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特許7647712軒先部材、建築物、および屋根の軒先の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】軒先部材、建築物、および屋根の軒先の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20250311BHJP
   E04D 13/158 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
E04D13/15 501D
E04D13/158 501J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022145596
(22)【出願日】2022-09-13
(65)【公開番号】P2024040933
(43)【公開日】2024-03-26
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】原山 幸治
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-256504(JP,A)
【文献】特開2015-068093(JP,A)
【文献】特開2006-207202(JP,A)
【文献】特開2003-147921(JP,A)
【文献】実開昭63-98920(JP,U)
【文献】実開昭53-120422(JP,U)
【文献】特開2008-303556(JP,A)
【文献】実開平5-3444(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D13/15、13/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野地板と、複数の垂木とを備える屋根の軒先に配置される軒先部材であって、
前記野地板の端部および前記複数の前記垂木の端面を覆う本体部と、
前記本体部から前記屋根の勾配方向に沿って延びて前記垂木および前記野地板に接触し、前記本体部の位置を調整する調整部と、を備え
前記調整部は、
前記野地板の上面に接触する第1調整部と、
前記垂木の下面に接触する第2調整部と、を備え、
前記軒先部材は、前記垂木の端面に接触しないように前記垂木の端面と前記本体部との間に空間が設けられ、かつ、前記野地板の端面に接触しないように前記野地板の端面と前記本体部との間に空間が設けられるように配置される
軒先部材。
【請求項2】
前記調整部は、前記垂木に取り付けられる取付部を備え、
前記取付部は、仮固定孔を有し、
前記仮固定孔は、前記勾配方向に延びる長孔である
請求項1に記載の軒先部材。
【請求項3】
前記取付部は、前記仮固定孔とは異なる固定孔を有する
請求項に記載の軒先部材。
【請求項4】
前記固定孔は、正円であり、
前記固定孔は、前記勾配方向において前記仮固定孔と並ぶように配置される
請求項に記載の軒先部材。
【請求項5】
前記本体部は、前記野地板の端部の端面を覆う水切り部を備え、
前記水切り部は、前記野地板の端面に対向する第1水切りと、前記第1水切りから下方に延びる第2水切りと、を有する
請求項1に記載の軒先部材。
【請求項6】
前記本体部は、前記垂木の端面を覆う鼻隠し部を備える
請求項1に記載の軒先部材。
【請求項7】
前記調整部は、前記本体部と一体形成される
請求項1に記載の軒先部材。
【請求項8】
前記屋根を有する建築物であって、
請求項1からのいずれか一項に記載の軒先部材を備える
建築物。
【請求項9】
水平梁に掛けられる複数の垂木と、野地板と、軒先部材と、を備える屋根の軒先の施工方法であって、
前記軒先部材は、
前記野地板の端部および前記複数の前記垂木の端面を覆う本体部と、
前記本体部から前記屋根の勾配方向に沿って延びる調整部と、を備え、
前記調整部は、
前記野地板の上面に接触する第1調整部と、
前記垂木の下面に接触する第2調整部と、を備え、
前記第1調整部を前記勾配方向において前記野地板に沿って移動させ、前記第2調整部を前記勾配方向において前記垂木に沿って移動させることによって、前記垂木の端面に接触しないように前記垂木の端面と前記本体部との間に空間が設けられ、前記野地板の端面に接触しないように前記野地板の端面と前記本体部との間に空間が設けられ、かつ、前記本体部が前記水平梁と平行に配置されるように、前記軒先部材を位置調整る工程を含む
