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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10D 64/60 20250101AFI20250311BHJP
   H10D 30/60 20250101ALI20250311BHJP
【FI】
H10D64/60
H10D30/60 W
H10D30/60 X
H10D30/60 S
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022025610
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2023122135
(43)【公開日】2023-09-01
【審査請求日】2024-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】川崎 裕二
(72)【発明者】
【氏名】今坂 俊博
【審査官】石川 雄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-103731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0202694(US,A1)
【文献】特開2020-174173(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0328203(US,A1)
【文献】特開2014-110382(JP,A)
【文献】特開2015-008281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10D 30/65
H10D 30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、
前記半導体基板と前記リサーフ層との間で、前記ハイサイド回路の底部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、
前記リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、
を備え、
前記MOSFETは、
前記リサーフ層の表層部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層より前記ハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、
を備え、
前記第1の半導体層の端部は前記埋め込み層の端部よりも前記ハイサイド回路から離れた位置にあり、
前記埋め込み層の前記端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ前記第1の直線部及び前記第2の直線部に繋がる湾曲部を有し、
前記第1の半導体層の前記端部は、平面視して第3の直線部と、第4の直線部と、両端がそれぞれ前記第3の直線部及び前記第4の直線部と繋がる湾曲部を有し、
前記第1の半導体層の前記湾曲部の曲率中心の位置は、前記埋め込み層の前記湾曲部よりも前記ハイサイド回路に近く、
前記第1の半導体層の前記湾曲部の曲率は、前記埋め込み層の前記湾曲部よりも小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、
前記半導体基板と前記リサーフ層との間で、前記ハイサイド回路の底部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、前記リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、
を備え、
前記MOSFETは、
前記リサーフ層の表層部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層より前記ハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、
を備え、
前記第1の半導体層の端部は前記埋め込み層の端部よりも前記ハイサイド回路から離れた位置にあり、
前記第1の半導体層の前記端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ前記第1の直線部及び前記第2の直線部に繋がる部分を有し、前記部分は前記第1の直線部と鈍角に繋がる第3の直線部と、前記第2の直線部と鈍角に繋がる第4の直線部とを有し、
前記埋め込み層の前記端部は、平面視して第5の直線部と、第6の直線部と、両端がそれぞれ前記第5の直線部及び前記第6の直線部と繋がる湾曲部を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記第3の直線部及び前記第4の直線部で1本の直線が構成されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記部分は、両端がそれぞれ前記第3の直線部及び前記第4の直線部につながる湾曲部を有することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、
前記半導体基板と前記リサーフ層との間で、前記ハイサイド回路の底部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、前記リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、
を備え、
前記MOSFETは、
前記リサーフ層の表層部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層より前記ハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、
を備え、
前記第1の半導体層の端部は前記埋め込み層の端部よりも前記ハイサイド回路から離れた位置にあり、
前記埋め込み層の前記端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ前記第1の直線部及び前記第2の直線部に繋がる第1の湾曲部を有し、
前記第1の半導体層の前記端部は、平面視して第3の直線部と、第4の直線部と、両端がそれぞれ前記第3の直線部及び前記第4の直線部と繋がる第2の湾曲部を有し、
前記第2の湾曲部を含み前記第2の湾曲部より内側の前記第1の半導体層の一部の不純物濃度は、前記一部以外の前記第1の半導体層の不純物濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記一部は、前記第2の湾曲部と、両端がそれぞれ前記第2の湾曲部の両端に繋がる部分とで規定される領域であり、当該部分は、前記第3の直線部と鈍角に繋がる第5の直線部と、前記第4の直線部と鈍角に繋がる第6の直線部とを有することを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記一部の不純物濃度は、前記第2の湾曲部に近づくにつれて低くなることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第5の直線部及び前記第6の直線部で1本の直線が構成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記部分は、両端がそれぞれ前記第5の直線部及び前記第6の直線部につながる湾曲部を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2の半導体層は前記リサーフ層の表層部に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2の半導体層は、前記リサーフ層に接するように前記半導体基板の表層部に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の半導体層の表層部に形成され、前記第1の半導体層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第4の半導体層を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記MOSFETは、前記ハイサイド回路に電源を供給するブートストラップ回路を構成する素子であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、
前記半導体基板と前記リサーフ層との間で、前記ハイサイド回路の底部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、前記リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、
を備え、
前記MOSFETは、
前記リサーフ層の表層部に形成され、前記リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、
前記第1の半導体層より前記ハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、
前記第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、
を備え、
前記第1の半導体層の端部は前記埋め込み層の端部よりも前記ハイサイド回路から離れた位置にあり、
前記埋め込み層の前記端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ前記第1の直線部及び前記第2の直線部に繋がる第1の湾曲部を有し、
前記第1の半導体層の前記端部は、平面視して第3の直線部と、第4の直線部と、両端がそれぞれ前記第3の直線部及び前記第4の直線部と繋がる第2の湾曲部を有する半導体装置の製造方法であって、
前記第1の半導体層を形成する工程は、
第1の不純物注入間口と、複数の第2の不純物注入間口と、前記第1の不純物注入間口及び複数の第2の不純物注入間口を規定する遮断部とを有するマスク材を基材に形成する工程と、
不純物を前記基材に照射し、前記第1の不純物注入間口、前記複数の第2の不純物注入間口から不純物を前記基材に導入する工程と、
前記マスク材を前記基材から除去する工程と、
不純物が導入された前記基材に熱処理を施す工程と、
を備え、
前記複数の第2の不純物注入間口は、前記マスク材における、平面視して前記第2の湾曲部を含み前記第2の湾曲部より内側の前記第1の半導体層の一部に対応した領域に設けられることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記複数の第2の不純物注入間口のそれぞれ幅、前記第2の湾曲部に対応する部分に向かうにつれて小さくなるように前記マスク材を設けることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記複数の第2の不純物注入間口の隣接する不純物注入間口どうしの間隔が、前記第2の湾曲部に対応する部分に向かうにつれて大きくなるように前記マスク材を設けることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect-Transistor)を備える半導体装置及び半導体装置の製造方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
主に電力用半導体装置のゲートを駆動する用途に用いられる電力制御用のIC(Integrated Circuit)は、入力端子からの入力信号に応じて、電力用スイッチング素子のゲートをオン・オフして駆動する駆動信号を出力端子から出力する。電力制御用のICは、一般的に、接地(GND)電位を基準電位として動作するローサイド回路と、GND電位とは異なる電位を基準電位として動作するハイサイド回路と、ローサイド回路とハイサイド回路との間の信号伝達を行うレベルシフト回路とを備える。
