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特許7648839表示制御装置、搬送システム、搬送システムの制御方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-10
(45)【発行日】2025-03-18
(54)【発明の名称】表示制御装置、搬送システム、搬送システムの制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20250311BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20250311BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20250311BHJP
【FI】
B25J9/16
B23Q7/00 E
B23Q7/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024105160
(22)【出願日】2024-06-28
【審査請求日】2024-07-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】依田 伴昭
(72)【発明者】
【氏名】中川 光司
(72)【発明者】
【氏名】森 洋喜
(72)【発明者】
【氏名】坂井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】森田 浩文
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第219057817(CN,U)
【文献】特開2021-094634(JP,A)
【文献】特表2020-535090(JP,A)
【文献】特開2022-124094(JP,A)
【文献】特開2009-291869(JP,A)
【文献】特開2006-035397(JP,A)
【文献】特開平04-152050(JP,A)
【文献】特開平04-141350(JP,A)
【文献】特開平01-234189(JP,A)
【文献】特開2023-181389(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106064734(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
B23Q 7/00-7/18
G05B 19/18-19/416
B65G 1/00-1/133
B65G 47/90-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットを載置可能な棚板と、各々が前記棚板を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部とを有するパレットストッカにおいて、ロボットを用いて前記棚板の位置替えを行なう場合に、表示部の画面表示を制御する表示制御装置であって、
前記表示部に、前記パレットストッカの画像を表示する画像表示部と、
前記ロボットにより、前記棚板が複数の前記支持部のうちの第1支持部から第2支持部に位置替えされた場合に、その位置替えの実行の前後で、前記パレットストッカの画像における前記棚板の位置を前記第1支持部から前記第2支持部に更新する画像更新部とを備える、表示制御装置。
【請求項2】
ハンドを有するロボットと、
ワークを保持するためのパレットを載置可能な棚板と、各々が前記棚板を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部とを有し、前記パレットを格納するためのパレットストッカと、
複数の前記支持部のうちの第1支持部から第2支持部への前記棚板の位置替えの指令を受け付け、その指令に応じて、前記棚板を前記ハンドにより把持しつつ、前記第1支持部から前記第2支持部に移動させるように、前記ロボットを制御するロボット制御部と、
表示部と、
前記パレットストッカの画像を前記表示部に表示させるとともに、前記棚板の位置替えの実行の前後で、前記パレットストッカの画像における前記棚板の位置を前記第1支持部から前記第2支持部に更新する表示制御部とを備える、搬送システム。
【請求項3】
前記ロボットに搭載され、物体の有無を検知可能なセンサをさらに備え、
前記ロボット制御部は、前記センサにより前記棚板上に前記パレットが存在しないことが検知された場合に、前記棚板の位置替えを実行する、請求項に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記パレットストッカは、位置替えが不可である固定式棚板をさらに有する、請求項に記載の搬送システム。
【請求項5】
搬送システムの制御方法であって、
前記搬送システムは、
ハンドを有するロボットと、
ワークを保持するためのパレットを載置可能な棚板と、各々が前記棚板を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部とを有し、前記パレットを格納するためのパレットストッカと
表示部とを備え、
前記搬送システムの制御方法は、
複数の前記支持部のうちの第1支持部から第2支持部への前記棚板の位置替えの指令を受け付けるステップと、
前記指令に応じて、前記棚板を前記ハンドにより把持しつつ、前記第1支持部から前記第2支持部に移動させるように、前記ロボットを制御するステップと
