(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】ウェアラブルデバイス、および検出システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/256 20210101AFI20250311BHJP
A61B 5/273 20210101ALI20250311BHJP
A61B 5/296 20210101ALI20250311BHJP
【FI】
A61B5/256 100
A61B5/273
A61B5/296
(21)【出願番号】P 2022545640
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 JP2021029702
(87)【国際公開番号】W WO2022044820
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2020143862
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹川 諒
(72)【発明者】
【氏名】村田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】古田 雅史
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194853(WO,A1)
【文献】特開2013-081691(JP,A)
【文献】特開2019-201995(JP,A)
【文献】特開2011-005177(JP,A)
【文献】特開2018-042712(JP,A)
【文献】特開2014-018234(JP,A)
【文献】特開2017-108761(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0053766(US,A1)
【文献】特開2021-178058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/06-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の頭頸部に装着可能なウェアラブルデバイスであって、
基部と、
前記基部から延伸する第1アームと、
前記基部から延伸する第2アームと、
前記第1アームに沿って配置される配線と、
前記配線の一端に接続され、前記被験者が前記ウェアラブルデバイスを装着している状態で前記被験者に取付けられて前記被験者の身体データを検出するセンサと、
前記配線の他端に接続され、前記センサからの検出信号を処理する信号処理装置とを備え、
前記信号処理装置は、前記基部に取付けられ、
前記被験者が前記ウェアラブルデバイスを装着している状態で、前記基部は、前記被験者の後頭部に配置され、
前記配線は、前記第1アームの表面にかつ該第1アームの延伸方向に沿って保持され
、
前記ウェアラブルデバイスは、前記配線のうち前記第1アームから突出している部分の長さを調整可能であり、かつ前記第1アームに形成された調整部をさらに備える、ウェアラブルデバイス。
【請求項2】
前記第1アームの表面にかつ該第1アームの延伸方向に沿って溝部が形成されており、
前記配線は、前記溝部に配置されることにより保持される、請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項3】
前記第2アームに沿って配置される他の配線と、
前記他の配線の一端に接続され、前記被験者が前記ウェアラブルデバイスを装着している状態で前記被験者の身体に取付けられて前記被験者の身体データを検出するセンサとをさらに備え、
前記他の配線の他端は、前記信号処理装置に接続される、請求項1または請求項2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項4】
前記他の配線のうち前記第2アームから突出している部分の長さを調整可能であり、かつ前記第2アームに形成された調整部をさらに備える、
請求項3に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項5】
前記第1アームに形成された調整部は、
前記溝部と、
前記溝部に保持されている部分とは異なる前記配線の部分を、該配線の延伸方向において保持する保持部とを有し、
前記配線のうち前記第1アームから突出している部分の長さは、前記溝部と前記保持部との間で形成される前記配線の弛みに基づいて調整可能である、
請求項2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項6】
前記保持部は、前記配線が配置される溝部である、
請求項5に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項7】
前記溝部は、配置された前記配線を留めるための爪部を有する、請求項2に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項8】
前記第2アームに形成された調整部は、
前記他の配線を該他の配線の延伸方向において保持する第1保持部と、
前記第1保持部に保持されている部分とは異なる前記他の配線の部分を、該他の配線の延伸方向において保持する第2保持部とを有し、
前記他の配線のうち前記第2アームから突出している部分の長さは、前記第1保持部と前記第2保持部との間で形成される前記他の配線の弛みに基づいて調整可能である、
請求項4に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項9】
前記配線の一端に接続されたセンサは、前記被験者の筋電位を検出し、
前記ウェアラブルデバイスは、さらに、
前記第1アームに沿って配置され、前記配線とは別の配線と、
前記別の配線の一端に接続され、かつ前記被験者が前記ウェアラブルデバイスを装着している状態で前記被験者の身体に取付けられて基準電位を検出するセンサとを備え、
前記別の配線の他端は、前記信号処理装置に接続されている、請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記配線の一端に接続されているセンサと前記他の配線の一端に接続されているセンサとは、異なる種別の前記身体データを検出する、
請求項3に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項11】
前記第1アームと前記第2アームとは、前記基部を基準として線対称となる形状である、請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のウェアラブルデバイスと、
制御装置と、
表示装置とを備え、
