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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/687 20060101AFI20250311BHJP
   H03K 17/60 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
H03K17/687 A
H03K17/60 A
H03K17/687 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021558997
(86)(22)【出願日】2021-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2021007463
(87)【国際公開番号】W WO2022180811
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 一則
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-276640(JP,A)
【文献】特開2009-292077(JP,A)
【文献】国際公開第2016/043028(WO,A1)
【文献】特開2011-90805(JP,A)
【文献】特開2005-221656(JP,A)
【文献】特開平9-312973(JP,A)
【文献】特開昭59-90424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/687
H03K 17/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性負荷を駆動するための駆動回路であって、
複数のスイッチ素子を備え、前記容量性負荷に相互に極性が異なる第1の電圧と第2の電圧とを交互に印加するブリッジ回路と、
前記容量性負荷の一端に接続された第1の整流素子と、
前記容量性負荷の他端に接続された第2の整流素子と、
前記第1の整流素子と前記第2の整流素子とに接続された蓄電素子と、
前記容量性負荷に印加される電圧が前記第1の電圧から前記第2の電圧に遷移するときに、前記容量性負荷に蓄えられている電荷が前記第1の整流素子を介して前記蓄電素子に移動し、前記容量性負荷に印加される電圧が前記第2の電圧から前記第1の電圧に遷移するときに、前記容量性負荷に蓄えられている電荷が前記第2の整流素子を介して前記蓄電素子に移動するように、前記複数のスイッチ素子を制御する制御回路と、を備える、
駆動回路。
【請求項2】
前記ブリッジ回路は、第1の電源から供給される電力を前記容量性負荷に供給し、
前記蓄電素子は、第2の電源と前記第2の電源から電力の供給を受ける負荷とに対して並列に接続される、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記ブリッジ回路を介して前記容量性負荷から前記第1の電源に電流が逆流することを抑制する整流素子を更に備える、
請求項2に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記第1の電源の電源電圧は、前記第2の電源の電源電圧よりも高く、
電圧を降圧する降圧回路を更に備え、
前記第1の整流素子と前記第2の整流素子とは、前記降圧回路を介して前記蓄電素子に接続されている、
請求項2又は3に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記複数のスイッチ素子は、前記第1の電源の高電位側出力端子と前記容量性負荷の一端との間に接続された第1のスイッチ素子と、前記第1の電源の低電位側出力端子と前記容量性負荷の一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、前記第1の電源の高電位側出力端子と前記容量性負荷の他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、前記第1の電源の低電位側出力端子と前記容量性負荷の他端との間に接続された第4のスイッチ素子と、を備え、
前記制御回路は、
前記ブリッジ回路の状態を、前記第1のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子とがオンし、前記第2のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子とがオフした第1の状態から、前記第1のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子とがオフし、前記第2のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子とがオンした第2の状態に切り替えるときに、前記第4のスイッチ素子をオフしてから前記第2のスイッチ素子をオンするまでの間に前記第1のスイッチ素子をオフして前記第3のスイッチ素子をオンすることにより、前記容量性負荷に蓄えられている電荷を前記第1の整流素子を介して前記蓄電素子に移動させ、
前記ブリッジ回路の状態を前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えるときに、前記第2のスイッチ素子をオフしてから前記第4のスイッチ素子をオンするまでの間に前記第1のスイッチ素子をオンして前記第3のスイッチ素子をオフすることにより、前記容量性負荷に蓄えられている電荷を前記第2の整流素子を介して前記蓄電素子に移動させる、
請求項2から4の何れか1項に記載の駆動回路。
【請求項6】
第3の電源と前記ブリッジ回路との間に接続され、前記第3の電源の電源電圧を第1の電源電圧に変換する第1の電圧変換回路と、
前記第3の電源の電源電圧を第2の電源電圧に変換する第2の電圧変換回路と、を更に備え、
前記ブリッジ回路は、前記第1の電圧変換回路から供給される電力を前記容量性負荷に供給し、
前記蓄電素子は、前記第2の電圧変換回路と前記第2の電圧変換回路から電力の供給を受ける負荷とに対して並列に接続される、
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記ブリッジ回路を介して前記容量性負荷から前記第1の電圧変換回路に電流が逆流することを抑制する整流素子を更に備える、
請求項6に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1の電源電圧は、前記第2の電源電圧よりも高く、
電圧を降圧する降圧回路を更に備え、
前記第1の整流素子と前記第2の整流素子とは、前記降圧回路を介して前記蓄電素子に接続されている、
請求項6又は7に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記複数のスイッチ素子は、前記第1の電圧変換回路の高電位側出力端子と前記容量性負荷の一端との間に接続された第1のスイッチ素子と、前記第1の電圧変換回路の低電位側出力端子と前記容量性負荷の一端との間に接続された第2のスイッチ素子と、前記第1の電圧変換回路の高電位側出力端子と前記容量性負荷の他端との間に接続された第3のスイッチ素子と、前記第1の電圧変換回路の低電位側出力端子と前記容量性負荷の他端との間に接続された第4のスイッチ素子と、を備え、
前記ブリッジ回路の状態を、前記第1のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子とがオンし、前記第2のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子とがオフした第1の状態から、前記第1のスイッチ素子と前記第4のスイッチ素子とがオフし、前記第2のスイッチ素子と前記第3のスイッチ素子とがオンした第2の状態に切り替えるときに、前記第4のスイッチ素子をオフしてから前記第2のスイッチ素子をオンするまでの間に前記第1のスイッチ素子をオフして前記第3のスイッチ素子をオンすることにより、前記容量性負荷に蓄えられている電荷を前記第1の整流素子を介して前記蓄電素子に移動させ、
