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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】梱包箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/36 20060101AFI20250311BHJP
   B65D 5/68 20060101ALI20250311BHJP
   A47B 3/00 20060101ALI20250311BHJP
   A47B 85/06 20060101ALI20250311BHJP
   B65D 5/22 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B65D81/36 L
B65D5/68 Z
A47B3/00 B
A47B3/00 A
A47B85/06
B65D5/22 A
B65D81/36 Q
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022027730
(22)【出願日】2022-02-25
(65)【公開番号】P2023124130
(43)【公開日】2023-09-06
【審査請求日】2024-04-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 3年 3月 5日に、国際パッケージデザインコンペティションのエントリーシートとして、ウェブサイト上で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 賢一
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実公平02-035658(JP,Y2)
【文献】特開2002-362541(JP,A)
【文献】実開平05-016623(JP,U)
【文献】特公昭39-022268(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/36
B65D 5/00- 5/76
A47B 3/00
A47B 85/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包箱としての第1の使用態様において物品を内部に配置するための開口部と、机としての第2の使用態様において前記机の脚部として機能させるために前記開口部の内側に向けて折り曲げ可能な第1部材と、を含む箱本体と、
前記第1の使用態様においては前記開口部を覆う蓋体であって、前記第2の使用態様においては前記開口部を覆わずに前記折り曲げられた前記第1部材の一端に接して前記机の天板として機能する蓋体と、
を備え
前記蓋体は、前記第2の使用態様において前記第1部材が前記折り曲げられた状態から前記折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力に対抗する規制部として機能する第2部材を含む、
梱包箱。
【請求項2】
前記第2の使用態様では、前記第1部材の他端が接地面に接地する、
請求項1に記載の梱包箱。
【請求項3】
前記箱本体は、第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、第3側面と、前記第3側面に対向する第4側面と、を含み、
前記第1部材は、少なくとも前記第3側面及び前記第4側面のいずれかに連接されている、
請求項1又は請求項2に記載の梱包箱。
【請求項4】
前記第1部材は、前記箱本体の第3側面に連接される第1のフラップ部と、前記箱本体の第4側面に連接される第2のフラップ部と、を含み、
前記第2部材は、前記蓋体の内側に設けられ、前記第2の使用態様において、前記第1のフラップ部と第2のフラップ部の間に配置される、
請求項3に記載の梱包箱。
【請求項5】
前記第1部材は、第1面と、前記第2の使用態様において折罫線に沿って山型に折り曲げられることで前記箱本体の内側に向って傾斜する第2面とを有し、
記規制部は、前記第1面と前記第2面の間の二面角に対応する傾斜部を有している、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の梱包箱。
【請求項6】
前記第2の使用態様において、前記脚部の前後方向の長さは、前記蓋体の前後方向の長さより短い、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の梱包箱。
【請求項7】
前記第1部材の自由端側には第1の挿入舌片が設けられており、
前記箱本体は、前記第1の挿入舌片を受け入れる第1の受入れ部が設けられている、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の梱包箱。
【請求項8】
前記第2部材は、一端が前記蓋体の天面内側に固定され、前記第2部材の自由端側には第2の挿入舌片が設けられており、
前記蓋体の天面内側には、前記第2の挿入舌片を受け入れる第2の受入れ部が設けられている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の梱包箱。
【請求項9】
前記第1部材は、前記箱本体の外寸と同等の幅に形成された幅広部と、前記箱本体の内寸と同等の幅に形成され前記第2の使用態様において前記箱本体内に配置される幅狭部と、を有し、
前記幅狭部から前記幅広部に切り替わる段部が、前記第2の使用態様において前記箱本体の開口部端面に係止される、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の梱包箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物を内包する梱包箱は、対象物を梱包箱から取り出した後は、一般にはすぐに廃棄処分されてしまう。
