(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】洗車機
(51)【国際特許分類】
B60S 3/04 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
B60S3/04
(21)【出願番号】P 2022008673
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】水谷 圭介
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛大
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-213663(JP,A)
【文献】特開2008-254554(JP,A)
【文献】特開2004-074938(JP,A)
【文献】特開2017-210007(JP,A)
【文献】特開2021-070387(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0279385(US,A1)
【文献】特開2020-019381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00-3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗浄する洗車機本体と、
前記洗車機本体を制御する制御部と、
前記車両の自走を判定する自走判定部と、を備え、
前記洗車機本体は、前記車両を検出するセンサを含み、
前記制御部は、前記センサに
所定地点を横切る前記車両
の高さを検出させるように制御し、
前記自走判定部は、前記洗車機本体が前記車両を洗浄する期間の少なくとも一部である所定期間における前記センサによる前記車両の
前記高さの検出結果の
経時変化に応じて前記車両の自走を判定する洗車機。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも前記洗車機本体の移動が停止している期間に、前記センサに前記車両
の前記高さを検出させるように制御し、
前記自走判定部は、前記洗車機本体の移動が停止している期間の少なくとも一部の期間における前記センサによる前記車両の
前記検出結果の
経時変化に応じて前記車両の自走を判定する請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記制御部は、少なくとも前記洗車機本体が移動している期間に、前記センサに前記車両
の前記高さを検出させるように制御し、
前記自走判定部は、前記洗車機本体が移動している期間の少なくとも一部の期間における前記センサによる前記車両の
前記検出結果の
経時変化に応じて前記車両の自走を判定する請求項1または2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記制御部は、少なくとも、前記所定期間の一部である第1期間と、前記所定期間の一部かつ前記第1期間よりも後の期間である第2期間と、において、前記センサに前記車両
の前記高さを検出させるように制御し、
前記自走判定部は、前記第1期間の少なくとも一部の期間における前記センサによる前記車両の
前記検出結果の
経時変化と、前記第2期間の少なくとも一部の期間における前記センサによる前記車両の
前記検出結果の
経時変化と、を比較することにより、前記車両の自走を判定する請求項1から3の何れか1項に記載の洗車機。
【請求項5】
前記車両の上下方向に並ぶ複数の前記センサを備え、
前記自走判定部は、前記所定期間における前記車両を検出した前記センサの個数の
経時変化に応じて前記車両の自走を判定する請求項1から
4の何れか1項に記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を洗浄する洗車機、および当該洗車機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に対し相対移動しつつ当該車両を洗浄する洗車機が、車両の自走を判定する技術について記載されている。特に、特許文献1には、車両の前後方向に互いに離れた2つの車体センサのそれぞれが車両を検出した時点における本体フレームの位置に基づいて、車両の自走を判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術によって車両の自走を判定するためには、2つの車体センサのそれぞれが車両を検出した時点における本体フレームの位置が得られる必要がある。ここで、一般に、洗車機本体による車両の洗浄の前に車両の形状を特定することを目的として、車形センサは洗車機本体の前面側に設置されていることが多い。したがって、車両の停止位置によっては洗車機本体による車両の洗浄前に既に車両の前端が車形センサより洗車機本体の内部側に位置している場合がある。
【0005】
この場合、洗車機本体が車両を洗浄するために車両に対し相対移動を開始した後に、自走の判定の基準となる車両の前端等を車形センサによって正しく検出することができない。ゆえに、特許文献1に記載された技術では、各車体センサが車両を検出した時点における本体フレームの位置を特定することができず、車両の自走を正しく判定することができない場合がある。
【0006】
また、特許文献1に記載された技術によって車両の自走を判定するためには、車両の前後方向に互いに離れた2つのセンサの双方が車両を検出する必要がある。したがって、特許文献1に記載された技術では、車両の自走の判定に必要な時間が長くなる、あるいは、当該判定の回数が減る場合があり、このために車両の自走の判定精度が低下する場合がある。
【0007】
このように、センサが車両を検出した時点における情報のみに基づいて、当該車両の自走の判定を行う場合、自走の判定精度が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る洗車機は、車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗浄する洗車機本体と、前記洗車機本体を制御する制御部と、前記車両の自走を判定する自走判定部と、を備え、前記洗車機本体は、前記車両を検出するセンサを含み、前記制御部は、前記センサに前記車両を検出させるように制御し、前記自走判定部は、前記洗車機本体が前記車両を洗浄する期間の少なくとも一部である所定期間における前記センサによる前記車両の検出結果の変化に応じて前記車両の自走を判定する洗車機。
【0009】
また、本開示の一態様に係る洗車機の制御方法は、車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗浄する洗車機本体を備えた洗車機の制御方法であって、前記洗車機本体は、前記車両を検出するセンサを含み、前記洗車機本体に前記車両を洗浄させる洗浄工程と、前記洗浄工程の少なくとも一部の期間である所定期間において、前記センサに前記車両を検出させる検出工程と、前記所定期間における前記センサによる前記車両の検出結果の変化に応じて前記車両の自走を判定する自走判定工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
洗浄対象である車両をセンサが検出した時点における検出結果のみならず、ある所定期間におけるセンサによる車両の検出結果の変化を考慮するため、車両の自走の判定を精度よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係る案内工程における洗車機の制御方法を説明するための工程側面図である。
【
図2】実施形態1に係る洗車機を示す概略側面図、および概略正面図である。
【
図3】実施形態1に係る洗車機の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】実施形態1に係る案内工程における洗車機の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図5】実施形態1に係る第1洗浄工程における洗車機の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】実施形態1に係る第1洗浄工程における洗車機の制御方法を説明するための工程側面図である。
【
図7】実施形態1に係る第2洗浄工程における洗車機の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図8】実施形態1に係る第1洗浄工程と第2洗浄工程とにおいて得られた車両の高さデータをプロットしたグラフの例である。
【
図9】実施形態2に係る案内工程における洗車機の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図10】実施形態2に係る案内工程における洗車機の制御方法を説明するための工程側面図である。
【
図11】実施形態3に係る第2洗浄工程における洗車機の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【
図12】実施形態3に係る第1洗浄工程と第2洗浄工程とにおいて得られた車両の高さデータをプロットしたグラフの他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
<洗車機の概要>
図2は、本実施形態に係る洗車機2が備える、洗車機本体4とリモートパネル6との概略側面2S、および洗車機本体4の概略正面4Fを示す模式図である。本実施形態に係る洗車機2は、
図2に示すように、被洗浄車両である車両Xの洗車を行う洗車機本体4を備える。洗車機2は、さらに、洗車機本体4による車両Xの洗車条件を取得するリモートパネル6を備える。概略側面2Sにおいては、車両Xがリモートパネル6よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示す。
【0013】
なお、本明細書においては、車両Xとしてセダンタイプの車両を例に挙げて説明する。例えば、車両Xは、その上面に、ボンネット、フロントガラス、ルーフ、リアガラス、およびトランクを前側から順に備える。ただし、本明細書において、車両Xの種類および形状は、洗車機本体4によって洗浄可能である限り特に制限されない。
【0014】
概略正面4Fに示すように、洗車機本体4は、例えば、2つのフレーム8と、当該2つのフレーム8の上端同士を連結する天井部10とを備える。洗車機本体4は、概略側面2Sに示す、車両Xの進入方向DAに沿って、車両Xが、フレーム8および天井部10によって囲まれた空間4Sを通過できる構造を有している。なお、本明細書において、進入方向DAは、洗車機本体4の前面4Aから後面4Bに向かう方向とする。なお、本実施形態において、前面4Aは、例えば、後述する操作パネル42が備えられる面である。
【0015】
<洗車機本体>
洗車機本体4は、フレーム8のそれぞれの下部に車輪12を有し、図示しない駆動部によって当該車輪12を回転駆動することにより、地面Gに配されたレールRに沿って、車両Xに対し前後方向に相対移動する。レールRは、例えば、進入方向DAに沿って形成されている。ここで、洗車機本体4は、車両Xに対する相対移動を行いつつ、空間4S中の車両Xに対する洗浄を実施する。
【0016】
