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  • 特許-貯留物の供給量制御方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】貯留物の供給量制御方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
B65G65/40 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021042334
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142232
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古閑 邦彦
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-027835(JP,A)
【文献】特開2013-129522(JP,A)
【文献】特開2015-045463(JP,A)
【文献】中国実用新案第210763249(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/30-65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留物を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留物を供給する供給部と、前記貯留部から貯留物を吐出する吐出部とを備えた設備において、
前記供給部における貯留物の供給量またはこれに関する値を、前記吐出部における貯留物の吐出量またはこれに関する値の1次関数として定義し、更に前記1次関数に、設備の運転状況に応じた補正値Cを加味するように、前記吐出部における貯留物の吐出量またはこれに関する値に対し、前記補正値Cを係数として乗じる関係式とし、
前記供給部は、前記貯留部に貯留物を供給する第一のポンプであり、
前記補正値はC=1を基準とし、
貯留物の貯留量が目標値より少ない場合、貯留物の貯留量が減少傾向にある場合、第一のポンプにおける搬送量が少ない場合の少なくとも1つを有する条件下で、前記補正値はC>1の値で設定され、
貯留物の貯留量が目標値より大きい場合、貯留物の貯留量が増加傾向にある場合、第一のポンプにおける搬送量が多い場合の少なくとも1つを有する条件下で、前記補正値はC<1の値で設定されることを特徴とする貯留物の供給量制御方法。
【請求項2】
前記関数は一次関数であること
を特徴とする請求項に記載の貯留物の供給量制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2の貯留物の供給量制御方法を実行可能に構成されたことを特徴とする貯留物の供給量制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥の処理施設など、貯留物を貯留する貯留部を備え、該貯留部における貯留物の貯留量を制御する必要のある施設において、貯留物の供給量を制御する方法、およびこれを実行するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば汚泥の処理施設においては、脱水ケーキを貯留する貯留槽と、脱水ケーキを焼却する焼却炉との間に、焼却炉へ投入される脱水ケーキを一時的に貯留するフィーダが設けられており、前記貯留槽からは第一のポンプによって脱水ケーキが前記フィーダの供給口に供給され、該フィーダの吐出口からは第二のポンプによって脱水ケーキが吐出され、前記焼却炉に投入されるようになっている。
【0003】
ここで、前記フィーダにおいては、貯留物である脱水ケーキが許容量を超えて溢れたり、逆にフィーダが空になって第二のポンプの稼働に支障を来すことのないよう、脱水ケーキの貯留量を概ね一定に保つ必要がある。このためには、第一のポンプから前記フィーダへの脱水ケーキの供給量と、前記フィーダから第二のポンプへの脱水ケーキの吐出量が釣り合うように、第一、第二のポンプを運転すればよい。
【0004】
こうした施設における貯留物の供給量の制御に関する技術を記載した先行技術文献としては、例えば、下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-249812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで従来、上記のような施設において、フィーダ内における貯留物の量を制御するにあたっては、前記フィーダ内における貯留物の貯留量を監視し、これに応じて第一のポンプの運転を調整する方式が一般的であった。貯留量が目標値よりも少ない場合や、減少傾向にある場合には第一のポンプの回転数を上げて貯留物の時間あたりの供給量を多くし、貯留量が目標値よりも多い場合や、増加傾向にある場合には回転数を下げて供給量を少なくするのである。
