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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】時間同期方法及び時間同期デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
H04L7/00 990
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2024053903
(22)【出願日】2024-03-28
【審査請求日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】63/544,644
(32)【優先日】2023-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/429,451
(32)【優先日】2024-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506080739
【氏名又は名称】四零四科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Moxa Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】呂 懿峯
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 建宇
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲啓▼全
(72)【発明者】
【氏名】林 柏宏
(72)【発明者】
【氏名】劉 厚辰
【審査官】吉江 一明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0095153(US,A1)
【文献】山形 佳祐 他,プロファイル変換を用いた複数時刻同期プロファイル配信方式の提案,電子情報通信学会2022年通信ソサイエティ大会講演論文集2,2022年08月23日,p.73
【文献】山形 佳祐 他,複数時刻同期プロファイルの配信方式についての検討,電子情報通信学会2022年総合大会講演論文集 通信2,2022年03月01日,p.143
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間同期デバイスのために使用される時間同期方法であって、前記時間同期デバイスは、複数の高精度時間プロトコル(PTP)インスタンスを実行して、複数のポートを通じて複数の時間同期ドメインに接続し、当該時間同期方法は、
前記複数の時間同期ドメインからグランドマスター(GM)クロックを取得するステップと、
前記グランドマスタークロックのクロック情報を更新するステップと、
前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかを決定するステップと、
対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々のクロック属性を修正するステップと、
前記複数のPTPインスタンスによって、前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数の時間同期ドメインのタイミングを同期させるステップと、を含む、
時間同期方法。
【請求項2】
前記複数の時間同期ドメインは、異なるタイプのPTPプロファイルを使用する、請求項1に記載の時間同期方法。
【請求項3】
前記複数のPTPインスタンスの各々は、前記時間同期ドメインに対応する同じタイプのPTPプロファイルを使用する、請求項2に記載の時間同期方法。
【請求項4】
前記複数の時間同期ドメインから前記グランドマスタークロックを取得する前記ステップは、前記複数の時間同期ドメインの各々の最適なクロックから前記グランドマスタークロックを選択するステップであり、前記複数の時間同期ドメインの各々の前記最適なクロックは、最良のマスタークロックアルゴリズム(BMCA)にしたがって決定される、請求項1に記載の時間同期方法。
【請求項5】
前記グランドマスタークロックは、前記複数の時間同期ドメインの各々の前記最適なクロックの優先度ベクトルを比較することによって選択される、請求項4に記載の時間同期方法。
【請求項6】
前記クロック属性は、少なくとも、クロック識別情報(ID)を含む、請求項1に記載の時間同期方法。
【請求項7】
前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかを決定する前記ステップは、
前記時間同期デバイスのクロックが前記グランドマスタークロックであるときに、前記複数のポートの各々が前記時間送信ポートであると決定するステップを含む、請求項1に記載の時間同期方法。
【請求項8】
前記対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を修正する前記ステップは、
前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の元のクロック属性を維持するステップを含む、請求項7に記載の時間同期方法。
【請求項9】
前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかを決定する前記ステップは、
1ステップモードで動作するときに、第1のポートが前記グランドマスタークロックに関連するPTP Syncメッセージを受信することに応答して、前記複数のポートのうちの前記第1のポートが前記時間受信ポートであると決定し、且つ、前記複数のポートのうちの他のポートが前記時間送信ポートであると決定するステップ、及び、
2ステップモードで動作するときに、第1のポートが前記グランドマスタークロックに関連するPTP Syncメッセージ及びPTP Follow_upメッセージを受信することに応答して、前記複数のポートのうちの前記第1のポートが前記時間受信ポートであると決定し、且つ、前記複数のポートのうちの他のポートが前記時間送信ポートであると決定するステップ、を含む、請求項1に記載の時間同期方法。
【請求項10】
前記対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を修正する前記ステップは、
前記グランドマスタークロックの前記クロック属性を使用して、前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を更新するステップと、
前記時間受信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の元のクロック属性を維持するステップと、を含む、請求項9に記載の時間同期方法。
【請求項11】
前記グランドマスタークロックは、外部で決定され、前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかを決定する前記ステップにおける決定は、外部ポート構成方法にしたがって実行される、請求項1に記載の時間同期方法。
【請求項12】
前記対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を修正する前記ステップは、
前記グランドマスタークロックの前記クロック属性を使用して、前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を更新するステップと、
前記時間受信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の元のクロック属性を維持するステップと、を含む、請求項11に記載の時間同期方法。
【請求項13】
前記複数のPTPインスタンスが、前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数の時間同期ドメインのタイミングを同期させる前記ステップは、
前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々によって、前記対応する時間同期ドメインに、前記グランドマスタークロックの前記クロック属性を有するPTPメッセージを送信するステップを含む、請求項1に記載の時間同期方法。
【請求項14】
前記PTPメッセージのうちで、
PTP Syncメッセージ及びPTP Follow_upメッセージの中のcorrectionField、
PTP Syncメッセージ及びPTP Follow_upメッセージの中のcumulativeRateRatio、
PTP告知メッセージの中のlocalStepsRemoved、及び、
PTP告知メッセージの中のpathTrace、
のフィールドのうちの少なくとも1つを修正するステップをさらに含む、請求項13に記載の時間同期方法。
【請求項15】
複数の高精度時間プロトコル(PTP)インスタンスを実行して、複数のポートを通じて複数の時間同期ドメインに接続するように構成される時間同期デバイスであって、当該時間同期デバイスは、