【0003】
特に、電力制御用のICには、ローサイド回路及びハイサイド回路のそれぞれを駆動するための電源が必要であるが、IC内にハイサイド回路の電源を生成するためのブートストラップ回路を設け、ブートストラップ回路内の高耐圧素子として、リサーフ層に形成されたMOSFETを使用する技術が知られている。
このようなリサーフ層を備える半導体装置では、MOSFETのターンオフ時にソース・ドレイン間に高電圧が印加されることによって電界が発生してからアバランシェを開始するまでの状態である耐圧保持時にリサーフ層を完全空乏化させて高耐圧を維持させる必要があるため、リサーフ層不純物濃度に制限がある。一方、リサーフ層の不純物濃度を制限することは、リサーフ層形成されるMOSFETのオン抵抗を低減させることの妨げとなる。例えば、MOSFETを形成するリサーフ層の基板平面に沿った方向の長さを長くすればMOSFETの耐圧性能を向上させる一方、MOSFETのオン抵抗の上昇の原因となる。つまり、リサーフ層に形成されるMOSFETでは、耐圧性能の向上とオン抵抗の低減はトレードオフの関係にある。
【0004】
そこで、耐圧性能の向上とオン抵抗の低減とのトレードオフを改善する技術が検討されている。例えば、特許文献1では、N型埋め込み拡散層及びN型拡散層を備え、N型拡散層の外側(ローサイド回路側)の端部の位置が、N型埋め込み拡散層の外側の端部の位置よりも、ローサイド回路に近い構造とすることで、リサーフ層に形成されるMOSFETの耐圧性能の向上とオン抵抗の低減とのトレードオフを改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-103731公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の半導体装置によれば、N型拡散層をN型埋め込み拡散層よりローサイド回路側に伸長することにより耐圧性能の向上とオン抵抗の低減とのトレードオフを改善する。一方、平面視で直線領域及びコーナー領域を有するN型拡散層において、直線領域でのN型拡散層の伸長を同様にコーナー領域に適用した場合、コーナー領域で電界が集中し耐圧性能が低下するという課題があった。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、耐圧性能の低下を防止することができる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、半導体基板とリサーフ層との間で、ハイサイド回路の底部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、を備え、MOSFETは、リサーフ層の表層部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、第1の半導体層よりハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、を備え、第1の半導体層の端部は埋め込み層の端部よりもハイサイド回路から離れた位置にあり、埋め込み層の端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ第1の直線部及び第2の直線部に繋がる湾曲部を有し、第1の半導体層の端部は、平面視して第3の直線部と、第4の直線部と、両端がそれぞれ第3の直線部及び第4の直線部と繋がる湾曲部を有し、第1の半導体層の湾曲部の曲率中心の位置は、埋め込み層の湾曲部よりもハイサイド回路に近く、第1の半導体層の湾曲部の曲率は、埋め込み層の湾曲部よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
本開示に係る半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、半導体基板とリサーフ層との間で、ハイサイド回路の底部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、を備え、MOSFETは、リサーフ層の表層部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、第1の半導体層よりハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、を備え、第1の半導体層の端部は埋め込み層の端部よりもハイサイド回路から離れた位置にあり、第1の半導体層の端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ第1の直線部及び第2の直線部に繋がる部分を有し、部分は第1の直線部と鈍角に繋がる第3の直線部と、第2の直線部と鈍角に繋がる第4の直線部とを有し、埋め込み層の端部は、平面視して第5の直線部と、第6の直線部と、両端がそれぞれ第5の直線部及び第6の直線部と繋がる湾曲部を有することを特徴とする。
【0010】
本開示に係る半導体装置は、第1導電型の半導体基板と、半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、半導体基板とリサーフ層との間で、ハイサイド回路の底部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、を備え、MOSFETは、リサーフ層の表層部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、第1の半導体層よりハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、を備え、第1の半導体層の端部は埋め込み層の端部よりもハイサイド回路から離れた位置にあり、埋め込み層の端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ第1の直線部及び第2の直線部に繋がる第1の湾曲部を有し、第1の半導体層の端部は、平面視して第3の直線部と、第4の直線部と、両端がそれぞれ第3の直線部及び第4の直線部と繋がる第2の湾曲部を有し、第2の湾曲部を含み第2の湾曲部より内側の第1の半導体層の一部の不純物濃度は、一部以外の第1の半導体層の不純物濃度よりも低いことを特徴とする。
【0011】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、第1導電型の半導体基板と、半導体基板の表層部に形成され、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離する第2導電型のリサーフ層と、半導体基板とリサーフ層との間で、ハイサイド回路の底部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い第2導電型の埋め込み層と、リサーフ層をドリフト層とするMOSFETと、を備え、MOSFETは、リサーフ層の表層部に形成され、リサーフ層よりも不純物濃度が高い、ドレイン層として機能する第2導電型の第1の半導体層と、第1の半導体層よりハイサイド回路から離れる側に設けられた第1導電型の第2の半導体層と、第2の半導体層の表層部に形成された、ソース層として機能する第2導電型の第3の半導体層と、を備え、第1の半導体層の端部は埋め込み層の端部よりもハイサイド回路から離れた位置にあり、埋め込み層の端部は、平面視して第1の直線部と、第2の直線部と、両端がそれぞれ第1の直線部及び第2の直線部に繋がる第1の湾曲部を有し、第1の半導体層の端部は、平面視して第3の直線部と、第4の直線部と、両端がそれぞれ第3の直線部及び第4の直線部と繋がる第2の湾曲部を有する半導体装置の製造方法であって、第1の半導体層を形成する工程は、第1の不純物注入間口と、複数の第2の不純物注入間口と、第1の不純物注入間口及び複数の第2の不純物注入間口を規定する遮断部とを有するマスク材を基材に形成する工程と、不純物を基材に照射し、第1の不純物注入間口、複数の第2の不純物注入間口から不純物を基材に導入する工程と、マスク材を基材から除去する工程と、不純物が導入された基材に熱処理を施す工程と、を備え、複数の第2の不純物注入間口は、マスク材における、平面視して第2の湾曲部を含み第2の湾曲部より内側の第1の半導体層の一部に対応した領域に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、耐圧性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図3】実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図4】実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図5】比較例の半導体装置と実施の形態1に係る半導体装置におけるN型半導体層の伸長値Sの変化とソース・ドレイン間の耐圧の関係を示したグラフである。
図6】実施の形態1に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図7】実施の形態2に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図8】実施の形態2に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図9】実施の形態3に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図10】実施の形態3に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図11】実施の形態3に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図12】実施の形態3に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図13】実施の形態3に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図14】実施の形態3に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図15】実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す断面図である。
図16】実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図17】実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図18】実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図19】実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図20】実施の形態4に係る半導体装置の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図6図9及び図14において、左側の方向を便宜的に「内側」と呼び、右側の方向を便宜的に「外側」と呼ぶ。また図3図4図7図8図10~13、図15~19においては、左及び下方向を「内側」と呼び、右及び上方向を「外側」と呼ぶ。
後述の説明からわかるように、各図における内側は後述のハイサイド回路に近づく側、外側はハイサイド回路から離れる側に当たる。
【0015】
実施の形態1.
