(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】核医学診断装置
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20250311BHJP
G01T 1/166 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
G01T1/161 A
G01T1/166 Z
(21)【出願番号】P 2021072654
(22)【出願日】2021-04-22
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 敬之
【審査官】嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0093452(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110167446(CN,A)
【文献】Jicun HU et al.,Design and Implementation of Automated Clinical Whole Body Parametric PET With Continuous Bed Motion,IEEE Transactions on Radiation and Plasma Medical Sciences,2020年11月,Vol. 4, No. 6,p.696-707,DOI: 10.1109/trpms.2020.2994316
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性同位体を投与された被検体が載置される天板と、
前記放射性同位体によって前記被検体から放出されるガンマ線を検出する複数の検出器ユニットと、
前記被検体が第1の位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニットに流れる電流を示す電流情報を収集する収集部と、
前記電流情報に基づいて前記天板の位置を制御することで、前記第1の位置から第2の位置へ前記被検体を移動させる制御部と
を備え
、
前記制御部は、前記電流情報に基づいて前記天板の位置を制御することで、前記複数の検出器ユニットにおける前記電流の分布が均一な状態に近付くように、前記被検体を移動させる、核医学診断装置。
【請求項2】
前記収集部は、前記被検体に前記放射性同位体が投与された後に、前記第1の位置に配置された前記被検体から放出されるガンマ線によって各検出器ユニットに流れる電流を実測することで、前記電流情報を収集する、
請求項
1に記載の核医学診断装置。
【請求項3】
前記収集部は、前記被検体に前記放射性同位体が投与される前に、前記被検体に関する情報及び前記放射性同位体に関する情報に基づいて、前記被検体が前記第1の位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニットに流れる電流を推測することで、前記電流情報を収集する、
請求項
1に記載の核医学診断装置。
【請求項4】
前記収集部は、機械学習、モンテカルロシミュレーション又は数理モデルを用いて、前記電流を推測する、
請求項
3に記載の核医学診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記被検体を移動させた後に、各検出器ユニットに流れる電流が所定値より小さくなった場合に、前記被検体を前記第1の位置へ戻す、
請求項1~
4のいずれか一つに記載の核医学診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記被検体を移動させた後に、各検出器ユニットに流れる電流が所定値より低くなった場合に、前記複数の検出器ユニットに流れる電流の分布が均一に近付くように前記被検体をさらに移動させる、
請求項1~
4のいずれか一つに記載の核医学診断装置。
【請求項7】
前記複数の検出器ユニットは、所定の軸を中心とした円周方向に沿って配置されており、
前記制御部は、前記軸に直交する面に沿った方向に前記被検体を移動させる、
請求項1~
6のいずれか一つに記載の核医学診断装置。
【請求項8】
前記複数の検出器ユニットは、それぞれ、前記軸に沿った方向に配列された複数の検出器モジュールを含んでおり、
前記収集部は、各検出器ユニットについて、前記検出器モジュールごとに前記電流情報を収集し、
前記制御部は、前記検出器モジュールごとに収集された前記電流情報に基づいて、さらに前記軸に沿った方向に前記被検体を移動させる、
請求項
7に記載の核医学診断装置。
【請求項9】
前記複数の検出器ユニットによって検出されたガンマ線に基づいてPET画像を生成する再構成部をさらに備え、
前記制御部は、前記被検体が移動された後の前記天板の位置を示す位置情報を保存し、
前記再構成部は、前記被検体が移動された後に前記複数の検出器ユニットによって検出されたガンマ線に基づいて、前記天板の位置情報を加味して、前記PET画像を再構成する、
請求項1~