プログラムコードを実行するように構成される処理ユニットと、
前記処理ユニットに結合されて、前記プログラムコードを格納するように構成される記憶ユニットであって、前記プログラムコードは、時間同期方法を実行するように前記処理ユニットに指示する、記憶ユニットと、を含み、
前記時間同期方法は、
前記複数の時間同期ドメインからグランドマスター(GM)クロックを取得するステップと、
前記グランドマスタークロックのクロック情報を更新するステップと、
前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかを決定するステップと、
対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々のクロック属性を修正するステップと、
前記複数のPTPインスタンスによって、前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数の時間同期ドメインのタイミングを同期させるステップと、を含む、
時間同期デバイス。
【請求項16】
前記複数の時間同期ドメインは、異なるタイプのPTPプロファイルを使用する、請求項15に記載の時間同期デバイス。
【請求項17】
前記複数のPTPインスタンスの各々は、前記時間同期ドメインに対応する同じタイプのPTPプロファイルを使用する、請求項16に記載の時間同期デバイス。
【請求項18】
前記複数の時間同期ドメインから前記グランドマスタークロックを取得する前記ステップは、前記複数の時間同期ドメインの各々の最適なクロックから前記グランドマスタークロックを選択するステップであり、前記複数の時間同期ドメインの各々の前記最適なクロックは、最良のマスタークロックアルゴリズム(BMCA)にしたがって決定される、請求項15に記載の時間同期デバイス。
【請求項19】
前記グランドマスタークロックは、前記複数の時間同期ドメインの各々の前記最適なクロックの優先度ベクトルを比較することによって選択される、請求項18に記載の時間同期デバイス。
【請求項20】
前記クロック属性は、少なくとも、クロック識別情報(ID)を含む、請求項15に記載の時間同期デバイス。
【請求項21】
前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかを決定する前記ステップは、
当該時間同期デバイスのクロックが前記グランドマスタークロックであるときに、前記複数のポートの各々が前記時間送信ポートであると決定するステップを含む、請求項15に記載の時間同期デバイス。
【請求項22】
前記対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を修正する前記ステップは、
前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の元のクロック属性を維持するステップを含む、請求項20に記載の時間同期デバイス。
【請求項23】
前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかを決定する前記ステップは、
1ステップモードで動作するときに、第1のポートが前記グランドマスタークロックに関連するPTP Syncメッセージを受信することに応答して、前記複数のポートのうちの前記第1のポートが前記時間受信ポートであると決定し、且つ、前記複数のポートのうちの他のポートが前記時間送信ポートであると決定するステップ、及び、
2ステップモードで動作するときに、第1のポートが前記グランドマスタークロックに関連するPTP Syncメッセージ及びPTP Follow_upメッセージを受信することに応答して、前記複数のポートのうちの前記第1のポートが前記時間受信ポートであると決定し、且つ、前記複数のポートのうちの他のポートが前記時間送信ポートであると決定するステップ、を含む、請求項15に記載の時間同期デバイス。
【請求項24】
前記対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を修正する前記ステップは、
前記グランドマスタークロックの前記クロック属性を使用して、前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を更新するステップと、
前記時間受信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の元のクロック属性を維持するステップと、を含む、請求項23に記載の時間同期デバイス。
【請求項25】
前記グランドマスタークロックは、外部で決定され、前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数のポートの各々が前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかを決定する前記ステップにおける決定は、外部ポート構成方法にしたがって実行される、請求項15に記載の時間同期デバイス。
【請求項26】
前記対応するポートが前記時間受信ポートであるか又は前記時間送信ポートであるかにしたがって、前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を修正する前記ステップは、
前記グランドマスタークロックの前記クロック属性を使用して、前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の前記クロック属性を更新するステップと、
前記時間受信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々の元のクロック属性を維持するステップと、を含む、請求項25に記載の時間同期デバイス。
【請求項27】
前記複数のPTPインスタンスが、前記グランドマスタークロックにしたがって、前記複数の時間同期ドメインのタイミングを同期させる前記ステップは、
前記時間送信ポートに対応する前記複数のPTPインスタンスの各々によって、前記対応する時間同期ドメインに、前記グランドマスタークロックの前記クロック属性を有するPTPメッセージを送信するステップを含む、請求項15に記載の時間同期デバイス。
【請求項28】
前記時間同期方法は、前記PTPメッセージのうちで、
PTP Syncメッセージ及びPTP Follow_upメッセージの中のcorrectionField、
PTP Syncメッセージ及びPTP Follow_upメッセージの中のcumulativeRateRatio、
PTP告知メッセージの中のlocalStepsRemoved、及び、
PTP告知メッセージの中のpathTrace、
のフィールドのうちの少なくとも1つを修正するステップをさらに含む、請求項27に記載の時間同期デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
この出願は、2023年10月18日付けで出願された米国仮出願第63/544,644号に基づく優先権を主張する。その米国仮出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、時間同期(time synchronization)のための方法及びデバイスに関し、より具体的には、複数の時間同期ネットワークドメイン(multiple time synchronization network domains)における時間同期のための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
高精度時間プロトコル(Precision Time Protocol (PTP))は、IEEE 1588が定義する時間同期のための規格であり、タイムクリティカルなネットワーク全体で高精度の時間同期を達成するのに使用される。市場の発展に伴って、複数の異なるネットワークアプリケーションは、固有の要件(unique requirements)を有する。これに対処するために、数多くの異なるPTPプロファイルが、電力ネットワーク(power networks)のための電力プロファイル(Power Profile)(IEEE Std C37.238)、通信ネットワークのための通信プロファイル(Telecom Profile)(ITU-T G.8265.1)、及び、一般化されている高精度時間プロトコル(Generalized Precision Time Protocol)(gPTP, IEEE Std 802.1AS)等の複数の異なるアプリケーションのために提案されている。PTPプロファイルは、複数の異なる分野におけるアプリケーションが、要件を満たす特定の操作パラメータ、属性、及びデフォルトの値を設定することを可能とする。一方で、このことは、複数の異なるPTPプロファイルを使用するデバイス及びネットワークが効果的に通信することを困難にする場合がある。一般的に、時間同期を保証するために、同じ環境の中の装置又はデバイスは、同じPTPプロファイルを使用する必要があり、ドメイン間の時間統一(cross-domain time integration)を困難にさせる。
