(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20250311BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20250311BHJP
C08L 61/04 20060101ALI20250311BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K3/013
C08L61/04
H05K1/03 610L
(21)【出願番号】P 2022016388
(22)【出願日】2022-02-04
【審査請求日】2024-07-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤島 祥平
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156909(JP,A)
【文献】特開2018-044040(JP,A)
【文献】特開2019-035056(JP,A)
【文献】特開2017-177461(JP,A)
【文献】特開2016-113608(JP,A)
【文献】米国特許第05837355(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
(A)成分が、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含み、
(B)成分がエポキシ樹脂を含み、
該樹脂組成物を乾燥させて樹脂組成物層を形成したとき、
該樹脂組成物層中の(A1)成分の含有量が、樹脂組成物
層中の(A)成分を100質量%とした場合、
50質量%以上
95質量%以下であり、
該樹脂組成物層中の(C)成分の含有量が、樹脂組成物
層中の(A)成分以外の成分を100質量%とした場合、40質量%以上である、樹脂組成物
(但し、エポキシ基と、ラジカル重合性官能基と反応する官能基と、を有する樹脂を含む樹脂組成物を除く)。
【請求項2】
(A1)成分が、760mmHgにおける沸点が130℃~200℃の有機溶剤を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
(A1)成分が、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、及びグリコールエーテルエステル系溶剤からなる群から選ばれる有機溶剤を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(A)成分が、(A2)20℃における水に対する溶解度が15g/L以上150g/L未満の有機溶剤をさらに含む、請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(A2)成分が、ケトン系溶剤を含む、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(A)成分が、(A3)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L未満の有機溶剤をさらに含む、請求項1~5の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
(A)成分が、(A4)20℃における水に対する溶解度が150g/L以上の有機溶剤をさらに含む、請求項1~6の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
(A)成分が、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤、(A2)20℃における水に対する溶解度が15g/L以上150g/L未満の有機溶剤、(A3)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L未満の有機溶剤、及び、(A4)20℃における水に対する溶解度が150g/L以上の有機溶剤を含む、請求項1~7の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
(B)成分が、活性エステル系硬化剤をさらに含む、請求項
1~8
の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
(B)成分が、フェノール系硬化剤をさらに含む、請求項
1~9
の何れか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を備えるプリント配線板。
【請求項13】
請求項12に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
【請求項14】
支持体と、
当該支持体上に設けられた、(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含
む樹脂組成物層であって、
(A)成分が、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含み、
(B)成分がエポキシ樹脂を含み、
(A1)成分の含有量が、樹脂組成物
層中の(A)成分を100質量%とした場合、
50質量%以上
95質量%以下であり、
(C)成分の含有量が、樹脂組成物
層中の(A)成分以外の成分を100質量%とした場合、40質量%以上である、樹脂組成物層と、
を有する樹脂シート
(但し、エポキシ基と、ラジカル重合性官能基と反応する官能基と、を有する樹脂を含む樹脂組成物層を除く)。
【請求項15】
樹脂組成物層の60℃~200℃における最低溶融粘度は、10000poise以下である、請求項14に記載の樹脂シート。
【請求項16】
樹脂組成物層の60℃~200℃における最低溶融粘度は、50poise以上である、請求項14又は15に記載の樹脂シート。
【請求項17】
下記(I)及び(II)の工程を含むプリント配線板の製造方法。
(I)請求項14
~16のいずれか1項に記載の樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物の層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物の層を硬化して絶縁層を形成する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物に関する。さらには、当該樹脂組成物を用いる樹脂シートの製造方法及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は、熱硬化性樹脂と無機充填材を含む樹脂組成物を硬化させて形成される。これまでに、絶縁層中の無機充填材を高充填化させることにより熱膨張率低減を図ることができることが知られており、このような絶縁層を備えたプリント配線板を用いることで電子部品の信頼性を向上できることが知られている(特許文献1)。
【0003】
なお、無機充填材を高充填させる場合、無機充填材を熱硬化性樹脂と混錬させるための溶剤は、形成した絶縁層の流動性やムラに大きく影響を及ぼすため、溶剤の選定が極めて重要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ラミネート後のムラの発生を抑えることができる樹脂組成物を提供することにある(ラミネート後のムラについては試験例2を参照)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を達成すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含む樹脂組成物において、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を一定量以上含有させることにより、意外にも、ラミネート後のムラの発生を抑えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
(A)成分が、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含み、
(A1)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分を100質量%とした場合、35質量%以上であり、
(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分以外の成分を100質量%とした場合、40質量%以上である、樹脂組成物。
[2] (A1)成分が、760mmHgにおける沸点が130℃~200℃の有機溶剤を含む、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (A1)成分が、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、及びグリコールエーテルエステル系溶剤からなる群から選ばれる有機溶剤を含む、上記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (A)成分が、(A2)20℃における水に対する溶解度が15g/L以上150g/L未満の有機溶剤をさらに含む、上記[1]~[3]の何れかに記載の樹脂組成物。
[5] (A2)成分が、ケトン系溶剤を含む、上記[4]に記載の樹脂組成物。
[6] (A)成分が、(A3)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L未満の有機溶剤をさらに含む、上記[1]~[5]の何れかに記載の樹脂組成物。
[7] (A)成分が、(A4)20℃における水に対する溶解度が150g/L以上の有機溶剤をさらに含む、上記[1]~[6]の何れかに記載の樹脂組成物。
[8] (B)成分が、エポキシ樹脂を含む、上記[1]~[7]の何れかに記載の樹脂組成物。
[9] (B)成分が、活性エステル系硬化剤をさらに含む、上記[8]に記載の樹脂組成物。
[10] (B)成分が、フェノール系硬化剤をさらに含む、上記[8]又は[9]に記載の樹脂組成物。
[11] 上記[1]~[10]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[12] 上記[1]~[11]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を備えるプリント配線板。
[13] 上記[12]に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
[14] 支持体と、
当該支持体上に設けられた、(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含む樹脂組成物で形成された樹脂組成物層であって、
(A)成分が、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含み、
(A1)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分を100質量%とした場合、35質量%以上であり、
(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分以外の成分を100質量%とした場合、40質量%以上である、樹脂組成物層と、
を有する樹脂シート。
[15] 下記(I)及び(II)の工程を含むプリント配線板の製造方法。
(I)上記[14]に記載の樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物の層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物の層を硬化して絶縁層を形成する工程
