(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】PDE3/PDE4二重阻害剤の結晶及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20250311BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20250311BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20250311BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
C07D471/04 116
C07D471/04 CSP
A61K31/519
A61P11/00
A61P11/06
(21)【出願番号】P 2022543115
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 CN2021072151
(87)【国際公開番号】W WO2021143843
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】202010043882.5
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ウェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,ユンフ
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ,ティン
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】特表2023-512475(JP,A)
【文献】特許第7491896(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
A61K 31/519
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【化1】
【請求項2】
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、及び16.35±0.2°から選ばれる2θ角度で
の6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.14±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、及び11.50±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、及び16.35±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、9.35±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、14.52±0.2°、16.35±0.2°、21.52±0.2°、及び24.57±0.2°に回折ピークを有する請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項3】
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
下記の図1
に示すとおりである請求項1又は2に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項4】
式(I)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が146.23±2℃及び/又は162.19±2℃で吸熱ピークを有し、又は、示差走査熱量測定曲線が172.65±2℃及び/又は241.73±2℃で発熱ピークを有する請求項1~3のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項5】
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、20.83±0.2°、24.73±0.2°、及び26.13±0.2°から選ばれる2θ角度での5個、6個、7個、8個、9個、10個又は11個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.81±0.2°、13.96±0.2°、15.01±0.2°、17.95±0.2°、及び24.73±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、20.83±0.2°、24.73±0.2°、及び26.13±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.81±0.2°、8.38±0.2°、9.13±0.2°、11.16±0.2°、11.60±0.2°、12.82±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、18.91±0.2°、20.83±0.2°、24.36±0.2°、24.73±0.2°、25.78±0.2°、及び26.13±0.2°に回折ピークを有する請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項6】
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
下記の図4
に示すとおりである請求項1又は5に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項7】
式(I)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が247.70±2℃で発熱ピークを有する請求項1、5、及び6のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項8】
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、及び23.41±0.2°から選ばれる2θ角度で
の6個、7個、8個又は9個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、及び14.34±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、及び23.41±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、9.07±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、18.15±0.2°、19.26±0.2°、20.85±0.2°、及び23.41±0.2°に回折ピークを有する請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項9】
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
下記の図7
に示すとおりである請求項1又は8に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項10】
式(I)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が152.26±2℃及び/又は247.92±2℃で発熱ピークを有する請求項1、8、及び9のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項11】
式(II)化合物の結晶であり、
【化2】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、及び24.42±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、11.97±0.2°、及び14.75±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、及び24.42±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、12.72±0.2°、13.93±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、17.91±0.2°、19.25±0.2°、19.90±0.2°、20.57±0.2°、24.42±0.2°、及び25.70±0.2°に回折ピークを有する請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項12】
式(III)化合物の結晶であり、
【化3】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、16.58±0.2°、及び25.03±0.2°から選ばれる2θ角度での3個、4個、5個又は6個の回折ピークを含み、又は、CuKα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度6.53±0.2°、12.48±0.2°、及び13.11±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、16.58±0.2°、及び25.03±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、14.04±0.2°、16.58±0.2°、25.03±0.2°、25.56±0.2°、及び26.66±0.2°に回折ピークを有する請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項13】
式(IV)化合物の結晶であり、
【化4】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、24.45±0.2°、及び25.87±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度11.22±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、及び24.45±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、24.45±0.2°、及び25.87±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、及び25.87±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、13.88±0.2°、15.49±0.2°、16.04±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.54±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、20.02±0.2°、20.51±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、24.83±0.2°、25.42±0.2°、25.87±0.2°、26.09±0.2°、及び29.53±0.2°に回折ピークを有する請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項14】
式(IV)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が191.35±2℃で吸熱ピークを有し且つ/又は222.21±2℃で発熱ピークを有する請求項
1または13に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項15】
式(V)化合物の結晶であり、
【化5】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、24.71±0.2°、及び25.16±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、及び10.98±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、24.71±0.2°、及び25.16±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、11.59±0.2°、13.23±0.2°、16.27±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、21.63±0.2°、24.71±0.2°、及び25.16±0.2°に回折ピークを有する請求項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【請求項16】
式(I)化合物の薬学的に許容される塩であって、前記薬学的に許容される塩は硫酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メシル酸塩又はマレイン酸塩で
ある、
【化6】
前記式(I)化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項17】
前記式(I)化合物の硫酸塩は式(II)化合物から選ばれ、
【化7】
前記式(I)化合物のp-トルエンスルホン酸塩は式(III)化合物から選ばれ、
【化8】
前記式(I)化合物のメシル酸塩は式(IV)化合物から選ばれ、
【化9】
または、
前記式(I)化合物のマレイン酸塩は式(V)化合物から選ばれる、
【化10】
請求項16に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項18】
請求項1~
15のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶を含む結晶組成物であって、前記結晶は前記結晶組成物の重量の50%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上を占める結晶組成物。
【請求項19】
治療有効量の請求項1~
15のいずれか1項に記載の式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩の結晶、請求項
16または17に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩、又は請求項
18に記載の結晶組成物を含む医薬組成物。
【請求項20】
方法1又は方法2で式(I)化合物を製造することを含む式(I)化合物の製造方法であって、
前記方法1は、(1)化合物1-2aを反応させて化合物BB-4を得ることと、(2)化合物BB-4と5-ヒドロキシ-3-メチル-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸とを反応させて式(I)化合物を得ることとを含み、
【化11】
前記方法2は、化合物1-4bを反応させて式(I)化合物を得ることを含む、
【化12】
式(I)化合物の製造方法。
【請求項21】
方法1で式(I)化合物を製造し、ただし、化合物BB-1と化合物1-1aとを反応させることで化合物1-2aを得る、
【化13】
請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
方法2で式(I)化合物を製造し、ただし、化合物BB-4と化合物1-3bとを反応させて化合物1-4bを得る、
【化14】
請求項
20に記載の方法。
【請求項23】
化合物1-1bを反応させることで化合物BB-4を得る、
【化15】
請求項
20又は22に記載の方法。
【請求項24】
化合物BB-1と化合物aを反応させることで化合物1-1bを得、
【化16】
ここで、Xはハロゲンから選ばれ、又は、XはCl、及びBrから選ばれ、又は、XはBrから選ばれる請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
式(I)化合物とテトラヒドロフランとを混合し、その後、酸の水溶液を加え、分離して対応の薬学的に許容される塩を得ることを含む請求項