【0004】
従来の技術は、時間ゲートウェイ(time gateway)によって複数のタイプのPTPプロファイルを統合し(integrates)、それによって、複数の異なるタイプのPTPプロファイルを使用するデバイス又は複数の異なる時間同期ドメイン(different time synchronization domains)は、それらのデバイス又は時間同期ドメインのある1つのグランドマスター(GM)クロック(one grandmaster clock)にしたがって時間を同期させてもよい。したがって、複数の異なるタイプのPTPプロファイルを使用して、複数の時間同期ドメインの間で時間同期を達成する。
【0005】
しかしながら、時間同期を実行するときに、さまざまなプロファイル又はマシンは、複数の異なる検証メカニズム(different verification mechanisms)を採用する場合がある。このようにして、複数の異なるタイプのPTPプロファイルを使用する複数のネットワークドメインを横断する時間同期(time synchronization across network domains)の際に、時間同期方法は、複数の異なる検証メカニズムが原因となって、円滑には動作しない場合がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は、複数の異なるタイプのPTPプロファイルを使用する複数のネットワークドメイン又は複数のデバイスの間で時間を同期させる(synchronizing time across multiple devices or network domains)ときに、首尾よく検証メカニズムを通過する(successfully passing the verification mechanism)方法及びデバイスを提供して、従来技術の欠点を克服する。
【0007】
本発明のある1つの実施形態は、時間同期デバイスのための時間同期方法を開示し、その時間同期デバイスは、複数の高精度時間プロトコル(Precision Time Protocol (PTP))インスタンスを実行して、複数のポートを介して複数の時間同期ドメイン(time synchronization domains)に接続する。その時間同期方法は、それらの複数の時間同期ドメインからグランドマスター(GM)クロック(a grandmaster clock)を取得するステップと、そのグランドマスタークロックのクロック情報(clock information)を更新するステップと、そのグランドマスタークロックにしたがって、それらの複数のポートの各々が時間受信ポート(time receiving port)であるか又は時間送信ポート(time transmitting port)であるかを決定するステップと、その対応するポートが時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかにしたがって、複数のPTPインスタンスの各々のクロック属性を修正する(modifying clock attributes)ステップと、それらの複数のPTPインスタンスによって、グランドマスタークロックにしたがって複数の時間同期ドメインのタイミングを同期させる(synchronizing timings)ステップと、を含む。
【0008】
本発明のある1つの実施形態は、さらに、時間同期デバイスを開示する。その時間同期デバイスは、複数のPTPインスタンスを実行して、複数のポートを介して複数の時間同期ドメインに接続するように構成され、処理ユニット及び記憶ユニットを含む。処理ユニットは、プログラムコードを実行するように構成される。記憶ユニットは、その処理ユニットに結合されて、プログラムコードを格納するように構成され、そのプログラムコードは、時間同期方法を実行するように処理ユニットに指示する。その時間同期方法は、複数の時間同期ドメイン(time synchronization domains)からグランドマスタークロック(grandmaster clock)を取得するステップと、そのグランドマスタークロックのクロック情報(clock information)を更新するステップと、そのグランドマスタークロックにしたがって、それらの複数のポートの各々が時間受信ポート(time receiving port)であるか又は時間送信ポート(time transmitting port)であるかを決定するステップと、その対応するポートが時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかにしたがって、それらの複数のPTPインスタンスの各々のクロック属性を修正する(modifying clock attributes)ステップと、それらの複数のPTPインスタンスによって、グランドマスタークロックにしたがって、複数の時間同期ドメインのタイミングを同期させるステップと、を含む。
【0009】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、さまざまな図表及び図面に図示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者にとって明らかになることは疑いないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ネットワークシステムの概略的な図である。
図2】本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期ネットワークシステムの概略的な図である。
図3】本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期ネットワークシステムの概略的な図である。
図4】本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期プロセスの概略的な図である。
図5A】本発明のある1つの実施形態にしたがったある1つの時間同期デバイスを有する時間同期ネットワークシステムの概略的な図である。
図5B】本発明のある1つの実施形態にしたがったある1つの時間同期デバイスを有する時間同期ネットワークシステムの概略的な図である。
図6A】本発明のある1つの実施形態にしたがった2つの時間同期デバイスを有する時間同期ネットワークシステムの概略的な図である。
図6B】本発明のある1つの実施形態にしたがった2つの時間同期デバイスを有する時間同期ネットワークシステムの概略的な図である。
図7】本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期デバイスの時間と同期するための時間同期ネットワークシステムの概略的な図である。
図8】本発明のある1つの実施形態にしたがったネットワークデバイスの概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特定の語は、特定の構成要素を指すように、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される。当業者が理解するように、ハードウェア製造業者は、複数の異なる名称によってある1つの構成要素を指してもよい。この明細書は、名称が異なるが機能は異なってはいない複数の構成要素を区別することを意図してはいない。以下の説明及び特許請求の範囲において、"含む(include)"及び"含む(comprise)"の語は、制約のない方法で使用され、したがって、"これらには限定されないが、~を含む"を意味するように解釈されるべきである。
【0012】
図1を参照すると、図1は、ネットワークシステム1の概略的な図である。そのネットワークシステム1は、時間同期ドメイン(time synchronization domains)12_1,…,12_3を含み、各々の時間同期ドメインは、有線ネットワーク、無線ネットワーク、又は、それらの有線ネットワーク及び無線ネットワークの組み合わせから構成されるネットワークドメイン(network domain)であってもよく、(複数のクロックを含む)複数のデバイス及びネットワークスイッチ等から構成されるネットワークドメインであってもよく、(1つのクロックを含むにすぎない)単一のデバイスのみから構成されるネットワークドメインであってもよい。時間同期ドメイン12_1,…,12_3は、それぞれ、複数の異なるタイプの高精度時間プロトコル(Precision Time Protocol (PTP))プロファイルA~Cの仕様(specifications)にしたがって動作する時間同期ドメインである。PTPプロファイルA~Cは、これらには限定されないが、通信プロファイル(Telecom Profile)、電力プロファイル(Power Profile)、gPTP等であってもよい。
【0013】
