(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20250311BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 541
(21)【出願番号】P 2023521004
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 JP2022019619
(87)【国際公開番号】W WO2022239717
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2021079848
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】原田 真臣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 是清
(72)【発明者】
【氏名】香川 武史
(72)【発明者】
【氏名】今村 勇太
【審査官】小南 奈都子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-202307(JP,A)
【文献】特開2008-252011(JP,A)
【文献】特開2020-115587(JP,A)
【文献】特開2008-153497(JP,A)
【文献】国際公開第2008/149622(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/008625(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
H10D 1/68
H10D 89/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた第1電極層と、
前記第1電極層上に設けられ、前記第1電極層の端部を覆う誘電体膜と、
前記誘電体膜上に設けられた第2電極層と、
前記誘電体膜及び前記第2電極層上に設けられた耐湿膜と、
前記耐湿膜上に設けられた保護層と、
前記保護層を貫通する外部電極と、
を備え、
前記第1電極層は、前記基板側の第1主面と、前記誘電体膜側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とをつなぐ側面と、を有し、
前記第2電極層は、前記誘電体膜側の第1主面と、前記耐湿膜側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とをつなぐ側面と、を有し、
前記第2電極層の前記側面の少なくとも一部は、前記第1主面から前記第2主面に向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有し、
前記外部電極は、前記第1電極層に接続された第1外部電極と、前記第2電極層に接続された第2外部電極と、を含み、
前記第2電極層の前記第1主面に対する前記第2電極層の前記側面の角度をθ
A、前記第1電極層の前記第1主面に対する前記第1電極層の前記側面の角度をθ
Bとしたとき、θ
A<θ
Bであ
り、
前記第1電極層の前記側面の少なくとも一部は、前記第1主面から前記第2主面に向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記第2電極層は、単層の導電層からなる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2電極層は、厚み方向に積層された複層の導電層からなり、
前記厚み方向に隣接する導電層のうち、前記耐湿膜に近い導電層は、前記誘電体膜に近い導電層よりも、前記厚み方向から平面視したときの面積が小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
厚み方向から平面視したとき、前記第2外部電極の外形は前記第2電極層の外形よりも小さい、請求項1~
3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に設けられた第1電極層と、
前記第1電極層上に設けられ、前記第1電極層の端部を覆う誘電体膜と、
前記誘電体膜上に設けられた第2電極層と、
前記誘電体膜上に前記第2電極層と離れて設けられた第3電極層と、
前記誘電体膜及び前記第2電極層上に設けられた耐湿膜と、
前記耐湿膜上に設けられた保護層と、
前記保護層を貫通する外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、前記第3電極層に接続された第1外部電極と、前記第2電極層に接続された第2外部電極と、を含み、
前記第1電極層は、前記基板側の第1主面と、前記誘電体膜側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とをつなぐ側面と、を有し、
前記第2電極層は、前記誘電体膜側の第1主面と、前記耐湿膜側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とをつなぐ側面と、を有し、
前記第3電極層は、前記誘電体膜側の第1主面と、前記耐湿膜側の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とをつなぐ側面と、を有し、
前記第2電極層の前記側面の少なくとも一部は、前記第1主面から前記第2主面に向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有し、
前記第3電極層の前記側面の少なくとも一部は、前記第1主面から前記第2主面に向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有し、
