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特許7648661血管造影注入器流体経路のためのインライン気泡懸濁装置
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】血管造影注入器流体経路のためのインライン気泡懸濁装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/36 20060101AFI20250311BHJP
   A61M 5/145 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
A61M5/36
A61M5/145 500
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022577711
(86)(22)【出願日】2021-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021037623
(87)【国際公開番号】W WO2021257699
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2024-06-17
(31)【優先権主張番号】62/705,250
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・コーワン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・デディッグ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スポーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ハウリー
(72)【発明者】
【氏名】アーサー・ウーバー・ザ・サード
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0280630(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0232173(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0053774(US,A1)
【文献】国際公開第2008/153831(WO,A2)
【文献】特表2003-524512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0032812(US,A1)
【文献】米国特許第6013061(US,A)
【文献】米国特許第4397741(US,A)
【文献】特開昭56-81147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/36
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体注入器システムの流体経路内で気泡を懸濁するための装置であって、前記装置は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に画定された湾曲した半球形の内壁を有する内部チャンバであって、前記内部チャンバは少なくとも部分的に球形または半球形である、内部チャンバと、
前記内部チャンバと流体連通する入口流体経路であって、前記入口流体経路は、前記湾曲した半球形の内壁の接線で前記内部チャンバ内に延びる、入口流体経路と、
前記内部チャンバと流体連通する出口流体経路であって、前記出口流体経路は、前記入口流体経路を介して前記内部チャンバに流入する注入流体が前記出口流体経路から離れるように向けられるように前記入口流体経路から離間される、出口流体経路と、を含み、
前記内部チャンバは、前記入口流体経路から前記内部チャンバに入る前記注入流体内で内部流体渦を生成するように構成され、前記内部流体渦は、前記湾曲した半球形の内壁に沿って円形流体渦流路(B)を画定し、前記円形流体渦流路(B)は、前記出口流体経路の開口部を横切って横方向に通り、前記内部流体渦は、前記円形流体渦流路(B)の中心において前記注入流体の低圧領域で1つまたは複数の気泡を少なくとも一時的に懸濁し、前記1つまたは複数の気泡の前記出口流体経路への通過を遅延させる、装置。
【請求項2】
前記出口流体経路は、前記内部チャンバから、前記内部チャンバ内の流体の前記円形流体渦流路(B)に垂直な方向に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記出口流体経路の少なくとも一部は、前記入口流体経路内の流体速度に対して前記出口流体経路内の流体速度を減少させるために、前記入口流体経路の断面積よりも大きい断面積を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記出口流体経路は前記入口流体経路に実質的に平行に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、
前記入口流体経路および前記出口流体経路を含む第1のハウジング部と、
前記内部チャンバの少なくとも一部を含む第2のハウジング部と、を含み、
前記第1のハウジング部および前記第2のハウジング部の一方が、前記第1のハウジング部および前記第2のハウジング部の他方のリップを受け入れるためのフランジを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記入口流体経路の少なくとも一部、前記出口流体経路、前記第2のハウジング部、あるいは前記第1のハウジング部から半径方向外側に延在する少なくとも1つの強化リブを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
スクリーンであって、前記内部チャンバから流出する流体が前記スクリーンを通過するように前記出口流体経路内に配置されたスクリーンをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記内部チャンバ内の前記気泡を照らすように構成された透光性材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記入口流体経路と流体連通し、前記内部チャンバ内に延びる延長チューブであって、前記延長チューブは、前記延長チューブを介して前記内部チャンバ内に流入する流体が前記出口流体経路から離れるように向けられるように、前記出口流体経路から離間した先端部を含む、延長チューブをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記内部チャンバを入口部分と出口部分とに分割するスクリーンをさらに含み、
前記スクリーンは、前記入口部分と前記出口部分との間の流体連通を提供する少なくとも1つの開口部を含み、
前記延長チューブから前記内部チャンバに流入する流体は、前記出口流体経路に到達するために、前記スクリーンの前記少なくとも1つの開口部を通って流れなければならない、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記延長チューブの前記先端部に隣接する前記スクリーンの第1の部分は流体に対して不透過性であり、前記出口流体経路に隣接する前記スクリーンの第2の部分は前記少なくとも1つの開口部を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジングは、
スクリーンを受け入れるように構成されたフランジを含む第1のハウジング部と、
第2のハウジング部であって、前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部との間の前記スクリーンを捕捉するために、前記第1のハウジング部の前記フランジ内に受け入れられるリップを有する第2のハウジング部と、を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記入口流体経路は、前記入口流体経路を通って流れる流体の流速を減少させるために、前記入口流体経路を通る流体の流れの方向に、より小さい断面積からより大きい断面積まで先細になる、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記延長チューブは前記内部チャンバの内壁と平行に延在する、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、前記内部チャンバ内の前記気泡を照らすように構成された透光性材料を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
医療用流体を注入するように構成された少なくとも1つの流体リザーバと、
前記少なくとも1つの流体リザーバと流体連通する少なくとも1つの気泡懸濁装置であって、前記少なくとも1つの気泡懸濁装置は、
内部チャンバを画定するハウジングであって、前記内部チャンバは湾曲した半球形の内壁を有し、前記内部チャンバは少なくとも部分的に球形または半球形である、ハウジングと、
前記内部チャンバと流体連通する入口流体経路であって、前記湾曲した半球形の内壁の接線で前記内部チャンバ内に延びる、入口流体経路と、
前記内部チャンバと流体連通する出口流体経路であって、前記出口流体経路は、前記入口流体経路を介して前記内部チャンバに流入する注入流体が前記出口流体経路から離れるように向けられるように前記入口流体経路から離間される、出口流体経路と、を含む、少なくとも1つの気泡懸濁装置と、
前記少なくとも1つの流体リザーバを前記少なくとも1つの気泡懸濁装置に接続する空気検出チューブ領域内の1つまたは複数の気泡を検出するように構成された少なくとも1つの上流空気検出器と、
前記少なくとも1つの気泡懸濁装置の下流にあり、前記少なくとも1つの上流空気検出器が前記空気検出チューブ領域内の前記1つまたは複数の気泡を検出するのに応答して開位置から閉位置に移動するように構成された少なくとも1つの遮断バルブと、
を含み、
前記内部チャンバは、前記入口流体経路から前記内部チャンバに入る前記注入流体内で内部流体渦を生成するように構成され、前記内部流体渦は、前記湾曲した半球形の内壁に沿って円形流体渦流路(B)を画定し、前記円形流体渦流路(B)は、前記出口流体経路の開口部を横切って横方向に通り、前記内部流体渦は、前記円形流体渦流路(B)の中心において前記注入流体の低圧領域で1つまたは複数の気泡を少なくとも一時的に懸濁し、前記1つまたは複数の気泡の前記出口流体経路への通過を遅延させる、流体注入器システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの気泡懸濁装置は、
前記内部チャンバ内の前記1つまたは複数の気泡の浮力が、前記1つまたは複数の気泡をさらに前記内部チャンバ内の前記内部流体渦内で懸濁したままにするように、前記出口流体経路が前記内部チャンバから実質的に垂直下方に延在する注入位置と、
前記内部チャンバ内の前記1つまたは複数の気泡の前記浮力が、前記1つまたは複数の気泡を前記内部流体渦から前記出口流体経路を通って流れるようにするように、前記出口流体経路が前記内部チャンバから実質的に垂直上方に延在するプライミング位置と、の間で移動可能である、請求項16に記載の流体注入器システム。
【請求項18】
前記入口流体経路は、前記少なくとも1つの湾曲した半球形の内壁の接線で前記内部チャンバ内に延びる、請求項16に記載の流体注入器システム。
【請求項19】
前記出口流体経路は、前記内部チャンバから、前記内部チャンバ内の前記内部流体渦内の流体の前記円形流体渦流路(B)に対して実質的に垂直な方向に延在する、請求項16に記載の流体注入器システム。
【請求項20】
前記出口流体経路は前記入口流体経路に実質的に平行に延在する、請求項16に記載の流体注入器システム。
【請求項21】
前記内部チャンバは少なくとも部分的に球形または半球形である、請求項16に記載の流体注入器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/705,250号の利益を主張し、その開示はその全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、医療用流体の高圧注入のための流体注入器システムおよび関連する流体経路要素に関する。より具体的には、本開示は、少なくとも1つの気泡懸濁装置を有する流体送達システムを記載する。他の実施形態は、流体注入処置での使用に適した気泡懸濁装置の特徴に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの医学診断および治療処置では、医師などの開業医が患者に1つまたは複数の医療用流体を注入する。造影剤溶液(しばしば単に「造影剤」と呼ばれる)、生理食塩水または乳酸リンゲル液などのフラッシング剤、および他の医療用流体などの医療用流体の加圧注入用の多数の注入器作動シリンジおよび動力式流体注入器が、心血管の血管造影法(CV)、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、磁気共鳴撮像法(MRI)、陽電子放出断層撮影法(PET)、および他の撮像処置などの処置で使用するために開発されている。一般に、これらの流体注入器は、予め設定された圧力および/または流量で予め設定された量の流体を送達するように設計されている。
【0004】
典型的には、流体注入器は、例えばプランジャまたはシリンジの近位端壁上の係合機構との接続を介してシリンジに接続するピストンなどの少なくとも1つの駆動部材を有する。シリンジは、シリンジプランジャがバレル内に摺動可能に配置された剛性バレルを含んでもよい。駆動部材は、プランジャをバレルの長手方向軸に対して近位方向および/または遠位方向に駆動して、シリンジバレル内に流体を引き込むか、またはシリンジバレルから流体を送達する。血管造影法などの特定の用途では、医療用流体は、最大1200psi(8274kPa)の流体圧力で動脈系に直接注入される。
【0005】
流体が心臓システムに直接投与されるこれらの高い液圧での特定の注入処置中に、患者の害が生じる可能性があるため、空気が医療用流体と同時に注入されないことが不可欠である。したがって、高圧流体注入処置中の不注意による空気の注入を防止するための新しい方法および装置が必要である。さらに、いくつかのCV注入中に最大1200psiの圧力では、流体経路内の空気は圧縮されるが、しかしながら、空気検出時に噴射が停止されると、圧力の解放に起因して空気量が急速に膨張する可能性がある。さらに、注入の停止時にシステムコンプライアンスを解放すると、液圧がない状態でコンプライアンス容積が解放されるため、流体の流れが継続する可能性がある。したがって、高圧流体注入器システムは、不注意による空気注入を防止するときにこれらの現象に対処しなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記を考慮して、注入処置中に空気が患者に送達されるのを防止するための装置、システム、および方法が必要とされている。本開示の実施形態は、流体注入器システムの流体経路内に気泡を懸濁するための装置に関する。装置は、ハウジングと、ハウジング内に画定された湾曲した内壁を有する内部チャンバと、内部チャンバと流体連通する入口流体経路であって、湾曲した内壁の接線でチャンバ内に延びる入口流体経路と、内部チャンバと流体連通する出口流体経路であって、入口流体経路を介して内部チャンバに流入する流体が出口流体経路から離れるように向けられるように入口流体経路から離間された出口流体経路と、を含む。内部チャンバは、入口流体経路から内部チャンバに入る注入流体内で内部流体渦を生成するように構成され、内部流体渦は、内部渦内の流体内で1つまたは複数の気泡を少なくとも一時的に懸濁し、1つまたは複数の気泡の出口流体経路への通過を遅延させる。