時間同期ドメイン12_1,…,12_3は、複数の異なるPTPプロファイルA~Cにしたがって、時間同期メカニズムを動作させるので、一般的に、時間同期のためのドメイン間の統一(cross-domain integration for time synchronization)を実行することは不可能であるということに留意するべきである。この状況においては、各々の時間同期ドメインは、各々の時間同期ドメインのグランドマスター(GM)クロック(grandmaster clock)として動作する(図1における最適なクロック14_1,…,14_3等の)最適なクロック(optimal clock)を有する場合がある。言い換えると、同じネットワークドメインに属する複数のデバイスは、それらの複数のデバイスが属するネットワークドメインのグランドマスタークロックにしたがって時間同期を実行する。その最適なクロックは、最も理想的なクロック(the most ideal clock)を指し、その最も理想的なクロックは、時間ソース(time source)、時間精度(time accuracy)、発振器の安定性(oscillator stability)等の要因(factors)に基づいて評価されるとともにある特定の時間同期ドメインに適しており、その最適なクロックは、また、ユーザがある特定の時間同期ドメインに最も適していると決定するクロックであってもよい。この状況においては、ある製造業者があるネットワークドメインの中で新たなデバイスを置き換え又は追加することを意図しているときに、その新たなデバイスは、そのネットワークドメインが使用するPTPプロファイルとの間で互換性を有している必要があり(must be compatible with)、あるデバイス製造業者がそのデバイスを開発するときに、複数の異なるタイプのPTPプロファイルについて、個別に、カスタマイズ及び調整を実行して、複数の異なる分野において適用可能とする必要があり、そのネットワークドメインが他の特定の時間同期ドメインと統一される必要がある(needs to integrate with other specific time synchronization domains)ときに、それらの複数の装置及びネットワークデバイスのすべてのための更新は、一般化されている高精度時間プロトコル(generalized Precision Time Protocol (gPTP))プロファイルとの間で互換性を有するようにする必要がある場合がある(may be required to be compatible with)。
【0014】
上記の問題に対処するために、従来技術は、時間同期デバイスによって複数のタイプのPTPプロファイルを統一し(integrates multiple types of PTP profiles)、それによって、複数の異なるタイプのPTPプロファイルを使用する複数の異なる時間同期ドメイン又は複数の異なるデバイスは、それらの複数の異なる時間同期ドメイン又は複数の異なるデバイスのグランドマスター(GM)クロックにしたがって時間を同期させてもよく、ドメイン間の時間同期を実現する。
【0015】
図2を参照すると、図2は、本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期ネットワークシステム2の概略的な図である。その時間同期ネットワークシステム2は、時間同期ドメイン12_1,…,12_3及び時間同期デバイス10を含む。時間同期デバイス10は、これらには限定されないが、ネットワークの中で動作するゲートウェイ、スイッチ、ルータ、又はブリッジ等のネットワークデバイスであってもよい。時間同期デバイス10は、それぞれ、ポート16_1,…,16_3を介して時間同期ドメイン12_1,…,12_3に接続される。時間同期ネットワークシステム2において、時間同期ドメイン12_1,…,12_3は、時間同期デバイス10によって時間を同期させてもよく、それによって、それらの時間同期ドメイン12_1,…,12_3の中の複数の装置及び複数のデバイスのすべては、時間同期ドメイン12_1,…,12_3のうちのある1つの時間同期ドメインの最適なクロックにしたがって同期されてもよい。時間同期ネットワークシステム2において、時間同期ドメイン12_1,…,12_3の数は、例示のため3となっているということに留意するべきである。本発明のある1つの実施形態の時間同期デバイス10は、これらには限定されないが、時間を同期させるための任意の数の時間同期ドメインに適用されてもよい。
【0016】
図2に示されているように、時間同期ドメイン12_1,…,12_3の中の複数の装置及び複数のデバイスのすべては、これらには限定されないが、(グランドマスタークロックとして)PTPプロファイルAを使用する時間同期ドメイン12_1の最適なクロック(optimal clock)14_1との間で時間を同期させてもよい。例えば、図3に示されているように、時間同期ドメイン12_1,…,12_3の中の複数の装置及び複数のデバイスのすべては、また、PTPプロファイルBを使用する時間同期ドメイン12_2の最適なクロック14_2又は(図示されていない)PTPプロファイルCを使用する時間同期ドメイン12_3の最適なクロック14_3との間で時間を同期させてもよい。時間同期ネットワークシステム2のグランドマスタークロックは、手動で指定されてもよく、又は、各々の時間同期ドメイン12_1,…,12_3から受信するPTP告知メッセージ(PTP Announce message)の中の各々のクロックの能力情報(capability information)の比較によって、時間同期デバイス10によって自動的に決定されてもよいということに留意するべきである。例えば、クロックの能力情報は、これらには限定されないが、だいたい、timePropertiesDS(時間特性パラメータデータセット(Time Properties Parameter Data Set))、parentDS(親パラメータデータセット(Parent Parameter Data Set))、対応する優先度ベクトル(時間同期スパニングツリー優先度ベクトル(Time-synchronization Spanning Tree Priority Vector))等のパラメータである。この実施形態において、グランドマスタークロック14_1が故障する(fails)ときに、時間同期デバイス10は、直ちに、時間同期ドメイン12_1の最適なクロック14_2及び14_3、又は、他のクロックから新たなグランドマスタークロックを決定して、時間同期を維持してもよい。
【0017】
この実施形態において、時間同期デバイス10は、それぞれ、ポート16_1,…,16_3についてPTPインスタンス18_1,…,18_3を構築して(builds)、時間同期ドメイン12_1,…,12_3についての時間同期を処理する(process)。PTPインスタンス18_1,…,18_3のうちの各々のPTPインスタンスは、対応するポートが接続する時間同期ドメインに対応する同じタイプのPTPプロファイル(the same type of PTP profile corresponding to the time synchronization domain connected by the corresponding port)を使用する必要がある。例えば、ポート16_1のためのPTPインスタンス18_1は、PTPプロファイルAを使用して、時間同期ドメイン12_1との間で通信し、ポート16_2のためのPTPインスタンス18_2は、PTPプロファイルBを使用して、時間同期ドメイン12_2との間で通信し、ポート16_3のためのPTPインスタンス18_3は、PTPプロファイルCを使用して、時間同期ドメイン12_3との間で通信する。したがって、PTPインスタンス18_1,…,18_3の各々は、対応するPTPプロファイルA~Cにしたがって、時間同期デバイス10と時間同期ドメイン12_1,…,12_3との間の通信媒体として機能し(serves as a communication medium)、時間同期デバイス10は、接続される時間同期ドメイン12_1,…,12_3との間でPTPメッセージを交換する(exchanging PTP messages)ことが可能である。言い換えると、PTPインスタンス18_1,…,18_3の各々は、対応する時間同期ドメインが使用するPTPプロファイルにしたがって動作し(operates)、対応する時間同期ドメインの1つのノードとして実行される(runs)。
【0018】