【0003】
例えば特許文献1には、配送時には対象物を収容する箱として用いることができ、対象物を取り出した後は当該対象物を陳列する陳列スタンドに変形させて使用することが可能な梱包箱が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-91475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている梱包箱は、梱包対象物(内容物)としてパンフレットやチラシ等の広告紙葉類を想定しており、陳列スタンドに変形させた後は、チラシ等を立て掛けられるようにしたものである。
このため、ある程度重量を有する対象物を載置するための台として用いることのできるものではなかった。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、配送時には梱包用の箱として用いることができるとともに、配送後には梱包対象物等を載置する机(載置台)として利用することのできる梱包箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の梱包箱は、
梱包箱としての第1の使用態様において物品を内部に配置するための開口部と、机としての第2の使用態様において前記机の脚部として機能させるために前記開口部の内側に向けて折り曲げ可能な第1部材と、を含む箱本体と、
前記第1の使用態様においては前記開口部を覆う蓋体であって、前記第2の使用態様においては前記開口部を覆わずに前記折り曲げられた前記第1部材の一端に接して前記机の天板として機能する蓋体と、
を備え
前記蓋体は、前記第2の使用態様において前記第1部材が前記折り曲げられた状態から前記折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力に対抗する規制部として機能する第2部材を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、梱包対象物が梱包されていた箱を、配送後には梱包対象物等を載置する机(載置台)として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る梱包箱の組立状態を示す外観斜視図である。
図2図1に示す梱包箱を開被した状態を示す斜視図である。
図3図1の梱包箱の箱本体の展開状態を示す斜視図である。
図4図1の梱包箱の蓋体の展開状態を示す斜視図である。
図5図1に示す梱包箱を開被して梱包対象物を露出させた状態を示す斜視図である。
図6図5に示す状態から梱包対象物を取り出した状態を示す斜視図である。
図7図6に示す状態から一方の脚部を組み立てた状態を示す斜視図である。
図8図7に示す状態から両方の脚部を組み立て、蓋体に規制部を形成した状態を示す斜視図である。
図9図8に示す状態の箱本体を蓋体に組み付けた状態を示す斜視図である。
図10図9に示す状態の梱包箱を上下反転させて完成した机の斜視図である。
図11図10に示す机に梱包対象物を載置させた使用例を示す斜め前方から見た斜視図である。
図12図11に示す状態を正面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1から図12を参照しつつ、本発明に係る梱包箱の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係る梱包箱が楽器等の機器を収納するものである場合を例として説明するが、本発明を適用可能な実施形態はこれに限定されるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態における梱包箱の、箱としての組立状態(内部に「物品」としての梱包対象物を収容することのできる梱包状態、梱包箱としての「第1の使用態様」)を示す外観斜視図である。
図1に示すように、本実施形態における梱包箱1は、箱としての組立状態でほぼ直方体形状となるものであり、箱本体2(下箱、身箱)と、蓋体3(蓋箱)と、を備えている。
梱包箱1を構成する箱本体2及び蓋体3は、例えば板紙や段ボール紙等、多少の厚みを有し強度のある板材を組み立てることで形成されている。
なお、本実施形態の梱包箱1は、箱本体2と蓋体3とを組み立て変えることで、箱として内部に梱包対象物を収容することのできる梱包状態(箱としての組立状態、「第1の使用態様」)から、机(載置台、図10図12参照)として使用することが可能な置台状態(「第2の使用態様」)へと変形させることが可能となっている。梱包箱1の、箱としての組立状態(「第1の使用態様」)から机としての置台状態(「第2の使用態様」)への変形については、後述する。
【0012】
図2は、梱包箱の箱本体から蓋体を外して箱を開被した状態を示す斜視図である。
図2に示すように箱本体2は、ほぼ直方体形状となっており、上部に開口部20を有している。梱包箱1を箱として用いる「第1の使用態様」において、この開口部20から梱包対象物(物品)を内部に配置する。
蓋体3は、箱本体2に対応するほぼ直方体形状となっており、梱包箱1が図1に示すような梱包状態(箱としての組立状態、「第1の使用態様」)にあるときに、箱本体2の開口部20を覆う蓋として機能することのできる大きさを有する。
【0013】
図3は、箱本体の展開状態を示す図である。また、図4は、蓋体の展開状態を示す図である。なお、図1から図4において、梱包箱1の長手方向(長辺方向)をX方向、梱包箱1の短辺方向をY方向とする。
【0014】
図3に示すように、箱本体2は、箱としての組立状態において箱本体2の底面を構成する底板21を備えている。
底板21の一対の長辺には、長手方向Xに沿う折罫線である「折罫線211」を介してそれぞれ第1側面板22(第1側面、及び第1側面に対向する第2側面を構成する一対の第1側面板22)が連接されている。
