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特許7648463シンボル読取装置、シンボル読取方法、およびプログラム
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  • 特許-シンボル読取装置、シンボル読取方法、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】シンボル読取装置、シンボル読取方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20250311BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20250311BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20250311BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20250311BHJP
【FI】
G06K7/10 452
G07G1/00 311E
G06K7/10 376
G06K7/10 456
H04N23/56
H04N23/60 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021120912
(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公開番号】P2023016535
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 修
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-174229(JP,A)
【文献】特開2014-096178(JP,A)
【文献】特開平01-152584(JP,A)
【文献】特開2019-135572(JP,A)
【文献】特開2015-170035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G07G 1/00
H04N 23/56
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
所定周期で点灯して前記撮像部の撮像領域を照らす照明部と、
前記撮像部が撮像したフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る読取処理を実行する読取部と、
前記読取部による読取処理の完了タイミングおよび前記照明部の点灯タイミングに基づいて、前記撮像部の撮像動作を制御する撮像制御部と、
を備えるシンボル読取装置。
【請求項2】
前記撮像制御部は、前記撮像部が撮像したフレーム画像に対する読取処理の完了後の次の前記照明部の点灯タイミングにおいて、前記撮像部が次のフレーム画像を撮像するよう制御する、
請求項1に記載のシンボル読取装置。
【請求項3】
前記読取部は、前記撮像部が撮像したフレーム画像からシンボルを抽出する抽出部および当該抽出部が抽出したシンボルをデコードするデコード処理部を備える、
請求項1または2に記載のシンボル読取装置。
【請求項4】
前記読取部が読取った情報を出力する出力部をさらに備え、
前記出力部は、前記読取部が所定時間内に複数の画像から同一の情報を読取った場合、当該複数の画像のいずれかから読取った情報のみを出力する、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のシンボル読取装置。
【請求項5】
撮像部と、所定周期で点灯して前記撮像部の撮像領域を照らす照明部と、を備えたシンボル読取装置が実行するシンボル読取方法であって、
前記撮像部が撮像したフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る読取処理を実行する読取ステップと、
前記読取ステップによる読取処理の完了タイミングおよび前記照明部の点灯タイミングに基づいて、前記撮像部の撮像動作を制御する撮像制御ステップと、
を含むシンボル読取方法。
【請求項6】
撮像部と、所定周期で点灯して前記撮像部の撮像領域を照らす照明部と、を備えたシンボル読取装置をコンピュータで制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記撮像部が撮像したフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る読取処理を実行する読取部と、
