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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】位置検出装置およびエレベーター装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/02 20060101AFI20250311BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B66B3/02 P
B66B5/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021213715
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023097536
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 初雄
(72)【発明者】
【氏名】垂石 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 英治
(72)【発明者】
【氏名】相川 真実
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-132600(JP,A)
【文献】特開2016-155623(JP,A)
【文献】特開平05-262467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
B66B 5/00- 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、
前記検知器からの信号を受信した場合に、昇降路における前記検知器の位置にかごが位置することを検出する制御器と、
を備え、
前記検知器は、前記かごが通過する際に、前記かごを前記ガイドレールに沿って移動させるよう前記ガイドレールと接する案内体から圧力を受けるように前記ガイドレールに設けられた、
位置検出装置であって、
前記ガイドレールに対して着脱自在に設けられ、前記検知器の位置を前記ガイドレールの表面に保持する保持体、
を更に備えた位置検出装置。
【請求項2】
ガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、
前記検知器からの信号を受信した場合に、昇降路における前記検知器の位置にかごが位置することを検出する制御器と、
を備え、
前記検知器は、前記かごが通過する際に、前記かごを前記ガイドレールに沿って移動させるよう前記ガイドレールと接する案内体から圧力を受けるように前記ガイドレールに設けられた、
位置検出装置であって、
前記制御器は、前記検知器からの信号の情報を蓄積し、蓄積した情報と前記検知器からの信号とに基づいて前記検知器を交換すべきと判定した場合に、その旨を報知する位置検出装置。
【請求項3】
かごと、
ガイドレールと、
前記かごに設けられ、前記かごが前記ガイドレールに沿って移動するよう前記ガイドレールと接触する案内体と、
昇降路における前記かごの位置を検出する位置検出装置と、
を備え、
前記位置検出装置は、
前記かごが通過する際に前記案内体から圧力を受けるよう前記ガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、
前記検知器からの信号を受信した場合に、前記昇降路における前記検知器の位置に前記かごが位置することを検出する制御器と、
を有するエレベーター装置であって、
前記検知器は、前記ガイドレールの第1面に設けられ、
前記案内体は、
前記ガイドレールの前記第1面に対向する第1案内部と、
前記検知器が設けられた位置を前記かごが通過する際に、前記検知器と対向する第1押圧部と、
を有し、
前記検知器が設けられた位置を前記かごが通過する際に、前記第1案内部が前記第1面と接し、かつ前記第1押圧部が前記検知器に接するエレベーター装置。
【請求項4】
前記案内体は、ガイドシューまたはローラガイドである請求項に記載のエレベーター装置。
【請求項5】
かごと、
ガイドレールと、
前記かごに設けられ、前記かごが前記ガイドレールに沿って移動するよう前記ガイドレールと接触する案内体と、
昇降路における前記かごの位置を検出する位置検出装置と、
を備え、
前記位置検出装置は、
前記かごが通過する際に前記案内体から圧力を受けるよう前記ガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、
前記検知器からの信号を受信した場合に、前記昇降路における前記検知器の位置に前記かごが位置することを検出する制御器と、
を有するエレベーター装置であって、
前記ガイドレールは、
第1面において、前記案内体と対向する第2案内部と、
前記第1面において、前記案内体と対向し前記第2案内部に対して窪む第2押圧部と、
を有し、
前記検知器は、前記第2押圧部に設けられ、
