(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】ヌクレオシド薬剤のアミド亜リン酸エステル誘導体の製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7072 20060101AFI20250311BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20250311BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20250311BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
A61K31/7072
A61K9/08
A61K47/14
A61K47/20
A61K47/22
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021113985
(22)【出願日】2021-07-09
(62)【分割の表示】P 2018532773の分割
【原出願日】2016-12-21
【審査請求日】2021-07-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-15
(32)【優先日】2015-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517395747
【氏名又は名称】ニューカナ パブリック リミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー グリフィス
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン ケンノヴィン
【合議体】
【審判長】原田 隆興
【審判官】石井 徹
【審判官】田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-514657号公報(JP,A)
【文献】特表2014-506913号公報(JP,A)
【文献】特表2015-523361号公報(JP,A)
【文献】特表2016-512523号公報(JP,A)
【文献】特表2003-500368号公報(JP,A)
【文献】特表2008-501757号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K,A61P
DB名 CAPlus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度40mg/ml以上の5-フルオロ-2’-デオキシウリジン-5’-O-[1-ナフチル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート(NUC-3373);
極性の非プロトン性溶媒;及び
任意の1以上の薬学上許容される添加剤
を含んでなる医薬製剤。
【請求項2】
極性の非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びN-メチルピロリドン(NMP)から選ばれるものである請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
製剤が、さらに、水性ビヒクルを含んでなる請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
水性ビヒクルが食塩水である請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
水性ビヒクルが注射用水(WFI)である請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項6】
製剤が、さらに、可溶化剤を含んでなる請求項1~5のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項7】
製剤が、2以上の可溶化剤を含んでなる請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
可溶化剤又は各可溶化剤が、ポリエトキシル化脂肪酸又はその混合物である請求項6又は7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
癌の治療用である請求項1~8のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項10】
極性の非プロトン性溶媒、NUC-3373、及び任意の水性ビヒクルを含んでなる第1の製剤
(ここで、NUC-3373の濃度は40mg/ml以上である);及び
極性の非プロトン性溶媒及び1以上の可溶化剤を含んでなる第2の製剤
を含んでなるキット。
【請求項11】
極性の非プロトン性溶媒及び水性ビヒクルを含んでなる第1の製剤;及び
極性の非プロトン性溶媒、水性ビヒクル、及びNUC-3373を含んでなる第2の製剤
(ここで、NUC-3373の濃度は40mg/ml以上である)
を含んでなるキット。
【請求項12】
極性の非プロトン性溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びN-メチルピロリドン(NMP)から選ばれるものである請求項10又は11に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロチド(ヌクレオシドのアミド亜リン酸エステル誘導体)及び、特に、NUC-3373(5-フルオロ-2’-デオキシウリジン-5’-O-[1-ナフチル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)及びNUC-7738(3’-デオキシアデノシン-5’-O-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)、及びCPF-448(2-クロロ-2’-β-フルオロ-2’-デオキシアデノシン-5’-O-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)のような癌治療に有用なプロチドの医薬製剤及び製剤戦略に関する。特に、本発明は、極性の非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)を含んでなる製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
プロチドは、ヌクレオシドのマスクドホスフェート誘導体である。これらは、抗ウイルス剤及び腫瘍学の両分野において、特に有望な治療剤であることが示されている。プロチドは、より具体的には、モノホスホル化ヌクレオシドのプロドラッグである。これらの化合物は、親のヌクレオシドの有用性を制限する多くの本来の及び獲得された抵抗性機構を回避するように思われる(例えば、「RroTide技術のゲムシタビンへの適用:極めて重要な癌抵抗性機構を克服するための奏功のアプローチは、臨床開発において、新たな薬剤(NUC-1031)をもたらす」;Slusarczykら;J.Med.Chem.;2014,57,1531-1542参照)。
【0003】
NUC-3373(5-フルオロ-2’-デオキシウリジン-5’-O-[1-ナフチル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)は、大腸癌に対する現在の基本治療である5FU/FUDRのプロチド適応である。NUC-3373及び様々な関連する化合物は、様々な癌モデルに対して、インビボで活性を示し、多くのケースにおいて、特に、NUC-3373に関して、活性が傑出しており、5-フルオロウラシルにて得られる結果よりもかなり優れていることを示す。5-フルオロウラシル/FUDR分子へのプロチドアミド亜リン酸エステル部分の付加は、剤の重要な活性型(FdUMP)を腫瘍細胞に送達するとの特別な利点を与える。いずれの臨床治験も、NUC-3373が、5-FU及びその経口プロドラッグのカペシタビンが関与する重要な腫瘍細胞の抵抗性機構に打ち勝ち、活性なFdUMP代謝物の高い細胞内レベルを発生し、その結果、腫瘍細胞の生長のかなりの阻害を生ずることを証明していない。さらに、正式のイヌ毒物学治験では、NUC-3373は、5-FUよりも、顕著に、より良好に耐えられる(国際公開第2012/117246;McGuiganら,「抗癌剤FUDRのアミド亜リン酸エステルProTidesは、細胞内で、生物活性モノホスフェートを首尾よく送達し、親ヌクレオシド以上の利点を与える」;J.Med.Chem.;2011,54,7247-7258;及びVande Voordeら,「NUC-3073(5-フルオロ-2’-デオキシウリジンのアミド亜リン酸エステルプロドラッグ)の細胞増殖抑制作用は、チミジンキナーゼによる活性化に依存せず、加リン酸分解酵素による分解に非感受性である」;Biochem.Pharmacol.;2011,82,441-452参照)。
【0004】
プリンヌクレオシドのプロチド誘導体、例えば、クロファラビン及びデオキシアデノシン及び関連する化合物は、様々な固形腫瘍、白血病、及びリンパ腫に対して、インビボで、優れた活性も示す(国際公開第2006/100439及び国際公開第2016/083830(PCT/GB2015/053628)参照)。デオキシアデノシン自体は、特に有望な抗癌剤ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念なことには、プロチドは、しばしば、極めて親油性であり、従って、水溶性に乏しく、イオン化可能な部分は、pKaを計算すると、非経口投与に適するpH範囲外にある値を示しがちである。塩含量又は生理学的範囲内のpHにもかかわらず、多くは、本質的に非水溶性であり、これは、効果的な治療のために、充分に高い用量で化合物を送達する臨床的に許容される方法の開発に対して制限を課すことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの具体例の目的は、効果的な用量を送達するプロチドの医薬製剤を提供することにある。