前記パレットストッカの画像を前記表示部に表示させるとともに、前記棚板の位置替えの実行の前後で、前記パレットストッカの画像における前記棚板の位置を前記第1支持部から前記第2支持部に更新するステップとを備える、搬送システムの制御方法。
【請求項6】
搬送システムを制御するためのコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記搬送システムは、
ハンドを有するロボットと、
ワークを保持するためのパレットを載置可能な棚板と、各々が前記棚板を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部とを有し、前記パレットを格納するためのパレットストッカと
表示部とを備え、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
複数の前記支持部のうちの第1支持部から第2支持部への前記棚板の位置替えの指令を受け付けるステップと、
前記指令に応じて、前記棚板を前記ハンドにより把持しつつ、前記第1支持部から前記第2支持部に移動させるように、前記ロボットを制御するステップと
前記パレットストッカの画像を前記表示部に表示させるとともに、前記棚板の位置替えの実行の前後で、前記パレットストッカの画像における前記棚板の位置を前記第1支持部から前記第2支持部に更新するステップとを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送システム、搬送システムの制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2017-102825号公報(特許文献1)には、テーブルと一体的に移動可能なワーク固定治具を有する工作機械と、ワークを格納するワークストッカと、ワーク固定治具およびワークストッカの間でワークの供給および取り出しを行なうロボットを有するロボットシステムとを備える複合システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-102825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、ロボットを用いてワークを搬送する搬送システムが知られている。このような搬送システムにおいては、ロボットの用途を増やすことで自動化の範囲を広げることが求められている。
【0005】
この発明の目的は、自動化の範囲を広げることが可能な搬送システム、搬送システムの制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った搬送システムは、ハンドを有するロボットと、ワークを保持するためのパレットを載置可能な棚板と、各々が棚板を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部とを有し、パレットを格納するためのパレットストッカと、複数の支持部のうちの第1支持部から第2支持部への棚板の位置替えの指令を受け付けた場合に、棚板をハンドにより把持しつつ、第1支持部から第2支持部に移動させるように、ロボットを制御するロボット制御部とを備える。
【0007】
この発明に従った搬送システムの制御方法において、搬送システムは、ハンドを有するロボットと、ワークを保持するためのパレットを載置可能な棚板と、各々が棚板を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部とを有し、パレットを格納するためのパレットストッカとを備える。搬送システムの制御方法は、複数の支持部のうちの第1支持部から第2支持部への棚板の位置替えの指令を受け付けるステップと、その指令に応じて、棚板をハンドにより把持しつつ、第1支持部から第2支持部に移動させるように、ロボットを制御するステップとを備える。
【0008】
この発明に従ったプログラムは、搬送システムを制御するためのコンピュータにより実行されるプログラムである。搬送システムは、ハンドを有するロボットと、ワークを保持するためのパレットを載置可能な棚板と、各々が棚板を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部とを有し、パレットを格納するためのパレットストッカとを備える。プログラムは、コンピュータに、複数の支持部のうちの第1支持部から第2支持部への棚板の位置替えの指令を受け付けるステップと、その指令に応じて、棚板をハンドにより把持しつつ、第1支持部から第2支持部に移動させるように、ロボットを制御するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
この発明に従えば、自動化の範囲を広げることが可能な搬送システム、搬送システムの制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態における搬送システムを示す上面図である。
図2図1中の搬送システムを簡略化して示す上面図である。
図3】マスターハンドに対するパレット、ワークハンド、棚板およびティーチング用ハンドの関係を示す斜視図である。
図4】マスターハンドを示す斜視図である。
図5】マスターハンドを示す別の斜視図である。
図6】マスターハンドの構造を説明するための図である。
図7図1中のパレットストッカを示す斜視図である。
図8図7中の2点鎖線VIIIで囲まれた範囲のパレットストッカを示す斜視図である。
図9図1中の搬送システムの制御系を示すブロック図である。