【0007】
しかしながら、このような方法では、第一のポンプにおける供給量の変動に対し、供給量の制御の追従性が低いという問題があった。例えば、第二のポンプにおける吐出量を短時間で大きく上げた場合、フィーダ内で貯留量の低下が測定されてから第一のポンプの回転数を増大させ、その結果フィーダ内で貯留量が目標値を超えて上昇すると第一のポンプの回転数を減少させ、それによって貯留量が再び目標値を下回れば第一のポンプの回転数を再び増大させる、といった制御が繰り返されることで、貯留量が上下に振れながら目標値へ徐々に収束していくことになる。すなわち、吐出量の変動に対する供給量の追従性が低いために、フィーダ内における貯留量が一時的に不安定になってしまう。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、貯留物の吐出量に対して供給量を追従性よく制御し得る貯留物の供給量制御方法およびシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、貯留物を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留物を供給する供給部と、前記貯留部から貯留物を吐出する吐出部とを備えた設備において、
前記供給部における貯留物の供給量またはこれに関する値を、前記吐出部における貯留物の吐出量またはこれに関する値の1次関数として定義し、更に前記1次関数に、設備の運転状況に応じた補正値Cを加味するように、前記吐出部における貯留物の吐出量またはこれに関する値に対し、前記補正値Cを係数として乗じる関係式とし、
前記供給部は、前記貯留部に貯留物を供給する第一のポンプであり、
前記補正値はC=1を基準とし、
貯留物の貯留量が目標値より少ない場合、貯留物の貯留量が減少傾向にある場合、第一のポンプにおける搬送量が少ない場合の少なくとも1つを有する条件下で、前記補正値はC>1の値で設定され、
貯留物の貯留量が目標値より大きい場合、貯留物の貯留量が増加傾向にある場合、第一のポンプにおける搬送量が多い場合の少なくとも1つを有する条件下で、前記補正値はC<1の値で設定されることを特徴とする貯留物の供給量制御方法にかかるものである。
【0011】
本発明の貯留物の供給量制御方法において、前記関数は一次関数とすることができる。
【0013】
また、本発明は、上述の貯留物の供給量制御方法を実行可能に構成されたことを特徴とする貯留物の供給量制御システムにかかるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の貯留物の供給量制御方法およびシステムによれば、貯留物の吐出量に対して供給量を追従性よく制御するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施による貯留物の供給量制御システムの構成の一例を示す概要図である。
図2】吐出量に関する値に対する供給量に関する値の関係の一例を示し、比例係数の補正について説明するグラフである。
図3】本発明による制御を行った場合に想定される吐出量の変動に対する供給量および貯留量の変動の一例を示すグラフである。
図4】本発明の参考例として、従来の方式で制御を行った場合に想定される吐出量の変動に対する供給量および貯留量の変動の一例を示すグラフである。
図5】本発明による制御を実施した際に観察された吐出量の変動に対する供給量および貯留量の変動を示すグラフである。
図6】本発明の実施による貯留物の供給量制御方法の手順の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の貯留物の供給量制御方法を実施し得るシステムの構成の一例を示しており、ここでは汚泥の処理施設に本発明を適用した場合を想定している。貯留槽1内には、貯留物としての脱水ケーキDが貯留され、貯留槽1内の脱水ケーキDは、該脱水ケーキDを一時的に貯留する貯留部としてのフィーダ2に移された後、焼却炉3へ投入される。貯留槽1とフィーダ2、フィーダ2と焼却炉3の間には、それぞれ供給部としての第一のポンプ4または吐出部としての第二のポンプ5が設けられており、貯留槽1からフィーダ2には第一のポンプ4によって脱水ケーキDが供給され、フィーダ2からは吐出部としての第二のポンプ5によって脱水ケーキDが吐出され、焼却炉3に投入されるようになっている。第一のポンプ4は、例えばスクリューポンプであり、第二のポンプ5は、例えば一軸偏心ポンプである。
【0018】
第一のポンプ4や第二のポンプ5、焼却炉3の運転は、制御部6によって制御される。制御部6は、設備を構成する各部の運転を監視し、制御する装置であり、第一、第二のポンプ4,5に対しては、該第一、第二のポンプ4,5のモータ4a,5aに対し、運転信号を入力してオンオフや回転数を制御するようになっている。また、モータ4a,5aからは、制御部6に対し回転数を示す信号が随時入力されるようになっている。
