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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】ハンドカート
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
B62B3/02 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023118402
(22)【出願日】2023-07-20
(65)【公開番号】P2025015179
(43)【公開日】2025-01-30
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-205227(JP,A)
【文献】特開2012-025557(JP,A)
【文献】実開昭63-069667(JP,U)
【文献】中国実用新案第211509842(CN,U)
【文献】特開2014-213409(JP,A)
【文献】特開平11-094451(JP,A)
【文献】特開2019-131051(JP,A)
【文献】特開2017-159697(JP,A)
【文献】特開2021-70360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に車輪を有し、後部にハンドルが立設された車体本体と、
前記車体本体の上面に横方向に移動自在に設けられた荷台と、を有し、
前記荷台には、前記荷台に荷物を搭載する際に前記荷物と前記荷台との横方向の位置合わせを行うための、前方へ向けて広がる左右一対の案内部材が設けられている、
ハンドカートであって、
前記荷台が前記荷物の下方に位置するまで前記ハンドカートを前進させるとき、前記案内部材が前記荷物に当接して案内されることにより、前記荷台が横方向に移動して前記荷物の中心と前記荷台の中心の横方向の位置合せが行われる、
ハンドカート
【請求項2】
前記荷台の横方向の移動をロックするロック機構を有する、
請求項1に記載のハンドカート。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記荷台に形成されたロック孔と、前記車体本体に設けられ、前記ロック孔内へ進入可能なロックピンと、前記ロックピンを前記ロック孔へ進入させるように付勢する付勢部材と、前記付勢部材の付勢力に抗して前記ロックピンを前記ロック孔から退避する方向へ操作する操作部材と、を有する、
請求項2に記載のハンドカート。
【請求項4】
前記車体本体には横方向に沿ってガイドレールが設けられ、
前記荷台は前記ガイドレールの上を横方向に案内される、
請求項1に記載のハンドカート。
【請求項5】
前記車体本体に対して昇降自在に設けられた昇降台を有し、
前記荷台は前記昇降台に対して横方向に移動自在に設けられている、
請求項1に記載のハンドカート。
【請求項6】
前記昇降台には横方向に沿ってガイドレールが設けられ、
前記荷台は前記ガイドレールの上を横方向に案内される、
請求項5に記載のハンドカート。
【請求項7】
前記荷台を横方向の中央へ向けて付勢する付勢部材を有する、
請求項1に記載のハンドカート。
【請求項8】
前記付勢部材は弾性部材である、
請求項7に記載のハンドカート。
【請求項9】
前記車輪は、左右一対の固定輪から成る前輪と、左右一対の、車輪の向きを変えなくても前後左右に移動可能な全方向車輪から成る後輪と、を有する、
請求項1に記載のハンドカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンドカートに関し、特に、荷物の積み下ろしが容易なハンドカートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のハンドカートは、例えば特許文献1のように、荷台の下面に複数、一般的には4つの車輪を有し、荷台の後方にはハンドルが立設されている。荷台に荷物を載置して、使用者がハンドルを操作することによりハンドカートを移動させ、所定の位置へ荷物を運搬する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-030739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、車両の搭載部へバッテリーを搭載するために、ハンドカートにバッテリーを載せて搭載部まで運ぶ場合、バッテリーをハンドカートに載せた状態で、搭載部とバッテリーを位置合わせする必要があった。従来のハンドカートでは、ハンドカートのハンドルを操作してハンドカートごと移動して位置合わせをする必要があった。バッテリーは大型のものでは数100キログラムにも及ぶので、ハンドカートごと搭載部とバッテリーの位置合わせをすることは非常に困難であった。
