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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】収穫作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/22 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
A01D57/22 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023169324
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】平賀 亮太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 宏真
(72)【発明者】
【氏名】楠目 浩司
(72)【発明者】
【氏名】三宅 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 秀範
(72)【発明者】
【氏名】土居原 純二
(72)【発明者】
【氏名】渡部 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 栄太
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-39976(JP,A)
【文献】特開2012-157251(JP,A)
【文献】特開2012-175943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 57/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源を搭載した機体フレーム(1)の前側に刈取装置(3)を設け、該刈取装置(3)の後方左側に脱穀装置(4)を設け、前記刈取装置(3)の後方右側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置(3)の刈取フレーム(10)に、穀稈を分草する分草体(16)と、分草された穀稈を引起こす引起装置(17,70)と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置(18)と、切断された穀稈を挟持して前記脱穀装置(4)に搬送する搬送装置(19)を設け、前記刈取フレーム(10)の上部に配置された駆動源の出力回転が伝動される左右方向に延在する第1伝動筒(15)を設け、前記第1伝動筒(15)の左右方向の中間部に、少なくとも1個以上の引起装置(17,70)を設け、該引起装置(17,70)の上部側を、前記第1伝動筒(15)から下側に向かって延在する上下伝動筒(41)と、該上下伝動筒(41)の下部から左右方向に延在する左右伝動筒(42)側に上側連結部材(101)を介して連結し、該引起装置(17,70)の下部側は刈取装置3の下部側の刈取フレーム(10)に回動可能に連結し、引起装置(17)の下部側の下側連結部材(パッチン錠)(102)は、引起装置(17)が装着状態(=作業状態)であるとき、機体走行方向の後側に臨む搬送装置(19)の一部を構成する掻込装置掻込装置(19B)により操作範囲が規制され、引起装置(17)の上側連結部材(101)の連結を解除して引起装置(17)を回動させないと下側連結部材(102)の連結状態を解除できない配置としたことを特徴とする収穫作業機。
【請求項2】
引起装置(17)の上部側は、左右伝動筒(42)に内装された第1回転軸(46)の前部の凸部(54A)に、引起装置(17,70)の引起チェン(56)が巻回された駆動スプロケット(50)を支持する第2回転軸(51)の後部に設けた凹部(55A)を係合させて着脱自在に連結する構成とし、下部側の下側連結部材(102)は、取付プレート(65A)に被係合部(66B)と、被係合部(66B)に引っ掛けて連結状態に切り替える留め金具(65G)とにより構成し、刈取フレーム(10)に設ける左右フレーム(44)の外周を取付プレート(65A)と被係合部(66B)で覆い、留め金具(65G)で被係合部(66B)を上方回動させた状態で保持することで、連結状態となる構成とし、取付プレート(65A)と被係合部(66B)とは楕円形状の孔部を形成して左右フレーム(44)を包囲する構成とし、引起装置(17)を装着状態としたときは、留め金具(65G)の下方に掻込装置(19B)が臨み、被係合部(66B)の保持を解除する方向に移動できない配置構成としたことを特徴とする請求項1に記載の収穫作業機。
【請求項3】
下部側の下側連結部材(102)は、引起装置(17)を前方所定位置まで回動させると解除操作可能になる構成としたことを特徴とする請求項2に記載の収穫作業機。
【請求項4】
引起装置(17)の引起フレーム(40)の前面に、引起しカバー(25)を着脱可能に配置し、引起フレーム(40)の背面には、引起チェン(56)を周回させる駆動スプロケット(50)の回転軸(51)と、引起チェン(56)のテンション機構と、上側連結部材(101)とを配置し、引起フレーム(40)の前面は、引起しカバー(25)を外すと、駆動スプロケット(50)の位相、テンション機構の調節位置、上側連結部材(101)を構成するボルト(103)の取付穴(104)が視認可能な構成としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の収穫作業機。
【請求項5】
刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク(7)の外側側面のうち、貯留タンク(7)内に設けた排出螺旋(120)の側方部分を除いた貯留タンク(7)の上側部分を包囲する上側外側カバー(121)を、上側カバー(122)と下側カバー(123)とに上下に分割して形成し、下側カバー(123)の(機体走行方向の前後方向を長手(軸心)方向とする)回動支点軸(124)は、下側カバー(123)の上部側で、且つ貯留タンク(7)の上下方向の中央部よりも下側に配置し、下側カバー(123)の内側に補強材(126)を設け、補強材(126)の内側端部に貯留タンク(7)に接触する防振部材(127)を配置し、貯留タンク(7)には、下側カバー(123)を閉じ位置にすると接触するシール部材(128)を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の収穫作業機。
【請求項6】
刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク(7)の外側面(129)のうち、貯留タンク(7)内に設けた排出螺旋(120)の側方部分を除いた貯留タンク(7)の上側部分を包囲する上側外側カバー(121)を、上側カバー(122)と下側カバー(123)とに上下に分割して形成し、下側カバー(123)の(機体走行方向の前後方向を長手(軸心)方向とする)回動支点軸(124)は、下側カバー(123)の上部側で、且つ貯留タンク(7)の上下方向の中央部よりも機体上側に配置する構成とし、下側カバー(123)の内側に補強材(126)を設け、補強材(126)の内側端部に貯留タンク(7)に接触する防振部材(127)を配置し、貯留タンク(7)には、下側カバー(123)を閉じ位置にすると接触するシール部材(128)を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の収穫作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫作業機に係るものである。
【背景技術】
【0002】
先行特許技術における特許文献1に示すコンバイン(収穫作業機)は、刈取刃で刈り取る穀稈を引き起こす左右複数の引起装置を備え、引き起こして刈り取った穀稈を脱穀装置に送り、分離した穀粒をグレンタンク(貯留タンク)に貯留する構成である。
特許文献2に示す収穫作業機(コンバイン)は、穀粒を貯留するグレンタンクの外側を、上部側のカバーと、下部側の搬送ラセンを覆うカバーで保護している。下部側のカバーは上下幅が小さく簡単に着脱が可能であるが、上部側のカバーは上下だけでなく前後にも幅が広いので、着脱しにくく、また大きな労力を費やす問題がある。
下部側のカバーは取り外して尿素タンクの周囲を開放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007- 3741号公報
【文献】特開2020-174672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち、特許文献1の収穫作業機の引起装置は、左右方向の引起し伝動軸に各々回動自在に装着されており、上方に回動させることにより、引起装置の下方にメンテナンス用の空間部を構成することができる。
しかしながら、複数の引起装置を同時に上げ下げする必要があるので、メンテナンス等の作業前、及び作業後に余分な労力を費やさねばならない。
また、引起装置は重量物であるので、メンテナンス時には作業者の上方に位置することになるが、開放状態を保持するロックが緩んだり壊れたりすると、引起装置が作業者に当たり、作業者が怪我をする恐れがあると共に、メンテナンス作業が中断され、余分な時間が消費される問題がある。