【0007】
いくつかの実施形態では、出口流体経路は、内部チャンバ内の流体の流路に垂直な方向に内部チャンバから延在する。
【0008】
いくつかの実施形態では、出口流体経路の少なくとも一部は、入口流体経路内の流体速度に対して出口流体経路内の流体速度を減少させるために、入口流体経路の断面積よりも大きい断面積を有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、出口流体経路は入口流体経路と実質的に平行に延在する。いくつかの実施形態では、内部チャンバは少なくとも部分的に球形または半球形である。
【0010】
いくつかの実施形態では、装置は内部チャンバから半径方向外側に延在する凹部をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、装置は、内部チャンバ内に蓄積された空気を排出するために内部チャンバと流体連通するバルブをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、入口流体経路および出口流体経路を含む第1のハウジング部と、内部チャンバの少なくとも一部を含む第2のハウジング部と、を含む。第1のハウジング部および第2のハウジング部の一方は、第1のハウジング部および第2のハウジング部の他方を受け入れるためのフランジを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、出口流体経路から半径方向外側に延在する少なくとも1つの強化リブを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、装置は、内部チャンバから流出する流体がスクリーンを通過するように出口流体経路に配置されたスクリーンをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、内部チャンバ内の気泡を照らすように構成された透光性材料を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、流体注入器システムの注入器ハウジングに取り付けるように構成されたコネクタアームを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、装置は、入口流体経路および出口流体経路の少なくとも一方の断面積を変更するための調整可能バルブをさらに含む。
【0018】
本開示の他の実施形態は、流体注入器システムの流体経路内で気泡を懸濁するための装置に関する。装置は、内部チャンバを画定するハウジングと、内部チャンバと流体連通する入口流体経路と、内部チャンバと流体連通する出口流体経路と、入口流体経路と流体連通し、内部チャンバ内に延びる延長チューブと、を含む。延長チューブは、延長チューブを介して内部チャンバに流入する流体が出口流体経路から離れるように向けられるように、出口流体経路から離間した先端部を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、装置は、内部チャンバを入口部分と出口部分とに分割するスクリーンをさらに含む。スクリーンは、入口部分と出口部分との間の流体連通を提供する少なくとも1つの開口部を含む。延長チューブから内部チャンバに流入する流体は、出口流体経路に到達するために、スクリーンの少なくとも1つの開口部を通って流れなければならない。
【0020】
いくつかの実施形態では、延長チューブの先端部に隣接するスクリーンの第1の部分は、流体に対して不透過性であり、出口流体経路に隣接するスクリーンの第2の部分は、少なくとも1つの開口部を含む。いくつかの実施形態では、スクリーンは少なくとも1つの開口部を画定する漏斗を含み、漏斗は、内部チャンバの入口部分に隣接する最大断面積から、内部チャンバの出口部分に延在する最小直径まで先細になる。
【0021】
いくつかの実施形態では、スクリーンは、流体が少なくとも1つの開口部を通って流れるためにはフードの周りを流れなければならないように、少なくとも1つの開口部を少なくとも部分的に塞ぐフードを含む。いくつかの実施形態では、スクリーンはメッシュを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの開口部は、円弧状に配置された2つ以上の開口部を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、スクリーンを受け入れるように構成されたフランジを含む第1のハウジング部と、第1のハウジング部と第2のハウジング部との間のスクリーンを捕捉するために、第1のハウジング部のフランジ内に受け入れられる第2のハウジング部と、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、入口流体経路は、入口流体経路を通って流れる流体の流速を減少させるために、入口流体経路を通る流体の流れの方向に、より小さい断面積からより大きい断面積まで先細になる。
【0024】
いくつかの実施形態では、延長チューブは内部チャンバの内壁に平行に延在する。いくつかの実施形態では、出口流体経路は入口流体経路に対して鋭角に延在する。
【0025】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、内部チャンバ内の気泡を照らすように構成された透光性材料を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、流体注入器システムの注入器ハウジングに取り付けるように構成されたコネクタアームを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、装置は、入口流体経路および出口流体経路の少なくとも一方の断面積を変更するための調整可能バルブをさらに含む。
【0028】
本開示の他の実施形態は、医療用流体を注入するように構成された少なくとも1つの流体リザーバと、少なくとも1つの流体リザーバと流体連通する少なくとも1つの気泡懸濁装置と、を含む流体注入器システムに関する。少なくとも1つの気泡懸濁装置は、内部チャンバを画定するハウジングと、内部チャンバと流体連通する入口流体経路と、内部チャンバと流体連通する出口流体経路と、を含み、出口流体経路は、入口流体経路を介して内部チャンバに流入する流体が出口流体経路から離れるように向けられるように入口流体経路から離間されている。流体注入器システムは、少なくとも1つの流体リザーバを少なくとも1つの気泡懸濁装置に接続する流体経路内の1つまたは複数の気泡を検出するように構成された少なくとも1つの空気検出器と、少なくとも1つの気泡懸濁装置の下流にあり、空気検出器が流体経路内の1つまたは複数の気泡を検出するのに応答して開位置から閉位置に移動するように構成された少なくとも1つの遮断バルブと、をさらに含む。内部チャンバは、入口流体経路から内部チャンバに入る注入流体内で内部流体渦を生成するように構成され、内部流体渦は、内部渦内の流体内で1つまたは複数の気泡を少なくとも一時的に懸濁し、1つまたは複数の気泡の出口流体経路への通過を遅延させる。流体注入器システムでの使用に適した気泡懸濁装置の様々な実施形態の特徴を本明細書で説明する。
【0029】
いくつかの実施形態では、気泡懸濁装置は、内部チャンバ内の気泡の浮力が、1つまたは複数の気泡をさらに内部チャンバ内の内部流体渦内で懸濁したままにするように、出口流体経路が内部チャンバから実質的に垂直下方に延在する注入位置と、内部チャンバ内の気泡の浮力が、気泡を内部流体渦から出口流体経路を通って流れるようにするように、出口流体経路がチャンバから実質的に垂直上方に延在するプライミング位置と、の間で移動可能である。
【0030】
いくつかの実施形態では、システムは、入口流体経路および出口流体経路の少なくとも一方の断面積を変更するための調整可能バルブをさらに含む。
【0031】
本開示のさらなる態様または実施例は、以下の番号が付けられた条項に記載されている。
【0032】
条項1.流体注入器システムの流体経路内で気泡を懸濁するための装置であって、装置は、ハウジングと、ハウジング内に画定された湾曲した内壁を有する内部チャンバと、内部チャンバと流体連通する入口流体経路であって、入口流体経路は、湾曲した内壁の接線でチャンバ内に延びる、入口流体経路と、内部チャンバと流体連通する出口流体経路であって、出口流体経路は、入口流体経路を介して内部チャンバに流入する流体が出口流体経路から離れるように向けられるように入口流体経路から離間される、出口流体経路と、を含み、内部チャンバは、入口流体経路から内部チャンバに入る注入流体内で内部流体渦を生成するように構成され、内部流体渦は、内部渦内の流体内で1つまたは複数の気泡を少なくとも一時的に懸濁し、1つまたは複数の気泡の出口流体経路への通過を遅延させる、装置。
【0033】
条項2.出口流体経路は、内部チャンバから、内部チャンバ内の流体の流路に垂直な方向に延在する、条項1に記載の装置。
【0034】
条項3.出口流体経路の少なくとも一部は、入口流体経路内の流体速度に対して出口流体経路内の流体速度を減少させるために、入口流体経路の断面積よりも大きい断面積を有する、条項1または2に記載の装置。
【0035】
条項4.出口流体経路は入口流体経路に実質的に平行に延在する、条項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【0036】
条項5.内部チャンバは少なくとも部分的に球形または半球形である、条項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【0037】
条項6.内部チャンバから半径方向外側に延在する凹部をさらに含む、条項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【0038】
条項7.内部チャンバ内に蓄積された空気を排出するために内部チャンバと流体連通するバルブをさらに含む、条項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【0039】
条項8.ハウジングは、入口流体経路および出口流体経路を含む第1のハウジング部と、内部チャンバの少なくとも一部を含む第2のハウジング部と、を含み、第1のハウジング部および第2のハウジング部の一方が、第1のハウジング部および第2のハウジング部の他方を受け入れるためのフランジを含む、条項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【0040】
条項9.ハウジングは、出口流体経路から半径方向外側に延在する少なくとも1つの強化リブを含む、条項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【0041】
条項10.スクリーンであって、内部チャンバから流出する流体がスクリーンを通過するように出口流体経路内に配置されたスクリーンをさらに含む、条項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【0042】
条項11.ハウジングは、内部チャンバ内の気泡を照らすように構成された透光性材料を含む、条項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【0043】
条項12.ハウジングは、流体注入器システムの注入器ハウジングに取り付けるように構成されたコネクタアームを含む、条項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【0044】
条項13.入口流体経路および出口流体経路の少なくとも一方の断面積を変更するための調整可能バルブをさらに含む、条項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【0045】
条項14.流体注入器システムの流体経路内で気泡を懸濁するための装置であって、装置は、内部チャンバを画定するハウジングと、内部チャンバと流体連通する入口流体経路と、内部チャンバと流体連通する出口流体経路と、入口流体経路と流体連通し、内部チャンバ内に延びる延長チューブであって、延長チューブは、延長チューブを介して内部チャンバ内に流入する流体が出口流体経路から離れるように向けられるように、出口流体経路から離間した先端部を含む、延長チューブと、を含む、装置。
【0046】
条項15.内部チャンバを入口部分と出口部分とに分割するスクリーンをさらに含み、スクリーンは、入口部分と出口部分との間の流体連通を提供する少なくとも1つの開口部を含み、延長チューブから内部チャンバに流入する流体は、出口流体経路に到達するために、スクリーンの少なくとも1つの開口部を通って流れなければならない、条項14に記載の装置。
【0047】
条項16.延長チューブの先端部に隣接するスクリーンの第1の部分は流体に対して不透過性であり、出口流体経路に隣接するスクリーンの第2の部分は少なくとも1つの開口部を含む、条項14または15に記載の装置。
【0048】
条項17.スクリーンは少なくとも1つの開口部を画定する漏斗を含み、漏斗は、内部チャンバの入口部分に隣接する最大断面積から、内部チャンバの出口部分内に延在する最小直径まで先細になる、条項14から16のいずれか一項に記載の装置。
【0049】
条項18.スクリーンは、フードであって、流体が少なくとも1つの開口部を通って流れるためにはフードの周りを流れなければならないように、少なくとも1つの開口部を少なくとも部分的に塞ぐフードを含む、条項14から17のいずれか一項に記載の装置。
【0050】
条項19.スクリーンはメッシュを含む、条項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【0051】
条項20.少なくとも1つの開口部は、円弧状に配置された2つ以上の開口部を含む、条項14から19のいずれか一項に記載の装置。
【0052】
条項21.ハウジングは、スクリーンを受け入れるように構成されたフランジを含む第1のハウジング部と、第2のハウジング部であって、第1のハウジング部と第2のハウジング部との間のスクリーンを捕捉するために、第1のハウジング部のフランジ内に受け入れられる第2のハウジング部と、を含む、条項14から20のいずれか一項に記載の装置。
【0053】
条項22.入口流体経路は、入口流体経路を通って流れる流体の流速を減少させるために、入口流体経路を通る流体の流れの方向に、より小さい断面積からより大きい断面積まで先細になる、条項14から21のいずれか一項に記載の装置。