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂組成物によれば、ラミネート後のムラの発生を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0010】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含み、(A)成分が、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含み、(A1)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分を100質量%とした場合、35質量%以上であり、(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分以外の成分を100質量%とした場合、40質量%以上である。このような樹脂組成物によれば、ラミネート後のムラの発生を抑えることができる。
【0011】
本発明の樹脂組成物は、(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材の他に、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(D)難燃剤、(E)熱可塑性樹脂、(F)硬化促進剤、及び(G)その他の添加剤が挙げられる。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、一実施形態において、樹脂シートに加工する前の乾燥前において、ワニス状であり得る。ワニス状とは、樹脂組成物に含まれる不揮発成分のうち非粒子状の不揮発成分が溶剤に溶解した状態をいう。ワニス状の樹脂組成物は、一実施形態において、塗布することができ、流動性を有することが好ましい。基板にラミネートする樹脂シートは、ワニス状の樹脂組成物を乾燥することにより形成されるフィルム状の樹脂組成物の層を備える。
【0013】
以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0014】
<(A)有機溶剤>
本発明の樹脂組成物は、(A)有機溶剤を含有する。ここで説明する(A)有機溶剤は、炭素原子及び酸素原子から選ばれる骨格原子で構成された分子内に炭素間二重結合及び炭素間三重結合(芳香環を構成する結合を除く)を含まない沸点250℃以下の液体化合物(20℃下において液体の化合物)である。また、ここで説明する(A)有機溶剤には、(B)熱硬化性樹脂に該当するものを含めない。本明細書中において沸点は、特に指定がない限り、760mmHgにおける沸点(すなわち標準沸点)を示す。(A)有機溶剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
(A)有機溶剤は、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含む。(A1)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
(A1)成分の20℃における水に対する溶解度(以下「水溶解度」と略す場合がある)は、好ましくは1g/L以上14g/L未満、より好ましくは2g/L以上13g/L未満、さらに好ましくは3g/L以上12g/L未満、特に好ましくは4g/L以上11g/L未満である。
【0017】
(A1)成分は、一実施形態において、好ましくは760mmHgにおける沸点(以下単に「沸点」と略す場合がある)が100℃~230℃の有機溶剤、より好ましくは沸点が130℃~200℃の有機溶剤、さらに好ましくは沸点が140℃~195℃の有機溶剤、特に好ましくは沸点が150℃~190℃の有機溶剤を含む。
【0018】
(A1)成分の具体例としては、2-ヘプタノン(MAK)(沸点151℃)等のケトン系溶剤;シクロヘキサノールアセテート(CHXA)(沸点173℃)等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BMGAC)(沸点188℃)等のグリコールエーテルエステル系溶剤;ジプロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル(DPMNB)(沸点227℃)芳香族炭化水素系溶剤等のグリコールジエーテル系溶剤等が挙げられ、一実施形態において、中でも、(A1)成分は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、及びグリコールエーテルエステル系溶剤からなる群から選ばれる有機溶剤を含むことが好ましく、MAK、CHXA、及びBMGACからなる群から選ばれる有機溶剤を含むことが特に好ましい。
【0019】
(A)有機溶剤中の(A1)成分の含有量は、一実施形態において、樹脂シートに加工する前の乾燥前のワニス状の樹脂組成物と、基板にラミネートする樹脂シートにおける乾燥後の樹脂組成物とで相違する場合がある。
【0020】
乾燥前の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A1)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、35質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは53質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、特に好ましくは57質量%以上であり、その上限は、特に限定されるものではないが、例えば100質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。
【0021】
乾燥後の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A1)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、35質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは75質量%以上であり、その上限は、特に限定されるものではないが、例えば100質量%以下、好ましくは95質量%以下、特に好ましくは90質量%以下である。
【0022】
(A)有機溶剤は、一実施形態において、(A2)20℃における水に対する溶解度が15g/L以上150g/L未満の有機溶剤をさらに含むことが好ましい。(A2)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(A2)成分の20℃における水に対する溶解度(水溶解度)は、好ましくは18g/L以上100g/L未満、より好ましくは20g/L以上70g/L未満、さらに好ましくは22g/L以上50g/L未満、特に好ましくは24g/L以上30g/L未満である。
【0024】
(A2)成分は、一実施形態において、好ましくは760mmHgにおける沸点が75℃~230℃の有機溶剤、より好ましくは沸点が75℃~200℃の有機溶剤、さらに好ましくは沸点が75℃~180℃の有機溶剤、特に好ましくは沸点が75℃~160℃の有機溶剤を含む。
【0025】
(A2)成分の具体例としては、シクロヘキサノン(Anone)(沸点156℃)、メチルエチルケトン(MEK)(沸点80℃)、メチルイソブチルケトン(沸点116℃)等のケトン系溶剤;エチルアセテート(AE)(沸点77℃)、イソプロピルアセテート(IPAC)(沸点85℃)、プロピルアセテート(NPAC)(沸点102℃)、ブチルアセテート(BA)(沸点126℃)等のエステル系溶剤;3-メトキシブチルアセテート(MBA)(沸点171℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BDGAC)(沸点247℃)等のグリコールエーテルエステル系溶剤;ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル(DPMNP)(沸点203℃)等のグリコールジエーテル系溶剤;プロピレングリコールジアセテート(PGDA)(沸点190℃)、1,4-ブタンジオールジアセテート(1,4-BDDA)(沸点232℃)、1,3-ブチレングリコールジアセテート(1,3-BGDA)(沸点232℃)等のグリコールジエステル系溶剤等が挙げられる。一実施形態において、(A2)成分は、中でも、ケトン系溶剤を含むことが好ましく、Anone、及びMEKからなる群から選ばれる有機溶剤を含むことが特に好ましい。
【0026】
(A)有機溶剤中の(A2)成分の含有量は、一実施形態において、樹脂シートに加工する前の乾燥前のワニス状の樹脂組成物と、基板にラミネートする樹脂シートにおける乾燥後の樹脂組成物とで相違する場合がある。
【0027】
乾燥前の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A2)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、例えば0質量%以上、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、その上限は、50質量%以下であり、特に限定されるものではないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。
【0028】
乾燥後の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A2)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、例えば0質量%以上、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、その上限は、50質量%以下であり、特に限定されるものではないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。
【0029】
本発明の樹脂組成物において、一実施形態において、(A)有機溶剤は、(A3)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L未満の有機溶剤をさらに含むことが好ましい。(A3)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
(A3)成分は、一実施形態において、好ましくは760mmHgにおける沸点が50℃~230℃の有機溶剤、より好ましくは沸点が80℃~200℃の有機溶剤、さらに好ましくは沸点が90℃~150℃の有機溶剤、特に好ましくは沸点が100℃~130℃の有機溶剤を含む。
【0031】
(A3)成分の具体例としては、トルエン(沸点110℃)、o-キシレン(沸点144℃)、m-キシレン(沸点139℃)、p-キシレン(沸点138℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)等の芳香族炭化水素系溶剤;n-ペンタン(沸点36℃)、n-ヘキサン(沸点69℃)、2-メチルペンタン(別名イソヘキサン)(沸点60-62℃)、n-ヘプタン(沸点98℃)、n-オクタン(沸点125℃)、シクロペンタン(沸点49℃)、シクロヘキサン(沸点81℃)、メチルシクロヘキサン(沸点101℃)、エチルシクロヘキサン(沸点132℃)等の脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられる。一実施形態において、(A3)成分は、中でも、芳香族炭化水素系溶剤を含むことが好ましく、トルエンを含むことが特に好ましい。
【0032】
