(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
B08B3/02 B
(21)【出願番号】P 2021092508
(22)【出願日】2021-06-01
【審査請求日】2023-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】592258306
【氏名又は名称】森合精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(74)【代理人】
【識別番号】100221006
【氏名又は名称】金澤 一磨
(72)【発明者】
【氏名】松村 繁廣
(72)【発明者】
【氏名】森合 稔
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-326063(JP,A)
【文献】特開平08-187471(JP,A)
【文献】特開2016-112541(JP,A)
【文献】国際公開第2018/088102(WO,A1)
【文献】実開平06-060477(JP,U)
【文献】特開2000-343047(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108405440(CN,A)
【文献】登録実用新案第3223543(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を旋回搬送して洗浄する洗浄装置であって、
複数の作業室と、各作業室を区画する開閉可能に設けられた仕切部と、被洗浄物を旋回搬送する回転軸に対し径方向に延びる複数のアームと、前記複数のアームを旋回させる回転機構と、前記複数のアームの先端に取り付けられるテーブルと、を備え、
前記複数の作業室は、少なくとも、被洗浄物の着脱を行う第1作業室と、被洗浄物を洗浄する第2作業室と、被洗浄物を乾燥する第3作業室とを備え、
少なくとも被洗浄物を洗浄する第2作業室に、複数のノズルが
上下左右に配されたノズルブロックを備え、
前記ノズルブロックは、上下に移動可能、もしくは水平に移動可能であ
り、被洗浄物を洗浄する状態の被洗浄物の近傍の位置と、洗浄していない状態の被洗浄物から離間した位置とを移動可能にする駆動シリンダに接続されていて、被洗浄物を洗浄する際に、被洗浄物の各所定部位にノズルから洗浄液やエアが噴射可能な位置に移動し、
前記テーブルの上に被洗浄物を載置する治具を備え、
前記治具は、被洗浄物を上方から押さえて保持する押さえ金具と、前記押さえ金具を回動可能に支持する支持部材と、前記押さえ金具を下向きに付勢するバネとを有し、前記押さえ金具に負荷をかけることが可能な駆動シリンダを備えることを特徴とする、
洗浄装置。
【請求項2】
前記ノズルブロックを複数備え、
被洗浄物の洗浄時において、
一対の前記ノズルブロックが、被洗浄物を狭むように対向して配されている、
請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
被洗浄物の洗浄時において、
さらにもう一対の前記ノズルブロックが、被洗浄物を狭むように対向するように配されていて、
4つのノズルブロックが被洗浄物を囲むように配されている、
請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ノズルブロックに設けられた複数のノズルは、被洗浄物の図面データに基づいて、被洗浄物の各部を狙うテンプレートによって定められた位置に配置されている、
請求項1乃至3のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズルブロックは、
洗浄時において、被洗浄物の近傍に移動した後、揺動しながら洗浄液を噴射する、
請求項1乃至4のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記ノズルブロックは、
前記駆動シリンダはこれらの位置を検知するセンサを備える、
請求項1乃至5のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記テーブルが、固定テーブルである、
請求項1乃至6のいずれか1項記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記テーブルが、回転テーブルである、
請求項1乃至6のいずれか1項記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば機械加工部品、機械加工製品、自動車用部品など、被洗浄物を洗浄するための洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、隔壁によって複数の部屋に区画された洗浄装置がある。このような洗浄装置は、被洗浄物を取り付ける部屋と、被洗浄物を洗浄する部屋と、洗浄後の被洗浄物を水切りする部屋とを備え、被洗浄物が各部屋に回転搬送される。こうした洗浄装置に関する先行技術には、例えば実開昭61-064385号(特許文献1)や特開2000-343047号公報(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭61-064385号公報