図1図6を用いて本実施の形態における半導体装置1001について説明する。
図1は本実施の形態における半導体装置1001の構造を示す断面図であり、後述する図2のA-A断面に相当する。半導体装置1001はリサーフ層2に形成されたMOSFETを含む。以下、MOSFETはリサーフ層2に形成された横型NチャネルMOSFETを指すものとする。以下では、第1導電型をP型、第2導電型をN型とし、第1導電型の半導体層を「P型半導体層」、第2導電型の半導体層を「N型半導体層」として説明する。ただし、第1導電型をN型、第2導電型をP型としてもよい。
【0016】
半導体装置1001は半導体層100を含む。半導体層100は、P型の半導体基板1と、半導体基板の表層部に形成されたN型半導体層であるリサーフ層2と、半導体基板1とリサーフ層2との間で、後述するハイサイド回路の底部に形成され、リサーフ層2よりも不純物濃度が高いN型半導体層である埋め込み層3とを備える。半導体層100は、リサーフ層2の表層部に形成され、リサーフ層2よりも不純物濃度が高いN型半導体層4と、N型半導体層4の表層部に形成され、N型半導体層4よりも不純物濃度が高いN型半導体層5とを備える。半導体層100は、N型半導体層4よりも外側に形成されたP型半導体層6と、P型半導体層6の表層部に形成されたN型半導体層7と、P型半導体層6の表層部に形成され、P型半導体層6よりも不純物濃度が高いP型半導体層8とを備える。半導体層100はさらに、リサーフ層2よりも外側であり、リサーフ層2に接するように半導体基板1の表層部に形成されたP型半導体層16と、P型半導体層16の表層部に形成され、P型半導体層16よりも不純物濃度が高いP型半導体層17とを含む。
N型の各半導体層の不純物濃度は、リサーフ層2、N型半導体層4、埋め込み層3、N型半導体層5の順に高くなり、N型半導体層7の不純物濃度は、N型半導体層5と等しい。
【0017】
半導体装置1001は、半導体層100の上に設けられた絶縁膜12と、N型半導体層5とN型半導体層7との間、N型半導体層5よりも内側、P型半導体層8とP型半導体層17との間、及びP型半導体層17よりも外側のそれぞれ半導体層100の表面に、絶縁膜12に覆わるように設けられたフィールド酸化膜9とを備える。半導体装置1001は、N型半導体層5とN型半導体層7との間のフィールド酸化膜9の内側の端部上を覆うように設けられたポリシリコン10と、N型半導体層5とN型半導体層7との間のフィールド酸化膜9の外側の端部上を覆うように設けられたポリシリコン11とを備える。半導体装置1001はさらに、絶縁膜12に埋め込まれるようにそれぞれ形成される、N型半導体層5と接続するドレイン電極13と、N型半導体層7及びP型半導体層8と接続するソース電極14、並びにP型半導体層17と接続する基準電位固定用電極15を備える。ポリシリコン10は絶縁膜12に埋め込まれ、N型半導体層5を形成する際の注入時のマスク材56として使用される。またポリシリコン11は絶縁膜12に埋め込まれ,MOSFETのゲート電極として使用される。
【0018】
半導体装置1001はHVICと呼ばれる高耐圧の集積回路を構成し、ハイサイド回路及びローサイド回路を備える。ハイサイド回路及びローサイド回路とも半導体層100内の図1には示されないN型半導体層及びP型半導体層で構成される。ハイサイド回路は、デジタル回路及びアナログ回路を含み、電力用半導体素子を駆動する信号を生成してハイサイドの電力用半導体素子に供給する。ローサイド回路はデジタル回路及びアナログ回路を含み、電力用半導体素子を駆動する信号を生成してローサイドの電力用半導体素子に供給する。電力用半導体素子は例えばMOSFET若しくはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、半導体装置1001の外に設けられる。
【0019】
半導体基板1及び半導体層100は、シリコン(Si)又は炭化珪素(SiC)等の半導体材料で構成される。特に、シリコンよりも禁制帯幅が広い炭化珪素等を用いた半導体装置1001は、シリコンを用いた従来の半導体装置1001と比較して、高電圧及び高温での動作に優れる。
【0020】
リサーフ層2は、ハイサイド回路とローサイド回路とを分離している。加えて、リサーフ層2はMOSFETのドリフト層の役割を持つ。
【0021】
埋め込み層3は、ハイサイド回路内の素子の縦方向の寄生動作を抑制する効果、及び耐圧保持時にリサーフ層2の空乏層がハイサイド回路内へ伸長し、ハイサイド回路内の素子の動作に悪影響を与えることを防止する効果を奏する。
【0022】
N型半導体層4は、N型半導体層4の外側の端部の位置が埋め込み層3の外側の端部の位置よりもハイサイド回路から遠い構造を有し、MOSFETのオン抵抗を小さくする効果及びフィールド反転を防止する効果を奏する。加えて、N型半導体層4及びN型半導体層5は、MOSFETのドレイン層の役割を持ち、N型半導体層5は、N型半導体層4とドレイン電極13とを電気的に接続する役割を持つ。本実施の形態では、埋め込み層3とN型半導体層4とを離間させているが、これらは接していてもよい。
【0023】
P型半導体層6はMOSFETのバックゲート層、N型半導体層7はMOSFETのソース層のそれぞれ役割を持ち、P型半導体層8は、P型半導体層6とバックゲート電極として代用されるソース電極14とを電気的に接続する役割を持つ。
【0024】
P型半導体層16は、半導体装置1001の外端部であり、半導体基板1の電位を基準電位に固定する役割を持つ。P型半導体層17は、P型半導体層16と基準電位固定用電極15とを電気的に接続させるための役割を持つ。
