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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】乗客コンベアの表示装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/00 20060101AFI20250311BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B66B29/00 Z
B66B31/00 C
B66B31/00 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024084702
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱川 満
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-088434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 - 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの移動通路に配置された複数のステップそれぞれの踏板の外周部に設けられたデマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影する第1の投影手段を備え、
前記乗客コンベアを移動方向に沿って、前記乗客コンベアの乗降口側の1つ又は複数のステップを含む乗降部と、前記乗降部に挟まれた中間部と、に区分するとした場合、前記第1の投影手段による前記視認性を低下させる映像の投影領域は、
前記中間部に位置する前記ステップの表面と、前記複数のステップの幅方向両側に設けられたスカートガードの前記中間部に位置する部分の表面と、を含み、
前記視認性を低下させる映像は、前記デマケーションラインの色と同系色の色彩の映像である、
客コンベアの表示装置。
【請求項2】
乗客コンベアの移動通路に配置された複数のステップそれぞれの踏板の外周部に設けられたデマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影する第1の投影手段と、
前記乗客コンベアを利用する乗客数と、前記移動通路上の乗客の乗車位置と、を検出する検出手段と、
を備え、
前記乗客コンベアを移動方向に沿って、前記乗客コンベアの乗降口側の1つ又は複数のステップを含む乗降部と、前記乗降部に挟まれた中間部と、に区分するとした場合、前記第1の投影手段による前記視認性を低下させる映像の投影領域は、
前記中間部に位置する前記ステップの表面と、前記複数のステップの幅方向両側に設けられたスカートガードの前記中間部に位置する部分の表面と、を含み、
前記第1の投影手段は、前記移動通路の移動方向に沿った中央線より左側の乗客数及び右側の乗客数のうち少なくとも一方が第1の基準値より少ない場合、前記視認性を低下させる映像を投影する、
客コンベアの表示装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記中間部の前記移動通路の幅方向両端側それぞれに設置された反射型センサを備え、
前記検出手段は、前記反射型センサの出力に基づいて前記乗客が前記移動通路の左右どちら側に乗車しているかを検出する、
請求項に記載の乗客コンベアの表示装置。
【請求項4】
前記乗客コンベアを利用する乗客数と、前記移動通路上の乗客の乗車位置と、を検出する検出手段と、
前記乗降部を投影領域とし、前記乗客コンベアに乗り込む乗客の移動を誘導する誘導映像を投影する第2の投影手段と、
を備え、
前記第2の投影手段は、
前記乗客数が第2の基準値より少なく、かつ、前記移動通路の移動方向に沿った中央線より左側の乗客数と右側の乗客数との差が第3の基準値より大きい場合、前記乗客数の少ない側に乗客を誘導するための前記誘導映像を投影する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の乗客コンベアの表示装置。
【請求項5】
前記誘導映像は、前記乗客数の少ない側へ向かう動線を示す映像、又は、前記乗客数の多い側への立ち入りの障壁となる映像である、
請求項4に記載の乗客コンベアの表示装置。
【請求項6】
前記乗客コンベアに乗車する際の乗客の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記乗客の移動速度が基準速度より速い場合、当該乗客の移動に同期して注意を促す注意喚起映像を投影する第3の投影手段と、
を、備える請求項1からのいずれか1項に記載の乗客コンベアの表示装置。
【請求項7】
前記速度検出手段により検出される前記移動速度が前記基準速度より速い場合、警報を発する警告手段を、
備える請求項に記載の乗客コンベアの表示装置。
【請求項8】
前記スカートガードの表面に沿って上方から見た場合に、前記踏板の前記スカートガード側の前記デマケーションラインが隠れるように配置されたスカートガードブラシと、
前記スカートガードブラシに乗客が接触した場合、前記乗客に警報を発する警告手段と、
を備える請求項1からのいずれか1項に記載の乗客コンベアの表示装置。
【請求項9】
前記第1の投影手段は、前記乗客コンベアの前記ステップの移動速度に同期させて前記視認性を低下させる映像を投影する、
