(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20250311BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
F25B1/00 321C
F25B47/02 520E
(21)【出願番号】P 2023169982
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2024-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】兼井 一樹
(72)【発明者】
【氏名】前間 慶成
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-055931(JP,A)
【文献】特開2002-277067(JP,A)
【文献】特開昭64-014568(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198275(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00 ~ 49/04
F24F 11/00 ~ 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させる冷媒回路に、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
室内の空気と前記冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、
室外の空気と前記冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、
蓄熱材と前記冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、
開度を調整可能な複数の膨張弁と、
前記室内熱交換器、及び、前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室外熱交換器
、及び、前記室内熱交換器を凝縮器
、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切替弁と、が接続され、
前記蓄熱材の温度を検出する蓄熱温度センサと、
前記複数の膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の上流側に設けられる第1の膨張弁であり、
前記制御部は、前記蓄熱暖房運転時において蓄熱される前記蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きが、
前記室内熱交換器の凝縮温度に鑑みて予め設定される第1の傾きと一致するように前記第1の膨張弁の開度を制御することを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記蓄熱熱交換器は、内部に前記蓄熱材が充填された蓄熱容器の中に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記室外熱交換器は、外気温度を検出する外気温度センサを備え、
前記第1の傾きは、前記外気温度センサが検出した前記外気温度に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の下流側に設けられた第2の膨張弁であり、前記制御部は、前記蓄熱暖房運転時における前記第2の膨張弁の開度を予め定めた開度となるように制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
冷媒を循環させる冷媒回路に、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
室内の空気と前記冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、
室外の空気と前記冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、
蓄熱材と前記冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、
開度を調整可能な複数の膨張弁と、
前記室内熱交換器、及び、前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室外熱交換器
、及び、前記室内熱交換器を凝縮器
、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切替弁と、が接続され、
前記蓄熱材の温度を検出する蓄熱温度センサと、
前記複数の膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の上流側に設けられる第1の膨張弁である冷凍サイクル装置であって、
蓄熱暖房運転時において、
前記室外熱交換器に対する前記除霜運転に必要な熱量を
前記室内熱交換器の凝縮温度に鑑みて前記蓄熱熱交換器に蓄えるための時間当たりの蓄熱量を示す第1の傾きを設定するステップと、
前記蓄熱暖房運転時において蓄熱される前記蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きを検出し、前記第2の傾きと前記第1の傾きとを比較するステップと、
前記比較の結果に基づいて、前記第1の膨張弁の開度を制御するステップと、
を備えることを特徴とする冷凍サイクル装置の制御方法。
【請求項6】
前記室外熱交換器は、外気温度を検出する外気温度センサを備え、
前記第1の傾きが設定されるステップにおいて、前記第1の傾きは、前記外気温度センサが検出した前記外気温度に応じて設定されることを特徴とする請求項5に記載の冷凍サイクル装置の制御方法。
【請求項7】
前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の下流側に設けられた第2の膨張弁であり、
前記制御部は、前記蓄熱暖房運転時において前記第2の膨張弁の開度を予め定めた開度となるように制御するステップを備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の冷凍サイクル装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、空気調和機において暖房運転が行われる際、室外熱交換器には低温の冷媒が流れる。このため、例えば、外気温が氷点下となるような状態の場合、冷媒の温度が外気の露点温度を下回ると、室外熱交換器に霜が付着して外気との間での熱交換がしにくくなる。そこで、暖房運転が行われている場合には、定期的に室外熱交換器から霜を取り除く除霜運転が行われる(例えば特許文献1)。
【0003】
このような除霜運転は空気調和機の運転を行う上で必要な運転であり、典型的には、除霜運転は暖房運転を中断して行われる。具体的には、除霜運転を開始するに当たって、室外熱交換器に圧縮機から吐出された冷媒が直接供給されるように冷媒回路を切り替えて室外熱交換器を凝縮器として機能させることで霜を融かし除霜を行う。そして当該除霜運転の場合、除霜のために室外熱交換器に供給された高温の冷媒は、霜を融かすことにより低温となり、低温の冷媒が室内熱交換器へと流入する。
