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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】産業用の機器
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/10 20060101AFI20250311BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20250311BHJP
   G06F 21/55 20130101ALI20250311BHJP
   G06F 21/31 20130101ALI20250311BHJP
【FI】
F04B49/10 331M
F04B49/06 331Z
G06F21/55
G06F21/31
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023529169
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2021022525
(87)【国際公開番号】W WO2022264211
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】内田 光
(72)【発明者】
【氏名】任 之家
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祐
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062884(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208297(WO,A1)
【文献】特開2008-147807(JP,A)
【文献】特開2014-115868(JP,A)
【文献】特開2020-082856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
F04B 49/06
G06F 21/55
G06F 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動部と、
前記電動部によって駆動され、流体へ力を加える機構部と、
前記電動部へ供給する電力を制御する制御部と、
電波を発信し、前記制御部と外部端末とを無線通信によって接続する通信部と、
前記通信部により制御され、外部からの指示を受け付け、前記通信部に操作信号を送信する操作部と、
を備え、
前記制御部は、前記外部端末から前記通信部へ送信された接続要求が所定時間内に所定の回数を超えた場合に、前記通信部の前記電波の発信を停止し、前記通信部が前記制御部により、前記電波の発信が停止された後も、前記操作部からの操作信号が前記通信部を介して前記制御部に送信され、前記制御部は、前記通信部からの電波の発信を停止した後、前記操作部から入力される通信再開要求に従って、前記通信部からの電波の発信を再開させる機器。
【請求項2】
電動部と、
前記電動部によって駆動され、流体へ力を加える機構部と、
前記電動部へ供給する電力を制御する制御部と、
電波を発信し、前記制御部と外部端末とを無線通信によって接続する通信部と、
前記通信部により制御され、外部からの指示を受け付け、前記通信部に操作信号を送信する操作部と、
を備え、
前記制御部は、前記外部端末から前記通信部へ送信された接続要求が所定時間内に所定の回数を超えた場合に、前記通信部の前記電波の発信を停止し、前記通信部が前記制御部により、前記電波の発信が停止された後も、前記操作部からの操作信号が前記通信部を介して前記制御部に送信され、前記制御部は、前記通信部からの電波の発信を停止した後、前記操作部から入力される通信再開要求に従って、前記通信部からの電波の発信を再開させる流体機械。
【請求項3】
請求項において、
前記通信部は、前記外部端末から前記接続要求が送信されると、前記外部端末から送信される暗証番号が正しいか否かを判断し、前記暗証番号が正しい場合は、前記外部端末と接続し、前記暗証番号が正しくない場合は、前記外部端末との接続を未接続状態とし、前記暗証番号が正しい前記外部端末の情報を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記制御部が、前記通信部からの電波の発信を再開した後に、受信した接続要求は、前記記憶部に記憶されている前記暗証番号が正しい前記外部端末からの接続要求のみを受け付ける機器。
【請求項4】
請求項において、
前記通信部からの電波の発信が再開された後に、受信した接続要求は、設定した閾値所定以上の電波強度であった場合のみ接続要求を受け付ける機器。
【請求項5】
請求項2において、
前記外部端末からの前記接続要求が、同一の前記外部端末から送信されたものであり、かつ所定時間内に所定の回数を超えた場合に前記通信部の前記電波の発信を停止する流体機械。
【請求項6】
請求項2において、
前記通信部の電波の発信が停止した場合に、前記制御部は前記電動部への電力制御を継続する流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部端末機と通信が可能な機器、特に工場内に設置して使用される空気圧縮機等の産業用の機器に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用の機器である空気圧縮機は、工場内や工事現場など、建造物の内外にかかわらず圧縮された流体を需要者の所へ提供する目的で広く使用されている。空気供給の停止、空気圧力の制御は、圧縮機の制御装置上の操作部によって操作が必要である。
【0003】
また、空気タンク内の圧力、運転の状況などの情報を知りうるためには圧縮機の制御装置を操作し、表示部に表示させる必要がある。
【0004】
いずれも空気圧縮機の近傍に作業者がいる必要があり、末端で工具等を使用している作業者が空気圧縮機の状態を知る場合や、操作する場合は空気圧縮機のある場所まで移動し、操作・確認を行う必要がある。
【0005】
よって、作業効率向上や利便性の向上策として空気圧縮機を遠隔から状態確認・操作を可能とする機能が必要となる。
