前記蓋の外側から押さえ込んで抑制する抑制部材と、を有し、前記受け部と前記蓋とは、前記第1経路規制部材を挟み込んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、がたつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
図2図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
図3図3は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図4図4は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略分解斜視図である。
図5図5は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略横断面図である。
図6図6は、変更例のワイヤハーネスを示す概略横断面図である。
図7図7は、変更例のワイヤハーネスを示す概略横断面図である。
図8図8は、変更例のワイヤハーネスを示す概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]電線部材及び前記電線部材の外周を覆う外装部材を有するワイヤハーネス本体と、前記外装部材の外周に取り付けられ、前記ワイヤハーネス本体の経路を規制する第1経路規制部材と、前記第1経路規制部材の長さ方向の一部における外周に取り付けられる取付部材と、を備え、前記第1経路規制部材は、前記第1経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに前記第1経路規制部材の長さ方向の全体にわたって延びる挿入口を有し、前記取付部材は、前記第1経路規制部材の周方向の一部を覆う受け部と、前記受け部と共に前記第1経路規制部材の全周を覆う蓋と、前記受け部に対して前記蓋が離れることを前記蓋の外側から押さえ込んで抑制する抑制部材と、を有し、前記受け部と前記蓋とは、前記第1経路規制部材を挟み込んでいる。
【0010】
同構成によれば、受け部に対して蓋が離れることを蓋の外側から押さえ込んで抑制する抑制部材を有するため、受け部に対して蓋が離れることが抑制される。そして、受け部と蓋とは、第1経路規制部材を挟み込んでいる。このようにすると、例えば、受け部に蓋が薄肉のヒンジ部を介して一体成形され、閉状態で爪部の係合によって受け部に蓋がロックされるだけの構成に比べて、受け部と蓋とのがたつきが抑制される。すなわち、薄肉のヒンジ部及び爪部を有するような構成では、ヒンジ部及び爪部の各部位で受け部と蓋とのがたつきが生じ易いが、それを回避することができる。よって、受け部と蓋とで第1経路規制部材をがたつきなく挟み込むことができ、第1経路規制部材と取付部材とのがたつきを抑制できる。
【0011】
[2]前記抑制部材は、可撓性を有し、前記受け部及び前記蓋を外側から覆うCリングであることが好ましい。
同構成によれば、抑制部材は、可撓性を有し、受け部及び蓋を外側から覆うCリングであるため、単純な構成で、受け部に対して蓋が離れることを抑制できる。
【0012】
[3]前記受け部における周方向の一端部と前記蓋における周方向の他端部とは、ヒンジ部を介して連結され、前記抑制部材は、前記受け部における周方向の他端側と前記蓋における周方向の一端側とを近づける方向に付勢するばね部材であることが好ましい。
【0013】
同構成によれば、抑制部材は、受け部における周方向の他端側と蓋における周方向の一端側とを近づける方向に付勢するばね部材であるため、ばね部材の付勢力によって、受け部に対して蓋が離れることを良好に抑制できる。
【0014】
[4]前記抑制部材は、前記受け部と前記蓋の周方向の全体を覆いつつ前記受け部と前記蓋とを結束する結束バンドであることが好ましい。
同構成によれば、抑制部材は、受け部と蓋の周方向の全体を覆いつつ受け部と蓋とを結束する結束バンドであるため、単純な構成で、受け部に対して蓋が離れることを抑制できる。
【0015】
[5]前記受け部及び前記蓋の少なくとも一方は、前記取付部材の長さ方向において前記抑制部材と係合可能な係合部を有することが好ましい。
同構成によれば、受け部及び蓋の少なくとも一方は、取付部材の長さ方向において抑制部材と係合可能な係合部を有するため、抑制部材が取付部材の長さ方向にずれることを抑制できる。
【0016】
[6]前記取付部材は、前記外装部材の外周に取り付けられ、前記ワイヤハーネス本体の経路を規制する第2経路規制部材であり、前記受け部は、前記第2経路規制部材の長さ方向の端部に設けられ、前記第1経路規制部材の長さ方向の端部における周方向の一部を覆うことが好ましい。
【0017】
同構成によれば、受け部は、第2経路規制部材の長さ方向の端部に設けられ、第1経路規制部材の長さ方向の端部における周方向の一部を覆うため、第1経路規制部材と第2経路規制部材とが長さ方向に連結される。よって、ワイヤハーネス本体は、第1経路規制部材と第2経路規制部材とによって経路が連続的に規制される。
【0018】
[7]前記第1経路規制部材は、前記ワイヤハーネス本体の経路において直線状をなす部分である直線部の経路を規制しており、前記第2経路規制部材は、前記ワイヤハーネス本体の経路において屈曲する部分である屈曲部の経路を規制していることが好ましい。
【0019】
