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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/06 20060101AFI20250311BHJP
   F15B 11/06 20060101ALI20250311BHJP
   B66F 7/08 20060101ALI20250311BHJP
   B66F 7/22 20060101ALI20250311BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B62B3/06 B
F15B11/06 A
B66F7/08 F
B66F7/22 C
B66F9/06 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022014734
(22)【出願日】2022-02-02
(65)【公開番号】P2023112794
(43)【公開日】2023-08-15
【審査請求日】2024-02-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年11月8日 オンライン開催 https://jipm-event.com/karakuri/exh 第26回からくり改善くふう展2021にて
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 夏輝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 涼
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-154438(JP,A)
【文献】特開2002-059040(JP,A)
【文献】特開昭59-012185(JP,A)
【文献】実開平06-050405(JP,U)
【文献】特開2008-154714(JP,A)
【文献】実開平02-010178(JP,U)
【文献】実開昭55-149459(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00-5/08
B66F 9/00-11/04
B66F 7/00-7/28
B66F 13/00-19/02
F15B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有する台車と、
ピストンと、前記ピストンが固定されるシャフトと、前記ピストンを収容するシリンダと、を有し、前記車輪によって駆動され空気を圧縮するポンプと、
前記ポンプによって圧縮された空気を蓄圧するタンクと、
前記タンクから供給される空気によって作動するアクチュエータと、
前記車輪によって駆動される回転体と、
前記シリンダを前記台車に支持する支持軸と、
を備え、
前記シャフトは、前記回転体に連結され、
前記シリンダは、前記支持軸を中心として揺動する、
移動体。
【請求項2】
前記シリンダは、前記ピストンの前記シャフトが固定される側の第1室と、前記第1室と前記ピストンを挟んで反対側の第2室とを有し、前記第1室および前記第2室の両方が圧縮室である、
請求項1に記載の移動体。
【請求項3】
前記シリンダから空気が流れることを防止する第1逆止弁と、
前記シリンダに空気が流れることを防止する第2逆止弁と、
をさらに備える、
請求項1または2に記載の移動体。
【請求項4】
前記シリンダは、前記ピストンの前記シャフトが固定される側の第1室と、前記第1室と前記ピストンを挟んで反対側の第2室とを有し、
前記第1室および前記第2室のそれぞれに、前記第1逆止弁および前記第2逆止弁が接続される、
請求項に記載の移動体。
【請求項5】
リフト機構をさらに備え、
前記アクチュエータが前記リフト機構を作動させる、
請求項1からのいずれか1項に記載の移動体。
【請求項6】
前記リフト機構は、軸部材と、第1ロック機構を有し、
前記第1ロック機構は、前記リフト機構が上昇した際に前記軸部材と係合する、
請求項に記載の移動体。
【請求項7】
前記リフト機構の上端に配される上部フレームをさらに備え、
前記上部フレームは、前記上部フレームの第1端が前記リフト機構と回転可能に接続され、前記上部フレームの前記第1端と反対側の第2端が、前記リフト機構と離れる方向に移動することによって前記上部フレームが傾斜し、前記上部フレームが離れる方向に傾斜した状態において、前記上部フレームが前記リフト機構に向けて近づくことを防止する第2ロック機構を有する、