(A)有機溶剤中の(A3)成分の含有量は、一実施形態において、樹脂シートに加工する前の乾燥前のワニス状の樹脂組成物と、基板にラミネートする樹脂シートにおける乾燥後の樹脂組成物とで相違する場合がある。
【0033】
乾燥前の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A3)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、例えば0質量%以上、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、その上限は、50質量%以下であり、特に限定されるものではないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。
【0034】
乾燥後の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A3)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、例えば0質量%以上、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、その上限は、50質量%以下であり、特に限定されるものではないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
【0035】
本発明の樹脂組成物において、一実施形態において、(A)有機溶剤は、(A4)20℃における水に対する溶解度が150g/L以上の有機溶剤をさらに含むことが好ましい。(A4)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(A4)成分は、一実施形態において、好ましくは760mmHgにおける沸点が50℃~230℃の有機溶剤、より好ましくは沸点が70℃~200℃の有機溶剤、さらに好ましくは沸点が90℃~150℃の有機溶剤、特に好ましくは沸点が110℃~130℃の有機溶剤を含む。
【0037】
(A4)成分の具体例としては、γ-ブチロラクトン(GBL)(沸点204℃)、メチルアセテート(MA)(沸点56℃)等のエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(沸点146℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAC)(沸点217℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)(沸点213℃)等のグリコールエーテルエステル系溶剤;ジプリピレングリコールジメチルエーテル(DMM)(沸点175℃)等のグリコールジエーテル系溶剤;ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DB)(沸点231℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MMPG)(沸点121℃)、3-メトキシブタノール(MB)(沸点161℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)(沸点120℃)等のグリコールモノエーテル系溶剤;1,3-ブチレングリコール(1,3-BG)(沸点208℃)等のグリコール系溶剤;メタノール(沸点64℃)、エタノール(沸点78℃)、n-プロパノール(沸点97℃)、イソプロパノール(沸点82℃)等のアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(沸点153℃)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)(沸点165℃)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)(沸点202℃)等のアミド系溶剤等が挙げられる。一実施形態において、(A4)成分は、中でも、グリコールモノエーテル系溶剤を含むことが好ましく、PGMを含むことが特に好ましい。
【0038】
(A)有機溶剤中の(A4)成分の含有量は、一実施形態において、樹脂シートに加工する前の乾燥前のワニス状の樹脂組成物と、基板にラミネートする樹脂シートにおける乾燥後の樹脂組成物とで相違する場合がある。
【0039】
乾燥前の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A4)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、例えば0質量%以上、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり、その上限は、50質量%以下であり、特に限定されるものではないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
【0040】
乾燥後の樹脂組成物における(A)有機溶剤中の(A4)成分の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、例えば0質量%以上、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上であり、その上限は、50質量%以下であり、特に限定されるものではないが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
【0041】
樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、一実施形態において、樹脂シートに加工する前の乾燥前のワニス状の樹脂組成物と、基板にラミネートする樹脂シートにおける乾燥後の樹脂組成物とで相違する場合がある。
【0042】
乾燥前の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、その上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
【0043】
乾燥後の樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、特に限定されるものではないが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であり、その上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上である。
【0044】
<(B)熱硬化性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(B)熱硬化性樹脂を含有する。(B)熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、それらと反応して硬化させる機能を有し得る硬化剤(例えばエポキシ樹脂硬化剤)等も含み得る。
【0045】
樹脂組成物中の(B)熱硬化性樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下である。また、樹脂組成物中の(B)熱硬化性樹脂の含有量の下限は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。
【0046】
<(B1)エポキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(B)熱硬化樹脂として(B1)エポキシ樹脂を含有することが好ましい。(B1)エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するエポキシ当量5,000g/eq.以下の硬化性樹脂である。ここで説明する(B1)エポキシ樹脂は、下記で説明する(E)熱可塑性樹脂に該当するもの以外の成分である。
【0047】
(B1)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。(B1)エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明の樹脂組成物は、(B1)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。(B1)エポキシ樹脂100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0049】
(B1)エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との両方を含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との両方を含んでいることが特に好ましい。
【0050】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0051】
液状エポキシ樹脂としては、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族グリシジルエーテル、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0052】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製の「EX-992L」、三菱ケミカル社製の「YX7400」、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-991L」(アルキレンオキシ骨格及びブタジエン骨格含有エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「EG-280」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製「EX-201」(環状脂肪族グリシジルエーテル)等が挙げられる。
【0053】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0054】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0055】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」、「HP6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
(B1)エポキシ樹脂として、固体状エポキシ樹脂と液状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(固体状エポキシ樹脂:液状エポキシ樹脂)は、好ましくは10:1~1:50、より好ましくは5:1~1:20、特に好ましくは2:1~1:10である。
【0057】
(B1)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~2,000g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~1,000g/eq.、さらにより好ましくは80g/eq.~500g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0058】
(B1)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0059】
樹脂組成物中の(B1)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらにより好ましくは35質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。樹脂組成物中の(B1)エポキシ樹脂の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、例えば0質量%以上、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。