同構成によれば、第1経路規制部材によって直線部の経路が規制され、第2経路規制部材によって屈曲部の経路が規制される。これにより、ワイヤハーネス本体の直線部の経路及び屈曲部の経路がそれぞれ所望の経路から外れることが連続的に抑制される。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vに搭載されるものである。ワイヤハーネス10は、2個以上の車載機器同士を電気的に接続する。車載機器は、車両Vに搭載された電気機器である。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前部に設置されたインバータM1と、そのインバータM1よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリM2とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前後方向に延びるように長尺状に形成されている。ワイヤハーネス10は、例えば、ワイヤハーネス10の長さ方向の中間部分が車両Vの床下などの車室外を通るように車両Vに配索されている。
【0022】
インバータM1は、例えば、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータと接続される。インバータM1は、高圧バッテリM2の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリM2は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0023】
ワイヤハーネス10は、ワイヤハーネス本体11を有している。ワイヤハーネス本体11は、電線部材20と、電線部材20の外周を覆う筒状の外装部材30とを有している。ワイヤハーネス10は、電線部材20の両端部に取り付けられたコネクタC1,C2を有している。電線部材20の長さ方向の一端部はコネクタC1を介してインバータM1と接続されるとともに、電線部材20の長さ方向の他端部はコネクタC2を介して高圧バッテリM2と接続されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、ワイヤハーネス10は、外装部材30の外周に取り付けられる第1経路規制部材40と、外装部材30の外周に取り付けられる取付部材としての第2経路規制部材60とを有している。第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60は、ワイヤハーネス本体11の配索される経路を規制している。なお、図1では、第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60の図示を省略している。
【0025】
(電線部材20の構成)
図4及び図5に示すように、電線部材20は、例えば、1本又は複数本であって、本実施形態では、2本の電線21と、複数本の電線21の外周を一括して包囲する編組部材25とを有している。
【0026】
図5に示すように、各電線21は、導電性を有する芯線22と、芯線22の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆23とを有する被覆電線である。各電線21は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。各電線21は、例えば、自身に電磁シールド構造を有しないノンシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよい。本実施形態の各電線21は、ノンシールド電線である。
【0027】
芯線22としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。単芯線としては、例えば、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。芯線22としては、撚線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。芯線22の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0028】
絶縁被覆23は、例えば、芯線22の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆23は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
各電線21の長さ方向と直交する平面によって電線21を切断した断面形状、つまり各電線21の横断面形状は、任意の形状に形成することができる。各電線21の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状、扁平形状等に形成されている。本実施形態の各電線21の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0029】
編組部材25は、例えば、全体として複数の電線21の外周を一括して包囲する筒状をなしている。編組部材25としては、例えば、複数の金属素線が編成された編組線や、金属素線と樹脂素線とを組み合わせて編成された編組線を用いることができる。金属素線の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。図示は省略するが、編組部材25の長さ方向の両端部は、例えば、コネクタC1,C2(図1参照)などにおいてアース接続されている。
【0030】
(外装部材30の構成)
