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特許7648548メタ表面を使用する発光装置及びその発光方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】メタ表面を使用する発光装置及びその発光方法
(51)【国際特許分類】
   H10H 20/855 20250101AFI20250311BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20250311BHJP
   F21V 9/14 20060101ALI20250311BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20250311BHJP
   H02S 40/20 20140101ALI20250311BHJP
   H10H 20/856 20250101ALI20250311BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20250311BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20250311BHJP
【FI】
H10H20/855
F21S2/00 600
F21V9/14
F21V33/00 400
H02S40/20
H10H20/856
F21Y105:10
F21Y115:10
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021575973
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 CA2020050849
(87)【国際公開番号】W WO2020252585
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】62/862,853
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/961,317
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519339998
【氏名又は名称】10644137 カナダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パーレヴァニネザド,ハミド
(72)【発明者】
【氏名】モアヴェン,アリア
(72)【発明者】
【氏名】パーレバニネザッド,マジッド
(72)【発明者】
【氏名】シェルヴィッツ,サム
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-086765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0049781(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0064532(US,A1)
【文献】特表2008-503034(JP,A)
【文献】特開2016-187054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10H 20/00-20/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置であって、
光を発するための発光層と、
前記発光層に結合された光変換層であって、複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、前記発光層から発せられた前記光の1つ又は複数のパラメータを調整するためのメタ表面を含む、光変換層と、
を含み、
前記発光層は、複数の発光ユニットを含み、
前記複数の光変換ユニッは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、発光装置。
【請求項2】
前記発光層は、光を発するための1つ又は複数の発光ダイオード(LED)を含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光変換層は、複数のメタ表面を受け入れるための複数の受け部を備えるハウジングを備える、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の受け部の各々は、前記発光層から発せられた光を受け入れるための内側開口と、前記受け入れられた光を通過させるための外側開口とを有する、外方に広がる内面を含み、前記外側開口は、前記内側開口の面積よりも大きい面積を有する、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の受け部の各々の前記内面は、反射性である、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の受け部の各々の前記内面の断面は、放物面形状を有する、請求項4又は5に記載の発光装置。
【請求項7】
発光装置であって、
光を発するための発光層と、
複数の光変換ユニットを含む光変換層であって、各光変換ユニットは、メタ表面を含み、少なくとも1つのメタ表面は、所定の偏光状態を有する、前記発光層から発せられた前記光を、前記メタ表面を通して選択的に通過させるために偏光選択性である、光変換層と、
を備え、
前記発光層は、複数の発光ユニットを含み、
前記複数の光変換ユニッは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、発光装置。
【請求項8】
前記複数のメタ表面の各々は、非対称基部形状で配置された複数のナノスケール構造を含む、請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記発光層から発せられた前記光を偏光させるための、前記発光層と前記光変換層との間に挟まれた偏光制御層を更に含む、請求項7又は8に記載の発光装置。
【請求項10】
1つ又は複数の植物の生育を促進するためのグローライトである、請求項7又は9に記載の発光装置。
【請求項11】
1つ又は複数の植物の生育を促進するための発光装置であって、
光を発するための発光層と、
複数の光変換ユニットを含む少なくとも1つの光変換層であって、各光変換ユニットは、前記1つ又は複数の植物の照明構成を最適化するために、前記発光層から発せられた前記光の1つ又は複数のパラメータを調整するためのメタ表面を含む、少なくとも1つの光変換層と、
を含み、
前記発光層は、複数の発光ユニットを含み、
前記複数の光変換ユニッは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、発光装置。
【請求項12】
表示装置であって、
光を発するための発光層と、
複数の光変換ユニットを含む少なくとも1つの光変換層であって、各光変換ユニットは、1つ又は複数の画像を表示するために、前記発光層から発せられた前記光の1つ又は複数のパラメータを調整するためのメタ表面を含む、少なくとも1つの光変換層と、
を含み、
前記発光層は、複数の発光ユニットを含み、
前記複数の光変換ユニッは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、表示装置。
【請求項13】
発光装置であって、
光を発するための発光層と、
前記発光層から発せられた前記光を偏光させるための、前記発光層に結合された偏光制御層と、
前記偏光制御層に結合された少なくとも1つの光変換層であって、複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、少なくとも1つのメタ表面を含み、少なくとも1つのメタ表面は、異なる照明パターン又は画像間で切り替えるために、前記偏光制御層からの前記偏光された光を、前記メタ表面を通して選択的に通過させるために偏光選択性である、少なくとも1つの光変換層と、
を含み、
前記発光層は、複数の発光ユニットを含み、
前記複数の光変換ユニッは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、発光装置。
【請求項14】
発光装置であって、
光を発するための発光層と、
前記発光層から発せられた前記光を偏光させるための、前記発光層に結合された偏光制御層と、
前記偏光制御層に結合された少なくとも1つの光変換層であって、複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、少なくとも1つのメタ表面を含み、少なくとも1つのメタ表面は、複数の異なる照明パターン又は画像を異なる位置に作成するために、前記偏光制御層からの前記偏光された光を、前記メタ表面を通して選択的に通過させるために偏光選択性である、少なくとも1つの光変換層と、
を含み、
前記発光層は、複数の発光ユニットを含み、
前記複数の光変換ユニッは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、発光装置。
【請求項15】
発光装置であって、
第1の放射源視野(FOV)に向かって光を発するための発光層と、
前記発光層から発せられた前記光を、前記第1のFOVの角度広がりよりも小さい角度広がりを有する第2のFOVに向かって導くための、前記発光層の前側における少なくとも1つのメタ表面層と、
前記発光層と少なくとも1つの光変換層との間に挟まれた偏光制御層と、
を含み、
前記偏光制御層は、制御信号に応答して、前記発光層から発せられた前記光を第1の偏光状態又は第2の偏光状態に偏光させるように構成され、
前記少なくとも1つの光変換層は、前記第1の偏光状態における、前記偏光制御層からの前記光を、前記第1のFOVの角度広がりよりも小さい角度広がりを有する第2のFOVに向かって導き、及び前記第2の偏光状態における、前記偏光制御層からの前記光を、前記第2のFOVの角度広がりよりも大きい角度広がりを有する第3のFOVに向かって導くように構成される、発光装置。
【請求項16】
発光装置であって、
光を発するための発光層と、
前記発光層の前側における光変換層であって、複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、所定の配光パターンを形成するために、前記発光層から発せられた光を標的領域に向かって導くためのメタ表面を含む、光変換層と、
を含み、
前記発光層は、複数の発光ユニットを含み、
前記複数の光変換ユニッは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、発光装置。
【請求項17】
前記所定の配光パターンは、前記標的領域上の実質的に均一な光エネルギー分布である、請求項16に記載の発光装置。
【請求項18】
前記複数のメタ表面は、前記発光層から発せられた前記光を前記標的領域の境界に向かって導くためのメタ表面の第1のセットと、前記実質的に均一な光エネルギー分布を前記標的領域上に生成するために、前記発光層から発せられた前記光を前記標的領域の中心に向かって導くためのメタ表面の第2のセットとを含む、請求項17に記載の発光装置。
【請求項19】
発光装置であって、
光を発するための発光層と、
第1の偏光状態における、前記発光層から発せられた前記光を第1のFOVに向かって導き、及び第2の偏光状態における、前記発光層から発せられた前記光を第2のFOVに向かって導くための、前記発光層の前側における少なくとも1つのメタ表面層と
を含み、前記第1のFOV及び前記第2のFOVは、異なる偏光状態のレンズを有する眼鏡を掛けたユーザに対して3次元(3D)知覚を形成するために重ね合わされ、及び互いに横方向にずらされる、発光装置。