前記読取部による読取処理の完了タイミングおよび前記照明部の点灯タイミングに基づいて、前記撮像部の撮像動作を制御する撮像制御部と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、シンボル読取装置、シンボル読取方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばPOS(Point Of Sales)端末などに用いられるシンボル読取装置が知られている。このシンボル読取装置は、店舗が販売する商品に付されたバーコードや二次元コードなどのシンボルから当該商品に関する商品情報を読取り、読取った商品情報をPOS端末に出力する。POS端末は、入力された商品情報に基づいて、顧客が支払を行うための会計処理を実行する。
【0003】
シンボル読取装置は、撮像部が所定周期で画像を撮像し、撮像した画像に対して読取処理を実行してシンボルが示す商品情報を読取る。商品情報は、例えば商品を識別するための商品コードなどである。具体的には、撮像部が撮像した1画像からシンボルを抽出し、抽出したシンボルをデコードすることで当該1画像に含まれるシンボルが示す商品情報を読取る。
【0004】
この種のシンボル読取装置として、撮像部を所定周期で動作させ、当該撮像部の撮像タイミングにおいて照明部によって撮像領域を照射するものが知られている。一例として、撮像部の撮像周期よりも短い周期で照明部を点灯させ、撮像部の撮像タイミングに照明部の点灯タイミングを同期するよう制御するものが提案されている(例えば、特許文献1)。照明部の点灯周期を短くしているのは、人間が照明部の周期的な点灯を感じない程度の周期にするためである。これにより、シンボル読取装置の使用者が不快なちらつきを感じることを防ぐようにしている。
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、撮像部の撮像タイミングが読取処理の完了と無関係に定められているため、撮像部による撮像が効率的になされているものではなかった。結果としてシンボル読取装置による読取が効率的であるとはいえず、操作性の面で改善の余地があるものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、撮像部による撮像を効率的に行うことで操作性を改善することが可能なシンボル読取装置、シンボル読取方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のシンボル読取装置は、撮像部と、所定周期で点灯して前記撮像部の撮像領域を照らす照明部と、前記撮像部が撮像したフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る読取処理を実行する読取部と、前記読取部による読取処理の完了タイミングおよび前記照明部の点灯タイミングに基づいて、前記撮像部の撮像動作を制御する撮像制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るシンボル読取装置を備えたPOSシステムの全体構成を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るシンボル読取装置の構成を説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係るシンボル読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るシンボル読取装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係るシンボル読取装置の動作を示すタイミングチャートである。
図6図6は、実施形態に係るシンボル読取装置の動作と従来例の動作とを対比した一例を示すタイミングチャートである。
図7図7は、実施形態に係るシンボル読取装置の動作と従来例の動作とを対比した他の一例を示すタイミングチャートである。
図8図8は、実施形態に係るシンボル読取装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態に係るシンボル読取装置、シンボル読取方法、およびプログラムについて図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、シンボル読取装置を小売店の店舗に設置されたPOSシステムに適用した例について説明するが、これに限らない。シンボル読取装置は、シンボルから当該シンボルが示す情報を読取る装置であればよく、他の分野にも広く適用可能である。
【0010】
図1は、POSシステム1の全体構成を示す斜視図である。POSシステム1は、シンボル読取装置10と、シンボル読取装置10で読み取られた情報に基づき会計処理等を実行するPOS端末20と、を備える。なお、本実施形態のPOSシステム1は、店舗の店員(以下、オペレータともいう)によって操作されるものであるが、顧客自身が操作するセルフPOSシステムであってもよい。
【0011】