【0054】
条項23.延長チューブは内部チャンバの内壁と平行に延在する、条項14から22のいずれか一項に記載の装置。
【0055】
条項24.出口流体経路は入口流体経路に対して鋭角で延在する、条項14から23のいずれか一項に記載の装置。
【0056】
条項25.ハウジングは、内部チャンバ内の気泡を照らすように構成された透光性材料を含む、条項14から24のいずれか一項に記載の装置。
【0057】
条項26.ハウジングは、流体注入器システムの注入器ハウジングに取り付けるように構成されたコネクタアームを含む、条項14から25のいずれか一項に記載の装置。
【0058】
条項27.入口流体経路および出口流体経路の少なくとも一方の断面積を変更するための調整可能バルブをさらに含む、条項14から26のいずれか一項に記載の装置。
【0059】
条項28.医療用流体を注入するように構成された少なくとも1つの流体リザーバと、少なくとも1つの流体リザーバと流体連通する少なくとも1つの気泡懸濁装置であって、少なくとも1つの気泡懸濁装置は、内部チャンバを画定するハウジングと、内部チャンバと流体連通する入口流体経路と、内部チャンバと流体連通する出口流体経路であって、出口流体経路は、入口流体経路を介して内部チャンバに流入する流体が出口流体経路から離れるように向けられるように入口流体経路から離間される、出口流体経路と、を含む、少なくとも1つの気泡懸濁装置と、少なくとも1つの流体リザーバを少なくとも1つの気泡懸濁装置に接続する流体経路内の1つまたは複数の気泡を検出するように構成された少なくとも1つの空気検出器と、少なくとも1つの気泡懸濁装置の下流にあり、空気検出器が流体経路内の1つまたは複数の気泡を検出するのに応答して開位置から閉位置に移動するように構成された少なくとも1つの遮断バルブと、を含み、内部チャンバは、入口流体経路から内部チャンバに入る注入流体内で内部流体渦を生成するように構成され、内部流体渦は、内部渦内の流体内で1つまたは複数の気泡を少なくとも一時的に懸濁し、1つまたは複数の気泡の出口流体経路への通過を遅延させる、流体注入器システム。
【0060】
条項29.気泡懸濁装置は、内部チャンバ内の気泡の浮力が、1つまたは複数の気泡をさらに内部チャンバ内の内部流体渦内で懸濁したままにするように、出口流体経路が内部チャンバから実質的に垂直下方に延在する注入位置と、内部チャンバ内の気泡の浮力が、気泡を内部流体渦から出口流体経路を通って流れるようにするように、出口流体経路がチャンバから実質的に垂直上方に延在するプライミング位置と、の間で移動可能である、条項28に記載の流体注入器システム。
【0061】
条項30.内部チャンバは、少なくとも1つの湾曲した内壁を含み、入口流体経路は、湾曲した内壁の接線で内部チャンバ内に延びる、条項28または29に記載の流体注入器システム。
【0062】
条項31.出口流体経路は、内部チャンバから、内部チャンバ内の内部流体渦内の流体の流路に対して実質的に垂直な方向に延在する、条項28から30のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0063】
条項32.出口流体経路の少なくとも一部は、入口流体経路内の流体速度に対して出口流体経路内の流体速度を減少させるために、入口流体経路の断面積よりも大きい断面積を有する、条項28から31のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0064】
条項33.出口流体経路は入口流体経路に実質的に平行に延在する、条項28から32のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0065】
条項34.内部チャンバは少なくとも部分的に球形または半球形である、条項28から33のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0066】
条項35.気泡懸濁装置は、出口流体経路と実質的に反対の方向に内部チャンバから半径方向外側に延在する凹部をさらに含む、条項28から34のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0067】
条項36.凹部内に蓄積された空気を排出するために、凹部上にあり、内部チャンバと流体連通するバルブをさらに含む、条項28から35のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0068】
条項37.気泡懸濁装置のハウジングは、入口流体経路および出口流体経路の少なくとも一方を含む第1のハウジング部と、内部チャンバの少なくとも一部を含む第2のハウジング部と、を含み、第1のハウジング部および第2のハウジング部の一方が、第1のハウジング部および第2のハウジング部の他方を受け入れるためのフランジを含む、条項28から36のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0069】
条項38.気泡懸濁装置のハウジングは、出口流体経路から半径方向外側に延在する少なくとも1つの強化リブを含む、条項28から37のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0070】
条項39.気泡懸濁装置は、スクリーンであって、内部チャンバから流出する流体がスクリーンを通過するように、出口流体経路の近位に配置されたスクリーンをさらに含む、条項28から38のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0071】
条項40.流体がスクリーンを通過する際に、1つまたは複数の気泡のうちの1つまたは複数がスクリーンの表面に一時的に付着する、条項28から39のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0072】
条項41.クリーンは、スクリーンの表面の少なくとも一部に親水性コーティングを含む、条項28から40のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0073】
条項42.気泡懸濁装置は、入口流体経路と流体連通し、内部チャンバ内に延びる延長チューブをさらに含み、延長チューブは、延長チューブを介して内部チャンバに流入する流体が出口流体経路から離れるように向けられるように、出口流体経路から離間した先端部を含む、条項28から41のいずれかに記載の流体注入器システム。
【0074】
条項43.スクリーンは、内部チャンバを入口部分と出口部分とに分割し、スクリーンは、入口部分と出口部分との間の流体連通を提供する少なくとも1つの開口部を含み、入口流体経路から内部チャンバに流入する流体は、出口流体経路に到達するために、スクリーンの少なくとも1つの開口部を通って流れなければならない、条項28から42のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0075】
条項44.延長チューブの先端部に隣接するスクリーンの第1の部分は流体に対して不透過性であり、出口流体経路に隣接するスクリーンの第2の部分は少なくとも1つの開口部を含む、条項28から43のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0076】
条項45.スクリーンは少なくとも1つの開口部を画定する漏斗を含み、漏斗は、内部チャンバの入口部分に隣接する最大断面積から、内部チャンバの出口部分内に延在する最小直径まで先細になる、条項28から44のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0077】
条項46.スクリーンは、フードであって、流体が少なくとも1つの開口部を通って流れるためにはフードの周りを流れなければならないように、少なくとも1つの開口部を少なくとも部分的に塞ぐフードを含む、条項28から45のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0078】
条項47.スクリーンはメッシュを含む、条項28から46のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0079】
条項48.少なくとも1つの開口部は、円弧状に配置された2つ以上の開口部を含む、条項28から47のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0080】
条項49.気泡懸濁装置は、出口流体経路への1つまたは複数の気泡の通過を少なくとも100ミリ秒遅延させる、条項28から48のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0081】
条項50.ハウジングは、スクリーンを受け入れるように構成されたフランジを含む第1のハウジング部と、第2のハウジング部であって、第1のハウジング部と第2のハウジング部との間のスクリーンを捕捉するために、第1のハウジング部のフランジ内に受け入れられる第2のハウジング部と、を含む、条項28から49のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0082】
条項51.入口流体経路は、入口流体経路を通って流れる流体の流速を減少させるために、入口流体経路を通る流体の流れの方向に、より小さい断面積からより大きい断面積まで先細になる、条項28から50のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0083】
条項52.延長チューブは内部チャンバの内壁と平行に延在する、条項28から51のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0084】
条項53.出口流体経路は入口流体経路に対して鋭角で延在する、条項28から52のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0085】
条項54.気泡懸濁装置のハウジングは、内部チャンバ内の気泡を照らすように構成された透光性材料を含む、条項28から53のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0086】
条項55.気泡懸濁装置のハウジングは、流体注入器システムの注入器ハウジングに取り付けるように構成されたコネクタアームを含む、条項28から54のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0087】
条項56.入口流体経路および出口流体経路の少なくとも一方の断面積を変更するための調整可能バルブをさらに含む、条項28から55のいずれか一項に記載の流体注入器システム。
【0088】
本明細書で詳細に説明する様々な実施例のさらなる詳細および利点は、添付の図面と併せて様々な実施例の以下の詳細な説明を検討すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1】本開示の一実施形態による流体注入器システムの斜視図である。
図2】本開示の一実施形態による流体注入器システムの概略図である。
図3】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置の斜視図である。
図4】注入位置にある図3の気泡懸濁装置の側断面図である。
図5】プライミング位置にある図3の気泡懸濁装置の側断面図である。
図6】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置の側断面図である。
図7】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置の斜視図である。
図8】注入位置にある図7の気泡懸濁装置の側断面図である。
図9】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置の斜視図である。
図10】注入プロトコルの第1の期間における図9の気泡懸濁装置の側断面図である。
図11】注入プロトコルの第2の期間における図9の気泡懸濁装置の側断面図である。
図12】注入プロトコルの第3の期間における図9の気泡懸濁装置の側断面図である。
図13】注入プロトコルの第4の期間における図9の気泡懸濁装置の側断面図である。
図14】プライミング位置にある図9の気泡懸濁装置の側断面図である。
図15】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置の側断面図である。
図16図15の気泡懸濁装置の斜視図である。
図17】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置の側断面図である。
図18図17の気泡懸濁装置の分解斜視図である。
図19】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置用の画面の斜視図である。
図20】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置用の画面の斜視図である。
図21】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置用の画面の斜視図である。
図22】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置用の画面の斜視図である。
図23】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置用の画面の斜視図である。
図24】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置用の画面の正面図である。
図25】本開示の一実施形態による気泡懸濁装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0090】
いくつかの図面を通して同様の符号が同様の部分を指す図面を参照すると、本開示は、一般に、流体注入器システムと共に使用するためのインライン気泡懸濁装置に関する。
【0091】
以下の説明の目的のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」という用語、およびその派生語は、図面に示されているように、本開示に関係するものとする。「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上方」、「下方」などの空間的または方向的な用語は、本発明が様々な代替的な向きをとることができるので、限定的なものとみなすべきではない。
【0092】
本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。明細書および特許請求の範囲で使用されるすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解すべきである。「およそ」、「約」、および「実質的に」という用語は、記載された値の±10%の範囲を意味する。