【0004】
このような除霜運転が行われる場合、除霜運転が行われる間、暖房運転が停止して室内の温度が徐々に低下するため、ユーザの快適性が低下する。そこで例えば、冷凍回路内に室内熱交換器とは別に蓄熱装置を配置し、除霜運転の際には蓄熱装置に蓄えられた熱を除霜に用いることで除霜運転中においても暖房運転を継続させる方法が考えられる。この方法によって、除霜運転のために暖房運転が一時的に停止することによる室内温度の低下を防止し、ユーザの快適性の維持を図ることができる。
【0005】
冷凍回路に蓄熱装置を設けた場合に、当該蓄熱装置への蓄熱は、暖房運転の際に室内熱交換器に流れる冷媒の一部を蓄熱装置へと流入させることによって行われる。このとき、蓄熱装置へ流れる冷媒の量が過度に多くなると室内熱交換器の能力が大幅に低下することになるため、快適性を損ないかねない。
【0006】
そこで本願出願人が先に出願した空気調和機(特願2022-120754)では、蓄熱材の温度と蓄熱装置に流れる冷媒の凝縮温度との差が所定の温度差となるように、冷凍回路において蓄熱装置に冷媒を流す経路上に配置される膨張弁の開度を制御することで、上述した不都合を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した空気調和機の場合、蓄熱装置に流れる冷媒の凝縮温度を利用するため、凝縮温度の検出が必要となる。しかしながら、当該蓄熱装置について、例えば、液状の蓄熱材の中に蓄熱熱交換器を浸漬させる構造の蓄熱装置を採用する場合、上述した凝縮温度の検出が難しい。
【0009】
すなわち、蓄熱熱交換器を流れる冷媒の凝縮温度を検出するべく、例えば、蓄熱熱交換器の近傍に温度センサを設けたとしても、蓄熱熱交換器は蓄熱材の中に浸漬されていることから、検出される温度が冷媒の凝縮温度ではなく、蓄熱材の温度となることが考えられる。
【0010】
一方、凝縮温度の検出の確実性を担保するために、例えば、高圧側の回路に圧力センサを設けて凝縮圧力から凝縮温度を検出することも考えられるが、一般的に圧力センサは温度センサより高価であり、圧力センサを用いた凝縮温度の検出は、空気調和機全体のコストアップをまねくことになりかねない。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、除霜運転を行う際のユーザに対する快適性の低下を抑制しつつ除霜に必要な熱を蓄えるとともに、これらの両立を図る際のコストアップを回避することができる冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る冷凍サイクル装置は、冷媒を循環させる冷媒回路に、冷媒を圧縮する圧縮機と、室内の空気と冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、室外の空気と冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、蓄熱材と冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、開度を調整可能な複数の膨張弁と、室内熱交換器、及び、蓄熱熱交換器を凝縮器、室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、室外熱交換器、及び、室内熱交換器を凝縮器、蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜運転とで冷媒回路における冷媒の循環経路を切り替える複数の切替弁と、が接続され、蓄熱材の温度を検出する蓄熱温度センサと、複数の膨張弁を制御する制御部と、を備え、複数の膨張弁の1つは、凝縮器として機能する蓄熱熱交換器の上流側に設けられる第1の膨張弁であり、制御部は、蓄熱暖房運転時において蓄熱される蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きが、室内熱交換器の凝縮温度に鑑みて予め設定される第1の傾きと一致するように第1の膨張弁の開度を制御する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る冷凍サイクル装置の制御方法は、冷媒を循環させる冷媒回路に、冷媒を圧縮する圧縮機と、室内の空気と冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、室外の空気と冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、蓄熱材と冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、開度を調整可能な複数の膨張弁と、室内熱交換器、及び、蓄熱熱交換器を凝縮器、室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、室外熱交換器、及び、室内熱交換器を凝縮器、蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜運転とで冷媒回路における冷媒の循環経路を切り替える複数の切替弁と、が接続され、蓄熱材の温度を検出する蓄熱温度センサと、複数の膨張弁を制御する制御部と、を備え、複数の膨張弁の1つは、凝縮器として機能する蓄熱熱交換器の上流側に設けられる第1の膨張弁である冷凍サイクル装置であって、蓄熱暖房運転時において、室外熱交換器に対する除霜運転に必要な熱量を室内熱交換器の凝縮温度に鑑みて蓄熱熱交換器に蓄えるための時間当たりの蓄熱量を示す第1の傾きを設定するステップと、蓄熱暖房運転時において蓄熱される蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きを検出し、第2の傾きと第1の傾きとを比較するステップと、比較の結果に基づいて、第1の膨張弁の開度を制御するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、除霜運転を行う際のユーザに対する快適性の低下を抑制しつつ除霜に必要な熱を蓄えるとともに、これらの両立を図る際のコストアップを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置における制御部の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が蓄熱熱交換器に蓄熱する際の温度変化の例を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が冷房運転を行う際の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が蓄熱暖房運転を行う際の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が除霜暖房運転を行う際の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置において除霜運転を行う際の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置において除霜運転を行う際に用いられる熱を蓄熱熱交換器に蓄える処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sの構造を、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sの冷媒回路図である。冷凍サイクル装置Sは、圧縮機1と、室内熱交換器2と、室外熱交換器3と、蓄熱熱交換器4と、膨張弁5(51、52、53)と、切替弁6(61、62)と、が接続され、冷媒を循環させる冷媒回路Cを備えている。また、膨張弁5、及び、切替弁6を制御する制御部7と、を備えている。