洗車機本体4には、清掃部の1つとして、車両X上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。例えば、洗車機本体4が備える回転ブラシは、それぞれが回転モータ(不図示)によって回転するトップブラシ14、サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18を含む。トップブラシ14は、車両Xの上面に沿って摺動し、車両Xの上面を洗浄する。サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18は、車両Xの両側面を洗浄する。
【0017】
洗車機本体4の側部には、洗剤またはワックス等を含む各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部20が配される。タンク収納部20の上方には、市水を含む水、または各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部22が設けられる。分配配管部22からは、清掃部に含まれる、第1浄水ノズル24、第2浄水ノズル26、第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30、撥水コートノズル32、およびワックスノズル34がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0018】
第1浄水ノズル24、および第2浄水ノズル26は、洗車機本体4の各フレーム8の前面4A側、および後面4B側にそれぞれ配され、車両Xに対して市水を含む水を噴射する。第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30は、各フレーム8の前面4A側、および後面4B側にそれぞれ配され、車両Xに対してシャンプー等を含む洗浄液を噴射する。撥水コートノズル32およびワックスノズル34は洗車機本体4の後面4Bに配される。撥水コートノズル32は車両Xに対して撥水コート剤の液剤を噴射する。ワックスノズル34は車両Xに対してワックスを噴射する。
【0019】
また、洗車機本体4には、気流を発生して車両Xを乾燥させるブロワ36が設けられる。ブロワ36にはトップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40が接続される。トップ送風ノズル38は、洗車機本体4の中央上部に設けられ、車両Xの天井面に向けて送風する。サイド送風ノズル40は、洗車機本体4の両側部に設けられ、車両Xの側面に向けて送風する。洗車機本体4は、トップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40の送風によって、洗浄後の車両Xを乾燥させる。
【0020】
なお、
図2においては、図示の簡単のために、上述した、洗車機本体4が備える、車両Xの洗浄のための各装置に関する図示を省略している場合がある。また、
図2に示す、洗車機本体4が備える各装置は、単なる例示であり、洗車機本体4は、上述した装置の他、従来公知の構成を含む、車両Xの洗浄のための装置、および当該洗浄を補助する装置を、フレーム8または天井部10に備えていてもよい。
【0021】
洗車機本体4の一方のフレーム8の前面には操作パネル42が配される。操作パネル42は洗車条件を設定する操作ボタン(不図示)を備える。例えば、車両Xから降車したユーザ、またはその他の技術者等は、操作ボタンを操作して、洗車条件の設定等を行ってもよい。
【0022】
<制御部およびリモートパネル>
さらに、洗車機2は、洗車機本体4を制御する制御部44を備える。特に、制御部44は、洗車機本体4のレールRに沿った移動、および、清掃部の各部の動作を制御することにより、洗車機本体4による車両Xの洗浄を制御する。制御部44は、
図2に示すように、洗車機本体4に備えられていてもよく、あるいは、洗車機本体4の外部に位置していてもよい。制御部44は、不図示の通信装置等により、洗車機本体4または後述するリモートパネル6との間における情報の送受信を行い、洗車機本体4を制御してもよい。制御部44は、例えば、CPU等のプロセッサで構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上で実行されることにより、各制御が実現される。
【0023】
リモートパネル6は、例えば、洗車機本体4の前方側に位置し、おおよそ洗車機本体4の移動方向に沿って配置される。また、リモートパネル6は、
図2に示すように、その正面が、洗車機本体4により洗浄される前、換言すれば、洗車機本体4の内部に進入する前の車両Xの側面と対向するように配置される。このため、
図2においては、リモートパネル6の背面を図示している。
【0024】
図2に示すように、リモートパネル6は、筐体46と、地面Gに立設された、筐体46を支持する支持柱48とを備える。リモートパネル6は、筐体46に設けられた、不図示のタッチパネルまたはボタン等の操作により、洗車機本体4による車両Xの洗車条件の少なくとも一部を取得してもよい。制御部44は、リモートパネル6が取得した洗車条件の少なくとも一部に基づいて、洗車機本体4を制御し、車両Xを洗浄してもよい。
【0025】
<センサ>
洗車機本体4は、さらに、センサとして出口センサ50と車形センサ52とを備える。出口センサ50は、上述したサイドブラシ16よりも洗車機本体4の後面4Bの側に位置し、車形センサ52は、サイドブラシ16よりも洗車機本体4の前面4Aの側に位置する。
【0026】
ここで、一般に、洗車機2が位置する洗車場に車両Xが進入し停止する際、
図2に示すように、車両Xは洗車機本体4の前側に、かつ、洗車機本体4に前方を向けて停止する。このため、一般に、車両Xは洗車機本体4の前面4Aから後面4Bへの方向に前方を向けた状態において、洗車機本体4により洗浄される。したがって、洗車機本体4による車両Xの洗浄の間、
図2に示すように、出口センサ50はサイドブラシ16よりも車両Xの前後方向における前方側に位置し、車形センサ52はサイドブラシ16よりも車両Xの前後方向における後方側に位置する。
【0027】
出口センサ50は、洗車機本体4による車両Xの洗浄が完了した後、洗車場から車両Xが退出したか否かを検出するセンサである。出口センサ50は、例えば、光軸センサであってもよい。換言すれば、出口センサ50は、ある光学素子から出射された赤外線等の電磁波を、当該光学素子に対応する光学センサが検出するか否かを判定することにより、当該光学素子および光学センサの間に物体が存在するか否かを判定するセンサであってもよい。この場合、出口センサ50は、光学素子からの電磁波等が光学センサによって検出されなかった場合、当該光学素子および光学センサの間に車両Xが存在していると判定してもよい。
【0028】
例えば、制御部44は、洗車機本体4による車両Xの洗浄が完了した後、洗車機本体4を車両Xの後方付近に移動させた後、洗車機本体4のスピーカからの音声または洗車機本体4のモニターの映像等により車両X内のユーザに退出を案内してもよい。ここで、車両Xの洗浄完了後における洗車機本体4の位置は、出口センサ50が車両Xを検出する位置であってもよい。この場合、ユーザが車両Xを洗車場の外に移動させた場合、出口センサ50は車両Xを検出しなくなる。なお、車両Xは前進して洗車機本体4の後面4B側に空間4Sを通り抜けることにより洗車場から退出してもよい。あるいは、車両Xは後進して洗車機本体4の前面4A側に向かって空間4Sから出ることにより洗車場から退出してもよい。
【0029】
したがって、出口センサ50は、車両Xの洗浄完了後、車両Xを検出しなくなったことから、洗車場からの車両Xの退出を検出してもよい。制御部44は、出口センサ50が洗車場からの車両Xの退出を検出した後、次の車両Xの洗浄を受け付けるために洗車機本体4の移動を含む各部の制御を行ってもよい。
【0030】
車形センサ52は、洗浄する対象である車両Xの外形を測定するためのセンサである。特に、車形センサ52は、所定地点を横切る車両Xの高さを検出する。例えば、車形センサ52は、洗車機本体4のフレーム8の前面側かつ空間4S側において、2つのフレーム8にそれぞれ発光部と受光部とが一対となるように配置された、多軸光軸センサで構成されていてよい。ここで多軸光軸センサにおいて、上下方向に複数の光軸が並ぶように、かつ、各光軸が略水平面上になるように、個々の光軸センサが配置される。よって、多軸光軸センサにおける個々の光軸センサは、異なる高さにおける車両の有無を検知できるように構成されている。この場合、車形センサ52は、例えば、洗車機本体4が車両Xの前側から後側に相対移動する間、車両Xを検出する光軸センサの個数を確認することにより、車両Xの高さを検出してもよい。
【0031】
これにより、洗車機本体4は、車形センサ52が含む多軸光軸センサのうち車両Xを検出する光軸センサの個数の変化から、平面視における位置ごとに車両Xの高さを推定することができる。換言すれば、車形センサ52は、車両Xの形状の少なくとも一部を推定するための情報を生成する。これにより、車形センサ52は、平面視における位置ごとに車両Xの外形の少なくとも一部を割り出してもよい。制御部44は、車形センサ52により割り出された車両Xの外形に基づいて、清掃部の各部を制御し車両Xの洗浄を行ってもよい。
【0032】
洗車機本体4は、さらに、自走判定部54を備える。自走判定部54は、車両Xが自走しているか否かを判定する。自走判定部54による車両Xの自走の判定方法、および自走判定部54により車両Xが自走していると判定された場合における制御部44による洗車機本体4の制御については後に詳述する。
【0033】
<受付工程>
洗車機2を用いた車両Xの洗浄方法について、
図3を参照し、当該洗車機2の制御方法を説明することにより説明する。
図3は、洗車機2の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0034】
本実施形態に係る洗車機2の制御方法においては、はじめに、受付工程として、制御部44が洗車機本体4またはリモートパネル6の各部を制御し、車両Xのユーザ等からの車両Xの洗車の要求を受け付ける(ステップS2)。
【0035】
受付工程における洗車機2の各部の制御方法について、
図1および
図4を参照してより詳細に説明する。
図1および
図4は、それぞれ、受付工程における洗車機2の各部の制御方法について説明するための工程側面図およびフローチャートである。本実施形態においては、
図1および
図4を参照して、受付工程における車両Xの自走を判定するための洗車機2の制御方法についても説明する。
【0036】
なお、
図1においては、説明の簡単のため、洗車機2の各部のうち一部のみを抜き出して説明する。特に、
図1においては、洗車機本体4の各部のうち、フレーム8を示し、また、車形センサ52、および自走判定部54についてのみフレーム8を透過して示す。さらに、
図1においては、車両Xを点線にて示し、洗車機本体4と車両Xとが洗車機本体4の側方からみて重なる場合、車両Xについて洗車機本体4を透過して示す。また、
図1に示す洗車機本体4および車両Xの各部は、
図2等に示す洗車機本体4および車両Xの各部と比較して形状を簡略化している場合がある。
【0037】
受付工程においては、はじめに、
図4に示すように、制御部44が洗車機本体4またはリモートパネル6の各部を制御し、車両Xのユーザ等からの車両Xの洗車条件を取得する(ステップS2-2)。例えば、制御部44が、リモートパネル6または操作パネル42を制御し、上記ユーザからのリモートパネル6または操作パネル42等の操作を受け付ける。これにより、洗車機2は、車両Xの洗車条件の設定、および洗車料金の支払い等の情報をユーザから取得する。
【0038】
次いで、制御部44は、洗車機本体4のスピーカまたは洗車機本体4のモニターを制御し、車両X内のユーザに、車両Xを所定位置まで移動させ停止させるよう案内する(ステップS2-4)。これにより、車両Xは、例えば、