前記信号処理装置は、
前記検出信号を処理することにより制御信号を生成し、
前記制御信号を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記制御信号に基づいた情報を前記表示装置に表示する、検出システム。
【請求項13】
前記信号処理装置は、前記制御信号を無線で前記制御装置に送信する、
請求項12に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルデバイス、および検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1では、被験者の顔の筋電位を検出して、この筋電位に基づいて、被験者の感情を推定するシステムが開示されている。このシステムは、据え置きの処理装置と、複数のセンサと、該処理装置と該複数のセンサとを接続する配線とを備える。
【0003】
このシステムでは、複数のセンサをパッドなどにより被験者の顔に取付けて、被験者の顔の筋電位を該センサにより検出する。センサは、該センサが検出した筋電位を示す筋電位信号を配線経由で処理装置に出力する。処理装置は、該筋電位信号に基づいて、被験者の感情を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske/advpub/0/advpub_TJSKE-D-17-00012/_pdf/-char/ja
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のシステムでは、被験者にセンサが取付けられた状態での被験者の位置の自由度を高めるために、長い配線が必要とされる。しかしながら、配線が長いことから、被験者の身体にセンサが取付けられる際に、配線がもつれたり、配線が他の物と干渉したりする。したがって、上述のシステムでは、被験者の身体に、センサを取付ける作業が煩雑であるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、センサの被験者の頭頸部への取付け性が向上したウェアラブルデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うウェアラブルデバイスは、被験者の頭頸部に装着可能である。ウェアラブルデバイスは、基部と、第1アームと、第2アームと、第1配線と、第1センサと、信号処理装置とを備える。第1アームは基部から延伸する。第2アームは基部から延伸する。第1配線は、第1アームに沿って配置される。第1センサは、第1配線の一端に接続され、被験者がウェアラブルデバイスを装着している状態で被験者に取付けられて被験者の身体データを検出する。信号処理装置は、第1配線の他端が接続され、第1センサからの検出信号を処理する。信号処理装置は、基部に取付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配線が第1アームに沿って延びる構成とすることで、被験者の頭頸部への取付け性が向上したウェアラブルデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】ウェアラブルデバイスを装着した被験者を斜め後ろから見た図である。
【
図3】ウェアラブルデバイスを装着した被験者を正面から見た図である。
【
図4】ウェアラブルデバイスを別の視点で見た図である。
【
図5】本実施の形態の検出システムのブロック図である。
【
図7】溝部に配線が配置された状態での左耳掛け部の拡大図である。
【
図8】第1アームの溝部などを概略的に示した図である。
【
図11】第2の実施の形態の検出システムの構成例を示す図である。
【
図12】第3の実施の形態の保持部である
管部の断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
<第1の実施の形態>
[ウェアラブルデバイスの構成]
図1は、ウェアラブルデバイス100を示す図である。
図1を参照して、ウェアラブルデバイス100は、基部130と、第1アーム111と、第2アーム112とを備える。基部130の両端から、第1アーム111と、第2アーム112とがそれぞれ延伸する。第1アーム111および第2アーム112の各々は、ウェアラブルデバイス100の装着状態において、被験者Aの頭部に沿うように、湾曲して延伸する形状を有する。
【0012】
第1アーム111および第2アーム112の先端は、略半円となるように延伸している。この略半円の弧の部分が被験者Aの耳に掛けられる。第1アーム111の先端には、被験者Aの左耳に掛けられる左耳掛け部121が形成される。第2アーム112の先端には、被験者Aの右耳に掛けられる右耳掛け部122が形成される。
【0013】
ウェアラブルデバイス100は、さらに、第1配線141、第2配線142、第3配線143、第4配線144、第5配線145、および第6配線146を備える。また、ウェアラブルデバイス100は、第1配線141~第6配線146にそれぞれ対応して接続された、第1センサ101、第2センサ102、第3センサ103、第4センサ104、第5センサ105、および第6センサ106を備える。
【0014】
第1センサ101は、第1電極パッド151に内蔵されている。第2センサ102は、第2電極パッド152に内蔵されている。第3センサ103は、第3電極パッド153に内蔵されている。第4センサ104は、第4電極パッド154に内蔵されている。第5センサ105は、第5電極パッド155に内蔵されている。第6センサ106は、第6電極パッド156に内蔵されている。
【0015】
ウェアラブルデバイス100の装着状態において、第1センサ101、第2センサ102、第3センサ103、第4センサ104、第5センサ105、および第6センサ106は、それぞれ、第1電極パッド151、第2電極パッド152、第3電極パッド153、第4電極パッド154、第5電極パッド155、および第6電極パッド156を介して、被験者の頭部に取付けられる。
【0016】
第1アーム111に沿って、第1配線141、第2配線142、および第3配線143が配置されている。後述するように、第1配線141、第2配線142、および第3配線143は、第1アーム111に形成された溝部に配置されている。第1配線141の一端141Aには、第1センサ101が接続されている。第2配線142の一端142Aには、第2センサ102が接続されている。第3配線143の一端143Aには、第3センサ103が接続されている。
【0017】