【0017】
ここで、
図1を用いて本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sの冷媒回路Cについて説明する。冷媒回路Cは上述した圧縮機1等の各機器と、これらの機器とをつなぐ冷媒が流れる流路から構成される。例えば、冷凍サイクル装置Sが暖房運転を行う際、圧縮機1から吐出された冷媒は、室内熱交換器2、室外熱交換器3の順に流れて、その後圧縮機1に吸入される。暖房運転時における圧縮機1と室内熱交換器2とをつなぐ流路には第1の切替弁61が設けられており、室内熱交換器2と室外熱交換器3とをつなぐ流路には第3の膨張弁53が設けられている。
【0018】
また、例えば、冷凍サイクル装置Sが後述する蓄熱暖房運転を行う場合、圧縮機1から吐出された冷媒は、室内熱交換器2と蓄熱熱交換器4にそれぞれ流入する。蓄熱熱交換器4から流出した冷媒は、第2の膨張弁52と、第2の膨張弁52と室外熱交換器3の間の流路に設けられた合流点C1を介して室外熱交換器3へ流れて、その後圧縮機1に吸入される。そして、蓄熱暖房運転時における圧縮機1と蓄熱熱交換器4とをつなぐ流路には、第1の膨張弁51と第2の切替弁62とが順に設けられている。また、蓄熱熱交換器4と合流点C1とをつなぐ流路には第2の膨張弁52が設けられている。
【0019】
第1の切替弁61は、後述する制御装置7によって制御されることで、圧縮機1から吐出された冷媒を室内熱交換器2に流す場合と、第1の膨張弁51と第2の切替弁62の間の流路に接続するバイパス回路Bに流す場合とに切り替える。バイパス回路Bは、第1の切替弁61と第2の切替弁62との間に設けられている。バイパス回路Bは、
図1に示すような矢印の方向にのみ冷媒が流れるように逆止弁等が設けられている。
【0020】
圧縮機1から吐出された冷媒が室内熱交換器2に流れる場合は、バイパス回路Bと圧縮機1の吸入側とが接続される。一方、圧縮機1から吐出された冷媒が第1の膨張弁51と第2の切替弁62の間の流路に接続するバイパス回路Bに流れる場合は、室内熱交換器2と圧縮機1の吸入側とが接続される。
【0021】
第2の切替弁62は、制御装置7によって制御されることで、圧縮機1から吐出された冷媒を蓄熱熱交換器4に流す場合と、室外熱交換器3に流す場合とに切り替える。圧縮機1から吐出された冷媒が蓄熱熱交換器4に流れる場合は、室外熱交換器3と圧縮機1の吸入側とが接続される。一方、圧縮機1から吐出された冷媒が室外熱交換器3に流れる場合は、蓄熱熱交換器4と圧縮機1の吸入側とが接続される。
【0022】
圧縮機1は、冷媒回路Cを循環する冷媒を圧縮する。室内熱交換器2は、室内の空気と冷媒とを熱交換する。室外熱交換器3は、室外の空気と冷媒とを熱交換する。圧縮機1、室内熱交換器2、室外熱交換器3のそれぞれの種類については、ここでは説明を省略するが、様々な種類の機器を採用することができる。
【0023】
なお、本発明の実施の形態における室内熱交換器2には、暖房運転、或いは、蓄熱暖房運転時における冷媒の凝縮温度を検出する凝縮温度センサ21が設けられている。凝縮温度センサ21で検出された冷媒の凝縮温度は、後述する蓄熱熱交換器4に蓄熱を行う際の第1の膨張弁51の開度の制御に用いられる。
【0024】
また、室外熱交換器3には、外気温度を検出する外気温度センサ31が設けられている。外気温度センサ31は、室外熱交換器3に流入する空気の温度を検出する。外気温度センサ31で検出された外気温度は、後述する蓄熱熱交換器4に蓄熱を行う際の第1の膨張弁51の開度の制御に用いられる。
【0025】
蓄熱熱交換器4は、蓄熱材と蓄熱熱交換器4を通過する冷媒とが熱交換を行う熱交換器である。蓄熱熱交換器4は、例えば、フィンアンドチューブ型の熱交換器である。そしてこの蓄熱熱交換器4が、内部に蓄熱材が充填された蓄熱容器の中に配置されている。
【0026】
蓄熱材としては、例えば、液体、固体を問わず、蓄熱熱交換器4の内部を流れる冷媒との間で熱交換を行い蓄熱することができれば足りる。従って、例えば蓄熱材が液体の場合には、蓄熱熱交換器4は、蓄熱容器の中に充填された蓄熱材の中に浸漬されることになる。すなわち、蓄熱熱交換器4の周囲が蓄熱材で覆われている。この蓄熱材には、冷媒から供給された熱が蓄えられ、蓄えられた熱は、後述するように除霜運転に用いられる。
【0027】
また、後述する蓄熱温度センサHSが、蓄熱材の温度を測定することができる位置に設けられている。例えば、蓄熱熱交換器が内部に配置されている蓄熱容器を水平な接地面に設置した場合に、蓄熱温度センサHSが蓄熱容器の中に充填された蓄熱材の高さ方向の概ね中央に位置するように配置されている。
【0028】
これは、蓄熱材と蓄熱熱交換器4とが熱交換を行った場合、特に蓄熱材が液体の場合には、対流等により高さ方向に温度勾配が生ずる可能性があるからである。そのため、高さ方向の上部、或いは、下部に蓄熱温度センサHSが配置されると、蓄熱材の温度が高く、或いは、低く検出されてしまう可能性がある。そこで、蓄熱温度センサが測定する蓄熱材の温度の概ね平均的な値を検出するべく、上述したように、概ね蓄熱材の高さ方向中央に配置される。
【0029】
なお、当該蓄熱温度センサHSは、1つのみであっても、或いは、複数配置されていても良い。そして、例えば複数の蓄熱温度センサHSが配置された場合には、それぞれ蓄熱温度センサHSが検出した値の平均値を蓄熱材の温度とする等、検出した蓄熱材の温度を演算して、後述する膨張弁の開度の制御に用いても良い。
【0030】
膨張弁5は、後述する制御部7からの指示に基づき開度を調整可能とされており、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sでは複数設けられている。具体的には、3つの膨張弁が設けられており、第1の膨張弁51は、蓄熱熱交換器4が凝縮器として機能する場合における、冷媒が流れる方向の上流側に設けられる。
【0031】
また、第2の膨張弁52は、蓄熱熱交換器4と冷媒回路Cにおける上述した合流点C1との間に設けられている。つまり、蓄熱熱交換器4が凝縮器として機能する場合における、冷媒が流れる方向の下流側に設けられる。そして第3の膨張弁53は、室内熱交換器2と室外熱交換器3とをつなぐ流路に設けられている。つまり、室内熱交換器2が凝縮器として機能する場合における、冷媒が流れる方向の下流側に設けられる。
【0032】
切替弁6は、上述したように、第1の切替弁61と第2の切替弁62とからなる。第1の切替弁61は、冷媒を室内熱交換器2に流す場合とバイパス回路Bに流す場合とに切り換える。一方、第2の切替弁62は、冷媒を蓄熱熱交換器4に流す場合と室外熱交換器3に流す場合とに切り換える。
【0033】
また、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sにおいては、切替弁6が2つ設けられている。すなわち、圧縮機1と室内熱交換器2との間に第1の切替弁61が設けられている。また、第2の切替弁62は、圧縮機1と室外熱交換器3、或いは、蓄熱熱交換器4との間に設けられている。