前記ブリッジ回路の状態を前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えるときに、前記第2のスイッチ素子をオフしてから前記第4のスイッチ素子をオンするまでの間に前記第1のスイッチ素子をオンして前記第3のスイッチ素子をオフすることにより、前記容量性負荷に蓄えられている電荷を前記第2の整流素子を介して前記蓄電素子に移動させる、
請求項6から8の何れか1項に記載の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
容量性負荷を駆動する駆動回路が知られている。容量性負荷は、例えば、圧電体と圧電体を挟む2枚の電極とを備える圧電素子である。容量性負荷は、例えば、ゲームコントローラ、スマートフォン、圧電ブザー、インクジェットプリンタにおける液体吐出装置等、音又は振動を発する種々の機器に組み込まれて使用される。
【0003】
ところで、発音時の音圧を上げたり、振動時の変位量を大きくしたりするためには、容量性負荷の容量を大きくする必要がある。しかしながら、容量性負荷の容量が大きいと、容量性負荷に蓄積される電気エネルギーも大きく、熱エネルギーに変換される電気エネルギーも大きいため、消費電力が大きい。このため、容量性負荷に蓄積された電気エネルギーを有効利用して、消費電力を低減する技術が望まれている。
【0004】
例えば、特許文献1には、圧電素子の変位による圧力を利用してノズル開口から液滴を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置が記載されている。この液体吐出装置は、チャージポンプで消費する電力を低減するために、容量性負荷である圧電素子に蓄積された電荷をチャージポンプが有するキャパシタに移送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5083546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された液体吐出装置では、圧電素子に蓄積された電荷が多段階に亘ってチャージポンプが有するキャパシタに移送される。このため、特許文献1に記載された液体吐出装置では、圧電素子に蓄積された電気エネルギーを効率良く利用することができず、容量性負荷の駆動時における消費電力がそれほど低減されない。このため、容量性負荷の駆動時における消費電力を低減する技術が望まれている。
【0007】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、容量性負荷の駆動時における消費電力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示の一実施態様に係る駆動回路は、
容量性負荷を駆動するための駆動回路であって、
複数のスイッチ素子を備え、前記容量性負荷に相互に極性が異なる第1の電圧と第2の電圧とを交互に印加するブリッジ回路と、
前記容量性負荷の一端に接続された第1の整流素子と、
前記容量性負荷の他端に接続された第2の整流素子と、
前記第1の整流素子と前記第2の整流素子とに接続された蓄電素子と、
前記容量性負荷に印加される電圧が前記第1の電圧から前記第2の電圧に遷移するときに、前記容量性負荷に蓄えられている電荷が前記第1の整流素子を介して前記蓄電素子に移動し、前記容量性負荷に印加される電圧が前記第2の電圧から前記第1の電圧に遷移するときに、前記容量性負荷に蓄えられている電荷が前記第2の整流素子を介して前記蓄電素子に移動するように、前記複数のスイッチ素子を制御する制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の駆動回路によれば、容量性負荷の駆動時における消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る駆動回路の回路図
図2】実施の形態1に係るスイッチ切替順序を示す図
図3】実施の形態1に係る駆動回路の各部の信号の時間変化を示す図であり、(A)はVG1の時間変化を示す図であり、(B)はVG2の時間変化を示す図であり、(C)はVG3の時間変化を示す図であり、(D)はVG4の時間変化を示す図であり、(E)はI1の時間変化を示す図であり、(F)はI2の時間変化を示す図
図4】T1における回路状態の説明図
図5】T2における回路状態の説明図
図6】T3における回路状態の説明図
図7】T4における回路状態の説明図
図8】T5における回路状態の説明図
図9】T6における回路状態の説明図
図10】T7における回路状態の説明図
図11】T8における回路状態の説明図
図12】実施の形態2に係る駆動回路の回路図
図13】実施の形態3に係る第1の電圧変換回路及び第2の電圧変換回路の回路図
図14】実施の形態4に係るスイッチ切替順序を示す図
図15】実施の形態4に係る駆動回路の各部の信号の時間変化を示す図であり、(A)はVG1の時間変化を示す図であり、(B)はVG2の時間変化を示す図であり、(C)はVG3の時間変化を示す図であり、(D)はVG4の時間変化を示す図であり、(E)はI1の時間変化を示す図であり、(F)はI2の時間変化を示す図
図16】実施の形態5に係る駆動回路の回路図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る技術の実施の形態に係る電力伝送システムを、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態において、同一の構成部分には同一の符号を付す。また、各図に示した構成要素の大きさの比率及び形状は、実施の際と必ずしも同じではない。
【0012】
(実施の形態1)
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る駆動回路100の構成を説明する。駆動回路100は、容量性負荷を交流駆動する回路である。つまり、駆動回路100は、容量性負荷に正負の電圧を交互に印加する回路である。本実施の形態では、容量性負荷は、圧電体と圧電体を挟む2枚の電極とを備える圧電素子である。圧電素子は、例えば、ゲームコントローラ、スマートフォン、圧電ブザー、インクジェットプリンタにおける液体吐出装置等、音又は振動を発する種々の機器に組み込まれて使用される。
【0013】
一般的に、容量性負荷に蓄積された電気エネルギーは、熱エネルギーに変化されて消費される。しかしながら、容量性負荷に蓄積された電気エネルギーは、熱エネルギーとして消費されるよりも、電気エネルギーとして有効に利用されることが望ましい。そこで、本実施の形態に係る駆動回路100は、容量性負荷に蓄積された電気エネルギーを蓄電素子に蓄えて利用することにより、駆動回路100全体としての消費電力を低減する。
【0014】
図1に示すように、駆動回路100は、電源10と、電源20と、負荷23と、ブリッジ回路30と、ダイオード41と、ダイオード42と、キャパシタ50と、制御回路60と、ダイオード71と、ダイオード72とを備える。駆動回路100の駆動対象であるキャパシタ200は、容量性負荷である圧電素子のキャパシタンスに対応する。
【0015】
電源10は、直流電力を供給する電源である。電源10は、圧電素子を駆動するための電力を供給する。電源10の電源電圧であるV1は、比較的高い電圧である。本実施の形態では、V1は15Vである。電源10は、高電位側出力端子11と低電位側出力端子12とを備える。高電位側出力端子11は、低電位側出力端子12よりも高い電位に設定される出力端子である。高電位側出力端子11と低電位側出力端子12との間には、V1が印加される。本実施の形態では、高電位側出力端子11はV1に設定され、低電位側出力端子12は接地されて0Vに設定される。電源10は、第1の電源の一例である。