【0093】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つの」という用語は、「1つまたは複数の」と同義である。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」というフレーズは、A、B、およびCのうちのいずれか1つ、またはA、B、およびCのうちのいずれか2つ以上の組み合わせを意味する。例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、A単独の1つまたは複数、あるいはB単独の1つまたは複数、あるいはC単独の1つまたは複数、あるいはAの1つもしくは複数およびBの1つもしくは複数、あるいはAの1つもしくは複数およびCの1つもしくは複数、あるいはBの1つもしくは複数およびCの1つもしくは複数、あるいはA、B、およびCのすべての1つまたは複数を含む。同様に、本明細書で使用される場合、「少なくとも2つの」という用語は、「2つ以上の」と同義である。例えば、「D、E、およびFのうちの少なくとも2つ」という表現は、D、E、およびFのいずれか2つ以上の任意の組み合わせを意味する。例えば、「D、EおよびFのうちの少なくとも2つ」は、Dの1つもしくは複数およびEの1つもしくは複数、あるいはDの1つもしくは複数およびFの1つもしくは複数、あるいはEの1つもしくは複数およびFの1つもしくは複数、あるいはD、EおよびFのすべての1つまたは複数を含む。
【0094】
添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の装置およびプロセスは、本開示の単なる例示であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示する実施例に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的なものとみなすべきではない。
【0095】
流体リザーバ、シリンジ、空気懸濁装置、または流体ラインなどの流体送達システムの構成要素に関して使用される場合、「遠位」という用語は、患者に最も近い前記構成要素の部分を指す。流体リザーバ、シリンジ、空気懸濁装置、または流体ラインなどの注入器システムの構成要素に関して使用される場合、「近位」という用語は、注入器システムの注入器に最も近い前記構成要素の部分(すなわち、患者から最も遠い前記構成要素の部分)を指す。流体リザーバ、シリンジ、空気懸濁装置、または流体ラインなどの流体送達システムの構成要素に関して使用される場合、「上流」という用語は、患者から離れて注入器システムの注入器に向かう方向を指す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素の「上流」にあると言及される場合、第1の構成要素は、第2の構成要素よりも注入器の近くに配置される。流体リザーバ、シリンジ、空気懸濁装置、または流体ラインなどの流体送達システムの構成要素に関して使用される場合、「下流」という用語は、患者に向かって流体送達システムの注入器から離れる方向を指す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素の「下流」にあると言及される場合、第1の構成要素は、第2の構成要素よりも患者の近くに配置される。
【0096】
本明細書で使用される場合、「キャパシタンス」および「インピーダンス」という用語は、流体リザーバ、シリンジ、流体ライン、および/または流体送達システムの他の構成要素などの注入器構成要素の、そのような構成要素を有する加圧流体の結果としての体積膨張、および/または構成要素に加えられる力による機械的スラックの取り込みを指すために互換的に使用される。キャパシタンスおよびインピーダンスは、いくつかの血管造影処置では1,200psi程度であり得る高い注入圧力に起因する可能性があり、その結果、構成要素の一部内に保持される流体の体積が、注入処置のために選択された所望の量または構成要素の静止体積を超える可能性がある。さらに、様々な構成要素の容量は、適切に考慮されない場合、構成要素の体積膨張がそれらの構成要素の測定圧力の人為的な低下を引き起こす可能性があるため、注入器システムの圧力センサの精度に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0097】
「第1」、「第2」などの用語は、特定の順序または時系列を指すものではなく、異なる条件、特性、または要素を指すものである。本明細書で言及されるすべての文書は、その全体が「参照により組み込まれる」。「少なくとも」という用語は、「以上」と同義である。「より大きくない」という用語は、「以下」と同義である。
【0098】
本開示は、明示的に反対に指定されている場合を除いて、代替的な変形およびステップシーケンスを想定し得ることを理解されたい。添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の装置およびプロセスは、本開示の単なる例示的な態様であることも理解されたい。したがって、本明細書に開示する実施例に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的なものとみなすべきではない。
【0099】
本明細書に記載のシステムおよび装置は、血管造影法(CV)注入システムを参照しているが、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、陽電子放出断層撮影法(PET)、および磁気共鳴撮像法(MRI)などの他の加圧注入プロトコルはまた、空気の注入を防止するための本明細書に記載の様々な実施形態を組み込むことができる。
【0100】
図面のいくつかの図を通して同様の符号が同様の部分を指す図面を参照すると、本開示は、一般に、流体ラインを通って患者に向かう1つまたは複数の気泡の移動を遅延させ、注入処置中に不注意に発生し得る1つまたは複数の気泡の送達を防止するための流体注入器システムおよび気泡懸濁装置に関する。
【0101】
最初に図1を参照すると、デュアルシリンジ血管造影注入器システム2000の一実施形態が示されている。血管造影注入器システム2000は、血管造影注入処置のための撮像造影剤などの医療用流体のための第1の流体経路210A、および生理食塩水または乳酸リンゲル液などのフラッシング流体のための第2の流体経路210Bを介して2つの医療用流体を注入するように構成される。デュアルシリンジ血管造影注入器システム2000は、2つのシリンジ10A、10Bに係合するように構成された2つのシリンジポート15を有する注入器ハウジング12を含んでもよい。いくつかの実施形態では、シリンジ10A、10Bは、例えばシリンジ10A、10Bの圧力誘発膨張および潜在的な破裂を防止するために、対応する圧力ジャケット17A、17B内に保持されてもよい。
【0102】
流体注入器システム2000は、オペレータが注入処置の状態を見て制御することができる少なくとも1つのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)11をさらに含んでもよい。GUI11は、GUI11と流体注入器システム2000との間でコマンドを送受信するコントローラ900(図2を参照)と動作可能に通信することができる。GUI11は、注入器ハウジング12に設けられてもよく、または注入器ハウジング12から遠隔に取り付けられてもよい。
【0103】
デュアルシリンジ血管造影注入器システム2000は、第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bの空気検出チューブ領域250内の1つまたは複数の気泡を検出するための流体経路210A、Bに関連する少なくとも1つの上流空気検出器200をさらに含んでもよい。空気検出チューブ領域250は、例えば、第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bの近位または上流部分に関連付けられてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの空気検出器200は、第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bのそれぞれに動作可能に関連付けられた少なくとも1つのセンサを有する単一のモジュールであってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの空気検出器200は、少なくとも2つの別個のモジュールを含んでもよく、各モジュールは、第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bの一方と動作可能に関連付けられる。少なくとも1つの空気検出器200は、コントローラ900が第1の流体経路210Aおよび/または第2の流体経路210Bの一方または両方における1つまたは複数の気泡の検出を示す信号を少なくとも1つの空気検出器200から受信することができるように、コントローラ900(図2を参照)と動作可能に通信することができる。1つまたは複数の信号が受信されると、コントローラ900は、例えば、検出された気泡が患者に注入されるのを防ぐために、少なくとも1つの空気検出器200の下流の1つまたは複数の遮断バルブ(図2図215A図215Bおよび/または図390を参照)を閉じることによって、流体注入処置を停止するように流体注入器システム2000に信号またはコマンドを送信することができる。少なくとも1つの空気検出器200は、流体経路内の1つまたは複数の気泡を検出するように構成された、超音波センサ、光学センサ、または他の適切なセンサ構成を含んでもよい。
【0104】
引き続き図1を参照すると、デュアルシリンジ血管造影注入器システム2000は、それぞれのシリンジ10A、10Bに造影剤およびフラッシング流体をそれぞれ充填および補充するためのバルク流体容器19A、19Bをさらに含んでもよい。バルク流体容器19Aおよび19Bは、それぞれのバルク流体経路216Aおよび216Bならびにバルク流体バルブ215Aおよび215Bを介してシリンジ10Aおよび10Bと選択的に流体連通することができる。
【0105】
シリンジ、圧力ジャケットおよび圧力ジャケット保持機構、チューブ、遮断バルブ、コントローラ、および空気検出器を含む適切な非限定的な電動注入器システムのさらなる詳細および実施例は、米国特許第5,383,858号、米国特許第7,553,294号、米国特許第7,666,169号、米国特許第8,945,051号、米国特許第10,022,493号、米国特許第10,507,319号、ならびに国際PCT出願第PCT/US2013/061275号、PCT/US2018/034613号、PCT/US2020/049885号、PCT/US2021/035273号、およびPCT/US2021/029963号に記載されており、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。流体注入器システム2000は、デュアルシリンジ血管造影法(CV)注入器の文脈で本明細書に記載されているが、流体注入器システム2000は、任意の注入処置(例えば、CT、PET、MRI、超音波など)の単一および複数シリンジ構成に適合させることができることを理解されたい。
【0106】
ここで図2を参照すると、図1に示す流体注入器システム2000の概略図が示されている。注入器システム2000は、シリンジ10A、10Bおよびそれらの対応する圧力ジャケット17A、17B(図1を参照)の各々にそれぞれ関連付けられたピストン13A、13Bを含む。ピストン13A、13Bの各々は、それぞれのシリンジ10A、10Bのバレル内のそれぞれのプランジャ14A、14Bを駆動するように構成される。コントローラ900は、例えば、ピストン13A、13Bを作動させてプランジャ14A、14Bをシリンジ10A、10B内で往復運動させ、それによって注入処置を実行および停止するために、注入器システム2000と動作可能に関連付けられる。特に、コントローラ900は、ピストン13A、13B、および本明細書に記載のような1つまたは複数の遮断バルブなどの注入器システム2000の様々な他の構成要素を作動させて、注入処置のためのプログラムされたプロトコルに従って医療用流体を取り込み送達するようにプログラムまたは構成された少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。コントローラ900は、少なくとも1つのプロセッサによる実行のために1つまたは複数の注入プロトコルが記憶され得るメモリなどのコンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0107】
コントローラ900は、各シリンジ10A、10Bに関連するピストン13A、13Bがシリンジ10A、10Bの近位端に向かって引き込まれて注入流体F(例えば、造影剤およびフラッシング流体を撮像する)をバルク流体容器19A、19Bからシリンジ10A、10B内に引き込む充填動作を実行するようにプログラムまたは構成されてもよい。そのような充填動作中、コントローラ900は、バルク流体バルブ215Aおよび215Bを選択的に作動させて、バルク流体経路216Aおよび216Bを介してそれぞれのシリンジ10A、10Bとバルク流体容器19A、19Bとの間の流体連通を確立し、シリンジ10A、10Bへの適切な注入流体Fの充填を制御するようにプログラムまたは構成されてもよい。充填操作、および任意選択で(例えば、任意のそのような空気をバルク流体容器19A、19B内に、またはプライミングチューブを介してプライミングすることによって)シリンジ10A、10Bおよび本明細書に記載の気泡懸濁装置の様々な実施形態から空気を除去するプライミング操作が完了すると、コントローラ900は、バルク流体バルブ215Aおよび215Bを選択的に作動させて、バルク流体経路216Aおよび216Bを介したそれぞれのシリンジ10A、10Bとバルク流体容器19A、19Bとの間の流体連通を遮断するようにプログラムまたは構成されてもよい。
【0108】
充填動作およびプライミング動作の後に、コントローラ900は、シリンジ10A、10Bの一方または両方に関連するピストン13A、13Bがシリンジの遠位端に向かって移動して注入流体Fを第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bに注入する送達動作を実行するようにプログラムまたは構成されてもよい。コントローラ900は、バルク流体バルブ215Aおよび215Bを選択的に作動させて、流体経路210A、210Bを介してシリンジ10A、10Bと患者との間の流体連通を確立するようにプログラムまたは構成することができる。第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bは、最終的に、患者の血管系と流体連通する患者流体ライン210Cに合流する。様々な実施形態によれば、第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる国際PCT出願第PCT/US2021/019507号およびPCT/US2014/026324号に記載されている流体混合コネクタなどの、第1の流体と第2の流体との乱流混合を提供する流体混合コネクタで合流することができる。
