(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】被覆装置
(51)【国際特許分類】
B29C 51/26 20060101AFI20250311BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20250311BHJP
B29C 51/12 20060101ALI20250311BHJP
B29C 51/16 20060101ALI20250311BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B29C51/26
B29C51/10
B29C51/12
B29C51/16
B29C63/02
(21)【出願番号】P 2023100251
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(73)【特許権者】
【識別番号】598163628
【氏名又は名称】布施真空株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 義雄
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 幸也
(72)【発明者】
【氏名】渡部 世大
(72)【発明者】
【氏名】公門 陽一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 仁志
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-011200(JP,A)
【文献】特開2006-142758(JP,A)
【文献】国際公開第2014/162336(WO,A1)
【文献】特開2016-140996(JP,A)
【文献】特開2022-128103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/26
B29C 51/10
B29C 51/12
B29C 51/16
B29C 63/02
B29C 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム供給装置から被着体上にフィルムを搬送する搬送手段と、
前記被着体を載置するための治具と、を備える被覆装置において、
前記治具は、
前記被着体を載置する載置面と、
前記被着体上に搬送される前記フィルムの第1の側辺に沿って、
前記載置面に対して位置固定され前記載置面から突出して前記治具に載置された前記被着体よりも高い位置に設けられた第1の凸部と、
前記被着体上に搬送される前記フィルムの前記第1の側辺に対向する第2の側辺に沿って、
前記載置面に対して位置固定され前記載置面から突出して前記治具に載置された前記被着体よりも高い位置に設けられた第2の凸部と、
を含む凸部と、を有し、
前記フィルムを前記被着体に向けて下降すると、前記フィルムと前記凸部とが当接し、前記フィルム、前記凸部、前記載置面、及び前記被着体により囲まれた密閉空間が形成されることを特徴とする被覆装置。
【請求項2】
前記密閉空間が形成されたとき、前記フィルムは、前記被着体と当接していないことを特徴とする請求項1に記載の被覆装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記第1の凸部の
一方の端部
と前記第2の凸部の
一方の端部との間を接続する第3の凸部
と、前記第1の凸部の他方の端部と前記第2の凸部の他方の端部との間を接続する第4の凸部と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の被覆装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記載置面から周状に突出することを特徴とする請求項3に記載の被覆装置。
【請求項5】
前記フィルムは、前記被着体に被覆される領域では接着層を有し、前記第1の凸部または前記第2の凸部と接触する領域は前記接着層を有さないことを特徴とする請求項1に記載の被覆装置。
【請求項6】
前記フィルムを境にして、前記密閉空間と、当該密閉空間に対して外側の外側空間とを形成するチャンバと、
前記密閉空間及び前記外側空間の気圧を調整する気圧調整手段と、
前記チャンバ内において、前記被着体を昇降する被着体昇降手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の被覆装置。
【請求項7】
前記気圧調整手段は、前記密閉空間が形成される前に、前記チャンバ内を真空状態に調整することを特徴とする請求項6に記載の被覆装置。
【請求項8】
前記気圧調整手段は、前記密閉空間が形成された後に、前記外側空間を加圧することを特徴とする請求項7に記載の被覆装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムを立体形状の被着体に被覆する成形方法が知られている。例えば、特許文献1では、フィルムを平面状に張り広げた状態で自動車などに被覆する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムを平面状に張り広げた状態で立体形状の被着体に被覆する場合、被着体の部位によっては、被着体とフィルムとの距離が異なることで、フィルムの伸び量が変化し、皺の発生要因となる。