前記検知器が設けられた位置を前記かごが通過する際に、前記第2案内部は前記案内体と接し、かつ前記検知器が前記案内体と接するエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置検出装置およびエレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーター装置を開示する。当該エレベーター装置には位置検出装置として、着床検出装置と複数の検出板とが設けられる。着床検出装置は、かごに設けられる。複数の検出板は、昇降路の内部に設けられる。着床検出装置が検出板を読み取ることで、昇降路におけるかごの位置が検出され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6362963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエレベーター装置において、複数の検出板の各々は、ガイドレールからかごの側に大きく突き出して設けられる。このため、昇降路の水平投影面における機器のレイアウトが制約を受ける。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、昇降路の水平投影面における機器のレイアウトの制約を緩和できる位置検出装置およびエレベーター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る位置検出装置は、ガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、検知器からの信号を受信した場合に、昇降路における検知器の位置にかごが位置することを検出する制御器と、を備え、検知器は、かごが通過する際に、かをガイドレールに沿って移動させるようガイドレールと接する案内体から圧力を受けるようにガイドレールに設けられた、位置検出装置であって、ガイドレールに対して着脱自在に設けられ、検知器の位置をガイドレールの表面に保持する保持体、を更に備えたものである。
また、本開示に係る位置検出装置は、ガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、検知器からの信号を受信した場合に、昇降路における検知器の位置にかごが位置することを検出する制御器と、を備え、検知器は、かごが通過する際に、かごをガイドレールに沿って移動させるようガイドレールと接する案内体から圧力を受けるようにガイドレールに設けられた、位置検出装置であって、制御器は、検知器からの信号の情報を蓄積し、蓄積した情報と検知器からの信号とに基づいて検知器を交換すべきと判定した場合に、その旨を報知するものである。
【0007】
本開示に係るエレベーター装置は、かごと、ガイドレールと、かごに設けられ、かごがガイドレールに沿って移動するようガイドレールと接触する案内体と、昇降路におけるかごの位置を検出する位置検出装置と、を備え、位置検出装置は、かごが通過する際に案内体から圧力を受けるようガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、検知器からの信号を受信した場合に、昇降路における検知器の位置にかごが位置することを検出する制御器と、を有するエレベーター装置であって、検知器は、ガイドレールの第1面に設けられ、案内体は、ガイドレールの第1面に対向する第1案内部と、検知器が設けられた位置をかごが通過する際に、検知器と対向する第1押圧部と、を有し、検知器が設けられた位置をかごが通過する際に、第1案内部が第1面と接し、かつ第1押圧部が検知器に接するものである。
また、本開示に係るエレベーター装置は、かごと、ガイドレールと、かごに設けられ、かごがガイドレールに沿って移動するようガイドレールと接触する案内体と、昇降路におけるかごの位置を検出する位置検出装置と、を備え、位置検出装置は、かごが通過する際に案内体から圧力を受けるようガイドレールに設けられ、圧力を受けた場合に信号を発信する検知器と、検知器からの信号を受信した場合に、昇降路における検知器の位置にかごが位置することを検出する制御器と、を有するエレベーター装置であって、ガイドレールは、第1面において、案内体と対向する第2案内部と、第1面において、案内体と対向し第2案内部に対して窪む第2押圧部と、を有し、検知器は、第2押圧部に設けられ、検知器が設けられた位置をかごが通過する際に、第2案内部は案内体と接し、かつ検知器が案内体と接するものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、位置検出装置は、検知器が案内体と接した場合にかごの位置を検出する。検知器は、かごが通過する際に案内体から圧力を受けるようガイドレールに設けられる。このため、昇降路の水平投影面における機器のレイアウトの制約を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1におけるエレベーター装置が適用される建築物の構成図である。
図2】実施の形態1におけるエレベーター装置が適用される建築物の構成図である。
図3】実施の形態1におけるエレベーター装置の要部の水平断面図である。
図4】実施の形態1におけるエレベーター装置の要部の水平断面を拡大した図である。
図5】実施の形態1におけるエレベーター装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図6】実施の形態1におけるエレベーター装置の異常診断の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態1の変形例におけるエレベーター装置の要部の水平断面図である。
図8】実施の形態1の変形例におけるエレベーター装置の要部の水平断面を拡大した図である。
図9】実施の形態1におけるエレベーター装置の制御器のハードウェア構成図である。
図10】実施の形態2におけるエレベーター装置の要部の水平断面を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0011】
実施の形態1.