【請求項20】
発光装置であって、
光を発するための発光層と、
第1の偏光状態における、前記発光層から発せられた前記光を第1のFOVに向かって導き、及び第2の偏光状態における、前記発光層から発せられた前記光を第2のFOVに向かって導くための、前記発光層の前側における少なくとも1つのメタ表面層と
を含み、前記第1のFOV及び前記第2のFOVは、ユーザに対して3D知覚を形成するために、前記第1のFOVが所定の距離において前記ユーザの第1の眼でのみ視認可能であり、及び前記第2のFOVが前記所定の距離において前記ユーザの第2の眼でのみ視認可能であるように互いに横方向にずらされる、発光装置。
【請求項21】
発光装置を製造する方法でって、
光変換層を発光層上に印刷することを含み、
前記発光層は、光を発するための複数の発光ユニットを含み、
前記光変換層は、複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、前記発光層から発せられた光の1つ又は複数のパラメータを調整するためのメタ表面を含み、
前記複数の光変換ユニットは、複数のメタ表面を前記複数の発光ユニットと位置合わせするために、前記複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/862,853号及び2020年1月15日に出願された米国仮特許出願第62/961,317号の利益を主張するものであり、これらの各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、発光方法、装置及びシステム、特に発せられた光を制御するためのメタ表面を使用する発光方法、装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
発光ダイオード(LED)は、多くの産業において知られており、主に低出力光表示器として広く使用されている。近年、出力又は光度を高めたLEDが開発されており、照明のための光源として使用されている。例えば、エネルギー効率、安全性及び信頼性を向上させたLEDライトは、白熱灯、小型蛍光灯(CFL)など、市場に出ている他のタイプのライトに取って代わりつつある。日常の照明は、送電網にかかる負担に大きく寄与し、発電の必要量全体を大幅に増加させるため、LEDのエネルギー効率は、将来の省エネルギーにおいて重要な役割を果たすことになる。LEDは、エネルギー効率に優れているため、照明市場を独占するであろう。
【0004】
高効率LEDは、懐中電灯、携帯型ライト、ランプ、街路灯などの様々な用途において従来の照明ソリューションに取って代わりつつある。LEDは、電池、従来の送電網、再生可能エネルギーシステム及びエネルギー貯蔵システム、例えば光起電力(PV)パネル及び電池バンクなどを用いたシステムなどの種々のタイプの電源によって電力を供給され、それにより照明ソリューションを特定の使用シナリオに適応させるうえで大きい柔軟性を与え得る。
【0005】
多くの照明ソリューションでは、LED光源などの光源を、指向性光を発する、例えば向上した照明強度を得るために所定の領域に収束ビーム及び焦点を形成し、離れた標的に達するために平行ビームを形成し、及び/又は広い領域を照明するために発散光ビームを形成するなどのように構成することが好ましいことがある。いくつかの照明ソリューションでは、光源の光の方向は、好ましくは、調整可能であり得る。先行技術では、光源は、通常、指向性光を形成するためにミラー又は反射面を使用し、機械的手段は、多くの場合、光の方向を調整するためにミラー又は反射面の向きを変えるために使用される。このような指向性照明手段は、通常、比較的大きいサイズであり、応答性が遅く、効率が低い。
【0006】
出力及び/又は光度を高めたLEDは、植物などを生育するための光源としても使用されている。LEDグローライトと呼ばれることがあるそのようなLEDは、正確な波長の光、高強度、高効率などをもたらすなどの種々の利点を提供する。LEDグローライトは、植物を生育するプロセスを、リスク及び他の不要な屋外変数がはるかに少ない制御された環境で実施することができるため、屋内植物の生育にも有利である。
【0007】
植物の成長は、「光合成」プロセスの結果として起こる。当技術分野で知られているように、光合成プロセスは、光からのエネルギーを用いて二酸化炭素(CO)を有機物質に変換する。具体的には、光エネルギーは、葉緑体と呼ばれる光合成細胞膜に存在する、クロロフィル色素を含有する特殊なタンパク質を通して吸収される。光合成細胞は、主に植物の葉に存在する。
【0008】
しかしながら、クロロフィルは、光スペクトルの特定の部分又は色からのエネルギーのみを吸収する。有効スペクトルは、青色及び赤色スペクトルにまたがる。光スペクトルの緑色部分が反射されるため、植物の葉は、通常、緑色である。葉の光合成細胞が死んでクロロフィルが分解される場合、葉が茶色のみを示す程度までクロロフィルが分解される間、葉の他の色素分子が光反射に大きい影響を及ぼす。
【0009】
したがって、クロロフィルの異なる色素が特定の波長の光を吸収して光合成に寄与することが知られており、光合成効率又は速度は、照明のスペクトルと強い相関関係がある。
【0010】
例えば、青色及び赤色照明下で生育された稲は、赤色照明のみの下で生育されたものよりも高い光合成効率を有する。赤色LED光の下で生育されたエンドウ葉は、青色又は白色LED光の下で生育されたものよりも高レベルのβカロチンを含有する。
【0011】
光強度は、ストレスの影響を低減するための、高い光強度に対する光合成生物の応答による光合成における別の影響因子である。赤色LED光の下では、小麦幼植物は、クロロフィルを100μmolm-2-1において蓄積するが、500μmolm-2-1では蓄積しない。
【0012】
植物は、通常、初期生育中に青色光スペクトルを吸収し、その後、植物が成熟するにつれて及び開花期に赤色光スペクトルを一層吸収することが観察される。一部の植物は、光偏光との相互作用を敏感にする高規則性成分を有することも観察される。例えば、そのような植物は、他の偏光状態の光よりも特定の偏光状態の光をより効率的に吸収又は反射し得る。
【0013】
加えて、植物は、照明持続期間及び持続時間を感知し、それに応じて植物の生育速度を変化させることが可能である。
【0014】
一定の又は広く定義された照明構成を用いた植物栽培は、エネルギー効率が良くなく、光合成に最適でもない。先行技術のLEDグローライトは、通常、前述の因子を考慮せずに植物に光を提供するため、生育する植物の生理学的プロセスを最適化するための最適化された照明構成を提供することができない。その上、異なる植物は、最も良好な生育能を達成するために異なる光特性(例えば、強度、スペクトル、偏光、時間など)を必要とする。しかしながら、先行技術のLEDグローライトは、植物の要求に適応することができず、適切な光特性を示すことができない。
【0015】
例えば、屋内植物の生育のために使用されるLEDパネルなどの従来の照明システムは、通常、植物全体にわたる均一な配光をもたらさない。それらの配光は、多くの場合、中心において最も強く、中心から離れるにつれて次第に減少する強度を有する。
【0016】
図1Aは、光源10から離れた正方形の像面14に向かって光ビーム12を発する従来の光源10を示す。図1Bは、像面14上の光強度分布16を示す。分かるように、従来の光源10は、像面14上に均一な配光をもたらしていない。むしろ、像面14上の光強度分布16は、像面14の中心において最も強く、中心から離れるにつれて徐々に減少している。その上、強度配光16は、像面14上の光ビーム12の入射点に関して対称である。
【0017】
図2A及び図2Bは、光線追跡法を用いて得られた、パネル10から約3メートル(m)離れた6×6平方メートル(m)の像面14内にLEDパネル10が生成する照明パターンを示す。強度分布が明らかに不均一である。
【0018】
したがって、植物の周辺に十分な光を与えるかかる光源10を用いたグローライトにより、植物の中心に過照明が生じ、それにより植物の生育不全が起こるであろう。他方では、植物の中心に十分な照明を与えることで、植物の周辺で非効率的な照明が生じ、同様に植物の生育不全が起こる。このような強度分布は、発光体に対する像面中心の対称性によるものである。
【0019】
かかる光源10は、他の用途では望ましくない場合がある。例えば、そのような光源10を用いた街路灯は、グレア及び全体的に非効率的な照明を生じさせ得る。
【0020】
LEDは、迅速な応答での強度、偏光及び/又は時間などの種々の光特性の慎重な制御も必要とする屋内及び屋外のディスプレイにも使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
概要
したがって、光特性が制御されたLED装置、システム及び方法が常に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、発光層に結合された光変換層であって、1つ又は複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、発光層から発せられた光の1つ又は複数のパラメータを調整するためのメタ表面を含む、光変換層とを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、発光層は、光を発するための1つ又は複数の発光ダイオード(LED)を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、光変換層は、発光層上に印刷される。
【0025】
いくつかの実施形態では、発光層は、1つ又は複数の発光ユニットを含み、光変換層は、1つ又は複数のメタ表面を受け入れるための1つ又は複数の受け部を有するハウジングを含み、及び1つ又は複数の受け部は、1つ又は複数のメタ表面を1つ又は複数の発光ユニットと位置合わせするために、1つ又は複数の発光ユニットの位置に対応する位置にある。
【0026】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の受け部の各々は、発光層から発せられた光を受け入れるための内側開口と、受け入れられた光を通過させるための外側開口とを有する、外方に広がる内面を含み、外側開口は、内側開口の面積よりも大きい面積を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の受け部の各々の内面は、反射性である。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の受け部の各々の内面の断面は、放物面形状を有する。
【0029】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、1つ又は複数の光変換ユニットを含む光変換層であって、各光変換ユニットは、メタ表面を含み、少なくとも1つのメタ表面は、所定の偏光状態を有する、発光層から発せられた光を、メタ表面を通して選択的に通過させるために偏光選択性である、光変換層とを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のメタ表面の各々は、非対称基部形状で配置された複数のナノスケール構造を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、発光装置は、発光層から発せられた光を偏光させるための、発光層と光変換層との間に挟まれた偏光制御層を更に含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、発光装置は、1つ又は複数の植物の生育を促進するためのグローライトである。