請求項1からのいずれか1項に記載の乗客コンベアの表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は乗客コンベアの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の乗客コンベアは、乗客コンベアの中間傾斜部付近に乗客を検知する2つのセンサを備える。この乗客コンベアにおいては、2つのセンサにより乗客コンベア上の乗客の移動速度が検出され、乗客コンベアの定格速度と乗客の移動速度との比較により乗客の動きが検出される。そして、乗客が駆け上がり又は駆け下りを行っていると判断された場合、乗客に対し注意アナウンスが流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-188236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の乗客コンベアでは、注意アナウンスを流すことで、乗客コンベア上での乗客の駆け上がり又は駆け下りの行動抑制を図る。しかし、特許文献1のように一対のセンサにより乗客の移動速度を検出する場合、複数の乗客の動作を一人の動作として誤検知するなどにより、乗客の移動速度に誤計測が発生する虞がある。また発報された注意アナウンスがどの乗客に対するものであるかがわかりにくく、アナウンスの対象となる乗客が注意アナウンスに気づかないことも考えられる。また、注意アナウンスに乗客が気づいたとしても、その乗客が駆け上がり又は駆け下りなどの移動行動をやめないことも考えられる。このように注意アナウンスを流す制御では、乗客コンベアにおける乗客の歩行の抑止効果は高くないものと考えられる。
【0005】
本開示では、以上の課題に鑑みて、乗客コンベア内における乗客の歩行をより効果的に抑制できるように改良された乗客コンベアの表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乗客コンベアの表示装置は、乗客コンベアの移動通路に配置された複数のステップそれぞれの踏板の外周部に設けられたデマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影する第1の投影手段を備え、乗客コンベアを移動方向に沿って、乗客コンベアの乗降口側の1つ又は複数のステップを含む乗降部と、乗降部に挟まれた中間部と、に区分するとした場合、第1の投影手段による視認性を低下させる映像の投影領域は、中間部に位置するステップの表面と、複数のステップの幅方向両側に設けられたスカートガードの中間部に位置する部分の表面と、を含む。
例えば、視認性を低下させる映像は、デマケーションラインの色と同系色の色彩の映像であってもよい。
あるいは、乗客コンベアの表示装置は、乗客コンベアを利用する乗客数と、移動通路上の乗客の乗車位置と、を検出する検出手段を、備え、第1の投影手段は、移動通路の移動方向に沿った中央線より左側の乗客数及び右側の乗客数のうち少なくとも一方が第1の基準値より少ない場合、視認性を低下させる映像を投影する、ものであってもよい。
【0007】
あるいは、本開示に係る乗客コンベアの表示装置は、移動通路に配置された複数のステップを備える乗客コンベアを、移動方向に沿って、乗客コンベアの乗降口側の1つ又は複数のステップを含む乗降部と、乗降部に挟まれた中間部と、に区分するとした場合、乗降部に位置するステップの踏板の表面に、デマケーションラインを投影する第4の投影手段、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る乗客コンベアの表示装置によれば、乗客コンベアの乗降口付近のステップを除くステップ、すなわち中間部に位置するステップのデマケーションラインの視認性を低下させるか、あるいは、中間部に位置するステップの表面にデマケーションラインが表示されていない状態とすることができる。従って、乗客コンベアの中間部におけるステップの境界を識別しにくいものとすることができ、これにより、乗客コンベアの移動通路上での乗客が移動するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態1に係る乗客コンベア及び表示装置の全体構成を示す模式図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る乗客コンベアの傾斜部投影機の設置個所付近を示す図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る乗客コンベアの表示装置の構成を示すブロック図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る乗客コンベアの表示装置の傾斜部投影機により映像が投影される個所の例を示す図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る制御装置による乗客コンベアの運転速度の制御例を示すタイミングチャートである。
図6】本開示の実施の形態2に係る乗客コンベアの構成を示す模式図である。
図7】本開示の実施の形態2に係る乗客コンベアの制御装置による乗客レイアウトの位置確認方法を説明するための図である。
図8】本開示の実施の形態3に係る乗客コンベアの構成を示す模式図である。