【0034】
なお、以下においては、これら3つの膨張弁51、52、53についてまとめて説明する場合には、「膨張弁5」と表し、個々の膨張弁について説明を行う場合には、それぞれの名称で表す。また切替弁6についても、これら2つの切替弁61、62についてまとめて説明する場合には、「切替弁6」と表し、個々の切替弁について説明を行う場合には、それぞれの名称で表す。
【0035】
また、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sでは、室外熱交換器3に対する除霜運転が行われる際においても暖房運転は停止されず、除霜運転と並行して暖房運転も行う除霜暖房運転が実行される。但し、室外熱交換器3に付着した霜を融解させるための運転については、「除霜暖房運転」ではなく「除霜運転」と表す。
【0036】
制御部7は、複数の膨張弁5の開度を制御する。そして制御部7が各膨張弁の開度を制御することによって、冷媒回路Cを流れる冷媒の流量を調整することができる。また上述したように、複数の切替弁6を切り替えて、冷媒回路Cを循環する冷媒の流れを切り替える。
【0037】
このように複数の膨張弁5、複数の切替弁6を制御することによって、制御部7は、例えば、暖房運転と蓄熱運転を並行して行う暖房蓄熱運転を行う。また、暖房運転と平行して行われる室外熱交換器3に対する除霜運転の制御についても制御部7が行う。
【0038】
次に、制御部7による制御内容について、さらに詳細に説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sにおける制御部7の内部構成を示すブロック図である。制御部7は、温度検出部71と、設定部72と、記憶部73と、判定部74と、膨張弁開度制御部75と、を備えている。
【0039】
温度検出部71は、蓄熱熱交換器4に備えられている蓄熱温度センサHSが検出した蓄熱材の温度を取得する。なお、蓄熱温度センサHSにおいて検出される蓄熱材の温度については、蓄熱温度センサHSから温度検出部71に常時送信されてきても良い。或いは、逆に温度検出部71が蓄熱温度センサHSに対して必要に応じて取得しにいっても良い。
【0040】
また温度検出部71は、室外熱交換器3に設けられている外気温度センサ31が検出した外気温度を取得する。当該外気温度についても外気温度センサ31から温度検出部71に常時送信されてきても良く、或いは、温度検出部71が外気温度センサ31に必要に応じて取得しにいっても良い。
【0041】
さらには、室内熱交換器2に設けられる凝縮温度センサ21によって検出される室内熱交換器2の凝縮温度についても、温度検出部71において取得される。これら蓄熱材の温度、外気温度、或いは、室内熱交換器2の凝縮温度は、蓄熱熱交換器4に対して蓄熱する際の制御において用いられる。
【0042】
ここで、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sでは、暖房運転と同時に蓄熱熱交換器4への蓄熱運転も行う蓄熱暖房運転が実施される。蓄熱熱交換器4に圧縮機1から吐出された冷媒の熱を蓄えるのは、室外熱交換器3に付着した霜を取り除く際に利用するためである。
【0043】
そのため蓄熱暖房運転の間で適宜実行される除霜暖房運転における除霜運転の前に、当該除霜運転において利用する熱を蓄熱熱交換器4に蓄えておく必要がある。換言すれば、連続する前後の除霜運転の間であって、前の除霜運転が終了してから後の除霜運転が開始されるまでに行われる暖房運転の間に、後の除霜運転において利用するのに十分な熱を蓄熱熱交換器4に蓄えておく必要がある。
【0044】
蓄熱熱交換器4への蓄熱は、蓄熱暖房運転の際に、圧縮機1から吐出された冷媒が室内熱交換器2だけではなく、蓄熱熱交換器4にも流入するように制御することによって行われる。具体的には、後述する膨張弁開度制御部75が、蓄熱熱交換器4の上流に設けられる第1の膨張弁51の開度を制御することで行う。膨張弁開度制御部75が第1の膨張弁51の開度を制御することで蓄熱熱交換器4への蓄熱の速度が調整される。
【0045】
ここで
図3は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sが蓄熱熱交換器4に蓄熱する際の温度変化の例を示すグラフである。
図3に示すグラフにおいて、縦軸は温度(℃)を表し、横軸は時間(min)を表している。縦軸の温度は、室内熱交換器2の凝縮温度と蓄熱熱交換器4における蓄熱材の温度を示している。
【0046】
具体的には、グラフの上部において、破線の直線で示しているのが室内熱交換器2の凝縮温度であり、ここでは時間の経過によって変化しない値として示されている。一方、グラフの左下から右上に斜めに伸びる実線で示されているのが蓄熱材の温度であり、圧縮機1から流入する冷媒と蓄熱材との間の熱交換により、時間の経過とともに、次第に蓄熱材の温度が上昇していることが示されている。
【0047】
蓄熱材の温度について、時刻t0に近いところでは、温度が低い状態である。これは、上述した前の除霜運転の際に蓄熱熱交換器4に蓄えた熱が利用された結果、蓄熱材の温度が下がったからである。そしてこの状態から、後の除霜運転の際に利用する熱を蓄熱材に蓄えることになる。
【0048】
なお、蓄熱材の最大の温度は、室内熱交換器2の凝縮温度に依存する。また、室内熱交換器2の凝縮温度は、室内機におけるユーザによる設定温度や室内ファンの風量に依存する値である。従って、
図3に破線で示す室内熱交換器2の凝縮温度が変化すると蓄熱材の最大の温度も変化する。
【0049】
このように蓄熱材の最大の温度は室内熱交換器2の凝縮温度に依存することから、本発明の実施の形態においては、どのくらいの熱を蓄熱材に蓄えるかの目標について、蓄熱材の温度を数値で設定するのではなく、蓄熱材の温度が上昇する際の傾きについて設定することとした。
【0050】
また、室外熱交換器3に霜が着く場合、着霜の速度は外気温度や湿度が関係する。例えば外気温度について見ると、外気温度が低くなると室外熱交換器3に霜が着くが、外気温度が一定温度以上低くなると外気に含まれる水分量も減少することから絶対湿度も低下するため、着霜の速度は遅くなる。一方、外気温度が高いとそもそも室外熱交換器3に霜が着かず除霜運転の必要がない。従って多くの場合、例えば、外気温度が2℃前後である場合に、着霜の速度が最も速いとされる。
【0051】
そのため外気温度が2℃前後の場合には、短い時間間隔で除霜運転を行う必要が生じ、除霜運転に必要な熱を蓄熱材蓄えるための時間が短くなる。従って蓄熱材の温度の温度上昇の傾きは急になる。一方、上述したような非常に外気温度が低い場合や反対に高い場合には着霜の速度が遅くなるため、暖房蓄熱運転の間で頻繁に除霜運転が行われることがなくなり、前後の除霜運転の間の時間をより長く確保することができる。そのため、蓄熱材の温度上昇の傾きを緩やかに設定しても十分に除霜運転において利用する熱を蓄えることができる。
【0052】
なお、
図3に示す蓄熱材の温度を示す実線を見ると、時間が経過して室内熱交換器2の凝縮温度に近づくと、温度上昇の傾きが緩やかになる。これは、蓄熱材の温度が上昇することによって、蓄熱材の温度が室内熱交換器2の凝縮温度に近づくと、蓄熱熱交換器4内の冷媒の凝縮温度と蓄熱材の温度との差が小さくなるため、蓄熱熱交換器4における熱交換量が減るからである。