【0109】
コントローラ900は、第1の流体経路210Aおよび/または第2の流体経路210Bの少なくとも一方における1つまたは複数の気泡の存在を検出する空気検出器200に応答して、コントローラ900がピストン13A、13Bの作動を停止することができるように、少なくとも1つの空気検出器200と動作可能に通信することができる。コントローラ900はさらに、少なくとも1つの下流自動遮断バルブ390と動作可能に通信することができ、コントローラ900は、少なくとも1つの下流遮断バルブ390を作動させて、少なくとも1つの下流遮断バルブ390を通って患者の血管系に入る流体の流れを停止することができる。少なくとも1つの下流遮断バルブ390は、医療用流体が患者に流れることができる開位置、患者への流体の流れが防止される閉位置、および患者の血管系が圧力変換器と流体連通し、シリンジ10A、10Bから隔離される 血行力学監視位置などの様々な位置の間でコントローラ900によって作動させることができる。いくつかの実施形態では、下流遮断バルブ390は、ストップコック、ピンチバルブなどであってもよい。特定の実施形態では、下流遮断バルブ390は、流体経路210Aおよび210Bのそれぞれに関連付けられてもよく、第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bが患者流体ライン210Cに合流する前に配置されてもよい。ピンチバルブおよびピンチバルブ/流体経路構成の適切な例は、国際特許出願第PCT/US2021/029963号に記載されている。通常の送達動作中、コントローラ900は、患者と流体経路210A、210Bとの間の流体連通を確立するために下流遮断バルブ390を開位置に移動させるようにプログラムまたは構成されてもよい。コントローラ900は、少なくとも1つの空気検出器200によって空気が検出されたことに応答して下流遮断バルブ390を閉位置に移動させるようにプログラムまたは構成することができる。ピストン13A、13Bの移動はまた、少なくとも1つの空気検出器200によって空気が検出されたことに応答して停止されてもよい。停止位置では、下流遮断バルブ390は、患者を流体経路210A、210Bから流体的に隔離し、それによって空気が患者に注入されるのを防止する。
【0110】
引き続き図2を参照すると、いくつかの実施形態では、第1の流体経路210Aおよび第2の流体経路210Bの各々は、流体経路210A、210Bを通って流れる1つまたは複数の気泡を少なくとも一時的に中断または遅延させるように構成された気泡懸濁装置300を含んでもよい。各気泡懸濁装置300は、少なくとも1つの空気検出器200と下流遮断バルブ390との間の関連する流体経路210A、210Bと一直線に設けられてもよく、その結果、流体経路210A、210Bを通るすべての流体流は、患者に到達するために少なくとも1つの気泡懸濁装置300を通過しなければならない。
【0111】
いくつかの実施形態では、コントローラ900は、ピストン13A、13Bの同時停止と共に少なくとも1つの空気検出器200によって1つまたは複数の気泡が検出されたことに応答して、バルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390を閉位置に移動させるようにプログラムまたは構成することができる。気泡懸濁装置300がない場合、少なくとも1つの空気検出器200によって検出された1つまたは複数の気泡は、バルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390が閉位置に達する前に、バルク流体バルブ215A、215Bおよび下流遮断バルブ390を通過するのに十分な速度で流体経路210A、210Bを通って移動することができる。例えば、高圧(例えば、1200psi)CV注入処置の間、気泡が少なくとも1つの空気検出器200の検出領域に流入した後に注入器システム2000が注入処置を停止するには、60ミリ秒~90ミリ秒、例えば一実施形態では約80ミリ秒かかることがある。注入処置を停止するのに必要な時間は、少なくとも1つの空気検出器200が気泡が検出されたことをコントローラ900に通信するのに必要な時間、コントローラ900がバルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390と通信するのに必要な時間、およびバルク流体バルブ215A、215Bおよび/または遮断バルブ390が開位置から閉位置に移動するのに必要な時間を含んでもよい。CV注入処置に典型的な高い注入圧力(例えば1200psi)では、気泡の検出とバルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390の閉鎖との間で、気泡は、60ミリ秒から90ミリ秒にわたって流体経路210A、210Bの容積の2.8mLから3.6mLに移動することができる。例えば、約1200psiで、気泡は、0.072インチIDの管において、30mL/秒の流量で80ミリ秒にわたって3.2mLに相当する距離を移動することができる。そのような実施形態の3.2mLの体積の距離当量は、80ミリ秒の間に移動したチューブの長さの約4フィートであり得る。したがって、少なくとも1つの空気検出器200、コントローラ900、およびバルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390の高速応答時間であっても、バルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390を閉じることができる前に、潜在的に患者の中にかなりの距離を気泡が移動する可能性がある。さらに、液体と比較して気体の圧縮性のために、気泡体積は、高い注入圧力下で著しく減少し得る。ピストン13A、13Bを停止することによって流体の流れを停止させるだけで、システム上の圧力を解放し、気泡の体積を膨張させることができる。容積の増加は、そのようなバルブが閉じられる前に、バルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390を通過して流体経路を下方に気泡を移動させることができる。
【0112】
本開示の気泡懸濁装置300の実施形態は、コントローラ900が、気泡がバルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390に到達する前に、バルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390を閉位置に移動させるのに十分な時間を有するように、流体経路210A、210B内の気泡の流れを少なくとも一時的に遅延させるように構成される。本明細書で述べるように、高圧(例えば、1200psi)CV注入処置の間、少なくとも1つの空気検出器200が流体経路210A、210B内の気泡を検出するのに応答して、システム2000がバルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390を閉じるのに60ミリ秒から90ミリ秒、例えば一実施形態では約80ミリ秒かかる場合がある。気泡懸濁装置300の実施形態は、気泡がバルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390に到達する前に、バルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390を閉位置に移動させることができるように、気泡の流れを少なくとも60ミリ秒から90ミリ秒、例えば一実施形態では少なくとも80ミリ秒遅らせるように構成することができる。したがって、気泡は、バルク流体バルブ215A、215Bおよび/または下流遮断バルブ390の下流で患者の中に流れることができない。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、少なくとも1つの空気検出器200が流体経路210A、210B内の気泡を検出することに応答して、バルク流体バルブ215A、215Bの一方または両方を閉位置に移動させるようにプログラムまたは構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、少なくとも1つの空気検出器200が流体経路210A、210B内の気泡を検出することに応答して、下流遮断バルブ390を閉位置に移動させるようにプログラムまたは構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ900は、少なくとも1つの空気検出器200が流体経路210A、210B内の気泡を検出することに応答して、バルク流体バルブ215A、215Bおよび下流遮断バルブ390の一方または両方を閉位置に移動させるようにプログラムまたは構成される。
【0113】
図3図25を参照すると、本開示による気泡懸濁装置300の様々な実施形態の特徴が示されている。一般に、気泡懸濁装置300の実施形態は、内部チャンバ320を画定するハウジング310を含む。内部チャンバ320は、入口流体経路312および出口流体経路314と流体連通している。入口流体経路312および出口流体経路314は、流体注入器システム2000の関連する流体経路210A、210Bと流体連通するように構成されてもよい。少なくとも1つの気泡懸濁装置300は、関連するシリンジ10A、10Bから注入された注入流体が入口流体経路312に流入し、内部チャンバ320を通って出口流体経路314から流出するように、関連する流体経路210A、210Bに接続されてもよい。気泡懸濁装置300は、少なくとも1つの空気検出器200の下流かつ下流遮断バルブ390の上流かついくつかの実施形態ではバルク流体バルブ215A、215Bの上流の流体経路210A、210Bの各々に配置される。このようにして、気泡は、下流遮断バルブ390および/またはバルク流体バルブ215A、215Bの閉位置への移動および注入処置の停止を可能にする時間の長さにわたって気泡懸濁装置300内に少なくとも一時的に懸濁される。いくつかの実施形態では、気泡懸濁装置300は、入口流体経路312から出口流体経路314への1つまたは複数の気泡の通過を少なくとも100ミリ秒遅らせるように構成されてもよい。
【0114】
入口流体経路312は、内部チャンバ320への流体の流れが内部チャンバ320に入る注入流体に内部流体渦を生成するように、内部チャンバ320に対して配向されてもよい。いくつかの実施形態では、入口流体経路312は、入口流体経路312からの注入流体が内部チャンバ320の湾曲したまたは半球形の内壁322に実質的に接する内部チャンバ320に入るように配向されてもよく、それによって注入流体が内壁322に沿って流れるように誘導されて流体渦を生成する。内部流体渦は、注入流体中に存在し得る1つまたは複数の気泡を内部チャンバ320内の流体渦内に一時的に保持するように誘導し、それによって、出口流体経路314へのおよび気泡懸濁装置300からの1つまたは複数の気泡の通過を少なくとも一時的に遅延させる。内部流体渦は、内部チャンバ320の湾曲したまたは半球形の内壁322に沿ってほぼ円形または他の方法で連続した流路を画定することができ、これにより、1つまたは複数の気泡が流体渦内の注入流体に一時的に懸濁される。さらに、流体渦は、例えば小さな気泡の衝突および合体によって、1つまたは複数の気泡がより少数のより大きな気泡に合体させることができる。湾曲したまたは半球の内壁322は、1つまたは複数の気泡に対する剪断力を最小限に抑えることができ、したがって、気泡が渦内のより小さな気泡に剪断されるのを防ぐことができる。
【0115】
様々な実施形態において、内部チャンバ320は、最大0.5ミリリットル(mL)の気泡を遅延させるのに十分な容積(すなわち、流体容量)を有することができる。そのような実施形態では、内部チャンバ320は、2mL~10mL、いくつかの実施形態では2.8mL~3.6mL、いくつかの実施形態では約3.2mL、いくつかの実施形態では約5.4mLの容積(すなわち、流体容量)を有してもよい。図3図6に示す実施形態では、内部チャンバ320は、最大約0.5mLの気泡を遅延させるために約6.77mLの容積(すなわち、流体容量)を有してもよい。図7図8に示す実施形態では、内部チャンバ320は、最大約0.5mLの気泡を遅延させるために約7.00mLの容積(すなわち、流体容量)を有してもよい。いくつかの実施形態では、0.5mLより大きい体積を有する気泡を遅延させるために、内部チャンバ320の体積をそれに応じて増加させることができる。
【0116】
引き続き図3図25に示す様々な実施形態を参照すると、出口流体経路314は、内部流体渦に懸濁された1つまたは複数の気泡が出口流体経路314に向かって容易に流れるのを防ぐために、内部チャンバ320に対して配向されてもよい。例えば、出口流体経路314は、流体渦によって画定される流体流路が出口流体経路314から離れるように方向付けられるように、または内部チャンバ320内を流れる流体が出口流体経路314に入るために方向を変えなければならないように(例えば、図14を参照)方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、出口流体経路314は、流体渦内の流体流が出口流体経路314の開口部315を横切って横方向に通過するように(例えば、図4を参照)、内部チャンバ320の内壁322から実質的に垂直に延在することができる。出口流体経路314は、気泡懸濁装置300の注入位置において、出口流体経路314が内部チャンバ320から少なくとも部分的に下方に延在するように配置されてもよい。空気は内部チャンバ320内の注入流体に対して浮力があるので、内部チャンバ320内に存在する任意の気泡は、その相対浮力によって、出口流体経路314から離れて内部チャンバ320の上部に向かって浮遊または移動するように誘導される。加えて、気泡懸濁装置300のこのような構成により、気泡懸濁装置300は、注入位置から、出口流体経路314が内部チャンバ320から少なくとも部分的に上方に延在するプライミング位置(図5を参照)に移動され(例えば、回転され)てもよい。プライミング位置では、流体注入処置の開始前に流体ラインから空気を除去するプライミングプロセス中に、内部チャンバ320内に存在する気泡は、出口流体経路314に向かって浮くように誘導され、それにより、プライミング流体流の影響下で、関連する流体経路210A、210Bの遠位端から出口流体経路314を通して気泡をパージすることができる。
【0117】