【0007】
本発明のいくつかの具体例の目的は、好適なプロチドの医薬製剤を提供することにある。静脈内投与に関して好適な点滴製剤は、一般的には、30分間以上、48時間まで安定でなければならない。代表的には、静脈内投与に関して、製剤は、プロチドの析出及びプロチドの分解の両方について安定でなければならない。
【0008】
本発明のいくつかの具体例の目的は、効果的な用量を静脈内で送達するプロチドの医薬製剤を提供することにある。
【0009】
本発明のいくつかの具体例の目的は、静脈又は中心静脈投与装置(CVAD)を介して投与されるプロチドの医薬製剤を提供することにある。このように、本発明のいくつかの具体例の目的は、静脈を介する投与のために許容されるモル浸透圧濃度及びpHを有する製剤を提供することにある。モル浸透圧濃度及びpHは、患者が経験する痛みのレベルが許容されるようなものである。
【0010】
本発明のいくつかの具体例は、上記目的のいくつか又は全てを満足する
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、
プロチド;
極性の非プロトン性溶媒;及び
任意の1以上の薬学上許容される添加剤
を含んでなり、プロチドが、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート(NUC-1031)ではないことを特徴とする医薬製剤が提供される。
【0012】
極性の非プロトン性溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びN-メチルピロリドン(NMP)から選ばれる。好ましくは、極性の非プロトン性溶媒はDMAである。別の好ましい具体例では、極性の非プロトン性溶媒はNMPである。いくつかのプロチドに関して、DMAは、テストしたこれらの中でも、最良の溶解度プロフィールを提供する。他については、NMPが最良の溶解度プロフィールを提供できる。
【0013】
極性の非プロトン性溶媒は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、N、又はS)を含んでなるが、ヘテロ原子又は1より大の数のヘテロ原子が存在する場合には、分子中のいずれかのヘテロ原子に結合する水素原子を有していない溶媒分子である。極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA、DMSO、又はNMP)は、医薬用グレードである。極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、投与ビヒクルであってもよく、又は、製剤は、使用前に、所望の特性を提供する投与ビヒクルにて希釈されてもよい。このように、製剤は、点滴として準備されていてもよく、主要成分として、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)を有するか;又は、主要成分として、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)を有し、投与前に希釈されて、点滴として準備され、主要成分として、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)のみを有する製剤を生成するような製剤であってもよく;又は、点滴として準備され、主要成分として、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)のみを有し、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)が主要成分である製剤の希釈に由来するものである製剤であってもよい。このように、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の0.1%(v/v)~100%(v/v)を構成することができる。
【0014】
非常に少ない数の薬学上許与される溶媒が、十分な量のプロチドを溶解して、治療上効果的な用量を静脈内で送達する。このような溶媒の内、多くは安定した溶液を形成せず、プロチドが析出しがちである。発明者らは、驚くべきことには、安定した溶液を生ずる溶媒は、一般的に、極性の非プロトン性溶媒、例えば、DMA、DMSO、及びNMPであるとの知見を得た。プロチドを溶解できるとの知見が得られたこれらの溶媒の中でも、発明者らは、いくつかの極性の非プロトン性溶媒、特に、それ自体で、又は他の可溶化剤と組み合わせたDMAが、溶液中において、該溶液が水性ビヒクルにて希釈される際に、所望の用量を送達するために必要な濃度で、いくつかのプロチドを保持できるとの知見を得た。他のプロチドについては、溶液が水性ビヒクルにて希釈される際に、いくつかのプロチドを溶液中に保持できるとの点で最も効果的であることが見出された。
【0015】
このように、極性の非プロトン性溶媒、特に、DMAの使用は、他の製剤溶媒以上の利点を提供し、この利点により、驚くべきことには、当該溶媒は、プロチドを、実用的且つ治療上効果的な様式で患者に送達するための効果的な媒体となる。
【0016】
本発明の製剤は、投与の直前に、すなわち、投与前48時間まで(例えば、24、12、又は2時間まで)に、所定の量によって希釈されるものであってもよい。
【0017】
製剤は、また、1以上の薬学上許容される可溶化剤、例えば、薬学上許容される非イオン性可溶化剤を含んでなることができる。可溶化剤は、界面活性剤とも呼ばれる。実例となる可溶化剤としては、ポリエトキシル化脂肪酸及び脂肪酸エステル及びその混合物が含まれる。好適な可溶化剤としては、ポリエトキシル化ヒマシ油(例えば、商品名Kolliphor(登録商標)ELPで販売されているもの);又はポリエトキシル化ステアリン酸(例えば、商品名Solutol(登録商標)又はKolliphor(登録商標)HS15で販売されているもの);又はポリエトキシル化(例えば、ポリオキシエチレン(20))ソルビタンモノオレエート(例えば、商品名Polysorbate80、又はTween(登録商標)80で販売されているもの)が含まれる。例えば、Tween(登録商標)80は、NUC-7738の製剤において、特に効果的であることを示した。
【0018】
いくつかの好ましい具体例では、製剤は、1より大の数の薬学上許容される可溶化剤を含んでなる。1より大の数の可溶化剤を含んでなる製剤は、NUC-3373の製剤において、特に効果的であることを示した。
【0019】
製剤は、水性ビヒクルを含んでなることもできる。本発明の製剤は、すぐに投与できるものであり、このようなケースでは、代表的には、水性ビヒクルを含んでなるであろう。
【0020】
製剤は、非経口投与用、例えば、静脈内、皮下、又は筋肉内投与用であってもよい。好ましくは、製剤は静脈内投与用である。投与は、CVADを介するものでもよく、又は末梢静脈を介するものでもよい。
【0021】
投与に適する製剤におけるプロチドの総用量は、一般的には、250mg~5g、250mg~3g、500mg~2g、又は1g~1.5gである。
【0022】
本発明の製剤は、好ましくは、非経口投与用であるが、本発明のいくつかの具体例は、経口投与である。
【0023】
本発明の第2の態様では、
プロチド;
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA);及び
任意の1以上の薬学上許容される添加剤
を含んでなる医薬製剤であって、前記製剤は医療用であり、プロチドが、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートではないことを特徴とする医薬製剤が提供される。
【0024】
本発明の第3の態様では、
プロチド;
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA);及び
任意の1以上の薬学上許容される添加剤
を含んでなる医薬製剤であって、前記製剤は、癌の治療用であり、プロチドが、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートではないことを特徴とする医薬製剤が提供される。
【0025】
癌は、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、膀胱癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌、胆管癌、腎癌、子宮頸癌、胸腺癌、原発不明癌、リンパ腫、白血病から選ばれる癌である。
【0026】
ストック溶液製剤
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の30容量%以上を占めることができる。このように、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の50容量%以上、例えば、60%以上を占めることができる。極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の95容量%以下、例えば、90%以下を占めることができる。製剤は、水性ビヒクル(例えば、食塩水)を含んでなることもできる。水性ビヒクルは、製剤の50容量%以下、例えば、製剤の30容量%以下を占めることができる。代表的には、水性ビヒクル(例えば、食塩水)は、製剤の5容量%以上、例えば、10容量%以上を占めることができる。
【0027】
製剤溶媒中のプロチドの濃度は1g/ml以下である。濃度は、500mg/ml以上であってもよい。濃度は、100mg/ml以上であってもよい。好ましくは、濃度は、1ml当たり200~300mg、225~275mg、例えば、約250mgである。
【0028】
いくつかの好ましい製剤は、
DMA30~95容量%;
水性ビヒクル5~50容量%;及び
プロチド100~400mg(例えば、100~300mg)/ml
を含んでなる。
【0029】
より好ましい製剤は、