シンボル読取装置10は、商品を入れた買物カゴ等を載置するためのサッカー台2上において、オペレータと顧客とが略対面する場所(略中央部)に立設される。POS端末20は、サッカー台2の一方の端部付近に設けられる。シンボル読取装置10とPOS端末20とは、図示しない伝送路によって通信可能に接続される。シンボル読取装置10とPOS端末20とは、POSシステム1を構成する。
【0012】
POS端末20は、シンボル読取装置10で読み取られた商品コード等のデータに基づいて、顧客が購入する商品の登録処理や会計処理等を含む販売データ処理を実行する。登録処理は、顧客が購入する商品の商品情報(商品名、価格、商品コード等)を登録する処理で、商品登録ともいう。会計処理は、商品登録された商品情報に基づいて、顧客が購入する商品の代金の支払を行うための処理である。
【0013】
POS端末20は、硬貨及び紙幣を出し入れ自在に収納するドロワ30の上に設置されている。POS端末20は、表示器21と、キーボードや鍵キーを含む入力装置22と、レシートプリンタ23とを備えている。なお、POS端末20は、クレジット決済や二次元コード決済などのキャッシュレスによる会計処理を実行できるように、カードリーダや二次元コードリーダ等を備えていてもよい。
【0014】
表示器21は、オペレータ用表示器211と客用表示器212とで構成される。オペレータ用表示器211は、オペレータに対して、商品登録された商品の商品情報や取引の合計金額等の各種情報を表示する。客用表示器212は、顧客に対して、取引の合計金額等を表示する。
【0015】
入力装置22は、各種キーを備えたキーボードを含む。各種キーは、例えば、バーコード等のシンボルが付されていない商品の商品コードや金額等を入力するための置数キー、販売合計金額の算出を宣言するための小計キー、一取引の締め処理を行って代金を決済することを宣言する締めキー、置数キーによる置数入力を確定する確定キー、入力をクリアするクリアキー等である。
【0016】
レシートプリンタ23は、例えばサーマルプリンタで構成され、1取引に係る情報を印刷したレシートを発行する。
【0017】
次に、シンボル読取装置10の構成について詳細に説明する。図2は、シンボル読取装置10の構成の一例を説明するための図である。ここで、図2は、シンボル読取装置10を撮像窓111が設けられている側(オペレータの立ち位置側)から見た状態を示している。
【0018】
図1および図2に示すように、シンボル読取装置10は、本体部11、撮像部12、照明部13、第1表示部14、キーボード15及び第2表示部16等を備える。
【0019】
本体部11は、略直方体状に形成されており、サッカー台2上に立設される。本体部11の高さは、一般的なオペレータの身長に応じて設定されている。
【0020】
本体部11におけるオペレータの立ち位置側には、撮像窓111が設けられる。撮像窓111の内側には、撮像部12及び照明部13が設置される。顧客が購入する商品をオペレータが撮像窓111に翳すことで、撮像部12が当該商品を含む画像を撮像する。シンボル読取装置10は、撮像した画像に含まれるバーコード等のシンボルから当該シンボルが示す商品コードを読取る。
【0021】
撮像部12は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary MOS)等の撮像素子と撮像レンズとを有する。撮像レンズは、撮像領域の画像を撮像素子に結像する。撮像領域とは、撮像部12が撮像窓111を介して撮像するエリアであって、撮像窓111から撮像レンズを通して撮像素子のエリアに結像する領域を指す。
【0022】
撮像部12は、撮像窓111を介して、本体部11の外の撮像領域を順次撮像する。例えば、撮像部12は、商品に付されたバーコードや二次元コード等を含む画像を光学的に撮像する。バーコードや二次元コード等は、「シンボル」の一例である。商品に付されたシンボルには、商品を識別する商品コード等のデータがエンコードされた状態で保持されている。なお、色や凹凸など商品の外観の特徴量に基づいて商品を認識するオブジェクト認識により商品コードを読取る場合、撮像画像に含まれる商品画像が「シンボル」を構成する。以下、バーコードや二次元コード等を、単に「シンボル」ともいう。なお、本実施形態において、シンボルは、商品に貼り付けられるラベルに印刷されたバーコードであるものとする。また、バーコードが示す情報は商品を識別する商品コードであるものとする。
【0023】
また、撮像部12は、例えば、顧客が所持する携帯端末等の表示画面に表示されたシンボルを光学的に撮像する。顧客の携帯端末等に表示されるシンボルには、店舗の会員であることを示す会員コードや店舗から配信されたクーポン情報などがエンコードされた状態で保持されている。
【0024】
