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特許7647869管理装置、通信システム、管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】管理装置、通信システム、管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/60 20180101AFI20250311BHJP
【FI】
G06F8/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023507100
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2022011287
(87)【国際公開番号】W WO2022196629
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2021045744
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】窪庭 亮太
【審査官】三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039393(JP,A)
【文献】特開2009-282777(JP,A)
【文献】特開2007-241610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00- 8/38
8/60- 8/77
9/44- 9/451
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドインフラストラクチャ上においてネットワークを介してサービスを提供するサービス提供システムを構成するシステム要素を定義するプログラム及び前記プログラムが参照するパラメータを含む構成情報から、プレフィックスが付加された第1のパラメータを抽出する抽出部と、
前記構成情報が複数の前記サービス提供システムに適用される場合に、前記サービス提供システムに応じて変更する前記第1のパラメータを、前記構成情報が適用される前記サービス提供システムと関連付けて管理する管理部と、を備える管理装置。
【請求項2】
複数の前記サービス提供システムは、
前記構成情報を適用する第1のサービス提供システムと、前記第1のサービス提供システムを模擬した第2のサービス提供システムとを含む、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記第2のサービス提供システムは、前記第1のサービス提供システムを開発するための開発システムであり、前記第1のサービス提供システムよりも少ないリソースを使用する、請求項に記載の管理装置。
【請求項4】
前記構成情報は、宣言型IaC(Infrastructure as Code)である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
管理されている前記第1のパラメータの値を変更する変更部と、
変更後の前記第1のパラメータを前記構成情報に設定する設定部と、をさらに備える請求項1乃至のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記変更部は、
前記第1のパラメータの値の変更履歴を管理し、
前記設定部は、
変更後の前記第1のパラメータを前記構成情報に反映した後に、前記変更履歴に基づいて変更前の前記第1のパラメータに切り戻す、請求項に記載の管理装置。
【請求項7】
クラウドインフラストラクチャ上においてネットワークを介してサービスを提供するサービス提供システムを構成するシステム要素を定義するプログラム及び前記プログラムが参照するパラメータを含む構成情報から、プレフィックスが付加された第1のパラメータを抽出する抽出部と、前記構成情報が複数の前記サービス提供システムに適用される場合に、前記サービス提供システムに応じて変更する前記第1のパラメータを、前記構成情報が適用される前記サービス提供システムと関連付けて管理する管理部と、を有する管理装置と、
前記構成情報を管理するデータベースと、を備える通信システム。
【請求項8】
クラウドインフラストラクチャ上においてネットワークを介してサービスを提供するサービス提供システムを構成するシステム要素を定義するプログラム及び前記プログラムが参照するパラメータを含む構成情報から、プレフィックスが付加された第1のパラメータを抽出し、
前記構成情報が複数の前記サービス提供システムに適用される場合に、前記サービス提供システムに応じて変更する前記第1のパラメータを、前記構成情報が適用される前記サービス提供システムと関連付けて管理する、管理方法。
【請求項9】
クラウドインフラストラクチャ上においてネットワークを介してサービスを提供するサービス提供システムを構成するシステム要素を定義するプログラム及び前記プログラムが参照するパラメータを含む構成情報から、プレフィックスが付加された第1のパラメータを抽出し、
前記構成情報が複数の前記サービス提供システムに適用される場合に、前記サービス提供システムに応じて変更する前記第1のパラメータを、前記構成情報が適用される前記サービス提供システムと関連付けて管理する、ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、通信システム、管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クラウドプロバイダが提供するネットワークリソースを活用してシステム構築を行う事業者が増加している。システム構築を行う事業者は、提供されたネットワークリソースを活用して、アプリケーションもしくはサービスを提供するためのシステムを構築する。システムを構築する手法としてIaC(Infrastructure as Code)と呼ばれる手法が知られている。IaCでは、IaCコードと称されるソースコードを用いて、システムを構成するシステム要素を定義する。
