(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】炎症パターンの変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる結腸障害の治療及び予防における補助剤としての結腸放出栄養補助食品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20250311BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20250311BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20250311BHJP
A61K 36/9066 20060101ALI20250311BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20250311BHJP
A61K 36/324 20060101ALI20250311BHJP
A61K 36/67 20060101ALI20250311BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20250311BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250311BHJP
A61K 31/121 20060101ALI20250311BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250311BHJP
A61K 31/37 20060101ALI20250311BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20250311BHJP
A61K 31/4525 20060101ALI20250311BHJP
A61K 35/741 20150101ALI20250311BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20250311BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20250311BHJP
A61K 9/34 20060101ALI20250311BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20250311BHJP
A61K 125/00 20060101ALN20250311BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20250311BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L33/135
A61K47/36
A61K47/34
A61K36/9066
A61K36/185
A61K36/324
A61K36/67
A61P1/04
A61P1/00
A61K31/121
A61P43/00 121
A61K31/37
A61K31/19
A61K31/4525
A61K35/741
A61K31/404
A61K47/44
A61K9/34
A61K9/20
A61K125:00
A61K131:00
(21)【出願番号】P 2021572321
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 IB2020055271
(87)【国際公開番号】W WO2020245760
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】102019000008265
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520129539
【氏名又は名称】クリスタルファルマ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】デル・ボノ,マリア・クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ボノモ,フランチェスコ
【審査官】藤井 美穂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/171270(WO,A1)
【文献】特表2016-540026(JP,A)
【文献】In vitro Anti-inflammatory and Protective Effects of ibidi on Intestinal Epithelial Cells,European Journal of Medicinal Plants,2014年,4(9),pp. 1022-1035
【文献】CRISTARFARMA, IBDI[online],2017年,<URL: https://web.archive.org/web/20170811181004/https://www.cristalfarma.it/it/prod otti/ibidi.html>, WEBアーカイブ使用,[検索日:2024/6/24]