図9】本開示の実施の形態4に係る乗客コンベアの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、各図において、同一又は相当する部分には同一符号を付してその説明を簡略化ないし省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る乗客コンベア及び表示装置の全体構成を示す模式図である。図1の例では乗客コンベア100はエスカレータである。図1に示されるように、乗客コンベア100は複数のステップ10を備える。乗客コンベア100の上階の乗降口の乗場床20と下階の乗降口の乗場床20とは、複数のステップ10が移動する移動通路で結ばれている。以下の実施の形態において、乗客コンベア100の左右をいう場合、特に指定した場合を除き、ステップ10の進行方向に向かって左右、すなわち移動方向に垂直な幅方向の両端側を示すものとする。
【0012】
複数のステップ10は無端状に連結され、移動通路を循環移動できるように設けられる。複数のステップ10は、踏板11とライザ12とを備える。踏板11とライザ12の幅方向の両端部は一対のブラケット(図示せず)に支持されている。
【0013】
図1では、図示を省略するが、踏板11の表面の外周には、踏板11の視認性を高めるためのデマケーションライン(図2の符号11A参照)が形成されている。デマケーションラインは、踏板11の表面の色とは異なる色で塗布されたラインである。デマケーションラインの色は例えば、黄色である。デマケーションラインは、踏板11の外周に、踏板11とは異なる成形色の樹脂パーツなどを取り付けることで形成されたものであってもよい。
【0014】
一対の欄干13は、ステップ10の移動方向に沿って、ステップ10の幅方向の両側に設置されている。欄干13それぞれの下部には、スカートガード14が配置されている。スカートガード14は、上下の乗場床20近傍にそれぞれ配置されるコムスカートと、上下のコムスカートの間に長手方向に沿って配置されるスカートガードパネルとを有する。
【0015】
以下の説明では、乗客コンベア100のうち、上下の乗場床20付近の部分を、乗降部101、上下の乗降部101に挟まれた中間部を傾斜部102と称する。乗降部101と傾斜部102とは、乗客コンベア100を移動方向に対し垂直に区分けするエリアである。乗降部101と傾斜部102との間の境界に限定はないが、乗降部101は、少なくとも、上下の乗場床20と前記乗場床20に隣接するステップ10を含むものとする。たとえば、欄干13の傾斜角が一定で、ステップ10が直線移動するエリアを傾斜部102とし、傾斜部102の両側のエリアを乗降部101としてもよい。
【0016】
乗客コンベア100は、センサ1、カメラ2、傾斜部投影機3、及び制御装置(図3参照)を備えている。図1では説明のため、紙面右側に設置されたセンサ1、カメラ2、及び傾斜部投影機3が、乗客コンベア100の右側から透視した状態で図示されている。また、図1では、センサ1の感知範囲、カメラ2の撮影範囲、及び傾斜部投影機3の投影領域が、それぞれ破線で示されている。
【0017】
センサ1は、例えば、コムスカートなど、上下の乗場床20近傍に配置される。センサ1は、感知範囲を通過する乗客を感知することで、乗客コンベア100に乗り込む乗客、あるいは乗客コンベア100から降りる乗客を検出する。センサ1の出力は、後述する制御装置4に送信される。図1では、合計4つのセンサ1が、上下の乗場床20それぞれの左右のスカートガード14にそれぞれ配置された例が示されているが、センサ1の設置個数に限定はない。センサ1は、乗客コンベア100に乗車する乗客数、乗客コンベア100から降車する乗客数を監視できるように、その感知範囲に応じて適切な個数が設置されていればよい。
【0018】
カメラ2は、例えば、コムスカート又はスカートガードパネルの端部付近など、スカートガード14の乗場床20近傍にそれぞれ設置される。カメラ2の撮影範囲は、少なくとも、カメラ2の設置個所におけるステップ10の左側端部から右側端部までの幅方向全体を含むものとする。図2では、合計2つのカメラ2が、上下それぞれの乗場床20付近に配置された例が示されているが、カメラ2の設置個数に限定はない。カメラ2によって、上下の乗場口近傍において幅方向全体の画像が撮影できるように、適切な個数のカメラ2が設置されていればよい。
【0019】
図2は、乗客コンベアの傾斜部投影機の設置個所付近を示す図である。図2では、傾斜部投影機3の付近のスカートガードパネル14Aを外した状態で、傾斜部投影機3の設置個所を示している。傾斜部投影機3は、傾斜部102のスカートガードパネル14Aの内部に、一定間隔で配置されている。図2に示されるように、傾斜部投影機3が配置された箇所のスカートガード14の表面には、スモークガラス14Bが設置されている。
【0020】
傾斜部投影機3はステップ10の表面に向けて、映像を投影できるようになっている。傾斜部投影機3の設置個数に限定はなく、傾斜部投影機3はその投影領域を考慮して、適切な数が配置される。即ち、全ての傾斜部投影機3によって、乗客コンベア100の少なくとも傾斜部102のステップ10の表面全体が投影領域となるように、かつ、傾斜部投影機3の投影領域の重なり部分が小さくなるように、又は投影領域が隣接するように、適正な個数の傾斜部投影機3が配置されていればよい。
【0021】
図3は、乗客コンベアの表示装置の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、乗客コンベア100の表示装置は、センサ1と、カメラ2と、傾斜部投影機3と、制御装置4とを備えている。制御装置4は乗客コンベア100を駆動するためのモータ15を制御する。また、制御装置4は傾斜部投影機3による映像の投影を制御する。