【0003】
特許文献1には、IaCコードに含まれるIaCパラメータ情報を、システム構築に必要となるパラメータ情報と整合するように更新する、IaCパラメータの更新手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-061019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、一つの対象システムに適用するIaCコード及びIaCパラメータを更新し、管理することが開示されている。一般的に、事業者がサービスを提供する商用環境のシステムへIaCコードを適用する場合、商用環境のシステムを模擬した開発環境のシステムにおいて、IaCコードの正常性が検証される。しかし、特許文献1には、一つの対象システムに適用するIaCコードの管理手法が開示されているのみであり、商用環境のシステム及び開発環境のシステムを考慮した場合に、適切にIaCコードの管理を行うことができないという問題がある。
【0006】
本開示の目的は、複数のシステムに適用する可能性のあるコードを適切に管理することができる管理装置、通信システム、管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様にかかる管理装置は、クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出する抽出部と、前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する管理部と、を備える。
【0008】
本開示の第2の態様にかかる通信システムは、クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出する抽出部と、前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する管理部と、を有する管理装置と、前記構成情報を管理するデータベースと、を備える。
【0009】
本開示の第3の態様にかかる管理方法は、クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出し、前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する。
【0010】
本開示の第4の態様にかかるプログラムは、クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出し、前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する、ことをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、複数のシステムに適用する可能性のあるコードを適切に管理することができる管理装置、通信システム、管理方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる管理装置の構成図である。
図2】実施の形態2にかかる通信システムの構成図である。
図3】実施の形態2にかかる管理装置の構成図である。
図4】実施の形態2にかかる宣言型IaCコードの例を示している。
図5】実施の形態2にかかるIaCコード管理データベースを示す図である。
図6】実施の形態2にかかるパラメータ管理データベースを示す図である。
図7】実施の形態2にかかる変更履歴データベースを示す図である。
図8】実施の形態2にかかるパラメータの管理処理の流れを示す図である。
図9】実施の形態2にかかるパラメータ値の変更処理の流れを示す図である。
図10】それぞれの実施の形態にかかる管理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて実施の形態1にかかる管理装置10の構成例について説明する。管理装置10は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。例えば、管理装置10は、サーバ装置であってもよい。
【0014】
管理装置10は、抽出部11及び管理部12を有している。抽出部11及び管理部12は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、抽出部11及び管理部12は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。
【0015】
抽出部11は、構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出する。構成情報は、クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる。クラウドインフラストラクチャは、クラウドコンピューティングを実現するためのネットワークもしくはシステムである。例えば、クラウドプロバイダが、クラウドインフラストラクチャを提供する。クラウドインフラストラクチャは、複数のハードウェア要素の組み合わせであってもよく、複数のソフトウェア要素の組み合わせであってもよく、ハードウェア要素及びソフトウェア要素の組み合わせであってもよい。