【0053】
設定部72は、蓄熱熱交換器4に配置される蓄熱材に熱を蓄える際の速度に関する指標を設定する。この指標が、上述した蓄熱材の温度が上昇する際の傾きであり、当該傾きについては、以下、「第1の傾き」と表す。
【0054】
設定部72が設定する第1の傾きは、これまで説明してきたように、蓄熱材の温度、室内熱交換器2における冷媒の凝縮温度、外気温度センサ31が検出する外気温度を用いて設定される。すなわち、第1の傾きは、これらの温度の情報を基に、連続する前後の除霜運転の間において、前の除霜運転が終了してから後の除霜運転が開始されるまでの暖房蓄熱運転の間に、後の除霜運転において利用するのに十分な熱を蓄熱熱交換器4に蓄えることができるように設定される。
【0055】
従って、蓄熱暖房運転の際に、制御部7が蓄熱材の温度の上昇が当該第1の傾きに沿うように、第1の膨張弁51の開度を制御して、蓄熱熱交換器4に流入する冷媒の量を調整する。
【0056】
ここで、第1の傾きについては、設定部72において、例えば、以下のように設定される。すなわち、除霜運転が行われる際に、室外熱交換器3に付いた霜を融解させるために必要な熱量を暖房蓄熱運転において蓄熱熱交換器4に貯める必要があるが、上述したように、蓄熱材に蓄熱する際の温度の上限は、室内熱交換器2における凝縮温度に依存する。そこで、凝縮温度の高低に拘わらず除霜暖房運転において必要とされる熱量を貯めることができるように蓄熱材に貯める熱量(蓄熱量)を設定する。
【0057】
すなわち、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sにおいては、暖房蓄熱運転の際に蓄熱材に熱を貯え、この熱を除霜運転において用いる。従って、室内熱交換器2における凝縮温度は、室外熱交換器3に付着した霜の融解温度よりも高いことが前提となる。また、単位時間当たりに蓄熱材に対して与えられる熱量は、凝縮温度の高低によって異なる。
【0058】
例えば凝縮温度が低い場合には、蓄熱材に与えられる熱量は小さいので、蓄熱材の温度上昇の傾きは緩やかになる。このような場合は、蓄熱材に除霜運転に必要な熱量を貯える時間をより短くするため、当該温度上昇の傾きが大きくなるように蓄熱熱交換器4に流入させる冷媒の量を増やすことが求められる。
【0059】
この蓄熱量(J)は、(室外熱交換器3に付いた霜を融解させるために必要な熱量(J)+除霜暖房運転に必要な熱量(J))+(除霜中の暖房能力目標値(W)-圧縮機の消費電力(W))×除霜時間(S)で求めることができる。そしてこの蓄熱量を暖房蓄熱運転の次に行われる除霜暖房運転において利用するために、この暖房蓄熱運転の間に貯める必要がある。
【0060】
そこで、必要な蓄熱量をこの暖房蓄熱運転の時間内に貯めるために、蓄熱量と時間とを用いた第1の傾きが設定される。このように第1の傾きを設定することによって、凝縮温度の高低に拘わらず必要な蓄熱量を暖房蓄熱運転の時間内に貯めることができる。なお、このように第1の傾きは設定されるため、あくまでも理論値であると言える。
【0061】
なお、外気温度によって室外熱交換器3に対する着霜量等が異なることから、除霜運転が完了するまでの時間も異なる。そこで、事前に、例えば外気温度ごとの着霜速度の実測値を基に補正係数を算出し、例えば、次に説明する記憶部73に記憶させておく。
【0062】
その上で、温度検出部71を介して外気温度センサ31から取得された外気温度に基づく補正係数を用いて上述した第1の傾きを補正することによって、より正確な第1の傾きを設定することができる。
【0063】
当該第1の傾きの補正の方法としては、例えば、次の方法が考えられる。すなわち、例えば、室外熱交換器3に対する基準とする着霜速度を基に、第1の傾きを補正することが考えられる。具体的には、例えば、外気温度が2℃の時に最も着霜の速度が速いとされることを前提とした場合、設定部72は、補正後の第1の傾き=補正前の第1の傾き×(現在の外気温度(℃)での着霜速度/外気温度が2℃の場合における着霜速度)との式を用いて、第1の傾きを補正することとしても良い。
【0064】
記憶部73は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、上述した温度検出部71において取得された各温度を基に設定部72において設定された第1の傾きを記憶している。また、上述したような基準となる外気温度における着霜速度を用いた、補正式について記憶されていても良い。
【0065】
判定部74は、上述したように温度検出部71が蓄熱温度センサHSから取得する蓄熱材の温度を用いて、蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を傾きとして算出する(以下、この算出された傾きを「第2の傾き」と表す)。
【0066】
判定部74では、蓄熱温度センサHSが検出した最新の蓄熱材の温度と、例えば当該最新の蓄熱材の温度が検出された時よりも前に検出された蓄熱材の温度であって直近の温度とを用いて第2の傾きを算出する。具体的には、(最新の蓄熱材の温度-前に検出された蓄熱材の温度)/単位時間、の式を用いて算出する。従って、第2の傾きは、実測値である。
【0067】
なお、直近の蓄熱材の温度については、例えば、判定部74が記憶していても、或いは、記憶部73に記憶されている情報を判定部74が記憶部73から取得することとしても良い。
【0068】
その上で、判定部74は、この第2の傾きと記憶部73に記憶されている第1の傾きとを比較して、第2の傾きが第1の傾きに一致するか否かを判定する。実際に蓄熱材に圧縮機1から吐出される冷媒の熱が蓄熱される際の温度の上昇量(実測値)である第2の傾きを上述した意図を持って設定される理論値である第1の傾きと比較することで、予定通りに蓄熱材への蓄熱が行われるように、蓄熱の速度を調整することができる。
【0069】
すなわち、制御部7が蓄熱暖房運転時において蓄熱される蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きが、当該第1の傾きを基準としてこの第1の傾きと一致するように第1の膨張弁51の開度を制御する。
【0070】
具体的には、判定部74が第2の傾きと第1の傾きとを比較した場合に、第2の傾きの方が第1の傾きよりも大きな場合には、予定された蓄熱の速度よりも早く蓄熱材に蓄熱されていることになるため、後述する膨張弁開度制御部75は、第1の膨張弁51の開度を小さくする制御を行う。
【0071】
一方、第2の傾きよりも第1の傾きの方が大きな場合は、蓄熱材への蓄熱の速度が予定された蓄熱の速度よりも遅いことになるため、膨張弁開度制御部75が第1の膨張弁51の開度を大きくする制御を行う。このような制御が行うことによって、圧縮機1から吐出される冷媒がより多く蓄熱熱交換器4に流入するようにする。
【0072】
そして第2の傾きと第1の傾きとが略同じである場合には、膨張弁開度制御部75は第1の膨張弁51の開度を維持する制御を行う。予定通りに蓄熱材に熱が蓄えられているからである。
【0073】
そのため、より精度良く蓄熱材への蓄熱の速度を管理するのであれば、判定部74は頻繁に第2の傾きの算出を行い、第1の傾きとの比較を行うことで対応可能である。なお、判定部74が第2の傾きを算出する頻度については、任意に設定することができる。