前記第2電極層の前記第1主面に対する前記第2電極層の前記側面の角度をθ
A、前記第1電極層の前記第1主面に対する前記第1電極層の前記側面の角度をθ
B
、前記第3電極層の前記第1主面に対する前記第3電極層の前記側面の角度をθ
C
としたとき、θ
A<θ
B
かつθ
C
<θ
B
であり、
前記第1電極層の前記側面の少なくとも一部は、前記第1主面から前記第2主面に向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有する、半導体装置。
【請求項6】
前記第2電極層は、前記テーパー形状を有する単層の導電層からなり、
前記第3電極層は、前記テーパー形状を有する単層の導電層からなる、請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2電極層は、各々が前記テーパー形状を有する、厚み方向に積層された複層の導電層からなり、
前記第3電極層は、各々が前記テーパー形状を有する、前記厚み方向に積層された複層の導電層からなり、
前記厚み方向に隣接する導電層のうち、前記耐湿膜に近い導電層は、前記誘電体膜に近い導電層よりも、前記厚み方向から平面視したときの面積が小さい、請求項
5に記載の半導体装置。
【請求項8】
厚み方向から平面視したとき、前記第1外部電極の外形は前記第3電極層の外形よりも小さく、かつ、前記第2外部電極の外形は前記第2電極層の外形よりも小さい、請求項
5~
7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2電極層の前記第1主面に対する前記第2電極層の前記側面の角度をθ
Aとしたとき、20°≦θ
A≦45°である、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路に用いられる代表的なキャパシタ素子として、例えばMIM(Metal Insulator Metal)キャパシタが知られている。MIMキャパシタは、絶縁体を下部電極と上部電極とで挟んだ平行平板型の構造を有するキャパシタである。
【0003】
特許文献1には、基板上に形成された下部電極と、この下部電極上に形成された誘電体薄膜と、この誘電体薄膜上に形成された上部電極と、この上部電極を含む上記基板上に形成された絶縁層と、上記各電極にそれぞれ接続され、端部が互いに同一平面上に位置するように配置された一対の電極端子とを具備したことを特徴とするコンデンサ部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコンデンサ部品(キャパシタ)では、外部電極である電極端子が最も突出している。そのため、例えば、このようなキャパシタ等の半導体装置を配線基板に実装する際、最も突出した外部電極に荷重が加わることになる。外部電極を介して半導体装置の厚み方向に荷重が伝わることにより、半導体装置に過度な荷重が印加されると、誘電体膜にクラックが入り、半導体装置がショートするという問題が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、外部電極に荷重が印加されたときに、誘電体膜に発生するクラックが抑制される半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、基板と、上記基板上に設けられた第1電極層と、上記第1電極層上に設けられ、上記第1電極層の端部を覆う誘電体膜と、上記誘電体膜上に設けられた第2電極層と、上記誘電体膜及び上記第2電極層上に設けられた耐湿膜と、上記耐湿膜上に設けられた保護層と、上記保護層を貫通する外部電極と、を備える。上記第1電極層は、上記基板側の第1主面と、上記誘電体膜側の第2主面と、上記第1主面と上記第2主面とをつなぐ側面と、を有する。上記第2電極層は、上記誘電体膜側の第1主面と、上記耐湿膜側の第2主面と、上記第1主面と上記第2主面とをつなぐ側面と、を有する。上記第2電極層の上記側面の少なくとも一部は、上記第1主面から上記第2主面に向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外部電極に荷重が印加されたときに、誘電体膜に発生するクラックが抑制される半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すキャパシタを構成する第2電極層の側面を拡大した断面図である。
【
図4-1】
図4-1は、テーパー角度θ
Aと点Aにおける応力との関係を示すグラフである。
【
図4-2】
図4-2は、テーパー角度θ
Aの測定方法を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すキャパシタを構成する第1電極層及び第2電極層の側面を拡大した断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第4実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示すキャパシタを構成する第3電極層の側面を拡大した断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第5実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第6実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の半導体装置について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0011】