前記公知例のうち、特許文献2に示す収穫作業機は、穀粒を貯留する貯留タンク(グレンタンク)の外側を、上部側のカバーと、下部側の搬送ラセンを覆うカバーで保護しているが、下部側のカバーは上下幅が小さく簡単に着脱が可能であるが、上部側のカバーは上下だけでなく前後にも幅が広いので、着脱しにくく、また大きな労力を費やす問題がある。
また、下部側のカバーは取り外すと、尿素タンクの周囲を開放することはできるが、グレンタンク内を開放するこはできない。
本願は、引起装置のメンテナンスを容易にすると共に、グレンタンクの貯留空間を包囲する外側バーの開閉を容易(可能)にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、駆動源を搭載した機体フレーム1の前側に刈取装置3を設け、該刈取装置3の後方左側に脱穀装置4を設け、前記刈取装置3の後方右側に操縦部5を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置3の刈取フレーム10に、穀稈を分草する分草体16と、分草された穀稈を引起こす引起装置17,70と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置18と、切断された穀稈を挟持して前記脱穀装置4に搬送する搬送装置19を設け、前記刈取フレーム10の上部に配置された駆動源の出力回転が伝動される左右方向に延在する第1伝動筒15を設け、前記第1伝動筒15の左右方向の中間部に、少なくとも1個以上の引起装置17,70を設け、該引起装置17,70の上部側を、前記第1伝動筒15から下側に向かって延在する上下伝動筒41と、該上下伝動筒41の下部から左右方向に延在する左右伝動筒42側に上側連結部材101を介して連結し、該引起装置17,70の下部側は刈取装置3の下部側の刈取フレーム10に回動可能に連結し、引起装置17の下部側の下側連結部材102は、引起装置17が装着状態であるとき、機体走行方向の後側に臨む搬送装置19の一部を構成する掻込装置掻込装置19Bにより操作範囲が規制され、引起装置17の上側連結部材101の連結を解除して引起装置17を回動させないと下側連結部材102の連結状態を解除できない配置としたことを特徴とする収穫作業機としたものである。
請求項2の発明は、引起装置17の上部側は、左右伝動筒42に内装された第1回転軸46の前部の凸部54Aに、引起装置17,70の引起チェン56が巻回された駆動スプロケット50を支持する第2回転軸51の後部に設けた凹部55Aを係合させて着脱自在に連結する構成とし、下部側の下側連結部材102は、取付プレート65Aに被係合部66Bと、被係合部66Bに引っ掛けて連結状態に切り替える留め金具65Gとにより構成し、刈取フレーム10に設ける左右フレーム44の外周を取付プレート65Aと被係合部66Bで覆い、留め金具65Gで被係合部66Bを上方回動させた状態で保持することで、連結状態となる構成とし、取付プレート65Aと被係合部66Bとは楕円形状の孔部を形成して左右フレーム44を包囲する構成とし、引起装置17を装着状態としたときは、留め金具65Gの下方に掻込装置19Bが臨み、被係合部66Bの保持を解除する方向に移動できない配置構成としたことを特徴とする請求項1に記載の収穫作業機としたものである。
請求項3の発明は、下部側の下側連結部材102は、引起装置17を前方所定位置まで回動させると解除操作可能になる構成としたことを特徴とする請求2に記載の収穫作業機としたものである。
請求項4の発明は、引起装置17の引起フレーム40の前面に、引起しカバー25を着脱可能に配置し、引起フレーム40の背面には、引起チェン56を周回させる駆動スプロケット50の回転軸51と、引起チェン56のテンション機構と、上側連結部材101とを配置し、引起フレーム40の前面は、引起しカバー25を外すと、駆動スプロケット50の位相、テンション機構の調節位置、上側連結部材101を構成するボルト103の取付穴104が視認可能な構成としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の収穫作業機としたものである。
請求項5の発明は、刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク7の外側側面のうち、貯留タンク7内に設けた排出螺旋120の側方部分を除いた貯留タンク7の上側部分を包囲する上側外側カバー121を、上側カバー122と下側カバー123とに上下に分割して形成し、下側カバー123の回動支点軸124は、下側カバー123の上部側で、且つ貯留タンク7の上下方向の中央部よりも下側に配置し、下側カバー123の内側に補強材126を設け、補強材126の内側端部に貯留タンク7に接触する防振部材127を配置し、貯留タンク7には、下側カバー123を閉じ位置にすると接触するシール部材128を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の収穫作業機としたものである。
請求項6の発明は、刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク7の外側面129のうち、貯留タンク7内に設けた排出螺旋120の側方部分を除いた貯留タンク7の上側部分を包囲する上側外側カバー121を、上側カバー122と下側カバー123とに上下に分割して形成し、下側カバー123の回動支点軸124は、下側カバー123の上部側で、且つ貯留タンク7の上下方向の中央部よりも機体上側に配置する構成とし、下側カバー123の内側に補強材126を設け、補強材126の内側端部に貯留タンク7に接触する防振部材127を配置し、貯留タンク7には、下側カバー123を閉じ位置にすると接触するシール部材128を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の収穫作業機としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明では、刈取装置3の刈取フレーム10に、穀稈を分草する分草体16と、分草された穀稈を引起こす引起装置17と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置18と、切断された穀稈を挟持して脱穀装置4に搬送する搬送装置19を設け、刈取フレーム10の上部に配置された駆動源の出力回転が伝動される左右方向に延在する第1伝動筒15を設け、前記第1伝動筒15の左右方向の中間部に、少なくとも1個以上の引起装置17,70を設け、該引起装置17,70の上部側を、前記第1伝動筒15から下側に向かって延在する上下伝動筒41と、該上下伝動筒41の下部から左右方向に延在する左右伝動筒42に連結し、該引起装置17,70の上部側を、前記第1伝動筒15から下側に向かって延在する上下伝動筒41と、該上下伝動筒41の下部から左右方向に延在する左右伝動筒42側に上側連結部材101を介して連結し、該引起装置17,70の下部側は刈取装置3の下部側の刈取フレーム10に回動可能に連結し、引起装置17の下部側の下側連結部材102は、引起装置17が装着状態(=作業状態)であるとき、機体走行方向の後側に臨む搬送装置19の一部を構成する掻込装置掻込装置19Bにより操作範囲が規制され、引起装置17の上側連結部材101の連結を解除して引起装置17を回動させないと下側連結部材102の連結状態を解除できない配置としているので、引起装置17の連結を解除する際、上側連結部材101の連結を先に解除し、引起装置17を前方に回動させないと、下側連結部材102が外れない構成により、上側連結部材101を後から外した際に引起装置17が直下に落下することを防止でき、引起装置17および引起ラグ35などの破損や、作業者の足に接触することを防止できる。
一方、上側連結部材101を先に外し、下側連結部材102の連結を外さずに、引起装置17を前側に回動させることにより、下側連結部材102の連結を解除した際に引起装置17の上部側が前側に倒れやすくなるので、引起装置17の上部側が前方に倒れる前に引起装置17を受け止める猶予が長くなると共に、倒れ切っても前側カバー25が地面に接触するので、引起装置17が使用できなくなることを防止できる。
請求項2では、引起装置17の上部側は、左右伝動筒42に内装された第1回転軸46の前部の凸部54Aに、引起装置17,70の引起チェン56が巻回された駆動スプロケット50を支持する第2回転軸51の後部に設けた凹部55Aを係合させて着脱自在に連結する構成とし、下部側の下側連結部材102は、取付プレート65Aに被係合部(回動フック)66Bと、被係合部66Bに引っ掛けて連結状態に切り替える留め金具(パッチン錠、またはクランパ)65Gとにより構成し、刈取フレーム10に設ける左右フレーム(取付回動軸)44の外周を取付プレート65Aと被係合部66Bで覆い、留め金具65Gで被係合部66Bを上方回動させた状態で保持することで、連結状態となる構成とし、取付プレート65Aと被係合部66Bとは楕円形状(異径)の孔部を形成して左右フレーム44を包囲する構成とし、引起装置17を装着状態としたときは、留め金具65Gの下方に掻込装置19Bが臨み、被係合部66Bの保持を解除する方向に移動できない配置構成としているので、左右フレーム44が楕円形状の孔部に包囲されることにより、装着時に左右フレーム44との位置合わせを微調整する必要がなくなるので、装着作業の能率が向上する。
