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特許7648726多官能基変性シラン化合物及びその製造方法、ハードコーティング及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】多官能基変性シラン化合物及びその製造方法、ハードコーティング及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/24 20060101AFI20250311BHJP
   C08G 77/20 20060101ALI20250311BHJP
   C08G 77/16 20060101ALI20250311BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20250311BHJP
   C08F 230/08 20060101ALI20250311BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20250311BHJP
   C09D 183/08 20060101ALI20250311BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20250311BHJP
   C09D 183/06 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
C08G77/24
C08G77/20
C08G77/16
C08F2/44 B
C08F230/08
C09D5/00 Z
C09D183/08
C09D183/07
C09D183/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023208801
(22)【出願日】2023-12-11
(65)【公開番号】P2024166049
(43)【公開日】2024-11-28
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】202310565866.6
(32)【優先日】2023-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100204386
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】バオ アイビン
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-009796(JP,A)
【文献】特開2022-115881(JP,A)
【文献】特表2014-529631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00-77/62
C08F 2/44
C08F 230/08
C09D 5/00
C09D 183/08
C09D 183/07
C09D 183/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を含み、
【化1】
式中、R1は環状剛性構造を含み、R2はフッ素含有構造を含み、R3は極性基を含み、R4は少なくともつの(メタ)アクリロイルオキシ基を含む多官能(メタ)アクリレートを含み、前記R1、R2、R3、R4をランダムに含む、
ことを特徴とする、多官能基変性シラン化合物。
【請求項2】
前記R1は、
【化2】
のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の多官能基変性シラン化合物。
【請求項3】
前記R2は、
【化3】
のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の多官能基変性シラン化合物。
【請求項4】
前記R3は、
【化4】
のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の多官能基変性シラン化合物。
【請求項5】
第1容器にビニル基含有シロキサン、環状構造含有アクリレート及び光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第1反応液を形成するステップと、
第2容器に前記ビニル基含有シロキサン、フルオロアクリレート及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第2反応液を形成するステップと、
第3容器に前記ビニル基含有シロキサン、極性基含有化合物及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第3反応液を形成するステップと、
第4容器に前記ビニル基含有シロキサン、官能性度≧3のアクリレート及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第4反応液を形成するステップと、
第5容器にKCO、超純水及びテトラヒドロフランを添加して第1混合物を形成し、前記第1反応液、前記第2反応液、前記第3反応液及び前記第4反応液を前記第1混合物に添加して第2混合物を形成し、撹拌して前記第2混合物を無色水相及び濁り有機相に分解するステップと、
前記濁り有機相中の有機溶媒を蒸発除去し、残りの溶液をDCMに溶解し、超純水で複数回抽出してから蒸発させて前記多官能基変性シラン化合物を得るステップと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法。
【請求項6】
前記ビニル基含有シロキサンは、ビニルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、メチルビニルジエトキシシラン、テトラジメチルビニルシロキシシラン、メチルビス(トリメチルシロキシ)ビニルシラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリメトキシ(4-ビニルフェニル)シラン、ビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、トリイソプロポキシ(ビニル)シラン及びトリエトキシル(1-フェニルビニル)シランのうちの1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法。