【0033】
本開示の一態様によれば、1つ又は複数の植物の生育を促進するための発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、1つ又は複数の光変換ユニットを含む少なくとも1つの光変換層であって、各光変換ユニットは、1つ又は複数の植物の照明構成を最適化するために、発光層から発せられた光の1つ又は複数のパラメータを調整するためのメタ表面を含む、少なくとも1つの光変換層とを含む。
【0034】
本開示の一態様によれば、表示装置が提供される。表示装置は、光を発するための発光層と、1つ又は複数の光変換ユニットを含む少なくとも1つの光変換層であって、各光変換ユニットは、1つ又は複数の画像を表示するために、発光層から発せられた光の1つ又は複数のパラメータを調整するためのメタ表面を含む、少なくとも1つの光変換層とを含む。
【0035】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、発光層から発せられた光を偏光させるための、発光層に結合された偏光制御層と、偏光制御層に結合された少なくとも1つの光変換層であって、1つ又は複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、少なくとも1つのメタ表面を含み、少なくとも1つのメタ表面は、異なる照明パターン又は画像間で切り替えるために、偏光制御層からの偏光された光を、メタ表面を通して選択的に通過させるために偏光選択性である、少なくとも1つの光変換層とを含む。
【0036】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、発光層から発せられた光を偏光させるための、発光層に結合された偏光制御層と、偏光制御層に結合された少なくとも1つの光変換層であって、1つ又は複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、少なくとも1つのメタ表面を含み、少なくとも1つのメタ表面は、複数の異なる照明パターン又は画像を異なる位置に作成するために、偏光制御層からの偏光された光を、メタ表面を通して選択的に通過させるために偏光選択性である、少なくとも1つの光変換層とを含む。
【0037】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、放射源視野(FOV)に向かって光を発するための発光層と、発光層から発せられた光を、放射源FOVの角度広がりよりも小さい角度広がりを有する第1のFOVに向かって導くための、発光層の前側における少なくとも1つのメタ表面層とを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、発光装置は、発光層と少なくとも1つの光変換層との間に挟まれた偏光制御層を更に含み、偏光制御層は、制御信号に応答して、発光層から発せられた光を第1の偏光状態又は第2の偏光状態に偏光させるように構成され、少なくとも1つの光変換層は、第1の偏光状態における、偏光制御層からの光を、放射源FOVの角度広がりよりも小さい角度広がりを有する第1のFOVに向かって導き、及び第2の偏光状態における、偏光制御層からの光を、第1のFOVの角度広がりよりも大きい角度広がりを有する第2のFOVに向かって導くように構成される。
【0039】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、発光層の前側における光変換層であって、複数の光変換ユニットを含み、各光変換ユニットは、所定の配光パターンを形成するために、発光層から発せられた光を標的領域に向かって導くためのメタ表面を含む、光変換層とを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、所定の配光パターンは、標的領域上の実質的に均一な光エネルギー分布である。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数のメタ表面は、発光層から発せられた光を標的領域の境界に向かって導くためのメタ表面の第1のセットと、実質的に均一な光エネルギー分布を標的領域上に生成するために、発光層から発せられた光を標的領域の中心に向かって導くためのメタ表面の第2のセットとを含む。
【0042】
本開示の一態様によれば、太陽エネルギー収集装置が提供される。太陽エネルギー収集装置は、複数の光起電力セルを有する光起電力層と、光起電力層において反射を生じさせることなく、実質的に光起電力層に光を導くための、光起電力層の前側における少なくとも1つのメタ表面層とを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、太陽エネルギー収集装置は、光起電力層に垂直に衝突するように、所定の範囲内の入射角で光を導くための複数のメタ表面層を含む。
【0044】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、第1の偏光状態における、発光層から発せられた光を第1のFOVに向かって導き、及び第2の偏光状態における、発光層から発せられた光を第2のFOVに向かって導くための、発光層の前側における少なくとも1つのメタ表面層とを含み、第1のFOV及び第2のFOVは、異なる偏光状態のレンズを有する眼鏡を掛けたユーザに対して3次元(3D)知覚を形成するために重ね合わされ、及び互いに横方向にずらされる。
【0045】
本開示の一態様によれば、発光装置が提供される。発光装置は、光を発するための発光層と、第1の偏光状態における、発光層から発せられた光を第1のFOVに向かって導き、及び第2の偏光状態における、発光層から発せられた光を第2のFOVに向かって導くための、発光層の前側における少なくとも1つのメタ表面層とを含み、第1のFOV及び第2のFOVは、ユーザに対して3D知覚を形成するために、第1のFOVが所定の距離においてユーザの第1の眼でのみ視認可能であり、及び第2のFOVが所定の距離においてユーザの第2の眼でのみ視認可能であるように互いに横方向にずらされる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面の簡単な説明
図1A】光源から離れた正方形の像面に向かって光ビームを発する先行技術の光源を示す概略図である。
図1B図1Aに示す先行技術の光源から発せられた光の像面上の光強度分布を示す。
図2A】光源から離れた正方形の像面に向かって光ビームを発する先行技術の発光ダイオード(LED)を示す概略図である。
図2B】光線追跡法を用いて得られた、先行技術のLEDパネルから発せられた光の像面上の照明パターンを示す。
図3】本開示のいくつかの実施形態による、LED発光層と、1つ又は複数のメタ表面を有する光変換層とを含む発光装置の構造を示す概略図である。
図4図3に示す発光装置の概略分解図である。
図5図3に示す発光装置の光変換層の光変換ユニットを示す。
図6図5に示す光変換ユニットを形成するためのメタ表面の構造の例を示す。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、LED発光層と、偏光制御層と、メタ表面光変換層とを含む発光装置の概略分解図である。
図8A】本開示のいくつかの実施形態による、図7に示す光装置の偏光制御層のピクセルを示す概略図である。
図8B図8Aに示す偏光制御層のピクセルに対応する、図7に示す光装置の光変換層のピクセルを示す概略図である。
図9A】本開示の更にいくつかの実施形態による、図7に示す光装置の偏光制御層のピクセルを示す概略図である。
図9B図9Aに示す偏光制御層のピクセルに対応する、図7に示す光装置の光変換層のピクセルを示す概略図である。
図10A】本開示の更にいくつかの実施形態による、図7に示す光装置の偏光制御層のピクセルを示す概略図である。
図10B図10Aに示す偏光制御層のピクセルに対応する、図7に示す光装置の光変換層のピクセルを示す概略図である。
図11A図8A及び図8B又は図9A及び図9Bに示す実施形態による、2方向に2つの画像を表示する図7に示す光装置を示す概略図である。
図11B図8A及び図8B又は図9A及び図9Bに示す実施形態による、2方向に2つの画像を表示する図7に示す光装置を示す概略図である。
図12図8A及び図8B図9A及び図9B又は図10A及び図10Bに示す実施形態による、2方向に2つの画像を表示する図7に示す光装置を示す概略図である。
図13】本開示のいくつかの実施形態による、複数の光ファイバケーブルを有する発光装置の概略分解図である。
図14図3に示す発光装置の光変換層の印刷を示す概念図である。
図15】本開示のいくつかの実施形態による、植物の生育を促進するための照明システムの概略図である。
図16】本開示のいくつかの実施形態による、植物の生育を監視するためのセンサを含む、植物の生育を促進するための照明システムの概略図である。
図17図3に示す発光装置に組み込まれた太陽電池セル層の構造を示す概略図である。
図18】本開示のいくつかの実施形態による、照明パターンが制御された照明源又は光源として使用される照明システムの構造を示す概略図である。
図19】照明パターンを生成するために、図18に示す照明システムによって使用されるコスト関数を形成する例を図示する。
図20】勾配降下法を用いてコスト関数の大域(又は近大域)最小値を見つけるために、図18に示す照明システムの処理構造によって実行されるプロセスのステップを示すフローチャートである。
図21】照明パターンを生成するための図20に示すプロセスの最適化結果を示す。
図22】照明パターンを生成するための図20に示すプロセスの最適化結果を示す。
図23】照明パターンを生成するための図20に示すプロセスの最適化結果を示す。
図24】照明パターンを生成するための図20に示すプロセスの最適化結果を示す。
図25】照明パターンを生成するための図20に示すプロセスの最適化結果を示す。
図26】本開示のいくつかの実施形態による、照明パターンが制御された照明源又は光源として使用される照明システムの構造を示す概略図である。
図27A】像面内に強度分布の境界を生成するための分割メタ表面を示す概略図である。
図27B】光エネルギーが実質的に標的領域の垂直境界に沿って集中した、図27Aに示す垂直分割メタ表面によって生成された像面内の照明パターンを示す。
図27C】光エネルギーが実質的に標的領域の水平境界に沿って集中した、図27Aに示す水平分割メタ表面によって生成された像面内の照明パターンを示す。
図28図27Aに示す水平分割メタ表面及び垂直分割メタ表面を用いて実質的に標的領域の水平境界及び垂直境界に沿って集中した配光の概念図を示す。
図29A】実質的に像面の中心に集中した配光を生成するための収束メタ表面を示す概略図である。
図29B図29Aに示す収束メタ表面によって生成された像面内の照明パターンを示す。
図30図27Aに示す分割メタ表面と、図29Aに示す収束メタ表面とによって生成された像面上の実質的に均一な配光の概念図を示す。
図31】異なる距離だけ離れた像面上の実質的に均一な配光を示す。
図32】本開示のいくつかの実施形態による、メタ表面のアレイを用いたトポセントリックベクトル制御パネル(TVCP)の例示的な実装態様を示し、TVCPは、発光層に結合されたメタ表面ハウジングを含み、メタ表面ハウジングは、複数のメタ表面ユニットを内部に受け入れる複数の受け部を含む。
図33図32に示すTVCPの発光層に結合されたメタ表面ハウジングを示す写真である。
図34】特定の偏光状態で植物を照明するための非対称基部形状を有するメタ表面のナノスケール構造を示す。