【0006】
遠隔から空気圧縮機を監視、操作する空気圧縮機に関して特許文献1に記載された技術が知られている。
【0007】
特許文献1には、「商用電源からの電力の供給により駆動されるモータと、モータの駆動により圧縮空気を生成する圧縮空気生成部と、圧縮空気生成部によって生成された圧縮空気を溜めるタンクと、モータの駆動を制御する制御基板と、本体情報を外部端末へ送信する本体側通信部とを有することで、空気圧縮機が設置された場所まで移動することなく、空気圧縮機の状態を確認可能にさせる、空気圧縮機」が記載されている。
【0008】
特許文献1には、外部端末と無線通信でデータのやりとりが可能な空気圧縮機が記載されているが、通信内容の機密性については配慮がされていない。これについて、特許文献2には、外部の第三者から特定の攻撃を受けた場合、機器との接続のための認識情報を新たに再設定する機能を有するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-145662号公報
【文献】特開2019-121994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1には、通信内容の機密性に関する記載がないが、特許文献2には、外部からの攻撃に対し、パスワードの変更や通知によって対策を行っている。
【0011】
しかし、これらの対策では通信が可能な機器に対し、例えば、連続的に通信接続要求がなされた場合、機器と端末の接続を1:1あるいはn:1で想定している場合には機器への接続要求が複数の端末から同時に送ることができない。
【0012】
このため、第三者からの攻撃を受けている場合は、他の通信端末から機器へ接続することができず、圧縮機の操作が困難となり、圧縮機の動作に影響が出てしまう。
【0013】
そこで、本発明の目的は、複雑な認証や手続きを介在することなく外部の攻撃に対して対策可能であり、作業者が使用時に確実に機器への接続が可能であり、運転状態の確認、操作などを行うことのできる外部端末と通信が可能な機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成される。
【0015】
機器は電動部と、前記電動部によって駆動され、流体へ力を加える機構部と、
前記電動部へ供給する電力を制御する制御部と、電波を発信し、前記制御部と外部端末とを無線通信によって接続する通信部と、前記通信部により制御され、外部からの指示を受け付け、前記通信部に操作信号を送信する操作部と、を備え、前記制御部は、前記外部端末から前記通信部へ送信された接続要求が所定時間内に所定の回数を超えた場合に、前記通信部の前記電波の発信を停止し、前記通信部が前記制御部により、前記電波の発信が停止された後も、前記操作部からの操作信号が前記通信部を介して前記制御部に送信され、前記制御部は、前記通信部からの電波の発信を停止した後、前記操作部から入力される通信再開要求に従って、前記通信部からの電波の発信を再開させる
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、複雑な認証や手続きを介在することなく外部の攻撃に対して対策可能であり、作業者が使用時に確実に機器への接続が可能であり、運転状態の確認、操作などを行うことのできる外部端末と通信が可能な機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1における空気圧縮機のブロック図である。
図2】実施例1における空気圧縮機の制御部のブロック図である。
図3】実施例1における空気圧縮機の認証手順を説明する図である。
図4】実施例1における通信部の接続動作フローチャートである。
図5】実施例1における空気圧縮機の操作部の一例を示す図である。
図6】実施例2における空気圧縮機のブロック図である。
図7】実施例2における空気圧縮機の制御部のブロック図である。
図8】実施例2における通信部の接続フローチャートである。
図9】実施例2における空気圧縮機操作部の配置例を示す図である。
図10】実施例3におけるポンプシステム接続関係を示すブロック図である。
図11】実施例4が適用される巻上げ機の概略構成図である。
図12】巻上げ機の別の構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【実施例
【0019】
(実施例1)
本実施例では、機器の一例として、主に産業用途で用いられ、使用者または所有者の敷地内(工場等)に配置して使用される空気圧縮機を例に挙げて説明する。
【0020】
図1は、実施例1における空気圧縮機のブロック図である。図2は、実施例1における制御装置110部のブロック図である。
【0021】
本実施例1は、通信機能を有する空気圧縮機を構成した例である。
【0022】
図1及び図2において、空気圧縮機100は、空気を内部に蓄圧するタンクや圧縮機構で構成され、流体に力を加える機構部107と、圧縮機構を駆動するモータや冷却ファンで構成される電動部105と、電動部105に供給される電力を電子的手段により制御する制御装置110で構成される。
【0023】
制御装置110は、電動部105および表示部101を制御するためのIC(例えば、マイコンやFPGA等)や電子部品(例えば、抵抗やコンデンサ、発振回路等)、電力素子(例えば、トランジスタやリレー等)がプリント基板上に、はんだ付け等の手段で実装された電子回路基板である。
【0024】
制御装置110は、電動部105を制御するため利用される回路部品およびIC内のマイコンもしくはソフトウェア機能で構成する制御部103と、外部に電波を発信するアンテナを含む回路部品およびIC内のマイコンもしくはソフトウェア機能で構成する通信部109と、回路部品である表示部101と、操作部108とで構成される。
【0025】
表示部101は、数値等が表現可能な表示部品(LEDや液晶等)であり、空気圧縮機100の機構部107の空気圧力や温度の表示に利用する。
【0026】
電動部105を制御する制御部103と通信機能を担う通信部109は、それぞれ異なるICを有し、そのソフトウェア機能として提供される。制御部103と通信部109は、電気配線および信号配線で図1のように接続されており、互いに信号のやりとりが可能である。通信に必要な情報は記憶部104に記憶される。通信に必要な情報とは、接続認証が正常に完了した外部端末201の情報である。
