(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】蓄電装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250311BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20250311BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20250311BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20250311BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20250311BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20250311BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/10 B
H02J7/10 H
H02J7/10 L
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M50/20
G06F8/65
(21)【出願番号】P 2021010301
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】椛澤 孝
(72)【発明者】
【氏名】近田 尚章
(72)【発明者】
【氏名】草茅 佑亮
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-191880(JP,A)
【文献】特開2001-275270(JP,A)
【文献】特開2009-240055(JP,A)
【文献】特開2007-026712(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0102413(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0175560(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03709432(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
H01M10/42-10/48
H01M50/20-50/298
G01R31/36-31/396
G06F8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池の状態を検出するように構成されるセンサと、
制御プログラムを記憶する記憶部を備え、前記制御プログラムを実行することで、少なくとも、前記センサから出力された前記電池の状態に関する検出結果を入力して前記電池の状態を監視するように構成される制御装置と、
外部機器と電気的に接続可能である接続端子と、
前記センサ、前記制御装置及び前記接続端子を電気的に接続する送受信経路と、
を具備し、
前記送受信経路は、前記センサから出力された検出結果を前記制御装置及び前記接続端子に接続された前記外部機器へ伝送し、かつ前記接続端子を介して前記外部機器から送信された更新プログラムを前記制御装置へ伝送するように構成され、
前記制御装置は、さらに、前記記憶部に記憶された
前記制御プログラムを、前記接続端子及び前記送受信経路を介して前記外部機器から送信された更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行可能であ
り、
蓄電装置を構成する機器各々の動作に必要な演算処理を実行すると共に、前記機器各々に対して、前記機器各々の動作を制御するための制御信号を伝送する処理部と、
前記検出結果を入力するための入力部と、
前記外部機器との間の通信を実行可能とするための通信部と、
を備え、
前記入力部及び前記通信部は、
前記送受信経路を介して、前記センサ及び前記接続端子に電気的に接続される端子と、
前記処理部及び前記記憶部と、前記端子とを電気的に接続するための電気経路と、
前記電気経路に設けられ、前記処理部から伝送される制御信号に応じて前記電気経路を接続又は断接するためのスイッチング素子と、
を有し、
前記処理部は、
前記制御装置が前記センサから出力された前記検出結果を入力する場合、前記入力部のスイッチング素子により前記入力部の前記電気経路を接続し、かつ前記通信部のスイッチング素子により前記通信部の前記電気経路を断接するように、前記入力部及び前記通信部各々に対して前記制御信号を伝送し、
前記制御装置が前記外部機器と通信する場合、前記入力部のスイッチング素子により前記入力部の前記電気経路を断接し、かつ前記通信部のスイッチング素子により前記通信部の前記電気経路を接続するように、前記入力部及び前記通信部各々に対して前記制御信号を伝送する、
蓄電装置。
【請求項2】
スイッチをさらに具備し、
前記制御装置は、
前記スイッチがユーザから直接的又は間接的な操作を受けたことを契機として、前記制御プログラムの書き換えの実行指示の有無を判定し、
前記制御プログラムの書き換えの実行指示が有ると判定した場合、前記センサをオフし、
前記センサをオフした後、前記送受信経路及び前記接続端子を介して、前記制御プログラムの更新許可を示す更新許可通知を前記外部機器へ送信し、
前記更新許可通知に応答して、前記接続端子及び前記送受信経路を介して前記外部機器から送信された更新プログラムを用いて、前記書き換え処理を実行する、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記電池は、二次電池であり、