【0022】
センサ1、カメラ2、及び制御装置4は、乗客コンベア100の乗客数及び乗客の乗車位置を検出する検出手段としての機能を有する。センサ1と制御装置4、及びカメラ2と制御装置4は、それぞれ有線又は無線で接続されている。センサ1の出力とカメラ2の出力とは、制御装置4に入力される。
【0023】
センサ1は、その感知範囲の乗客の通過を感知することで乗客を検出し、検出結果を制御装置4に送信する。制御装置4は、センサ1の検出結果に基づいて、乗客コンベア100に乗車する乗客数及び降車する乗客数を算出する。
【0024】
カメラ2は、撮影した画像のデータを制御装置4に入力する。カメラ2により撮影される画像は、静止画像であってもよいし動画であってもよい。静止画の場合には、カメラ2は、例えば一定の間隔で、又は制御装置4からの撮影要求に応じて画像を撮影し、制御装置4に送信する。制御装置4はカメラ2から送信される画像データに基づいて、乗客コンベア100に乗り込んだ乗客の乗車位置、すなわち乗客レイアウトを監視する。
【0025】
制御装置4は、乗客の乗車位置として、乗客が移動通路の左右どちら側にいるかを検出する。なお、以下の実施の形態では、乗客の乗車位置は、移動通路の移動方向に平行な中央線を境界として、乗客が進行方向に向かって左寄りにいる場合に左側、右寄りにいる場合に右側、と判定されることとする。
【0026】
傾斜部投影機3及び制御装置4は、有線又は無線で接続され、デマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影する第1の投影手段としての機能を有する。傾斜部投影機3は、その投影領域に映像を投影する。
【0027】
図4は、傾斜部投影機3により映像が投影される個所の例を示す図である。図4の例では、一方側の欄干13及びスカートガード14及びその内部構造を省略し、主に、他方側の欄干13及びスカートガード14と、ステップ10及び上階側の乗場床20とを示している。明確化のためステップ10の外周線は太線で示されている。
【0028】
傾斜部投影機3は、例えば、図4に示されるように、傾斜部102に位置するステップ10の踏板11、ライザ12、及びスカートガードパネル14Aの表面のうち、デマケーションライン上及びデマケーションライン周辺に、デマケーションラインの視認性を低下させる映像3A、3Bを投影する。傾斜部投影機3からの映像によりデマケーションラインの視認性を低下させることで、傾斜部102におけるステップ10の階段形状を視認しにくくすることができる。
【0029】
投影される映像3A、3Bは、例えば、デマケーションラインの色と同系色又は類似色の映像である。デマケーションライン上及びデマケーションライン周辺にデマケーションラインの色と同系色又は類似色の映像3A、3Bを投影することで、傾斜部102のステップ10のデマケーションラインを視認することができる。なお、ここでは、デマケーションラインの視認性を低下させることができればよく、デマケーションラインの色と、投影される映像の色との類似度に特に限定はない。また、映像3A、3Bは、相対的に静止して見える静止画像であってもよいし、動画であってもよい。
【0030】
次に、制御装置4による制御動作について説明する。制御装置4は乗客コンベア100の制御装置であり、傾斜部投影機3を制御する制御装置としても機能する。本実施の形態において、制御装置4は、乗客コンベア100の運転速度と、傾斜部投影機3による投影の動作とを制御する。
【0031】
具体的に、制御装置4は、乗客コンベア100の混雑状況に応じて、乗客コンベア100の運転速度を変更する。図5は、制御装置による乗客コンベアの運転速度の制御例を示すタイミングチャートである。図5において横軸は時間t[sec]、縦軸は速さV[m/min]を示す。図5に示されるように、制御装置4は、乗客が多く乗客コンベア100が混雑する時間帯である混雑時は、運転速度を定格速度とする定格運転を行う。また、乗客が比較的少ない時間帯である閑散時は、運転速度を定格速度より遅い速度とするエコ運転を行う。
【0032】
混雑時及び閑散時の時間帯は、予め制御装置4に設定されていてもよい。あるいは制御装置4が、乗客コンベア100の混雑状況を取得して、運転速度を制御する構成としてもよい。この場合、制御装置4はセンサ1の出力に基づいて算出される乗客数から、乗客コンベア100の混雑状況を算出する。そして、算出された混雑状況に応じて、現在が混雑時であるか閑散時であるかを判定し、判定結果に従って運転速度を制御する。
【0033】
制御装置4による制御により乗客コンベア100の運転速度は、運転始動時、混雑時、閑散時、運転停止時、及びこれらの間の過渡期のタイミングによって変化する。デマケーションラインの視認性を低下させる映像は、ステップ10のデマケーションラインの位置に合わせて投影する必要がある。従って制御装置4は、モータ15の回転速度から乗客コンベア100のステップ10の移動速度を検出し、傾斜部投影機3により投影する映像3A、3Bが、ステップ10の移動に同期して移動するように変化させる。
【0034】