【文献】特開2000-343047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗浄装置には、次のような課題がある。特許文献1の洗浄装置は、仕切板によって、交換室、予洗室、洗浄室、水洗室の下方のみが区画されているが、これでは交換室、予洗室、洗浄室、水洗室が区画されているとは言えない。すなわち、各室の下方が区画されているのみであるため、洗浄室の洗浄液や水洗室の水が他の室に飛び散るおそれがある。特に、高圧洗浄の場合、なおさらである。また、洗浄液や水に混じった屑も、他の室に飛び散るおそれがある。
【0005】
特許文献2の洗浄装置には、次のような課題がある。特許文献2の洗浄装置は、被洗浄物を回転テーブルの上で回転させながら、洗浄液などを噴射して洗浄するものであるが、昨今の複雑な部品などは、このような洗浄方法では洗浄しきれない場合がある。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、各室を区画し、被洗浄物を洗浄、搬送可能な洗浄装置であり、複雑な部品などの洗浄にも対応した洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明に係る洗浄装置は、被洗浄物を旋回搬送して洗浄する洗浄装置であって、複数の作業室と、各作業室を区画する開閉可能に設けられた仕切部と、被洗浄物を旋回搬送する回転軸に対し径方向に延びる複数のアームと、前記複数のアームを旋回させる回転機構と、前記複数のアームの先端に取り付けられるテーブルと、を備え、前記複数の作業室は、少なくとも、被洗浄物の着脱を行う第1作業室と、被洗浄物を洗浄する第2作業室と、被洗浄物を乾燥する第3作業室とを備え、被洗浄物を洗浄する第2作業室に、複数のノズルが上下左右に配されたノズルブロックを備え、前記ノズルブロックは洗浄位置と、上下に移動可能、もしくは水平に移動可能であることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1作業室において回転テーブル上の治具等に被洗浄物を取り付け、その後仕切部を開放しアームを旋回させて第2作業室に旋回搬送し、仕切部を閉じて被洗浄物の洗浄を行う。このとき、第2作業室にて被洗浄物が停止した状態で、所定位置に配された複数のノズルが配列されたノズルブロックが上から下降して停止する。そして、各ノズルから被洗浄物の各部を狙うように洗浄液が噴射される。
【0009】
なお、複数のノズルは、洗浄液のみが噴射される洗浄ノズルのみで構成してもよく、エアが噴射される洗浄ノズルや、洗浄液とエアが同時に噴射される洗浄ノズルを組み合わせて用いてもよい。これにより、複数のノズルが被洗浄物の各部を的確に狙うことができるので、被洗浄物が複雑な形状の場合も、確実に洗浄することができる。
【0010】
また、従来の洗浄装置であれば、洗浄室の壁面などに洗浄ノズルが配されているため、洗浄ノズルと被洗浄物までの距離があるところ、上下昇降するノズルブロックにより被洗浄物の近傍から洗浄液を噴射させることができるため、洗浄性能が従来よりも向上する。
【0011】
そして、洗浄後に仕切部を再度開放しアームを旋回させて第3作業室に旋回搬送し、仕切部を閉じて被洗浄物の乾燥を行い、その後仕切部を開放しアームを旋回させて第1作業室に旋回搬送し、仕切部を閉じて被洗浄物の取り外しを行う。なお、第3作業室にノズルブロックを配してもよい。この場合、ノズルブロックに配する複数のノズルは、エアが噴射されるエアノズルとし、複数のエアノズルからエアを噴射させ、被洗浄物の各部を乾燥させる構成とする。
【0012】
これにより、被洗浄物の洗浄、乾燥を一連の動作で行うことができる。また、この作業を複数のテーブルで順次行うことで、効率よく複数の被洗浄物の洗浄、乾燥を行うことができる。
【0013】
また、複数の作業室は、第1作業室と第2作業室と第3作業室に限られず、第4作業室や第5作業室があってもよく、それ以上の作業室があってもよい。作業室には、例えば、着脱室、洗浄室、水洗室、水切り室、乾燥室、高圧洗浄室、低圧洗浄室、回転洗浄室、固定洗浄室などがあり、作業室の数に応じて、これらから適宜選択してもよい。
【0014】
この洗浄装置は、前記ノズルブロックを複数備え、被洗浄物の洗浄時において、一対の前記ノズルブロックが、被洗浄物を狭むように対向して配されている構成としてもよい。この構成によれば、被洗浄物を挟み込むようにノズルブロックが所定位置で停止し、両側の複数のノズルから洗浄液等を噴射して、被洗浄物の各部を洗浄することができるので、より複雑な形状の被洗浄物の洗浄を効果的に行うことができる。
【0015】
また、被洗浄物の洗浄時において、さらにもう一対の前記ノズルブロックが、被洗浄物を狭むように対向するように配されていて、4つのノズルブロックが被洗浄物を囲むように配される構成とすることもできる。
【0016】