図1のステップS2-Aに示すように、洗車機本体4の前方側に停止する。
【0039】
なお、
図1において点線にて示す位置A1は、ステップS2-4の完了時点、換言すれば、車両Xが案内され停止した時点において、洗車機本体4の移動方向における前端XAが存在する位置を示す。換言すれば、ステップS2-4以降、車両Xが自走していない場合、車両Xの前端XAは位置A1上に存在し続ける。なお、
図1に示す各ステップは、洗車機本体4の移動方向における位置A1の位置が変わらないように図示されている。
【0040】
次いで、制御部44は、洗車機本体4を制御し、洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備を開始する(ステップS2-6)。本実施形態において、洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備とは、洗車機本体4の車両Xに対する相対移動の開始以前に実行するべき処理を実行することを含む。例えば、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、車両Xの洗浄の準備として、車両Xへ上述したノズルの何れかから液体を噴射させることによる予備放水を行ってもよい。なお、本実施形態においては、車両Xの停止を案内してから、洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備を行う期間についても、車両Xを洗浄する洗浄工程に含まれるものとする。
【0041】
<受付工程における車両の検出工程>
車両Xの洗浄の準備を開始したのち、制御部44は、例えば、洗車機本体4の制御内容から、洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が完了したかを判断する(ステップS2-8)。ステップS2-8において、洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が未だ完了していないと判断された場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じ、車形センサ52が車両を検出しているかを判断する(ステップS2-10)。
【0042】
例えば、車形センサ52が含む光軸センサのうち何れも車両Xを検出していない場合、制御部44は、車形センサ52により車両Xは検出されていないと判断する。この場合、制御部44は、例えば、洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備を引き続き進めつつ、所定時間待機し(ステップS2-12)、次いで、再度ステップS2-8の判断を行う。一方、車形センサ52が含む光軸センサのうちの何れかが車両Xを検出している場合、制御部44は、車形センサ52により車両Xが検出されていると判断する。換言すれば、洗車機本体4の移動が停止している受付工程における期間のうち、制御部44が車形センサ52により車両Xが検出されていると判断する期間は、制御部44が車形センサ52に車両Xを検出させるように制御する検出工程に含まれる。
【0043】
ここで、例えば、
図1のステップS2-Aに示すように、ステップS2-4において、車両Xが洗車機本体4の前方側に停止し、車両Xが自走していない場合、洗車機本体4が車両Xに対し移動しない限り、車形センサ52は車両Xを検出することはない。したがって、車両Xが洗車機本体4の前方側に停止し、かつ、車形センサ52が車両Xを検出していない場合は、少なくとも車両Xの前進自走はないと判断できる。
【0044】
一方、車両Xが洗車機本体4の前方側に停止した後、車両Xが前進自走した場合、
図1のステップS2-Bに示すように、車形センサ52が車両Xを検出する位置まで車両Xが自走する場合がある。この場合、車形センサ52による車両Xの検出の有無から、車両Xの自走を判断できる。
【0045】
しかしながら、ステップS2-4における、洗車機本体4に対する車両Xの停止位置によっては、
図1のステップS2-Cに示すように、車両Xの停止直後に、既に車形センサ52によって車両Xが検出されている場合がある。この場合、車両Xが前進自走していない場合においても、車形センサ52は車両Xを検出する。さらに、
図1のステップS2-Dに示すように、車両Xの停止直後、車形センサ52によって車両Xが検出されたのち、車両Xが前進自走する場合がある。この場合、車両Xが前進自走している場合においても、車形センサ52による車両Xの検出の有無は変化しない。このため、ある一時点における車形センサ52による車両Xの検出の有無の情報のみでは、車両Xの自走を判断できない場合がある。
【0046】
<受付工程における車両の高さの経時変化>
ここで、本実施形態においては、ステップS2-10において、車形センサ52により車両Xが検出されていると制御部44が判断した場合においても、自走判定部54は車両Xの自走を即座には判定しない。代わりに、制御部44は、
図4に示すように、洗車機本体4の制御を通じ、車形センサ52が検出している車両Xの部分における高さを取得する(ステップS2-14)。例えば、制御部44は、車形センサ52が含む光軸センサのうち、車両Xを検出している光軸センサの個数を取得することにより、車両Xの当該高さを取得してもよい。
【0047】
次いで、自走判定部54は、制御部44が、直前のステップS2-14にて取得した車両Xの高さと、前回のステップS2-14にて取得した車両Xの高さとの差が、所定範囲内かを判断する(ステップS2-16)。ここで、ステップS2-16が初めて実行される場合には、比較する2つの車両Xの高さを取得できていないため、判断を行わずステップS2-12を実行する。このため、再度ステップS2-14が実行されるまで車両Xの洗浄の準備が未完了でありかつ車形センサ52が車両Xを検出している限りは、再度ステップS2-14にて車両Xの高さが取得され、2つの車両Xの高さを比較することができるようになる。
【0048】
例えば、
図1のステップS2-Bに示すように、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの部分は、ボンネットからルーフへと次第に変化する。これに伴い、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さについても経時的に変化する。
【0049】
一方、
図1のステップS2-Cに示すように、車両Xの案内直後に既に車形センサ52が車両Xを検出していても、車両Xが前進自走していない場合、車形センサ52が検出する車両Xの部分はほとんど変化しない。これに伴い、車両Xの停止時に既に車形センサ52が車両Xを検出していても、車両Xが前進自走していない場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さについてもほとんど変化しない。
【0050】
さらに、
図1のステップS2-Dに示すように、車両Xの案内直後に既に車形センサ52が車両Xを検出し、かつ、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの部分は次第に変化する。これに伴い、車両Xの停止時に既に車形センサ52が車両Xを検出し、かつ、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さについても経時的に変化する。
【0051】
したがって、車形センサ52が車両Xを検出し、かつ、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さは次第に変化する。一方、車両Xが前進自走していない場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さはほとんど変化しない。ゆえに、ステップS2-16において、自走判定部54は、互いに異なる時刻にそれぞれ取得された2つの車両Xの高さの変化を比較することにより、車両Xの前進自走の有無を判断することができる。
【0052】
さらに、車両Xの停止時に既に車形センサ52が車両Xを検出し、かつ、車両Xが後進自走した場合にも、車形センサ52が検出する車両Xの高さは経時的に変化する。ゆえに、車両Xの停止時に既に車形センサ52が車両Xを検出している場合には、ステップS2-16において、自走判定部54は、上述した2つの車両Xの高さの変化を比較することにより、車両Xの後進自走の有無を判断することもできる。
【0053】
<自走カウンタ>
ステップS2-16にて、取得した2つの車両Xの高さの差が所定範囲内にある場合に、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性は低い、または、車両Xの自走距離は通常の洗浄に大きな影響がないと判定する。この場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、ステップS2-12に移行する。一方、ステップS2-16にて、取得した2つの車両Xの高さの差が所定範囲内にない場合、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性が高いと判定する。換言すれば、ステップS2-16は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。
【0054】
ステップS2-16において、自走判定部54が車両Xの自走の可能性が高いと判定した場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じ、洗車機本体4が備える図示しない記録部に記録される自走カウンタを1増やす(ステップS2-18)。自走カウンタは、例えば、ステップS2の開始時点において0であり、ステップS2-18が実行される度に1ずつ増加する値である。制御部44は、例えば、ステップS2-18が実行される度に、洗車機本体4が備える図示しない記録部に、自走カウンタを1増やした値を記録してもよい。
【0055】
ステップS2-18に次いで、自走判定部54は自走カウンタの値を確認し、当該自走カウンタが所定値に達したかを判定する(ステップS2-20)。自走判定部54は、自走カウンタが所定値に達している場合には、車両Xの自走が確認されたと判定する。換言すれば、ステップS2-20は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。ステップS2-20において自走判定部54により車両Xが自走したと判定された場合、制御部44は、洗車機本体4の動作を停止する(ステップS2-22)。
【0056】
例えば、制御部44は、次いで、洗車機本体4のスピーカまたは洗車機本体4のモニターを制御し、車両X内のユーザに、車両Xが自走していることを知らせ、車両Xを停止させるよう案内してもよい。また、制御部44は、洗車機本体4またはリモートパネル6の各部を制御し、車両Xのユーザ等からの操作を受け付け、当該操作に基づき洗車機本体4を制御して、洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備を再開してもよい。
【0057】
一方、ステップS2-20において、自走カウンタが所定値に達していないと自走判定部54が判定した場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じ、ステップS2-12に移行し、再度ステップS2-8を実行する。自走カウンタが所定値に達するまでは洗車機本体4の動作を停止しないことにより、洗車機2は、車両Xの自走が瞬間的に発生しその後停止した場合において、車両Xの自走を検出せずに通常の洗浄工程に移行することができる。したがって、洗車機2は、ステップS2-20により、車両Xの自走の誤検出を低減できる。