図1および図2は実施の形態1におけるエレベーター装置が適用される建築物の構成図である。
【0012】
図1のエレベーター装置1は、図示されない建築物に設けられる。昇降路2は、建築物の各階を貫く。機械室3は、昇降路2の直上に設けられる。複数の乗場4は、建築物の各階にそれぞれ設けられる。複数の乗場4の各々は、昇降路2に対向する。一対のガイドレール5は、昇降路2の内部に設けられる。一対のガイドレール5の長手方向は、上下方向を向く。巻上機6は、機械室3に設けられる。主ロープ7は、巻上機6に巻き掛けられる。
【0013】
かご8は、昇降路2の内部に設けられる。かご8は、一対のガイドレール5の間において、一対のガイドレール5の各々と隣接する。かご8は、主ロープ7の一側に吊るされる。釣合おもり9は、昇降路2の内部に設けられる。釣合おもり9は、主ロープ7の他側に吊るされる。
【0014】
かご8は、複数の案内体として複数のガイドシュー10を備える。例えば、かご8は、4つのガイドシュー10を備える。4つのガイドシュー10のうち2つは、かご8の上部に設けられる。4つのガイドシュー10のうち残りの2つは、かご8の下部に設けられる。4つのガイドシュー10は、それぞれ一対のガイドレール5のうちいずれかに隣接する。
【0015】
制御盤11は、機械室3に設けられる。制御盤11は、エレベーター装置1の動作を全体的に制御し得る。監視装置12は、機械室3に設けられる。監視装置12は、制御盤11と電気的に接続される。図示されないが、監視装置12は、エレベーター装置1を保守する会社である管理センターに設けられた装置と通信し得る。
【0016】
エレベーター装置1は、更に位置検出装置20を備える。位置検出装置20は、昇降路2の内部におけるかご8の位置を検出し得る。位置検出装置20は、複数の検知ユニット21と制御器22とを備える。
【0017】
複数の検知ユニット21の各々は、圧力を検知するセンサとして、同様の構成を備える。複数の検知ユニット21は、一対のガイドレール5の一方にそれぞれ固定される。複数の検知ユニット21は、複数の乗場4に対応する高さにそれぞれ配置される。複数の検知ユニット21は、規定の間隔を空けてそれぞれ配置される。なお、複数の検知ユニット21のうちの1つは、かご8が移動可能な下限位置に設けられてもよい。複数の検知ユニット21のうちの1つは、かご8が移動可能な上限位置に設けられてもよい。
【0018】
制御器22は、制御盤11の内部に設けられる。制御器22は、制御盤11および監視装置12と電気的に接続される。制御器22は、複数の検知ユニット21の各々と電気的に接続される。なお、図示されないが、制御器22は、かご8の安全監視装置と電気的に接続されてもよい。
【0019】
エレベーター装置1が通常運行する場合、制御盤11は、巻上機6を回転させる。主ロープ7は、巻上機6の回転に追従して移動する。かご8および釣合おもり9は、主ロープ7の移動に追従して互いに反対方向に昇降する。この際、ガイドシュー10の各々は、かご8が一対のガイドレール5に沿って移動するよう、かご8を案内する。具体的には、かご8に固定されたガイドシュー10は、ガイドレール5と接触することで、かご8の水平方向の移動を制限する。制御盤11は、かご8を乗場4の着床位置に停止させる。
【0020】
図2は、かご8が乗場4の着床位置に到達した状態を示す。この状態において、4つのガイドシュー10のうちの1つは、当該乗場4に対応する検知ユニット21と接触する。検知ユニット21は、ガイドシュー10からの圧力を検知する。検知ユニット21は、圧力を検知した信号を制御器22に発信する。
【0021】
制御器22は、検知ユニット21から信号を受信した場合、当該検知ユニット21が設けられた位置を特定する。制御器22は、特定した位置にかご8が存在することを検出する。制御器22は、かご8の位置の情報を制御盤11に送信する。制御盤11は、制御器22からの情報に基づいて、かご8が当該乗場4の着床位置に到達したことを検出する。制御盤11は、かご8を停止させる。
【0022】
制御器22は、検知ユニット21から受信した信号の情報を蓄積部に蓄積する。制御器22は、蓄積した信号の情報と検知ユニット21からの信号とに基づいて、当該検知ユニット21についての異常診断を行う。異常診断によって、複数の検知ユニット21のうちいずれかに異常が発生した場合、制御器22は、当該異常を検出し得る。当該異常を検出した場合、制御器22は、制御盤11にかご8を停止させる指令を送信する。この場合、制御盤11は、かご8を最寄りの階に停止させる、等の措置をとる。また、当該異常を検出した場合、制御器22は、監視装置12を介して、管理センターに設けられた装置に異常を検出した旨を報知する。
【0023】
次に、図3図4とを用いて、ガイドレール5とガイドシュー10と検知ユニット21とを説明する。
図3は実施の形態1におけるエレベーター装置の要部の水平断面図である。具体的には、図3は、図2におけるA-A断面を示す。図4は実施の形態1におけるエレベーター装置の要部の水平断面を拡大した図である。
【0024】
