(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】トリアゾロピラジン誘導体化合物を有効成分とする薬学的組成物のタブレット錠の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20250311BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20250311BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20250311BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250311BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20250311BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61K9/20
A61K9/28
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/22
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/38
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2023540100
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(86)【国際出願番号】 KR2021000759
(87)【国際公開番号】W WO2022149647
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002315
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517306400
【氏名又は名称】アビオン インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ジュンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク キュンエウィ
(72)【発明者】
【氏名】キム イェンムン
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535242(JP,A)
【文献】特表2019-517496(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1745741(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体、結合剤、崩壊剤及び賦形剤を含んで形成される異常増殖性疾患の治療のためのタブレット剤型組成物に関するものであり、
[化学式1]
前記結合剤は、微結晶セルロース、マンニトール、ポロキサマ、ステアリルフマル酸ナトリウムからなる群から選択される一つ以上であり、前記トリアゾロピラジン誘導体と結合剤の重量比は20:0.1乃至50:5であり、
前記崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムであり、前記トリアゾロピラジン誘導体と崩壊剤の重量比は20:0.1乃至50:5であり、
前記賦形剤は、コロイド状二酸化ケイ素であり、前記トリアゾロピラジン誘導体と賦形剤の重量比は25:55乃至50:70であることを特徴とするタブレット剤型組成物。
【請求項2】
前記異常増殖性疾患は肺癌、胃癌、
脾臓癌、
大腸癌、卵巣癌、腎細胞癌、前立腺癌及び肝臓癌のうちで選択される何れか一つであることを特徴とする請求項1に記載のタブレット剤型組成物。
【請求項3】
下記化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体、結合剤、崩壊剤及び賦形剤を含んで形成される異常増殖性疾患の治療のためのタブレット剤型の組成物を製造する方法に関するものであり、前記製造方法は次の段階を含んでなされて、
<化学式1>
化学式1のトリアゾロピラジン誘導体と崩壊剤、結合剤及び賦形剤を混合及び粉砕する第1段階と、
前記第1段階の組成物に結合剤をさらに追加して
500rpm乃至12000rpmのインペラ速度で顆粒工程を経って顆粒を製造する第2段階と、
前記第2段階で製造された組成物に崩壊剤をさらに追加して混合する第3段階と、
前記第3段階を経った組成物を
1乃至10kN/cmの圧力で圧縮する第4段階と、
前記第4段階を経った組成物を
10乃至30rpmのファン速度でコーティングする第5段階と、
前記結合剤は、微結晶セルロース、マンニトール、ポロキサマ、ステアリルフマル酸ナトリウムからなる群から選択される一つ以上であり、前記トリアゾロピラジン誘導体と結合剤の重量比は20:0.1乃至50:5であり、
前記崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムであり、前記トリアゾロピラジン誘導体と崩壊剤の重量比は20:0.1乃至50:5であり、
前記賦形剤は、コロイド状二酸化ケイ素であり、前記トリアゾロピラジン誘導体と賦形剤の重量比は25:55乃至50:70であることを特徴とするタブレット剤型の組成物の製造方法。
【請求項4】
前記第5段階であるコーティング段階で使用されるコーティング剤はオパドライであることを特徴とする請求項
3に記載のタブレット剤型の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記の化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体を有効成分とする薬学組成物をタブレット剤型で製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、下記の化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体(ABN401)を有効成分とする薬学組成物をタブレット錠で製造する方法に関するものである。