取付プレート65Aと被係合部66Bが左右フレーム44を締め付けないので、引起装置17の回動を比較的軽い力で行えるので、着脱作業の労力が軽減される。
請求項3では、下部側の下側連結部材102は、引起装置17を前方所定位置(例えば、引起装置17が垂直になる位置)まで回動させると解除操作可能になる構成としているので、引起装置17の上側連結部材101の連結を解除し、下側連結部材102が掻込装置掻込装置19Bから所定距離離間する位置で解除操作が可能になることにより、連結を解除した際に引起装置17が後方に向かって回動することを防止でき、上下伝動筒41および左右伝動筒42側とぶつかって破損することを防止できる。
請求項4では、引起装置17の引起フレーム40の前面に、引起しカバー25を着脱可能に配置し、引起フレーム40の背面には、引起しチェン(無端帯)56を周回させる駆動スプロケット(引起し駆動回転体)50の回転軸(入力軸)51と、引起チェン56のテンション機構と、上側連結部材101(連結ボルト)とを配置し、引起フレーム40の前面は、引起しカバー25を外すと、駆動スプロケット50の位相、テンション機構の調節位置、前記上側連結部材101を構成するボルト103の取付穴取付穴104が視認可能な構成としているので、引起しカバー25を取り外すと、駆動スプロケット(引起し駆動回転体)50の位相、テンション機構の調節位置、上側連結部材101の取付穴取付穴104が視認可能になることにより、連結時の駆動スプロケット(引起し駆動回転体)50の位相の調節や、上側連結部材101の取付位置を把握しやすくなり、装着作業の能率が向上する。
請求項5では、刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク(グレンタンク)7の外側側面のうち、貯留タンク7内に設けた排出螺旋120の側方部分を除いた貯留タンク7の上側部分を包囲する上側外側カバー121を、上側カバー122と下側カバー123とに上下に分割して形成し、下側カバー123の(機体走行方向の前後方向を長手(軸心)方向とする)回動支点軸124は、下側カバー123の上部側で、且つ貯留タンク7の上下方向の中央部よりも下側に配置し、下側カバー123の内側に(S字形状の)補強材126を設け、補強材126の内側端部に貯留タンク7(の外壁)に接触する防振部材(インシュレータ)127を配置し、貯留タンク7には、下側カバー123を閉じ位置(作業位置)にすると接触するシール部材(ウェザーストリップ)128を設けているので、貯留タンク7の上側外側カバー121のうち、下側カバー123を開閉可能としたことにより、貯留タンク7の清掃や詰まりの解消などの作業を容易に行うことができる。
下側カバー123の開閉の回動支点軸124を貯留タンク7の上下中央位置よりも下方に配置したことにより、開閉する部分を相対的に小さくできるので、下側カバー123の軽量化が図られ開閉操作性が向上する。
下側カバー123を閉じ位置に操作すると、貯留タンク7の外側面129と下側カバー123との双方に防振部材防振部材127とシール部材128が接触するので、穀粒の漏れ出しを防止しつつ開閉時に空気が抜けやすくなるので、内圧により開閉が妨げられることが防止される。
請求項6では、刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク(グレンタンク)7の外側面129のうち、貯留タンク7内に設けた排出螺旋120の側方部分を除いた貯留タンク7の上側部分を包囲する上側外側カバー121を、上側カバー122と下側カバー123とに上下に分割して形成し、下側カバー123の(機体走行方向の前後方向を長手(軸心)方向とする)回動支点軸124は、下側カバー123の上部側で、且つ貯留タンク7の上下方向の中央部よりも機体上側に配置する構成とし、下側カバー123の内側に(S字形状の)補強材126を設け、補強材126の内側端部に貯留タンク7(の外壁)に接触する防振部材(インシュレータ)127を配置し、貯留タンク7には、下側カバー123を閉じ位置(作業位置)にすると接触するシール部材128(ウェザーストリップ)を設けているので、貯留タンク7の外側カバーのうち、下側カバー123を開閉可能としたことにより、貯留タンク7の清掃や詰まりの解消などの作業を容易に行うことができる。
開閉の回動支点124を貯留タンク7の上下中央位置よりも上方に配置したことにより、開閉する部分を相対的に大きくできるので、メンテナンス作業スペースを広く確保でき、作業性が向上する。
下側カバー123を閉じ位置に操作すると、貯留タンク7と下側カバー123の双方に防振部材127とシール部材128とが接触するので、穀粒の漏れ出しを防止しつつ開閉時に空気が抜けやすくなるので、内圧により開閉が妨げられることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】収穫作業機(コンバイン)の正面図である。
図2】コンバインの左側面図である。
図3】刈取装置の左側面図である。
図4】刈取装置の右側面図である。
図5】引起装置の正面図である。
図6】引起装置を固定するフレームの正面図である。
図7】引起フレームの斜視図である。
図8】引起フレームの正面図である。
図9】引起フレームの左側面図である。
図10】引起フレームの背面図である。
図11】引起フレームの平面図である。
図12】左右伝動筒の斜視図である。
図13】引起装置の上部の背面図である。
図14】連結が解除された左右伝動筒と引起装置の回転軸の斜視図である。
図15】連結が解除された左右伝動筒と引起装置の回転軸の正面図である。
図16】連結された左右伝動筒と引起装置の回転軸の正面図である。
図17】引起装置を固定するフレームの背面図である。
図18図17の要部を拡大した背面図である。
図19】ノズル支持部材の斜視図である。
図20】ノズル支持部材を説明する引起装置の上部の背面図である。
図21】ノズル支持部材を説明する引起装置の上部の左側面図である。
図22】左右伝動筒に引起装置を固定した左側面図である。
図23図22の分草フレームの上部を前側に移動した左側面図である。
図24図23の引起装置の上部を前側に移動した左側面図である。
図25図24の引起装置の下部を上側に取外した左側面図である。
図26】規制ピンを説明する引起装置の(a)は平面図、(b)は右側面図、(c)は正面図、(d)は左側面図である。
図27】左右伝動筒の係合部と引起装置の被係合部を係合した係合部品の左側面図である。
図28】左右伝動筒の係合部と引起装置の被係合部の係合を解除した係合部品の左側面図である。
図29】左右フレームを挟持した引起装置の係合部品の左側面図である。
図30】左右フレームの挟持を解除した引起装置の係合部品の左側面図である。
図31】他のコンバインの正面図である。
図32】左サイドミラーフレームに車幅灯を固定した正面図である。
図33】操作レバーを説明する刈取装置の斜視図である。
図34】操作レバーを説明する刈取装置の平面図である。
図35】注油コントローラを説明する刈取装置の右側面図である。
図36図35の要部を拡大した右側面図である。
図37】注油コントローラを説明する刈取装置の平面図である。
図38】注油コントローラのスイッチの説明図である。
図39】第1実施形態の刈刃保護部の右側面図である。
図40図39の前後ロッドに安全板を装着した右側面図である。
図41】第2実施形態の刈刃保護部の右側面図である。
図42図41の前後ロッドの後部を伝動筒の右壁に固定した右側面図である。
図43】引起装置の左側面図である。
図44】引起装置の背面図である。
図45】刈取装置の左部に引起装置を係止した左側面図である。
図46】刈取装置の左部に引起装置を係止した正面図である。
図47】操縦部の前部に引起装置を係止した右側面図である。
図48】脱穀装置の上部に引起装置を係止した左側面図である。
図49】ナノ―ガイドに引起装置を係止した左側面図である。
図50】サイドミラーを説明する刈取装置の左側面図である。
図51】刈取装置を支持する支持装置の斜視図である。
図52】右支持装置の正面図である。
図53】右支持装置の左側面図である。
図54】サンバイザーの右側面図である。
図55】サンバイザーの正面図である。
図56】貯留タンクの側面図である。
図57】貯留タンクの他の実施形態の側面図である。
図58】ヒンジの斜視図および配置を示す概略平面図である。
図59】下側カバーのシール部材と防振部材の断面図である。
図60】貯留タンクの斜視図である。
図61】下側カバーのヒンジ部分の断面図である。
図62】同斜視図である。
図63】取っ手部分の斜視図である。
図64】下側カバーのシール部材と防振部材の一部切断斜視図である。
図65】同空気の流れを説明する概略図である。
図66】下側カバーを上方回動させた状態の斜視図である。
図67】ロック機構の斜視図である。
図68】揚穀カバーの開放状態平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1、2に示すように、収穫作業機(コンバイン)は、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
操縦部5の下側には、駆動源(エンジン)を搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク(貯留タンク)7が設けられ、グレンタンク7の後側には、穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部と前後方向に延在する横排出からなる排出オーガ8が設けられている。