前記制御プログラムは、前記二次電池の充放電を制御すると共に、前記検出結果を入力して前記二次電池の状態を監視するためのプログラムである、請求項1
又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の蓄電装置と、
前記外部機器として設けられ、前記電池からの電力供給を受けて作動する作動装置と、
を具備する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器に搭載されるマイコンは、下記特許文献1に示すように、制御プログラムを記憶可能な記憶部を備え、当該制御プログラムを実行することで、当該電子機器の動作を制御している。また、当該マイコンは、製品完成後に、演算や制御内容の修正等に起因して、当該記憶部に記憶された制御プログラムの書き換えが可能になっている。
【0003】
従来、当該制御プログラムの書き換えは、電子機器を分解して、当該制御プログラムの書き換えに使用するコネクタを外部に露出し、さらに、当該コネクタを介して、回路基板に制御プログラムを更新するための外部機器を接続することにより、行っている。このような制御プログラムの書き換え作業を行う頻度は少ないが、都度、電子機器を分解する手間が掛かるため、極力、分解作業を避けたいという要望がある。そのため、当該制御プログラムの書き換えは、電子機器のメンテナンス等の際に行うこともできるが、この場合、書き換えのタイミングが限定されてしまうという問題がある。
【0004】
また、例えば、下記特許文献1に示すように、電子機器を分解する手間を省くために書き換え用のコネクタを電子機器に設置することも考えられる。しかしながら、当該コネクタのピン数が多くなり、電子機器の小型化を実現することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、制御プログラムの書き換え作業に掛かる手間を省きつつ、機器の小型化を実現することができる蓄電装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様として実現することができる。
【0008】
本態様に係る蓄電装置及び電子機器は、電池と、前記電池の状態を検出するように構成されるセンサと、制御プログラムを記憶する記憶部を備え、前記制御プログラムを実行することで、少なくとも、前記センサから出力された前記電池の状態に関する検出結果を入力して前記電池の状態を監視するように構成される制御装置と、外部機器と電気的に接続可能である接続端子と、前記センサ、前記制御装置及び前記接続端子を電気的に接続する送受信経路と、を具備する。前記送受信経路は、前記センサから出力された検出結果を前記制御装置及び前記接続端子に接続された前記外部機器へ伝送し、かつ前記接続端子を介して前記外部機器から送信された更新プログラムを前記制御装置へ伝送するように構成され、前記制御装置は、さらに、前記記憶部に記憶された制御プログラムを、前記接続端子及び前記送受信経路を介して前記外部機器から送信された更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行可能である。
【発明の効果】
【0009】
本態様に係る蓄電装置及び電子機器は、当該構成により、制御プログラムの書き換え作業に掛かる手間を省きつつ、機器の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る蓄電装置及び当該蓄電装置を備える電子機器を示す回路図である。
【
図2】本実施形態に係る蓄電装置において、制御プログラムを書き換える書き換え処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】書換装置を接続した場合の本実施形態に係る蓄電装置及び当該蓄電装置を備える電子機器を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係る蓄電装置及び電子機器について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態は以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る蓄電装置2及び当該蓄電装置2を備える電子機器1を示す回路図である。本実施形態に係る電子機器1は、内蔵する電池21からの電力供給を受けて、所定の動作を実行する機器である。当該電子機器1は、蓄電装置2及び作動装置(外部機器)3を備える。蓄電装置2の正極端(正極側端子)Tp1は、作動装置3の正極端(正極側端子)Tp2に接続されている。また、蓄電装置2の負極端(負極側端子)Tn1は、作動装置3の負極端(負極側端子)Tn2に接続されている。さらに、上記負極端Tn1及び負極端Tn2は、グラウンドGNDに接続されている(すなわち、蓄電装置2及び作動装置3は、地絡されている)。本実施形態における蓄電装置2は、上記正極端Tp1及び正極端Tp2を介して、当該蓄電装置2に内蔵される電池21から当該作動装置3へ電力を供給する。また、本実施形態における作動装置3は、当該電池21からの電力供給を受けて、所定の動作を実行する。
【0013】
ここで、本実施形態における電池21は、マンガン電池、アルカリ電池及びリチウム電池等の一般に知られている一次電池、又はニッケル水素電池及びリチウムイオン電池等の一般に知られている二次電池である。また、当該電池21は、単電池であっても、組電池であってもよい。また、本実施形態における作動装置3は、例えば、電動工具及び電動移動体等の一般に知られている機器である。なお、当該電動移動体は、シニアカーや電動ゴルフカート等である。