特に図3図5を参照すると、気泡懸濁装置300の一実施形態が示されている。ハウジング310は、第1のハウジング部302および第2のハウジング部304から形成されてもよい。ハウジング310を複数の部分から形成することにより、射出成形プロセスによる製造を容易にして、気泡懸濁装置300の様々な特徴を形成することができる。気泡懸濁装置300は、気泡懸濁装置300内の高い流体圧力に耐えることができる医療グレードのポリマー材料などの任意の適切な医療グレードの材料で作ることができる。第1のハウジング部302は、入口流体経路312および出口流体経路314の少なくとも一方を含んでもよい。図3図5に示す実施形態では、第1のハウジング部302は、入口流体経路312と出口流体経路314の両方を含む。入口流体経路312および出口流体経路314は、互いに実質的に平行に延在してもよい。内部チャンバ320は、第1のハウジング部302と第2のハウジング部304とによって画定されてもよい。図3図5に示す実施形態では、第1のハウジング部302および第2のハウジング部304の各々は、内部チャンバ320を部分的に画定する。図4および図5に示すように、第1のハウジング部302は、第2のハウジング部304の端部特徴部308、例えばリップを受け入れるように構成されたフランジ306を含む。いくつかの実施形態では、フランジ306は、第2のハウジング部304に設けられてもよく、端部特徴部308は、第1のハウジング部302に設けられてもよい。第1のハウジング部302と第2のハウジング部304とは、接着剤、レーザ溶接、超音波溶接などを介して接合されてもよい。ハウジング310は、ハウジング310内の高い流体圧力に対する支持を提供するために、様々な位置に配置された1つまたは複数の強化リブ324、325を含んでもよい。一部の血管造影(CV)処置では、液圧は最大約1200psiであり得る。いくつかの実施形態では、複数の強化リブ324は、入口流体経路312、第1のハウジング部302、第2のハウジング部304、および出口流体経路314の少なくとも一部から半径方向に延在してもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの強化リブ325は、入口流体経路312および/または出口流体経路314と平行に延在してもよい。特定の実施形態では、コネクタアーム360は、入口流体経路312の強化機構としてさらに機能することができる。
【0118】
引き続き図3図5を参照すると、内部チャンバ320は、内部チャンバ320に入る注入流体が渦流路Bによって図4で識別される内部流体渦を流れるように誘導するために、湾曲した半球状の内壁322を有してもよい。いくつかの実施形態では、第2のハウジング部304によって画定される内部チャンバ320の内壁322は、実質的に半球状またはドーム状であってもよい。気泡懸濁装置300が注入位置に示されていることを示す図4に示すように、流体入口経路312は、内部流体渦を生成するために内壁322に実質的に接する内部チャンバ320内に延在してもよい。流体入口経路312は、方向Aに内部チャンバ320に流入する注入流体が、流体渦流路Bを流れる内部チャンバ320内の注入流体と合流するように、内部チャンバ320内への開口部313を有してもよい。したがって、流体入口経路312から内部チャンバ320に流入する注入流体は、渦流路Bと実質的に同じ方向に内部流体渦に流入して、流体渦を維持する。したがって、流体渦流路Bは、注入流体が流体入口経路312から内部チャンバ320に導入され続ける限り、内部チャンバ320内を連続的に流れる。内壁322は、渦流路Bへの注入流体の再循環を誘導するように成形されてもよい。
【0119】
引き続き図4を参照すると、出口流体経路314は、流体渦流路Bが出口流体経路314の開口部315を横切って横方向に流れるように、内壁322および流体渦流路Bに対して実質的に垂直に内部チャンバ320から延在することができる。したがって、流体渦流路B内の注入流体の少なくとも一部は、流体渦を維持するために、開口部315を通過して流体入口経路312の開口部313に向かって逆流する。
【0120】
引き続き図4を参照すると、内部流体渦は、流体注入器システム2000によって実行される注入処置中に内部チャンバ320内の1つまたは複数の気泡400を懸濁することができる。注入流体が入口流体経路312を介して内部チャンバ320内に導入されると、流入する注入流体中に存在する気泡400は、流体渦流路Bの中心で内部流体渦によって形成される低圧領域LPに向かって移動する。流体渦流路Bを流れる注入流体は、低圧領域内で1つまたは複数の気泡400を少なくとも一時的に懸濁させ、1つまたは複数の気泡400の出口流体経路314への通過を少なくとも一時的に遅延させる境界を形成する。低圧領域LPに懸濁された1つまたは複数の気泡400は合体して、1つまたは複数のより大きな気泡402を形成することができる。内壁322は、渦流路Bへの注入流体の再循環を生じさせ、1つまたは複数の気泡400を渦流路B内のより密な形成に誘導するように成形することができる。そうであっても、注入の過程で、1つまたは複数のより大きな気泡402は、渦流路Bの外側に移動することができるより小さな気泡404へと流体力によって剪断または破砕され得る。
【0121】
引き続き図4を参照すると、注入位置において、ハウジング310は、出口流体経路314が内部チャンバ320から実質的に垂直下方に延在するように配向される。したがって、内部チャンバ320から流出する注入流体の流れ方向Cは、重力方向Gと実質的に整列している。空気は注入流体に対して浮力があるので、内部チャンバ320内の気泡400、402の浮力は、1つまたは複数の気泡400、402を内部チャンバ320の上部領域に向かって重力方向Gとは反対に上昇する傾向を誘発し、したがって、気泡400、402は、より長い期間、内部チャンバ320内の内部流体渦中に懸濁したままになる傾向がある。さらに、流体渦流路Bによって形成された境界を横切る剪断気泡404であっても、浮力によって重力方向Gとは反対に流れる傾向が誘発され、したがって出口流体経路314を通って移動するのがさらに遅れる。
【0122】
いくつかの実施形態では、出口流体経路314の少なくとも一部は、入口流体経路312の断面直径Diよりも大きい断面直径Doを有してもよい。出口流体経路314の直径Doが大きいほど、内部チャンバ320を出る流体の出口流体経路314における流速を低下させることができる。その結果、減少した流速は、流体渦流路Bによって形成された境界の外側の気泡404に対する抗力を減少させ、その結果、気泡404の浮力は、出口流体経路314に向かって気泡404を誘導する抗力に打ち勝つ傾向があり得る。その結果、気泡404が出口流体経路314から流出するのを少なくとも一時的に遅らせることができる。
【0123】
引き続き図4を参照すると、いくつかの実施形態では、入口流体経路312の直径Diは、内部チャンバ320内に含まれる気泡400を含む注入流体の流速を制御するように選択されてもよい。特に、直径Diを小さくすると流速が増加する。入口流体経路312の直径Diは、比較的高い流速を生成するように選択することができ、これは、1つまたは複数の気泡400を破砕する効果を有する。いくつかの実施形態では、入口流体経路312の直径Diは、約3.7mm(0.145インチ)であってもよい。
【0124】
再び図5を参照すると、気泡懸濁装置300は、プライミングまたはパージ動作を実行するためのプライミング位置に示されており、このプライミング動作では、気泡懸濁装置300および関連する流体経路210A、210Bから空気を除去するための注入処置の前に、流体が注入されて、気泡懸濁装置300および関連する流体経路210A、210Bをプライミング/パージする。プライミング位置では、ハウジング310は、入口流体経路312および出口流体経路314が内部チャンバ320から実質的に垂直上方に延在するように配向される。したがって、入口流体経路312を通って内部チャンバ320に流入する注入流体の流れ方向Aは、重力方向Gと実質的に一致する。入口流体経路312の直径Diは、入口流体経路312の流体流速が気泡400の浮力方向に抗して気泡400を運ぶことができるように十分に小さくてもよい。すなわち、直径Diを通る流速は、気泡400の浮力性の力に打ち勝つのに十分な抗力を1つまたは複数の気泡400に発生させ、内部チャンバ329に引き込む。その結果、1つまたは複数の気泡400は、注入流体によって内部チャンバ320内に移送される。
【0125】
プライミング位置において、出口流体経路314はまた、内部チャンバ320から流出する注入流体の流れ方向Cが重力方向Gと実質的に反対であるように、内部チャンバ320から実質的に垂直に上方に延在する。内部チャンバ320内の気泡400の浮力は、気泡400、402を内部流体渦から出口流体経路314を通って上方に浮上させ、流体流に関連する抗力と協働して作用し、それによって気泡400の気泡懸濁装置300をパージする。
【0126】
引き続き図3図5を参照すると、気泡懸濁装置300は、ハウジング310から延在するコネクタアーム360を含んでもよい。コネクタアーム360は、注入器ハウジング12または流路もしくは注入器に関連する他の機構(図1および図2を参照)に接続するように構成されてもよい。特に、コネクタアーム360は、流体注入器システム2000のコントローラ900(図2を参照)と通信するアクチュエータとインターフェースするように構成されてもよい。コントローラ900は、注入プロトコルに従ってコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を回転させるようにプログラムまたは構成されてもよい。あるいは、コネクタアーム360は、注入位置またはプライミング位置のいずれかで流体注入器システムに取り付けられるように構成されてもよく、例えばGUI上のシステムによるプロンプトに応答して、流体注入処置のために流体注入器を準備するために、ユーザがコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を手動で回転させるように構成されてもよい。
【0127】
ここで図6を参照すると、気泡懸濁装置300の一実施形態が示されている。図6に示す気泡懸濁装置の実施形態は、図3図5に示す実施形態と実質的に同様であってもよく、それらの間の相違点のみを以下に説明する。図6に示す気泡懸濁装置300の実施形態は、内部チャンバ320と流体連通するハウジング310上の空気パージバルブ350を含んでもよい。空気パージバルブ350は、特に、内部チャンバ320の最上部領域と流体連通して配置されてもよい。空気パージバルブ350は、特に、複数患者使い捨てセットおよび単一患者使い捨てセットを使用して複数の連続した注入シーケンスを行うための複数患者設定を使用する場合に、注入処置の完了後に、内部チャンバ320に蓄積された空気を排出するために使用され得る。空気パージバルブ350は、注入処置の実行中に閉位置に設定されてもよく、それにより、注入流体中に存在する気泡400、402は、図3図5に関連して説明したのと同じ方法で内部チャンバ320内に懸濁される。注入処置が完了し、次の注入処置が開始される前に、内部流体渦および渦流路B(図4に示す)は、内部チャンバ320への流体の流れがないために消散する。したがって、渦流路B(図4に示す)は、内部チャンバ320内に懸濁された1つまたは複数の合体気泡402に対する流れ境界をもはや提示しない。したがって、1つまたは複数の合体した気泡402は、空気パージバルブ350に隣接する内部チャンバ320の最上部領域に浮揚することができる。空気パージバルブ350は、1つまたは複数の合体した気泡402が空気パージバルブ350を介して内部チャンバ320から流出することができるように、オペレータによって手動でまたはコントローラ900によって自動的に開位置に移動されてもよく、例えば、パージされた空気の体積を流体で置き換えるためにチャンバ内への流体の流れが少ない。いくつかの実施形態では、空気パージバルブ350の出口は、内部チャンバ320からの1つまたは複数の合体した気泡402の除去を助けるために、ハンドシリンジ(図示せず)などの真空源に接続されてもよい。1つまたは複数の合体した気泡402が内部チャンバ320から除去された後に、空気パージバルブ350は、その後の注入処置に含んで閉位置に戻されてもよい。空気パージバルブ350は、ストップコック、ピンチバルブなどであってもよい。
【0128】
引き続き図6を参照すると、いくつかの実施形態では、気泡懸濁装置300は、入口流体経路312に関連する調整可能バルブ352および/または出口流体経路314に関連する調整可能バルブ354を含んでもよい。調整可能バルブ352は、入口流体経路312の断面積を変更するように構成されてもよく、調整可能バルブ354は、出口流体経路314の断面積を変更するように構成されてもよい。入口流体経路312および/または出口流体経路314の断面積を減少させると流速が増加するが、入口流体経路312および/または出口流体経路314の断面積を増加させると流速が減少する。いくつかの実施形態では、入口流体経路312の断面積を増加させ、それによって入口流体経路312を通る流速を減少させることが望ましい場合があるが、それは、減少した流速が入口流体経路312の表面に付着した気泡を除去する可能性が低いためである。いくつかの実施形態では、出口流体経路314の断面積を増加させ、それによって出口流体経路314を通る流速を減少させることが望ましい場合があるが、それは、減少した流速が流体渦から出口流体経路314を通って気泡402を運ぶ可能性が低いためである。調整可能バルブ352、354は、ストップコック、ピンチバルブなどであってもよい。
【0129】
ここで図7図8を参照すると、気泡懸濁装置300の一実施形態が示されている。図7図8に示されている気泡懸濁装置300の実施形態は、図3図6に示されている実施形態と実質的に同様であってもよく、相違点のみを以下に説明する。図7図8に示す気泡懸濁装置300の実施形態は、内壁322に画定され、出口流体経路314の実質的に反対側の内部チャンバ320の最上部領域から半径方向外側に延在する凹部326を含んでもよい。凹部326は、1つまたは複数の気泡408を受け入れて保持することができる。凹部326は、特に、医療用流体のガス放出によって生成されたマイクロ気泡の形態の1つまたは複数の気泡408を受け入れて保持するように適合され得る。いくつかの実施形態では、図6に関連して説明したような空気パージバルブ350を凹部326上に配置して、凹部326に蓄積された1つまたは複数の気泡408を凹部326から排出することができる。
【0130】
ここで図9図14を参照すると、気泡懸濁装置300の一実施形態が示されている。図9図14に示す気泡懸濁装置300の実施形態は、図3図8に示す実施形態といくつかの共通の特徴および構成要素を含んでもよく、図9図14に関連して具体的に説明されていない任意の要素は、図3図8の実施形態の同様の要素と実質的に同様であると理解される。図9図14に示す気泡懸濁装置300の実施形態では、ハウジング310は、内部チャンバ320を入口部分332と出口部分334とに分割するスクリーン328を含む。スクリーン328の様々な実施形態は、図19図24に関連して本明細書で説明される。スクリーン328は、出口流体経路314の近位に配置されてもよい。スクリーン328は、入口部分332と出口部分334との間の流体連通を提供する少なくとも1つの開口部340を含んでもよい。入口流体経路312から内部チャンバ320に流入する注入流体は、その後に、スクリーン328の少なくとも1つの開口部340を通って流れて出口流体経路314に到達しなければならない。いくつかの実施形態では、スクリーン328は、少なくとも1つの開口部340を画定する少なくとも1つの漏斗形状の開口部342を含んでもよい。漏斗342は、内部チャンバ320の入口部分332に隣接する最大断面積から、内部チャンバ320の出口部分334内に延在する最小直径まで先細になっていてもよい。いくつかの実施形態では、スクリーン328の少なくとも一部は、注入流体中の気泡をスクリーン328に付着させ、そのような気泡の出口流体経路314への流れを少なくとも一時的に遅延させる親水性コーティングを有してもよい。