屋根の軒先の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軒先部材、建築物、および屋根の軒先の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軒先に配置される軒先部材が知られている(例えば、特許文献1)。一例として、特許文献1に示される軒先部材(同文献では、軒先カバー)は、破風部と、水切り部と、剛性保持部が一体に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平05-081427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで屋根の施工時、野地板および垂木の寸法のばらつきによって、軒先において、野地板の端部または垂木の端面が揃わないことがある。この場合、軒先部材を垂木に直交するように配置し難い。このように、野地板および垂木の寸法にばらつきがあると、軒先部材を適切な位置に設けることが難い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する軒先部材は、野地板と垂木とを備える屋根の軒先に配置される軒先部材であって、前記野地板の端部および前記垂木の端面を覆う本体部と、前記本体部から前記屋根の勾配方向に延びて前記垂木および前記野地板の少なくとも1つに接触し、前記本体部の位置を調整する調整部と、を備える。この構成によれば、調整部によって本体部の位置を調整できるため、軒先部材を適切な位置に配置し易い。
【0006】
(2)上記(1)に記載の軒先部材において、前記調整部は、前記野地板の上面に接触する第1調整部と、前記垂木の下面に接触する第2調整部と、を備える。この構成によれば、調整部が野地板の上面および垂木の下面に接するため、屋根の勾配方向に沿って調整部を移動させ易い。屋根の勾配方向に沿って調整部を移動させることによって、軒先部材が垂木と直交するように軒先部材の位置を調整できる。
【0007】
(3)上記(1)または(2)に記載の軒先部材において、前記調整部は、前記垂木に取り付けられる取付部を備え、前記取付部は、仮固定孔を有し、前記仮固定孔は、前記勾配方向に延びる長孔である。
【0008】
この構成によれば、仮固定孔に支持具が打ち込まれることによって、軒先部材を野地板および垂木の少なくとも1つに取り付けできる。支持具は、例えば釘、ビス等である。仮固定孔は屋根の勾配方向に延びる長孔であるため、仮固定孔に支持具が打ち込まれた後であっても、本体部の位置を微調整できる。
【0009】
(4)上記(3)に記載の軒先部材において、前記取付部は、前記仮固定孔とは異なる固定孔を有する。この構成によれば、固定孔に支持具が打ち込まれることによって、軒先部材を野地板および垂木の少なくとも1つに取り付けできる。仮固定孔に支持具が打ち込まれて本体部の位置を微調整した後に、固定孔に支持具が打ち込まれることによって、将来に軒先部材が位置ずれすることを抑制できる。
【0010】
(5)上記(4)に記載の軒先部材において、前記固定孔は、正円であり、前記固定孔は、前記勾配方向において前記仮固定孔と並ぶように配置される。この構成によれば、固定孔が正円のため、固定孔に打ち込まれる支持具によって、軒先部材の位置ずれが抑制され易い。また、固定孔が仮固定孔と勾配方向に並ぶため、固定孔に打ち込まれる支持具が、仮固定孔に打ち込まれる支持具と勾配方向に並んで配置される。このため、固定孔に打ち込まれる支持具を、仮固定孔に打ち込まれる支持具が配置される部材と同じ部材に配置しやすい。
【0011】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の軒先部材において、前記本体部は、前記野地板の端部の端面を覆う水切り部を備え、前記水切り部は、前記野地板の端面に対向する第1水切りと、前記第1水切りから下方に延びる第2水切りと、を有する。
【0012】
この構成によれば、水切り部が野地板の端部の端面を覆うため、水が野地板に触れにくい。このため、雨等による野地板の劣化を遅らせることができる。また、第1水切りが野地板の端面に対向し、かつ、第2水切りが第1水切りから下方に延びるため、水切り部の上を流れる水を屋根から排出し易い。
【0013】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の軒先部材において、前記本体部は、前記垂木の端面を覆う鼻隠し部を備える。この構成によれば、鼻隠し部が垂木の端面を覆うため、垂木の端面を保護できる。
【0014】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の軒先部材において、前記調整部は、前記本体部と一体形成される。この構成によれば、本体部と調整部とが一体形成されるため、製造効率を向上できる。
【0015】
(9)上記課題を解決する建築物は、前記屋根を有する建築物であって、(1)から(8)のいずれか1つに記載の軒先部材を備える。この構成によれば、調整部によって本体部の位置を調整することで軒先部材を適切な位置に配置できるため、屋根の軒先を、簡単に施工できる。
【0016】
(10)上記課題を解決する屋根の軒先の施工方法は、水平梁に掛けられる垂木と、野地板と、軒先部材と、を備える屋根の軒先の施工方法であって、前記軒先部材は、前記野地板の端部および前記垂木の端面を覆う本体部と、前記本体部から前記屋根の勾配方向に延びる調整部と、を備え、前記調整部が前記勾配方向において前記野地板および前記垂木の少なくとも1つに沿って移動されることによって、前記本体部が、前記水平梁と平行に配置されるように位置調整される工程を含む。この構成によれば、調整部によって本体部の位置を調整できるため、本体部が水平梁と平行になるように軒先部材を配置し易い。