【0014】
また、本実施形態に係る蓄電装置2は、上記電池21の他に、センサ22、マイコン(制御装置)23及びスイッチSWを有する。センサ22は、電池21の状態を検出するように構成されている。例えば、センサ22は、電池21の温度、電流、電圧及び圧力等の変化を検出し、当該検出結果として、当該電池21の温度、電流、電圧及び圧力等の変化に応じたアナログ電圧を出力する。ここで、
図1に示すセンサ22は、抵抗R及びサーミスタθを直列接続した直列回路を含み、上記電池21に対応付けて、並列に接続されている。当該サーミスタθは、温度の変化により、抵抗値が変化する電子部品である。すなわち、
図1に示すセンサ22は、電池21の温度変化をサーミスタθの抵抗値の変化により検出し、当該検出結果として、当該電池21の温度変化に応じたアナログ電圧(上記抵抗R及びサーミスタθにより分圧した電圧)を出力する。
【0015】
さらに、上記センサ22には、当該直列回路の負極側にスイッチSW1、当該直列回路の正極側にスイッチSW2が設けられ、後述するマイコン23による制御により(換言すれば、後述するマイコン23の処理部PUから伝送される制御信号に応じて)、スイッチSW1及びスイッチSW2がオン又はオフされる。例えば、通常動作時(蓄電装置2から作動装置3への電力供給時)、スイッチSW1及びスイッチSW2は、マイコン23による制御により、オンされる。また、後述する書き換え処理を実行する場合、スイッチSW1及びスイッチSW2は、マイコン23による制御により、オフされる。
【0016】
また、蓄電装置2は、上記正極端Tp1及び負極端Tn1とは別体で設けられ、作動装置3に設けられた接続端Ts2と電気的に接続可能な、蓄電装置側の接続端子として機能する接続端Ts1を有する。さらに、蓄電装置2は、上記センサ22、マイコン23及び接続端Ts1を電気的に接続する送受信経路PAを有する。
【0017】
具体的には、当該送受信経路PAは、上記センサ22の上記抵抗R及びサーミスタθの間を接続する電気経路に接続されている。また、当該送受信経路PAは、上記センサ22から出力された検出結果(アナログ電圧)を上記マイコン23及び上記接続端Ts1に接続された作動装置(外部機器)3へ伝送するように構成されている。また、送受信経路PAは、接続端Ts1を介して作動装置(外部機器)3から送信された更新プログラムをマイコン23へ伝送するように構成されている。すなわち、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、上記センサ22から出力された検出結果を外部機器へ出力するための経路及びマイコン23のメモリMEに記憶された制御プログラムを更新するための通信を実行するための経路を、別個に設けず、共通化している。
【0018】
マイコン23は、ハードウェア資源として、プロセッサやメモリ等を含む。例えば、本実施形態におけるマイコン23は、処理部PU、メモリME、入力部AN及び通信部DIを備えている。処理部PU、メモリME、入力部AN及び通信部DIは、マイコン23内に設けられたバスBAを介して、電気的、かつ相互に接続されている。処理部PUは、上記蓄電装置2を構成する機器各々の動作に必要な演算処理を実行すると共に、上記機器各々に対して、上記機器各々の動作を制御するための制御信号を伝送する。メモリMEは、制御プログラムを記憶する記憶部として機能する。入力部ANは、少なくとも、上記検出結果を入力するために設けられる。通信部DIは、少なくとも、上記外部機器との間の通信を実行可能とするために設けられる。
【0019】
マイコン23は、上記制御プログラムを実行することで、上記処理部PUにより、蓄電装置2を構成する機器各々を制御するように構成されている。例えば、マイコン23は、上記制御プログラムを実行することで、上記処理部PUにより、少なくとも、センサ22から出力された検出結果を入力して、電池21の状態を監視するように構成されている。具体的には、上記電池21が二次電池である場合、マイコン23は、上記制御プログラムを実行することで、上記処理部PUにより、電池21の充放電を制御すると共に、上記検出結果を入力して、電池21の状態を監視する。また、マイコン23は、上記処理部PUにより、上記センサ22に設けられたスイッチSW1及びスイッチSW2をオン又はオフする。例えば、電子機器1の通常動作時(蓄電装置2から作動装置3への電力供給時)、マイコン23は、上記処理部PUにより、スイッチSW1及びスイッチSW2をオンする。また、後述する書き換え処理を実行する場合、マイコン23は、上記処理部PUにより、スイッチSW1及びスイッチSW2をオフする。すなわち、マイコン23は、スイッチSW1及びスイッチSW2をオフすることで、上記センサ22からの検出結果(アナログ電圧)の出力を停止する。なお、マイコン23は、グラウンドGNDに接続されている(すなわち、マイコン23は、地絡されている)。
【0020】
ここで、上記入力部ANは、端子(アナログ端子)Ta、電気経路PAa及びスイッチング素子SWaを有している。端子Taは、電気経路の一部を形成する金属片であり、上記送受信経路PAを介して、上記センサ22及び後述する接続端子Ts1に電気的に接続されている。電気経路PAaは、上記バスBAと共に、上記処理部PU及びメモリMEと、端子Taとを電気的に接続するために設けられる。スイッチング素子SWaは、当該電気経路PAaに設けられ、処理部PUから伝送される制御信号に応じて、電気経路PAaを接続又は断接するために設けられる。なお、本実施形態におけるスイッチング素子SWaは、入力部ANを構成する装置(例えば、A/Dコンバータ(図示せず))の構成要素として設けられているものも含む。