照明部13は、光源を有する。照明部13の光源は、例えば、撮像部12の撮像レンズの周囲に配置される。照明部13は、光源を周期的に点灯させることにより撮像部12の撮像領域に光を照射する。照明部13は、例えば1/120秒間隔の短い周期で光源を点灯させることで、オペレータが不快なちらつきを感じることを防いでいる。なお、光源は、例えばLED(Light Emitting Diode)、冷陰極管、蛍光灯、または白熱灯等で構成することができる。
【0025】
第1表示部14は、オペレータに対して情報を表示する表示装置であって、撮像窓111の上部に設けられる。第1表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスで構成されるタッチパネル付きの表示装置である。第1表示部14は、例えば、シンボル読取装置10が読取った商品コードに基づいて取得した商品情報を表示する。シンボル読取装置10は、商品コードと商品情報とを対応付けた商品マスタを記憶するPOS端末20から商品情報を取得する。
【0026】
キーボード15は、第1表示部14に隣接して設けられている。キーボード15は、商品コードを入力するための各種キー等を有する。キーボード15は、読取ができないシンボルが付された商品をPOS端末20に商品登録する場合や、シンボルが付されていない商品をPOS端末20に商品登録する場合などに操作される。なお、図2では、第1表示部14とキーボード15とを一体的に設けた例を示しているが、別体としてもよい。
【0027】
第2表示部16は、顧客に対して情報を表示する表示装置であって、本体部11の側部に支持される。第2表示部16は、LCD等の表示デバイスで構成されるタッチパネル付きの表示装置である。第2表示部16は、例えば、シンボル読取装置10が商品に付されたシンボルから読取った商品コードに基づく商品情報を表示する。なお、本実施形態では、図示しない保持部材により、本体部11の側部に第2表示部16を保持する構成としたが、この構成に限らない。
【0028】
図3は、シンボル読取装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。シンボル読取装置10は、制御部100と、メモリ部110と、撮像部12と、照明部13と、第1表示部14と、キーボード15と、第2表示部16と、通信部120と、を備えている。制御部100、メモリ部110、撮像部12、照明部13、第1表示部14、キーボード15、第2表示部16、および通信部120は、バス130等を介して互いに接続されている。
【0029】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103を備えたコンピュータで構成されている。CPU101、ROM102、およびRAM103は、互いにバス130を介して接続されている。
【0030】
CPU101はシンボル読取装置10の全体の動作を制御する。ROM102は、CPU101の駆動に用いられるプログラムなどの各種プログラムや各種データを記憶する。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用され、ROM102やメモリ部110に記憶された各種プログラムや各種データを展開する。制御部100は、CPU101がROM102や、メモリ部110に記憶されてRAM103に展開された制御プログラムに従って動作することによって、シンボル読取装置10の各種制御処理を実行する。
【0031】
メモリ部110は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。メモリ部110は、制御プログラム112を記憶する。
【0032】
制御プログラム112は、シンボルを読取るための各種制御プログラムである。制御プログラム112は、撮像部12を制御するプログラム、照明部13を制御するプログラム、撮像部12で撮像された画像からシンボルを抽出するためのプログラム、および抽出されたシンボルをデコードして当該シンボルが示す情報を読取るためのプログラムなどである。
【0033】
撮像部12、照明部13、第1表示部14、キーボード15、および第2表示部16の構成および機能については上述したとおりである。
【0034】
通信部120は、POS端末20等の外部装置と通信するためのインターフェイスである。制御部100は、通信部120を介して上記外部装置と接続されることで、当該外部装置と情報(データ)の送受信が可能となる。
【0035】
続いて、シンボル読取装置10の制御部100の機能構成について説明する。図4は、シンボル読取装置10の制御部100の主要な機能構成を示すブロック図である。制御部100は、CPU101がROM102やメモリ部110に記憶された制御プログラムにしたがって動作することで、画像取得部1001、読取部1002、抽出部1003、デコード処理部1004、照明制御部1005、撮像制御部1006、および出力部1007として機能する。なお、これら各機能を専用回路等のハードウェアを用いて構成してもよい。
【0036】