図10】ワークストッカを用いたワーク加工の第1ステップを示す上面図である。
図11】ワークストッカを用いたワーク加工の第2ステップを示す上面図である。
図12】ワークストッカを用いたワーク加工の第3ステップを示す上面図である。
図13】ワークストッカを用いたワーク加工の第4ステップを示す上面図である。
図14】ワークストッカを用いたワーク加工の第5ステップを示す上面図である。
図15】ワークストッカを用いたワーク加工の第6ステップを示す上面図である。
図16】段取りステーションを用いたワーク加工の第1ステップを示す上面図である。
図17】段取りステーションを用いたワーク加工の第2ステップを示す上面図である。
図18】段取りステーションを用いたワーク加工の第3ステップを示す上面図である。
図19】段取りステーションを用いたワーク加工の第4ステップを示す上面図である。
図20】段取りステーションを用いたワーク加工の第5ステップを示す上面図である。
図21】パレットストッカに対するパレット投入の第1ステップを示す上面図である。
図22】パレットストッカに対するパレット投入の第2ステップを示す上面図である。
図23】パレットストッカに対するパレット投入の第3ステップを示す上面図である。
図24図7中のパレットストッカを示す正面図である。
図25】パレットストッカにおける棚板の位置替えのための制御系を示すブロック図である。
図26】パレットストッカにおける棚板の位置替えの流れを示すフローチャートである。
図27】表示部における位置替え用画面(更新前)を示す図である。
図28】表示部における位置替え用画面(更新後)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態における搬送システムを示す上面図である。図2は、図1中の搬送システムを簡略化して示す上面図である。
【0013】
図1および図2を参照して、本実施の形態における搬送システム100は、ロボット21と、ロボットベース22とを有する。
【0014】
典型的な例として、ロボット21は、6軸の多関節型ロボットである。ロボット21は、基台部26と、第1アーム27と、第2アーム28と、ハンド取り付け部29と、マスターハンド210とを有する。
【0015】
ロボットベース22は、ロボット21を支持する支持台であり、工場等の床面に固定されている。ロボットベース22は、金属からなる。基台部26は、旋回中心軸101を中心に回転可能なようにロボットベース22に接続されている。旋回中心軸101は、ロボット21の旋回中心に対応する仮想上の直線であり、上下方向に延びている。
【0016】
第1アーム27は、基台部26に取り付けられている。第1アーム27は、基台部26に対する第1アーム27の取り付け部(関節部)に配置される回動中心軸102を中心にして回動可能である。第2アーム28は、第1アーム27に取り付けられている。第2アーム28は、第1アーム27に対する第2アーム28の取り付け部(関節部)に配置される回動中心軸103を中心して回動可能であり、かつ、ハンド取り付け部29を、第2アーム28に沿った回転中心軸104を中心にして回転させることが可能である。ハンド取り付け部29は、第2アーム28に取り付けられている。ハンド取り付け部29は、第2アーム28に対するハンド取り付け部29の取り付け部(関節部)に配置される回動中心軸105を中心にして回動可能であり、かつ、マスターハンド210を、ハンド取り付け部29に沿った回転中心軸106を中心にして回転させることが可能である。
【0017】
マスターハンド210は、エンドエフェクタとして、ハンド取り付け部29に取り付けられている。マスターハンド210は、第2アーム28に対して、回動中心軸105を中心に回動可能なように取り付けられている。マスターハンド210は、ハンド取り付け部29を介して第2アーム28に取り付けられている。第2アーム28は、第1アーム27に対して、回動中心軸103を中心に回動可能なように取り付けられている。
【0018】
ロボット21は、基台部26、第1アーム27、第2アーム28、ハンド取り付け部29およびマスターハンド210を、上記の複数の軸(旋回中心軸101、回動中心軸102、回動中心軸103、回転中心軸104、回動中心軸105および回転中心軸106)を中心にそれぞれ動作させるための複数の駆動用サーボモータ23をさらに有する(後出の図9および図25を参照)。
【0019】
図1中には、2点鎖線111によって、搬送システム100においてマスターハンド210が移動する領域(マスターハンド210の稼働領域)が示されている。また、旋回中心軸101を中心に円弧状に延びる2点鎖線112によって、マスターハンド210が移動可能な最大領域が示されている。
【0020】
搬送システム100は、工作機械10(10S,10T)と、パレットストッカ31(31S,31T)と、ワークストッカ71と、ハンドストッカ81と、段取りステーション61(61S、61T)とをさらに有する。
【0021】
工作機械10(10S,10T)、パレットストッカ31(31S,31T)、ワークストッカ71、ハンドストッカ81および段取りステーション61(61S、61T)は、ロボットベース22の周囲に設けられている。工作機械10(10S,10T)、パレットストッカ31(31S,31T)、ワークストッカ71、ハンドストッカ81および段取りステーション61(61S、61T)は、旋回中心軸101の周方向に沿って並んでいる。図1に示す上面視において、工作機械10(10S,10T)、パレットストッカ31(31S,31T)、ワークストッカ71、ハンドストッカ81および段取りステーション61(61S、61T)の各装置の少なくとも一部は、2点鎖線111により示されるマスターハンド210の稼働領域と重なっている。