【0021】
また、上記通信部DIは、端子(ディジタル端子)Td、電気経路PAd及びスイッチング素子SWdを有している。端子Tdは、電気経路の一部を形成する金属片であり、上記送受信経路PAを介して、上記センサ22及び上記接続端子Ts1に電気的に接続されている。電気経路PAdは、上記バスBAと共に、上記処理部PU及びメモリMEと、端子Tdとを電気的に接続するために設けられる。スイッチング素子SWdは、当該電気経路PAdに設けられ、処理部PUから伝送される制御信号に応じて、電気経路PAdを接続又は断接するために設けられる。
【0022】
また、上記処理部PUは、マイコン23がセンサ22から出力された検出結果を入力する場合、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを接続し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを断接するように、入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送する。また、処理部PUは、マイコン23が作動装置(外部機器)3と通信する場合、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを断接し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを接続するように、入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送する。
【0023】
スイッチSWは、後述する書き換え処理のトリガとなる、ユーザからの直接的又は間接的な操作を受け付ける。なお、本実施形態におけるスイッチSWは、一般に電子機器1に用いられるものを適宜利用可能であり、当該スイッチSWの種類に応じて、後述する書き換え処理のトリガとなる、ユーザからの直接的又は間接的な操作を受け付ける。例えば、本実施形態におけるスイッチSWが一つの押しボタンスイッチである場合、ユーザからの当該スイッチSWへの押下操作を受け付ける。当該押下操作は、例えば、長押しである。
【0024】
ここで、本実施形態に係る蓄電装置2において、上記メモリMEに記憶された制御プログラムを書き換える書き換え処理について、
図2を参照して説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る蓄電装置2において、上記制御プログラムを書き換える書き換え処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図2に示すフローチャートは、電子機器1の通常動作時(蓄電装置2から作動装置3への電力供給時)であって、スイッチSWがユーザから直接的又は間接的な操作を受けた場合に、上記制御プログラムを書き換える書き換え処理の流れを示すこととする。すなわち、
図2に示すフローチャートの開始時において、マイコン23がセンサ22から出力された検出結果を入力していることとする。さらに、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを接続し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを断接するように、処理部PUが、入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送していることとする。換言すれば、マイコン23は、入力部ANから入力される信号を感知できる状態となっており、かつ通信部DIから入力される信号を感知できない状態となっている。
【0026】
まず、上記スイッチSWは、トリガとして、ユーザからの直接的又は間接的な操作を受信する(ステップS1)。ステップS1の終了後、マイコン23は、スイッチSWがユーザから直接的又は間接的な操作を受けたことを契機として、上記送受信経路PA、接続端Ts1及び接続端Ts2を介して、作動装置3と通信する。なお、当該作動装置3と通信する場合、処理部PUは、一時的に、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを断接し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを接続するように、入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送する。換言すれば、マイコン23は、入力部ANから入力される信号を感知できない状態となっており、かつ通信部DIから入力される信号を感知できる状態となっている。マイコン23は、作動装置3と通信して、上記制御プログラムの書き換えの実行指示の有無を判定する(ステップS2)。
【0027】
上記作動装置3との通信により、上記制御プログラムの書き換えの実行指示が有ると判定した場合(ステップS2のYes)、マイコン23は、上記処理部PUにより、上記センサ22をオフする(ステップS3)。すなわち、マイコン23は、上記処理部PUにより、スイッチSW1及びスイッチSW2をオフする。このとき、処理部PUは、上記書き換え処理が完了するまで、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを断接し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを接続するように、入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送する。