【0016】
電源20は、電源10とは別に設けられた電源であり、直流電力を供給する電源である。電源20は、負荷23を駆動するための電力を供給する。電源20の電源電圧であるV2は、V1と同じ電圧であってもよいし、V1とは異なる電圧であってもよい。本実施の形態では、V2は、V1と同じ電圧であり、15Vである。電源20は、高電位側出力端子21と低電位側出力端子22とを備える。高電位側出力端子21は、低電位側出力端子22よりも高い電位に設定される出力端子である。高電位側出力端子21と低電位側出力端子22との間には、V2が印加される。本実施の形態では、高電位側出力端子21はV2に設定され、低電位側出力端子22は接地されて0Vに設定される。電源20は、第2の電源の一例である。
【0017】
負荷23は、電源20から電力の供給を受ける負荷であり、図1においてキャパシタ200として示される圧電素子以外の負荷である。なお、負荷23は、他の圧電素子であってもよいし、制御回路60であってもよい。他の圧電素子は、駆動回路100が複数の圧電素子を駆動する場合において、複数の圧電素子のうち図1においてキャパシタ200として示される圧電素子以外の圧電素子である。
【0018】
ブリッジ回路30は、電源10から供給される電力をキャパシタ200に供給する。ブリッジ回路30は、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とを備え、容量性負荷であるキャパシタ200に相互に極性が異なる第1の電圧と第2の電圧とを交互に印加する回路である。ブリッジ回路30は、制御回路60により制御される。本実施の形態では、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とは、N(Negative)チャネル型MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とは、制御回路60から供給されるゲート駆動信号により制御される。
【0019】
スイッチ素子31は、電源10の高電位側出力端子11とキャパシタ200の一端との間に接続される。スイッチ素子32は、電源10の低電位側出力端子12とキャパシタ200の一端との間に接続される。スイッチ素子33は、電源10の高電位側出力端子11とキャパシタ200の他端との間に接続される。スイッチ素子34は、電源10の低電位側出力端子12とキャパシタ200の他端との間に接続される。
【0020】
スイッチ素子31は、スイッチ素子31のソースからスイッチ素子31のドレインに向けて電流を流す寄生ダイオード35を備える。スイッチ素子32は、スイッチ素子32のソースからスイッチ素子32のドレインに向けて電流を流す寄生ダイオード36を備える。スイッチ素子33は、スイッチ素子33のソースからスイッチ素子33のドレインに向けて電流を流す寄生ダイオード37を備える。スイッチ素子34は、スイッチ素子34のソースからスイッチ素子34のドレインに向けて電流を流す寄生ダイオード38を備える。スイッチ素子31は、第1のスイッチ素子の一例である。スイッチ素子32は、第2のスイッチ素子の一例である。スイッチ素子33は、第3のスイッチ素子の一例である。スイッチ素子34は、第4のスイッチ素子の一例である。
【0021】
ダイオード41は、容量性負荷であるキャパシタ200の一端に接続される整流素子である。ダイオード42は、容量性負荷であるキャパシタ200の他端に接続される整流素子である。ダイオード41とダイオード42とは、キャパシタ200に蓄積された電荷を、蓄電素子であるキャパシタ50に供給する役割を担う。ダイオード41は、第1の整流素子の一例である。ダイオード42は、第2の整流素子の一例である。
【0022】
キャパシタ50は、ダイオード41とダイオード42とに接続された蓄電素子である。キャパシタ50は、電源20から見て負荷23と並列に接続される。キャパシタ50は、容量性負荷であるキャパシタ200から供給された電荷を一時的に蓄積し、蓄積した電荷を負荷23に供給する役割を担う。キャパシタ50が負荷23に電荷を供給する間、電源20が負荷23に供給する電荷は少なくて済み、電源20の消費電力が低減される。キャパシタ50の静電容量は、キャパシタ200の静電容量以上であることが好適である。本実施の形態では、キャパシタ50の静電容量は、キャパシタ200の静電容量の10倍である。この場合、キャパシタ200から供給された電荷でキャパシタ50が充電されるときに、キャパシタ50の両端間の電圧が過度に上昇することが抑制される。キャパシタ50は、蓄電素子の一例である。
【0023】
制御回路60は、キャパシタ200に第1の電圧と第2の電圧とが印加されるようにブリッジ回路30を制御する。制御回路60は、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とのそれぞれにゲート駆動信号を供給することにより、ブリッジ回路30を制御する。第1の電圧は、V1よりも少し低い電圧である。第2の電圧は、第1の電圧と同程度の大きさの電圧であり、第1の電圧とは逆の極性の電圧である。本実施の形態では、第1の電圧は正の電圧であり、第2の電圧は負の電圧である。
【0024】
なお、本実施の形態では、キャパシタ200の他端の電位よりもキャパシタ200の一端の電位の方が高くなるようにキャパシタ200に電圧を印加することを、キャパシタ200に正の電圧を印加するという。また、キャパシタ200の他端の電位よりもキャパシタ200の一端の電位の方が低くなるようにキャパシタ200に電圧を印加することを、キャパシタ200に負の電圧を印加するという。また、キャパシタ200に正の電圧を印加することを、キャパシタ200を正の方向に駆動するといい、キャパシタ200に負の電圧を印加することを、キャパシタ200を負の方向に駆動するという。
【0025】
ここで、ブリッジ回路30が第1の状態であるときにキャパシタ200に第1の電圧が印加され、ブリッジ回路30が第2の状態であるときにキャパシタ200に第2の電圧が印加される。第1の状態は、スイッチ素子31とスイッチ素子34とのペアである第1のペアがONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とのペアである第2のペアがOFFしている状態である。第2の状態は、第1のペアがOFFし、第2のペアがONしている状態である。なお、ドレインとソースとが導通していることをON、ドレインとソースとが導通していないことをOFFという。
【0026】
一般的なブリッジ回路30の制御では、第1のペアと第2のペアとが交互にON/OFFを繰り返すように、各スイッチ素子が交流駆動される。なお、一般的なブリッジ回路30の制御は、キャパシタ200に蓄積された電気エネルギーが利用されず、熱エネルギーとして消費される制御である。容量性負荷が圧電ブザーの場合、ゲート駆動信号の周波数を調整することにより、出力される音の音階が調整される。例えば、PFM(Pulse Frequency Modulation)変調された信号がゲート駆動信号として使用されると、様々な楽曲が再現可能である。PFM変調のゲート駆動信号がHレベルであるときにスイッチ素子がONし、PFM変調のゲート駆動信号がLレベルであるときにスイッチ素子がOFFする。
【0027】
本実施の形態では、スイッチ素子は、Nチャネル型MOSFETである。従って、ゲート電圧がソース電圧よりもゲート閾値電圧以上高いときにスイッチ素子がONする。例えば、制御回路60は、スイッチ素子31をONする場合、スイッチ素子31のゲートに、スイッチ素子31のソース電圧よりもゲート閾値電圧以上高い電圧(例えば、V1)のゲート駆動信号を供給する。また、制御回路60は、スイッチ素子32をONする場合、スイッチ素子32のゲートに、スイッチ素子32のソース電圧である0Vよりもゲート閾値電圧以上高い電圧(例えば、3V)のゲート駆動信号を供給する。
【0028】