8のいずれか一つに記載の核医学診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、核医学診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PET(Positron Emission Tomography)装置は、被検体に投与された放射性同位体(RadioIsotope:RI)から放出される陽電子が電子と対消滅することによって放出されるガンマ線を検出し、検出したガンマ線に基づいてPET画像を再構成する。
【0003】
ここで、一般的に、PET装置は、ガンマ線を検出するための複数の検出器ユニットを備えるが、被検体に投与されるRIの種類や撮像が行われる際の被検体の位置等によって、特定の検出器ユニットにガンマ線が集中し、それにより検出器ユニットの過電流が発生することがある。なお、このような検出器ユニットの過電流は、PET装置に限られず、他の核医学診断装置でも同様に生じ得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、検出器ユニットの過電流を防止することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る核医学診断装置は、天板と、複数の検出器ユニットと、収集部と、制御部とを備える。天板は、放射性同位体を投与された被検体が載置される。複数の検出器ユニットは、前記放射性同位体によって前記被検体から放出されるガンマ線を検出する。収集部は、前記被検体が第1の位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニットに流れる電流を示す電流情報を収集する。制御部は、前記電流情報に基づいて前記天板の位置を制御することで、前記第1の位置から第2の位置へ前記被検体を移動させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るPET装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る検出器ユニットの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る寝台制御回路によって行われる被検体の移動の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る寝台制御回路によって行われる被検体の移動の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る電流情報収集回路及び寝台制御回路によって行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る電流情報収集回路によって行われる電流の推測の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係る電流情報収集回路によって行われる電流の推測の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、核医学診断装置の実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、核医学診断装置の一例として、PET装置の実施形態について説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るPET装置の構成例を示す図である。
【0010】
本実施形態に係るPET装置100は、被検体Pに投与されたRIから放出される陽電子が電子と対消滅することによって放出されるガンマ線を検出し、検出したガンマ線に基づいてPET画像を再構成する。
【0011】
例えば、
図1に示すように、本実施形態に係るPET装置100は、架台装置10と、コンソール装置20とを備える。
【0012】
架台装置10は、被検体Pに投与されたRI放出される陽電子が電子と対消滅することによって当該被検体Pから放出されるガンマ線を検出し、検出したガンマ線をカウントすることによって計数情報を収集する。ここで、架台装置10は、当該架台装置10を水平方向に貫通するように形成された円筒状の開口部を有しており、当該開口部に配置された被検体Pから放出されるガンマ線を検出する。
【0013】
なお、本実施形態では、架台装置10の円筒状の開口部の軸に沿った方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する水平方向をX軸方向、Z軸方向に直交する鉛直方向をY方向と定義する。
【0014】
具体的には、架台装置10は、天板11と、寝台12と、寝台駆動機構13と、PET検出器14と、計数情報収集回路15と、電流情報取集回路16と、寝台制御回路17とを備える。
【0015】
天板11は、RIを投与された被検体Pが載置されるベッドである。例えば、天板11は、矩形の平板状に形成されており、長手方向がZ軸方向と平行になるように配置されている。
【0016】
寝台12は、天板11をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向へ移動可能に支持する。
【0017】