【0074】
判定部74における判定結果は、膨張弁開度制御部75に対して送信される。膨張弁開度制御部75は、判定部74から受信した判定結果に従って、第1の膨張弁51の開度を制御する。
【0075】
以上で本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sの制御部7の各部について、それらの機能について説明した。そこで次に、冷凍サイクル装置Sにおいて行われる運転態様について、
図4ないし
図6に示す本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sの回路図を用いて順に説明する。
【0076】
なお、
図4ないし
図6に示す回路図においては、実際に冷媒が流れる冷媒回路Cを実線で示している。一方、冷媒回路Cを構成するが冷媒が流れていない冷媒回路Cについては破線で示している。また、冷媒回路C内を流れる冷媒の向きを矢印で示している。
【0077】
まず冷房運転について説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sが冷房運転を行う際の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。冷房運転の場合、室内熱交換器2は蒸発器、室外熱交換器3は凝縮器として機能する。
【0078】
すなわち、圧縮機1において圧縮されて高温高圧の状態で吐出された冷媒は、
図4の矢印に示すように、第1の膨張弁51、第2の切替弁62を介して室外熱交換器3に流入する。なお、このとき第1の膨張弁51の開度は全開となっている。また、圧縮機1から吐出された冷媒は、第1の切替弁61にも流れるが、バイパス回路Bを通って第2の切替弁62から室外熱交換器3へと流入する。
【0079】
室外熱交換器3に流入した冷媒は、図示しない室外ファンが回転することで供給される外気によって冷却され、外気に放熱する。そして、冷媒の一部、或いはその全部が凝縮する。
【0080】
このように外気に放熱した冷媒は室外熱交換器3から流出して第3の膨張弁53を通過することで減圧され低温低圧の冷媒となる。その後、低温低圧になった冷媒は、室内熱交換器2に流入し、室内熱交換器2で室内空気との間で熱交換が行われる。
【0081】
室内熱交換器2による熱交換によって、冷媒は室内空気から吸熱し蒸発するとともに、室内熱交換器21に吸い込まれた室内空気は冷却され、室内ファンによって室内に供給されて室内が冷房される。そして熱交換により吸熱した冷媒は、第1の切替弁61を介して圧縮機1に流入する。
【0082】
一方、冷凍サイクル装置Sが蓄熱暖房運転を行う場合の冷媒の流れは
図5に示される通りである。
図5は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sが蓄熱暖房運転を行う際の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。
【0083】
図5に示す通り、圧縮機1から吐出された冷媒は、第1の切替弁61を介して室内熱交換器2に流入する。そして室内熱交換器2において冷媒と室内機に流入する空気との間で熱交換を行い室内空間に冷媒から吸熱して暖められた空気を供給する。従って、室内熱交換器2は凝縮器として機能する。
【0084】
室内熱交換器2から流出した冷媒は、第3の膨張弁53を経由して室外熱交換器3に流入する。室外熱交換器3は蒸発器として機能し、冷媒と室外空気との間で熱交換が行われる。室外熱交換器3から流出した冷媒は、第2の切替弁62を介して圧縮機1に流入する。
【0085】
本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sには、上述したように、室内熱交換器2、及び、室外熱交換器3に加えて蓄熱熱交換器4が設けられている。蓄熱暖房運転が実行される場合には、圧縮機1から吐出された冷媒は、上述したように室内熱交換器2に流入するだけではなく、第1の切替弁61に至る前に分岐して第1の膨張弁51、第2の切替弁62を介して蓄熱熱交換器4にも流入する。なお、このとき第1の膨張弁51の開度は後述する制御に基づいて開度が調整されている。
【0086】
蓄熱熱交換器4では流入した冷媒が蓄熱材との間で熱交換を行うことによって、冷媒の熱が蓄熱材に蓄熱される。蓄熱材の温度は、蓄熱温度センサHSにおいて検出されて、上述したように適宜制御部7の温度検出部71に送信される。
【0087】
蓄熱熱交換器4から流出した冷媒は、第2の膨張弁52を介して室外熱交換器3に流入し、さらに室外熱交換器3から流出して第2の切替弁62を介して圧縮機1に流入する。なお、このとき第2の膨張弁52の開度は予め定められた固定の開度となるように調整されている。具体的には、蓄熱熱交換器4に流入する冷媒の量が室内熱交換器2に流入する冷媒の量よりも少なくなるように開度とされる。
【0088】
図6は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sが除霜暖房運転を行う際の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。圧縮機1から吐出された冷媒は、第1の切替弁61を介して室内熱交換器2に流入する。ここでは暖房運転であることから、室内熱交換器2は凝縮器として機能し、室内熱交換器2において冷媒と室内機に流入する空気との間で熱交換を行い冷媒から吸熱して暖められた空気を室内空間に供給する。
【0089】
また、圧縮機1から吐出された冷媒は、第1の切替弁61に至る前に分岐して第1の膨張弁51、及び、第2の切替弁62を介して室外熱交換器3へと流入する。なお、このとき第1の膨張弁51の開度は後述する制御に基づいて開度が調整されている。室外熱交換器3に圧縮機1からの高温の冷媒が流入することで、室外熱交換器3に付着した霜を溶かす除霜運転が実行される。
【0090】
室内熱交換器2から流出した冷媒は、第3の膨張弁53、第2の膨張弁52を介して蓄熱熱交換器4に流入する。なお、このとき第3の膨張弁53および第2の膨張弁52の開度は全開となっている。また、室外熱交換器3から流出した冷媒は、第2の膨張弁52を介して蓄熱熱交換器4に流入する。蓄熱熱交換器4では、流入した冷媒と蓄熱材との間で熱交換が行われる。蓄熱熱交換器4から流出した冷媒は、第2の切替弁62を介して圧縮機1に流入する。
【0091】
[動作]
次に、上述した蓄熱暖房運転、及び除霜暖房運転における制御部7による冷凍サイクル装置Sの制御の流れについて、
図7、及び、
図8を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sにおいて除霜運転を行う際の制御の流れを示すフローチャートである。また、
図8は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sにおいて除霜運転を行う際に用いられる熱を蓄熱熱交換器4に蓄える処理の流れを示すフローチャートである。
【0092】
まず冷凍サイクル装置Sにおいて、蓄熱暖房運転が開始される(ST1)。ここで蓄熱暖房運転が開始される条件については予め設定されており、制御部7において当該条件が満たされたか否かが判定される。蓄熱暖房運転が開始される条件として、例えば蓄熱材温度と外気温度との差が所定値未満という条件が設定される。これにより、蓄熱された熱量が不足しているときに蓄熱暖房運転を実行できる。