第1側面板22における底板21との連設側(すなわち、連接されている側、連続して設けられている側。以下、本実施形態において同じ。)とは逆側には「折罫線231」を介して折返し側面板23が連接されている。折返し側面板23は「折罫線231」に沿って箱本体2の内側に折り込まれることで第1側面板22と重なり合う。
第1側面板22とこれに重なる折返し側面板23は、箱としての組立状態において底面である底板21からほぼ垂直に立ち上がる、箱本体2の長手方向の側壁(「第1の側壁」)を構成する。
【0015】
第1の側壁が第1側面板22とこれに重なる折返し側面板23とで形成されることで、第1側面板22のみで構成した場合よりも剛性を確保することができる。
また、折返し側面板23を箱本体2の内側に折り込んで第1側面板22と重ね合わせることで、組立状態において梱包箱1の材料である板材の端面が露出せず、板材の端面で手指を怪我する等を防ぐことができる。
【0016】
一対の第1側面板22にそれぞれ連接された折返し側面板23のうちの一方(図3に示す例では、Y方向の下側の折返し側面板23)における第1側面板22との連設側とは逆側の辺には、一対の段部形成片24が「折罫線241」を介して連接されている。
段部形成片24は、折返し側面板23からY方向に沿って延出する矩形状の本片24aと、本片24aの基端及び自由端から「折罫線242」を介してX方向に突出する折返し舌片24bと有し、全体がほぼコ字状に形成されている。
【0017】
一対の段部形成片24は、折返し側面板23のX方向両端部にそれぞれ設けられ、それぞれの折返し舌片24bが互いに向かい合うように配置されている。
本片24aのY方向の長さy2は、底板21のY方向の長さy1とほぼ等しくなっている。また折返し舌片24bの突出長さx2は、本片24aのX方向の長さ(幅)x1とほぼ等しいか、多少短くなっており、折返し舌片24bが「折罫線242」に沿って折り込まれると、一対の折返し舌片24bが本片24aの両端部と重なり合って、折返し舌片24bが重なり合った部分の厚みが板材の2倍となり、段差を生じる。
【0018】
段部形成片24は、このように段差を生じた状態で、「折罫線241」に沿って箱本体2の内側に折り込まれる。これにより、箱本体2の底面であって底板21と本片24aとの間に折返し舌片24bの厚み分の隙間(図6等に示す隙間240)が創出される。隙間240は、箱本体2の中央に向って開口し、後述する第1の挿入舌片27cを受け入れる第1の受入れ部(挿入部)となる。
この隙間240におけるY方向の長さ(すなわち、一対の折返し舌片24bの間の幅)y3は、後述する第1の挿入舌片27cの幅y4とほぼ等しいかこれより多少大きくなるように設計される。
【0019】
また、底板21の一対の短辺には、それぞれ「折罫線212」を介してそれぞれ第2側面板25(第3側面、及び第3側面に対向する第4側面を構成する一対の第2側面板25)が連接されている。なお以下の実施形態において、図3等において底板21の左側の第2側面板25を、第3側面を構成する「第2側面板25α」とし、右側の第2側面板25を、第4側面を構成する「第2側面板25β」とする。なお、左右両方をさすときは、単に「第2側面板25」とする。
第2側面板25は、箱としての組立状態において底面である底板21からほぼ垂直に立ち上がる、箱本体2の短辺方向の側壁(「第2の側壁」)を構成しており、第1側面板22及び折返し側面板23で形成される「第1の側壁」とほぼ同等の高さに揃うように形成される。
また、第2側面板25のY方向における両端部には、「折罫線261」を介して内フラップ26が連接されている。内フラップ26は、箱としての組立状態において、第1側面板22と折返し側面板23との間に挟み込まれて、「第1の側壁」の中に収容され、外部に露出しないようになっている。
【0020】
さらに各第2側面板25における底板21との連設側とは逆側には、それぞれ「折罫線271」を介してフラップ部27が連接されている。なお「折罫線271」に沿う辺は、箱本体2の開口部20において対向する「第1の辺」であり、フラップ部27は、この「第1の辺」を基端として箱本体2の側壁(「第2の側壁」)にそれぞれ連接して設けられている。
後述するように、本実施形態の一対のフラップ部27(第1の「フラップ部27α」と第2の「フラップ部27β」)は、箱としての「第1の使用態様」においては図2等に示すような平面的な初期状態にあり、「第2の使用態様」においてはこの状態から、開口部20の内側に向けて折り曲げられることで、スタンド状態の脚部270(図8図12参照)へと変形し、机の脚部270として機能する一対の第1部材である。
【0021】
一対のフラップ部27(第1の「フラップ部27α」、第2の「フラップ部27β」)は、それぞれ「折罫線271」に接する第1フラップ部27a、「折罫線272」を介して第1フラップ部27aに連接される第2フラップ部27b及び「折罫線273」を介して第2フラップ部27bの自由端側に連接する第1の挿入舌片27cを有している。
第2フラップ部27bは、第1フラップ部27aを「第1面」としたときに、「第2の使用態様」において「折罫線272」に沿って山型に折り曲げられることで箱本体2の内側に向って傾斜する「第2面」を構成する。
前述のように、第1の挿入舌片27cのY方向における幅y4は、隙間240におけるY方向の長さ(幅)y3よりも若干小さくなっており、後述する変形後の置台状態(「第2の使用態様」)において、第1の挿入舌片27cを隙間240に挿入することが可能となっている。
【0022】
また、第1部材としてのフラップ部27は、箱本体2の外寸と同等の幅に形成された幅広部27wと、箱本体2の内寸と同等の幅に形成され箱本体2内に配置される幅狭部27nと、を有している。
本実施形態では、第1フラップ部27aと、第2フラップ部27bのうち第1フラップ部27aと連接している側におけるY方向の幅は、箱本体2の内寸とほぼ同じ幅y5である。これに対して、第2フラップ部27bにおける第1の挿入舌片27cと接する側は、Y方向の幅が幅y5よりも狭い幅y6となっている。図3に示すように、フラップ部27のうち、Y方向の幅が幅y5である部分を幅広部27wとし、幅y6である幅狭部27nとする。