[化学式1]
【0003】
本発明者らは、チロシンキナーゼに対する抑制活性を有する前記化合物を発掘することで非正常的なチロシンキナーゼの活性によって誘発される多様な異常増殖性疾患(hyper proliferative disorder)を効率的に予防又は治療するための組成物を開発するために研究努力をした。
【0004】
薬物伝達システム(Drug Delivery System:DDS)とは、人体の必要部位或いは特定疾患部位に薬物を選択的に伝達することで、薬物による副作用を最小化して薬理作用を極大化するように薬物の剤型又は薬物の伝達方式を設計する技術を意味する。このようなDDSは、徐放性放出(sustained release:SR)システム、速放性放出(immediate release:IR)システム、制御放出(controlled release:CR)システム、標的志向的(targeted)DDSなどで分類することができる。SRシステムは、生体内利用率が低い、薬物の吸収がとても遅い、又は、薬物の体外消失率が高い場合、薬物の放出速度を遅くすることで、このような問題を最小化しようと設計された剤型である。IRシステムは、SRシステムに比べて薬物放出の持続性は相対的に短いが、単位時間当りに放出される速度を高くして生体内利用率を高めることで、短期間に高い薬物効率が必要な場合のために設計された剤型である。
【0005】
本発明の発明者らは、チロシンキナーゼに対する抑制活性を有する化合物であるトリアゾロピラジン及びこれの誘導体を発掘し、これを利用して非正常的なチロシンキナーゼの活性によって誘発される多様な異常増殖性疾患(hyper proliferative disorder)を効率的に予防又は治療することができるということを明らかにした。しかし、前記トリアゾロピラジン及びこれの誘導体の物理的特性を調査した結果、高い含有量と多くの微粉とによって流れ性及び打錠性が非常に悪いと評価された。前記の悪い流れ性及び打錠性によってトリアゾロピラジン及びこれの誘導体を速放性カプセル剤組成物として製造する場合、打錠障害と含有量不均一などの問題が発生する。これに対し、本発明の研究者らは、前記化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体化合物、結合剤として未結晶性セルロース(micro crystalline cellulose:MCC)を主要成分として崩壊剤として低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(Low-substituted hydroxypropyl cellulose:LH21)及び添加剤としてマンニトール、ポロキサマ(Kolliphor(登録商標) P188)などを含むタブレット錠を製造する場合薬物の流れ性、湧出速度及び混合均一性などの改善効果を確認し、本発明を完成した。
【0006】
本発明によれば、前記化学式1の化合物(ABN401)は、肝細胞成長因子(hepatocyte growth factor:HGF)と結合してリン酸化を不活性化させることで、細胞の増殖、移動、新生血管の形成を触発するc-Metキナーゼの活性を有意に抑制することで知られている。
【0007】
本明細書で用語「異常増殖性疾患(hyper proliferative disorder)」とは、正常に成長中の動物体内で一般的な制限手段によって調節されない過度な細胞の成長、分裂及び移動に起因して誘発される病的状態を意味する。本発明の組成物で予防又は治療する異常増殖性疾患には、例えば、癌、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒否、新生血管性緑内障、網膜症、増殖性網膜症、乾癬、リウマチ関節炎、骨関節炎、自己免疫疾患、クローン病、再発狭窄症、アテローム性動脈硬化、腸管接着、潰瘍、肝硬変症、糸球体腎炎、糖尿病性腎臓病症、悪性腎硬化症、血栓性微小血管症、器官移植拒否及び新糸球体病症(Transplant glomerulopathy)があるが、これらに限定されず、細胞の非正常的な増殖及び新生血管の過度な生成によって発生するすべての異常増殖性疾患が含まれる。
【0008】
より望ましくは、本発明の組成物で予防及び治療することができる異常増殖性疾患の一つである癌は肺癌、胃癌、膵膓癌、大膓癌、卵巣癌、腎細胞癌、前立腺癌又は肝臓癌などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、トリアゾロピラジン系化合物の悪い流れ性及び打錠性によって打錠障害と含有量不均一などの問題が発生したことを効率的に解決するために適切な賦形剤、結合剤及び崩壊剤を開発し、前記化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体を有効成分とする薬学組成物をタブレット錠で製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記化学式1で表現されるトリアゾロピラジン系化合物の悪い流れ性及び打錠性によって打錠障害と含有量不均一などの問題が発生したことを効率的に解決するために適切な賦形剤、結合剤、希釈剤及び崩壊剤を探索する過程で、賦形剤としては、マンニトール、結合剤として未結晶セルロース(MCC)及び低置換度ハイドロックシプロピルセルロース(L-HPC)を使用して崩壊剤としてポロキサマ(Kolliphor P188)及びデンプングリコール酸ナトリウム(Sodium Starch Glycolate)を含むタブレット錠を製造する場合に薬物の流れ性、湧出速度及び薬物放出の均質性において画期的な改善効果を確認することで本発明を完成した。