【0016】
インフラシステムは、例えば、ネットワークを介して複数のサービスを提供するサービス提供システムや企業内の業務システム等である。クラウドインフラストラクチャのユーザである事業者等は、クラウドプロバイダからリソースを提供され、提供されたリソースを活用して各種サービスを実現する。
【0017】
インフラシステムは、複数のシステム要素を含む。システム要素は、インフラシステムを構成する要素である。システム要素には、例えば、サーバ、ネットワーク機器、ストレージ機器及びサービス機能等が含まれる。尚、サーバとは、OS(Operating System)及びミドルウェアが稼働している物理的なサーバ装置又は仮想サーバであってもよい。ネットワーク機器及びストレージ機器も、物理的な装置又は仮想装置であってもよい。また、サービス機能は、ミドルウェア又はアプリケーションプログラム等により提供される機能をいい、以下では、単に「機能」と呼ぶ場合もある。
【0018】
仮想サーバもしくは仮想装置は、物理的な装置に搭載された仮想ソフトウェア上で動作する機能、ソフトウェア、もしくはプロセスであってもよい。仮想ソフトウェアは、ハードウェアリソースを仮想化して、ハードウェアリソースを複数の仮想サーバもしくは仮想装置に共有させてもよい。複数の仮想サーバもしくは仮想装置は、共通の仮想OS上で動作してもよく、それぞれ異なる仮想OS上で動作してもよい。もしくは、複数の仮想サーバもしくは仮想装置は、物理的な装置に搭載されたOS上において動作し、仮想OSを用いない場合もある。
【0019】
構成情報は、インフラシステムを構成するシステム要素を定義するプログラムであってもよい。プログラムは、コードもしくはソースコードを用いて規定される。さらに、構成情報は、プログラムが参照するパラメータを含んでもよい。パラメータは、例えば、コンフィグ情報、コンフィグファイル等において規定されてもよい。クラウドインフラストラクチャ上において提供されたリソースに構成情報が設定されることによって、インフラシステムを介したサービスの提供が可能となる。
【0020】
定義情報は、プログラム内の特定のパラメータを示す情報であり、パラメータに付加された情報である。定義情報は、パラメータを抽出もしくは特定するためのいわゆる目印として用いられる。定義情報には、変数であるパラメータに付加されるプレフィックスが用いられてもよい。
【0021】
管理部12は、構成情報が複数のインフラシステムに適用される場合に、インフラシステムに応じて変更するパラメータを、構成情報が適用されるインフラシステムと関連付けて管理する。
【0022】
構成情報が複数のインフラシステムに適用される場合とは、複数のインフラシステムにおいて共通のプログラムが適用されることであってもよい。例えば、複数のインフラシステムは、事業者がサービスを提供するために用いる商用環境のシステム(以下、商用システムとする)と、商用システムに適用するプログラムを開発もしくは検証するために用いる開発環境のシステム(以下、開発システムと称する)と、であってもよい。もしくは、複数のインフラシステムは、事業者がエリアを区切って、複数のエリアにおいて同一のサービスを実現するインフラシステムを提供する際に、それぞれのエリアに構築されるインフラシステムであってもよい。
【0023】
開発システムにおいて検証されたプログラムを商用システムへ適用するため、基本的に、商用システム及び開発システムのそれぞれに適用されるプログラムは共通している。ただし、商用システムは、開発システムよりもネットワークの規模が大きいことが一般的である。つまり、商用システムのリソースは、開発システムよりも多いことが一般的である。そのため、商用システムに設定されるパラメータは、開発システムに設定されるパラメータと異なることがある。つまり、パラメータは、適用されるインフラシステムに応じて変更される。
【0024】
管理部12は、例えば、商用システム及び開発システムに適用される共通のプログラム内において、商用システムに設定されるパラメータと、開発システムに設定されるパラメータとをそれぞれ管理する。
【0025】
以上説明したように、管理装置10は、複数のインフラシステムに共通に適用される構成情報に含まれるパラメータを、適用されるインフラシステムごとに管理する。これより、インフラシステムごとに適用されるパラメータが明確となり、複数のインフラシステムに共通に適用される構成情報を適切に管理することができる。
【0026】
(実施の形態2)
続いて、図2を用いて実施の形態2にかかる通信システムの構成例について説明する。図2の通信システムは、管理装置20、CMDB(Configuration Management Database)30、商用システム40、及び開発システム42を有している。商用システム40及び開発システム42は、クラウドプロバイダ50から提供されるクラウドインフラストラクチャである。もしくは、開発システム42は、クラウドインフラストラクチャではなく、商用システム40を管理する事業者によって構築された、商用システム40を模擬したシステムであってもよい。商用システム40を模擬するとは、提供可能なサービスもしくは機能等は、商用システム40と同様とし、システム規模もしくはリソースを、商用システム40よりも小さくすることであってもよい。管理装置20は、商用システム40及び開発システム42に設定されるパラメータを管理する。
【0027】