刈取装置3の刈取フレーム10は、駆動源の出力回転が伝動される左右方向に延在する伝動筒11と、伝動筒11の右部から前方下側に延在する伝動筒12と、伝動筒12の下部から左右方向に延在する伝動筒13と、伝動筒13の左部から上側に延在する伝動筒14と、伝動筒14の上部から左右方向に延在する伝動筒15から形成されている。なお、伝動筒11~15の内部には駆動源(エンジン)の出力回転が伝動される回転軸がベアリング等を介して内装されている。
【0009】
刈取フレーム10には、圃場に植立する穀稈を分草する分草体16と、分草された穀稈を引起こす引起装置17と、引起こされた穀稈の株元を切断する左右一対の刈刃装置18と、刈取られた穀稈を挟持して脱穀装置4に搬送する搬送装置19が装着されている。
図3、4に示すように、伝動筒11の右部と伝動筒15の中間部は、丸鋼からなる連結部材20で連結され、伝動筒15の右部と伝動筒13の右部は、丸鋼からなる連結部材21で連結されている。これにより、伝動筒15の左部を伝動筒14で支持し、伝動筒15の中間部を連結部材20で支持し、伝動筒15の右部を連結部材21で支持するので、伝動筒15の撓みや捻じり等の変形を抑制することができる。
連結部材20は、搬送装置19の上側を超えるように、伝動筒11の右部から前方上側に延在した後に、前側に延在し、その後、前方下側に延在して伝動筒15に至っている。また、連結部材21は、搬送装置19の上側を超えるように、伝動筒13の右部から前方上側に延在した後に、上側に延在し、その後、前方上側に延在して伝動筒15に至っている。
【0010】
図5に示すように、分草体16は、5個の分草体16A~16Eから形成されている。分草体16A~16Eは、左右方向に所定の間隔を隔てて設けられた伝動筒13から前側に延在する前後フレーム22の前部に固定されている。また、最も左側に設けられた前後フレーム22と最も右側に設けられた前後フレーム22の中間部を連結する丸パイプで形成されたフレーム23で連結されている。
引起装置17は、4個の引起装置17A~17Dから形成されている。引起装置17Bの引起こし反対側の右部と引起装置17Cの引起こし反対側の左部を対向して配置している。これにより、引起装置17A,17Bの間で2条、引起装置17C,17Dの間で2条の計4条の穀稈を同時に引起こすことができる。
【0011】
図6に示すように、引起装置17Aの上部に設けられた駆動スプロケットを支持する回転軸(図示省略)は、伝動筒15の左部から下側に延在する上下伝動筒30Lの回転軸31Lに連結され、引起装置17Aの下部は、フレーム23の左部から上方右側に湾曲するステー32Lに設けられた矩形状の連結部材33Lに固定されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動された駆動源(エンジン)の出力回転は、上下伝動筒30Lに内装された回転軸31Lを介して引起装置17Aの駆動スプロケットに伝動されて引起チェンを回動することができる。また、伝動筒15の前側にはカバー25が設けられている。
引起装置17Dの上部に設けられた駆動スプロケットを支持する回転軸(図示省略)は、伝動筒15の右部から下側に延在する上下伝動筒30Rの回転軸31Rに連結され、引起装置17Dの下部は、フレーム23の右部から上方左側に湾曲するステー32Rに設けられた矩形状の連結部材33Rに固定されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動された駆動源(エンジン)の出力回転は、上下伝動筒30Rに内装された回転軸31Rを介して引起装置17Dの駆動スプロケットに伝動されて引起チェンを回動することができる。
【0012】
伝動筒15の左右方向の中間部には、引起フレーム40が設けられている。引起フレーム40は、伝動筒15の中間部から下側に延在する上下伝動筒41と、上下伝動筒41の下部から左右方向に延在する左右伝動筒42で形成されている。また、上下伝動筒41と左右伝動筒42の内部には駆動源(エンジン)の出力回転が伝動される回転軸がベアリング等を介して内装され、左右伝動筒42の内部の回転軸は左右方向に延在した後に、両側部からベベルギヤを介して前側に延在している。
図7~11に示すように、左右伝動筒42の左右方向の中心は、上下伝動筒41の上下方向に延在する軸心よりも左側に偏移した位置に設けられている。すなわち、左右伝動筒42における上下伝動筒41の下部から左側に延在する長さL1が上下伝動筒41の下部から左側に延在する長さL2よりも長く形成されている。これにより、図5に示すように、引起装置17Bと引起装置17Cの左右方向の中心部が上下伝動筒41の上下方向に延在する軸心よりも左側に偏移した位置に設けられ、引起装置17Bの右部と引起装置17Cの左部の間に設けられた吊下フレーム24の上部を上下伝動筒41から容易に着脱させて引起装置17Bと引起装置17Cの上部を容易に着脱させることができる。
【0013】
左右伝動筒42の後部には、左右伝動筒42における上下伝動筒41の下部から右側に長さL3の位置に、補助引起装置(図示省略)用の回転軸を設けることができる連結部42Aが設けられている。本実施径においては、長さL1を長さL2と長さL3の加算値にしている、例えば、長さL2が135mmで、長さL3が45mmの場合には長さL1を180mmに形成する。これにより、左右伝動筒42に内装された左右方向に延在する回転軸(図示省略)に加わるモーメントによって発生する回転軸のねじりを抑制することができる。
上下伝動筒41の上部には、引起装置17Bと引起装置17Cの上部を当接させる当接部材41Aが設けられている。また、側面視において、左右伝動筒42の回転軸46Lを内装する左連結部42Lの左前面と回転軸46Rを内装する右連結部42Rの右前面は、上下伝動筒41の上下方向に延在する軸心と所定の交差角度を有して形成され、当接部材41前面とは略平行に形成されている。これにより、引起装置17Bと引起装置17Cの上端部を当接部材41Aに当接させて、引起装置17Bと引起装置17Cの上部をそれぞれ左連結部42Lの左前面と右連結部42Rの右前面に着脱することができる。なお、本明細書では、回転軸46Lと回転軸46Rを総称して回転軸46という。
【0014】
伝動筒15に引起フレーム40が装着する場合には、上下伝動筒41は伝動筒15から下方前側に延在する姿勢で装着される。また、左連結部42Lの左前面と右連結部42Rの右前面は左右対称に形成され、左連結部42Lの左前面には左右方向の中心から左側に偏移した位置にボルト等を挿通する上下一対の開口部が形成され、右連結部42Rの右前面には左右方向の中心から右側に偏移した位置にボルト等を挿通する上下一対の開口部が形成されている。これにより、引起装置17Bと引起装置17Cの上部をそれぞれ左連結部42Lの左前面と右連結部42Rの右前面により容易に着脱することができる。
左右伝動筒42の外径は上下伝動筒41の外径よりも大きく形成されている。これにより、左右伝動筒42に沿って左右方向に延在する回転軸(図示省略)の径を大きくすることができ駆動源(エンジン)の出力回転を引起装置17Bと引起装置17Cに効率良く伝動することができる。なお、後述する引起装置70Bと引起装置70Cの上部は伝動筒15の中間部の左側に設けられた引起フレーム40に固定され、引起装置70Dと引起装置70Eの上部は伝動筒15の中間部の右側に設けられた引起フレーム40に固定される。
【0015】
図6に示すように、フレーム23の中間部には、中間部から上側に延在するステー43が設けられ、ステー43の上部には丸パイプから形成された左右方向に延在する左右フレーム44が設けられている。また、左右フレーム44の両側部にはワッシャ等からなる規制部材44L,44Rが設けられている。これにより、後述する左挟持部品48Lと右挟持部品48Rが左右フレーム44から左右方向に外れるのを防止することができる。
左右伝動筒42と左右フレーム44の左部は、左上下フレーム45Lで連結され、左右伝動筒42と左右フレーム44の右部は、右上下フレーム45Rで連結されている。これにより、左右伝動筒42と左右フレーム44の剛性を高めることができ、引起装置17B,17Cを取外した場合においても左右伝動筒42と左右フレーム44の変形を抑制することができる。なお、背面視において、上下伝動筒41、左右伝動筒42、ステー43、左右フレーム44、左上下フレーム45L、及び右上下フレーム45Rは、引起装置17B,17Cの外周部よりも内側に配置されている。
【0016】
図6に示すように、引起装置17Bの上部に設けられた後述する駆動スプロケット50Lを支持する回転軸51Lは、左右伝動筒42の回転軸46Lに連結されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動された駆動源(エンジン)の出力回転は、上下伝動筒41と左右伝動筒42に内装された回転軸46L等を介して引起装置17Bの駆動スプロケット50Lに伝動されて引起チェン56を回動することができる。
引起装置17Cの上部に設けられた駆動スプロケット50Rを支持する回転軸51Rは、左右伝動筒42の回転軸46Rに連結されている。これにより、伝動筒15に内装された回転軸に伝動された駆動源(エンジン)の出力回転は、上下伝動筒41と左右伝動筒42に内装された回転軸46R等を介して引起装置17Cの駆動スプロケット50Rに伝動されて引起チェン56を回動することができる。