【0005】
本開示は、重量物を載せている場合にも荷物の位置合わせが容易なハンドカートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のハンドカートは、下面に車輪を有し、後部にハンドルが立設された車体本体と、前記車体本体の上面に横方向に移動自在に設けられた荷台と、を有し、前記荷台には、前記荷台に荷物を搭載する際に前記荷物と前記荷台との横方向の位置合わせを行うための、前方へ向けて広がる左右一対の案内部材が設けられており、前記荷台が前記荷物の下方に位置するまで前記ハンドカートを前進させるとき、前記案内部材が前記荷物に当接して案内されることにより、前記荷台が横方向に移動して前記荷物の中心と前記荷台の中心の横方向の位置合せが行われる
【発明の効果】
【0007】
本開示のハンドカートによれば、ハンドカートを操作することなく荷物の位置合わせを容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ハンドカートの斜視図(前方)である。
図2】ハンドカートの斜視図(後方)である。
図3】ハンドカートの底面図である。
図4】荷台及びロック機構の要部を示す斜視図である。
図5】ロック機構を示す斜視図である。
図6】ロック機構の側面図である。
図7】荷台が中立位置にある状態の平面図である。
図8】荷台が左に移動した状態の平面図である。
図9】バッテリーを車両に搭載する動作を示す平面図である。
図10】バッテリーを車両に搭載する動作を示す平面図である。
図11】バッテリーを車両に搭載する動作を示す平面図である。
図12】バッテリーを車両に搭載する動作を示す平面図である。
図13】車両からバッテリーを下ろす動作を示す斜視図である。
図14】車両からバッテリーを下ろす動作を示す斜視図である。
図15】車両からバッテリーを下ろす動作を示す斜視図である。
図16】車両からバッテリーを下ろす動作を示す斜視図である。
図17】車両からバッテリーを下ろす動作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に沿って本開示の実施の形態におけるハンドカートを説明する。なお、本明細書では、使用者がハンドルを押してハンドカートが進む方向を前方、反対方向を後方、前方に対して左右方向を横方向として説明する。図1において、ハンドカート1は、車体本体3と、車体本体3の後方に立設されたハンドル5と、車体本体3の下面前方に設けられた固定輪7と、車体本体3の下面後方に設けられた全方向車輪9と、を有している。ハンドル5は、車体本体3の後部に立設された左右一対の支柱と、左右一対の支柱間に架け渡されたハンドルバーとから門型に形成されている。固定輪7は、向きが前後方向に固定された車輪である。全方向車輪9は、オムニホイールやメカナムホイールと呼ばれる、車輪の向きを変えなくても前後左右に移動可能な車輪である。本実施の形態では、全方向車輪9はオムニホイールを採用している。
【0010】
図2において、車体本体3の後方には、使用者の足が全方向車輪9に接触することを防止するために、全方向車輪9を囲むようにカバー10が設けられている。カバー10は、全方向車輪9の周囲を覆うように形成された板状の部材である。また、車体本体3の後部中央には、ハンドカート1の移動を阻止するためのストッパー11が設けられている。ストッパー11は、車体本体3に対して昇降することにより、上昇位置においては全方向車輪9の下端よりも上方に位置し、下降位置においては全方向車輪9の下端よりも下方に突出するように構成される。レバー12は、その前端部が車体本体3に対して上下動可能に枢支され、中間部がストッパー11に枢着されている。また、レバー12の後端部は足踏み操作が可能なように平板状に形成されている。
【0011】
図3は、ハンドカート1の下面図である。車体本体3の前方(図示左方)に左右一対の固定輪7が設けられ、車体本体3の後方(図示右方)に左右一対の全方向車輪9が設けられている。図示の例では全方向車輪9は一対の全方向車輪9-1、9-2が2つで一組として構成されたものが、左右一対設けられている。すなわち、全方向車輪を合計4つ有している。また、左右の全方向車輪9の間にはストッパー11が設けられている。