【0023】
幅狭部27nから幅広部27wに切り替わる部分には段差が生じ、段部27s(図6等参照)となる。
すなわち、フラップ部27は、箱本体2の開口部20の上に被せられるものであるため、開口部20のY方向における幅(箱本体2の外寸、底板21のY方向における幅y1とほぼ同じとする。)と同じか若干大きく形成されているが、幅狭部27nは、箱本体2の開口部内に挿入可能な幅y6に形成されており、後述するように、フラップ部27を折り込んでスタンド状態とした際に、幅狭部27nのみが箱本体2内に挿入され、段部27sが箱本体2の開口部端面(実施形態では、「第1の側壁」の縁)に係止されるようになっている(図7図9参照)。
【0024】
さらに、フラップ部27を構成する第1フラップ部27a及び第2フラップ部27bの外縁部には、折り返し部27dが設けられている。折り返し部27dは、糊代状の縁取りである。折り返し部27dは、梱包箱1の出荷段階において第1フラップ部27a及び第2フラップ部27bにおける梱包箱1の内側となる面に折り返された状態で糊付け等により固定される。
このように第1フラップ部27a及び第2フラップ部27bの外縁部に折り返し部27dを折り返した状態で固定することで、第1フラップ部27a及び第2フラップ部27bの外縁部の厚みが2倍となり、剛性を高めることができる。
また、折り返し部27dを折り返された状態で固定することで、組立状態において梱包箱1の材料である板材の端面が露出せず、板材の端面で手指を怪我する等を防ぐことができる。
【0025】
次に、図4に示すように、蓋体3は、箱としての組立状態(「第1の使用態様」)において梱包箱1の天面を構成する天面板31を備えている。
天面板31の一対の長辺には、長手方向(長辺方向)Xに沿う折罫線である「折罫線311」を介して第1側面板32が連接されている。第1側面板32における天面板31との連設側とは逆側には「折罫線331」を介して折返し側面板33が連接されている。折返し側面板33は「折罫線331」に沿って蓋体3の内側に折り込まれることで第1側面板32と重なり合う。第1側面板32とこれに重なる折返し側面板33は、箱の蓋として組み立てた状態において天面である天面板31からほぼ垂直に立ち上がる、蓋体3の長手方向の側壁(「第1の側壁」)を構成する。
【0026】
「第1の側壁」が第1側面板32とこれに重なる折返し側面板33とで形成されることで、第1側面板32のみで構成した場合よりも剛性を確保することができる。
また、折返し側面板33を蓋体3の内側に折り込んで第1側面板32と重ね合わせることで、組み立て状態において梱包箱1の材料である板材の端面が露出せず、板材の端面で手指を怪我する等を防ぐことができる。
【0027】
一対の第1側面板32にそれぞれ連接された折返し側面板33のうちの一方(図4に示す例では、Y方向の下側の折返し側面板33)における第1側面板32との連設側とは逆側の辺には、段部形成部34が「折罫線341」を介して連接されている。
段部形成部34は、折返し側面板33からY方向に延出する矩形状の本片34aと、本片34aの自由端から「折罫線342」を介してY方向に突出する折返し舌片34bと有している。
【0028】
折返し舌片34bは、本片34aのX方向両端部にそれぞれ設けられている。
折返し舌片34bの突出長さx12は、本片34aのX方向の長さ(幅)x11よりも短くなっており、折返し舌片34bが「折罫線342」に沿って折り込まれると、一対の折返し舌片34bが本片34aの両端部と重なり合い、折返し舌片34bが重なり合った部分の厚みが板材の2倍となって、段差を生じる。
【0029】
段部形成部34は、このように段差を生じた状態で、「折罫線341」に沿って蓋体3の内側に折り込まれる。これにより、蓋体3の天面であって天面板31と本片34aとの間に折返し舌片34bの厚み分の隙間(図6等に示す隙間340)が創出される。隙間340は、蓋体3の中央に向って開口し、後述する第2の挿入舌片35bを受け入れる第2の受入れ部(挿入部)となる。
この隙間340におけるX方向の長さ(すなわち、一対の折返し舌片34bの間の幅)y14は、後述する第2の挿入舌片35bの幅x15とほぼ等しいかこれより多少大きくなるように設計される。
【0030】
また、第1側面板32にそれぞれ連接された折返し側面板33のうちの他方(図4に示す例では、Y方向の上側の折返し側面板33)における第1側面板32との連設側とは逆側の辺には、蓋側フラップ部35が「折罫線351」を介して連接されている。
蓋側フラップ部35は、折返し側面板33に連接されるフラップ本体35aと、フラップ本体35aの自由端側に、「折罫線354」を介して連接される第2の挿入舌片35bとを有する。
前述のように、第2の挿入舌片35bのY方向における幅y15は、隙間340におけるY方向の長さ(幅)y14よりも若干小さくなっており、後述する変形後の組立状態において、第2の挿入舌片35bを隙間340に挿入することが可能となっている。
【0031】
後述するように、本実施形態の蓋側フラップ部35は、本実施形態における第1部材であるフラップ部27がスタンド状態の脚部270(第1の「フラップ部27α」が変形した「脚部270α」と第2の「フラップ部27β」が変形した「脚部270β」、図8図12参照)となったときに、フラップ部27がこのような折り曲げられた状態から折り曲げられる前の状態(すなわち、図2図3等に示すような平面的な初期状態)に戻ろうとする力に対抗する規制部350(図7図9参照)として機能する第2部材である。
具体的には、蓋側フラップ部35は、蓋体3の内側に設けられ、後述するように、折り曲げることにより、箱本体2の開口部20における「第1の辺」(Y方向に延在する辺)に直交する「第2の辺」(X方向に延在する辺)に沿って延在する規制部350を構成し、スタンド状態となった一対の脚部270(「脚部270α」及び「脚部270β」)の間に介在する。