商用システム40及び開発システム42は、複数のシステム要素が組み合わされて構築されている。複数のシステム要素の組み合わせは、物理的な装置の組み合わせであってもよく、ソフトウェアとして動作する仮想装置の組み合わせであってもよい。もしくは、複数のシステム要素の組み合わせは、物理的な装置と仮想装置の組み合わせであってもよい。
【0028】
続いて、CMDB30について説明する。CMDB30は、商用システム40及び開発システム42に設定される構成情報を格納するデータベースである。格納するとは、記憶する、記録する、登録する等と言い換えられてもよい。例えば、設計書もしくは要求仕様書等に基づいて構成情報を設計した開発者は、CMDB30に構成情報を登録する。もしくは、開発者は、CMDB30に格納されている構成情報を更新してもよい。さらに、商用システム40に構成情報を適用する運用者は、CMDB30に格納されている構成情報を商用システム40へ適用する。開発者もしくは運用者は、コンピュータ装置を用いて、ネットワークを介して構成情報をCMDB30へ登録し、もしくは、CMDB30から構成情報を取り出してもよい。例えば、CMDB30には、構成情報としてIaCコード及びIaCコードにおいて参照されるパラメータが登録されてもよい。また、CMDB30は、環境毎、つまり、インフラシステムごとに適用されるIaCコードを管理してもよい。
【0029】
CMDB30には、最新の構成情報のみではなく、履歴もしくはバージョンによって識別される、複数世代の構成情報が管理されてもよい。例えば、開発者は、古い世代の構成情報と区別して、新たな構成情報をCMDB30へ格納してもよい。CMDB30が複数世代の構成情報を管理することによって、例えば、最新の構成情報を商用システム40へ適用して不具合が生じた場合に、運用者は、正常に動作していた古い構成情報を商用システム40へ適用することもできる。
【0030】
続いて、図3を用いて実施の形態2にかかる管理装置20の構成例について説明する。管理装置20は、図1の管理装置10に、変更部21及び設定部22が追加された構成である。変更部21及び設定部22は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュールであってもよい。または、変更部21及び設定部22は、回路もしくはチップ等のハードウェアであってもよい。抽出部11及び管理部12は、図1の管理装置10と同様であるため、以下においては、主に図1の管理装置10と異なる点について説明する。
【0031】
ここで、図4を用いて、抽出部11が定義情報に関連付けられたパラメータを抽出する際に用いる構成情報の例について説明する。図4は、プログラムを規定する宣言型IaCコード(以下、IaCコードと称する)の例を示している。図4は、インフラシステムを、コンテナを用いた仮想システムとして定義するIaCコードが示されている。コンテナは、コンテナエンジン上で動作する領域である。例えば、コンテナは、複数のコンテナに共通のホストOS上に構築されるアプリケーション実行環境であってもよい。
【0032】
図4のIaCコードに含まれるPr_001~Pr_004は、定義情報であるプレフィックスを示している。例えば、Pr_001は、インフラシステムに含まれるコンテナ数を示している。Pr_002は、コンテナに適用されるコンテナバージョンを示している。Pr_003は、コンテナに使用されるリソースを示している。Pr_004は、ポート番号が示されている。
【0033】
開発者は、IaCコードを生成する際に、商用システムと開発システムとにおいて異なる値となるパラメータに、プレフィックスを付加もしくは関連付けてもよい。例えば、コンテナ数に関して、商用システムのコンテナ数は、開発システムのコンテナ数よりも多い場合がある。コンテナバージョンに関して、開発システムにおいては最新バージョンのコンテナが使用され、商用システムにおいては、旧バージョンのコンテナが使用される場合がある。リソースに関して、商用システムのリソースは、開発システムよりも多く用いられる場合がある。ポート設定に関して、所要システムと開発システムとでは、使用されるポート番号が異なる場合がある。
【0034】
図4においては、パラメータにプレフィックスが付加されたソースコードの例を示している。これに対して、例えば、プレフィックスは、ソースコード内において変数として用いられ、変数であるプレフィックスは、コンフィグファイル等に定義されているパラメータを参照してもよい。
【0035】
抽出部11は、CMDB30からIaCコードを取得し、取得したIaCコード内のプレフィックスに関連付けられたパラメータを抽出する。抽出部11が抽出したパラメータは、管理部12において管理される。
【0036】
ここで、図5乃至図7を用いて、管理部12が管理するデータについて説明する。図5は、IaCコード管理データベースを示している。IaCコード管理データベースは、IaCコードID、環境ID、及び環境別IaCコードを関連付けて管理している。IaCコードIDは、商用システム及び開発システムに共通に適用されるIaCコードの識別情報を示している。環境IDは、IaCコードIDにおいて示されるIaCコードが適用される環境の識別情報を示している。例えば、環境ID_Aは、商用システムを示し、環境ID_Bは、開発システムを示してもよい。環境別IaCコードは、IaCコードIDによって識別されるIaCコードについて、適用される環境ごとにパラメータの値が調整されたIaCコードを示している。環境別IaCコード_C10は、商用システムに適用され、環境別IaCコード_C11は、開発システムに適用される。IaCコード_C10は、適用される環境毎に値が異なるパラメータ以外の内容が、IaCコード_C11と同様であるとする。
