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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】エレベーター装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20250311BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20250311BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B5/02 F
B66B3/00 R
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023506673
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2021011431
(87)【国際公開番号】W WO2022195858
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 陽太
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智史
(72)【発明者】
【氏名】國武 和広
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197341(JP,A)
【文献】特開2007-254047(JP,A)
【文献】特開2015-078043(JP,A)
【文献】特許第6673541(JP,B1)
【文献】国際公開第2007/039928(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 5/02
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動するかごと、
前記かご又は前記かごが停止する乗場に設けられた表示器と、
前記かごに設けられ、前記昇降路を撮影する第1カメラと、
前記かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、
地震で前記かごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、
前記復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって異常が検出されることなく前記復旧運転が終了すると、前記表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、
前記異常検出手段によって異常が検出されることなく前記復旧運転が終了すると、前記復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記確認用データの応答として前記外部機器から特定の復旧信号を受信すると、前記表示器から前記特定の表示を消去し、
前記確認用データに、前記第1カメラによって取得された画像データ、前記マイクロホンによって取得された音声データ、及び前記振動センサによって取得された振動データが含まれるエレベーター装置。
【請求項2】
前記復旧用データに、前記第1カメラによって取得された画像データは含まれない請求項1に記載のエレベーター装置。
【請求項3】
前記かごに設けられ、前記かごの内部を撮影する第2カメラを更に備え、
前記確認用データに、前記第2カメラによって取得された画像データが含まれる請求項1又は請求項2に記載のエレベーター装置。
【請求項4】
前記かごは、インターホンを備え、
前記マイクロホンは、前記かごの外部に設けられ、
前記復旧用データに前記インターホンによって取得された音声データが含まれる請求項1から請求項3の何れか一項に記載のエレベーター装置。
【請求項5】
前記確認用データに、前記インターホンによって取得された音声データは含まれず、
前記復旧用データに、前記マイクロホンによって取得された音声データは含まれない請求項4に記載のエレベーター装置。
【請求項6】
昇降路を移動するかごと、
前記かご又は前記かごが停止する乗場に設けられた表示器と、
前記かごに設けられ、前記昇降路を撮影する第1カメラと、
前記かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、
地震で前記かごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、
前記復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって異常が検出されることなく前記復旧運転が終了すると、前記表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、
前記復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記確認用データの応答として前記外部機器から特定の復旧信号を受信すると、前記表示器から前記特定の表示を消去し、
前記確認用データに、前記第1カメラによって取得された画像データ、前記マイクロホンによって取得された音声データ、及び前記振動センサによって取得された振動データが含まれ、
前記復旧用データに、前記第1カメラによって取得された画像データは含まれないエレベーター装置。
【請求項7】
昇降路を移動するかごと、