【発明の効果】
【0012】
本発明は前記化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体(ABN401)の悪い流れ性及び打錠性によって打錠障害と含有量不均一などの問題点を、本発明で提供する添加剤などを含んで製造されるタブレット錠を製造することによって効率的に解決することで、前記化合物の有用性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明で提供する薬物のタブレット錠の製造過程を図式化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による実施例を通じて本発明をより詳しく説明するが、本発明の範囲は下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0015】
本発明はc-Metキナーゼの活性を抑制させることで、多様な異常増殖性疾患(hyper proliferative disorder)を効率的に予防又は治療することができる前述した化学式1の化合物(ABN401)を有効成分とする薬学組成物をタブレット錠で製造する方法に関するものである。
【0016】
以下、次に説明される実施例は、多くの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明される実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、いわゆる当業者に対して本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0017】
本発明は、前記化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体(ABN401)を有効成分とする薬学組成物のタブレット錠を製造する方法及び前記方法に製造されたタブレット錠に関するものである。
【0018】
本発明で提供しようとする前記トリアゾロピラジン誘導体を有効成分とする薬物のタブレット錠を製造する方法は次の段階を含む。
【0019】
本発明で提供するタブレット錠の製造方法は、具体的には、
トリアゾロピラジン誘導体と崩壊剤、結合剤及び賦形剤とを混合(blending)及び粉砕(milling)する第1段階と、
前記第1段階の組成物に結合剤をさらに追加して顆粒工程を経って顆粒を製造する第2段階と、
前記第2段階で製造された組成物に結合液をさらに追加して混合する第3段階と、
前記第3段階を経った組成物を圧縮する第4段階と、
前記第4段階を経った組成物をコーティングする第5段階と、を
含む。
【0020】
本発明の前記第1段階及び第2段階で使用される結合剤は、未結晶セルロース(Microcrystalline Cellulose)、マンニトール(Mannitol)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(Low-substituted hydroxypropylcellulose、L-HPC、LH21)、ポロキサマ(Kolliphor P188)、フマル酸ステアリルナトリウム(Sodium Stearyl Fumarate)、乳糖一水和物、ソビトール及びスクロースのうちから選択される一つ以上の成分を含むことができる。
【0021】
本発明では、前記トリアゾロピラジン誘導体と前記結合剤との重量比は、20:0.1乃至50:5とすることができる。
【0022】
前記第2段階では、結合液をさらに添加することができ、結合液としては精製水を使用することができる。
【0023】
本発明の前記崩壊剤は、メチルセルロース、クロスポビドン、アルギン酸、クロスカルメロース、グリコール酸でん粉ナトリウム及びカルボキシメチルセルロースのうちから選択される何れか一つ以上とすることができる。
【0024】
本発明で、前記トリアゾロピラジン誘導体と前記崩壊剤との重量比は20:0.1乃至50:5とすることができる。
【0025】
本発明のタブレット錠は、前記結合剤及び崩壊剤外に賦形剤を追加することができる。
【0026】
本発明で使用される前記賦形剤は、滑剤、界面活性剤、流動化剤など薬物剤型の開発時に使用される添加剤としてコロイド二酸化珪素、三ケイ酸マグネシウム(Magnesium Trisilicate)、トウモロコシデンプン、タルク、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Carboxy methyl cellulose sodium)、クロスカルメロースナトリウム(Croscarmellose Sodium)、ポビドンK30(Povidone K30)、ポビドンK90(Povidone K90)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンプロピレングリコールコポリマー、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアリン、グリセリルベヘネート、エチルマルトール、ワックス、酢酸ナトリウム(Sodium acetate)、三水和物(trihydrate)などからなる群から選択される何れか一つ以上を含むことができる。
【0027】
本発明では、前記トリアゾロピラジン誘導体と前記賦形剤との重量比は25:55乃至50:70とすることとができる。
【0028】
本発明で提供する前記製造方法の第5段階であるコーティング段階で使用されるコーティング剤としては、Opadry(登録商標)を使用することができる。前記オパドライは、カラコン社で製造される固形で製造される薬物をコーティングするために広く使用される安全性が立証されたコーティング剤であり、タブレット錠の吸湿性、光安全性などを改善させることができる。前記オパドライは、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、酸化チタン、インディゴカーマインアルミニウムケーキなどを混合して製造されたものであり、薬物の表面の色によって前記成分外にブリリアントブルーでなどの着色剤化合物を添加することができる。