ある1つの例として、図2における時間同期ネットワークシステム2を考慮する。具体的には、その時間同期ネットワークシステム2の中の複数のデバイス及び複数の装置のすべては、グランドマスタークロック14_1との間で時間を同期させる。ポート16_1は、クロック属性(clock attributes)及び時間等のクロック情報(clock information)を受信するための時間受信ポート(time receiving port)であり、PTPの仕様にしたがって(Sとして印を付されている)SlavePortとなるように設定されるポート状態(portState)を有し、ポート16_2及び16_3は、クロック属性及び時間等のクロック情報を送信するための時間送信ポート(time transmitting ports)であり、(Mとして印を付されている)MasterPortとなるように設定されるポート状態(portState)を有する。時間同期デバイス10は、ポート16_1を介して、グランドマスタークロック14_1に関するPTPメッセージを受信し、そして、PTPインスタンス18_1を使用してそれらのPTPメッセージを処理する。PTPインスタンス18_1からグランドマスタークロック14_1のクロック情報を取得した後に、時間同期デバイス10は、PTPプロファイルB及びCにしたがって、クロック情報に対して情報変換を実行する(performs information conversion on the clock information)。その次に、PTPインスタンス18_2及び18_3は、それぞれ、PTPプロファイルB及びCにしたがって、ポート16_2及び16_3を通じて、時間同期ドメイン12_2及び12_3にクロック情報を送信する。したがって、時間同期ドメイン12_2及び12_3のデバイスは、グランドマスタークロック14_1のクロック情報を受信して、時間同期ネットワークシステム2のための時間同期を実現してもよい。
【0019】
実際には、さまざまな製造業者が生産するデバイス及び複数の異なるタイプのPTPプロファイルを使用するデバイスは、時間同期を実行するときに、複数の異なる検証メカニズムを使用してもよい。それらの検証メカニズムが異なることが原因となって、クロック情報を搬送するPTPメッセージは拒否される場合があり、このようにして、時間同期の動作には成功しない場合がある(the time synchronization may not be operated successfully)。したがって、本発明の上記の実施形態における時間同期デバイス10は、時間同期方法にしたがって、仮想的なグランドマスタークロック(virtual grandmaster clock)として動作し、それによって、時間同期ネットワークシステム2の中の複数のデバイスのすべては、同じ時間同期ドメインの中で動作するグランドマスタークロックであると時間同期デバイス10を考えてもよい(may regard the time synchronization device 10 as a grandmaster clock)。その時間同期方法は、要約されて、図4に示されている時間同期プロセス40となってもよい。時間同期プロセス40は、以下のステップを含む。
【0020】
ステップ400: 開始する。
【0021】
ステップ402: 複数の時間同期ドメインからグランドマスタークロックを取得する。
【0022】
ステップ404: グランドマスタークロックのクロック情報を更新する。
【0023】
ステップ406: グランドマスタークロックにしたがって、複数のポートの各々が時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかを決定する。そのポートが時間送信ポートである場合には、ステップ408に進み、そのポートが時間送信ポートでない場合には、ステップ410に進む。
【0024】
ステップ408: グランドマスタークロックのクロック属性を使用して、そのポートに対応するPTPインスタンスのクロック属性を更新する。
【0025】
ステップ410: そのポートに対応するPTPインスタンスの元のクロック属性を維持する(Keep the original clock attributes)。
【0026】
ステップ412: 時間同期を実行する。
【0027】
ステップ414: グランドマスタークロックへの接続が切断されているか否かを決定する。"グランドマスタークロックへの接続が切断されている"場合には、ステップ418に進み、"グランドマスタークロックへの接続が切断されていない"場合には、ステップ416に進む。
【0028】
ステップ416: より良好なクロック情報を受信しているか否かを決定する。"より良好なクロック情報を受信している"場合には、ステップ418に進み、"より良好なクロック情報を受信していない"場合には、ステップ412に進む。
【0029】
ステップ418: 他のポートに対応するPTPインスタンスをリセットする。
【0030】
時間同期プロセス40によれば、時間同期デバイス10は、最初に、時間同期ネットワークシステム2の時間同期ドメイン12_1,…,12-3から新たなグランドマスタークロックを決定し(ステップ402)、そして、その次に、そのグランドマスタークロックのクロック識別情報(ID)(clockIdentity)を含むグランドマスタークロックのクロック情報を更新する(ステップ404)。次に、時間同期デバイス10は、ポート16_1,…,16_3の各々のポートを1つずつ検査して(checks each port of the ports 16_1,…,16_3 one by one)、そのポートが時間受信ポートであるか又は時間送信ポートあるかを決定する(ステップ406)。そのポートが時間受信ポートである場合には、対応するPTPインスタンスは、元のクロック属性(keep the original clock attributes)を維持してもよく(ステップ410)、そのポートが時間送信ポートである場合には、時間同期デバイス10は、グランドマスタークロックのクロック情報を使用して、対応するPTPインスタンスのクロック属性を更新してもよい(ステップ408)。最後に、時間同期デバイス10は、時間同期を実行し(ステップ412)、グランドマスタークロックの接続のモニタリングを継続する(keeps monitoring the connection)(ステップ414)。グランドマスタークロックへの接続が切断されている場合には、時間同期デバイス10は、PTPインスタンスをリセットし(ステップ418)、時間同期ネットワークシステム2のための新たなグランドマスタークロックを再選択する(ステップ402)。それらの処理の際に、PTPインスタンス18_1,…,18_3は、継続的に、PTPメッセージをリッスンする(continuously listen to the PTP messages)。それらのPTPインスタンスのうちの1つが、対応する最適なクロックよりもより良好である新たなクロックを有するPTP告知メッセージ(PTP Announce message)を受信する(one of the PTP instances receives a PTP Announce message with a new clock better than the corresponding optimal clock)場合には(ステップ416)、時間同期デバイス10は、他のPTPインスタンスをリセットしてもよく(ステップ418)、時間同期ネットワークシステム2のための新たなグランドマスタークロックを再選択する(ステップ402)。したがって、時間同期デバイス10は、時間同期ネットワークシステム2の中の複数のデバイスのうちのすべての時間を統一する(integrates the time)。
【0031】
図2を参照して、時間同期デバイス10は、ステップ402において、時間同期ドメイン12_1の最適なクロック14_1がグランドマスタークロックであると決定し、そして、その次に、ステップ404において、グランドマスタークロック14_1のクロック情報を使用して、グランドマスタークロック20のクロック情報を更新する。その次に、時間同期デバイス10は、ステップ406において、ポート16_1,…,16_3の各々のポートを1つずつ検査し、そして、ポート16_1が時間受信ポートであり、ポート16_2及びポート16_3が時間送信ポートであるということを決定する。ステップ408及び410にしたがって、時間同期デバイス10は、グランドマスタークロック14_1のクロック属性を使用して、PTPインスタンス18_2及び18_3のクロック属性を更新し、PTPインスタンス18_1の元のクロック属性(original clock attributes)を維持する。最後に、PTPインスタンス18_1,…,18_3は、グランドマスタークロック14_1にしたがって、時間同期ドメイン12_1,…,12_3のタイミングを同期させる。グランドマスタークロック14_1が切断されている場合には、時間同期デバイス10は、ステップ418において、PTPインスタンス18_1,…,18_3の情報をリセットしてもよく、ステップ402で、図3における最適なクロック14_2等の新たなグランドマスタークロックを再選択してもよいということに留意するべきである。加えて、それらのPTPインスタンス18_1,…,18_3のうちの1つのPTPインスタンスが、対応する最適なクロック14_1,…,14_3よりもより良好であるクロックを有するPTP告知メッセージを受信する(one of the PTP instances 18_1,…,18_3 receives a PTP Announce message with a clock better than the corresponding optimal clocks 14_1,…,14_3)場合に、時間同期デバイス10は、ステップ418において、他のPTPインスタンスをリセットしてもよく、そして、再び、新たなグランドマスタークロックを再選択してもよい。