【0027】
実施例1において、制御部103は、外部からの指示を受け付ける操作部108からの指示に基づいて動作制御を行う。
【0028】
通信部109は、アンテナに電力を供給することで電波(例えば2.4GHz帯の電波)を発信し、電波受信装置を備えた外部端末201(例えば携帯端末や設置型演算装置等)と無線回線により通信を行うことができる。
【0029】
空気圧縮機100と外部端末201は、任意の通信方式(例えば無線LAN等)を用い、無線通信を用いて電子データを相互あるいは一方向に送受信することができる。即ち、通信部109は、電波の送信と受信の両方に使用することができる。
【0030】
通信部109は、内部にCPUやメモリ等の電子部品を内包した集積回路(例えば、System On a Chip等)である。
【0031】
空気圧縮機100は、外部からの電源供給で稼働し、外部からの電源供給が遮断されると停止する。供給された電源は制御装置110に通電し、制御装置110からの運転指令により、電動部105に供給される。制御部103および通信部109に実装されたICのプログラムは、それぞれの不揮発性メモリに記録されており、通電時に読み込まれる。
【0032】
本実施例1では、通信セキュリティを高めた遠隔監視、遠隔操作機能を実現する通信方式を採用する。つまり、本実施例1は無線通信の一例として、近接通信規格の一つであるBluetooth(登録商標)の通信規格の一種であるBluetooth Low Energy(以下、BLE)を利用する。BLEは、接続開始時に安全に暗号通信を開始するための仕組み(以下、ペアリング)を備えている。BLEは、仕様の変遷により、複数のバージョンが存在する。ここではバージョン4.1以降(例えばバージョン4.2等)を対象とする。
【0033】
BLEを使用した通信を、空気圧縮機100と、外部端末201との間で行う。通信部109は、アンテナに電力を供給して、外部に自身の個別信号とサービス内容とをデータとして伝える電波を送信する。これはアドバタイズと呼ばれる。
【0034】
外部端末201は、通信部109が発信する電波の受信に適したアンテナと電波の内容を解釈することが可能なソフトウェアを有しており、受信した通信部109の信号に対して、BLE規格に準じた接続要求を無線で送信する。
【0035】
通信部109は、外部端末201から接続要求を受信すると、接続時に使用するセキュリティ条件の設定を送信する。セキュリティ条件の設定は互いに通知し合う。
【0036】
認証方式としては、パスキー表示方式と数値比較方式のいずれかが提供される。パスキー表示方式は、接続を開始する機器の一方で暗証番号を生成し、表示部101に暗証番号を表示する。そして、表示部101に表示された暗証番号を他方の機器に、操作者が入力し、一方の機器で生成された暗証番号と他方の機器に入力された暗証番号を、一方の機器で照合し、接続を認証する方法である。
【0037】
数値比較方式は、接続を開始する両方の機器で特定の関数で算出した乱数を生成し、お互いに交換した乱数を基に生成した暗証番号をそれぞれの機器に表示し、互いの番号が一致している場合に、接続を要求した機器が接続の認証を許可する方法である。接続の認証を許可するのは、表示された番号が一致した場合に、例えば、操作者が接続を要求した機器に承認の操作をするという構成にすればよい。
【0038】
通信部109は、外部端末201のセキュリティ条件が、通信部109の要求レベルよりも低い場合、接続を直ちに切断する。
【0039】
通信部109のセキュリティ条件と外部端末201のセキュリティ条件が、認証を使用して暗号化を行う条件である場合、通信部109は、暗証番号を生成し、外部端末201に暗証番号の入力要求を送信する。
【0040】
通信部109は、生成した暗証番号を、制御部103の受信可能なデータ(例えば、Modbusフォーマット等)に変換するデータ処理を実行し、暗証番号データを制御部103に有線で送信する。
【0041】
制御部103は、暗証番号データを完全に受信したことを通信部109に返信する。
【0042】
外部端末201の操作者は、表示部101に表示された暗証番号を目視で確認し、その暗証番号を外部端末201に入力し、外部端末201から通信部109に送信する。
【0043】
通信部109は、受信した暗証番号と生成した暗証番号を比較する。暗証番号が一致していた場合、通信部109は、接続後の通信内容の暗号化に使用する一時的な暗号鍵を外部端末201に送付する。暗証番号が異なる場合、通信部109は、接続を直ちに切断する。
【0044】
図3は、実施例1における空気圧縮機100の認証手順を説明する図である。
【0045】
図3において、外部端末201と通信部109の間の認証手続きをペアリングと呼ぶ。通信部109は、通信部109の設計仕様が許容する範囲で、複数の外部端末201とペアリング可能である。相互にペアリングしている外部端末201と通信部109は、互いに接続・通信が可能な状態になる。
【0046】
接続状態はペアリングの有無によらず、外部端末201と通信部109が暗号鍵をやり取りしている時などデータの送受信を行っている状態を指す。当然、ペアリング後に空気圧縮機100のデータを送受信可能な状態になった場合も接続状態という。
【0047】
また、接続状態の各種データの送受信を通信とする。接続状態(ペアリング認証中やペアリング後の通信中)の時、図3におけるアドバタイズが停止するため、他の外部端末では通信部109からのアドバタイズを受信できず、結果接続不可の状態となる。
【0048】
ペアリング済みの複数の外部端末201と通信部109は、同時に接続可能であり、各外部端末201と順番に通信を行う。ただし、通信部109の設計仕様が単体の外部端末201との接続のみ許容する設計である場合は、2台目以降の外部端末201とは接続されない。
【0049】
ここで、外部端末201と通信部109との間において複数ペアリングは可能であるものの同時に接続を行うことのできるのは一つの通信部109に対して1台のみである。
【0050】