前記かご又は前記かごが停止する乗場に設けられた表示器と、
前記かごに設けられ、前記昇降路を撮影する第1カメラと、
前記かごに設けられ、前記かごの内部を撮影する第2カメラと、
前記かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、
地震で前記かごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、
前記復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって異常が検出されることなく前記復旧運転が終了すると、前記表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、
前記復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記確認用データの応答として前記外部機器から特定の復旧信号を受信すると、前記表示器から前記特定の表示を消去し、
前記確認用データに、前記第1カメラによって取得された画像データ、前記第2カメラによって取得された画像データ、前記マイクロホンによって取得された音声データ、及び前記振動センサによって取得された振動データが含まれるエレベーター装置。
【請求項8】
昇降路を移動するかごと、
前記かご又は前記かごが停止する乗場に設けられた表示器と、
前記かごに設けられ、前記昇降路を撮影する第1カメラと、
前記かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、
地震で前記かごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、
前記復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、
前記異常検出手段によって異常が検出されることなく前記復旧運転が終了すると、前記表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、
前記復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記確認用データの応答として前記外部機器から特定の復旧信号を受信すると、前記表示器から前記特定の表示を消去し、
前記確認用データに、前記第1カメラによって取得された画像データ、前記マイクロホンによって取得された音声データ、及び前記振動センサによって取得された振動データが含まれ、
前記かごは、インターホンを備え、
前記マイクロホンは、前記かごの外部に設けられ、
前記復旧用データに前記インターホンによって取得された音声データが含まれるエレベーター装置。
【請求項9】
前記確認用データに、前記インターホンによって取得された音声データは含まれず、
前記復旧用データに、前記マイクロホンによって取得された音声データは含まれない請求項8に記載のエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーター装置では、地震でかごが停止した後に復旧運転が行われる。復旧運転で異常が検出されなければ、エレベーター装置は仮復旧する。その後、専門知識を有する技術者が現地で確認作業を行うことにより、エレベーター装置は本復旧する。
【0003】
また、特許文献1にエレベーター装置が記載されている。特許文献1に記載されたエレベーター装置では、地震後に、ビルのオーナー等がライブ映像を見て、異常の有無を判断する。オーナー等がライブ映像で異常を確認すると、復旧運転は中止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本特開2008-1494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来では、仮復旧中のエレベーター装置を本復旧するためには、技術者が現地に行って確認作業を行わなければならなかった。このため、地震後の技術者の負担が大きいといった問題があった。
【0006】
特許文献1に記載されたエレベーター装置では、ライブ映像を視聴できる人がいなければ、復旧運転が開始されない。このため、地震後のエレベーター装置の復旧が遅れるといった問題があった。
【0007】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、地震後の技術者の負担を軽減することができ、且つエレベーター装置の復旧を早期に行うことができるエレベーター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るエレベーター装置は、昇降路を移動するかごと、かご又はかごが停止する乗場に設けられた表示器と、かごに設けられ、昇降路を撮影する第1カメラと、かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、地震でかごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると、表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、異常検出手段によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると、復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、を備える。表示制御手段は、確認用データの応答として外部機器から特定の復旧信号を受信すると、表示器から特定の表示を消去する。確認用データに、第1カメラによって取得された画像データ、マイクロホンによって取得された音声データ、及び振動センサによって取得された振動データが含まれる。
