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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】超音波診断装置及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020093551
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021186208
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】天城 星奈
(72)【発明者】
【氏名】今村 智久
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正毅
(72)【発明者】
【氏名】高田 優子
【合議体】
【審判長】南 宏輔
【審判官】▲高▼見 重雄
【審判官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-39645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像と当該超音波画像における計測部位の輪郭とによって学習された学習済モデルに、被検体の超音波画像を入力し、当該学習済モデルによって出力された、前記被検体の超音波画像における計測部位を内包し、当該計測部位の輪郭に外接する外接矩形を第1矩形として出力する検出部と、
前記第1矩形の位置情報に基づいて、前記計測部位の輪郭を近似した楕円が前記第1矩形に内接する複数の点を、前記計測部位を計測するための複数の計測点として推定する推定部と、
前記計測点に関する情報を出力させる出力部と、
を備え、
前記推定部は、前記複数の計測点を用いて、前記計測部位を計測する、
超音波診断装置。
【請求項2】
超音波画像と当該超音波画像における計測部位の輪郭とによって学習された学習済モデルに、被検体の超音波画像を入力し、当該学習済モデルによって出力された、前記被検体の超音波画像における計測部位を内包し、当該計測部位の輪郭に外接する外接矩形を第1矩形として出力する検出部と、
前記第1矩形の位置情報に基づいて、前記計測部位の輪郭を近似した楕円が前記第1矩形に内接する複数の点を、前記計測部位を計測するための複数の計測点として推定する推定部と、
前記計測点に関する情報を出力させる出力部と、
を備え、
前記検出部は、
前記学習済モデルを用いて、前記被検体の超音波画像から、所定の構造物を検出し、
前記所定の構造物の位置情報と、前記第1矩形の位置情報とに基づいて、前記被検体の超音波画像に対して回転処理を行い、
前記回転処理が行われた超音波画像から、前記計測部位を内包する第2矩形を検出し、
前記推定部は、前記複数の計測点として、前記第1矩形の位置情報に基づく計測点を、前記第2矩形の位置情報に基づく計測点に更新し、
前記出力部は、前記第2矩形の位置情報に基づく計測点に関する情報を出力させる、
超音波診断装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記所定の構造物と前記第1矩形の中心とを結ぶ線分の方向が、前記被検体の超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となるように、前記回転処理を行う、
請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記線分の方向が、前記被検体の超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となる場合は、前記回転処理を行わない、
請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記計測部位の輪郭を楕円で近似している場合、当該楕円の長軸または短軸が、前記被検体の超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となるように、前記回転処理を行う、
請求項2~4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記計測部位の輪郭を矩形で近似している場合、当該矩形の一辺が、前記被検体の超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となるように、前記回転処理を行う、
請求項2~4のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記複数の計測点の位置を示すマークが、前記被検体の超音波画像に描出された画像を表示部に表示させる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記複数の計測点の位置を示すマークが、前記回転処理が行われる前の超音波画像に描出された画像を表示部に表示させる、
請求項2~6のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記計測部位が胎児の腹部である場合、前記所定の構造物は、前記胎児の脊椎である、
請求項2~6、8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記計測部位が胎児の頭部である場合、前記所定の構造物は、前記胎児の透明中隔腔および四丘体槽の少なくとも1つである、
請求項2~6、8のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
超音波画像と当該超音波画像における計測部位の輪郭とによって学習された学習済モデルに、被検体の超音波画像を入力し、当該学習済モデルによって出力された、前記被検体の超音波画像における計測部位を内包し、当該計測部位の輪郭に外接する外接矩形を第1矩形として出力する検出部と、
前記第1矩形の位置情報に基づいて、前記計測部位の輪郭を近似した楕円が前記第1矩形に内接する複数の点を、前記計測部位を計測するための複数の計測点として推定する推定部と、
前記計測点に関する情報を出力する出力部と、
を備え、
前記推定部は、前記複数の計測点を用いて、前記計測部位を計測する、
画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像は、胎児の発育を確認するために用いられている。例えば、超音波診断装置は、超音波画像を用いることにより、胎児の児頭大横径(BPD:biparietal diameter)、児頭周囲長(HC:head circumference)、腹部周囲長(AC:abdominal circumference)、大腿骨長(FL:femur length)、上腕骨長(HL:humerus length)等のパラメータを計測することができる。
【0003】
ここで、BPD、HC、AC、FL、HL等のパラメータを計測する際、輝度に基づく画像処理により、計測部位を計測するための計測点を推定する方法が知られている。しかし、かかる方法では、超音波画像において、実際の計測部位の輪郭よりも輝度が高い部分が存在する場合、当該輝度が高い部分につられて、計測点が推定される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-115559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、超音波画像を用いた計測の精度を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る超音波診断装置は、検出部と、推定部と、出力部とを備える。検出部は、超音波画像から、計測部位を内包する第1矩形を検出する。推定部は、前記第1矩形の位置情報に基づいて、前記計測部位を計測するための計測点を推定する。出力部は、前記計測点に関する情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、計測部位を計測するときの問題点を説明するための図である。