【0032】
時間同期プロセス40にしたがって、ステップ402において、時間同期デバイス10は、時間同期ドメイン12_1,…,12_3からグランドマスタークロックを取得する。具体的には、時間同期デバイス10は、クロックの優先度ベクトル(priority vectors of the clocks)を比較することによって、最適なクロック14_1,…,14_3からグランドマスタークロックを選択してもよく、最適なクロック14_1,…,14_3は、最良のマスタークロックアルゴリズム(best master clock algorithm (BMCA))にしたがって決定されるか又は手動で指定される。クロックの優先度ベクトルは、クロック情報の中に含まれ、PTPメッセージを介してPTPインスタンス18_1,…,18_3によって受信される。時間同期デバイス10は、最適なクロック14_1,…,14_3のうちで最良のクロックがグランドマスタークロックであると決定する(determines a best clock among the optimal clocks 14_1,…,14_3 to be the grandmaster clock)。
【0033】
ステップ404において、時間同期デバイス10は、グランドマスタークロック14_1のクロック情報を使用して、グランドマスタークロック20のクロック情報を更新する。クロック情報は、これらには限定されないが、上記で言及されている能力情報、時間、クロックIDを含む。時間同期デバイス10は、複数の異なるPTPプロファイルにしたがって、グランドマスタークロック14_1のクロック情報に対して情報変換を実行してもよい。例えば、グランドマスタークロック14_1のクロック情報は、PTPプロファイルB及びCのフォーマットにしたがうように変換されてもよく(may be converted to comply with the format)、それぞれ、PTPインスタンス18_2及び18_3に渡されてもよい。
【0034】
ステップ406において、時間同期デバイス10は、受信しているPTPメッセージにしたがって、それらの複数のポートの各々が時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかを決定する。具体的には、PTP規格は、1ステップモード(one-step mode)及び2ステップモード(two-step mode)の2つの操作モードをサポートする。1ステップモードにおいては、送信タイムスタンプは、時間的に更新され(updated in time)、空中で同期メッセージの中で搬送され(carried in the sync message on the fly)、1ステップモードは、ハードウェアベースの方法であり、より少ないメッセージを必要とする。2ステップモードにおいては、同期メッセージに加えて、先行するメッセージ(preceding message)の送信時刻を含む追加的な追随メッセージ(additional follow-up message)を送信し、2ステップモードは、ソフトウェアによって開始される方法である。この実施形態においては、1ステップモード及び2ステップモードの双方が適用可能である。この実施形態においては、1ステップモードで動作している間に、PTPメッセージSyncを受信するポートが時間受信ポートであると決定し、そのように決定しない場合には、そのポートが時間送信ポートであると決定する。これに対して、2ステップモードで動作している間に、PTPメッセージSync又はPTPメッセージFollow_Upを受信するポートが時間受信ポートであると決定し、そのように決定しない場合には、そのポートが時間送信ポートであると決定する。したがって、ポート16_1は、時間同期ドメイン12_1から、1ステップモードにおける同期メッセージを受信するか、或いは、ポート16_1は、時間同期ドメイン12_1から、2ステップモードにおける同期メッセージ又はFollow_Upメッセージを受信するので、ポート16_1は、時間受信ポートであり、ポート16_2及び16_3は、時間送信ポートである。
【0035】
ステップ408及びステップ410において、時間同期デバイス10は、対応するポートが時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかにしたがって、PTPインスタンス18_1,…,18_3の各々のPTPインスタンスのクロック属性を修正する。時間同期デバイス10は、グランドマスタークロック14_1のクロック属性を使用して、時間送信ポート16_2及び16_3に対応するPTPインスタンス18_2及び18_3のクロックID等のクロック属性を更新し、それにより、PTPインスタンス18_2及び18_3は、時間送信ポート16_2及び16_3を介して、グランドマスタークロック14_1のクロックID等のクロック属性を有するPTPメッセージを送信してもよい。言い換えると、PTPインスタンス18_2及び18_3が送信するPTPメッセージは、グランドマスタークロック14_1が送信するPTPメッセージと同様であり、時間同期デバイス10は、時間同期ドメイン12_2及び12_3の中の複数のデバイスのためのグランドマスタークロックであると考えられてもよい。加えて、対応するポート16_1は、グランドマスタークロック14_1のクロック情報を受信する役割を担う時間受信ポートであるので、PTPインスタンス18_1のクロック属性を維持してもよい。
【0036】
ステップ412において、時間同期デバイス10は、時間同期を実行する。具体的には、時間送信ポート16_2及び16_3に対応するPTPインスタンス18_2及び18_3は、時間受信ポート16_1に対応するPTPインスタンス18_1から取得されるグランドマスタークロック14_1のクロック情報を使用して、PTPメッセージを送信してもよい。クロック情報は、それぞれ、PTPプロファイルB及びCにしたがって、時間同期デバイス10によって変換され、したがって、時間同期ドメイン12_2及び12_3で利用可能となる。
【0037】
上記で言及されているように、時間同期デバイス10は、複数の異なるPTPプロファイルを使用して、3つの時間同期ドメイン12_1,…,12_3を接続し、時間同期デバイス10は、時間同期ドメイン12_1のグランドマスタークロック14_1から情報を受信し、時間同期ドメイン12_2及び12_3においてグランドマスタークロックの役割を果たす。時間同期デバイス10は、時間同期ドメイン12_2及び12_3のための仮想的なグランドマスタークロックとして、クロックID等のグランドマスタークロック14_1の情報を使用して、PTPメッセージを送信してもよく、それによって、時間同期ドメイン12_2及び12_3の中の複数のデバイスは、時間同期デバイス10がグランドマスタークロック14_1であると考えてもよく、そのグランドマスタークロック14_1との間で時間を同期させてもよい。さらに、時間同期デバイス10は、さらに、PTPメッセージの中の複数の特定のフィールドのうちのいくつかを修正して、複数の異なる製造業者が設計するグランドマスタークロックのためのさまざまな検証メカニズムを克服してもよい。例えば、PTP Syncメッセージ(PTP Sync message)及びPTP Follow_Upメッセージ(PTP Follow_Up message)の中の"correctionField"又は"cumulativeRateRatio"等のフィールドを0にリセットしてもよく、PTP告知メッセージの"localStepsRemoved"フィールドに0の値を割り当ててもよく、PTP告知TLV(PTP Announce TLV)の"pathTrace"アレイは、グランドマスター14_1のクロックIDのみを維持してもよい。これらには限定されないが、複数の異なる検証メカニズムにしたがって、PTPメッセージの中の複数の異なるフィールドを修正する必要がある。時間同期デバイス10は、PTPメッセージの内容を修正することによって、仮想的なグランドマスタークロックのように動作する効果を達成するが、接続されるデバイスとの間で通信するのに使用される必要があり、且つ、修正される必要がない"sourcePortIdentity"、"sequenceId"、"twoStepFlag"、及び"logMessageInterval"等の特定のメッセージフィールドがいくつか存在するということに留意するべきである。したがって、時間同期ドメイン12_2及び12_3の中のデバイスは、時間同期デバイス10から受信するPTPメッセージの内容にしたがって、グランドマスタークロック14_1との間で時間を同期させてもよい。
【0038】