本開示に係るエレベーター装置は、昇降路を移動するかごと、かご又はかごが停止する乗場に設けられた表示器と、かごに設けられ、昇降路を撮影する第1カメラと、かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、地震でかごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると、表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、を備える。表示制御手段は、確認用データの応答として外部機器から特定の復旧信号を受信すると、表示器から特定の表示を消去する。確認用データに、第1カメラによって取得された画像データ、マイクロホンによって取得された音声データ、及び振動センサによって取得された振動データが含まれる。復旧用データに、第1カメラによって取得された画像データは含まれない。
本開示に係るエレベーター装置は、昇降路を移動するかごと、かご又はかごが停止する乗場に設けられた表示器と、かごに設けられ、昇降路を撮影する第1カメラと、かごに設けられ、かごの内部を撮影する第2カメラと、かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、地震でかごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると、表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、を備える。表示制御手段は、確認用データの応答として外部機器から特定の復旧信号を受信すると、表示器から特定の表示を消去する。確認用データに、第1カメラによって取得された画像データ、第2カメラによって取得された画像データ、マイクロホンによって取得された音声データ、及び振動センサによって取得された振動データが含まれる。
本開示に係るエレベーター装置は、昇降路を移動するかごと、かご又はかごが停止する乗場に設けられた表示器と、かごに設けられ、昇降路を撮影する第1カメラと、かごに設けられたマイクロホン及び振動センサと、地震でかごが停止した後に特定の条件が成立すると、復旧の可否を判定するための復旧運転を行う運転制御手段と、復旧運転が行われている時に取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると、表示器に仮復旧であることを示す特定の表示を行う表示制御手段と、復旧運転が行われている時に取得された確認用データを外部機器に送信する通信手段と、を備える。表示制御手段は、確認用データの応答として外部機器から特定の復旧信号を受信すると、表示器から特定の表示を消去する。確認用データに、第1カメラによって取得された画像データ、マイクロホンによって取得された音声データ、及び振動センサによって取得された振動データが含まれる。かごは、インターホンを備える。マイクロホンは、かごの外部に設けられる。復旧用データにインターホンによって取得された音声データが含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係るエレベーター装置であれば、地震後の技術者の負担を軽減することができ、且つエレベーター装置の復旧を早期に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1におけるエレベーター装置の例を示す図である。
図2図1に示すエレベーター装置の機能を説明するための図である。
図3】実施の形態1におけるエレベーター装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1におけるエレベーター装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】サーバの動作例を示すフローチャートである。
図6】制御装置のハードウェア資源の例を示す図である。
図7】制御装置のハードウェア資源の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーター装置の例を示す図である。図2は、図1に示すエレベーター装置の機能を説明するための図である。エレベーター装置は、かご1、及びつり合いおもり2を備える。かご1は、昇降路3を上下に移動する。つり合いおもり2は、昇降路3を上下に移動する。かご1及びつり合いおもり2は、ロープ4によって昇降路3に吊り下げられる。
【0013】
ロープ4は、巻上機5に巻き掛けられる。巻上機5は、かご1を駆動する。制御装置6は、巻上機5を制御する。即ち、かご1の移動は、制御装置6によって制御される。また、制御装置6は、かご1に備えられた機器を制御する。
【0014】
図1は、巻上機5及び制御装置6が昇降路3の上方の機械室7に設置される例を示す。巻上機5及び制御装置6は、昇降路3に設置されても良い。巻上機5が昇降路3に設置される場合、巻上機5は昇降路3の頂部に設置されても良いし、昇降路3のピットに設置されても良い。
【0015】
監視装置8は、制御装置6に接続される。監視装置8は、エレベーター装置が外部と通信するための装置である。監視装置8は、ネットワーク9を介して外部機器と通信する。当該外部機器には、サーバ11が含まれる。サーバ11は、本エレベーター装置を監視する遠隔の監視センター10に備えられる。