DMA70~90容量%;
水性ビヒクル(例えば、食塩水)10~30容量%;及び
プロチド200~300mg/ml
を含んでなる。
【0030】
先の4つのパラグラフに記載の製剤(主要構成成分として、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)が存在する)は、投与前に希釈されることなく投与される(例えば、点滴又は注射による)。これらは、例えば、中心静脈投与装置(CVAD)を介して投与される。CVADを介して投与される際には、製剤は、一般的に、希釈されない。
【0031】
或いは、これらの製剤は、ストック溶液でもよく、該ストック溶液は、末梢静脈を介する投与に好適な製剤を形成するために、使用される前に、希釈される。
【0032】
界面活性剤溶液製剤
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の10容量%以上、例えば、20容量%以上を占めることができる。このように、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の80容量%以下、例えば、70%容量以下を占めることができる。極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の55容量%以下を占めることができる。製剤は、1以上の可溶化剤(例えば、1以上のポリエトキシル化脂肪酸)を含んでなることもできる。1以上の可溶化剤は、製剤の70容量%以下、例えば、製剤の60容量%以下を占めることができる。代表的には、可溶化剤は、製剤の20容量%以上、例えば、35容量%以上を占めることができる。製剤は、水性ビヒクルを、例えば、1~15容量%、又は5~12容量%の量で含んでなることもできる。
【0033】
製剤溶媒中のプロチドの濃度は、1ml当たり200mg以下、例えば、150mg以下、又は130mg以下である。濃度は、40mg/ml以上、例えば、60mg/ml以上であってもよい。好ましくは、濃度は、70~120mg/ml、例えば、約100mg/mlである。
【0034】
いくつかの好ましい製剤は、
DMA20~70容量%;
可溶化剤20~70容量%;及び
プロチド50~150mg/ml
を含んでなる。製剤は、水性ビヒクルを、例えば、1~15容量%の量で含んでなることもできる。
【0035】
いくつかの特に好ましい製剤は、
DMA30~60容量%;
第1の可溶化剤10~35容量%;
第2の可溶化剤10~35容量%;
水性ビヒクル2~15容量%;及び
プロチド50~150mg/ml
を含んでなる。第1の可溶化剤は、ポリエトキシル化ヒマシ油(例えば、商品名Kolliphor(登録商標)ELPで販売されているもの)である。第2の可溶化剤は、ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート(例えば、商品名Tween(登録商標)80で販売されているもの)である。
【0036】
製剤は、
DMA35~50容量%;
第1の可溶化剤15~30容量%;
第2の可溶化剤15~30容量%;
水性ビヒクル5~12容量%;及び
プロチド50~150mg/ml
を含んでなる。
【0037】
先の5つのパラグラフに記載の界面活性剤溶液製剤(主要構成成分として、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)が存在する)は、代表的には、投与前に、水性ビヒクルにて希釈される。これらは、代表的には、投与の準備のために、さらに希釈される前に、上記のストック溶液から調製される。希釈された後、これらは、末梢静脈を介して投与される。
【0038】
これらの製剤は、可溶化剤を全く含有しないストック溶液製剤を、可溶化剤を含有する溶液にて希釈することによって形成される。
【0039】
点滴溶液製剤
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)は、製剤の0.1容量%以上、例えば、0.5容量%以上、又は1容量%以上を占めることができる。このように、DMAは、製剤の12容量%以下、例えば、10%容量以下、又は8容量%以下を占めることができる。製剤は、水性ビヒクル(例えば食塩水又はWFI)を含んでなることもできる。水性ビヒクルは、製剤の99.5容量%以下、例えば、99容量%又は98容量%以下で存在できる。典型的には、水性ビヒクルは、製剤の80容量%以上、例えば、95%容量以上を占める。製剤は、1以上の可溶化剤(例えば、1以上のポリエトキシル化脂肪酸)を含んでなることもできる。1以上の可溶化剤は、製剤の12容量%以下、例えば、製剤の10容量%以下、又は8容量%以下を占めることができる。典型的には、1以上の可溶化剤は、製剤の0.1容量%以上、例えば、0.5容量%以上、又は1容量%以上を占めることができる。
【0040】
製剤溶媒中のプロチドの濃度は、15.0mg/ml以下、又は12.0mg/ml以下、例えば、10.0mg/ml以下、又は8mg/ml以下である。濃度は、1.0mg/ml以上、例えば、2.0mg/mlであってもよい。好ましくは、濃度は、1ml当たり2.5~12mg、例えば、約3~11mg/mlである。
【0041】
いくつかの好ましい製剤は、
DMA0.1~10容量%;
可溶化剤0.1~10容量%;
水性ビヒクル85~99容量%;及び
プロチド2.0~12.0mg/ml
を含んでなる。
【0042】
いくつかの特に好ましい製剤は、
DMA1~8容量%;
第1の可溶化剤0.5~4容量%;
第2の可溶化剤0.5~4容量%;
水性ビヒクル85~99容量%;及び
プロチド2.0~12.0mg/ml
を含んでなる。第1の可溶化剤は、ポリエトキシル化ヒマシ油(例えば、商品名Kolliphor(登録商標)ELPで販売されているもの)である。第2の可溶化剤は、ポリエトキシル化ソルビタンモノオレエート(例えば、商品名Tween(登録商標)80で販売されているもの)である。
【0043】
先の4つのパラグラフに記載の点滴溶液製剤(主要構成成分として、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)が存在する)は、代表的には、投与前48時間までに、プロチドの濃縮溶液を、水性ビヒクルにて希釈することによって調製される。前記濃縮溶液は、プロチドの極性の有機溶媒溶液(上記見出し「ストック溶液製剤」参照)か、又はプロチドの、極性の有機溶媒及び可溶化剤における溶液(上記見出し「界面活性剤溶液製剤」参照)のいずれかである。これらの製剤(主要構成成分として、極性の有機溶媒(例えば、DMA)存在する)は、末梢静脈を介して投与される。前記製剤における低濃度の極性の有機溶媒(例えば、DMA)は、これらが末梢性投与の際に痛みを生じないことを意味する。
【0044】
治療方法及びキット
本発明の第4の態様では、癌を治療する方法が提供され、該方法は、治療を必要とする対象に、
プロチド;
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA);及び
任意の1以上の薬学上許容される添加剤
を含んでなり、プロチドが、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートでないことを特徴とする医薬製剤を投与することを含んでなる。
【0045】
方法は、
プロチド、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)、及び任意の1以上の薬学上許容される添加剤を含んでなる溶液を、点滴又は注射用の製剤を提供するために、水性ビヒクルにて希釈する工程;及び
点滴又は注射用の製剤を、点滴又は注射によって、対象に投与する工程
を含んでなる。
【0046】
方法は、
プロチド及び極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)及び任意の1以上の薬学上許容される添加剤を含んでなる第1の溶液を、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)及び1以上の可溶化剤を含んでなる第2の溶液にて希釈して、第3の溶液(界面活性剤溶液製剤)を形成する工程;
第3の溶液を水性ビヒクルにて希釈して、第4の溶液(点滴溶液製剤)を形成する工程;及び
第4の溶液を、点滴又は注射によって、対象に投与する工程
を含んでなる。
【0047】
第2の溶液は、1以上の可溶化剤を含んでなることもできる。代表的には、第2の製剤は、薬学上活性な物質を含まない。
【0048】
希釈又は各希釈は、予め決定された量で行われる。第2の溶液は、「希釈剤溶液」と呼ばれる。
【0049】
第1の溶液は、第1の態様の製剤(上記見出し「ストック溶液製剤」参照)であってもよい。同様に、第3の溶液は、第1の態様の製剤(上記見出し「界面活性剤溶液製剤」参照)であってもよい。同様に、第4の溶液は、第1の態様の製剤(上記見出し「点滴溶液製剤」参照)であってもよい。
【0050】
第4の溶液は、CVADを介して投与される。しかし、好ましくは、第4の溶液は、末梢静脈を介して投与される。
【0051】
第1の溶液は、
DMA30~95容量%;
水性ビヒクル5~50容量%;及び
プロチド1ml当たり100~400mg(例えば、100~300mg)
を含んでなる。
【0052】
第2の溶液は、
DMA10~50容量%;
第1の可溶化剤20~60容量%;
第2の可溶化剤20~65容量%;
を含んでなる。
【0053】
投与工程は、希釈工程後、例えば、第4の溶液を生成する第2の希釈工程後48時間まで(例えば、12時間又は2時間まで)に行われる。
【0054】
本発明の第5の態様では、キットが提供され、該キットは、
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)、プロチド、及び任意の水性ビヒクルを含んでなる第1の製剤;及び
極性の非プロトン性溶媒及び1以上の可溶化剤を含んでなる第2の製剤