【0012】
車体本体3上には、図1および図2に示すようにリンク機構等の昇降部材を介して昇降台20が昇降可能に設けられている。昇降台20は、上昇用足踏みペダル16を押し込むことにより押し込んだ回数に応じて上昇する。また、下降用捻りハンドル17を捻ることにより下降する。昇降台20は、昇降台本体20Aと、その上面に設けられたベース部材21とから構成されている。ベース部材21の上面には横方向に前後一対のガイドレール22(図4参照)が設けられている。ガイドレール22上には荷台30がガイドレール22に沿って横方向に移動可能に設けられている。
【0013】
荷台30は、前後方向に沿って設けられた左右一対の下枠部材31と、横方向に沿って設けられ左右の下枠部材31を連結する前後一対の連結部材32と、下枠部材31の後端部に立設された門型の後枠部材33と、下枠部材31から横方向外側に離隔して立設された左右一対の側枠部材35とを有する。さらに、側枠部材35の前部には前方に向かって広がる左右一対のガイド部材37が設けられている。ベース部材21と一対の下枠部材31の間には、自然長よりも伸びた状態の一対のスプリング38-1、38-2が張設されており、荷台30をベース部材21の横方向中央の中立位置へ付勢している。
【0014】
図4乃至6に示すように、ベース部材21と荷台30の間には、荷台30の移動をロックするロック機構40が設けられている。荷台30の後ろ側の連結部材32にはロック孔部材43が設けられている。ロック孔部材43には、後側に向けて開孔した多数のロック孔が横方向に整列して形成されている。一方、ベース部材21には、ロック孔に進入可能なロックピン45が前方に向けて進退可能に設けられている。ロックピン45は図示しないばね等の付勢手段により前方へ付勢されている。ロックピン45にはリンク機構46を介してケーブル47の一端部が接続されている。ケーブル47の他端部には解除レバー48が接続され、解除レバー48はハンドル5の上部に取り付けられている。使用者が解除レバー48を引くと、ケーブル47及びリンク機構46を介してロックピン45が付勢手段の付勢力に抗して後方に引かれ、ロック孔から退出する。使用者が解除レバー48を離すと、ロックピン45は付勢手段の付勢力により前方へ進み、ロック孔内へ挿入される。
【0015】
次に、ハンドカート1の動作を説明する。図7は荷台30がベース部材21に対して横方向中央の中立位置にある状態を示す。解除レバー48を操作してロックピン45をロック孔から抜いた状態では、荷台30はスプリング38-1、38-2の付勢力により中立位置に保持される。
【0016】
荷台30やその上に載置されている荷物に横方向の力が加わると、荷台30はスプリング38-1、38-2の付勢力に抗して横方向へ移動する。図8では、左向きの外力が加わったことにより、スプリング38-1は縮み、スプリング38-2は伸び、スプリング38-2が収縮する方向(右方向)の付勢力が働いている。この状態で解除レバー48を離すと、ロック機構40によって荷台30の位置は固定される。ロック機構40を解除して、さらに外力が除去されると、荷台30はスプリング38-2の収縮力によって横方向中央の中立位置へ復帰する。
【0017】
図9乃至図12は、ハンドカート1を用いて荷物としてのバッテリーBを車両100の搭載部101へ搭載する手順を示す。なお、車両100はバッテリーBが搭載される搭載部101周辺のみを図示している。搭載部101には、向かって左右両側にバッテリーBを案内するための案内壁103が設けられている。案内壁103は、手前側(車両外側)から奥側(車両内側)へ向かって狭くなるようにテーパー状に形成されたテーパー部105と、手前側から奥側へ向かって平行に伸びる直線部107とから形成されている。図9は、バッテリーBを荷台30に載せたハンドカート1が、図示左の車両100の搭載部101へ向かって移動する途中を示している。このとき、荷台30はロック機構40により横方向中央に位置固定されている。ハンドカート1及びバッテリーBは、搭載部101の中心に対してやや左側にずれた状態で搭載部101へ接近している。
【0018】