【0019】
フィーダ2には、内部に貯留される脱水ケーキDの貯留量を測定する貯留量測定部としてのレベル計7が設けられている。貯留量測定部(レベル計)7は、例えば超音波式の距離センサである。レベル計7からは、測定された脱水ケーキDの貯留量が測定信号として制御部6へ入力されるようになっている。尚、貯留量測定部あるいはレベル計としては、脱水ケーキDの貯留量を測定し得る装置であればどのような装置を採用してもかまわない。レベル計としては、超音波式のほかに例えばレーザ式であってもよい。また、レベル計の場合、貯留量は高さとして測定されるが、貯留量測定部としてレベル計以外の装置を用い、例えば貯留量を重量や体積として測定するようにしてもよい。
【0020】
また、貯留槽1には、第一のポンプ4からフィーダ2へ供給される脱水ケーキDの性状を測定する性状測定部としての含水率計8が設けられている。また、貯留槽1と第一のポンプ4との接続部には、第一のポンプ4の入口に加えられる貯留槽1内の脱水ケーキDの重量を測定する重量測定部としてのロードセル9が設けられている。含水率計8とロードセル9の測定値は、測定信号として制御部6に入力される。これらの値は、供給量に影響し得る値として、後に説明する脱水ケーキDの供給量の制御に用いられる。尚、性状測定部や重量測定部としては、脱水ケーキDの性状や重量を適切に測定し得る限りにおいて、含水率計やロードセル以外にも種々の装置を用いてよい。例えば、含水率計の代わりに粘度計を用い、脱水ケーキDの性状として粘度を測定すようにしてもよい。
【0021】
本発明の最大の特徴は、以下に説明するように、貯留部(フィーダ)2における貯留物(脱水ケーキD)の貯留量を目標値近傍に保つにあたり、吐出部(第二のポンプ)5における貯留物Dの吐出量に応じ、供給部(第一のポンプ)4における貯留物Dの供給量を制御することであり、より具体的には、供給部4による貯留物の供給量またはそれに関する値(例えば第一のポンプ4の回転数や、モータ4aの出力)を、吐出部5による吐出量またはそれに関する値(例えば第二のポンプ5の回転数や、モータ5aの出力)の関数として定義することである。言い換えれば、供給量を貯留量のフィードバックにより制御するのではなく、吐出量と直接相関させるということであり、また、供給量を決定するにあたって考慮する最大の因子を、貯留量ではなく吐出量とするということである。
【0022】
むろん、供給量を定義する関数の変数としては、供給量だけでなく、貯留量を組み込んでもよいし、また、その他に貯留量あるいは供給量に影響し得る種々の値を組み込むこともできる。本実施例の場合、貯留物である脱水ケーキDの性状(性状測定部(含水率計8)で測定される値)や、第一のポンプ4の入口における脱水ケーキDの重量(重量測定部(ロードセル9)で測定される値)を第一のポンプ4の回転数の算出に際し加味することで運転状況に応じて供給量をより適切な値に補正し、貯留量を精度よく制御して目標値の近傍に保つようにしている。
【0023】
こうして、供給量またはそれに関する値を予め適当な関数として定義しておくことにより、制御を実行するにあたり、簡単な計算処理によって供給量を適切に算出することができる。
【0024】
具体的な制御の方法を説明する。上記のような汚泥の処理施設の場合、フィーダ2内における脱水ケーキDの貯留量を一定の値に保つには、供給部である第一のポンプ4による脱水ケーキDの供給量を、吐出部である第二のポンプ5による吐出量と等しくなるように制御すればよい。そこで、脱水ケーキDの供給量に関わる値(第一のポンプ4の回転数)を、吐出量に関わる値(第二のポンプ5の回転数)の関数として定義する。ここに示した例の場合、この関数は次のような1次の単純な比例式として定義すれば足り、このような計算式によって、吐出量に応じた適切な供給量を簡単に算出することができる。
(第一のポンプ4の回転数)=A×C×(第二のポンプ5の回転数)
【0025】
上記式のうち、Aは予め設定された係数であり、例えば第一のポンプ4における回転数と搬送量の設計上の関係と、第二のポンプ5における回転数と搬送量の設計上の関係を考慮し、第一のポンプ4による脱水ケーキDの供給量と、第二のポンプ5による脱水ケーキDの吐出量が等しくなるような設計上の値として決定することができる。すなわち、設計上、第二のポンプ5の回転数に対する第一のポンプ4の回転数の比例係数をAとして第一のポンプ4を運転すれば、フィーダ2に対する供給量と吐出量が釣り合い、脱水ケーキDの貯留量を一定に保つことができる。
【0026】