図3図3は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図4図4は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図5図5は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図6図6は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図7図7は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図8図8は、本実施形態に係る超音波診断装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図9図9は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図10図10は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図11図11は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図12図12は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図である。
図13図13は、本実施形態における学習済モデル生成装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置及び画像処理装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
【0009】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを備える。超音波プローブ101、入力装置102、およびディスプレイ103は、それぞれ装置本体100に接続される。
【0010】
超音波プローブ101は、超音波の送受信(超音波スキャン)を実行する。例えば、超音波プローブ101は、被検体Pの体表面(例えば、妊婦の腹部)に接触され、妊婦の子宮内の胎児の少なくとも一部を含む領域に対して、超音波の送受信を実行する。超音波プローブ101は、複数の圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は、電気信号(パルス電圧)と機械振動(音による振動)とを相互に変換する圧電効果を有する圧電素子であり、装置本体100から供給される駆動信号(電気信号)に基づいて、超音波を発生させる。発生した超音波は、被検体P内の音響インピーダンスの不整合面で反射され、組織内の散乱体によって散乱された成分等を含む反射波信号(電気信号)として複数の圧電振動子にて受信される。超音波プローブ101は、複数の圧電振動子にて受信した反射波信号を装置本体100へ送る。
【0011】
なお、本実施形態では、超音波プローブ101は、所定方向に1次元で配列された複数の圧電振動子を有する1Dアレイプローブや、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2Dアレイプローブや、1次元で配列された複数の圧電振動子が機械的に揺動することで3次元領域を走査するメカニカル4Dプローブなど、如何なる形態の超音波プローブが用いられてもよい。
【0012】
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、ホイール、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0013】
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。また、ディスプレイ103は、装置本体100の処理状況を操作者に通知するために、各種のメッセージを表示する。なお、ディスプレイ103は、「表示部」の一例である。
【0014】
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて、超音波画像データを生成する装置である。装置本体100により生成される超音波画像データは、2次元の反射波信号に基づいて生成される2次元の超音波画像データであってもよいし、3次元の反射波信号に基づいて生成される3次元の超音波画像データであってもよい。
【0015】
図1に示すように、装置本体100は、例えば、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像処理回路140と、画像メモリ150と、記憶回路160と、制御回路170とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像処理回路140、画像メモリ150、記憶回路160、および制御回路170は、通信可能に互いに接続される。また、装置本体100は、院内のネットワーク2に接続される。
【0016】
送受信回路110は、超音波プローブ101による超音波の送信を制御する。例えば、送受信回路110は、制御回路170の指示に基づいて、振動子ごとに所定の送信遅延時間が付与されたタイミングで超音波プローブ101に上述の駆動信号(駆動パルス)を印加する。これにより、送受信回路110は、超音波がビーム状に集束された超音波ビームを超音波プローブ101に送信させる。
【0017】
また、送受信回路110は、超音波プローブ101による反射波信号の受信を制御する。反射波信号は、上述のように、超音波プローブ101から送信された超音波が被検体Pの体内組織で反射された信号である。例えば、送受信回路110は、制御回路170の指示に基づいて、超音波プローブ101が受信した反射波信号に所定の遅延時間を与えて加算処理を行う。これにより、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。そして、送受信回路110は、加算処理後の反射波信号をベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)と直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)とに変換する。そして、送受信回路110は、I信号及びQ信号(以下、IQ信号と記載する)を反射波データとして、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130へ送る。なお、送受信回路110は、加算処理後の反射波信号を、RF(Radio Frequency)信号に変換した上で、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130へ送ってもよい。IQ信号や、RF信号は、位相情報が含まれる信号(反射波データ)となる。
【0018】
Bモード処理回路120は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データに対して各種の信号処理を行う。Bモード処理回路120は、送受信回路110から受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点(観測点)ごとの信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。Bモード処理回路120は、生成したBモードデータを画像処理回路140へ送る。
【0019】
また、Bモード処理回路120は、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行うための信号処理を実行する。ハーモニックイメージングとしては、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や組織ハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)が知られている。また、コントラストハーモニックイメージングや組織ハーモニックイメージングには、スキャン方式として、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、「Pulse Subtraction法」や「Pulse Inversion法」と呼ばれる位相変調(PM:Phase Modulation)、及び、AMとPMとを組み合わせることで、AMの効果及びPMの効果の双方が得られるAMPM等が知られている。
【0020】