請求項またはに記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空圧式アクチュエータを利用した移動体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の移動体は、台車と、台車に取り付けられたリフト機構と、リフト機構を昇降させる空圧式のアクチュエータと、を備える。特許文献1の移動体は、圧縮空気を空圧式のアクチュエータに供給し、アクチュエータを作動させてリフト機構を上昇させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-139002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の移動体は、工場などで利用される圧縮空気を利用してアクチュエータを作動させる。このため、移動体の外部から圧縮空気を供給する必要がある。
【0005】
本開示の課題は、移動時に圧縮空気を蓄圧可能な移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る移動体は、車輪を有する台車と、前記車輪によって駆動され空気を圧縮するポンプと、前記ポンプによって圧縮された空気を蓄圧するタンクと、前記タンクから供給される空気によって作動するアクチュエータと、を備える。
【0007】
この移動体によれば、移動する際にアクチュエータに供給する圧縮空気を蓄圧することができる。これによって、移動体の外部から圧縮空気を供給する必要がない。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、移動時に圧縮空気を蓄圧可能な移動体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態による移動体の全体図。
図2】本開示の実施形態による台車の上面図。
図3】本開示の実施形態による移動体の蓄圧システムの図。
図4】本開示の実施形態によるポンプの駆動状態を示す図。
図5】本開示の実施形態による蓄圧システムの蓄圧状態を示す図。
図6】本開示の実施形態による第1ロック機構を示す概略図。
図7】本開示の実施形態による第2ロック機構を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下明細書において、移動体1の移動方向をFと図面に記す。また、移動体1の幅方向をWと図面に記し、移動方向Fの右側をR、左側をLと記す。さらに、車両の上下方向をGと図面に記し、上方をUと図面に記す。
【0011】
図1、および図2に示すように、移動体1は、台車2と、蓄圧システム4と、アクチュエータ6と、回転体8と、支持軸10と、リフト機構12と、上部フレーム14と、を備える。
【0012】
本実施形態では移動体1は、上部フレーム14にボックス14aが固定され、ボックス14aに廃棄物を格納して搬送するものである。また、本実施形態では、移動体1は、ハンドルHを作業者が操作して押す、手押し型の移動体1である。しかし、移動体1は、空気を圧縮しながら移動する移動体であれば、いかなるものであってもよい。
【0013】
図2に示すように、台車2は、下部フレーム24と、後輪(車輪の一例)26と、前輪28と、を有する。下部フレーム24は、移動体1の各種装置を支持する。本実施形態では下部フレーム24は、鉄、アルミなどの金属でできた井桁状の部材である。
【0014】
後輪26は、下部フレーム24に2つの軸受け26a、および26bを介して固定される。本実施形態では後輪26は、幅方向Wの左右にそれぞれ1個ずつ設けられる。後輪26の軸26cには、第1スプロケット26dが固定される。
【0015】
前輪28は、下部フレーム24の前方に設けられ、移動体1の操舵を行う。本実施形態では前輪28は、下部フレーム24に対して左右方向に回転可能なキャスタータイプの車輪である。
【0016】
図3に示すように、蓄圧システム4は、後輪26の回転を利用して圧縮空気を蓄圧する装置である。蓄圧システム4は、ポンプ16と、タンク18と、第1逆止弁20と、第2逆止弁22と、リリーフ弁29と、第1スイッチ30と、第2スイッチ32と、方向切替弁34と、を備える。なお、本明細書において上流と記す場合は、空気を吸入する側を示し、下流と記す場合はアクチュエータ6側を示す。
【0017】
ポンプ16は、後輪26によって駆動され、大気から吸い上げた空気を圧縮する。本実施形態のポンプ16は、後輪26によって駆動される回転体8により駆動される。ポンプ16は、ピストン16aと、シャフト16bと、シリンダ16cと、を有する。シャフト16bは、ピストン16aに固定される。ピストン16aは、シリンダ16cに収容される。