【0005】
本発明は、被着体の部位によってフィルムの伸び量が変化することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
フィルム供給装置から被着体上にフィルムを搬送する搬送手段と、
前記被着体を載置するための治具と、を備える被覆装置において、
前記治具は、
前記被着体を載置する載置面と、
前記被着体上に搬送される前記フィルムの第1の側辺に沿って、前記載置面に対して位置固定され前記載置面から突出して前記治具に載置された前記被着体よりも高い位置に設けられた第1の凸部と、
前記被着体上に搬送される前記フィルムの前記第1の側辺に対向する第2の側辺に沿って、前記載置面に対して位置固定され前記載置面から突出して前記治具に載置された前記被着体よりも高い位置に設けられた第2の凸部と、
を含む凸部と、を有し、
前記フィルムを前記被着体に向けて下降すると、前記フィルムと前記凸部とが当接し、前記フィルム、前記凸部、前記載置面、及び前記被着体により囲まれた密閉空間が形成されることを特徴とする被覆装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィルムと被着体とが接触する前に、フィルムと被着体とを近い距離に保持することができる。従って、被着体の部位によってフィルムの伸び量が変化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の一実施形態に係る被覆装置の概略図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る被覆装置の概略図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る被覆装置の概略図。
【
図5】(A)~(D)は、把持ユニットの構成の説明図。
【
図16】被着体を載置した治具の詳細構成の説明図。
【
図17】被着体を載置した治具にフィルムを被覆する動作の説明図。
【
図18】被着体を載置した治具にフィルムを被覆する動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<生産ラインの構成>
図1は、本発明の被覆装置2が適用可能な生産ライン100の構成の一部を示す模式図である。各図において、矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向(被覆装置の高さ方向)を示す。本実施形態では、被着体5は、車両(例えば四輪車)のフロントバンパー又はリアバンパーなどの部材であるものとして説明を行うが、被着体5はこれらに限定されるものではなく、様々な物体に本発明を適用することができる。
【0011】
生産ライン100は、被着体5を搬送する搬送システム1、被着体5にフィルム4を被覆する被覆装置2、生産ライン100全体の制御を行う制御装置3を備える。図中の矢印は、搬送方向を示している。
図1は、被着体5が搬送システム1の上流側の搬送路10から搬送され、被覆装置2の内部で被着体5にフィルム4の被覆が行われた後に下流側の搬送路11に搬出されている状態を示す。
【0012】
搬送システム1は、例えば、ベルトコンベヤ等の搬送装置である。被着体5は、パレットなどの搬送台6に積載された治具7により保持された状態で、搬送システム1により搬送される。搬送システム1は、例えば、搬送台6の搬送位置を調整する搬送位置調整ユニットなどをさらに備えてもよい。また、搬送システム1は、上述した搬送装置に限らず、ロボットアームなどを用いて被着体5を搬送してもよい。
【0013】
被覆装置2は、後述する構成により被着体5にフィルム4を被覆する装置である。本実施形態では、被着体5である車両のバンパーなどの部材に対してフィルム4を被覆する。これにより、例えば、車両カラーに応じてフィルム4の色を変更することで容易に車両の部材に加飾を行うことができる。また、例えば、木目調などの印刷柄、金属質やマット質、ガラス質などの質感を有するフィルム4を用いることで車両の部材に意匠性を付与することもできる。あるいは、撥水性や耐候性、遮熱性、電磁波透過性などの機能性を有するフィルム4を用いることにより、車両の部材に機能性を付与することが可能となる。
【0014】
制御装置3は、生産ライン100の全体を制御する。制御装置3は、処理部、記憶部、入出力インタフェース(I/O)及び通信部などを備える。処理部は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部に記憶されたプログラムを実行して生産ライン100の各装置を制御する。記憶部は、ROM、RAM、HDD等の記憶デバイスであり、処理部が実行するプログラムの他、各種の制御情報を記憶する。I/Oインタフェースは、処理部と外部デバイスとの間で信号を送受信するインタフェースである。通信部は通信回線を介して上記装置又は他の制御装置等と通信を行う通信デバイスである。
【0015】