【0037】
図6は、パラメータ管理データベースを示している。パラメータ管理データベースは、IaCコードID、プレフィックス、環境ID、及びパラメータ値を関連付けて管理している。プレフィックスは、IaCコードIDによって識別されるIaCコード内に含まれるプレフィックスを示している。パラメータ値は、プレフィックスが付加されたパラメータに設定される値を示している。パラメータ値は、数字であってもよく文字列であってもよい。図6においては、環境毎に、プレフィックスが付加されたパラメータに設定される値が異なることが示されている。例えば、プレフィックス001に対して、商用システムにおいてはパラメータ値_a1が設定され、開発システムにおいてはパラメータ値b1が設定される。他のプレフィックスについても同様に、環境毎に、プレフィックスが付加されたパラメータに設定される値が異なっている。
【0038】
図7は、変更履歴データベースを示している。変更履歴データベースは、受付番号とパラメータとを関連付けて管理している。受付番号は、パラメータの変更が行われる際に発行される番号である。例えば、受付番号0001においては、パラメータ値_a11からパラメータ値_a1に変更されたことが示されている。パラメータ値変更は、IaCコードの開発者もしくは運用者が行ってもよい。図7は、管理装置20において管理されてもよく、CMDB30において管理されてもよい。
【0039】
図3に戻り、変更部21は、図6のパラメータ管理データベースにおいて管理されているパラメータの変更を行う。変更部21が実行したパラメータの変更は、図7の変更履歴データベースにおいて管理される。変更部21は、例えば、開発者もしくは運用者から入力された変更指示に基づいて、パラメータ管理データベースにおいて管理されているパラメータの変更を行う。変更指示には、変更前のパラメータ値と変更後のパラメータ値とが指定されていてもよい。
【0040】
設定部22は、パラメータ管理データベースにおいて管理されているパラメータの変更が行われた場合、変更後のパラメータ値をIaCコードへ反映する。具体的には、設定部22は、CMDB30に格納されているIaCコードもしくはコンフィグファイル内のパラメータへ、変更後のパラメータ値を設定する。
【0041】
続いて、図8を用いて、パラメータの管理処理の流れについて説明する。はじめに、抽出部11は、CMDB30に対してIaCコードID及び環境IDを入力する(S11)。抽出部11は、IaCコードID及び環境IDを入力することによって、CMDB30から環境別IaCコードを取得する。
【0042】
次に、抽出部11は、取得した環境別IaCコードに含まれるプレフィックスが付加されたパラメータを抽出する(S12)。次に、管理部12は、抽出部11において抽出されたパラメータを、図6に示すパラメータ管理データベースのパラメータ値へ反映する(S13)。反映するとは、設定する、更新する、上書きする、等と言い換えられてもよい。管理部12は、ステップS11において抽出部11が入力したIaCコードID及び環境IDと、ステップS12において抽出されたパラメータに関連付けられたプレフィックスとを用いて、図6において反映すべきパラメータ値を特定する。
【0043】
抽出部11は、異なる環境別IaCコードを取得して、環境別IaCコード毎にパラメータを抽出して、図6のパラメータ管理データベースを更新する。
【0044】
続いて、図9を用いて、パラメータ値の変更処理の流れについて説明する。はじめに、変更部21は、パラメータ管理データベースにおいて管理されているパラメータ値を変更する(S21)。次に、設定部22は、変更後のパラメータ値をIaCコードへ反映する。具体的には、設定部22は、CMDB30に格納されている環境別IaCコードへ、変更後のパラメータ値を設定する。
【0045】
以上説明したように、実施の形態2にかかる管理装置20は、環境毎に変化するパラメータを、データベースを用いて管理することができる。これより、管理装置20を操作する開発者もしくは運用者は、表示部等へデータベースを出力することによって、環境毎に異なるパラメータの値を認識することができる。つまり、開発者もしくは運用者は、パラメータを変更する際に、膨大な量のソースコードの中から変更すべきパラメータを抽出する必要が無く、パラメータ管理データベースに設定されているパラメータの値を変更することができる。その結果、開発者もしくは運用者におけるIaCコードの修正もしくは更新を効率化することができる。
【0046】
また、管理装置20は、パラメータ値の変更を履歴情報として管理する。これより、例えば、運用者は、IaCコードを商用システム40へ適用して不具合が発生した場合に、過去のパラメータ値を有するIaCコードに切り戻すことも可能となる。
【0047】
また、図2及び図3においては、CMDB30が、管理装置20の外部に存在する例を示しているが、管理装置20及びCMDB30は、同一装置として扱われてもよい。つまり、CMDB30は、管理装置20に含まれていてもよい。
【0048】
図10は、管理装置10及び管理装置20(以下、管理装置10等とする)の構成例を示すブロック図である。図10を参照すると、管理装置10等は、ネットワークインタフェース1201、プロセッサ1202、及びメモリ1203を含む。ネットワークインタフェース1201は、他のネットワークノードと通信するために使用されてもよい。ネットワークインタフェース1201は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0049】