【請求項7】
前記環状構造含有アクリレートは、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、トリシクロデカンジメタノールジアクリラート、2-フェノキシエチルアクリレート、フルオレノアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェノキシベンジルアクリレート、ビスフェノールフルオレンジアクリレート及びエトキシ化ビスフェノールフルオレンジアクリレートのうちの1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法。
【請求項8】
前記フルオロアクリレートは、1H,1H-パーフルオロ-n-オクチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル、2-(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、メタクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,6-ビス(アクリロイルオキシ)-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、1H,1H,11H-パーフルオロウンデシルメタクリレート及びメタクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチルのうちの1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法。
【請求項9】
前記極性基含有化合物は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-メチル-2-アクリル酸-2,3-ジヒドロキシプロピル、アクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、シアノアクリル酸エチル、2-シアノ-2-ブチルアクリレート、2-シアノ-3-フェニルアクリル酸メチル、2-シアノ-3-エトキシアクリル酸エチル、2-シアノエチルアクリレート、アクリル酸エポキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、2-フランアクリル酸、2-アセトアミノアクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-[トリ(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミドのうちの1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法。
【請求項10】
前記官能性度≧3のアクリレートは、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート並びにビス(トリメチロールプロパン)ヘキサ(メタ)アクリレートのうちの1つを含むことを特徴とする、請求項5に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法。
【請求項11】
ハードコーティングであって、前記ハードコーティングの材料の重量部数で、
90~100部の請求項1~4のいずれか1項に記載の多官能基変性シラン化合物と、
5~10部の光開始剤と、
900~9000部の沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒と、を含むことを特徴とする、ハードコーティング。
【請求項12】
前記光開始剤は、ヒドロキシアセトフェノン、アルキルアミノアセトフェノン、ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド化合物、ベンジルケタール及びジアルコキシアセトフェノンのうちの1つを含むことを特徴とする、請求項11に記載のハードコーティング。
【請求項13】
前記沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒は、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒及びベンゼン系溶媒のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項11に記載のハードコーティング。
【請求項14】
前記多官能基変性シラン化合物、前記光開始剤及び前記沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒を混合してハードコーティング液を形成し、前記ハードコーティング液を基材上に塗布してハードコーティングを形成するステップを含むことを特徴とする、請求項11に記載のハードコーティングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は材料分野に関し、具体的には、多官能基変性シラン化合物及びその製造方法、ハードコーティング及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置はコンピュータのデータを各種の文字、数字、記号又は直感的な画像に変換して表示することができ、そして、キーボードなどの入力ツールを利用してコマンド又はデータをコンピュータに入力し、システムのハードウェアとソフトウェアを利用して表示内容をいつでも追加、削除、変換することができる。表示装置は、使用する表示デバイスに応じてプラズマ、液晶、発光ダイオード及び陰極線管などのタイプに分類されている。
【0003】
ディスプレイは使用中にスクラッチされることがあるため、ディスプレイ表面には耐傷性、高硬度、耐摩擦の特徴が求められている。また、ディスプレイは使用中に汚染されることがあり、汚染物が除去されにくく、溶剤で拭き取ると表面が破壊されるため、ディスプレイ表面には防汚撥水性が求められている。
【0004】