第2アーム112に沿って、第4配線144、第5配線145、および第6配線146が配置されている。後述するように、第4配線144、第5配線145、および第6配線146は、第2アーム112に形成された溝部に配置されている。第4配線144の一端144Aには、第4センサ104が接続されている。第5配線145の一端145Aには、第5センサ105が接続されている。第6配線146の一端146Aには、第6センサ106が接続されている。なお、溝部は、第1アーム111と第2アーム112とにおいてそれぞれ対向し合う表面に形成される。
【0018】
以下では、第1センサ101~第6センサ106をまとめて、「センサ群」ともいう。センサ群は、ウェアラブルデバイス100の装着状態において被験者Aの頭部に取付けられて被験者Aの身体データを検出する。身体データは、被験者Aの身体に関するデータであり、たとえば、被験者の顔の筋電位、被験者の発汗量、被験者の体温、被験者の体内の水分量、被験者の脈波、被験者の音、被験者の部位(被験者の口または顎)の加速度、脳波、脳活動および心電位のうち少なくとも1つを含む。被験者の音は、たとえば、被験者の体内の音(たとえば、呼吸音または嚥下音など)を含む。被験者の部位の加速度は、たとえば、被験者の筋肉の加速度などを含む。
【0019】
図2および
図3は、第1の実施の形態のウェアラブルデバイス100が被験者Aの頭頸部に装着されるとともに、ウェアラブルデバイス100が有するセンサが該被験者Aに取付けられた状態を示す図である。被験者の頭頸部とは、典型的には、被験者の首より上の部分である。
図2は該被験者Aを斜め後ろから見た図であり、
図3は被験者Aを正面から見た図である。後述する検出システムは、ウェアラブルデバイス100を装着した被験者Aの感情を推定する。また、被験者Aの他に、被験者Aの感情の推定結果を確認する分析者(特に図示せず)が存在する。以下では、分析者および被験者Aをまとめて「ユーザ」とも称される。
【0020】
図2の例では、基部130、第1アーム111、第2アーム112、第1センサ101、第2センサ102、および第3センサ103などが示されている。第1アーム111は装着状態において左側のアームであり、第2アーム112は装着状態において右側のアームである。なお、第1アーム111は装着状態において右側のアームであり、第2アーム112は装着状態において左側のアームとしてもよい。
【0021】
図2の例では、第1アーム111の左耳掛け部121が、被験者Aの左耳ALに掛けられている状態が示されている。なお、
図2には示されていないが、第2アーム112の右耳掛け部122(
図1参照)が、被験者Aの右耳に掛けられる。
【0022】
ウェアラブルデバイス100が装着された状態において、基部130は、被験者Aの後頭部ABに位置する。また、後述するように、基部130には、信号処理装置120(
図5参照)が収容されていることから、所定の重さを有する。左耳掛け部121および右耳掛け部122は、それぞれ、被験者Aの左耳および右耳に掛けられる。また、基部130などの自重により、被験者Aは、ウェアラブルデバイス100を安定して装着することができる。
【0023】
図3は、ウェアラブルデバイス100を装着した被験者Aを正面から見た図である。
図3の例では、第1センサ101、第2センサ102、第4センサ104、第5センサ105が被験者Aの顔に取付けられている。これらのセンサは、たとえば、頬骨筋または皺眉筋に取付けられ、頬骨筋の筋電位または皺眉筋の筋電位を検出する。
【0024】
図4は、ウェアラブルデバイス100を基部130の背面から見た図である。
図4では、配線およびセンサの記載が省略されている。また、ウェアラブルデバイス100の基部130を二等分する線を「線M」と称する。第1アーム111と第2アーム112とは、基部130を基準として線対称の形状に形成されている。すなわち、第1アーム111および第2アーム112は、延伸方向の長さが同一となるように形成されている。したがって、被験者Aは、バランス良く、ウェアラブルデバイス100を装着することができる。
【0025】
[検出システム]
図5は、本実施の形態のウェアラブルデバイス100を含む検出システム1000のブロック図である。本実施の形態の検出システム1000は、ウェアラブルデバイス100と、制御装置500と、表示装置600とを備える。本実施の形態の「表示装置600」は、本開示の「出力装置」に対応する。
【0026】
信号処理装置120は、主に、CPU(Central Processing Unit)1201と、送信部1202と、記憶装置1203と、インターフェース部1204とを有する。各構成要素はデータバスによって相互に接続されている。
【0027】
制御装置500は、主に、CPU501と、記憶装置502とを備える。記憶装置1203と、記憶装置502とは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)などから構成される。
【0028】
基部130は、接続ポート1121と、接続ポート1122とを有する。さらに、基部130の内部には、信号処理装置120が収容される。以下では、上述の配線(第1配線141~第6配線146)のうちの両端のうち、センサ(第1センサ101~第6センサ106)が接続されている一端(一端141A~一端146A)の反対側の端を「他端」という。
【0029】
第1配線141の他端141B、第2配線142の他端142B、および第3配線143の他端143Bは、着脱可能に接続ポート1121に接続される。また、第4配線144の他端144B、第5配線145の他端145B、および第6配線146の他端146Bは、着脱可能に接続ポート1122に接続される。他端141B~他端146Bと、接続ポート1121,1122とは、たとえば、ジャックまたはコネクタなどにより構成される。
【0030】
つまり、第1配線141、第2配線142、第3配線143、第4配線144、第5配線145、および第6配線146は、信号処理装置120に対して着脱可能である。なお、第1配線141、第2配線142、第3配線143、第4配線144、第5配線145、および第6配線146は、信号処理装置120に対して着脱可能ではなく、第1配線141、第2配線142、第3配線143、第4配線144、第5配線145、および第6配線146と、信号処理装置120とは一体成型されてもよい。
【0031】
第1センサ101、第2センサ102、第4センサ104、および第5センサ105は、被験者Aの顔に取付けられ(
図3参照)、取付けられた箇所に対応する筋電位を検出する。たとえば、第1センサ101、第2センサ102、第4センサ104、および第5センサ105は、検出した筋電位を示す検出信号を、信号処理装置120に出力する。
【0032】
一方、第3センサ103、および第6センサ106は、筋電位の基準となる基準電位を検出する。第3センサ103、および第6センサ106は、基準電位を検出可能な箇所に取付けられる。基準電位を検出可能な箇所は、たとえば、被験者Aの耳の後ろである。たとえば、第3センサ103は、被験者Aの左耳の後ろに取付けられ(