よって、一人の空気圧縮機100を利用する作業者が、空気圧縮機100本体の状態を確認したり、圧力を変更したりする操作を、工具等を使用している場所から遠隔的に実施することを行っている場合、別の作業者が空気圧縮機100に対して接続を行うことはできない。
【0051】
また、ペアリングを行うためには通信部109がどの外部端末201とも接続されていない状態(アドバタイズを発信可能な状態)で前述の通り、外部端末201がアドバタイズに対して接続要求を行う必要がある。接続要求を行った際、図3に示す通り相互にセキュリティ設定通知のやり取りの実施など一時的に通信部109が接続待機の状態となる。
【0052】
接続待機の状態ではアドバタイズの送信は行われないため、現在接続要求を行っている外部端末201以外では通信部109との接続要求のやり取りが実質不可能となる。
【0053】
再度、通信部109がアドバタイズを発信可能となるには暗証番号の不一致、一定時間の経過、電源の再投入などが行われる必要がある。
【0054】
ここで、空気圧縮機100の使用者を除いた第三者が通信部109に対し、接続要求、ペアリング失敗、再度接続要求、ペアリング失敗・・・・のように連続して要求を繰り返す場合、正当な使用者であっても、通信部109と外部端末201との接続を行うことができない。
【0055】
これは、ペアリング済みの外部端末210であってもアドバタイズのない通信部109とは接続が不可能であるため、第三者の接続要求が続く限りは接続が行えないからである。
【0056】
図4は、通信部109における外部端末201との接続動作フローチャートである。
【0057】
図4のステップS1においては、通信部109と外部端末201とは未接続状態である。
【0058】
ステップS2において、通信部109は電波を発信し、ステップS3において、外部端末201からの接続が有るか否かを判定する。外部端末201からの接続要求が無ければ、ステップS1に戻り、外部端末201からの接続要求が有れば、ステップS4に進む。
【0059】
ステップS4において、通信部109は暗証番号を生成し、外部端末201に暗証番号の入力要求を行う。ステップS5において、制御部103は、通信部109が生成した暗証番号を表示部101に表示する。
【0060】
そして、ステップS6において、通信部109は、外部端末201からの接続要求を待機する。そして、ステップS7において、通信部109は、外部端末201からの接続要求を待機した時間が、一定時間であるN秒となったか否かを判断し、N秒となっている場合は、ステップS1に戻る。ステップS7において、外部端末201からの接続要求を待機した時間がN秒となっていない場合はステップS8に進む。
【0061】
ステップS8において、通信部109は、外部端末201から暗証番号を受領(受信)したか否かを判断して、暗証番号を受領していない場合は、ステップS6に戻る。
【0062】
ステップS8において、通信部109は、外部端末201から暗証番号を受領(受信)した場合は、ステップS9に進み、受領した暗証番号を認証し、暗証番号が正しいか否かを判断する。正しい暗証番号であれば、ステップS10にて、外部端末と接続状態とする。そして、ステップS11において、暗号通信を継続するか否かを判断し、継続する場合は、ステップS10に戻る。
【0063】
ステップS11において、通信部109は、暗号通信を継続しないと判断した場合は、ステップS1に戻る。
【0064】
ステップS9において、外部端末201から受領した暗証番号が正しくない場合には、ステップS12に進み、制御部103は、同一の外部端末201から送信された暗証番号の認証回数が、所定時間(例えば1分間)に所定の回数N回(例えば5回)となったか否か
を判断して、N回になっていなければ、ステップS1に戻る。
【0065】
ステップS12において、暗証番号の認証回数が、1分間にN回を超えていれば、ステッS13に進み、制御部103は、通信部109への電源供給を停止する。通信部109への電源供給を停止することにより、通信部109の電波の発信を停止して、通信部109による外部端末201との通信を停止する。
【0066】
そして、ステップS14において、制御部103は、操作部108から通信再開要求が有るか否かを判断し、無ければ、ステップS15に進み、接続不可状態として、ステップS14に戻る。ステップS14において、制御部103は、操作部108から入力される通信再開要求に従って、ステップS1に戻り、ステップS2に進み、通信部109からの電波の発信を再開させる。
【0067】
図4に示す接続動作フローチャートにより、認証回数が所定時間内にN回以上である場合は悪質な第三者からの接続要求と判断し、一時的に通信部109の動作を停止する機能を付与した空気圧縮機100を提供することができる。
【0068】
実施例1の空気圧縮機100の構成では制御基板上に空気圧縮機100を操作する制御部103と、表示部101と、外部端末201と通信を行う電波の発信・受信を行う通信部109とが包括されている。
【0069】
通信部109は、制御部103からの電源供給を受け、電波を発信するが、通信部109は空気圧縮機100の基本的な動作にはかかわっていない。
【0070】
そこで、制御部103内に閾値を設け、一定時間内に閾値を超える回数のペアリング要求があった場合に制御部103で判断し、制御部103から通信部109への電源供給を停止し、通信部109の電波の発信を停止する。
【0071】
例えば、1分間の間に5回以上の接続要求または暗証番号の認証失敗が繰り返された場合に通信部109への電源供給を停止し、アドバタイズを完全にストップする。
通信部109への電源供給を停止しても空気圧縮機100側の動作には影響なく、電動部105や機構部107の動作及び制御については継続して行われる。通信部109への電源供給を停止は、通信部109を利用したデータの送受信機能が停止する状態であり通常の圧縮機動作は問題なく行われる。
【0072】
通信部109への電源供給再開方法については制御部103に付随する操作部108への操作によって行う。これは、本発明が適用される機器が、その使用者または所有者の有する敷地内に配置されるものであるので、機器に近づいて直接操作できる人間は適正な使用者または所有者であると考えられるためである。
【0073】