図35】先行技術の光起電力セルの表面で発生した光反射を示す概略図である。
図36】光起電力パネルの表面での光反射を低減するために光起電力パネルの前側にメタ表面ベースのトポセントリックベクトル制御パネル(TVCP)を有する太陽光パネル装置を示す概略図である。
図37】光起電力パネルを小型化するために光起電力パネルの前側にメタ表面ベースのTVCPを有する太陽光パネル装置を示す概略図である。
図38図37に示す太陽光パネル装置との比較のための、TVCPのない光起電力パネルを有する先行技術の太陽光パネル装置を示す概略図である。
図39】広い角度広がりを有する視野(FOV)を有する先行技術のディスプレイを示す概略図である。
図40】本開示のいくつかの実施形態による、メタ表面を用いた超指向性スクリーン又はディスプレイを示す概略図である。
図41】本開示のいくつかの実施形態による、可変視野(VFOV)スクリーン又はディスプレイを示す概略図である。
図42】本開示のいくつかの他の実施形態による、VFOVスクリーン又はディスプレイを示す概略図である。
図43A】第1の画像が、広い角度広がりを有する第1のFOV内に表示され、及び第1のFOV内にのみ位置するユーザに第2の画像が見えないように、第2の画像が、狭い角度広がりを有する第2のFOV内に表示される、2つの画像を同時に表示するために、図42に示すVFOVスクリーンを用いる例を示す。
図43B】第1の画像が、広い角度広がりを有する第1のFOV内に表示され、及び第1のFOV内にのみ位置するユーザに第2の画像が見えないように、第2の画像が、狭い角度広がりを有する第2のFOV内に表示される、2つの画像を同時に表示するために、図42に示すVFOVスクリーンを用いる例を示す。
図43C】第1の画像が、広い角度広がりを有する第1のFOV内に表示され、及び第1のFOV内にのみ位置するユーザに第2の画像が見えないように、第2の画像が、狭い角度広がりを有する第2のFOV内に表示される、2つの画像を同時に表示するために、図42に示すVFOVスクリーンを用いる例を示す。
図43D】第1の画像が、広い角度広がりを有する第1のFOV内に表示され、及び第1のFOV内にのみ位置するユーザに第2の画像が見えないように、第2の画像が、狭い角度広がりを有する第2のFOV内に表示される、2つの画像を同時に表示するために、図42に示すVFOVスクリーンを用いる例を示す。
図43E】第1の画像が、広い角度広がりを有する第1のFOV内に表示され、及び第1のFOV内にのみ位置するユーザに第2の画像が見えないように、第2の画像が、狭い角度広がりを有する第2のFOV内に表示される、2つの画像を同時に表示するために、図42に示すVFOVスクリーンを用いる例を示す。
図43F】第1の画像が、広い角度広がりを有する第1のFOV内に表示され、及び第1のFOV内にのみ位置するユーザに第2の画像が見えないように、第2の画像が、狭い角度広がりを有する第2のFOV内に表示される、2つの画像を同時に表示するために、図42に示すVFOVスクリーンを用いる例を示す。
図43G】第1の画像が、広い角度広がりを有する第1のFOV内に表示され、及び第1のFOV内にのみ位置するユーザに第2の画像が見えないように、第2の画像が、狭い角度広がりを有する第2のFOV内に表示される、2つの画像を同時に表示するために、図42に示すVFOVスクリーンを用いる例を示す。
図44】本開示のいくつかの実施形態による、偏光レンズを有する眼鏡を掛けて視認可能である、メタ表面を用いた3次元(3D)ディスプレイを示す概略図である。
図45】本開示のいくつかの実施形態による、偏光レンズを有する眼鏡なしで視認可能である、メタ表面を用いた3Dディスプレイを示す概略図である。
図46】光反射の問題を有する先行技術の太陽光パネルを示す概略図である。
図47】光反射の問題を有する先行技術の太陽光パネルを示す概略図である。
図48】本開示のいくつかの実施形態による、光反射の問題を軽減又は除去するためのメタ表面を用いた太陽光パネルを示す概略図である。
図49】本開示のいくつかの実施形態による、光反射の問題を軽減又は除去するためのメタ表面を用いた太陽光パネルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
発光層と光変換層とを有する発光装置
ここで、図3及び図4に移ると、発光装置(「照明装置」又は「光装置」とも呼ばれる)が示されており、本開示のいくつかの実施形態によれば、概して参照番号100を用いて特定される。本明細書では、発光装置は、照明のための装置、植物の生育を促進するための装置又は装置上に画像若しくは映像を表示するための装置であり得る。
【0048】
これらの実施形態における発光装置100は、発光層104から光変換層106を通して光108を発するための、基板102と光変換層106との間に挟まれた発光層104を含む。発せられた光108が光変換層106を通り抜けるとき、光変換層106は、振幅又は強度、位相、偏光、パターン、方向など、光108の1つ又は複数のパラメータを調整する。
【0049】
発光層104は、任意の好適な照明デバイスであり得る。これらの実施形態では、発光層104は、基板102に印刷されるか、コーティングされるか又は他に結合され、LED110の他の配置も容易に利用できるが、マトリクス状に配置された複数の発光ダイオード(LED)110を含む。本明細書では、LED110は、従来のLED、量子ドット(QD)LED及び/又は有機LED(OLED)などの任意の好適なLEDであり得る。
【0050】
光変換層106は、発光層104から発せられた光のパラメータを調整するか又は他に変換する(後により詳細に説明する)ために、発光層104に印刷されるか、コーティングされるか又は他に結合される。
【0051】
光変換層106は、各光変換ユニット122がメタ表面を含む、所定のパターンで配置された1つ又は複数の光変換ユニット122を含む。本明細書では、メタ表面は、サブ波長間隔を有するナノ構造の2次元アレイであり、及び電磁波を変調するために使用され得る。メタ表面の詳細は、Nanfang Yu, Patrice Genevet, Mikhail A. Kats, Francesco Aieta, Jean-Philippe Tetienne, Federico Capasso, and Zeno Gaburro, Science volume 334, issue 6054, pages 333-337 (2011)による「LIGHT PROPAGATION WITH PHASE DISCONTINUITIES: GENERALIZED LAWS OF REFLECTION AND REFRACTION」という名称の学術論文において説明されている。
【0052】
図5及び図6に示すように、各メタ表面ユニット122は、サブ波長の厚さ(すなわち、サブ波長の厚さは、発光層104から発せられた光の波長よりも薄い)を有するメタ表面を含み、入射光の(例えば、振幅又は強度、位相、偏光、パターン、方向などの)特性又はパラメータを正確に調整又は変換するための特定の順序で周期的に配置された複数のナノスケール構造124を含み、それにより、そこから出力される光の特性の正確な制御を可能にする。
【0053】
いくつかの実施形態では、ナノスケール構造124(「ナノ構造」とも呼ばれる)は、発光層104から発せられた光の波長よりも小さい1つ又は複数の寸法を有する好適な金属材料又は誘電材料で作られたサブ波長構造であり得る。いくつかの実施形態では、ナノスケール構造124は、複数のナノロッド(「アンテナ」とも呼ばれ、図6を参照されたい)を含み得る。いくつかの実施形態では、ナノスケール構造124は、複数のV字状ナノロッドを含み得る。上記で説明したように、ナノスケール構造124は、周期的又は繰り返しパターンを形成し、各パターンは、異なる形状及び寸法の複数のナノスケール構造124を含み得る。
【0054】
ナノ構造124の形状及び分布に応じて、光変換層106は、入射光の1つ又は複数のパラメータを調整又は変換するように構成され得る。
【0055】
例えば、図4に示すように、光変換層106のメタ表面ユニット122Aは、入射光108Aを位相変換し、収束するように入射光108Aの方向を修正し、それにより、光変換層106から間隔をおいて配置された所望の点で合焦する収束光ビームを形成するように構成され得る。
【0056】
別の例として、光変換層106のメタ表面ユニット122Bは、入射光108Bを位相変換し、平行にされるように入射光108Bの方向を修正し、それにより、離れた標的に達するように平行光ビームを形成するように構成され得る。
【0057】
更なる例として、光変換層106のメタ表面ユニット122Cは、入射光108Cを位相変換し、発散するように入射光108Cの方向を修正し、それにより、広い領域を照明するために発散光ビームを形成するように構成され得る。
【0058】
従来のグローライト用途では、1つ又は複数の照明デバイス(グローライトデバイスとも呼ばれる)は、植物に向かって光を発して植物の生育を促進するために使用される。これらの用途では、グローライトデバイスの周辺領域から発せられた光など、グローライトデバイスから発せられた光の一部は、光ビームの発散性に起因して植物に部分的にのみ衝突し、それにより、光エネルギーが浪費され得る。かかる問題は、植物が互いに間隔をおいて配置される場合、より深刻であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、発光装置100は、上記の問題のない又は上記の問題を少なくとも軽減するグローライトデバイスとして使用され得る。これらの実施形態では、光変換層106又はその少なくともいくつかのメタ表面ユニット122は、植物に向かう入射光108の方向を修正するように設計され得る。例えば、光変換層106は、発光層104の周辺領域から発せられた光を植物に向けるように調整する一方、植物のより多くの領域をカバーするように発光層104の中心領域から発せられた光をより発散させ、それにより著しく効率的な照明を生じさせるように設計され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、光変換層106又はその少なくともいくつかのメタ表面ユニット122は、植物の照明構成を最適化して、生育要求に適応するように、発光層104から発せられた光のパラメータを調整するように設計され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、光変換層106又はその少なくともいくつかのメタ表面ユニット122は、発光層104から発せられた光を所望の方向に向けるように調整して、高集光又は低集光領域を形成し、それにより標的照明領域に高温又は低温スポットを作り出すように設計され得る。そのような高温又は低温スポットは、植物の損傷領域を治療するために又は植物の脆弱な部分を照明するために作り出され得る。
【0062】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による発光装置200の概略分解図である。これらの実施形態では、発光装置200が、発光層104と光変換層106との間に挟まれた偏光制御層202を更に含むことを除いて、発光装置200は、図3及び図4に示す実施形態における発光装置100と同様である。
【0063】
その上、これらの実施形態では、光変換層106は、偏光選択性であり得る。特に、各メタ表面ユニット122は、特定の偏光を選択し得、すなわち特定の偏光状態の光のみがメタ表面ユニット122を通過することを可能にし、他の偏光状態の光を遮断する。光変換層106の異なるメタ表面ユニット122は、実装態様に応じて、同じ又は異なる偏光選択設定を有し得る。