【0058】
<案内工程のまとめ>
以上により、ステップS2-6における洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が開始して以降、制御部44は、洗車機本体4等の制御を通じて、ステップS2-8、10、12、14、16、18、および20を繰り返し実行する。特に、制御部44は、ステップS2-8にて洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が完了したことを検出するか、ステップS2-20にて自走カウンタが所定値に達したことを自走判定部54が判定するまで、上記ステップを繰り返し実行する。
【0059】
これにより、洗車機2は、自走判定部54により、洗車機本体4の移動が停止している期間において、車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する。特に、洗車機2は、自走判定部54により、当該期間に車形センサ52により検出された、車両Xの高さの経時変化に応じて、車両Xの自走を判定する。
【0060】
制御部44は、ステップS2-8にて洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が完了したことを検出した場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、以降に説明する第1洗浄工程の実行に移行する(ステップS2-24)。以上により、洗車機2による案内工程が完了する。
【0061】
なお、例えば、ステップS2-4にて、車両Xの前端XAが車形センサ52の直前に位置するように、車両Xの停止位置が案内されたとする。この場合、車両Xが自走していない場合においても、車両Xが当該停止位置に停止する際の搖動により、車両Xが瞬間的に車形センサ52により検出され、直ぐに車形センサ52により検出されなくなる場合がある。また、車両Xが上記停止位置に停止した後、車両Xのアイドリング等による振動によって、前端XAが車形センサ52により繰り返し検出される場合がある。
【0062】
上述した場合においても、洗車機2は、
図4に示すように、ステップS2-10にて車形センサ52が車両Xを検出しなくなった時点にて、ステップS2-12に移行する。これにより、本実施形態に係る洗車機2は、車両Xの搖動等により突発的に車形センサ52が車両Xを検出した場合においても、車両Xが自走を誤判定することを低減することができる。
【0063】
<第1洗浄工程>
図3の参照に戻ると、受付工程に次いで、制御部44が洗車機本体4の各部を制御することにより、洗車機2は第1洗浄工程を実行する(ステップS4)。第1洗浄工程における洗車機2の各部の制御方法について、
図5および
図6を参照してより詳細に説明する。
図5および
図6は、それぞれ、第1洗浄工程における洗車機2の各部の制御方法について説明するためのフローチャートおよび工程側面図である。本実施形態においては、
図5および
図6を参照して、第1洗浄工程における車両Xの自走を判定するための洗車機2の制御方法についても説明する。
【0064】
なお、
図6においても、
図1と同じく、説明の簡単のため、洗車機2の各部のうち一部のみを抜き出して説明する。
図6においても、車両Xを点線にて示し、洗車機本体4と車両Xとが洗車機本体4の側方からみて重なる場合、車両Xについて洗車機本体4を透過して示す。
【0065】
例えば、
図6のステップS4-Aに示すように、第1洗浄工程の実行直前において、洗車機本体4は車両Xの前方側に位置する。
図5に示すように、第1洗浄工程においては、はじめに、制御部44が洗車機本体4を制御し、洗車機本体4の前進を開始させる(ステップS4-2)。このため、
図6のステップS4-Aに示すように、洗車機本体4は車両Xの前方から、車両Xの前側から後側への方向である、前進方向D1に向かって移動し始める。
【0066】
この後、第1洗浄工程において制御部44が洗車機本体4を前進方向D1に移動させつつ洗浄部の各部を制御することにより、洗車機本体4は空間4S内部を通過する車両Xの表面の洗浄を行う。特に言及しない限り、後の各ステップにおいても、洗車機本体4の移動および洗車機本体4による車両Xの表面の洗浄は継続している。ただし、制御部44は、清掃部による車両Xの洗浄の内容によって、第1洗浄工程の間、洗車機本体4の移動速度を適宜変動させてもよく、また、洗車機本体4の移動を適宜一時停止してもよい。
【0067】
なお、
図6において点線にて示す位置B1は、ステップS4-2の実行時点、換言すれば、第1洗浄工程において洗車機本体4が前進方向D1への前進を開始した時点において、洗車機本体4の移動方向における前端XAが存在する位置を示す。換言すれば、ステップS4-2以降、車両Xが自走していない場合、車両Xの前端XAは位置B1上に存在し続ける。なお、
図6に示す各ステップは、洗車機本体4の移動方向における位置B1の位置が変わらないように図示されている。
【0068】
図5の参照に戻ると、次いで、制御部44は、洗車機本体4を前進方向D1に移動させ続けることにより、車形センサ52に車両Xを検出させる(ステップS4-4、検出工程)。さらに、制御部44は、ステップS4-4に次いで、車形センサ52による車両Xの検出が継続しているかを判定する(ステップS4-6)。例えば、
図6のステップS4-Bに示すように、車形センサ52と車両Xとが洗車機本体4の側方からみて重なる限り、ステップS4-6においては車形センサ52による車両Xの検出が継続していると判定される。洗車機本体4が移動している第1洗浄工程における期間のうち、制御部44が車形センサ52により車両Xが検出されていると判断する期間は、制御部44が車形センサ52に車両Xを検出させるように制御する検出工程に含まれる。
【0069】
<第1洗浄工程における車両の高さの経時変化>
図5に示すように、ステップS4-6において車形センサ52による車両Xの検出が継続していると判定された場合、制御部44は、車形センサ52が検出している車両Xの部分における車両Xの高さを取得する(ステップS4-8)。車形センサ52による車両Xの高さの取得は、例えば、上述したステップS2-14と同一の手法によって実行してもよい。
【0070】
次いで、自走判定部54は、直前のステップS4-8にて取得した車両Xの高さと、前回のステップS4-8にて取得した車両Xの高さとの差が所定範囲内かを判断する(ステップS4-10)。ここで、ステップS4-10が初めて実行される場合には、比較する2つの車両Xの高さを取得できていないため、自走判定部54は、ステップS4-10における判断を行わない。代わりに、制御部44は、所定距離だけ洗車機本体4を前進方向D1に前進させ(ステップS4-12)、洗車機本体4による車両Xの洗浄を継続させる。ステップS4-12に次いで、制御部44は、再度ステップS4-6の判断を行う。このため、再度ステップS4-6が実行されるまで車形センサ52が車両Xを検出している限り、再度ステップS4-8にて車両Xの高さが取得され、自走判定部54はステップS4-10にて2つの車両Xの高さを比較することができるようになる。
【0071】
なお、第1洗浄工程におけるステップS4-8にて取得された、車両Xの各位置における車両Xの高さデータは、制御部44により図示しない記録部に記録される。特に、車両Xの高さデータのそれぞれは、車両Xの前後方向における位置情報と紐づけられて、車高情報として記録される。車両Xの位置情報と紐づけられた車高情報は、後に詳述する第2洗浄工程における車両Xの洗浄、および、車両Xの自走の判定に用いられる。
【0072】
第1洗浄工程において、洗車機本体4は前進方向D1に前進しつつ車両Xの洗浄を行う。このため、例えば、
図6のステップS4-Bに示すように、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの部分はボンネットからルーフへと次第に変化する。これに伴い、洗車機本体4が前進している間、車形センサ52が検出する車両Xの高さについても経時的に変化する。特に、車形センサ52により検出される車両Xの部分がボンネットからルーフまでの場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さは経時的に増加する。
【0073】
ここで、
図6のステップS4-Cに示すように、洗車機本体4の前進後に車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの部分は、車両Xが前進自走していない場合と比較してより早くボンネットからルーフへと変化する。これに伴い、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さについても、車両Xが前進自走していない場合と比較してより急速に変化する場合がある。特に、車形センサ52により検出される車両Xの部分がボンネットからルーフまでであり、車両Xが前進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さは急速に増加する。
【0074】
さらに、
図6のステップS4-Dに示すように、洗車機本体4の前進後に車両Xが後進自走している場合、車両Xが前進自走していない場合と比較して、車形センサ52が検出する車両Xの部分の変化はより遅くなる。特に、例えば、洗車機本体4の前進速度と車両Xの後進速度とが略同一である場合、車形センサ52が検出する車両Xの部分はほぼ変化しない。これに伴い、車両Xが後進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さの増加は、車両Xが後進自走していない場合と比較してより小さくなる場合がある。特に、車形センサ52により検出される車両Xの部分がボンネットからルーフまでであり、車両Xが後進自走している場合、車形センサ52が検出する車両Xの高さの増加量は低下する。
【0075】
したがって、ステップS4-10において、車両Xが自走している場合、取得した2つの車両Xの高さの差は、車両Xが自走していない場合に検出される値よりも、想定以上に大きい、または想定以上に小さい場合がある。これにより、ステップS4-10において、取得した2つの車両Xの高さの差が所定範囲よりも大きいまたは小さい場合、車両Xが自走している可能性が高いと判断できる。
【0076】
なお、ステップS4-10において取得される2つの車両Xの高さの差は、車形センサ52によって測定される車両Xの部分の位置および車両Xの種類によって異なる。例えば、車両Xがセダンタイプの車両の場合、車形センサ52は、初めボンネットからルーフにかけて車両Xの高さを測定するため、車形センサ52によって測定される車両Xの高さは次第に増加する。ここで、洗車機本体4が引き続き前進することにより、車形センサ52は、ルーフからトランクにかけて車両Xの高さを測定するため、車形センサ52によって測定される車両Xの高さはやがて低下に転じる。
【0077】
また、例えば、本明細書において、車両Xがボンネットを有している例を挙げたが、これに限られず、車両Xは、例えば、ワンボックスタイプの車両等、ボンネットを有していない車両である場合が考えられる。この場合、車形センサ52は、車両Xの前端XAを検出した後すぐにルーフを含む部分を検出する。したがって、上述の場合、ステップS4-10において取得される車両Xの高さは、初め大きく変化した後、しばらく変化しない場合がある。