図5は、空気圧縮機100の操作部108の一例を示す図である。操作部108は、タンク内圧力表示LED113、運転状態表示LED114、通信再開時操作ボタン115、操作スイッチ116等を備えている。
【0074】
例えば、通常再開時操作ボタン115は、専用のボタンを設けてもよいし、通常操作では行わない操作部108への操作を再開条件として設定してもよい。通信再開のための動作のための指示を圧縮機の通常動作のための指示と切り分ける構成としておくことで、通常動作には影響のない範囲で通信を再開できる(例えば、ON/OFF以外の2つ以上のボタンを同時に長押しする等を行う)。または空気圧縮機100そのものを再起動してもよい。空気圧縮機100の近傍にいる作業者が連続して認証ミスをした場合でもその際は操作部108を操作すれば復帰することになるため、攻撃かミスによるものかの判断は省いてよい。
【0075】
また、通信部109への電源供給の再開には空気圧縮機100の近傍に接近する必要があり、再起動時に接続されるのは最も近い作業者の外部端末201になるため、外部からの接続要求は行えなくなる。
【0076】
上記の処理によって空気圧縮機100の通常動作を損ねることなく第三者からの不正な接続要求による通信回線の占有から空気圧縮機100を保護することができる。
【0077】
また、通信部109の電波の発信を再開した後に受信した接続要求は、通信部109への電源遮断要因としてペアリング要求のあった外部端末201の電波強度が設定した閾値よりも低い値の場合、接続要求を拒否し、暗証番号の認証に移行せずにペアリング要求を切断し、設定した閾値所定以上の電波強度であった場合のみ接続要求を受け付けるソフトウェアとしてもよい。この場合、すでに空気圧縮機100の近くでペアリング済みの作業者の外部端末201の場合は遠くからでも再接続が行えるが、ペアリングを行うためには空気圧縮機100の近くに行く必要があるため、遠隔によるペアリング要求の回線占有は防止可能である。
【0078】
通信部109への電源遮断操作は操作部108による操作によって行うことができるように構成することもできる。例えば、空気圧縮機100の近くの作業者が接続しようとするも、外部からの攻撃によってアドバタイズを拾うことができない状態に陥っている時、操作部108への操作によって、一度、通信部109への電源供給を遮断し、再度起動することで最も近くにいる作業者への接続が優先的に行われるようになるため、接続が可能となる。
【0079】
以上の対応に加え、ペアリングを行った外部端末201をモジュールのホワイトリスト機能を通信部109が有し、ホワイトリストを記憶部104に記憶させ、連続したペアリング要求が続く場合は通信部109への電源供給の停止後、一定の期間はホワイトリスト内の外部端末201以外からの要求に対しては応じないようにロックを掛けてもよい。その際、ロックの解除は接続済みの端末から行ってもよく、制御装置110の操作部108による操作によって解除する構成としてもよい。つまり、制御部103が通信部109による電波の発信を再開した後に、外部端末201から受信した接続要求は、記憶部104に記憶されている特定の外部端末201からのみの接続要求を受け付けるように構成することができる。
【0080】
また、制御部103は、通信部109の通信電波を完全に遮断せず、発生する通信電波の出力をコントロールして通信部109の電波強度を低下させて、通信部109よる外部端末201との通信を停止させてもよい。
【0081】
また、通信部109は、外部端末201から接続要求が送信されると、外部端末201から送信される暗証番号が正しいか否かを判断し、暗証番号が正しい場合は、外部端末201と接続し、暗証番号が正しくない場合は、外部端末201との接続を未接続状態とし、暗証番号が正しい外部端末201の情報を記憶部104に記憶させ、制御部103は、通信部109からの電波の発信を再開した後に、受信した接続要求は、記憶部104に記憶されている暗証番号が正しい外部端末からの接続要求のみを受け付けるように構成することができる。
【0082】
以上のように、本発明の実施例1によれば、複雑な認証や手続きを介在することなく外部の攻撃に対して対策可能であり、作業者が使用時に確実に機器への接続が可能であり、運転状態の確認、操作などを行うことのできる外部端末と通信が可能な機器を提供することができる。
【0083】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。本実施例では、機器の一例として、主に産業用途で用いられ、使用者または所有者の敷地内(工場等)に配置して使用される空気圧縮機を例に挙げて説明する。
【0084】
図6は、本実施例2における空気圧縮機100のブロック図である。図7は、本実施例2における空気圧縮機100の制御装置110及び操作装置111のブロック図である。
【0085】
また、図8は、実施例2における通信部109における外部端末201との接続動作フローチャートである。
【0086】
実施例1に対し、実施例2は、操作部108が制御部103と異なる基板で構成されており、通信部109を有するモジュールが操作部108の制御マイコンを兼ねる構成である。
【0087】
空気圧縮機100は、空気を内部に蓄圧するタンク(圧力容器117)や圧縮機構で構成される機構部107と、圧縮機構を駆動するモータや冷却ファンで構成される電動部105と、電動部105に供給される電力を電子的手段により制御する制御装置110と、圧力や運転状態の表示、外部端末201との通信、空気圧縮機100の操作信号を制御装置110へ送信を行う操作装置111とで、主として構成される。
【0088】
さらに、空気圧縮機100は、圧力容器117の圧力を検知する圧力センサ118と、電動部105におけるモータの回転数を検出回転センサ119とを有している。
【0089】
制御装置110および操作装置111は、電動部105を制御するためのIC(例えば、マイコンやFPGA等)や電子部品(例えば、抵抗やコンデンサ、発振回路等)、電力素子(例えば、トランジスタやリレー等)がプリント基板上にはんだ付け等の手段で実装された電子回路基板である。
【0090】
制御装置110と操作装置111は有線によって接続され、操作装置111からの操作要求に対して制御部103が空気圧縮機100の動作を行う。