【0064】
偏光制御層202は、入射光が偏光制御層202を通して進むときに入射光を偏光させる(図7に円矢印204及び206で表す)好適な材料で作られる。いくつかの実施形態では、偏光制御層202は、単一の偏光制御ユニットを形成して、入射光を所定の偏光状態に偏光させ得る。
【0065】
いくつかの他の実施形態では、偏光制御層202は、単一の偏光制御ユニットを形成し、電圧制御された位相差を有する液晶を含み得る。したがって、偏光制御層202の偏光は、偏光制御層202に印加される電圧を調整することによって制御され得る。
【0066】
更にいくつかの他の実施形態では、偏光制御層202は、光変換層106の複数のメタ表面ユニット122に対応する複数の偏光制御ユニット(図示せず)を含み得る。少なくともいくつかの偏光制御ユニットは、液晶で作られ得、その偏光は、偏光制御ユニットに印加される電圧を調整することによって制御可能である。
【0067】
したがって、光変換層106は、異なる偏光状態の光に対して選択的な応答を示す。いくつかの実施形態では、発光装置200は、光源(例えば、発光層102)を調整する必要なしに、異なる画像の表示を迅速に切り替え得るディスプレイとして使用され得る。切り替え表示又は照明パターンは、自動的なパターン切り替えのために、光変換層106の偏光パターン及び/又は電圧パターンに符号化され得る。
【0068】
例えば、いくつかの実施形態では、発光装置200は、ディスプレイとして使用され得、偏光制御層202及びその光変換層106は、各ピクセルが1つ又は複数のサブピクセルを含む、対応するピクセル232及び234(図8A図10Bを参照されたい)をそれぞれ形成する複数のユニットをそれぞれ含み得る。
【0069】
図8A及び図8Bに示す一実施形態では、偏光制御層202の各ピクセル232は、複数のサブピクセル(例えば、2つのサブピクセル242A及び242B)を含む。したがって、偏光制御層202は、各セットが各ピクセル232のそれぞれのサブピクセル242A又は242Bを含む、複数のサブピクセルセット(同様に参照番号242A及び242Bを用いて特定される)を含む。各サブピクセルセットは、特定の偏光設定に合わせて構成される(図8Aを参照されたい)。
【0070】
図8Bに示すように、光変換層106の各ピクセル234は、(符号246で示す)2つの偏光選択及び位相変換設定を切り替えるように制御される(同様に参照番号234を用いて表す)1つのメタ表面サブピクセルを有する。
【0071】
動作中、発光層104は、光(図示せず)を発する。好適な偏光設定では、偏光制御層202の各サブピクセルセットは、発光層104から発せられた光を調整して、異なる偏光状態の2つの光ビーム(図示せず)を形成する。2つの光ビームは、重ね合わされて、光変換層106に入射する。
【0072】
光変換層106のメタ表面サブピクセル234は、第1のサブピクセルセット242Aからの光ビームがメタ表面サブピクセル234を通過することを可能にするのに好適な第1の偏光選択設定と、第2のサブピクセルセット242Bからの光ビームがメタ表面サブピクセル234を通過することを可能にするのに好適な第2の偏光選択設定とを有する2つの偏光選択及び位相変換設定246を切り替えるように制御される。結果として、発光装置200は、2方向に2つの画像222及び224(図11A及び図11Bを参照されたい)を交互に表示する。位相変換設定に応じて、2方向は、図11A及び図11Bに示すように2つの異なる方向であり得るか、又は同じ方向であり得る。
【0073】
光変換層106の偏光選択及び位相変換設定の切り替え(リフレッシュレートとも呼ばれる)は、第1の画像222を第1の位置に数秒間表示し、次いで第2の画像224を第2の位置に更に数秒間表示する(図11A及び図11B)など、明確に2つの画像222及び224を交互に表示するように、緩やかな速度又は低頻度での切り替えであり得る。代替的に、光変換層106のリフレッシュレートは、2つの画像222及び224が2つの位置において人間の眼に効果的に同時に表示されるように、高周波(例えば、毎秒60フレーム以上)であり得る(図12を参照されたい)。
【0074】
図9A及び図9Bに示すような一実施形態では、偏光制御層202の各ピクセル232は、(図9Aを参照されたく、符号248で示す)2つの偏光設定を切り替えるように制御される(同様に参照番号232を用いて表す)1つのメタ表面サブピクセルを有する。
【0075】
図9Bに示すように、光変換層106の各ピクセル234は、複数のサブピクセル(例えば、2つのサブピクセル244A及び244B)を含む。したがって、光変換層106は、各セットが各ピクセル234のそれぞれのサブピクセル244A又は244Bを含む、複数のサブピクセルセット(同様に参照番号244A及び244Bを用いて特定される)を含む。各サブピクセルセットは、特定の偏光選択及び位相変換設定に合わせて構成される。
【0076】
動作中、発光層104は、光(図示せず)を発する。偏光制御層202は、光変換層106の第1のサブピクセルセット244Aを通過するか、又は光変換層106の第2のサブピクセルセット244Bを通過するように、発光層104から発せられた光を調整して、偏光状態が切り替わる光ビーム(図示せず)を形成する。光変換層106のリフレッシュレートに応じて、発光装置200は、人間の眼に対して明確に又は効果的に同時に2つの画像222及び224を2つの位置に交互に表示し得る(図11A図11B及び図12を参照されたい)。
【0077】
図10A及び図10Bに示す一実施形態では、偏光制御層202の各ピクセル232は、複数のサブピクセル(例えば、2つのサブピクセル242A及び242B)を含む。したがって、偏光制御層202は、各セットが各ピクセル232のそれぞれのサブピクセル242A又は242Bを含む、複数のサブピクセルセット(同様に参照番号242A及び242Bを用いて特定される)を含む。各サブピクセルセットは、特定の偏光設定に合わせて構成される(図10Aを参照されたい)。
【0078】
それに対応して、図10Bに示すように、光変換層106の各ピクセル234は、複数のサブピクセル(例えば、2つのサブピクセル244A及び244B)を含む。したがって、光変換層106は、各セットが各ピクセル234のそれぞれのサブピクセル244A又は244Bを含む、複数のサブピクセルセット(同様に参照番号244A及び244Bを用いて特定される)を含む。各サブピクセルセットは、特定の偏光選択及び位相変換設定に合わせて構成される。各サブピクセルセット244A又は244Bの偏光選択設定は、各サブピクセルセット242A又は242Bの偏光設定と一致する(すなわち対応するサブピクセル242A又は242Bからの光が通過することを可能にする)。
【0079】
動作中、発光層104は、光(図示せず)を発する。偏光制御層202の各サブピクセルセット242A又は242Bは、発光層104から発せられた光を調整して、異なる偏光状態の2つの光ビーム(図示せず)を形成する。2つの光ビームは、重ね合わされて、光変換層106に入射する。偏光制御層202からの各光ビームは、光変換層106の対応するサブピクセルセット244A又は244Bを通過し、それにより2方向に2つの画像222及び224を同時に形成する(図12を参照されたい)。
【0080】
いくつかの実施形態では、発光装置200は、異なる照明パターンを迅速に切り替え得る照明デバイスとして使用され得る。その上、発光装置200は、光偏光に敏感な高規則性成分を有する植物に適応する、カスタマイズされた偏光パターンを有するグローライトデバイスとして使用され得る。例えば、一部の植物は、特定の偏光状態の光を他の偏光状態の光よりも著しく効率的に吸収又は反射し得る。したがって、発光装置200は、植物の光合成プロセスを最適化するために植物の要求に適応する、カスタマイズされた偏光パターンを有するグローライトデバイスとして使用され得る。種々の実施形態における照明デバイス200の構造は、図8A図10Bに示すものと同様であり得る。
【0081】
光変換層106にメタ表面を用いることにより、本明細書に開示する照明デバイスは、光エネルギーを光ファイバケーブルに効率的に結合し得る。例えば、図13は、本開示のいくつかの実施形態による発光装置300の概略分解図である。これらの実施形態では、発光装置300は、図3及び図4に示す実施形態における発光装置100と同様であり、それぞれのメタ表面ユニット122に隣接する複数の光ファイバケーブル302を更に含む。各メタ表面ユニット122は、対応する光ファイバケーブル302に入射する収束光ビームを形成するように構成される。そのような照明デバイス300は、効率的な屋内照明、局所的に最適化された植物の照明及び標的領域全体にわたる効率的な光エネルギー分布などの種々の用途で使用され得る。
【0082】
図13に示す実施形態では、発光装置300は、発光装置100と同様である(すなわち3つの層102、104及び106を有する)が、いくつかの実施形態では、発光装置300は、発光装置200と同様であり得る(すなわち4つの層102、104、202及び106を有する)。
【0083】
上記の実施形態では、照明デバイス100、200又は300は、1つの光変換層106のみを含む。いくつかの実施形態では、照明デバイスは、複数の光変換層106を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の光変換層106の少なくともいくつかは、偏光選択性であり得、異なる光変換層106は、実装態様に応じて、同じ又は異なる偏光選択設定を有し得る。
【0084】
上記で説明したように、光変換層106などの発光装置100の種々の層は、任意の好適な印刷技術を用いて基板102に又は互いの上に印刷され得る。
【0085】
例えば、図14は、いくつかの実施形態における光変換層106、発光層104などのいくつかの層の印刷を示す概念図である。
【0086】
図示のように、(発光層104が基板102上に印刷又は他に結合された)基板102は、プラットフォーム342の平坦な表面上に配置される。スロットダイヘッド344を備えた印刷デバイス(図示せず)は、副層/層を印刷するために使用される。スロットダイヘッド344は、それぞれの「インク」で満たされたインクカートリッジ346を含み、メタ表面材料をインクカートリッジ346から基板102(又は発光層104)に堆積させて、1つ又は複数のメタ表面光変換ユニット122を形成するために基板102(又は特に印刷された発光層104)上を移動する(矢印348で示す)。
【0087】
本明細書では、「インク」は、層の作製のための前駆体として使用される溶液、ゲル又は粉末などの好適な形態の副層/層材料を指す。各層のスロットダイ作製中、熱処理は、通常、溶媒を蒸発させるか、又は粉末を溶融させて作製した層を固化させるために使用される。
【0088】
図15は、本開示のいくつかの実施形態による、1つ又は複数の植物410の生育を促進するための照明システム400の概略図である。図示のように、システム400は、制御回路404に電力を供給する電源402と、上記で説明した発光装置100、200又は300のいずれかであり得る発光装置406とを含む。制御回路404は、植物410を照明して植物410の生育を促進するために、カスタマイズパラメータを有する光408を発するように発光装置406を制御する。
【0089】
図16は、本開示のいくつかの実施形態による、植物の生育を促進するための照明システム500の概略図である。これらの実施形態における照明システム500は、図14に示す照明システム400と同様であり、植物410から反射される光414を監視するための光センサなど、植物410の生育を監視するためのセンサ412を更に含み、及び照明構成を最適化して植物410の生育をより良好に促進するために、上記で説明したように光パラメータを調整するための制御回路404にフィードバックを与える。