16又は17に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩の製造方法。
【請求項26】
式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩を、メタノール、エタノールと水との混合溶媒、アセトニトリル、及びテトラヒドロフランと水との混合溶媒から選ばれる溶媒から析出させること、
又は、式(I)化合物とテトラヒドロフランとを混合し、酸及び/又は塩基の水溶液を加えて反応させて、式(I)化合物の塩を結晶の形態でテトラヒドロフランと水との混合溶媒から析出させること
を含む請求項1~
15のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶の製造方法。
【請求項27】
PDE3及び/又はPDE4関連の疾患、任意選択で喘息、及び慢性閉塞性肺疾患から選ばれるPDE3及び/又はPDE4関連の疾患を予防又は治療に使用するための、請求項1~
15のいずれか1項に記載の式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩の結晶、請求項
16または17に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩、請求項
18に記載の結晶組成物、又は請求項
19に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願では、2020年1月15日に中国国家知識産権局に提出された中国発明特許出願第202010043882.5号の優先権が主張され、それが全体として援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、PDE3/PDE4二重阻害剤としての結晶、及びPDE3/PDE4関連の疾患、具体的には慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は11のファミリーを含むスーパーファミリー酵素群であり、各ファミリーは異なるシグナル伝達に関与し、異なる生理学的プロセスを調節する。そのうち、PDE3はヒト気道平滑筋(ASM)における主なホスホジエステラーゼで、PDE3を阻害すると細胞内cAMPの濃度が上昇し、気管支平滑筋が弛緩する。PDE4は炎症誘発性メディエーター及び抗炎症性メディエーターの発現で主な調節作用を果たし、PDE4阻害剤は炎症性細胞の有害なメディエーターの放出を阻害することができる。したがって、PDE3とPDE4の両方に阻害効果を有する阻害剤ならβ-アドレナリン受容体アゴニストの気管支拡張効果(bronchodilation)及びグルココルチコイドの吸入による抗炎症効果(anti-inflammatory action)を有する。二重標的の機能上の相互補完は理論的に単一の標的よりも大きな効果を有し、従来併用投与でしか得られない治療効果を単一の薬剤で実現し、併用投与の成分薬物の物理的及び化学的特性が完全には適合できないという欠点を解消し、投与方式が一層容易になり、一定用量での投与に有利である。
【0004】
Victoria Boswell et al,J.Pharmaco.Experi.Therap.2006,318,840-848、WO200005830には化合物RPL554、RPL565が報告され、長期的な気管支拡張及び抗炎症効果を有し、溶解度が悪く、血漿クリアランスが高いなどの物理的及び化学的特性を有するため、吸入投与に適するのに対し、PDE4に対するその阻害活性が満足できず、抗炎症効果が芳しくないことがデータから判明したため、良好なPDE3/4阻害活性を併せ持つ化合物の開発が必要である。一般には、薬物の製造、保管及び製剤などに関する要件を満たすために、薬物活性、薬物動態、生物学的利用能、吸湿性、融点、安定性、溶解性、純度、製造しやすさなどにおいて優れた特性が求められるため、PDE3/4阻害活性を有する化合物の結晶を開発する必要がある。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Victoria Boswell et al,J.Pharmaco.Experi.Therap.2006,318,840-848.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の一態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶が提供される。
【化2】
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態において、式(I)化合物の結晶が提供される。
【0009】
本願の別の態様では、さらに、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが2θ角度4.14±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、11.50±0.2°に回折ピークを有する式(I)化合物のA型結晶が提供される。
【0010】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、16.35±0.2°に回折ピークを有する。
【0011】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、9.35±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、14.52±0.2°、16.35±0.2°、21.52±0.2°、24.57±0.2°に回折ピークを有する。
【0012】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、9.35±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、14.52±0.2°、16.35±0.2°、21.52±0.2°、24.57±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個又は12個の回折ピークを含む。
【0013】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、16.35±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含む。
【0014】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度が次の表1に示すとおりである。
【表1】
【0015】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
図1に示すとおりである。
【0016】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、示差走査熱量測定曲線が146.23±2℃及び/又は162.19±2℃で吸熱ピークを有する。
【0017】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、示差走査熱量測定曲線が172.65±2℃及び/又は241.73±2℃で発熱ピークを有する。
【0018】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、示差走査熱量測定曲線が146.23±2℃及び162.19±2℃で吸熱ピークを有し、且つ172.65±2℃及び241.73±2℃で発熱ピークを有する。
【0019】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、示差走査熱量測定曲線が
図2に示すとおりである。
【0020】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶の熱重量分析曲線は、118.40±2℃で重量損失が0.4611%であり、118.40±2℃~185.65±2℃で重量損失が0.8796%であり、185.65±2℃~260.07±2℃で重量損失が7.177%である。
【0021】
本願のいくつかの実施形態において、前記A型結晶は、熱重量分析曲線が
図3に示すとおりである。
【0022】
本願の別の態様では、メタノール溶媒から式(I)化合物を析出させるステップを含むA型結晶の製造方法が提供される。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記ステップは40℃下で攪拌しながら行う。
【0024】
本願の別の態様では、さらに、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが2θ角度5.81±0.2°、13.96±0.2°、15.01±0.2°、17.95±0.2°、24.73±0.2°に回折ピークを有する式(I)化合物のB型結晶が提供される。
【0025】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、17.95±0.2°、24.73±0.2°、26.13±0.2°に回折ピークを有する。
【0026】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、20.83±0.2°、24.73±0.2°、26.13±0.2°に回折ピークを有する。
【0027】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.81±0.2°、8.38±0.2°、9.13±0.2°、11.16±0.2°、11.60±0.2°、12.82±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、18.91±0.2°、20.83±0.2°、24.36±0.2°、24.73±0.2°、25.78±0.2°、26.13±0.2°に回折ピークを有する。
【0028】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.81±0.2°、8.38±0.2°、9.13±0.2°、11.16±0.2°、11.60±0.2°、12.82±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、18.91±0.2°、20.83±0.2°、24.36±0.2°、24.73±0.2°、25.78±0.2°、26.13±0.2°から選ばれる2θ角度での5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0029】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、20.83±0.2°、24.73±0.2°、26.13±0.2°から選ばれる2θ角度での5個、6個、7個、8個、9個、10個又は11個の回折ピークを含む。
【0030】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、17.95±0.2°、24.73±0.2°、26.13±0.2°から選ばれる2θ角度での5個、6個、7個、8個又は9個の回折ピークを含む。
【0031】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度が次の表2に示すとおりである。
【表2】
【0032】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
図4に示すとおりである。
【0033】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、示差走査熱量測定曲線が247.70±2℃で発熱ピークを有する。
【0034】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、示差走査熱量測定曲線が
図5に示すとおりである。
【0035】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶の熱重量分析曲線は、155.75±2℃で重量損失が0.4870%であり、155.75±2℃~262.18±2℃で重量損失が7.287%である。
【0036】
本願のいくつかの実施形態において、前記B型結晶は、熱重量分析曲線が
図6に示すとおりである。
【0037】
本願の別の態様では、エタノールと水の混合溶媒から式(I)化合物を析出させるステップを含むB型結晶の製造方法が提供される。
【0038】
いくつかの実施形態において、前記ステップは40℃下で攪拌しながら行う。
【0039】
本願の別の態様では、さらに、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、14.34±0.2°に回折ピークを有する式(I)化合物のC型結晶が提供される。
【0040】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、23.41±0.2°に回折ピークを有する。
【0041】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、9.07±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、18.15±0.2°、19.26±0.2°、20.85±0.2°、23.41±0.2°に回折ピークを有する。
【0042】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、9.07±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、18.15±0.2°、19.26±0.2°、20.85±0.2°、23.41±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又は13個の回折ピークを含む。
【0043】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、23.41±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個又は9個の回折ピークを含む。
【0044】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度が次の表3に示すとおりである。
【表3】
【0045】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
図7に示すとおりである。
【0046】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、示差走査熱量測定曲線が152.26±2℃及び/又は247.92±2℃で発熱ピークを有する。
【0047】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、示差走査熱量測定曲線が
図8に示すとおりである。
【0048】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶の熱重量分析曲線は152.80±2℃で重量損失が1.1460%であり、152.80±2℃~262.77±2℃で重量損失が7.871%である。
【0049】
本願のいくつかの実施形態において、前記C型結晶は、熱重量分析曲線が
図9に示すとおりである。
【0050】
本願の別の態様では、アセトニトリルから式(I)化合物を析出させるステップを含むC型結晶の製造方法が提供される。
【0051】
いくつかの実施形態において、前記ステップは40℃下で攪拌しながら行う。
【0052】
本願の別の態様では、式(I)化合物の薬学的に許容される塩が提供され、前記薬学的に許容される塩は硫酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メシル酸塩又はマレイン酸塩である。
【0053】
本願の別の態様では、式(I)化合物の塩の結晶が提供される。
【0054】
本願の別の態様では、さらに、式(I)化合物の硫酸塩が提供される。いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物の硫酸塩は式(II)化合物から選ばれる。
