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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】半導体装置、その製造方法、及びモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
H01L23/50 G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023149958
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2019090478の分割
【原出願日】2019-05-13
(65)【公開番号】P2023165032
(43)【公開日】2023-11-14
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100135714
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 一生
(74)【代理人】
【識別番号】100167612
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 直行
(72)【発明者】
【氏名】張 彬
(72)【発明者】
【氏名】二井 瑛典
(72)【発明者】
【氏名】西岡 太郎
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-105432(JP,A)
【文献】特開2003-201574(JP,A)
【文献】特開2013-138261(JP,A)
【文献】米国特許第06597059(US,B1)
【文献】特開2019-009409(JP,A)
【文献】特開2017-152646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28
H01L 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一開口幅部と、前記第一開口幅部よりも小さい幅を有する第二開口幅部を有する第1開口部、第2開口部を備えるリードフレームと、
前記第1開口部に充填される樹脂と、
半導体素子と、
前記リードフレームと前記半導体素子とを電気的に接続し、複数の金属層を有するピラーと、を備え、
前記第一開口幅部及び前記第二開口幅部のそれぞれが、丸みを帯びた凹面を成す側壁面を有し、
前記ピラーの一端が前記リードフレームに面し、前記ピラーの他端が前記半導体素子に面しており、
断面視において、前記複数の金属層のうち前記半導体素子側に設けられた一の金属層の前記リードフレーム側の両側端部が、前記一の金属層の前記リードフレーム側の中央部よりも前記リードフレーム側へ突出し、かつ、丸みを帯びた形状を有し、
前記一の金属層の前記リードフレーム側の中央部の底面が、前記一の金属層の両側端部の間に形成され、
前記一の金属層の両側端部の表面は、断面において、前記底面に近づくほど急峻になるように形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記第二開口幅部および第2開口部は、前記リードフレームの前記ピラーに面する第一面側に設けられ、
前記第一開口幅部は、前記リードフレームの前記第一面に対向する第二面側に設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2開口部の深さは、前記第1開口部よりも浅い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2開口部は、前記第1開口部よりも前記リードフレームの外端部に近い、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置の外端部は、前記第2開口部で囲まれている、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ピラーは、銅、ニッケル、錫、及び銀からなる群から選択される少なくとも1種類を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置を備えるモジュール。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記リードフレームに粗化処理を行う工程と、
前記半導体素子を備える半導体基板上に前記ピラーを形成する工程と、
前記リードフレームに前記ピラーを接合する工程と、