【0018】
シリンダ16cは、ピストン16aのシャフト16bが固定される側の第1室16dと、第1室16dとピストン16aを挟んで反対側の第2室16eと、を有する。第1逆止弁20は、シリンダ16cの上流の大気とポンプ16を繋ぐ通路上に設けられ、シリンダ16cから空気が大気側に逆流することを防止する弁である。第2逆止弁22は、シリンダ16cの下流のポンプ16とタンク18を繋ぐ通路上に設けられ、シリンダ16cに空気が逆流することを防止する弁である。
【0019】
本実施形態では、第1室16dおよび第2室16eのそれぞれに、第1逆止弁20および第2逆止弁22が接続される。これによって、ピストン16aが摺動し、シリンダ16cの第1室16dおよび第2室16eに吸い込んだ空気は、大気側に逆流しない。したがって、蓄圧システム4は、第1室16dおよび第2室16eの両方が圧縮室である。
【0020】
タンク18は、ポンプ16の下流に設けられ、ポンプ16によって圧縮された空気を蓄圧する。リリーフ弁29は、ポンプ16とタンク18の間の通路上に設けられ、リリーフ弁29をポンプ16側から大気側に切り替えることによって、タンク18に蓄圧された空気を大気に逃がす。本実施形態では、リリーフ弁29は、作業者が切替を手動で行う、手動式のリリーフ弁である。しかし、リリーフ弁29は電磁式のリリーフ弁であってもよい。
【0021】
第1スイッチ30、第2スイッチ32、および方向切替弁34は、アクチュエータ6にタンク18に蓄圧された空気を流すための制御装置である。第1スイッチ30、第2スイッチ32、および方向切替弁34は、従来の空圧装置に用いる制御弁であればよいため説明を省略する。
【0022】
アクチュエータ6は、アクチュエータロッド6aと、アクチュエータロッド6aと固定されるアクチュエータピストン6bと、アクチュエータピストン6bを収容するシリンダ6cと、を有する。本実施形態ではアクチュエータ6は、リフト機構12を上下に動かすための装置である。本実施形態では、アクチュエータ6は、リフト機構12の前後にひとつずつ設けられるとともに、後述するリフト機構12のジョイント軸12bを支持する。また、本実施形態では、第2スイッチ32を押すと、アクチュエータ6のアクチュエータロッド6aが押し出し方向に作動するシリンダ室6dに空気が供給される。第1スイッチ30を押すとアクチュエータ6のアクチュエータロッド6aが引っ込む方向に作動するシリンダ室6eに空気が供給される。
【0023】
図2に示すように、回転体8は、下部フレーム24に軸受け8aおよび軸受け8bを介して支持される円盤である。回転体8の軸8cには、第2スプロケット8dが固定される。第2スプロケット8dは、後輪26の第1スプロケット26dとともにチェーンC(図1参照)が掛け回される。これによって、後輪26の回転に合わせて、回転体8が回転する。なお、本実施形態では、第1スプロケット26dの歯数と、第2スプロケット8dの歯数とが、1対4の比となるように設定される。これによって、移動体1を押す力が過度に増加することを防止している。しかし、歯数は、ポンプ16の圧縮能力や、移動体1を押す力によって適宜設定すればよい。
【0024】
回転体8は、ポンプ16のシャフト16bと連結され、ポンプ16のシャフト16bを往復運動させる。本実施形態では、回転体8およびポンプ16が幅方向Wの左右にそれぞれ1つずつ設けられる。これによって、タンク18に空気を蓄圧する能力が2倍になる。また、本実施形態ではポンプ16は、回転体8の前方に設けられ、シャフト16bが後輪26と反対側(本実施形態では前方側)に延びる。このようにポンプ16を配置することによって、後輪26の軸26cと、回転体8の軸8cとの距離を短くでき、移動体1の移動方向Fの長さを抑制できる。
【0025】
図1および図4に示すように、支持軸10は、下部フレーム24の幅方向Wに延び、ポンプ16のシリンダ16cに固定された軸受けに貫通する。これによって、ポンプ16のシリンダ16cを下部フレーム24に揺動可能に支持する。
【0026】
リフト機構12は、上部フレーム14を昇降するための機構である。本実施形態のリフト機構12は、複数のアーム12aと、これらを接続するジョイント軸12bと、アーム12aの交差部分を支持する交差軸(軸部材の一例)12cとを含むパンタグラフ式のリフト機構12である。
【0027】