【0028】
なお、上記作動装置3との通信により、上記制御プログラムの書き換えの実行指示が無いと判定した場合(ステップS2のNo)、制御プログラムを書き換える必要がないため、一連の処理を終了する。このとき、処理部PUは、センサ22からの検出結果の入力を再開するために、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを接続し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを断接するように、入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送する。
【0029】
ステップS3の終了後、マイコン23は、上記送受信経路PA、接続端Ts1及び接続端Ts2を介して、上記制御プログラムの更新許可を示す更新許可通知を作動装置3へ送信する(ステップS4)。ステップS4の終了後、マイコン23は、当該更新許可通知に応答して、上記接続端Ts2、接続端Ts1及び送受信経路PAを介して、作動装置3から送信された更新プログラムを受信したか否かを判定し(ステップS5)、更新プログラムを受信するまで、ステップS5の処理を繰り返す。更新プログラムを受信した場合(ステップS5のYes)、マイコン23は、メモリMEに記憶された制御プログラムを、作動装置3から送信された当該更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行する(ステップS6)。ステップS6の終了後、一連の処理を終了する。このとき、処理部PUは、センサ22からの検出結果の入力を再開するために、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを接続し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを断接するように、入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送する。
【0030】
上記構成によれば、本実施形態に係る蓄電装置2及び当該蓄電装置2を備える電子機器1において、上記当該送受信経路PAは、上記センサ22から出力された検出結果(アナログ電圧)を上記マイコン23及び上記接続端Ts1に接続された作動装置(外部機器)3へ伝送するように構成されている。また、送受信経路PAは、接続端Ts1を介して作動装置(外部機器)3から送信された更新プログラムをマイコン23へ伝送するように構成されている。また、マイコン23は、メモリ(記憶部)MEに記憶された制御プログラムを、接続端Ts1及び送受信経路PAを介して作動装置(外部機器)3から送信された更新プログラムへ書き換える書き換え処理を実行可能である。
【0031】
本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1において、上記接続端Ts1は、常に蓄電装置2の外部に露出している。すなわち、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、電子機器1のメンテナンス等の際に、当該電子機器1を分解して、当該制御プログラムの書き換えに使用する端子(コネクタ)を外部に露出する必要がない。また、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、上記センサ22から出力された検出結果を外部機器へ出力するための経路及びマイコン23のメモリMEに記憶された制御プログラムを更新するための通信を実行するための経路を、別個に設けず、共通化している。すなわち、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、経路を共通化することにより、別個に設けられていた経路を削減し、省スペース化を実現することができる。
【0032】
かくして、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、制御プログラムの書き換え作業に掛かる手間を省きつつ、機器の小型化を実現することができる。また、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、経路を共通化することによるコスト削減を実現することができる。
【0033】
また、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1には、スイッチSWが設けられている。本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、スイッチSWがユーザから直接的又は間接的な操作を受けたことを契機として、上記書き換え処理を実行している。換言すれば、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、スイッチSWがユーザから直接的又は間接的な操作を受けない限り、上記書き換え処理を実行しない。