【0025】
図2は本実施の形態の半導体装置1001の一部を示す平面図である。
図2において最外縁は半導体基板1の外縁すなわち半導体装置1001の外縁とする。半導体装置1001は、ハイサイド回路とローサイド回路との間で信号を伝達するレベルシフト回路50を備える。
図2に示されるN型半導体層4は平面視して埋め込み層3と重ならない部分であり、この重ならない部分はレベルシフト回路50を挟んで環状に形成されている。図2に示されるリサーフ層2は平面視して埋め込み層3、N型半導体層4及びN型半導体層5と重ならない部分であり、この重ならない部分もレベルシフト回路50を挟んで環状に形成されている。
リサーフ層2、N型半導体層4及び埋め込み層3の各層の外縁は、4つのコーナーを有する概矩形形状をなす。各コーナーは、両端が2つの直線部にそれぞれ繋がる湾曲部を有する。この2つの直線部は概矩形形状の隣接する2辺に相当する。リサーフ層2、N型半導体層4及び埋め込み層3の各層において、湾曲部を含みその湾曲部の内側の領域をコーナー領域とし、各辺の直線部を含みその直線部の内側の領域を直線領域とする。図2において4つのコーナー領域のうちの1つをコーナー領域51とし、そのコーナー領域51に隣接する2つの直線領域をそれぞれ直線領域52としている。
【0026】
ハイサイド回路は図2の埋め込み層3内に配置される。ローサイド回路は、リサーフ層2及びレベルシフト回路50を挟んでハイサイド回路に並んで配置され、具体的にはリサーフ層2及びレベルシフト回路50の図示されない上方に配置される。
ハイサイド回路を囲むリサーフ層2(図2中の網掛け部分)に設けられた本実施の形態に係るMOSFETは、ブートストラップ回路を構成する素子であり、ブートストラップダイオードの代わりに用いられる。ブートストラップ回路はハイサイド回路の動作電源を生成する回路であり、MOSFETの他に、このMOSFETと接続されるコンデンサを含んでいる。
【0027】
図3は本実施の形態のコーナー領域51と直線領域52の一部を示す平面図である。
図3図2に示したコーナー領域51の埋め込み層3とN型半導体層4の拡大図である。
実線は埋め込み層3及びN型半導体層4のそれぞれ端部である輪郭線を表す。N型半導体層4の端部は、一方の直線領域52に含まれる直線部41と、他方の直線領域52に含まれる直線部42と、両端がそれぞれ直線部41及び直線部42に繋がるコーナー領域51の湾曲部40とで規定される。直線部41及び直線部42はその延長線で直交する関係にある。埋め込み層3の端部も、一方の直線領域52に含まれる直線部31と、他方の直線領域52に含まれる直線部32と、両端がそれぞれ直線部31及び直線部32に繋がるコーナー領域51の湾曲部30とで規定される。直線部31及び直線部32はその延長線で直交する関係にある。よって直線部41と直線部31とは平行であり、直線部42と直線部31も平行である。
埋め込み層3の湾曲部30の曲率中心OとN型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´とは異なる位置にあり、両者の曲率も異なる。埋め込み層3の輪郭線とN型半導体層4の輪郭線との距離は、コーナー領域51及び直線領域52で同じ値をとらない。
【0028】
これに対し点線は、比較例としてのN型半導体層4Aの外縁の輪郭線を表している。N型半導体層4Aの端部は、一方の直線領域52に含まれる直線部41Aと、他方の直線領域52に含まれる直線部42Aと、両端がそれぞれ直線部41A及び直線部42Aに繋がるコーナー領域51の湾曲部40Aとで規定される。直線部41A及び直線部42Aはその延長線で直交する関係にある。N型半導体層4Aの湾曲部40Aの曲率中心は埋め込み層3の湾曲部30の曲率中心Oと同位置にあり、両者の曲率が異なる。埋め込み層3の輪郭線とN型半導体層4Aの輪郭線との距離は、コーナー領域51及び直線領域52で同じ値となる。
なお埋め込み層3の輪郭線のある点とN型半導体層4の輪郭線との距離は、当該点から当該点での接線と直交する線が交わるN型半導体層4の輪郭線の点までの距離で表される。
【0029】
図3に示すように、N型半導体層4の湾曲部40の曲率は埋め込み層3の湾曲部30の曲率と比較して小さく、N型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´は埋め込み層3の湾曲部30の曲率中心Oと比較して内側に後退している。
さらに、N型半導体層4の湾曲部40と直線部42との交点N´と、交点N´から水平方向に引いた直線と埋め込み層3の輪郭線との交点M´との距離L´を、N型半導体層4Aの湾曲部40Aと直線部42Aとの交点Nと、交点Nから水平方向に引いた直線と埋め込み層3の輪郭線との交点Mとの距離Lと比較して、図3中に示す伸長値S分だけ大きくする。具体的には、図4に示すように、曲率中心Oと曲率中心O´を通る直線とN型半導体層4Aの湾曲部40Aとの交点を交点A、曲率中心Oと曲率中心O´を通る直線とN型半導体層4Bの湾曲部40Bとの交点を交点Bとした場合、線分ABは伸長値S分伸長する。ここで、伸長値Sとは交点Nと、N型半導体層4のコーナー領域51と直線領域52との交点N´との水平方向の距離を指す。
図3は特に、コーナー領域51において曲率中心Oからの距離が最短となるN型半導体層4の輪郭線の点でN型半導体層4の輪郭線がN型半導体層4Aの輪郭線と接する場合を示す。
なおコーナー領域51について説明しているが、他の3つのコーナー領域のそれぞれ形状を図3と同様に構成することができる。
【0030】