【0060】
<(B2)エポキシ樹脂硬化剤>
本発明の樹脂組成物は、(B)熱硬化樹脂として(B1)エポキシ樹脂を含む場合、任意成分としてさらに(B2)エポキシ樹脂硬化剤を含有していてもよい。(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、(B)熱硬化樹脂として(B1)エポキシ樹脂が含まれる場合に、(B1)エポキシ樹脂と反応して硬化させる機能を有し得る。ここで説明する(B2)エポキシ樹脂硬化剤は、下記で説明する(D)難燃剤及び(E)熱可塑性樹脂に該当するもの以外の成分である。
【0061】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びチオール系硬化剤等が挙げられる。(B2)エポキシ樹脂硬化剤((B)熱硬化性樹脂)は、一実施形態において、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びシアネートエステル系硬化剤から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂硬化剤を含むことが好ましく、活性エステル系硬化剤、及びフェノール系硬化剤から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂硬化剤を含むことがより好ましい。(B2)エポキシ樹脂硬化剤((B)熱硬化性樹脂)は、一実施形態において、誘電正接をより低く抑える観点から、活性エステル系硬化剤を含むことが特に好ましい。また、(B2)エポキシ樹脂硬化剤((B)熱硬化性樹脂)は、一実施形態において、硬化性をより向上させる観点から、フェノール系硬化剤を含むことが特に好ましい。
【0062】
活性エステル系硬化剤としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル化合物は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0063】
活性エステル系硬化剤としては、具体的には、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、及びナフタレン型活性エステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物が好ましい。
【0064】
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル化合物として、「EXB9401」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
【0065】
フェノール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。また、被着体に対する密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「KA-1160」等が挙げられる。
【0066】
カルボジイミド系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する硬化剤が挙げられ、例えば、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。
【0067】
カルボジイミド系硬化剤の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
【0068】
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられ、1分子内中に2個以上の酸無水物基を有する硬化剤が好ましい。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」、三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」、日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」、クレイバレイ社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
【0069】
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
【0070】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
【0071】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0072】
チオール系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0073】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤の反応基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。反応基当量は、反応基1当量あたりの(B2)エポキシ樹脂硬化剤の質量である。
【0074】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤として活性エステル系硬化剤が含まれる場合、樹脂組成物中の活性エステル系硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、誘電正接をより低く抑える観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは7質量%以上である。また、樹脂組成物中の活性エステル系硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の(B2)エポキシ樹脂硬化剤を100質量%とした場合、誘電正接をより低く抑える観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。
【0075】
(B2)エポキシ樹脂硬化剤としてフェノール系硬化剤が含まれる場合、樹脂組成物中のフェノール系硬化剤の含有量は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、硬化性をより向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上である。
【0076】
樹脂組成物中の(B2)エポキシ樹脂硬化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。樹脂組成物中の(B2)エポキシ樹脂硬化剤の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、例えば、0質量%以上、0.01質量%以上であり得、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、特に好ましくは5質量%以上であり得る。
【0077】
<(C)無機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(C)無機充填材を含有する。(C)無機充填材は、粒子の状態で樹脂組成物に含まれる。
【0078】
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(C)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカ又はアルミノシリケートが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(C)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0079】
(C)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;デンカ社製の「UFP-30」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「DAW-03」、「FB-105FD」;日揮触媒化成社製の「BA-S」;太平洋セメント社製「MG-005」などが挙げられる。
【0080】
(C)無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4μm以下、さらにより好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下である。(C)無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.07μm以上である。(C)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0081】
(C)無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、さらに好ましくは1m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。(C)無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは70m2/g以下、さらに好ましくは50m2/g以下、特に好ましくは40m2/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
【0082】
(C)無機充填材は、平均空孔率0体積%の中実無機充填材(好ましくは中実シリカ、中実アルミナ、中実アルミノシリケート)であってもよく、平均空孔率0体積%超の中空無機充填材(好ましくは中空シリカ、中空アルミナ、中空アルミノシリケート)であってもよく、両方を含んでいてもよい。(C)無機充填材は、誘電率をより低く抑える観点から、中空無機充填材のみを含むか、或いは中実無機充填材と中空無機充填材の両方を含むことが好ましい。中空無機充填材の平均空孔率は、90体積%以下であることが好ましく、85積%以下であることがより好ましい。中空無機充填材の平均空孔率の下限は、特に限定されるものではないが、例えば、0体積%超、1体積%以上、5体積%以上、10体積%以上、20体積%以上、30体積%以上等とし得る。無機充填材の空孔率P(体積%)は、粒子の外面を基準とした粒子全体の体積に対する粒子内部に1個又は2個以上存在する空孔の合計体積の体積基準割合(空孔の合計体積/粒子の体積)として定義され、例えば、無機充填材の実際の密度の測定値DM(g/cm3)、及び無機充填材を形成する材料の物質密度の理論値DT(g/cm3)を用いて、下記式(I)により算出される。
【0083】
【0084】
無機充填材の実際の密度は、例えば、真密度測定装置を用いて測定することができる。真密度測定装置としては、例えば、QUANTACHROME社製のULTRAPYCNOMETER1000等が挙げられる。測定ガスとしては、例えば、窒素を使用する。
【0085】
(C)無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0086】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0087】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
【0088】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。
【0089】
(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0090】