ディスプレイ表面に高い力学的性能と防汚性能を同時に持たせるために、一般的に2種類の方法がある。第1の方法はハードコーティングにフッ素含有助剤を添加することであり、良好な力学的性能を得ることができるが、ハードコーティングのフッ素含有量が低いため、防汚疎水効果は限られており、水接触角は110°を超えることが難しい。第2の方法はディスプレイ表面にシリコーン又はフッ素炭素化合物材料を硬化させて成膜することであるが、このような膜は高度に架橋されておらず、良好な力学的性能を持つことが難しい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、従来技術においてハードコーティングにフッ素含有助剤を添加して力学的性能を向上させる場合の防汚疎水効果が限られ、及びシリコーン又はフッ素炭素化合物材料を用いて硬化させて成膜する場合の力学的性能が低いなどの問題を解決できる、多官能基変性シラン化合物及びその製造方法、ハードコーティング及びその製造方法を提供することである。
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、以下の構造を含む多官能基変性シラン化合物を提供する。
【化1】
式中、R1は環状剛性構造を含み、R2はフッ素含有構造を含み、R3は極性基を含み、R4は少なくとも3つの(メタ)アクリロイルオキシ基の多官能(メタ)アクリレートを含む。
【0007】
さらに、前記R1は、
【化2】
のうちの1つを含む。
【0008】
さらに、前記R2は、
【化3】
のうちの1つを含む。
【0009】
さらに、前記R3は、
【化4】
のうちの1つを含む。
【0010】
上記問題を解決するために、本発明は、本発明に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法をさらに提供し、前記方法は、第1容器にビニル基含有シロキサン、環状構造含有アクリレート及び光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第1反応液を形成するステップと、第2容器に前記ビニル基含有シロキサン、フルオロアクリレート及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第2反応液を形成するステップと、第3容器に前記ビニル基含有シロキサン、極性基含有プロピレン化合物及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第3反応液を形成するステップと、第4容器に前記ビニル基含有シロキサン、官能性度≧3のアクリレート及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第4反応液を形成するステップと、第5容器にKCO、超純水及びテトラヒドロフランを添加して第1混合物を形成し、前記第1反応液、前記第2反応液、前記第3反応液及び前記第4反応液を前記第1混合物に添加して第2混合物を形成し、撹拌して前記第2混合物を無色水相及び濁り有機相に分解するステップと、前記濁り有機相中の有機溶媒を蒸発除去し、残りの溶液をDCMに溶解し、超純水で複数回抽出してから蒸発させて前記多官能基変性シラン化合物を得るステップと、を含む。
【0011】
さらに、前記ビニル基含有シロキサンは、ビニルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、メチルビニルジエトキシシラン、テトラジメチルビニルシロキシシラン、メチルビス(トリメチルシロキシ)ビニルシラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリメトキシ(4-ビニルフェニル)シラン、ビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、トリイソプロポキシ(ビニル)シラン及びトリエトキシル(1-フェニルビニル)シランのうちの1つを含む。
【0012】
さらに、前記環状構造含有アクリレートは、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、トリシクロデカンジメタノールジアクリラート、2-フェノキシエチルアクリレート、フルオレノアクリレート、トリメリット酸トリアリル、ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェノキシベンジルアクリレート、ビスフェノールフルオレンジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールフルオレンジアクリレート及びトリアリルイソシアヌレートのうちの1つを含む。
【0013】
さらに、前記フルオロアクリレートは、1H,1H-パーフルオロ-n-オクチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル、2-(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、メタクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,6-ビス(アクリロイルオキシ)-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、1H,1H,11H-パーフルオロウンデシルメタクリレート及びメタクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチルのうちの1つを含む。
【0014】
さらに、前記極性基含有プロピレン化合物は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-メチル-2-アクリル酸-2,3-ジヒドロキシプロピル、アクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、シアノアクリル酸エチル、2-シアノ-2-ブチルアクリレート、2-シアノ-3-フェニルアクリル酸メチル、2-シアノ-3-エトキシアクリル酸エチル、2-シアノエチルアクリレート、アクリル酸エポキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、2-フランアクリル酸、2-アセトアミノアクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-[トリ(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミドのうちの1つを含む。
【0015】