【0093】
蓄熱暖房運転が開始されると、上述したように第1の切替弁61を介して圧縮機1から吐出された冷媒が室内熱交換器2に流入するとともに、第1の膨張弁51、第2の切替弁62を介して蓄熱熱交換器4に流入する。その際、制御部7は、例えば、第1の膨張弁51の開度を制御して、蓄熱熱交換器4に流入する冷媒の量を調整する(ST2)。
【0094】
なお、蓄熱暖房運転の開始時における第1の膨張弁51の開度については、例えば、予め設定されている蓄熱暖房運転の開始時の開度となるように、蓄熱暖房運転の開始と同時に膨張弁開度制御部75によって制御されても良い。
【0095】
或いは、例えば、蓄熱暖房運転が開始される前に、除霜暖房運転が実行されていた場合には、室外熱交換器3に対する除霜運転が行われていたことから、第1の膨張弁51については、除霜運転において必要な開度に調整されている。従って、蓄熱暖房運転開始時の第1の膨張弁51の開度をこの除霜運転時の開度とすることも可能である。
【0096】
そして上述した蓄熱暖房運転の開始時における第1の膨張弁51の開度を基に、以下に説明するように蓄熱材の温度の時間的な変化に伴って随時第1の膨張弁51の開度を調整して、蓄熱熱交換器4への蓄熱の速度を調整する。
【0097】
具体的には、
図8に示す流れで第1の膨張弁51の開度が決定される。すなわち、まず設定部72が蓄熱材の温度、室内熱交換器2の凝縮温度、外気温度から第1の傾きを設定する(ST11)。上述したように、蓄熱材の温度は蓄熱温度センサHSから取得する。室内熱交換器2の凝縮温度は、室内熱交換器2に設けられている凝縮温度センサ21から取得する。また、外気温度については、外気温度センサ31から取得する。
【0098】
これらの各温度については、温度検出部71が取得する。設定部72では、温度検出部71が取得した各温度を用いて、例えば上述したような方法で第1の傾きを設定し、記憶部73に記憶させる。
【0099】
次に、判定部74は、温度検出部71が取得した現在の蓄熱材の温度と直近の蓄熱材の温度から、蓄熱材の温度の時間当たりの上昇量を示す第2の傾きを算出する(ST12)。その上で、判定部74は、この第2の傾きと記憶部73に記憶されている第1の傾きとを比較する(ST13)。
【0100】
判定部74が第2の傾きと第1の傾きとを比較した結果(ST14)、第2の傾きの方が第1の傾きよりも大きな場合には(ST14のYES)、予定された蓄熱の速度よりも早く蓄熱材に蓄熱されていることになるため、膨張弁開度制御部75は、第1の膨張弁51の開度を小さくする制御を行う(ST15)。
【0101】
一方、第1の傾きが第2の傾きと同じ、若しくはそれより大きい場合は(ST14のNO)、次に判定部74は、第2の傾きが第1の傾きと等しいか否かを判定する(ST16)。なお、ここで第2の傾きと第1の傾きとが等しい、とは、完全に等しい場合だけではなく、例えば、予め等しいと見做すことができる範囲を設定しておき、第2の傾きと第1の傾きとの差が当該範囲に含まれる場合も含めても良い。
【0102】
判定部74が、第2の傾きと第1の傾きとが等しいと判定した場合には(ST16のYES)、膨張弁開度制御部75は第1の膨張弁51の開度を維持する制御を行う(ST17)。予定通りに蓄熱材に熱が蓄えられているからである。
【0103】
一方、第2の傾きと第1の傾きが等しくない、と判定部74が判定した場合には(ST16のNO)、第2の傾きは第1の傾きより小さい場合に該当する。すなわち、この場合は、蓄熱材への蓄熱の速度が予定された蓄熱の速度よりも遅いことになるため、膨張弁開度制御部75が第1の膨張弁51の開度を大きくする制御を行って、圧縮機1から吐出される冷媒がより多く蓄熱熱交換器4に流入するようにする(ST18)。
【0104】
なお、
図8に示すフローチャートでは、第1の膨張弁51の開度を制御する流れについて、第2の傾きと第1の傾きとの大小の判定が1回行われる場合について示している。但し、蓄熱熱交換器4への蓄熱の速度を細かく管理する場合には、上述したように、判定部74は複数回第2の傾きの算出を行い、適宜第1の傾きとの比較を行う必要がある。
【0105】
従って、判定部74が第2の傾きを算出する頻度については、任意に設定することができる。そして、蓄熱材の温度の時間的な変化に応じた蓄熱を行うべく、一旦第1の膨張弁51の開度が設定された後、改めてステップST12に戻って第2の傾きを算出し、上述した流れに沿った制御が実行される。このように蓄熱暖房運転が行われている間、第1の膨張弁51の開度を調整しつつ、蓄熱熱交換器4に必要な熱が蓄えられる。
【0106】
蓄熱暖房運転が行われている間、制御部7では室外熱交換器3に対する除霜運転が必要か否か、予め設定されている除霜運転への移行条件に従って判定する(
図7のST3)。除霜運転が不要な場合は(ST3のNO)は、引き続き蓄熱暖房運転が行われる。
【0107】
一方、除霜暖房運転開始の条件が満たされたと制御部7が判定した場合には(ST3のYES)、除霜暖房運転が開始される(ST4)。これまで説明してきた通り、除霜暖房運転においては、暖房運転が行われるとともに、蓄熱熱交換器4に蓄えられた熱を用いて除霜運転が行われる。そして除霜暖房運転が実行されている間、制御部7では室外熱交換器3の霜が溶けて除霜暖房運転を終了しても良いか否か、予め設定されている終了条件を基に判定する(ST5)。
【0108】
制御部7の判定によって、室外熱交換器3の霜が十分に溶けておらず、未だ除霜暖房運転を終了することができない場合には(ST5のNO)、引き続き実行中の除霜暖房運転が継続される。一方、判定の結果、除霜暖房運転を終了することができると判定した場合には(ST5のYES)、除霜暖房運転が終了する(ST6)。
【0109】
なお、
図7に示すフローチャートでは示していないが、除霜暖房運転が終了した後、改めて暖房蓄熱運転が開始されても良い。
【0110】
以上説明した通り、予め設定されている第1の傾きに第2の傾きを合わせるように第1の膨張弁51の開度を制御することによって、暖房に用いられる熱量と除霜に用いられる熱量とをバランス良く振り分けつつ、除霜暖房運転が開始されるまでに除霜に必要な熱量を蓄えることができる。
【0111】
そのため、除霜暖房運転を行う際のユーザに対する快適性の低下を抑制しつつ除霜に必要な熱を蓄えるとともに、これらの両立を図る際のコストアップを回避することができる冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の制御方法を提供することができる。
【0112】
すなわち、蓄熱暖房運転の際に蓄熱熱交換器4に熱を蓄えるに当たって、第1の膨張弁の開度を調整するが、当該第1の膨張弁の開度の制御は蓄熱材の温度を基に実行される。そのため、例えば、蓄熱熱交換器が内部に前記蓄熱材が充填された蓄熱容器の中に配置される構造であっても、蓄熱材の温度が検出できれば蓄熱熱交換器への蓄熱の速度を適切に制御することができる。
【0113】
また、蓄熱熱交換器における凝縮温度を検出するために、例えば、本発明の実施の形態においては、室内熱交換器2に冷媒の凝縮温度を検出する凝縮温度センサ21を設けている。従って、例えば、高圧側の回路に圧力センサを設けて凝縮圧力から凝縮温度を検出する必要がなくなることからコストの上昇を抑えつつ蓄熱熱交換器への蓄熱を行うことができる。