また、制御装置4は、傾斜部投影機3による映像の投影動作の開始及び停止を制御する。具体的に、制御装置4は、乗客コンベア100全体の乗客数と、左側及び右側のそれぞれの乗客数とを、センサ1及びカメラ2の出力に基づいて算出する。そして、(i)乗客の数が所定数より少ない、かつ、(ii)左側の乗客数及び右側の乗客数のうち、少なくとも一方の乗客数が第1の基準値より大きい、との条件を満たすか否かを判定する。事情件(i)及び(ii)の両方を満たすと判定された場合、移動通路には、乗客が歩行して移動できる十分なスペースがあると判断できる。従って、この場合、制御装置4は、傾斜部投影機3による投影を実行し、デマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影させる。
【0035】
なお、ここで所定数及び第1の基準値は、乗客が歩行して移動できる十分なスペースがあるか否かの判断の基準値であり予め制御装置4に記憶されている。ただし、乗客が歩行して移動できるスペースがあるか否かの判断は、条件(i)(ii)を満たすか否かに基づくものに限られない。例えば、上記条件(ii)を満たした場合に乗客が歩行して移動できる十分なスペースがあると判断する構成としてもよい。また、乗客数に替えて、乗客コンベア100の乗車率などを判定のパラメータとして用いてもよい。
【0036】
以上の制御により、乗客コンベア100の移動通路が、乗客が歩行できるような環境である場合に、傾斜部102におけるステップ10のデマケーションラインの視認性を低下させることができる。これにより、ステップ10の階段形状を識別しにくくすることができ、乗客の歩行を効果的に抑制することができる。
【0037】
なお、乗降部101に位置するステップ10は、傾斜部投影機3の投影領域の範囲外である。従って、移動通路に乗客が歩行できるようなスペースがある場合でも、乗降部101に位置するステップ10には、デマケーションラインの視認性を低下させる映像が投影されない。従って、乗客の歩行が必要となる乗場床20付近においては、乗客はステップ10のデマケーションラインを確実に認識できる。
【0038】
本実施の形態では、傾斜部投影機3により、デマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影することで、ステップ10の踏板11を視認しにくくする場合について説明した。表示装置は、これに加え、乗客の駆け上がり又は駆け下りを監視して、駆け上がり又は駆け下りが検出された場合に、乗客に注意喚起を行う構成を有していてもよい。
【0039】
この場合、乗客コンベア100の表示装置は、乗客の移動速度を検出する速度検出手段としての機能と、注意喚起の映像を投影する第3の投影手段としての機能とを備える。
【0040】
具体的には、乗客コンベア100の例えば傾斜部102のスカートガードパネル14A付近に、乗客の移動速度を検出する速度センサが設置される。制御装置4は速度センサの出力に基づいて、乗客の移動速度を検出する。
【0041】
また、傾斜部投影機3と制御装置4とは、乗客の注意を促すための注意喚起映像を投影する第3の投影手段としても機能する。制御装置4は、検出した乗客の移動速度が基準速度より速い場合、その乗客の移動に同期して注意を促す注意喚起映像を投影させる。ここで、注意喚起映像としては、移動する乗客の周囲を赤色などの警告色で光らせる映像などがあげられる。これにより、移動している乗客を強調して周囲から目立たせ、乗客が歩行を躊躇するようと共に、周囲の乗客に、歩行者がいることを知らせることができる。
【0042】
さらに、乗客コンベア100の表示装置は、移動する乗客に対して警報を発して注意を喚起する警告手段を備える構成としてもよい。ここで警報は、移動する乗客に対して警告音を鳴動させるものであってもよいし、注意を促す音声ガイダンスであってもよい。これにより、移動する乗客に対して、あるいは、移動する乗客の周囲にいる乗客に対して注意を促すことができる。
【0043】
ここで基準速度は、乗客が移動通路を移動していることを判定するための基準値であり、予め制御装置4に記憶される。基準速度は、乗客コンベア100の移動速度に基づいて設定される変数であってもよい。
【0044】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る乗客コンベアの構成を示す模式図である。本実施の形態2の乗客コンベア200は、乗場口に乗場投影機7を有する点を除き、実施の形態1の乗客コンベア100と同一の構成を有している。
【0045】
図6は乗客コンベア200の上階の乗場床20側からステップ10の移動方向を見た状態を示している。実施の形態2に係る乗客コンベア200の表示装置は、センサ1、カメラ2、及び、傾斜部投影機3に加え、乗場投影機7を備えている。
【0046】
乗場投影機7は、図6に示されるように、各階の乗場口近傍のインレットガード14C部分に設置されている。乗場投影機7は、その投影領域に乗場床20を含む。なお、図6の例では各階の乗場口の左右に一対の乗場投影機7が設置された例を示しているが、乗場投影機7の設置数に限定はない。乗場投影機7は、その投影領域7Aに、乗場床20の映像を投影すべき部分が適切に含まれるように、適切な個数設置されていればよい。
【0047】
乗場投影機7により投影される映像は、乗客を誘導する誘導映像である。誘導映像は、乗場口の乗客を、移動通路の左側又は右側のうち誘導したい側に誘導するための映像である。誘導映像は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。具体的に例えば、誘導映像は建築レイアウトに沿った動線を示すものである。この場合、図6に示されるような、フットプリントを動線に沿って配置することで動線を示すものであってもよい。あるいは、誘導映像は、動線を示す矢印、又は動線に沿って先行して移動する人物の映像などであってもよい。また、誘導映像は、例えば、左側又は右側のうち、乗客を誘導したくない側への立ち入りを邪魔するような映像であってもよい。このような誘導映像としては、例えば、乗客の立ち入りを阻害するような仮想ゲートの映像、あるいは、侵入を阻むような壁の映像、乗客を誘導したくない側の乗場口で静止した人物の映像などが考えられる。