【化3】
【0055】
本願の別の態様では、さらに、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、11.97±0.2°、14.75±0.2°に回折ピークを有する式(II)化合物の結晶が提供される。
【0056】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(II)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、24.42±0.2°に回折ピークを有する。
【0057】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(II)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、12.72±0.2°、13.93±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、17.91±0.2°、19.25±0.2°、19.90±0.2°、20.57±0.2°、24.42±0.2°、25.70±0.2°に回折ピークを有する。
【0058】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(II)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、12.72±0.2°、13.93±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、17.91±0.2°、19.25±0.2°、19.90±0.2°、20.57±0.2°、24.42±0.2°、25.70±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0059】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(II)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、24.42±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含む。
【0060】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(II)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度が次の表4に示すとおりである。
【表4】
【0061】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(II)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
図10に示すとおりである。
【0062】
本願の別の態様では、さらに、式(I)化合物のp-トルエンスルホン酸塩が提供される。いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物のp-トルエンスルホン酸塩は式(III)化合物から選ばれる。
【化4】
【0063】
本願の別の態様では、さらに、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが2θ角度6.53±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°に回折ピークを有する式(III)化合物の結晶が提供される。
【0064】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、16.58±0.2°、25.03±0.2°に回折ピークを有する。
【0065】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、14.04±0.2°、16.58±0.2°、25.03±0.2°、25.56±0.2°、26.66±0.2°に回折ピークを有する。
【0066】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、14.04±0.2°、16.58±0.2°、25.03±0.2°、25.56±0.2°、26.66±0.2°から選ばれる2θ角度での3個、4個、5個、6個、7個、8個又は9個の回折ピークを含む。
【0067】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、16.58±0.2°、25.03±0.2°から選ばれる2θ角度での3個、4個、5個又は6個の回折ピークを含む。
【0068】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度が次の表5に示すとおりである。
【表5】
【0069】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
図11に示すとおりである。
【0070】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶の熱重量分析曲線は148.23±2℃で重量損失が1.785%であり、148.23±2℃~240.99±2℃で重量損失が5.790%である。
【0071】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(III)化合物の結晶は、TGA曲線が
図12に示すとおりである。
【0072】
本願の別の態様では、さらに、式(I)化合物のメシル酸塩が提供される。いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物のメシル酸塩は式(IV)化合物から選ばれる。
【化5】
【0073】
本願では、さらに、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが2θ角度11.22±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、24.45±0.2°に回折ピークを有する式(IV)化合物の結晶が提供される。
【0074】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、24.45±0.2°、25.87±0.2°に回折ピークを有する。
【0075】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、25.87±0.2°に回折ピークを有する。
【0076】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、13.88±0.2°、15.49±0.2°、16.04±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.54±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、20.02±0.2°、20.51±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、24.83±0.2°、25.42±0.2°、25.87±0.2°、26.09±0.2°、29.53±0.2°に回折ピークを有する。
【0077】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、11.22±0.2°、12.58±0.2°、13.88±0.2°、15.49±0.2°、16.04±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.54±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、20.02±0.2°、20.51±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、24.83±0.2°、25.42±0.2°、25.87±0.2°、26.09±0.2°、29.53±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個又はそれ以上の回折ピークを含む。
【0078】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、25.87±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個又は12個の回折ピークを含む。
【0079】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、24.45±0.2°、25.87±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含む。
【0080】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが、回折ピークのピーク位置及び相対強度が次の表6に示すとおりである。
【表6】
【0081】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
図13に示すとおりである。
【0082】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、示差走査熱量測定曲線が191.35±2℃で吸熱ピークを有し且つ/又は222.21±2℃で発熱ピークを有する。
【0083】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、示差走査熱量測定曲線が
図14に示すとおりである。
【0084】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶の熱重量分析曲線は168.57±2℃で重量損失が5.427%であり、168.57±2℃~192.84±2℃で重量損失が4.678%であり、192.84±2℃~238.22±2℃で重量損失が4.621%である。
【0085】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(IV)化合物の結晶は、熱重量分析曲線が
図15に示すとおりである。
【0086】
本願の別の態様では、さらに、式(I)化合物のマレイン酸塩が提供される。いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物のマレイン酸塩は式(V)化合物から選ばれる。
【化6】
【0087】
本願の別の態様では、さらに、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°に回折ピークを有する式(V)化合物の結晶が提供される。
【0088】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、24.71±0.2°、25.16±0.2°に回折ピークを有する。
【0089】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、11.59±0.2°、13.23±0.2°、16.27±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、21.63±0.2°、24.71±0.2°、25.16±0.2°に回折ピークを有する。
【0090】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、11.59±0.2°、13.23±0.2°、16.27±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、21.63±0.2°、24.71±0.2°、25.16±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個又は12個の回折ピークを含む。
【0091】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、24.71±0.2°、25.16±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含む。
【0092】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンにおける回折ピークのピーク位置及び相対強度が次の表7に示すとおりである。
【表7】
【0093】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶は、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが
図16に示すとおりである。
【0094】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶の熱重量分析曲線は155.26±2℃で重量損失が1.928%である。
【0095】
本願のいくつかの実施形態において、前記式(V)化合物の結晶は、熱重量分析曲線が
図17に示すとおりである。
【0096】
本願の別の態様では、式(I)化合物とテトラヒドロフランを混合し、その後、酸(又は塩基)の水溶液を加え、分離して対応の塩を得ることを含む前記式(I)化合物の塩の製造方法が提供される。
【0097】
本願の更なる態様では、前記結晶を含む結晶組成物が提供され、前記結晶は結晶組成物の重量の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を占める。
【0098】
本願の別の態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化7】
前記式(I)化合物は次の方法で製造される。
(1)化合物1-2aの反応で化合物BB-4を得る。
(2)化合物BB-4と5-ヒドロキシ-3-メチル-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸の反応で式(I)化合物を得る。
【化8】
【0099】
本願の別の態様では、前記ステップ(1)とステップ(2)とを含む式(I)化合物の製造方法が提供される。
【0100】
本願の更なる態様では、化合物BB-1と化合物1-1aの反応で化合物1-2aを得るステップを含む化合物1-2aの製造方法が提供される。
【化9】
【0101】
本願の更なる態様では、化合物1-2a又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化10】
【0102】
本願の更なる態様では、次のステップを含む化合物BB-4の製造方法が提供される。
(a)化合物BB-1と化合物1-1aの反応で化合物1-2aを得る。
(b)化合物1-2aの反応で化合物BB-4を得る。
【化11】
【0103】
本願の更なる態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化12】
前記式(I)化合物は次の方法で製造される。
(1’)化合物BB-1と化合物1-1aの反応で化合物1-2aを得る。
(2’)化合物1-2aの反応で化合物BB-4を得る。
(3’)化合物BB-4と5-ヒドロキシ-3-メチル-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸の反応で式(I)化合物を得る。
【化13】
【0104】
本願の更なる態様では、前記ステップ(1’)と、ステップ(2’)と、ステップ(3’)とを含む式(I)化合物の製造方法が提供される。
【0105】
いくつかの実施形態において、化合物1-2aを得るステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒はアセトニトリル、水から選ばれる。
【0106】
いくつかの実施形態において、化合物1-2aを得るステップは塩基の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記塩基は炭酸リチウムから選ばれる。
【0107】