【0032】
第2部材である蓋側フラップ部35は、箱の蓋としての組立状態において、一端が蓋体3の天面内側に固定されている。
すなわち、組立状態において蓋側フラップ部35は、第1側面板32と折返し側面板33とが重なり合って構成される「第1の側壁」と天面板31とが交わる箇所を基端とし、その自由端側には第2の挿入舌片35bが設けられている。
蓋側フラップ部35が固定されている側とは逆側には、前述のように段部形成部34が設けられており、蓋側フラップ部35が折り曲げられて規制部350を構成したときには、蓋体3の天面内側であって天面板31と段部形成部34の本片34aとの間に創出された隙間340(第2の受入れ部)に、蓋側フラップ部35の第2の挿入舌片35bが受け入れられる。
【0033】
また、天面板31の一対の短辺には、それぞれ「折罫線312」を介して第2側面板36が連接されている。
第2側面板36は、箱の蓋としての組み立てられた状態において天面である天面板31からほぼ垂直に立ち上がる、蓋体3の短辺方向の側壁(「第2の側壁」)を構成しており、第1側面板32及び折返し側面板33で形成される「第1の側壁」とほぼ同等の高さに揃うように形成される。
また、第2側面板36のY方向における両端部には、「折罫線371」を介して内フラップ37が連接されている。内フラップ37は、組立状態において、第1側面板32と折返し側面板33との間に挟み込まれて、「第1の側壁」の中に収容され、外部に露出しないようになっている。
【0034】
さらに第2側面板36における天面板31との連設側とは逆側には「折罫線381」を介して折返し側面板38が連接されている。折返し側面板38は「折罫線381」に沿って蓋体3の内側に折り込まれることで第2側面板36と重なり合う。第2側面板36とこれに重なる折返し側面板38は、箱の蓋として組み立てた状態において天面である天面板31からほぼ垂直に立ち上がる、蓋体3の短辺方向の側壁(「第2の側壁」)を構成する。
なお、「第2の側壁」を第2側面板36とこれに重なる折返し側面板38とで形成されることで「第2の側壁」の剛性が向上し、また板材の端面で手指を怪我する等を防ぐことができる点は「第1の側壁」の場合と同様である。
【0035】
次に、図面を参照しつつ、本実施形態における作用(使用方法、箱としての組立状態(「第1の使用態様」)から机として使用できる置台状態(「第2の使用態様」)への変形方法)について説明する。
本実施形態における梱包箱1は、梱包対象物Ob(図5等では鍵盤楽器を例示)を運送、保管する際には、図5に示すように箱本体2内に梱包対象物Obを収容した状態でフラップ部27を梱包対象物Obの上から被せ、その上から蓋体3を被せる。
これにより、梱包対象物Obの上には一対のプラップ部27,蓋側フラップ部35及び蓋体3の天面板31が重ねて配置され、梱包対象物Obの上面等に外部からの衝撃の影響が及ぶのを防ぐことができる。
【0036】
図6図10は、梱包箱1を、箱として使用される梱包状態から机として使用される置台状態(「第2の使用態様」)に変形させる様子を示したものである。
梱包箱1を箱から机に変形させる場合には、まず図5に示すようにフラップ部27を開いて、梱包対象物Obを梱包箱1から取り出す。図6は、箱本体2内から梱包対象物Obを取り出した状態を示している。なお、箱としての組立状態において、折り返し部27dは糊付け等によりフラップ部27の内側面に固定されており、箱本体2及び蓋体3の各側壁部分も組み立てが完了した状態(図6に示す状態)となっている。
【0037】
図7は、箱本体2の一対の第1部材であるフラップ部27のうちの一方側(図7では、)を、折り曲げることにより平面的な初期状態からスタンド状態の脚部270へと変形させた様子を示す図である。
脚部270は、箱本体2の底面から立設する箱本体2の側壁に連続する第1面と、折罫線に沿って第1面から山型に折り曲げられることで箱本体2の内側に向って傾斜する第2面とを有する。
具体的には、フラップ部27を「折罫線272」に沿って箱本体2の内側に折り曲げるとともに、第1の挿入舌片27cを「折罫線273」に沿って内向きに折り曲げる。このとき、第1の挿入舌片27cは、第1の受入れ部である隙間240内に挿入され、受け入れられる。
【0038】
これにより、短辺側の側壁を構成する第2側面板25及びこれに連接されたフラップ部27の第1フラップ部27aにより第1面が構成され、第2フラップ部27bが、「折罫線272」に沿って第1面から山型に折り曲げられることで、第2フラップ部27bにより箱本体2の内側に向って傾斜する第2面が構成される。
この第1面及び第2面と、底板21のうち段部形成片24の本片24aが重畳された部分と、によって、脚部270はほぼ三角柱状となる。第1面を構成する第2側面板25及びこれに連接された第1フラップ部27aと底板21とはほぼ直角に交わる(図8等参照)。
なお、このとき幅狭部27nが箱本体2内に挿入され、段部27sが箱本体2の開口部20の縁(端面)に係止されることで、ずれや捩れが抑制され、スタンド状態となった脚部270の姿勢が崩れにくくなる。
【0039】
図8では、一対のフラップ部27(第1の「フラップ部27α」と第2の「フラップ部27β」)を両方とも同様に折り曲げて、スタンド状態の脚部270(「脚部270α」と「脚部270β」)に変形させた状態を示している。
図8に示すように、一対のフラップ部27(27α、27β)を両方とも組み立てることで、一対の脚部270(270α、270β)が完成する。
【0040】
また図8では、蓋体3についても蓋側フラップ部35(蓋側フラップ部35のフラップ本体35a)を折り曲げることにより変形させて、規制部350を形成した状態を示している。