ここで、ブリッジ回路30が第1の状態と第2の状態とを繰り返すように制御されると、キャパシタ200に蓄積された電気エネルギーが利用されずに熱エネルギーとして消費される。そこで、本実施の形態では、制御回路60は、キャパシタ200に蓄積された電荷をキャパシタ50に移動させて利用するために、第1の状態と第2の状態との間に中間の状態を持たせる。
【0029】
具体的には、制御回路60は、キャパシタ200に印加される電圧が第1の電圧から第2の電圧に遷移するときに、キャパシタ200に蓄えられている電荷がダイオード41を介してキャパシタ50に移動し、キャパシタ200に印加される電圧が第2の電圧から第1の電圧に遷移するときに、キャパシタ200に蓄えられている電荷がダイオード42を介してキャパシタ50に移動するように、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とを制御する。
【0030】
ダイオード71とダイオード72とは、ブリッジ回路30を介してキャパシタ200から電源10に電流が逆流することを抑制する整流素子である。ダイオード71は、スイッチ素子31を介してキャパシタ200から電源10に電荷が流れることを抑制する。ダイオード72は、スイッチ素子33を介してキャパシタ200から電源10に電荷が流れることを抑制する。ダイオード71とダイオード72とは、整流素子の一例である。
【0031】
次に、図2図3とを参照して、制御回路60による各スイッチ素子の切替順序について説明する。図2に、本実施の形態に係るスイッチ切替順序を示す。図2に示すように、本実施の形態では、T1の期間とT2の期間とT3の期間とT4の期間とT5の期間とT6の期間とT7の期間とT8の期間とが順に繰り返して到来するように、各スイッチ素子の状態が切り替えられる。
【0032】
T1の期間は、スイッチ素子31とスイッチ素子34とがONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とがOFFしている期間である。T2の期間は、スイッチ素子31がONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T3の期間は、スイッチ素子31とスイッチ素子33とがONし、スイッチ素子32とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T4の期間は、スイッチ素子33がONし、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。
【0033】
T5の期間は、スイッチ素子32とスイッチ素子33とがONし、スイッチ素子31とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T6の期間は、スイッチ素子33がONし、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T7の期間は、スイッチ素子31とスイッチ素子33とがONし、スイッチ素子32とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T8の期間は、スイッチ素子31がONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。
【0034】
図3に、本実施の形態に係る駆動回路100の各部の信号の時間変化を示すタイミングチャートを示す。図3(A)に、スイッチ素子31のゲート電圧であるVG1の時間変化を示す電圧波形を示す。図3(B)に、スイッチ素子32のゲート電圧であるVG2の時間変化を示す電圧波形を示す。図3(C)に、スイッチ素子33のゲート電圧であるVG3の時間変化を示す電圧波形を示す。図3(D)に、スイッチ素子34のゲート電圧であるVG4の時間変化を示す電圧波形を示す。図3(E)に、キャパシタ200からキャパシタ50に流れる電流であるI1の時間変化を示す電流波形を示す。図3(F)に、電源20が出力する電流であるI2の時間変化を示す電流波形を示す。
【0035】
t1以前の期間がT1である。t1からt2までの期間がT2である。t2からt3までの期間がT3である。t3からt4までの期間がT4である。t4からt5までの期間がT5である。t5からt6までの期間がT6である。t6からt7までの期間がT7である。t7からt8までの期間がT8である。t8からt9までの期間がT1である。t9からt10までの期間がT2である。t10からt11までの期間がT3である。t11からt12までの期間がT4である。t12以降の期間がT5である。
【0036】
制御回路60は、t1までは、スイッチ素子31がONするゲート駆動信号をスイッチ素子31のゲートに供給し、スイッチ素子32がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子32のゲートに供給し、スイッチ素子33がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子33のゲートに供給し、スイッチ素子34がONするゲート駆動信号をスイッチ素子34のゲートに供給する。V11はスイッチ素子31がONするゲート電圧であり、V12はスイッチ素子31がOFFするゲート電圧である。V21はスイッチ素子32がONするゲート電圧であり、V22はスイッチ素子32がOFFするゲート電圧である。V31はスイッチ素子33がONするゲート電圧であり、V32はスイッチ素子33がOFFするゲート電圧である。V41はスイッチ素子34がONするゲート電圧であり、V42はスイッチ素子34がOFFするゲート電圧である。例えば、V11とV31とはV1であり、V21とV41とは3Vであり、V12とV22とV32とV42とは0Vである。
【0037】
まず、制御回路60は、t1において、スイッチ素子34がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子34のゲートに供給する。次に、制御回路60は、t2において、スイッチ素子33がONするゲート駆動信号をスイッチ素子33のゲートに供給する。t2において、キャパシタ200に蓄積されていた電荷がキャパシタ50に移動し、I1が急激に増加する。また、t2以降、キャパシタ50から負荷23に電荷が供給されることで、電源20から負荷23供給される電荷が減少し、I2が減少する。
【0038】
制御回路60は、t3において、スイッチ素子31がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子31のゲートに供給する。制御回路60は、t4において、スイッチ素子32がONするゲート駆動信号をスイッチ素子32のゲートに供給する。t4以降、キャパシタ200からキャパシタ50への電荷の移動がなくなり、I1がほぼ0になる。また、t4以降、キャパシタ50から負荷23に供給される電荷が減少するため、電源20から負荷23供給される電荷が増加し、I2が増加する。
【0039】
制御回路60は、t5において、スイッチ素子32がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子32のゲートに供給する。次に、制御回路60は、t6において、スイッチ素子31がONするゲート駆動信号をスイッチ素子31のゲートに供給する。t6において、キャパシタ200に蓄積されていた電荷がキャパシタ50に移動し、I1が急激に増加する。また、t6以降、キャパシタ50から負荷23に電荷が供給されることで、電源20から負荷23供給される電荷が減少し、I2が減少する。
【0040】
制御回路60は、t7において、スイッチ素子33がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子33のゲートに供給する。制御回路60は、t8において、スイッチ素子34がONするゲート駆動信号をスイッチ素子34のゲートに供給する。t8以降、キャパシタ200からキャパシタ50への電荷の移動がなくなり、I1がほぼ0になる。また、t8以降、キャパシタ50から負荷23に供給される電荷が減少するため、電源20から負荷23供給される電荷が増加し、I2が増加する。以後、制御回路60は、t1からt8までにおいて実行したスイッチ制御を繰り返す。