【0131】
引き続き図9図14を参照すると、気泡懸濁装置300は、入口流体経路312と流体連通し、そこから内部チャンバ320内に延在する延長チューブ370をさらに含んでもよい。延長チューブ370は、延長チューブ370を介して内部チャンバ320に流入する注入流体が出口流体経路314から離れるように導かれるように、出口流体経路314の流れ軸から離れてそれを通過する先端部372を含んでもよい。いくつかの実施形態では、延長チューブ370は、スクリーン328の少なくとも1つの開口部340を越えて延在し、入口流体経路312から内部チャンバ320に流入する注入流体を、少なくとも1つの開口部340に到達する前に渦流路Bに流入させることができる。内部チャンバ320の入口部分332は、渦流路Bが内部チャンバ320の内壁322に沿って流れる少なくとも部分的に半球状またはドーム状であってもよい。
【0132】
引き続き図9図14を参照すると、入口流体経路312および延長チューブ370は、延長チューブ370から内部チャンバ320に入る注入流体が出口流体経路314の開口部315から離れるように向けられるように、出口流体経路314に対して鋭角に配向されてもよい。
【0133】
図10図13を参照すると、注入処置の実行中の内部チャンバ320内の気泡懸濁効果の一実施形態を示すシーケンスが示されている。最初に図10を参照すると、注入流体は、入口流体経路312および延長チューブ370を通って内部チャンバ320内に方向Aに流れることができる。1つまたは複数の気泡400は、注入流体と共に内部チャンバ320内に移送されてもよい。延長チューブ370の向きは、注入流体および1つまたは複数の気泡400を渦流路B内に導く。さらに、注入流体に対する1つまたは複数の気泡400の浮力は、スクリーン328内の少なくとも1つの開口部340を通って出口流体経路314に向かう1つまたは複数の気泡の流れを阻止する。
【0134】
ここで図11を参照すると、注入流体が渦流路Bを流れるとき、1つまたは複数の気泡400は、渦流路Bの中心で低圧領域LPに向かって移動することができ、それによって内部チャンバ320内に少なくとも一時的に懸濁される。さらに、1つまたは複数の気泡400は、低圧領域LP内の1つまたは複数のより大きな体積の合体した気泡402に合体することができるが、注入流体および追加の気泡400は、延長チューブ370(図12を参照)を介して内部チャンバ320に進入し続ける。
【0135】
図13は、例えば注入処置の完了後に、内部チャンバ320への流体の流れが停止した後の気泡懸濁装置300を示す。内部流体渦を維持するために内部チャンバ320内に新たな注入流体が導入されないと、渦流路B(図9図12に示す)は消散し、内部チャンバ320内に懸濁された1つまたは複数の合体気泡402に対する流れ境界をもはや提示しない。したがって、1つまたは複数の合体した気泡402は、注入流体に対する1つまたは複数の合体した気泡402の浮力により、内部チャンバ320の最上部領域に浮くことができる。いくつかの実施形態では、気泡懸濁装置300は、内部チャンバ320の最上部領域と流体連通して、例えば複数患者の注入シーケンスが使用される場合の2つの注入処置の間に、(図6に関連して本明細書で実質的に説明したように)内部チャンバ320からの1つまたは複数の合体した気泡402の除去を容易にする空気パージバルブ350を含んでもよい。
【0136】
引き続き図9図14を参照すると、気泡懸濁装置300は、図10図13に示す注入位置から図14に示すプライミング位置まで約180°回転させることができる。注入位置では、出口流体経路314は、内部チャンバ320から実質的に垂直下方に延在する。したがって、内部チャンバ320から流出する注入流体の流れ方向Cは、重力方向Gと実質的に整列している。空気は注入流体に対して浮力があるので、内部チャンバ320内の気泡400、402の浮力は、1つまたは複数の気泡400、402を重力方向Gとは反対に内部チャンバ320の上部領域に向かって浮上させる傾向を誘発し、したがって、気泡400、402は、内部チャンバ320内の内部流体渦に懸濁したままになる傾向がある。さらに、流体渦流路Bによって形成される境界を横切る気泡であっても、重力方向Gとは反対にスクリーン328を通って流れるように誘導され、したがって出口流体経路314に到達するのがさらに遅れる。
【0137】
図14に示すプライミング位置では、出口流体経路314は、内部チャンバ320から流出する注入流体の流れ方向Cが重力方向Gと実質的に反対になるように、内部チャンバ320から実質的に垂直上方に延在する。内部チャンバ320内の気泡400、402の浮力は、気泡400、402をチャンバ320から出口流体経路314を通って流れるように誘導し、それによって気泡懸濁装置300に空気をパージする。
【0138】
図9を参照すると、気泡懸濁装置300は、ハウジング310から延在するコネクタアーム360を含んでもよい。コネクタアーム360は、注入器ハウジング12または流路もしくは注入器システム2000に関連する他の機構(図1図2を参照)に接続するように構成することができる。特に、コネクタアーム360は、流体注入器システム2000のコントローラ900(図2を参照)と通信するアクチュエータとインターフェースするように構成されてもよい。コントローラ900は、注入プロトコルに従ってコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を回転させるようにプログラムまたは構成されてもよい。あるいは、コネクタアーム360は、注入位置またはプライミング位置のいずれかで流体注入器システムに取り付けられるように構成されてもよく、例えばGUI11上のシステムによるプロンプトに応答して、流体注入処置のために流体注入器を準備するために、ユーザがコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を手動で回転させるように構成されてもよい。
【0139】
ここで図15および図16を参照すると、気泡懸濁装置300の一実施形態が示されている。図15および図16に示す気泡懸濁装置300の実施形態は、図3図13に示す様々な実施形態と多くの共通の特徴および構成要素を含んでもよく、図15および図16に関連して具体的に説明されていない任意の要素は、図3図13の実施形態のいずれかの同様の要素と実質的に同様であると理解される。図15および図16に示す気泡懸濁装置300の実施形態では、ハウジング310は、第1のハウジング部302および第2のハウジング部304に形成されてもよく、第1のハウジング部302は、入口流体経路312、延長チューブ370、および出口流体経路314を含む。入口流体経路312は、出口流体経路314に対して鋭角で延在してもよい。第2のハウジング部304は、渦流路Bが内部チャンバ320の内壁322に沿って円形または他の連続的な方法で流れるように、半球状またはドーム状であってもよい。第1のハウジング部302は、第2のハウジング部304の端部特徴部308、例えばリップを受け入れるように構成されたフランジ306を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フランジ306は、第2のハウジング部304に設けられてもよく、端部特徴部308は、第1のハウジング部302に設けられてもよい。第1のハウジング部302と第2のハウジング部304とは、接着剤、レーザ溶接、超音波溶接などを介して接合されてもよい。
【0140】
引き続き図15および図16を参照すると、延長チューブ370は、内部チャンバ320に流入する注入流体が出口流体経路314から離れて渦流路Bに導かれるように、出口流体経路314の開口部315を越えて延在することができる。図3図13に示す実施形態と同様に、渦流路Bは、内部チャンバ320内に懸濁された1つまたは複数の気泡400の出口流体経路314への通過を少なくとも一時的に遅延させる境界を形成する。いくつかの実施形態では、出口流体経路314の開口部315は、延長チューブ370が出口流体経路314に向かって流れる流体および/または気泡400に対する流れの閉塞を作り出すように、延長チューブ370に対して、例えば延長チューブ370の下に配置されてもよい。
【0141】
特定の実施形態では、入口流体経路312の内径は、上流入口流体経路312の近位断面積Apが下流入口流体経路312の遠位断面積Adよりも小さくなるように先細になっていてもよい。いくつかの実施形態では、近位断面積Apは実質的に円形であってもよく、遠位断面積Adは実質的に楕円形または楕円形であってもよい。いくつかの実施形態では、上流側断面積Apに対して下流側断面積Adを増加させることによって、入口流体経路312内の流体流速(例えば、約0.1mL/秒~30mL/秒)が遅くなり、入口流体経路312内の気泡410が、例えば表面張力によって、より大きな断面積Adの側壁317に付着することを可能にする。拡大された遠位断面積Adに起因する入口流体経路312内の流体流速の低下は、付着した気泡410を側壁317から直ちに除去するのに十分ではない場合がある。すなわち、側壁317に対する気泡410の付着力は、遠位断面積Adを流れる注入流体が気泡410に及ぼす力よりも大きくてもよい。したがって、気泡410は、内部チャンバ320への流入が少なくとも一時的に遅延され、したがって流体出口経路314からの流出が遅延される。いくつかの実施形態では、流体入口経路312の拡大された遠位断面積Adは、注入流体が、側壁317に接着された気泡410に流入して潜在的に排除するのではなく、側壁317に接着された気泡410の周りを流れることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、流体入口経路312の拡大された遠位断面積Adは、気泡410が流体入口経路312を通る注入流体の主流路の少なくとも部分的に外側の側壁317に付着することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、流体入口経路312の内面は、側壁317に適用される表面処理などによって、気泡を引き付けて付着させるように構成されてもよい。流体入口経路312の異なる断面積に関するそのような特徴は、本明細書に記載の気泡懸濁装置300の他の実施形態にも適用可能である。
【0142】
引き続き図15および図16を参照すると、気泡懸濁装置300は、図5または図14と同様に、図15に示す注入位置からプライミング位置まで約180°回転させることができる。注入位置では、出口流体経路314は、内部チャンバ320から実質的に垂直下方に延在する。したがって、内部チャンバ320から流出する注入流体の流れ方向Cは、重力方向Gと実質的に整列している。空気は注入流体に対して浮力があるので、内部チャンバ320内の気泡400、402の浮力は、1つまたは複数の気泡400、402を重力方向Gとは反対に内部チャンバ320の上部領域に向かって浮上させる傾向を誘発し、したがって、気泡400、402は、内部チャンバ320内の内部流体渦に懸濁したままである。さらに、流体渦流路Bによって形成される境界を横切る気泡であっても、重力方向Gとは反対にスクリーン328を通って流れるように誘導され、したがって出口流体経路314に到達するのがさらに遅れる。
【0143】
プライミング位置では、出口流体経路314は、内部チャンバ320から流出する注入流体の流れ方向Cが重力方向Gと実質的に反対になるように、内部チャンバ320から実質的に垂直上方に延在する。内部チャンバ320内の気泡400、402の浮力は、気泡400、402をチャンバ320から出口流体経路314を通って流れるように誘導し、それによって気泡懸濁装置300に空気をパージする。
【0144】
引き続き図15および図16を参照すると、気泡懸濁装置300は、ハウジング310から延在するコネクタアーム360を含んでもよい。コネクタアーム360は、注入器ハウジング12または流路もしくは注入器システム2000に関連する他の機構(図1図2を参照)に接続するように構成することができる。特に、コネクタアーム360は、流体注入器システム2000のコントローラ900(図2を参照)と通信するアクチュエータとインターフェースするように構成されてもよい。コントローラ900は、注入プロトコルに従ってコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を回転させるようにプログラムまたは構成されてもよい。あるいは、コネクタアーム360は、注入位置またはプライミング位置のいずれかで流体注入器システムに取り付けられるように構成されてもよく、例えばGUI11上のシステムによるプロンプトに応答して、流体注入処置のために流体注入器を準備するために、ユーザがコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を手動で回転させるように構成されてもよい。
【0145】
ここで図17図18を参照すると、気泡懸濁装置300の一実施形態が示されている。図17図18に示す気泡懸濁装置300の実施形態は、図3図16および特に図9図14に示す様々な実施形態と多くの共通の特徴および構成要素を含んでもよく、図17図18に関連して具体的に説明されていない任意の要素は、図3図16の実施形態のいずれかの同様の要素と実質的に同様であると理解される。図17図18に示す気泡懸濁装置300の実施形態では、ハウジング310は、第1のハウジング部302および第2のハウジング部304によって形成されてもよく、第1のハウジング部302は、入口流体経路312、延長チューブ370、および出口流体経路314を含む。入口流体経路312は、出口流体経路314に対して鋭角で延在してもよい。第2のハウジング部304は、流体渦流路Bが内部チャンバ320の内壁322に沿って円形または他の方法で連続的に流れるように、半球状またはドーム状であってもよい。第1のハウジング部302は、第2のハウジング部304の端部特徴部308、例えばリップを受け入れるように構成されたフランジ306を含んでもよい。いくつかの実施形態では、フランジ306は、第2のハウジング部304に設けられてもよく、端部特徴部308は、第1のハウジング部302に設けられてもよい。第1のハウジング部302と第2のハウジング部304とは、接着剤、レーザ溶接、超音波溶接などを介して接合されてもよい。
【0146】