【文献】Seth Amidon et al.,Colon-Targeted Oral Drug Delivery Systems: Design Trends and Approaches,AAPS PharmSciTech,2015年,Vol. 16, No. 4,pp. 731-741
【文献】M. Purushothaman et al.,Formulation and Evaluation of Colon Targeted Drug Deliv ery System of Flurbiprofen using HPMC and K4M Sodium Alginate as Polymeric Carrier,International Journal of ChemTech Research,2017年,Vol.10, No.10,pp. 156-168
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/40 - 5/49
A23L 31/00 - 33/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸放出される経口錠剤であって、活性成分として、ターメリック、ザクロ及びボスウェリアの乾燥エキスを含み、前記放出は、前記活性成分が分散されている関係マトリックス中にアルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルメチルセルロースの組合せが存在することによって保証
され、前記アルギン酸ナトリウムと前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、前記マトリックス中に、1:25~1:10を含む重量比で存在する、経口錠剤。
【請求項2】
黒胡椒の乾燥エキスを含有する、
請求項1に記載の経口錠剤。
【請求項3】
乾燥ターメリックエキスがウコン(Curcuma longa L)の根茎に由来し、クルクミン及びクルクミノイドの最小力価90%
を有し、乾燥ザクロエキスがザクロ(Punica granatum L.)の果実に由来し、エラグ酸の最小力価20%
を有し、そして乾燥ボスウェリアエキスがボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata Roxb.)のガム樹脂に由来し、ボスウェリア酸の最小力価30%
を有する、請求項1~
2のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【請求項4】
黒胡椒がコショウ(Piper nigrum L.)植物の果実に由来し、ピペリンの最小力価80%
を有する、請求項
2又は3に記載の経口錠剤。
【請求項5】
ターメリックが錠剤の全重量に対して重量で80~150mgを含む量
で含有され、ボスウェリアが150~300mgを含む量
で含有され、乾燥ザクロエキスが錠剤の全重量に対して重量で200~350mg
の量で含有される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【請求項6】
錠剤の全重量に対して重量で1~5mg
を含む量の黒胡椒を含有する、請求項
2~5に記載の経口錠剤。
【請求項7】
プロバイオティクスを含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【請求項8】
インドール、及びプロピオン酸、酪酸及びギ酸から選ばれる短鎖脂肪酸(SCFA)から選ばれるポストバイオティクスを含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【請求項9】
セラックを含む又はセラックからなる胃耐性コーティングを含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【請求項10】
栄養補助食品の形態の、請求項1~
9のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【請求項11】
炎症状況の変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる結腸障害の治療における補助剤として使用するための、請求項1~
10のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【請求項12】
炎症状況の変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる前記結腸障害が、分類不能大腸炎、コラーゲン(蓄積)大腸炎、薬物性大腸炎、及び非特異的大腸炎から選ばれる大腸炎、症候性単純性憩室症SUDD、憩室炎、憩室症を合併する
SCAD区域性大腸炎の中から選ばれる憩室疾患、潰瘍性直腸結腸炎RCU、クローン病から選ばれる炎症性腸疾患から選ばれる、請求項
11に記載の経口錠剤。
【請求項13】
前記錠剤が1日2回投与される、請求項
11又は
12のいずれか1項に記載の経口錠剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症パターンの変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる結腸障害の治療及び予防における補助剤(コアジュバント)としての経口錠剤、特に結腸放出栄養補助食品(フードサプリメント)の形態の経口錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