前記樹脂を前記第1開口部に充填する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記粗化処理は、前記第1開口部の側壁面及び前記第2開口部の側壁面に対して行う、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記粗化処理は、粗化液を塗布する方法、又は粗化液に浸漬する方法により行う、請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、半導体装置、その製造方法、及びモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置のデザインルールが縮小され、ウエハープロセスが大きく変更される中で、半導体パッケージには、小型化、低背化、低価格化等が求められている。半導体パッケージ内のチップを基板に実装する方法は、ワイヤボンディングとフリップチップボンディングに大別される。特に、フリップチップボンディングは、チップの高密度化や高集積化に適しているため注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-212290号公報
【文献】特開2019-47064号公報
【0004】
[概要]
フリップチップボンディングは、チップ表面と基板とを電気的に接続する際、ワイヤボンディングのようなワイヤを用いずに、アレイ状に配置された突起状の端子によって接続する方法である。フリップチップボンディングは、ワイヤボンディングに比べてワイヤによる配線スペースが不要であるためパッケージ自体を小さくすることができる。
【0005】
フリップチップボンディングを用いて基板に実装されたチップは、外部応力等に対して脆弱であるため、樹脂で封止することでチップを保護している。しかし、樹脂とリードフレームとの密着性が不十分であるため、樹脂とリードフレーム又は突起状の端子との界面周辺にボイドやはんだクラックが生じる問題がある。ボイドやはんだクラックは、接合部分の抵抗値を上昇させ、抵抗により生じた熱によって半導体装置が正常に動作しなくなってしまうおそれがある。
【0006】
本実施の形態は、ボイドやはんだクラックを生じさせずに樹脂とリードフレームとの密着性を十分確保した、半導体装置、その製造方法、及びその半導体装置を備えるモジュールを提供する。
【0007】
本実施の形態の一態様は、第1開口部を備えるリードフレームと、前記第1開口部に充填される樹脂と、前記リードフレームと電気的に接続する半導体素子と、を備え、前記第1開口部における前記リードフレームの側壁面は、前記リードフレームの上面より平均面粗さが大きい、半導体装置である。
【0008】
また、本実施の形態の他の一態様は、上記の半導体装置を備えるモジュールである。
【0009】
また、本実施の形態の他の一態様は、第1開口部を備えるリードフレームに粗化処理を行う工程と、半導体基板上にピラーを形成する工程と、前記リードフレームに前記ピラーを接合する工程と、樹脂を前記第1開口部に充填する工程と、を有する半導体装置の製造方法である。
【0010】
本実施の形態によれば、ボイドやはんだクラックを生じさせずに樹脂とリードフレームとの密着性を十分確保した、半導体装置、その製造方法、及びその半導体装置を備えるモジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施の形態の一態様の半導体装置の断面模式図である。
図2図2は、本実施の形態の一態様の半導体装置における、(a)リードフレーム周辺の断面模式図、及び(b)リードフレーム周辺の断面の拡大模式図である。
図3図3は、本実施の形態の一態様の半導体装置における、(a)リードフレーム周辺の断面模式図、及び(b)リードフレーム周辺の断面の拡大模式図である。
図4図4は、比較例の半導体装置における、(a)リードフレーム周辺の断面模式図、及び(b)リードフレーム周辺の断面の拡大模式図である。
図5図5は、比較例の半導体装置における、(a)リードフレーム周辺の断面模式図、及び(b)リードフレーム周辺の断面の拡大模式図である。
図6図6は、リードフレームの製造方法を説明する図であって、それぞれ(a)金属板の上下にレジストマスクをパターン形成する工程、(b)金属板に開口部を形成する工程、(c)保護シールを設ける工程、(d)粗化処理を行う工程、及び(e)保護シール17を除去する工程を示す図である。
図7図7は、リードフレームの製造方法を説明する図であって、それぞれ(a)粗化処理を行う工程、及び(b)平坦面にする処理を行う工程を示す図である。
図8図8は、本実施の形態の一態様の半導体装置の断面模式図である。
図9図9は、本実施の形態の一態様の半導体装置の断面模式図である。
図10図10は、本実施の形態の一態様の半導体装置の製造方法を説明する図であって、それぞれ(a)リードフレームの側壁面に粗化処理する工程、(b)半導体基板上10にピラー55を形成する工程、(c)リードフレーム上に半導体基板上10及びピラー55を積層する工程、及び(d)樹脂で封止する工程を示す図である。
図11図11は、本実施の形態の一態様の半導体装置を備えるモジュールのレイアウト図である。
図12図12は、本実施の形態の一態様の半導体装置を備えるモジュールのレイアウト図である。
図13図13は、本実施の形態の一態様の半導体装置内のリードフレームの外端部における断面模式図である。
図14図14は、本実施の形態の一態様の半導体装置を備えるパッケージにおける、(a)斜視図、及び(b)底面図である。
【0012】
[詳細な説明]
次に、図面を参照して、本実施の形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0013】