樹脂組成物中の(C)無機充填材の含有量(質量%)は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。樹脂組成物中の(C)無機充填材の含有量(質量%)の上限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは78質量%以下であり得る。
【0091】
樹脂組成物中の(C)無機充填材の含有量(体積%)は、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100体積%とした場合、好ましくは30体積%以上、より好ましくは35体積%以上、さらに好ましくは40体積%以上、さらにより好ましくは45体積%以上、特に好ましくは50体積%以上である。樹脂組成物中の(C)無機充填材の含有量(体積%)の上限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100体積%とした場合、好ましくは80体積%以下、より好ましくは75体積%以下、さらに好ましくは70体積%以下、特に好ましくは65体積%以下であり得る。
【0092】
<(D)難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、任意成分として(D)難燃剤を含んでいてもよい。ここで説明する(D)難燃剤は、下記で説明する(F)硬化促進剤に該当するもの以外の成分である。
【0093】
(D)難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、リン酸塩、リン酸エステル、ポリリン酸塩、ホスフィン酸塩、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル等のリン系難燃剤;脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、尿素化合物等の窒素系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン化合物等の無機系難燃剤;ヘキサブロモベンゼン、塩素化パラフィン、臭素化ポリカーボネート樹脂、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ベンジルポリアクリレート樹脂等のハロゲン系難燃剤等が挙げられる。(D)難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0094】
本発明の樹脂組成物において(D)難燃剤は、好ましくは、リン系難燃剤を含み;より好ましくは、ホスファゼン類、リン酸塩、リン酸エステル、ポリリン酸塩、ホスフィン酸塩、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸塩、及びホスホン酸エステルからなる群から選ばれるリン系難燃剤を含み;特に好ましくは、ホスフィン酸エステルを含む。
【0095】
ホスファゼン類としては、例えば、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン、トリス(4-ヒドロキシフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼン、ヘキサキス(4-ヒドロキシフェノキシ)シクロトリホスファゼン、トリス(4-メチルフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼン、トリス(4-シアノフェノキシ)トリフェノキシシクロトリホスファゼン、ヘキサキス(4-アミノフェノキシ)シクロトリホスファゼン、トリス[4-(2-グリシジルオキシエチル)フェノキシ]トリフェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン等のフェノキシシクロホスファゼン類等が挙げられる。
【0096】
リン酸塩としては、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸メラミン、リン酸ピペラジン等が挙げられる。
【0097】
リン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート等の非ハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)フェニルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,6-ジメチルフェニル)1,3-フェニレンビスホスフェート等の非ハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス[3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル]ホスフェート等のハロゲン系脂肪族リン酸エステル等が挙げられる。
【0098】
ポリリン酸塩としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン等が挙げられる。
【0099】
ホスフィン酸塩としては、例えば、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、トリス(メチルエチルホスフィン酸)アルミニウム、ビス(メチルエチルホスフィン酸)亜鉛、テトラキス(ジエチルホスフィン酸)チタン等のジアルキルホスフィン酸塩;ビス(ジフェニルホスフィン酸)亜鉛、テトラキス(ジフェニルホスフィン酸)チタン等のジアリールホスフィン酸塩等が挙げられる。
【0100】
ホスフィン酸エステルとしては、例えば、ジメチルホスフィン酸メチル、ジメチルホスフィン酸エチル、ジエチルホスフィン酸エチル、ジエチルホスフィン酸ビニル、ジエチルホスフィン酸フェニル等のジアルキルホスフィン酸エステル;ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸エチル等の非環状ジアリールホスフィン酸エステル;10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(1,4-ジヒドロキシ-2-ナフチル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(2,5-ジヒドロキシビフェニル-4-イル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-[2,4-ジ(グリシジルオキシ)フェニル]-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド等の環状ジアリールホスフィン酸エステル;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド等の環状モノアリールホスフィン酸エステル;9,10-ジヒドロ-10-ベンジル-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-[2,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)プロピル]-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド又はそのポリエーテル重縮合体、10-(2-シアノエチル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-[2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル]-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3-グリシジルオキシプロピル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド等の環状アリールアルキルホスフィン酸エステル等が挙げられる。
【0101】
ホスホン酸塩としては、例えば、メタンホスホン酸亜鉛、エチルホスホン酸亜鉛、ブチルホスホン酸亜鉛、フェニルホスホン酸亜鉛等が挙げられる。
【0102】
ホスホン酸エステルとしては、例えば、メチルホスホン酸ジフェニル、ブチルホスホン酸ジブチル、エチルホスホン酸ジエチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジエチル等の脂肪族ホスホン酸エステル;フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル等の芳香族ホスホン酸エステルが挙げられる。
【0103】
(D)難燃剤は、フェノール性水酸基含有ホスフィン酸エステルを含むことが特に好ましい。フェノール性水酸基含有リン系難燃剤のフェノール性水酸基当量は、特に限定されるものではないが、好ましくは80g/eq.~1,000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~500g/eq.、さらに好ましくは110g/eq.~300g/eq.、さらにより好ましくは120g/eq.~200g/eq.、好ましくは130g/eq.~180g/eq.である。フェノール性水酸基当量は、フェノール性水酸基1当量あたりのリン系難燃剤の質量である。フェノール性水酸基含有ホスフィン酸エステルは、(B2)エポキシ樹脂硬化剤同様、(B1)エポキシ樹脂を硬化する機能を有する場合がある。
【0104】
(D)難燃剤の市販品としては、例えば、大塚化学社製の「SPH-100」、「SPS-100」、「SPB-100」、「SPE-100」(ホスファゼン類);伏見製薬所社製の「FP-100」、「FP-110」、「FP-300」、「FP-400」(ホスファゼン類);三光社製の「HCA-NQ」、「HCA-HQ」、「HCA-HQ-HST」(ホスフィン酸エステル(フェノール性水酸基含有));大八化学工業社製の「PX-200」、「PX-201」、「PX-202」、「CR-733S」、「CR-741」、「CR-747」(リン酸エステル)等が挙げられる。
【0105】
樹脂組成物中の(D)難燃剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である。樹脂組成物中の(D)難燃剤の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、例えば、0質量%以上、0.001質量%以上であり、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上である。
【0106】
<(E)熱可塑性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意成分として(E)熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。(E)熱可塑性樹脂は、上記で説明した(B1)エポキシ樹脂に該当しない成分である。
【0107】
(E)熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。(E)熱可塑性樹脂は、一実施形態において、ポリイミド樹脂及びフェノキシ樹脂からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、フェノキシ樹脂を含むことがより好ましい。(E)熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0108】
ポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。
【0109】
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