図2参照)、第6センサ106は、被験者Aの右耳の後ろに取付けられる。第3センサ103、および第6センサ106が検出する電位が基準電位とされる。第3センサ103、および第6センサ106は、検出した基準電位を示す検出信号を信号処理装置120に出力する。
【0033】
CPU1201は、第1センサ101、第2センサ102、第4センサ104、および第5センサ105のそれぞれからの検出信号が示す筋電位を、第3センサ103および第6センサ106で検出された基準電位を基準とした電位に変換する。CPU1201は、たとえば、第1センサ101、および第2センサ102が検出した筋電位と、第3センサ103が検出した電位(基準電位)との差分を算出する。また、CPU1201は、たとえば、第4センサ104、および第5センサ105が検出した筋電位と、第6センサ106が検出した電位(基準電位)との差分を算出する。このように、CPU1201は、4つの差分電位を算出する。
【0034】
さらに、CPU1201は、変換された筋電位を示す情報を、制御装置500が受信可能な形式に変更する処理を実行する。CPU1201は、変更後の信号(制御信号)を、送信部1202経由で制御装置500に無線で送信する。この制御信号には、上述の4つの差分電位が含まれている。制御装置500は、ウェアラブルデバイス100からの制御信号を受信すると、CPU501において該制御信号に基づいて、所定処理を実行する。所定処理は、たとえば、被験者Aの感情を推定する処理である。
【0035】
制御装置500のCPU501は、ウェアラブルデバイス100から送信された制御信号から、4つの差分電位を抽出する。また、4つの電位と、感情とが対応づけられたテーブルが予め生成されて、記憶装置502に記憶されている。CPU502は、このテーブルを参照して、制御信号により示される4つの筋電位に対応する感情を抽出する。制御装置500は、この抽出した感情を推定結果として出力する。なお、CPU501は、記憶装置502に記憶されたニューラルネットワークに対して、被験者Aの4つの部位のそれぞれの筋電位と、2つの基準電位とを入力することにより感情を推定するようにしてもよい。制御装置500は、推定結果(推定した感情)を示す情報を表示装置600に出力する。本実施の形態の「推定結果」は、本開示の「制御情報」に対応する。表示装置600は、推定結果(推定された感情)を示す情報を表示する。なお、制御装置500は、プリンタに推定結果を出力し、該プリンタに該推定結果を用紙に印刷させ出力するようにしてもよい。これにより、分析者は、被験者Aの感情を認識することができる。
【0036】
また、ウェアラブルデバイス100と制御装置500とを有線接続し、ウェアラブルデバイス100が制御信号をこの配線により制御装置500に送信する構成が考えられる。しかしながら、この構成では、ウェアラブルデバイス100と制御装置500とを結ぶ配線が、他の物と干渉する場合などがある。そこで、本実施の形態では、ウェアラブルデバイス100は、制御装置500に対して、無線で制御信号を送信する。これにより、配線が、他の物と干渉するといった事象の発生を低減できる。
【0037】
また、インターフェース部1204は、外部記憶装置1205のウェアラブルデバイス100に対する接続を受付ける。つまり、ウェアラブルデバイス100は、外部記憶装置1205を装着可能である。外部記憶装置1205は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)メモリである。CPU1201は、第1センサ101~第6センサ106からの検出信号に対して、該検出信号を外部記憶装置1205が記憶可能な形式に変更する処理を実行する。この処理により、検出情報が生成される。CPU1201は、検出情報(たとえば、推定された被験者Aの感情)を、外部記憶装置1205に記憶させる。これにより、分析者は、他の装置(たとえば、PC(personal computer))に、外部記憶装置1205を接続させて、この他の装置で、被験者Aの感情を認識することができる。
【0038】
上述の非特許文献のシステムでは、据え置きの処理装置と、複数のセンサと、該処理装置と該複数のセンサのそれぞれと接続する配線とを備える。このシステムでは、被験者の身体データを検出する際の該被験者の位置の自由度を高めるために、長い配線が必要とされる。しかしながら、配線が長い場合には、配線がもつれたり、配線が他の物と干渉したりすることから、被験者の顔に、センサを取付けるのが煩雑であるという問題がある。また、上述の非特許文献のシステムでは、複数のセンサが被験者に取付けられている状態で被験者が何らかの動作を行う場合にも配線がもつれたり、配線が他の物と干渉したりするという問題が生じる。
【0039】
これに対し、本開示のウェアラブルデバイス100は、被験者Aの頭頸部に装着可能であることから、該ウェアラブルデバイス100と、制御装置500とはそれぞれ独立している。ウェアラブルデバイス100は、被験者の身体に取付けられるセンサ(第1センサ101~第6センサ106)と、該センサに接続されている配線(第1配線141~第6配線146)とを備える。したがって、本開示のウェアラブルデバイス100においては、上述のシステムと比較して、配線の長さを短くすることができる。その結果、被験者の頭頸部に、センサを取付ける際に配線がもつれたり、配線が他の物と干渉したりすることを低減できる。よって、本開示のウェアラブルデバイス100によれば、センサの被験者の頭頸部への取付け性を向上させることができる。また、複数のセンサが取付けられている状態で被験者が何らかの動作を行う場合であっても、配線のもつれ、あるいは、配線と他の物との干渉を低減できる。
【0040】
また、
図1に示すように、ウェアラブルデバイス100では、第1アーム111に沿って配置される配線(たとえば、第1配線141~第3配線143)と、該配線に接続されるセンサ(たとえば、第1センサ101~第3センサ103)とを備える。これとともにウェアラブルデバイス100は、第2アーム112に沿って配置される配線(たとえば、第4配線144~第6配線146)と、該配線に接続されるセンサ(たとえば、第4センサ104~第6センサ106)とを備える。したがって、ウェアラブルデバイス100を装着している被験者Aは、被験者Aの顔の両側から突出しているセンサを、被験者Aの顔に取付けることができる。したがって、センサを被験者Aの顔に取付ける際の利便性を向上させることができる。
【0041】
また、
図4に示すように、第1アーム111と第2アーム112とは、基部130(線M)を基準として線対称な形状である。したがって、被験者Aは、バランス良く、ウェアラブルデバイス100を装着できる。
【0042】