また、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。本実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
本実施の形態に係る半導体装置の断面模式図を図1に示す。図1に示す半導体装置は、リードフレーム20を備える領域12、ピラー55を備える領域11、及び半導体基板10を備えている。リードフレーム20は開口部を備え、開口部におけるリードフレーム20の側壁面は、リードフレーム20の上面(図中の領域11と領域12との界面)より平均面粗さが大きい。また、リードフレーム20は、ピラー55を介して半導体基板10に含まれる半導体素子と電気的に接続している。さらに、リードフレーム20、ピラー55、及び半導体基板10は樹脂22で覆われ、封止されている。
【0015】
ここで、図1に示すリードフレーム20の開口部における、リードフレーム20の側壁面を含む領域14及びリードフレーム20の上面を含む領域16について、図2及び図3を用いて説明する。
【0016】
図2(a)は、領域14におけるリードフレーム20周辺の断面模式図であり、図2(b)は、図2(a)に示す領域24における拡大図である。図2(a)に示すように、リードフレーム20が備える開口部に樹脂22が充填されている。リードフレーム20上には、ピラー55と接合するためのはんだ19が設けられている。また、詳細な説明は後述するが、開口部は、第1開口幅を有する第1領域と、第1開口幅より狭い第2開口幅を有する第2領域と、を有している。
【0017】
また、図2(b)に示すように、領域26におけるリードフレーム20の側壁面が粗化処理により粗く削れており、粗化処理された側壁面の細部に樹脂22が充填されている。樹脂22がリードフレーム20の側壁面の微細な凹凸に入り込んで硬化することで密着性が向上する(アンカー効果ともいう)。
【0018】
粗化処理としては、例えば、サンドブラスト加工、粗化液を塗布する方法、又は粗化液に浸漬する方法などが挙げられる。粗化処理された側壁面の平均面粗さは、例えば2~5μmであると好ましい。なお、平均面粗さは、例えば、JIS B 0601:2013やISO 25178に準拠して求めることができる。
【0019】
また、図3(a)は、熱サイクル試験を行った後の領域16におけるリードフレーム20周辺の断面模式図であり、図3(b)は、図3(a)に示す領域28における拡大図である。リードフレーム20上には、ピラー55と接合するためのはんだ19が設けられている。熱処理工程によって、樹脂22がリードフレーム20から剥離したり、はんだクラックを進行させたりする傾向があるが、本実施の形態の一態様は、前述したアンカー効果により、リードフレーム20と樹脂22との密着性が十分に確保されているため、図3(b)に示すようにリードフレーム20の上面においてもボイドやはんだクラックの発生を抑制することができる。
【0020】
また、本実施の形態に係る半導体装置の比較例として、開口部における側壁面に粗化処理を行っていないリードフレーム周辺の模式的断面図を図4及び図5に示す。
【0021】
図4(a)は、開口部における側壁面に粗化処理を行っていない場合の領域14におけるリードフレーム20周辺の断面模式図であり、図4(b)は、図4(a)に示す領域21における拡大図である。図4(b)に示すように、リードフレーム20と樹脂22との密着性が不十分であるため、リードフレーム20と樹脂22との間にボイド23が発生してしまう。
【0022】
また、図5(a)は、熱サイクル試験を行った後の開口部における側壁面に粗化処理を行っていない場合の領域16におけるリードフレーム20周辺の断面模式図であり、図5(b)は、図5(a)に示す領域27における拡大図である。図5(b)に示すように、リードフレーム20と樹脂22との密着性が不十分であるため、領域29においてリードフレーム20と樹脂22との間にボイド、及びリードフレーム20とピラー55とを接合するはんだ19周辺にはんだクラックが発生してしまう。
【0023】
したがって、粗化処理された側壁面を有するリードフレーム20を備えることでアンカー効果により、リードフレーム20と樹脂22との密着性が十分に確保され、ボイドやはんだクラックの発生を抑制することができるため、半導体装置の不良を低減することができる。
【0024】
リードフレーム20は、例えば、銅、銅-錫系合金、銅-ジルコニウム系合金、銅-鉄系合金、及び銅-クロム-錫-亜鉛系合金等の銅合金、鉄-ニッケル系合金、又はステンレス等を用いることができる。鉄-ニッケル系合金は、熱膨張係数がシリコンと近く、熱処理工程等においてもシリコン等で製造されるチップとダイパットとを接着するダイボンド剤へのダメージが小さいため好ましく、大型のチップを搭載する場合に有利である。また、銅又は銅合金は、鉄-ニッケル系合金と比較して電気抵抗や熱抵抗が小さく、高速動作を必要とする製品に適している。銅又は銅合金の熱膨張係数は樹脂22に近いため、大型のパッケージや小型のチップの搭載において有利であり、マイコン、システムLSI等に適している。