Treccani百科事典の記述によれば、医学分野における炎症は、高等動物の身体組織が異なる性質の有害因子と接触した場合に関与する複雑な反応事象である1。この過程(プロセス)の最もよくある結末は有害因子の中和又はそれから生ずる病変の封じ込めである。炎症の原因は、たとえ一部の炎症性疾患がまだ特定の病原因子の同定に関して研究中であったとしても、物理的、化学的及び生物的性質のものでありうる。炎症反応は血管事象及び細胞事象によって決定される。炎症の臨床事象は太古の昔から知られている。それは、発熱(calor)、発赤(rubor)、腫脹(tumor)、疼痛(dolor)及び機能障害(functio laesa)である。それらは、この順に、炎症に関連する明白な事象に対応している。すなわち、血管が拡張して見え、局所循環が増加(充血:rubor、calor);血漿(血漿滲出)、一部の形成された血液成分(顆粒球、リンパ球、形質細胞が代表的、例外的に赤血球)、そこからの流出(漏出)、これに組織に直接由来する細胞成分が加わる結果(組織原性反応)、炎症部分の腫脹(tumor)がもたらされる1。後者は深く痛み(dolor)、機能的に障害される(functio laesa)。血管及び細胞が炎症性刺激に応答する程度に基づいて、主に2種類の炎症に分類することができる。すなわち、血管事象が細胞事象に勝る急性炎症(滲出性炎症(exudation phlogosis))、及び細胞事象が血管事象に勝る慢性炎症(増殖性炎症(productive phlogosis))である。炎症は、あらゆる人体組織に発生し、結果的にすべての臓器(organ)及び器官(apparatus)に影響を及ぼす。
【0003】
炎症過程が腸粘膜に影響を及ぼすと、我々は極めて様々な範囲の臨床疾患を観察することができる(症状がほとんどない軽度の形態のこともある)。確定された炎症/超免疫又はその疑いが患者の患う疾患や障害の病巣である疾患の中に、我々は、制限ではなく例示を目的として、様々な形態の大腸炎(分類不能大腸炎、コラーゲン(蓄積)大腸炎、薬物性大腸炎、非特異的大腸炎…)、一部のサブクラスの憩室疾患(症候性単純性憩室疾患SUDD、憩室炎、憩室症を合併する区域性大腸炎SCAD、過敏性結腸症候群IBS…)から、より重症で消耗性の炎症性腸疾患IBD(潰瘍性直腸結腸炎RCU、クローン病)までを含めることができる。腸炎の発病に主要な役割を果たしていると考えられ、着目に値する病因因子は、腸内微生物叢(腸内細菌叢、腸内フローラ)である2。これをより良く説明するために、微生物叢は科学界では胃腸系の真の≪保護器官≫と考えられていることに注意せねばならない2。この点において、微生物叢は、他の機能の中でも特に、腸の局所免疫系を調節できる結果、粘膜を冒しうるすべての炎症過程を制御できるということがしばしば指摘されている。腸内微生物叢が腸内免疫系の正しい機能を保証するために実行する機序は、変動的であり、より多くの因子の調整を含む2。腸内微生物叢がその機能的完全性を失った場合、適応免疫系の異常な活性化が起こる。それは、ヘルパーT細胞系の一部のリンパ球種(Th1、Th2、Th17)、NF-kB因子の脱調節、白血球の高活性化、及び酸化的損傷の増加が関与するものである3-5。Th1及びTh17系の活性化は、IL-1、IL-6、IL-8、IL-2、IL-17、TNFアルファ及びIFN-yの増加を招く。これらは炎症性サイトカインとして知られ、炎症を活性化及び支持するほか、マクロファージ及びAPC(抗原提示細胞)と相互作用して、その活性とサイトカイン産生を増幅する3-5。Th2系の活性化は、サイトカインIL-5、IL-13の増加を決定する。IL-5はナチュラルキラー(細胞)を活性化するシグナルでもある。腸への白血球の浸潤は、制御下になければ、粘膜の炎症を支持及び増幅する。白血球は実際、様々な白血球によって産生されたサイトカイン及びケモカインに誘引され、炎症組織に到達すると、構造的損傷を増加させる5,6。腸の炎症を決定するために一般的に測定される炎症マーカーは、便中カルプロテクチンである。
【0004】
カルプロテクチンはS100ファミリーに属するタンパク質で、好中性顆粒球に大量に含有され、総タンパク質の5%及び細胞質タンパク質の60%を占めている。カルプロテクチンは、活性化された単球及びマクロファージにも少量見出されている。炎症過程の存在下で、カルプロテクチンは好中性顆粒球の肉芽形成後に放出される。腸の炎症の場合、カルプロテクチンは糞便中に検出できる。観察される他の血液化学的パラメーターは、便中カルプロテクチンほど特異的ではないが、ESR及びCRPである。薬理学的観点から言うと、文献レビューでは、腸の慢性炎症の治療に使用される多くの分子は、その効率を最適化しつつ、同時にこれらの薬物の典型的な副作用の可能性を低減することを目的として、制御放出技術と関連付けられていることが強調されている。2015年に、World Journal of Gastrointestinal Pharmacology and Therapeutics(Bei Yeら,潰瘍性大腸炎の治療のためのメサラジン製剤:すべて等しく創られているか?(Mesalazine preparations for the treatment of ulcerative colitis:Are all created equal?) World J Gastrointest Pharmacol Ther.2015 Nov 6;6(4):137-144.)は、文献に見られる様々なメサラジン系製剤間の相違を評価し、分析された製剤すべてが放出調節技術を用いて提供されているという事実を強調するレビューを発表した。このことは、そのようなタイプの放出に対する科学的関心を物語っている。以下の表にレビューで検討された製剤を報告する。