【0022】
なお、本発明におけるロボットは、上記の6軸の多関節型ロボットに限られず、たとえば、搬送対象物を、互いに直交する3軸方向に移動させることが可能なロボット(ガントリーローダ)であってもよい。また、工作機械、パレットストッカ、ワークストッカ、ハンドストッカおよび段取りステーションは、直線方向に並んで配置されてもよい。
【0023】
工作機械10は、ワークに回転する工具を接触させることによって、ワーク加工を行なうマシニングセンタである。工作機械10は、コンピュータによる数値制御によって、ワーク加工のための各種動作が自動化されたNC(Numerically Controlled)工作機械である。
【0024】
工作機械10は、固定工具を用いた旋削機能と、回転工具を用いたミーリング機能とを有する複合加工機であってもよいし、ワークの付加加工(Additive Manufacturing)と、ワークの除去加工(Subtractive Manufacturing)とが可能なAM/SMハイブリッド加工機であってもよい。工作機械10Sおよび工作機械10Tは、互いに同一の種類の工作機械であってもよいし、互いに異なる種類の工作機械であってもよい。
【0025】
工作機械10は、カバー体14を有する。カバー体14は、工作機械10の外観をなすとともに、加工エリア12を区画形成している。加工エリア12は、ワークの加工が行なわれる空間であり、ワーク加工に伴う切屑または切削油等の異物が加工エリアの外側に漏出しないようにカバー体14により密閉されている。
【0026】
カバー体14には、開口部16が設けられている。ロボット21は、開口部16を通じて、加工エリア12に対してワークWまたはパレット410等の搬送対象物を搬送する。開口部16には、開閉動作が可能な扉またはシャッターが設けられている。
【0027】
加工エリア12には、工具を回転させるための工具主軸、および、パレット410を保持するためのテーブル等が設けられている。
【0028】
工作機械10は、操作盤18をさらに有する。操作盤18は、工作機械10の動作を制御する制御装置と、加工に関する各種情報を表示するための表示部(ディスプレイ)と、工作機械10に対する各種操作を受け付ける操作部とを含む。
【0029】
工作機械10Sおよび工作機械10Tは、ロボットベース22を挟んで互いに対向する位置に設けられている。工作機械10Sおよび工作機械10Tは、旋回中心軸101を中心とする周方向において、180°ずれた角度位置に設けられている。
【0030】
パレットストッカ31は、パレット410を格納するための装置である。パレットストッカ31は、旋回中心軸101を中心とする周方向において、工作機械10Sおよび工作機械10Tの間に設けられている。パレットストッカ31Sおよびパレットストッカ31Tは、旋回中心軸101を中心とする周方向に隣り合って設けられている。
【0031】
ワークストッカ71は、ワークWを格納するための装置である。ワークストッカ71は、ワークWを載置可能な棚構造を有する。ハンドストッカ81は、後述するワーク用ハンド310およびティーチング用ハンド710等の各種ハンドを格納するための装置である。ハンドストッカ81は、各種ハンドを載置可能な棚構造を有する。
【0032】
ワークストッカ71およびハンドストッカ81は、旋回中心軸101を中心とする周方向において、工作機械10Sおよび工作機械10Tの間に設けられている。ワークストッカ71およびハンドストッカ81は、ロボットベース22を挟んで、パレットストッカ31(31S,31T)と対向する位置に設けられている。ワークストッカ71およびハンドストッカ81は、上下に並んで設けられている。
【0033】
段取りステーション61は、主には、パレット410に対するワークWの着脱作業を行なうための装置である。段取りステーション61には、パレット410を載置可能なパレット載置台(不図示)が設置されている。段取りステーション61は、旋回中心軸101を中心とする周方向において、ワークストッカ71およびハンドストッカ81と、工作機械10との間に設けられている。段取りステーション61は、旋回中心軸101を中心とする周方向において、ワークストッカ71およびハンドストッカ81と隣り合って設けられている。
【0034】
段取りステーション61Sおよび段取りステーション61Tは、旋回中心軸101を中心とする周方向において、ワークストッカ71およびハンドストッカ81の両側に設けられている。
【0035】
なお、搬送システム100に備わる工作機械10、パレットストッカ31、ワークストッカ71、ハンドストッカ81および段取りステーション61の各装置の数は、特に限定されない。
【0036】
搬送システム100は、複数の柵56(56h,56i,56j,56k)をさらに有する。柵56は、工場等の床面から立ち上がっている。図1に示す上面視において、柵56hは、工作機械10Sおよびパレットストッカ31Sの間で延びている。図1に示す上面視において、柵56iは、パレットストッカ31Tおよび工作機械10Tの間で延びている。図1に示す上面視において、柵56jは、工作機械10Tおよび段取りステーション61Tの間で延びている。図1に示す上面視において、柵56kは、段取りステーション61Sおよび工作機械10Sの間で延びている。