【0025】
[リードフレームの製造方法]
本実施の形態に係る半導体装置内のリードフレームの製造方法の一例について説明する。まず、図6(a)に示すように、金属板13を用意する。金属板13の上下にレジストマスク17aをパターン形成し、レジストマスク17aをマスクとしてエッチング等により金属板13に開口部を形成する。その後、図6(b)に示すように、レジストマスク17aを除去し、開口部が形成された金属板がリードフレーム20となる。金属板13の材料は、例えば、上記に示すリードフレームの材料を用いることができる。金属板13の厚さは、例えば、100~200μm程度とすることができる。
【0026】
次に、図6(c)に示すように、リードフレーム20上に保護シール17bを設ける。保護シール17bは、たとえば、ポリシリコンや酸化シリコンを用いることができる。
【0027】
次に、図6(d)に示すように、リードフレーム20に粗化処理を行い、その後、図6(e)に示すように保護シール17bを除去しリードフレーム20を製造する。なお、粗化処理を行う際、リードフレーム20上に保護シール17bが配置されているためリードフレーム20の上面は粗化処理により粗面化されない。リードフレーム20の上面は、はんだとの接合強度を確保するため、粗面化されないことが好ましい。開口部におけるリードフレームの側壁面のみを粗化処理により粗面化する構成にすることにより、リードフレームと樹脂との密着性を確保しつつ、はんだの拡散を抑制することでリードフレームとはんだとの接合強度を確保することができる。
【0028】
また、リードフレーム20に対して粗化処理を行う際、レジストマスクを除去してから図7(a)に示すように、保護シール17bを用いずに、開口部の側壁面及び上面を粗面化し、その後、図7(b)に示すように、粗面化が不要な上面に対して粗化面を研磨したり、叩いたりして平坦面にする処理を行ってもよい。さらに、リードフレームの上面の粗化がリードフレームとはんだとの接合強度に大きく寄与しない程度である場合は、当該粗化面を平坦面にする処理を行わなくてもよい。
【0029】
また、粗化処理を行った後に金属板を打ち抜いてリードフレームを製造してもよい。
【0030】
図1のピラー55を含む領域11について、図8を用いて説明する。金属層30上に絶縁層32及び絶縁層34が設けられ、絶縁層34上に金属層38、金属層40、及び金属層42が設けられている。金属層38は、絶縁層32及び絶縁層34に設けられたプラグ36を介して金属層30と電気的に接続されている。さらに絶縁層34及び金属層42を覆う樹脂44が設けられている。ピラー55は、金属層46、金属層48、金属層50、及び金属層52の積層体からなり、樹脂44に設けられた開口部を介して金属層42と電気的に接続されている。また、ピラー55を構成する薄い金属層46はシード層として機能する。
【0031】
ここで、ピラー55について図9を用いて説明する。
【0032】
樹脂44の端部とピラー55との重なりW1は、例えば、5~20μmである。また、樹脂44と金属層38(又は金属層40、金属層42)との重なりW2は、例えば、15~35μmである。
【0033】
また、ピラー55は、2つ以上設けられていてもよく、例えば、3行×4列配置(12ピラー)、3行×5列配置(15個のピラーを配置)、5行×5列配置(25個のピラーを配置)、3行×5列配置で周辺部のみピラーを配置(12個のピラーを配置)、5行×5列配置で周辺部と中心部のみピラーを配置(例えば、19個や21個のピラーを配置)等のピラーの配置を設計することができる。
【0034】
さらに、ピラー55の一と、最近接するピラー55の他の一とのピッチ間隔Pは、例えば、150~250μmであるとリードフレーム20との接合領域が大きくなり、接合強度が大きくなるため好ましい。
【0035】
また、ピラー55が上方に配置されている金属層38(及び金属層40、金属層42)は、ピラー55と同様、2つ以上設けられていてもよく、金属層38の個数とピラー55の個数は同じであっても異なっていてもよい。例えば、1つの金属層38上に2つのピラー55が配置されている構成であってもよい。金属層38の一と、最近接する金属層38の他の一との間隔PEは、例えば、10~100μmである。
【0036】
ピラー55は、銅、ニッケル、錫、及び銀からなる群から選択される少なくとも1種類を含んでもよい。例えば、金属層46及び金属層48に銅を用い、金属層50にニッケルを用い、金属層52に錫銀合金を用いることができる。
【0037】
ピラー55の幅は、例えば、50~200μmであり、ピラー55を構成する金属層46及び金属層48の合計の厚さは、例えば、35~45μmであり、ピラー55を構成する金属層50の厚さは、例えば、2~5μmであり、ピラー55を構成する金属層52の厚さは、例えば、15~30μmである。また、ピラー55の高さHは、例えば、55~75μmである。
【0038】