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についても記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎に逐次言及しない。
【0012】
以下の説明において、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の半導体装置」と言う。本発明の半導体装置及び各構成要素の形状及び配置等は、図示する例に限定されるものではない。
【0013】
また、以下においては、本発明の半導体装置の一実施形態として、キャパシタを例にとって説明する。本発明の半導体装置は、キャパシタそのもの(すなわちキャパシタ素子)であってもよく、キャパシタを含む装置であってもよい。
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るキャパシタでは、第2電極層が単層の導電層からなる。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す平面図である。
図1は、
図2に示すキャパシタのI-I線に沿った断面図である。
【0016】
本明細書中、キャパシタ(半導体装置)の長さ方向、幅方向、及び、厚み方向を、
図1及び
図2等に示すように、各々、矢印L、矢印W、及び、矢印Tで定められる方向とする。ここで、長さ方向Lと幅方向Wと厚み方向Tとは、互いに直交している。
【0017】
図1及び
図2に示すキャパシタ1は、基板10と、基板10上に設けられた絶縁膜21と、絶縁膜21上に設けられた第1電極層22と、第1電極層22上に設けられ、第1電極層22の端部を覆う誘電体膜23と、誘電体膜23上に設けられた第2電極層24と、誘電体膜23及び第2電極層24上に設けられた耐湿膜25と、耐湿膜25上に設けられた保護層26と、保護層26を貫通する外部電極27と、を備える。外部電極27は、第1電極層22に接続された第1外部電極27Aと、第2電極層24に接続された第2外部電極27Bと、を含む。第1外部電極27Aは保護層26、耐湿膜25及び誘電体膜23を貫通し、第2外部電極27Bは保護層26及び耐湿膜25を貫通する。
【0018】
基板10は、特に限定されないが、好ましくは、シリコン基板又はガリウム砒素基板等の半導体基板、あるいは、ガラス又はアルミナ等の絶縁性基板である。
【0019】
絶縁膜21は、基板10の一方主面の全体を覆うように設けられていてもよく、一部を覆うように設けられていてもよいが、第1電極層22よりも大きく、かつ、第1電極層22の全域に重なる領域に設けられる必要がある。なお、基板10がガラス又はアルミナ等の絶縁性基板である場合には、絶縁膜21は設けられていなくてもよい。
【0020】
絶縁膜21を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、SiO2、SiN、Al2O3、HfO2、Ta2O5、ZrO2等が挙げられる。
【0021】
第1電極層22は、基板10の端部と離れた位置に設けられている。すなわち、第1電極層22の端部は、基板10の端部よりも内側に位置している。第1電極層22は、基板10側の第1主面22aと、誘電体膜23側の第2主面22bと、第1主面22aと第2主面22bとをつなぐ側面22cと、を有する。
【0022】
第1電極層22は、単層の導電層からなる構造を有してもよく、厚み方向(
図1及び
図2中、矢印Tで示す方向)に積層された複層の導電層からなる構造を有してもよい。
【0023】
第1電極層22を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、Cu、Ag、Au、Al、Ni、CrもしくはTi又はこれらの金属を少なくとも1種含む合金等が挙げられる。
【0024】
誘電体膜23は、開口を除く部分で第1電極層22を覆うように設けられている。誘電体膜23は、第1電極層22の端部から絶縁膜21の端部までの絶縁膜21の表面上にも設けられている。すなわち、誘電体膜23は、第1電極層22の端部を覆うように設けられている。さらに、誘電体膜23は、絶縁膜21の端部から基板10の端部までの基板10の表面上にも設けられていてもよい。すなわち、誘電体膜23は、絶縁膜21の端部を覆うように設けられていてもよい。
【0025】
誘電体膜23を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、SiO2、SiN、Al2O3、HfO2、Ta2O5等の酸化物又は窒化物が挙げられる。
【0026】
第2電極層24は、誘電体膜23を挟んで第1電極層22に対向して設けられている。第2電極層24は、誘電体膜23側の第1主面24aと、耐湿膜25側の第2主面24bと、第1主面24aと第2主面24bとをつなぐ側面24cと、を有する。
【0027】
第2電極層24は、単層の導電層からなる構造を有している。
【0028】
第2電極層24を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、Cu、Ag、Au、Al、Ni、CrもしくはTi又はこれらの金属を少なくとも1種含む合金等が挙げられる。
【0029】
図3は、
図1に示すキャパシタを構成する第2電極層の側面を拡大した断面図である。
【0030】
図1及び
図3に示すように、第2電極層24の側面24cは、誘電体膜23側の第1主面24aから耐湿膜25側の第2主面24bに向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有している。
【0031】
耐湿膜25は、開口を除く部分で誘電体膜23及び第2電極層24を覆うように設けられている。耐湿膜25が設けられていることにより、キャパシタ素子、特に、誘電体膜23の耐湿性が高まる。
【0032】