【0016】
かご1と制御装置6との間に、制御ケーブル12が接続される。制御ケーブル12は、かご1と監視装置8との間にも接続される。制御ケーブル12は、かご1から下方に延びる。かご1から下方に延びた制御ケーブル12は、昇降路3の内部で方向転換して上方に延び、制御装置6及び監視装置8に接続される。
【0017】
かご1は、かご室20、ドア21、モータ22、枠23、前梁24、操作盤25を備える。
【0018】
かご室20は、乗客が乗るための空間を形成する。かご室20は、枠23によって支持される。枠23は、かご室20の上下左右を取り囲む。枠23は、下部材23aを備える。下部材23aは、かご室20の下方でかご室20を横切るように水平に配置される。前梁24は、かご室20の下に配置される。
【0019】
かご1の出入口は、ドア21によって開閉される。モータ22は、ドア21を駆動する。操作盤25は、インターホン26、及び複数の釦を備える。操作盤25には、行先呼びを登録するための行先釦、ドア21を開くための開釦、及びドア21を閉じるための閉釦が含まれる。
【0020】
かご1に、表示器30、カメラ31、ランプ32、カメラ33、マイクロホン34、及び振動センサ35が設けられる。
【0021】
表示器30は、かご1に乗っている乗客に情報を表示する。表示器30は、操作盤25の一部として備えられても良い。
【0022】
図1に示す例では、カメラ31は、下部材23aの下向きの面に固定される。即ち、カメラ31は、かご1の外部に設けられる。カメラ31は、昇降路3を撮影する。図1に示す例では、かご1より下方の映像がカメラ31によって撮影される。カメラ31によって取得された画像データは、制御ケーブル12を介して監視装置8に送信される。
【0023】
ランプ32は、前梁24の横向きの面に固定される。かご1に電球用のソケットが設けられる。ランプ32は、このソケットから電力が供給される。
【0024】
他の例として、カメラ31及びランプ32の双方に対して、この電球用のソケットから電力が供給されても良い。図1は、かご1に設けられた電球用のソケットにアダプタ36が固定される例を示す。図1に示す例では、カメラ31及びランプ32への電力の供給は、当該ソケット及びアダプタ36を介して行われる。
【0025】
カメラ33は、かご1の内部を撮影する。カメラ33によって取得された画像データは、制御ケーブル12を介して監視装置8に送信される。
【0026】
マイクロホン34及び振動センサ35は、かご1の外部に設けられる。図1に示す例では、マイクロホン34及び振動センサ35は、かご室20の上に配置される。マイクロホン34及び振動センサ35は、一体型の装置として備えられても良い。マイクロホン34によって取得された音声データは、制御ケーブル12を介して監視装置8に送信される。振動センサ35によって取得された振動データは、制御ケーブル12を介して監視装置8に送信される。
【0027】
エレベーター装置は、地震計13を更に備える。地震計13は、機械室7に設けられる。地震計13は、昇降路3に設けられても良い。地震計13は、エレベーター装置が据え付けられている建物の加速度を検出する。地震計13は、検出した加速度に応じた信号を出力する。一例として、地震計13は、検出した加速度に応じて3段階の信号を出力する。
【0028】
かご1が停止する各乗場14に、操作盤15、及び表示器16が設けられる。図1は、操作盤15が上釦及び下釦を備える例を示す。他の例として、操作盤15は、行先釦を備えても良い。表示器16は、乗場14にいる乗客に情報を表示する。表示器16は、液晶ディスプレイでも良いし、表示灯でも良い。
【0029】
制御装置6は、記憶部40、運転制御部41、異常検出部42、及び表示制御部43を備える。監視装置8は、取得部51、及び通信部52を備える。
【0030】
運転制御部41は、自動運転、管制運転、及び復旧運転を行う。自動運転は、登録された呼びにかご1を順次応答させるための運転である。管制運転は、地震が発生した直後に、かご1内の乗客を避難させるための運転である。復旧運転は、復旧の可否を判定するための運転である。復旧運転は、地震が発生した後にかご1を実際に移動させることによって行われる。
【0031】
以下に、図3から図5も参照し、エレベーター装置の動作について詳しく説明する。図3及び図4は、実施の形態1におけるエレベーター装置の動作例を示すフローチャートである。図3及び図4は、一連の動作を示す。
【0032】
制御装置6では、運転制御部41が自動運転を行う(S101)。自動運転が行われていれば、乗客は、かご1に乗って目的階に行くことができる。運転制御部41が自動運転を行っている間、制御装置6では、地震が発生したか否かが判定される(S102)。地震計13から制御装置6に対して特定の信号が入力されると、S102でYesと判定される。
【0033】
S102でYesと判定されると、制御装置6では、第1開始条件が成立するか否かが判定される(S103)。第1開始条件は、管制運転を開始するための条件である。一例として、特定のレベル以上の加速度が検出されたことを示す信号が地震計13から制御装置6に入力され、且つかご1が移動中であれば、S103でYesと判定される。S103でYesと判定されると、運転制御部41は管制運転を行う(S104)。管制運転では、かご1が最寄り階の乗場14に停止する。かご1が乗場14に停止すると、ドア21が開放される。