この洗浄装置は、前記ノズルブロックに設けられた複数のノズルが、被洗浄物の図面データに基づいて、被洗浄物の各部を狙うテンプレートによって定められた位置に配置されている。この構成によれば、被洗浄物の図面データに基づいたテンプレートによって、ノズルブロックに配列するノズル位置を定めるので、被洗浄物の各部位に確実に洗浄液等を噴射させることができ、極めて精度の高い洗浄を可能とする。
【0017】
この洗浄装置は、前記ノズルブロックが、被洗浄物を洗浄する状態の位置と、洗浄していない状態の位置とを移動可能にする駆動シリンダに接続され、前記駆動シリンダはこれらの位置を検知するセンサを備える。この構成によれば、ノズルブロックを所定位置で確実に停止することで、精度の高い洗浄を可能とする。また、ノズルブロックは、洗浄をしていない状態、すなわち、テーブルの旋回時などは、テーブルや被洗浄物に干渉しない位置に待避する。
【0018】
また、この洗浄装置は、前記ノズルブロックが、洗浄時において、被洗浄物の近傍に移動した後、揺動しながら洗浄液を噴射する構成とすることもできる。この構成によれば、ノズルブロックが揺動するので、被洗浄物の各部を狙う洗浄に加え、被洗浄物全体を洗浄することができる。
【0019】
また、この洗浄装置は、前記テーブルの上に被洗浄物を載置する治具を備え、前記治具は、被洗浄物を上方から押さえて保持する押さえ金具と、前記押さえ金具を回動可能に支持する支持部材と、前記押さえ金具を下向きに付勢するバネとを有し、さらに前記押さえ金具に負荷をかけることが可能な駆動シリンダを備えることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、洗浄時において、押さえ金具が被洗浄物を保持しながら洗浄できるので、洗浄液等の噴射による被洗浄物のズレなどが生じることを抑え、より正確な洗浄が可能となる。また、被洗浄物の駆動シリンダによって押さえ金具を解放することで、被洗浄物を着脱する場合に用いる。すなわち、昨今の洗浄工程では、オートメーション化が進んでおり、被洗浄物の着脱を、人を介さずにロボットにより行う場合に特に有用である。
【0021】
また、この洗浄装置は、前記治具が、前記駆動シリンダが前記押さえ金具に負荷をかけていない状態において、前記押さえ金具が、前記支持部材との取付部を回転軸として、前記バネによって被洗浄物を上方から押さえて保持し、前記駆動シリンダが前記押さえ金具に負荷をかけた状態において、前記押さえ金具が、前記支持部材との取付部を回転軸として、前記バネの付勢方向と逆向きに回動して、被洗浄物の保持を解放する構成とすることができる。
【0022】
また、この洗浄装置は、前記治具の前記押さえ金具が、前記支持部材と取り付けられる本体と、被洗浄物を押さえる押さえ部とを有し、前記本体は、前記支持部材に回動可能に取り付けられる取付部を境に、前記押さえ部並びに前記バネの端部が固定される部分と、前記支持部材から被洗浄物と反対方向に突出し、前記駆動シリンダにより負荷がかけられる部分とで構成される。
【0023】
この構成によれば、押さえ金具に負荷をかけない状態では、押さえ金具が被洗浄物を保持しており、駆動シリンダで負荷をかけるだけで、押さえ金具が回動して被洗浄物が解放されるので、シンプルな構造で、被洗浄物の保持と解放を行うことができる。
【0024】
また、この洗浄装置は、前記駆動シリンダが、前記押さえ金具に負荷をかけている状態と、負荷をかけていない状態とを検知するセンサを備える。この構成によれば、駆動シリンダの動作をセンサで検知して制御することが可能である。
【0025】
また、この洗浄装置は、前記テーブルが固定テーブルである構成としてもよく、回転テーブルである構成としてもよい。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明に係る洗浄装置によれば、複雑な被洗浄物の各部を精度良く洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態にかかる洗浄装置における回転テーブルの機構の概要を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる洗浄装置全体の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる洗浄装置全体の正面図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる洗浄装置全体の側面図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる洗浄装置の治具の概略を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態にかかる洗浄装置のノズルブロックの概略を示す斜視図である。
【
図7】別の実施形態にかかる洗浄装置における回転テーブルの機構の概要を示す平面図である。
【
図8】別の実施形態にかかる洗浄装置の回転テーブルとスプロケットの噛合部を拡大して示す平面図である。
【
図10】洗浄装置のノズルブロックの変形例を示す図である。
【
図11】洗浄装置の変形例を示す平面概念図である。
【