【0110】
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YX7200B35」、「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
【0111】
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
【0112】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
【0113】
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
【0114】
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
【0115】
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
【0116】
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
【0117】
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
【0118】
ポリカーボネート樹脂としては、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
【0119】
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0120】
(E)熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、フィルム製膜性をより向上させる観点から、好ましくは5,000以上、より好ましくは8,000以上、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
【0121】
樹脂組成物中の(E)熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下であり得る。樹脂組成物中の(E)熱可塑性樹脂の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、例えば、0質量%以上、0.01質量%以上であり、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上である。
【0122】
<(F)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意成分として(F)硬化促進剤を含んでいてもよい。(F)硬化促進剤は、(B1)エポキシ樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
【0123】
(F)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(F)硬化促進剤は、イミダゾール系硬化促進剤及びアミン系硬化促進剤から選ばれる硬化促進剤を含むことが好ましく、アミン系硬化促進剤を含むことが特に好ましい。(F)硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0124】
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
【0125】
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
【0126】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
【0127】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
【0128】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2MZA-PW」、「2PHZ-PW」、「C11Z-A」、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
【0129】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0130】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。
【0131】
アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
【0132】
樹脂組成物中の(F)硬化促進剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である。樹脂組成物中の(F)硬化促進剤の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の(A)有機溶剤以外の成分を100質量%とした場合、例えば、0質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上等であり得る。
【0133】
<(G)その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)等を有するラジカル重合性化合物;過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等のラジカル重合開始剤;ゴム粒子等の有機充填材;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤等が挙げられる。(G)その他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。(G)その他の添加剤の含有量は当業者であれば適宜設定できる。
【0134】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、例えば、任意の調製容器に(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、(C)無機充填材、必要に応じて(D)難燃剤、必要に応じて(E)熱可塑性樹脂、必要に応じて(F)硬化促進剤、及び必要に応じて(G)その他の添加剤を、任意の順で及び/又は一部若しくは全部同時に加えて混合することによって、製造することができる。また、各成分を加えて混合する過程で、温度を適宜設定することができ、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、加えて混合する過程において又はその後に、樹脂組成物を、例えば、ミキサーなどの撹拌装置又は振盪装置を用いて撹拌又は振盪し、均一に分散させてもよい。また、撹拌又は振盪と同時に、真空下等の低圧条件下で脱泡を行ってもよい。
【0135】
<樹脂組成物の特性>
本発明の樹脂組成物は、(A)有機溶剤、(B)熱硬化性樹脂、及び(C)無機充填材を含み、(A)成分が、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含み、(A1)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分を100質量%とした場合、35質量%以上であり、(C)成分の含有量が、樹脂組成物中の(A)成分以外の成分を100質量%とした場合、40質量%以上である。このような樹脂組成物によれば、ラミネート後のムラの発生を抑えることができる。
【0136】
本発明の樹脂組成物は、ラミネート後のムラの発生を抑えることができるという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例2のように本発明の樹脂組成物から得られる樹脂シートを内層基板にラミネートした後、内層基板周囲の絶縁層(硬化物)のムラ(凹み)を観察した場合に、ムラ(凹み)が観察されず完全に均一な表面であるか、或いはラミネートされた部分の外周から1cmの部分のみにムラ(凹み)が観察され、それより内側の部分は完全に均一な表面であり得る。
【0137】
一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、乾燥後、溶融粘度が低いという特徴を有し得る。したがって、樹脂組成物のラミネート時における回路埋め込み性に優れる。一実施形態において、下記試験例1のように測定した場合の乾燥後の樹脂組成物の60℃~200℃における最低溶融粘度は、好ましくは10000poise以下、より好ましくは7000poise以下、さらに好ましくは5000poise以下、特に好ましくは4000poise以下であり得る。その下限は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物層の厚み安定性を維持する観点から、好ましくは50poise以上、より好ましくは100poise以上、さらに好ましくは200poise以上、さらにより好ましくは300poise以上、特に好ましくは400poise以上であり得る。
【0138】
一実施形態において、本発明の樹脂組成物から得られる硬化物(絶縁層)は、機械強度が優れているという特徴を有し得る。したがって、一実施形態において、下記試験例3のように日本工業規格JIS K7127に準拠して23℃で測定した硬化物(絶縁層)の破断点伸度は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、さらにより好ましくは1.8%以上、特に好ましくは2%以上であり得る。破断点伸度の上限は、特に限定されないが、通常、10%以下、5%以下等とし得る。
【0139】
<樹脂組成物の用途>
本発明の樹脂組成物は、絶縁用途の樹脂組成物、特に、絶縁層を形成するための樹脂組成物として好適に使用することができる。具体的には、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物(導体層を形成するための絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。また、後述するプリント配線板において、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用樹脂組成物)として好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はまた、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途で広範囲に使用できる。
【0140】
また、例えば、以下の(1)~(6)工程を経て半導体チップパッケージが製造される場合、本発明の樹脂組成物は、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層用の樹脂組成物(再配線形成層形成用の樹脂組成物)、及び半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用の樹脂組成物)としても好適に使用することができる。半導体チップパッケージが製造される際、封止層上に更に再配線層を形成してもよい。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
【0141】
また、本発明の樹脂組成物は、部品埋め込み性に良好な絶縁層をもたらすことから、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも好適に使用することができる。
【0142】
<シート状積層材料>
本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、工業的には一般に、該樹脂組成物を含有するシート状積層材料の形態で用いることが好適である。