【0041】
このように、制御回路60は、ブリッジ回路30の状態を第1の状態から第2の状態に切り替えるときに、スイッチ素子34をOFFしてからスイッチ素子32をONするまでの間にスイッチ素子31をOFFしてスイッチ素子33をONすることにより、キャパシタ200に蓄えられている電荷を、ダイオード41を介してキャパシタ50に移動させる。また、制御回路60は、ブリッジ回路30の状態を第2の状態から第1の状態に切り替えるときに、スイッチ素子32をOFFしてからスイッチ素子34をONするまでの間にスイッチ素子31をONしてスイッチ素子33をOFFすることにより、キャパシタ200に蓄えられている電荷を、ダイオード42を介してキャパシタ50に移動させる。
【0042】
次に、図4から図11を参照して、駆動回路100の動作について詳細に説明する。
【0043】
まず、図4を参照して、T1の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T1の期間では、制御回路60は、スイッチ素子31とスイッチ素子34とをONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とをOFFしている。T1の期間では、スイッチ素子31を介して電源10の高電位側出力端子11からキャパシタ200の一端に電荷が流れ、スイッチ素子34を介してキャパシタ200の他端から電源10の低電位側出力端子12に電荷が流れる。つまり、T1の期間では、キャパシタ200は正の方向に駆動される。
【0044】
なお、キャパシタ200の他端と電源20の高電位側出力端子21との間には、逆流防止用のダイオード42が接続されている。ダイオード42が存在するため、スイッチ素子34がONしていても、電源20の高電位側出力端子21からスイッチ素子34を経由して電源10の低電位側出力端子12に電流が流れることが抑制される。つまり、ダイオード42により短絡が抑制される。なお、T1よりも前の期間において、キャパシタ50が十分に充電されておらず、キャパシタ50の両端間の電圧がV1に満たない場合がある。この場合、T1の期間において、電源10からダイオード71とスイッチ素子31とダイオード41とを介してキャパシタ50に電流が流れ、キャパシタ50の両端間の電圧がほぼV1になるようにキャパシタ50が充電される。
【0045】
次に、図5を参照して、T2の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T2の期間では、制御回路60は、スイッチ素子31をONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とをOFFしている。T2の期間は、スイッチ素子34がONからOFFに切り替えられた直後の期間であり、キャパシタ200の正の方向への駆動が終了した直後の期間である。T2の期間では、キャパシタ200は電荷を蓄えた状態を維持し、キャパシタ200の両端間の電圧はほぼV1に維持される。
【0046】
次に、図6を参照して、T3の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T3の期間では、制御回路60は、スイッチ素子31とスイッチ素子33とをONし、スイッチ素子32とスイッチ素子34とをOFFしている。T3の期間は、スイッチ素子33がONした直後の期間である。従って、T3の期間では、電源10からダイオード72とスイッチ素子33とを介してキャパシタ200の他端に電流が流れる。このため、キャパシタ200の他端の電位は、ほぼ0VからV1-Vf2の電位まで上昇する。Vf2は、ダイオード72の順方向電圧である。
【0047】
この時、キャパシタ200の他端の電位の上昇に伴ってキャパシタ200の一端の電位も上昇する。このため、ダイオード41が導通してキャパシタ200の一端からキャパシタ50に電荷が放電される。なお、キャパシタ200の一端と電源10の高電位側出力端子11とを結ぶ経路上には逆流防止用のダイオード71が存在するため、キャパシタ200の一端から電源10には電荷は流れない。
【0048】
次に、図7を参照して、T4の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T4の期間では、制御回路60は、スイッチ素子33をONし、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子34とをOFFしている。T4の期間では、T3の期間と同様に、キャパシタ200に蓄えられた電荷がダイオード41を介してキャパシタ50に放電される、なお、T3の期間において、放電が完了している場合、T4の期間では、放電されない。
【0049】
T3の期間とT4の期間との和の時間は、キャパシタ200に蓄えられた電荷をキャパシタ50に放電するのに要する時間である放電時間に調整されることが好適である。ここで、T2の期間は極めて短い期間であってもよい。このため、本実施の形態では、キャパシタ50に蓄電しない一般的な制御と比較して、第1の状態から第2の状態への切替に要する時間は、この放電時間分増加するだけである。この放電時間は、例えば、ダイオード41、ダイオード72及びスイッチ素子33の導通速度と、電荷が流れる経路における、電源10、キャパシタ50及びキャパシタ200の過渡応答特性とに応じて決定される。
【0050】
次に、図8を参照して、T5の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T5の期間では、制御回路60は、スイッチ素子32とスイッチ素子33とをONし、スイッチ素子31とスイッチ素子34とをOFFしている。T5の期間では、スイッチ素子33を介して電源10の高電位側出力端子11からキャパシタ200の他端に電荷が流れ、スイッチ素子32を介してキャパシタ200の一端から電源10の低電位側出力端子12に電荷が流れる。つまり、T5の期間では、キャパシタ200は負の方向に駆動される。
【0051】
なお、キャパシタ200の一端と電源20の高電位側出力端子21との間には、逆流防止用のダイオード41が接続されている。ダイオード41が存在するため、スイッチ素子32がONしていても、電源20の高電位側出力端子21からスイッチ素子32を経由して電源10の低電位側出力端子12に電流が流れることが抑制される。つまり、ダイオード41により短絡が抑制される。なお、T5よりも前の期間において、キャパシタ50が十分に充電されておらず、キャパシタ50の両端間の電圧がV1に満たない場合がある。この場合、T5の期間において、電源10からダイオード72とスイッチ素子33とダイオード42とを介してキャパシタ50に電流が流れ、キャパシタ50の両端間の電圧がほぼV1になるようにキャパシタ50が充電される。
【0052】
次に、図9を参照して、T6の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T6の期間では、制御回路60は、スイッチ素子33をONし、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子34とをOFFしている。T6の期間は、スイッチ素子32がONからOFFに切り替えられた直後の期間であり、キャパシタ200の負の方向への駆動が終了した直後の期間である。T6の期間では、キャパシタ200は電荷を蓄えた状態を維持し、キャパシタ200の両端間の電圧はほぼV1に維持される。
【0053】