図12、13に示すように、回転軸46Lの前端部は左連結部42Lの前面よりも前側に延在し、引起装置17Bの上部に設けられた駆動スプロケット50Lを支持する回転軸51Lの後端部は、引起装置17Bの後面よりも前側に位置している。これにより、左連結部42Lの回転軸46Lの前端部を引起装置17Bの回転軸51Lの後端部に容易に連結することができる。
【0017】
回転軸46Rの前端部は右連結部42Rの前面よりも前側に延在し、引起装置17Cの上部に設けられた駆動スプロケット50Rを支持する回転軸51Rの後端部は、引起装置17Cの後面よりも前側に位置している。これにより、右連結部42Rの回転軸46Rの前端部を引起装置17Cの回転軸51Rの後端部に容易に連結することができる。なお、本明細書では、駆動スプロケット50Lと駆動スプロケット50Lを総称して駆動スプロケット50といい、回転軸51Lと回転軸51Rを総称して回転軸51という。
図14~16に示すように、回転軸46Lの前部は多角形状の凸部54Aが形成され、凸部54Aの外周部の前端部には面取部54Bが形成されている。回転軸51Lの後部には多角形状の凹部55Aが形成され、凹部55Aの内周部の後端部は面取部55Bが形成されている。これにより、回転軸46Lの凸部54Aを回転軸51Lの凹部55Aに容易に挿入して連結することができる。また、回転軸46Rの前部は多角形状の凸部54Aが形成され、凸部54Aの外周部の前端部は面取部54Bされている。回転軸51Rの後部には多角形状の凹部55Aが形成され、凹部の内周部の後端部は面取部55Bが形成されている。これにより、回転軸46Rの凸部54Aを回転軸51Rの凹部55Aに容易に挿入して連結することができる。
【0018】
回転軸46Lと回転軸46Rの凸部54Aの4角形状に替えて5角形状や6角形状、スプライン状に形成し、回転軸51Lと回転軸51Rの凹部55Aの4角形状に替えて5角形状や6角形状、スプライン状に形成することもできる。
回転軸46Lと回転軸46Rは軸受を介してそれぞれ左連結部42Lと右連結部42Rに固定され、回転軸51Lと回転軸51Rは軸受を介してそれぞれ引起装置17Bと引起装置17Cに固定されている。
図17、18に示すように、引起装置17Bの上部における回転軸46Lに対向する部位に近接する部位は、スナップ錠等の左係合部品47Lを介して左右伝動筒42の左部に固定され、引起装置17Bの下部は、スナップ錠等の左挟持部品48Lを介して左右フレーム44の左部に固定されている。これにより、回転軸46Lと回転軸51Lの連結を強固に維持することができる。
引起装置17Cの上部における回転軸46Rに対向する部位に近接する部位は、スナップ錠等の右係合部品47Rを介して左右伝動筒42の右部に固定され、引起装置17Cの下部は、スナップ錠等の右挟持部品48Rを介して左右フレーム44の右部に固定されている。なお、後述する引起装置70Bと引起装置70Cの下部はフレーム23の中間部の左側に設けられた左右フレーム44の両側部に固定され、引起装置70Dと引起装置70Eの下部はフレーム23の中間部の右側に設けられた左右フレーム44の両側部に固定される。これにより、回転軸46Rと回転軸51Rの連結を強固に維持することができる。
【0019】
左右伝動筒42の左右方向の両側部には引起装置17Bと引起装置17Cの引起チェン56にオイルを注油する注油ノズルを支持するノズル支持部材49が設けられている。また、引起チェン56には所定の間隔を隔てて引起ラグ35が装着されており、引起ラグ35は引起装置17B等の下部から上部に移動中には起立し、引起装置17B等の上部から下部に移動中には倒伏する。
図19~21に示すように、ノズル支持部材49は、左右伝動筒42に固定する固定部49Aと、固定部49Aの下部から下方前側に延在する上パイプ部49Bと、上パイプ部49Bの左下部の設けられた板状の取付部49Cと、上パイプ部49Bの右下部から設けられた板を折曲げて形成した取付部49Dと、取付部49Dから下側に延在した後に一側に湾曲して延在する下パイプ部49Eと、下パイプ部49Eの下部に設けられた板状の取付部49Fから形成されている。
取付部49Cには、注油ノズル(図示省略)が装着され、取付部49Dには、引起装置17B等で引起こされている穀稈の有無を測定する穀稈センサ58Aが装着され、取付部49Fには、引起装置17B等で引起こされている穀稈の穂先を上側に案内する穂先ガイド58Bが装着されている。穀稈センサ58Aは、支持部と、支持部に回転自在に支持されたセンサ本体で形成されている。
【0020】
引起こされている穀稈の有る場合には、センサ本体の長手方向である長軸は穂先ガイド58Bの上部と平行な平行姿勢になり、引起こされている穀稈の無い場合には、センサ本体の長軸は穂先ガイド58Bに略直交する直交姿勢になる。これにより、センサ本体に穀稈の穂先が絡まるのを防止することができ、穀稈を容易に引起こすことができる。
図22に示すように、上下伝動筒41の前部に設けられた係合部材52から下方前側に延在する吊下フレーム24の下部は、分草体16Cの後部に設けられた左右方向に延在するピン53に回転自在に支持されている。これにより、図23に示すように、吊下フレーム24の上部と係合部材52の係合を解除して、ピン53の軸心回りに吊下フレーム24の上部を前側に引き出して引起装置17Bと引起装置17Cの着脱を容易に行うことができる。
図22に示すように、引起装置17Bの後面における上部、すなわち、駆動スプロケット50Lよりも下側の部位は、左係合部品47Lを介して左右伝動筒42の左部に固定され、引起装置17Bの後面における下部は、左挟持部品48Lを介して左右フレーム44の左部に固定されている。
【0021】
引起装置17Bを左右伝動筒42等から取外す場合には、先ず、図24に示すように、引起装置17Bの回転軸51Lと左右伝動筒42の回転軸46Lの連結を解除し、引起装置17Bの後面の上部と左係合部品47Lの係合を解除して、左右フレーム44の軸心回りに引起装置17Bの上部を前側に引き出す。次に、図25に示すように、引起装置17Bの下部と左挟持部品48Lの係合を解除して、引起装置17Bの下部を左右フレーム44の左部から取り外す。これにより、引起装置17Bを左右伝動筒42等から取外して引起装置17Bの後側に配置された搬送装置19に絡み付いた穀稈を容易に取除くことができる。
左上下フレーム45Lは、引起装置17Bの後面と平行に設けられている。これにより、左右伝動筒42と左右フレーム44の左部の剛性をより高めることができる。
同様に、引起装置17Cの後面における上部、すなわち、駆動スプロケット50Rよりも下側の部位は、右係合部品47Rを介して左右伝動筒42の右部に固定され、引起装置17Cの後面における下部は、左挟持部品48Lを介して左右フレーム44の右部に固定されている。
【0022】
引起装置17Cを左右伝動筒42等から取外す場合には、引起装置17Bと同様に、引起装置17Cの回転軸51Rと左右伝動筒42の回転軸46Rの連結を解除し、引起装置17Cの後面の上部と右係合部品47Rの係合を解除して、左右フレーム44の軸心回りに引起装置17Cの上部を前側に引き出す。次に、引起装置17Cの下部と右挟持部品48Rの係合を解除して、引起装置17Cの下部を左右フレーム44の右部から取り外す。これにより、引起装置17Cを左右伝動筒42等から取外して引起装置17Cの後側に配置された搬送装置19に絡み付いた穀稈を容易に取除くことができる。
右上下フレーム45Rは、引起装置17Cの後面と平行に設けられている。これにより、左右伝動筒42と左右フレーム44の右部の剛性をより高めることができる。
図26に示すように、左右伝動筒42の左連結部42Lから取外した引起装置17Bの引起チェン56における駆動スプロケット50Lとテンションスプロケット81の間には、上側から下側に向けて引起チェン56の移動を規制するスナップピン57を挿通するのが好ましい。スナップピン57は、挿通時に利用する円形状の把持部と、引起チェン56を挟持する二股のスナップ部から形成されている。
【0023】
回転軸51Lに軸心視において、引起チェン56が時計方向に回動するとスナップピン57のピン部が駆動スプロケット50Lの歯先に接触して引起チェン56の時計方向の回動が規制され、引起チェン56が反時計方向に回動するとスナップピン57のピン部がテンションスプロケット81の歯先に接触して引起チェン56の反時計方向の回動が規制される。これにより、左右伝動筒42から取外された引起装置17Bの引起チェン56の回動が防止されて引起ラグ35の上下方向の移動が規制されて、引起ラグ35の上下方向の位置合わせをすることなく左連結部42Lに引起装置17Bを容易に再度取付けることができる。
同様に、左右伝動筒42の右連結部42Rから取外した引起装置17Cの引起チェン56における駆動スプロケット50Rとテンションスプロケット81の間には、上側から下側に向けてスナップピン57を挿通するのが好ましい。
図27、28に示すように、左係合部品47Lは、左右伝動筒42の左部に設けられた係合部60と、引起装置17Bの後面に設けられた被係合部61から形成されている。係合部60は、取付プレート60Aと、取付プレート60Aに設けられた上下方向に延在するピン60Bと、ピン60Bに回転自在に装着されたレバー60Cと、レバー60Cに設けられたフック60Dから形成されている。なお、被係合部61は、引起装置17Bの後面から後側に向けて延在し、被係合部61の右部には、フック60Dが係合する凹凸が形成されている。これにより、引起装置17Bの上部を、左右伝動筒42の左部から容易に着脱することができる。