図4に示すように、外装部材30は、電線部材20の外周を周方向全周にわたって包囲する筒状をなしている。本実施形態の外装部材30は、円筒状に形成されている。外装部材30は、例えば、外装部材30の周方向全周にわたって連続して周壁が形成されている。外装部材30は、例えば、外装部材30の内部を周方向全周にわたって密閉している。外装部材30は、例えば、飛翔物や水滴から電線部材20を保護する機能を有している。
【0031】
外装部材30は、例えば、可撓性を有し、容易に屈曲可能である。可撓性を有する外装部材30の例としては、例えば、樹脂製のコルゲートチューブやゴム製の防水カバーなどが挙げられる。本実施形態の外装部材30は、外装部材30の長さ方向において径が大小繰り返す蛇腹形状をなす樹脂製のコルゲートチューブである。すなわち、本実施形態の外装部材30は、外装部材30の長さ方向に沿って大径部31と大径部31よりも径の小さい小径部32とが交互に連なって設けられた蛇腹構造を有している。大径部31及び小径部32の各々は、例えば、外装部材30の周方向に沿って1周する環状をなしている。外装部材30の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。なお、図1図3では、図面の簡略化のために、外装部材30を簡略化して図示している。
【0032】
(第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60の構成)
図2及び図3に示すように、第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60の各々は、外装部材30を保持する。第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60の各々は、例えば、外装部材30よりも堅硬である。第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60の各々は、外装部材30に比べて、ワイヤハーネス本体11の長さ方向と直交する方向に曲がり難い硬さを有している。これにより、第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60の各々は、ワイヤハーネス本体11の経路を規制する。例えば、第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60の各々は、ワイヤハーネス本体11が自重などで撓んで所望の経路から外れないように、外装部材30を補助する。
【0033】
図2に示すように、第1経路規制部材40は、ワイヤハーネス本体11の長さ方向において部分的に設けられている。第1経路規制部材40は、例えば、ワイヤハーネス本体11の経路のうち直線状をなす部分である直線部11Aにおいて、外装部材30の外周に取り付けられている。第1経路規制部材40は、直線部11Aにおけるワイヤハーネス本体11の経路を規制する。ここで、直線部11Aは、ワイヤハーネス本体11の経路が一方向に直線状に延びる部分である。なお、第1経路規制部材40は、ワイヤハーネス本体11の経路に応じて、単数または複数設けられる。
【0034】
第2経路規制部材60は、ワイヤハーネス本体11の長さ方向において部分的に設けられている。第2経路規制部材60は、例えば、ワイヤハーネス本体11の経路のうち屈曲する部分である屈曲部11Bにおいて、外装部材30の外周に取り付けられている。第2経路規制部材60は、屈曲部11Bにおけるワイヤハーネス本体11の経路を規制する。ここで、屈曲部11Bは、ワイヤハーネス本体11の経路が一直線上から外れるように屈曲している部分である。なお、第2経路規制部材60は、ワイヤハーネス本体11の経路に応じて、単数または複数設けられる。
【0035】
(第1経路規制部材40の構成)
図5に示すように、第1経路規制部材40は、外装部材30の外周のうち外装部材30の周方向の一部を覆っている。第1経路規制部材40は、外装部材30の周方向の一部において外装部材30の外周を被覆する形状である。第1経路規制部材40の横断面形状は、全体としてC字状をなしている。第1経路規制部材40は、例えば、外装部材30の外周の半分よりも大きい範囲を覆っている。すなわち、第1経路規制部材40は、外装部材30の外周のうち外装部材30の周方向全周の半分よりも大きい範囲を覆っている。図2に示すように、第1経路規制部材40は、直線部11Aにおける外装部材30の長さ方向に沿って延びている。第1経路規制部材40は、例えば、一方向に直線状に延びる形状に形成されている。第1経路規制部材40の横断面形状は、例えば、第1経路規制部材40の長さ方向の全長にわたって一様である。
【0036】
第1経路規制部材40は、例えば、金属製又は樹脂製である。本実施形態の第1経路規制部材40は、樹脂製である。第1経路規制部材40の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂を用いることができる。第1経路規制部材40は、例えば、押出成形や射出成形などの周知の製造方法によって製造することができる。本実施形態では、第1経路規制部材40は、押出成形によって製造された押出成形品である。よって、第1経路規制部材40の原料を長さ方向に押し出す押出成形機を用いることで、第1経路規制部材40を容易に製造することができる。また、単一の押出成形機を用いて、長さ方向の寸法が異なる複数種類の第1経路規制部材40を製造することができる。例えば、単一の押出成形機で形成された第1経路規制部材40の母材を、切断機を用いて任意の長さで切断することによって、長さ方向の寸法が異なる複数種類の第1経路規制部材40を製造することができる。
【0037】