生産ライン100は、上述した構成に限らず、例えば、被着体5や治具7の交換などを行うロボット装置、被着体5のコンタミを除去する除塵装置、被着体5及びフィルム4に紫外線などの光を照射する光照射ユニット、被着体5及びフィルム4の乾燥を行う乾燥ユニット、レーザやトリミングカッタにより被着体5に被覆したフィルム4を部分的に除去するトリミングユニットなどを備えていてもよい。
【0016】
<被覆装置>
本実施形態における被覆装置2は、
図1に示すように、フィルム支持ユニット20、フィルム搬送ユニット21、チャンバ22、気圧調整ユニット23を備える。被覆装置2は、フィルム支持ユニット20により支持されたフィルム4を、フィルム搬送ユニット21によりチャンバ22の内部に搬送する。
図1に示すチャンバ22の点線部分は、チャンバ22の内部を表している。被覆装置2は、チャンバ22の内部に後述する構成を備え、フィルム4を被着体5に被覆する。被覆時には、気圧調整ユニット23により、チャンバ22内部の気圧が調整される。
【0017】
以下、被覆装置2が備える各構成について、
図1に加えて
図2及び
図3も参照して説明する。
図2は、フィルム4の搬送方向における被覆装置2の断面の一部を示す模式図である。
図3は、被着体5の搬送方向における被覆装置2の断面の一部を示す模式図である。また、以下の説明では、便宜的にフィルム4の搬送方向をX方向、被着体5の搬送方向をY方向と呼ぶ場合がある。
【0018】
フィルム支持ユニット20は、被着体5に被覆するフィルム4を支持する。
図1及び
図2に示すように、フィルム支持ユニット20は、支持台200、支持軸201、巻取り軸202、ガイド軸203、カッタ204、及び巻取り軸205などを備える。支持台200上に設けられた支持軸201は、ロール状に巻き取られたフィルム4を回転可能に支持する軸である。巻取り軸202及び巻取り軸205は、例えば、被着体5に被覆するフィルム4の表裏面が離型フィルムなどと積層されている場合などに、離形フィルムを巻き取るための軸である。ガイド軸203は、支持軸201に支持されたフィルム4を引き出して水平に供給する軸である。カッタ204は、後述するフィルム搬送ユニット21によりフィルム4が搬送された後に、フィルム4をカットする。カッタ204は、例えば、トリミングカッタやレーザなどをフィルム4の幅方向にスライドしてフィルム4をカットしてもよい。フィルム4の幅方向は、ロール状に巻き取られたフィルム4の軸心方向である。
【0019】
フィルム4は、例えば、熱可塑性樹脂の層を含むフィルムを用いてもよい。熱可塑性樹脂の層は、例えば、複数の種類の熱可塑性樹脂から形成されていてもよい。また、熱可塑性樹脂の層には、例えば、アンチブロッキング剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料、無機物などの添加剤を含有していてもよい。フィルム4は、蒸着層、印刷層、剥離層などを備えてもよい。また、例えば、フィルム4の一方の面に、接着剤などが塗布されていてもよい。フィルム4は、例えば、剥離性を有する保護フィルムなどと積層されていてもよい。また、フィルム4の表面には賦形やレーザ加工などにより微細なパターンや凹凸などが形成されていてもよい。
【0020】
フィルム搬送ユニット21は、チャンバ22の内部に搬送された被着体5上にフィルム4の搬送を行う。フィルム搬送ユニット21は、
図2に示すように、先端把持部210、フィルム移動機構211を備える。先端把持部210は、ロール状に巻き取られたフィルム4の軸心方向と直交する方向に引き出された先端を把持する。先端把持部210は、フィルム4の先端を把持する把持状態と、フィルム4の先端を把持せず開放する開放状態を切り替え可能である。
【0021】
フィルム搬送ユニット21は、
図2及び
図3に示すように後述する上部チャンバ220に設けられており、上部チャンバ220とともに被覆装置2の上下方向に昇降する。フィルム移動機構211は、
図3に示すように先端把持部210を移動可能に支持する先端支持部材211aと、上部チャンバ220の両側壁に配置されたアクチュエータ211bを備える。アクチュエータ211bは、
図2に示すようにフィルム4の搬送方向に沿って水平に設けられている。フィルム4の搬送方向は、ロール状に巻き取られたフィルム4の軸心方向と直交する方向である。アクチュエータ211bは、例えば電動シリンダや、電動ボールねじ機構であってもよい。これにより、先端支持部材211aに支持された先端把持部210が、フィルム4を水平に引き出すことができる。アクチュエータ211bの長さは、
図2に示すように上部チャンバ220のフィルム4の搬送方向における長さより長い。これにより、上部チャンバ220が下降する際に、先端把持部210が下部チャンバ221と接触することを防ぐことができる。
【0022】
チャンバ22は、内部を真空雰囲気に保つことが可能な箱型の装置である。チャンバ22は、
図2及び
図3に示すように、下面が開口した上部チャンバ220と、上面が開口した下部チャンバ221と、を備える。上部チャンバ220は、被覆装置2の上下方向に昇降可能であって、例えば、下部チャンバ221及び上部チャンバ220の外壁に設けられた電動シリンダや、電動ボールねじ機構などのアクチュエータ(不図示)により昇降する。被着体5やフィルム4の搬送時には、