図4図3に別の比較例としてN型半導体層4Bを重ね合わせた平面図である。N型半導体層4Bは一点鎖線で示されており、埋め込み層3からの距離Lを伸長値S分だけ伸長させた。ただしN型半導体層4Aと異なり、図4に示すように、曲率中心をN型半導体層4Aの湾曲部40Aと同じ位置のままとし、距離Lを伸長値S分だけ伸長している。
従って、N型半導体層4Bのコーナー領域51は、N型半導体層4Aと比較して全体的に伸長値S分だけ直線領域52と同様に伸長している。
【0031】
本実施の形態における半導体装置1001の効果について説明する。
本実施の形態の半導体装置1001は、耐圧保持時、少なくともN型半導体層4より外側にある部分でリサーフ層2は完全空乏層化するためMOSFETの高耐圧化を実現する一方、埋め込み層3により半導体基板1とリサーフ層2とのPN接合部から発生する空乏層がハイサイド回路内へ伸長し、ハイサイド回路内の素子の動作に悪影響を与えるのを防止する。埋め込み層3は、ハイサイド回路内の縦方向の寄生PNPトランジスタの動作を抑制する役割も持つ。また、ドリフト層の役割を持つリサーフ層2よりも不純物濃度が高いN型半導体層4をリサーフ層2の表層部に設けることで、表面濃度を向上させ、MOSFETのオン抵抗を低減している。
【0032】
さらに、埋め込み層3とN型半導体層4がリサーフ層2内に両方形成されていることで、耐圧保持時に埋め込み層3が完全空乏化されないために、埋め込み層3に発生する電界集中を、埋め込み層3とN型半導体層4で分散し、MOSFETの耐圧性能を向上させる。
【0033】
これらの効果は、比較例に係るN型半導体層4Aを有する半導体装置でも奏する。ここで、MOSFETのオン抵抗をさらに低減させるために、N型半導体層4AをN型半導体層4Bとなるように伸長させたとする。そうすると直線領域52だけでなくコーナー領域51においてもN型半導体層4Bは全体的にN型半導体層4Aより伸長値S分だけ伸長する。従ってN型半導体層4Aの場合に比べてオン抵抗は低減するもののN型半導体層4Bのコーナー領域51に電界が集中しやすくなり、耐圧性能が悪化する。
【0034】
これに対し本実施の形態においても、N型半導体層4AをN型半導体層4となるように伸長する、すなわち、直線領域52においてはN型半導体層4Aの距離Lが伸長値S分大きくなるため、MOSFETのオン抵抗は低減する。
しかし本実施の形態ではさらに、曲率中心Oと曲率中心O´を通る直線とN型半導体層4の湾曲部40との交点を交点Zとした場合の、線分AZは線分ABよりも小さくなるため、N型半導体層4Bと比較して、N型半導体層4のコーナー領域51における電界集中が抑制され、耐圧性能の低下を防止する。またN型半導体層4Aと比較しても、本実施の形態のようにN型半導体層4では、コーナー領域51におけるN型半導体層4の曲率が小さいので、オン抵抗を低減でき且つコーナー領域51におけるN型半導体層4の電界集中も抑制される。
【0035】
図5は比較例のMOSFETと本実施の形態のMOSFETにおけるN型半導体層4の伸長値Sの変化とソース・ドレイン間の耐圧の関係を示したグラフである。
図5において、実線のグラフは、比較例のN型半導体層4Bの伸長値Sを変化した場合の耐圧の変化を示す。破線のグラフは、本実施の形態のN型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´を図4において左方向及び下方向にそれぞれ10μm変位した状態で、伸長値Sを変化した場合の耐圧の変化を示す。点線のグラフは、本実施の形態のN型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´を図4において左方向及び下方向にそれぞれ20μm変位した状態で、伸長値Sを変化した場合の耐圧の変化を示す。一点鎖線のグラフは、本実施の形態のN型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´を図4において左方向及び下方向にそれぞれ30μm変位した状態で、伸長値Sを変化した場合の耐圧の変化を示す。基準となるN型半導体層4Aにおける距離Lを21μmとして評価を実施した。
【0036】
図5に示すように、耐圧のピーク値は、比較例のMOSFETよりも本実施の形態のMOSFETの方が高いので、比較例のMOSFETと比較して本実施の形態のMOSFETの耐圧性能を向上している。
さらに、耐圧のピーク値を取るときの伸長値Sは、比較例のMOSFETでは19μmであるのに対し、本実施の形態のMOSFETの3つの例でそれぞれ23μm、24μm、25μmとなる。よって比較例のMOSFETと比較して本実施の形態のMOSFETのN型半導体層4の伸長値を増やすことができるため、オン抵抗の低減も見込める。
つまり、本実施の形態のMOSFETは、従来のMOSFETと比較して耐圧性能の向上とオン抵抗の低減のトレードオフを改善することが可能である。
【0037】
なお、本実施の形態においてMOSFETのバックゲート層をP型半導体層6で構成し、ソース電極14をバックゲート電極として代用する例を示したが、図6に示すように、バックゲート層をP型半導体層16で形成し、基準電位固定用電極15をバックゲート電極として代用してもよい。このときN型半導体層18がP型半導体層16の表層部に設けられ、ソース電極14と接続されるN型半導体層19がN型半導体層18の表層部に設けられる。N型半導体層18及びN型半導体層19がMOSFETのソース層となる。N型半導体層18及びN型半導体層19の不純物濃度はそれぞれN型半導体層4、5と同じである。
【0038】
実施の形態2.