プロセッサ1202は、メモリ1203からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態においてフローチャートを用いて説明された管理装置10等の処理を行う。プロセッサ1202は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUであってもよい。プロセッサ1202は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0050】
メモリ1203は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1203は、プロセッサ1202から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1202は、図示されていないI/O(Input/Output)インタフェースを介してメモリ1203にアクセスしてもよい。
【0051】
図10の例では、メモリ1203は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ1202は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ1203から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された管理装置10等の処理を行うことができる。
【0052】
図10を用いて説明したように、上述の実施形態における管理装置10等が有するプロセッサの各々は、図面を用いて説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。
【0053】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0054】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0055】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出する抽出部と、
前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する管理部と、を備える管理装置。
(付記2)
前記構成情報は、ソースコードであり、前記定義情報は、前記パラメータに付加される情報である、付記1に記載の管理装置。
(付記3)
複数の前記インフラシステムは、
前記構成情報を適用する第1のインフラシステムと、前記第1のインフラシステムを模擬した第2のインフラシステムとを含む、付記1又は2に記載の管理装置。
(付記4)
前記第2のインフラシステムは、前記第1のインフラシステムを開発するための開発システムであり、前記第1のインフラシステムよりも少ないリソースを使用する、付記3に記載の管理装置。
(付記5)
前記構成情報は、宣言型IaC(Infrastructure as Code)である、付記1乃至4のいずれか1項に記載の管理装置。
(付記6)
管理されている前記パラメータの値を変更する変更部と、
変更後の前記パラメータを前記構成情報に設定する設定部と、をさらに備える付記1乃至5のいずれか1項に記載の管理装置。
(付記7)
前記変更部は、
前記パラメータの値の変更履歴を管理し、
前記設定部は、
変更後の前記パラメータを前記構成情報に反映した後に、前記変更履歴に基づいて変更前の前記パラメータに切り戻す、付記6に記載の管理装置。
(付記8)
クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出する抽出部と、前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する管理部と、を有する管理装置と、
前記構成情報を管理するデータベースと、を備える通信システム。
(付記9)
前記構成情報は、ソースコードであり、前記定義情報は、前記パラメータに付加される情報である、付記8に記載の通信システム。
(付記10)
クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出し、
前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する、管理方法。
(付記11)
クラウドインフラストラクチャ上にインフラシステムを構築するために用いられる構成情報に含まれる定義情報に関連付けられたパラメータを抽出し、
前記構成情報が複数の前記インフラシステムに適用される場合に、前記インフラシステムに応じて変更する前記パラメータを、前記構成情報が適用される前記インフラシステムと関連付けて管理する、ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【0056】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0057】
この出願は、2021年3月19日に出願された日本出願特願2021-045744を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0058】
10 管理装置
11 抽出部
12 管理部
20 管理装置
21 変更部
22 設定部
30 CMDB
40 商用システム
42 開発システム
50 クラウドプロバイダ
図1
図2
図3
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図10