次に、図10を参照して、T7の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T7の期間では、制御回路60は、スイッチ素子31とスイッチ素子33とをONし、スイッチ素子32とスイッチ素子34とをOFFしている。T7の期間は、スイッチ素子31がONした直後の期間である。従って、T7の期間では、電源10からダイオード71とスイッチ素子31とを介してキャパシタ200の一端に電流が流れる。このため、キャパシタ200の一端の電位は、ほぼ0VからV1-Vf2の電位まで上昇する。
【0054】
この時、キャパシタ200の一端の電位の上昇に伴ってキャパシタ200の他端の電位も上昇する。このため、ダイオード42が導通してキャパシタ200の他端からキャパシタ50に電荷が放電される。なお、キャパシタ200の他端と電源10の高電位側出力端子11とを結ぶ経路上には逆流防止用のダイオード72が存在するため、キャパシタ200の他端から電源10には電荷は流れない。
【0055】
次に、図11を参照して、T8の期間における駆動回路100の動作状態について説明する。T8の期間では、制御回路60は、スイッチ素子31をONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とをOFFしている。T8の期間では、T7の期間と同様に、キャパシタ200に蓄えられた電荷がダイオード42を介してキャパシタ50に放電される、なお、T7の期間において、放電が完了している場合、T8の期間では、放電されない。
【0056】
T7の期間とT8の期間との和の時間は、キャパシタ200に蓄えられた電荷をキャパシタ50に放電するのに要する時間である放電時間に調整されることが好適である。ここで、T6の期間は極めて短い期間であってもよい。このため、本実施の形態では、キャパシタ50に蓄電しない一般的な制御と比較して、第2の状態から第1の状態への切替に要する時間は、この放電時間分増加するだけである。この放電時間は、例えば、ダイオード42、ダイオード71及びスイッチ素子31の導通速度と、電荷が流れる経路における、電源10、キャパシタ50及びキャパシタ200の過渡応答特性とに応じて決定される。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態では、キャパシタ200に印加される電圧の極性が遷移するときに、キャパシタ200に蓄えられている電荷がダイオード41又はダイオード42を介してキャパシタ50に移動するように、ブリッジ回路30が制御される。従って、本実施の形態によれば、キャパシタ200に蓄えられた電気エネルギーを利用することができるため、キャパシタ200の駆動時における消費電力を低減することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、ブリッジ回路を駆動するための電源10とは別に他の負荷23を駆動するための電源20が用意され、キャパシタ50が電源20と負荷23とに対して並列に接続される。従って、本実施の形態によれば、キャパシタ200に蓄えられた電気エネルギーを電源20が利用することができ、電源20の消費電力が低減される。
【0059】
また、本実施の形態では、キャパシタ200から電源10に電流が逆流することを抑制するダイオード71とダイオード72とが設けられる。従って、本実施の形態によれば、短絡により、キャパシタ200に蓄えられた電気エネルギーが熱エネルギーとして消費されることが抑制される。
【0060】
また、本実施の形態では、ブリッジ回路30の状態を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるときに、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とが、同時に切り替えられるのではなく、適切な順序で切り替える。従って、本実施の形態によれば、ブリッジ回路30の状態が切り替わるときに、キャパシタ200に蓄えられた電荷を適切にキャパシタ50に移動させることができる。
【0061】
(実施の形態2)
実施の形態1では、電源10の電源電圧であるV1と電源20の電源電圧であるV2とが同じである例について説明した。V1とV2とが異なっていてもよい。本実施の形態では、V1がV2よりも高い場合に適用可能な駆動回路110について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成及び処理については、説明を省略又は簡略化する。
【0062】
以下、図12を参照して、本実施の形態に係る駆動回路110の構成を説明する。駆動回路110は、降圧回路80を備える点が駆動回路100と異なる。降圧回路80は、電圧を降圧する回路である。降圧回路80は、V1をV2に変換することにより、電源10により動作する回路と電源20により動作する回路とを適切に接続する回路である。本実施の形態では、V1は15Vであり、V2は5Vである。
【0063】
降圧回路80は、キャパシタ200と接続されたダイオード41及びダイオード42と、電源20と負荷23とキャパシタ50との並列回路との間に設けられる。降圧回路80は、スイッチ素子81と、抵抗83と、抵抗84とを備える。
【0064】
スイッチ素子81は、入力端子に印加された電圧を制御端子に印加された電圧に応じて降圧し、降圧により得られた電圧を出力端子に印加する。本実施の形態では、スイッチ素子81は、Nチャネル型MOSFETである。スイッチ素子81は、スイッチ素子81のソースからスイッチ素子81のドレインに向けて電流を流す寄生ダイオード82を備える。抵抗83と抵抗84とは、スイッチ素子81のゲート電圧を調整するための抵抗である。V1とV2とに応じて、抵抗83の抵抗値と抵抗84の抵抗値とが決定される。
【0065】
スイッチ素子81のドレインは、ダイオード41のカソードとダイオード42のカソードと抵抗83の一端とに接続される。スイッチ素子81のソースは、電源20の高電位側出力端子21と負荷23の一端とキャパシタ50の一端と抵抗84の一端とに接続される。スイッチ素子81のゲートは、抵抗83の他端と抵抗84の他端とに接続される。
【0066】
ブリッジ回路30の状態が第1の状態から第2の状態に変化するときに、キャパシタ200に蓄電されていた電荷はダイオード41と降圧回路80とを介してキャパシタ50に供給される。また、ブリッジ回路30の状態が第2の状態から第1の状態に変化するときに、キャパシタ200に蓄電されていた電荷はダイオード42と降圧回路80とを介してキャパシタ50に供給される。降圧回路80を介して、電源20、負荷23、キャパシタ50等に印加される電圧は、降圧後の電圧である。従って、電源20、負荷23、キャパシタ50等に定格電圧を超える電圧が印加されることが抑制される。
【0067】
本実施の形態では、ダイオード41とダイオード42とが降圧回路を介してキャパシタ50に接続される。従って、本実施の形態によれば、容量性負荷の駆動に用いる電源10の電源電圧と他の負荷23の駆動に用いる電源20の電源電圧とが異なる場合においても、容量性負荷に蓄積された電気エネルギーが電源20により適切に利用可能である。
【0068】
(実施の形態3)
実施の形態1,2では、容量性負荷を駆動するための電源電圧であるV1を生成する電源10と、他の負荷23を駆動するための電源電圧であるV2を生成する電源20とが用意される例について説明した。本実施の形態では、図13を参照して、容量性負荷を駆動するための電源電圧であるV1と他の負荷23を駆動するための電源電圧であるV2とが1つの電源300から生成される例について説明する。なお、実施の形態1,2と同様の構成及び処理については、説明を省略又は簡略化する。
【0069】
電源300は、直流電力を供給する電源である。電源300は、容量性負荷と他の負荷23とを駆動するための電力を供給する。電源300の電源電圧であるV3は、電源10の電源電圧であるV1と電源20の電源電圧であるV2とよりも高い電圧である。本実施の形態では、V3は20Vである。電源300は、高電位側出力端子331と低電位側出力端子332との間にV3を出力する。なお、低電位側出力端子332は、接地され、0Vに設定される。電源300は、第3の電源の一例である。