ただし、実際の運転状況によっては、第一、第二のポンプ4、5の回転数を決まった係数によって比例させるだけでは両者が一致しない場合もあり得る。例えば第一のポンプ4をスクリューポンプとし、第二のポンプ5を一軸偏心ポンプとした場合、一軸偏心ポンプである第二のポンプ5は、ほぼ回転数に比例する量の脱水ケーキDを搬送することができるが、スクリューポンプである第一のポンプ4では、貯留槽1に貯留された脱水ケーキDの量や性状により、回転数あたりの脱水ケーキDの搬送量が変動する可能性がある。例えば、貯留槽1に脱水ケーキDが大量に貯留されている場合には、自重によって第一のポンプ4に多くの脱水ケーキDが押し込まれるので、貯留槽1における貯留量が少ない場合と比較して、回転数が同じであっても搬送量は多くなり、貯留部(フィーダ2)に対する供給量は多くなる。また、脱水ケーキDが硬ければ第一のポンプ4によって切り出されにくいため搬送量は少なくなり、脱水ケーキDが柔らかければ搬送量は多くなる。
【0027】
そこで本実施例の場合、設備の運転状況に応じて加味される補正値として、上記式の右辺にCという変数を設定し、これにより、その時々の運転状況に適合した制御を行うようにしている。この補正値Cは、性状測定部(含水率計8)や重量測定部(ロードセル9)の測定値、および貯留部(フィーダ)2における脱水ケーキDの貯留量を変数とし、例えばファジー制御、PID制御、ロジック制御など適宜の制御方法を用いて算出される(尚、補正値Cの算出方法はこれらに限定されるものではなく、その他の制御方法、計算方法をも適宜採用し得る)。
【0028】
また、フィーダ2における脱水ケーキDの貯留量も、補正値Cの算出に変数として利用してもよい。例えば貯留量が目標値に対して少ない場合や減少傾向にある場合には補正値Cを大きめにし、貯留量が多い場合や増加傾向にある場合には補正値Cを小さめに設定することで、制御の追従性をいっそう高めることができる。
【0029】
尚、実際の運用にあたっては、供給量に関わる値として、第一のポンプ4の回転数の代わりに供給量そのものや、モータ4aの回転数や出力等を用いてもよいし、吐出量に関わる値として、第二のポンプ5の回転数の代わりに吐出量そのものや、モータ5aの回転数や出力等を用いてもよい。尚、吐出量を計測する場合、例えば第二のポンプ5の下流に流量計(図示せず)を設け、その計測値を吐出量として取得することができる。そのほか、「供給量に関わる値」や「吐出量に関わる値」として用いる数値は、ここに説明する以外にも適宜設定し得る。
【0030】
また、補正値Cの算出には、上に挙げた値(脱水ケーキDの性状や重量、貯留量)に代えて、あるいは加えて、その他の値を変数として用いるようにしてもよい。例えば、図示しないその他のセンサ類を設け、これらの測定値を変数として用いることもできる。
【0031】
図2は、上述のように吐出量に関する値(第二のポンプ5の回転数)に対する比例値として供給量に関する値(第一のポンプ4の回転数)の制御を行う場合の比例関係の一例を示している。C=1の場合、図中に実線で示す関係(比例係数=A)によって制御が行われる。フィーダ2における脱水ケーキDの貯留量が目標値より少ない場合や、貯留量が減少傾向にある場合、また、脱水ケーキDが固く第一のポンプ4における搬送量が少ない場合、貯留槽1内の脱水ケーキDから第一のポンプ4に加わる重量が小さく第一のポンプ4における搬送量が少ない場合などは、補正値Cは1より大きい値に設定される(図中の一点鎖線参照)。一方、フィーダ2における脱水ケーキDの貯留量が目標値より多い場合や、貯留量が増加傾向にある場合、また、脱水ケーキDが柔らかく第一のポンプ4における搬送量が多い場合、貯留槽1内の脱水ケーキDから第一のポンプ4に加わる重量が大きく第一のポンプ4における搬送量が多い場合などは、補正値Cは1より小さい値に設定される(図中の破線参照)。尚、具体的な補正値Cの決定は、上述の通りファジー制御等によって適宜行われる。また、補正値Cには、上限値や下限値を適宜設定してもよいし、それら上限値や下限値を変更可能としてもよい。
【0032】
このように吐出量に応じて供給量を変動させる制御を行った場合、例えば図3に示すように、吐出量の変動に対し、供給量を追従性よく制御することができる。図3では、時刻t~tに第二のポンプ5における吐出量が急激に増加し、その後の時刻t~tに急激に減少する場合を想定している(上段参照)。この吐出量の変動に応じて供給量を変化させることで(中段参照)、吐出量が変動しても、貯留量を目標値の近傍に精度よく保つことができる(下段参照)。
【0033】
これに対し、貯留量に応じて供給量を変動させる従来の制御では、吐出量の変動に対する供給量の追従性が低い。そのような場合に想定される供給量および貯留量の変動の一例を、図4に参考例として示す。この参考例においては、時刻t~tに吐出量(上段)が増加するとまず貯留量(下段)が減少し、これを受けて供給量(中段)を増加する制御が行われる。その結果、貯留量が目標値を超えて増加し、これに対し、続いて供給量が減少される。これを繰り返すことで、貯留量が上下に振れながら徐々に目標値へ近づいていくことになる。時刻t~t(吐出量の減少時)にも、同様に貯留量は大きく変動しながら目標値へ収束していく。このように、従来の制御方法では、吐出量の変動に対し、貯留量が安定するまでに時間がかかってしまう。