【0090】
いくつかの実施形態では、発光層104は、透明なLED層であり得、及び発光装置100、200又は300は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するための1つ又は複数の光起電力セル(「太陽電池セル」とも呼ばれる)を有する、発光層104の「裏側」(すなわち基板102と発光層104との間)における太陽電池セル層と、太陽電池セル層の裏側における電力変換層とを更に含み得る。太陽電池セル層及び電力変換層の詳細は、本出願人の同時係属中の「HYBRID-ENERGY APPARATUS, SYSTEM, AND METHOD THEREFOR」という名称の米国仮特許出願第62/831,828号において説明されており、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
例えば、図17は、複数の副層を含む太陽電池セル層540の例を示す。図示のように、この例における太陽電池セル層500は、インジウムスズ酸化物(ITO)などの好適な材料で作られたアノード副層542と、酸化亜鉛(ZnO)の副層544と、ポリ(エチレンイミン)及びエトキシル化ポリ(エチレンイミン)(すなわちPEIE)の副層546と、バルクヘテロ接合(BHJ)の副層などのポリマー太陽電池セルの副層などの有機太陽電池セルの副層548と、三酸化モリブデン(MoO)の副層550と、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)などの好適な材料で作られたカソード副層552とを含む。アノード542及びカソード552は、電力変換器層などの他の層に電気的に接続される。
【0092】
照明パターンが制御された照明システム
図18は、メタ表面又は他の光制御構造を用いた光偏向角の正確な制御により、照明パターンが制御された照明源又は光源として使用される、いくつかの実施形態における発光装置600を示す。照明システム600からの照明は、特定のパターンに従って像面612上に分配され、この像面612内に1つ又は複数の植物などの1つ又は複数の物体が位置する。
【0093】
注釈を容易にするために、軸x及びyは、像面612を定める直交軸を表し、z軸は、制御可能な照明構造100と像面612とに沿った軸であるとともに、軸x及びyに直交し(すなわち像面612に直交し)、y偏向角θは、y軸と像面612上の光ビーム610の投射との間の角度であり、z偏向角φは、z軸とxz平面上の光ビーム610の投射との間の角度である。
【0094】
発光装置600は、図4に示す発光装置100と同様であり、1つ又は複数のLED(図示せず)を有する発光層104と、発光層104の前側における、これらの実施形態ではトポセントリックベクトル制御パネル(TVCP)層などの光変換層106とを含む。図18には示されていないが、発光装置600は、発光層104を支持するための(図4に示す発光装置100と同様の)基板102も含み得る。
【0095】
発光層104は、光源としてLEDのアレイを含み、TVCP106を通過して像面612に向かう複数の光ビーム610を発する。
【0096】
TVCP106は、各光変換ユニット122がメタ表面を含む、所定のパターンで配置された1つ又は複数の光変換ユニット122(これらの実施形態では「レンズ」とも呼ばれ、図18には図示せず)を含む。TVCP106の各光変換ユニット122は、光ビーム610の偏向角θ及びφを制御して、像面612内の光円錐610の方位角、仰角及び角度を調整することにより、光変換ユニット122を通過する光ビーム610の方向を制御する。
【0097】
TVCP106は、さもなければ像面612上に存在する配光の対称性を効果的に失わせる(図2を参照されたい)。その上、偏向角θ及びφの僅かな変化により、像面612上の光強度分布に有意な変化が生じるであろう。したがって、慎重に構成されたTVCP106を用いて、照明システム600は、像面612上に分布した複数の所定の入射点に向かって発光層104からTVCP106を通して発せられた複数の光ビームを用いて、必要に応じて像面612上の標的照明領域内のほぼ全ての光強度分布を生成し得る。
【0098】
照明パターン(例えば、標的照明領域の大きさ及び形状並びに標的照明領域内の光強度分布)並びに光源(例えば、LED)の数は、全ての入射点が標的照明領域内に位置しなければならないという制約下において、好適なコスト関数を最適化する好適な最適化方法を用いて算出され得る所定の入射点の位置を決定する。
【0099】
例えば、均一に分布した(又はより正確にはほぼ均一に分布した)光強度分布を得るために、光強度分布の正規化平均二乗誤差(NMSE)
【数1】
は、コスト関数として使用され得、ここで、μは、像面612上の光強度の平均値であり、I(x)は、i番目のピクセルの光強度であり、Nは、像面612上の標的照明領域のピクセルの総数である。好適な最適化方法は、全ての入射点が標的照明領域内に位置しなければならないという制約下において、NMSEを最小化する各光ビーム610の偏向角θ及びφ(光ビーム610の入射点の位置を決定する)を算出するために使用され得る。
【0100】
図19は、像面612上の円形の標的照明領域622内に均一な照明パターンが生成される、一例におけるコスト関数の形成を図示する。当業者であれば、他の照明パターンのためのコスト関数も同様に形成され得ることを認識するであろう。
【0101】
図19に示す例では、照明システム600は、像面612の円形領域622内の2つの同心円626A及び626B(各円上の4つの点)上に均一な角度間隔で分布したそれぞれの入射点624に向かって発せられる8つの光ビームを使用し得る。
【0102】
人工知能(AI)アルゴリズム、機械学習アルゴリズム、勾配降下(GD)法及び/又は焼きなまし法(SA)などの任意の好適な最適化方法は、式(1)のNMSEの大域(又は近大域)最小値と、各光ビーム610の対応する偏向角θ及びφとを見つけるために使用され得る。
【0103】
図20は、最適化において、以下の所定のパラメータ:
・発光層104内のLEDの数、
・各LEDの視野(FOV)の方向及び角度広がり、
・像面612上の標的照明領域の形状、
・標的照明領域の大きさ、
・放射源と標的照明領域との間の距離、
・GDの学習率、及び
・最大反復回数
を用いるGD方法を用いて、式(1)のNMSEの大域(又は近大域)最小値を見つけるためのプロセス640のステップを示すフローチャートである。
【0104】
当業者であれば、上記で説明したパラメータが、プロセス640の開始前にユーザによってカスタマイズされ得るか、又はシステム600のセットアップによって決定され得ることを認識するであろう。
【0105】
図20に示すように、プロセス640の開始(ステップ642)後、上記で説明したパラメータが取り込まれ(ステップ644)、各光ビーム610の初期状態(例えば、状態変数(θ、φ)の値の初期セット)がランダムに選択される(ステップ646)。
【0106】
ステップ648では、全ての光ビーム610の状態変数(θ、φ)に対する現在の状態でのコスト関数の勾配が算出される。次いで、学習率を乗じた現在の状態の勾配値の逆方向に全ての光ビーム610の状態変数(θ、φ)を「移動させる」(すなわち状態変数(θ、φ)の値を変化させる)(ステップ650)。
【0107】
ステップ652では、プロセス640は、反復回数が(システム又はユーザによって予め定められた)最大反復回数に達したかどうかを確認する。反復回数が最大反復回数に達した場合、最適化が完了し、次いでプロセス640が終了する(ステップ654)。
【0108】
ステップ652では、反復回数が最大反復回数に達していない場合、プロセス640は、ステップ656に進み、任意の光ビーム610の入射点が標的照明領域外にあるかどうかを確認する。そうでない場合、プロセス640は、光ビーム610の状態変数(θ、φ)を更に「移動」させるためにステップ648に戻る。
【0109】
ステップ656では、1つ又は複数の光ビーム610の入射点が標的照明領域の外にあると分かった場合、プロセス640は、勾配値の逆方向に沿った標的照明領域の境界に光ビーム610の入射点を位置決めするために、1つ又は複数の光ビーム610の状態変数(θ、φ)の値を算出し直し、1つ又は複数の光ビームを固定されたビームとして定義する(すなわち、光ビームの状態変数(θ、φ)は、もはや最適化には使用されない)(ステップ658)。次いで、プロセス640は、残りの光ビーム610の各々の初期状態(例えば、状態変数(θ、φ)の初期値のセット)をランダムに選択し(ステップ660)、更なる最適化のためにステップ648に戻る。
【0110】
プロセス640は、上記で説明したステップを経て1回又は複数回ループし得、最大反復回数に従って、最終的に試行を停止し、NMSEの大域(又は近大域)最小値が達成される。次に、各光ビーム610の状態変数(θ、φ)の対応する値が、TVCP106の光変換ユニット122を構成するために使用される。
【0111】
いくつかの実施形態では、最適化プロセスは、光ビームを複数の群に分けることがある。例えば、図19に示す例では、最適化プロセスは、光ビームを、入射点が円626A又は626B内にある4つの光ビームをそれぞれ含む2つの群に分けることがある。次いで、最適化プロセスは、NMSEを最小化するための制御変数が円626A及び626Bの回転半径及び回転度であるコスト関数を形成し得る。
【0112】
図21図25は、三角形の照明領域(図21)、正方形の照明領域(図22)、五角形の照明領域(図23)、円形の照明領域(図24)及びドーナツ形又はリング状の照明領域(図25)を含む、像面上の異なる形状の標的照明領域内に均一な光強度分布を作成するためのGD法を用いた最適化結果を示す。
【0113】
メタ表面の作製技術
メタ表面ベースのTVCP106は、電子ビームリソグラフィなどの任意の好適な方法を用いて作製され得る。しかしながら、この技術は、コスト及び時間がかかり、小さいメタ表面の作製にのみ好適である。上記で説明したTVCP106は、通常、センチメートルスケールの直径を有するメタ表面を必要とするため、従来の電子ビームリソグラフィ技術は、迅速でなく且つコスト効率が高くない場合がある。
【0114】
いくつかの実施形態では、上記で説明したメタ表面ベースのTVCP106などのメタ表面を作製するために、深紫外線(UV)リソグラフィ技術が使用される。深紫外線リソグラフィ技術は、半導体分野において使用される十分に確立された技術であるが、本出願人の知る限り、メタ表面の作製には使用されていない。
【0115】
この技術では、クロム層をガラスウェハ上に堆積させる。次いで、ウェハがレジストでスピンコーティングされ、続いてUV露光及び現像が行われる。最終的に、メタ表面パターンは、クロム層をエッチングすることによって画定される。そのような技術は、単一のプロセスを通して大きいウェハ上に複数のメタ表面の作製することを可能にし、それにより迅速であり且つコスト効率の高い作製をもたらす。その上、深紫外線リソグラフィ技術は、シリカ、二酸化チタン又はアモルファスシリコンを用いる、可視波長範囲及び赤外波長範囲のためのメタ表面の作製も可能にする。
【0116】
均一な照明パターンを有する照明システム
上記で説明したように、屋内植物の生育のために使用されるLEDパネルなどの従来の照明システムは、通常、植物全体にわたる均一な配光をもたらさない。
【0117】