【0005】
【0006】
このタイプの本質的に薬理学的な療法は、例えばステロイド薬のような、広範囲の望ましくない副作用を有する薬物の使用に関連する重大な欠点を有している。
上記のものは伝統医学によって提唱されている薬理学的療法のごく一部に過ぎないが、そのほかにCAM療法(補完代替医療)も、炎症性疾患(問題の臓器が腸の場合でも)の治療を支持する療法として盛んに研究されている。これに関連して、結腸放出技術(それが植物(植物エキス)に適用される場合でも)に対する科学的関心を報告する文献証拠がある。2012年、Journal of Pharmacy Research(M.K.Modasiyaら/Journal of Pharmacy Research 2012,5(4),2253-2258)は、クルクミンに適用された一部の特定技術に関するデータを公表した。市場にはIBIDI(登録商標)の商品名の経口製剤が、炎症パターンの変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる結腸障害の治療における疾患補助剤として存在し、活性成分(有効成分)として少なくとも3種類の植物(ボスウェリア(Boswellia)、ターメリック(Turmeric)及びザクロ(Punica granatum))が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース系マトリックス中に分散されて含まれている。
【0007】
実際、クルクミンは、ウコン(Curcuma longa)に含有される活性成分である。クルクミンは、IFN-y、TNFアルファ、IL-1ベータ及びIL-12のようないくつかのサイトカインの発現を阻害して炎症過程を調節する。クルクミン自体は、NF-kB因子の活性化の阻害、PPAR-y遺伝子の活性化、COX2の放出の阻害、及び最後にIBD患者で高いことで有名なNOレベルの低下に有効であることが明らかにされている7-11。2013年に実施された研究で、クルクミンと抗生物質との間の相乗効果及びクルクミンの黄色ブドウ球菌耐性株に対する抗菌効果が調査された。ターメリックが10種の黄色ブドウ球菌耐性株に関して示した顕著な活性のほか、ターメリックは、オキサシリン(OXI)、アンピシリン(AMP)、シプロフロキサシン(CIP)、及びノルフロキサシン(NOR)に関して抗生物質のMICの減少を保証し、相乗効果を裏付けた12,13。
【0008】
ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata):ボスウェリアは、サイトカイン放出を調節し、NF-kB因子の活性化を阻害し、そして主にそのボスウェリア酸AKBAのために白血球活性を低減し、(白血球の)ローリングと内皮細胞接着を阻害する14,15。インビトロ研究で、ボスウェリア酸(AKBA、KBA、BA)の112の細菌種に対する抗微生物能が分析された。胃腸管の内部に一般的に存在する病原性種が考慮された。すなわち、E.フェカーリス(E. fecalis)、E.フェシウム(E. faecium)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)など。これらの種について得られたMICから、抗微生物作用に関して最も活性なボスウェリア酸は11-ケト-ベータ-ボスウェリア酸(AKBA)で、E.フェカーリス->平均MIC 6μg/ml;E.フェシウム->平均MIC 6μg/ml;黄色ブドウ球菌->平均MIC 2μg/mlであることが示された16。
【0009】
ザクロは、微生物叢を支持する腸内細菌の選択的増殖を促進する。プレバイオティック作用と共に、ザクロエキスは微生物叢に、SCFA(短鎖脂肪酸)、中でも有益な酪酸を産生させ、また内因性抗炎症薬として知られるウロリチンの放出を促進させる17。
【0010】
このタイプの製剤が、薬物治療だけを提供する従来治療を支持する良好な療法であるとしても、いくつかの欠点を有する。それは、活性成分の一部が難溶性である及び/又は胃でほぼ完全に分解されるということ、さらに、それらが炎症過程が起きている結腸で十分な量放出されるかどうか定かでないということである。
【0011】
“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,第6版,2009,Pharmaceutical Press,XP055514625,622-624ページには、アルギネートの特性が記載され、活性成分の放出を緩徐化するために、それをマトリックスに使用できることが報告されている。
【0012】
“Handbook of Pharmaceutical Excipients” ,2009年2月20日(2009-02-20),Pharmaceutical Press,XP055325597,ISBN:978-0-85369-792-3,326-329ページには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースについての同様の制御放出特性が記載されている。