図2に示すように上部チャンバ220が上昇して下部チャンバ221と離間する。また、後述する気圧調整ユニット23によるチャンバ22内部の気圧調整時には、上部チャンバ220が下降して下部チャンバ221と当接し、チャンバ22内部の気密を保つことができる(
図10~
図13参照)。
【0023】
被覆装置2は、
図1に示すように、チャンバ22の内部に複数の第1把持ユニット24、複数の第2把持ユニット25、複数の第1昇降ユニット26、複数の第2昇降ユニット27、被着体昇降ユニット28、を備える。また、被覆装置2は、
図2及び
図3に示すように、チャンバ22の内部に複数の加熱ユニット29を備える。
【0024】
図1に示すように、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25は、フィルムの搬送方向に沿って配列されており、フィルム搬送ユニット21により搬送されるフィルム4を把持する。複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25は、互いに対向する位置に配置されている。複数の第1把持ユニット24は、フィルム4の側辺を把持する。複数の第2把持ユニット25は、複数の第1把持ユニット24が把持するフィルム4の側辺と反対側の側辺を把持する。
【0025】
図2に示すように、複数の第1把持ユニット24は、後述する複数の第1昇降ユニット26に設けられており、被覆装置2の上下方向に昇降可能である。
図2では、複数の第1把持ユニット24側の構成例を示すが、
図3に示すように、複数の第2把持ユニット25側も
図2で示す複数の第1把持ユニット24側の構成と同様の構成を有する。すなわち、複数の第2把持ユニット25は、複数の第2昇降ユニット27に設けられ、被覆装置2の上下方向に昇降可能である。
【0026】
続いて、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25の各把持ユニット24~25について、
図4(A)~
図4(D)を参照して説明する。
図4(A)~
図4(D)では、第1把持ユニット24について説明するが、第2把持ユニット25も同様の構成である。
図4(A)は、把持ユニット24のX方向視における模式図であり、
図3の各把持ユニット24を拡大した図に相当する。
図4(B)~
図4(D)は、第1把持ユニット24のY方向視における模式図であり、
図2の第1把持ユニット24を拡大した図に相当する。
【0027】
図4(A)に示すように、第1把持ユニット24は、把持部240と、支持部241と、を備える。本実施形態における把持部240は、フィルム4を挟持する一対の板状の弾性有する弾性部材である。弾性部材は、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などを板状にした部材でもよい。弾性部材でフィルム4を挟持することで、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25が昇降してフィルムが湾曲しても、フィルムの湾曲形状に沿って把持することができる。
【0028】
本実施形態における把持部240は、
図4(B)に示すようにフィルム4を把持する把持状態と、
図4(C)に示すようにフィルム4を把持せず開放する開放状態と、を切り替え可能である。把持状態は換言すると把持部240が閉じた状態であり、開放状態は換言すると把持部240が開いた状態である。把持部240の把持状態と、開放状態との切り替えは、例えば、
図4(A)に示すように支持部241の内部に設けられたアクチュエータなどにより制御してもよい。アクチュエータは、電動シリンダや、電動ボールねじ機構などであってもよい。把持部240の把持状態と、開放状態とを切り替え可能な構成とすることで、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25を昇降してフィルム4の形状を調整しやすくなる。
【0029】
本実施形態における把持部240は、Y方向を軸に回転可能であってもよい。支持部241は、例えば、
図4(A)に示すように回転軸などを備えてもよい。また、支持部241に設けられたアクチュエータにより、回転軸の回転を制御してもよい。把持部240が回転可能であることで、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25の昇降の際に、各把持ユニット24~25は、フィルム4を把持する姿勢を調整することができる。フィルム4を把持する姿勢は、換言すると、把持部240のフィルム4を把持する際のX方向に対する角度である。
【0030】
図1に示すように、複数の第1昇降ユニット26は、チャンバ22の内部に搬送されるフィルム4の側辺に沿うように配列され、複数の第2昇降ユニット27は、複数の第1昇降ユニット26側のフィルム4の側辺と反対側の側辺に沿うように配列されている。複数の第1昇降ユニット26及び複数の第2昇降ユニット27は、互いに対向した位置に配置されている。
【0031】
図2及び
図3に示すように、複数の第1昇降ユニット26は、複数の第1把持ユニット24を個別に支持する複数の第1支持部材261と、複数の第1支持部材261を個別に上下方向に移動させる複数の第1移動機構260と、を有する。