図12】洗浄装置の仕切部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づき説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。特に、以下に説明する実施形態において、数、寸法、材質などに言及する場合、本発明の範囲は必ずしもその数、寸法、材質などに限定されない。
【0029】
<1.洗浄装置の構成>
図1~
図6は本発明の洗浄装置の実施形態の一例を示すもので、
図1は回転テーブルの回転機構の概要を示す平面図、
図2は洗浄装置全体の平面図、
図3は同正面図、
図4は同側面図であり、
図5は治具の概略構成を示す側面図であり、
図6はノズルブロックの概略構成を示す斜視図である。
【0030】
本実施形態の洗浄装置1は、
図1に示すように、被洗浄物の着脱を行う着脱室2と、被洗浄物の洗浄を行う洗浄室3と、被洗浄物の乾燥を行う乾燥室4とを有する。本実施形態は、作業室が3室の一例である。なお、作業室は、3室でなくともよく、4室や5室、それ以上でもよい。例えば、取付室、取外室、着脱室、洗浄室、水洗室、水切り室、乾燥室、高圧洗浄室、低圧洗浄室などがあり、作業室の数に応じてこれらから適宜選択してもよいし、回転洗浄用の洗浄室、固定洗浄用の洗浄室など洗浄室や乾燥室が複数の構成としてもよい。
【0031】
図2に示すように、洗浄装置1は、正面の着脱室2が開放されていて、円形のテーブル5が露出している。そして、上下方向に配置される回転軸6を中心に3本のアーム7が120度の間隔で放射状に配設され、各アーム7の先端部にテーブル5の中心部が支軸8を介して回転可能に支持されている。
【0032】
回転軸6は洗浄装置1のハウジング1aの上面を貫通して上方へ突出し、ハウジング1a上に配備されたモータ9に接続され、本例では120度ずつ間欠的に旋回して停止する動作を繰り返す。本例では、モータ9とこれで駆動される回転軸6が、アーム7の回転機構を構成する。
【0033】
ハウジング1a内は、
図2のように洗浄室3と乾燥室4との2室に画成され、洗浄室3と乾燥室4との境界B、着脱室2と洗浄室3との境界Aおよび着脱室2と乾燥室4との境界Cに、仕切部11がそれぞれ配されている。
【0034】
そして、仕切部11は上下方向に昇降可能に配設され、
図3・
図4のようにハウジング1aの上面に立設されたエアシリンダ12により上方へ引き上げられて仕切りが開放され、エアシリンダ12により下降されることにより閉鎖される。なお、本実施形態においては、一例として、各エアシリンダ12はそれぞれ連動され、全ての仕切部11が一斉に昇降するようになっているが、これに限らず、エアシリンダ12の動作と仕切部11の昇降はそれぞれ個別に行う構成とすることもできる。
【0035】
また、
図5に示すように、テーブル5上には、治具10が取り付けられ、治具10に被洗浄物Wが取り付けられる。治具10は、被洗浄物Wを載置する載置台10Aと、支持部材10Bと、押さえ金具10Cと、バネ10Dとを主要な構成として備える。載置台10Aは、被洗浄物Wを載置するための台であり、底面の土台と土台の周縁に立設された周壁を有する。また、載置台10Aには垂直に立設した支持部材10Bが固定されている。そして、支持部材10Bの上部には、押さえ金具10Cが回動可能に取り付けられている。
【0036】
押さえ金具10Cは、支持部材10Bに取り付けられる本体10Caと、本体10Caの先端付近に固定された押さえ部10Cbとを有する。また、本体10Caには、被洗浄物Wを押さえ込む押さえ部10Cbと、支持部材10Bとの取付部10Baとの間に、バネ10Dの一端部が固定されている。なお、バネ10Dの他端部は、載置台10Aに固定されている。このバネ10Dは、下方向き、すなわち被洗浄物Wを押さえる向きに付勢されていて、バネ10Dによって、取付部10Baを回転軸として、押さえ金具10Cが被洗浄物Wを押さえる回動方向に付勢されている。これにより、被洗浄物Wが保持される。
【0037】
一方、本体10Caは、支持部材10Bに回動可能に取り付けられた取付部10Baを境に、押さえ部10Cb側の部分10CXと、取付部10Baから反対方向に突出する部分10CYとを有する。そして、取付部10Baから反対方向に突出する部分10CYが、上下に駆動する押さえ金具用のエアシリンダ13によって上方から押さえつけられることで、取付部10Baを回転軸として、押さえ金具10Cの押さえ部10Cbが被洗浄物Wから離れる方向に回動する。これにより、被洗浄物Wの保持が解放される。
【0038】
通常時、エアシリンダ13による押さえ金具10Cへの負荷はないので、通常時は被洗浄物Wが押さえ金具10Cに押さえつけられて保持された状態である。一方、エアシリンダ13が押さえ金具10Cに負荷をかけて、押さえ金具10Cが被洗浄物Wを解放状態とするのは、原則、被洗浄物Wを治具10から着脱する際である。また、本実施形態のエアシリンダ13は、着脱室2に固定されて設けられているが、治具10に固定されて設けられている構成とすることもできる。
【0039】