耐湿膜25を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、SiO2、SiN等の耐湿性材料が挙げられる。
【0033】
保護層26には、誘電体膜23及び耐湿膜25の開口(第1電極層22に重なる開口)に重なる位置と、耐湿膜25の開口(第2電極層24に重なる開口)に重なる位置との各々に開口が設けられている。保護層26が設けられていることにより、キャパシタ素子、特に、誘電体膜23が水分から保護される。
【0034】
保護層26を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、ポリイミド樹脂、ソルダーレジスト中の樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
【0035】
外部電極27を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、Cu、Ni、Ag、Au又はAl等が挙げられる。外部電極27は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。外部電極27の最表面は、Au又はSnから構成されることが好ましい。
【0036】
第1外部電極27Aが多層構造である場合、第1外部電極27Aは、
図1に示すように、基板10側から順に、シード層28aと、第1めっき層28bと、第2めっき層28cと、を有していてもよい。
【0037】
第1外部電極27Aのシード層28aとしては、例えば、チタン(Ti)からなる導電体層と銅(Cu)からなる導電体層との積層体(Ti/Cu)等が挙げられる。
【0038】
第1外部電極27Aの第1めっき層28bの構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
【0039】
第1外部電極27Aの第2めっき層28cの構成材料としては、例えば、金(Au)、スズ(Sn)等が挙げられる。
【0040】
第2外部電極27Bが多層構造である場合、第2外部電極27Bは、
図1に示すように、基板10側から順に、シード層28aと、第1めっき層28bと、第2めっき層28cと、を有していてもよい。
【0041】
第2外部電極27Bのシード層28aとしては、例えば、チタン(Ti)からなる導電体層と銅(Cu)からなる導電体層との積層体(Ti/Cu)等が挙げられる。
【0042】
第2外部電極27Bの第1めっき層28bの構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
【0043】
第2外部電極27Bの第2めっき層28cの構成材料としては、例えば、金(Au)、スズ(Sn)等が挙げられる。
【0044】
第1外部電極27Aの構成材料と第2外部電極27Bの構成材料とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0045】
図1及び
図2に示すように、厚み方向Tからの平面視において第1外部電極27Aと第2外部電極27Bとの間に第1樹脂体31が設けられていてもよい。第1樹脂体31は、例えば、保護層26の表面に設けられる。
【0046】
第1樹脂体31の先端は、
図1に示すように、厚み方向Tにおいて、第1外部電極27A及び第2外部電極27Bの先端よりも高い位置にあることが好ましい。この場合、キャパシタ1を配線基板に実装する際、第1樹脂体31が第1外部電極27A及び第2外部電極27Bよりも先に配線基板側(例えば、配線基板の上面、ランド、はんだ等)に接触することになる。そのため、第1樹脂体31に荷重が加わることになり、第1外部電極27A及び第2外部電極27Bに加わる荷重が抑制される。その結果、荷重が第1外部電極27A及び第2外部電極27Bを介してキャパシタ素子に伝わることが抑制されるため、キャパシタ素子の破損、特に、誘電体膜23の破損が抑制される。
【0047】
第1樹脂体31は、ソルダーレジスト中の樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂を含むことが好ましい。第1樹脂体31は、感光性樹脂の硬化物であることが好ましい。
【0048】
第1樹脂体31は、第1外部電極27A側に設けられた第1壁部31aと、第2外部電極27B側に設けられ、第1壁部31aと離れた第2壁部31bと、を含んでもよい。
図2に示すような平面視において、第1壁部31a及び第2壁部31bは、並行して設けられていることが好ましい。
【0049】
第1壁部31aには、第1壁部31aと第2壁部31bとを離隔する空間に連通する開口が設けられていてもよい。同様に、第2壁部31bには、第1壁部31aと第2壁部31bとを離隔する空間に連通する開口が設けられていてもよい。
【0050】
図1及び
図2に示すように、厚み方向Tからの平面視において基板10の端部と第1外部電極27Aとの間、及び、基板10の端部と第2外部電極27Bとの間に第2樹脂体32が設けられていてもよい。第2樹脂体32は、例えば、保護層26の表面に設けられる。また、第2樹脂体32は、保護層26の外側に設けられてもよく、その場合、基板10上に設けられてもよい。
【0051】
図1に示すように、厚み方向Tにおいて、第2樹脂体32の先端は、第1外部電極27A及び第2外部電極27Bの先端よりも高い位置にあることが好ましい。この場合、例えば、キャパシタ1を配線基板に実装する際、第2樹脂体32で荷重をより広く分散できるため、キャパシタ素子、特に、誘電体膜23に加わる荷重が充分に抑制される。
【0052】
さらに、
図1に示すように、厚み方向Tにおいて、第2樹脂体32の先端は、第1樹脂体31の先端よりも低い位置にあることが好ましい。この場合、例えば、キャパシタ1を配線基板に実装する際、第1樹脂体31によって配線基板上で安定して保持できる。