ドプラ処理回路130は、送受信回路110が反射波信号から生成した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を走査領域内の各サンプル点で抽出したデータを、ドプラデータとして生成する。ここで、移動体の運動情報とは、移動体の平均速度、分散値、パワー値等の情報であり、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。ドプラ処理回路130は、生成したドプラデータを画像処理回路140へ送る。
【0021】
例えば、移動体が血流である場合、血流の運動情報は、血流の平均速度、分散値、パワー等の情報(血流情報)である。血流情報は、例えば、カラードプラ法により得られる。
【0022】
カラードプラ法では、まず、超音波の送受信が同一の走査線上で複数回行われ、次に、MTI(Moving Target Indicator)フィルタを用いて、同一位置(同一サンプル点)の反射波データのデータ列を表す信号に対して特定の周波数帯域の信号を通過させ、それ以外の周波数帯域の信号を減衰させる。すなわち、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ成分)を抑制させる。これにより、反射波データのデータ列を表す信号から、血流に関する血流信号が抽出される。そして、カラードプラ法では、抽出した血流信号から、血流の平均速度、分散値、パワー等の血流情報を推定し、推定した血流情報をドプラデータとして生成する。
【0023】
画像処理回路140は、画像データ(超音波画像データ)の生成処理や、画像データに対する各種の画像処理等を行う。例えば、画像処理回路140は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから、反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像処理回路140は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから、血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、血流の平均速度を表す速度画像データ、血流の分散値を表す分散画像データ、血流のパワーを表すパワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。画像処理回路140は、ドプラ画像データとして、血流の平均速度、分散値、パワー等の血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像データを生成したり、1つの血流情報がグレースケールで表示されるドプラ画像データを生成したりする。
【0024】
ここで、画像処理回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像処理回路140は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像処理回路140は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像処理回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0025】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像処理回路140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像処理回路140は、スキャンコンバート処理前の2次元超音波画像データから、表示用の2次元超音波画像データを生成する。
【0026】
更に、画像処理回路140は、Bモード処理回路120が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像処理回路140は、ドプラ処理回路130が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元ドプラ画像データを生成する。
【0027】
更に、画像処理回路140は、ボリューム画像データをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリューム画像データに対してレンダリング処理を行う。画像処理回路140が行うレンダリング処理としては、例えば、多断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリューム画像データからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像処理回路140が行うレンダリング処理としては、例えば、3次元画像の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。また、画像処理回路140が行うレンダリング処理としては、例えば、3次元画像の表面情報のみを抽出した2次元画像データを生成するサーフェスレンダリング(SR:Surface Rendering)処理がある。
【0028】
画像処理回路140は、生成した画像データや、各種の画像処理を行った画像データを、画像メモリ150に格納する。なお、画像処理回路140は、各画像データの表示位置を示す情報、超音波診断装置1の操作を補助するための各種情報、患者情報等の診断に関する付帯情報についても画像データとともに生成し、画像メモリ150に格納してもよい。
【0029】
また、本実施形態に係る画像処理回路140は、画像生成機能141と、検出機能142と、推定機能143と、表示制御機能144とを実行する。なお、検出機能142は、検出部の一例である。推定機能143は、推定部の一例である。表示制御機能144は、出力部の一例である。
【0030】
ここで、図1に示す画像処理回路140の構成要素である画像生成機能141、検出機能142、推定機能143、表示制御機能144が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路160に記録されている。画像処理回路140は、各プログラムを記憶回路160から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の画像処理回路140は、図1の画像処理回路140内に示された各機能を有することとなる。画像処理回路140が実行する画像生成機能141、検出機能142、推定機能143、表示制御機能144の処理内容については、後述する。
【0031】
なお、図1においては、単一の画像処理回路140において、画像生成機能141、検出機能142、推定機能143、表示制御機能144にて行われる各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0032】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路60に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路60にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0033】
画像メモリ150及び記憶回路160は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。
【0034】
画像メモリ150は、超音波画像データとして、画像処理回路140が生成したBモード画像データやドプラ画像データ等の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、超音波画像データとして、Bモード処理回路120が生成したBモードデータやドプラ処理回路130が生成したドプラデータ等の画像データを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶する超音波画像データは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像処理回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。
【0035】