また、エアシリンダ13の先端には、押さえ金具10Cに負荷を直接かける押さえ具13Aが固定されていて、これが押さえ金具10Cの本体10Caを押さえつけて直接負荷をかける。また、エアシリンダ13は、2つのセンサ13Bが設けられていて、押さえ具13Aの上下の昇降を制御している。なお、センサ13Bの数は、2つに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0040】
上記のように、着脱室2において被洗浄物Wを治具10に取り付けた後に、エアシリンダ13を上方に駆動させて押さえ金具10Cへの負荷を解放し、被洗浄物Wが押さえ金具10Cに押さえつけられて保持される状態となる。そして、仕切部11を上昇させ、アーム7を120度旋回して、被洗浄物Wを載せたテーブル5を洗浄室3で停止させた後、仕切部11を下降させて洗浄室3を閉鎖する。
【0041】
図6に示すように、洗浄室3には、上方に複数のノズル14Aが配列されたノズルブロック14が配置されている。ノズルブロック14は、エアシリンダ15に取り付けられていて、上下方向に移動可能に配されている。本実施形態においては、1つのノズルブロック14を配した例であるが、被洗浄物Wを挟み込むように2つのノズルブロック14を配してもよく、被洗浄物Wの前後左右を囲むように4つのノズルブロック14を配してもよい。
【0042】
また、エアシリンダ15には、2つのセンサ15Aが設けられていて、ノズルブロック14の上下昇降の停止位置がこれらのセンサ15Aによって制御される。なお、センサ15Aの数は、2つに限られず、1つでもよく、3つ以上でもよい。
【0043】
ノズルブロック14には、複数のノズル14Aが配列されていて、各ノズル14Aから噴射される洗浄液が、被洗浄物Wの各部を正確に狙う構成となっている。なお、ノズル14Aは、洗浄液を噴射する洗浄ノズルのほか、エアを噴射するエアノズル、洗浄液とエアを同時に噴射する2流体ノズルのいずれを構成することもでき、これらを組み合わせることもできる。
【0044】
また、複数のノズル14Aの配列は、被洗浄物Wの図面データに基づいて、被洗浄物Wの重要な部位に洗浄液が当たるようにノズル配列テンプレートを作成し、このテンプレートにしたがってノズルブロック14に配列されている。これにより、被洗浄物Wの重要な部位に洗浄液が確実に噴射される。
【0045】
さらに、従来の洗浄装置のように、洗浄室の壁面などに洗浄ノズルを配置した場合と比較して、本実施形態のノズルブロック14は、被洗浄物Wと近い位置にもってくることができる。そのため、従来の洗浄装置と比べて、ノズル14Aと被洗浄物Wとの距離が近いので、洗浄液を強く正確に噴射させることができる。
【0046】
また、このとき、被洗浄物Wが治具10の押さえ金具10Cによって保持された状態で洗浄液が噴射されるので、洗浄液を被洗浄物Wの各部に正確に噴射できる。くわえて、押さえ金具10Cによる保持により、洗浄液の噴射によるズレも防止しながら正確な洗浄液の噴射が行えるので、被洗浄物Wが複雑な形状な場合にも精度の高い洗浄が可能である。
【0047】
なお、本実施形態のノズルブロック14では、被洗浄物Wの各部に正確に洗浄液を噴射させられるように、所定位置で停止して洗浄を行うものであるが、これに限られず、ノズルブロック14を上下に揺動させながらノズル14Aから洗浄液を噴射させることもできる。このようにすることで、被洗浄物Wの全体を洗浄することができる。また、ノズルブロック14を停止させての洗浄と、上下に揺動しての洗浄とを、双方行う構成とすることも可能である。
【0048】
なお、洗浄液を噴射するノズル14Aは、洗浄装置1の下部の洗浄液タンク22に配管を介して接続されており、配管の途中に介設された供給ポンプ16により洗浄液タンク22内の洗浄液が吸引され、ヒーター18で洗浄液が過熱されて、高圧下でノズル14Aより洗浄液が被洗浄物に向けて噴射される。また、ノズル14Aより噴出される洗浄液は、使用後に洗浄室の下部より洗浄機外に排出されて濾過されたのちタンク15に戻る。また、タンク15内の洗浄液は、循環ろ過ポンプ17によりろ過される。なお、図中の符号19はミストコレクター、符号20はオイルスキマー、符号21はろ過フィルターである。
【0049】
洗浄室3での洗浄が終了した後は、仕切部11を上昇させ、アーム7を120度旋回して、被洗浄物Wを載せたテーブル5を乾燥室4で停止させた後、仕切部11を下降させて乾燥室4を閉鎖する。そして、乾燥室4内において、被洗浄物Wを水切り、乾燥する。水切り、乾燥の方法は、ブロアによるものや、エアノズルによるものなど複数の方法を採用することが可能である。
【0050】
また、乾燥室4においても、上記した上下方向に移動可能なノズルブロック14を、上方に配することもできる。この場合、ノズルブロック14の複数のノズル14Aは、エアノズルとして、被洗浄物Wの近傍から各部に圧縮エアを噴射して水切り、乾燥を行うとよい。なお、エアノズルは、洗浄機外より供給された圧縮エアが被洗浄物へ向けて噴射される。また、別途コンプレッサを設けて、圧縮エアをエアノズルに供給する構成としてもよい。これにより、被洗浄物Wが複雑な形状の場合にも、各部を確実に乾燥することができる。
【0051】