【0070】
電圧変換回路310は、電源300とブリッジ回路30との間に接続され、電源300の電源電圧であるV3を第1の電源電圧であるV1に変換する。電圧変換回路310は、スイッチ素子301と、定電圧ダイオード303と、抵抗304と、抵抗305と、抵抗306と、抵抗307と、キャパシタ308とを備える。電圧変換回路310は、高電位側出力端子331と低電位側出力端子332との間に印加されたV3の電源電圧からV1の電源電圧を生成し、生成したV1の電源電圧を高電位側出力端子11と低電位側出力端子12との間に出力する。電圧変換回路310は、第1の電圧変換回路の一例である。
【0071】
電圧変換回路320は、電源300の電源電圧であるV3を第2の電源電圧であるV2に変換する。電圧変換回路320は、スイッチ素子302と、定電圧ダイオード303と、抵抗304と、抵抗305と、抵抗306と、抵抗307と、キャパシタ308とを備える。電圧変換回路320は、高電位側出力端子331と低電位側出力端子332との間に印加されたV3の電源電圧からV2の電源電圧を生成し、生成したV2の電源電圧を高電位側出力端子21と低電位側出力端子22との間に出力する。電圧変換回路320は、第2の電圧変換回路の一例である。
【0072】
なお、電圧変換回路310と電圧変換回路320が備える構成要素のうちスイッチ素子301及びスイッチ素子302を除く構成要素は共用される。スイッチ素子301とスイッチ素子302とは独立に制御可能であり、第1の電源電圧であるV1と第2の電源電圧であるV2とは独立に制御可能である。スイッチ素子301とスイッチ素子302とは、例えば、NPN(Negative Positive Negative)型トランジスタである。スイッチ素子301とスイッチ素子302とは、特性が揃った同一パッケージ品であることが好適である。なお、スイッチ素子301とスイッチ素子302とに代えて、マルチエミッタトランジスタが採用されてもよい。
【0073】
本実施の形態では、ブリッジ回路30は、電圧変換回路310から供給される電力を容量性負荷であるキャパシタ200に供給する。また、蓄電素子であるキャパシタ50は、電圧変換回路320と電圧変換回路320から電力の供給を受ける負荷23とに対して並列に接続される。つまり、本実施の形態に係る駆動回路は、図1に示す駆動回路100において、電源10を電圧変換回路310と電源300とに置換し、電源20を電圧変換回路320と電源300とに置換した回路である。
【0074】
本実施の形態では、容量性負荷を駆動するための電源電圧であるV1と他の負荷23を駆動するための電源電圧であるV2とが1つの電源300から生成される。従って、本実施の形態によれば、1つの電源300を用いて容量性負荷と他の負荷23とを駆動しつつ、容量性負荷に蓄積された電気エネルギー他の負荷23の駆動に利用することができる。
【0075】
(実施の形態4)
実施の形態1では、ブリッジ回路30の状態を第1の状態から第2の状態に切り替えるときにスイッチ素子33をONした後にスイッチ素子31をOFFし、ブリッジ回路30の状態を第2の状態から第1の状態に切り替えるときにスイッチ素子31をONした後にスイッチ素子33をOFFする例について説明した。各スイッチ素子を切り替えるタイミングはこの例に限定されない。本実施の形態では、ブリッジ回路30の状態を第1の状態から第2の状態に切り替えるときにスイッチ素子33をONする前にスイッチ素子31をOFFし、ブリッジ回路30の状態を第2の状態から第1の状態に切り替えるときにスイッチ素子31をONする前にスイッチ素子33をOFFする例について説明する。なお、実施の形態1-3と同様の構成及び処理については、説明を省略又は簡略化する。
【0076】
以下、図14図15とを参照して、制御回路60による各スイッチ素子の切替順序について説明する。図14に、本実施の形態に係るスイッチ切替順序を示す。図14に示すように、本実施の形態では、T1の期間とT2の期間とT3の期間とT4の期間とT5の期間とT6の期間とT7の期間とT8の期間とが順に繰り返して到来するように、各スイッチ素子の状態が切り替えられる。
【0077】
T1の期間は、スイッチ素子31とスイッチ素子34とがONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とがOFFしている期間である。T2の期間は、スイッチ素子31がONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T3の期間は、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T4の期間は、スイッチ素子33がONし、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。
【0078】
T5の期間は、スイッチ素子32とスイッチ素子33とがONし、スイッチ素子31とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T6の期間は、スイッチ素子33がONし、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T7の期間は、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。T8の期間は、スイッチ素子31がONし、スイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とがOFFしている期間である。
【0079】
図15に、本実施の形態に係る駆動回路100の各部の信号の時間変化を示すタイミングチャートを示す。図15(A)に、スイッチ素子31のゲート電圧であるVG1の時間変化を示す電圧波形を示す。図15(B)に、スイッチ素子32のゲート電圧であるVG2の時間変化を示す電圧波形を示す。図15(C)に、スイッチ素子33のゲート電圧であるVG3の時間変化を示す電圧波形を示す。図15(D)に、スイッチ素子34のゲート電圧であるVG4の時間変化を示す電圧波形を示す。図15(E)に、キャパシタ200からキャパシタ50に流れる電流であるI1の時間変化を示す電流波形を示す。図15(F)に、電源20が出力する電流であるI2の時間変化を示す電流波形を示す。
【0080】
制御回路60は、t1までは、スイッチ素子31がONするゲート駆動信号をスイッチ素子31のゲートに供給し、スイッチ素子32がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子32のゲートに供給し、スイッチ素子33がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子33のゲートに供給し、スイッチ素子34がONするゲート駆動信号をスイッチ素子34のゲートに供給する。
【0081】
まず、制御回路60は、t1において、スイッチ素子34がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子34のゲートに供給する。次に、制御回路60は、t2において、スイッチ素子31がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子31のゲートに供給する。制御回路60は、t3において、スイッチ素子33がONするゲート駆動信号をスイッチ素子33のゲートに供給する。t3において、キャパシタ200に蓄積されていた電荷がキャパシタ50に移動し、I1が急激に増加する。また、t3以降、キャパシタ50から負荷23に電荷が供給されることで、電源20から負荷23供給される電荷が減少し、I2が減少する。
【0082】
制御回路60は、t4において、スイッチ素子32がONするゲート駆動信号をスイッチ素子32のゲートに供給する。t4以降、キャパシタ200からキャパシタ50への電荷の移動がなくなり、I1がほぼ0になる。また、t4以降、キャパシタ50から負荷23に供給される電荷が減少するため、電源20から負荷23供給される電荷が増加し、I2が増加する。