【発明の効果】
【0017】
本開示の軒先部材、建築物、および屋根の軒先の施工方法によれば、軒先部材を適切な位置に配置し易い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】軒先部材を備える建築物の屋根を示す模式図である。
図2】実施形態に係る軒先部材が配置された軒先の断面図である。
図3】軒先部材の調整部の模式図である。
図4】実施形態に係る軒先部材の斜視図である。
図5】屋根の軒先の施工方法における第1模式図である。
図6】屋根の軒先の施工方法における第2模式図である。
図7】第1変形例に係る軒先部材が配置された軒先の断面図である。
図8】第2変形例に係る軒先部材が配置された軒先の断面図である。
図9】第3変形例に係る軒先部材が配置された軒先の断面図である。
図10】第4変形例に係る軒先部材が配置された軒先の断面図である。
図11】従来の軒先部材が配置された軒先の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
図1から図6を参照して、実施形態に係る軒先部材10、建築物1、および屋根2の軒先5の施工方法を説明する。
【0020】
<軒先部材>
図1および図2に示されるように、建築物1は、屋根2を有する。建築物1の一例として、住宅、一戸建てのオフィス、医療施設等が挙げられる。屋根2の一例として、寄棟屋根、切妻屋根、片流れ屋根等が挙げられる。本実施形態では、寄棟屋根を有する住宅を例に挙げる。建築物1は、軒先部材10を備える。屋根2は、垂木3と、野地板4と、軒先部材10と、を備える。図5に示されるように、垂木3は、水平梁6に掛けられる。水平梁6は、例えば、梁または桁である。平面視において、水平梁6が第1方向D1に延び、かつ、垂木3が第2方向D2に延びる。第2方向D2は、第1方向D1に直交する。軒先部材10は、垂木3と野地板4とを備える屋根2の軒先5に配置される。
【0021】
図4に示されるように、複数の垂木3が、第1方向D1に並ぶ。複数の垂木3の数は、第1方向D1における屋根2の長さに応じて設定される。野地板4は、垂木3の上面に取り付けられる。図1および図2に示されるように、野地板4の上面4Bには、屋根材2Aが取り付けられる。軒先部材10の素材は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金である。軒先部材10は、アルミ引き抜き加工またはアルミ押し出し加工によって形成される。軒先部材10がアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成される場合、軒先部材10を鉄製の軒先部材40よりも軽量化できるため、運搬、施工等が容易に行える。
【0022】
<本体部>
図2および図4に示されるように、軒先部材10は、本体部11と、調整部20と、を備える。本体部11は、野地板4の端部4Aおよび垂木3の端面3Aを覆う。本体部11は、単一の部材として構成される。本体部11は、第1方向D1に並ぶ複数の垂木3の端面3Aを覆うように第1方向D1に延びる。第1方向D1における本体部11の長さは、屋根2の第1方向D1における長さ、軒先部材10の重量等に応じて設定される。本体部11によって端面3Aが覆われる垂木3の数は、第1方向D1における本体部11の長さに応じて設定される。
【0023】
図2の例では、第1方向D1に見て、垂木3の端面3Aと本体部11との間に空間が設けられるように、軒先部材10が配置される。図2は、複数の垂木3のうち、1つの垂木3と本体部11との位置関係を示す一例である。つまり、複数の垂木3には、端面3Aと本体部11との間に空間が設けられる垂木3と、端面3Aと本体部11とが接触する垂木3と、があってもよい。
【0024】
図2の例では、第1方向D1に見て、野地板4の端部4Aの下面が本体部11に接触し、かつ、野地板4の端面4Cと本体部11との間に空間が設けられるように、軒先部材10が配置される。図2の断面図では、野地板4の端部4Aの下面が本体部11に接触しているが、第1方向D1における図2とは異なる位置の断面図では、野地板4の端部4Aの下面が本体部11に接触しなくてもよい。あるいは、第1方向D1における図2とは異なる位置の断面図では、野地板4の端面4Cが本体部11に接触してもよい。
【0025】
<広小舞部>
本体部11は、例えば、野地板4の端部4Aの上面4Bの少なくとも一部を覆う広小舞部12を備える。広小舞部12は、野地板4の端部4Aの上面4Bとの間に空間が設けられるように配置される。図1および図2に示されるように、広小舞部12には、野地板4の上に取り付けられる屋根材2Aが重ねられる。
【0026】
<水切り部>
図2に示されるように、本体部11は、例えば、水切り部13を備える。水切り部13は、広小舞部12から連続して形成される。水切り部13は、野地板4の端部4Aの端面4Cを覆う。水切り部13は、第1水切り13Aと、第2水切り13Bと、を有する。第1水切り13Aは、野地板4の端面4Cに対向する。第2水切り13Bは、第1水切り13Aから下方に延びる。第1水切り13Aおよび第2水切り13Bは、勾配方向DSに直交する方向において野地板4と重ならないように配置される。