図3に示されるように、ガイドレール5は、フランジ部5aと頭部5bとを備える。図示されないが、フランジ部5aは、ブラケットによって昇降路2の壁面に固定される。水平断面において、頭部5bは、フランジ部5aの中央から昇降路2の内側方向へ延びる。頭部5bは、延出方向であるかご8への方向を向く面とかご8への方向を向く面に垂直な2つの側面とを有する。
【0025】
検知ユニット21は、検知器23と信号線24と保持体25とを備える。
【0026】
検知器23は、ガイドレール5の頭部5bの表面に配置される。検知器23は、頭部5bの側面である第1面5cに接する。信号線24は、検知器23から引き出される。信号線24は、図3には図示されない制御器22に接続される。
【0027】
保持体25は、検知器23を図3の配置位置に保持する。保持体25は、第1保持部25aと第2保持部25bとを備える。第1保持部25aは、ガイドレール5のフランジ部5aに着脱自在に固定される。例えば、第2保持部25bの形状は、L字型である。第2保持部25bの一端は、第1保持部25aに固定される。第2保持部25bの他端は、検知器23に固定される。
【0028】
例えば、水平断面において、ガイドシュー10の形状は、U字型である。ガイドシュー10は、U字溝の内側にガイドレール5の頭部5bが位置するよう配置される。ガイドシュー10は、第1案内部である案内部10aと第1押圧部である押圧部10bとを有する。
【0029】
案内部10aの一部は、第1面5cと対向する。案内部10aは、U字溝の内側の面の一部分である。かご8が移動する際、案内部10aは、ガイドレール5と接触する。押圧部10bは、U字溝の内側において、検知器23と対向する位置に設けられる。押圧部10bは、ガイドシュー10の内側に設けられた切欠きである。具体的には、押圧部10bは、U字溝の内側の面の一部窪んだ部分である。例えば、押圧部10bの窪みの深さは、検知器23の厚みと等しい。図3の状態において、押圧部10bは、ガイドレール5の第1面5cに対向する。
【0030】
図4に示されるように、検知器23は、圧力検知体26と被覆体27とを備える。
【0031】
圧力検知体26は、圧力を検知するセンサである。具体的には、圧力検知体26は、半導体ひずみゲージである。圧力検知体26が圧力を受けた場合、圧力検知体26には、ひずみが生じる。圧力検知体26は、当該ひずみに起因する内部抵抗の変化を検知する。圧力検知体26は、圧力を受けたことを示す信号として、内部抵抗の変化に対応した電気信号を送信する。
【0032】
被覆体27は、圧力検知体26の周囲に設けられる。被覆体27は、圧力検知体26の表面を被覆することで、圧力検知体26の表面を保護する。被覆体27は、表面に受けた圧力を圧力検知体26に伝達し得る。
【0033】
図3および図4の状態において、案内部10aの検知器23が設けられた側の面とガイドレール5の第1面5cとは接触する。検知器23と押圧部10bの窪みの底面とは接触する。この際、検知器23は、ガイドレール5と押圧部10bとに挟まれた状態で、押圧部10bから圧力を受ける。圧力検知体26は、制御器22に電気信号を送信する。
【0034】
次に、図5を用いて、エレベーター装置1で行われる制御を説明する。
図5は実施の形態1におけるエレベーター装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0035】
図5には、通常運転時に位置検出装置20と制御盤11とが行う動作についてのフローチャートが示される。
【0036】
ステップS1において、位置検出装置20は、複数の検知器23のいずれかが圧力を検知したか否かを判定する。この際、位置検出装置20は、検知器23から信号を受信した場合に、当該検知器23が圧力を検知したと判定する。
【0037】
ステップS1で、検知器23が圧力を検知したと判定されない場合、ステップS1の動作が繰り返される。
【0038】
ステップS1で、検知器23が圧力を検知したと判定された場合、ステップS2の動作が行われる。ステップS2において、位置検出装置20は、圧力を検知した検知器23の位置を特定し、かご8の位置を検出する。位置検出装置20は、かご8の位置情報を制御盤11に送信する。制御盤11は、位置検出装置20からの位置情報に基づいて、かご8の現在の状態を判断する。具体的には、制御盤11は、かご8がいずれかの階床を通過した状態、かご8がいずれかの階床に着床した状態、かご8が昇降路2における上限位置に到達した状態、かご8が昇降路2における下限位置に到達した状態、等のどのような状態にあるかを判断する。
【0039】
その後、ステップS3の動作が行われる。ステップS3において、制御盤11は、ステップS2で判断したかご8の状態に基づいて、かご8の位置を制御する。
【0040】
その後、ステップS1以降の動作が繰り返される。
【0041】
次に、図6を用いて、エレベーター装置1で行われる制御を説明する。
図6は実施の形態1におけるエレベーター装置の異常診断の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図6に示されるように、ステップS11において、制御器22は、複数の検知器23のいずれかが圧力を検知した否かを判定する。