画像取得部1001は、撮像部12で撮像された画像データを取得する。画像取得部1001は、撮像部12によって撮像された1画像(以下、「フレーム画像」ともいう)を順次取得する。詳細には、画像取得部1001は、撮像部12で順次撮像されたフレーム画像を撮像された順に取り込む。本実施形態においては、撮像部12は、撮像タイミングになれば、撮像窓111に商品が翳されている場合でも、翳されていない場合でも撮像する。このため、画像取得部1001が順次取り込むフレーム画像には、商品を含む画像も含まない画像も存在することとなる。
【0037】
読取部1002は、撮像部12が撮像したフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る読取処理を実行する。読取処理は、フレーム画像に含まれるシンボルの情報を読取る処理であり、抽出処理とデコード処理とを含む。読取部1002は、抽出処理を実行する抽出部1003およびデコード処理を実行するデコード処理部1004で構成される。
【0038】
抽出部1003は、撮像部12が撮像したフレーム画像からシンボルを抽出する。抽出部1003は、画像処理技術を用いて、例えば、画像取得部1001が取得したフレーム画像から当該フレーム画像に含まれるバーコードを抽出する。
【0039】
デコード処理部1004は、抽出部1003が抽出したシンボルをデコードする。デコード処理部1004は、シンボルをデコードすることで、当該シンボルにエンコードされた情報を取り出す。本実施形態では、デコード処理部1004は、商品に付されたバーコード、つまりフレーム画像に含まれるバーコードから当該商品を識別する商品コードを取り出す。
【0040】
照明制御部1005は、照明部13の点灯動作を制御する。具体的には、照明制御部1005は、照明部13を所定周期(例えば、1/120秒間隔)で点灯させる。照明制御部1005は、照明部13が所定周期で点灯する動作を、常時行うよう制御してもよいし、オペレータが撮像窓111の前に商品を翳したことを検出した場合に行うようにしてもよい。
【0041】
撮像制御部1006は、読取部1002による読取処理の完了タイミングおよび照明部13の点灯タイミングに基づいて、撮像部12の撮像動作を制御する。撮像制御部1006は、所定周期で点灯する照明部13の点灯タイミングに合わせて撮像するよう撮像部12を制御する。言い換えれば、撮像部12の撮像タイミングは、照明部13の点灯タイミングのいずれかと同期する。撮像部12が照明部13の点灯タイミングに合せて撮像することにより、画像取得部1001は、商品に付されたシンボルの解析が容易なフレーム画像を取得することができる。
【0042】
より詳細には、撮像制御部1006は、シンボル読取装置10の起動時あるいは撮像窓111の前に商品を検出した時に撮像部12に撮像を開始させるとともに、最初の撮像を照明部13のいずれかの点灯タイミングに合せる。以下の説明において、照明部13の点灯タイミングを単に「点灯タイミング」という場合がある。
【0043】
また、撮像制御部1006は、以降の撮像部12による撮像を次のように制御する。撮像制御部1006は、撮像部12が撮像したフレーム画像に対する読取部1002の読取処理を完了すると次のフレーム画像を撮像するよう撮像部12を制御する。具体的には、撮像制御部1006は、読取部1002の読取処理の完了直後の点灯タイミングにおいて、撮像部12が次のフレーム画像を撮像するよう制御する。なお、撮像部12は、読取部1002の読取処理の完了直後の点灯タイミングで次のフレーム画像の撮像を行うことが最も効率的であるが、必ずしもこれに限らない。例えば、撮像部12は、読取部1002の読取処理の完了後、2回目の点灯タイミングで撮像してもよい。撮像制御部1006は、読取部1002による読取処理の完了のタイミングおよび点灯タイミングに基づいて、次のフレーム画像の撮像タイミングを設定するものであればよい。
【0044】
ここで、シンボル読取装置10の動作タイミングについて詳細に説明する。図5は、本実施形態に係るシンボル読取装置10の動作を示すタイミングチャートである。
【0045】
図5において、撮像トリガAは、撮像制御部1006が撮像部12に対して出力する撮像トリガ信号のタイミングを示している。言い換えれば、撮像トリガAは、撮像部12の撮像タイミングを示しているということができる。
【0046】
点灯トリガBは、照明制御部1005が照明部13に対して出力する点灯トリガ信号のタイミングを示している。言い換えれば、点灯トリガBは、照明部13の点灯タイミングを示しているということができる。
【0047】
画像取込処理Cは、画像取得部1001が撮像部12からフレーム画像を取り込む取込処理の開始および完了のタイミングを示している。言い換えれば、画像取込処理Cは、撮像部12からの画像転送タイミングを示しているということができる。
【0048】