【0027】
第1水切り13Aは、野地板4の端面4Cを水濡れから保護するための部材である。第1水切り13Aは、広小舞部12から連続して形成される。第1水切り13Aは、野地板4の端面4Cに対向するように配置されることによって、野地板4の端面4Cを覆う。第1水切り13Aは、さらに野地板4の端部4Aの上面4Bを覆ってもよい。第2水切り13Bは、雨等による水を軒先5から樋5Aに流すための部材である。第2水切り13Bは、第1水切り13Aから連続して形成される。第2水切り13Bは、勾配方向DSに沿って、傾斜するように配置される。水切り部13は、第1水切り13Aから連続して形成される第3水切り13Cを有する。第3水切り13Cは、野地板4の端部4Aの下面を水濡れから保護するための部材である。
【0028】
<鼻隠し部>
本体部11は、例えば、鼻隠し部14を備える。本実施形態の鼻隠し部14は、上下方向に延びるように、第3水切り13Cから連続して形成される。鼻隠し部14は、垂木3の端面3Aを覆う。鼻隠し部14は、鼻隠し板14Aを有する。鼻隠し板14Aは、上下方向に延び、かつ、第1方向D1に並ぶ複数の垂木3の端面3Aに対向するように第1方向D1延びる。鼻隠し板14Aには、樋5Aが取り付け可能に構成されてもよい。
【0029】
鼻隠し部14は、天井支持部14Bを備える。天井支持部14Bは、天井部7の端部を下から目隠しするように、天井部7の端部を支持する。天井部7は、例えば建築物1の外壁の一部を構成するサイディングである。天井支持部14Bは、鼻隠し板14Aの下端から連続して、第2方向D2とは反対の方向に延びる。
【0030】
<調整部>
調整部20は、垂木3および野地板4の少なくとも1つに接触し、本体部11の位置を調整する。調整部20は、本体部11と一体形成される。調整部20は、軒先部材10が固定されていない状態において、垂木3および野地板4の少なくとも1つに対して移動することによって、本体部11の位置を調整する。
【0031】
調整部20は、本体部11から屋根2の勾配方向DSに沿って延びる。勾配方向DSにおける調整部20の寸法L1は、調整部20の第1端20Aから調整部20の第2端20Bまでの寸法として定義される。調整部20の寸法L1は、例えば100mm以上、かつ、200mm以下である。調整部20は、例えば、第1調整部21と、第2調整部22と、を備える。第1調整部21および第2調整部22は、それぞれ上下方向において平行に配置される。
【0032】
第1調整部21は、野地板4の上面4Bに接触する。第1調整部21は、屋根2の勾配方向DSに沿って広小舞部12から連続して延びる。例えば、第1調整部21は、板状部材を有する。第1調整部21の板状部材は、野地板4の端部4Aの上面4Bに接触する。軒先部材10が固定されていない状態において、第1調整部21の板状部材は、野地板4の上面4Bをスライド可能に構成される。
【0033】
第2調整部22は、垂木3の下面3Bに接触する。第2調整部22は、屋根2の勾配方向DSに沿って鼻隠し部14から連続して延びる。例えば、第2調整部22は、板状部材を有する。第2調整部22の板状部材は、垂木3の下面3Bに接触する。軒先部材10が固定されていない状態において、第2調整部22の板状部材は、垂木3の下面3Bをスライド可能に構成される。
【0034】
図2および図3に示されるように、調整部20は、垂木3に取り付けられる取付部23を備える。取付部23は、第1調整部21および第2調整部22の両方に設けられる。取付部23は、第1調整部21および第2調整部22の一方のみに設けられてもよい。取付部23は、第1方向D1において、垂木3と重なるように配置される。取付部23は、仮固定孔24を有する。取付部23は、仮固定孔24とは異なる固定孔25を有する。仮固定孔24は、勾配方向DSに延びる長孔である。固定孔25は正円である。
【0035】
仮固定孔24および固定孔25は、調整部20に設けられる貫通孔である。固定孔25は、屋根2の勾配方向DSにおいて仮固定孔24と並ぶように配置される。仮固定孔24および固定孔25の両方が上下方向において垂木3に重なっていればよく、固定孔25は、必ずしも屋根2の勾配方向DSにおいて仮固定孔24と並ばなくてもよい。
【0036】
仮固定孔24および固定孔25に支持具30が打ち込まれることによって、調整部20が垂木3に取り付けられる。支持具30は、例えばビス、釘等である。このように、調整部20が垂木3に取り付けられることによって軒先部材10が固定され、軒先5における軒先部材10の位置が決められる。
【0037】
図4に示されるように、複数の仮固定孔24が、第1方向D1に並ぶ。複数の固定孔25が、第1方向D1に並ぶ。複数の仮固定孔24のそれぞれは、その仮固定孔24に近い固定孔25と、勾配方向DSに並ぶ。複数の仮固定孔24は、第1方向D1に並ぶ複数の垂木3に重なるように配置される。また、同様に、複数の固定孔25は、第1方向D1に並ぶ複数の垂木3に重なるように配置される。