乾燥室4での乾燥が終了した後は、仕切部11を上昇させ、アーム7を120度旋回して、被洗浄物Wを載せたテーブル5を着脱室2で停止させた後、仕切部11を下降させて着脱室2を閉鎖する。そして、着脱室2内において、押さえ金具用のエアシリンダ13を下方に駆動させて押さえ金具10Cを押さえ込む。これにより、押さえ金具10Cが取付部10Baを回転軸として、押さえ金具10Cの押さえ部10Cbが被洗浄物Wから離れる方向に回動する。これで、被洗浄物Wの保持が解放されるので、洗浄、乾燥後の被洗浄物Wを治具10から取り外す。
【0052】
ところで、上記した洗浄装置1では、各作業室2、3、4内における作業時間を、下記のように例えば2分間など所定時間に統一させるとともに、作業終了後に回転軸6によるアーム7の回転と停止およびエアシリンダ12による仕切部11の開閉動作を連動させる。
【0053】
以上のように構成される本実施例にかかる洗浄装置1においては、仕切部11や回転機構6、9などの各動作が下記のように連携させる。例えば、アーム7は回転機構6、9により120度ずつ一定時間間隔で回転し、アーム7の回転開始直前に全ての仕切部11が上昇して仕切りが開放され、アーム7の停止直後に全ての仕切部11が下降して閉鎖される。
【0054】
このように、本実施形態の洗浄装置1では、作業者は、着脱室2の前で、治具等に取り付けられた洗浄済み被洗浄物を取り外したのち、洗浄すべき被洗浄物を治具に取り付けるという作業を繰り返し継続して行うことで、2分おきに洗浄作業の終了した被洗浄物を取り出すことができる。
【0055】
治具に取り付けられる一群の被洗浄物は、2分間洗浄されたのち、乾燥が2分間行われ、治具への着脱の作業を2分と仮定すると合計時間で6分かかることになるが、上記のとおり2分ごとに洗浄作業の終了した被洗浄物を取り出せるので、1つ1つ洗浄、乾燥を行う場合に比べて1/3の時間に短縮できる。これは、被洗浄物の治具等への着脱の作業の間に、一方の洗浄室3では洗浄作業が行われ、他方の乾燥室4では乾燥作業が並行して同時に行われるためである。
【0056】
<2.洗浄装置の別の実施形態>
図7~
図9は、他の実施形態にかかる洗浄装置を示す平面図である。本実施形態2の洗浄装置30は、上記の実施形態の固定のテーブル5を回転テーブル40に変更した実施形態である。なお、回転テーブル40への変更に際して、回転テーブル40を回転させる構造や停止させる構造などを追加しているが、その他、実施形態1と同様の構成について同様の符号を用いる。実施形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0057】
図7は洗浄装置全体の平面図、
図8は回転テーブルの環状噛合部とスプロケットの噛合部を拡大して示す平面図、
図9は
図8のA-A線拡大断面図である。
【0058】
図7に示すように、洗浄装置30は、正面の着脱室2が開放されていて、環状枠40aを備えた円形の回転テーブル40が露出している。この回転テーブル40上には、治具10が載置され、そこに被洗浄物Wが取り付けられる。そして、上下方向に配置される回転軸6を中心に3本のアーム7が120度の間隔で放射状に配設され、各アーム7の先端部に回転テーブル40の中心部が支軸8を介して回転可能に支持されている。
【0059】
回転テーブル40の外形を構成する環状枠40aの側周壁には、後述するスプロケット31が噛み合うチェーン40bが取り付けられている。一方、洗浄室3と乾燥室4との室内において、停止状態におけるアーム7の延長線上には、環状枠40aのチェーン40bに噛合可能なスプロケット31が設けられている。
【0060】
スプロケット31は、その中心部が上下方向に貫通する回転支軸32に一体回転可能に固定されている。本実施形態では、2本の各回転支軸32がハウジング1aの上面に配備された駆動モータに接続されており、時計方向に間欠回転するアーム7と反対方向、すなわち反時計方向に定速回転する。なお、回転方向は本実施形態の一例であり、反時計方向にアーム7が間欠回転する構成とすることもでき、アーム7と回転テーブル40の回転方向が同方向に回転する構成とすることもできる。
【0061】
図8および
図9に示すように、アーム7が120度ずつ回転して停止する直前に、定速回転しているスプロケット31に対して環状枠40aのチェーン40bが噛み合う。つまり、スプロケット31の周速と、アーム7により間欠回転される環状枠40aの移動速度とがほぼ同一の速度に設定されており、両者の噛合部ではスプロケット31の歯31aと環状枠40aのチェーン40bとの移動方向が一致し、かつほぼ同一の速度になるので、スムーズに噛み合うことができる。
【0062】
そして、アーム7が定位置で停止することにより、環状枠40aのチェーン40bに噛み合って回転するスプロケット31によって回転テーブル40は時計方向に定速で回転する。これにより、回転テーブル40上の被洗浄物が、回転しながら洗浄ノズルから噴射される洗浄液によって洗浄される。なお、チェーン40bに代えて、環状枠40aの側周壁にスプロケット31に噛み合う複数の開口を設けることとしてもよい。また、スプロケット31に代えて、たとえばプーリを使用するとともに、プーリに添接接合可能な環状の回転伝達部を備えた回転テーブルを使用することもできる。