ステップ414乃至ステップ418において、時間同期デバイス10は、時間同期ドメイン12_1,…,12_3からのPTPメッセージのモニタリングを継続する(keeps monitoring the PTP messages)。時間同期プロセス40の際に、グランドマスタークロック14_1が故障するか又はグランドマスタークロック14_1よりもより良好であるクロックが出現する可能性があり、時間同期デバイス10は、これらの状況において、PTPインスタンスをリセットし、そして、時間同期ネットワークシステム2のための新たなグランドマスタークロックを再選択してもよい。ステップ414において、グランドマスタークロック14_1との接続を失うときに、時間同期デバイス10は、PTPインスタンス18_1,…,18_3をリセットし、そして、その次に、ステップ402において新たなグランドマスタークロックの選択を開始してもよい。ステップ416において、PTPインスタンス18_1,…,18_3のうちの1つのPTPインスタンスが、対応する最適なクロックよりもより良好であるクロックのPTP告知メッセージを受信する場合に、時間同期デバイス10は、他のPTPインスタンスをリセットし、そして、ステップ402において新たなグランドマスタークロックの選択を開始してもよい。例えば、PTPインスタンス18_3が、最適なクロック14_3よりもより良好であるクロックのPTP告知メッセージを受信する場合に、時間同期デバイス10は、ステップ402にしたがって、PTPインスタンス18_1及び18_2をリセットし、そして、グランドマスタークロックを再選択してもよい。
【0039】
したがって、時間同期デバイス10は、仮想的なグランドマスタークロックとして動作し、それによって、時間同期ドメイン12_2及び12_3の中の複数のデバイスは、時間同期デバイス10がグランドマスタークロック14_1であると考えてもよく、そのグランドマスタークロック14_1との間で時間を同期させてもよい。
【0040】
図5Aを参照すると、図5Aは、本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期ネットワークシステム5の概略的な図である。時間同期ネットワークシステム5は、時間同期ドメイン12_1,…,12_2及び時間同期デバイス50を含む。図5Aに示されているように、時間同期デバイス50は、PTPプロファイルA及びBにしたがって、ポート56_1及び56_2を通じて、時間同期ドメイン12_1及び12_2に接続するPTPインスタンス58_1及び58_2を構築する。時間同期デバイス50は、PTPプロファイルAにしたがって、時間受信ポート56_1(すなわち、portStateは、Sとして印を付されているSlavePortとなるように設定される)を通じて、グランドマスタークロック14_1の時間情報を受信する。クロック情報を変換した後に、時間同期デバイス50は、PTPプロファイルBにしたがって、時間送信ポート56_2(すなわち、portStateは、Mとして印を付されているMasterPortとなるように設定される)を通じて、時間同期ドメイン12_2に時間情報を送信する。
【0041】
時間同期ドメイン12_2の中の複数のデバイスについては、時間同期デバイス50及び時間同期ドメイン12_2は、図5Bに示されているように、PTPドメインBを形成する。時間同期デバイス50は、仮想的なグランドマスタークロックとして動作し、時間同期ドメイン12_2と同じドメインの中のグランドマスタークロックであると考えられてもよい(may be regarded as a grandmaster clock in the same domain to the time synchronization domain 12_2)。したがって、時間同期ドメイン12_2の中の複数のデバイスは、グランドマスタークロック14_1が、実際には、複数の異なるPTPプロファイルを使用する異種ドメイン(時間同期ドメイン12_1)に由来する(the grandmaster clock 14_1 actually comes from a heterogeneous domain using different PTP profile (the time synchronization domain 12_1))ということを検知しなくてもよい。言い換えると、図5Aの中で破線によって示されているように、グランドマスタークロック14_1の時間は、時間同期ドメイン12_1からの送信により開始し、時間同期デバイス50の後に時間同期ドメイン12_2に到達し、一方で、時間同期ドメイン12_2に関しては、受信される時間は、図5Bの中で破線によって示されているように、仮想的なグランドマスタークロック50の時間である。したがって、検査メカニズムに起因する時間同期失敗の問題を回避する。
【0042】
図5A及び図5Bにおいて、単一の時間同期デバイス50を利用し、そして、時間同期プロセス40を参照することによって、時間同期ネットワークシステム5は、時間同期デバイス40に接続される時間同期ドメインのすべてが、同じのグランドマスタークロックの時間にしたがって動作して、時間を同期させるということを達成する。当業者は、これらには限定されないが、そのシステムの必要にしたがって、適切な修正を行ってもよい。例えば、図6Aを参照すると、図6Aは、本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期ネットワークシステム6の概略的な図である。この実施形態において、時間同期ネットワークシステム6は、2つの時間同期デバイス50及び60によって時間同期ドメイン12_1,…,12_3のために時間同期を実行する。
【0043】
図6Aに示されているように、時間同期デバイス60は、PTPプロファイルB及びCにしたがって、ポート66_2及び66_3を通じて、時間同期ドメイン12_2及び12_3に接続するPTPインスタンス68_2及び68_3を構築する。時間同期デバイス60は、PTPプロファイルBにしたがって、(Sとして印を付されている)時間受信ポート66_2を通じて、グランドマスタークロック14_1の時間情報を受信する。クロック情報を変換した後に、時間同期デバイス60は、PTPプロファイルCにしたがって、(Mとして印を付されている)時間送信ポート66_3を通じて、時間同期ドメイン12_3に時間情報を送信する。
【0044】
時間同期ドメイン12_3の中の複数のデバイスのために、時間同期デバイス60及び時間同期ドメイン12_3は、図6Aに示されているように、PTPドメインCを形成する。時間同期デバイス60は、仮想的なグランドマスタークロックとして動作し、時間同期ドメイン12_3と同じドメインの中のグランドマスタークロックであると考えられてもよい。したがって、時間同期ドメイン12_3の中のそれらの複数のデバイスは、グランドマスタークロック14_1が、実際には、複数の異なるPTPプロファイルを使用する異種ドメイン(時間同期ドメイン12_1)に由来する(the grandmaster clock 14_1 actually comes from a heterogeneous domain using different PTP profile (the time synchronization domain 12_1))ということを検知しなくてもよい。図6Bを参照すると、図6Bは、図6Aにおける時間同期ネットワークシステム6の他の図である。図6Aの中で破線によって示されているように、グランドマスタークロック14_1の時間は、時間同期ドメイン12_1からの送信により開始し(the time of the grandmaster clock 14_1 starts to be transmitted from the time synchronization domain 12_1)、時間同期デバイス50、時間同期ドメイン12_2、及び時間同期デバイス60の後に時間同期ドメイン12_3に到達し、一方で、時間同期ドメイン12_3に関しては、受信される時間は、図6Bの中で破線によって示されているように、仮想的なグランドマスタークロック60の時間である。
【0045】
上記の実施形態において、グランドマスタークロックは、BMCAにしたがって時間同期デバイスによって決定され、時間同期デバイスの各々のポートが時間送信ポートであるか又は時間受信ポートであるかは、グランドマスタークロックに関する(PTPメッセージSync又はPTPメッセージFollow_Up等の)PTPメッセージを受信しているか否かに基づいて決定される。一方で、ある1つの実施形態において、時間同期ネットワークシステム2は、管理デバイスをさらに含んでもよく、その管理デバイスは、グランドマスタークロックを決定することが可能である。管理デバイスは、同期ネットワークシステム2のグランドマスタークロックを決定し、その次に、PTP規格の中で定義されている外部ポート構成方法(external port configuration method)によって、時間同期デバイスの各々のポートが時間送信ポートであるか又は時間受信ポートであると決定し及び時間同期デバイスの各々のポートを構成してもよい。その実施形態において、時間同期デバイスは、ステップ402及びステップ406を省略してもよく(may be skipped)、その時間同期デバイスは、各々のポートを検査して、そのポートに対応するクロック属性を修正するか否かを決定してもよい。そのポートが時間受信ポートである場合には、対応するPTPインスタンスは、元のクロック属性を維持してもよく(ステップ410)、そのポートが時間送信ポートである場合には、時間同期デバイス10は、グランドマスタークロックのクロック情報を使用して、対応するPTPインスタンスのクロック属性を更新してもよい(ステップ408)。最後に、ステップ412で言及されているように、時間同期を実行する。