【0038】
勾配方向DSにおける仮固定孔24の長さ(以下、勾配長R1)、および、固定孔25の直径R2は、支持具30の寸法に応じて設定できる。一例では、仮固定孔24の勾配長R1は、20mmである。固定孔25の直径R2は、10mmである。仮固定孔24の勾配長R1が大きい程、支持具30が仮固定孔24に打ち込まれた後に、本体部11の位置を微調整できる範囲が大きくなる。
【0039】
調整部20の第1端20Aから仮固定孔24の第1端24Aまでの寸法を寸法L2と定義する。仮固定孔24の第2端24Bから固定孔25の第1端25Aまでの寸法を寸法L3と定義する。固定孔25の第2端25Bから調整部20の第2端20Bまでの寸法を寸法L4と定義する。寸法L2、寸法L3、および寸法L4は、垂木3の強度、調整部20を位置調整させる範囲等に応じて設定できる。勾配方向DSにおける調整部20の長さである寸法L1は、勾配長R1、直径R2、寸法L2、寸法L3、および寸法L4に応じて設定できる。一例では、寸法L2は、10mmである。寸法L3は、50mmである。寸法L4は、15mmである。
【0040】
仮固定孔24は、例えば、後述の第1取付部23Aの第1貫通孔24Xと、後述の第2取付部23Bの第3貫通孔24Yと、を含む。一例では、第1貫通孔24Xおよび第3貫通孔24Yは、勾配方向DSにおける長さが勾配長R1の長孔である。固定孔25は、例えば、後述の第1取付部23Aの第2貫通孔25Xと、後述の第2取付部23Bの第4貫通孔25Yと、を含む。一例では、第2貫通孔25Xおよび第4貫通孔25Yは、直径が直径R2の正円である。
【0041】
取付部23は、例えば、第1取付部23Aと、第2取付部23Bと、を備える。本実施形態では、第1取付部23Aが第1調整部21に設けられ、かつ、第2取付部23Bが第2調整部22に設けられる。第1取付部23Aは、仮固定孔24としての第1貫通孔24Xと、固定孔25としての第2貫通孔25Xと、を有する。第2貫通孔25Xは、屋根2の勾配方向DSにおいて第1貫通孔24Xと並ぶように配置される。第2取付部23Bは、仮固定孔24としての第3貫通孔24Yと、固定孔25としての第4貫通孔25Yと、を有する。第4貫通孔25Yは、屋根2の勾配方向DSにおいて第3貫通孔24Yと並ぶように配置される。
【0042】
図4に示されるように、本実施形態では、第1調整部21に第1貫通孔24Xおよび第2貫通孔25Xが形成され、かつ、第2調整部22に第3貫通孔24Yおよび第4貫通孔25Yが形成される。第1方向D1において、第1調整部21の第1貫通孔24Xの位置は、第2調整部22の第3貫通孔24Yの位置と等しい。第1方向D1において、第1調整部21の第2貫通孔25Xの位置は、第2調整部22の第4貫通孔25Yの位置と等しい。
【0043】
<施工方法>
図4から図6を参照して、実施形態に係る屋根2の軒先5の施工方法を説明する。図5および図6は、屋根2の施工途中における屋根2の平面図である。図5および図6において、垂木3を見やすくするため、野地板4は2点鎖線で記載されている。
【0044】
施工方法は、次のような工程を含む。工程では、調整部20が勾配方向DSにおいて野地板4および垂木3の少なくとも一方に沿って移動することによって、本体部11が、水平梁6と平行に配置されるように位置調整される。本実施形態では、第1調整部21が野地板4に沿って移動し、かつ、第2調整部22が垂木3に沿って移動する。
【0045】
一例では、施工方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、第5工程と、を含む。
第1工程は、軒先部材10が軒先5に配置される工程である。第1工程において、第1方向D1における取付部23の位置が、第1方向D1に並ぶ複数の垂木3の位置に合うように、軒先部材10が軒先5に配置される。図5のように取付部23が、垂木3に合わせられた後、軒先部材10が勾配方向DSとは反対の方向に移動させられることによって、軒先部材10が軒先5に配置される。第1工程では、軒先部材10が軒先5に配置された後に、調整部20が第1方向D1に沿って移動させられることによって、取付部23が、垂木3の位置に合わせられてもよい。
【0046】
第2工程は、調整部20によって本体部11の位置が調整される工程である。
第2工程において、調整部20が勾配方向DSに野地板4および垂木3に沿って移動されることによって、鼻隠し部14が第1方向D1に沿う線と平行に配置されるように、本体部11が位置調整される。このように鼻隠し部14が第1方向D1に沿う線と平行に配置されるため、本体部11が水平梁6と平行に配置される。
【0047】
第3工程は、第1取付部23Aによって軒先部材10が仮固定される工程である。
第3工程において、第1取付部23Aの第1貫通孔24Xに支持具30が打ち込まれ、調整部20の移動が規制されることによって、第2工程において配置された位置に、本体部11が仮固定される。第1貫通孔24Xが長孔であるので、第1貫通孔24Xに支持具30が打ち込まれた状態であっても、調整部20は第1貫通孔24Xの勾配長R1の長さに応じて移動できる。第1方向D1に並ぶ複数の第1貫通孔24Xに支持具30が打ち込まれた状態において、本体部11が位置調整されることによって、本体部11の位置が微調整される。