【0053】
第2樹脂体32は、ソルダーレジスト中の樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂を含むことが好ましい。第2樹脂体32は、感光性樹脂の硬化物であることが好ましい。
【0054】
第1樹脂体31に含まれる樹脂と第2樹脂体32に含まれる樹脂とは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0055】
第2樹脂体32は、
図2に示すように、厚み方向Tからの平面視において基板10の端部と第1外部電極27Aとの間で基板10の端部に沿って設けられた第1外周部32aと、基板10の端部と第2外部電極27Bとの間で基板10の端部に沿って設けられた第2外周部32bと、を有することが好ましい。
【0056】
第1壁部31aと第1外周部32aとは、連接されていることが好ましい。また、第2壁部31bと第2外周部32bとは、連接されていることが好ましい。
【0057】
上述のとおり、
図1に示すキャパシタ1では、第2電極層24の側面24cが、第1主面24aから第2主面24bに向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有することを特徴としている。
【0058】
図3に示すように、第2電極層24の側面24cが上記のテーパー形状を有することにより、外部電極27(特に第2外部電極27B)に荷重が印加されたときに、第2電極層24の端部に設けられた耐湿膜25上の応力集中点Aにおける応力を低減することができる。よって、耐湿膜25の応力を緩和することができるため、耐湿膜25及び第2電極層24の下に設けられた誘電体膜23にかかる応力を低減することができる。その結果、誘電体膜23に発生するクラックを抑制することができる。
【0059】
図4-1は、テーパー角度θ
Aと点Aにおける応力との関係を示すグラフである。テーパー角度θ
Aは、
図3に示すように、第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度を意味する。
【0060】
有限要素法を用いてシミュレーションを行うことにより、点Aにおける応力を計算した。第2電極層24の側面24cがテーパー形状を有しないとき、テーパー角度θ
Aは90°である。このときの点Aにおける応力を100%として規格化した相対値が
図4-1に示されている。
【0061】
図4-1より、テーパー角度θ
Aが90°より小さくなるほど、耐湿膜25上の応力集中点である点Aにおける応力の大きさが小さくなることが確認できる。
【0062】
特に、テーパー角度θAが45°以下であると、点Aにおける応力を低減する効果が高い。点Aにおける応力を低減する効果はテーパー角度θAが小さいほど高くなるが、テーパー角度θAが20°より小さいと、第2電極層24の第1主面24aに対する第2主面24bの面積が小さくなるため、第2外部電極27Bとの接触面積を確保することが困難になる。以上より、第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθAとしたとき、20°≦θA≦45°であることが好ましい。
【0063】
図4-2は、テーパー角度θ
Aの測定方法を説明するための模式図である。
【0064】
図4-2に示すように、第2電極層24の膜厚をTとしたとき、第2電極層24の第1主面24aに平行で高さが1/2Tの線分と第2電極層24の側面24cに沿った線分とが交差する点をXとする。第2電極層24の第1主面24aと頂点Oと点Xとを結ぶ角度をテーパー角度θ
Aとする。後述するテーパー角度θ
B及びθ
Cについても、同様の方法により測定することができる。
【0065】
通常、第2電極層24は上述した金属等から構成される。その場合、ウェットエッチング、ドライエッチング等の方法を用いることにより、第2電極層24の側面24cに所望のテーパー形状を容易に形成することができる。
【0066】
図1に示すキャパシタ1では、第1電極層22の側面22cはテーパー形状を有していない。すなわち、第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度θ
B(
図7参照)は90°である。このように、第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθ
A、第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度をθ
Bとしたとき、θ
A<θ
Bであることが好ましい。
【0067】
なお、第2電極層24のテーパー形状は、第2電極層24の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよい。しかし、外部電極27(特に第2外部電極27B)にかかる荷重は、耐湿膜25等の膜の平面方向に等方的に印加される。そのため、誘電体膜23にかかる応力を低減する観点からは、第2電極層24の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。
【0068】
図1及び
図2に示すように、厚み方向Tから平面視したとき、第2外部電極27Bの外形は第2電極層24の外形よりも小さいことが好ましい。第2外部電極27Bの外形が第2電極層24の外形と同等以上の大きさであると、外部電極27(特に第2外部電極27B)にかかる荷重が誘電体膜23に印加されやすくなる。これに対し、第2外部電極27Bの外形が第2電極層24の外形よりも小さいと、第2外部電極27Bの直下に第2電極層24が存在するため、外部電極27(特に第2外部電極27B)にかかる荷重が誘電体膜23に印加されにくくなる。その結果、誘電体膜23に発生するクラックをさらに抑制することができる。