いくつかの実施形態において、化合物1-2aは次の方法で得る。化合物BB-1、化合物1-1aをアセトニトリルに溶解し、その後、炭酸リチウム、水を加えて反応させる。
【0108】
いくつかの実施形態において、化合物1-2aを得るステップの反応温度は100℃である。
【0109】
いくつかの実施形態において、化合物1-2aを得るステップの反応時間は70時間である。
【0110】
いくつかの実施形態において、化合物1-2aを得るステップで、化合物BB-1と化合物1-1aのモル比は1:6である。
【0111】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップは塩化水素の存在下で行う。
【0112】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒はメタノールから選ばれる。
【0113】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4次の方法で得る。化合物1-2aを塩化水素のメタノール溶液において反応させて化合物BB-4を得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップの反応温度は60℃である。
【0115】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップの反応時間は2時間である。
【0116】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップは反応終了後、石油エーテル及び酢酸エチルで処理するステップをさらに含む。
【0117】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4から式(I)化合物を得るステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒はジクロロメタンから選ばれる。
【0118】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4から式(I)化合物を得るステップは塩基の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記塩基はトリエチルアミンから選ばれる。
【0119】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4から式(I)化合物を得るステップは縮合剤の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記縮合剤はHATUから選ばれる。
【0120】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4から式(I)化合物を得るステップで、5-ヒドロキシ-3-メチル-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸と化合物BB-4のモル比は1:(1~1.2)である。
【0121】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4から式(I)化合物を得るステップの反応温度は20℃である。
【0122】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4から式(I)化合物を得るステップの反応時間は16時間である。
【0123】
本願の更なる態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化14】
前記式(I)化合物は次の方法で製造される。化合物1-4bの反応で式(I)化合物を得る。
【化15】
【0124】
本願の更なる態様では、化合物1-4bの反応で式(I)化合物を得ることを含む式(I)化合物の製造方法が提供される。
【0125】
本願の更なる態様では、化合物BB-4と化合物1-3bの反応で化合物1-4bを得ることを含む化合物1-4bの製造方法が提供される。
【化16】
【0126】
本願の更なる態様では、化合物1-1bの反応で化合物BB-4を得ることを含む化合物BB-4の製造方法が提供される。
【化17】
【0127】
本願の更なる態様では、化合物BB-1と化合物aの反応で化合物1-1bを得ることを含む化合物1-1bの製造方法が提供される。
【化18】
ここで、Xはハロゲンから選ばれる。
【0128】
いくつかの実施形態において、XはCl、Brから選ばれる。いくつかの実施形態において、XはBrから選ばれる。
【0129】
本願の更なる態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化19】
前記式(I)化合物は次の方法で製造される。
(i)化合物BB-4と化合物1-3bの反応で化合物1-4bを得る。
(ii)化合物1-4bの反応で式(I)化合物を得る。
【0130】
本願の更なる態様では、前記ステップ(i)とステップ(ii)とを含む式(I)化合物の製造方法が提供される。
【0131】
本願の更なる態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化20】
前記式(I)化合物は次の方法で製造される。
(i’)化合物1-1bの反応で化合物BB-4を得る。
(ii’)化合物BB-4と化合物1-3bの反応で化合物1-4bを得る。
(iii’)化合物1-4bの反応で式(I)化合物を得る。
【0132】
本願の更なる態様では、前記ステップ(i’)と、ステップ(ii’)と、ステップ(iii’)とを含む式(I)化合物の製造方法が提供される。
【0133】
本願の更なる態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化21】
前記式(I)化合物は次の方法で製造される。
(i’’)化合物BB-1と化合物aの反応で化合物1-1bを得る。
(ii’’)化合物1-1bの反応で化合物BB-4を得る。
(iii’’)化合物BB-4と化合物1-3bの反応で化合物1-4bを得る。
(iv’’)化合物1-4bの反応で式(I)化合物を得る。
【化22】
ここで、Xはハロゲンから選ばれる。
【0134】
いくつかの実施形態において、XはCl、Brから選ばれる。いくつかの実施形態において、XはBrから選ばれる。
【0135】
本願の更なる態様では、前記ステップ(i’’)と、ステップ(ii’’)と、ステップ(iii’’)と、ステップ(iv’’)とを含む式(I)化合物の製造方法が提供される。
【0136】
本願の更なる態様では、化合物1-1b又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化23】
【0137】
本願の更なる態様では、化合物1-4b又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【化24】
【0138】
いくつかの実施形態において、化合物1-1bを得るステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒は2-ブタノンから選ばれる。
【0139】
いくつかの実施形態において、化合物1-1bを得るステップは触媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記触媒はリン酸カリウムから選ばれ、例えば、無水リン酸カリウムである。
【0140】
いくつかの実施形態において、化合物1-1bを得るステップは共溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記共溶媒はヨウ化ナトリウムから選ばれる。
【0141】
いくつかの実施形態において、化合物1-1bの調製はリン酸カリウム及びヨウ化ナトリウムの存在下で行う。
【0142】
いくつかの実施形態において、化合物1-1bを得るステップで、化合物BB-1と化合物aのモル比は1:3である。
【0143】
いくつかの実施形態において、化合物1-1bを得るステップの反応温度は90℃である。
【0144】
いくつかの実施形態において、化合物1-1bを得るステップの反応時間は18時間である。
【0145】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒はテトラヒドロフランから選ばれる。
【0146】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップはボラン・ジメチルスルフィドの存在下で行う。
【0147】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップの反応温度は20~25℃である。
【0148】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップの反応時間は18時間である。
【0149】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップは、0℃下で、化合物1-1bをテトラヒドロフランとボラン・ジメチルスルフィドの混合物に加え、その後、温度を上げて反応させることステップを含む。いくつかの実施形態において、温度を20~25℃に上げて反応させる。
【0150】
いくつかの実施形態において、化合物BB-4を得るステップは、所定の時間(例えば、18時間)反応させた後、温度を下げる(例えば、0℃に下げる)ステップを含む。さらに、温度を下げた後にメタノールを加えるステップをさらに含む。さらに、メタノールを加えた後にpHを調整するステップをさらに含む。さらに、pH調整後の生成物濃縮ステップをさらに含む。さらに、精製ステップをさらに含む。
【0151】
いくつかの実施形態において、前記メタノールを加えた後にpHを調整するステップで、pHを2~3に調整する。
【0152】
いくつかの実施形態において、前記メタノールを加えた後にpHを調整するステップで、塩酸でpHを調整する。
【0153】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、化合物BB-4と化合物1-3bのモル比は1:(1~1.5)である。
【0154】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップは縮合剤の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記縮合剤はN,N-カルボニルジイミダゾールである。
【0155】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bの調製は、化合物1-3bが最初に縮合剤(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾール)と反応し、その後、化合物BB-4と反応して化合物1-4bを得るステップを含む。
【0156】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、化合物1-3bと活性化剤が反応するステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒はジクロロメタンから選ばれる。
【0157】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、化合物1-3bと活性化剤が反応するステップの反応温度は25℃である。
【0158】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、化合物1-3bと活性化剤が反応するステップの反応時間は5時間である。
【0159】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、化合物1-3bが活性化剤と反応した後、さらに化合物BB-4と反応するステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒はDMFから選ばれる。
【0160】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、化合物1-3bが活性化剤と反応した後、さらに化合物BB-4と反応するステップの反応温度は20~25℃である。
【0161】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、化合物1-3bが活性化剤と反応した後、さらに化合物BB-4と反応するステップの反応時間は18時間である。
【0162】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bを得るステップで、反応終了後にメタノールを加えて処理するステップをさらに含む。
【0163】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bから式(I)化合物を得るステップは溶媒の存在下で行う。いくつかの実施形態において、前記溶媒はトリフルオロ酢酸と酢酸の混合溶媒から選ばれる。
【0164】
いくつかの実施形態において、トリフルオロ酢酸と酢酸の体積比は5:1である。
【0165】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bから式(I)化合物を得るステップの反応温度は90~100℃である。
【0166】
いくつかの実施形態において、化合物1-4bから式(I)化合物を得るステップの反応時間は48時間である。
【0167】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩は、式(I)化合物が結晶であり、前記結晶が式(I)化合物のA型結晶、式(I)化合物のB型結晶又は式(I)化合物のC型結晶である。
【0168】
いくつかの実施形態において、前記式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩は、前記薬学的に許容される塩が硫酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メシル酸塩又はマレイン酸塩である。
【0169】
本願の化合物BB-1は次の方法で得る。
【化25】
【0170】
本願の別の態様では、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶の製造方法として、前記式(I)化合物又はその塩の製造方法のいずれかで式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩を製造することと、式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩を、メタノール、エタノールと水の混合溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフランと水の混合溶媒から選ばれる溶媒から析出させることとを含む前記方法が提供される。本願のいくつかの特定の実施形態において、テトラヒドロフランと水の混合溶媒から式(I)化合物の塩を析出させることを含む式(I)化合物の薬学的に許容される塩の結晶の製造方法が提供される。本願のまたいくつかの特定の実施形態において、式(I)化合物とテトラヒドロフランを混合し、酸(及び/又は塩基)の水溶液を加えて反応させて、式(I)化合物の塩が結晶の形態でテトラヒドロフランと水の混合溶媒から析出することを含む式(I)化合物の薬学的に許容される塩の結晶の製造方法が提供される。
【0171】
本願の更なる態様では、治療有効量の本願に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩、前記結晶又はその結晶組成物を含む医薬組成物が提供される。本願の医薬組成物は薬学的に許容される添加物を含んでもよいし含まなくてもよい。さらに、本願の医薬組成物は1つ又は複数の他の治療剤をさらに含んでもよい。
【0172】
本願の別の態様では、さらに、予防又は治療を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトに治療有効量の前記式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩、その結晶、その結晶組成物、又はその医薬組成物を投与することを含む哺乳動物におけるPDE3及び/又はPDE4関連の疾患を予防又は治療する方法が提供される。