寝台駆動機構13は、寝台12の内部又は外部に設けられており、寝台12によって支持された天板11を移動させる。例えば、寝台駆動機構13は、被検体Pの撮像が行われる際に、当該被検体Pが載置された天板11を架台装置10の開口部へ移動させる。例えば、寝台駆動機構13は、寝台12の位置が固定された状態で、寝台12上で天板11を移動させる。または、例えば、寝台駆動機構13は、移動ベース上に配置された寝台12を天板11とともに移動させる。
【0018】
PET検出器14は、被検体Pに投与されたRIによって当該被検体Pから放出されるガンマ線を検出し、検出したガンマ線を電気信号に変換して出力する。
【0019】
具体的には、PET検出器14は、複数の検出器ユニット14aを含んでおり、各検出器ユニット14aが、被検体Pから放出されるガンマ線を検出する。ここで、複数の検出器ユニット14aは、架台装置10に形成された開口部を囲むように、Z軸を中心とした円周方向に沿って配置されている。また、複数の検出器ユニット14aは、それぞれ、複数の検出器モジュールを含んでおり、検出器モジュールごとにガンマ線を検出する。
【0020】
図2は、第1の実施形態に係る検出器ユニット14aの構成例を示す図である。
【0021】
例えば、
図2に示すように、検出器ユニット14aは、Z軸方向に配列された複数の検出器モジュール14bを含んでいる。各検出器モジュール14bは、例えば、PET検出器14の周方向及びZ軸方向に沿って2次元に配列された複数のガンマ線検出素子を有しており、各ガンマ線検出素子が、被検体Pから放出されるガンマ線を検出する。
【0022】
図1に戻り、計数情報収集回路15は、PET検出器14の各検出器ユニット14aから出力される電気信号に基づいてガンマ線をカウントすることによって、計数情報を収集する。具体的には、計数情報収集回路15は、PET検出器14から出力される電気信号をデジタル信号に変換して、ガンマ線の検出位置、エネルギー値及び検出時間を含む計数情報を生成する。そして、計数情報収集回路15は、生成した計数情報をメモリ23に格納する。
【0023】
なお、電流情報取集回路16及び寝台制御回路17については後に詳細に説明する。
【0024】
コンソール装置20は、操作者からPET装置100に対する各種操作を受け付け、受け付けた操作に基づいて、PET装置100の動作を制御する。具体的には、コンソール装置20は、入力インターフェース21と、ディスプレイ22と、メモリ23と、処理回路24とを備える。ここで、コンソール装置20が備える各部は、バスを介して接続されている。なお、ここでは、架台装置10とコンソール装置20とが別体である場合の例を説明するが、コンソール装置20又はコンソール装置20の構成要素の一部が架台装置10に含まれていてもよい。
【0025】
入力インターフェース21は、操作者から各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路24に出力する。例えば、入力インターフェース21は、撮像条件や関心領域(Region Of Interest:ROI)の設定等を行うためのマウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。なお、例えば、入力インターフェース21は、架台装置10に設けられてもよい。また、例えば、入力インターフェース21は、コンソール装置20本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されてもよい。また、入力インターフェース21は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置20とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路24へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース21の例に含まれる。
【0026】
ディスプレイ22は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ22は、処理回路24によって生成されたPET画像や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ22は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、例えば、ディスプレイ22は、架台装置10に設けられていてもよい。また、例えば、ディスプレイ22は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置20本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されていてもよい。
【0027】
メモリ23は、PET装置100において用いられる各種データを記憶する。例えば、メモリ23は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
【0028】
処理回路24は、PET装置100全体の動作を制御する。具体的には、処理回路24は、同時計数情報生成機能24aと、再構成機能24bと、制御機能24cとを有する。
【0029】