【0069】
図1に示すキャパシタ1は、第2電極層24にテーパー形状を形成することを除いて、例えば国際公開第2019/021827号等に記載の公知の方法で製造することができる。
【0070】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るキャパシタでは、第1実施形態の変形例として、第2電極層が複層の導電層からなる。
【0071】
図5は、本発明の第2実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【0072】
図5に示すキャパシタ2では、第2電極層24は、厚み方向(
図5中、矢印Tで示す方向)に積層された複層の導電層からなる。導電層の数は特に限定されない。少なくとも1層の導電層の側面がテーパー形状を有していればよいが、各々の導電層の側面がテーパー形状を有することが好ましい。
【0073】
第2電極層24において、厚み方向Tに隣接する導電層のうち、耐湿膜25に近い導電層は、誘電体膜23に近い導電層よりも、厚み方向Tから平面視したときの面積が小さい。各導電層のテーパー角度は、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0074】
図5に示すキャパシタ2においても、
図1に示すキャパシタ1と同様の効果が得られる。
【0075】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係るキャパシタでは、第1実施形態及び第2実施形態の変形例として、第2電極層の側面だけでなく第1電極層の側面もテーパー形状を有する。
【0076】
図6は、本発明の第3実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
図7は、
図6に示すキャパシタを構成する第1電極層及び第2電極層の側面を拡大した断面図である。
【0077】
図6に示すキャパシタ3では、第1電極層22の側面22cが、第1主面22aから第2主面22bに向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有する。さらに、
図7に示すように、第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθ
A、第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度をθ
Bとしたとき、θ
A<θ
Bである。
【0078】
図7に示すように、第2電極層24の側面24c及び第1電極層22の側面22cがテーパー形状を有する場合、θ
A<θ
Bとすることにより、第2電極層24の端部に設けられた耐湿膜25上の応力集中点Aにおける応力を、第1電極層22の端部に沿った耐湿膜25上の応力集中点Bにおける応力に比べて小さくすることができる。よって、耐湿膜25及び第2電極層24の下に設けられた誘電体膜23にかかる応力を相対的に低減することができる。その結果、誘電体膜23に発生するクラックを抑制することができる。
【0079】
第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθAとしたとき、20°≦θA≦45°であることが好ましい。
【0080】
第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度をθBとしたとき、25°≦θB≦70°であることが好ましい。
【0081】
なお、第2電極層24のテーパー形状は、第2電極層24の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよいが、第2電極層24の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。また、第1電極層22のテーパー形状は、第1電極層22の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよいが、第1電極層22の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。
【0082】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係るキャパシタは、誘電体膜上に前記第2電極層と離れて設けられた第3電極層をさらに備え、外部電極は、第3電極層に接続された第1外部電極と、第2電極層に接続された第2外部電極と、を含む。本発明の第4実施形態に係るキャパシタでは、第2電極層が単層の導電層からなる。
【0083】
図8は、本発明の第4実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【0084】
図8に示すキャパシタ4は、基板10と、基板10上に設けられた絶縁膜21と、絶縁膜21上に設けられた第1電極層22と、第1電極層22上に設けられた誘電体膜23と、誘電体膜23上に設けられた第2電極層24と、誘電体膜23上に第2電極層24と離れて設けられた第3電極層29と、誘電体膜23、第2電極層24及び第3電極層29上に設けられた耐湿膜25と、耐湿膜25上に設けられた保護層26と、保護層26を貫通する外部電極27と、を備える。外部電極27は、第3電極層29に接続された第1外部電極27Aと、第2電極層24に接続された第2外部電極27Bと、を含む。第1外部電極27Aは保護層26及び耐湿膜25を貫通し、第2外部電極27Bは保護層26及び耐湿膜25を貫通する。
【0085】