【0048】
乗場投影機7は、制御装置4と有線又は無線で接続され、制御装置4と共に第2の投影手段として機能する。乗場投影機7による映像の投影の開始及び停止は制御装置4により制御される。制御装置4は、センサ1及びカメラ2の出力から、乗客レイアウトが移動通路の左側又は右側に偏ってると判定した場合に、偏っている側とは反対側に乗客を誘導する誘導映像、あるいは、偏ってる側への乗客の立ち入りを阻む誘導映像を表示させる。
【0049】
より具体的に、制御装置4は、センサ1により検出される乗客数が第2の基準値より少なく、かつ、右側の乗客数と左側の乗客数との差が第3の基準値より大きい場合に、乗場投影機7から誘導映像の投影を行う。ここで、第2及び第3の基準値は、誘導映像の投影による乗客の乗車位置の偏りの調整を実行するか否かを判断するための閾値であり、予め制御装置4に設定された値である。ただし、誘導映像を投影するか否かの判断は、これに限られず、例えば、右側と左側で乗客数に一定の差が発生した場合に、全体の乗客数に関わらず、誘導映像を表示するようにしてもよい。また、右側と左側で、乗客数が少ない側に誘導する誘導映像を、常に表示する構成としてもよい。また、乗客数に替えて、乗客コンベア200の乗車率を判定のパラメータとして用いるものであってもよい。
【0050】
また、実施の形態1及び2では、乗場口に設置されたカメラ2により乗客の乗車位置を検出する場合について説明した。しかし、乗車位置の検出方法はこれに限られない。図7は、制御装置4による乗客レイアウトの位置確認方法を説明するための図である。図7は、乗客コンベア100又は200の傾斜部102の移動通路を、移動通路に対して垂直な方向における上方側から見た状態を示している。
【0051】
図7に示される例では、乗客コンベア100又は200の傾斜部102のスカートガード14に、一対の傾斜部センサ8が設置される。傾斜部センサ8は反射型センサである。制御装置4は、左右の傾斜部センサ8の両方が反応している場合、左右両側に乗客Aが乗車し、左側又は右側の傾斜部センサ8だけが反応している場合、左側又は右側の片側に乗客Aが乗車していることを検出することができる。例えば、制御装置4は、一定期間中の傾斜部センサ8による検出結果に基づいて、現在の乗客レイアウトをある程度把握することができる。
【0052】
制御装置4は、把握した乗客レイアウトから、移動通路の一方に乗客が歩行して移動できるスペースがあると判定した場合、傾斜部投影機3からデマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影することができる。あるいは、制御装置4は、把握した乗客レイアウトから、乗客Aが左側又は右側に偏っていると判定された場合、乗客を右側又は左側に誘導する誘導映像を表示する。このように、傾斜部センサ8を用いることで、カメラ2の映像分析を行うことなく、より簡単な方法で乗客レイアウトを把握することができる。
【0053】
実施の形態3.
図8は、実施の形態3に係る乗客コンベアの構成を示す模式図である。図8の例では、一方側の欄干13及びスカートガード14及びその内部構造を省略し、主に、他方側の欄干13及びスカートガード14と、ステップ10及び上階側の乗場床20とを示している。実施の形態3の乗客コンベア300は、傾斜部102のスカートガード14にスカートガードブラシ16とスピーカー9とを備える点を除き、実施の形態1又は2の乗客コンベア100又は200と同一の構成を有している。
【0054】
実施の形態3に係る乗客コンベア300のスカートガードブラシ16は、スカートガード14のステップ10側の面に沿って上方から見た場合に、踏板11のスカートガード14側のデマケーションラインを隠すように配置されている。スカートガードブラシ16は、乗客Aが触れることで、乗客Aがスカートガード14と踏板11の隙間に近づいたことを認識させるためのものである。
【0055】
また、乗客コンベア300は、スカートガード14のスカートガードブラシ16の近傍に、警告手段としてのスピーカー9を備えている。スピーカー9は制御装置4に有線又は無線で接続され、スピーカー9による警告音の発報及び停止は、制御装置4に制御される。制御装置4は、スカートガードブラシ16への乗客Aの接触が検知された場合、スピーカー9から警報を発報させる。ここでの警報は、警告音の鳴動であってもよいし、音声による注意ガイダンスであってもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態では、傾斜部102のスカートガードブラシ16により、デマケーションラインが隠されることで、傾斜部102おけるステップ10の形状を識別しにくくできる。これにより、傾斜部102における乗客の歩行を抑制することができる。また、乗客Aがスカートガードブラシ16に触れた場合にはスピーカー9により乗客に警告を発報することで、乗客Aにスカートガード14と踏板11との隙間に近づいていることを警告することができる。
【0057】
実施の形態4.