【0078】
このため、ステップS4-10における判断の基準となる、取得した2つの車両Xの高さの差の所定範囲は、車両Xの種類または車形センサ52によって測定される車両Xの部分の位置によって異なっていてもよい。例えば、ステップS4-10において、自走判定部54は、車形センサ52によって車両Xの前端XAが検出されてからの洗車機本体4の前進距離を併せて取得してもよく、当該前進距離に応じてステップS4-10に用いられる所定範囲を設定してもよい。また、例えば、上述したステップS2-2において、制御部44は、リモートパネル6等の制御を通じて、使用者から車両Xの種類を取得し、自走判定部54は、車両Xの種類に応じてステップS4-10に用いられる所定範囲を設定してもよい。
【0079】
ステップS4-10にて、取得した2つの車両Xの高さの差が所定範囲内にある場合に、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性は低い、または、車両Xの自走距離は通常の洗浄に大きな影響がないと判定する。この場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、ステップS4-12に移行する。一方、ステップS4-10にて、取得した2つの車両Xの高さの差が所定範囲内にない場合に、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性が高いと判定する。換言すれば、ステップS4-10は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。
【0080】
ステップS4-10において、自走判定部54が車両Xの自走の可能性が高いと判定した場合、洗車機本体4の制御を通じ、上述した自走カウンタを1増やす(ステップS4-14)。自走判定部54は、例えば、第1洗浄工程の開始時に、受付工程において記録された自走カウンタの値を第1洗浄工程における自走カウンタの値として引き継いでもよい。あるいは、自走判定部54は、第1洗浄工程の開始時点において第1洗浄工程における自走カウンタの値を0に再設定してもよい。
【0081】
ステップS4-14に次いで、自走判定部54は、自走カウンタの値を確認し、当該自走カウンタが所定値に達したかを判定する(ステップS4-16)。自走判定部54は、自走カウンタが所定値に達している場合には、車両Xの自走が確認されたと判定する。換言すれば、ステップS4-16は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。ステップS4-16において自走判定部54により車両Xが自走したと判定された場合、制御部44は、洗車機本体4の動作を停止する(ステップS4-18)。
【0082】
ステップS4-18が実行された後、制御部44は、ステップS2-22が実行された後の制御部44による洗車機本体4の制御と同様の制御を行ってもよい。例えば、ステップS4-18の実行後、制御部44は、洗車機本体4またはリモートパネル6の各部を制御し、車両Xのユーザ等からの操作を受け付け、当該操作に基づき洗車機本体4を制御して、洗車機本体4による車両Xの洗浄を再開してもよい。
【0083】
<第1洗浄工程のまとめ>
以上により、ステップS4-4における洗車機本体4の前進が開始して以降、制御部44は、洗車機本体4等の制御を通じて、ステップS4-6、8、10、12、14、および16を繰り返し実行する。特に、制御部44は、ステップS4-6にて車形センサ52により車両Xが検出されなくなったことを判定するか、ステップS4-16にて自走カウンタが所定値に達したことを自走判定部54が判定するまで、上記ステップを繰り返し実行する。
【0084】
これにより、洗車機2は、自走判定部54により、洗車機本体4が移動している期間において、車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する。特に、洗車機2は、自走判定部54により、当該期間に車形センサ52により検出された、車両Xの高さの経時変化に応じて、車両Xの自走を判定する。
【0085】
制御部44は、ステップS4-6にて車形センサ52により車両Xが検出されなくなったことを判定した場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、洗車機本体4をさらに前進させつつ、車両Xの洗浄を継続する。これにより、制御部44は、第1洗浄工程における洗車機本体4による車両Xの洗浄が完了するまで、洗車機本体4の前進を継続する(ステップS4-20)。例えば、ステップS4-20における洗車機本体4の前進は、例えば、車形センサ52よりも洗車機本体4の後面4B側に位置する出口センサ50が車両Xを検出しなくなった時点にて停止してもよい。以上により、第1洗浄工程における車両Xの洗浄が完了する。なお、制御部44は、車輪12がレールRの前端に到達するまで洗車機本体4が前進し、洗車機本体4の前進が停止したことを確認することにより、第1洗浄工程における車両Xの洗浄を完了してもよい。
【0086】
<第2洗浄工程>
図3の参照に戻ると、第1洗浄工程に次いで、制御部44が洗車機本体4の各部を制御することにより、洗車機2は第2洗浄工程を実行する(ステップS6)。第2洗浄工程における洗車機2の各部の制御方法について、
図7を参照してより詳細に説明する。
図7は、第2洗浄工程における洗車機2の各部の制御方法について説明するためのフローチャートである。本実施形態においては、
図7を参照して、第2洗浄工程における車両Xの自走を判定するための洗車機2の制御方法についても説明する。
【0087】
例えば、第1洗浄工程の完了直後において、洗車機本体4は車両Xの後方側に位置する。
図7に示すように、第2洗浄工程においては、はじめに、制御部44が洗車機本体4を制御し、洗車機本体4の後進を開始させる(ステップS6-2)。このため、洗車機本体4は車両Xの後方から、車両Xの後側から前側への方向、換言すれば、前進方向D1と反対の方向である後進方向に向かって移動し始める。
【0088】
この後、第2洗浄工程において制御部44が洗車機本体4を後進方向に移動させつつ洗浄部の各部を制御することにより、洗車機本体4は空間4S内部を通過する車両Xの表面の洗浄を再度行う。ここで、制御部44は、第1洗浄工程にて得られた車両Xの車高情報を車両Xの位置情報と紐づけた情報に基づいて、清掃部を制御し車両Xの洗浄を行ってもよい。第1洗浄工程において車両Xの自走が検出された後車両Xの洗浄が再開した場合、第2洗浄工程において、制御部44は、車両Xの位置情報および車高情報を、第1洗浄工程における車両Xの自走距離に応じて適宜修正し、清掃部を制御してもよい。
【0089】
特に言及しない限り、後の各ステップにおいても、洗車機本体4の移動および洗車機本体4による車両Xの表面の洗浄は継続している。ただし、制御部44は、清掃部による車両Xの洗浄の内容によって、第2洗浄工程の間、洗車機本体4の移動速度を適宜変動させてもよく、また、洗車機本体4の移動を適宜一時停止してもよい。
【0090】
ステップS6-2に次いで、制御部44は、洗車機本体4を後進方向に移動させ続けることにより、車形センサ52に車両Xを検出させる(ステップS6-4)。さらに、制御部44は、ステップS6-4に次いで、車形センサ52による車両Xの検出が継続しているかを判定する(ステップS6-6)。洗車機本体4が移動している第2洗浄工程における期間のうち、制御部44が車形センサ52により車両Xが検出されていると判断する期間は、制御部44が車形センサ52に車両Xを検出させるように制御する検出工程に含まれる。
【0091】
<第2洗浄工程における車両の高さの経時変化>
図7に示すように、ステップS6-6において車形センサ52による車両Xの検出が継続していると判定された場合、制御部44は、車形センサ52が検出している車両Xの部分における高さを取得する(ステップS6-8)。車形センサ52による車両Xの高さの取得は、例えば、上述したステップS2-14と同一の手法によって実行してもよい。
【0092】
なお、ステップS6-8において取得された車両Xの高さを第1車高とする。ここで、ステップS6-8において、制御部44は、上述の第1車高の取得と併せて、当該第1車高を取得した車両Xの部分である第1部分の位置を併せて特定する。特に、ステップS6-8において、制御部44は、当該第1部分の、車両Xの前後方向における位置を特定する。第1部分の位置の特定は、例えば、制御部44が、車形センサ52が車両Xを検出してからの洗車機本体4の後進距離を取得し、第1部分の車両Xの前後方向における位置を特定することにより実行してもよい。
【0093】
次いで、制御部44は、上述した第1洗浄工程において、当該第1部分の位置と対応する位置にある第2部分を特定する(ステップS6-10)。制御部44は、例えば、第1洗浄工程において上述した第1部分の車両Xの前後方向における位置にある部分を第2部分として特定する。
【0094】
ここで、ステップS6-10において、制御部44は、上述の第2部分の特定と併せて、第1洗浄工程において取得された当該第2部分の車両Xの高さである第2車高を併せて特定する。制御部44は、例えば、上述した記録部に記録された、第1洗浄工程における車両Xの車高情報および各車高情報に紐づけられた位置情報を参照する。制御部44は、当該車高情報および位置情報から、第1洗浄工程において取得された第2部分の位置および高さを特定し、第2車高として取得する。
【0095】
第1洗浄工程および第2洗浄工程において、車両Xの自走がない場合、理想的には、ステップS6-8にて特定された第1部分と、ステップS6-10において特定された第2部分とは、車両Xの略同一の部分となる。一方、少なくとも第2洗浄工程において車両Xが自走している場合、第1部分と第2部分とは、互いに車両Xの異なる部分となる。
【0096】
したがって、少なくとも第2洗浄工程において車両Xが自走している場合、第1部分の高さである第1車高と、第2部分の高さである第2車高とは、互いに異なる場合がある。ゆえに、上述した第1車高と第2車高との差を比較することにより、自走判定部54は、車両Xの自走の判定が可能である場合がある。
【0097】
<第1車高および第2車高の取得方法および比較方法>
第1車高および第2車高を取得および比較する具体的な方法について、
図8を参照しより詳細に説明する。
図8は、第1洗浄工程と第2洗浄工程とにおいて得られた車両Xの高さデータをプロットしたグラフの例である。
図8のグラフにおいて、横軸は車両Xの前後方向における位置Lを表し、特に、車両Xの後方から前方への方向を正方向とする。また、
図8のグラフにおいて、縦軸は車両Xの前後方向の各位置Lにおける車両Xの高さHを表し、特に、車両Xの下方から上方への方向を正方向とする。
図8のグラフには、第1洗浄工程において取得され、各位置Lにおける高さHをプロットした第1車形データX1と、第2洗浄工程において取得され、各位置Lにおける高さHをプロットした第2車形データX2と、が示されている。
【0098】
図8には、車両Xの後端XBから、トランク、リアガラス、およびルーフの途中までにおける、第1車形データX1および第2車形データX2がそれぞれ示される。このため、
図8に示す第1車形データX1および第2車形データX2とのそれぞれには、第1洗浄工程および第2洗浄工程においてそれぞれ取得された、車両Xの後端XBにおける高さがプロットされている。なお、
図8に示す第1車形データX1および第2車形データX2は、車両Xの自走の判定方法をより明確に説明するため、実際の車両Xの形状と比較して、車両Xの前後方向に縮尺を引き延ばしている。