【0143】
シート状積層材料としては、以下に示す樹脂シート、プリプレグが好ましい。
【0144】
一実施形態において、樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物の層とを含んでなり、樹脂組成物の層は本発明の樹脂組成物から形成される。
【0145】
樹脂組成物の層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。樹脂組成物の層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上等とし得る。
【0146】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0147】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0148】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0149】
支持体は、樹脂組成物の層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0150】
また、支持体としては、樹脂組成物の層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0151】
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0152】
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、任意の層を含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物の層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物の層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
【0153】
樹脂シートは、例えば、ワニス状の樹脂組成物を、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0154】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物の層中の有機溶剤の含有量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは7質量%以下、特に好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物(ワニス状)中の有機溶剤の沸点や樹脂組成物の層の厚みによっても異なるが、例えば50℃~200℃、好ましくは50℃~150℃で3分間~10分間乾燥することにより、フィルム状の樹脂組成物の層を形成することができる。
【0155】
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0156】
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成される。
【0157】
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。プリント配線板の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されない。通常、10μm以上である。
【0158】
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
【0159】
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物の層と同様の範囲とし得る。
【0160】
本発明のシート状積層材料は、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層用)に好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するため(プリント配線板の層間絶縁層用)により好適に使用することができる。
【0161】
<プリント配線板>
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物を硬化して得られる硬化物からなる絶縁層を含む。
【0162】
プリント配線板は、例えば、上述の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物の層が内層基板と接合するように積層(ラミネート)する工程
(II)樹脂組成物の層を硬化(例えば熱硬化)して絶縁層を形成する工程
【0163】
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
【0164】
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0165】
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施され得る。
【0166】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0167】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0168】
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
【0169】
工程(II)において、樹脂組成物の層を硬化(例えば熱硬化)して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物の層の硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0170】
例えば、樹脂組成物の層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
【0171】
樹脂組成物の層を熱硬化させる前に、樹脂組成物の層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物の層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~120℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~110℃の温度にて、樹脂組成物の層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
【0172】
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(II)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
【0173】
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に樹脂シートを用いる場合と同様である。
【0174】
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0175】
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
【0176】
粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
【0177】
粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
【0178】
また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
【0179】
中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
【0180】
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、特に限定されるものではないが、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。また、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0181】
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0182】
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0183】
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0184】
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
【0185】
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0186】
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。金属箔を使用して導体層を形成する場合、工程(V)は、工程(I)と工程(II)の間に実施することが好適である。例えば、工程(I)の後、支持体を除去し、露出した樹脂組成物の層の表面に金属箔を積層する。樹脂組成物の層と金属箔との積層は、真空ラミネート法により実施してよい。積層の条件は、工程(I)について説明した条件と同様としてよい。次いで、工程(II)を実施して絶縁層を形成する。その後、絶縁層上の金属箔を利用して、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法等の従来の公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0187】
金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。金属箔の市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属社製のHLP箔、JXUT-III箔、三井金属鉱山社製の3EC-III箔、TP-III箔等が挙げられる。
【0188】
<半導体装置>
本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板を用いて製造することができる。
【0189】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例】
【0190】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度の指定が無い場合の温度条件は、室温(23℃)であり、特に圧力の指定が無い場合の圧力条件は、大気圧(1atm)である。
【0191】