図7は本実施の形態のコーナー領域51と直線領域52の一部を示す平面図である。
実施の形態1において、N型半導体層4の湾曲部40の曲率は埋め込み層3の湾曲部30の曲率と比較して小さく、N型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´は埋め込み層3の湾曲部30の曲率中心Oと比較して内側に後退している構成について説明したが、本実施の形態では、N型半導体層4Cのコーナー領域51の形状が、N型半導体層4Bの湾曲部40Bを面取りしている形状である点が実施の形態1と異なる。それ以外の構成は実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同一のもの又は相当するものには同一の符号を付している。
【0039】
図7は本実施の形態における図2に示したコーナー領域51の埋め込み層3とN型半導体層4の拡大図である。
実線で示されたN型半導体層4Cは、N型半導体層4Bの湾曲部40Bを交点Aにおいて面取りされた形状の輪郭線を表す。N型半導体層4Bの湾曲部40Bを面取りしたことにより形成される面が、N型半導体層4Aの湾曲部40Aの輪郭線と接しているが、離れていてもよい。
【0040】
図8は本実施の形態のコーナー領域51と直線領域52の一部を示す別の例の平面図である。図8に示すN型半導体層4Dように、N型半導体層4Bの湾曲部40Bを面取りしたことにより形成される面が、N型半導体層4Aの湾曲部40Aの輪郭線と重なるように、N型半導体層4Aの湾曲部40Aの輪郭線の一部を残して、N型半導体層4Bの湾曲部40Bを面取りした形状である。
【0041】
また図7図8ともN型半導体層4Bの湾曲部40Bから面取りした形状であるが、N型半導体層4の湾曲部40を面取りしてN型半導体層4Cを形成してもよい。
【0042】
本実施の形態によれば、N型半導体層の各々端部は、平面視して、直線部41C又は41Dと、直線部42C又は42Dと、両端がそれぞれ直線部41C又は41D及び直線部42C又は42Dに繋がる部分を有し、当該部分は直線部41C又は41Dと鈍角に繋がる直線部43C又は43Dと、直線部42C又は42Dと鈍角に繋がる直線部44C又は44Dとを有する。
【0043】
図7においては、直線部43Cと直線部44Cとで一本の直線が構成される。直線部41Cと直線部42Cは、それぞれの延長線上で直交する関係にあり、直線部43Cは直線部41Cと135度の角度で交差し、直線部44Cは直線部42Cと135度の角度で交差する。
図8においては、当該部分は両端が直線部43D及び直線部44Dに繋がる湾曲部40Dをさらに有している。直線部41Dと直線部42Dは、それぞれの延長線上で直交する関係にあり、直線部43Dは直線部41Dと135度の角度で交差し、直線部44Dは直線部42Dと135度の角度で交差する。
【0044】
本実施の形態の半導体装置1002は、N型半導体層4AをN型半導体層4Cとなるように伸長した場合、N型半導体層4Aの距離Lが伸長値S分大きくなるため、オン抵抗を低減する。さらに、曲率中心Oと曲率中心O´を通る直線とN型半導体層4Cの湾曲部40Cの輪郭線との交点を交点Cとした場合の、線分ACは線分ABよりも小さくなるため、N型半導体層4Bと比較して、N型半導体層4のコーナー領域51における電界集中が抑制され、耐圧性能の低下を防止する。
【0045】
この図7及び図8に示すN型半導体層では、コーナー領域51について説明しているが、他の3つのコーナー領域のそれぞれ形状を図7又は図8と同様に構成することができる。
また、本実施の形態のバックゲート層及びソース層を図6のP型半導体層16、N型半導体層18及び19のように構成されてもよい。
【0046】
なお、図7において直線部43Cが直線部41Cと直接接続されているが、直線部43C及び直線部41Cの間に湾曲部が挿入されてもよい。よって「ある直線部が別の直線部と鈍角に繋がる」とは、延長線が鈍角で交差する2つの直線部の間に湾曲部を介して接続される場合も含むものとする。例えば、図7の直線部44C及び直線部42Cの間、図8における直線部43D及び直線部41Dとの間並びに直線部44D及び直線部42Dとの間についても同様である。
【0047】
実施の形態3.
図9は本実施の形態における半導体装置1003の構造を示す断面図であり、図2の本実施の形態におけるA-A断面に相当する。図10図11図12は、本実施の形態のコーナー領域51と直線領域52の一部を示す平面図である。
実施の形態1において、N型半導体層4の湾曲部40の曲率は埋め込み層3の湾曲部30の曲率と比較して小さく、N型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´は埋め込み層3の湾曲部30の曲率中心Oと比較して内側に後退した構成について説明したが、本実施の形態では、N型半導体層4の湾曲部40の曲率は埋め込み層3の湾曲部30の曲率と比較して小さく、N型半導体層4の湾曲部40の曲率中心O´は埋め込み層3の湾曲部30の曲率中心Oと同じ位置である点で実施の形態1と異なり、N型半導体層4の湾曲部40を含む一部の領域の不純物濃度が実施の形態1と異なる。それ以外の構成は実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同一のもの又は相当するものには同一の符号を付している。
【0048】
図9に示すように、N型半導体層4Eは不純物濃度が異なる2つの領域E1及び領域E2から構成される。領域E1はN型半導体層4Eの端部に位置し、領域E2は領域E1より内側に位置する。領域E1の不純物濃度が領域E2より小さい。
【0049】