記憶回路160は、超音波送受信、画像処理および表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路160が記憶するデータは、図示しないインタフェース部を介して、外部装置へ転送することができる。なお、外部装置は、例えば、画像診断を行なう医師が使用するPC(Personal Computer)や、CDやDVD等の記憶媒体、プリンター等である。また、記憶回路160は、超音波診断装置1がネットワーク2上でアクセス可能であれば、超音波診断装置1に内蔵されていなくてもよい。
【0036】
また、記憶回路160は、学習済モデル400を記憶する。学習済モデル400は、超音波スキャンを過去に実施したときの超音波画像データと、当該超音波画像データにおける計測部位を含む領域を表す学習用データとを用いた学習により生成されたモデルである。当該学習としては、例えば、ニューラルネットワークを基にしたAI(Artificial Intelligence)を用いた学習や機械学習等が挙げられる。当該学習により、学習済モデル400は、入力データである超音波画像データの入力を受けて、当該超音波画像データにおける計測部位を含む領域を検出した結果を示す出力データを出力するように機能付けられている。ここで、計測部位としては、胎児の頭部、腹部、大腿部、上腕部などが挙げられる。学習済モデル400の使用や生成については後述する。
【0037】
制御回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御回路170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路160から読み込んだ各種制御プログラムおよび各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像処理回路140等の処理を制御する。
【0038】
なお、装置本体100に内蔵される送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像処理回路140、および制御回路170等は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、集積回路等)のハードウェアにより構成されることもあるが、ソフトウェア的にモジュール化されたプログラムにより構成される場合もある。
【0039】
このように構成される超音波診断装置1は、例えば、妊婦の子宮内の胎児の発育を確認する用途として、超音波プローブ101が、妊婦の子宮内の胎児の一部(計測部位)を含む領域に対して超音波の送受信(超音波スキャン)を実行し、画像処理回路140が、そのスキャン結果に基づいて、計測部位を含む領域が画像化された超音波画像を生成する。例えば、超音波診断装置1では、キャリパ(caliper)を用いたマニュアル計測ではなく、超音波画像から胎児の頭部や腹部等の計測部位を自動検出して、胎児の児頭大横径(BPD)、児頭周囲長(HC)、腹部周囲長(AC)、大腿骨長(FL)、上腕骨長(HL)等のパラメータを計測するための計測点を推定する。また、超音波診断装置1では、上記計測点を用いて計測されたパラメータを用いることにより、推定胎児体重(EFW)を算出することができる。
【0040】
以上、本実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係る超音波診断装置1では、超音波画像を用いた計測の精度を向上させることができる。
【0041】
例えば、BPD、HC、AC、FL、HL等のパラメータを計測する際、輝度に基づく画像処理により、計測部位を計測するための計測点を推定する方法が知られている。具体的には、超音波画像から、BPD、HC、AC等のパラメータを計測する場合では、頭部や腹部等の計測部位の輪郭を楕円で近似し、輝度値に基づいて超音波画像内で楕円形状の高輝度領域を検出することにより、当該計測部位を計測するための計測点を推定する。かかる場合、計測点は、楕円の長軸の端点や短軸の端点である。同様に、超音波画像から、FL、HL等のパラメータを計測する場合では、大腿骨や上腕骨等の計測部位に該当する棒状の領域を、輝度値に基づいて超音波画像内で検出し、当該計測部位を計測するための計測点を推定する。かかる場合、計測点は、棒状の領域の両端点である。しかし、この方法を適用する場合、以下のような問題点がある。
【0042】
図2は、計測部位を計測するときの問題点を説明するための図である。例えば、超音波画像からHCを計測する場合、図2に示すように、輝度を用いて、計測部位の輪郭を近似した楕円HC100を検出することにより、当該計測部位を計測するための計測点P101~P103を推定する。しかし、超音波画像において、楕円HC100で表す実際の計測部位の輪郭よりも輝度が高い部分が存在する場合、当該輝度が高い部分につられて、計測点が推定される可能性がある。例えば、図2に示すように、楕円HC100で表す輪郭よりも輝度が高い部分が存在し、当該部分を含むように楕円HC200が検出された場合、計測部位の外側に位置する点P201が計測点として推定される。このように、輝度に基づいて計測部位を検出する場合、計測部位以外の高輝度な部分により、正しい計測点が推定されない可能性があるため、BPD、HC、AC、FL、HL等のパラメータを精度よく計測することができない場合があった。
【0043】
そこで、本実施形態に係る超音波診断装置1では、検出機能142は、超音波画像から、計測部位を内包する第1矩形を検出する。推定機能143は、第1矩形の位置情報に基づいて、計測部位を計測するための計測点を推定する。表示制御機能144は、計測点に関する情報を出力する。
【0044】
以下では、図3図8を用いて、画像生成機能141、検出機能142、推定機能143、表示制御機能144の各機能について説明する。
【0045】
図3図7は、本実施形態に係る超音波診断装置1の画像処理回路140による処理を説明するための図である。図3図7では、例えば、超音波診断装置1が超音波画像を用いることにより、胎児の腹部周囲長(AC)を計測する場合の説明図である。この場合、計測部位は、胎児の腹部である。図8は、本実施形態に係る超音波診断装置1による処理の手順を示すフローチャートである。図8では、超音波診断装置1全体の動作(画像処理方法)を説明するフローチャートを示し、各構成要素がフローチャートのどのステップに対応するかを説明する。
【0046】
図8のステップS101は、超音波プローブ101により実施されるステップである。ステップS101では、超音波プローブ101は、超音波スキャンを実施する。具体的には、超音波プローブ101は、被検体Pの体表面(妊婦の腹部)に接触され、妊婦の子宮内の胎児の一部(計測部位)を含む領域に対して超音波スキャンを実行し、超音波スキャンの結果として、上記領域の反射波信号を収集する。
【0047】
図8のステップS102は、画像処理回路140が記憶回路160から画像生成機能141に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS102では、画像生成機能141は、超音波画像を生成する。
【0048】
具体的には、画像生成機能141は、超音波プローブ101により得られた反射波信号に基づいて、図3に示すような超音波画像200を生成する。超音波画像200は、計測部位を含む領域が画像化された超音波画像データである。ここで、画像生成機能141は、Bモード処理回路120により生成されたBモードデータを用いてBモード画像データを生成することで、上記超音波画像200を生成してもよいし、画像メモリ150が記憶する超音波画像データを用いて、上記超音波画像200を生成してもよい。
【0049】
図8のステップS103は、画像処理回路140が記憶回路160から検出機能142に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS103では、検出機能142は、超音波画像200から、計測部位を内包する第1バウンディングボックスを検出する。
【0050】
具体的には、まず、検出機能142は、記憶回路160から読み出した学習済モデル400を用いて、超音波画像200から、計測部位を検出する。学習済モデル400は、入力データである超音波画像データの入力を受けて、当該超音波画像データにおける計測部位を検出した結果である出力データを出力する。例えば、学習済モデル400は、計測部位である腹部の輪郭を近似した楕円を内包する矩形を、出力データとして出力する。かかる矩形は、バウンディングボックス(外接矩形)とも呼ばれる。検出機能142は、学習済モデル400に超音波画像200を入力することで、楕円で輪郭が近似された胎児の腹部の位置および大きさを示し、胎児の腹部を内包するバウンディングボックスとして、図4に示すような第1バウンディングボックス210を検出する。第1バウンディングボックス210は、「第1矩形」の一例である。