第1経路規制部材40は、第1経路規制部材40の長さ方向と直交する方向に開口する挿入口40Xを有している。挿入口40Xは、第1経路規制部材40の長さ方向の全体にわたって延びている。第1経路規制部材40は、第1経路規制部材40の周方向の両端部であって挿入口40Xを形成する第1端部41及び第2端部42を有している。第1経路規制部材40は、第1端部41と第2端部42とを連結する連結部43を有している。換言すると、第1経路規制部材40は、外装部材30の周方向の一部を覆うように形成された連結部43と、連結部43の両端部に設けられた第1端部41及び第2端部42と、第1端部41及び第2端部42によって形成された挿入口40Xとを有している。
【0038】
図5に示すように、連結部43は、第1経路規制部材40の主部分を構成している。連結部43の径方向の厚さは、例えば、第1経路規制部材40の周方向において一様である。連結部43の横断面形状は、例えば、外装部材30の外面に沿った形状に形成されている。第1端部41と第2端部42と連結部43との横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。
【0039】
第1端部41と第2端部42とは、第1経路規制部材40の周方向において互いに反対側に設けられている。第1端部41と第2端部42とは、第1経路規制部材40の周方向において挿入口40Xを挟んで互いに離れて設けられている。換言すると、第1経路規制部材40の周方向において第1端部41と第2端部42との間の間隙が挿入口40Xとして構成される。このように、第1経路規制部材40は、第1経路規制部材40の周方向の一部に挿入口40Xを有するC字状に形成されている。
【0040】
第1端部41及び第2端部42の先端の横断面形状は、湾曲形状に形成されている。本実施形態の第1端部41及び第2端部42の先端の横断面形状は、円弧形状に形成されている。
【0041】
第1経路規制部材40は、第1端部41の内面から突出する突出部45と、第2端部42の内面から突出する突出部46とを有している。各突出部45,46は、第1経路規制部材40の内部に挿入された外装部材30に向かって突出して外装部材30の外面に接触している。各突出部45,46は、外装部材30の大径部31の外面に接触している。突出部45は、例えば、第1端部41の先端の内面から突出している。突出部46は、例えば、第2端部42の先端の内面から突出している。各突出部45,46の横断面形状は、例えば、湾曲形状に形成されている。本実施形態の各突出部45,46の横断面形状は、円弧形状に形成されている。
【0042】
図3に示すように、各突出部45,46は、第1経路規制部材40の長さ方向に延びている。各突出部45,46は、例えば、第1経路規制部材40の長さ方向の全長にわたって延びている。
【0043】
各突出部45,46は、外装部材30を外装部材30の外側から押圧する。外装部材30は、突出部45と突出部46と連結部43とによって弾性的に挟まれている。これにより、外装部材30に対する第1経路規制部材40の連結が強固となる。
【0044】
図5に示すように、挿入口40Xの開口幅、つまり第1端部41と第2端部42との最短距離は、外装部材30の外径よりも小さい。
挿入口40Xの開口幅は、第1経路規制部材40が弾性変形することによって大きくなる。例えば、挿入口40Xの開口幅は、第1経路規制部材40の長さ方向と直交する方向から挿入口40Xに外装部材30が挿入されることにより、大きくなる。外装部材30が第1経路規制部材40の内部に挿入されると、第1経路規制部材40は元の形状に戻ろうと弾性復帰する。これにより、挿入口40Xの開口幅は外装部材30の外径よりも小さくなるため、外装部材30の外周に対して第1経路規制部材40が取り付けられる。
【0045】
(第2経路規制部材60の構成)
図2に示すように、第2経路規制部材60は、第1経路規制部材40の長さ方向の一部における外周に取り付けられる。第2経路規制部材60は、第1経路規制部材40の長さ方向の端部における外周に取り付けられる。また、第2経路規制部材60は、屈曲部11Bにおける外装部材30の外周に取り付けられる。第2経路規制部材60は、屈曲部11Bにおける外装部材30の長さ方向に沿って延びている。第2経路規制部材60は、例えば、屈曲部11Bの形状に沿って屈曲している。
【0046】
第2経路規制部材60は、第2経路規制本体61と、蓋62と、抑制部材63とを有する。
第2経路規制部材60は、例えば、金属製又は樹脂製である。本実施形態の第2経路規制部材60は、樹脂製である。第2経路規制部材60の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂を用いることができる。第2経路規制部材60は、例えば、射出成形などの周知の製造方法によって製造することができる。
【0047】
第2経路規制本体61は、本体部64と、受け部65とを有している。本実施形態では、受け部65と蓋62とが被覆部66を構成している。
本体部64は、外装部材30の外周のうち外装部材30の周方向の一部を覆っている。本体部64は、外装部材30の周方向の一部において外装部材30の外周を被覆する形状である。本体部64の横断面形状は、全体として半円筒形状をなしている。本体部64は、外装部材30の外周の半分を覆っている。図2に示すように、本体部64は、屈曲部11Bにおける外装部材30の長さ方向に沿って延びている。本体部64は、屈曲部11Bの形状に沿って屈曲している。
【0048】