【0043】
ステップS11で、検知器23が圧力を検知したと判定されない場合、ステップS11の動作が繰り返される。
【0044】
ステップS11で、検知器23が圧力を検知したと判定された場合、ステップS12の動作が行われる。ステップS12において、制御器22は、蓄積した情報に基づいて、信号が示す圧力値の適正値の範囲を演算する。制御器22は、ステップS11で受信した信号の圧力値が適正値の範囲内であるか否かを判定する。
【0045】
ステップS12で、圧力値が適正値の範囲内であると判定された場合、ステップS13の動作が行われる。ステップS13において、制御器22は、ステップS11で受信した信号の情報を蓄積部に蓄積する。その後、制御器22は、ステップS11以降の動作を繰り返す。
【0046】
ステップS12で、圧力値が適正値の範囲内でないと判定された場合、ステップS14の動作が行われる。ステップ14において、制御器22は、蓄積した情報に基づいて、圧力値の異常値を演算する。制御器22は、蓄積した情報と演算した異常値と圧力値とに基づいて、当該信号を発信した検知器23からの信号の圧力値が当該検知器23から前回受信した圧力値と比べて異常値に近づいたか否かを判定する。
【0047】
ステップS14で、異常値に近づいたと判定された場合、ステップS15の動作が行われる。ステップS15において、制御器22は、管理センターに交換指示を報知する。具体的には、制御器22は、監視装置12を介して、当該検知器23を交換する指示を示す情報を管理センターに設けられた装置に報知する。
【0048】
ステップS14で異常値に近づいたと判定されなかった場合、またはステップS15の動作が行われた場合、ステップS16の動作が行われる。ステップS16において、制御器22は、ステップS11で受信した信号が示す圧力値が異常値よりも異常範囲に存在するか否かを判定する。具体的には、異常値が圧力値の上限を示す場合、制御器22は、圧力値が異常値を超えたか否かを判定する。異常値が圧力値の下限を示す場合、制御器22は、圧力値が異常値を下回ったか否かを判定する。
【0049】
ステップS16で、圧力値が異常範囲に存在しないと判定された場合、ステップS13以降の動作が行われる。
【0050】
ステップS16で、圧力値が異常範囲に存在すると判定された場合、ステップS17の動作が行われる。ステップS17において、制御器22は、異常を検出する。制御器22は、かご8を停止させる指令を制御盤11に送信する。制御器22は、監視装置12を介して、異常を検出したことを示す情報を管理センターに設けられた装置に送信することで管理センターに報知する。
【0051】
その後、制御器22は、ステップS13以降の動作を行う。
【0052】
以上で説明した実施の形態1によれば、エレベーター装置1は、かご8とガイドレール5と案内体であるガイドシュー10と位置検出装置20とを備える。位置検出装置20は、検知器23と制御器22とを備える。検知器23は、ガイドシュー10と接するような位置に設けられる。例えば、従来であれば、かごの位置を検出するために、昇降路の内部に突き出すように検出板が設けられる。また、昇降路における上限位置、下限位置、等の位置に位置検出装置が設けられる。この場合、これらの位置検出装置を押すためのカムが、かごに設けられる。これらの位置検出のための機器は、昇降路の水平投影面においてかごの側に突き出すように設けられるまたはかごから昇降路の壁側に突き出すように設けられる。一方で、かごに設けられる各機器は、位置検出のための機器と干渉しないように配置される必要がある。他方、実施の形態1のエレベーター装置1において、これらの位置検出のための機器が不要となる。実施の形態1の検知ユニット21は、ガイドレール5の近傍に設けられる。一般的に、ガイドレール5とガイドシュー10との間に設けられる機器は少ない。このため、昇降路の水平投影面における機器のレイアウトの制約を緩和できる。当該制約を緩和できるため、昇降路の水平断面の面積を小さくすることができる。
【0053】
さらに、従来の位置検出のための機器は、部品数が多い。実施の形態1のエレベーター装置1によれば、位置検出のための機器を据え付ける作業、当該機器の位置を調整する作業、当該機器の保守作業、等の作業において必要な時間、費用、人手、等のコストを削減できる。
【0054】
また、位置検出装置20は、保持体25を備える。保持体25は、検知器23の位置をガイドレール5の表面に保持する。保持体25は、ガイドレール5に対して着脱自在に設けられる。このため、検知ユニット21の取り付け作業、交換作業、等を容易に行うことができる。
【0055】
また、位置検出装置20は、蓄積した情報と検知器23からの信号とに基づいて、検知器23を交換すべきか否かを判定する。位置検出装置20は、交換すべきと判定した場合に、その旨を報知する。具体的には、位置検出装置20は、交換すべきと判定した旨を管理センターに報知する。このため、検知ユニット21の故障を早期に発見できる。または、検知ユニット21が故障する前に未然に交換することができる。