金属層38、金属層40、及び金属層42は、それぞれ独立に、銅、銀、金、ニッケル、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1種類を含んでもよく、単層構造であっても積層構造であってもよい。例えば、金属層38に銅を用い、金属層40にニッケルを用い、金属層42にパラジウムを用いることができる。また、金属層38及び金属層40の厚さは、それぞれ独立に、例えば、1~10μm程度とすることができ、金属層40の厚さは、例えば、0.05~2μm程度とすることができる。金属層42の厚さは、上層との密着性の観点から、金属層38及び金属層40よりも薄くてもよい。
【0039】
樹脂44は、熱硬化樹脂を用いることができる。例えば、熱硬化樹脂としてポリイミド樹脂を用いてもよい。また、樹脂44の端部を丸みを帯びるように形成することで、金属層46を形成する際、樹脂44の端部における金属層46の被覆性を向上させることができるため好ましい。
【0040】
また、半導体基板10は、ピラー55や金属層38の下側に配置されている。半導体基板10は、半導体素子を備える半導体素子層60と、層間絶縁層62と、配線層63と、絶縁層64と、配線層65と、絶縁層66と、金属層30と、絶縁層68と、絶縁層70と、プラグ36と、を備える。ピラー55は、金属層42、金属層40、金属層38、プラグ36、配線層として機能する金属層30、配線層65、配線層63等を介して半導体素子層60内の半導体素子と電気的に接続されている。なお、絶縁層68、絶縁層70、金属層30は、図8に示すような構成(絶縁層32、絶縁層34、金属層30)であってもよい。
【0041】
層間絶縁層62、絶縁層64、絶縁層66、絶縁層68、及び絶縁層70は、それぞれ独立に、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及び酸化タンタル等を用いることができ、単層構造であっても積層構造であってもよい。なお、絶縁層70は、不純物の拡散をブロックする機能を有する窒化シリコンや酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
【0042】
配線層63、配線層65、金属層30、プラグ36は、それぞれ独立に、タングステン、チタン、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、及び銅合金からなる群から選択される少なくとも1種類を用いてもよく、単層構造であっても積層構造であってもよい。
【0043】
[半導体装置の製造方法]
リードフレーム20上に半導体基板10やピラー55等を含む構造体が設けられた半導体装置の製造方法について説明する。
【0044】
まず、図10(a)に示すように、各リードフレーム20に開口部を形成し、開口部における側壁面に粗化処理を行って粗面化する。次に、図10(b)に示すように、半導体基板上10にピラー55を形成する。次に、図10(c)に示すように、各リードフレーム20上に半導体基板10やピラー55を含む構造体を上下に反転させたフェイスダウン状態で積層する。具体的には、半導体基板10に含まれる半導体素子の電極端子を、ピラー55やはんだを介して各リードフレーム20と接合して電気的に接続する。
【0045】
次に、図10(d)に示すように、各リードフレーム20、半導体基板10、及びピラー55を樹脂22で封止する。なお、樹脂22は、粗面化された開口部に充填される。樹脂22としては、例えば、エポキシ樹脂にフィラーを含有させたモールド樹脂等を用いることができる。樹脂22は、例えば、トランスファーモールド法やコンプレッションモールド法等により形成することができる。なお、樹脂22は、半導体基板10の裏面全面を露出するように形成してもよいし、半導体基板10の裏面の一部又は全部を被覆するように形成してもよい。
【0046】
なお、樹脂22がリードフレーム20の側壁面の微細な凹凸に入り込んで硬化して封止されることでリードフレーム20と樹脂22との密着性が十分に確保され、ボイドやはんだクラックの発生を抑制することができるため、半導体装置の不良を低減することができる。
【0047】
次に、樹脂22で封止された各リードフレーム20、半導体基板10、及びピラー55等を切断して個片化することにより、複数の半導体装置が完成する。切断は、例えば、スライサー等により行うことができる。
【0048】
上記の工程を経て、粗化処理された側壁面を有するリードフレームを備える半導体装置を得ることができる。
【0049】
[モジュールのレイアウト]
図11は、本実施の形態の一態様の半導体装置を備えたモジュールのレイアウト図である。モジュール内の半導体装置(半導体チップ74)は、リードフレーム20、ピラー55を備えている。
【0050】
また、図12は、図11における構成の一部の図示を省略したモジュールのレイアウト図である。モジュールの外端部はリードフレーム20に設けられた開口部25(25E、25M1、25M2、25M3、25M4など)で囲まれている。開口部25は、樹脂22が溜まるようになっており、開口部25を設けることにより樹脂のオーバーフローを抑制することや樹脂を均一に塗布・形成することができる。開口部25の形状は、特に限定されないが、丸みを帯びていると開口部の細部まで樹脂22を充填することができるため好ましい。