【0013】
WO2015/087259 A1には、ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなるマトリックス中に分散されたクルクミンを含有する錠剤、腸の炎症性疾患の治療に有効であるためには常に胃耐性フィルムでコーティングされねばならない錠剤が開示されている。
【0014】
JOANA TORRESら:“炎症性腸疾患における補完医療と心理療法に関する欧州クローン病・大腸炎会議のトピックレビュー(European Crohn's and Colitis Organisation Topical Review on Complementary Medicine and Psychotherapy in lnflammatory Bowel Disease)”,JOURNAL OF CROHN’S AND COLITIS,vol.13,no.6,March 2019(2019-03),673-685ページには、腸の炎症性疾患を治療するためのいくつかの植物エキスの使用が示されている。表1に、ターメリック、ボスウェリア及びザクロを含む多数の植物エキスが掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】国際特許出願公開第2015/087259 A1号
【非特許文献】
【0016】
【文献】Bei Yeら,World J Gastrointest Pharmacol Ther.2015 Nov 6;6(4):137-144
【文献】M.K.Modasiyaら/Journal of Pharmacy Research 2012,5(4),2253-2258
【文献】“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,第6版,2009,Pharmaceutical Press,XP055514625,622-624ページ
【文献】“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,2009年2月20日(2009-02-20),Pharmaceutical Press,XP055325597,ISBN:978-0-85369-792-3,326-329ページ
【文献】JOANA TORRESら,JOURNAL OF CROHN’S AND COLITIS,vol.13,no.6,March 2019(2019-03),673-685ページ
【発明の概要】
【0017】
出願人は、今回、本発明の錠剤対象によって背景技術の錠剤の問題を克服できることを見出した。それは、以下にさらによく開示されているように、市販のIBIDI(登録商標)製剤よりも胃耐性が高い。
【0018】
そこで、本発明の目的は、活性成分(有効成分)として、ターメリック、ザクロ及びボスウェリアの乾燥エキスの混合物を含む結腸放出経口錠剤であり、前記放出は、前記活性成分が分散されている関係マトリックス中にアルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルメチルセルロースの組合せが存在することによって保証される。
【0019】
当該錠剤は、特に、炎症パターンの変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる結腸障害の治療及び予防における補助剤として使用される。
出願人は、実際、アルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルメチルセルロースが相乗的に作用して、一様な放出レオロジー特性を保証することを思いがけず見出した。それは再現可能で、担持されている活性成分の性質が親水性でも親油性でも又は両親媒性でも関係ない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例2に開示された試験の結果を報告する。IBIDI(登録商標)錠剤と本発明の製剤、特にその組成が実施例1に報告された錠剤に対してそれぞれ実施された分解試験の2、4及び5時間後の結果である。
【
図2】
図2は、代わって、実施例2に開示されたエラグ酸の溶出試験の結果を報告する。エラグ酸は、ザクロに含有される、ひいては本発明による製剤に含有される主成分である。図中、左側の線図は公知IBD製剤の溶出試験を報告し、右側の線図は本発明の製剤の放出を報告している。
【
図3】
図3は、実施例3に開示されたエクスビボ試験の結果を報告する。IBDをシミュレートする腸細胞のパターンに対し、本発明による錠剤、特にその組成が実施例1に報告された錠剤の有効性について実施されたエクスビボ試験の結果である。
【
図4A】
図4Aは、実施例4に開示された臨床試験の結果を報告する(便中カルプロテクチン)。従来療法に加えて本発明に従って1日2錠の錠剤を投与されたRCU患者群(A)に対して実施されたT1=3ヶ月時点及びT2=6ヶ月時点の臨床試験の結果を、同じ疾患を患い、従来療法のみを投与された患者群(C)と比較して報告している。
【
図4B】
図4Bは、実施例4に開示された臨床試験の結果を報告する(SIBDQ問診票)。従来療法に加えて本発明に従って1日2錠の錠剤を投与されたRCU患者群(A)に対して実施されたT1=3ヶ月時点及びT2=6ヶ月時点の臨床試験の結果を、同じ疾患を患い、従来療法のみを投与された患者群(C)と比較して報告している。