【0034】
次に、制御装置6では、第2開始条件が成立するか否かが判定される(S105)。第2開始条件は、復旧運転を開始するための条件である。一例として、特定のレベル以上の加速度が検出されたことを示す信号が地震計13から制御装置6に入力され、且つ停止しているかご1が無人であれば、S105でYesと判定される。S105でYesと判定されると、運転制御部41は復旧運転を開始する(S106)。
【0035】
復旧運転が行われている時に、制御装置6によって復旧用データが取得される(S107)。また、復旧運転が行われている時に、監視装置8の取得部51によって確認用データが取得される(S108)。
【0036】
復旧用データは、復旧の可否を制御装置6において自動判定するために必要なデータである。異常検出部42は、S107で取得された復旧用データに基づいて、異常を検出する。一例として、復旧用データには、巻上機5のトルク値が含まれる。復旧用データに、インターホン26によって取得された音声データが含まれても良い。異常検出部42は、取得したトルク値が基準範囲に入っていなければ異常を検出する。異常検出部42は、取得した音声データの最大値が基準値を超える場合に異常を検出する。当該基準範囲及び基準値は、記憶部40に予め記憶される。
【0037】
異常検出部42によって異常が検出されると(S109のYes)、運転制御部41は復旧運転を中止する(S110)。異常検出部42によって異常が検出されると(S109のYes)、監視装置8の通信部52は、監視センター10に発報する(S110)。
【0038】
異常検出部42によって異常が検出されなければ(S109のNo)、復旧運転が終了したか否かが判定される(S111)。かご1等が規定された動作を全て行い、且つ取得された全ての復旧用データについて異常が検出されなければ、S111でYesと判定される。
【0039】
異常検出部42によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると、エレベーター装置は仮復旧する(S112)。仮復旧では、運転制御部41は、登録された呼びにかご1を順次応答させる運転を行う。このため、エレベーター装置が仮復旧すると、乗客は、かご1に乗って目的階に行くことができる。
【0040】
更に、仮復旧では、通常運転では行われない特殊制御が行われる。S112で行われる特殊制御として、表示制御部43は、仮復旧であることを示す特定の表示を表示器16に行っても良い。例えば、表示制御部43は、S112において乗場14に設けられた表示灯を点滅させる。表示制御部43は、仮復旧であることを示す特定の表示を表示器30に行っても良い。乗客は、当該表示を見ることにより、完全な復旧ではないことを知ることができる。
【0041】
異常検出部42によって異常が検出されることなく復旧運転が終了すると、通信部52は、取得部51によって取得された確認用データを監視センター10のサーバ11に送信する(S113)。当該確認用データは、監視センター10にいる専門知識を有する技術者が、エレベーター装置を本復旧させても良いか判断するために用いられる。
【0042】
確認用データには、カメラ31によって取得された画像データが含まれる。確認用データに、カメラ33によって取得された画像データが更に含まれても良い。また、確認用データには、マイクロホン34によって取得された音声データ、及び振動センサ35によって取得された振動データも含まれる。
【0043】
確認用データにカメラ31によって取得された画像データが含まれるため、当該画像データは、復旧用データに含まれなくても良い。確認用データにマイクロホン34によって取得された音声データが含まれるため、当該音声データは、復旧用データに含まれなくても良い。復旧用データにインターホン26によって取得された音声データが含まれる場合、当該音声データは、確認用データに含まれなくても良い。
【0044】
図5は、サーバ11の動作例を示すフローチャートである。サーバ11では、確認用データを受信したか否かが判定される(S201)。S113で監視装置8から送信された確認用データをサーバ11が受信すると、S201でYesと判定される。
【0045】
S201でYesと判定されると、サーバ11は、確認用データを表示器17に表示する(S202)。例えば、サーバ11は、カメラ31によって取得された画像データをパノラマ化して表示器17に表示する。これにより、技術者は、監視センター10において昇降路3の全体を確認することができる。他の例として、サーバ11は、マイクロホン34によって取得された音声データ及び振動センサ35によって取得された振動データに対して周波数分析を行う。サーバ11は、周波数分析の結果を表示器17に表示しても良い。
【0046】
S202では、技術者が以下の事項を確認することができるような表示が行われることが望ましい。
・ガバナロープの引っ掛かりの有無
・昇降路機器の破損の有無、昇降路外壁の破損の有無
・かご内機器の破損の有無
・乗場のドア装置の破損の有無
また、異常検出部42では異常を検出することができないような事象を表示器17から読み取ることができるように、確認用データには、復旧用データに含まれていないデータが含まれていることが望ましい。
【0047】
S202において確認用データの表示が行われると、サーバ11では、復旧が許可されたか否かが判定される(S203)。技術者は、確認用データを確認してエレベーター装置を本復旧させても良いと判断すると、特定の操作を行う。例えば、表示器17に表示された特定の釦がクリックされると、S203でYesと判定される。S203でYesと判定されると、S201で確認用データを送信してきたエレベーター装置に対し、サーバ11から復旧信号が送信される(S204)。