【0173】
本願の別の態様では、さらに、PDE3及び/又はPDE4関連の疾患を予防又は治療するための薬物の製造における前記式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩、その結晶、その結晶組成物、又はその医薬組成物の使用が提供される。
【0174】
本願の別の態様では、さらに、式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩、その結晶、その結晶組成物、又はその医薬組成物のPDE3及び/又はPDE4関連の疾患を予防又は治療するための用途が提供される。
【0175】
本願の別の態様では、さらに、PDE3及び/又はPDE4関連の疾患を予防又は治療するための式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩、その結晶、その結晶組成物、又はその医薬組成物が提供される。
【0176】
本願のいくつかの実施形態において、前記PDE3及び/又はPDE4関連の疾患は喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選ばれる。
【発明の効果】
【0177】
本願の式(I)化合物はPDE3及びPDE4に明らかな二重の阻害効果を有し、ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)中のTNF-αにも明らかな阻害効果を有する。リポ多糖(lipopolysaccharide、略称LPS)誘発ラット急性肺損傷モデルにおいて優れた抗炎症効果を示している。インビボ血漿クリアランスが高く、経口投与では血漿中曝露量及び生物学的利用能が低く、局所経路投与では安全性が高い。ヒト肝ミクロソーム由来シトクロムP450の5つのアイソエンザイム(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4)に対する阻害効果が低く、薬物相互作用のリスクはない。BALFの白血球総数を減らすなど、明らかな抗炎症効果があり、最小有効量が低い。気道抵抗指標Penhを低減できる。
【0178】
本願の式(I)化合物の結晶及び薬学的に許容されるその塩の結晶は薬物活性、薬物動態、生物学的利用能、吸湿性、融点、安定性、溶解性、純度、製造しやすさなどにおいて利点を有するため、薬物の製造、保管、輸送及び製剤などに関する要件が満たされる。
【0179】
本願の式(I)化合物の製造方法で、方法2はワンステップでアミンエチル置換化合物を得ることができ、反応系がクリーンで、従来の方法のようにアミド又はシアノ基を導入してから還元する必要がない。方法3では遺伝毒性試薬ブロモアセトニトリルの代わりに非遺伝毒性のブロモアセトアミドを使用するため、薬物の合成と開発関連の安全上のリスクが低減される。
【0180】
「定義と説明」
特に説明のない限り、本明細書で使用する下記の用語と表現は次の意味を有する。特定の表現又は用語は、特に定義がなければ、確定しないもの又は不明瞭なものとしてではなく、通常の意味で理解する。本明細書で商品名が記載される場合に、対応する商品又はその有効成分を指す。
【0181】
なお、X線粉末回折パターンで、ピークの位置又はピークの相対強度が測定装置、測定方法/条件などによって異なる可能性がある。いかなる確定した結晶形でも、ピークの位置に誤差がある可能性があり、2θ角度の測定誤差は±0.2°であってもよい。そのため、さまざまな結晶形を確定する際は、当該誤差を考慮すべきであり、誤差内にあるものは本願の範囲に含まれる。
【0182】
なお、同じ結晶形でも、DSCにおける吸熱ピークの出現位置は測定装置、測定方法/条件などによって異なる可能性がある。いかなる確定した結晶形でも、吸熱ピークの位置に誤差がある可能性があり、誤差は±5℃でもよいし、±3℃でもよい。そのため、さまざまな結晶形を確定する際は、当該誤差を考慮すべきであり、誤差内にあるものは本願の範囲に含まれる。
【0183】
前記用語「含む(comprise)」、類似の用語及び英語の同等な表現、例えば、comprises、comprising又は同等なものは、「…を含むが、それらに限定されない」と開放的で非排他的な表現として理解され、列挙されている要素、成分又はステップの他に、明記していない要素、成分又はステップを含んでもよいことを意味する。
【0184】
用語「薬学的に許容される」とは、人間又は動物の組織に接触して使用するのに適し、毒性又は刺激性はなく、アレルギー反応、その他の問題又は合併症を引き起こさないと医学的に判断され、利益対リスクが合理的である化合物、材料、組成物及び/又は剤形に対して使用される。
【0185】
用語「薬学的に許容される塩」に関して、薬学的に許容される塩の例としては、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基と形成した塩、無機酸と形成した塩、有機酸と形成した塩、塩基性又は酸性のアミノ酸と形成した塩などが挙げられる。
【0186】
用語「薬学的に許容される添加物」とは有効成分と一緒に投与され、有効成分を投与しやすくする不活性物質であり、中国国家食品薬品監督管理局がヒト又は動物(例えば家畜)への使用を認める任意の流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、矯味剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、崩壊剤、懸濁剤、安定剤、等張剤、溶媒又は乳化剤を含むが、それらに限定されない。前記賦形剤の非限定的な例は炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、さまざまな糖類とさまざまなデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールを含む。
【0187】
用語「医薬組成物」とは1つ又は複数の本願の化合物又はその塩と薬学的に許容される添加物とからなる混合物を指す。医薬組成物は本願の化合物を生体に投与しやすくするためのものである。
【0188】
本願の医薬組成物は本願の化合物と薬学的に許容される適切な添加物を組み合わせて製造されてもよく、例えば、固体、半固体、液体剤又は気体の製剤として製造されてもよく、例えば、錠剤、丸薬、カプセル、パウダー、顆粒、軟膏、エマルジョン、懸濁剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、ミクロスフェア、エアロゾルなどである。
【0189】
本願に記載の結晶又はその医薬組成物の典型的な投与経路は、経口、経直腸、局所、吸入、非経口、舌下、膣内、鼻腔内、眼内、腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内を含むが、それらに限定されない。
【0190】
本願の医薬組成物は、本分野で周知の手法、例えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠法、粉砕、乳化、凍結乾燥などの通常の方法で製造されてもよい。
【0191】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は経口投与用である。経口投与用の場合は、活性化合物と本分野で周知の薬学的に許容される添加物を混合して、当該医薬組成物を製造することができる。このような添加物によって本願の化合物は、患者に経口投与する錠剤、丸薬、糖衣コーティング剤、カプセル、液体剤、ゲル剤、シロップ、懸濁剤などとして製剤化される。
【0192】
本願の化合物の治療用量は、治療の目的、化合物の投与方式、患者の健康状態、処方を下す医師の判断などで決定される。医薬組成物における本願の化合物の割合又は濃度は必ずしも変わらないと限らず、用量、化学的特性(例えば、疎水性)、投与経路などさまざまな要因によって決定される。用語「治療」とは、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を改善又は解消するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ以下の事項を含む。
(i)疾患又は疾患の状態を阻害し、即ちその進行を抑えること、
(ii)疾患又は疾患の状態を緩和し、即ち当該疾患又は疾患の状態を解消させること。
【0193】
用語「予防」とは、疾患又は前記疾患に関連する1つ又は複数の症状を予防するために、本願に記載の化合物又は製剤を投与することを意味し、且つ以下の事項を含む。哺乳動物における疾患又は疾患の状態の出現を予防すること、特に当該疾患の状態になりやすい哺乳動物が、当該疾患の状態と診断されていない時の予防を含む。
【0194】
薬物又は薬理学的に活性な薬剤に対して使用される場合に用語「治療有効量」とは、毒性を持たず所望の効果を得られる薬物又はその製剤の十分な用量を指す。当該有効量は、投与対象の年齢、一般状況で決定され、有効物質種によって異なる。実際の投与では、当業者が通常の試験を行って有効量を適切に决定することができる。
【0195】
本願に記載の結晶の治療有効量は約0.0001から20mg/kg体重/日であり、例えば、0.001から10mg/kg体重/日である。
【0196】
本願に記載の結晶の用量と投与頻度は、患者の状態によって決定され、例えば、1日に1回若しくは2回、又は1日にそれ以上の複数回である。投与は間欠的に行われてもよく、例えば、一定の日数において患者に結晶形の1日用量を投与し、それから同日数又はより長い期間において、患者に結晶形の1日用量を投与しない。
【0197】
本明細書において、特に明確な規定のない限り、単数形の用語は複数の指示対象の場合をカバーし、逆の場合も同様である。
【0198】
本明細書において、特に説明のない限り、各パラメータの値(2θ角度、反応条件を含む)はいずれも、測定などによる値の誤差を含むように、用語「約」で修飾されたものと見なされ、例えば、記載された値に対し、±5%の誤差がある。
【0199】
本明細書では説明と開示のために、特許、特許出願又は既存の刊行物が援用により全体として組み込まれる。これらの刊行物は本願の出願日前に発表されているため提供できる。これらの書類の開示日に関する声明又はその内容の記載は出願人が知り得た情報に基づくもので、これらの書類の開示日又はその内容が正しいと承諾するものではない。しかも全ての対象国において、本明細書へのこれらの刊行物の援用で、当該刊行物が本分野の周知の常識になると認めるものではない。
【0200】
次に、実施例を用いて本願の詳細な説明を行う。実施例は本願に何らかの限定を加えるためのものではない。
【0201】
本願の中間体化合物は、下記の特定の実施形態、他の化学の合成方法と組み合わせた実施形態及び当業者が熟知する代替的な入れ替え形態を含み、好ましい実施形態は本願の実施例を含むが、それらに限定されない、当業者が熟知するさまざまな合成方法で製造することができる。
【0202】
本願の特定の実施形態の化学反応は適切な溶媒において行われ、前記溶媒は本願の化学的変化及び使用する試薬と原料に適する。本願の化合物を得るために、場合によって当業者が既存の実施形態を踏まえ合成ステップ又は反応プロセスを選択し又は変更する必要がある。
【0203】
次に、実施例を用いて本願の詳細な説明を行う。実施例は本願に何らかの限定を加えるためのものではない。
【0204】
本願で使用する溶媒は全て市販品であり、精製しなくても使用できる。
【0205】
本願で使用する溶媒は市販品であってもよい。本願で使用する略号とその意味は次のとおりである。DMSOはジメチルスルホキシドである。TsOHはp-トルエンスルホン酸である。MsOHはメタンスルホン酸である。
【0206】
粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)
装置モデル:Bruker D8 advance X線回折計、線源:Cu Kα(λ=1.54056Å)。
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimeter、DSC)
装置モデル:TA Q2000示差走査熱量計。
熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)
装置モデル:TA Q5000IR熱重量分析装置。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【
図1】
図1は式(I)化合物のA型結晶のXRPDパターンである。
【
図2】
図2は式(I)化合物のA型結晶のDSC曲線である。
【
図3】
図3は式(I)化合物のA型結晶のTGA曲線である。
【
図4】
図4は式(I)化合物のB型結晶のXRPDパターンである。
【
図5】
図5は式(I)化合物のB型結晶のDSC曲線である。
【
図6】
図6は式(I)化合物のB型結晶のTGA曲線である。
【
図7】
図7は式(I)化合物のC型結晶のXRPDパターンである。
【
図8】
図8は式(I)化合物のC型結晶のDSC曲線である。
【
図9】
図9は式(I)化合物のC型結晶のTGA曲線である。
【
図10】
図10は式(II)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図11】
図11は式(III)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図12】
図12は式(III)化合物の結晶のTGA曲線である。
【
図13】
図13は式(IV)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図14】
図14は式(IV)化合物の結晶のDSC曲線である。
【
図15】
図15は式(IV)化合物の結晶のTGA曲線である。
【
図16】
図16は式(V)化合物の結晶のXRPDパターンである。
【
図18】
図18は式(I)化合物のB型結晶のDVS曲線である。
【
図20】
図20はメタコリン(Mch)誘発下の肺機能測定(気道抵抗指標Penh)である。
【発明を実施するための形態】
【0208】
次に、本願の内容の一層の理解のために、特定の実施例を用いて更なる説明を行う。ただし、これらの特定の実施形態は本願の内容に対する限定ではない。
【実施例】
【0209】
【0210】
ステップ1:化合物BB-1-2の合成
窒素雰囲気下で、化合物BB-1-1(21.10g)とシアノ酢酸エチル(11.00g、10.38mL)の混合物を100℃下で16時間攪拌した。反応終了後、混合物を70℃に冷却して、ゆっくりとエタノール(30mL)を滴加すると、大量の固形物が析出した。濾過し、ケーキを減圧下で乾燥して生成物BB-1-2を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.26(t,J=5.2Hz,1H),6.86(d,J=8.0Hz,1H),6.79(br s,1H),6.71(d,8.0Hz,1H),4.00(q,J=6.8Hz,2H),3.72(s,3H),3.59(s,2H),3.31~3.23(m,2H),2.64(t,J=7.2Hz,2H),1.32(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:263.1[M+H]+。
【0211】
ステップ2:化合物BB-1-3の合成
窒素雰囲気下で、三塩化ホスホリル(379.50g、230.00mL)を85℃に上げ、数回に分けて化合物BB-1-2(26.00g)を加えた。反応混合物を85℃下で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、減圧下蒸留で三塩化ホスホリルの大半を除去した。残留物にジクロロメタン(200mL)を加え、水(100mL×2)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮した。粗生成物を得て酢酸エチル(20mL)でパルプ化し精製して、化合物BB-1-3を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=7.16(s,1H),6.83(s,1H),4.62(s,1H),4.12(q,J=6.8Hz,2H),3.86(s,3H),3.35(d,J=6.4Hz,2H),2.84(t,J=6.4Hz,2H),1.44(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:245.1[M+H]+。