図2では、複数の第1昇降ユニット26の構成を示しているが、複数の第2昇降ユニット27も同様の構成である。すなわち、複数の第2昇降ユニット27は、複数の第2把持ユニット25を個別に支持する複数の第2支持部材271と、複数の第2支持部材271を個別に上下方向に移動させる複数の第2移動機構270と、を有する(
図3参照)。複数の第1移動機構260及び複数の第2移動機構270は、例えば、アクチュエータであってもよい。本実施形態では、アクチュエータは棒状であって、電動シリンダや、電動ボールねじ機構などであってもよい。また、複数の第1移動機構260及び複数の第2移動機構270は、例えば、被覆装置2の上下方向に伸縮可能な部材であってもよい。
【0032】
本実施形態における複数の第1昇降ユニット26及び複数の第2昇降ユニット27は、
図3に示すように、それぞれ、互いに対向した位置に配列された複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25のうち、互いに対向した位置に配置された第1把持ユニット24及び第2把持ユニット25の組を同じ高さに昇降する。これにより、フィルム4の搬送方向における高さを被着体5の形状に合わせて調整することができる。したがって、フィルム4を平面状に張り広げた状態で被着体5に被覆させる場合と比べて、本実施形態における被覆装置2では、被着体5の部位によってフィルム4の伸び量が変化することを抑制することができる。
【0033】
また、
図3に示すように、それぞれ、互いに対向した位置に配列された複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25のうち、互いに対向した位置(X方向において同じ位置)に配置された第1把持ユニット24及び第2把持ユニット25の組を異なる高さに昇降してもよい。これにより、被着体5の多様な形状に対してフィルム4の形状を調整することができる。
【0034】
複数の第1昇降ユニット26及び複数の第2昇降ユニット27の昇降は、例えば、あらかじめ被着体5の形状を測定し、被着体5の部位による高さを制御装置3に記憶することで、制御装置3によって制御されてもよい。あるいは、チャンバ22内部や第1昇降ユニット26、第2昇降ユニット27のそれぞれに被着体5の形状を検出するセンサなどの検出ユニットをさらに設け、検出ユニットの検出結果に応じて昇降してもよい。
【0035】
被着体昇降ユニット28は、被着体昇降部280と、被着体昇降部280に支持された被着体搬送部281と、を備える。被着体昇降部280は、チャンバ22内部に搬入された被着体5を被覆装置2の上下方向に昇降して、被着体5の位置調整、あるいは被着体5をフィルム4に接触させることができる。被着体搬送部281は、回転可能な複数の軸により、被着体5の搬送を行う。被着体昇降部280及び被着体搬送部281は、例えば、電動シリンダや、電動ボールねじ機構などのアクチュエータであってもよい。
【0036】
複数の加熱ユニット29は、チャンバ22の内部に搬送されたフィルム4を加熱する。
図3に示すように各加熱ユニット29は、互いに対向した位置に配置された第1把持ユニット24及び第2把持ユニット25の組に対応して配置され、かつ、昇降可能であり、加熱位置を調整することができる。複数の加熱ユニット29によりフィルム4を加熱することで、フィルム4の被着体5への追従性を高めることができる。
【0037】
複数の加熱ユニット29の各加熱ユニット29は、加熱素子290と、加熱素子290を支持する支持プレート291と、を備える。支持プレート291は、互いに対向した位置に配置された第1把持ユニット24を昇降する第1移動機構260及び第2把持ユニット25を昇降する第2移動機構270に設けられ、対応する第1把持ユニット24及び第2把持ユニット25の組と同期して昇降する。各加熱ユニット29が、対応する第1の把持ユニット24及び第2把持ユニット25と同期して昇降することで、各加熱ユニット29とフィルム4との距離を一定に保つことができる。
【0038】
本実施形態では、各加熱ユニット29が、互いに対向した位置に配置された第1把持ユニット24を昇降する第1移動機構260及び第2把持ユニット25を昇降する第2移動機構270に設けられる構成について説明したが、これに限らない。例えば、各加熱ユニット29が、上部チャンバ220内部の側面や、上面などに複数配置されていてもよい。また、加熱ユニット29は、例えば、セラミックヒータなどの変形可能なシート状のヒータを用いて、フィルム4の形状に応じて加熱位置を調整する構成であってもよい。また、各加熱ユニット29をそれぞれ異なる温度に設定してもよい。
【0039】
気圧調整ユニット23は、気圧調整部230、配管231、バルブ232などを備え、チャンバ22の内部の気圧を調整する。気圧調整部230は、例えば、チャンバ22の内部を減圧して真空状態にする真空ポンプ、チャンバ22の内部を圧縮空気などにより加圧するコンプレッサーを備える。本実施形態では、配管231が下部チャンバ221に接続されており、気圧調整部230による減圧あるいは加圧をバルブ232の開閉により調整することができる。気圧調整ユニット23は、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25がフィルム4を把持した状態で、チャンバ22内部の気圧を調整し、フィルム4を被着体5に被覆させる。