【
図4C】
図4Cは、実施例4に開示された臨床試験の結果を報告する(MPSスコア)。従来療法に加えて本発明に従って1日2錠の錠剤を投与されたRCU患者群(A)に対して実施されたT1=3ヶ月時点及びT2=6ヶ月時点の臨床試験の結果を、同じ疾患を患い、従来療法のみを投与された患者群(C)と比較して報告している。
【
図4D】
図4Dは、実施例4に開示された臨床試験の結果を報告する(VASスケール)。従来療法に加えて本発明に従って1日2錠の錠剤を投与されたRCU患者群(A)に対して実施されたT1=3ヶ月時点及びT2=6ヶ月時点の臨床試験の結果を、同じ疾患を患い、従来療法のみを投与された患者群(C)と比較して報告している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好ましくは、アルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1:25~1:10、さらに好ましくは1:20~1:15を含む比率で存在する。特に好適な態様によれば、前記比率は1:19である。
【0022】
好ましくは、結腸放出を促進するために、本発明の錠剤対象は黒胡椒の乾燥エキスも含有する。実際、コショウ(Piper nigrum L.)植物の果実由来の黒胡椒は、例えばボスウェリア酸のような容易に溶けない物質の腸内取込みを促進する(http://www.cosmofarma.com/wpcontent/uploads/2017/06/www.cosmofarma.com/Fratter_2.pdf)。
【0023】
活性物質と炎症腸上皮との間の接触面の増加を保証するために、製品は、胃環境を通過して最初の腸管に入る間その完全性を保護して機能性成分の結腸放出を確保する賦形剤と共に製剤化された。そのような要件に従うために、錠剤は好ましくは胃耐性コーティングを備える。これはフィルム中にセラックが存在することによって確保される。発明の概要で強調されているように、最初の腸管を通過する間の錠剤の完全性は、コアにアルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルメチルセルロースが存在することによって促進される。これらの成分は、分解時間を延長することによって腸の遠位部分での活性成分の大部分の放出を容易にする。腸分泌物中に放出されると、活性成分の迅速な溶解と水分散(hydro-dispersion)をもたらす(ボスウェリア酸の塩化)\及び(アルカリ性環境に対する応答としてクルクミノイド画分の水分散)。
【0024】
好ましくは、本発明の経口錠剤対象において、ターメリックの乾燥エキスはウコン(Curcuma longa L)の根茎に由来し、クルクミン及びクルクミノイドの最小力価90%、好ましくは95%を有する。
【0025】
別の好適な態様によれば、ザクロの乾燥エキスはザクロ(Punica granatum L.)の果実に由来し、エラグ酸の最小力価20%、好ましくは40%を有する。
更なる好適な態様によれば、ボスウェリアの乾燥エキスはボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata Roxb.)のガム樹脂に由来し、ボスウェリア酸の最小力価30%、好ましくは65%を有する。
【0026】
最後に、更なる好適な態様によれば、おそらく存在する黒胡椒エキスはコショウ(Piper nigrum L.)植物の果実に由来し、ピペリンの最小力価80%、好ましくは95%を有する。
【0027】
好ましくは、本発明の経口錠剤対象は、ターメリックが錠剤の全重量に対して重量で80~150mgを含む量、さらに好ましくは100mgに等しい量で含有され、ボスウェリアが150~300mgを含む量、さらに好ましくは200mg含有され、乾燥ザクロエキスが錠剤の全重量に対して重量で200~350mg、さらに好ましくは250mgの量で含有される。
【0028】
上記のように、経口錠剤が黒胡椒を含有する場合、それは好ましくは錠剤の全重量に対して重量で1~5mgを含む量、さらに好ましくは2mg含有される。
本発明の錠剤対象は、おそらく、例えばラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)のようなプロバイオティクス、及び/又は短鎖脂肪酸(SCFA)や腸内微生物叢のその他の活性代謝産物を含むポストバイオティクスも含有できる。
【0029】
好ましくは、炎症パターンの変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる前記結腸障害は、好ましくは、分類不能大腸炎、コラーゲン(蓄積)大腸炎、薬物性大腸炎、及び非特異的大腸炎から選ばれる大腸炎、症候性単純性憩室症SUDD、憩室炎、憩室症を合併する区域性大腸炎SCADの中から選ばれる憩室疾患、潰瘍性直腸結腸炎RCU、クローン病、IBS(過敏性腸症候群)から選ばれる炎症性腸疾患から選ばれる。
【0030】
好ましくは、本発明による錠剤は栄養補助食品(フードサプリメント)のカテゴリーに含まれ、特に好適なソリューションに従って1日2回投与される。
前述の成分のほか、本発明の錠剤対象は、製薬技術で使用される従来の賦形剤も含有できる。それらは当該分野の専門家には周知である。