【0212】
ステップ3:化合物BB-1-4の合成
0℃下で、98%濃硫酸(12.88g、128.69mmol、7.00mL)に数回に分けて化合物BB-1-3(1.00g)を加えた。反応混合物を27℃下で3時間攪拌した。反応終了後、混合物を冷水(15mL)に加え、その後、水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L、32mL)を滴加してpHを中性に調整し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物BB-1-4を得た。
MS-ESI m/z:263.1[M+H]+。
【0213】
ステップ4:化合物BB-1-5の合成
0℃下で、ナトリウム(2.42g)を数回に分けてエタノール(80mL)に加えた。混合物を28℃下で30分間攪拌した後、溶液に数回に分けて化合物BB-1-4(6.90g)を加え、80℃下で30分間攪拌した。続いて、一度に炭酸ジエチル(9.32g、9.51mL)を加え、当該混合物を引き続き80℃下で5時間攪拌した。反応終了後、混合物を室温に冷却し、ゆっくりと氷水(30mL)を加え、その後、希塩酸(2mol/L、53mL)でpHを中性に調整して大量の固形物が析出し、濾過し、ケーキを得てエタノール(10mL)でパルプ化し精製して化合物BB-1-5を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=11.22(br s,1H),7.35(s,1H),6.95(s,1H),6.22(s,1H),4.09(q,J=6.8Hz,2H),3.90(br s,2H),3.83(s,3H),2.89(br s,2H),1.35(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:289.1[M+H]+。
【0214】
ステップ5:化合物BB-1-6の合成
室温下で化合物BB-1-5(5.00g)を三塩化ホスホリル(30mL)に溶解した。窒素雰囲気下で、反応混合物を100℃下で16時間攪拌した。反応終了後、減圧下蒸留で溶媒の大半を除去した。水(100mL)を加え、ジクロロメタン(150mL×2)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して、化合物BB-1-6を得た。
MS-ESI m/z:306.9[M+H]+。
【0215】
ステップ6:化合物BB-1の合成
室温下で化合物BB-1-6(925.67mg)をイソプロパノール(8mL)に溶解し、2,4,6-トリメチルアニリン(2.10g)を加えた。窒素雰囲気下で、反応混合物を90℃下で15時間攪拌した。反応終了後、混合物を室温に下げて、減圧下で濃縮し、残留物を得てエタノール(6mL)でパルプ化し精製して化合物BB-1を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.85(br s,1H),7.27(s,1H),6.97(s,1H),6.90(s,2H),6.45(s,1H),4.10(q,J=6.8Hz,2H),3.90(t,J=6.0Hz,2H),3.86(s,3H),2.87(t,J=6.0Hz,2H),2.45(s,3H),2.11(s,6H),1.37(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:406.2[M+H]+。
【0216】
【0217】
ステップ1:化合物BB-4-1の合成
室温下で化合物BB-1(1.00g)を2-ブタノン(35mL)に溶解し、2-(2-ブロモエチル)イソインドリン-1,3-ジオン(3.76g)、炭酸カリウム(3.07g)、ヨウ化ナトリウム(2.22g)をこの順に加えた。窒素雰囲気下で、反応混合物を85℃下で72時間攪拌した。反応終了後、混合物を濃縮して有機溶媒の大半を除去し、水(30mL)を加えて、酢酸エチル(25mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、残留物を得てフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤は石油エーテル:酢酸エチル=15:1~3:1)で精製して化合物BB-4-1を得た。
MS-ESI m/z:579.3[M+H]+。
【0218】
ステップ2:化合物BB-4の合成
室温下で化合物BB-4-1(500.00mg)をクロロホルム(3mL)とエタノール(3mL)に溶解し、抱水ヒドラジン(152.67mg、純度85%)を加えた。窒素雰囲気下で、混合物を28℃下で16時間攪拌した。反応終了後、混合物を濃縮して有機溶媒の大半を除去し、水(15mL)を加えて、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出した。有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮して化合物BB-4を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=6.95(s,1H),6.85(br s,2H),6.66(s,1H),5.31(s,1H),4.14(t,J=6.8Hz,2H),4.05(q,J=6.8Hz,2H),3.91(t,J=6.4Hz,2H),3.62(s,3H),2.90-2.86(m,4H),2.22(s,3H),1.95(br s,6H),1.33(t,J=6.8Hz,3H)。
MS-ESI m/z:449.2[M+H]+。
【0219】
実施例1:式(I)化合物の製造
方法1:
【化30】
【0220】
20℃下で5-ヒドロキシ-3-メチル-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸(18.50mg)をDCM(1mL)に溶解し、HATU(8.80mg)、トリエチルアミン(57.40μL)を加えて2時間攪拌し、続いて、化合物BB-4(50mg)を加えて、当該温度を維持しながら引き続き16時間攪拌した。混合物をDCMで10mLに希釈して水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、濾液を減圧下で濃縮して溶媒を蒸発させて除去して粗生成物を得た。粗生成物をprep-HPLCで精製して黄色の固体の式(I)の目的化合物を得た。
1H NMR(400MHz,CD3OD)δ=6.94(s,2H),6.87(s,1H),6.77(s,1H),5.52(s,1H),4.48(t,J=6.0Hz,2H),4.15(s,3H),4.12-4.08(m,2H),4.01(t,J=6.0Hz,2H),3.87(t,J=6.0Hz,2H),3.69(s,3H),2.94(t,J=6.0Hz,2H),2.29(s,3H),2.06(s,6H),1.41(t,J=6.8Hz,3H)。
MS m/z:574.1[M+H]+。
【0221】
【0222】
ステップ1:化合物1-1aの調製
N-Boc-エタノールアミン(50g、48.08mL)、p-トルエンスルホニルクロリド(70.96g)をメチルtert-ブチルエーテル(500mL)に溶解し、水酸化カリウム(52.21g)を加えた後、温度を80℃に上げて4時間還流させた。混合物を室温に冷却して、氷水混合物(1000mL)に注ぎ、有機相を分離した。水相をメチルtert-ブチルエーテル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせて、冷水(1000mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、濾液を減圧下で濃縮し溶媒を蒸発させて除去して、1-1aの粗生成物として28.5gの黄色の油性液体を得、粗生成物を精製せずそのまま次のステップの反応に用いることができる。
1H NMR(400MHz,CHCl3-d)δ(ppm)2.15(s,4H),1.47(s,9H)。
【0223】
ステップ2:化合物1-2aの調製
化合物BB-1(2g)、化合物1-1a(4.24g)をアセトニトリル(17mL)に溶解し、炭酸リチウム(2.19g)、水(3mL)を加えた後に温度を100℃に上げて70時間攪拌した。混合物を冷却して静置し、濾過して沈殿物を除去し、濾液を減圧下で濃縮し溶媒を蒸発させて除去した後に50mLの水と混合し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、0.5M水酸化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し減圧下で溶媒を蒸発させて除去して粗生成物を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して目的化合物1-2aとして1.08gの淡黄色の固体を得た。
MS-ESI(m/z):549.2[M+1]+。
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ(ppm)6.91(s,2H),6.85(s,1H),6.75(s,1H),5.49(s,1H),4.36(t,J=5.9Hz,2H),4.09(q,J=7.0Hz,2H),4.00(t,J=6.1Hz,2H),3.68(s,3H),3.56~3.48(m,2H),2.91(t,J=6.3Hz,2H),2.27(s,3H),2.06(s,6H),1.39(s,12H)。
【0224】
ステップ3:化合物BB-4の調製
化合物1-2a(1g)、4M塩化水素-メタノール溶液(20mL)を均一に混合した後に60℃に加熱して2時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し溶媒を蒸発させて除去して、粗生成物として淡黄色の油性液体を得た。粗生成物に20mLの石油エーテル、5mLの酢酸エチルを加え、30分間攪拌した後に濾過して、固体を収集し、乾燥して目的化合物BB-4として淡黄色の固体を得た(810mg、収率91.63%)。
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ(ppm)7.16(s,2H),6.98(s,1H),6.80(s,1H),5.68(s,1H),4.72(br s,2H),4.22(br s,2H),4.16(q,J=7.0Hz,2H),3.69(s,3H),3.48(br s,2H),3.08(br s,2H),2.37(s,3H),2.30(s,6H),1.43(t,J=7.0Hz,3H)。
【0225】
ステップ4:化合物(I)の調製
20℃下で5-ヒドロキシ-3-メチル-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸(18.50mg)をDCM(1mL)に溶解し、HATU(8.80mg)、トリエチルアミン(57.40μL)を加えて2時間攪拌し、続いて、化合物BB-4(50mg)を加えて、当該温度を維持しながら引き続き16時間攪拌した。混合物をDCMで10mLに希釈して水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、濾液を減圧下で濃縮して溶媒を蒸発させて除去して粗生成物を得た。粗生成物をprep-HPLCで精製して黄色の固体式(I)の目的化合物を得た(22mg、収率37.2%)。
MS-ESI(m/z):574.5[M+1]+。
1H NMR(400MHz,MeOH-d4)δ(ppm)6.94(s,2H),6.87(s,1H),6.75(s,1H),5.51(s,1H),4.47(br t,J=6.0Hz,2H),4.14(s,3H),4.10(q,J=7.0Hz,2H),4.01(br t,J=5.9Hz,2H),3.85(br t,J=5.9Hz,2H),3.68(s,3H),2.92(br t,J=6.0Hz,2H),2.29(s,3H),2.05(s,6H),1.41(t,J=6.9Hz,3H)。
【0226】
【0227】
ステップ1:化合物1-1bの調製
20℃下で2-ブタノン(12L)を50Lジャケット付き反応容器に加えた。攪拌しながら化合物BB-1(615g)、2-ブロモアセトアミド(612.4g)を加えた。その後、反応系に無水リン酸カリウム(1.57kg)、ヨウ化ナトリウム(665.4g)を加えた。反応混合物を窒素保護下で90℃に加熱して18時間攪拌した。反応液を室温に冷却した後に水(12L)を加え、1時間攪拌した後に濾過して固体を得、真空乾燥して黄色の固体の目的化合物1-1bを得た(575g、収率81.96%)。
MS-ESI(m/z):463.23[M+1]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=7.49(br s,1H),7.06(br s,1H),6.95(s,1H),6.82(s,2H),6.69(s,1H),5.33(s,1H),4.66(s,2H),4.07(q,J=6.9Hz,2H),3.91(br t,J=6.0Hz,2H),3.63(s,3H),2.90(br t,J=5.9Hz,2H),2.20(s,3H),1.92(s,6H),1.33(t,J=7.0Hz,3H)。
【0228】
ステップ2:化合物BB-4の調製
20℃下で、乾燥した50Lジャケット付き反応容器にテトラヒドロフラン(8.6L)を加えた後、攪拌しながら反応容器にボラン・ジメチルスルフィド溶液(10M、950mL)を滴加した。滴加完了後、温度を0℃に下げて化合物1-1b(440g)を加え、冷却装置をオフし、温度が自然に20~25℃に戻った後に引き続き攪拌しながら18時間反応させた。反応液を0℃に冷却して、メタノール(1.5L程度)を滴加して気泡が生じないまでクエンチした後に、反応液に3M塩酸溶液(800mL程度)を滴加してpHを2~3に調整した。反応液を減圧下で濃縮して溶媒を蒸発させて除去した。残留物をジクロロメタンで溶解した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、pHを7~8に調整し、分液して、水相をジクロロメタン(3000mL×2)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮し、濃縮生成物を高速カラムクロマトグラフィーで精製して125gの目的化合物BB-4を得た。
MS-ESI(m/z):449.25[M+1]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=7.91(br s,2H),6.96(s,1H),6.87(s,2H),6.69(s,1H),5.35(s,1H),4.41(br t,J=5.8Hz,2H),4.07(q,J=6.8Hz,2H),3.92(br t,J=5.8Hz,2H),3.63(s,3H),3.21(br s,2H),2.90(br t,J=5.8Hz,2H),2.22(s,3H),1.98(s,6H),1.33(t,J=7.0Hz,3H)。
【0229】
ステップ3:化合物1-4bの調製
20℃下で化合物1-3b(68.68g)をジクロロメタン(700mL)に溶解し、N,N-カルボニルジイミダゾール(61.56g)を加えて25℃下で5時間攪拌した。飽和食塩水(700mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。残留物をDMF(675mL)に加えて溶解し、数回に分けて化合物BB-4(95g)を加え、終わったら20~25℃下で18時間攪拌した。反応液にメタノール(675mL)を加え、1時間攪拌し濾過して目的化合物1-4bを得た(120g、収率81.49%)。