【0099】
例えば、上述したステップS6-8において取得された車両Xの第1部分の高さである第1車高のデータが、
図8のグラフにおけるプロットP1であるとする。この場合、当該プロットP1と同一の位置Lに位置する第1車形データX1のプロットQ1が、上述した第2部分に対応するプロットとなる。したがって、ステップS6-10において、制御部44は、当該プロットQ1の車両Xの高さを第2車高として特定する。
【0100】
ここで、第1洗浄工程および第2洗浄工程において、車両Xの自走がない場合、理想的には、
図8のグラフにおいて、第1車形データX1の各プロットと第2車形データX2の各プロットとが、略同一の位置に示される。ただし、
図8のグラフには、例として、少なくとも第1車形データX1の取得後から車両Xが前進自走した場合における、第1車形データX1および第2車形データX2が示されている。このため、
図8のグラフから明らかであるように、第2車形データX2の各プロットの位置は、第1車形データX1の各プロットの位置よりも、グラフの横軸の正方向にずれている。
【0101】
したがって、第1洗浄工程および第2洗浄工程において、車両Xの自走がない場合、同一の位置Lにおいて、第1車形データX1の各プロットの高さと第2車形データX2の各プロットの高さとは、理想的には略同一の値となる。また、少なくとも第1車形データX1の取得後から車両Xが前進自走した場合、同一の位置Lにおいて、第1車形データX1の各プロットの高さと第2車形データX2の各プロットの高さとには差が生じる場合がある。ゆえに、上述したプロットP1の高さとプロットQ1の高さとの差である車高差R1を取得し、当該車高差R1が所定値以上であるかを判定することにより、自走判定部54は、車両Xの自走の判定が可能である場合がある。
【0102】
図7の参照に戻ると、ステップS6-10に次いで、自走判定部54は、ステップS6-8において取得した第1車高と、ステップS6-10において取得した第2車高との差を算出し、当該差が所定値以上かを判定する(ステップS6-12)。
【0103】
ステップS6-12にて、第1車高と第2車高との差が所定範囲内にある場合には、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性は低い、または、車両Xの自走距離は通常の洗浄に大きな影響がないと判定する。この場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、所定距離だけ洗車機本体4を後進方向に後進させ(ステップS6-14)、洗車機本体4による車両Xの洗浄を継続させる。ステップS6-14に次いで、制御部44は、再度ステップS6-6の判断を行う。
【0104】
一方、ステップS6-12にて、取得した2つの車両Xの高さの差が所定範囲内にない場合には、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性が高いとして、上述した自走カウンタを1増やす(ステップS6-16)。換言すれば、ステップS6-12は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。自走判定部54は、例えば、第2洗浄工程の開始時に、第1洗浄工程において記録された自走カウンタの値を第2洗浄工程における自走カウンタの値として引き継いでもよい。あるいは、自走判定部54は、第2洗浄工程の開始時点において第2洗浄工程における自走カウンタの値を0に再設定してもよい。
【0105】
ステップS6-16に次いで、自走判定部54は、自走カウンタの値を確認し、当該自走カウンタが所定値に達したかを判定する(ステップS6-18)。自走カウンタが所定値に達している場合に、自走判定部54は、車両Xの自走が確認されたと判定する。換言すれば、ステップS6-18は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。ステップS6-18において自走判定部54により車両Xが自走したと判定された場合、制御部44は、洗車機本体4の動作を停止する(ステップS6-20)。ステップS6-20が実行された後、制御部44は、ステップS4-18が実行された後の制御部44による洗車機本体4の制御と同様の制御を行ってもよい。
【0106】
なお、本実施形態においては、第2洗浄工程において、制御部44がステップS6-4にて車形センサ52に車両Xを検出させる例を説明した。その後、本実施形態においては、自走判定部54が、第2洗浄工程において得られた車形センサ52による車両Xの検出結果を、第1洗浄工程において得られた車形センサ52による車両Xの検出結果と比較して、車両Xの自走の判定を行う例を説明した。しかしながら、本実施形態における車両Xの自走の判定方法はこれに限られない。
【0107】
例えば、第2洗浄工程の開始までに、自走判定部54は、第1車形データX1から、車形センサ52による車両Xの検出が生じるべき洗車機本体4の後進距離を割り出してもよい。また、自走判定部54は、第2洗浄工程の開始時点から車形センサ52によって車両Xが検出されるまでに、洗車機本体4が実際に後進した距離を、上述した後進距離と比較してもよい。
【0108】
例えば、上記後進距離よりも洗車機本体4が実際に後進した距離がある一定距離以上短いにも関わらず、車形センサ52による車両Xの検出があった場合、自走判定部54は、車両Xの後進自走があると判定してもよい。または、上記後進距離だけ洗車機本体4が実際に後進したにも関わらず、車形センサ52による車両Xの検出がない場合、自走判定部54は、車両Xの前進自走があると判定してもよい。この場合、自走判定部54は、ステップS6-8の実行前に車両Xの自走の判定が行えるため、車両Xの自走の判定を早めることができる。
【0109】
さらに、第2洗浄工程においては、車形センサ52によって検出されない位置について、当該位置における車両Xの車高を0であるとして、ステップS6-2に次いでステップS6-8以降の各ステップを実行してもよい。この場合、自走判定部54は、車形センサ52によって車両Xが検出される前であっても、車両Xの自走を判定することができ、車両Xの自走の判定を早めることができる。
【0110】
<第2洗浄工程のまとめ>
以上により、ステップS6-2における洗車機本体4の後進が開始して以降、制御部44は、洗車機本体4等の制御を通じて、ステップS6-6、8、10、12、14、16、および18を繰り返し実行する。特に、制御部44は、第2洗浄工程が完了するか、ステップS6-18にて自走カウンタが所定値に達したことを自走判定部54が判定するまで、上記ステップを繰り返し実行する。
【0111】
これにより、洗車機2は、自走判定部54により、洗車機本体4が移動している期間において、車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する。特に、洗車機2は、自走判定部54により、第1期間としての第1洗浄工程と、第2期間としての第2洗浄工程と、のそれぞれにおける、車形センサ52による車両Xの検出結果の変化を比較して、車両Xの自走を判定する。さらに、洗車機2は、自走判定部54により、第1洗浄工程において検出済みの車両Xの高さの経時変化と、第2洗浄工程において新たに検出された車両Xの高さの経時変化と、を比較して、車両Xの自走を判定する。
【0112】
例えば、
図8のグラフを参照すると、車高差R1が取得されたステップS6-12の後のステップS6-8において、制御部44は、第2車形データX2のうちプロットP1よりもさらに車両Xの前方側に位置するプロットP2の高さを第1車高として取得する。また、次ぐステップS6-10において、制御部44は、プロットP2と同一の位置Lに位置する第1車形データX1のプロットQ2の高さを第2車高として特定する。さらに、次ぐステップS6-12において、自走判定部54は、プロットP2の高さとプロットQ2の高さとの差である車高差R2が所定値以上であるかを判定する。
【0113】
したがって、上述した各ステップを繰り返し実行することにより、第2車形データX2の各プロットに対応する第1車形データX1の各プロットが特定される。さらに、上述した各ステップを繰り返し実行することにより、第2車形データX2の各プロットの高さと第1車形データX1の各プロットの高さとの差がそれぞれ得られ、自走判定部54により、得られた車両Xの高さの差ごとに自走の判定が実行される。
【0114】
制御部44は、ステップS6-6にて車形センサ52により車両Xが検出されなくなったことを判定した場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、洗車機本体4をさらに後進させつつ、車両Xの洗浄を継続する。これにより、制御部44は、第2洗浄工程における洗車機本体4による車両Xの洗浄が完了するまで、洗車機本体4の後進を継続する(ステップS6-22)。特に、車形センサ52が洗車機本体4の前面4A側に位置する場合、制御部44は、ステップS6-6にて車形センサ52により車両Xが検出されなくなったことを判定した時点にて、洗車機本体4の後進を停止してもよい。以上により、第2洗浄工程における車両Xの洗浄が完了する。なお、制御部44は、車輪12がレールRの後端に到達するまで洗車機本体4が後進し、洗車機本体4の後進が停止したことを確認することにより、第2洗浄工程における車両Xの洗浄を完了してもよい。
【0115】
<乾燥工程>
図3の参照に戻ると、第2洗浄工程に次いで、制御部44が洗車機本体4の各部を制御することにより、洗車機2は乾燥工程を実行する(ステップS8)。乾燥工程において、制御部44は、洗車機本体4の前進方向D1に向かって前進させつつブロワ36を動作させることにより、車両Xへ送風を行い、車両Xの乾燥を実行してもよい。
【0116】
乾燥工程においても、自走判定部54は、例えば、上述した第1洗浄工程または第2洗浄工程における車両Xの自走判定と同様の手法により、車両Xの自走を判定してもよい。例えば、乾燥工程において、自走判定部54は、車形センサ52が逐次取得する車両Xの高さの変化から、車両Xの自走の判定を行ってもよい。あるいは、乾燥工程において、自走判定部54は、車形センサ52が逐次取得する車両Xの高さを、第1洗浄工程または第2洗浄工程において取得された車両Xの高さと比較することにより、車両Xの自走の判定を行ってもよい。
【0117】
乾燥工程は、例えば、洗車機本体4が車両Xの後方に移動するまで洗車機本体4による車両Xの乾燥が完了した時点において終了してもよい。ここで、乾燥工程において洗車機本体4が前進し続ける場合、例えば、出口センサ50が車両Xを検出しなくなったことを確認した時点にて、洗車機本体4を制御し、洗車機本体4による車両Xの乾燥を停止することにより、乾燥工程を完了してもよい。乾燥工程の完了をもって、洗車機2を用いた車両Xの洗浄方法は完了してもよい。
【0118】
なお、乾燥工程の完了後、制御部44は、ユーザに洗車場からの退出を案内してもよい。乾燥工程の完了時点において、出口センサ50が車両Xを検出している状態である場合、制御部44は、出口センサ50が車両Xを検出しなくなった時点にて、洗車場から車両Xが退出したと判断し、洗車機本体4を制御して、次の車両の洗浄を受け付けてもよい。また、乾燥工程の完了時点において、出口センサ50が車両Xを検出していない状態である場合、制御部44は、乾燥工程の完了後、洗車機本体4を制御して、出口センサ50が車両Xを検出する位置まで再度洗車機本体4を移動させてもよい。
【0119】
<まとめ>