【0051】
また、検出機能142は、学習済モデル400を用いて、超音波画像200から、所定の構造物を検出する。学習済モデル400は、入力データである超音波画像データの入力を受けて、当該超音波画像データにおける所定の構造を検出した結果である出力データを出力する。計測部位が胎児の腹部である場合、所定の構造物は、胎児の脊椎である。例えば、図4に示すように、検出機能142は、学習済モデル400に超音波画像200を入力することで、脊椎202を検出し、出力データとして出力する。
【0052】
ここで、推定機能143は、第1バウンディングボックス210の位置情報に基づいて、胎児の腹部を計測するための仮の計測点を推定する。例えば、図4に示すように、推定機能143は、胎児の腹部の輪郭を近似した楕円が第1バウンディングボックス210に内接する点211~213を、仮の計測点として推定する。計測点211~213は、第1バウンディングボックス210に内接する楕円の長軸の端点や短軸の端点となり、第1バウンディングボックス210の長辺の中点や、短辺の中点となる。
【0053】
図8のステップS104は、画像処理回路140が記憶回路160から検出機能142に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS104では、検出機能142は、第1バウンディングボックス210の位置情報と、所定の構造物の位置情報とに基づいて、計測部位の向きを検出する。
【0054】
具体的には、まず、検出機能142は、図4に示すように、超音波画像200において、第1バウンディングボックス210の中心C210と、所定の構造物である胎児の脊椎202の中心とを結ぶ線分L210を検出する。次に、検出機能142は、線分L210の方向を、計測部位である胎児の腹部の向きとして検出する。図4に示す一例では、線分L210の方向は、超音波画像200が表示される画面の縦方向または横方向を基準とした場合に、時計回りまたは反時計回りに角度θだけ傾いていることを表している。超音波画像200が表示される画面の縦方向、横方向とは、それぞれ、超音波画像200の画素の列方向、行方向に相当する。例えば、図4に示すように、線分L210の方向は、超音波画像200が表示される画面の縦方向を基準とした場合に、反時計回りに角度θだけ傾いている。
【0055】
図8のステップS105は、画像処理回路140が記憶回路160から検出機能142に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS105では、検出機能142は、ステップS104で検出した計測部位が傾いているか否かを判定する処理を行う。
【0056】
上述したように、検出機能142が検出した線分L210の方向は、計測部位である胎児の腹部の向きとして見なすことができる。例えば、超音波画像200に描出されている腹部は、超音波画像200が表示される画面の縦方向を基準とした場合に、反時計回りに角度θだけ傾いていると見なすことができる。この場合、ステップS105の判定処理において、検出機能142は、ステップS104で検出した計測部位が傾いていると判定する(ステップS105;Yes)。
【0057】
図8のステップS106は、画像処理回路140が記憶回路160から検出機能142に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS106では、検出機能142は、ステップS104で検出した計測部位の向きに基づいて、超音波画像200に対して回転処理を行う。具体的には、検出機能142は、線分L210の方向が、超音波画像200が表示される画面の縦方向または横方向となるように、回転処理を行う。
【0058】
回転処理を行うことで、計測部位である胎児の腹部の前後方向が、画面の縦方向または横方向となり、左右方向が、画面の横方向または縦方向となる可能性が高くなる。すなわち、回転処理を行うことで、腹部の輪郭として検出される楕円の長軸または短軸が、超音波画像200が表示される画面の縦方向または横方向となる可能性が高くなる。更に、かかる回転処理を行うことで、バウンディングボックスの一辺が、超音波画像200が表示される画面の縦方向または横方向となる可能性が高くなる。
【0059】
例えば、図5に示すように、検出機能142は、線分L210の方向が、超音波画像200が表示される画面の縦方向となるように、回転処理を行う。すなわち、線分L210の方向は、超音波画像200が表示される画面の縦方向を基準とした場合に、反時計回りに角度θだけ傾いているため、検出機能142は、超音波画像200を時計回りに角度θだけ回転させる。
【0060】
図8のステップS107は、画像処理回路140が記憶回路160から検出機能142に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS107では、検出機能142は、ステップS106で実行した回転処理後の超音波画像200から、計測部位を内包する第2バウンディングボックスを検出する。
【0061】
具体的には、検出機能142は、学習済モデル400に回転処理後の超音波画像200を入力することで、楕円で輪郭が近似された胎児の腹部の位置および大きさを示し、胎児の腹部を内包するバウンディングボックスとして、図5に示すような第2バウンディングボックス220を検出する。この場合、バウンディングボックスが、第1バウンディングボックス210から、第2バウンディングボックス220に変更される。例えば、第2バウンディングボックス220は、「第2矩形」の一例である。
【0062】
図8のステップS108は、画像処理回路140が記憶回路160から推定機能143に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS108では、推定機能143は、第2バウンディングボックス220の位置情報に基づいて、胎児の腹部を計測するための計測点を推定する。
【0063】
具体的には、図5に示すように、推定機能143は、胎児の腹部の輪郭を近似した楕円224が第2バウンディングボックス220に内接する点221~223を、計測点として推定する。点221~223は、楕円224の長軸の端点や短軸の端点となり、第2バウンディングボックス220の長辺の中点や、短辺の中点となる。この場合、推定機能143は、胎児の腹部を計測するための計測点として、第1バウンディングボックス210の位置情報に基づく計測点211~213を、第2バウンディングボックス220の位置情報に基づく計測点221~223に更新する。
【0064】
なお、ステップS105の判定処理において、超音波画像200が表示される画面の縦方向または横方向を基準としたときに、検出機能142が検出した線分L210の方向が、超音波画像200が表示される画面の縦方向または横方向となる場合、超音波画像200に描出されている腹部は、傾いていないと見なすことができる。この場合、検出機能142は、ステップS104で検出した計測部位が傾いていないと判定し(ステップS105;No)、ステップS106、S107が実行されずに、ステップS108が実行される。すなわち、検出機能142は超音波画像200に対して回転処理を行わず、ステップS108において、推定機能143は、第1バウンディングボックス210の位置情報に基づく計測点211~213を、胎児の腹部を計測するための計測点とする。
【0065】
図8のステップS109は、画像処理回路140が記憶回路160から表示制御機能144に対応するプログラムを呼び出して実行されるステップである。ステップS109では、表示制御機能144は、計測点221~223に関する情報を画面により出力させる。
【0066】