さらに、前記官能性度≧3のアクリレートは、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート並びにビス(トリメチロールプロパン)ヘキサ(メタ)アクリレートのうちの1つを含む。
【0016】
上記問題を解決するために、本発明は、その材料が重量部数で、90~100部の本発明に記載の多官能基変性シラン化合物と、5~10部の光開始剤と、900~9000部の沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒と、を含むハードコーティングをさらに提供する。
【0017】
さらに、前記光開始剤は、ヒドロキシアセトフェノン、アルキルアミノアセトフェノン、ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド化合物、ベンジルケタール及びジアルコキシアセトフェノンのうちの1つを含む。
【0018】
さらに、前記沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒は、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒及びベンゼン系溶媒のうちの1つを含む。
【0019】
上記問題を解決するために、本発明は、本発明に記載のハードコーティングの製造方法をさらに提供し、前記方法は、前記多官能基変性シラン化合物、前記光開始剤及び前記沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒を混合してハードコーティング液を形成し、前記ハードコーティング液を基材上に塗布してハードコーティングを形成するステップを含む。
【0020】
本発明の利点については、本発明のハードコーティングの材料は多官能基変性シラン化合物を含み、多官能基変性シラン化合物の構造にはR1、R2、R3及びR4が含まれ、R1は環状剛性構造を含み、R2はフッ素含有構造を含み、R3は極性基を含み、R4は少なくとも3つの(メタ)アクリロイルオキシ基の多官能(メタ)アクリレートを含む。R1の環状剛性構造とR4のネットワーク化された架橋により、形成されたハードコーティングは、非常に良好な力学的性能を有し、鉛筆硬度≧4Hであり、スチールウール耐摩耗性≧100cycleである。R2のペルフルオロ構造により、形成されたハードコーティングは、非常に良好な防汚撥水効果を有し、接触角≧115°である。R3の極性基により、形成されたハードコーティングと基材との間の接着力を増加させることができ、クロスカット方法で測定された付着力が5Bである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の技術内容を当業者に完全に紹介し、本発明が実施可能であることを例証するために、本発明の好ましい実施例を詳細に説明しており、本発明に開示された技術内容をより明確にし、当業者が本発明をどのように実施するかをより容易に理解できるようにする。しかしながら、本発明は多くの異なる形態の実施例によって具現化することができ、本発明の保護範囲は明細書に言及された実施例に限定されず、以下の実施例の説明は本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0022】
実施例1
本発明は、以下の構造を含む多官能基変性シラン化合物を提供する。
【化5】
式中、R1は環状剛性構造を含み、R2はフッ素含有構造を含み、R3は極性基を含み、R4は少なくとも3つの(メタ)アクリロイルオキシ基の多官能(メタ)アクリレートを含む。
【0023】
式中、前記R1は、
【化6】
のうちの1つを含む。
【0024】
式中、前記R2は、
【化7】
のうちの1つを含む。
【0025】
式中、前記R3は、
【化8】
のうちの1つを含む。
【0026】
上記問題を解決するために、本発明は、本発明に記載の多官能基変性シラン化合物の製造方法をさらに提供し、前記方法は、第1容器にビニル基含有シロキサン、環状構造含有アクリレート及び光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第1反応液を形成するステップS1と、第2容器に前記ビニル基含有シロキサン、フルオロアクリレート及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第2反応液を形成するステップS2と、第3容器に前記ビニル基含有シロキサン、極性基含有プロピレン化合物及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第3反応液を形成するステップS3と、第4容器に前記ビニル基含有シロキサン、官能性度≧3のアクリレート及び前記光開始剤を添加し、窒素バブリングして撹拌し、光照射下で反応させて第4反応液を形成するステップS4と、第5容器にKCO、超純水及びテトラヒドロフランを添加して第1混合物を形成し、前記第1反応液、前記第2反応液、前記第3反応液及び前記第4反応液を前記第1混合物に添加して第2混合物を形成し、撹拌して前記第2混合物を無色水相及び濁り有機相に分解するステップS5と、前記濁り有機相中の有機溶媒を蒸発除去し、残りの溶液をDCMに溶解し、超純水で複数回抽出してから蒸発させて前記多官能基変性シラン化合物を得るステップと、を含む。
【0027】
S1で、ビニル基含有シロキサン及び環状構造含有アクリレートの反応構造式は次のとおりである。
【化9】
【0028】
S1で、前記ビニル基含有シロキサンは、ビニルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、メチルビニルジエトキシシラン、テトラジメチルビニルシロキシシラン、メチルビス(トリメチルシロキシ)ビニルシラン、ビニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリメトキシ(4-ビニルフェニル)シラン、ビニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン、トリイソプロポキシ(ビニル)シラン及びトリエトキシル(1-フェニルビニル)シランのうちの1つを含む。式中、R5及びR6はいずれもアルキル基を含む。
【0029】