を含んでなり、プロチドがゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートではないことを特徴とする。
【0055】
このように、キットは、
DMA30~95容量%、
水性ビヒクル5~50容量%、及び
プロチド1ml当たり100~400mg(例えば、100~300mg/ml)
を含んでなる第1の製剤;及び
DMA10~50容量%、
第1の可溶化剤20~60容量%
第2の可溶化剤20~60容量%
を含んでなる第2の製剤
を含んでなる。
【0056】
典型的には、第2の製剤は、活性剤を含まない。第5の態様のキットは、末梢性投与に好適な製剤の調製に有用である。投与前48時間まで、例えば、24時間までに、第1の製剤を、第2の製剤にて希釈して、第3の製剤を形成する。さらに、投与前に、第3の製剤を、水性ビヒクルにて希釈して、点滴又は注射によって患者に投与される製剤を形成する。プロチドの析出に関して安定した非経口投与用の製剤を達成するためには、一般的に、可溶化剤を含むことが望ましい。しかし、プロチドは、このような可溶化剤の存在下では、分解しがちである。このように、本発明のいくつかの具体例では、2段階希釈法は、非経口投与用の製剤を達成する好適な手段である。
【0057】
方法は、
第1の溶液の第1の部分にて、CVADをフラッシュする工程(前記第1の溶液は、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)及び水性ビヒクルを含んでなる):
CVADを介して、第2の製剤を患者に投与する工程(前記第2の製剤は、極性の非プロトン性溶媒、水性ビヒクル、及びプロチドを含んでなる);及び
任意に、第1の製剤の第2の部分にて、CVADをフラッシュする工程
を含んでなる。
【0058】
好ましくは、第1の製剤における極性の非プロトン性溶媒及び水性ビヒクルの相対的な量は、第2の製剤における相対的な量と同じである。
【0059】
このように、治療法は、
第1の溶液の第1の部分にて、CVADをフラッシュする工程(前記第1の溶液は、DMA30~95容量%;水性ビヒクル5~50容量%を含んでなる):
CVADを介して、第2の製剤を患者に投与する工程(前記第2の製剤は、DMA30~95容量%、水性ビヒクル5~50容量%、及びプロチド1ml当たり100~400mg(例えば、100~300mg)を含んでなる);及び
任意に、第1の製剤の第2の部分にて、投与装置をフラッシュする工程
を含んでなる。代表的には、第1の製剤は活性剤を含んでいない。
【0060】
本発明の第6の態様では、キットが提供され、該キットは、
極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)及び水性ビヒクルを含んでなる第1の溶液;及び
極性の非プロトン性溶媒、水性ビヒクル、及びプロチドを含んでなる第2の製剤
を含んでなり、プロチドが、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートではないことを特徴とする。
【0061】
このように、キットは、
DMA30~95容量%、
水性ビヒクル5~50容量%
を含んでなる第1の製剤;及び
DMA30~95容量%、
水性ビヒクル5~50容量%、及び
プロチド1ml当たり100~400mg(例えば、100~300mg)
を含んでなる第2の製剤
を含んでなる。
【0062】
第1の製剤は、一般的に、薬学上活性な物質を含んでいない。このように、第1の製剤は、一般的に、プロチドを含んでいない。第1の製剤は、2つの別個の容器又はただ1つの容器で提供される。
【0063】
本発明の第6の態様のキットは、CVADを介するプロチドの静脈内投与に有用である。第2の製剤の投与前に、第1の製剤にて、CVADをフラッシュする。これは、活性製剤と、水性媒体(例えば、食塩水フラッシング溶液)との直接接触を回避することによって、静脈内投与装置、すなわち、CVADにおいて又は入口で、プロチドが析出する危険を軽減する。第2の製剤の投与後、CVADを、第1の製剤にてフラッシュすることもできる。これは、さらに、析出を防止する。
【0064】
製剤の調製法
本発明の第5の態様では、点滴又は注射用のプロチドの医薬製剤を調製する方法が提供され、該方法は、
プロチド、極性の非プロトン性溶媒(例えば、DMA)、及び任意に1以上の薬学上許容される添加剤を含んでなる溶液を、水性ビヒクルにて希釈して、点滴又は注射用の製剤を提供すること
を含んでなり、プロチドが、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートではないことを特徴とする。
【0065】
希釈は、予め決定された量で行われる。
【0066】
出発溶液は、第1の態様の製剤(見出し「ストック溶液製剤」及び「界面活性剤溶液製剤」参照)でもよい。同様に、点滴又は注射用の製剤は、第1の態様の製剤(見出し「点滴溶液製剤」参照)でもよい。投与工程は、希釈工程後48時間まで(例えば、12又は2時間まで)に行われてもよい。
【0067】
水性ビヒクルは、食塩水(例えば、0.9%食塩水又は0.45%食塩水)、グルコース溶液、点滴用の水(WFI)から選ばれる。水性ビヒクルはWFIである。或いは、水性ビヒクルは0.9%食塩水でもよい。
【0068】
点滴溶液のモル浸透圧濃度は、臨床的に、使用する水性媒体の容量及びタイプ(すなわち、食塩水において使用された界面活性剤溶液の量、及び食塩水の%(0.45又は0.9%))とともに、要求される用量に依存する。製剤が末梢静脈を介する投与用である場合、水性ビヒクルは、所望の用量及び容量で、点滴溶液のモル浸透圧濃度が200~600mosm/lであるように選択される。好ましくは、製剤が末梢静脈を介する投与用である場合、水性ビヒクルは、点滴溶液が、実質的に、血液と等張である(例えば、点滴溶液のモル浸透圧濃度が250~400mosm/lである)ように選択される。
【0069】
水性ビヒクルは、1以上の薬学上許容される可溶化剤(界面活性剤としても知られている)、例えば、薬学上許容される非イオン可溶化剤を含んでなることができる。可溶化剤の例は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80として販売されている)である。
【0070】
プロチド
本明細書に記載の製剤及び製剤方法は、各種のプロチドの投与に適するものである。しかし、NUC-1031(ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート、又は、その化学名では、2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロ-D-シチジン-5’-O-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)は、本願の範囲からは、明白に除外される。
【0071】
用語「プロチド」は、ヌクレオシド又はヌクレオシドアナログのアリールオキシα-アミノ酸エステルホスホルアミデート誘導体を意味することが、当技術分野では、容易に理解される。このように、プロチドは、式(I)の構造を有する化合物である。
式(I)
【化1】
ここで、
R
1は、アリールであり;
R
2は、C
1~C
24-アルキル、C
3~C
24-アルケニル、C
3~C
24-アルキニル、C
0~C
4-アルキレン-C
3~C
6-シクロアルキル、又はC
0~C
4-アルキレン-アリールであり;
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、H、C
1~C
6-アルキル及びC
1~C
3-アルキレン-R
6から選ばれるか、又はR
3及びR
4は、これらに結合する原子と一緒に、3員又は6員のシクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基を形成し;
R
5は、ヌクレオシド又はヌクレオシドアナログであり;
R
6は、独立して、アリール(例えば、フェニル)、イミダゾール、インドール、SR
a、OR
a、CO
2R
a、CO
2NR
aR
a、NR
aR
b及びNH(=NH)NH
2から選ばれ;
ここで、いずれかのアリール基は、フェニル又はナフチル基であり、及びここで、いずれかのフェニル又はナフチル基は、任意に、ハロ、ニトロ、シアノ、NR
aR
a、NR
aS(O)
2R
a、NR
aC(O)R
a、NR
aCONR
aR
a、NR
aCO
2R
a、OR
a、SR
a、SOR
a、SO
3R
a、SO
2R
a、SO
2NR
aR
a、CO
2R
aC(O)R
a、CONR
aR
a、CR
aR
aNR
aR
a、C
1~C
4-アルキル、C
2~C
4-アルケニル、C
2~C
4-アルキニル及びC
1~C
4-ハロアルキルから選ばれる1~4個の置換基にて置換されており;
ここで、R
aは、独立して、それぞれ、H及びC
1~C
4-アルキルから選ばれ;及びR
bは、独立して、それぞれ、H、及びC
1~C
4-アルキル及びC(O)-C
1~C
4-アルキルから選ばれる。
【0072】
ヌクレオシド又はヌクレオシドアナログは、構造
【化2】
(ここで、
Qは、独立して、O、NR
a及びCH
2から選ばれ;
R
7は、OR
a、SR
a、NR
aR
b、ハロ(例えば、F)、シアノ、C
1~C
4-アルキル、C
2~C
4-アルケニル、及びC
2~C
4-アルキニルから選ばれ;
R
8及びR
9は、これらが結合する窒素とともに、置換されたピリミジン又は置換されたプリンを形成し;ここで、プリン又はピリミジンは、OR
a、SR
a、NR
aR
b、ハロ、シアノ、C
1~C
4-アルキル、C
2~C
4-アルケニル、及びC
2~C
4-アルキニルから選ばれる1~5個の基によって置換されており;
nは、代表的には、0~4の整数である。)
を有する。
【0073】
当業者によって容易に認識されるように、ピリミジン又はプリンが、ピリミジン環又はプリン環において、窒素原子の1つと隣接する炭素原子に結合するOH基にて置換されている場合、ピリミジン又はプリンは、代表的には、主として、互変異性、すなわち、窒素と、隣接する炭素との間に、二重結合は存在しないが、隣接する炭素と、OH基の酸素との間には、二重結合が存在する型として存在する。前記窒素は、それ自体、例えば、C1~C4-アルキル基にて置換されてもよい。