【0048】
第4工程は、第1取付部23Aによって軒先部材10が固定される工程である。
第4工程において、第1取付部23Aの第2貫通孔25Xに支持具30が打ち込まれることによって、調整部20が垂木3に固定される。調整部20が垂木3に固定されることによって軒先部材10が固定される。
【0049】
第5工程は、第2取付部23Bが垂木3に固定される工程である。
第5工程において、第2取付部23Bの第3貫通孔24Yおよび第4貫通孔25Yに支持具30が打ち込まれることによって、第2取付部23Bが垂木3に固定される。第1取付部23Aに加えて、さらに第2取付部23Bが垂木3に取り付けられるため、調整部20が上下方向に垂木3を挟み込むように取り付けられる。このため、軒先部材10を安定して配置できる。
【0050】
本実施形態の第1の作用を説明する。
実施形態の軒先部材10は、軒先部材10が固定されていない状態において、勾配方向DSに移動できる調整部20を備える。調整部20が垂木3の下面3Bまたは野地板4の上面4Bをスライドすることによって移動するため、第2工程において、調整部20が勾配方向DSに滑らかに移動できる。調整部20が、垂木3の下面3Bまたは野地板4の上面4Bをスライドするため、本体部11の第2方向D2における位置を調整できる。調整部20が野地板4および垂木3に取り付けられることによって、本体部11が垂木3の端面3Aから離れて配置されるため、複数の垂木3の端面3Aの位置に関わらず、軒先部材10を水平梁6と平行に配置できる。
【0051】
本実施形態の第2の作用を説明する。
調整部20は、取付部23を備える。取付部23は、仮固定孔24および固定孔25を有する。取付部23によって、第3工程において本体部11が仮固定されて本体部11の位置が微調整された後に、第4工程において調整部20が垂木3に固定されるため、軒先部材10を精度良く配置できる。第3工程において本体部11の位置を微調整できるため、第2工程における軒先部材10の配置の精度によらず、精度よく軒先部材10を配置できる。
【0052】
本実施形態の第3の作用を説明する。
図11に示すように、従来の軒先部材40は、それぞれ独立した複数の部材として、広小舞41、2つの水切り42、鼻隠し43、および軒先母屋44を備える。従来の軒先部材40を施工するためには、複数の部材をそれぞれ配置する工程が必要であった。実施形態の軒先部材10は、異なる機能を有する部材が本体部11として一体に形成される。さらに調整部20が本体部11と一体に形成されるため、調整部20が垂木3に取り付けられることによって、本体部11が軒先5に配置される。したがって、軒先部材10は、従来の軒先部材40よりも屋根2の軒先5を施工する工程が少ないため、従来の軒先部材40よりも短時間で施工できる。また、本体部11が単一の部材で構成されるため、複数の部材から構成される従来の軒先部材40よりも、施工時の誤差が起きにくい。
【0053】
本実施形態の効果を説明する。
(1)軒先部材10は、野地板4の端部4Aおよび垂木3の端面3Aを覆う本体部11と、本体部11の位置を調整する調整部20と、を備える。調整部20は、本体部11から屋根2の勾配方向DSに沿って延びて垂木3および野地板4の少なくとも1つに接触する。
【0054】
この構成によれば、調整部20によって本体部11の位置を調整できるため、軒先部材10を適切な位置に配置し易い。本体部11が水平梁6と平行になるように本体部11の位置を調整することによって、軒先部材10を適切な位置に配置できる。
【0055】
(2)調整部20は、野地板4の上面4Bに接触する第1調整部21と、垂木3の下面3Bに接触する第2調整部22と、を備える。この構成によれば、調整部20が野地板4の上面4Bおよび垂木3の下面3Bに接するため、屋根2の勾配方向DSに沿って調整部20を移動させ易い。屋根2の勾配方向DSに沿って調整部20を移動させることによって、軒先部材10が垂木3と直交するように軒先部材10の位置を調整できる。
【0056】
(3)調整部20は、垂木3に取り付けられる取付部23を備える。取付部23は、仮固定孔24を有する。仮固定孔24は、屋根2の勾配方向DSに延びる長孔である。この構成によれば、仮固定孔24に支持具30が打ち込まれることによって、軒先部材10を野地板4および垂木3の少なくとも1つに取り付けできる。仮固定孔24は屋根2の勾配方向DSに延びる長孔であるので、仮固定孔24に支持具30が打ち込まれた後であっても、本体部11の位置を微調整できる。
【0057】
(4)取付部23は、仮固定孔24とは異なる固定孔25を有する。この構成によれば、固定孔25に支持具30が打ち込まれることによって、軒先部材10を野地板4および垂木3の少なくとも1つに取り付けできる。仮固定孔24に支持具30が打ち込まれて本体部11の位置を微調整した後に、固定孔25に支持具30が打ち込まれることによって、将来的に軒先部材10が位置ずれすることを抑制できる。