受け部65は、第2経路規制部材60の長さ方向の端部であって本体部64の長さ方向の端部に設けられている。受け部65は、第1経路規制部材40の外周のうち第1経路規制部材40の周方向の一部を覆っている。受け部65は、第1経路規制部材40の長さ方向の端部における周方向の一部を覆っている。受け部65は、第1経路規制部材40の周方向の一部において第1経路規制部材40の外周を被覆する形状である。受け部65の横断面形状は、全体として半円筒形状をなしている。受け部65は、本体部64よりも径の大きい半円筒形状をなしている。受け部65は、第1経路規制部材40の外周の半分を覆っている。
【0049】
受け部65と蓋62とは、同一材料よりなる一体成形品である。すなわち、本実施形態の第2経路規制部材60は、第2経路規制本体61と蓋62とを含む全体が同一材料よりなる一体成形品である。蓋62は、受け部65に薄肉のヒンジ部67を介して連結されている。詳しくは、受け部65における周方向の一端部には、薄肉のヒンジ部67を介して蓋62における周方向の他端部が連結されている。蓋62は、受け部65に対してヒンジ部67を中心として回動可能である。被覆部66は、受け部65と蓋62とが閉じている閉状態と、受け部65と蓋62とが開いている開状態とに変形可能である。被覆部66は、閉状態で第1経路規制部材40の外周を覆う。
【0050】
蓋62は、爪部68を有している。また、受け部65は、爪部68が係合可能な被係合部69を有している。詳しくは、被係合部69は、受け部65における周方向の他端部に設けられている。爪部68は、蓋62における周方向の一端部に設けられている。爪部68は、被覆部66が閉状態で被係合部69と係合する。蓋62は、爪部68が被係合部69に係合することで、受け部65に対して回動不能に固定される。詳しくは、受け部65と蓋62とは爪部68が被係合部69に係合すると相対回動が不能とされ、被覆部66は閉状態で維持される。
【0051】
蓋62は、受け部65と共に第1経路規制部材40の全周を覆っている。詳しくは、蓋62は、被覆部66が閉状態では、受け部65と共に第1経路規制部材40の外周に沿った周方向の全体を覆っている。本実施形態の蓋62は、第1経路規制部材40の外周の一部と、外装部材30の外周において挿入口40Xから露出した部位とを覆っている。蓋62の横断面形状は、全体として半円筒形状をなしている。蓋62は、受け部65の径と同じ径の半円筒形状をなしている。蓋62は、第1経路規制部材40の外周に沿った周方向のうち受け部65によって覆われていない部分であって、第1経路規制部材40の外周に沿った周方向の半分を覆っている。
【0052】
図4に示すように、蓋62は、蓋62の内面から突出する1つ又は複数であって、本実施形態では、5つの突起70を有している。複数の突起70は、第2経路規制部材60の長さ方向において間隔を空けて設けられている。各突起70は、例えば、蓋62の周方向の中間部分に設けられている。図5に示すように、各突起70は、例えば、被覆部66が閉状態であって蓋62が閉位置にある状態では、第2経路規制部材60の内部に挿入された外装部材30に向かって突出する。各突起70は、例えば、蓋62が閉位置にある状態において、外装部材30の大径部31同士の間に嵌まるように形成されている。各突起70は、例えば、突起70の先端が小径部32の外周面に接触するように形成されている。各突起70の先端は、例えば、小径部32の外周面に沿った円弧状をなしている。これにより、外装部材30の長さ方向において、第2経路規制部材60に対する外装部材30の移動が抑制される。このため、ワイヤハーネス本体11の長さ方向において、外装部材30に対して第2経路規制部材60が位置ずれすることを好適に抑制できる。
【0053】
図2及び図5に示すように、被覆部66を構成する受け部65及び蓋62は、係合部としての係合凹部71を有している。係合凹部71は、被覆部66の長さ方向の中間部に設けられている。係合凹部71は、受け部65及び蓋62の外周面から凹設されている。係合凹部71は、受け部65及び蓋62の外周において、ヒンジ部67、爪部68及び被係合部69が設けられていない部位の大部分にわたって設けられている。
【0054】
抑制部材63は、受け部65に対して蓋62が離れることを蓋62の外側から押さえ込んで抑制する。
詳しくは、本実施形態の抑制部材63は、可撓性を有し、受け部65及び蓋62を外側から覆うCリングである。抑制部材63は、C字状をなしている。言い換えると、抑制部材63は、円形から180°未満の範囲を削除した形状のC字状部材である。本実施形態の抑制部材63は、円形から90°未満の範囲を削除した形状のC字状部材である。
【0055】
抑制部材63は、例えば、金属製又は樹脂製である。本実施形態の抑制部材63は、樹脂製である。抑制部材63の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂を用いることができる。抑制部材63は、例えば、押出成形や射出成形などの周知の製造方法によって製造することができる。
【0056】
抑制部材63は、係合凹部71に嵌まるように、受け部65及び蓋62に対して取り付けられている。抑制部材63は、第2経路規制部材60の長さ方向において係合凹部71と係合することで、第2経路規制部材60の長さ方向にずれることが抑制されている。また、抑制部材63は、抑制部材63の周方向の中央における内面に凹部72を有している。抑制部材63は、凹部72にヒンジ部67が嵌まるように、受け部65及び蓋62に対して取り付けられている。抑制部材63は、受け部65と蓋62とを押し付け合わせている。このように取り付けられた抑制部材63は、爪部68と被係合部69との係合状態やヒンジ部67の変形等によって受け部65と蓋62とが僅かに離れようとしても、受け部65に対して蓋62が離れることを蓋62の外側から押さえ込んで抑制する。これにより、受け部65と蓋62とは、第1経路規制部材40を挟み込んでいる。言い換えると、受け部65と蓋62とは、抑制部材63によって、第1経路規制部材40を挟み込んだ状態が維持されている。