【0063】
このようにすることで、被洗浄物Wを回転テーブル40上で回転させながら洗浄液を噴射することで、被洗浄物Wの全体を洗浄することができる。ノズルブロック14を上下に揺動させながら洗浄液を噴射することで、さらに被洗浄物Wの全体をくまなく洗浄することができる。
【0064】
また、本洗浄装置30は、被洗浄物Wを回転テーブル40が固定された状態での洗浄も可能な構成となっている。回転テーブル40の固定状態での洗浄は、ノズルブロック14を下降させ、所定位置でノズルブロック14を停止させて、複数のノズル14Aから洗浄液を噴射して行う。
【0065】
そして、被洗浄物Wの各部分にノズル14Aからの洗浄液が正確に噴射されるように、回転テーブル40の環状枠40aには、検知ドグ34A(第1検知部)が1カ所取り付けられていて、また回転テーブル40の回転と共に回転する検知ドグ34Aの回転軌道上でこれが接する位置に検知センサ34B(第1検知センサ)が配されている。
【0066】
この構成によって、回転テーブル40が回転し、検知ドグ34Aが検知センサ34Bに接触したときに、スプロケット31の回転を停止させることで、回転テーブル40の回転が停止する構成となっている。これにより、被洗浄物Wの位置や向きを所定の状態で停止させることができる。
【0067】
さらに、回転テーブル40の環状枠40aには、ストッパー36(第1ストッパー)が噛み合う被係合部37が取り付けられている。ストッパー36は、被係合部37に噛み合う係合凸部36aと、これを前後方向に移動可能にするスライド機構36bとを備える。この被係合部37は、凹状に形成されていて、ストッパー36の係合凸部36aとがっちりと噛み合うようになっている。
【0068】
これにより、上記の検知センサ34Bの停止に加えて、ストッパー36によって物理的に回転テーブル40の回転を確実に停止させるとともに、回転テーブル40のがたつきなども防止して回転テーブル40の固定を確実に行う。
【0069】
このようにすることで、被洗浄物Wの位置と姿勢がしっかりと固定されるため、被洗浄物Wの各部を狙うノズル14Aによって、被洗浄物Wの各部をより正確に狙う精密な洗浄ができる。さらに、洗浄装置30においては、被洗浄物Wが治具10によってその姿勢が保持されているので、保持機能のない治具を用いる場合よりもさらに正確で精密な洗浄が可能となる。
【0070】
そして、乾燥室4においても、洗浄室3の場合と同様に、回転テーブル40の環状枠40aに設けられた検知ドグ34Aと、検知センサ34Bとにより、回転テーブル40の回転を所定の位置で停止させることで、被洗浄物Wの位置や向きを所定の状態で停止させることができる。これにより、被洗浄物Wの各部分にエアを正確に噴射させることができる。加えて、前述のストッパー36と、被係合部37とにより、さらに正確に被洗浄物の各部分にエアを噴射させることができ、精密な乾燥を実現できる。
【0071】
また、回転軸6には、3本のアーム7が延在するセンターボスが固定されていて、回転軸6の回転によりアーム7が回転する。回転軸6には、円環状テーブル33(載置テーブル)が固定されていて、円環状テーブル33はアーム7とそれぞれ固定されて、アーム7のぶれを防止している。
【0072】
また、円環状テーブル33には検知ドグ35A(第2検知部)が取り付けられていて、回転軸6及び円環状テーブル33の回転と共に回転する検知ドグ35Aの回転軌道上で、これが接する位置に検知センサ35B(第2検知センサ)が配されている。なお、この検知センサ35Bは2つ、所定の間隔をあけて配されていて、1つめが減速、2つめが停止としている。
【0073】
また、円環状テーブル33は必須の構成でなく、回転軸6やアーム7のセンターボスに検知ドグ35Aが取り付けられている構成としてもよい。また、検知ドグ35Aは、各アームの根本にそれぞれ取り付けられる構成としてもよい。
【0074】
これにより、回転軸6及び円環状テーブル33と共にアーム7が回転し、検知ドグ35Aが1つめの検知センサ35Bに接触したときに、これらの回転速度が減速し、検知ドグ35Aが2つめの検知センサ35Bに接触したときに回転が停止する。この構成によって、各アーム7を洗浄室や乾燥室などにおいて所定の位置で確実に停止させることができ、さらに洗浄や乾燥の精度が向上する。
【0075】
また、各アーム7の所定位置での停止については、本実施形態の洗浄装置30に、別途L型ストッパー38(第2ストッパー)が配されている。L型ストッパー38は、アーム7の先端側を係り止めることで、回転軸6及びアーム7の回転を物理的に停止させる。L型ストッパー38は、アーム7の回転時は、アーム7の先端の軌道上よりも外側に逃がして配されていて、アーム7を停止させようとする時に、アーム7の先端側の軌道上に移動させて噛み合わせることで、アーム7の旋回を確実に停止させる。これにより、回転テーブル40を、洗浄室3や乾燥室4内の所定の位置で確実に停止させることができる。
【0076】