【0074】
R8及びR9は、それらが結合する窒素と一緒に、置換されたピリミジンを形成してもよい。R8及びR9は、それらが結合する窒素と一緒に、置換されたプリンを形成してもよい。
【0075】
プロチドは、式(II)の構造を有する化合物でもよい。
式(II)
【化3】
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4は、式(I)の化合物について上記したとおりである。NUC-1031は、本願の範囲から除外されており、このように、何らの疑いもなく、プロチドが、式(II)の化合物である場合には、R
1が未置換のフェニルであり、R
2が未置換のベンジルであり、R
3がMeであり、R
4がHであるケースはない
【0076】
プロチドは、式(III)の構造を有する化合物でもよい。
式(III)
【化4】
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4は、式(I)の化合物について上記したとおりである。
【0077】
プロチドは、式(IV)の構造を有する化合物でもよい。
式(IV)
【化5】
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4は、式(I)の化合物について上記したとおりであり;及びYは、独立して、H、F、Cl、及びOMeから選ばれる。いくつかの好適な具体例では、YはHである。他の好適な具体例では、YはFである。
【0078】
プロチドは、式(V)の構造を有する化合物でもよい。
式(V)
【化6】
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4は、式(I)の化合物について上記したとおりである。式(V)のプロチドは、クロファラビンの誘導体である。
【0079】
プロチドは、式(VI)の構造を有する化合物でもよい。
式(VI)
【化7】
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4は、式(I)の化合物について上記したとおりである。式(VI)のプロチドは、フルダラビンの誘導体である。
【0080】
プロチドは、式(VII)の構造を有する化合物でもよい。
式(VII)
【化8】
ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4は、式(I)の化合物について上記したとおりである。式(VII)のプロチドは、クラドリビンの誘導体である。
【0081】
下記の陳述は、式(I)~(V)のいずれかのプロチドに適用する。これらの陳述は、独立するものであり、交換できるものである。換言すれば、下記の陳述のいずれかに記載の特徴のいずれかは、下記の他の1以上の陳述において記載の特徴と組み合わされてもよい(化学的に可能である場合)。特に、この明細書において、化合物が例示又は詳述される場合、いかなる普遍的レベルで表現されたとしても、化合物の特徴を記載する下記の陳述のいずれか2以上を組み合わされ、これにより、本明細書における本発明の開示の構成部分として考えられる主題を表す。
【0082】
R1は、置換又は未置換のフェニルであってもよい。R1は、置換又は未置換のナフチル(例えば、1-ナフチル)であってもよい。好ましくは、R1は、未置換のフェニル又は未置換のナフチル(例えば、1-ナフチル)である。このように、R1は、未置換のフェニルであってもよい。或いは、R1は、未置換のナフチル(例えば、1-ナフチル)であってもよい。
【0083】
R2は、好ましくは、R2が5個以上の炭素原子を含有するように選択される。それ故、R2は、R2が6個以上の炭素原子を含有するように選らばれてもよい。R2は、好ましくは、R2が炭素及び水素原子のみを含有するように選らばれる。R2は、C5~C7-シクロアルキル、C5~C8-アルキル及びベンジルから選ばれる(ここで、前記基は、任意に、未置換である)。R2はベンジルでもよい。
【0084】
R4はHであってもよい。R3は、C1~C6-アルキル及びC1~C3-アルキレン-R6から選ばれてもよい。R3はC1~C4-アルキルであってもよい。R3はメチルでもよい。
【0085】
Qは、好ましくは、Oである。
【0086】
nは、1~3の整数であってもよい。nは、1であってもよい。nは、2であってもよい。nは、3であってもよい。
【0087】
プロチドは、好ましくは、癌の治療に有用な化合物である
【0088】
式(II)の例示的なプロチドとしては、国際公開第2005/012327(参照して、ここに組み込む)に記載された化合物が含まれる。式(II)の例示的なプロチドとしては、下記の化合物が含まれる:
【化9】
、
【化10】
、
【化11】
、及び
【化12】
。
【0089】
式(III)の例示的なプロチドとしては、国際公開第2012/117246(参照して、ここに組み込む)に記載された化合物が含まれる。式(III)の例示的なプロチドとしては、下記の化合物が含まれる:
【化13】
(NUC-3373)、
【化14】
、
【化15】
、
【化16】
、
【化17】
、
【化18】
、及び
【化19】
。
【0090】
式(IV)の例示的なプロチドとしては、国際公開第2016/083830(PCT/GB2015/053628;参照して、ここに組み込む)に記載された化合物が含まれる。式(IV)の例示的なプロチドとしては、下記の化合物が含まれる:
【化20】
、
【化21】
、
【化22】
、
【化23】
【化24】
(NUC-7738)、及び
【化25】
。
【0091】
式(V)、(VI)、及び(VII)の例示的なプロチドとしては、国際公開第2006/100439(参照して、ここに組み込む)に記載された化合物が含まれる。式(V)の例示的なプロチドとしては、下記の化合物が含まれる:
【化26】
(CPF-448)、
【化27】
、
【化28】
、及び
【化29】
。
【0092】
式(VI)の例示的なプロチドとしては、下記の化合物が含まれる:
【化30】
、
【化31】
、
【化32】
、及び
【化33】
。
【0093】
式(VII)の例示的なプロチドとしては、下記の化合物が含まれる:
【化34】
、
【化35】
。
【0094】
プロチドはNUC-3373であってもよい。プロチドがNUC-3373であり、極性の非プロトン性溶媒が、DMAであってもよい。プロチドはNUC-7738であってもよい。プロチドがNUC-7738であり、極性の非プロトン性溶媒が、DMAであってもよい。プロチドがNUC-7738であり、極性の非プロトン性溶媒が、NMPであってもよい。プロチドはCPF-448であってもよい。プロチドがCPF-448であり、極性の非プロトン性溶媒が、DMAであってもよい。プロチドがCPF-448であり、極性の非プロトン性溶媒が、NMPであってもよい。
【0095】
プロチドは、一般的には、リン原子にキラル中心を有する。プロチドは、ホスフェートジアステレオ異性体の混合物として、実質的にジアステレオ異性的に純粋な形のリン原子における(S)-エピマーとして、又は実質的にジアステレオ異性的に純粋な形のリン原子における(R)-エピマーとして存在できる。「実質的にジアステレオ異性的に純粋」は、本発明の目的について、約90%以上のジアステレオ異性純度として定義される。実質的にジアステレオ異性的に純粋な形で存在する場合、プロチドは、95%、98%、99%又は99.5%以上のジアステレオ異性純度を有する。或いは、プロチドは、ホスフェートジアステレオ異性体の混合物として存在してもよい。
【0096】
プロチドの(R)-及び/又は(S)-エピマーは、クロマトグラフィー、例えば、任意にキラルカラムを使用するHPLCによって、実質的にジアステレオ異性的に純粋な形で得られる。或いは、プロチドの(R)-及び/又は(S)-エピマーは、好適な溶媒又は溶媒系からの結晶化によって、実質的にジアステレオ異性的に純粋な形で得られる。さらに、プロチドの(R)-及び/又は(S)-エピマーは、ジアステレオ選択的合成によって、実質的にジアステレオ異性的に純粋な形で合成される。ジアステレオ異性的に純粋な形を提供するために、これらの技術の各種の組み合わせ、例えば、ジアステレオ異性的合成及び続く結晶化又はクロマトグラフィーを使用できる。
【0097】
用語「食塩水」は、塩化ナトリウムの水溶液を意味する。本発明の食塩水溶液は、一般的には、殺菌されたものであり、非経口投与に適した濃度である。好適な濃度は、2w/v%まで、又は1w/v%までである。モル浸透圧濃度を最適化するために、本発明の製剤において、異なる濃度、例えば、0.9%又は0.45%の食塩水を使用できる。
【0098】
本発明の製剤は、人体の治療において使用される。これらは、動物の身体の治療においても使用される。特に、本発明の化合物は、家畜のような商業用動物を治療するために使用される。或いは、本発明の化合物は、ネコ、イヌ等のようなペットを治療するために使用される。
【0099】
本発明の製剤における化合物は、薬学上許容される塩の形で、得られ、保存され及び/又は投与される。好適な薬学上許容される塩としては、薬学上許容される無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、及び臭化水素酸の塩、又は薬学上許容される有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、ムチン酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、及び吉草酸の塩が含まれる(ただし、これらに限定されない)。好適な塩基塩は、無毒性塩を形成する塩基から形成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、及び亜鉛の塩が含まれる。酸又は塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩、ヘミシュウ酸、及びヘミカルシウム塩も形成される。好ましくは、本発明の化合物は、塩の形ではなく、すなわち、遊離塩基/遊離酸の形である。