読取処理Dは、読取部1002が実行する読取処理の開始および完了のタイミングを示している。すなわち、読取処理Dは、抽出部1003が実行する抽出処理の開始のタイミング、およびデコード処理部1004が実行するデコード処理の完了のタイミングを示している。
【0049】
なお、読取処理Dの処理時間は、読取処理の対象となるフレーム画像によって異なる。具体的には、フレーム画像に応じて、抽出部1003による抽出処理の処理時間が異なる。例えば、商品に付されたシンボルの近くに複雑な模様や図柄が存在するフレーム画像である場合、抽出部1003がシンボルを抽出する処理時間は長くなり、結果として読取処理の時間が長くなる。また、撮像窓111に商品が翳されていない状態を撮像したフレーム画像などシンボルを含まないフレーム画像である場合、抽出部1003の処理時間は短くなる。この場合、抽出処理によってシンボルは抽出されず、デコード処理は実行されない。
【0050】
上述したとおり、撮像制御部1006は、所定周期で点灯する照明部13の点灯タイミングに合わせて撮像するよう撮像部12を制御する。図5においては、タイミングaにおいて、撮像部12による最初のフレーム画像の撮像が行われる。画像取得部1001は、撮像部12が撮像したフレーム画像の取り込みを実行し、タイミングbで画像取込処理を終える。
【0051】
読取部1002は、画像取得部1001が取得したフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取り、タイミングcで読取処理を終える。詳細には、タイミングbにおいて、抽出部1003はシンボルの抽出処理を開始する。抽出部1003による抽出処理に続いて、デコード処理部1004は、抽出部1003によって抽出されたシンボルをデコード処理し、タイミングcにおいてシンボルが示す商品コードの読取りを完了する。これにより、読取部1002による読取処理が完了する。
【0052】
撮像部12は、撮像制御部1006の制御によって、読取部1002による読取処理の完了後の次の点灯タイミングdで撮像を行う。シンボル読取装置10は、この動作を繰り返すことによって、撮像窓111に順次翳される各商品について、当該商品に付されたシンボルが示す商品コードを順次読取っていく。
【0053】
なお、画像取得部1001が取得したフレーム画像がシンボルを含まない場合、読取部1002はフレーム画像にシンボルが含まれないことを認識した時点で読取処理を完了する。そして、撮像制御部1006は、読取処理が完了した後の次の点灯タイミングで撮像部12に撮像を実行させる。
【0054】
図4の機能構成の説明に戻る。出力部1007は、読取部1002が所定時間内に複数の画像から同一の情報を読取った場合、当該複数の画像のいずれかから読取った情報のみを出力する。言い換えると、出力部1007は、読取部1002が読取った商品コードが出力すべきものか否かを判断したうえで、出力すべき商品コードであればPOS端末20に出力するものである。例えば、出力部1007は、読取部1002が読取った商品コードが前回に読取った商品コードと同一であり、かつ、前回の商品コードの読取から所定時間(例えば、0.4秒)内に読み取ったものであれば出力すべき商品コードでないと判断して、読取った商品コードを出力しない。
【0055】
これにより、商品が撮像窓111に翳された状態で複数回の撮像が行われた場合でも、当該商品の商品コードがPOS端末20に複数回出力されることがなく、POS端末20でのいわゆる二重登録を防止することができる。出力部1007は、読取部1002が読取った商品コードが前回に読取った商品コードと異なる場合、あるいは前回に読取った商品コードと同一であっても前回の読取から所定時間経過している場合、読取った商品コードをPOS端末20に出力する。
【0056】
次に、本実施形態のシンボル読取装置10の撮像動作と、従来例の撮像動作とを比較する。図6は本実施形態に係るシンボル読取装置10の動作と従来例の動作とを対比した一例を示すタイミングチャートであり、図7は本実施形態に係るシンボル読取装置10の動作と従来例の動作とを対比した他の一例を示すタイミングチャートである。なお、図6および図7において、点灯トリガB、画像取込処理C、読取処理Dは、従来例においても本実施形態と同様の動作であるものとする。
【0057】
図6および図7に示すように、従来例の撮像トリガXは、読取処理Dとは無関係に所定周期で出力されている。具体的には、従来例の撮像部は、所定周期で撮像を行うもので、照明部の点灯タイミングの4回毎に同期して撮像するよう制御されている。
【0058】
図6に示す例は、撮像部12によるフレーム画像の撮像から読取部1002による読取処理の完了までの時間が比較的短く従来例の撮像周期よりも短い場合の例である。例えば、シンボルの近辺に複雑な模様や図柄が存在しない商品を撮像部12が撮像し、読取部1002が撮像部12によって撮像されたフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る場合である。