図9は本実施の形態に係る乗客コンベアの構成を示す模式図である。本実施の形態に係る乗客コンベア400はステップ10の踏板11がデマケーションラインを有さない点、乗場投影機17を備える点、及び傾斜部投影機3が投影する映像が異なる点を除き、実施の形態1~3の乗客コンベア100、200、300のいずれかと同一の構成を有している。
【0058】
上下の乗降部101のスカートガード14には、乗場投影機17が取り付けられている。乗場投影機17の設置数に限定はないが、投影領域が、少なくとも乗降部101に位置するステップ10の踏板11の表面全体を含むように、適切な個数設置する。乗場投影機17は、傾斜部102の端部と乗場床20との間の部分の踏板11の表面に、映像によりデマケーションライン17Aを投影する。
【0059】
乗場投影機17と制御装置4とは、第4の投影手段として機能する。乗場投影機17は、制御装置4に有線又は無線で接続され、乗場投影機17により投影する映像及び映像の投影開始又は停止は制御装置4により制御される。
【0060】
実施の形態1で説明したように、制御装置4は、乗客コンベア400の混雑状況によりステップ10の移動速度を制御する。制御装置4は、モータ15の回転速度に基づいてステップ10の移動速度を算出する。算出された移動速度に応じて、デマケーションライン17Aが、移動する踏板11の外周部の適切な位置に投影されるように、乗場投影機17により投影される映像を制御する。
【0061】
傾斜部投影機3と制御装置4とは、第5の投影手段として機能する。傾斜部投影機3は、乗客コンベア400の傾斜部102に位置するステップ10の表面に対して、自由に設定された映像3Cを投影する。投影する映像としては、例えば、森林などの自然の映像などが考えられる。森林の映像を用いることで森の中にいるような空間を演出することができる。映像が動画である場合、乗客コンベア400の速度にあわせて映像を変えるなどしてもよい。
【0062】
本実施の形態のように、踏板11がその表面にデマケーションラインを有しないものである場合には、乗客コンベア400の傾斜部102において、歩行抑制のためデマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影の投影を不要とすることができる。一方、乗場床20の近傍の乗降部101では、踏板11にデマケーションラインを投影するようにすることで、乗客コンベア400への乗車及び乗客コンベア400からの降車の際には、乗客は、確実にステップ10の境界を視認できる。
【0063】
また、乗客コンベア400の傾斜部102では映像投影により、快適な空間を演出しつつ、傾斜部102での歩行防止を図ることができる。
【0064】
なお、以上の実施の形態において、乗客コンベア100、200、300、400は、エスカレータである場合について説明した。しかし、本開示における乗客コンベアは、例えば、動く歩道であってもよい。
【0065】
また、制御装置4は、乗客コンベア100の動作を制御する制御装置が、傾斜部投影機3及び乗場投影機7又は17による映像の投影開始と停止を制御する機能を有する場合について説明した。しかし、乗客コンベア100の動作を制御する制御装置と、傾斜部投影機3、及び乗場投影機7、17による映像の投影を制御する制御装置とは、互いに異なる独立の制御装置として構成されたものであってもよい。また、傾斜部投影機3及び乗場投影機7、17それぞれの制御装置が、異なる独立の制御装置であってもよい。
【0066】
また、本実施の形態に記載された制御装置4などの構成要素により実現される機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs(Application Specific Integrated Circuits)、CPU(Central Processing Unit)、従来型の回路、あるいは、それらの組合せを含む回路を使用して実装されてもよい。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むので、回路とみなされる。プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを実行するものであってもよい。また、実施の形態における回路、ユニット、手段は、記載された機能を実現するようにプログラムされたハードウェア、又は、実行するハードウェアである。当該ハードウェアは、実施の形態に開示されているあらゆるハードウェア、又は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた、又は、実行するものとして知られているあらゆるハードウェアであってもよい。当該ハードウェアが一種の回路と考え得るプロセッサである場合、当該回路、手段、又はユニットは、ハードウェアと、当該ハードウェア及び又はプロセッサを構成するために用いられるソフトウェアとの組合せである。
【0067】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0068】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
乗客コンベアの移動通路に配置された複数のステップそれぞれの踏板の外周部に設けられたデマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影する第1の投影手段を備え、
前記乗客コンベアを移動方向に沿って、前記乗客コンベアの乗降口側の1つ又は複数のステップを含む乗降部と、前記乗降部に挟まれた中間部と、に区分するとした場合、前記第1の投影手段による前記視認性を低下させる映像の投影領域は、
前記中間部に位置する前記ステップの表面と、前記複数のステップの幅方向両側に設けられたスカートガードの前記中間部に位置する部分の表面と、を含む、
乗客コンベアの表示装置。
(付記2)