【0100】
上記の本発明の製剤では、投与される用量は、もちろん、使用する化合物、正確な投与の様式、所望の治療、及び示された障害によって異なる。本発明の化合物の用量レベル、投薬回数、及び治療期間は、製剤及び臨床症状に応じて異なることが予想される。本発明の化合物の治療目的の用量サイズは、医学のよく知られた原則に従い、当然、患者の状態及び重篤性、年齢及び性別、及び投与ルートに従って変動するであろう。
【0101】
医薬製剤は、代表的には、活性化合物、又は薬学上許容されるその塩が、薬学上許容されるアジュバント、希釈剤又はキャリヤーと組み合わされた組成物の形を有する。本発明の製剤における1つのこのような薬学上許容されるアジュバント、希釈剤、又はキャリヤーは、極性の非プロトン性溶媒である。好適な医薬製剤の選択及び調製に関する一般的な手続きは、例えば、「医薬品-剤型デザインの科学」,M.E.Aulton,Churchill Livingstone,1988に記載されている。
【0102】
製剤は、局所適用(例えば、皮膚又は膀胱)、経口投与又は非経口投与(例えば、静脈内投与)に適している。
【0103】
本発明の医薬製剤において使用される各種の溶媒は、医薬用等級でなければならず、これは、ヒトへの投与(例えば、静脈内投与)に適するものとなるような不純物プロフィールを有することを意味する。
【0104】
経口投与については、本発明の製剤は、アジュバント又はキャリヤー、例えば、乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール;デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、コーンスターチ又はアミロペクチン;セルロース誘導体;結合剤、例えば、ゼラチン又はポリビニルピロリドン;及び/又は滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ワックス、パラフィン、等と混合された活性化合物を含んでなり、及びついで、打錠される。コーティング錠が望まれる場合には、上記の通りに調製したコアを、濃縮した砂糖溶液(例えば、アラビヤゴム、ゼラチン、タルカム及び二酸化チタンを含有できる)で被覆する。或いは、錠剤を、容易に揮発する有機溶媒に溶解した好適なポリマーで被覆することもできる。
【0105】
軟質ゼラチンカプセルの調製については、活性化合物を、例えば、植物油、又はポリエチレングリコールと混合する。一方、硬質ゼラチンカプセルは、錠剤用の上記添加剤のいずれかを使用して、化合物の粒状物を含有できる。また、活性化合物の液体又は半固体製剤を、硬質ゼラチンカプセルに充填してもよい。
【0106】
経口投与用の液体調製物は、シロップ又は懸濁液、例えば、本発明の化合物を含有し、残余が砂糖及びエタノール、水、グリセリン及びプロピレングリコールの混合物である溶液の形である。任意に、このような液体調製物は、着色料、香料、甘味料(例えば、サッカリン)、保存料及び/又は増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース又は当業者に知られている他の添加剤を含有できる。
【0107】
しかし、好ましくは、本発明の医薬組成物は、非経口(例えば、静脈内)投与用、又は非経口(例えば、静脈内)投与用の製剤を形成するための希釈用である。非経口()例えば、静脈内)投与については、活性化合物は、殺菌した水性又は油性溶液として投与される。好ましくは、活性化合物は、殺菌された水溶液として投与される。
【0108】
本発明の医薬製剤は、好ましくは、プロチド0.05~99質量%、さらに好ましくは、プロチド0.05~80質量%、いっそう好ましくは、プロチド0.10~70質量%、及びなおいっそう好ましくは、プロチド0.10~50質量%を含んでなる(すべての質量%は、全組成物基準である)。
【0109】
シクロデキストリンは、医薬の送達において広い適用を認められている(Rasheedら,Sci.Pharm.,2008,76,567-598)。シクロデキストリンは、環状オリゴ糖類である。これらは、薬剤分子をカプセル化する「分子カーゴ」として機能し、薬剤分子の特性、例えば、溶解度を変化させる。シクロデキストリンは、(α-1,4)結合α-D-グルコピラノースユニットを含んでなる。シクロデキストリンは、6、7、又は8個のグルコピラノースユニットを含有することができる(それぞれ、α-、β-、又はγ-シクロデキストリンと呼ばれる)。医薬製剤において使用されるシクロデキストリンは、しばしば、β-シクロデキストリンである。ペンダント水酸基が、C1-C6置換又は未置換アルキル基にてアルキル化される。シクロデキストリンの例としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、2-ヒロロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP-β―CD)、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、部分的にメチル化されたβ-シクロデキストリンである。本発明の製剤も、少なくとも1つのシクロデキストリンを含むことができる。
【0110】
用語「Cm-Cn」は、m~n個の炭素原子を有する基をいう。
【0111】
用語「アルキル」は、直鎖状又は分枝状の炭化水素基をいう。アルキル基は1価である。例えば、C1-C6-アルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、2級-ブチル、3級-ブチル、n-ペンチる、及びn-ヘキシルをいう。アルキル基は、好ましくは、未置換である。
【0112】
用語「アルキレン」は、直鎖状の炭化水素鎖をいう。アルキレン基は2価である。例えば、C1-アルキレン基はCH2基をいう。C2-アルキレン基は、-CH2-CH2-基をいう。アルキレン基は、好ましくは、未置換である。
【0113】
用語「ハロアルキル」は、それぞれ、独立して、フッ素、塩素、臭素、及び要素から選ばれる少なくとも1つのハロゲン原子にて置換された炭化水素鎖をいう。ハロゲン原子は、炭化水素鎖のいずれかの位置に存在できる。例えば、C1-C4-ハロアルキルは、クロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロエチル(例えば、1-クロロエチル、2-クロロエチル)、トリクロロエチル(例えば、1,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリクロロエチル)、フルオロエチル(例えば、1-フルオロエチル及び2-フルオロエチル)、トリフルオロエチル(例えば、1,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、クロロプロピル、トリクロロプロピル、フルオロプロピル、トリフルオロプロピルをいう。ハロアルキル基は、フルオロアルキル基、例えば、少なくとも1つのフッ素原子で置換された炭化水素鎖であってもよい。
【0114】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する分枝状又は直鎖状の炭化水素鎖をいう。二重結合は、E又はZ異性体として存在できる。二重結合は、炭化水素鎖の可能ないずれかの位置にある。例えば、C2-C4-アルケニル基は、エテニル、アリル及びブテニルをいう。アルケニル基は、好ましくは、未置換である。
【0115】
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する分枝状又は直鎖状の炭化水素鎖をいう。三重結合は、炭化水素鎖の可能ないずれかの位置にある。例えば、C2-C6-アルキニルは、エチニル、プロピニル、ブチニルをいう。アルケニル基は、好ましくは、未置換である。
【0116】
用語「シクロアルキル」は、3、4、5、又は6個の炭素原子を含有する飽和炭化水素環系をいう。例えば、3-~6-員シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルをいう。シクロアルキル基は、好ましくは、未置換である。
【0117】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、環系内にO、S、及びNから独立して選ばれる1又は2個のヘテロ原子を含んでなる(換言すれば、環系を形成する原子の1又は2個が、O、S、及びNから選ばれるものである)飽和単環式基をいう。ヘテロ環状アルキル基の例としては、ピぺリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、ジオキサン、アゼピンが含まれる。ヘテロシクロアルキル基は、好ましくは、未置換又は置換である。
【0118】
本発明は、薬学上許容される同位体標識した形(1以上の原子が、同じ原子番号を有するが、自然界において、通常、みられる主な同位体の原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられている)の全ての化合物の製剤も含む。
【0119】
本発明の化合物における組み込みに好適な同位体の例としては、水素の同位体、例えば、2H及び3H、炭素の同位体、例えば、11C、13C及び14C、塩素の同位体、例えば、36Cl、フッ素の同位体、例えば、18F、ヨウ素の同位体、例えば、123I及び125I、窒素の同位体、例えば、13N及び15N、酸素の同位体、例えば、15O、17O及び18O、リンの同位体、例えば、32P、及びイオウの同位体、例えば、35Sが含まれる。
【0120】
いくつかの同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を含むものは、薬剤及び/又は基質の組織分布の研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、3H、及び炭素14、すなわち、14C、及び18Fは、導入の容易性及び既存の検出手段に鑑み、この目的には特に有用である。