ハンドカート1の向きが搭載部101に対して斜めになっている場合、使用者はハンドル5を左右に振って向きを調節する。後輪が全方向車輪9となっているので、使用者がハンドル5を左右に振ると、ハンドカート1の後部が左右に振られ、ハンドカート1の向きを容易に調節できる。一般的な旋回キャスター(鉛直方向の旋回軸周りに旋回可能なキャスター)は、横方向の移動時に車輪が旋回軸周りに旋回して向きを変える際、車輪と床面との間に摩擦が不可避的に生じるが、全方向車輪9は横方向へも転動できるので、横方向の微調整が行いやすい。
【0019】
図10は、ハンドカートが車両100へ接近した状態を示す。このときバッテリーBは向かって左側の案内壁103のテーパー部105に接触し、向かって右側の案内壁103とは隙間が空いた状態となっている。そして、使用者は、解除レバー48を操作して、ロック機構40を解除する。
【0020】
図11は、さらにハンドカート1が前進した状態を示す。図10の状態からハンドカート1が前進すると、バッテリーBの左前方の角が左側のテーパー部105に案内されながら前進することにより、バッテリーBは荷台30ごと車体本体3に対して右側へ移動して、搭載部101に対して横方向が位置合わせされる。使用者は、ハンドカート1を操舵することなく前進させるのみで、バッテリーBと搭載部101の横方向の位置合わせが行われる。
【0021】
図12は、さらにハンドカート1が前進した状態を示す。バッテリーBは左右の直線部107に案内されながら奥の所定位置まで前進する。このときも、使用者はハンドカート1を前進させるのみで、バッテリーBが搭載部101の所定位置に位置決めされる。
【0022】
図13乃至図17は、搭載部101に搭載されたバッテリーBを下ろす際のハンドカート1の動作を示す。図13は、搭載部101に搭載されたバッテリーBに対してハンドカート1が接近する状態を示す。このとき、ハンドカート1をバッテリーBに対して正確に中心線を合わせる必要はない。使用者は、解除レバー48を操作してロック機構40を解除した状態で、ハンドカート1を搭載部101へ向けて前進させる。
【0023】
次に、図14に示すように、荷台30の下枠部材31がバッテリーBの下方に位置するまでハンドカート1は前進する。このとき、荷台30のガイド部材37がバッテリーBに当接して案内されることにより、荷台30は横方向に移動してバッテリーBの中心と荷台30の中心の横方向の位置合わせが行われる。
【0024】
次に、図15に示すように、昇降台20を上昇させて荷台30の下枠部材31をバッテリーBの下面に当接し、更に上昇させてバッテリーBを持ち上げる。そして、バッテリーBを搭載部101から浮上させる。
【0025】
次に、図16に示すように、ハンドカート1を後退させ、バッテリーBを搭載部101から離脱させる。バッテリーBが搭載部101から離脱すると、スプリング38-1、38-2の付勢力により、荷台30はベース部材21に対して横方向中央の中立位置へ復帰する。そして、使用者は解除レバー48を解除してロック機構40をロックして、荷台30の位置をロックして荷台30を安定させる。
【0026】
最後に、図17に示すように、昇降台20を下降させてバッテリーBの搭載部101からの取り外しが完了する。
【0027】
以上、実施の形態に沿って説明したが、本開示のハンドカートは上記実施の形態に何ら限定されるものではない。実施の形態では、昇降台に荷台を設けているが、車体本体に荷台を直接設けても構わない。その他、特許請求の範囲で特定される範囲内で適宜変更できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
荷物を運搬するハンドカートに好適に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 ハンドカート
3 車体本体
5 ハンドル
7 固定輪
9 全方向車輪(オムニホイール)
10 カバー
11 ストッパー
12 レバー
20 昇降台
21 ベース部材
22 ガイドレール
30 荷台
31 下枠部材
32 連結部材
33 後枠部材
35 側枠部材
37 ガイド部材
38-1 スプリング(右)
38-2 スプリング(左)
40 ロック機構
43 ロック孔部材
45 ロックピン
46 リンク機構
47 ケーブル
48 解除レバー
100 車両
103 案内壁
105 テーパー部
107 直線部
B 荷物(バッテリー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17