例えば、表示制御機能144は、計測点221~223に関する情報として、計測点221~223の位置を示すマークが、回転処理が行われる前の超音波画像200に描出された画像をディスプレイ103に表示させる。具体的には、まず、表示制御機能144は、図5に示すように、計測点221~223の位置を示すマークを、回転処理後の超音波画像200に描画する。ここで、計測点221~223の位置を示すマークが描画された超音波画像200は、図4に示す超音波画像200を、時計回りに角度θだけ回転させた画像である。このため、図6に示すように、表示制御機能144は、計測点221~223の位置を示すマークが描画された超音波画像200を、反時計回りに角度θだけ回転させる。このとき、図7に示すように、ディスプレイ103には、計測点221~223の位置を示すマークが、回転処理が行われる前の超音波画像200に描出された画像が表示される。また、ディスプレイ103には、計測点221~223が長軸の端点や短軸の端点となる楕円224が、当該画像に重ねて表示される。
【0067】
ここで、表示制御機能144は、計測点221~223に関する情報として、図7に示す画像をディスプレイ103に表示するときに、計測点221~223が推定された旨を操作者に通知してもよい。例えば、入力装置102またはディスプレイ103には、LED(Light Emitting Diode)等のランプが設けられ、表示制御機能144が、ランプを点灯することにより、計測点221~223が推定された旨を操作者に通知してから、図7に示す画像をディスプレイ103に表示してもよい。例えば、表示制御機能144が、計測点221~223が推定された旨をメッセージによりディスプレイ103に表示してから、図7に示す画像をディスプレイ103に表示してもよい。例えば、ディスプレイ103は、スピーカー(図示しない)を有し、表示制御機能144が、ビープ音などの所定の音声を出力してから、図7に示す画像をディスプレイ103に表示してもよい。
【0068】
なお、図7に示す画像上に表示されたマークは、操作者により変更可能である。例えば、操作者は、入力装置102を操作することより、画像上に表示されたマークを移動させることができる。
【0069】
これにより、推定機能143は、超音波画像200と計測点221~223とを用いることにより、胎児の腹部周囲長(AC)を計測することができる。例えば、推定機能143は、超音波画像200において、計測点221~223により形成される楕円224の周りの長さをACとして計測する。
【0070】
このように、本実施形態に係る超音波診断装置1では、検出機能142は、超音波画像200から、計測部位を内包する第1バウンディングボックス210を検出し、推定機能143は、第1バウンディングボックス210の位置情報に基づいて、計測部位を計測するための計測点を推定する。具体的には、検出機能142は、超音波画像200から、第1バウンディングボックス210とともに、所定の構造物を検出する。次に、検出機能142は、所定の構造物の位置情報と、第1バウンディングボックス210の位置情報とに基づいて、超音波画像200に対して回転処理を行い、回転処理が行われた超音波画像200から、計測部位を内包する第2バウンディングボックス220を検出する。次に、推定機能143は、計測部位を計測するための計測点として、第1バウンディングボックス210の位置情報に基づく計測点211~213を、第2バウンディングボックス220の位置情報に基づく計測点221~223に更新する。そして、表示制御機能144は、計測点221~223に関する情報を出力させる。
【0071】
これにより、本実施形態に係る超音波診断装置1では、計測部位の輪郭に当てはまる楕円を高輝度領域に基づいて検出して、計測点を推定するのではなく、計測部位全体を内包するバウンディングボックスを検出して、計測点を推定するため、超音波画像200を用いた計測の精度が向上する。また、本実施形態に係る超音波診断装置1では、バウンディングボックスを用いることにより計測部位全体から計測点を推定するため、特徴が出にくい計測点を1点ずつ推定するよりも、効率よく計測点を推定することができる。
【0072】
また、学習済モデル400を用いた検出に限らないが、部位検出では、検出対象となる部位の姿勢が、傾いていない方が、より正確な位置で部位を検出することができる。本実施形態では、計測部位をバウンディングボックスにより検出するとともに、計測部位の姿勢を推定できる所定の構造物を検出し、計測部位を内包するバウンディングボックスの一辺が縦方向または横方向となるように、検出対象の画像を回転させる。そして、本実施形態では、回転処理後の画像から、再度、バウンディングボックスの検出処理を行うことで、より正確な位置で部位を検出することができ、その結果、計測点の推定精度も向上させることができる。
【0073】
上述した実施形態では、胎児の腹部周囲長(AC)を計測する場合について説明したが、これに限定されず、胎児の児頭大横径(BPD)、児頭周囲長(HC)、大腿骨長(FL)や上腕骨長(HL)等のパラメータを計測する場合でも、本実施形態を適用できる。
【0074】
まず、BPD、HC等のパラメータを計測する場合について説明する。図9は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図であり、BPD、HC等のパラメータを計測する場合の説明図である。
【0075】
例えば、ステップS101、S102が実行された後、ステップS103において、検出機能142は、超音波画像から、計測部位を内包する第1バウンディングボックスを検出する。具体的には、検出機能142は、学習済モデル400に超音波画像500を入力することで、楕円で輪郭が近似された胎児の頭部の位置および大きさを示し、胎児の頭部を内包するバウンディングボックスとして、図9に示すような第1バウンディングボックス510を検出する。また、検出機能142は、学習済モデル400に超音波画像500を入力することで、所定の構造物を検出する。例えば、計測部位が胎児の頭部である場合、所定の構造物は、胎児の透明中隔腔502である。ここで、推定機能143は、第1バウンディングボックス510の位置情報に基づいて、胎児の頭部を計測するための仮の計測点を推定する。例えば、図9に示すように、推定機能143は、胎児の頭部の輪郭を近似した楕円が第1バウンディングボックス510に内接する点511~514を、仮の計測点として推定する。
【0076】
ステップS104において、検出機能142は、第1バウンディングボックス510の位置情報と、所定の構造物の位置情報とに基づいて、計測部位の向きを検出する。具体的には、まず、検出機能142は、図9に示すように、超音波画像500において、第1バウンディングボックス510の中心C510と、所定の構造物である胎児の透明中隔腔502の中央部とを結ぶ線分L510を検出する。次に、検出機能142は、線分L510の方向を、計測部位である胎児の頭部の向きとして検出する。例えば、超音波画像500が表示される画面の縦方向または横方向を基準とした場合に、線分L510の方向は、超音波画像500が表示される画面の横方向となっている。
【0077】
ステップS105において、検出機能142は、ステップS104で検出した計測部位が傾いているか否かを判定する処理を行う。
【0078】
ステップS105の判定処理において、超音波画像500が表示される画面の縦方向または横方向を基準としたとき、検出機能142が検出した線分L510の方向が、超音波画像500が表示される画面の縦方向または横方向となる場合、超音波画像500に描出されている頭部は、傾いていないと見なすことができる。この場合、検出機能142は、ステップS104で検出した計測部位が傾いていないと判定し(ステップS105;No)、ステップS106、S107の処理が実行されずに、ステップS108の処理が実行される。すなわち、検出機能142は超音波画像500に対して回転処理を行わず、ステップS108において、推定機能143は、第1バウンディングボックス310の位置情報に基づく計測点511~514を、胎児の頭部を計測するための計測点とする。
【0079】
ステップS109において、表示制御機能144は、計測点511~514に関する情報として、計測点511~514の位置を示すマークが、超音波画像500に描出された画像をディスプレイ103に表示させる。
【0080】
これにより、推定機能143は、超音波画像500と計測点511~514とを用いることにより、HCを計測することができる。例えば、推定機能143は、超音波画像500において、計測点511~514により形成される楕円の周りの長さをHCとして計測する。
【0081】