【0048】
制御装置6では、S113で監視装置8の通信部52から確認用データが送信されると、その応答としてサーバ11から復旧信号を受信したか否かが判定される(S114)。S204でサーバ11から送信された復旧信号を通信部52が受信すると、S114でYesと判定される。
【0049】
S114でYesと判定されると、エレベーター装置は本復旧する(S115)。即ち、S114でYesと判定されると、運転制御部41は通常運転を再開する。また、S114でYesと判定されると、S112で開始された特殊制御が終了する。仮復旧であることを示す特定の表示が表示器16で行われていれば、表示制御部43は、表示器16から当該特定の表示を消す。仮復旧であることを示す特定の表示が表示器30で行われていれば、表示制御部43は、表示器30から当該特定の表示を消す。
【0050】
本実施の形態に示す例では、地震後に復旧運転が自動的に開始される。また、異常が検出されることなく復旧運転が終了すれば、エレベーター装置は仮復旧する。このため、エレベーター装置の復旧(仮復旧)を早期に行うことができる。また、本実施の形態に示す例では、エレベーター装置を本復旧するために、技術者が現地に行って確認作業を行う必要がない。このため、地震後の技術者の負担を軽減できる。
【0051】
なお、エレベーター装置を本復旧するために技術者が確認する確認用データは、復旧運転が行われている時に取得される。復旧運転では、例えば、かご1が各乗場14に停止し、各乗場14においてドア21の開閉が行われる。このため、技術者は、監視センター10において、乗場14のドア装置の破損の有無、及び外壁の破損の有無といった、復旧用データからでは異常を検出できないような事象を確認することができる。
【0052】
本実施の形態において、符号40~43に示す各部は、制御装置6が有する機能を示す。図6は、制御装置6のハードウェア資源の例を示す図である。制御装置6は、ハードウェア資源として、プロセッサ61とメモリ62とを含む処理回路60を備える。制御装置6は、メモリ62に記憶されたプログラムをプロセッサ61によって実行することにより、符号41~43に示す各部の機能を実現する。記憶部40の機能はメモリ62によって実現される。メモリ62として、半導体メモリ等が採用できる。
【0053】
図7は、制御装置6のハードウェア資源の他の例を示す図である。図7に示す例では、制御装置6は、プロセッサ61、メモリ62、及び専用ハードウェア63を含む処理回路60を備える。図7は、制御装置6が有する機能の一部を専用ハードウェア63によって実現する例を示す。制御装置6が有する機能の全部を専用ハードウェア63によって実現しても良い。専用ハードウェア63として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0054】
監視装置8のハードウェア資源は、図6或いは図7に示す例と同様である。監視装置8は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。監視装置8は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、符号51及び52に示す各部の機能を実現する。監視装置8は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。監視装置8が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0055】
サーバ11のハードウェア資源は、図6或いは図7に示す例と同様である。サーバ11は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。サーバ11は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上述した各機能を実現する。サーバ11は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。サーバ11が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示は、地震後に復旧運転を行うエレベーター装置に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 かご、 2 つり合いおもり、 3 昇降路、 4 ロープ、 5 巻上機、 6 制御装置、 7 機械室、 8 監視装置、 9 ネットワーク、 10 監視センター、 11 サーバ、 12 制御ケーブル、 13 地震計、 14 乗場、 15 操作盤、 16 表示器、 17 表示器、 20 かご室、 21 ドア、 22 モータ、 23 枠、 23a 下部材、 24 前梁、 25 操作盤、 26 インターホン、 30 表示器、 31 カメラ、 32 ランプ、 33 カメラ、 34 マイクロホン、 35 振動センサ、 36 アダプタ、 40 記憶部、 41 運転制御部、 42 異常検出部、 43 表示制御部、 51 取得部、 52 通信部、 60 処理回路、 61 プロセッサ、 62 メモリ、 63 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7