本発明の態様には、以下も含まれる。
態様1 結腸放出される経口錠剤であって、活性成分として、ターメリック、ザクロ及びボスウェリアの乾燥エキスを含み、前記放出は、前記活性成分が分散されている関係マトリックス中にアルギン酸ナトリウムとヒドロキシプロピルメチルセルロースの組合せが存在することによって保証される経口錠剤。
態様2 前記アルギン酸ナトリウムと前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、前記マトリックス中に、1:25~1:10、好ましくは1:20~1:15、さらに好ましくは1:19を含む重量比で存在する、態様1に記載の経口錠剤。
態様3 黒胡椒の乾燥エキスを含有する、態様1又は2のいずれかに記載の経口錠剤。
態様4 乾燥ターメリックエキスがウコン(Curcuma longa L)の根茎に由来し、クルクミン及びクルクミノイドの最小力価90%、好ましくは95%を有し、乾燥ザクロエキスがザクロ(Punica granatum L.)の果実に由来し、エラグ酸の最小力価20%、好ましくは40%を有し、そして乾燥ボスウェリアエキスがボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata Roxb.)のガム樹脂に由来し、ボスウェリア酸の最小力価30%、好ましくは65%を有する、態様1~3のいずれかに記載の経口錠剤。
態様5 黒胡椒がコショウ(Piper nigrum L.)植物の果実に由来し、ピペリンの最小力価80%、好ましくは95%を有する、態様3又は4に記載の経口錠剤。
態様6 ターメリックが錠剤の全重量に対して重量で80~150mgを含む量、さらに好ましくは100mgに等しい量で含有され、ボスウェリアが150~300mgを含む量、さらに好ましくは200mg含有され、乾燥ザクロエキスが錠剤の全重量に対して重量で200~350mg、さらに好ましくは250mgの量で含有される、態様1~5のいずれかに記載の経口錠剤。
態様7 錠剤の全重量に対して重量で1~5mg、さらに好ましくは2mgを含む量の黒胡椒を含有する、態様3~6に記載の経口錠剤。
態様8 プロバイオティクスを含む、態様1~7のいずれかに記載の経口錠剤。
態様9 インドール、及びプロピオン酸、酪酸及びギ酸から選ばれる短鎖脂肪酸(SCFA)から選ばれるポストバイオティクスを含む、態様1~8のいずれかに記載の経口錠剤。
態様10 セラックを含む又はセラックからなる胃耐性コーティングを含む、態様1~9のいずれかに記載の経口錠剤。
態様11 栄養補助食品の形態の、態様1~10のいずれかに記載の経口錠剤。
態様12 炎症状況の変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる結腸障害の治療における補助剤として使用するための、態様1~11のいずれかに記載の経口錠剤。
態様13 炎症状況の変化及び微生物叢の不安定化の疑い又は確定によって引き起こされる前記結腸障害が、分類不能大腸炎、コラーゲン(蓄積)大腸炎、薬物性大腸炎、及び非特異的大腸炎から選ばれる大腸炎、症候性単純性憩室症SUDD、憩室炎、憩室症を合併する区域性大腸炎SCADの中から選ばれる憩室疾患、潰瘍性直腸結腸炎RCU、クローン病から選ばれる炎症性腸疾患から選ばれる、態様12に記載の経口錠剤。
態様14 前記錠剤が1日2回投与される、態様12又は13のいずれかに記載の経口錠剤。
【0031】
下記実施例において、本発明の錠剤対象の組成、ならびに実験室試験及び臨床試験を、制限ではなく例示を目的として、以下に報告する。
【実施例】
【0032】
実施例1
本発明の錠剤対象の下記具体的例を以下に報告する。
【0033】
【0034】
実施例2-コーティングなしのIbidi錠剤とコーティングなしの実施例1で報告された処方による錠剤との間の比較評価
本発明による錠剤とIBIDI錠剤の性能を薬局方により参照として使用される2つの試験で評価する手法を提案する。
【0035】
提案された評価により、胃環境に対する本発明による製剤の抵抗性(分解試験)と、成分の一つであるザクロのエラグ酸の腸環境における放出時間を決定する。溶解時間は、腸通過時間に基づいて粉末放出部位を推定することを可能にするパラメーターとなる。
【0036】
分解試験
サンプルを薬局方に記載されている装置と運転条件を用いて分解アッセイで試験する。特に、胃抵抗性錠剤を認証(バリデート)するために提供されている条件及び制限を参照する(媒体:0.1NのHCl、2時間明確な変化なし;その後pH6.8のリン酸緩衝液中36~38℃の温度で60分以内に分解)。
【0037】
溶出試験
サンプルを薬局方に記載されている装置と運転条件を用いて溶出アッセイで試験した。半球形の底とブレード又はバスケットスタラーを備えた円筒容器を有する機器を用いた。
【0038】
溶出媒体:
・“酸サイクル”(750mlのHCl 0.1M、2時間)によって開始。その後“緩衝液サイクル”(250mlのNa3PO40.2M、45~60分間)を追加。
あるいは、下記を使用してもよい。
【0039】
・“酸サイクル”(1000mlのHCl 0.1M、2時間)。酸を除去して“緩衝液サイクル”(1000mlの緩衝液pH6.8、45~60分間)開始。
分解試験で実施された結果を