【0056】
また、案内体であるガイドシュー10は、第1案内部である案内部10aと第1押圧部である押圧部10bとを備える。このため、ガイドシュー10は、案内部10aによってかご8を案内した状態で、押圧部10bによって検知器23に圧力を与えることができる。また、押圧部10bが設けられない場合よりも、ガイドシュー10と検知器23とが接触する際に発生する振動を抑制することができる。これは、ガイドシュー10が検知器23に乗り上げることを抑制できるためである。
【0057】
なお、検知器23は、接着剤、粘着剤、等の接合剤によってガイドレール5に接合されてもよい。この場合、保持体25は、設けられなくてもよい。
【0058】
なお、ガイドレール5の側方におけるガイドシュー10と頭部5bとの間隔は、検知器23がガイドシュー10と接触し得るような間隔で設定されてもよい。
【0059】
なお、位置検出装置20は、釣合おもり9の位置を検出するよう設けられてもよい。
【0060】
次に、図7図8とを用いて、実施の形態1の変形例を説明する。
図7は実施の形態1の変形例におけるエレベーター装置の要部の水平断面図である。図8は実施の形態1の変形例におけるエレベーター装置の要部の水平断面を拡大した図である。
【0061】
図7に示されるように、実施の形態1の変形例において、かご8には、複数の案内体として複数のローラガイドユニット30を備える。かご8には、4つのローラガイドユニット30が設けられる。図7には、4つのローラガイドユニット30のうちの1つが示される。ローラガイドユニット30は、ガイドレール5と接触することで、ガイドレール5に対してかご8を案内する。
【0062】
4つのローラガイドユニット30の各々は、ローラガイド31、32および検知ローラガイド33を備える。
【0063】
ローラガイド31とローラガイド32とは、同様の構成を備える。ローラガイド31、32は、円錐状のローラ31a、32aそれぞれを備える。ローラガイド31、32は、ローラ31a、32aの外周に第1案内部31b、32bをそれぞれ備える。ローラガイド31、32は、ローラ31a、32aをガイドレール5に押し当てることで、第1案内部31b、32bをガイドレール5に接触させる。このようにして、ローラガイド31、32は、ガイドレール5に対してかご8を案内する。
【0064】
検知ローラガイド33は、ガイドレール5の第1面5cに対向する。検知ローラガイド33は、円盤状のローラ33aを備える。検知ローラガイド33は、ローラ33aの外周に第1案内部33bを備える。第1案内部33bは、第1面5cに対向する。検知ローラガイド33は、ローラ33aの外周に第1押圧部33cを備える。第1押圧部33cは、第1面5cに対向する。第1押圧部33cは、ローラ33aの外周に、全周に渡って設けられた切欠きである。即ち、第1押圧部33cは、ローラ33aの全周で第1案内部33bに対して窪む。例えば、第1押圧部33cの底面と第1案内部33bの底面との距離は、検知器23の厚みと等しい。図7に示されるように、かご8が検知器23に対応する位置に存在する場合、第1押圧部33cの一部は、検知器23に対向する。
【0065】
図8は、かご8が検知器23に対応する位置を通過したときの要部を示す。検知ローラガイド33は、ローラ33aをガイドレール5に押し当てる。この状態において、第1案内部33bの一部は、ガイドレール5の第1面5cと接する。第1押圧部33cの底面の一部と検知器23とは接触する。この際、検知器23は、ガイドレール5と第1押圧部33cとに挟まれた状態で、第1押圧部33cから圧力を受ける。
【0066】
以上で説明した実施の形態1の変形例において、エレベーター装置1は、案内体として、ガイドシュー10でなく、ローラガイドユニット30を備える。この場合も、ガイドシュー10の場合と同様に、位置検出装置20によってかご8の位置を検出することができる。この際、ローラガイドユニット30は、ローラ33aをガイドレール5に押し当てる。このため、検知器23の検知の精度が向上する。
【0067】
次に、図9を用いて、制御器22を構成するハードウェアの例を説明する。
図9は実施の形態1におけるエレベーター装置の制御器のハードウェア構成図である。
【0068】
制御器22の各機能は、処理回路により実現し得る。例えば、処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。例えば、処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える。