図10図11図12は本実施の形態における図2に示したコーナー領域51の埋め込み層3とN型半導体層4Eの拡大図に、後述する第1の不純物注入間口53、複数の第2の不純物注入間口54及び遮断部55を有するマスク材56を重ね合わせた図である。
一点鎖線はN型半導体層4Eの端部である輪郭線を表す。N型半導体層4Eの端部は、一方の直線領域52に含まれる直線部41Eと、他方の直線領域52に含まれる直線部42Eと、両端がそれぞれ直線部41E及び直線部42Eに繋がるコーナー領域51の湾曲部40Eとで規定される。N型半導体層4Eの輪郭線は、N型半導体層4Bとほぼ一致する。領域E1は湾曲部40Eを含み湾曲部40Eより内側にある領域に当たる。
実線は第1の不純物注入間口53、第2の不純物注入間口54の輪郭線を表す。一点鎖線で示されたN型半導体層4Eから実線で示された第1の不純物注入間口53及び第2の不純物注入間口54を差し引いた領域がマスク材56の遮断部55となる。
第1の不純物注入間口53はN型半導体層4Eの領域E2を形成するためのマスク材56の開口パターンを示しており、第1の不純物注入間口53の形状はN型半導体層4Cとほぼ一致する。
第2の不純物注入間口54はN型半導体層4Eの領域E1を形成するためのマスク材56の開口パターンを示している。第2の不純物注入間口54は、N型半導体層4EからN型半導体層4Cを差し引いた領域とほぼ一致する形状の領域に配置される。
図10図12のそれぞれマスク材56によって形成される領域E1と領域E2との境界は、平面視して、直線部41Eに鈍角に繋がる直線部43E及び直線部42Eに鈍角に繋がる直線部44Eにより規定される。直線部43E及び直線部44Eは一つの直線をなす。
【0050】
図10は、パターン幅Wの台形の複数の第2の不純物注入間口54が、パターン間隔Iで等間隔に交点Aの接線方向に沿って領域E1に配置される。
図11は、スクエアドット形状の複数の第2の不純物注入間口54が領域E1に配置される。なお、第2の不純物注入間口54の形状がスクエアドット形状である例を示したが、ドット形状であればよく、チェーンドット形状、ラウンドドット形状等でもよい。
図12は、パターン幅Wの矩形の複数の第2の不純物注入間口54が、パターン間隔Iで等間隔に水平方向に沿って領域E1に配置される。
【0051】
半導体装置1003の製造方法、特にN型半導体層4Eの形成工程について図13を用いて説明する。まずコーナー領域51内の領域E1に対応する基材57における領域E1´、領域E2に対応する基材57における領域E2´に、図10図12のいずれかに示された第1の不純物注入間口53、複数の第2の不純物注入間口54と、これら開口を規定する遮断部55が設けられたマスク材56を基材57に形成する。第1の不純物注入間口53及び複数の第2の不純物注入間口54は基材57の表面を開口する。ついで、基材57に不純物を照射する。不純物は第1の不純物注入間口53及び複数の第2の不純物注入間口54を介して基材57に導入され、遮断部55では不純物の導入が遮断される。その後、不純物が導入された基材57に熱処理が施される。この熱処理によって濃度が均一になる方向に不純物が拡散され、図9に示すN型半導体層4Eが形成される。領域E1´において第2の不純物注入間口54の開口パターンを有したマスク材56により、不純物が一部遮蔽されるため、図9に示すように、不純物濃度に関し領域E2よりも小さい領域E1が形成される。なおマスク材56は不純物の導入後、熱処理の前に除去されるが、熱処理の後でもかまわない。
【0052】
本実施の形態の半導体装置1003は、N型半導体層4AをN型半導体層4Eとなるように伸長した場合、N型半導体層4Aの距離Lが伸長値S分大きくなるため、オン抵抗を低減する。さらに、領域E1に第2の不純物注入間口54を配置し、不純物濃度を領域E2よりも低くすることで、N型半導体層4Bと比較して、N型半導体層4Eのコーナー領域51における電界集中が抑制され、耐圧性能の低下を防止する。
【0053】
なお、本実施の形態において第2の不純物注入間口54が領域E1に配置される例を示したが、図14に示すように、領域E1に、パターン幅Wの帯状の第2の不純物注入間口54が、パターン間隔Iで等間隔にN型半導体層4Aの湾曲部40Aの曲率に沿って配置されてもよい
図14のマスク材56を使って形成されるN型半導体層4Eにおいても、不純物濃度が異なる2つの領域E1及び領域E2が構成される。
図10図12のそれぞれマスク材56を使って形成されるN型半導体層4Eと異なる点は、領域E2の形状である。
平面視したN型半導体層4Eの輪郭線は、N型半導体層4Bの輪郭線とほぼ一致し、領域E1は、N型半導体層4BからN型半導体層4Dを差し引いた領域に相当する。領域E2は、N型半導体層4Eから領域E1を差し引いた領域に相当する。よって領域E1及び領域E2の境界は、平面視して、直線部41Eに鈍角に繋がる直線部43Eと、直線部42Eに鈍角に繋がる直線部44Eと、両端がそれぞれ直線部43E及び直線部44Eと繋がる湾曲部45Eとにより規定される。不純物濃度は領域E1より領域E2の方が高い。
【0054】
また、本実施の形態において第2の不純物注入間口54の形状が台形、ドット形状、矩形である例を示したが、不純物濃度が領域E1より領域E2の方が高ければ、第2の不純物注入間口54の形状、寸法、配置間隔は限定されない。
【0055】
また、図10図11図12及び図14では、コーナー領域51について説明しているが、他の3つのコーナー領域のそれぞれ形状を図10図11図12及び図14のいずれかと同様に構成することができる。
また、本実施の形態のバックゲート層及びソース層を図6のP型半導体層16、N型半導体層18及び19のように構成されてもよい。
【0056】
実施の形態4.