【0121】
より重質の同位体、例えば、重水素、すなわち、2Hによる置換は、より大きい代謝的安定性から生ずる特定の治療上の利点、例えば、増大されたインビボ半減期又は低減された必要用量を提供し、従って、状況次第では好ましい。
【0122】
同位体標識化合物は、一般に、当業者に知られた一般的な技術によって又はこれまで使用されてきた非標識試薬の代わりに、好適な同位体標識試薬を使用する公知の方法と類似の方法によって調製される。
【0123】
癌治療のための治療方法又は癌治療における使用のための製剤は、本発明の製剤に加えて、一般的な手術又は放射線治療又は化学療法を含む。このような化学療法は、1以上の他の活性剤の投与を含むことができる。
【0124】
本発明の治療法の一部として更なる活性剤が投与される場合、このような併用療法は、治療の個々の成分の同時、連続又は別個の投薬によって達成される。このような組み合わせ生成物は、上記の治療上効果的な用量範囲内の本発明の化合物及びその認可された用量範囲内の1以上の他の薬学上の活性剤を使用する。
【0125】
このように、本発明の医薬製剤は、他の活性剤を含んでなることができる。
【0126】
1以上の他の活性剤は、抗腫瘍剤の下記のカテゴリーの1以上である:
(i)抗増殖剤/抗新生物治療剤及びその組み合わせ、例えば、アルキル化剤(例えば、シクロホスファアミド、ナイトロジェンマスタード、ベンダムスチン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾロミド、及びニトロソ尿素);代謝拮抗剤(例えば、ゲムシタビン、及び葉酸代謝拮抗剤(例えば、フルオロピリミジン(5-フルオロウラシル及びテガフール)、ラルチトレキセド、メトトレキサート、ペメトレキセド、シトシンアラビノシド、及びヒドロキシ尿素);抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン-C、ダクチノマイシン及びミスラマイシンのようなアントラサイクリン系);抗有糸分裂剤(例えば、ビンカルカトイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン)及びタキソイド(例えば、タキソール及びタキソテレ、及びポロキナーゼ阻害剤);プロテアソーム阻害剤、例えば、カーフィルゾミブ及びボルテゾミブ;インターフェロン療法;及びトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド及びテニポシド)、アムサクリン、トポテカン、ミトキサントロン及びカンプトテシン);
【0127】
(ii)細胞分裂阻害剤、例えば、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン及びイドキシフェン)、抗アンドロゲン薬(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド及び酢酸シプロテロン)、LHRH拮抗薬又はLHRH作動薬(例えば、ゴセレリン、リュープロレリン及びブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボロゾール及びエキセケスタン)及び5α-リダクターゼの阻害剤、例えば、フィナステリド;
【0128】
(iii)抗侵襲剤、例えば、ダサチニブ及びボスチニブ(SKI-606)、及びメタロプロテアーゼ阻害剤、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体機能阻害剤又はヘパラナーゼに対する抗体;
【0129】
(iv)成長因子機能の阻害剤、例えば、このような阻害剤は、成長因子抗体及び成長因子受容体抗体(例えば、抗-erbB2抗体トラスツズマブ(Herceptin(商標名))、抗-EGFR抗体パニツムマブ、抗-erbB1抗体セツキシマブ)、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、上皮成長因子ファミリーの阻害剤(例えば、ゲフィチニブ、エルロチニブ及び6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)-キナゾリン-4-アミン(Cl1033)のようなEGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、ラパチニブのようなerbB2チロシンキナーゼ阻害剤);肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤;インスリン成長因子ファミリーの阻害剤;細胞アポプトーシスのタンパク質調節剤の修飾因子(例えば、Bcl-2阻害剤);血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、例えば、イマチニブ及び/又はニロチニブ(AMN107);セリン/スレオニンキナーゼの阻害剤(例えば、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、ソラフェニブ、チピファルニブ及びロナファルニブ)のようなRas/Rafシグナル経路阻害剤)、MEK及び/又はAKTキナーゼを介する細胞シグナル経路の阻害剤、c-キット阻害剤、ablキナーゼ阻害剤,PI3キナーゼ阻害剤、PIt3キナーゼ阻害剤、CSF-1Rキナーゼ阻害剤、IGF受容体キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤及びサイクリン依存性キナーゼ阻害剤、例えば、CDK2及び/又はCDK4阻害剤;
【0130】
(v)抗血管新生薬、例えば、血管内皮成長因子の影響を阻害するもの(例えば、抗-血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ(Avastin(商標名));サリドマイド;レナリドマイド;及び例えば、バンデタニブ、バタラニブ、スニチニブ、アキシチニブ及びパゾパニブのようなVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤;
【0131】
(vi)例えば、異常p53、異常BRCA1又はBRCA2のような異常遺伝子を置き換えるアプローチを含む遺伝子療法アプローチ;
【0132】
(vii)例えば、アレムツズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin(登録商標))及びオファツムマブのような抗体療法;インターフェロンαのようなインターフェロン;IL-2(アルデスロイキン)のようなインターロイキン;;インターロイキン阻害剤、例えば、IRAK4阻害剤;HPVワクチン(例えば、ガーダシル、サーバリックス、オンコファージ及びSipuleucel-T(Provenge)のような予防用及び治療用ワクチンを含む癌ワクチン;及びtoll様受容体修飾物質(例えば、TLR-7又はTLR-9作動薬)を含む免疫療法;及び
【0133】
(viii)細胞毒性薬、例えば、フルダラビン(フルダラ)、クラドリビン、ペントスタチン(Nipent(商標名));
【0134】
(ix)コルチコステロイド(グルココルチコイド及びミネラルコルチコイドを含む)のようなステロイド、例えば、アルクロメタゾン、アルクロメタゾンジプロピオン酸エステル、アルドステロン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾン、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、ベタメタゾン吉草酸エステル、ブデソニド、クロベタゾン、クロベタゾン酪酸エステル、クロベタゾンプロピオン酸エステル、クロプレドノール、コルチゾン、コルチゾン酢酸エステル、コルチバゾール、デオキシコルトン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサメタゾンイソニコチン酸エステル、ジフルオロコルトロン、フルクロロロン、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオロコルチゾン、フルオロコルトロン、フルオロコルトロンカプロン酸エステル、フルオロコルトロンピバル酸エステル、フルオロメトロン、フルプレドニデン、プルプレドニデン酢酸エステル、フルランドレノロン、フルチカゾン、フルチカゾンプロピオン酸エステル、ハルシノニド、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、ヒドロコルチゾンアセポン酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル、ヒドロコルチゾン吉草酸エステル、イコメタゾン、イコメタゾンブタン酸エステル酢酸エステル、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、パラメタゾン、モメタゾンフランカルボン酸エステル1水和物、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾン、チキソコルトール、チキソコルトールピバル酸エステル、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール及びそれらの各薬学上許容される誘導体(ステロイドの組み合わせ、例えば、このパラグラフに記載した2以上のステロイドの組み合わせを使用できる);
【0135】
(x)標的治療、例えば、PI3Kd阻害剤(例えば、アイデラリシブ及びペリホシン、又はPD-1、PD-L1及びCAT Tを阻害する化合物)。
【0136】
1以上の他の活性剤は、抗生物質でもよい。
【0137】