【0091】
実施例2は、実施例1と異なり、通信部109が操作部108の動作制御を兼ねているため、実施例1のように通信部109への電源供給を停止して、通信部109の電波の発信を停止する処理を行うと、実施例2においては、操作部108の制御を行うことができなくなり、空気圧縮機100の動作制御が行えなくなってしまう。
【0092】
このような実施例2の構成の場合は、実施例1のように、通信部109への電源供給を停止するのではなく、図8のフローに示す通り、制御部103の指示によりアドバタイズの電波の発信みを停止し、制御部103は電動部105への電力制御を継続して、不正接続要求を防止する方式とすることができる。
【0093】
図8のフローに沿って説明する。
【0094】
図8のステップS20においては、通信部109と外部端末201とは未接続状態である。ステップS21において、通信部109は電波を発信し、ステップS22において、外部端末201からの接続が有るか否かを判定する。外部端末201からの接続要求が無ければ、ステップS20に戻り、外部端末201からの接続要求が有れば、ステップS23に進む。
【0095】
ステップS23において、接続待機し、ボタン操作により暗証番号を表示し、外部端末201からの暗証番号を受領したか否かを判断し、暗証番号の受領が有りの場合は、ステップS24に進む。ステップS24において、通信部109は、外部端末201からの接続要求を待機する。
【0096】
そして、ステップS25において、通信部109は、外部端末201からの接続要求を待機した時間が、一定時間であるN秒となったか否かを判断し、N秒となっている場合は、ステップS20に戻る。ステップS25において、外部端末201からの接続要求を待機した時間がN秒となっていない場合はステップS26に進み、外部端末201と通信部109とを接続状態とする。
【0097】
そして、ステップS27において、暗号通信を継続する場合は、ステップS26に戻る。ステップS27において、暗号通信を継続しない場合は、ステップS20に戻る。
【0098】
ステップS23において、暗証番号の受領が無い場合は、ステップS28に進み、接続失敗と判断し、ステップS29に進む。そして、ステップS29において、接続失敗回数が1分にN回未満であるか否かを判断し、N回未満であれば、ステップS20に戻る。
【0099】
ステップS29において、接続失敗回数が1分にN回であれば、ステップS30に進み、制御部103の指示により、通信部109の電波出力を停止し、アドバタイズの電波出力のみ停止させる。そして、ステップS31において、操作部108から通信部109に通信再開要求が有るか否かを判断し、通信再開要求が無ければステップS32に進み、外部端末201と接続不可状態として、ステップS31に戻る。
【0100】
ステップS31において、通信再開要求が有れば、ステップS20に戻る。
【0101】
本実施例2の構成では、操作部108の通信モジュールは電源供給が停止されないため、空気圧縮機100の動作には影響はない。
【0102】
再度、電波の供給を開始するためには図9に示すような操作部108上の物理ボタンを再接続用ボタンとして割り当てて操作する構成としてもよい。図9において、操作部108は、タンク内圧力表示LED120と、異常表示LED121と、通信再開スイッチ122と、運転モード表示LED123とを備えている。
【0103】
また、通信部109の通信電波を完全に遮断せず、発生する通信電波の出力をコントロールすることで対策を行ってもよい。この場合、例えば周囲1m圏内にのみ届く範囲で電波の出力を抑えることによって空気圧縮機100近傍の作業者のみが接続可能な状態とすることができる。
【0104】
また、実施例1と同様に、通信部109への電源遮断要因としてペアリング要求のあった外部端末201の電波強度が設定した閾値よりも低い値の場合、暗証番号の認証に移行せずにペアリング要求を切断できるようなソフトウェアとしてもよい。
【0105】
また、実施例1と同様に、記憶部104を有し、ペアリングを行った外部端末201をモジュールのホワイトリスト機能を通信部109が有し、ホワイトリストを記憶部104に記憶させ、連続したペアリング要求が続く場合は通信部109への電源供給の停止後、一定の期間はホワイトリスト内の外部端末201以外からの要求に対しては応じないようにロックを掛けてもよい。
【0106】
実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0107】
さらに、実施例2のように電波強度をコントロールするような構成とすることによって通信部109の完全な遮断よりも回線占有に係るリスクは多少上がるものの、より簡易的にセキュリティを強化することができ、特に電波の出力を抑える構成では作業者は空気圧縮機100に近づくことで容易に再接続できるようになるため、複雑な操作や説明の必要なく利用することができる。
【0108】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について、説明する。
【0109】
上記実施例1、2では、本発明を空気圧縮機100に適用した例について説明したが、本発明は、異なる機器へも適用可能である。実施例3では本発明を空気圧縮機と同じ流体機械であるポンプに適用した例を説明する。実施例3における制御装置の構成や、通信動作フローは、実施例1または実施例2と同様となるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0110】
図10は、本発明の実施例3が適用される複数台のポンプ装置を備えるポンプシステム300の接続関係を示すブロック図である。1台のポンプ装置は、流路であるケーシングとケーシング内に設けられた羽根車を有するポンプ部、羽根車を回転させるモータ部、モータ部へ電力を供給する電力変換部と外部と無線通信する通信部を有する電力変換装置、からなる。
【0111】
図10において、符号1-1、1-4、2-1、2-4、3-1、3-4は、仕切り弁を示す。符号1-2は1号機ポンプ装置、符号2-2は2号機ポンプ装置、符号3-2は3号機ポンプ装置を示す。符号1-3、2-3、3-3は逆止弁を示す。符号1-5は1号機モータ部、符号2-5は2号機モータ部、符号3-5は3号機モータ部を示す。