また、
図1に示すように、第1アーム111の先端は、被験者Aの左耳に掛けられる形状である左耳掛け部121が形成されている。また、第2アーム112の先端は、被験者Aの右耳に掛けられる形状である右耳掛け部122が形成されている。さらに、
図2に示すように、被験者Aがウェアラブルデバイス100を装着している状態では、基部130は、被験者の頭頸部(後頭部AB)に位置する。これにより、被験者Aは、安定して、ウェアラブルデバイス100を装着することができる。
【0043】
また、
図5に示すように、第1配線141~第6配線146はいずれも信号処理装置120から着脱可能である。したがって、たとえば、不要なセンサおよび配線をウェアラブルデバイス100から外すことができ、その結果、被験者Aの身体データの検出の利便性を向上させることができる。
【0044】
また、ウェアラブルデバイス100において、第1センサ101、第2センサ102、第4センサ104、および第5センサ105により被験者Aの筋電位を検出する。これとともに、第3センサ103および第6センサ106は、該筋電位の基準電位を検出する。したがって、ウェアラブルデバイス100は、基準電位を基準とした電位(上述の差分電位)を算出することができる。
【0045】
[溝部について]
次に、第1アーム111の表面に形成されている溝部を説明する。この溝部には、配線が配置される。
図6は、第1アーム111の左耳掛け部121の拡大図である。
図6に示すように、第1アーム111には、第1溝部1161、第2溝部1162、第3溝部1163、第4溝部1164、および第5溝部1165が形成される。
図6の例では、第1溝部1161、第2溝部1162、第3溝部1163、および第5溝部1165は、第1アーム111の延伸方向に沿った形状となっている。また、第1アーム111は、直線状または略直線状に延伸する延伸部111Aを含む。
【0046】
第1溝部1161は、第1アーム111の基部130に接続されている箇所から延伸部111Aの縁部111Bまで形成されている。第2溝部1162は左耳掛け部121の延伸方向に沿って形成される。第1溝部1161と第2溝部1162とは1つの溝部が分断された関係となっている。第3溝部1163は、延伸部111Aおよび左耳掛け部121に亘って形成されている。第4溝部1164は、左耳掛け部121の先端に形成されている。第3溝部1163と第4溝部1164とは1つの溝部が分断された関係となっている。第5溝部1165は、第1アーム111の基部130に接続されている箇所から延伸部111Aの縁部111Cまで形成されている。
【0047】
図7は、溝部に配線が配置された状態での左耳掛け部121の拡大図である。
図7の例では、第1配線141は、第1溝部1161および第2溝部1162に配置される。たとえば、第1配線141は、第1溝部1161に配置される。これとともに、第1溝部1161に配置されている部分とは異なる第1配線141の部分が、該第1配線の延伸方向において第2溝部1162に配置される。これにより、第1溝部1161と第2溝部1162との間で、第1配線141の弛み141Sが形成される。このように、第1溝部1161および第2溝部1162の位置関係は、第1溝部1161および第2溝部1162に第1配線141が配置された状態で、第1溝部1161と第2溝部1162との間で、第1配線141の弛み141Sが形成可能な関係となっている。このように、第1配線141は、複数の溝部(
図7の例では、第1溝部1161と第2溝部1162)に配置される。また、第1配線141のうち、第1アーム111から突出している突出部分141Tの一端に第1センサ101が接続される。
【0048】
第2配線142は、第3溝部1163および第4溝部1164に配置される。第3溝部1163と第4溝部1164との間で、第2配線142の弛み142Sが形成される。このように、第3溝部1163および第4溝部1164の位置関係は、第3溝部1163および第4溝部1164に第2配線142が配置された状態で、第2溝部1162と第4溝部1164との間で、第2配線142の弛み142Sが形成可能な関係となっている。このように、第2配線142は、複数の溝部(
図7の例では、第3溝部1163と第4溝部1164)に配置される。また、第2配線142のうち、第1アーム111から突出している突出部分142Tの一端に第2センサ102が接続される。
【0049】
第3配線143は、第5溝部1165に配置されている。第3配線143は、第1配線141および第2配線142のように、複数の溝部に配置されずに、1つの第5溝部1165に配置される。したがって、第3配線143の弛みは形成されない。
【0050】
このように、第1配線141~第3配線143は、溝部に配置されることにより、第1アーム111に沿って配置される。したがって、比較的簡易な構成で、第1配線141~第3配線143を第1アーム111に沿って配置させることができる。
【0051】
次に、弛み141Sの機能を説明する。
図8は、第1アーム111の第1溝部1161、第2溝部1162、および第5溝部
1165などを概略的に示した図である。
図7でも説明したように、第1配線141は、第1溝部
1161および第2溝部
1162に配置され、弛み141Sが形成される。また、第3配線143は、第5溝部
1165に配置されている。第1配線141のうち、第1アーム111から突出している突出部分141Tの長さを「長さL1」と称する。また、第3配線143のうち、第1アーム111から突出している突出部分143Tの長さを「長さL3」と称する。
【0052】
ここで、第1配線141は、延伸する導体と、該導体を被覆し該導体の延伸方向に延伸するシースとにより構成される。シースは、剛性および弾性を有する絶縁体で構成される。したがって、第1配線141は剛性および弾性を有する。なお、シースは、主にクロロプレンゴムやポリ塩化ビニル、ポリエチレンなどが使用される。
【0053】
上述のように、第1配線141の他端141Bは、信号処理装置120に接続(固定)されている。したがって、被験者Aなどにより第1配線141の弛み141Sが矢印α1の方向に押し込まれると、該第1配線141は剛性を有しかつ第1配線141の他端141Bは固定されていることから、第1配線141の突出部分141Tが矢印β1の方向に押し出される。つまり、第1配線141の突出部分141Tの長さL1が長くなる。
【0054】
また、被験者Aなどにより、第1配線141の突出部分141Tが矢印β1の方向に引っ張られた場合にも、弛み141Sが矢印α1の方向に移動するとともに、第1配線141の突出部分141Tの長さL1が長くなる。
【0055】