具体的には、蓋側フラップ部35(蓋側フラップ部35のフラップ本体35a)を「折罫線352」で谷折りし、「折罫線353」で山折りすることで、「折罫線353」を頂点位置とする山型の規制部350が形成される。そして、第2の挿入舌片35bを第2の受入れ部である隙間340内に挿入することにより規制部350の形状が維持される。
【0041】
図8に示すように、箱本体2における脚部270の組み立て、及び蓋体3における規制部350の組み立てが完了すると、箱本体2を図中手前側に90度倒し、箱本体2を蓋体3の上に配置する。
なお、本実施形態において、箱本体2の底面(底板21)から三角柱状の脚部270の頂点位置となる「折罫線272」までの距離x5は、箱本体2の第1の辺に対応する蓋体3の辺の長さy11(「折罫線312」に対応する長さ)以下となっている。
このため、図9に示すように、箱本体2を底板21が垂直となる向きで蓋体3の上に配置すると、脚部270が蓋体3の内側に収まるようになっている。なお距離x5が長さy11よりも小さければ図9に示すように箱本体2を蓋体3の上に配置することができ、大きさの差等は特に限定されないが距離x5が長さy11よりも小さすぎると、蓋体3の上で箱本体2ががたついてしまう。このため、距離x5は長さy11よりも僅かに小さく設定され、蓋体3と箱本体2とができるだけぴったりと嵌り合うことが好ましい。
【0042】
このように、箱本体2を蓋体3の上に配置することにより、蓋体3側の規制部350が、一対のフラップ部27(27α、27β)がスタンド状態となることで形成された一対の脚部270(270α、270β)の間に介在する。
規制部350における延在方向(図4等においてX方向)の両端部は、脚部270(270α、270β)における第2面(第2フラップ部27bにより構成される面)の傾斜角度に対応している。
具体的には、規制部350は、一対のフラップ部27(27α、27β)における第1面(第1フラップ部27a)と第2面(第2フラップ部27b)との間の二面角に対応する傾斜部350a(図8及び図9参照)を有している。
これにより、図9に示すように、一対の脚部270(270α、270β)の間に介在する規制部350が傾斜部350aにおいて第2フラップ部27bで構成される傾斜面(第2面)と接触し、「第2の使用態様」において第1部材であるフラップ部27が折り曲げられた状態から折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力に対抗して脚部270のスタンド状態を安定して維持させることができる。
【0043】
本実施形態では、梱包箱1を図10等に示すような、三角柱状の脚部270で支えられた机に変形させることができ、変形後は規制部350によって脚部270のスタンド状態も維持される。このため、耐荷重性に優れ、ある程度重さのあるものでも安定して載置することができる。
【0044】
そしてこのような載置状態の机に組み立てられた梱包箱1を、図9の状態から180度反転させて、図10に示すように、蓋体3の天面板31が上面(机としての天板)となるように設置する。
これにより、机として用いられる「第2の使用態様」では、第1部材であるフラップ部27の一端が、机の天板として機能する蓋体3と接触し、フラップ部27の他端が、接地面に接地した状態となる。そして、図11及び図12に示すように、天面板31を載置面(テーブル面)として利用することができ、もともと梱包箱1に収容されていた梱包対象物Ob等を天面板31の上に配置して、机(載置台)として使用することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態の梱包箱1は、箱としての「第1の使用態様」において梱包対象物Obを内部に配置するための開口部20と、机としての「第2の使用態様」において机の脚部270として機能させるために開口部20の内側に向けて折り曲げ可能な第1部材としてのフラップ部27と、を含む箱本体2と、「第1の使用態様」においては開口部20を覆う蓋であって、「第2の使用態様」においては開口部20を覆わずに、折り曲げられたフラップ部27(第1部材)の一端に接して机の天板として機能する蓋体3と、を備えている。
これにより、梱包箱1に収容されて配送された梱包対象物Obを、梱包箱1を変形させた机(載置台)に乗せてすぐに使用することができ、配送を受けたユーザがテーブルや台を別途用意しなくても手軽に楽しむことができる。
また、梱包箱1を机(載置台)として再利用することができ、梱包箱1を有効活用して、無駄を省くことができる。
【0046】
なお、本実施形態では、梱包箱1から机への変更に必要な部分(例えばフラップ部27の折り曲げ部分や第1の挿入舌片27c、第1の挿入舌片27cを受け入れる隙間240、蓋側フラップ部35の折り曲げ部分や第2の挿入舌片35b、第2の挿入舌片35bを受け入れる隙間340等)以外の部分(例えば折り返し部27d等)については、梱包箱1として発送される時点で糊付け等により固定した状態とされている。このため、梱包箱1による配送を受けたユーザは、ハサミやカッタ、糊やテープ類を使用することなく、折罫線に沿って適宜折り曲げ変形を行うだけで、容易かつ安全に梱包箱1から机への変形を行うことができる。
またこのように、箱から机への変形を折り曲げ変形等で行い、糊付け等を要さないため、一旦机に変形させた後も、容易に箱としての組立状態に戻すことができる。このため、梱包対象物Obを使用しないときには、梱包箱1を箱としての状態に戻して楽器等の機器の保管に利用することも可能である。
【0047】
また本実施形態の蓋体3は、「第2の使用態様」において第1部材であるフラップ部27が折り曲げられた状態から折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力に対抗する規制部350として機能する第2部材としての蓋側フラップ部35を含んでいる。
これにより、箱本体2と蓋体3とを変形させて組み合わせることで、安定して形状を維持することのできる机(載置台)を形成することができる。