<実施例1>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「828US」、エポキシ当量約180g/eq.)30部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約269g/eq.)30部を、MAK(メチル-n―アミルケトン、水への溶解度4.2g/L(20℃))55部に撹拌しながら加熱溶解させ、その後室温にまで冷却した。その混合溶液に、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(中実シリカ)粒子(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SO-C2」)260部、難燃剤(三光(株)製「HCA-HQ-HST」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド、平均粒径1.5μm、フェノール性水酸基当量約162g/eq.)3部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC(株)製「LA-3018-50P」、水酸基当量約151、固形分50%の2-メトキシプロパノール(水への溶解度1000g/L(20℃))溶液)14部、活性エステル化合物(DIC(株)製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223、不揮発成分65質量%のトルエン(水への溶解度0.5g/L(20℃))溶液)40部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「YX6954BH30」、不揮発成分30質量%のMEK(水への溶解度29g/L(20℃))とAnone(シクロヘキサノン、水への溶解度25g/L(20℃))を1:1で混合した溶液)20部、硬化促進剤(「DMAP」、4-ジメチルアミノピリジン、固形分5質量%のMEK(水への溶解度29g/L(20℃))溶液)6部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0192】
(無機充填材の平均粒径の測定方法)
無機充填材100mg、及びメチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散した。レーザー回折式粒径分布測定装置(堀場製作所社製「LA-960」)を使用して、使用光源波長を青色および赤色とし、フローセル方式で無機充填材の粒径分布を体積基準で測定した。得られた粒径分布から、メディアン径として、無機充填材の平均粒径を算出した。
【0193】
(無機充填材の平均空孔率の測定方法)
無機充填材の密度を、真密度測定装置(QUANTACHROME社製「ULTRAPYCNOMETER1000」)を用いて測定した。この測定では、窒素を測定ガスとして用いた。その後、測定された密度(測定値)DM(g/cm3)と、無機充填材を形成する無機材料(シリカ)の物質密度(理論値)DT(g/cm3)とを用いて、上記式(I)に従い、無機充填材の平均空孔率を測定した。上記式(I)において、無機材料としてのシリカの物質密度(理論値)は2.2g/cm3とした。
【0194】
<実施例2>
MAK55部の代わりにCHXA(シクロヘキサノールアセテート、水への溶解度2g/L(20℃))55部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0195】
<実施例3>
MAK55部の代わりにBMGAC(エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、水への溶解度10g/L(20℃))55部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0196】
<実施例4>
アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(中実シリカ)粒子(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SO-C2」)260部の代わりにアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(中実シリカ)粒子(平均粒径0.078μm、電気化学工業(株)製「UFP-30」)120部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0197】
<実施例5>
MAKの使用量を35部に変更し、BMGAC(エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、水への溶解度10g/L)20部をさらに使用した以外は、実施例4と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0198】
<実施例6>
アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(中実シリカ)粒子(平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製「SO-C2」)の使用量を260部から80部に変更し、さらにアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM573」)で表面処理された中空シリカ粒子(日揮触媒化成社製「BA-S」、平均粒径2.6μm、空孔率25体積%)90部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0199】
<実施例7>
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約269g/eq.)30部の代わりにナフトール型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製「ESN475V」、エポキシ当量332g/eq.)30部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0200】
<実施例8>
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製「NC3000H」、エポキシ当量約269g/eq.)30部の代わりにビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製「YX4000HK」、エポキシ当量約185g/eq.)30部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0201】
<比較例1>
MAK55部の代わりにソルベントナフサ55部を使用した以外は、実施例1と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0202】
<比較例2>
MAK55部の代わりにソルベントナフサ55部を使用した以外は、実施例4と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0203】
<比較例3>
MAK55部を使用せず、トルエン(水への溶解度0.5g/L(20℃))55部をさらに加えた以外は、実施例4と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0204】
<比較例4>
MAK55部の代わりにPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、水への溶解度198g/L(20℃))55部を使用した以外は、実施例4と同様にして、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0205】
<作製例1>
支持体としてアルキド樹脂系離型層付きPETフィルム(リンテック(株)製「AL5」、厚さ38μm)を用意した。該支持体の離型層上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるように実施例及び比較例で調製したワニス状の樹脂組成物を均一に塗布し、80~120℃(平均100℃)で5分間乾燥させて、樹脂シートを作製した。
【0206】
(GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析法)による樹脂シートの樹脂組成物層中の有機溶剤の分析方法)
作製例1で作製した樹脂シートから樹脂組成物層の一部を5mg測り取り、GCMS-QP2020-NX(島津製作所製)にて250℃、10分のオーブン条件で測り取ったサンプルを処理し、サンプルライン温度260℃、トランスファーライン温度260℃、サイクルタイム55分の条件で測定した。検出された各ピークから溶剤種を特定し、予め作製しておいた検量線と照らし合わせることで、支持体付き樹脂シートの樹脂シート中に含有されている有機溶剤の種類と含有量(すなわち各有機溶剤/全(A)成分)を解析した。
【0207】
(加熱処理による樹脂シートの樹脂組成物層の重量減少率の測定方法)
作製例1で作製した樹脂シートを10cm×10cmに裁断し、これらを十分に乾燥したシリカゲルと一緒にデシケーターに入れ、30分放置した。その後、保護フィルムを剥離した状態で樹脂シートの質量(g)を測定し、その値をα1(g)とした。次に、樹脂シートを190℃のオーブンで30分加熱して、先ほど同様シリカゲルと一緒にデシケーター中で30分放冷した後に再度樹脂シートの質量(g)を測定し、その値をα2(g)とした。また、支持体のみを10cm×10cmに裁断し、それを30分間デシケーターで放置した後、支持体の質量(g)を測定し、その値をβ(g)とした。下記式(A)から樹脂シートを190℃で30分加熱処理した時の樹脂組成物層の重量減少率α(すなわち全(A)成分/全成分)(%)の値を算出した。
【0208】
【0209】
<試験例1:最低溶融粘度の測定>
作製例1で作製した樹脂シートの樹脂組成物層の溶融粘度を測定した。ユー・ビー・エム社製「Rheosol-G3000」を使用して、樹脂量は1g、直径18mmのパラレルプレートを使用し、開始温度60℃から200℃まで、昇温速度5℃/分、測定温度間隔2.5℃、振動1Hz/degの測定条件にて溶融粘度を測定し、その測定範温度囲における最低溶融粘度(Poise)を評価した。
【0210】
<試験例2:硬化基板のムラの評価>
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
【0211】
作製例1で作製した厚さ40μmの樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
【0212】
その後、樹脂シートがラミネートされた内層基板を、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層、内層基板及び絶縁層をこの順に有する硬化基板を得た。
【0213】
硬化基板の両面について、樹脂シートがラミネートされた部分(積層板とは反対側の表面)の表面均一性の観察を目視にて行い、下記の評価基準で評価した。
【0214】
評価基準
「〇」:ムラ(凹み)が全く観察されず、完全に均一な表面である、もしくは樹脂シートがラミネートされた部分の外周から1cmの部分のみにムラ(凹み)が観察され、それより内側の部分は完全に均一な表面である場合
「×」:樹脂シートがラミネートされた部分の外周から1cmより内側の部分に、不均一な部分が観察される場合
【0215】
<試験例3:破断点伸度の測定>
作製例1で作製した厚さ40μmの樹脂シートを200℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、支持体を剥離した。得られた硬化物を「評価用硬化物」と称する。評価用硬化物について、日本工業規格(JIS K7127)に準拠して、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製「RTC-1250A」)により引っ張り試験を行い、23℃における破断点伸度(%)を測定した。
【0216】
各実施例及び比較例の樹脂組成物に含まれる原料の使用量、試験例の測定結果及び評価結果を下記表1にまとめる。
【0217】
【0218】
上記表1に示される結果から、(A1)20℃における水に対する溶解度が0.6g/L以上15g/L未満の有機溶剤を含有する樹脂組成物を用いた場合、含有しない場合と比較して、ラミネート後のムラの発生を抑えることができることがわかる。