図4及び図18に示す実施形態と同様のいくつかの実施形態では、グローライトシステムなどの照明システム700の均一又はほぼ均一な照明は、TVCP層などの角度制御光変換層106を発光層104の前側に重ね合わせることによって得ることができる。図26に示すように、発光層104は、TVCP106を通過して像面(図示せず)に向かう複数の光ビーム702を発する。各光ビーム702の空間分布は、角度β、θ及びφによって特徴付けられ得、角度βは、光ビーム702の角度広がりを決定し、角度θ及びφは、光ビーム702の方向を決定する。
【0118】
TVCP106は、各光変換ユニット122がメタ表面を含む、所定のパターンで配置された1つ又は複数の光変換ユニット122を含む。TVCP106の各光変換ユニット122は、像面内の光円錐の角度範囲、高度及び緯度を任意に変更するために、対応する光ビーム702の角度β、θ及びφを正確に制御するように構成される。TVCP106は、さもなければ像面内に存在する配光の対称性を効果的に失わせる(例えば、図2を参照されたい)。TVCP106の使用は、角度β、θ及び/又はφの僅かな変化が像面内の強度分布に有意差をもたらし得るという点で有効である。したがって、ほぼ全ての任意の強度分布が生成され得る。
【0119】
照明システム700は、像面に均一な照明パターンを生成するために使用され得、グローライトとして使用され得る。作製及び実装を容易にするために、異なる設計を有するメタ表面の数を最小限に抑える必要があることに留意されたい。
【0120】
いくつかの実施形態では、均一照明システム700のTVCP106は、分割メタ表面のセットと、の収束メタ表面のセットとを含む2つのタイプのメタ表面のみを含み得る。
【0121】
分割メタ表面は、2つの直交偏光状態の光を正反対の方向に導くことによって光ビームの角度β、θ、φを修正する偏光感知メタ表面である。これらの実施形態では、発光層104(例えば、LED発光層)は、非偏光光を発し、分割メタ表面において2つの正反対の方向にパワーが等しく分割されることを確実にする。
【0122】
図27Aに示すように、TVCP106の分割メタ表面122A及び122Bは、像面(図示せず)上の対象とする照明パターンの境界に光ビーム702A及び702Bをそれぞれ分布させるように構成される。
【0123】
図27Bは、発光層からの光を分割して、対応する境界に垂直方向に光を導くために分割メタ表面を用いることによって作成された、垂直境界に沿って著しく分布した光エネルギー(以下では、指向性光は、「垂直境界集束光」と呼ばれる)を有する像面上の照明パターン704Aを示す。
【0124】
同様に、図27Cは、発光層からの光を分割して、対応する境界に水平方向に光を導くために90°回転させた分割メタ表面(図27Bにおいて使用した分割メタ表面と同様であるが、90°回転させた光エネルギー分布を有する)を用いることによって作成された、水平境界に沿って著しく分布した光エネルギー(以下では、指向性光は、「水平境界集束光」と呼ばれる)を有する像面上の照明パターン704Bを示す。
【0125】
図27Bに示すような水平/垂直境界集束光は、導かれた光が重なり合って、実質的に領域の4つの境界に沿って集中した光エネルギーを有する照明パターン706を形成することを可能にするように、像面上の同じ標的領域に導かれ得る(図28の概念図を参照されたい)。
【0126】
図29A及び図29Bに示すように、収束メタ表面122Cは、光ビーム702Cの円錐の方向を変化させずに光ビーム702Cの角度βを修正するように構成される。したがって、収束メタ表面122Cは、像面上の標的領域の中心に光ビーム702Cを分配し、それにより実質的に標的領域の中心に集束された光エネルギーを用いて照明パターンを作成する。
【0127】
図30に示す概念図によって図示するように、光ビームを同じ標的領域に導くために分割メタ表面122A及び122Bと収束メタ表面122Cとを用いることにより、照明パターン706(図28に示す照明パターン704Aと704Bとの組み合わせである)及び708は、標的領域内に均一な配光を得るために組み合わされ得る。
【0128】
そのような均一な配光は、メタ表面ベースのTVCP106と像面712との間の距離と実質的に無関係である。図31に示すように、配光は、分布の均一性を損なわずに、単に異なる距離だけ離れて拡大縮小される。
【0129】
図32は、メタ表面122のアレイを用いたTVCP106の例示的な実装態様を示す。図示を容易にするために、2つのメタ表面122のみが示されている。
【0130】
これらの実施形態では、TVCP106は、発光層104のプリント回路基板(PCB)724上に取り付けられたLED110を覆うメタ表面ハウジング722を含む。メタ表面ハウジング722は、LED110に対応する位置に複数の受け部726を含む。各受け部726は、発光層104から発せられた光を受け入れるための内側開口と、受け入れた光を通過させるための外側開口とを有する、外方に広がる内面を含み、外側開口は、内側開口の面積よりも大きい面積を有する。
【0131】
これらの実施形態では、受け部726の内面は、照明全体に寄与するように光線(受け部726内のLED110から発せられた)を高角度で反射させ、それにより照明全体の効率を高めるために反射性である。最大の光スループットは、内面の断面が放物面形状であり、及びLEDが内面の中心に位置する場合に達成される。図33は、発光層104に結合されたメタ表面ハウジング722を示す写真である。
【0132】
複数のメタ表面ユニット122は、エポキシ及び/又は接着剤などの好適な締結手段を用いてメタ表面ハウジング722の受け部726に固定されるか又は他に結合され、それによりLED110とメタ表面ユニット122との位置合わせを確実にする。
【0133】
偏光選択性照明
植物は、多くの場合、秩序のある配置を有する成分で構成される。結果として、植物の光吸収は、多くの場合、偏光に敏感である。換言すれば、植物は、特定の偏光状態における光を他の偏光状態における光よりも多く吸収し得る。したがって、光合成は、特定の偏光状態の照明を用いて最適化され得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示するグローライトのメタ表面ベースの光変換層106は、偏光選択性であり得、この光変換層106は、図34に示すような非対称基部形状732を有するようにメタ表面のナノスケール構造124を配置することによって実装され得る。したがって、そのようなメタ表面ベースの光変換層106を備えたグローライトは、光合成のための光を最適化するために、特定の偏光状態の光で植物を照明するために使用され得る。概して、光変換層106のメタ表面は、直線偏光状態、円偏光状態及び一般に楕円偏光状態を含む様々な偏光状態で植物を照明するように設計され得る。直線偏光照明は、特定の方向に配向された繊維からなる植物の光合成を最適化するために使用され得、及び円偏光照明は、螺旋構造を有する成分からなる植物の光合成を最適化するために使用され得る。
【0135】
光起電力セルのためのメタ表面ベースのTVCP
太陽電池では、常に望ましいが、太陽電池の光起電力セルによる完全な光吸収は、入射光のスペクトルと、光起電力セルのスペクトル応答との不一致に起因して達成することが困難である。図35に示すように、光起電力セル844の表面で発生した光反射842によっても、さもなければ光起電力セル844によって吸収され得る太陽エネルギーの損失が生じる。
【0136】
いくつかの実施形態では、メタ表面ベースのTVCPは、例えば、1つ若しくは複数のシリコンベース及び/又は1つ若しくは複数の量子ドット光起電力セルを有する光起電力パネルに組み込まれ得、光起電力パネルでは、メタ表面ベースのTVCPは、光起電力セルに特定の波長の光を効果的に送るように構成され得る。その上、メタ表面ベースのTVCPは、光起電力パネルのサイズの大幅な縮小を可能にする。
【0137】
当業者であれば分かるように、メタ表面は、ナノスケール構造を含む。メタ表面のナノスケール構造の形状及び分布は、特定の用途の要件を満たすように設計され得るか又は他に構成され得る。例えば、メタ表面は、標的スペクトルの入射光の一部をメタ表面に通過させるか又は他に透過させ、及び標的スペクトルからの入射光の他の部分を完全に反射するように設計され得る。
【0138】
図36に示すいくつかの実施形態では、メタ表面ベースのTVCP106は、例えば、1つ又は複数のシリコンベース及び/又は量子ドット光起電力セルを有する光起電力パネル852の前側に配置され得る。メタ表面ベースのTVCP106は、光起電力セルのスペクトル応答と一致するスペクトル応答を有する複数のメタ表面ユニット(図示せず)を含む。したがって、光起電力パネル852が単独で使用される場合、十分に吸収されないスペクトルが熱に変わることがあり、他の望ましくない影響によって光起電力パネル852の性能が低下するため、メタ表面ベースのTVCP106と光起電力パネル852との組み合わせは、光起電力パネル852単独と比較して著しく効率的である。そのような配置又は組み合わせは、LEDなどの人工照明源から光エネルギーを収集する屋内光起電力セルにとって特に重要であり、この屋内光起電力セルでは、メタ表面ユニットは、光源の特定の照明スペクトルと一致し、光起電力セルによって効率的に吸収できない他の光を拒絶するように設計され得る。
【0139】
メタ表面の別の重要な用途は、光線を別の方向に向け直す上記で説明した能力にある。図37に示すように、前側におけるメタ表面ベースのTVCP106は、光起電力パネル852であって、メタ表面ベースのTVCP106は、光起電力パネル852の小さい領域に入射光線854を収束させるように構成され、したがって光起電力パネル852のサイズが大幅に縮小され得る、光起電力パネル852であり得る。図38は、比較のための、メタ表面ベースのTVCP106のない先行技術の光起電力パネル844を示す。
【0140】
メタ表面を用いた超指向性スクリーン
従来のスクリーン又はディスプレイは、通常、その視野(FOV)の広い角度広がりを有する。しかしながら、いくつかの用途では、ディスプレイのFOVを制限することが望ましいことがある。
【0141】
本明細書では、FOVという用語は、構成要素(例えば、LED層、メタ表面層など)から発せられた(例えば、円錐形状又は他の形状の)照明の角度範囲を指し、種々の実施形態では、光は、照明のために又は1つ若しくは複数の画像を表示するために使用され得る。FOVは、構成要素から発せられた光の方向及び3次元(3D)角度広がりによって特徴付けられ得る。
【0142】
例えば、車両又は飛行機内のディスプレイは、概して、個人のみによって見られる。しかしながら、図39に示すように、車両又は飛行機(図示せず)内に広いFOV868(すなわち広い角度広がりを有するFOV868)を有するディスプレイ862は、不必要に周囲領域に光を発し、その結果、ディスプレイ862の前方にいるユーザ864への輝度の低下、光エネルギーの浪費、ユーザ864に隣接する人866への妨害をもたらし得る。
【0143】
同様に、家庭又は劇場内で使用される広いFOVのディスプレイは、壁及び天井などの周辺領域を照らし、ディスプレイの前方にいるユーザへの輝度の低下と、光エネルギーの浪費とにつながるであろう。
【0144】
その上、ATMのディスプレイ、銀行内のディスプレイ、機密性の高い作業のためにユーザが使用しているノート型パソコンのディスプレイなど、強化されたセキュリティ又はプライバシーを必要とするいくつかの用途では、これらの用途における広いFOVのディスプレイは、上記で説明した輝度低下の問題、光エネルギーの浪費及び/又は隣接する人への妨害に加えて、セキュリティ又はプライバシーのリスクも引き起こし得るため、指向性の高いディスプレイが必要になることがある。