これにより、推定機能143は、超音波画像500と計測点511~514とを用いることにより、HCを計測することができる。例えば、推定機能143は、超音波画像500において、計測点511~514により形成される楕円の周りの長さをHCとして計測する。
【0082】
また、推定機能143は、超音波画像500と計測点513、514とを用いることにより、BPDを計測することができる。例えば、推定機能143は、超音波画像500において、計測点513と計測点514とを結ぶ線分の長さをBPDとして計測する。
【0083】
なお、ステップS105の判定処理において、検出機能142が、ステップS104で検出した計測部位が傾いていると判定した場合(ステップS105;Yes)、以下のステップS106~S109の処理が実行される。
【0084】
まず、ステップS106において、検出機能142は、ステップS104で検出した計測部位の向きに基づいて、超音波画像500に対して回転処理を行う。具体的には、検出機能142は、線分L510の方向が、超音波画像500が表示される画面の縦方向または横方向となるように、回転処理を行う。次に、ステップS107において、検出機能142は、ステップS106で実行した回転処理後の超音波画像500から、計測部位を内包する第2バウンディングボックスを検出する。具体的には、検出機能142は、学習済モデル400に回転処理後の超音波画像500を入力することで、楕円で輪郭が近似された胎児の頭部の位置および大きさを示し、胎児の頭部を内包するバウンディングボックスとして、第2バウンディングボックスを検出する。
【0085】
次に、ステップS108において、推定機能143は、第2バウンディングボックスの位置情報に基づいて、胎児の頭部を計測するための計測点を推定する。具体的には、推定機能143は、胎児の頭部の輪郭を近似した楕円が第2バウンディングボックスに内接する点を、計測点として推定する。この場合、推定機能143は、胎児の頭部を計測するための計測点として、第1バウンディングボックス510の位置情報に基づく計測点511~514を、第2バウンディングボックスの位置情報に基づく計測点に更新する。そして、ステップS109において、表示制御機能144は、計測点に関する情報として、更新した計測点の位置を示すマークが、超音波画像500に描出された画像をディスプレイ103に表示させる。
【0086】
なお、ステップS103において、例えば、計測部位が胎児の頭部である場合に、所定の構造物が、胎児の透明中隔腔502である場合を例にしているが、これに限定されない。
【0087】
例えば、図10に示すように、計測部位が胎児の頭部である場合、所定の構造物は、胎児の四丘体槽503であってもよい。この場合、ステップS104において、まず、検出機能142は、図10に示すように、超音波画像500において、第1バウンディングボックス510の中心C510と、所定の構造物である胎児の四丘体槽503の中央部とを結ぶ線分L510を検出する。次に、検出機能142は、線分L510の方向を、計測部位である胎児の頭部の向きとして検出する。その後、ステップS105以降の処理が行われる。例えば、計測部位が傾いていない場合(ステップS105;No)、超音波画像500に対して回転処理が行われずに、第1バウンディングボックス310の位置情報から計測点511~514が推定され(ステップS108)、計測点511~514に関する情報がディスプレイ103に表示される(ステップS109)。一方、計測部位が傾いている(ステップS105;Yes)、超音波画像500に対して回転処理が行われ(ステップS106)、回転処理後の超音波画像500から、計測部位を内包する第2バウンディングボックスが検出される(ステップS107)。そして、第2バウンディングボックスの位置情報から計測点が推定され(ステップS108)、計測点に関する情報がディスプレイ103に表示される(ステップS109)。図10に示す例では、所定の構造物が胎児の四丘体槽503である場合でも、所定の構造物が透明中隔腔502である場合と同様に、胎児の頭部の向きを検出することができる。
【0088】
また、例えば、図11に示すように、計測部位が胎児の頭部である場合、所定の構造物は、胎児の透明中隔腔502および四丘体槽503であってもよい。この場合、ステップS104において、まず、検出機能142は、図11に示すように、超音波画像500において、第1バウンディングボックス510の中心C510と、所定の構造物である胎児の透明中隔腔502および四丘体槽503の中央部とを結ぶ線分L510を検出する。次に、検出機能142は、線分L510の方向を、計測部位である胎児の頭部の向きとして検出する。その後、ステップS105以降の処理が行われる。例えば、計測部位が傾いていない場合(ステップS105;No)、超音波画像500に対して回転処理が行われずに、第1バウンディングボックス310の位置情報から計測点511~514が推定され(ステップS108)、計測点511~514に関する情報がディスプレイ103に表示される(ステップS109)。一方、計測部位が傾いている(ステップS105;Yes)、超音波画像500に対して回転処理が行われ(ステップS106)、回転処理後の超音波画像500から、計測部位を内包する第2バウンディングボックスが検出される(ステップS107)。そして、第2バウンディングボックスの位置情報から計測点が推定され(ステップS108)、計測点に関する情報がディスプレイ103に表示される(ステップS109)。図11に示す例では、所定の構造物が胎児の透明中隔腔502および四丘体槽503であるため、所定の構造物が透明中隔腔502および四丘体槽503のいずれかである場合と比べて、胎児の頭部の向きを、より正確に検出することができる。
【0089】
次に、FLを計測する場合について説明する。図12は、本実施形態に係る超音波診断装置の画像処理回路による処理を説明するための図であり、FLを計測する場合の説明図である。
【0090】
例えば、ステップS101、S102が実行された後、ステップS103において、検出機能142は、超音波画像から、計測部位を内包する第1バウンディングボックスを検出する。具体的には、学習済モデル400は、超音波画像データが入力されると、計測部位である大腿骨に該当する棒状の領域に外接するバウンディングボックスを、出力データとして出力する。検出機能142は、学習済モデル400に超音波画像600を入力することで、棒状の領域に近似された胎児の大腿部の位置および大きさを示し、胎児の大腿部を内包するバウンディングボックスとして、図12に示すような第1バウンディングボックス610を検出する。ここで、検出機能142は、計測部位が大腿骨や上腕骨の場合、ステップS104~S107は実行されない。
【0091】
ステップS108において、推定機能143は、第1バウンディングボックス610の位置情報に基づいて、胎児の大腿部を計測するための計測点を推定する。例えば、図12に示すように、推定機能143は、胎児の大腿部に該当する棒状の領域が第1バウンディングボックス610に内接する点611、612を、計測点として推定する。計測点611、612は、大腿骨の両端部に相当する。
【0092】
ステップS109において、表示制御機能144は、計測点611、612に関する情報として、計測点611、612の位置を示すマークが、超音波画像600に描出された画像をディスプレイ103に表示させる。
【0093】
これにより、推定機能143は、超音波画像600と計測点611、612とを用いることにより、FLを計測することができる。例えば、推定機能143は、超音波画像600おいて、計測点611と計測点612とを結ぶ線分の長さをFLとして計測する。
【0094】
HLを計測する場合においても同様に、例えば、ステップS101~S103、S108、S109が実行されることにより、推定機能143は、超音波画像おいて、2つの計測点を結ぶ線分の長さをHLとして計測する。
【0095】
ここで、機械学習により、学習済モデル400を生成する処理について説明する。
【0096】
学習済モデル400は、例えば、超音波診断装置1とは別の装置(以下、学習済モデル生成装置と記載する)で生成されて、超音波診断装置1内に保管される(例えば、記憶回路160に記憶される)。ここで、学習済モデル生成装置は、超音波診断装置1により実現してもよく、例えば、学習済モデル400は、超音波診断装置1(例えば、推定機能143)により生成されて、その記憶回路160に保管されてもよい。以下、学習済モデル400が、学習済モデル生成装置で生成されて、超音波診断装置1内に保管される場合を例にして説明する。