そして、このアーム7の旋回を所定位置で停止させることによって、回転テーブル40を所定の位置で確実に停止させる構成と、前述の回転テーブル40の回転を所定位置で停止させることによる被洗浄物の位置や向きを所定の状態で停止させる構成とにより、被洗浄物の各部を正確に狙う精密な洗浄や乾燥ができる。
【0077】
<3.洗浄装置の変形例>
図10(a)(b)は、ノズルブロックの変形例である。上記した実施形態では、ノズルブロック14が上下昇降するものであるが、
図10(a)のように、水平方向に移動可能に構成することもできる。洗浄時には被洗浄物の近傍の洗浄位置まで移動し、待機状態には被洗浄物の旋回を妨げない待機位置に回避する。また、
図10(b)に示すように、ノズルブロックが矩形でなく、例えば被洗浄物を囲むように3辺の棒状のノズルブロックとしてもよい。
【0078】
図11(a)(b)は、他の実施形態にかかる洗浄装置を示す平面図である。
図11(a)に示す洗浄装置は、支持アームを4本に増やして回転機構により90度ずつ回転するようにした実施形態である。この場合、例えば洗浄室を回転洗浄用と固定洗浄用との2室に増やして洗浄能力を高めるなどすることができる。
【0079】
また、
図11(b)に示す洗浄装置は、支持アームを5本に増やして回転機構により72度ずつ回転するようにした実施形態である。この場合、例えば2つの洗浄室と、2つの乾燥室とするなどの構成としてよい。また、2つの洗浄室と、1つの乾燥室と、被洗浄物の取り付け室と取り外し室を別個の構成としてもよい。
【0080】
また、
図12(a)(b)に示すように、仕切部を別の構造とすることもできる。例えば、
図12(a)に示す仕切部は、左右一対の仕切部からなり、その開閉は観音開きにより行われる。
【0081】
また、その他仕切部の構造として、
図12(b)に示すように、左右一対の蛇腹状の構造として、左右方向への蛇腹の伸縮によって、仕切部を開閉する構成とすることもできる。この場合、被洗浄物の洗浄、乾燥にかかる時間を上下昇降の場合よりも抑えることができる。
【0082】
<4.本実施形態の洗浄装置の効果>
以上説明したように、本実施形態の洗浄装置には、次のような優れた効果がある。
本実施形態の洗浄装置は、一連の洗浄作業を構成する複数の工程を順にかつ並行して一斉に行うことができ、洗浄作業の効率および能力を極めて向上できて作業時間の短縮化が図れる。
【0083】
また、複数のノズル14Aが配列された上下昇降可能なノズルブロック14を用いることで、被洗浄物Wの各部に正確に、かつ、近傍から洗浄液を噴射させることができるので、精密な洗浄が可能である。さらに、洗浄時に被洗浄物Wが治具10によって保持されているので、被洗浄物Wの姿勢のズレや洗浄液の噴射によるズレなどが防止され、より精密な洗浄が可能となっている。また、着脱する際は、押さえ金具用のエアシリンダ13の操作によって被洗浄物Wの保持を解放できるので、エアシリンダ13を制御することで、ロボットによる着脱も可能となり、着脱、洗浄、乾燥の一連の工程をオートメーション化することも可能となる。
【0084】
また、回転テーブル40を回転させながら行う構成とした場合は、被洗浄物の全体を洗浄する回転洗浄と、回転テーブル40を停止して行う被洗浄物の各部を確実に洗浄する固定洗浄とを行うことができる。そして、固定洗浄の場合、検知ドグ34A及び検知センサ34Bや、ストッパー36及び係合部37により、回転テーブル40を所定の位置で確実に固定した状態で、各部を確実に洗浄及び乾燥をすることができる。
【0085】
加えて、検知ドグ35A及び検知センサ35B並びにL型ストッパー38により、アーム7及び回転テーブル40の停止位置も、所定の位置に確実に停止できるので、上記と相俟って、より確実に被洗浄物の各部を狙った洗浄や乾燥を確実に行うことができる。これらにより、複雑な形状の被洗浄物であっても、各部を狙った洗浄及び乾燥を確実に行うことができる。
【0086】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記の実施形態は駆動シリンダにエアシリンダを用いた例であるが、これに限られずエアシリンダ以外の駆動シリンダを用いてもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 洗浄装置
1a ハウジング
2 着脱室
3 洗浄室
4 乾燥室
5 回転テーブル
6 回転軸
7 アーム
8 支軸
9 モータ
10 治具
10A 載置台
10B 支持部材
10Ba 取付部
10C 押さえ金具
10Ca 本体
10Cb 押さえ部
11 仕切部
12 エアシリンダ
13 エアシリンダ
13A 押さえ具
13B センサ
14 ノズルブロック
14A ノズル
15 エアシリンダ
15A センサ
30 洗浄装置
31 スプロケット
32 回転支軸
33 円環状テーブル
34A 検知ドグ(第1検知部)
34B 検知センサ(第1検知センサ)
35A 検知ドグ(第2検知部)
35B 検知センサ(第2検知センサ)
36 ストッパー(第1ストッパー)
36a 係合凸部
36b スライド機構
37 被係合部
38 L型ストッパー(第2ストッパー)
40 回転テーブル
40a 環状枠
40b チェーン