このため、梱包箱1を机(載置台)として再利用することができる。
【0048】
また本実施形態の第1部材であるフラップ部27は、「第2の使用態様」において、一端が机の天板として機能する蓋体3と接し、他端が接地面に接地する。
これにより、机(載置台)として用いられる「第2の使用態様」において、安定して形状を維持することができる。
【0049】
箱本体2は、第1側面と、第1側面に対向する第2側面と、第3側面と、第3側面に対向する第4側面と、を含み、第1部材であるフラップ部27は、少なくとも第3側面及び第4側面のいずれかに連接されている。
机としての「第2の使用態様」において机の脚部270として機能するフラップ部27を、箱としての対向する面のいずれかに設けることで、安定した脚部270を構成することができる。
【0050】
また本実施形態の第1部材であるフラップ部27は、箱本体2の第3側面を構成する「第2側面板25(25α)」に連接される第1のフラップ部27(27α)と、箱本体2の第4側面を構成する「第2側面板25(25β)」に連接される第2のフラップ部27(27β)と、を含み、「第2の使用態様」において規制部350として機能する第2部材である蓋側フラップ部35は、蓋体3の内側に設けられ、「第2の使用態様」において、第1のフラップ部27(27α)と第2のフラップ部27(27β)の間に配置される。
机としての「第2の使用態様」において机の脚部270として機能するフラップ部27(27α、27β)が、箱としての組立状態において対向する第3側面を構成する「第2側面板25(25α)」と第4側面を構成する「第2側面板25(25β)」とにそれぞれ連接して設けられることで、安定した脚部270を構成することができる。
【0051】
また本実施形態の第1部材であるフラップ部27は、第1面(第1フラップ部27a)と、「第2の使用態様」において「折罫線272」に沿って山型に折り曲げられることで箱本体2の内側に向って傾斜する第2面(第2フラップ部27b)とを有し、「第2の使用態様」において第1部材であるフラップ部27が折り曲げられた状態から折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力に対抗する規制部350は、第1面(第1フラップ部27a)と第2面(第2フラップ部27b)の間の二面角に対応する傾斜部350aを有している。
これにより、規制部350によって脚部270の形状を確実に維持することができる。
【0052】
また本実施形態において、「第2の使用態様」において、脚部270の前後方向の長さは、蓋体3の前後方向の長さより短い。
これにより、箱本体2のフラップ部27を脚部270に変形させたのち、箱本体2を蓋体3に嵌め込むことができる。
【0053】
また本実施形態において、第1部材であるフラップ部27の自由端側には第1の挿入舌片27cが設けられており、箱本体2には、この第1の挿入舌片27cを受け入れる第1の受入れ部としての隙間240が設けられている。
このため、第1の挿入舌片27cを隙間240に差し込むことで変形状態を維持することができ、蓋体3の規制部350によって脚部270が強固に規制されるまでの仮止めを行うことができる。これにより、箱本体2を蓋体3にセットする前に多少動かしても途中まで組み立てた状態が崩れるのを防ぐことができ、組立作業が苦手なユーザでも容易に梱包箱1から机への変形を行うことができる。
【0054】
また「第2の使用態様」において規制部350として機能する第2部材である蓋側フラップ部35は、一端が蓋体3の天面内側に固定され、蓋側フラップ部35の自由端側には第2の挿入舌片35bが設けられており、蓋体3の天面内側には、第2の挿入舌片35bを受け入れる第2の受入れ部としての隙間340が設けられている。
このため、第2の挿入舌片35bを隙間340に差し込むことで変形状態を維持することができ、箱本体2に蓋体3にセットする前に蓋体3を多少動かしても折り曲げられた規制部350の形状が崩れるのを防ぐことができ、組立作業が苦手なユーザでも容易に梱包箱1から机への変形を行うことができる。
【0055】
また本実施形態の第1部材であるフラップ部27は、箱本体2の外寸と同等の幅に形成された幅広部27wと、箱本体2の内寸と同等の幅に形成され箱本体内に配置される幅狭部27nと、を有し、幅狭部27nから幅広部27wに切り替わる段部27sが、「第2の使用態様」において箱本体2の開口部20の端面に係止される。
これにより、フラップ部27で形成された脚部270がずれたり捩れたりするのを防いで、安定した形状に維持させておくことができる。
【0056】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0057】
例えば、本実施形態では、脚部270を構成する第1部材が箱本体2に設けられているフラップ部27であり、規制部350を構成する第2部材が蓋体3に設けられている蓋側フラップ部35である場合を例示したが、第1部材、第2部材はこれに限定されない。例えば脚部を構成する第1部材が蓋体3に設けられ、規制部を構成する第2部材が箱本体2に設けられていてもよい。
また、脚部を構成する第1部材及び規制部を構成する第2部材が、ともに箱本体2に設けられていてもよく、逆に第1部材、第2部材が、ともに蓋体3に設けられていてもよい。
【0058】
また第1の挿入舌片27cを受け入れる部分は、底板21の端部にある場合に限定されない。
例えば、底板21の中央部等に第1の挿入舌片27cを受け入れる部分を設け、規制部は、脚部自体を外側に広がる方向に規制するとともに、第1の挿入舌片27cが受入れ部から抜けないように中央部から端部に向って第1の挿入舌片27cを受入れ部内に押し込む方向に規制するようにしてもよい。
【0059】