【0145】
図40は、本開示のいくつかの実施形態による、メタ表面を用いた超指向性スクリーン又はディスプレイ870を示す。超指向性スクリーン870は、ディスプレイ又はディスプレイ層872と、その前側におけるメタ表面パネル又は層874とを含む。
【0146】
先に説明した光変換層106と同様に、メタ表面パネル874は、ディスプレイ872から発せられた光を、ディスプレイ872のFOV876よりも小さい所定のFOV878内に制限するように所望の方向に光を導き、それにより、ディスプレイ872上に示された内容を対象者864のみが確認できるように仮想視覚バリアを作成する、ナノスケール構造のアレイで構築された複数のメタ表面ユニットを含む。
【0147】
この超指向性スクリーン870は、
・より小さい領域への光エネルギーの集中分布に起因する優れた輝度、
・対象としない領域の照明の回避と、対象とする領域への光エネルギーの均一な分布とに起因する改善された電力効率、及び
・視覚情報としての強化されたセキュリティ及びプライバシーを超指向性スクリーン870の前方にいる対象者のみが視認できること
を含む多くの利点を有する。
【0148】
上記で説明したように、メタ表面は、非対称形状を備えたメタ表面のナノ構造を作製することによって達成される、異なる偏光状態の光と異なる態様で相互作用するように設計され得る。
【0149】
図41は、いくつかの実施形態における可変視野(VFOV)スクリーン又はディスプレイ880を示す。MFOVディスプレイ880は、ディスプレイ872と、ディスプレイ872の前側における偏光制御パネル884と、偏光制御パネル884の前側における偏光感知メタ表面パネル886とを含む。
【0150】
これらの実施形態では、偏光制御パネル884は、液晶偏光回転子を用いて実装され得、及びディスプレイ872から発せられた光の偏光を2つの直交偏光状態のいずれか一方に制御するための調整可能な制御信号Vによって制御される。
【0151】
MFOVディスプレイ880は、図11A及び図11Bに示す発光装置又はディスプレイ200と同様であるが、これらの実施形態におけるMFOVディスプレイ880は、図11A及び図11Bに示す発光装置又はディスプレイ200が導くように、異なる偏光状態の光を異なる方向のFOVに導くことはない。むしろ、これらの実施形態における偏光感知メタ表面パネル886は、第1の偏光状態における光を、第1の角度広がり888を有する第1のFOVに導き、及び第2の偏光状態における光を、第2の角度広がり890を有する第2のFOVを形成するように導くために、偏光された光と相互作用する。例えば、第1の角度広がり888は、表示内容を視認するためのMFOVディスプレイ880に関する、複数のユーザ864及び866にとって好適な広い角度広がりであり得、及び第2の角度広がり890は、ユーザ864が表示内容を視認することのみを可能にするための、第1の角度広がり888よりも小さい狭い角度広がりであり得る。
【0152】
上記の実施形態では、偏光制御パネル884は、制御信号が第1の電圧にあるとき、偏光制御パネル884を通過する全ての光を第1の偏光状態に偏光させ、及び制御信号が第2の電圧にあるとき、偏光制御パネル884を通過する全ての光を第2の偏光状態に偏光させる。このように、ユーザ864は、隣接する人と表示内容を共有するための、及び仮想視覚バリアを作成して、他の人が表示内容を視認することを防止するための、それぞれ第1の角度広がりと第2の角度広がりとの間でMFOVディスプレイ880のFOVを切り替え得る。
【0153】
図42に示す別の実施形態では、MFOVディスプレイ880は、図10A及び図10Bで説明したディスプレイと同様である。具体的には、ディスプレイ872は、ユニットの各セットが画像を表示するために使用され得る、2セットのユニット(設計に応じてピクセル又はサブピクセル)を含む。
【0154】
それに対応して、偏光制御パネル884及び偏光感知メタ表面パネル886の各々は、ディスプレイ872の2セットのユニットに対応する2セットのユニットも含む。偏光制御パネル884のユニットの各セットは、別個の制御信号V1又はV2によって制御され、及び偏光感知メタ表面パネル886のユニットの各セットは、特定の偏光状態と一致し、偏光状態の光を特定のFOVに導く。
【0155】
したがって、ディスプレイ872は、2セットのピクセル/ユニットを用いて2つの画像を同時に表示し得、偏光制御パネル884は、第1の画像及び第2の画像の光を第1の偏光状態及び第2の偏光状態に偏光させる。次に、偏光感知メタ表面パネル886は、第1の偏光状態における光(すなわち第1の画像)を、第1の画像を複数の人864及び866と共有するための広い角度広がりを有する第1のFOVに導き、及び第2の偏光状態における光を、人866が第2の画像を視認することを防止するための狭い角度広がりを有する第2のFOVに導く。
【0156】
例えば、図43A及び図43Bに示すように、ディスプレイは、画像892Aが、広い角度広がりの第1のFOV内に表示され、及び画像892Bが、狭い角度広がりの第2のFOV内に表示される、2つの画像892A及び892Bを同時に表示する。
【0157】
図43Cに示すように、ディスプレイ872は、画像892A及び892Bを同時に及び並べて表示するために並べて配置された第1のセットのピクセル894A及び第2のセットのピクセル894Bにピクセルを分ける。
【0158】
図43Dに示すように、偏光制御パネル884は、通過する光を第1の偏光状態に偏光させるための、第1のセットのピクセル894Aに対応する第1のセットの偏光ユニット896Aと、通過する光を第2の偏光状態に偏光させるための、第2のセットのピクセル894Bに対応する第2のセットの偏光ユニット896Bとを備えた、ディスプレイ872のピクセルに対応する複数の偏光ユニット894を含む。
【0159】
図43Eに示すように、偏光感知メタ表面パネル886は、偏光制御パネル884の偏光ユニット894に対応する複数のメタ表面ユニット898であって、メタ表面ユニット898を通過する第1の偏光状態における光を(広い角度広がりを有する)第1のFOVに導き、及びメタ表面ユニット898を通過する第2の偏光状態における光を(狭い角度広がりを有する)第2のFOVに導く複数のメタ表面ユニット898を含む。
【0160】
結果として、第1の画像892Aは、第1のFOVに向けられ、及び第2の画像892Bは、第2のFOVに向けられる。図43Fに示すように、画像892A及び892Bは、第1のFOVと第2のFOVとの両方に位置するユーザ864にとって視認可能であり、第1のFOV(広い角度広がりを有する)にのみ位置するユーザ866は、第1の画像892Aのみを確認することができる。換言すれば、画像892Bは、第1のFOVにのみ位置するユーザ866には視認できない。
【0161】
メタ表面を用いた3次元(3D)ディスプレイ
図44は、本開示のいくつかの実施形態による、メタ表面を用いた3Dディスプレイ900を示す。図示のように、3Dディスプレイ900は、ディスプレイ872と、ディスプレイ872の前側における偏光感知メタ表面パネル886とを含む。ディスプレイ872は、非偏光光(概して両方の偏光状態を含む)を発することによって画像を表示する。偏光感知メタ表面パネル886は、第1の偏光状態における光を第1のFOV888に導き、及び第2の偏光状態における光を、第1のFOV888から横方向に僅かにずらされた第2のFOV890に導くように構成される。異なる偏光状態に偏光させるレンズを有する眼鏡を掛けたユーザ864は、一方の眼で第1の画像を、及び他方の眼で第2の画像を確認し、第2の画像には、第1の画像からの僅かな遠近歪みがあり、それにより表示画像の3D知覚を生成する。
【0162】
いくつかの実施形態では、3Dディスプレイ900は、ディスプレイ872と偏光感知メタ表面パネル886との間に挟まれた偏光制御パネル884も含み得る。偏光制御パネル884は、動作中にディスプレイ872からの光を第1の偏光状態と第2の偏光状態とに交互に偏光させる。
【0163】
図45は、本開示のいくつかの実施形態による、メタ表面を用いた3Dディスプレイ920を示す。3Dディスプレイ920は、図44に示すものと同様である。しかしながら、偏光感知メタ表面パネル886は、第1の偏光状態における光を、ユーザ864の第1の眼のみをカバーする第1のFOV888に導き、及び第2の偏光状態における光を、ユーザ864の第2の眼のみをカバーする第2のFOV890に導くように構成される。したがって、偏光レンズを有する眼鏡を掛けていないユーザ864は、一方の眼で第1の画像を、及び他方の眼で第2の画像を確認し得、第2の画像には、第1の画像からの僅かな遠近歪みがあり、それにより表示画像の3D知覚を生成する。
【0164】
いくつかの実施形態では、3Dディスプレイ920は、ディスプレイ872と偏光感知メタ表面パネル886との間に挟まれた偏光制御パネル884も含み得る。偏光制御パネル884は、動作中にディスプレイ872からの光を第1の偏光状態と第2の偏光状態とに交互に偏光させる。
【0165】
太陽電池セル角度補正
先行技術では、太陽光パネルは、太陽光反射の問題に直面し得る。
【0166】
当業者であれば理解するように、太陽光の入射角は、光起電力セルの効率に重大な影響を及ぼし得る。図46に示すように、太陽光パネル942の光起電力セルは、太陽光944が光起電力セルに垂直に衝突するときに最も効率が高い。
【0167】
図47に示すように、太陽光944が太陽光パネル942の光起電力セルに対して垂直でない角度をなす異なる時点では、太陽光の一部946が反射されて光起電力セルの効率が低下する。したがって、固定された太陽光パネルの光起電力セルは、1日の異なる時点及び1年の異なる日に異なる効率を有するであろう。太陽を追尾するように太陽光パネルを回転させることによって光起電力パネルの効率を改善するための太陽追尾システムが使用されているが、そのようなシステムは、追尾システムと可動部とを必要とし、かかるシステムを製造及び使用するコストが高くなる。
【0168】
図48及び図49は、1つ又は複数の光起電力セルを有する太陽光パネル972と、その前側における複数のTVCP974とを含む太陽エネルギー収集装置970を示す。埋め込まれた偏光制御パネルを用いて、各TVCP974の応答が変化し得る偏光感知メタ表面を用いることにより、複数のTVCP974は、所定の範囲内の入射角で入射する太陽光944が太陽光パネル972に衝突するときに光起電力セルに対して垂直になり、それにより太陽追尾システム又は可動部の必要なしに効率を改善するように、太陽光944の方向を変化させ得る。
【0169】
上記で説明したいくつかの実施形態では、発光装置及び/又はシステムは、屋内又は屋外植物の生育などの植物生育のために使用される。しかしながら、当業者であれば、本明細書に開示する発光装置及び/又はシステムが代替的に街路灯などの他の用途で使用され得ることを認識するであろう。
【0170】
実施形態について添付の図面を参照して上記で説明してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく、変更形態及び修正形態がなされ得ることを認識するであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図27C
図28
図29A
図29B
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43A
図43B
図43C
図43D
図43E
図43F
図43G
図44
図45
図46
図47
図48
図49