【0058】
(5)固定孔25は、正円である。固定孔25は、屋根2の勾配方向DSにおいて仮固定孔24と並ぶように配置される。この構成によれば、固定孔25が正円であるので、固定孔25に打ち込まれる支持具30によって、軒先部材10の位置ずれが抑制され易い。また、固定孔25が仮固定孔24と屋根2の勾配方向DSに並ぶため、固定孔25に打ち込まれる支持具30が、仮固定孔24に打ち込まれる支持具30と屋根2の勾配方向DSに並んで配置される。このため、固定孔25に打ち込まれる支持具30を、仮固定孔24に打ち込まれる支持具30が配置される部材と同じ部材に配置しやすい。仮固定孔24に打ち込まれる支持具30が配置される部材は、例えば垂木3である。
【0059】
(6)本体部11は、野地板4の端部4Aの端面4Cを覆う水切り部13を備える。水切り部13は、野地板4の端面4Cに対向する第1水切り13Aと、第1水切り13Aから下方に延びる第2水切り13Bと、を有する。
【0060】
この構成によれば、水切り部13が野地板4の端部4Aの端面4Cを覆うため、水が野地板4に触れにくい。このため、雨等による野地板4の劣化を遅らせることができる。また、第1水切り13Aが野地板4の端面4Cに対向し、かつ、第2水切り13Bが第1水切り13Aから下方に延びるため、水切り部13の上を流れる水を屋根2から排出し易い。
【0061】
(7)本体部11は、垂木3の端面3Aを覆う鼻隠し部14を備える。この構成によれば、鼻隠し部14が垂木3の端面3Aを覆うため、垂木3の端面3Aを保護できる。このため、雨等による垂木3の劣化を遅らせることができる。
【0062】
(8)調整部20は、本体部11と一体形成される。この構成によれば、本体部11がアルミ引き抜き加工またはアルミ押し出し加工によって形成する際に、調整部20も同時に形成できる。このように、本体部11と調整部20とが一体形成されるため、製造効率を効率化できる。
【0063】
(9)屋根2を有する建築物1であって、(1)から(8)のいずれか1つに記載の軒先部材10を備える。この構成によれば、調整部20によって本体部11の位置を調整することで軒先部材10を適切な位置に配置できるため、屋根2の軒先5を、簡単に施工できる。
【0064】
(10)屋根2の軒先5の施工方法であって、調整部20が勾配方向DSにおいて野地板4および垂木3の少なくとも一つに沿って移動されることによって、本体部11が、水平梁6と平行に配置されるように位置調整される工程を含む。この構成によれば、調整部20によって本体部11の位置を調整できるため、本体部11が水平梁6と平行になるように軒先部材10を配置し易い。
【0065】
<変形例>
上記実施形態は、軒先部材10、建築物1、および屋根2の軒先5の施工方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。軒先部材10、建築物1、および屋根2の軒先5の施工方法は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0066】
(1)図7を参照して、第1変形例に係る軒先部材10を説明する。
鼻隠し部14の鼻隠し板14Aが、上下方向と平行に配置されなくてもよい。第1変形例の軒先部材10では、鼻隠し部14の鼻隠し板14Aが、上下方向に対して傾斜して配置される。図7の軒先部材10では、垂木3の端面3Aが、屋根2の勾配方向DSに直交するように設けられるため、鼻隠し部14の鼻隠し板14Aが、屋根2の勾配方向DSに直交するように配置される。
【0067】
(2)図8を参照して、第2変形例に係る軒先部材10を説明する。
図8の軒先部材10のように、本体部11が広小舞部12を含まなくてもよい。図8の例では、水切り部13が、第1調整部21から連続して形成される。第2変形例の軒先部材10において、広小舞部が本体部11とは別体に設けられ、本体部11は、本体部11とは別体に設けられる広小舞部を含んでもよい。
【0068】
(3)図9を参照して、第3変形例に係る軒先部材10を説明する。
図9の軒先部材10のように、調整部20が第2調整部22を含まなくてもよい。第3変形例の軒先部材10では、調整部20が、野地板4のみに接触する。
【0069】
(4)図10を参照して、第4変形例に係る軒先部材10を説明する。
図10の軒先部材10のように、水切り部13が、第3水切り13Cを含まなくてもよい。第4変形例の軒先部材10では、鼻隠し部14が、第1水切り13Aから上下方向に延びるように配置される。
【0070】
(5)調整部20が本体部11から屋根2の勾配方向DSに沿って延びて垂木3および野地板4の少なくとも1つに接触していれば、第1方向D1における調整部20の長さが、第1方向D1における本体部11の長さよりも短くてもよい。
【0071】
(6)調整部20が、本体部11と別体として構成されてもよい。調整部20である板状部材が、本体部11のうち、広小舞部12および鼻隠し部14に、ボルトおよびナットによって取り付けられてもよい。または、調整部20である板状部材が、本体部11のうち、広小舞部12および鼻隠し部14に、溶接によって取り付けられてもよい。