MS-ESI(m/z):694.33[M+1]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.36(t,J=6.1Hz,1H),7.26(d,J=8.6Hz,2H),6.96~6.87(m,3H),6.82(s,2H),6.66(s,1H),5.14(s,2H),4.31(br t,J=6.3Hz,2H),4.16(s,3H),4.06(q,J=6.8Hz,2H),3.86(br t,J=5.8Hz,2H),3.75~3.66(m,5H),3.62(s,3H),2.86(br t,J=5.9Hz,2H),2.21(s,3H),1.91(s,6H),1.33(t,J=6.9Hz,3H)。
【0230】
ステップ4:化合物(I)の調製
20℃下で化合物1-4b(120g)をトリフルオロ酢酸(1000mL)と氷酢酸(200mL)の混合溶媒に溶解し90~100℃に加熱して48時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮して溶媒の大半を除去し、残留物をDCM(1000mL)で溶解して飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpHを7~8に調整し、分液して有機相と水相を分離させ、水相をDCM(1000mL×3)で抽出し、有機相を合わせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、濾液を減圧下で濃縮し溶媒を蒸発させて除去して式(I)の目的化合物を得た(80g、収率80.60%)。
MS-ESI(m/z):574.27[M+1]+。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=7.73~7.65(m,1H),6.94(s,1H),6.84(s,2H),6.66(s,1H),5.32(s,1H),4.35(t,J=6.1Hz,2H),4.12~4.01(m,5H),3.88(t,J=6.1Hz,2H),3.70(q,J=6.1Hz,2H),3.62(s,3H),2.87(br t,J=6.0Hz,2H),2.21(s,3H),1.93(s,6H),1.33(t,J=6.9Hz,3H),0.90~0.90(m,1H)。
【0231】
実施例2:式(I)化合物のA型結晶の製造
50mgの式(I)化合物を4mLガラス瓶に加え、1mLの無水メタノールを加えて温度を40℃に上げて48時間攪拌した。自然冷却で室温に下げて、遠心分離で固体を分離し、真空乾燥して、A型結晶として34mgの固体を得た。XRPDパターン、DSC曲線、TGA曲線は、それぞれ
図1、
図2、
図3に示すとおりである。
【0232】
実施例3:式(I)化合物のB型結晶の製造
50mgの式(I)化合物を4mLガラス瓶に加え、1mLの無水エタノール、0.2mLの水を加えて温度を40℃に上げて48時間攪拌した。自然冷却で室温に下げて、遠心分離で固体を分離し、真空乾燥して、B型結晶として46mgの固体を得た。XRPDパターン、DSC曲線、TGA曲線は、それぞれ
図4、
図5、
図6に示すとおりである。
【0233】
実施例4:式(I)化合物のC型結晶の製造
50mgの式(I)化合物を4mLガラス瓶に加え、1mLのアセトニトリルを加えて温度を40℃に上げて48時間攪拌した。自然冷却で室温に下げて、遠心分離で固体を分離し、真空乾燥して、C型結晶として37mgの固体を得た。XRPDパターン、DSC曲線、TGA曲線は、それぞれ
図7、
図8、
図9に示すとおりである。
【0234】
実施例5:式(I)化合物の塩の製造
100mgの式(I)化合物を4mLガラス瓶に加え、2mLの無水テトラヒドロフランを加えて70℃に加熱して1時間攪拌して充分に溶解させ、40℃に冷却して、対応の酸又は塩基(仕様と用量は表8を参照する)と0.1mLの水で調製した溶液を加えた後、当該温度を維持しながら引き続き12時間攪拌した。混合物を遠心分離して固体沈殿物を分離し、真空乾燥して固体を得、式(I)化合物の結晶形態の対応の塩であった。
【表8】
【0235】
実施例6:式(I)化合物のB型結晶の固体の安定性に関する研究
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
HPLC法の構成については次を参照する。
カラム:Zorbax SB C-18,4.6mm×150mm,5μm(PDS-HPLC-007)。
移動相A:水中0.1%TFA。
移動相B:100%ACN。
サンプル調製:アセトニトリルと水の混合溶媒(アセトニトリル:水=50:50(V:V))でサンプルを溶解した。
【0236】
固体の安定性を検討するための静置方法:
化合物を次の条件下で静置する場合の安定性を検討し、異なる時点でサンプルを採取して含有量を測定した。式(I)化合物のB型結晶約5mgを正確に秤量して、乾燥した清潔なガラス瓶に入れ、2連サンプルとして、薄く敷き詰めたものを正式な試験サンプルとし、影響因子試験条件下(60℃)、(相対湿度92.5%)、光(総照度1.2×10
6Lux・hr/近紫外域200W・hr/m
2)、(40℃、相対湿度75%)、(60℃、相対湿度75%)で静置し、サンプルが完全に曝露するように静置し、アルミニウム箔をかけて、小さな穴を開けた。5日、10日、1か月、2か月、3か月でサンプルを採取して分析した。光(可視光1200000Lux、紫外200W)条件下で静置したサンプルは室温下で完全に曝露していた。実験結果は表9を参照する。
【表9】
【0237】
以上から分かるように、本願の式(I)化合物の結晶は高温、高湿度又は光条件下でいずれも良好な安定性を有し、試験中に不純物が増えなかった。
【0238】
実施例7:式(I)化合物のB型結晶の吸湿性に関する研究
装置モデル:SMS DVS Advantage動的水蒸気吸着測定装置
測定条件:サンプル(10~20mg、実施例3で製造したB型結晶)をDVSサンプルトレイに置いて測定した。
【0239】
詳細なDVSパラメータは次のとおりである。
温度:25℃。
平衡:dm/dt=0.01%/分(最小10分、最大180分)。
乾燥:0%RH下で120分間乾燥。
RH(%)測定ステップ:10%。
RH(%)測定ステップ範囲:0%-90%-0%。最終的な動的水蒸気収着(DVS)曲線は
図18に示すとおりである。
【0240】
図18から分かるように、本願の式(I)化合物の結晶は低吸湿性である。
【0241】
実験例1:PDE3A酵素に対する化合物の阻害活性のインビトロ測定
実験目的:蛍光の偏光によりAMP/GMPの発現を測定し、つまりAMP/GMP抗体の結合を追跡して酵素活性を示す。
【0242】
試薬:
実験緩衝溶液:10mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM MgCl2、0.01%Brij 35、1mM ジチオトレイトール(DTT)、1%DMSO。
【0243】
酵素:Sf9昆虫細胞のバキュロウイルスにおいてN末端GSTタグで組換えヒトPDE3A(遺伝子アクセッション番号NM_000921、アミノ酸669末端)を発現し、分子量は84kDaであった。
【0244】
基質:1μM cAMP。
測定:Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633を追跡した。
【0245】
手順:
1.組換えヒトPDE3A酵素、基質(1μM cAMP)をそれぞれ新たに調製した実験緩衝液に溶解した。
2.前記PDE3A酵素緩衝溶液を反応ウェルに移した。
3.音響学的手法(echo 550、精度ナノリットル)を利用して、PDE3A酵素緩衝溶液を含む反応ウェルに100%DMSOに溶解した化合物を加え、室温下で10分間インキュベートした。
4.基質緩衝溶液を前記反応ウェルに加えて反応を開始させた。
5.室温下で1時間インキュベートした。
6.測定混合物(Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633追跡)を加えて反応を停止させ、ゆっくりと混合しながら90分間インキュベートした。蛍光の偏光の測定範囲はEx/Em=620/688であった。
【0246】
データ解析:AMP/GMP標準曲線に基づいて、ソフトウェアExcelを用いて蛍光の偏光信号からDMSO対照に対する酵素活性のパーセントを計算し、nMに換算した。曲線当てはめはGraphPad Prism(医学グラフ作成用)を用いた。実験結果は表10を参照する。
【0247】
実験例2:PDE4B酵素に対する化合物の阻害活性のインビトロ測定
実験目的:蛍光の偏光によりAMP/GMPの発現を測定し、つまりAMP/GMP抗体の結合を追跡して酵素活性を示す。
【0248】
試薬:
実験緩衝溶液:10mM Tris-HCl(pH7.5)、5mM MgCl2、0.01%Brij 35、1mM DTT、1%DMSO。
【0249】
酵素:Sf9昆虫細胞のバキュロウイルスにおいてN末端GSTタグで組換えヒトPDE4B(遺伝子アクセッション番号NM_002600、アミノ酸305末端)を発現し、分子量は78kDaであった。
【0250】
基質:1μM cAMP。
測定:Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633を追跡した。
【0251】
手順:
1.組換えヒトPDE4B酵素、基質(1μM cAMP)をそれぞれ新たに調製した実験緩衝液に溶解した。
2.前記PDE4B酵素緩衝溶液を反応ウェルに移した。
3.音響学的手法(echo 550、精度ナノリットル)を利用して、PDE4B酵素緩衝溶液を含む反応ウェルに100%DMSOに溶解した化合物を加え、室温下で10分間インキュベートした。
4.基質緩衝溶液を前記反応ウェルに加えて反応を開始させた。
5.室温下で1時間インキュベートした。
6.測定混合物(Transcreener(登録商標)AMP2/GMP2抗体及びAMP2/GMP2 AlexaFluor633追跡)を加えて反応を停止させ、ゆっくりと混合しながら90分間インキュベートした。蛍光の偏光の測定範囲はEx/Em=620/688であった。
【0252】
データ解析:AMP/GMP標準曲線に基づいて、ソフトウェアExcelを用いて蛍光の偏光信号からDMSO対照に対する酵素活性のパーセントを計算し、nMに換算した。曲線当てはめはGraphPad Prism(医学グラフ作成用)を用いた。実験結果は表10を参照する。
【表10】
【0253】
本願の化合物はPDE3及びPDE4に明らかな二重の阻害効果を有する。
【0254】
実験例3:ビーグル犬による薬物動態試験
本研究では試験動物として雄のビーグル犬を用い、LC-MS/MS法でビーグル犬への式(I)化合物の静脈注射又は強制経口投与後の異なる時点での血漿中薬物濃度を定量的に測定することにより、式(I)化合物のビーグル犬におけるインビボ薬物動態特性を評価した。
【0255】
式(I)化合物の清澄溶液を頭静脈又は大伏在静脈より10~12kgのビーグル犬2匹の体内に注射し、式(I)化合物の清澄溶液を10~12kgのビーグル犬2匹(一晩絶食)に強制経口投与した。全ての動物は、投与後0.0333時間、0.0833時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間で末梢静脈から約500μL採血して0.85~1.15mgのK
2EDTA・2H
2Oを含む抗凝固遠心管に移し、4℃下で、3000gで10分間遠心分離して血漿を採取した。LC-MS/MS法で血中薬物濃度を測定し、薬物動態ソフトウェアWinNonlin(商標)Version 6.3(カリフォルニア州マウンテンビュー市、Pharsight社)を用いて、ノンコンパートメントモデル×線形台数法で関連の薬物動態パラメータを計算した。
【表11】
【0256】
本願の化合物はインビボ血漿クリアランスが高く、経口投与では血漿中曝露量及び生物学的利用能が低い。
【0257】
実験例4:ヒト肝ミクロソーム由来シトクロムP450のアイソエンザイム(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4)に対する活性阻害効果
CYPの5つのアイソエンザイムの5つの特異的なプローブ基質であるフェナセチン(Phenacetin、CYP1A2)、ジクロフェナク(Diclofenac、CYP2C9)、(S)-メフェニトイン((S)-Mephenytoin、CYP2C19)、デキストロメトルファン(Dextromethorphan、CYP2D6)、ミダゾラム(Midazolam、CYP3A4)をそれぞれヒト肝ミクロソーム及び式(I)化合物と共インキュベートし、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(NADPH)を加えて反応を開始させ、反応終了後にサンプルを処理し液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)法で、特異的な基質が生成した5つの代謝生成物であるアセトアミノフェン(Acetaminophen)、4’-ヒドロキシジクロフェナク(4’-Hydroxydiclofenac)、4’-ヒドロキシメフェニトイン(4’-Hydroxymephenytoin)、デキストロルファン(Dextrorphan)、1’-ヒドロキシミダゾラム(1’-Hydroxymidazolam)の濃度を定量的に測定して、対応の半数阻害濃度(IC
50)を計算した。
【表12】
【0258】
本願の化合物はヒト肝ミクロソーム由来シトクロムP450の5つのアイソエンザイム(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4)に対する阻害効果が低い。
【0259】
実験例5:受動喫煙誘発ラット急性肺損傷モデルにおける薬力学研究
実験動物:
雄のSPF基準Sprague-Dawleyラット(上海斯莱克実験動物有限公司提供)を用い、体重は約200gであった。
【0260】
実験手順:
1.動物は施設に受け入れた後、環境に適応するよう1週間飼育してから、体重によってランダムに6群に分けた。
2.実験1~3日目に、各群では対象化合物を30分間霧化投与し、その後、モデル群及び各化合物処理群の動物を1時間受動喫煙に曝露させ、4時間の間隔で、再び1時間受動喫煙に曝露させた。毎日2回で、3日間連続してタバコの煙に曝露させた。対照群動物は室内で空気に曝露させた。
3.実験4日目に、各群では対象化合物を30分間霧化投与し、モデル群及び各化合物処理群の動物は霧化吸入により150μg/mLのLPSに15分間曝露させ、霧化投与開始から3時間後、1時間受動喫煙に曝露させて、動物肺機能(Penh、F)を測定し、CO2で動物を安楽死させた後に細胞計数のために肺胞洗浄液を収集した。
【0261】
4.投与処理
投与方式:全身曝露用霧化投与装置を用いて、最大霧化率(約12mL)で30分間被験化合物及び参照化合物を霧化投与した。
【0262】
投与頻度:毎朝受動喫煙前に30分間霧化投与し又は溶媒を投与し、4日目にLPS霧化吸入前に投与した。
【0263】
5.薬力学的エンドポイントの測定
(1)BALF(肺胞洗浄液)の白血球総数。
(2)メタコリン(Mch)誘発下の肺機能測定(気道抵抗指標Penh)。
【表13】
【0264】
【0265】
本願の化合物は、受動喫煙誘発ラット急性肺損傷モデルにおいてBALF中の白血球総数及び気道抵抗指標Penhを低減することができる。
【0266】
実験例6:ヒト末梢血単核細胞中のTNF-αに対する化合物の阻害活性のインビトロ測定
実験目的:ヒト末梢血単核細胞(hPBMC)中のTNF-αのレベルで、被験化合物の細胞レベルの抗炎症活性を示す。
【0267】
手順:
1.健常者から全血を採取し、EDTA抗凝固管で抗凝固処理を行った。
2.Ficoll密度勾配遠心法でPBMCを分離して、計数し、細胞濃度を2×106/mLに調整した。
3. U底96ウェルプレートの各ウェルに2×105の細胞、1ng/mLのLPSを加え、式(I)化合物をそれぞれ濃度100μM、10μM、1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pMのDMSO溶液に調製し、各ウェルは200μLの反応系とした。
4. 24時間培養して、上清を収集した。
5.ELISA法で上清中のTNF-αレベルを測定し、ソフトウェアGraphpad Prismで阻害曲線を当てはめしてIC50を計算した。
【0268】
【0269】
本願の化合物はヒト末梢血単核細胞(hPBMC)中のTNF-αに明らかな阻害効果を有する。
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