S1で、前記環状構造含有アクリレートは、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、トリシクロデカンジメタノールジアクリラート、2-フェノキシエチルアクリレート、フルオレノアクリレート、トリメリット酸トリアリル、ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジアクリレート、o-フェニルフェノキシエチルアクリレート、フェノキシベンジルアクリレート、ビスフェノールフルオレンジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールフルオレンジアクリレート及びトリアリルイソシアヌレートのうちの1つを含む。
【0030】
S2で、ビニル基含有シロキサン及びフルオロアクリレートの反応構造式は次のとおりである。
【化10】
【0031】
S2で、前記フルオロアクリレートは、1H,1H-パーフルオロ-n-オクチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチルアクリレート、パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル、2-(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、メタクリル酸2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,6-ビス(アクリロイルオキシ)-2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロヘキサン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロスチレン、3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、1H,1H,11H-パーフルオロウンデシルメタクリレート及びメタクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチルのうちの1つを含む。
【0032】
S3で、ビニル基含有シロキサン及び極性基含有プロピレン化合物の反応構造式は次のとおりである。
【化11】
【0033】
S3で、前記極性基含有プロピレン化合物は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-メチル-2-アクリル酸-2,3-ジヒドロキシプロピル、アクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、シアノアクリル酸エチル、2-シアノ-2-ブチルアクリレート、2-シアノ-3-フェニルアクリル酸メチル、2-シアノ-3-エトキシアクリル酸エチル、2-シアノエチルアクリレート、アクリル酸エポキシプロピル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、2-フランアクリル酸、2-アセトアミノアクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-[トリ(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N’-メチレンビスアクリルアミドのうちの1つを含む。
【0034】
S4で、ビニル基含有シロキサン及び官能性度≧3のアクリレートの反応構造式は次のとおりである。
【化12】
【0035】
S4で、前記官能性度≧3のアクリレートは、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)トリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート並びにビス(トリメチロールプロパン)ヘキサ(メタ)アクリレートのうちの1つを含む。
【0036】
S5で、KCO、超純水、前記開始剤、第1反応液、前記第2反応液、前記第3反応液及び前記第4反応液の反応構造式は次のとおりである。
【化13】
【0037】
本実施例において、S1で、第1フラスコ(三つ口フラスコ)に10gの3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、8.95gのメタクリル酸イソボルニル、0.5gのフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で1h反応させて第1反応液を形成する。即ち、本実施例におけるビニル基含有シロキサンは3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランで、環状構造含有アクリレートはメタクリル酸イソボルニルで、光開始剤はホスフィンオキシド化合物であり、具体的には、光開始剤はフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルである。
【0038】
本実施例において、S2で、第2フラスコ(三つ口フラスコ)に10gの3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、15.55gのアクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル、0.8gのフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で2h反応させて第2反応液を形成する。即ち、本実施例におけるビニル基含有シロキサンは3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランで、フルオロアクリレートはアクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチルで、光開始剤はホスフィンオキシド化合物であり、具体的には、光開始剤はフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルである。
【0039】