図15は本実施の形態における半導体装置1004の構造を示す断面図であり、図2の本実施の形態におけるA-A断面に相当する。図16図17図18図19図20は、本実施の形態のコーナー領域51と直線領域52の一部を示す平面図である。
実施の形態3において、不純物濃度が領域E1より領域E2の方が高い構成について説明したが、本実施の形態では、不純物濃度が後述する領域F1より後述する領域F2の方が高く、領域F1の不純物濃度に濃度勾配を持たせている点が実施の形態3と異なる。それ以外の構成は実施の形態3と同様であり、実施の形態3と同一のもの又は相当するものには同一の符号を付している。
【0057】
図15に示すように、N型半導体層4Fは不純物濃度が異なる2つの領域F1及びF2から構成される。領域F1はN型半導体層4Fの端部に位置し、領域F2は領域F1より内側に位置する。領域F1の不純物濃度が領域F2より小さい。
【0058】
図16は本実施の形態における図2に示したコーナー領域51の埋め込み層3とN型半導体層4Fの拡大図に、第1の不純物注入間口53、複数の第2の不純物注入間口54及び遮断部55を有するマスク材56を重ね合わせた図である。
一点鎖線はN型半導体層4Fの輪郭線を表す。N型半導体層4Fの端部は、一方の直線領域52に含まれる直線部41Fと、他方の直線領域52に含まれる直線部42Fと、両端がそれぞれ直線部41F及び直線部42Fに繋がるコーナー領域51の湾曲部40Fとで規定される。N型半導体層4Fの輪郭線は、N型半導体層4Bとほぼ一致する。領域F1は湾曲部40Fを含み湾曲部40Fより内側にある領域に当たる。
実線は第1の不純物注入間口53、第2の不純物注入間口54の輪郭線を表す。一点鎖線で示されたN型半導体層4Fから実線で示された第1の不純物注入間口53及び第2の不純物注入間口54を差し引いた領域がマスク材56の遮断部55となる。
第1の不純物注入間口53はN型半導体層4Fの領域F2を形成するためのマスク材56の開口パターンを示しており、第1の不純物注入間口53の形状はN型半導体層4Cとほぼ一致する。
第2の不純物注入間口54はN型半導体層4Fの領域F1を形成するためのマスク材56の開口パターンを示している。第2の不純物注入間口54は、N型半導体層4FからN型半導体層4Cを差し引いた領域とほぼ一致する形状の領域に配置される。
図16のマスク材56によって形成される領域F1と領域F2との境界は、平面視して、直線部41Fに鈍角に繋がる直線部43F及び直線部42Fに鈍角に繋がる直線部44Fにより規定される。直線部43F及び直線部44Fは一つの直線をなす。
【0059】
図16は、第2の不純物注入間口54を、湾曲部40Fに対応する部分に向かうにつれて、つまりは第2の不純物注入間口54が半導体装置1004の外側に配置されるにつれて、パターン幅WがW1>W2・・・>Wnとなるように次に狭く、パターン間隔IがI1<I2・・・<Inとなるように次に大きくなるように配置していることを示す。
【0060】
本実施の形態の半導体装置1004は、N型半導体層4AをN型半導体層4Fとなるように伸長した場合、N型半導体層4Aの距離Lが伸長値S分大きくなるため、オン抵抗を低減する。さらに、領域F1に第2の不純物注入間口54を配置し、不純物濃度を領域F2よりも低くし、領域F1の不純物濃度は半導体装置1004の外側に向かって低くすることで、N型半導体層4Bと比較して、N型半導体層4Fのコーナー領域51における電界集中が抑制され、耐圧性能の低下を防止する。
【0061】
なお、本実施の形態において第2の不純物注入間口54が半導体装置1004の外側に配置されるにつれて、パターン幅WがW1>W2・・・>Wnとなるように次に狭く、パターン間隔IがI1<I2・・・<Inとなるように次に大きくなるように配置される例について示したが、パターン幅Wとパターン間隔Iの両方を、第2の不純物注入間口54が半導体装置1004の外側に配置されるにつれて変更する必要はなく、パターン幅Wとパターン間隔Iのどちらか一方を一定としてもよい。
【0062】
図17及び図18のそれぞれに示されたN型半導体層4Fは、不純物濃度が異なる2つの領域F1及び領域F2から構成される。平面視したN型半導体層4Fの輪郭線は、N型半導体層4Bの輪郭線とほぼ一致し、領域F1は、N型半導体層4BからN型半導体層4Dを差し引いた領域に相当する。領域F2は、N型半導体層4Fから領域F1を差し引いた領域に相当する。よって、領域F1及び領域F2の境界は、平面視して、直線部41Fに鈍角に繋がる直線部43Fと、直線部42Fに鈍角に繋がる直線部44Fと、両端がそれぞれ直線部43F及び直線部44Fと繋がる湾曲部45Fとにより規定される。不純物濃度は領域F1より領域F2の方が高く、さらに領域F1の不純物濃度は半導体装置1004の外側に向かって低くなる。
N型半導体層4Fを形成するために、図17及び図18に示すように、N型半導体層4BからN型半導体層4Dを差し引いた領域に相当する領域F1に、第2の不純物注入間口54が半導体装置1004の外側に配置されるにつれて、パターン幅WがW1>W2・・・>Wnとなるように次に狭く、パターン間隔IがI1<I2・・・<Inとなるように次に大きくなるように配置されてもよい。図17では帯状の第2の不純物注入間口54が並んで配置され、図18では、ドット形状の第2の不純物注入間口54が放射状に配置される。
【0063】
また、本実施の形態において領域F1の不純物濃度が半導体装置1004の外側に向かって低くなるように、第2の不純物注入間口54が半導体装置1004の外側に配置されるにつれて、第2の不純物注入間口54のパターン幅W及びパターン間隔Iを、次第に変更する例を示したが、図19及び図20に示すように、パターン幅Wを一定としたまま、第2の不純物注入間口54を放射状に配置するだけでもよい。図19は矩形の第2の不純物注入間口54、図20はドット形状の第2の不純物注入間口54を示す。図19及び図20とも湾曲部に沿った方向に隣接する第2の不純物注入間口54どうしの間隔が、放射状の放射方向になるほど大きくなっている。
【0064】
図16ないし図20では、コーナー領域51について説明しているが、他の3つのコーナー領域のそれぞれ形状を図16ないし図20のいずれかに構成することができる。
また、本実施の形態のバックゲート層及びソース層を図6のP型半導体層16、N型半導体層18及び19のように構成されてもよい。
【0065】
また、上述以外にも、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 半導体基板、2 リサーフ層、3 埋め込み層、4 N型半導体層、5 N型半導体層、6 P型半導体層、7 N型半導体層、8 P型半導体層、9 フィールド酸化膜、10 ポリシリコン、11 ポリシリコン、12 絶縁膜、13 ドレイン電極、14 ソース電極、15 基準電位固定用電極、30、40 湾曲部、31、32、41、42 直線部、50 レベルシフト回路、51 コーナー領域、52 直線領域、53 第1の不純物注入間口、54 第2の不純物注入間口、55 遮断部、56 マスク材、100 半導体層、1001、1002、1003、1004 半導体装置
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