すなわち、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、ユーザの任意のタイミングで上記書き換え処理を実行することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、マイコン23がセンサ22から出力された検出結果を入力する場合、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを接続し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを断接するように、マイコン23の処理部PUから入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送している。また、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、マイコン23が作動装置(外部機器)3と通信する場合、入力部ANのスイッチング素子SWaにより、入力部ANの電気経路PAaを断接し、かつ通信部DIのスイッチング素子SWdにより、通信部DIの電気経路PAdを接続するように、マイコン23の処理部PUから入力部AN及び通信部DI各々に対して上記制御信号を伝送している。
【0035】
すなわち、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、送受信経路PAに特段の経路切替部品(例えば、スイッチング素子)を設けなくても、経路の役割(上記センサ22から出力された検出結果を外部機器へ出力するための経路としての役割、及びマイコン23のメモリMEに記憶された制御プログラムを更新するための通信を実行するための経路としての役割)を切り替えることができる。つまり、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、経路に設ける部品数を削減することができる。さらに、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、部品数の削減に伴うコスト低減及び回路の簡略化を実現することができる。
【0036】
なお、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1において、上記更新プログラムは、作動装置3から取得している。しかしながら、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、これに限定されない。例えば、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、
図3に示すように、書き換え専用の書換装置4を設けてもよい。本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1は、上記書き換え処理を実行する場合、当該書換装置4の接続端(接続端子)Ts3を上記接続端Ts1に接続して、
図2に示すフローチャートのように、制御プログラムを更新プログラムに書き換えてもよい。
【0037】
また、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1において、上記抵抗R及びサーミスタθにより構成されるセンサ22は、一例として示したものであり、本実施形態におけるセンサ22は、上記構成に限定されない。例えば、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1では、電池21の温度、電流、電圧及び圧力等の変化を検出可能なセンサ22であれば、適宜利用可能である。
【0038】
また、本実施形態に係る蓄電装置2及び電子機器1において、上記書き換え処理を実行するためのトリガは、スイッチSWに限定されず、他の部品や操作をトリガとして、上記書き換え処理を実行してもよい。
【0039】
また、上記説明において用いた「プロセッサ」としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の専用若しくは汎用のプロセッサ、又は特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device))、若しくはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等を意味する。また、本実施形態の各構成要素(各処理部)は、単一のプロセッサに限らず、複数のプロセッサによって実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素(複数の処理部)を、単一のプロセッサによって実現するようにしてもよい。
【0040】
また、上記説明において用いた「メモリ」としては、上記「プロセッサ」のレジスタ或いはキャッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)、主記憶装置(RAM(Random Access Memory))又はHDD(Hard Disc Drive)或いはSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置等、上記マイクロコンピュータに必要な各種記憶媒体を意味する。
【0041】
以上、実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 電子機器
2 蓄電装置
3 作動装置(外部機器)
4 書換装置
21 電池
22 センサ
23 マイコン(制御装置)
AN 入力部
DI 通信部
ME メモリ(記憶部)
PA 送受信経路
PAa,PAd 電気経路
PU 処理部
SW スイッチ
SWa,SWd スイッチング素子
Ta 端子(アナログ端子)
Td 端子(ディジタル端子)
Ts1 接続端(蓄電装置側の接続端子)