【0051】
また、図13に示す開口部15の側壁面は、粗化処理により粗面化されている。開口部15は、第1開口幅WH1を有する第1領域71と、第1開口幅WH1より狭い第2開口幅WH2を有する第2領域72と、を有している。第1領域71は、第2領域72より上方に位置している。また、開口部25の深さは、開口部15よりも浅く、例えば、80~100μmである。さらに、開口部25は、開口部15よりもリードフレーム20の外端部に近くに位置しており、上述した樹脂のオーバーフローの抑制や樹脂の塗布・形成の均一化に寄与する。
【0052】
さらに、開口部25と開口部15の第2領域72は、同時に形成することができるため、開口部25の深さは、第2領域72の深さと同一である。なお、本明細書等における同一とは、±5%以内にある範囲の値を含む。
【0053】
[パッケージ]
本実施の形態の一態様の半導体装置を備えるパッケージについて、図14を用いて説明する。図14(a)は、本実施の形態の一態様の半導体装置を備えるパッケージの斜視図であり、図14(b)は、当該パッケージの底面図である。
【0054】
当該パッケージは、小型化・高集積化に適したQFN(Quad Flat No Lead Package)の一例であり、スマートフォンをはじめとする携帯用電子機器で採用することができる。リードフレームのアウターリード部分も樹脂で封止され、実装基板にはんだ付けされる端子電極が図14(b)に示すようなパッケージの裏面側に形成される。また、端子電極は樹脂で固定されているため、ハンドリングでの変形がなく、より狭ピッチ化することができる。なお、パッケージはQFNに限定されず、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、TSSOP(Thin Shrink Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-leaded)等であってもよい。
【0055】
[アプリケーション]
実施の形態の一態様の半導体装置を備えるモジュールやパッケージは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、ウェアラブル端末、データ端末、バーコードスキャナ、バッテリー充電器、監視カメラ、ガス警報器、医療機器、ヘルスケア機器、ロボット等の産業機器、カーナビゲーション、エンジンコントロールユニット、電動パワーステアリング、車載カメラモジュール等の車載機器、TV、ホームシアター、オーディオ等のAV機器、エアコン、冷蔵庫、炊飯器、ドライヤー等の家電製品等、様々な用途において用いることができる。実施の形態の一態様の半導体装置を備えることで不良を低減した高信頼性を確保した上記機器・製品を提供することができる。
【0056】
[その他の実施の形態]
上記のように、いくつかの実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述及び図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。このように、本実施の形態は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含む。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本実施の形態の半導体装置、及びその作製方法は、IGBTモジュール、ダイオードモジュール、MOSモジュール(Si、SiC、GaN、AlN、酸化ガリウム)等の各種の半導体モジュール技術にも利用することができ、電気自動車(ハイブリッド車を含む)・電車・産業用ロボット等の動力源として利用される電動モータを駆動するインバータ回路用モジュール、また、太陽電池・風力発電機その他の発電装置(とくに自家発電装置)が発生する電力を商用電源の電力に変換するインバータ回路用モジュール等幅広い応用分野に適用可能である。
【0058】
また、本実施の形態の半導体装置は、熱による不良を低減することができ、熱耐性に優れているため、車載信頼性を確保した車載モジュールに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
10…半導体基板、11…領域、12…領域、13…金属板、14…領域、15…開口部、16…領域、17a…レジストマスク、17b…保護シール、18…領域、19…はんだ、20…リードフレーム、21…領域、22…樹脂、23…ボイド、24…領域、25…開口部、26…領域、27…領域、28…領域、29…領域、30…金属層、32…絶縁層、34…絶縁層、36…プラグ、38…金属層、40…金属層、42…金属層、44…樹脂、46…金属層、48…金属層、50…金属層、52…金属層、55…ピラー、60…半導体素子層、62…層間絶縁層、63…配線層、64…絶縁層、65…配線層、66…絶縁層、68…絶縁層、70…絶縁層、71…第1領域、72…第2領域、74…半導体チップ
図1
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