【0040】
以上の構成により、本実施形態では、複数の第1把持ユニット24が複数の第1昇降ユニット26により昇降され、かつ、複数の第2把持ユニット25が複数の第2昇降ユニット27により昇降される。これにより、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25が把持するフィルム4の被着体5に対する高さを、被着体5の形状に沿って調整することができる。したがって、フィルム4を平面状に張り広げた状態で立体形状の被着体5に被覆する場合と比べて、被着体5の部位によって、被着体5とフィルム4との距離が異なることを抑え、フィルム4の伸び量が変化することを抑止できる。これにより、フィルム4に皺が生じることを抑制できる。
【0041】
<被覆装置の動作例>
被覆装置2が被着体5にフィルム4を被覆する動作例について説明する。
図5~
図15は被覆装置2の動作説明図であり、フィルム4及び被着体5の搬入から、被覆し、搬出するまでの動作の例を示す。
【0042】
まず、
図5及び
図6を参照する。
図5は、チャンバ22の内部に被着体5及びフィルム4が搬送された状態を示す。
図6は、
図5のX方向におけるチャンバ22の内部を示す。
図5及び
図6に示すように、被着体5及びフィルム4の搬送は、上部チャンバ220が上昇し、上部チャンバ220と、下部チャンバ221とが離間した状態で行われる。
【0043】
被着体5は、例えば、上述した搬送システム1などにより下部チャンバ221に設けられた被着体昇降ユニット28上に搬入される。被着体5は、チャンバ22の内部に搬入された後、被着体昇降ユニット28により、位置調整が行われてもよい。フィルム4は、フィルム搬送ユニット21により、被着体5上に搬送される。
【0044】
図5及び
図6に示すように、フィルム搬送ユニット21は、搬送するフィルム4の側辺が、複数の第1把持ユニット24が把持可能な経路を通り、複数の第1把持ユニット24側のフィルム4の側辺と反対側の側辺が、複数の第2把持ユニット25が把持可能な経路を通るように搬送する。本実施形態では、フィルム4の搬送時には、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25は、水平に配列されており、フィルム4は水平に搬送される。これにより、複数の位置でフィルム4を把持する構成であっても、フィルム4の搬送及び把持を容易に行うことができる。
【0045】
次に、
図7から
図9を参照する。
図7及び
図8は、チャンバ22の内部に搬送されたフィルム4が被着体5の形状に応じて昇降した状態を示す。
図9は、
図7及び
図8のX方向におけるチャンバ22の内部を示す。
図7に示すように複数の第1昇降ユニット26及び複数の第2昇降ユニット27は、被着体5の形状に応じて、対応する複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25を昇降する。本実施形態では、複数の第1昇降ユニット26による複数の第1把持ユニット24の昇降、及び複数の第2昇降ユニット27による複数の第2把持ユニット25の昇降時には、第1把持ユニット24及び第2把持ユニット25の各々はフィルム4を把持しない。
【0046】
図7及び
図9に示すように、複数の第1昇降ユニット26及び複数の第2昇降ユニット27は、それぞれ、互いに対向した位置に配列された複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25のうち、互いに対向した位置に配置された第1把持ユニット24及び第2把持ユニット25の組を同じ高さに昇降する。
【0047】
図8に示すように、本実施形態では、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25が被着体5の形状に応じた高さに昇降された後で、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25は、フィルム4を把持する。本実施形態では、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25は、昇降する際には開放状態であり、その後把持状態になる例について説明したが、これに限らない。例えば、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25が昇降する際に、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25のうち、一部の各把持ユニット24~25がフィルム4を把持していてもよい。
【0048】
図7及び
図9に示すように、複数の加熱ユニット29は、対応する第1把持ユニット24及び第2把持ユニット25の組の昇降に連動して一定の距離を保つように昇降する。これにより、複数の加熱ユニット29とフィルム4との距離を一定に保つことができ、後述する複数の加熱ユニット29がフィルム4を加熱する際に、フィルム4の部位により過加熱、あるいは加熱不足となることを防ぐことができる。
【0049】
次に、
図10及び
図11を参照する。
図10は、