上部フレーム14は、上部フレーム14の前端(第1端の一例)がリフト機構12と回転可能に接続される。これによって、上部フレーム14の前端と反対側の後端(第2端の一例)が、リフト機構12と離れる方向に移動可能に構成される。これによって、上部フレーム14の後端を作業者が持ち上げることにより、上部フレーム14が傾斜する。このように上部フレーム14が傾斜することによって、本実施形態では、上部フレーム14に設けられたボックス14aから廃棄物をごみ箱に流す。
【0028】
リフト機構12は、第1ロック機構36と、第2ロック機構38と、を有する。図6に示すように、第1ロック機構36は、リフト機構12が上昇した際に交差軸12cと係合する。本実施形態では第1ロック機構36は、先端にU字の第1切り欠き部36aを備える棒状部材36bが、交差軸12cに回転可能に支持される。第1切り欠き部36aが下方にある交差軸12cに係合することによって、上下の交差軸12cを結合する。これによって、棒状部材が支持棒として機能し、リフト機構12が降下することを防止する。
【0029】
また、第1ロック機構36は、ロック解除機構36cを有する。ロック解除機構36cは、棒状部材36bを回転方向に移動させて、交差軸12cに係合した第1切り欠き部36aを交差軸12cから離す。これによって、第1ロック機構36がロック状態からロック解除状態に移る。本実施形態では、ロック解除機構36cは、棒状部材36bに固定されたワイヤーであり、ワイヤーを引っ張ることによって棒状部材32bを回転させ、第1ロック機構36をロック解除状態にする。
【0030】
図7に示すように、第2ロック機構38は、上部フレーム14がリフト機構12から離れる方向に傾斜した状態において、上部フレーム14がリフト機構12に向けて近づくことを防止する。本実施形態では、U字の第2切り欠き部38aと、U字の第2切り欠き部38aを覆い隠す三角形状のキャップ38bと、を有する棒状部材38cが、上部フレーム14に回転可能に支持される。第2ロック機構38のロック状態からロック解除状態への切り替えについては、後述する。
【0031】
このように構成された移動体1は、作業者が移動体1を押すと後輪26が回転する。図4に示すように、後輪26が回転すると、後輪26と同軸上に設けられた第1スプロケット26dが回転する。第1スプロケット26dが回転すると、チェーンCを介して第2スプロケット8dが回転し、第2スプロケット8dと同軸上に設けられた回転体8が回転する。
【0032】
図4(a)に示すように、回転体8が回転すると、回転体8に回転可能に支持されたシャフト16bが回転方向に押される。本実施形態ではシャフト16bは、移動体1の移動方向Fに押される。図4(b)から図4(d)に示すように、シャフト16bは回転体8の円運動を往復運動に変換する。これに伴って、ピストン16aがシリンダ16c内を摺動する。このとき、シリンダ16cは、シャフト16bの傾斜に合わせて支持軸10を中心として上下に揺動する。
【0033】
図5(a)に示すように、ピストン16aが第2室16e側のボトムから摺動し始めると、第2室16eに接続される第1逆止弁20から大気を吸い込み始める。一方、第1室16d側が大気で充填されている場合、ピストン16aが第1室16dの空気を圧縮し始めると同時に、第1室16dの空気がタンク18に送られる。
【0034】
図5(b)に示すように、ピストン16aが第1室16d側に摺動すると、第1室16dの空気が圧縮されながら第1室16dに接続される第2逆止弁22を通過して、タンク18に送られる。このとき、第2室16eに接続される第2逆止弁22は、タンク18側からポンプ16に向けた空気の逆流を防止するため、第1室16dから送られた空気が第2室16eに入ることを防止する。
【0035】
図5(c)に示すように、ピストン16aが第1室16dのボトムまで進むと、第1室16dの空気がタンク18に送り終わると同時に、第2室16eに空気が充填される。図5(d)に示すように、ピストン16aが第2室16e側に進むと、ピストン16aが第2室16eを圧縮し始めると同時に、第2室16eの空気がタンク18に送られる。
【0036】
図5(e)および図5(f)に示すように、ピストン16aが第2室16e側に摺動すると、第2室16eの空気が圧縮されながら第2室16eに接続される第2逆止弁22を通過して、タンク18に送られる。そして、再び図5(a)の状態に戻り、第1室16dの圧縮を開始する。
【0037】
移動体1は、後輪26が回転している間、このようなサイクルを繰り返すことによって、タンク18に空気を蓄圧する。なお、タンク18に蓄圧する圧力は、ポンプ16の能力等によって適宜設定すればよい。
【0038】