【0069】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える場合、制御器22の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリ100bに格納される。少なくとも1つのプロセッサ100aは、少なくとも1つのメモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御器22の各機能を実現する。少なくとも1つのプロセッサ100aは、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、少なくとも1つのメモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0070】
処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。例えば、制御器22の各機能は、それぞれ処理回路で実現される。例えば、制御器22の各機能は、まとめて処理回路で実現される。
【0071】
制御器22の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、受信した信号の情報を蓄積する機能については専用のハードウェア200としての処理回路で実現し、受信した信号の情報を蓄積する機能以外の機能については少なくとも1つのプロセッサ100aが少なくとも1つのメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0072】
このように、処理回路は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御器22の各機能を実現する。
【0073】
図示されないが、制御盤11の各機能も、制御器22の各機能を実現する処理回路と同等の処理回路で実現される。
【0074】
実施の形態2.
図10は実施の形態2におけるエレベーター装置の要部の水平断面を拡大した図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0075】
実施の形態2において、ガイドレール5は、第1面5cに第2案内部5dと第2押圧部5eとを備える。第2案内部5dは、実施の形態1における第1面5cの表面と同じである。
【0076】
第2押圧部5eは、検知器23の位置に設けられた切欠き溝である。即ち、第2押圧部5eは、第2案内部5dに対して窪む。第2押圧部5eの底面と第2案内部5dの面との距離は、検知器23の厚みに等しい。図示されないが、複数の第2押圧部5eが、複数の検知器23の位置に設けられる。
【0077】
検知器23は、第2押圧部5eの内部に設けられる。例えば、検知器23は、第2押圧部5eの底面に接合剤で貼り付けられる。この際、信号線24は、ガイドレール5の内部を通されてもよい。
【0078】
図10は、かご8が検知器23に対応する位置を通過したときの要部を示す。この状態において、第2案内部5dの一部は、ガイドシュー10と接する。検知器23とガイドシュー10とは接触する。この際、検知器23は、ガイドレール5の第2押圧部5eとガイドシュー10とに挟まれた状態で、ガイドシュー10から圧力を受ける。
【0079】
以上で説明した実施の形態2によれば、ガイドレール5は、第2案内部5dと第2押圧部5eとを有する。検知器23は、第2押圧部5eの内部に設けられる。このため、ガイドシュー10は、第2案内部5dと接することでかご8を案内した状態で、検知器23に圧力を与えることができる。
【0080】
なお、実施の形態1および2の位置検出装置20は、制御盤11の内部に設けられなくてもよい。また、位置検出装置20は、制御盤11でなく、かご8の速度を監視する安全装置に接続されてもよく、当該安全装置の内部に設けられてもよい。この場合、安全装置は、位置検出装置20からの情報に基づいて、かご8の位置を検出してもよい。
【0081】
なお、実施の形態2において、ガイドシュー10は、押圧部10bを有してもよい。この場合、押圧部10bと第2押圧部5eとの距離が検知器23と等しくなくてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 エレベーター装置、 2 昇降路、 3 機械室、 4 乗場、 5 ガイドレール、 5a フランジ部、 5b 頭部、 5c 第1面、 5d 第2案内部、 5e 第2押圧部、 6 巻上機、 7 主ロープ、 8 かご、 9 釣合おもり、 10 ガイドシュー、 10a 案内部、 10b 押圧部、 11 制御盤、 12 監視装置、 20 位置検出装置、 21 検知ユニット、 22 制御器、 23 検知器、 24 信号線、 25 保持体、 25a 第1保持部、 25b 第2保持部、 26 圧力検知体、 27 被覆体、 30 ローラガイドユニット、 31 ローラガイド、 31a ローラ、 31b 第1案内部、 32 ローラガイド、 33 検知ローラガイド、 33a ローラ、 33b 第1案内部、 33c 第1押圧部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
図1
図2
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図6
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図10