図7で複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25の高さを調整した後に、上部チャンバ220が下降した状態を示す。
図11は、
図10のX方向におけるチャンバ22の内部を示す。上部チャンバ220が下降する際には、例えば、
図10に示すように、トリミング部204により、フィルム4がカットされてもよい。上部チャンバ220が下降して、下部チャンバ221と接することで、上部チャンバ220と下部チャンバ221とに囲われた内部空間は密閉を保つことができる。
【0050】
図10及び
図11に示すように、チャンバ22が密閉を保つ状態で、
図1に示した気圧調整ユニット23により、チャンバ22内部が減圧される。減圧時には、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25は、フィルム4と、被着体5とが離間する高さに位置する。これにより、チャンバ22内部の全体を減圧することができる。
【0051】
図10及び
図11では、例えば、チャンバ22の内部を減圧した後に、加熱ユニット29によりフィルム4が加熱される。フィルム4は、加熱されることで軟化し、被着体5への追従性を高めることができる。
【0052】
続いて、
図12及び
図13を参照する。
図12は、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25が下降した状態を示す。
図13は、
図12のX方向におけるチャンバ22の内部を示す。
図12及び
図13に示すように、複数の第1昇降ユニット26は、複数の第1把持ユニット24を下降する。複数の第2昇降ユニット27は、複数の第2把持ユニット25を下降する。
図13に示すように、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25が下降することにより、フィルム4と、被着体5を載置する治具7に設けられた凸部70とが当接する。凸部70は、フィルム4の搬送方向に沿って突出して形成された部分であり、被着体5の両側に設けられている。凸部70の高さは、治具7に載置された被着体5よりも高く形成されている。フィルム4と凸部70とが当接することで、フィルム4、凸部70、治具7、及び被着体5によって囲まれた領域が、その外側の領域と区分けされる。すなわち、フィルム4と、被着体5が載置された治具7と、で囲まれた領域は、密閉した空間である。
【0053】
図1に示した気圧調整ユニット23は、チャンバ22の内部を加圧する。一方、
図13で示したフィルム4及び治具7で密閉した空間は、密閉されているため減圧されている状態のままである。したがって、フィルム4及び治具7で密閉した空間と、当該空間に対して外側の外側空間とで差圧が生じる。この差圧により、フィルム4を被着体5に被覆する。
【0054】
次に、
図14及び
図15を参照する。
図14及び
図15は、フィルム4が被着体5に被覆された状態を示す。
図15は、
図14のX方向におけるチャンバ22の内部を示す。
図12及び
図13でフィルム4を被着体5に被覆した後、上部チャンバ220は上昇する。上部チャンバ220が上昇する際に、先端把持部210は、フィルム4を開放状態にする。上部チャンバ220が上昇した後、フィルム4が被覆された被着体5をチャンバ22の外部に搬出する。以上によりフィルム4及び被着体5の搬入から、被覆し、搬出するまでの動作が完了する。
【0055】
<治具の詳細構成及び被覆前の動作>
続いて、
図16~
図18を参照して、本実施形態に係る治具の詳細構成と、被着体を載置した治具にフィルムを被覆する前の動作とを説明する。
図16は、治具の詳細構成を示す図である。
図16では治具7の中央から半分が描かれているが、実際には反対側にも同様の構成を有している。治具7は、フィルム4を被着体5に被覆する被覆装置2で使用される治具である。治具7は、被着体5を載置する載置面1601と、載置面1601から突出する凸部70とを備える。凸部70は、フィルム4を被着体5の上に搬送する搬送方向(X方向)に沿って延在する第1の凸部70aと、第2の凸部70bと、を含む。
【0056】
図17は、被着体5を載置した治具7の上方にフィルム4を搬送した状態を示す。フィルム4は、被着体5に被覆される領域では接着層1701を有し、凸部70(第1の凸部70a、第2の凸部70b)に当接する領域では接着層1601を有さないように構成される。これにより、フィルム4は、凸部70との滑りが許容されるため、皺の発生を防止することが可能となる。
図18は、治具7の上方に搬送したフィルム4を被着体5へ向けて下降させた状態を示す図である。この状態では、フィルム4が凸部70に当接することで、フィルム4、凸部70、載置面1601、及び被着体5により囲まれた密閉空間が形成される。このように、凸部70を、治具7に載置された被着体5よりも載置面1601に対して高い位置に突出するように構成することで、密閉空間の形成が容易となる。そして、
図18のように密閉空間が形成された場合、フィルム4が被着体5に当接しない状態が保たれる。本実施形態に係る治具によれば、フィルムと被着体とが接触する前に、フィルムと被着体とを近い距離に保持することができる。従って、被着体の部位によってフィルムの伸び量が変化することを抑制することができる。