【0034】
図5は、上記の如き実施例において、吐出量の変動に対する供給量および貯留量の変動を実測した結果を示している。この実運転において、第二のポンプ5は、時刻tに作動をオンされた後、時刻tにかけて急激に吐出量を増加させ、時刻t~tに急激に減少させる。その後、吐出量は徐々に上昇するという変化を辿っている(上段の破線参照)。
【0035】
このような吐出量の変動に対し、第一のポンプ4における供給量は速やかに追従し、上下しつつも概ね吐出量と釣り合いながら変動する(上段の実線参照)。そして、フィーダ2における貯留量は、時刻t以降、ほぼ目標値の近傍に保たれる(下段参照)。図4に示した参考例のように、いったん目標値を大きく外れてから時間をかけて収束するのではなく、吐出量の増減があっても、はじめから目標値を大きく外れないのである。
【0036】
上記の制御方法をシステムにおいて実行する手順は、例えば図6に示す如きフローチャートにまとめることができる。
【0037】
まず、貯留部(フィーダ2)における貯留物(脱水ケーキD)の貯留量の目標値を設定する(ステップS1)。次に、貯留物の供給量を吐出量に対し制御するにあたって使用する係数Aを設定する(ステップS2)。貯留部2における貯留物Dの貯留量の実測値をレベル計7から取得し(ステップS3)、その他、補正値Cの算出に用いる値(上に述べた実施例の場合、含水率計8およびロードセル9の測定値)を取得する(ステップS4)。ステップS3,S4で取得した値に基づき、補正値Cを算出する(ステップS5)。
【0038】
吐出量に関する値(第二のポンプ5の回転数)を取得したら(ステップS6)、これに係数Aと補正値Cを乗じ、供給量に関する値(第一のポンプ4の回転数)を算出できる(ステップS7)。ここで算出された値に基づいて第一のポンプ4を運転し、供給量を制御する(ステップS8)。すなわち、第一のポンプ4の回転数がステップS7で算出された値になるよう、モータ4aを制御する。ステップS3に戻り、以降の工程を繰り返す。
【0039】
尚、上に説明した制御方法はあくまで一例である。例えば、吐出量に応じて供給量を制御するにあたり、設定する関数は上記のような比例式に限定されない。制御対象である設備の実態等に応じて関数は適宜設定することができ、例えば上記の比例式の右辺に定数項や他の変数項を設けてもよいし、二次関数や指数関数、その他の各種の関数を設定してもよい。また、図6に示した手順も可変であって、ステップ同士の順序を適宜変更したり、一部のステップを省略したり、別のステップを付加してもよい。
【0040】
また、制御方法を適用する対象としての貯留物や設備も、上に述べたような脱水ケーキや汚泥処理施設に限定されない。本発明は、貯留物を貯留する貯留部と、該貯留部に貯留物を供給する供給部と、前記貯留部から貯留物を吐出する吐出部を備えた設備において、前記貯留部における貯留量を制御する必要がある場合に広く適用し得る。
【0041】
以上のように、上記本実施例の貯留物の供給量制御方法では、貯留物(脱水ケーキ)Dを貯留する貯留部(フィーダ)2と、貯留部2に貯留物Dを供給する供給部(第一のポンプ)4と、貯留部2から貯留物Dを吐出する吐出部(第二のポンプ)5とを備えた設備において、吐出部5における貯留物Dの吐出量に応じ、供給部4における貯留物Dの供給量を制御するようにしている。このようにすれば、吐出量の変動に対して供給量を追従性よく制御し、吐出量が変動しても、貯留量を目標値の近傍に精度よく保つことができる。
【0042】
また、本実施例においては、供給部4における貯留物Dの供給量またはこれに関する値を、吐出部5における貯留物Dの吐出量またはこれに関する値の関数として定義している。このようにすれば、簡単な計算処理により、供給量を適切に算出することができる。
【0043】
また、本実施例において、前記関数は一次関数としている。このようにすれば、いっそう簡単な計算処理により、供給量を適切に算出することができる。
【0044】
また、本実施例においては、前記関数に、設備の運転状況に応じた補正値Cを加味している。このようにすれば、その時々の運転状況に適合した制御を行うことができる。
【0045】
また、本実施例の貯留物の供給量制御システムは、上述の貯留物の供給量制御方法を実行可能に構成されているので、システムにおいて上記の作用効果を奏することができる。
【0046】
したがって、上記本実施例によれば、貯留物の吐出量に対して供給量を追従性よく制御し得る。
【0047】
尚、本発明の貯留物の供給量制御方法およびシステムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
2 貯留部(フィーダ)
4 供給部(第一のポンプ)
5 供給部(第二のポンプ)
D 貯留物(脱水ケーキ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6