【0097】
図13は、本実施形態における学習済モデル生成装置300の構成例を示すブロック図である。図13に示すように、学習済モデル生成装置300は、入力装置302と、ディスプレイ303と、画像処理回路340と、記憶回路360とを有する。学習済モデル生成装置300は、学習済モデル400を生成するビューアとして用いられる。
【0098】
入力装置302は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、ホイール、トラックボール、ジョイスティック等を有し、学習済モデル生成装置300の操作者からの各種設定要求を受け付け、画像処理回路340に対して受け付けた各種設定要求を転送する。ディスプレイ303は、学習済モデル生成装置300の操作者によって参照されるモニタである。
【0099】
画像処理回路340は、学習済モデル生成装置300の処理全体を制御する。例えば、画像処理回路340は、図13に示すように、学習用データ取得機能341、学習済モデル生成機能342を実行する。
【0100】
記憶回路360は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。ここで、画像処理回路340の構成要素である学習用データ取得機能341、学習済モデル生成機能342が実行する各処理機能は、例えば、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路360に記録されている。画像処理回路340は、各プログラムを記憶回路360から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。また、記憶回路360は、ニューラルネットワークのアルゴリズムとして学習用プログラムを記憶する。
【0101】
学習済モデル400を生成する処理では、まず、学習済モデル生成装置300の学習用データ取得機能341は、超音波スキャンを過去に実施したときに得られた複数のデータセットを取得する。複数のデータセットの各々は、計測部位に対する超音波スキャンを過去に実施したときに収集された超音波画像データと、当該超音波画像データにおける計測部位を含む領域を表す学習用データとを含む。なお、ニューラルネットワークのアルゴリズムは経験から学習していくものであるため、学習に用いられるデータセットは、同一の被検体でなくてもよい。
【0102】
学習済モデル生成装置300の学習済モデル生成機能342は、記憶回路160から読み出した学習用プログラム502を用いて、複数のデータセットから学習用データのパターンを学習する。このとき、学習済モデル生成機能342は、入力データ(超音波画像データ)の入力を受けて当該超音波画像データにおける計測部位を含む領域を検出した結果を示す出力データを出力するように機能付けられた学習済モデル400を生成する。例えば、生成した学習済モデル400は、超音波診断装置1内に保管される(記憶回路160に記憶される)。記憶回路160内の学習済モデル400は、例えば、超音波診断装置1の検出機能142により読み出し可能である。
【0103】
学習済モデル400を利用する処理では、超音波診断装置1の検出機能142は、超音波画像データを入力データとして入力する。そして、検出機能142は、記憶回路160から読み出した学習済モデル400を用いて、超音波画像データである超音波画像200から、計測部位を含む領域を検出し、検出した結果である出力データを出力する。
【0104】
なお、本実施形態では、学習済モデル400を利用する場合について説明したが、学習済モデル400を利用しなくてもよい。例えば、本実施形態は、腹部等の計測部位を、輝度を用いた画像処理により検出した後に、計測部位を内包するバウンディングボックスを検出してもよい。かかる場合、本実施形態は、計測部位を、楕円等の計測部位に当てはまる図形として検出せずに、任意の曲線で囲まれる部位として検出してもよい。また、本実施形態は、所定の構造物も、学習済モデル400を利用せずに、輝度を用いた画像処理により検出してもよい。
【0105】
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。例えば、画像処理回路140は、超音波診断装置1とは別に設置されたワークステーションでもよい。この場合、ワークステーションが、画像処理回路140と同様の処理回路を有し、上述した処理を実行する。
【0106】
また、実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0107】
また、上記実施形態で説明した表示方法は、予め用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0108】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、超音波画像を用いた計測の精度を向上させることができる。
【0109】
なお、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0110】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
超音波画像から、計測部位を内包する第1矩形を検出する検出部と、
前記第1矩形の位置情報に基づいて、前記計測部位を計測するための計測点を推定する推定部と、
前記計測点に関する情報を出力する出力部と、
を備える超音波診断装置。
(付記2)
前記検出部は、
前記超音波画像から、前記第1矩形とともに、所定の構造物を検出し、
前記所定の構造物の位置情報と、前記第1矩形の位置情報とに基づいて、前記超音波画像に対して回転処理を行い、
前記回転処理が行われた超音波画像から、前記計測部位を内包する第2矩形を検出し、
前記推定部は、前記計測点として、前記第1矩形の位置情報に基づく計測点を、前記第2矩形の位置情報に基づく計測点に更新し、
前記出力部は、前記第2矩形の位置情報に基づく計測点に関する情報を出力してもよい。
(付記3)
前記検出部は、前記所定の構造物と前記第1矩形の中心とを結ぶ線分の方向が、前記超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となるように、前記回転処理を行ってもよい。
(付記4)
前記検出部は、前記線分の方向が、前記超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となる場合は、前記回転処理を行わなくてもよい。
(付記5)
前記検出部は、前記計測部位の輪郭を楕円で近似している場合、当該楕円の長軸または短軸が、前記超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となるように、前記回転処理を行ってもよい。
(付記6)
前記検出部は、前記計測部位の輪郭を矩形で近似している場合、当該矩形の一辺が、前記超音波画像が表示される画面の縦方向または横方向となるように、前記回転処理を行ってもよい。
(付記7)
前記出力部は、前記計測点の位置を示すマークが、前記超音波画像に描出された画像を表示部に表示させてもよい。
(付記8)
前記出力部は、前記計測点の位置を示すマークが、前記回転処理が行われる前の超音波画像に前記マークが描出された画像を表示部に表示させてもよい。
(付記9)
前記計測部位が胎児の腹部である場合、前記所定の構造物は、前記胎児の脊椎であってもよい。
(付記10)
前記計測部位が胎児の頭部である場合、前記所定の構造物は、前記胎児の透明中隔腔および四丘体槽の少なくとも1つであってもよい。
(付記11)
超音波画像から、計測部位を内包する第1矩形を検出する検出部と、
前記第1矩形の位置情報に基づいて、前記計測部位を計測するための計測点を推定する推定部と、
前記計測点に関する情報を出力する出力部と、
を備える画像処理装置。
【符号の説明】
【0111】
142 検出機能
143 推定機能
144 表示制御機能
210 第1バウンディングボックス
221~223 計測点
510 第1バウンディングボックス
511~513 計測点
610 第1バウンディングボックス
611~613 計測点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13