同時計数情報生成機能24aは、計数情報収集回路15によって収集された計数情報を用いて同時計数情報を生成する。具体的には、同時計数情報生成機能24aは、メモリ23に記憶された計数情報を参照し、各計数情報の検出時間に基づいて、ガンマ線を略同時に計数した計数情報の組を検索する。そして、同時計数情報生成機能24aは、検索された計数情報の組を対応付けた同時計数情報を生成し、生成した同時計数情報をメモリ23に格納する。
【0030】
再構成機能24bは、同時計数情報生成機能24aによって生成された同時計数情報に基づいてPET画像を再構成する。具体的には、再構成機能24bは、メモリ23に記憶された同時計数情報を読み出し、読み出した同時計数情報を投影データとして用いて逆投影処理を行うことで、PET画像を再構成する。また、再構成機能24bは、再構成したPET画像をメモリ23に格納する。
【0031】
制御機能24cは、架台装置10及びコンソール装置20の各部を制御することで、PET装置100の全体制御を行う。例えば、制御機能24cは、寝台制御回路17を制御して、寝台12の内部又は外部に設けられた寝台駆動機構13を動作させることで、天板11の位置を制御する。また、例えば、制御機能24cは、計数情報収集回路15を制御して、被検体Pから放出されるガンマ線の計数情報を収集する。
【0032】
以上、本実施形態に係るPET装置100の構成例について説明した。
【0033】
ここで、一般的に、PET装置では、被検体に投与されるRIの種類や撮像が行われる際の被検体の位置等によって、特定の検出器ユニットにガンマ線が集中し、それにより検出器ユニットの過電流が発生することがある。
【0034】
例えば、心臓のPET検査で用いられるRb-82(塩化ルビジウム)は、心臓に集積する特徴がある。そのため、心臓のPET検査では、心臓に近い位置にある検出器ユニットにガンマ線が集中して過電流が発生することがある。また、例えば、撮像が行われる際に被検体が動いてしまい、その結果、被検体が架台装置の開口部内で一方の側へ移動してしまった場合に、被検体に近接する検出器ユニットにガンマ線が集中して過電流が発生することがある。
【0035】
このような検出器ユニットの過電流を防ぐため、例えば、検出器ユニットに流れる電流の電流値が許容値を超えた場合に、電圧を下げることによってゲインを下げて電流を制限する方法が考えられる。しかしながら、このようにゲインを下げることによって電流の制限を行う方法では、検出されるガンマ線の線形性が失われて、PET画像の定量性に影響が出ることがあり得る。
【0036】
このようなことから、本実施形態に係るPET装置100は、検出器ユニット14aの過電流を防止することができるように構成されている。
【0037】
具体的には、架台装置10の電流情報収集回路16が、被検体Pが第1の位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流を示す電流情報を収集する。また、架台装置10の寝台制御回路17が、電流情報収集回路16によって収集された電流情報に基づいて天板11の位置を制御することで、第1の位置から第2の位置へ被検体Pを移動させる。ここで、電流情報収集回路16は、収集部の一例である。また、寝台制御回路17は、制御部の一例である。
【0038】
以下、本実施形態に係る架台装置10の電流情報収集回路16及び寝台制御回路17について詳細に説明する。
【0039】
本実施形態では、電流情報収集回路16は、被検体Pのデータ収集が行われる前に、被検体Pが架台装置10の開口部内の初期位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流情報を収集する。ここで、例えば、初期位置は、架台装置10の開口部内の中心の位置である。
【0040】
具体的には、電流情報収集回路16は、被検体Pが架台装置10の開口部内の初期位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流を示す電流情報を収集する。
【0041】
より具体的には、電流情報収集回路16は、被検体PにRIが投与された後に、架台装置10の開口部内の初期位置に配置された被検体Pから放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流を実測することで、電流情報を収集する。
【0042】
例えば、電流情報収集回路16は、電流センサ等を用いて、各検出器ユニット14aがガンマ線を検出した際に消費する消費電流を実測することで、電流情報を収集する。
【0043】
ここで、電流情報収集回路16は、各検出器ユニット14aに含まれる複数の検出器モジュール14bに流れる電流の統計値を検出器ユニット14aに流れる電流値として算出することで、検出器ユニット14aごとに電流情報を収集する。
【0044】
例えば、電流情報収集回路16は、各検出器ユニット14aに含まれる複数の検出器モジュール14bに流れる電流の平均値又は最大値を検出器ユニット14aに流れる電流値として算出することで、検出器ユニット14aごとに電流情報を収集する。
【0045】
そして、本実施形態では、寝台制御回路17は、被検体Pのデータ収集が行われる前に、電流情報収集回路16によって収集された電流情報に基づいて天板11の位置を制御することで、架台装置10の開口部内の初期位置から、複数の検出器ユニット14aにおける電流の分布が略均一になる位置へ被検体Pを移動させる。