図1に報告する。写真では本発明による錠剤の胃抵抗効果が、酸液に入れて5時間後も錠剤は無傷のままである(原形を保っている)一方、HPMR技術を使用していない製剤は酸環境での最初の2時間後に既に溶解していることから、強調されている。
【0040】
溶出試験の結果を
図2に報告する。二つの錠剤(IBIDI錠剤と実施例1の錠剤)中に含有されているエラグ酸についてのみ実施された溶出試験の結果は、本発明による錠剤からの上記活性成分の放出は、公知IBIDI錠剤中に含有されているエラグ酸のはるかに速い放出プロフィールと比べた場合、緩徐放出概念に適合しているので結腸放出に適合することを浮き彫りにしている。
【0041】
実施例3-IBD(炎症性腸疾患)マウスのエクスビボ実験モデルにおける有効性評価
サンプルをマウスのエクスビボ実験モデルで試験した。培地中での本発明の錠剤の段階的濃度の存在の効果を定量的に評価し、結腸粘膜の慢性炎症の形態学的及び構造的変化に起因する酸化的ストレス及び炎症の特異的マーカーを決定した。
【0042】
考慮されるパラメーターは次の通りである。一酸化窒素合成酵素に対する効果及び脂質過酸化の安定マーカーとしてのチオバルビツール酸誘導体の定量、プロスタグランジンE2及びセロトニンのような炎症性サイトカインの活性に対する効果。
【0043】
当該試験の結果を
図2に報告する。
これらの結果から、本発明の錠剤対象は、
・腸内の誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)による一酸化窒素の産生増大による亜硝酸(nitrite)レベル、ニトロソ化ストレス指標の顕著な低下を決定することができる;
・LPS刺激マウス(炎症性刺激)の結腸中の5-HTレベルを低下できる;
・潰瘍性大腸炎において炎症性サイトカインとして主要な役割を演じるセロトニン及びPGE2の組織レベルを低下できる
ことが導き出される。
【0044】
実施例4-臨床試験
生活の質(sibdqによる)と、便中カルプロテクチン、臨床指標(Mayoパーシャルスコア)及び知覚される腹痛(VASスケール)を含む炎症指標をモニターすることにより、軽度-中等度の活動段階の潰瘍性直腸結腸炎に対する再燃療法(recrudescence therapy)を最適化することにおける、対照に対する本発明の錠剤の有効性を検証するための臨床試験が設計された。
【0045】
プロトコル:再燃治療のための療法を必要とする活動性RCU(標準的な基準で診断された)を患う20人の患者を募集した:
・10人の患者は再燃療法(デルタコルテン、ブデソニドMMX及び/又は経直腸)を受けた-C群(対照)
・10人の患者は再燃療法(デルタコルテン、ブデソニドMMX及び/又は経直腸)に加えて本発明の錠剤対象(その組成は実施例1に報告されている)を受けた-A群
【0046】
試験期間:6ヶ月間の治療とその後3ヶ月間の追跡
薬量学:本発明の錠剤対象で治療される患者群は、通常処方される療法に加えて、1日2錠摂取する。
臨床試験の評価(T0、T1及びT2時点)は、
・炎症パラメーター、例えば便中カルプロテクチンの評価
・疾患活動性に関するMayoパーシャルスコア(MPS)の評価
・腹痛VASスケールの評価
・便の堅さブリストルスケール(Bristol Stool Chart)の評価
・生活の質を評価するためのSIBDQ問診票の提出
を想定している。
【0047】
選択基準:
・年齢18~75歳
・再燃治療のためにステロイド療法を必要とする軽度-中等度の活動段階(MPS2~7)のRCUとの診断が臨床的に確認されている
【0048】
除外基準
・直腸のみのRCU(E1)
・以前に結腸切除を受けた患者
・免疫抑制剤又は生物学的製剤で治療されている又は再燃用の薬物を必要とする患者
・MPSスコアが<2又は>7の患者
【0049】
実施シート
・T0 募集時
Mayoパーシャルスコア、ブリストルスケール、疼痛VASスケール、炎症指標記録、患者の生活の質の状態(SIBDQ)による病状の臨床評価
・T1 3ヶ月時
Mayoパーシャルスコア、ブリストルスケール、疼痛VASスケール、炎症指標記録、患者の生活の質の状態(SIBDQ)による病状の臨床評価
・T2 6ヶ月時
Mayoパーシャルスコア、ブリストルスケール、疼痛VASスケール、炎症指標記録、患者の生活の質の状態(SIBDQ)による病状の臨床評価
図4A、4B、4C、4Dに、T1=3ヶ月時及びT2=6ヶ月時における最も重要な結果を報告する。
【0050】
図4Aでは、本発明による2錠の錠剤を想定されているA群は、対照群に対して炎症プロフィールが改善している(T0及びT1に対して減少)。ここでは便中カルプロテクチンの初期上昇が認められる。
【0051】
図4Bから分かるように、3ヶ月及び6ヶ月の治療期間内にA群の生活の質までも改善(向上)している。これに対し、C群は生活の質に何の改善も報告していない。
図4Cでは、MPS試験によって臨床的に観察される疾患の一般的状態が、A群内では患者を活動性RCUの基準(MPS試験2~7)から除外するほど改善(スコア低下)していることが分かる。2より高い数値が依然として活動性RCUを示していることが分かる対照群とは異なる。
【0052】
図4Dでは、VAS試験によって臨床的に観察される腹痛の知覚(VASスケール0~10)がA群では改善(スコア低下)していることが分かり、症状の悪化が明白な対照群とは異なる。
【0053】
参考文献一覧
【0054】
【0055】