【0057】
また、図2に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材30の長さ方向に対する第1経路規制部材40のスライド移動を規制するスライド規制部材73を有している。ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材30の長さ方向に対する第2経路規制部材60のスライド移動を規制するスライド規制部材74を有している。スライド規制部材73,74としては、例えば、樹脂製又は金属製の結束バンド、カシメリングや粘着テープなどを用いることができる。本実施形態のスライド規制部材73,74は、粘着テープである。スライド規制部材73は、第1経路規制部材40の第2経路規制部材60に連結されていない側の端部と、外装部材30とにわたって巻き付けられている。スライド規制部材74は、第2経路規制部材60の第1経路規制部材40に連結されていない側の端部と、外装部材30とにわたって巻き付けられている。
【0058】
次に、本実施形態の作用について説明する。
受け部65と蓋62とは、互いに離れることが抑制部材63によって抑制されている。よって、被覆部66を構成する受け部65と蓋62とは、第1経路規制部材40を挟み込んだ状態が維持される。よって、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60とが連結された状態が維持される。よって、ワイヤハーネス本体11の経路が連続的に規制される。
【0059】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)受け部65に対して蓋62が離れることを蓋62の外側から押さえ込んで抑制する抑制部材63を有するため、受け部65に対して蓋62が離れることが抑制される。そして、受け部65と蓋62とは、第1経路規制部材40を挟み込んでいる。このようにすると、例えば、受け部65に蓋62が薄肉のヒンジ部67を介して一体成形され、閉状態で爪部68の係合によって受け部65に蓋62がロックされるだけの構成に比べて、受け部65と蓋62とのがたつきが抑制される。すなわち、薄肉のヒンジ部67及び爪部68を有するような構成では、ヒンジ部67及び爪部68の各部位で受け部65と蓋62とのがたつきが生じ易いが、それを回避することができる。よって、受け部65と蓋62とで第1経路規制部材40をがたつきなく挟み込むことができ、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60とのがたつきを抑制できる。その結果、例えば、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60との取付部位の破損を抑制でき、ひいてはワイヤハーネス本体11の経路を安定して規制できる。
【0060】
(2)抑制部材63は、可撓性を有し、受け部65及び蓋62を外側から覆うCリングであるため、単純な構成で、受け部65に対して蓋62が離れることを抑制できる。
(3)受け部65及び蓋62は、第2経路規制部材60の長さ方向において抑制部材63と係合可能な係合部としての係合凹部71を有するため、抑制部材63が第2経路規制部材60の長さ方向にずれることを抑制できる。
【0061】
(4)第1経路規制部材40に取り付けられる取付部材は、外装部材30の外周に取り付けられ、ワイヤハーネス本体11の経路を規制する第2経路規制部材60である。そして、受け部65は、第2経路規制部材60の長さ方向の端部に設けられ、第1経路規制部材40の長さ方向の端部における周方向の一部を覆うため、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60とが長さ方向に連結される。よって、ワイヤハーネス本体11は、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60とによって経路が連続的に規制される。
【0062】
(5)第1経路規制部材40によってワイヤハーネス本体11の直線部11Aの経路が規制され、第2経路規制部材60によってワイヤハーネス本体11の屈曲部11Bの経路が規制される。これにより、ワイヤハーネス本体11の直線部11Aの経路及び屈曲部11Bの経路がそれぞれ所望の経路から外れることが連続的に抑制される。
【0063】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0064】
・上記実施形態では、抑制部材63は、可撓性を有し、受け部65及び蓋62を外側から覆うCリングであるとしたが、受け部65に対して蓋62が離れることを蓋62の外側から押さえ込んで抑制することができれば、他の構成の抑制部材に変更してもよい。
【0065】