【0114】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0115】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0116】
例えば、これまでは蓄熱熱交換器に蓄えられた熱を用いた除霜運転の例として、除霜暖房運転が実行されることを例に挙げて説明したが、これまで説明した内容は、例えば、蓄熱暖房運転から除霜運転(同時に暖房運転を行わない除霜運転)へと切り替えて室外熱交換器を除霜する際にも当てはめることができる。
【0117】
また、第1の傾きについては、設定部72が蓄熱熱交換器4に必要な蓄熱量を貯めるために、都度設定することを前提として説明した。但し、この第1の傾きについては、例えば、固定値とすることも可能である。
【0118】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)冷媒を循環させる冷媒回路に、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
室内の空気と前記冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、
室外の空気と前記冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、
蓄熱材と前記冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、
開度を調整可能な複数の膨張弁と、
前記室内熱交換器、及び、前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室外熱交換器、及び、前記室内熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切替弁と、が接続され、
前記蓄熱材の温度を検出する蓄熱温度センサと、
前記複数の膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の上流側に設けられる第1の膨張弁であり、
前記制御部は、前記蓄熱暖房運転時において蓄熱される前記蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きが、前記室内熱交換器の凝縮温度に鑑みて予め設定される第1の傾きと一致するように前記第1の膨張弁の開度を制御することを特徴とする冷凍サイクル装置。
(2)前記蓄熱熱交換器は、内部に前記蓄熱材が充填された蓄熱容器の中に配置されていることを特徴とする上記(1)に記載の冷凍サイクル装置。
(3)前記室外熱交換器は、外気温度を検出する外気温度センサを備え、
前記第1の傾きは、前記外気温度センサが検出した前記外気温度に応じて設定されることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の冷凍サイクル装置。
(4)前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の下流側に設けられた第2の膨張弁であり、前記制御部は、前記蓄熱暖房運転時における前記第2の膨張弁の開度を予め定めた開度となるように制御することを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。
(5)冷媒を循環させる冷媒回路に、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
室内の空気と前記冷媒とを熱交換する室内熱交換器と、
室外の空気と前記冷媒とを熱交換する室外熱交換器と、
蓄熱材と前記冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器と、
開度を調整可能な複数の膨張弁と、
前記室内熱交換器、及び、前記蓄熱熱交換器を凝縮器、前記室外熱交換器を蒸発器として機能させる蓄熱暖房運転と、前記室外熱交換器、及び、前記室内熱交換器を凝縮器、前記蓄熱熱交換器を蒸発器として機能させる除霜運転とで前記冷媒回路における前記冷媒の循環経路を切り替える複数の切替弁と、が接続され、
前記蓄熱材の温度を検出する蓄熱温度センサと、
前記複数の膨張弁を制御する制御部と、を備え、
前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の上流側に設けられる第1の膨張弁である冷凍サイクル装置であって、
蓄熱暖房運転時において、
前記室外熱交換器に対する前記除霜運転に必要な熱量を前記室内熱交換器の凝縮温度に鑑みて前記蓄熱熱交換器に蓄えるための時間当たりの蓄熱量を示す第1の傾きを設定するステップと、
前記蓄熱暖房運転時において蓄熱される前記蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きを検出し、前記第2の傾きと前記第1の傾きとを比較するステップと、
前記比較の結果に基づいて、前記第1の膨張弁の開度を制御するステップと、
を備えることを特徴とする冷凍サイクル装置の制御方法。
(6)前記室外熱交換器は、外気温度を検出する外気温度センサを備え、
前記第1の傾きが設定されるステップにおいて、前記第1の傾きは、前記外気温度センサが検出した前記外気温度に応じて設定されることを特徴とする上記(5)に記載の冷凍サイクル装置の制御方法。
(7)前記複数の膨張弁の1つは、前記凝縮器として機能する前記蓄熱熱交換器の下流側に設けられた第2の膨張弁であり、
前記制御部は、前記蓄熱暖房運転時において前記第2の膨張弁の開度を予め定めた開度となるように制御するステップを備えることを特徴とする上記(5)または(6)に記載の冷凍サイクル装置の制御方法。
【符号の説明】
【0119】
1・・・圧縮機、2・・・室内熱交換器、3・・・室外熱交換器、31・・・外気温度センサ、4・・・蓄熱熱交換器、5・・・膨張弁、51・・・第1の膨張弁、52・・・第2の膨張弁、53・・・第3の膨張弁、6・・・切替弁、61・・・第1の切替弁、62・・・第2の切替弁、7・・・制御部、71・・・温度検出部、72・・・設定部、73・・・記憶部、74・・・判定部、75・・・膨張弁開度制御部、C・・・冷媒回路、HS・・・蓄熱温度センサ、S・・・冷凍サイクル装置
【要約】
【課題】除霜運転を行う際のユーザに対する快適性の低下を抑制しつつ除霜に必要な熱を蓄えるとともに、これらの両立を図る際のコストアップを回避する。
【解決手段】冷媒を循環させる冷媒回路Cに、圧縮機1と、室内熱交換器2と、室外熱交換器3と、蓄熱材と冷媒とを熱交換する蓄熱熱交換器4と、開度を調整可能な複数の膨張弁5と、蓄熱暖房運転と、除霜運転とで冷媒回路における冷媒の循環経路を切り替える複数の切替弁6と、が接続され、蓄熱材の温度を検出する蓄熱温度センサHSと、複数の膨張弁5を制御する制御部7と、を備え、複数の膨張弁5の1つは、凝縮器として機能する蓄熱熱交換器の上流側に設けられる第1の膨張弁51であり、制御部7は、蓄熱暖房運転時において蓄熱される蓄熱材の温度の単位時間当たりの上昇量を示す第2の傾きが、予め設定される第1の傾きと一致するように第1の膨張弁の開度を制御する。
【選択図】
図1