【化33】
項2
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、及び16.35±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.14±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、及び11.50±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、及び16.35±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.14±0.2°、6.56±0.2°、6.98±0.2°、8.20±0.2°、9.35±0.2°、11.50±0.2°、12.66±0.2°、13.94±0.2°、14.52±0.2°、16.35±0.2°、21.52±0.2°、及び24.57±0.2°に回折ピークを有する項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項3
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが図1に示すとおりである項1又は2に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項4
式(I)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が146.23±2℃及び/又は162.19±2℃で吸熱ピークを有し、又は、示差走査熱量測定曲線が172.65±2℃及び/又は241.73±2℃で発熱ピークを有する項1~3のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項5
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、20.83±0.2°、24.73±0.2°、及び26.13±0.2°から選ばれる2θ角度での5個、6個、7個、8個、9個、10個又は11個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.81±0.2°、13.96±0.2°、15.01±0.2°、17.95±0.2°、及び24.73±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.81±0.2°、8.38±0.2°、11.16±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、20.83±0.2°、24.73±0.2°、及び26.13±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.81±0.2°、8.38±0.2°、9.13±0.2°、11.16±0.2°、11.60±0.2°、12.82±0.2°、13.96±0.2°、14.47±0.2°、15.01±0.2°、16.76±0.2°、17.95±0.2°、18.91±0.2°、20.83±0.2°、24.36±0.2°、24.73±0.2°、25.78±0.2°、及び26.13±0.2°に回折ピークを有する項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項6
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが図4に示すとおりである項1又は5に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項7
式(I)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が247.70±2℃で発熱ピークを有する項1、5、及び6のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項8
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、及び23.41±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個、8個又は9個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、及び14.34±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、及び23.41±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.57±0.2°、6.41±0.2°、7.18±0.2°、9.07±0.2°、11.58±0.2°、12.84±0.2°、13.21±0.2°、14.34±0.2°、16.05±0.2°、18.15±0.2°、19.26±0.2°、20.85±0.2°、及び23.41±0.2°に回折ピークを有する項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項9
式(I)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが図7に示すとおりである項1又は8に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項10
式(I)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が152.26±2℃及び/又は247.92±2℃で発熱ピークを有する項1、8、及び9のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項11
式(II)化合物の結晶であり、
【化34】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、及び24.42±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、11.97±0.2°、及び14.75±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、及び24.42±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度4.84±0.2°、9.58±0.2°、10.93±0.2°、11.97±0.2°、12.72±0.2°、13.93±0.2°、14.31±0.2°、14.75±0.2°、16.49±0.2°、17.91±0.2°、19.25±0.2°、19.90±0.2°、20.57±0.2°、24.42±0.2°、及び25.70±0.2°に回折ピークを有する項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項12
式(II)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが図10に示すとおりである項1又は11に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項13
式(III)化合物の結晶であり、
【化35】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、16.58±0.2°、及び25.03±0.2°から選ばれる2θ角度での3個、4個、5個又は6個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度6.53±0.2°、12.48±0.2°、及び13.11±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、16.58±0.2°、及び25.03±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度6.53±0.2°、10.87±0.2°、12.48±0.2°、13.11±0.2°、14.04±0.2°、16.58±0.2°、25.03±0.2°、25.56±0.2°、及び26.66±0.2°に回折ピークを有する項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項14
式(III)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが図11に示すとおりである項1又は13に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項15
式(IV)化合物の結晶であり、
【化36】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、24.45±0.2°、及び25.87±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度11.22±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、及び24.45±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、22.62±0.2°、24.45±0.2°、及び25.87±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、及び25.87±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度11.22±0.2°、12.58±0.2°、13.88±0.2°、15.49±0.2°、16.04±0.2°、16.43±0.2°、17.08±0.2°、17.90±0.2°、18.54±0.2°、18.85±0.2°、19.23±0.2°、19.72±0.2°、20.02±0.2°、20.51±0.2°、22.62±0.2°、23.27±0.2°、24.45±0.2°、24.83±0.2°、25.42±0.2°、25.87±0.2°、26.09±0.2°、及び29.53±0.2°に回折ピークを有する項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項16
式(IV)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが図13に示すとおりである項1又は15に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項17
式(IV)化合物の結晶であり、示差走査熱量測定曲線が191.35±2℃で吸熱ピークを有し且つ/又は222.21±2℃で発熱ピークを有する項1、15及び16のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項18
式(V)化合物の結晶であり、
【化37】
Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、24.71±0.2°、及び25.16±0.2°から選ばれる2θ角度での4個、5個、6個、7個又は8個の回折ピークを含み、又は、Cu Kα線を用いるX線粉末回折パターンが、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、及び10.98±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、24.71±0.2°、及び25.16±0.2°に回折ピークを有し、又は、2θ角度5.83±0.2°、6.62±0.2°、9.50±0.2°、10.98±0.2°、11.59±0.2°、13.23±0.2°、16.27±0.2°、17.16±0.2°、19.05±0.2°、21.63±0.2°、24.71±0.2°、及び25.16±0.2°に回折ピークを有する項1に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項19
式(V)化合物の結晶であり、Cu Kα線を用いるXRPDパターンが図16に示すとおりである項1又は18に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶。
項20
式(I)化合物の薬学的に許容される塩であって、前記薬学的に許容される塩は硫酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メシル酸塩又はマレイン酸塩であり、
【化38】
任意選択で、前記式(I)化合物の硫酸塩は式(II)化合物から選ばれ、
【化39】
任意選択で、前記式(I)化合物のp-トルエンスルホン酸塩は式(III)化合物から選ばれ、
【化40】
任意選択で、前記式(I)化合物のメシル酸塩は式(IV)化合物から選ばれ、
【化41】
任意選択で、前記式(I)化合物のマレイン酸塩は式(V)化合物から選ばれる、
【化42】
式(I)化合物の薬学的に許容される塩。
項21
項1~19のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶を含む結晶組成物であって、前記結晶は前記結晶組成物の重量の50%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上を占める結晶組成物。
項22
治療有効量の項1~19のいずれか1項に記載の式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩の結晶、項20に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩、又は項21に記載の結晶組成物を含む医薬組成物。
項23
方法1又は方法2で式(I)化合物を製造することを含む式(I)化合物の製造方法であって、
前記方法1は、(1)化合物1-2aを反応させて化合物BB-4を得ることと、(2)化合物BB-4と5-ヒドロキシ-3-メチル-1,2,3-トリアゾール-4-カルボン酸とを反応させて式(I)化合物を得ることとを含み、
【化43】
前記方法2は、化合物1-4bを反応させて式(I)化合物を得ることを含む、
【化44】
式(I)化合物の製造方法。
項24
方法1で式(I)化合物を製造し、ただし、化合物BB-1と化合物1-1aとを反応させることで化合物1-2aを得る、
【化45】
項23に記載の方法。
項25
方法2で式(I)化合物を製造し、ただし、化合物BB-4と化合物1-3bとを反応させて化合物1-4bを得る、
【化46】
項23に記載の方法。
項26
化合物1-1bを反応させることで化合物BB-4を得る、
【化47】
項23又は25に記載の方法。
項27
化合物BB-1と化合物aを反応させることで化合物1-1bを得、
【化48】
ここで、Xはハロゲンから選ばれ、又は、XはCl、及びBrから選ばれ、又は、XはBrから選ばれる項26に記載の方法。
項28
式(I)化合物とテトラヒドロフランとを混合し、その後、酸の水溶液を加え、分離して対応の薬学的に許容される塩を得ることを含む項20に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩の製造方法。
項29
式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩を、メタノール、エタノールと水との混合溶媒、アセトニトリル、及びテトラヒドロフランと水との混合溶媒から選ばれる溶媒から析出させること、
又は、式(I)化合物とテトラヒドロフランとを混合し、酸及び/又は塩基の水溶液を加えて反応させて、式(I)化合物の塩を結晶の形態でテトラヒドロフランと水との混合溶媒から析出させること
を含む項1~19のいずれか1項に記載の式(I)化合物又は薬学的に許容されるその塩の結晶の製造方法。
項30
PDE3及び/又はPDE4関連の疾患、任意選択で喘息、及び慢性閉塞性肺疾患から選ばれるPDE3及び/又はPDE4関連の疾患を予防又は治療に使用するための、項1~19のいずれか1項に記載の式(I)化合物若しくは薬学的に許容されるその塩の結晶、項20に記載の式(I)化合物の薬学的に許容される塩、項21に記載の結晶組成物、又は項22に記載の医薬組成物。