【0112】
また、符号1-6は1号機電力変換装置、符号2-6は2号機電力変換装置、符号3-6は3号機電力変換装置を示す。符号1-7は1号機制御基板、符号2-7は2号機制御基板、符号3-7は3号機制御基板を示す。また、符号1-8は1号機無線インターフェース、符号2-8は2号機無線インターフェース、符号3-8は3号機無線インターフェースを示す。
電力変換装置は各ポンプ及びモータに一体となって取り付けられていてもよいし、複数台の電力変換装置を1つの制御盤としてまとめて壁際等に設置してもよい。その場合、通信部は各電力変換装置ではなく、制御盤内に1つの通信部としてもよい。
【0113】
例えば、外部端末である携帯端末(図示せず)から、設定したいデータ(データ項目とデータ内容)を送信すると、ポンプ装置1-2、2-2、3-2の無線インターフェース(1-8、2-8、3-8)を通じて、ポンプ制御データを記憶する記憶部の中に、データが書き込まれる。この場合、データを送信する対象を明確にするために、ポンプ装置1-2、2-2、3-2の識別番号を、データと共に送る。無線インターフェースや記憶部は、ポンプ装置1-2、2-2、3-2の制御&I/F(1-8、2-8、3-8)の中に組み込まれる。
【0114】
上記の携帯端末は表示装置を備えているのが望ましい。
【0115】
次に、携帯端末から、運転状況取得の指令を与えると、ポンプ装置1-2、2-2、3-2の無線インターフェース(1-8、2-8、3-8)を通じて、ポンプ運転データを記憶する記憶部の中から、運転状況データが読み出され、読み出されたデータが、無線インターフェース(1-8、2-8、3-8)を通じて携帯端末に送られることとなる。
また、携帯端末からポンプを運転する場合、データの設定を行なうのと同じように、運転/停止の指令を与え、運転する周波数(モータ回転数)を設定することができる。「運転/停止の『指令』」ではなく、ポンプ装置の運転状態に関するデータ項目を指定し、運転させたい場合は、データに「運転」を設定し、停止させたい場合は、データに「停止」を設定することも可能である。
図10に示すように、ポンプ装置1-2、2-2、3-2が3台以上ある場合に、予めポンプ装置1-2、2-2、3-2に優先順位をつけ、優先順位がもっとも高いポンプ装置をマスタポンプ装置とすることができる。あるいは、ポンプ装置1-2、2-2、3-2が稼動状態になってから(通電してから)優先順位を、そのポンプ装置1-2、2-2、3-2の中で決めて優先順位がもっとも高いポンプ装置をマスタポンプ装置とすることができる。
【0116】
マスタポンプ装置を設定した場合、携帯端末と通信を行うのはマスタポンプ装置の通信部のみとし、他のポンプ装置はマスタポンプ装置の通信部へ稼働情報などを送信し、マスタポンプ装置が集約して携帯端末へ送信するような構成としてもよい。
【0117】
このように、各ポンプ装置1-2、2-2、3-2の通信部(またはマスタポンプ装置
の通信部)が携帯端末と通信を行い、接続要求によって回線の占有が発生した場合には携
帯端末との通信を切断しつつ、ポンプ装置としての運転は継続する。
【0118】
本発明のポンプシステムは、ポンプ装置の数が1台の場合にも当然に適用できる。
【0119】
実施例3によれば、複雑な認証や手続きを介在することなく外部の攻撃に対して対策可能であり、作業者が使用時に確実に機器への接続が可能であり、運転状態の確認、操作などを行うことのできる外部端末と通信可能な流体機械であるポンプシステムを提供することができる。
【0120】
なお、実施例3においても、通信部109への電源遮断要因としてペアリング要求のあった外部端末201の電波強度が設定した閾値よりも低い値の場合、暗証番号の認証に移行せずにペアリング要求を切断できるようなソフトウェアとしてもよい。
【0121】
また、通信部109への電源遮断操作は操作部108による操作によって行うことができるように構成することもできる。
【0122】
また、ペアリングを行った外部端末201をモジュールのホワイトリスト機能を通信部109が有し、ホワイトリストを記憶部104に記憶させ、連続したペアリング要求が続く場合は通信部109への電源供給の停止後、一定の期間はホワイトリスト内の外部端末201以外からの要求に対しては応じないようにロックを掛けてもよい。
【0123】
また、通信部109の通信電波を完全に遮断せず、発生する通信電波の出力をコントロールすることで対策を行ってもよい。
【0124】
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について説明する。
【0125】
本発明は、実施例1から3で例示した流体機械以外の機器にも適用可能である。本実施例4は、機器の一例として、工場内に設置して使用される巻き上げ機(クレーン、ホイスト
とも呼ぶ)に、本発明を適用した例を説明する。
【0126】
実施例4は、主にロープで吊上げ可能な吊荷を搬送する巻上げ機に関し、特に地切り
前にロープを緊張させてトロリを搬送することで地切り時の荷振れを低減する巻上げ機に関する。他にも、同様に吊荷を搬送するクレーンについても本発明は適用可能である。
【0127】
実施例4における制御装置の構成や、通信動作フローは、実施例1または実施例2と同様となるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0128】
図11は、実施例4が適用される巻上げ機10の概略構成図である。
【0129】
図11において、搬送対象である吊荷30は、玉掛けロープ20によってフック131に吊り下げられる。フック131は、ロープ13によって巻上げドラム1122に吊り下げられる。ここで、吊荷30は玉掛けロープ20を介せず、フック131に直接吊り下げられる構成でもよい。
【0130】
巻上げドラム1122は、巻上げシャフト1123によって巻上げモータ112および巻上げエンコーダ1121と連結され、トロリ11に配置される。これにより、巻上げモータ112が回転することで、ロープ13は巻上げもしくは巻下げられ、吊荷30は図11中のz方向に搬送できる。このz方向の搬送を、巻上げと称する。
【0131】