本実施例において、S3で、第3フラスコ(三つ口フラスコ)に10gの3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、6.29gのアクリル酸テトラヒドロフルフリル、0.5gのフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で1h反応させて第3反応液を形成する。即ち、本実施例におけるビニル基含有シロキサンは3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランで、極性基含有プロピレン化合物はアクリル酸テトラヒドロフルフリルで、光開始剤はホスフィンオキシド化合物であり、具体的には、光開始剤はフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルである。
【0040】
本実施例において、S4で、第4フラスコ(三つ口フラスコ)に10gの3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、13.63gのトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、0.6gのフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で1h反応させて第4反応液を形成する。即ち、本実施例におけるビニル基含有シロキサンは3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランで、官能性度≧3のアクリレートはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートで、光開始剤はホスフィンオキシド化合物であり、具体的には、光開始剤はフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルである。
【0041】
本実施例において、S5で、第4フラスコ(250mLの丸底フラスコ)にKCO 0.1g、超純水9g及びテトラヒドロフラン15gを添加して第1混合物を形成する。上記した第1反応液12g、第2反応液12g、第3反応液12g、第4反応液4gを、窒素を吹き付けた前記第1混合物に添加して第2混合物を形成し、室温で48h激しく撹拌する。続いて、第2混合物を無色水相と、生成物を含有する濁り有機相とに分解する。前記濁り有機相中の有機溶媒を蒸発除去し、残りの白色の粘稠溶液をDCMに溶解し、超純水で複数回抽出する。DCM溶液中の微量の水分を除去するために、乾燥剤としてMgSOを添加し、撹拌して一晩放置した後に濾過する。その後、DCMを40℃で2h蒸発させて、透明な油状の多官能基変性シラン化合物を得る。
【0042】
本実施例は、その材料が重量部数で、90~100部の本実施例に記載の多官能基変性シラン化合物と、5~10部の光開始剤と、900~9000部の沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒と、を含むハードコーティングをさらに提供する。
【0043】
本実施例では、R1の環状剛性構造とR4のネットワーク化された架橋により、形成されたハードコーティングは、非常に良好な力学的性能を有し、鉛筆硬度≧4Hであり、スチールウール耐摩耗性≧100cycleである。R2のペルフルオロ構造により、形成されたハードコーティングは、非常に良好な防汚撥水効果を有し、接触角≧115°である。R3の極性基により、形成されたハードコーティングと基材との間の接着力を増加させることができ、クロスカット方法で測定された付着力が5Bである。
【0044】
ここで、光開始剤は、ヒドロキシアセトフェノン、アルキルアミノアセトフェノン、ベンゾインエーテル、ホスフィンオキシド化合物、ベンジルケタール及びジアルコキシアセトフェノンのうちの1つを含む。
【0045】
ここで、第1溶媒は、沸点が50℃未満であると、揮発性が高くなるため、樹脂固形分及びコーティング厚さが影響を受け、150℃を超えると、乾燥過程が困難になるため、効率に影響を与え、コストが増加する。沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒は、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒及びベンゼン系溶媒のうちの1つを含む。
【0046】
ここで、前記アルコール系溶媒は、メタノール、エタノール及びイソプロパノールのうちの1つを含み、エステル系溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチルのうちの1つを含み、前記ケトン系溶媒は、アセトン、ブタノン及びシクロヘキサノンの1つを含み、前記ベンゼン系溶媒は、トルエン及びキシレンのうちの1つを含む。
【0047】
本実施例の発明は、本実施例に記載のハードコーティングの製造方法をさらに提供し、前記方法は、前記多官能基変性シラン化合物、前記光開始剤及び前記沸点範囲が50℃~150℃の第1溶媒を混合してハードコーティング液を形成し、前記ハードコーティング液を基材上に塗布してハードコーティングを形成するステップを含む。
【0048】
具体的には、本実施例において、10gの多官能基変性シラン化合物、0.3gのフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル及び19gの酢酸エチルを混合してハードコーティング液を形成し、前記ハードコーティング液をPET基材上に塗布し、ワイヤーバーで成膜してハードコーティングを形成する。即ち、本実施例において、光開始剤はホスフィンオキシド化合物であり、具体的には、光開始剤はフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチルである。製造されたハードコーティングの厚さは3umである。
【0049】
本実施例で製造されたハードコーティングは、テストの結果、鉛筆硬度が5Hで、スチールウール耐摩耗性が150cycleで、水接触角が123°で、付着力が5Bである。
【0050】
以上のことから分かるように、本発明のハードコーティングは、非常に良好な力学的性能を有し、鉛筆硬度≧4Hであり、スチールウール耐摩耗性≧100cycleであり、非常に良好な防汚撥水効果を有し、接触角≧115°であり、基材との間の接着力が良く、クロスカット方法で測定された付着力が5Bである。
【0051】
実施例2