図1に示すキャパシタ1の構成では、左側にキャパシタが形成されているのに対し、
図8に示すキャパシタ4の構成では、左右にキャパシタが形成されている。
図8に示す構成では、
図1に示す構成において第1電極層22に第1外部電極27Aが接続されている部分を、第1電極層22、誘電体膜23、第3電極層29の順に設けられた構成物に置き換えているだけである。そのため、
図8に示す構成は、
図1に示す構成に対して追加の素子形成スペースを取る必要がない。したがって、同じ素子の面積のまま、低容量のキャパシタを作製することができる。このような構造は、一定以上の厚みの誘電体膜を形成できない場合に有効である。
【0086】
第3電極層29は、誘電体膜23を挟んで第1電極層22に対向して設けられている。第3電極層29は、誘電体膜23側の第1主面29aと、耐湿膜25側の第2主面29bと、第1主面29aと第2主面29bとをつなぐ側面29cと、を有する。
【0087】
第3電極層29は、単層の導電層からなる構造を有している。
【0088】
第3電極層29を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、Cu、Ag、Au、Al、Ni、CrもしくはTi又はこれらの金属を少なくとも1種含む合金等が挙げられる。
【0089】
図9は、
図8に示すキャパシタを構成する第3電極層の側面を拡大した断面図である。
【0090】
図8及び
図9に示すように、第3電極層29の側面29cは、誘電体膜23側の第1主面29aから耐湿膜25側の第2主面29bに向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有している。
【0091】
図9に示すように、第3電極層29の側面29cが上記のテーパー形状を有することにより、外部電極27(特に第1外部電極27A)に荷重が印加されたときに、第3電極層29の端部に設けられた耐湿膜25上の応力集中点Cにおける応力を低減することができる。よって、耐湿膜25の応力を緩和することができるため、耐湿膜25及び第3電極層29の下に設けられた誘電体膜23にかかる応力を低減することができる。その結果、誘電体膜23に発生するクラックを抑制することができる。
【0092】
したがって、
図8に示すキャパシタ4においても、
図1に示すキャパシタ1と同様の効果が得られる。
【0093】
第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθAとしたとき、20°≦θA≦45°であることが好ましい。
【0094】
第3電極層29の第1主面29aに対する第3電極層29の側面29cの角度をθCとしたとき、20°≦θC≦45°であることが好ましい。第3電極層29のテーパー角度θCは、第2電極層24のテーパー角度θAと同じでもよく、異なっていてもよい。
【0095】
図8に示すキャパシタ4では、第1電極層22の側面22cはテーパー形状を有していない。すなわち、第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度θ
B(
図7参照)は90°である。このように、第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθ
A、第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度をθ
B、第3電極層29の第1主面29aに対する第3電極層29の側面29cの角度をθ
Cとしたとき、θ
A<θ
Bかつθ
C<θ
Bであることが好ましい。
【0096】
なお、第2電極層24のテーパー形状は、第2電極層24の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよいが、第2電極層24の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。同様に、第3電極層29のテーパー形状は、第3電極層29の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよいが、第3電極層29の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。
【0097】
図8に示すように、厚み方向Tから平面視したとき、第1外部電極27Aの外形は第3電極層29の外形よりも小さく、かつ、第2外部電極27Bの外形は第2電極層24の外形よりも小さいことが好ましい。第1外部電極27Aの外形が第3電極層29の外形と同等以上の大きさであると、外部電極27(特に第1外部電極27A)にかかる荷重が誘電体膜23に印加されやすくなる。また、第2外部電極27Bの外形が第2電極層24の外形と同等以上の大きさであると、外部電極27(特に第2外部電極27B)にかかる荷重が誘電体膜23に印加されやすくなる。これに対し、第1外部電極27Aの外形が第3電極層29の外形よりも小さく、かつ、第2外部電極27Bの外形が第2電極層24の外形よりも小さいと、第1外部電極27Aの直下に第3電極層29が存在し、かつ、第2外部電極27Bの直下に第2電極層24が存在するため、外部電極27(第1外部電極27A及び第2外部電極27B)にかかる荷重が誘電体膜23に印加されにくくなる。その結果、誘電体膜23に発生するクラックをさらに抑制することができる。
【0098】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態に係るキャパシタでは、第4実施形態の変形例として、第2電極層が複層の導電層からなり、第3電極層が複層の導電層からなる。
【0099】
図10は、本発明の第5実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【0100】