さらに、本実施形態では、図8に示した状態から箱本体2を90度倒して蓋体3の上に配置する例を示したが、箱本体2を倒す工程を行わず、図8に示した状態の箱本体2に蓋体3を嵌め込むことで机の組み立て及び脚部の規制を行ってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、図9に示した状態から箱本体2を180度回転させて(上下反転させて)配置し、蓋体3の天面板31を、対象物を載置する載置面(机の天板、テーブル面)として用いる場合を例示したが、載置面(テーブル面)は天面板31である場合に限定されない。
例えば、図9に示した状態から箱本体2を90度回転させて配置し、箱本体2の底板21を、対象物を載置する載置面(机の天板、テーブル面)として用いてもよい。
また例えば、箱本体2の底面(底板21)から三角柱状の脚部270の頂点位置となる「折罫線272」までの距離x5と、フラップ部27の幅y5とをあえて大きく変えておき、設置する向きにより(すなわち、天面板31,底板21のいずれを載置面(机の天板、テーブル面)として用いるかにより)机の高さを変えられるようにしてもよい。
【0061】
また、梱包箱1内に梱包される梱包対象物Obは図示例のような楽器に限定されない。例えばノートパソコン等の電子機器を梱包し、電子機器を取り出した後は、机(載置台)に変形させた梱包箱1を、電子機器を操作する作業台として使用してもよい。
さらに、梱包箱1を変形させた机(載置台)は、梱包箱1に収容されていた梱包対象物Obの載置台以外の用途で用いられてもよい。
例えば梱包箱1を変形させた机(載置台)を自分用の食卓や勉強机等として用いてもよい。
【0062】
その他、本発明が上記各実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【0063】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
梱包箱としての第1の使用態様において物品を内部に配置するための開口部と、机としての第2の使用態様において前記机の脚部として機能させるために前記開口部の内側に向けて折り曲げ可能な第1部材と、を含む箱本体と、
前記第1の使用態様においては前記開口部を覆う蓋体であって、前記第2の使用態様においては前記開口部を覆わずに前記折り曲げられた前記第1部材の一端に接して前記机の天板として機能する蓋体と、
を備える梱包箱。
<請求項2>
前記蓋体は、前記第2の使用態様において前記第1部材が前記折り曲げられた状態から前記折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力に対抗する規制部として機能する第2部材を含む、
請求項1に記載の梱包箱。
<請求項3>
前記第2の使用態様では、前記第1部材の他端が接地面に接地する、
請求項1又は請求項2に記載の梱包箱。
<請求項4>
前記箱本体は、第1側面と、前記第1側面に対向する第2側面と、第3側面と、前記第3側面に対向する第4側面と、を含み、
前記第1部材は、少なくとも前記第3側面及び前記第4側面のいずれかに連接されている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の梱包箱。
<請求項5>
前記第1部材は、前記箱本体の第3側面に連接される第1のフラップ部と、前記箱本体の第4側面に連接される第2のフラップ部と、を含み、
前記第2の使用態様において規制部として機能する第2部材は、前記蓋体の内側に設けられ、前記第2の使用態様において、前記第1のフラップ部と第2のフラップ部の間に配置される、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の梱包箱。
<請求項6>
前記第1部材は、第1面と、前記第2の使用態様において折罫線に沿って山型に折り曲げられることで前記箱本体の内側に向って傾斜する第2面とを有し、
前記第2の使用態様において前記第1部材が前記折り曲げられた状態から前記折り曲げられる前の状態に戻ろうとする力に対抗する規制部は、前記第1面と前記第2面の間の二面角に対応する傾斜部を有している、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の梱包箱。
<請求項7>
前記第2の使用態様において、前記脚部の前後方向の長さは、前記蓋体の前後方向の長さより短い、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の梱包箱。
<請求項8>
前記第1部材の自由端側には第1の挿入舌片が設けられており、
前記箱本体は、前記第1の挿入舌片を受け入れる第1の受入れ部が設けられている、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の梱包箱。
<請求項9>
前記第2の使用態様において規制部として機能する第2部材は、一端が前記蓋体の天面内側に固定され、前記第2部材の自由端側には第2の挿入舌片が設けられており、
前記蓋体の天面内側には、前記第2の挿入舌片を受け入れる第2の受入れ部が設けられている、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の梱包箱。
<請求項10>
前記第1部材は、前記箱本体の外寸と同等の幅に形成された幅広部と、前記箱本体の内寸と同等の幅に形成され前記第2の使用態様において前記箱本体内に配置される幅狭部と、を有し、
前記幅狭部から前記幅広部に切り替わる段部が、前記第2の使用態様において前記箱本体の開口部端面に係止される、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の梱包箱。
【符号の説明】
【0064】
1 梱包箱
2 箱本体
3 蓋体
21 底板
27 フラップ部
31 天面板
35 蓋側フラップ部
270 脚部
350 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12