本実施形態に係る洗車機2は、洗車機本体4が車両Xを洗浄する洗浄工程の少なくとも一部である所定期間における、車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて、車両Xの自走を判定する自走判定部54を備える。換言すれば、自走判定部54は、車両Xを車形センサ52が検出した時点における検出結果のみならず、所定期間における車形センサ52による車両Xの検出結果の変化を考慮して、車両Xの自走を判定する。このため、本実施形態に係る洗車機2は、自走判定部54により車両Xの自走の判定を精度よく行える。
【0120】
上述した案内工程において、本実施形態に係る自走判定部54は、洗車機本体4の移動が停止している期間において、車形センサ52による車両Xの高さの検出結果の変化に応じて、車両Xの自走を判定する。このため、洗車機2は、例えば、案内工程を含む車両洗浄前等、洗車機本体4の移動が停止している期間において、自走判定部54により車両Xの自走を判定できる。
【0121】
また、上述した第1洗浄工程および第2洗浄工程において、自走判定部54は、洗車機本体4が移動している期間において、車形センサ52による車両Xの高さの検出結果の変化に応じて、車両Xの自走を判定する。このため、洗車機2は、例えば、第1洗浄工程および第2洗浄工程を含む、車両洗浄中等、洗車機本体4が移動している期間において、自走判定部54により車両Xの自走を判定できる。
【0122】
特に、第1洗浄工程において、自走判定部54は、第1洗浄工程の少なくとも一部の期間に検出された車両Xの高さの経時変化に応じて、車両Xの自走を判定する。このため、洗車機2は、自走判定部54が車両Xの自走を判定するまでに、車両Xの高さ等、車形センサ52による車両Xの検出結果の変化が得られていない場合においても、自走判定部54により車両Xの自走を精度よく判定できる。
【0123】
また、第2洗浄工程において、自走判定部54は、第1洗浄工程において検出済みの車両Xの高さの経時変化と、第2洗浄工程において新たに検出された車両Xの高さの経時変化と、を比較して、車両Xの自走を判定する。このため、洗車機2は、新たに得られた車両Xの高さの経時変化の、既に得られた車両Xの高さの経時変化との差異に基づいて、自走判定部54により車両Xの自走を判定できる。したがって、洗車機2は、新たに得られた両Xの高さの経時変化のみに基づいて車両Xの自走を判定するより、車両Xの自走を精度よく判定できる。
【0124】
このように、自走判定部54は、第1洗浄工程における車形センサ52による車両Xの検出結果の変化と、第2洗浄工程における車形センサ52による車両Xの検出結果の変化と、を比較して、車両Xの自走を判定する。このため、洗車機2は、車形センサ52による過去の車両Xの検出結果を参照して、自走判定部54が車両Xの自走を判定するため、車両Xの自走の判定を精度よく行える。
【0125】
車形センサ52は、車両Xを検出する光軸センサの個数を確認することにより、車両Xの高さを検出する。このため、自走判定部54は、上述した車両Xの自走の判定に、車形センサ52が含む光軸センサのうち、車両Xを検出する光軸センサの個数の変化に応じて、車両Xの自走を判定してもよい。この場合、自走判定部54は、車両Xの自走を判定するためのデータとして、車両Xを検出する光軸センサの個数の経時変化さえ取得できればよい。このため、洗車機2は、自走判定部54が車両Xの自走を判定するための処理を簡素化することができる。
【0126】
〔実施形態2〕
<受付工程の変形例>
本実施形態に係る洗車機2は、前実施形態に係る洗車機2と同一の構成を備える。本実施形態に係る洗車機2を用いた車両Xの洗浄方法は、前実施形態に係る洗車機2を用いた車両Xの洗浄方法と比較して、受付工程における洗車機2の制御方法のみが異なる。本実施形態に係る洗車機2の、受付工程における制御方法について、
図9および
図10を参照して説明する。
【0127】
図9および
図10は、それぞれ、受付工程における洗車機2の各部の制御方法について説明するためのフローチャートおよび工程側面図である。本実施形態においては、
図9および
図10を参照して、受付工程における車両Xの自走を判定するための洗車機2の制御方法についても説明する。
【0128】
なお、
図10においても、
図1と同じく、説明の簡単のため、洗車機2の各部のうち一部のみを抜き出して説明する。
図10においても、車両Xを点線にて示し、洗車機本体4と車両Xとが洗車機本体4の側方からみて重なる場合、車両Xについて洗車機本体4を透過して示す。
【0129】
本実施形態に係る受付工程においては、前実施形態に係る受付工程におけるステップS2-2およびステップS2-4と同一のステップが実行される。これにより、例えば、
図10のステップS2-Eに示すように、洗車機本体4の前方側に車両Xが停止する。なお、
図10において点線にて示す位置A1は、
図1と同じく、ステップS2-4の完了時点において、洗車機本体4の移動方向における前端XAが存在する位置を示す。また、
図10に示す各ステップは、洗車機本体4の移動方向における位置A1の位置が変わらないように図示されている。
【0130】
本実施形態に係る受付工程において、ステップS2-4に次いで、制御部44は、車形センサ52による車両Xの検出結果を取得することにより、受付工程における初期状態を取得する(ステップS2-26)。特に、制御部44は、受付工程における初期状態の少なくとも一部として、車形センサ52による車両Xの検出の有無を確認する。
【0131】
例えば、ステップS2-26の実行時点において、
図10のステップS2-Eに示すように、洗車機本体4の前方側に車両Xが停止している場合、車形センサ52は車両Xを検出していない。この場合、ステップS2-26において、制御部44は、受付工程における初期状態として、車形センサ52による車両Xの検出無しの状態を確認する。
【0132】
次いで、制御部44は、前実施形態に係るステップS2-6およびステップS2-8と同一のステップを実行し、車両Xの洗浄の準備を開始し、当該準備が完了したかを判定する。ステップS2-8において、制御部44が車両Xの洗浄の準備が未完了であると判定した場合、次いで、自走判定部54は、現時点における車形センサ52による車両Xの検出の有無を確認する。これにより、自走判定部54は、現時点における車形センサ52による車両Xの検出の有無と、上述した初期状態における車形センサ52による車両Xの検出の有無とが、同一かを判定する(ステップS2-28)。
【0133】
例えば、
図10のステップS2-Eに示す状態から車両Xが前進自走し、
図10のステップS2-Fに示すように、車形センサ52により車両Xが検出されるまで車両Xが前進したとする。この場合、車形センサ52による車両Xの検出の有無は、制御部44がステップS2-26にて確認した初期状態と異なる、車形センサ52による車両Xの検出有りの状態となる。
【0134】
一方、ステップS2-4における、洗車機本体4に対する車両Xの停止位置によっては、
図10のステップS2-Gに示すように、車両Xの停止直後に、既に車形センサ52によって車両Xが検出されている場合がある。この場合、ステップS2-26において、制御部44は、受付工程における初期状態として、車形センサ52による車両Xの検出有りの状態を確認する。
【0135】
例えば、
図10のステップS2-Gに示す状態から車両Xが後進自走し、
図10のステップS2-Hに示すように、車形センサ52により車両Xが検出されなくなるまで車両Xが後進したとする。この場合、車形センサ52による車両Xの検出の有無は、制御部44がステップS2-26にて確認した初期状態と異なる、車形センサ52による車両Xの検出無しの状態となる。
【0136】
したがって、制御部44がステップS2-26にて確認した車形センサ52による車両Xの検出の有無に関わらず、ステップS2-28にて、車形センサ52による車両Xの検出の有無が当該初期状態と異なる場合、車両Xの自走が発生している可能性が有る。したがって、自走判定部54は、ステップS2-28において、車形センサ52による車両Xの検出の有無が当該初期状態と同一かを判定することにより、車両Xの自走を判定することができる場合がある。
【0137】
ステップS2-28にて、車形センサ52による車両Xの検出の有無が初期状態と同一である場合に、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性は低いと判定する。この場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、上述したステップS2-12に移行する。一方、ステップS2-28にて、自走判定部54が取得した2つの車両Xの高さの差が所定範囲内にないと判定した場合に、自走判定部54は、車両Xが自走している可能性があると判定する。この場合、自走判定部54は、さらに、車形センサ52による車両Xの検出の有無が最後に変化してから所定時間経過したかを判定する(ステップS2-30)。
【0138】
例えば、ステップS2-28において、自走判定部54が、初めて車形センサ52による車両Xの検出の有無が、初期状態における車形センサ52による車両Xの検出の有無から変化したことを確認したとする。この場合、自走判定部54は、車形センサ52による車両Xの検出の有無が最後に変化してから所定時間は経過していないと判定する。この場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、上述したステップS2-12に移行する。
【0139】
ステップS2-12に次いで、上述したステップS2-8、ステップS2-28が実行される。ここで、2回目のステップS2-28においても、車形センサ52による車両Xの検出の有無が、初期状態における車形センサ52による車両Xの検出の有無と異なると、自走判定部54が判定したとする。この場合、続くステップS2-30において、自走判定部54は、車形センサ52による車両Xの検出の有無が最後に変化してから所定時間が経過したと判定する。
【0140】
このように、ステップS2-30において、車形センサ52による車両Xの検出の有無が最後に変化してから所定時間が経過した場合に、自走判定部54は、車両Xが自走していると判定する。換言すれば、ステップS2-30は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出の有無の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。ステップS2-30において自走判定部54により車両Xが自走したと判定された場合、ステップS2-22において、制御部44は、洗車機本体4の動作を停止する。
【0141】
本実施形態においても、前実施形態において説明した理由と同一の理由から、ステップS2-4における車両Xの停止位置によっては、前端XAが一瞬車形センサ52により検出され、直ぐに車形センサ52により検出されなくなる場合がある。また、車両Xが上記停止位置に停止した後、車両Xのアイドリング等による振動によって、前端XAが車形センサ52により繰り返し検出される場合がある。
【0142】
上述した場合においても、洗車機2は、
図9に示すように、ステップS2-26にて車形センサ52による車両Xの検出の有無が初期状態における車形センサ52による車両Xの検出の有無と同一であると判断した時点にて、ステップS2-12に移行する。また、洗車機2は、ステップS2-30において、車形センサ52による車両Xの検出の有無が最後に変化してから規定時間経過したことが確認されるまで、車両Xが自走したと判定しない。これにより、本実施形態に係る洗車機2は、車両Xの搖動等により突発的に車形センサ52が車両Xを検出した場合においても、車両Xが自走を誤判定することを低減することができる。