一方、被験者Aなどにより第1配線141の弛み141Sが矢印α2の方向に引っ張られると、第1配線141の突出部分141Tが矢印β2の方向に引っ張られる。つまり、第1配線141の突出部分141Tの長さL1が短くなる。また、被験者Aなどにより、第1配線141の突出部分141Tが矢印β2の方向に押し込まれた場合にも、弛み141Sが矢印α2の方向に移動するとともに、第1配線141の突出部分141Tの長さL1が短くなる。
【0056】
このように、ウェアラブルデバイス100は、第1配線141の突出部分141Tの長さを調整可能な第1調整部1181が、第1アーム111に形成される。また、
図6に示すように、第1調整部1181は、第1溝部
1161と、第2溝部
1162とにより構成される。また、被験者Aなどにより弛み141Sが調整されることにより、突出部分141Tの長さL1を調整可能である。
【0057】
一般的に、被験者の顔の大きさや表情筋の配置には個人差がある。どのような被験者であってもセンサを取付けることができるようにするための手法としては、配線を十分に長くすることが考えられる。しかしながら、配線が過度に長いと、配線がもつれたり、配線が他の物と衝突したりするという問題が発生する。これに対し、ウェアラブルデバイス100では、突出部分141Tの長さL1を調整可能である第1調整部1181を有する。したがって、ウェアラブルデバイス100では、第1調整部1181を有することにより、このような問題が発生することを低減でき、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0058】
また、第1調整部1181は、第1溝部1161と、第2溝部1162とにより構成される。したがって、比較的簡易な構成で、第1調整部1181を形成することができる。
【0059】
また、特に図示しないが、第2配線142の突出部分142Tを調整可能な調整部も第1調整部1181と同様の構成で形成される。具体的には、第2配線142について形成された弛み142Sに基づいて、第2配線142の突出部分142Tは調整可能とされる。
【0060】
次に、
図8を参照して、第3配線143を説明する。上述のように第3配線143の弛みは形成されない。上述のように第3配線143の一端143Aに接続された第3センサ103は、基準電位を検出する。一般的に、被験者の顔において基準電位を検出できる箇所は、大体、定まっている。したがって、被験者に応じて基準電位を検出する箇所を変更する必要性が低いことから、第3配線143の突出部分143Tの長さは固定としても特段の問題はない。したがって、本実施形態では、第3配線143の突出部分143Tの長さを調整する調整部を形成しないようにした。つまり、第3配線143が配置される溝部は、1つの第5溝部1175とした。これにより、不要な調整部(不要な溝部)を形成しないようにすることができる。なお、第3配線143についての調整部を設けなくても、第3配線143の余長により、第1アーム111からの第3配線143の突出部分を調整できるようにしてもよい。
【0061】
図9は、第2アーム112の右耳掛け部122の拡大図である。
図9に示すように、第2アーム112には、第1溝部1171、第2溝部1172、第3溝部1173、第4溝部1174、および第5溝部1175が形成される。
図4で説明したように、第1アーム111と第2アーム112とは、基部130(線M)を基準として線対称となる形状である。したがって、第1溝部1171は、第1溝部1161に対向して形成され、第2溝部1172は、第2溝部1162に対向して形成され、第3溝部1173は、第3溝部1163に対向して形成され、第4溝部1174は、第4溝部1164に対向して形成され、第5溝部1175は、第5溝部1165に対向して形成される。
【0062】
特に図示しないが、第4配線144は、第1溝部1171および第2溝部1172に配置される。また、第1溝部1171と第2溝部1172との間で、第4配線144の弛みが形成される。第5配線145は、第3溝部1173および第4溝部1174に配置される。また、第3溝部1173と第4溝部1174との間で、第5配線145の弛みが形成される。第6配線146は、第5溝部1175に配置されている。また、第6配線146の弛みは形成されない。
【0063】
したがって、第2アーム112についても、第4配線144のうち第2アーム112から突出している部分の長さを調整できる調整部、および第5配線145のうち第2アーム112から突出している部分の長さを調整できる調整部が形成される。たとえば、第2調整部1182は、第1溝部1171と第2溝部1172とにより構成される。また、第4配線144の第2アーム112から突出している部分の長さは、第1溝部1171と第2溝部1172との間で形成される第4配線144の弛みに基づいて調整可能である。
【0064】
図10は、第1溝部1161と、該第1溝部1161に配置されている第1配線141の断面の一例を示す図である。
図10の例では、第1溝部1161の開口部分の縁に爪部1180が形成されている。
図10に示すように、第1溝部1161に爪部1180が形成されていることにより、第1配線141を第1溝部1161に留めることができる。その結果、第1配線141が第1溝部1161から外れることを低減できる。なお、上述のように第1配線141は弾性を有する。したがって、第1配線141が第1溝部1161に配置されていない状態において、ユーザは、爪部1180と、第1溝部1161との間の空隙Pから第1配線141を押し込むことにより、第1配線141を第1溝部1161に配置させることができる。また、第1配線141が第1溝部1161に配置されている状態において、ユーザは、第1配線141を引っ張ることにより、空隙Pから第1配線141が外れて、第1配線141第1溝部1161から外すことができる。
【0065】
爪部1180は、第1溝部1161の所定の位置に1以上形成される。さらに、爪部1180は、第2溝部1162~第5溝部1165、および第1溝部1171~第5溝部1175の各々に1以上形成される。
【0066】
また、
図10では左右片側に爪部を設ける例を説明したが、これに限定されることなく、左右交互に爪を配置してもよいし、同一個所で左右から爪が突出する構成としてもよい。
【0067】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、第1センサ101と第2センサ102とが同一の身体データ(筋電位)を検出する構成を説明した(
図5参照)。第2の実施の形態では、第1センサと第2センサとが異なる身体データを検出する構成を説明する。
【0068】
図11は、第2の実施の形態の検出システム1000Aの構成例を示す図である。
図5と
図11とを比較すると、第2センサ102が、被験者の発汗を検出する汗センサ182に代替されている。汗センサ182は、人間の汗が含む成分(たとえば、乳酸など)を検出可能なセンサである。また、