前記視認性を低下させる映像は、前記デマケーションラインの色と同系色の色彩の映像である、
付記1に記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記3)
前記乗客コンベアを利用する乗客数と、前記移動通路上の乗客の乗車位置と、を検出する検出手段を備え、
前記第1の投影手段は、前記移動通路の移動方向に沿った中央線より左側の乗客数及び右側の乗客数のうち少なくとも一方が第1の基準値より少ない場合、前記視認性を低下させる映像を投影する、
付記1又は2に記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記4)
前記乗客コンベアを利用する乗客数と、前記移動通路上の乗客の乗車位置と、を検出する検出手段と、
前記乗降部を投影領域とし、前記乗客コンベアに乗り込む乗客の移動を誘導する誘導映像を投影する第2の投影手段と、
を備え、
前記第2の投影手段は、
前記乗客数が第2の基準値より少なく、かつ、前記移動通路の移動方向に沿った中央線より左側の乗客数と右側の乗客数との差が第3の基準値より大きい場合、前記乗客数の少ない側に乗客を誘導するための前記誘導映像を投影する、
付記1から3のいずれか1つに記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記5)
前記誘導映像は、前記乗客数の少ない側へ向かう動線を示す映像、又は、前記乗客数の多い側への立ち入りの障壁となる映像である、
付記4に記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記6)
前記検出手段は、前記中間部の前記移動通路の幅方向両端側それぞれに設置された反射型センサを備え、
前記検出手段は、前記反射型センサの出力に基づいて前記乗客が前記移動通路の左右どちら側に乗車しているかを検出する、
付記3から5のいずれか1つに記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記7)
前記乗客コンベアに乗車する際の乗客の移動速度を検出する速度検出手段と、
前記乗客の移動速度が基準速度より速い場合、当該乗客の移動に同期して注意を促す注意喚起映像を投影する第3の投影手段と、
を、備える付記1から6のいずれか1つに記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記8)
前記速度検出手段により検出される前記移動速度が前記基準速度より速い場合、警報を発する警告手段を、
備える付記7に記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記9)
前記スカートガードの表面に沿って上方から見た場合に、前記踏板の前記スカートガード側の前記デマケーションラインが隠れるように配置されたスカートガードブラシと、
前記スカートガードブラシに乗客が接触した場合、前記乗客に警報を発する警告手段と、
を備える付記1から8のいずれか1つに記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記10)
前記第1の投影手段は、前記乗客コンベアの前記ステップの移動速度に同期させて前記視認性を低下させる映像を投影する、
付記1から9のいずれか1つに記載の乗客コンベアの表示装置。
(付記11)
移動通路に配置された複数のステップを備える乗客コンベアを、移動方向に沿って、前記乗客コンベアの乗降口側の1つ又は複数のステップを含む乗降部と、前記乗降部に挟まれた中間部と、に区分するとした場合、前記乗降部に位置する前記ステップの踏板の表面に、デマケーションラインを投影する第4の投影手段、
を備える乗客コンベアの表示装置。
(付記12)
前記中間部の前記移動通路に映像を投影する第5の投影手段を備え、
前記第5の投影手段の投影領域は、前記中間部に位置する前記ステップの表面と、前記複数のステップの幅方向両側に設けられたスカートガードの前記中間部に位置する部分の表面と、を含む、
付記11に記載の乗客コンベアの表示装置。
【0069】
なお、以上の実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この開示の乗客コンベアの表示装置が限定されるものではない。また、この実施の形態において説明する構造は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、必ずしも必須のものではない。
【符号の説明】
【0070】
100、200、300、400 乗客コンベア、 101 乗降部、 102 傾斜部、1 センサ、 2 カメラ、 3 傾斜部投影機、 3A、3B、3C 映像、 4 制御装置、 7 乗場投影機、 7A 投影領域、 8 傾斜部センサ、 9 スピーカー、 10 ステップ、 11 踏板、 11A デマケーションライン、 12 ライザ、 13 欄干、 14 スカートガード、 14A スカートガードパネル、 14B スモークガラス、 14C インレットガード、 15 モータ、 16 スカートガードブラシ、 17 乗場投影機、 17A デマケーションライン、 20 乗場床、 A 乗客
【要約】
【課題】乗客コンベア内における乗客の歩行を抑制する。
【解決手段】 本開示に係る乗客コンベアの表示装置は、乗客コンベアの移動通路に配置された複数のステップそれぞれの踏板の外周部に設けられたデマケーションラインの視認性を低下させる映像を投影する第1の投影手段を備え、乗客コンベアを移動方向に沿って、乗客コンベアの乗降口側の1つ又は複数のステップを含む乗降部と、乗降部に挟まれた中間部と、に区分するとした場合、第1の投影手段による視認性を低下させる映像の投影領域は、中間部に位置するステップの表面と、複数のステップの幅方向両側に設けられたスカートガードの中間部に位置する部分の表面と、を含む。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9