【0057】
また、
図16に示すように、凸部70は、第1の凸部70aの端部と、第2の凸部70bの端部との間を密閉接続する第3の凸部70cをさらに含んでもよい。そして、
図16において図示されていない反対側にも第3の凸部70cと同様の第4の凸部を設けてもよい。第3の凸部70c、第4の凸部を設けることで、凸部70で囲まれた領域が形成されるため、フィルム4が凸部70と接触することにより確実に密閉空間を形成することができる。
【0058】
また、フィルム製造時の残留応力によりY方向に張力がかかるフィルムの場合は、
図17に示すようにフィルム4の中央部分にたわみが生じる。一方で、Y方向に張力がかからないフィルムの場合は、
図18のようにフィルム4を凸部70に当接させると、Y方向に張力がかかりフィルム4のたわみが無くなる。凸部70に当接する領域に接着層1601を有する構成の場合、フィルム4のY方向への移動が許容されないため、たわみが生じたままとなってしまう。しかし、本実施形態のように凸部70に当接する領域に接着層1601を有さない構成とすることで、たわみの解消が容易となる。さらに、フィルム4の一部の領域に接着層を設ければよいため、接着層の使用量を削減することができる。よって、コスト低減に寄与することができる。
【0059】
図16~
図18では、被着体5及び治具7が曲面形状を有する場合を説明したが、
図19に示すような箱型の治具1900であってもよい。被着体1903を囲むように、凸部1901が載置面1902に対して周状に突出しており、被着体5の高さよりも高い位置まで突出している。フィルム4が凸部1901に当接することで、フィルム4、載置面1902、被着体1900及び凸部1901により囲まれた密閉空間を形成することができる。
【0060】
<気圧調整動作>
続いて、気圧調整動作について説明する。チャンバ22は、
図13等に示すように、フィルム4を境にして、被着体5が収容され、フィルム4及び治具7で密閉した空間(密閉空間)と、当該空間に対して外側の外側空間とを形成する。気圧調整ユニット23は、フィルム4及び治具7で密閉した空間(密閉空間)が形成される前にチャンバ22内を真空状態に調整する。そして、フィルム4及び治具7で密閉した空間(密閉空間)が形成された後に、当該空間に対して外側の外側空間を大気圧状態又は圧縮空気状態に調整する(すなわち、加圧する)。2つの空間に生じる圧力差によって、フィルム4の被覆が行われる。
【0061】
なお、本実施形態に係る治具によれば、チャンバ22内の気圧調整の際、治具7の上下の圧力差が無く、同等の圧力がかかることになるため、治具7自体を高強度にする必要がない。従って、治具7内の空洞化等により、治具7の軽量化を図ることが可能となる。また、本実施形態に係る治具によれば、治具7を上昇させて被着体5とフィルム4とを接触させる必要がないため、被着体昇降ユニット28を設けなくてもよい。これにより、部品点数を削減することが可能となり、コストを低減することができる。
【0062】
また、本実施形態では、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25を用いて、被着体5の形状に合わせたフィルム4の搬送を行う例を説明したが、これに限定されない。治具7が凸部70を備えていない場合に被着体5の形状に合わせたフィルム4の搬送を行い、治具7が凸部70を備えている場合にはこのような搬送を行わなくてもよい。例えば、
図16~
図19に示した治具7(あるいは治具1900)のように凸部70(あるいは凸部1901)を備える場合、複数の第1把持ユニット24及び複数の第2把持ユニット25を使用せず、
図2等で説明したフィルム搬送ユニット21を用いて、水平方向(X方向)にフィルム4をチャンバ22内の被着体5上に搬送してもよい。
【0063】
上述の実施形態では、チャンバ22の内部を気圧調整ユニット23により、減圧した後に加圧して、フィルム4を被着体5に被覆する例を説明した。フィルム4を被着体5に被覆させる方法は、これに限られない。例えば、フィルム4を加熱せずに被着体5に被覆させてもよい。また、フィルム4を介して下部チャンバ221を減圧し、上部チャンバ220を大気圧雰囲気に保ち、下部チャンバ221と、上部チャンバ220との差圧によりフィルム4を被着体5に被覆させてもよい。また、チャンバ220の内部を減圧せずにフィルム4を被着体5に被覆してもよい。例えば、フィルム4の被着体5側の面とは反対側の面から、フィルム4を圧縮空気などで加圧することでフィルム4を被着体5に被覆させてもよい。あるいは、フィルム4を金型などで押し当てることで被着体5に被覆させてもよい。
【0064】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
100 生産ライン、1 搬送システム、2 被覆装置、3 制御装置、4 フィルム、5被着体、6 搬送台、7 治具、20 フィルム支持ユニット、21 フィルム搬送ユニット、22 チャンバ、23 気圧調整ユニット、24 第1把持ユニット、25 第2把持ユニット、26 第1昇降ユニット、27 第2昇降ユニット、28 被着体昇降ユニット、29 加熱ユニット、70 凸部、1601 載置面