図5と
図11とを比較すると、第4センサ104が、被験者の体温を検出する温度センサ185に代替されている。温度センサ185は、たとえば、サーミスタにより構成される。このように、第2の実施の形態のウェアラブルデバイス100Aおよび検出システム1000Aであれば、被験者Aの様々な身体データを検出することができる。また、センサおよび配線はウェアラブルデバイス100から着脱可能であることからユーザが所望する身体データを検出可能なセンサをウェアラブルデバイス100に装着することができる。
【0069】
また、
図11の例のウェアラブルデバイスは、筋電位を検出する第1センサ101および第4センサ104と、基準電位を検出する第3センサ103および第6センサ106とを備えるが、6個のセンサのそれぞれが異なる身体データを検出するようにしてもよい。
【0070】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態では、配線を保持する保持部が溝部である構成を説明した。第3の実施の形態では、保持部が、
管部である構成を説明する。管部は、中空形状であり、かつ、配線の延伸方向に沿って延伸する形状を有する。管部の内部(中空形状)に、配線が保持される。
図12は、第3の実施の形態の保持部である
管部1170の断面の一例を示す図である。
図12に示すように、
管部1170は、第1アーム111の表面に、第1配線141の延伸方向に沿って形成される。また、
管部1170の内部に第1配線141が貫通するように配置されている。第3の実施の形態のように、配線を保持する保持部が
管部1170であっても、第1アーム111において適切に第1配線141を保持できる。
【0071】
また、第1配線141の弛みを形成するように、第1管部と第2管部とが設けられるようにしてもよい。また、第2配線142~第6配線146のうち少なくとも1つの配線を保持する管部を形成するようにしてもよい。また、1つの配線を溝部と管部とを組み合わせて保持するようにしてもよい。また、配線を保持する保持部は、溝部および管部とは異なる構成としてもよい。保持部と配線とは、互いに引き合う磁石とし、配線を磁力によりアームに保持させる構成としてもよい。
【0072】
また、管部の内部に配線を保持する代わりに、アーム自体を中空構造とし、その中にケーブルを通す構成としてもよい。
【0073】
[変形例]
(1) 上述の実施の形態では、ウェアラブルデバイス100は、被験者Aの頭部に装着される例を説明した(
図2および
図3参照)。しかしながら、ウェアラブルデバイス100は、被験者Aの身体に装着できるものであれば、他の形状であってもよい。たとえば、被験者Aの首にかけるような形状であってもよい。
【0074】
(2)
図6~
図8で説明したように、第1配線141の突出部分141Tの長さを
調整可能な調整部は、複数の溝部により構成される例を説明した。しかしながら、調整部は他の構成としてもよい。調整部は、たとえば、第1配線141を巻き取る巻取構造としてもよい。
【0075】
(3) 上述の実施の形態では、第1アーム111および第2アーム112のそれぞれに配線およびセンサが配置される構成を説明した。しかしながら、第1アーム111または第2アーム112のいずれかに配線およびセンサが配置される構成であってもよい。
【0076】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0077】
(第1項) 被験者の頭頸部に装着可能なウェアラブルデバイスであって、基部と、基部から延伸する第1アームと、基部から延伸する第2アームと、第1アームに沿って配置される第1配線と、第1配線の一端が接続され、被験者がウェアラブルデバイスを装着している状態で被験者に取付けられて被験者の身体データを検出する第1センサと、第1配線の他端に接続され、第1センサからの検出信号を処理する信号処理装置とを備え、信号処理装置は、基部に取付けられる、ウェアラブルデバイス。
【0078】
このような構成によれば、被験者の頭頸部に装着可能なウェアラブルデバイスであり、ウェアラブルデバイスは、被験者の身体に取付けられるセンサと、該センサに接続されている配線とを備える。したがって、配線の長さを短くすることができ、その結果、配線がもつれたり、配線が他の物と干渉したりすることを低減できる。よって、センサの被験者の頭頸部への取付け性が向上したウェアラブルデバイスを提供することができる。
【0079】
(第2項) 第1項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1配線のうち第1アームから突出している部分の長さを調整可能であり、かつ第1アームに形成された第1調整部をさらに備える。
【0080】
このような構成によれば、第1アームから突出している部分の長さを調整可能であることから、利便性を向上させることができる。
【0081】
(第3項) 第1項または第2項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第2アームに沿って配置される第2配線と、第2配線の一端に接続され、被験者がウェアラブルデバイスを装着している状態で被験者の身体に取付けられて被験者の身体データを検出する第2センサとをさらに備え、第2配線の他端は、信号処理装置に接続される。
【0082】
このような構成によれば、第1センサおよび第2センサを被験者の身体に容易に取付けることが可能となる。
【0083】
(第4項) 第3項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第2配線のうち第2アームから突出している部分の長さを調整可能であり、かつ第2アームに形成された第2調整部をさらに備える。
【0084】
このような構成によれば、第2アームから突出している部分の長さを調整可能であることから、利便性を向上させることができる。
【0085】
(第5項) 第2項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1調整部は、第1配線を該第1配線の延伸方向において保持する第1保持部と、第1保持部に保持されている部分とは異なる部分で第1配線を、該第1配線の延伸方向において保持する第2保持部とを有し、第1配線のうち第1アームから突出している部分の長さは、第1保持部と第2保持部との間で形成される第1配線の弛みに基づいて調整可能である。
【0086】
このような構成によれば、比較的簡易な構成で、第1調整部を形成することができる。
(第6項) 第5項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1保持部と第2保持部とのうち少なくとも一方は、第1配線が配置される溝部である。