例えば、図6に示すように、変更してもよい。この例の受け部65と蓋62は、上記実施形態と同様に受け部65における周方向の一端部と蓋62における周方向の他端部とが薄肉のヒンジ部67を介して連結されている。なお、この例の受け部65と蓋62は、上記実施形態の係合凹部71を有していない構成である。そして、この例の抑制部材81は、受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とを近づける方向に付勢するばね部材とされている。抑制部材81は、金属製である。抑制部材81は、ばね部材であり、詳しくは、ねじりコイルばねである。抑制部材81は、コイル部82と、コイル部82の両端から延びるアーム部83とを有している。コイル部82は、ヒンジ部67と対応した部位に配置され、アーム部83はそれぞれ受け部65と蓋62の外周面に沿って配置されている。アーム部83の先端部は、それぞれ受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とに係合されている。抑制部材81は、アーム部83の先端部によって、受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とを近づける方向に付勢している。
【0066】
このようにしても、受け部65と蓋62とで第1経路規制部材40をがたつきなく挟み込むことができ、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60とのがたつきを抑制できる。また、抑制部材81は、受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とを近づける方向に付勢するばね部材であるため、ばね部材の付勢力によって、受け部65に対して蓋62が離れることを良好に抑制できる。
【0067】
また、例えば、図7に示すように、変更してもよい。この例の受け部65と蓋62は、受け部65における周方向の一端部と蓋62における周方向の他端部とがヒンジ部85を介して連結されている。この例の受け部65と蓋62とは別体である。そして、ヒンジ部85は、受け部65に設けられたヒンジ構成部86と蓋62に設けられたヒンジ構成部87とが組み合わされて構成されている。蓋62は、受け部65に対してヒンジ部85を中心として回動可能とされている。なお、この例の受け部65と蓋62は、上記実施形態の係合凹部71を有していない構成である。そして、この例の抑制部材88は、受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とを近づける方向に付勢するばね部材とされている。抑制部材88は、金属製である。抑制部材88は、ばね部材であり、詳しくは、C字状のばねである。抑制部材88は、受け部65と蓋62の外周面に沿って配置されている。抑制部材88の両端部は、それぞれ受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とに係合されている。抑制部材88は、抑制部材81の両端部によって、受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とを近づける方向に付勢している。また、受け部65と蓋62とは、それぞれヒンジ構成部86,87の近傍から突出する把持片89,90を有している。把持片89,90は、交差している。受け部65と蓋62とは、例えば、作業者によって把持片89,90が把持されることで相対的に回動して、開状態とされる。
【0068】
このようにしても、受け部65と蓋62とで第1経路規制部材40をがたつきなく挟み込むことができ、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60とのがたつきを抑制できる。また、抑制部材88は、受け部65における周方向の他端側と蓋62における周方向の一端側とを近づける方向に付勢するばね部材であるため、ばね部材の付勢力によって、受け部65に対して蓋62が離れることを良好に抑制できる。また、把持片89,90を有するため、受け部65と蓋62とを容易に開状態とすることができる。
【0069】
また、例えば、図8に示すように、変更してもよい。この例の受け部65と蓋62は、上記実施形態と同様に受け部65における周方向の一端部と蓋62における周方向の他端部とが薄肉のヒンジ部67を介して連結されている。なお、この例の受け部65と蓋62は、上記実施形態の係合凹部71を有していない構成である。そして、この例の抑制部材91は、受け部65と蓋62の周方向の全体を覆いつつ受け部65と蓋62とを結束する結束バンドである。抑制部材91は、金属製又は樹脂製である。この例の抑制部材91は、樹脂製である。抑制部材91は、可撓性を有する柔軟な帯状部92と、帯状部92の長さ方向の端部に設けられているロック部93とを有する。ロック部93は、帯状部92が通された状態で、その通す方向の反対方向である抜き方向への帯状部92の移動を規制して、帯状部92をロックするものである。抑制部材91は、帯状部92が受け部65と蓋62の周方向の全体を覆った状態でロック部93に通されることで、受け部65と蓋62とを結束している。
【0070】
このようにしても、受け部65と蓋62とで第1経路規制部材40をがたつきなく挟み込むことができ、第1経路規制部材40と第2経路規制部材60とのがたつきを抑制できる。また、抑制部材91は、受け部65と蓋62の周方向の全体を覆いつつ受け部65と蓋62とを結束する結束バンドであるため、単純な構成で、受け部65に対して蓋62が離れることを抑制できる。
【0071】
・上記実施形態では、受け部65及び蓋62は、第2経路規制部材60の長さ方向において抑制部材63と係合可能な係合部としての係合凹部71を有するとしたが、これに限定されず、例えば、係合部を有していない構成としてもよい。また、例えば、係合凹部71は、受け部65及び蓋62の外周面から突出した係合部としての係合リブに変更してもよい。
【0072】