この明細書及び特許請求の範囲を通して、用語「含んでなる」及び「含有する」及びその変形は、「含むが、限定されない」を意味するものであり、これらは、他の部分、添加剤、成分、整数又は工程を除外することを意図するものではない(及び除外しない)。この明細書及び特許請求の範囲を通して、単数は、他に要求されない限り、複数も含むものである。特に、不定冠詞を使用する場合、明細書は、他に要求されない限り、単一性とともに、複数性を含むものとして理解されなければならない。
【0138】
特殊な態様と合わせて記載する本発明の特徴、整数、特性、化合物、化学部分及び基、具体例又は実施例は、矛盾しない限り、ここに記載する他の態様、具体例又は実施例のいずれにも適用できるものであると理解されなければならない。この明細書(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示する特徴の全て、及び/又は同様に開示された方法及びプロセスの工程の全ては、このような特徴及び/又は工程の少なくともいくつかが、相互に排他的である組み合わせを除き、いかようにも組み合わされる。本発明は、上述の具体例の詳細に限定されない。本発明は、この明細書に開示された特徴のいずれかの新規な1つ又は新規な組み合わせに、又は同様に開示されたいずれかの方法又はプロセスの工程のいずれかの新規な1つ又は新規な組み合わせに及ぶものである。
【0139】
読者の注目は、この出願に関連するこの明細書と同時に又はこれよりも先に提出された、又はこの明細書と一緒に縦覧に供される全ての論文及び文献に向けられるが、このような全ての論文及び文献の内容は、参照することによって、ここに組み込まれる。
【0140】
この明細書を通して、下記の略称を使用している:
DMA=ジメチルアセトアミド;DMF=N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;IPA=イソプロピルアルコール;NMP=N-メチルピロリジノン;PEG=ポリエチレングリコール。
[実施例]
【0141】
[実施例1]-NUC-3373の溶解度
様々な溶媒におけるNUC-3373の溶解度を表1に示す。
【0142】
【0143】
容易に理解されるように、水中におけるNUC-3373の溶解度は極めて低い。テストした溶媒の中では、極性の非プロトン性溶媒、特に、DMSO及びDMAが最良の溶解度を示した。
【0144】
[実施例2]-NUC-3373の水性製剤の開発
NUC-1031の調製を可能にするための希釈剤溶液の成功した開発が、NUC-3373の水性製剤の開発を促進した。水性NUC-3373製剤は、続く点滴バッグへの希釈前に、希釈剤溶液10mlに、DMA80%-0.9%食塩水20%における250mg/ml NUC-3373溶液6.7mlを添加して、100mg/ml NUC-3373界面活性剤溶液(表4参照)を生成することによって開発された。
NUC-3373の臨床用量は、未だ確立されていないが、見込みの用量は3、000mgまでであり、これは、製剤開発研究用の上限を設定する。表2は、様々な用量のために、250ml点滴バッグに添加されることが要求される100mg/ml NUC-3373界面化製剤溶液の容量、及び得られた水性点滴溶液の組成を示す。
【0145】
【0146】
2つの保存条件(5℃及び20℃)下での100mg/ml NUC-3373界面活性剤溶液の安定性が、両条件下で、48時間、安定していることを示した(表3参照)。
【0147】
【0148】
水性点滴溶液の安定性を、250ml0.9%食塩水バッグにおいて希釈した3つの異なるNUC-3373の用量(1,000mg、2,000mg、及び3,000mg)を使用して、2つの保存条件(5℃及び20℃)下においても評価した。表4、5、及び6に示した結果は、いずれの用量における水性点滴溶液も、両保存条件下において、48時間まで安定であることを示す。
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
250ml 0.9%食塩水バッグにおける1,000mg及び2,000mg用量溶液のpH及びモル浸透圧濃度は、CVAD又は末梢静脈を介する静脈内投与用として安定している指定する。
【0153】
水性点滴溶液
上記の安定性試験では、基本の点滴溶液として、250ml 0.9%食塩水バッグを使用した。しかし、別の水性点滴溶液(例えば、注射用水(WFI)、0.45%食塩水)使用しても、又は点滴バッグの容量を増大させても(例えば、500ml)、同様の安定性の結果が示された。より低い食塩水濃度又は増大された点滴の容量は、48時間以上、安定性に影響を及ぼさず、pHを顕著には変化させず点滴溶液のモル浸透圧濃度を低減させるように働く。例えば、0.45%食塩水又はWFIを使用すると、高用量のNUC-3373(10mg/ml)のモル浸透圧濃度は、812mosm/lから、それぞれ、715及び557mosm/l H2Oに低下し、一方、0.9%食塩水点滴バッグの容量を、高用量(3,000mg)NUC-3373において、250mlから500mlに増大させると、モル浸透圧濃度は、812mosm/lから524mosm/lに低減する。これらの別の点滴溶液は、高用量NUC-3373水性基本製剤を、CVAD点滴と同様に、末梢静脈点滴用として適するものとなる。
【0154】
[実施例3]-製剤方法の説明のための記載
プロチドの静脈内投与について、製剤方法が開発されている(国際公開第2015/198059(PCT/GB2015/051858)参照)。この方法は、臨床実験において、NUC-3373及びNUC-7738と、大まかに同一の溶解度を有するNUC-1031について効果的であることが示されている。
プロチド(S-エピマー、R-エピマー、又はその混合物)の250mg/ml溶液を、DMA及び0.9%食塩水の80:20(容量)混合物中で生成する。このストック溶液製剤は、一般に、長期間の保存及びプロチドの輸送について十分に安定である。
このストック溶液製剤は、CVAD(例えば、Hickmanライン、PICCライン)を介して、患者に静脈内投与される。静脈内投与装置を、代表的には、プロチドを含んでなる製剤の投与の前後の両方において、DMA及び0.9%食塩水の80:20(容量)混合物にてフラッシュする。これは、食塩水フラッシュとの接触時、静脈内投与装置におけるプロチドの可能な析出の危険を低減することを助ける。
或いは、食塩水バッグ点滴を使用する静脈内投与が、好適な投与方法である場合には、ストック溶液製剤を、DMA:Tween(登録商標)80:Kolliphor(登録商標)ELPの20%:40%:40%混合物である希釈溶液にて、100mg/mlに希釈する(例えば、DMA:0.9%食塩水の80:20混合物における250mgプロチド溶液6.7mlを、DMA:Tween(登録商標)80:Kolliphor(登録商標)ELP希釈溶液10mlに添加する)。得られた(界面活性剤溶液)製剤は、代表的には、5日間までは安定である。
ついで、この界面活性剤溶液製剤を、0.9%食塩水にて、所望の濃度に希釈することによって、点滴溶液製剤を調製する。
NUC-1031については、S-異性体単独又はR及びSエピマーの混合物の4、8及び10mg/mlの溶液は、この製剤を0.45%及び0.9%食塩水の両方において希釈した後48時間は、混合物を撹拌しなければ、pH範囲(4.5、6.0、及び7.0)において、安定である(NUC-1031の析出及びNUC-1031の分解の両方について)ことが示されている。全てのNUC-1031溶液のモル浸透圧濃度が、末梢性投与用として許容されるものであることが示されている。
NUC-3373の臨床試験では、この投与方法は、NUC-3373を、CVADを介して、首尾よく投与することを可能にする。早期の結果として、この実施例における記載のように調製したNUC-3373の点滴溶液は、癌の治療におけるいくつかの効力を有する。
【0155】
[実施例4]-NUC-7738の溶解度
様々な溶媒におけるNUC-7738の溶解度を表7に示す。
【0156】
【0157】
容易に理解されるように、水中におけるNUC-7738溶解度は、水に可溶化剤を配合した場合でも、極めて低い。NUC-7738は、しかし、NMP、DMSO、及びDMAを含む極性の非プロトン性溶媒中では、溶解性である。
【0158】
[実施例5]-NUC-7738の水性製剤の開発
各種の溶媒(DMA、DMSO、NMP、エタノール、ベンジルアルコール)におけるNUC-7738(ジアステレオ異性体の混合物)の100mg/ml濃縮物50μlを、Tween(登録商標)80 50μlと混合し、食塩水1.150mlに添加し、得られた溶液を、NUC-7738の析出について目視チェックした。同様に、Tween(登録商標)80におけるNUC-7738濃縮物50μlを、注射用水50μlと混合し、ついで、食塩水1.150mlに添加した。結果を表8に示した。
【0159】
【0160】
表8は、DMSO、DMA、及びNMPが、NUC-7738を水性溶液中に保持する点で、他の溶媒、例えば、エタノール(NUC-7738は、エタノール中では、非水性条件下で良好な溶解度を有する)よりも、かなり効果的であることを示す。なお、可溶化剤は、極性の非プロトン性溶媒の不存在下では、NUC-7738を水性条件下における溶液中に保持する点について効果的ではない。
【0161】
上記のように調製した溶液を、調製時及び48時間後におけるNUC-7738の含量及び純度についてアッセイした。含量及び純度は、ともに、48時間後も実質的に変化しておらず、これは、この期間にわたって、溶液が化学的及び物理的に安定であることを示す。
【0162】
更なる実験では、析出を生ずることなく、食塩水にて希釈され得る溶媒中におけるNUC-7738の最小濃度を測定した。各種濃度の、NMP、DMSO、及びDMAにおけるNUC-7738(ジアステレオ異性体の混合物)の溶液を調製し、溶液100μlを、食塩水2.40mlに添加した。得られた水溶液を、NUC-7738の析出について観察した。結果を表9に示す。
【0163】
【0164】
理解されるように、NUC-7738を水溶液中に保持するための最良の溶媒は、NMPであり、NMPは、25mg/ml溶液を食塩水にて希釈する際、澄明な溶液を提供した。