【0024】
同様に、右係合部品47Rは、左右伝動筒42の右部に設けられた係合部60と、引起装置17Cの後面に設けられた被係合部61から形成されている。係合部60は、取付プレート60Aと、取付プレート60Aに設けられた上下方向に延在するピン60Bと、ピン60Bに回転自在に装着されたレバー60Cと、レバー60Cに設けられたフック60Dから形成されている。なお、被係合部61は、引起装置17Cの後面から後側に向けて延在し、被係合部61の左部には、フック60Dが係合する凹凸が形成されている。これにより、引起装置17Cの上部を、左右伝動筒42の右部から容易に着脱することができる。
図29、30に示すように、左挟持部品48Lは、引起装置17Bの後面の下部に設けられた上挟持部65と、上挟持部65の下側に設けられた下挟持部66から形成されている。延在するピン65Bと、ピン65Bに支持された略円弧状の上挟持本体部65Cと、取付プレート65Aの上部に設けられた左右方向に延在するピン65Dと、ピン65Dに回転自在に装着されたレバー65Eと、レバー65Eに設けられたフック65Fから形成されている。なお、上挟持本体部65Cの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましい。
【0025】
下挟持部66は、ピン65Bに回転自在に支持された略円弧状の下挟持本体部66Aと、下挟持本体部66Aの後端部に設けられた被係合部66Bから形成され、被係合部66Bの後部は後方下側に湾曲している。これにより、引起装置17Bの下部を、左右フレーム44の左部に容易に着脱することができる。なお、下挟持本体部66Aの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましく、下挟持本体部66Aを高硬度の弾性部材で製作することもできる。
同様に、右挟持部品48Rは、引起装置17Cの後面の下部に設けられた上挟持部65と、上挟持部65の下側に設けられた下挟持部66から形成されている。
上挟持部65は、取付プレート65Aと、取付プレート65Aの下部に設けられた左右方向に延在するピン65Bと、ピン65Bに支持された略円弧状の上挟持本体部65Cと、取付プレート65Aの上部に設けられた左右方向に延在するピン65Dと、ピン65Dに回転自在に装着されたレバー65Eと、レバー65Eに設けられたフック65Fから形成されている。なお、上挟持本体部65Cの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましい。
【0026】
下挟持部66は、ピン65Bに回転自在に支持された略円弧状の下挟持本体部66Aと、下挟持本体部66Aの後端部に設けられた被係合部66Bから形成され、被係合部66Bの後部は後方下側に湾曲している。これにより、引起装置17Cの下部を、左右フレーム44の左部に容易に着脱することができる。なお、下挟持本体部66Aの内周面にはゴム等の弾性部材を積層するのが好ましく、下挟持本体部66Aを高硬度の弾性部材で製作することもできる。
そして、下部側の下側連結部材102は、取付プレート65Aに設けた被係合部(回動フック・係合ピン)66Bと、被係合部66Bに引っ掛けて連結状態に切り替える留め金具(パッチン錠、またはクランパ)65Gとにより構成する(図29)。
駆動源(エンジンを搭載した機体フレーム1の前側に刈取装置3を設け、該刈取装置3の後方左側に脱穀装置4を設け、前記刈取装置3の後方右側に操縦部5を設けたコンバインにおいて、前記刈取装置3の刈取フレーム10に、穀稈を分草する分草体16と、分草された穀稈を引起こす引起装置17,70と、引起こされた穀稈の株元を切断する刈刃装置18と、切断された穀稈を挟持して前記脱穀装置4に搬送する搬送装置19を設ける。
【0027】
前記刈取フレーム10の上部に配置された駆動源が伝動される左右方向に延在する第1伝動筒15を設け、前記第1伝動筒15の左右方向の中間部に、少なくとも1個以上の引起装置17,70を設け、該引起装置17,70の上部側を、前記第1伝動筒15から下側に向かって延在する上下伝動筒41と、該上下伝動筒41の下部から左右方向に延在する左右伝動筒42に連結し、該引起装置17,70の上部側を、前記第1伝動筒15から下側に向かって延在する上下伝動筒41と、該上下伝動筒41の下部から左右方向に延在する左右伝動筒42側に上側連結部材101連結ボルト103を介して連結し(図13、該引起装置17,70の下部側は刈取装置3の下部側の刈取フレーム10に回動可能に連結し、引起装置17の下部側の下側連結部材102は、引起装置17が装着状態(=作業状態であるとき、機体走行方向の後側に臨む搬送装置19の一部を構成する掻込装置掻込装置19Bにより操作範囲が規制され、引起装置17の上側連結部材101の連結を解除して引起装置17を回動させないと下側連結部材102の連結状態を解除できない配置とする。
【0028】
引起装置17の連結を解除する際、上側連結部材101の連結を先に解除し、引起装置17を前方に回動させないと、下側連結部材102が外れない構成により、上側連結部材101を後から外した際に引起装置17が直下に落下することを防止でき、引起装置17および引起ラグ35などの破損や、作業者の足に接触することを防止できる。
一方、上側連結部材101を先に外し、下側連結部材102の連結を外さずに、引起装置17を前側に回動させることにより、下側連結部材102の連結を解除した際に引起装置17の上部側が前側に倒れやすくなるので、引起装置17の上部側が前方に倒れる前に引起装置17を受け止める猶予が長くなると共に、倒れ切っても前側カバー25が地面に接触するので、引起装置17が使用できなくなることを防止できる。
【0029】
引起装置17の上部側は、左右伝動筒42に内装された第1回転軸46の前部の凸部54Aに、引起装置17,70の引起チェン56が巻回された駆動スプロケット50を支持する第2回転軸51の後部に設けた凹部55Aを係合させて着脱自在に連結する構成とし、下部側の下側連結部材102は、取付プレート65Aに被係合部(回動フック・係合ピン)66Bと、被係合部66Bに引っ掛けて連結状態に切り替える留め金具(パッチン錠、またはクランパ)65Gとにより構成し(図29)、刈取フレーム10に設ける左右フレーム(取付回動軸)44の外周を取付プレート65Aと被係合部(被係合部(回動フック)66Bで覆い、留め金具65Gで被係合部(回動フック)66Bを上方回動させた状態で保持することで、連結状態となる構成とし、取付プレート65Aと被係合部(回動フック)66Bとは楕円形状(=正円ではない異径形状)の孔部を形成して左右フレーム(取付回動軸)44を包囲する構成とし(図29)、引起装置17を装着状態としたときは、留め金具65Gの下方に掻込装置19Bが臨み、被係合部(回動フック)66Bの保持を解除する方向に移動できない配置構成とする。
【0030】
そのため、左右フレーム(取付回動軸)44が楕円形状(異径形状)の孔部に包囲されることにより、装着時に左右フレーム(取付回動軸)44との位置合わせを微調整する必要がなくなるので、装着作業の能率が向上する。
取付プレート65Aと被係合部(回動フック)66Bが左右フレーム(取付回動軸)44を締め付けないので、引起装置17の回動を比較的軽い力で行えるので、着脱作業の労力が軽減される。
下部側の下側連結部材102は、引起装置17を前方所定位置(例:引起装置が垂直になる位置)まで回動させると解除操作可能になる構成とする。
そのため、引起装置17の上側連結部材101の連結を解除し、下側連結部材102が掻込装置掻込装置19Bから所定距離離間する位置で解除操作が可能になることにより、連結を解除した際に引起装置17が後方に向かって回動することを防止でき、上下伝動筒41および左右伝動筒42側とぶつかって破損することを防止できる。
【0031】
引起装置17の引起フレーム40の前面に、引起しカバー25を着脱可能に配置し、引起フレーム40の背面には、引起チェン(無端帯)56を周回させる駆動スプロケット(引起し駆動回転体)50の回転軸(入力軸)51と、引起チェン56のテンション機構と、上側連結部材101(連結ボルト)とを配置し、引起フレーム40の前面は、引起しカバー25を外すと、駆動スプロケット(引起し駆動回転体)50の(入力軸の)位相、テンション機構の調節位置、前記上側連結部材101を構成するボルト103の取付穴104が視認可能な構成とする。
引起しカバー25を取り外すと、駆動スプロケット(引起し駆動回転体)50の位相、テンション機構の調節位置、上側連結部材101の取付穴取付穴104が視認可能になることにより、連結時の駆動スプロケット(引起し駆動回転体)50の位相の調節や、上側連結部材101の取付位置を把握しやすくなり、装着作業の能率が向上する。
【0032】
刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク(グレンタンク)7の外側側面のうち、貯留タンク7内に設けた排出螺旋120の側方部分を除いた貯留タンク7の上側部分を包囲する上側外側カバー121を、上側カバー122と下側カバー123とに上下に分割して形成し、下側カバー123の機体走行方向の前後方向を長手(軸心)方向とする回動支点軸124は、下側カバー123の上部側で、且つ貯留タンク7の上下方向の中央部よりも下側に配置し、下側カバー123の内側に平面視においてS字形状の補強材126を設け、補強材126の内側端部に貯留タンク7の外側カバー121に接触する防振部材(インシュレータ)127を配置し、貯留タンク7には、下側カバー123を閉じ位置(作業位置)にすると接触するシール部材(ウェザーストリップ)128を設ける。