【0046】
上記の実施形態において、グランドマスタークロックは、時間同期ドメイン12_1,…,12_3におけるクロックであり、時間同期デバイスは、対応するポートが時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかにしたがって、PTPインスタンス18_1,…,18_3のクロック属性を修正するべきであるか否かを決定する。他の実施形態において、時間同期デバイスのクロックは、グランドマスタークロックであってもよい、言い換えると、時間同期デバイスは、最適なクロック14_1,…,14_3及び時間同期デバイスのクロックの中からグランドマスタークロックを選択してもよい。この状況において、グランドマスタークロックは、時間同期デバイスに接続されるいずれの時間同期ドメインにも属さなくてもよく、さらに、時間同期プロセス40にしたがって時間同期を実行してもよい。
【0047】
図7を参照すると、図7は、本発明のある1つの実施形態にしたがった時間同期ネットワークシステム7の概略的な図である。時間同期ネットワークシステム7は、時間同期ドメイン12_1,…,12_3及び時間同期デバイス70を含む。図7に示されているように、時間同期デバイス70は、それぞれ、PTPプロファイルA~Cにしたがって、ポート76_1,…,76_3を通じて、時間同期ドメイン12_1,…,12_3に接続するPTPインスタンス78_1,…,78_3を構築する。この実施形態において、時間同期ネットワークシステム7は、グランドマスタークロックとして時間同期デバイス70のクロック74を利用し、そのグランドマスタークロックにしたがって、時間同期ドメイン12_1,…,12_3のために時間を同期させる。時間同期プロセス40にしたがって、時間同期デバイス70は、ステップ402において、グランドマスタークロックとしてクロック74を選択し、その次に、ステップ404において、グランドマスタークロックのクロック情報を更新する。グランドマスタークロック74は、時間同期ドメイン12_1,…,12_3のうちのいずれにも属さず、グランドマスタークロック74の時間情報は、時間同期ドメイン12_1,…,12_3のすべてに送信される必要があるということに留意するべきである。このようにして、この実施形態において、時間同期デバイス70は、ポート76_1,…,76_3のすべてが(Mとして印を付されている)時間送信ポートであると決定する必要がある。加えて、グランドマスタークロック74は、時間同期デバイス70の中に位置しているので、PTPインスタンス78_1,…,78_3は、修正することなく、元のクロック属性を使用して、PTPメッセージを送信してもよい。言い換えると、時間同期デバイス70は、ポート76_1,…,76_3のすべてが時間送信ポートであると決定するステップ406乃至410を省略して、ステップ412に進み、直接的に時間同期を実行してもよい。上記の実施形態と同様に、時間同期デバイス70は、ステップ412において、複数の異なるPTPプロファイルA~Cにしたがって、グランドマスタークロック74のクロック情報に対して情報変換を実行し、そして、その次に、それぞれ、時間同期ドメイン12_1,…,12_3にそのクロック情報を送信してもよい。
【0048】
さらに、図8を参照すると、図8は、本発明のある1つの実施形態にしたがったネットワークデバイス8の概略的な図である。ネットワークデバイス8は、これらには限定されないが、時間同期ドメインの中で動作するゲートウェイ、スイッチ、ルータ、及びブリッジ等のネットワークデバイスであってもよく、時間同期デバイス10、50、60、及び70を実装するのに使用される。図8に示されているように、ネットワークデバイス8は、処理ユニット80及び記憶ユニット82を含んでもよい。処理ユニット80は、マイクロプロセッサ又は特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよい。記憶ユニット82は、プログラムコード820を格納する任意のタイプのデータ記憶デバイスであってもよく、プログラムコード820は、処理ユニット80によって読み出されそして実行される。例えば、記憶ユニット104は、これらには限定されないが、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスク、光データ記憶デバイス、不揮発性記憶ユニット等であってもよい。
【0049】
ネットワークデバイス8は、本発明の複数の実施形態を実装するのに必要とされる必要な構成要素を表すのに使用され、これらには限定されないが、当業者は、本発明にしたがってさまざまな修正又は調整を行ってもよい。例えば、ネットワークデバイス8が時間同期デバイスを実装するのに適用されるときに、時間同期プロセス40は、コンパイルされて、プログラムコード820となり、記憶ユニット82の中に格納され、処理ユニット80によって実行されてもよい。さらに、記憶ユニット82は、また、これらには限定されないが、時間同期方法を実行するのに必要とされるクロック情報20及びデータを格納するのに使用される。
【0050】
現在の産業オートメーションの分野においては、機械のすべては、製造業者があらかじめ設定し又は期待するグランドマスタークロックとの間で時間を同期させることが可能となる傾向にある。さまざまなPTPプロファイルを使用する環境においてさえ、依然として、アプリケーションレベルにおいて、同じグランドマスタークロックに、複数の異なるPTPプロファイルを使用する機械のすべてを同期させることが可能であるということが望まれている。一方で、それらの複数の異なるPTPプロファイルのための時間同期の内部動作メカニズムは、必ずしも同じではない。機械のすべてが時間同期のために指定されているグランドマスタークロックを正しく選択することが可能であるということを保証するために、さまざまな検証メカニズムが製造業者によって適用され、その結果、ドメイン間の時間同期を妨げる。したがって、本発明が提供する仮想的なグランドマスタークロックは、同じPTPプロファイルを使用する同じ時間同期ドメインの中での同期と同様に、時間ゲートウェイが、グランドマスタークロックとの間で、複数の異なるPTPプロファイルを使用する機械を同期させることを可能とすることを目的とする。言い換えると、それらの複数のデバイスは、そのデバイスが、同じPTPプロファイルを直接的に使用して、同じドメインの中のグランドマスタークロックとの間で時間を同期させていると仮定することが可能である。したがって、複数の異なるPTPプロファイルを横断することによって引き起こされる情報エラーは存在せず、複数の異なるPTPプロファイルを使用する複数のドメインを横断することが原因となって検証プロセスが失敗することもないであろう。したがって、機械のすべては、アプリケーションレベルで同じグランドマスタークロックと同期することが可能である。
【0051】
要約すると、本発明は、時間同期のための方法及びデバイスを提供し、それらの方法及びデバイスにおいては、時間同期デバイスは、仮想的なグランドマスタークロックとして動作してもよく、それによって、ドメイン間の時間同期は、さまざまな検証メカニズムが引き起こす問題を克服することが可能である。
【0052】
当業者は、本発明の教示を維持しながら、そのデバイス及び方法の数多くの修正及び変更を行うことが可能であるということを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の請求の範囲の境界及び限界によってのみ限定されると解釈されるべきである。
【要約】      (修正有)
【課題】時間同期デバイスのために使用される時間同期方法を提供する。
【解決手段】時間同期デバイスが、複数の高精度時間プロトコル(PTP)インスタンスを実行して、複数のポートを通じて複数の時間同期ドメインに接続する時間同期方法は、複数の時間同期ドメインからグランドマスター(GM)クロックを選択するステップと、グランドマスタークロックのクロック情報を更新するステップと、グランドマスタークロックにしたがって、複数のポートの各々が時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかを決定するステップと、対応するポートが時間受信ポートであるか又は時間送信ポートであるかにしたがって、複数のPTPインスタンスの各々のクロック属性を修正するステップと、複数のPTPインスタンスによって、グランドマスタークロックにしたがって、複数の時間同期ドメインのタイミングを同期させるステップと、を含む。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8