【0087】
このような構成によれば、比較的簡易に形成することができる溝部により、第1調整部を形成することができる。
【0088】
(第7項) 第6項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、溝部は、配置された第1配線を留めるための爪部を有する。
【0089】
このような構成によれば、第1配線が溝部から外れることを軽減できる。
(第8項) 第5項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1保持部と第2保持部とのうち少なくとも一方は、内部に第1配線が貫通可能な管部である。
【0090】
このような構成によれば、比較的簡易に形成することができる管部により、第1調整部を形成することができる。
【0091】
(第9項) 第4項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第2調整部は、第2配線を該第2配線の延伸方向において保持する第3保持部と、第3保持部に保持されている第2配線を、該第2配線の延伸方向において保持する第4保持部とを有し、第2配線のうち第2アームから突出している部分の長さは、第3保持部と第4保持部との間で形成される第2配線の弛みに基づいて調整可能である。
【0092】
このような構成によれば、比較的簡易な構成で、第2調整部を形成することができる。
(第10項) 第1項または第2項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1センサは、被験者の筋電位を検出し、ウェアラブルデバイスは、さらに、第1アームに沿って配置される第3配線と、第3配線の一端に接続され、かつ被験者がウェアラブルデバイスを装着している状態で被験者の身体に取付けられて基準電位を検出する第3センサとを備え、第3配線の他端は、信号処理装置に接続されている。
【0093】
このような構成によれば、第3センサにより検出される基準電位を基準とした筋電位を検出することができる。
【0094】
(第11項) 第10項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第3配線のうち第1アームから突出している部分の長さは固定である。
【0095】
このような構成によれば、第3配線についての調整部を形成しないようにすることができる。
【0096】
(第12項) 第3項または第4項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1センサと第2センサとは、異なる種別の身体データを検出する。
【0097】
このような構成によれば、異なる種別の身体データを検出することができる。
(第13項) 第1項~第12項のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1アームと第2アームとは、基部を基準として線対称となる形状である。
【0098】
このような構成によれば、被験者A、バランス良く、ウェアラブルデバイスを装着できる。
【0099】
(第14項) 第1項~第13項のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、被験者がウェアラブルデバイスを装着している状態において、第1アームの先端は、被験者の左耳に掛けられる形状を有し、第2アームの先端は、被験者の右耳に掛けられる形状を有し、基部は、被験者の頭部に位置する。
【0100】
このような構成によれば、被験者の頭部の身体データを検出できる。
(第15項) 1項~第14項のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、第1配線は、信号処理装置に対して着脱可能である。
【0101】
このような構成によれば、たとえば、第1配線が不要な場合には、第1配線を取り外すことができる。
【0102】
(第16項) 第1項~第15項のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイスにおいて、信号処理装置は、検出信号を処理することにより、検出情報を生成し、ウェアラブルデバイスは、外部記憶装置を装着可能であり、外部記憶装置に検出情報を出力する。
【0103】
このような構成によれば、信号処理装置が生成した検出情報を外部記憶装置に記憶させることができる。
【0104】
(第17項) 第1項~第16項のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイスと、制御装置と、表示装置とを備え、信号処理装置は、検出信号を処理することにより制御信号を生成し、制御信号を制御装置に送信し、制御装置は、制御信号に基づいた情報を表示装置に表示する。
【0105】
このような構成によれば、制御信号に基づいた情報を分析者などに認識させることができる。
【0106】
(第18項) 第17項に記載の検出システムにおいて、信号処理装置は、制御信号を無線で制御装置を送信する。
【0107】
たとえば、信号処理装置が、制御信号を有線通信により制御装置に送信する場合には、この有線による配線が他の物と干渉するなどの問題などがある。このような構成によれば、信号処理装置は、制御信号を無線で送信することから、このような問題が発生することを低減できる。
【0108】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
100 ウェアラブルデバイス、101 第1センサ、102 第2センサ、103 第3センサ、104 第4センサ、105 第5センサ、106 第6センサ、111 第1アーム、111A 延伸部、111B,111C 縁部、112 第2アーム、120 信号処理装置、121 左耳掛け部、122 右耳掛け部、130 基部、141 第1配線、141S,142S 弛み、141T,142T,143T 突出部分、142 第2配線、143 第3配線、144 第4配線、145 第5配線、146 第6配線、151 第1電極パッド、152 第2電極パッド、153 第3電極パッド、154 第4電極パッド、155 第5電極パッド、156 第6電極パッド、182 汗センサ、185 温度センサ、500 制御装置、502,1203 記憶装置、600 表示装置、1000,1000A 検出システム、1121,1122 接続ポート、1161,1171 第1溝部、1162,1172 第2溝部、1163,1173 第3溝部、1164,1174 第4溝部、1165,1175 第5溝部、1170 管部、1180 爪部、1181 第1調整部、1182 第2調整部、1202 送信部、1204 インターフェース部、1205 外部記憶装置。