【0059】
本実施形態のシンボル読取装置10は、タイミングaで1回目の撮像が行われ、撮像されたフレーム画像に対する読取処理がタイミングcで完了する。そして、撮像部12は、タイミングcの直後における点灯タイミングdで撮像を行う。言い換えれば、撮像制御部1006は、フレーム画像に対する読取部1002の読取処理の完了タイミングに基づいて、次のフレーム画像を撮像するタイミングを決定している。
【0060】
一方、従来例においては、点灯タイミングの4回毎に撮像部が撮像する。ユーザに不快なちらつきを感じさせない程度の短い周期で照明部13を点灯させる場合、点灯タイミング全てで撮像を行うことは撮像部12の性能上困難な場合がある。もしくは、撮像部12が高性能で上記の短い周期で撮像可能なものである場合、コスト上昇を招くこととなる。このため、上述したように従来例のものは、照明部13の点灯周期よりも長い撮像周期で撮像するものとなっている。
【0061】
図6を参照して、本実施形態のシンボル読取装置10と従来例のものとの撮像タイミングを比較する。本実施形態のシンボル読取装置10は、照明部13の1回目の点灯タイミングで1回目の撮像(1)、3回目の点灯タイミングで2回目の撮像(2)、5回目の点灯タイミングで3回目の撮像(3)を行う。これに対し、従来例のものは、照明部の1回目の点灯タイミングで1回目の撮像(1)、5回目の点灯タイミングで2回目の撮像(2)、9回目の点灯タイミングで3回目の撮像(3)を行う。
【0062】
このように、本実施形態のシンボル読取装置10は、読取部1002の読取処理の完了タイミングに応じて、次のフレーム画像の撮像タイミングを決定することで、効率的な撮像を行うことができる。結果として、シンボルの情報の読取も効率的となり、シンボル読取装置10の操作性を向上させることができる。
【0063】
図7に示す例は、撮像部12によるフレーム画像の撮像から読取部1002による読取処理の完了までの時間が比較的長く従来例の撮像周期より長い場合の例である。例えば、シンボルの近辺に複雑な模様や図柄が一部存在する商品を撮像部12が撮像し、読取部1002が撮像部12によって撮像されたフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る場合である。
【0064】
この場合、本実施形態のシンボル読取装置10は、照明部13の1回目の点灯タイミングで1回目の撮像(1)、6回目の点灯タイミングで2回目の撮像(2)を行う。これに対し、従来例のものは、照明部の1回目の点灯タイミングで1回目の撮像(1)、9回目の点灯タイミングで実質的に2回目の撮像(2)を行う。従来例のものは、実際には5回目の点灯タイミングで2回目の撮像が行われるが、その時点で読取部1002が読取処理を完了しておらず、読取部1002は2回目に撮像されたフレーム画像を読取処理の対象とすることができない。このため、2回目の読取処理の対象となるフレーム画像は、9回目の点灯タイミングで撮像されたものとなるので、9回目の点灯タイミングでの撮像を実質的に2回目の撮像としている。
【0065】
このように、本実施形態のシンボル読取装置10は、読取処理に比較的長い時間を要するフレーム画像においても効率的な撮像を行うことができ、シンボル読取装置10の操作性を向上させることができる。
【0066】
次に、シンボル読取装置10の制御部100の処理について説明する。図8は、シンボル読取装置10の制御部100の処理を示すフローチャートである。
【0067】
図示しない電源スイッチがオンされると、撮像制御部1006は、照明部13の点灯タイミングのいずれかに合せて撮像部12が撮像するよう最初の撮像トリガを出力する(ステップS1)。なお、最初の撮像トリガの出力は、撮像窓111に商品が翳されたことが検出された場合になされてもよい。
【0068】
画像取得部1001は、ステップS1で出力された撮像トリガに基づいて撮像されたフレーム画像を取得する(ステップS2)。続いて、抽出部1003は、画像取得部1001が取得したフレーム画像にシンボルが含まれているか否か判断し(ステップS3)、含まれていれば(ステップS3のY)、シンボルの抽出を行う(ステップS4)。
【0069】
次いで、デコード処理部1004は、デコード処理を実行する(ステップS5)。すなわち、デコード処理部1004は、シンボルにエンコードされた情報を取り出して商品コードを読取る。これにより、読取部1002の読取処理が完了する。
【0070】
出力部1007は、読取部1002が読取った商品コードが出力対象の商品コードか否か判断する(ステップS6)。具体的には、出力部1007は、読取部1002が読取った商品コードが、前回の読取から所定時間内に読取ったものであり、かつ、前回に読取った商品コードと同一である場合、出力対象でないと判断する。出力部1007は、読取部1002が読取った商品コードが出力対象であると判断すると(ステップS6のY)、当該商品コードをPOS端末20に出力する(ステップS7)。POS端末20は、入力された商品コードに基づいて、商品登録を実行する。