【0083】
制御回路60は、t5において、スイッチ素子32がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子32のゲートに供給する。制御回路60は、t6において、スイッチ素子33がOFFするゲート駆動信号をスイッチ素子33のゲートに供給する。次に、制御回路60は、t7において、スイッチ素子31がONするゲート駆動信号をスイッチ素子31のゲートに供給する。t7において、キャパシタ200に蓄積されていた電荷がキャパシタ50に移動し、I1が急激に増加する。また、t7以降、キャパシタ50から負荷23に電荷が供給されることで、電源20から負荷23供給される電荷が減少し、I2が減少する。
【0084】
制御回路60は、t8において、スイッチ素子34がONするゲート駆動信号をスイッチ素子34のゲートに供給する。t8以降、キャパシタ200からキャパシタ50への電荷の移動がなくなり、I1がほぼ0になる。また、t8以降、キャパシタ50から負荷23に供給される電荷が減少するため、電源20から負荷23供給される電荷が増加し、I2が増加する。以後、制御回路60は、t1からt8までにおいて実行したスイッチ制御を繰り返す。
【0085】
本実施の形態においても、ブリッジ回路30の状態を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるときに、スイッチ素子31とスイッチ素子32とスイッチ素子33とスイッチ素子34とが、同時に切り替えられるのではなく、適切な順序で切り替える。従って、本実施の形態によれば、ブリッジ回路30の状態が切り替わるときに、キャパシタ200に蓄えられた電荷を適切にキャパシタ50に移動させることができる。
【0086】
(実施の形態5)
実施の形態1では、各スイッチ素子がMOSFETである例について説明した。各スイッチ素子として、導通状態を制御可能な種々の素子を使用することができる。本実施の形態では、各スイッチ素子がバイポーラトランジスタである例について説明する。なお、実施の形態1-4と同様の構成及び処理については、説明を省略又は簡略化する。
【0087】
以下、図16を参照して、本実施の形態に係る駆動回路120の構成を説明する。駆動回路120は、ブリッジ回路30に代えてブリッジ回路90を備える点と、ダイオード71とダイオード72とを備えていない点とが、駆動回路100と異なる。
【0088】
ブリッジ回路90は、電源10から供給される電力をキャパシタ200に供給する。ブリッジ回路90は、スイッチ素子91とスイッチ素子92とスイッチ素子93とスイッチ素子94とを備え、容量性負荷であるキャパシタ200に相互に極性が異なる第1の電圧と第2の電圧とを交互に印加する回路である。ブリッジ回路90は、制御回路60により制御される。本実施の形態では、スイッチ素子91とスイッチ素子92とスイッチ素子93とスイッチ素子94とは、NPN型トランジスタである。スイッチ素子91とスイッチ素子92とスイッチ素子93とスイッチ素子94とは、制御回路60から供給されるゲート駆動信号により制御される。
【0089】
スイッチ素子91は、電源10の高電位側出力端子11とキャパシタ200の一端との間に接続される。スイッチ素子92は、電源10の低電位側出力端子12とキャパシタ200の一端との間に接続される。スイッチ素子93は、電源10の高電位側出力端子11とキャパシタ200の他端との間に接続される。スイッチ素子94は、電源10の低電位側出力端子12とキャパシタ200の他端との間に接続される。スイッチ素子91は、第1のスイッチ素子の一例である。スイッチ素子92は、第2のスイッチ素子の一例である。スイッチ素子93は、第3のスイッチ素子の一例である。スイッチ素子94は、第4のスイッチ素子の一例である。
【0090】
制御回路60は、キャパシタ200に第1の電圧と第2の電圧とが印加されるようにブリッジ回路90を制御する。制御回路60は、スイッチ素子91とスイッチ素子92とスイッチ素子93とスイッチ素子94とのそれぞれにゲート駆動信号を供給することにより、ブリッジ回路90を制御する。
【0091】
本実施の形態では、各スイッチ素子は、NPN型トランジスタである。従って、ベース電圧がエミッタ電圧よりもベース-エミッタ間飽和電圧程度高いときにスイッチ素子がONする。例えば、制御回路60は、スイッチ素子91をONする場合、スイッチ素子91のベースに、スイッチ素子91のエミッタ電圧よりもベース-エミッタ間飽和電圧程度高い電圧のゲート駆動信号を供給する。また、制御回路60は、スイッチ素子92をONする場合、スイッチ素子92のベースに、スイッチ素子92のエミッタ電圧である0Vよりもベース-エミッタ間飽和電圧程度高い電圧のゲート駆動信号を供給する。
【0092】
なお、本実施の形態では、スイッチ素子91に寄生ダイオード35が形成されず、スイッチ素子93に寄生ダイオード37が形成されない。従って、ダイオード71とダイオード72とは不要である。
【0093】
本実施の形態においても、ブリッジ回路90の状態を第1の状態と第2の状態との間で切り替えるときに、スイッチ素子91とスイッチ素子92とスイッチ素子93とスイッチ素子94とが、同時に切り替えられるのではなく、適切な順序で切り替える。従って、本実施の形態によれば、ブリッジ回路90の状態が切り替わるときに、キャパシタ200に蓄えられた電荷を適切にキャパシタ50に移動させることができる。
【0094】
(変形例)
以上、本開示の実施の形態を説明したが、本開示を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。本開示において、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本開示において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施の形態は、適宜、自由に組み合わせることができる。また、上記実施の形態で説明した構成要素の個数は、適宜、調整することができる。また、本開示において採用可能な素材、サイズ、電気的特性等が、上記実施の形態において示したものに限定されないことは勿論である。
【0095】
実施の形態1では、負荷23に電力を供給する電源20が蓄電機能を有しない電源である例について説明した。電源20は、蓄電機能を有する電源である蓄電池であってもよい。電源20が蓄電池である場合、電源20がキャパシタ50の機能を兼用可能であるため、駆動回路100にキャパシタ50が設けられていなくてもよい。この場合、キャパシタ200が放出した電荷の一部が負荷23により消費され、キャパシタ200が放出した電荷の残部が電源20に蓄積される。
【0096】
実施の形態1では、駆動回路100が電源10と電源20と負荷23とを備える例について説明した。駆動回路100が電源10と電源20と負荷23とを備えず、駆動回路100の外部に電源10と電源20と負荷23とが設けられていてもよい。
【0097】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0098】
10,20,300 電源
11,21,331 高電位側出力端子
12,22,332 低電位側出力端子
23 負荷
30,90 ブリッジ回路
31,32,33,34,81,91,92,93,94,301,302 スイッチ素子
35,36,37,38,82 寄生ダイオード
41,42,71,72 ダイオード
50,200,308 キャパシタ
60 制御回路
80 降圧回路
83,84,304,305,306,307 抵抗
100,110,120 駆動回路
303 定電圧ダイオード
310,320 電圧変換回路
図1
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