引き続き図17図18を参照すると、第1のハウジング部302と第2のハウジング部304との間にスクリーン328が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、スクリーン328は、端部特徴部308が第1のハウジング部302と第2のハウジング部304との間の位置にスクリーン328を保持するように、フランジ306内に受け入れられてもよい。スクリーン328は、内部チャンバ320を入口部分332と出口部分334とに分割することができる。スクリーン328は、(図19図24に示すように)入口部分332と出口部分334との間の流体連通を提供する少なくとも1つの開口部340を含んでもよい。入口流体経路312から内部チャンバ320に流入する注入流体は、続いて、スクリーン328の少なくとも1つの開口部340を通って流れて出口部分334および出口流体経路314に到達しなければならない。いくつかの実施形態では、スクリーン328は、例えば、それらの間の表面張力または接着を増加させ、それによってそのような接着された気泡400の出口流体経路314に向かう流れを少なくとも一時的にさらに遅延させることによって、注入流体中の気泡400をスクリーン328に接着させる親水性コーティングを有してもよい。延長チューブ370は、内部チャンバに入る注入流体が渦流路Bに向かってスクリーン328の1つまたは複数の開口部340から離れるように導かれるように、内部チャンバ320内に配置されてもよい。例えば、スクリーン328の1つまたは複数の開口部340は、延長チューブ370の遠位出口の近位のスクリーン328の一部に配置されてもよい。
【0147】
ここで図19図24を参照すると、図9図13および図17図18に関連して本明細書で説明した気泡懸濁装置300の実施形態での使用に適したスクリーン328の様々な実施形態が示されている。図19を参照すると、スクリーン328は、スクリーン328上に実質的に均一に分布した複数の開口部340を含んでもよい。
【0148】
次に図20図24を参照すると、スクリーン328は、流体および空気に対して不透過性の中実部分380と、中実部分380の外側に位置する、例えば組み立てられたときに延長チューブ370の遠位出口の近位のスクリーン328の部分に位置する、1つまたは複数の開口部340と、を含んでもよい。スクリーン328は、中実部分380が延長チューブ370に隣接するように、気泡懸濁装置300内に配置されてもよい。したがって、延長チューブ370を介して内部チャンバ320に入る注入流体は、渦流路Bに入り、1つまたは複数の開口部340に到達する前に少なくとも一回内部チャンバ320内を循環しなければならない。図20に示す実施形態では、中実部分380はスクリーン328の約半分を占め、1つまたは複数の開口部340はスクリーン328の約半分を占める。図21に示す実施形態では、中実部分380は、1つまたは複数の開口部340よりも大きな割合のスクリーン328を占める。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口部340は、グリッド、円弧、または線などの任意のパターンで配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口部340は、スクリーン328にわたって不均一に分布してもよい。
【0149】
図22に示す実施形態では、スクリーン328は、スクリーン328の中心線CLからオフセットされた単一の開口部340を含む。中実部分380は、スクリーン328の残りの部分を占める。開口部340をスクリーン328の中心線CLからオフセットすることにより、内部チャンバ320内の気泡(図17および図18を参照)を強制的に方向転換させて開口部340に到達させ、通過させることができ、それにより、気泡懸濁装置300からの気泡の流れをさらに遅らせることができる。
【0150】
次に図23を参照すると、スクリーン328は、少なくとも1つの開口部340を画定する少なくとも1つの漏斗342を含んでもよい。漏斗342は、内部チャンバ320の入口部分332に隣接する最大断面積から、内部チャンバ320の出口部分334内に延在する最小直径まで先細になっていてもよい(図9図14および図17図18を参照)。
【0151】
次に図24を参照すると、スクリーン328のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の開口部340の各々は、フード344によって部分的に閉塞されてもよい。各フード344は、スクリーン328から内部チャンバ320の入口部分332内に(図17図18を参照)、流体の流れ方向に逆らって延びてもよく、それにより、入口部分332内の流体および任意の関連する気泡は、関連する開口部340を通過するためにフード344の周りを流れなければならない。いくつかの実施形態では、フード344は、例えば表面張力を介して気泡がフード344に付着し、入口部分332からの気泡の流れを遅らせるように構成されてもよい。
【0152】
図19図24に示すスクリーン328のすべての実施形態では、スクリーン328は、注入流体中の気泡をスクリーン328に付着させ、それによってそのような気泡の出口流体経路314に向かう流れを少なくとも一時的に遅延させる親水性コーティングを有してもよい。様々な実施形態では、内部チャンバ320の他の表面は、親水性コーティングで少なくとも部分的にコーティングされてもよい。さらに、スクリーン328の任意の部分またはその様々な特徴は、例えば表面張力を介して気泡がスクリーン328に付着して、1つまたは複数の開口部340を通る気泡の流れを遅らせるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、スクリーン328は、例えば、その表面に気泡を容易に付着させる材料から作製されたメッシュであってもよい。
【0153】
特定の実施形態によれば、スクリーン328を横切る流体圧力の変化は実質的にゼロであってもよく、その結果、スクリーン328に付着した気泡を除去し得るスクリーン328での流体速度の著しい変化はない。代わりに、注入流体は、スクリーン328に付着した気泡を排出する代わりに、他の開口部340またはスクリーン内の経路を通って自由に流れることができる。例えば、スクリーン328の上流の入口部分332(図17図18を参照)の容積は、流路制限による流体圧力の著しい変化がないように、スクリーン328のすぐ下流の出口部分334(図17図18を参照)の容積と実質的に同じであってもよい。
【0154】
図19図24の実施形態に示すスクリーン328の様々な実施形態の特徴は、互いに組み合わされてもよく、依然として本開示の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0155】
ここで図25を参照すると、気泡懸濁装置300の様々な実施形態は、入口流体経路312および出口流体経路314がそこから延在するほぼ円筒形のハウジング310を含んでもよい。入口流体経路312および出口流体経路314は、内部チャンバ320の対向する端部と流体連通してもよい。注入流体が入口流体経路312を介して円筒形のハウジング310の円弧に対して実質的に接線方向に内部チャンバ320に導入されると、内部流体渦が、内部チャンバ320の内壁322に沿って流れる渦巻状または螺旋状の渦流路Bの形態で生成される。注入流体によって運ばれた1つまたは複数の気泡400は、渦流路Bの中心で低圧領域LPに向かって移動する。渦流路B内の注入流体は、1つまたは複数の気泡400が出口流体経路314に流れるのを少なくとも一時的に防止する境界を形成する。螺旋状または螺旋状の渦流路Bの長さは、ハウジング310の高さに比例してもよい。したがって、ハウジング310の高さは、内部チャンバ320内の気泡400の流れが遅延する時間に比例し得る。したがって、ハウジング310の円筒形の高さを増加させることにより、螺旋状渦流路B内の1つまたは複数の気泡400の浮遊時間を増加させることができる。
【0156】
引き続き図25を参照すると、気泡懸濁装置300は、コントローラ900(図2を参照)によって、またはユーザによって手動で、注入位置からプライミング位置まで回転されてもよい。図25に示す注入位置において、気泡懸濁装置300は、出口流体経路314が入口流体経路312の下方に位置するように配向されてもよい。このように、内部チャンバ320内の1つまたは複数の気泡400の浮力は、1つまたは複数の気泡400を、重力方向Gおよび渦流路Bの方向に抗して、かつ出口流体経路314から離れるように、内部チャンバ320内で上方に浮上させる。
【0157】
プライミング位置では、気泡懸濁装置300は、例えば気泡懸濁装置300を横軸の周りに約180°回転させることによって、出口流体経路314が入口流体経路312の上方に位置するように配向されてもよい。したがって、内部チャンバ320内の1つまたは複数の気泡400の浮力は、1つまたは複数の気泡400を内部チャンバ120内で出口流体経路314に向かって上方に浮上させ、それによってプライミング流体の流れの下で内部チャンバ320に空気をパージする。
【0158】
気泡懸濁装置300は、ハウジング310から延在するコネクタアーム360を含んでもよい。コネクタアーム360は、注入器ハウジング12または流路もしくは注入器システム2000に関連する他の機構(図1図2を参照)に接続するように構成することができる。特に、コネクタアーム360は、流体注入器システム2000のコントローラ900(図2を参照)と通信するアクチュエータとインターフェースするように構成されてもよい。コントローラ900は、注入プロトコルに従ってコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を回転させるようにプログラムまたは構成されてもよい。あるいは、コネクタアーム360は、注入位置またはプライミング位置のいずれかで流体注入器システムに取り付けるように構成されてもよく、例えばGUI11上のシステムによるプロンプトに応答して、ユーザがコネクタアーム360を介して注入位置とプライミング位置との間で気泡懸濁装置300を手動で回転させて、注入処置用の流体注入器を準備するように構成されてもよい。
【0159】
いくつかの実施形態では、ハウジング310の遠位面は、内部チャンバ320内に上方に延在する突起384を含んでもよい。突起384は、ほぼドーム状、円錐状、および/またはガウス面であってもよい。突起384は、内部チャンバ320内の任意の高さに延在してもよい。いくつかの実施形態では、突起384は、内部チャンバ320の高さの半分まで延在してもよい。突起384は、流体渦の低圧領域LP内に延在し、低圧領域LP内の1つまたは複数の気泡400が突起384を越えて出口流体経路314に向かって下方に移動するのを防止することによって、出口流体経路314の開口部315に向かう1つまたは複数の気泡400の流れを妨げるように構成されてもよい。したがって、突起384は、流体渦によってもたらされる気泡の懸濁と連動して、内部チャンバ320内の1つまたは複数の気泡400をさらに懸濁させる。
【0160】
いくつかの実施形態では、ハウジング310は、図7図8の凹部326と同様の機能で、内部チャンバ320の近位面から延在するドーム状または円錐状の凹部326を含んでもよい。凹部326は、浮力の影響下で内部チャンバ320内で上方に浮遊する1つまたは複数の気泡400を受け入れて保持し、1つまたは複数の気泡400を渦流路Bから除去することができる。凹部326はまた、医療用流体のガス放出によって生成されたマイクロ気泡の形態の1つまたは複数の気泡を受け入れて保持するように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、図6に関連して説明したような空気パージバルブ350は、凹部326に蓄積された1つまたは複数の気泡400を本明細書で説明するように凹部326から除去することができるように、凹部326と流体連通するハウジング310に配置されてもよい。
【0161】
本明細書に記載の気泡懸濁装置300のすべての実施形態において、ハウジング310は、光チューブとして作用することができるポリカーボネートなどの透明または半透明の透光性材料で少なくとも部分的に構成することができる。光源をハウジング310に向けることによって、オペレータが気泡懸濁装置300内の気泡の存在をより容易に識別することができるように、1つまたは複数の気泡400、402、404、406、408を照明することができる。
【0162】
図3図25の実施形態に示されている気泡懸濁装置300の様々な実施形態の特徴は、互いに組み合わされてもよく、依然として本開示の範囲内にあることを理解されたい。
【0163】
本開示の様々な例が前述の説明において提供されたが、当業者は、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、これらの例に対して修正および変更を行うことができる。例えば、本明細書に記載の様々な実施形態の特徴は、本明細書に記載の他の実施形態に適合させることができることを理解されたい。したがって、上記の説明は、限定的ではなく例示的なものであることが意図されている。上記の開示は、添付の特許請求の範囲によって定義され、請求項の意味および均等性の範囲内にある開示に対するすべての変更は、それらの範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0164】
10A シリンジ
10B シリンジ
12 注入器ハウジング
13A ピストン
13B ピストン
14A プランジャ
14B プランジャ
15 シリンジポート
17A 圧力ジャケット
17B 圧力ジャケット
19A バルク流体容器
19B バルク流体容器
120 内部チャンバ
200 空気検出器
210A 第1の流体経路
210B 第2の流体経路
210C 患者流体ライン
215A バルク流体バルブ
215B バルク流体バルブ
216A バルク流体経路
216B バルク流体経路
250 空気検出チューブ領域
300 気泡懸濁装置
302 第1のハウジング部
304 第2のハウジング部
306 フランジ
308 端部特徴部
310 ハウジング
312 入口流体経路、流体入口経路
313 開口部
314 出口流体経路、流体出口経路
315 開口部
317 側壁
320 内部チャンバ
322 内壁
324 強化リブ
325 強化リブ
326 凹部
328 スクリーン
329 内部チャンバ
332 入口部分
334 出口部分
340 開口部
342 漏斗、漏斗形状の開口部
344 フード
350 空気パージバルブ
352 調整可能バルブ
354 調整可能バルブ
360 コネクタアーム
370 延長チューブ
372 先端部
380 中実部分
384 突起
390 下流遮断バルブ、下流自動遮断バルブ
400 気泡
402 気泡
404 気泡
406 気泡
408 気泡
410 気泡
900 コントローラ
2000 デュアルシリンジ血管造影注入器システム、流体注入器システム
図1
図2
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図5
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