・上記実施形態では、抑制部材63は、1つのみ設けられている構成としたが、これに限定されず、例えば、被覆部66の長さ方向に2つ以上設けられている構成としてもよい。
【0073】
・上記実施形態では、蓋62は、5つの突起70を有しているとしたが、これに限定されず、例えば、突起70の数を変更してもよいし、突起70を有していない構成としてもよい。
【0074】
・上記実施形態の第2経路規制部材60は、ワイヤハーネス本体11の屈曲部11Bの経路を規制するように形成したが、これに限定されない。例えば、第2経路規制部材60を、ワイヤハーネス本体11の直線部11Aの経路を規制する形状に変更してもよい。この場合の第2経路規制部材60は、例えば、本体部64における屈曲形状が直線状に延びる形状に変更される。
【0075】
・上記実施形態では、第1経路規制部材40に取り付けられる取付部材として、第2経路規制部材60に具体化したが、これに限定されない。例えば、取付部材を、第1経路規制部材40を車両Vに取り付けるための車両取付部材に具体化してもよい。
【0076】
・上記実施形態の第1経路規制部材40の構造は適宜変更可能である。例えば、第1経路規制部材40は、挿入口40Xを有し、外装部材30の外周に取り付け可能な構造を有していれば、その他の構造は特に限定されない。
【0077】
・上記実施形態の突出部45を、第1経路規制部材40の周方向において、第1端部41の先端よりも挿入口40Xから離した位置に設けてもよい。
・上記実施形態の突出部46を、第1経路規制部材40の周方向において、第2端部42の先端よりも挿入口40Xから離した位置に設けてもよい。
【0078】
・上記実施形態の突出部45,46を、第1経路規制部材40の長さ方向において部分的に設けてもよい。
・上記実施形態の突出部45,46の少なくとも一方を省略してもよい。
【0079】
・上記実施形態の第1経路規制部材40において、連結部43の径方向の厚さが周方向において変わるように構成してもよい。
・上記実施形態の第1経路規制部材40における連結部43の形状は、円弧状に限定されるものではなく、例えば楕円弧形状やU字形状などに変更可能である。
【0080】
・上記実施形態では、第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60は、外装部材30よりも堅硬であるとしたが、これに限定されず、外装部材30と同等かそれ以下の堅さであってもよい。すなわち、第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60は、第1経路規制部材40及び第2経路規制部材60が取り付けられていない状態のワイヤハーネス本体11よりもワイヤハーネス本体11が曲がり難くなるように作用すればよい。
【0081】
・上記実施形態の外装部材30は、例えば、樹脂製のコルゲートチューブの外面に金属材料を含む金属層が設けられるものであってもよい。
・上記実施形態の外装部材30は、コルゲートチューブに限らず、例えば、大径部31及び小径部32を有さない外装部材であってもよい。
【0082】
・上記実施形態の外装部材30は、外装部材30の長さ方向に延びるスリットを有するものであってもよい。
・上記実施形態では、電線21を高圧電線としたが、これに限定されるものではなく、例えば、電線21を低圧電線としてもよい。
【0083】
・上記実施形態の電線部材20では、電磁シールド部材を編組部材25に具体化したが、これに限定されない。例えば、電線部材20における電磁シールド部材を金属箔に具体化してもよい。
【0084】
・上記実施形態の電線部材20における編組部材25を省略してもよい。
・上記実施形態では、電線部材20を構成する電線21を2本としたが、これに限定されない。電線21の本数は1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0085】
・車両VにおけるインバータM1と高圧バッテリM2の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
・上記実施形態では、ワイヤハーネス10が電気的に接続する複数の車載機器を、インバータM1及び高圧バッテリM2に具体化したが、これに限定されない。ワイヤハーネス10が電気的に接続する複数の車載機器は、車両Vに搭載される電気機器であれば、特に限定されない。
【0086】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
10 ワイヤハーネス
11 ワイヤハーネス本体
11A 直線部
11B 屈曲部
20 電線部材
21 電線
22 芯線
23 絶縁被覆
25 編組部材
30 外装部材
31 大径部
32 小径部
40 第1経路規制部材
40X 挿入口
41 第1端部
42 第2端部
43 連結部
45 突出部
46 突出部
60 第2経路規制部材(取付部材)
61 第2経路規制本体
62 蓋
63 抑制部材(Cリング)
64 本体部
65 受け部
66 被覆部
67 ヒンジ部
68 爪部
69 被係合部
70 突起
71 係合凹部
72 凹部
73 スライド規制部材
74 スライド規制部材
81 抑制部材(ばね部材)
82 コイル部
83 アーム部
85 ヒンジ部
86 ヒンジ構成部
87 ヒンジ構成部
88 抑制部材(ばね部材)
89 把持片
90 把持片
91 抑制部材(結束バンド)
92 帯状部
93 ロック部
C1 コネクタ
C2 コネクタ
M1 インバータ
M2 高圧バッテリ
P1 第1状態
P2 第2状態
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8