本実施例は、S1で、第1フラスコ(三つ口フラスコ)に10gのアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、8.95gのトリシクロデカンジメタノールジアクリラート、0.7gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で1h反応させて第1反応液を形成する以外に、実施例1のほとんどの技術的特徴を含む。即ち、本実施例における第1化合物はアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルで、第2化合物はトリシクロデカンジメタノールジアクリラートで、光開始剤はヒドロキシアセトフェノンであり、具体的には、光開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0052】
本実施例において、S2で、第2フラスコ(三つ口フラスコ)に10gのアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、17.84gの3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、0.6gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で2h反応させて第2反応液を形成する。即ち、本実施例における第1化合物はアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルで、第3化合物は3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレートで、光開始剤はヒドロキシアセトフェノンであり、具体的には、光開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0053】
本実施例において、S3で、第3フラスコ(三つ口フラスコ)に10gのアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、6.15gの4-ヒドロキシブチルアクリレート、0.5gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で1h反応させて第3反応液を形成する。即ち、本実施例における第1化合物はアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルで、第4化合物は4-ヒドロキシブチルアクリレートで、光開始剤はヒドロキシアセトフェノンであり、具体的には、光開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0054】
本実施例において、S4で、第4フラスコ(三つ口フラスコ)に10gのアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、30.07gのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、0.8gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを添加し、窒素バブリングして撹拌し、365nmのLED光照射下で1h反応させて第4反応液を形成する。即ち、本実施例における第1化合物はアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルで、第5化合物はジペンタエリスリトールヘキサアクリレートで、光開始剤はヒドロキシアセトフェノンであり、具体的には、光開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。
【0055】
本実施例において、S5で、第4フラスコ(250mLの丸底フラスコ)にKCO 0.1g、超純水9g及び第2溶媒(テトラヒドロフラン)15gを添加して第1混合物を形成する。上記した第1反応液12g、第2反応液12g、第3反応液12g、第4反応液4gを、窒素を吹き付けた前記第1混合物に添加して第2混合物を形成し、室温で48h激しく撹拌する。続いて、第2混合物を無色水相と、生成物を含有する濁り有機相とに分解する。前記濁り有機相中の有機溶媒を蒸発除去し、残りの白色の粘稠溶液を第3溶媒(DCM)に溶解し、超純水で複数回抽出する。DCM溶液中の微量の水分を除去するために、乾燥剤としてMgSOを添加し、撹拌して一晩放置した後に濾過する。その後、DCMを40℃で2h蒸発させて、透明な油状の多官能基変性シラン化合物を得る。
【0056】
本実施例において、S6で、10gの多官能基変性シラン化合物、0.3gの1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び19gのイソプロパノールを混合してハードコーティング液を形成し、前記ハードコーティング液をPET基材上に塗布し、ワイヤーバーで成膜してハードコーティングを形成する。即ち、本実施例において、光開始剤はヒドロキシアセトフェノンであり、具体的には、光開始剤は1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである。製造されたハードコーティングの厚さは3umである。
【0057】
本実施例で製造されたハードコーティングは、測定されたところ、鉛筆硬度が6Hで、スチールウール耐摩耗性が200cycleで、水接触角が125°で、付着力が5Bである。
【0058】
以上のことから分かるように、本実施例によるハードコーティングは、非常に良好な力学的性能を有し、鉛筆硬度≧4Hであり、スチールウール耐摩耗性≧100cycleであり、非常に良好な防汚撥水効果を有し、接触角≧115°であり、基材との間の接着力が良く、クロスカット方法で測定された付着力が5Bである。
【0059】
さらに、以上では、本出願で提供される多官能基変性シラン化合物及びその製造方法、ハードコーティング及びその製造方法について詳細に紹介しており、本明細書では具体的な例を用いて本出願の原理及び実施形態について述べているが、以上の実施例の説明は、本出願の方法及びその主旨の理解を支援するためのものに過ぎない。また、当業者であれば、本出願の趣旨に基づいて、具体的な実施形態にも応用範囲にも変更点があり、以上のように、本明細書の内容は本出願に対する制限と理解すべきではない。