【0143】
以上により、ステップS2-6における洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が開始して以降、制御部44は、洗車機本体4等の制御を通じて、ステップS2-8、12、28および30を繰り返し実行する。特に、制御部44は、ステップS2-8にて洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が完了したことを検出するか、ステップS2-30にて車両Xが自走していると自走判定部54が判定するまで、上記ステップを繰り返し実行する。
【0144】
これにより、洗車機2は、自走判定部54により、洗車機本体4の移動が停止している期間において、車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する。特に、洗車機2は、自走判定部54により、所定期間における車形センサ52による車両Xの検出の有無の変化に応じて、車両Xの自走を判定する。
【0145】
制御部44は、ステップS2-8にて洗車機本体4による車両Xの洗浄の準備が完了したことを検出した場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、上述したステップS2-24に移行する。以上により、洗車機2による案内工程が完了する。
【0146】
本実施形態に係る案内工程において、本実施形態に係る自走判定部54は、洗車機本体4の移動が停止している期間において、車形センサ52による車両Xの検出の有無の変化に応じて、車両Xの自走を判定する。このため、洗車機2は、例えば、車両Xの自走の判定のためのデータとして、案内工程を含むある期間において、車形センサ52が車両Xを検出したか否かの変化さえ取得できればよい。したがって、洗車機2は、自走判定部54が車両Xの自走を判定するための処理を簡素化できる。
【0147】
〔実施形態3〕
<第2洗浄工程の変形例>
本実施形態に係る洗車機2は、前述の各実施形態に係る洗車機2と同一の構成を備える。本実施形態に係る洗車機2を用いた車両Xの洗浄方法は、前述の各実施形態に係る洗車機2を用いた車両Xの洗浄方法と比較して、第2洗浄工程における洗車機2の制御方法のみが異なる。
【0148】
図11は、第2洗浄工程における洗車機2の各部の制御方法について説明するためのフローチャートである。本実施形態においては、
図11を参照して、第2洗浄工程における車両Xの自走を判定するための洗車機2の制御方法についても説明する。
【0149】
本実施形態に係る第2洗浄工程においては、前実施形態に係る第2洗浄工程と同じく、はじめに、制御部44が、洗車機本体4の制御を通じて、ステップS6-2からステップS6-6までを実行する。ステップS6-6において、車形センサ52による車両Xの検出が継続していると判定された場合、制御部44は、上述したステップS6-8を実行し、車形センサ52が検出している車両Xの部分における高さである第1車高を特定する。また、ステップS6-8において、制御部44は、第1車高を有する車両Xの部分である第1部分の位置を特定する。
【0150】
次いで、制御部44は、上述した第1洗浄工程において検出された車両Xの各部分における高さのうち、第1車高と同一の高さを有する部分を第2部分とし、当該第2部分の車両Xの前後方向における位置を特定する(ステップS6-24)。制御部44は、例えば、上述した記録部に記録された、第1洗浄工程における車両Xの車高情報および各車高情報に紐づけられた位置情報を参照する。制御部44は、当該車高情報および位置情報から、第1洗浄工程において取得された各位置における高さのうち、第1車高と一致する高さを有する第2部分の位置を特定する。なお、第1洗浄工程において取得された各位置における高さのうち、第1車高と一致する高さを有する部分が複数存在する場合、当該部分のうち、車両Xの前後方向における位置が、第1部分と最も近い部分を第2部分とする。
【0151】
第1洗浄工程および第2洗浄工程において、車両Xの自走がない場合、理想的には、ステップS6-8にて特定された第1部分と、ステップS6-24において特定された第2部分とは、車両Xの前後方向において、略同一の位置にある。一方、少なくとも第2洗浄工程において車両Xが自走している場合、第1部分と第2部分とは、車両Xの前後方向において、互いに異なる位置にある。したがって、上述した第1部分と第2部分との距離を取得することにより、自走判定部54は、車両Xの自走の判定が可能である場合がある。
【0152】
第1部分の位置および第2部分の位置を取得する具体的な方法について、
図12を参照しより詳細に説明する。
図12は、第1洗浄工程と第2洗浄工程とにおいて得られた車両Xの高さデータをプロットしたグラフの例である。
図12のグラフにおける各軸は、
図8のグラフにおける各軸と同一のパラメータを示す。なお、
図12に示された第1車形データX1および第2車形データX2のそれぞれについても、
図8に示す第1車形データX1および第2車形データX2と同じく、車両Xの後端側に位置するトランクおよびリアガラスの周囲における車形データである。また、
図12に示す第1車形データX1および第2車形データX2も、車両Xの自走の判定方法をより明確に説明するため、実際の車両Xの形状と比較して、車両Xの前後方向に縮尺を引き延ばしている。
【0153】
また、
図12のグラフには、
図8のグラフに示す第1車形データX1および第2車形データX2とのそれぞれと同一のデータがプロットされている。換言すれば、
図12のグラフには、例として、少なくとも第1車形データX1の取得後から車両Xが前進自走した場合における、第1車形データX1および第2車形データX2が示されている。
【0154】
例えば、上述したステップS6-8において取得された車両Xの第1部分の高さである第1車高のデータが、
図12のグラフにおけるプロットP3であるとする。この場合、当該プロットP3と同一の高さHに位置する第1車形データX1のプロットQ3が、上述した第2部分に対応するプロットとなる。したがって、ステップS6-24において、制御部44は、当該プロットQ3の車両Xの位置を第2部分の位置として特定する。
【0155】
第1洗浄工程および第2洗浄工程において、車両Xの自走がない場合、同一の高さHにおいて、第1車形データX1の各プロットの位置と第2車形データX2の各プロットの位置とは、理想的には略同一の値となる。また、少なくとも第1車形データX1の取得後から車両Xが前進自走した場合、同一の高さHにおいて、第1車形データX1の各プロットの位置と第2車形データX2の各プロットの位置とには差が生じる場合がある。ゆえに、上述したプロットP3の位置とプロットQ3の位置との間の距離である距離R3を取得し、当該距離R3が所定値以上であるかを判定することにより、自走判定部54は、車両Xの自走の判定が可能である場合がある。
【0156】
図11の参照に戻ると、ステップS6-24に次いで、自走判定部54は、ステップS6-8において取得した第1部分の位置と、ステップS6-24において取得した第2部分の位置との間の距離を算出し、当該距離が所定値以上かを判定する(ステップS6-26)。
【0157】
ステップS6-26にて、第1部分の位置と第2部分の位置との間の距離が所定範囲内にある場合には、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性は低い、または、車両Xの自走距離は通常の洗浄に大きな影響がないと判定する。この場合、制御部44は、洗車機本体4の制御を通じて、上述したステップS6-14以降の各ステップに移行する。一方、ステップS6-26にて、第1部分の位置と第2部分の位置との間の距離が所定範囲内にない場合には、自走判定部54は、車両Xの自走の可能性が高いとして、上述したステップS6-16以降の各ステップに移行する。換言すれば、ステップS6-26は、自走判定部54が車形センサ52による車両Xの検出結果の変化に応じて車両Xの自走を判定する自走判定工程に含まれる。
【0158】
以上により、ステップS6-4における洗車機本体4の後進が開始して以降、制御部44は、洗車機本体4等の制御を通じて、ステップS6-6、8、14、16、18、24、および26を繰り返し実行する。特に、制御部44は、ステップS6-6にて車形センサ52により車両Xが検出されなくなったことを判定するか、ステップS6-18にて自走カウンタが所定値に達したことを自走判定部54が判定するまで、上記ステップを繰り返し実行する。
【0159】
例えば、
図12のグラフを参照すると、距離R3が取得されたステップS6-26の後のステップS6-8において、制御部44は、第2車形データX2のうちプロットP3よりもさらに車両Xの前方側に位置するプロットP4の高さを第1車高として取得する。また、次ぐステップS6-24において、制御部44は、プロットP4と同一の高さHを有する第1車形データX1のプロットQ4を特定する。さらに、次ぐステップS6-26において、自走判定部54は、プロットP4の位置とプロットQ4の位置との間の距離である距離R4が所定値以上であるかを判定する。
【0160】
したがって、上述した各ステップを繰り返し実行することにより、第2車形データX2の各プロットに対応する第1車形データX1の各プロットが特定される。さらに、上述した各ステップを繰り返し実行することにより、第2車形データX2の各プロットの位置と第1車形データX1の各プロットの位置との間の距離がそれぞれ得られ、自走判定部54により、得られた上述の距離ごとに自走の判定が実行される。
【0161】
制御部44は、ステップS6-6にて車形センサ52により車両Xが検出されなくなったことを判定した場合、制御部44は、上述したステップS6-22を実行し、第2洗浄工程における車両Xの洗浄を完了する。
【0162】
本実施形態に係る自走判定部54は、第1洗浄工程における車形センサ52による車両Xの検出結果の変化と、第2洗浄工程における車形センサ52による車両Xの検出結果の変化と、を比較して、車両Xの自走を判定する。このため、洗車機2は、車形センサ52による過去の車両Xの検出結果を参照して、自走判定部54が車両Xの自走を判定するため、車両Xの自走の判定を精度よく行える。
【0163】
実施形態1に係る第2洗浄工程における自走の判定方法では、車両Xの形状によって、上述した車高差R1等の値が大きく変動する場合がある。一方、本実施形態に係る第2洗浄工程における自走の判定方法では、車両Xの形状によらず、上述した距離R3等の距離はおおよそ車両Xの自走距離と等しくなる。したがって、本実施形態に係る第2洗浄工程における自走の判定方法により、洗車機2は、車両Xの自走をより精度よく判定できる。
【0164】
前述の各実施形態に係る洗車機2は、洗浄工程における車両Xの自走を判定することにより、適切でない車両Xの洗浄が実行されることを低減できる。このため、各実施形態に係る洗車機2は、例えば、洗浄工程において市水または洗浄液等を誤った位置に噴射することを低減でき、ひいては当該市水または洗浄液を無駄に消費することを低減できる。したがって、各実施形態に係る洗車機2は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標6「安全な水とトイレを世界中に」、および目標12「つくる責任つかう責任」の達成に貢献できる。
【0165】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
2 洗車機
4 洗車機本体
44 制御部
52 車形センサ(センサ)
54 自走判定部