【0046】
具体的には、寝台制御回路17は、電流情報収集回路16によって収集された電流情報に基づいて天板11の位置を制御することで、複数の検出器ユニット14aにおける電流の分布が均一な状態に近付くように被検体Pを移動させる。ここで、寝台制御回路17は、寝台12の内部又は外部に設けられた寝台駆動機構13を動作させることで、天板11の位置を制御する。
【0047】
より具体的には、寝台制御回路17は、Z軸に直交する面に沿った方向に被検体Pを移動させる。また、寝台制御回路17は、被検体Pが移動された後の天板11の位置を示す位置情報を保存する。
【0048】
図3及び4は、第1の実施形態に係る寝台制御回路17によって行われる被検体Pの移動の一例を示す図である。
【0049】
ここで、
図3及び4は、心臓のPET検査が行われる場合の例を示しており、
図3は、寝台制御回路17によって被検体Pが移動される前の状態を示し、
図4は、寝台制御回路17によって被検体Pが移動された後の状態を示している。また、
図3及び4では、複数の検出器ユニット14aそれぞれについて、各検出器ユニット14aの消費電流の大きさ応じて模様を付けており、模様が濃いほど、消費電流が大きいことを示している。
【0050】
前述したように、心臓のPET検査で用いられるRb-82は、心臓に集積する特徴がある。そのため、心臓のPET検査では、例えば、
図3に示すように、心臓Hに近い位置にある検出器ユニット14aにガンマ線が集中して過電流が発生することがある。この場合に、寝台制御回路17は、例えば、
図4に示すように、Z軸に直交する面に沿って、消費電流が大きい検出器ユニット14aから消費電流が小さい検出器ユニット14aに向かう方向へ被検体Pを移動させる。
【0051】
例えば、寝台制御回路17は、電流情報収集回路16によって収集された各検出器ユニット14aの電流情報に基づいて、複数の検出器ユニット14aにおける電流の分布が均一な状態に近付くように、Z軸に直交する面に沿って、天板11の移動方向及び移動量を算出する。そして、寝台制御回路17は、算出した移動方向及び移動量に従って天板11を移動させることで、Z軸に直交する面に沿った方向に被検体Pを移動させる。
【0052】
具体的な例として、例えば、寝台制御回路17は、電流情報収集回路16によって収集された各検出器ユニット14aの電流値に基づいて、各検出器ユニット14aの空間的な位置にそれぞれの電流値を割り当てることによって得られる電流値の分布の重心を算出する。これにより、例えば、
図3に示す例では、被検体Pの心臓Hの位置が重心として算出される。そして、寝台制御回路17は、算出した重心を始点とし、当該重心からZ軸への垂線とZ軸との交点を終点とするベクトルを算出する。その後、寝台制御回路17は、算出したベクトルに沿って天板11を移動させることで、Z軸に直交する面に沿った方向に被検体Pを移動させる。これにより、例えば、
図4に示す例では、被検体Pの心臓HがZ軸上に配置されるように天板11が移動される。この結果、複数の検出器ユニット14aにおける電流の分布が略均一になる。
【0053】
また、寝台制御回路17は、被検体Pを移動させる一方で、被検体Pが移動された後の天板11の位置を示す位置情報をメモリ23に保存する。ここで、寝台制御回路17によって保存された天板11の位置情報は、PET画像を再構成する際に用いられる。
【0054】
具体的には、再構成機能24bが、被検体Pが移動された後に複数の検出器ユニット14aによって検出されたガンマ線に基づいて、天板11の位置情報を加味して、PET画像を再構成する。ここで、再構成機能24bは、再構成部の一例である。
【0055】
例えば、再構成機能24bは、寝台制御回路17によってメモリ23に保存された天板11の位置情報を用いて、同時計数情報生成機能24aによって生成された同時計数情報から算出される対消滅イベントの位置を補正し、補正後の同時計数情報に基づいて、PET画像を再構成する。
【0056】
以上、処理回路24が有する処理機能について説明したが、例えば、処理回路24は、プロセッサにより実現される。その場合に、処理回路24が有する処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ23に記憶される。そして、処理回路24は、メモリ23から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、処理回路24は、各プログラムを読み出した状態で、
図1の処理回路24内に示される各処理機能を有することになる。
【0057】
また、例えば、電流情報収集回路16及び寝台制御回路17も、プロセッサにより実現される。その場合に、電流情報収集回路16及び寝台制御回路17が有する処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ23に記憶される。そして、電流情報収集回路16及び寝台制御回路17は、メモリ23から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。
【0058】