図3に示すように、移動体1の作業者によって第2スイッチ32が押されると、アクチュエータ6のアクチュエータロッド6aが押し出され、リフト機構12が上昇する。
【0039】
図6(a)に示すように、このとき第1ロック機構36の棒状部材36bの自重によって、棒状部材36bが交差軸12cに向かって回転する。本実施形態では、棒状部材36bは、時計回りに回転する。棒状部材36bが回転すると第1切り欠き部36aが交差軸12cに係合し、第1ロック機構36がロック状態となる。これによって、リフト機構12が降下できないようにロックされる。このため、移動体1は、リフト機構12が上昇し終えたのちは、アクチュエータ6の空圧の有無にかかわらず降下することがない。
【0040】
次に、図7に示すように、作業者によってボックス14aが傾斜させられることによって、ボックス14a内の廃棄物をゴミ箱等に落下させる。このとき、図7(a)に示すように、第2ロック機構38の棒状部材38cが、上部フレーム14とともに持ち上がり、自重によって回転する。本実施形態では棒状部材38cが反時計回りに回転する。棒状部材38cが回転すると、キャップ38bの上面38d(図7(c)も参照)が交差軸12cに引っ掛かり回転する。本実施形態ではキャップ38bは時計回りに回転する。これによって、キャップ38bに覆われていた第2切り欠き部38aが現れた状態に移る。第2切り欠き部38aが現れた状態において、作業者によって上部フレーム14が下げられると、第2切り欠き部38aが交差軸12cに係合する。これによって、第2ロック機構38は、ロック解除状態からロック状態に移る。第2ロック機構38はこのように作動することによって、上部フレーム14がリフト機構12に向けて降下することを防止できる。
【0041】
図7(b)に示すように、作業者によって上部フレーム14がさらに上昇させられると、キャップ38bが回転する。本実施形態ではキャップ38bが反時計回りに回転する。キャップ38bが回転すると、キャップ38bが第2切り欠き部38aを覆う。このように第2ロック機構38は、ロック状態からロック解除状態に移る。キャップ38bが第2切り欠き部38aを覆った状態において、作業者によって上部フレーム14が下げられると、キャップ38bの底面38eが交差軸12cを滑り、棒状部材38cが回転する。本実施形態では棒状部材38cが時計周りに回転する。図7(c)に示すように、作業者によって上部フレーム14がさらに下げられると、棒状部材38cが交差軸12cに当接しながら下がる。
【0042】
以上説明した通り、本開示によれば、移動時に圧縮空気を蓄圧可能な移動体1を提供できる。
【0043】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0044】
(a)上記実施形態では、アクチュエータ6をリフト機構12の昇降に使用する例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。アクチュエータ6を、例えば搬送物の押し出しする装置などの、リフト機構12以外の装置に用いてもよい。
【0045】
(b)上記実施形態では、第1スプロケット26dから第2スプロケット8dへの動力伝達にチェーンを使用する例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、第1スプロケット26dから第2スプロケット8dへの動力伝達にベルトやギヤを用いてもよい。
【0046】
(c)上記実施形態では、移動体1の移動方向Fに対して幅方向(左右方向)の左右それぞれにポンプ16を設けたが、本開示はこれに限定されるものではない。ポンプ16は例えば左右のどちらか一方だけに設けてもよい。
【0047】
(d)上記実施形態では、移動体1として、作業者によって押す手押し型の移動体を例に説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。移動体1は、例えば自動で搬送物を搬送する自動搬送装置に蓄圧システム4を搭載してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 :移動体
2 :台車
4 :蓄圧システム
6 :アクチュエータ
8c :軸
8d :第2スプロケット
10 :支持軸
12 :リフト機構
14 :上部フレーム
16 :ポンプ
16a :ピストン
16b :シャフト
16c :シリンダ
16d :第1室
16e :第2室
18 :タンク
20 :第1逆止弁
26c :軸
36 :第1ロック機構
38 :第2ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7