【0033】
すなわち、貯留タンク7は平面視において前後板と左右側板とにより略矩形に形成して穀粒を貯留する構成とし、前後板と左右側のうち内側側板は外部に露出させずに構成するが、左右側板のうち外側の側板は機体外側に露出させて上側外側カバー121として貯留タンク7内の穀粒の重量を支持するタンク構成部材と貯留タンク7の外面側の化粧部材とを兼用する構成とし、上側外側カバー121のうちの下側カバー123を、機体走行方向の前後方向を軸心(横軸心)方向とする回動支点軸124中心に外側上方回動可能に構成し、下側カバー123の上方回動により貯留タンク7内を開放するように構成している。
そのため、貯留タンク7の上側外側カバー121のうち、下側カバー123を開閉可能としたことにより、貯留タンク7内の清掃や詰まりの解消などの作業を容易に行うことができる。
【0034】
この場合、貯留タンク7は、図示は省略するが、任意箇所に設けた縦軸心の支持軸(図示省略)中心に、機体フレーム1上に位置する作業位置と、機体フレーム1よりも外側にはみ出すメンテナンス位置と似外側に回動オープン自在に構成しているが、貯留タンク7全体を外側オープンさせることなく、下側カバー123を開閉可能としたことにより、貯留タンク7内を開放して、清掃等のメンテナンス作業を行うことかできる。
下側カバー123の開閉の回動支点軸124を貯留タンク7の上下中央位置よりも下方に配置したことにより、開閉する部分を相対的に小さくできるので、下側カバー123の軽量化が図られ開閉操作性が向上する。
下側カバー123を閉じ位置に操作すると、貯留タンク7の一部と下側カバー123との双方に防振部材127とシール部材128のそれぞれが接触する構成とする。
【0035】
そのため、下側カバー123を開放可能に構成しつつ、穀粒の漏れ出しを防止して貯留タンク7の貯留構成の一部としても作用させることができ、下側カバー123の開閉時の空気の逃げを容易にして、貯留タンク7内の内圧により開閉が妨げられることを防止する。なお、図示は省略するが、下側カバー123を閉じ位置にすると、任意の固定手段により閉じ状態を保持し、貯留タンク7内の穀粒重量を支持する。
この「穀粒の漏れ出し」は、収穫作業中に穀粒が貯留タンク7にある程度溜まったとき発生し、下側カバー123を閉めると、貯留タンク7の内部は密閉状態となり、この状態で穀粒量が増えていくと、貯留タンク7の内部の空気が充填される穀粒により追い出され、その際、空気は狭い部分に向かいやすく、貯留タンク7内は気密の高い状態になるので、貯留タンク7の機体前側で且つ外側寄りに溜まっている穀粒を巻き込み、下側カバー123と貯留タンク7との空間部134から漏れ出し、その際に微量であるが、空気と共に穀粒も連れ出され、作業時間によっては看過できない量になり得る。
【0036】
そこで、前記空間部134をシール部材128の一部を構成するウェザーストリップ132と防振部材127を構成するインシュレータ133で閉塞し、穀粒の貯留タンク7内からの漏れ出しを防止する。
この場合、シール部材128のウェザーストリップ132と防振部材127のインシュレータ133とは、下側カバー123を閉じた際に、下側カバー123以外の貯留タンク7の他の壁面に密着して穀粒の漏れ出しは防ぎつつ、空気の流れを完全に遮断するものではなく、これにより貯留タンク7内の空気のみを適度に排出し、これにより、下側カバー123の閉塞作業を容易に行える。
なお、理解を容易にするため、ウェザーストリップ132とインシュレータ133とを、シール部材128と防振部材127としているが、ウェザーストリップ132に防振効果があってもよく、インシュレータ133にシール効果があってもよい。
【0037】
貯留タンク7の前側内板126Aの前面に貯留タンク7の前側外板126Bを前後に重ね、前側内板126Aの外端部にウェザーストリップ132を取付け、ウェザーストリップ132は上側外側カバー121の下側カバー123の内面に密着させる。
貯留タンク7の前側外板126Bの外端部は前側内板126Aの外端部より内側に位置させ、前側内板126Aの外端部と下側カバーの内面との間に平面視S形状の補強部材126を設け、補強部材126の内端と前側外板126Bの外端部との間にインシュレータ133を設ける。補強部材126の外端は下側カバー123側に固定状態に取付ける。
そのため、上方回動させた下側カバー123を閉塞操作すると、下側カバー123の内面がウェザーストリップ132に密着し、下側カバー123側のインシュレータ133が前側外板126Bの外端部に密着し、ウェザーストリップ132とインシュレータ133とにより穀粒漏れを防止する。
【0038】
刈取収穫された穀粒を貯留する貯留タンク(グレンタンク)7の外側面129のうち、貯留タンク7内に設けた排出螺旋120の側方部分を除いた貯留タンク7の上側部分を包囲する上側外側カバー121を、上側カバー122と下側カバー123とに上下に分割して形成し、下側カバー123の(機体走行方向の前後方向を長手(軸心)方向とする)回動支点軸124は、下側カバー123の上部側で、且つ貯留タンク7の上下方向の中央部よりも機体上側に配置する構成とし、下側カバー123の内側に(S字形状の)補強材126を設け、補強材126の内側端部に貯留タンク7(の外壁)に接触する防振部材(インシュレータ)127を配置し、貯留タンク7には、下側カバー123を閉じ位置(作業位置)にすると接触するシール部材128(ウェザーストリップ)を設ける。
すなわち、排出螺旋120は貯留タンク7の底部の底樋120Aにより包囲され、底樋120Aの外側側方はロワカバー137により包囲し、このロワカバー137と上側外側カバー121とにより貯留タンク(グレンタンク)7の外側面129を構成している。
【0039】
貯留タンク7の貯留構成の一部となる上側外側カバー121のうち、下側カバー123を開閉可能としたことにより、貯留タンク7の清掃や詰まりの解消などの作業を容易に行うことができる。
開閉の回動支点124を貯留タンク7の上下中央位置よりも上方に配置したことにより、開閉する部分を相対的に大きくできるので、メンテナンス作業スペースを広く確保でき、作業性が向上する。
下側カバー123を閉じ位置に操作すると、貯留タンク7と下側カバー123の双方に防振部材127とシール部材128とが接触するので、穀粒の漏れ出しを防止しつつ開閉時に空気が抜けやすくなるので、内圧により開閉が妨げられることが防止される。
貯留タンク7の上下中央より下側に上側外側カバー121の下側カバー123の回動支点軸124を設ける。
【0040】
そのため、開閉する下側カバー123が上側外側カバー121の全体に対して相対的に小さくなることから、軽量化できるので操作性が向上する。
貯留タンク7の上下中央より上側に上側外側カバー121の下側カバー123の回動支点軸124を設ける。
そのため、開閉する下側カバー123が上側外側カバー121の全体に対して相対的に大きくなることから、開いたとき、下側カバー123の貯留タンク7内を開放する開口面積を大きくして作業性を向上させられる。
下側カバー123の回動支点軸124は、丸パイプで構成する。
そのため、回動支点軸124を丸パイプで構成することにより、可能な限り直径を大きくしても軽量化することができる(図61)。
すなわち、回動支点軸124は前後方向に長いので、丸パイプで構成することにより、支持剛性向上させつつ、軽量化が図れる。
なお、図61の回動支点軸124の一部のみを図示している。
【0041】
貯留タンク7の上側外側カバー121のうちの上側カバー122には、デザイン上、外側に膨らむ膨出ライン部131を設け、膨出ライン部131よりも下方に回動支点軸124を設ける。
そのため、回動支点軸124を設けるために貯留タンク7の左右幅を部分的に拡大する必要がなく、見た目上の納まりが良い。
貯留タンク7の上側外側カバー121の下側カバー123の開閉時の空気抜きのため、上側カバー122は構造的に籾漏れを防止する構成とする。
上側外側カバー121を貯留タンク7の貯留構成の一部として構成しつつ、その一部を開放回動可能に構成することにより、上側外側カバー121を閉める際に必要な力を軽減すべく、貯留タンク7の内部の空気の通路通路(空間部)134を確保し、内圧により空気が通路通路(空間部)134から抜けやすくなる構成としているが、通路通路(空間部)134を開放していると内圧で貯留している穀粒が機外に漏れる可能性があるが、ウェザーストリップ132とインシュレータ133を設け、上側外側カバー121を閉めていくと、ウェザーストリップ132が潰れ切るまでは、わずかな隙間から空気が漏れていけるので、内圧の上昇を抑え、上側外側カバー121を容易に閉塞できる。
【0042】
なお、上側外側カバー121と貯留タンク7との間の通路通路(空間部)134には空気の出口側にはインシュレータ133が設けられているので、仮に貯留タンク7の内圧でウェザーストリップ132を通過した穀粒があっても、ウェザーストリップ132とインシュレータ133の間に穀粒は残り、回収可能となる。
そのため、貯留タンク7の下側カバー123の開閉をスムーズに行うことができる