【0029】
前記第2段階の顆粒工程では、Gerteis Minipactor(登録商標)の高せん断顆粒化器を使用し、前記高せん断顆粒化器を利用して顆粒を製造する段階は、400rpm乃至12000rpmのインペラ速度で、撒布される結合液の量は25μl/s乃至75μl/sであることがあって、望ましくは500rpm乃至12000rpmのインペラ速度で撒布される結合液の量は50μl/s乃至250μl/sであることがある。
【0030】
前記顆粒を乾燥する段階は、流動層乾燥器で遂行されることができる。流動層乾燥器は、この製薬、化学、食品などの粉末、細粒、顆粒の乾燥混合などに使用され、被乾燥物をコンテナ内に積載し、加熱された空気と共に上部に浮遊し、流動しながら乾燥させる機器である。
【0031】
前記第4段階である圧縮段階ではロータリータブレット圧縮機(Beta Press SADE)を適用し、1乃至10kN/cmの圧力を適用することができる。
【0032】
前記第5段階であるコーティング段階ではO‘Haraテクノロジー社のLabcoatタブレット錠コーティングシステムを使用し、ファン速度は10乃至30rpmを適用することができる。
【0033】
以下、本発明の理解を助けるために望ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより簡易に履行するために提供されることであるだけで、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0034】
実施例1:ABN401を有効成分で含む多様なタブレット錠の製造
本発明において有効成分として使用されるABN401は、高い含有量と多く微粉を有する。したがって、タブレット組成物として製造する場合、ABN401は、タブレット化が困難で含有量が不均一となる問題を有する。前記の問題を解決するために、先ずABN401と賦形剤間の相互安全性試験を通じて安全性が確保された賦形剤(MCC、LM、LH21、CMC-Na)を利用して湧出率に有意的に影響を及ぼす賦形剤を選定するスクリーニング実験を遂行した。前記賦形剤、結合剤及び賦形剤の種類とこれらの含有量によって、ABN401、賦形剤、結合剤及び崩壊剤を高速化顆粒化器(high-shear granulator)に入れて500rpm回転速度で5分間混合した。前記混合物を800rpmで4分間混合しながら顆粒が製造されるまで、精製水を20秒当たり1mlずつ入れながら顆粒を製造した。製造された顆粒は60℃オーブンで略1時間30分乾燥させた。
【0035】
乾燥させた顆粒は25号篩にかけ、上記混合物の崩壊剤の種類及び含有量を配合量に応じて添加し、略5分間混合した。前記の過程を通じてABN401の含有量が5mg、25mg、100mg及び200mgである四種類の実施例を通じて製造された固形の薬学組成物の表面を、Opadryを利用してコーティングして正確な量を測定し、これを下の表に示した。下記の表に提示された各数字はタブレット当たり含まれる含有量を示し、各実施例に該当する含有量別にタブレット30個ずつを製造した。
【0036】
前記各成分の含有量は下の表1に記載した。
【表1】
実験例1:実施例1乃至4のABN401タブレット湧出率測定
前記実施例1乃至4のタブレット錠で湧出されるABN401の湧出率を測定するために次のように準備した。
【0037】
本発明のタブレット錠の薬物の湧出率の測定はHPLC方法を用いて行い、そのために先ず湧出バッファー溶液として5Nの塩酸を蒸溜水に希釈して0.1N塩酸溶液900mlを準備して37℃で加熱した。
【0038】
HPLA方法で薬物の移動状を測定するために、pH9.4の20mMアムモニウムカーボネイト溶液とアセトナイトリル溶媒とにTEAを希釈して1%TEA溶液1リットルをそれぞれ分泌した後前記アムモニウムカーボネイト溶液とTEA溶液をボリューム比600:400で混合した。
【0039】
HPLC移動状の測定は、前記の混合された溶液に前記実施例1乃至4の試料サンプルをそれぞれ25μlを投与して、大韓藥典湧出試験法に決められたパドル法で実施した。決められた時間(5分、10分、20分、30分、45分、無限大)に薬物の湧出量を紫外可視分光光度計(Jasco社製V-730)で、282nmで吸光度を測定して定量分析を実施した。前記湧出実験結果を表2に示す。各実施例によって製造されたタブレット錠は、すべて湧出開始後20分内にほとんど100%の湧出を示した。各数字はパーセント湧出率を示す。
【表2】
【0040】
前記の結果から、本発明で製造される化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体を有効成分とするタブレット錠は、すべて湧出開始後20分以内にほとんど100%の湧出を示して、本発明で提供されたタブレット錠は速放性製剤で使用されることに好適な剤型であることがわかる。
実験例2:実施例1乃至4のABN401タブレット錠の厚さ及び強度測定
【0041】
前記実施例1乃至4によって製造されたタブレット錠の物理的な安全性を確認するために、各タブレット錠の厚さ及び強度を測定した。その結果を表3に示す。
【表3】
【0042】
前記の実施例及び実験例から、本発明で提供する化学式1で表現されるトリアゾロピラジン誘導体を有効成分とするタブレット錠は、薬物の湧出率、厚さ及び強度で確認されるところのように、経口投与のための速放性薬物製剤として好適なことで現われた。
【0043】
前記発明の技術思想は、前記実施例及び実験例で限定されるものではなく、本発明の技術的思想を変更しない範囲をすべて含むものであることは当業者にとって自明である。
【産業上利用可能性】
【0044】
本発明は、産業上利用可能である。