【0072】
(7)取付部23が、固定孔25を含まなくてもよい。この場合、軒先5の施工方法の第4工程において、調整部20のうち、垂木3に重なる部分に支持具30が打ち込まれ、調整部20が垂木3に固定されることによって本体部11が固定されてもよい。
【0073】
(8)軒先部材10は、第1方向D1に並ぶ複数の調整部20を有してもよい。複数の調整部20は、本体部11から屋根2の勾配方向DSに沿って延びて垂木3および野地板4の少なくとも1つに接触する。複数の調整部20の第1方向D1における長さは、第1方向D1における本体部11の長さよりも短くてもよい。
【0074】
(9)仮固定孔24は、第1貫通孔24Xおよび第3貫通孔24Yの一方のみを含んでもよい。この場合、仮固定孔24に含まれない第1貫通孔24Xおよび第3貫通孔24Yの他方は、仮固定孔24とは別に形成されてもよい。仮固定孔24とは別に形成される第1貫通孔24Xおよび第3貫通孔24Yの他方の形状は、仮固定孔24に含まれる第1貫通孔24Xおよび第3貫通孔24Yの一方の形状と異なっていてもよい。または、仮固定孔24に含まれない第1貫通孔24Xおよび第3貫通孔24Yの他方は、調整部20に設けられなくてもよい。
【0075】
(10)固定孔25は、第2貫通孔25Xおよび第4貫通孔25Yの一方のみを含んでもよい。この場合、固定孔25に含まれない第2貫通孔25Xおよび第4貫通孔25Yの他方は、固定孔25とは別に形成されてもよい。固定孔25とは別に形成される第2貫通孔25Xおよび第4貫通孔25Yの他方の形状は、固定孔25に含まれる第2貫通孔25Xおよび第4貫通孔25Yの一方の形状と異なっていてもよい。または、固定孔25に含まれない第2貫通孔25Xおよび第4貫通孔25Yの他方は、調整部20に設けられなくてもよい。
【0076】
(11)施工方法の第3工程が、第2取付部23Bによって軒先部材10が仮固定される工程であってもよい。この場合、第3工程において、第2取付部23Bの第3貫通孔24Yに支持具30が打ち込まれ、調整部20の移動が規制されることによって、第2工程において配置された位置に、本体部11が仮固定される。第4工程において、第2取付部23Bの第4貫通孔25Yに支持具30が打ち込まれることによって、調整部20が垂木3に固定される。第5工程において、第1取付部23Aの第1貫通孔24Xおよび第2貫通孔25Xに支持具30が打ち込まれることによって、第1取付部23Aが垂木3に固定される。
【0077】
本明細書には以下の技術が開示される。
[付記1]
野地板と垂木とを備える屋根の軒先に配置される軒先部材であって、前記野地板の端部および前記垂木の端面を覆う本体部と、前記本体部から前記屋根の勾配方向に沿って延びて前記垂木および前記野地板の少なくとも1つに接触し、前記本体部の位置を調整する調整部と、を備える軒先部材。
【0078】
[付記2]
前記調整部は、前記野地板の上面に接触する第1調整部と、前記垂木の下面に接触する第2調整部と、を備える付記1に記載の軒先部材。
【0079】
[付記3]
前記調整部は、前記垂木に取り付けられる取付部を備え、前記取付部は、仮固定孔を有し、前記仮固定孔は、前記勾配方向に延びる長孔である付記1または2に記載の軒先部材。
【0080】
[付記4]
前記取付部は、前記仮固定孔とは異なる固定孔を有する付記3に記載の軒先部材。
【0081】
[付記5]
前記固定孔は、正円であり、前記固定孔は、前記勾配方向において前記仮固定孔と並ぶように配置される付記4に記載の軒先部材。
【0082】
[付記6]
前記本体部は、前記野地板の端部の端面を覆う水切り部を備え、前記水切り部は、前記野地板の端面に対向する第1水切りと、前記第1水切りから下方に延びる第2水切りと、を有する付記1に記載の軒先部材。
【0083】
[付記7]
前記本体部は、前記垂木の端面を覆う鼻隠し部を備える付記1に記載の軒先部材。
【0084】
[付記8]
前記調整部は、前記本体部と一体形成される付記1に記載の軒先部材。
【0085】
[付記9]
前記屋根を有する建築物であって、付記1から8のいずれか一項に記載の軒先部材を備える建築物。
【0086】
[付記10]
水平梁に掛けられる垂木と、野地板と、軒先部材と、を備える屋根の軒先の施工方法であって、前記軒先部材は、前記野地板の端部および前記垂木の端面を覆う本体部と、前記本体部から前記屋根の勾配方向に沿って延びる調整部と、を備え、前記調整部が前記勾配方向において前記野地板および前記垂木の少なくとも1つに沿って移動されることによって、前記本体部が、前記水平梁と平行に配置されるように位置調整される工程を含む屋根の軒先の施工方法。
【符号の説明】
【0087】
1…建築物、2…屋根、3…垂木、4…野地板、5…軒先、6…水平梁、10…軒先部材、11…本体部、13…水切り部、13A…第1水切り、13B…第2水切り、14…鼻隠し部、20…調整部、21…第1調整部、22…第2調整部、23…取付部、24…仮固定孔、25…固定孔、40…軒先部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11