横行輪1111は、横行シャフト1112を介して横行モータ111と連結され、トロリ11に配置される。また、横行モータ111の回転により、横行輪1111は、ビーム15上を回転し、駆動力を発生できるよう配置される。これにより、横行モータ111が回転することで、トロリ11および吊荷30はビームに沿って図11中のx方向に搬送できる。このx方向の搬送を、横行と称する。
【0132】
搬送操作部141は、操作端末14に備えられ、オペレータによって横行もしくは巻上げ、またはその両方の指令である搬送操作信号を入力される。入力された搬送操作信号は、通信部142を介して制御部12に送られる。
制御部12は、入力された搬送操作信号もしくは、後述の初期振れ低減機能による搬送信号に基づいて搬送指令を生成し、横行モータ111もしくは巻上げモータ112、またはその両方を駆動する。これにより、吊荷30は横行し、巻上げられる。
【0133】
なお、吊荷30および玉掛けロープ20は、搬送対象であり、巻上げ機10の構成要素ではない。また、吊荷30の吊下げに用いる治具は、玉掛けロープ20に限るものではなく、また無くてもよい。
【0134】
また、操作端末14が有する通信部142は、有線通信であっても無線通信であってもよい。
【0135】
操作端末14は制御用の通信部142に加え、外部端末201と近距離無線通信を行う他の通信部(図示せず)を備える。通信部142と他の通信部をあえて分けることにより、複数回のペアリング要求による回線の占有が発生した際に、回線を遮断しつつ、本実施例4体の巻き上げ機の制御を継続することができる。
【0136】
外部端末201の通信部の電波発信を再開する操作ボタンは、搬送操作部141で特定の操作を行ってもよいし、別にボタンを設けても構わない(図示せず)。
【0137】
次に、図12を参照して、巻上げ機10の別の構成について説明する。
【0138】
図12に示すように、ビーム15は走行装置16を介して走行ビーム18と接続されている。走行装置16は、走行モータ161が回転することで、ビーム15を走行ビーム18に沿って図12中のy方向に移動させる。これにより、ビーム15に接続されたトロリ11およびフック131に吊り下げられた吊荷30(図11参照)は、図12中のy方向に搬送される。このy方向の搬送を、走行と称する。
【0139】
操作端末14に備えられた搬送操作部141(図11参照)に入力される搬送操作信号は、横行及び巻上げに加えて走行の指令信号を有する。入力された搬送操作信号のうち少なくとも走行指令信号は、通信部142(図11参照)を介して走行制御部17に送信される。
【0140】
走行制御部17は、搬送操作信号もしくは後述の初期振れ低減機能による搬送信号に基づいて少なくとも走行に掛る搬送指令を生成し、走行モータ161を駆動する。
【0141】
これにより、吊荷30(図11参照)は、横行及び巻上げに加えて走行される。
【0142】
なお、実施例4においても、通信部109への電源遮断要因としてペアリング要求のあった外部端末201の電波強度が設定した閾値よりも低い値の場合、暗証番号の認証に移行せずにペアリング要求を切断できるようなソフトウェアとしてもよい。
【0143】
また、通信部109への電源遮断操作は操作部108による操作によって行うことができるように構成することもできる。
【0144】
また、ペアリングを行った外部端末201をモジュールのホワイトリスト機能を通信部109が有し、ホワイトリストを記憶部104に記憶させ、連続したペアリング要求が続く場合は通信部109への電源供給の停止後、一定の期間はホワイトリスト内の外部端末201以外からの要求に対しては応じないようにロックを掛けてもよい。
【0145】
また、通信部109の通信電波を完全に遮断せず、発生する通信電波の出力をコントロールすることで対策を行ってもよい。
【0146】
実施例4によれば、複雑な認証や手続きを介在することなく外部の攻撃に対して対策可能であり、作業者が使用時に確実に機器への接続が可能であり、運転状態の確認、操作などを行うことのできる外部端末と通信可能な機器である巻き上げ機を提供することができる。
【0147】
なお、ここでは、制御部12において、横行、巻上げの搬送指令を生成し、走行制御部17において走行の搬送指令を生成するよう説明したが、本発明は、この構成に限るものではない。
【0148】
例えば、制御部12において横行、走行、巻上げの搬送速度指令を生成し、生成した搬送指令のうち少なくとも走行にかかる指令を制御部12から走行制御部17に送信して、走行制御部17は受信した搬送指令に基づいて走行モータ161を駆動してもよい。
【0149】
この場合、前記搬送操作信号は、少なくとも制御部12に送信されればよく、走行制御部17に送信される必要はない。
【0150】
なお、本発明は、機器の通信制御方法も実現することができる。
【0151】
つまり、電動部105と、電動部105によって駆動される機構部107と、電動部105へ供給する電力を制御する制御部103と、電波を発信し、制御部103と外部端末201とを無線通信によって接続する通信部109と、を備える機器の通信制御方法であって、外部端末201から通信部109へ送信された接続要求が所定時間内に所定の回数を超えたか否かを判断し、所定の回数を超えた場合には、通信部109による外部端末201との通信を停止する機器の通信制御方法である。
【0152】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0153】
10・・・巻き上げ機、100・・・空気圧縮機、101・・・表示部、103・・・制御部、104…記憶部、105・・・電動部、107・・・機構部、108・・・操作部、109・・・通信部、110・・・制御装置、111・・・操作装置、113、120・・・タンク内圧力表示LED、114・・・運転状態表示LED、115・・・通信再開時操作ボタン、116・・・操作スイッチ、117・・・圧力容器、118・・・圧力センサ、119・・・回転センサ、121・・・異常表示LED、122・・・通信再開スイッチ、123・・・運転モード表示LED、201・・・外部端末、300・・・ポンプシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12