図5は、第1の実施形態に係る電流情報収集回路16及び寝台制御回路17によって行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
例えば、
図5に示すように、電流情報収集回路16は、RIを投与された被検体Pが架台装置10の開口部の中心に配置された後に、操作者からの指示等に応じて、被検体Pから放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流の電流値を収集する(ステップS1)。
【0060】
また、寝台制御回路17は、電流情報収集回路16によって各検出器ユニット14aの電流値が収集された後に、電流値が規定値を超える検出器ユニット14aがあるか否かを判定する(ステップS2)。
【0061】
そして、寝台制御回路17は、電流値が規定値を超える検出器ユニット14aがあった場合に(ステップS2,Yes)、各検出器ユニット14aの位置及び電流値に基づいて、天板11の移動方向及び移動量を算出する(ステップS3)。
【0062】
その後、寝台制御回路17は、導出した移動方向及び移動量に基づいて、移動後の天板11の位置を算出し、当該位置を示す位置情報をメモリ23に保存する(ステップS4)。
【0063】
そして、寝台制御回路17は、導出した移動方向及び移動量に基づいて、被検体Pが載置された天板11を移動させる(ステップS5)。
【0064】
ここで、例えば、上記ステップS1の処理は、電流情報収集回路16が、ステップS1の処理機能に対応するプログラムをメモリ23から読み出して実行することにより実現される。また、例えば、上記ステップS2~S5の処理は、寝台制御回路17が、ステップS2~S5の処理機能に対応するプログラムをメモリ23から読み出して実行することにより実現される。
【0065】
上述したように、第1の実施形態では、電流情報収集回路16が、被検体Pが第1の位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流を示す電流情報を収集する。また、寝台制御回路17が、電流情報収集回路16によって収集された電流情報に基づいて天板11の位置を制御することで、第1の位置から第2の位置へ被検体Pを移動させる。
【0066】
このような構成によれば、複数の検出器ユニット14aにおける電流の分布に基づいて、特定の検出器ユニット14aにガンマ線が集中しないように被検体Pの位置を最適化することができる。したがって、第1の実施形態によれば、検出器ユニット14aの過電流を防止することができる。
【0067】
また、第1の実施形態によれば、天板11の位置情報を加味してPET画像を再構成することで、ゲインを下げることによって電流の制限を行う方法と比べて、PET画像の定量性を高めることができる。
【0068】
また、第1の実施形態によれば、各検出器ユニット14aの消費電流を実測して天板11の位置を制御することで、カウントレート等のイベントベースのパラメータを用いて制御する場合と比べて、遅延のない制御が可能である。
【0069】
なお、上述した説明では、RIとしてRb-82が用いられる場合を例に挙げて説明したが、本実施形態は、Rb-82に限らず、高線量による過電流のリスクがある他の核種がRIとして用いられる場合でも同様に適用することが可能である。
【0070】
以上、第1の実施形態について説明したが、上述したPET装置100の構成は、その一部を適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、第1の実施形態に関する変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、既に説明した内容と重複する点については詳細な説明を省略する。
【0071】
(第2の実施形態)
例えば、第1の実施形態では、被検体PにRIが投与された後に、各検出器ユニット14aに流れる電流を実測することで、電流情報を収集する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、第2の実施形態として、被検体PにRIが投与される前に、被検体Pが第1の位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流を推測することで、電流情報を収集してもよい。
【0072】
この場合には、例えば、電流情報収集回路16は、被検体PにRIが投与される前に、被検体Pに関する情報及びRIに関する情報に基づいて、被検体Pが第1の位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流を推測することで、電流情報を収集する。
【0073】
具体的には、電流情報収集回路16は、被検体Pのデータ収集が行われる前に、被検体Pが架台装置10の開口部内の初期位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流情報を収集する。ここで、例えば、初期位置は、架台装置10の開口部内の中心の位置である。
【0074】
例えば、電流情報収集回路16は、機械学習を用いて、被検体Pが架台装置10の開口部内の初期位置に配置された際に放出されるガンマ線によって各検出器ユニット14aに流れる電流を推測する。
【0075】