図10に示すキャパシタ5では、第2電極層24は、厚み方向(
図10中、矢印Tで示す方向)に積層された複層の導電層からなる。導電層の数は特に限定されない。少なくとも1層の導電層の側面がテーパー形状を有していればよいが、各々の導電層の側面がテーパー形状を有することが好ましい。
【0101】
第2電極層24において、厚み方向Tに隣接する導電層のうち、耐湿膜25に近い導電層は、誘電体膜23に近い導電層よりも、厚み方向Tから平面視したときの面積が小さい。各導電層のテーパー角度は、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0102】
同様に、第3電極層29は、厚み方向Tに積層された複層の導電層からなる。導電層の数は特に限定されない。少なくとも1層の導電層の側面がテーパー形状を有していればよいが、各々の導電層の側面がテーパー形状を有することが好ましい。第3電極層29に含まれる導電層の数は、第2電極層24に含まれる導電層の数と同じでもよく、異なっていてもよい。
【0103】
第3電極層29において、厚み方向Tに隣接する導電層のうち、耐湿膜25に近い導電層は、誘電体膜23に近い導電層よりも、厚み方向Tから平面視したときの面積が小さい。各導電層のテーパー角度は、同じでもよく、異なっていてもよい。
【0104】
図10に示すキャパシタ5においても、
図5に示すキャパシタ2と同様の効果が得られる。
【0105】
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態に係るキャパシタでは、第4実施形態及び第5実施形態の変形例として、第2電極層の側面だけでなく第1電極層の側面もテーパー形状を有する。
【0106】
図11は、本発明の第6実施形態に係るキャパシタの一例を模式的に示す断面図である。
【0107】
図11に示すキャパシタ6では、第1電極層22の側面22cが、第1主面22aから第2主面22bに向かうにつれて内側に傾くテーパー形状を有する。さらに、第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθ
A、第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度をθ
B、第3電極層29の第1主面29aに対する第3電極層29の側面29cの角度をθ
Cとしたとき、θ
A<θ
Bかつθ
C<θ
Bである。
【0108】
図10に示すキャパシタ5においても、
図6に示すキャパシタ3と同様の効果が得られる。
【0109】
第2電極層24の第1主面24aに対する第2電極層24の側面24cの角度をθAとしたとき、20°≦θA≦45°であることが好ましい。
【0110】
第3電極層29の第1主面29aに対する第3電極層29の側面29cの角度をθCとしたとき、20°≦θC≦45°であることが好ましい。第3電極層29のテーパー角度θCは、第2電極層24のテーパー角度θAと同じでもよく、異なっていてもよい。
【0111】
第1電極層22の第1主面22aに対する第1電極層22の側面22cの角度をθBとしたとき、25°≦θB≦70°であることが好ましい。
【0112】
なお、第2電極層24のテーパー形状は、第2電極層24の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよいが、第2電極層24の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。同様に、第3電極層29のテーパー形状は、第3電極層29の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよいが、第3電極層29の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。また、第1電極層22のテーパー形状は、第1電極層22の側面の一部に形成されてもよく、全体に形成されてもよいが、第1電極層22の側面の全体がテーパー形状を有することが好ましい。
【0113】
[その他の実施形態]
本発明の半導体装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、キャパシタ等の半導体装置の構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0114】
例えば、本発明の第5実施形態では、第2電極層が複層の導電層からなり、第3電極層が複層の導電層からなるキャパシタを説明したが、第2電極層及び第3電極層の一方が単層の導電層からなり、他方が複層の導電層からなるキャパシタでもよい。
【符号の説明】
【0115】
1、2、3、4、5、6 キャパシタ(半導体装置)
10 基板
21 絶縁膜
22 第1電極層
22a 第1電極層の第1主面
22b 第1電極層の第2主面
22c 第1電極層の側面
23 誘電体膜
24 第2電極層
24a 第2電極層の第1主面
24b 第2電極層の第2主面
24c 第2電極層の側面
25 耐湿膜
26 保護層
27 外部電極
27A 第1外部電極
27B 第2外部電極
28a シード層
28b 第1めっき層
28c 第2めっき層
29 第3電極層
29a 第3電極層の第1主面
29b 第3電極層の第2主面
29c 第3電極層の側面
31 第1樹脂体
31a 第1壁部
31b 第2壁部
32 第2樹脂体
32a 第1外周部
32b 第2外周部
A、B、C 耐湿膜上の応力集中点
θA 第2電極層の第1主面に対する第2電極層の側面の角度
θB 第1電極層の第1主面に対する第1電極層の側面の角度
θC 第3電極層の第1主面に対する第3電極層の側面の角度