シール部材128は、ウェザーストリップ132とインシュレータ133の2重構成(2段構成)とする。
そのため、籾漏れ防止の信頼性を向上させる。
シール部材128のウェザーストリップ132とインシュレータ133は、貯留タンク7の貯留タンク7の前側外板126Bと下側カバー123との間の補強板136と、貯留タンク7の前側内板126Aとの間の空間部136に設ける。
【0043】
すなわち、ウェザーストリップ132は前側内板126Aの外端部に取付け、前側内板126Aの前側に所定間隔おいて補強板136を設け、前側内板126Aの前面と補強板136との間に空間部134を形成し、この空間134を、ウェザーストリップ132とインシュレータ133とにより閉塞する構成とする。
そのため、シール部材128のウェザーストリップ132が2か所で接触し、シール性を向上させる。
なお、ウェザーストリップ132は下側カバー123の内側面に当接し、当初、当たり始めるとき、中空部分がつぶれ始め、つぶれ量が少ないうちは、貯留タンク7の内圧により空気はウェザーストリップ132は下側カバー123とのわずかな隙間から出ていくが、つぶれ量が多くなると、空気の漏れは遮断される。
下側カバー123の回動機構のヒンジ135の数を、貯留タンク7の本体側と下側カバー123とで変更する。
【0044】
そのため、ヒンジ135を均等距離で配置しながら、少ないヒンジ数で回動支点軸124を支える箇所を多くすることができる。
135Aは上側カバー122側に取付けたヒンジ、135Bは下側カバー123側に取付けたヒンジである。
下側カバー123の後方下側には、貯留タンク7内を視認しうる、のぞき窓130を設ける。
そのため、穀粒は貯留タンク7内の後方から溜まるため、下側カバー123を開閉する際の目安となる。
下側カバー123を開けるのは、メンテナンス時か、あるいは下側カバー123を開けないとグレンタンク7から穀粒が取り出せない状況、あるいは、排出オーガの故障時等になる。
【0045】
のぞき窓130は、通常の作業時では現在の貯留量を把握するために使用するが、作業終了後、または作業開始前にグレンタンク7内に穀粒が貯留(残留)されているかどうかをチェックするときに使用する。
換言すると、圃場を移動して刈取収穫作業を行う場合、次の圃場で収穫する作物(稲)の品種が異なる場合、前の圃場の穀粒と混ざると様々な問題が生じ(例:混合米になりブランド価値が低下する、水分含有量の違いにより乾燥不足や過剰乾燥が生じて等級が低下する、等)、また、刈取作業終了ごに穀粒がグレンタンク7内に残ったままにして倉庫に作業車両を格納すると、穀粒が腐って汚染されることにもなり、さらには、ネズミや虫が機内に入り込んで穀粒を食い荒らすこともあり、その際には排泄物や付着していた菌に汚染されたり、配線をかじられたりして故障することにもなり、下側カバー123を開けてメンテナンスすることによりこれを防止する。
【0046】
下側カバー123を開閉する際の取っ手136が、下側カバー123の下縁下方の貯留タンク7の排出螺旋120の側方に位置する、ロワーカバー137のステー138を兼用する。
この場合、下側カバー123の開閉用の取っ手136が、ロワーカバー137装着時のステーになる。
そのため、取っ手136とステー138とを兼用することにより、部品点数を削減することができる。
下側カバー123を固定するステー139を後方に設ける。
下側カバー123を固定するステー139を後方に設けることにより、操縦部5との隙間を詰めて貯留タンク7の容量を増やすことができる。
【0047】
グレンタンク7を固定するロック機構140のフック141が係合するロック体142を軸心を上下方向とした丸棒により構成する。
従来のグレンタンク7のロック機構のロック体は横軸心の丸棒で構成されていたので、グレンタンク7のロック機構がグレンタンクの重量の一部を支持してしまい、これにより、グレンタンク7の総重量を計測する計測機構をグレンタンクの下部に設けたロードセルにより形成した場合、計測値に誤差が生じることがあった。
本発明では、ロック体142を縦軸心の丸棒により形成しているので、縦軸心の丸棒に沿ってグレンタンク7側のフック141が上下できるため、ロードセルで測定する数値の正確性を向上させることができる。
【0048】
貯留タンク7の後部に、排出螺旋120の終端を接続して貯留タンク7内の穀粒を排出する縦揚穀装置145を設け、縦揚穀装置145の右側方には、揚穀カバー146を設け、揚穀カバー146を開いても、上側外側カバー121の回動軌跡に入らない構成とする。
そのため、上側外側カバー121が接触して互いが破損することを防止する。
貯留タンク7の下側カバー123が閉じた状態でも開いた状態でも、上側外側カバー121を開閉できる構成とする。
そのため、メンテナンスの適応性を向上させることができる
【符号の説明】
【0049】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…刈取装置、4…脱穀装置、5…操縦部、6…エンジンルーム、7…グレンタンク(貯留タンク)、8…排出オーガ、9…キャビン、10…刈取フレーム、11…伝動筒、12…伝動筒、13…伝動筒(第2伝動筒)、14…伝動筒、15…伝動筒(第1伝動筒)、16…分草体、16A…分草体、16B…分草体、16C…分草体、16D…分草体、16E…分草体、17…引起装置、17A…引起装置、17B…引起装置、17C…引起装置、17D…引起装置、18…刈刃装置、18A…変換部、19…搬送装置、19A…カバー、19B…掻込装置、20…連結部材、21…連結部材、22…前後フレーム、23…フレーム、24…吊下フレーム、25…カバー、30L…上下伝動筒、30R…上下伝動筒、31L…回転軸、31R…回転軸、32L…ステー、32R…ステー、33L…連結部材、33R…連結部材、35…引起ラグ、40…引起フレーム、41…上下伝動筒、41A…当接部材、42…左右伝動筒、42A…連結部、42L…左連結部、42R…右連結部、43…ステー、44…左右フレーム、44L…規制部材、44R…規制部材、45L…左上下フレーム、45R…右上下フレーム、46…回転軸(第1回転軸)、46L…回転軸、46R…回転軸、47L…左係合部品、47R…右係合部品、48L…左挟持部品、48R…右挟持部品、49…ノズル支持部材(支持部材)、49A…固定部、49B…上パイプ部、49C…取付部、49D…取付部、49E…下パイプ部、49F…取付部、50…駆動スプロケット、50L…駆動スプロケット、50R…駆動スプロケット、51…回転軸(第2回転軸)、51L…回転軸、51R…回転軸、52…係合部材、53…ピン、54A…凸部、54B…面取部(第1面取)、55A…凹部、55B…面取部(第2面取)、56…引起チェン、57…スナップピン、58A…穀稈センサ、58B…穂先ガイド、60…係合部、60A…取付プレート、60B…ピン、60C…レバー、60D…フック、61…被係合部(第1被係合部)、65…上挟持部、65A…取付プレート、65B…ピン、65C…上挟持本体部、65D…ピン、65E…レバー、65F…フック、65G…留め金具、66…下挟持部、66A…下挟持本体部、66B…被係合部(第2被係合部)、70…引起装置、70B…引起装置、70C…引起装置、70D…引起装置、70E…引起装置、72…ギヤボックス、72A…シフタ連結部、73…操作レバー、73A…横ロッド(第1ロッド)、73B…縦ロッド(第2ロッド)、74…支持部材、76…注油コントローラ、79…連結部材、81…テンションスプロケット、91…前後ロッド、92…保護プレート、94…保護ロッド、100L…左支持装置、100R…右支持装置、112A…下挟持部、112B…上挟持部、114…操作レバー、116…ピン、117…解除プレート、117A…グリップ部、101…上側連結部材、102…下側連結部材、103…ボルト、104…取付穴取付穴、120…排出螺旋、121…上側外側カバー、122…上側カバー、123…下側カバー、124…回動支点軸、126…補強材、127…防振部材、128…シール部材、129…外側面、131…膨出ライン部、132…ウェザーストリップ、133…インシュレータ、134…空間、130…ヒンジ、135…のぞき窓、136…取っ手、137…ロワーカバー、138…ステー、139…ステー、140…ロック機構、141…フック、142…ロック体、145…縦揚穀装置、146…揚穀カバー。
【要約】
【課題】従来、引起装置は重量物であるので、ロックが壊れたりすると、作業者が怪我をする恐れがある問題がある。
【解決手段】刈取フレーム10に、穀稈を分草する分草体16と、引起装置17,70と、刈刃装置18と、穀稈を脱穀装置4に搬送する搬送装置19を設け、駆動源の出力回転が伝動される左右方向に延在する第1伝動筒15を設け、第1伝動筒15の左右方向の中間部に、少なくとも1個以上の引起装置17,70を設け、引起装置17,70の上部側を、上下伝動筒41と、左右伝動筒42側に上側連結部材101を介して連結し、引起装置17,70の下部側は刈取装置3の下部側の刈取フレーム10に回動可能に連結し、下側連結部材102は、引起装置17が装着状態であるとき、上側連結部材101の連結を解除して引起装置17を回動させないと下側連結部材102の連結状態を解除できない配置としたことを特徴とする収穫作業機。
【選択図】 図51
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