図6及び7は、第2の実施形態に係る電流情報収集回路16によって行われる電流の推測の一例を示す図である。
【0076】
例えば、
図6に示すように、電流情報収集回路16は、減弱補正用に収集された被検体のCT画像と、当該被検体に投与されるRIの投与量とを入力として受け付け、当該被検体が架台装置10の開口部内の初期位置に配置された際に各検出器ユニット14aに流れる電流を出力するように学習された学習済みモデルを用いる。そして、電流情報収集回路16は、当該学習済みモデルに対して、撮像対象の被検体PのCT画像と、当該被検体Pに投与されるRIの投与量とを入力することによって、当該被検体Pが架台装置10の開口部内の初期位置に配置された際に各検出器ユニット14aに流れる電流を推測する。
【0077】
この場合に、学習済みモデルは、例えば、
図7に示すように、多数の被検体について、当該被検体のCT画像と、当該被検体に投与されたRIの投与量と、当該被検体が架台装置10の開口部内の初期位置に配置された際に各検出器ユニット14aに流れた電流とを学習用データとして用いて機械学習を行うことによって構築される。当該学習済みモデルは、被検体Pの撮像が行われる前に予め構築されて、メモリ23に記憶される。
【0078】
ここで、機械学習の手法としては、ディープラーニング(Deep Learning)や、ロジスティック(Logistic)回帰分析、非線形判別分析、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)、ランダムフォレスト(Random Forest)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)等の各種の手法を用いることができる。
【0079】
なお、ここでは、機械学習を用いて、各検出器ユニット14aに流れる電流を推測する場合の例を説明したが、電流を推測する方法はこれに限られない。例えば、電流情報収集回路16は、モンテカルロシミュレーションや数理モデル等を用いて、各検出器ユニット14aに流れる電流を推測してもよい。
【0080】
(第3の実施形態)
また、例えば、第1の実施形態では、被検体Pのデータ収集が行われる前に被検体Pの位置を最適化する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、第3の実施形態として、被検体Pのデータ収集が行われている間に、被検体Pの位置を最適化してもよい。
【0081】
この場合には、例えば、電流情報収集回路16は、被検体Pのデータ収集が行われている間に、所定のタイミングで、各検出器ユニット14aに流れる電流を実測することで、電流情報を収集する。ここで、例えば、電流情報収集回路16は、被検体Pの撮像が開始された後に、所定の時間間隔で周期的に電流情報を収集してもよいし、操作者からの指示に応じて電流情報を収集してもよい。
【0082】
そして、例えば、寝台制御回路17は、電流情報収集回路16によって電流情報が収集された場合に、収集された電流情報に基づいて天板11の位置を制御することで、その時点で天板11が配置されている位置から、複数の検出器ユニット14aにおける電流の分布が略均一になる位置へ被検体Pを移動させる。
【0083】
なお、本実施形態は単独で実施されてもよいし、第1の実施形態又は第2の実施形態と組み合わせて実施されてもよい。例えば、被検体Pのデータ収集が行われる前に、第1の実施形態又は第2の実施形態の方法を用いて被検体Pの位置を最適化し、被検体Pのデータ収集が行われている間に、さらに、本実施形態の方法を用いて被検体Pの位置を最適化してもよい。これにより、例えば、何らかの影響によって、撮像が開始される前と開始された後で被検体PやRIの状況が変化するような場合でも、より確実に検出器ユニット14aの過電流を防止することができる。
【0084】
(第4の実施形態)
また、例えば、第1の実施形態又は第2の実施形態において、被検体Pのデータ収集が行われる前に被検体Pの位置を最適化した後に、被検体Pのデータ収集が行われている間に、各検出器ユニット14aに流れる電流の分布が所定値より小さくなった時点で、被検体Pを初期位置又は最適な位置に移動させてもよい。
【0085】
この場合には、例えば、電流情報収集回路16は、被検体Pのデータ収集が行われている間に、所定の時間間隔で周期的に電流情報を収集する。
【0086】
そして、例えば、寝台制御回路17は、被検体Pを移動させた後に、各検出器ユニット14aに流れる電流が所定値より小さくなった場合に、被検体Pを架台装置10の開口部内の初期位置へ戻す。
【0087】
または、例えば、寝台制御回路17は、被検体Pを移動させた後に、各検出器ユニット14aに流れる電流が所定値より低くなった場合に、複数の検出器ユニット14aに流れる電流の分布が均一に近付くように、被検体Pをさらに移動させる。
【0088】
例えば、上述した方法で被検体Pを移動させた場合には、被検体Pが開口部内の空間で偏って配置されることによって、PET画像の空間分解能が低下することがあり得る。その一方で、被検体Pに投与されたRIは時間の経過とともに代謝等によって排出されるため、検出器ユニット14aによって検出されるガンマ線も時間の経過とともに減少する。これについて、本実施形態では、時間の経過とともにガンマ線が減少することによって検出器ユニット14aの過電流が回避された時点で、被検体Pを初期位置又は最適な位置に移動されるので、PET画像の空間分解能を向上させることができる。