【0071】
続いて、撮像制御部1006は、照明部13の点灯タイミング(点灯トリガの出力タイミング)になったか否かを判断し(ステップS8)、点灯タイミングでないと(ステップS8のN)、点灯タイミングになるまで待機する。点灯タイミングになると(ステップS8のY)、制御部100はS1の処理に戻る。これにより、撮像部12は、読取部1002の読取処理が完了した直後の点灯タイミングで次のフレーム画像の撮像を行う。
【0072】
なお、ステップS3の処理において、抽出部1003がフレーム画像からシンボルを検出しない場合(ステップS3のN)、制御部100は、ステップS4~ステップS7の処理をスキップしてステップS8の処理に移行する。
【0073】
また、ステップS6の処理において、出力部1007によって、商品コードが出力対象でないと判断された場合(ステップS6のN)、制御部100は、ステップS7の処理をスキップしてステップS8の処理に移行する。
【0074】
制御部100の上記処理により、撮像部12は、読取部1002による商品コードの読取処理の完了後、速やかに次のフレーム画像を撮像することができる。また、出力部1007が出力対象の商品コードのみをPOS端末20に出力するので、POS端末20でのいわゆる二重登録を防止することができる。
【0075】
以上説明したとおり、上記実施形態のシンボル読取装置10は、撮像部12と、所定周期で点灯して撮像部12の撮像領域を照らす照明部13と、撮像部12が撮像したフレーム画像に含まれるシンボルが示す情報を読取る読取処理を実行する読取部1002と、読取部1002による読取処理の完了タイミングおよび照明部13の点灯タイミングに基づいて、撮像部12の撮像動作を制御する撮像制御部1006と、を備える。
【0076】
これにより、撮像部12は、フレーム画像に対する読取部1002の読取処理の完了タイミングに応じて、次のフレーム画像の撮像タイミングが制御されるので、効率的に撮像を行うことができる。結果として、シンボル読取装置10は、シンボルが示す情報を効率的に読取ることができ、操作性を向上させることができる。
【0077】
また、上記実施形態のシンボル読取装置10の撮像制御部1006は、撮像部12が撮像したフレーム画像に対する読取処理の完了後の次の照明部13の点灯タイミングにおいて、撮像部12が次のフレーム画像を撮像するよう制御する。
【0078】
これにより、撮像部12は最も効率的に撮像を行うことができる。したがって、シンボル読取装置10は、シンボルが示す情報をより効率的に読み取ることができ、さらなる操作性の向上を実現することができる。
【0079】
さらに、上記実施形態のシンボル読取装置10の読取部1002は、撮像部12が撮像したフレーム画像からシンボルを抽出する抽出部1003および当該抽出部1003が抽出したシンボルをデコードするデコード処理部1004を備える。
【0080】
これにより、シンボル読取装置10は、シンボルにエンコードされた情報を確実に読み取ることができる。
【0081】
加えて、上記実施形態のシンボル読取装置10は、読取部1002が読取った情報を出力する出力部1007をさらに備え、出力部1007は、読取部1002が所定時間内に複数のフレーム画像から同一の情報を読取った場合、当該複数のフレーム画像のいずれかから読取った情報のみを出力する。
【0082】
これにより、同じ撮像対象(例えば、同一の個品)を複数回撮像した場合、当該撮像対象に含まれるシンボルから読取った情報は複数出力されない。したがって、シンボル読取装置10が出力する情報の精度が向上する。
【0083】
なお、上記実施形態において、シンボル読取装置10で実行される制御プログラムは、CD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上記実施形態のシンボル読取装置10で実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良く、さらには、インターネット等のネットワーク経由で提供するように構成しても良い。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10 シンボル読取装置
12 撮像部
13 照明部
1002 読取部
1003 抽出部
1004 デコード処理部
1006 撮像制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【文献】特開2015-170035号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8