【0089】
(第5の実施形態)
また、上述した実施形態では、Z軸に直交する面に沿った方向に被検体Pを移動させる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、Z軸に直交する面に沿った方向に加え、さらに、Z軸に沿った方向に被検体Pを移動させてもよい。
【0090】
この場合には、例えば、電流情報収集回路16は、各検出器ユニット14aについて、Z軸方向に配列された検出器モジュール14bごとに電流情報を収集する。
【0091】
そして、例えば、寝台制御回路17は、電流情報収集回路16によって収集された検出器モジュール14bごとの電流情報に基づいて、さらにZ軸方向に被検体Pを移動させる。
【0092】
例えば、寝台制御回路17は、検出器モジュール14bごとの電流情報に基づいて、Z方向における電流の分布が均一な状態に近付くように被検体Pを移動させる。例えば、寝台制御回路17は、心臓のPET検査が行われる場合に、複数の検出器ユニット14aそれぞれにおけるZ方向の中心を通る面上に心臓が配置されるように、被検体Pを移動させる。
【0093】
(他の実施形態)
また、上述した実施形態では、架台装置10が電流情報取集回路16及び寝台制御回路17を備える場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、コンソール装置20の処理回路24が、上述した電流情報取集回路16及び寝台制御回路17の両方又は一方の処理機能を有するように構成されてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、寝台制御回路17が、寝台12の内部に設けられた寝台駆動機構13を動作させることで、天板11の位置を制御する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、天板11が寝台12に固定されており、寝台12自体がX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向へ移動可能な構成となっている場合には、寝台制御回路17は、寝台12を制御することで、天板11の位置を制御してもよい。
【0095】
また、上述した実施形態は、核医学診断装置の一例として、PET装置の実施形態について説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本願が開示する技術は、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の他の核医学診断装置にも同様に適用することが可能である。
【0096】
また、上述した実施形態において、処理回路は、単一のプロセッサによって実現されるものに限られず、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものであってもよい。また、処理回路が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一のメモリに記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数のメモリに分散して記憶され、処理回路が、各メモリから各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
【0097】
また、上述した実施形態では、本明細書における収集部、制御部及び再構成部をそれぞれ電流情報収集回路16、寝台制御回路17及び処理回路24の再構成機能24bによって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における収集部、制御部及び再構成部は、実施形態で述べた電流情報収集回路16、寝台制御回路17及び処理回路24の再構成機能24bによって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0098】
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0099】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0100】
また、上述した実施形態において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0101】
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0102】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、検出器ユニットの過電流を防止することができる。
【0103】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
100 PET装置
10 架台装置
16 電流情報収集回路
17 寝台制御回路
14 PET検出器
14a 検出器ユニット
14b 検出器モジュール