【0037】
ロボット21は、複数の柵56(56h,56i,56j,56k)、工作機械10(10S,10T)、パレットストッカ31(31S,31T)、ワークストッカ71、ハンドストッカ81および段取りステーション61(61S,61T)により取り囲まれた空間113に配置されている。2点鎖線111により示されるマスターハンド210の稼働領域は、空間113に含まれる。
【0038】
作業者は、空間113の外側からパレットストッカ31にアクセス不可である。作業者は、段取りステーション61を通じて、パレットストッカ31にパレット410を投入したり、パレットストッカ31からパレット410を回収したりすることができる。作業者は、空間113の外側からワークストッカ71およびハンドストッカ81にアクセス可能である。作業者は、ワークストッカ71を通じて、未加工のワークWを搬送システム100に投入したり、加工済みのワークW’を搬送システム100から回収したりすることができる。作業者は、ハンドストッカ81を通じて、各種のハンドを、搬送システム100に投入したり、搬送システム100から回収したりすることができる。
【0039】
搬送システム100は、搬送用操作盤51をさらに有する。搬送用操作盤51は、ロボット21の動作を制御する制御装置610と、ロボット21による搬送に関する各種情報を表示するための表示部670と、ロボット21に対する各種操作を受け付ける操作部とを含む(後出の図9および図25を参照)。本実施の形態では、表示部670が、オペレータが操作可能なタッチパネルディスプレイにより構成されており、操作部の機能の一部を担っている。操作部は、押下可能な各種ボタン、数字を入力可能な数字キー、または、ダイヤル等から構成されてもよい。
【0040】
搬送用操作盤51は、ワークストッカ71およびハンドストッカ81に取り付けられている。搬送用操作盤51が設けられる位置は、特に限定されない。
【0041】
図3は、マスターハンドに対するパレット、ワークハンド、棚板およびティーチング用ハンドの関係を示す斜視図である。図4および図5は、マスターハンドを示す斜視図である。図6は、マスターハンドの構造を説明するための図である。
【0042】
図3から図6を参照して、マスターハンド210は、クランプ機構220を有する。クランプ機構220は、把持部120を保持するクランプ状態と、把持部120を解放するアンクランプ状態との間で動作可能に構成されている。
【0043】
図4から図6に示されるように、把持部120は、中心軸126を中心とするグリップ形状を有する。把持部120には、溝部121が設けられている。溝部121は、把持部120の外周面から凹み、中心軸126を中心に周回する溝形状を有する。
【0044】
クランプ機構220は、ブロック体の外観を有する。クランプ機構220には、グリップ挿入孔221が設けられている。グリップ挿入孔221は、一方向を向いて開口している。
【0045】
クランプ機構220は、シリンダピストンからなる。クランプ機構220は、一対のピストン226を有する。一対のピストン226は、中心軸126と直交し、グリップ挿入孔221と交差する中心軸231に沿って、シャフト状に延びている。一対のピストン226は、中心軸231の軸方向において、互いに間隔を開けて対向している。一対のピストン226は、中心軸126の軸方向にスライド可能に支持されている。各ピストン226の先端部には、溝部121に係合可能な突起部227が設けられている。
【0046】
マスターハンド210により把持部120を把持する場合、クランプ機構220が把持部120と対向するように、マスターハンド210を位置決めする。マスターハンド210を把持部120に近づく方向に直線的に移動させることによって、グリップ挿入孔221に把持部120を挿入する。エア圧等の供給により、一対のピストン226を互いに近づく方向にスライド移動させることによって、クランプ機構220をアンクランプ状態からクランプ状態に動作させる。これにより、一対のピストン226の突起部227が、グリップ挿入孔221に進出し、溝部121に係合する。
【0047】
マスターハンド210が把持部120を開放する場合、一対のピストン226を互いに遠ざかる方向にスライド移動させることによって、クランプ機構220をクランプ状態からアンクランプ状態に動作させる。これにより、一対のピストン226の突起部227が、グリップ挿入孔221から退出し、溝部121から抜ける。マスターハンド210を把持部120から遠ざかる方向に直線的に移動させることによって、グリップ挿入孔221から把持部120を抜く。
【0048】
図5に示されるように、搬送システム100は、センサ230をさらに有する。センサ230は、物体の有無を検知可能なセンサであり、一例として、非接触式の光電センサである。センサ230は、近接センサであってもよいし、リミットスイッチ等の接触式センサであってもよい。
【0049】
センサ230は、ロボット21に搭載されている。センサ230は、マスターハンド210に搭載されている。センサ230が光電センサである場合に、センサ230からの光の出射方向は、マスターハンド210に対する把持部120の出退方向と平行であってもよい。
【0050】
図3を参照して、搬送システム100は、ワークを保持するためのパレット410をさらに有する。搬送システム100は、複数のパレット410を有する。
【0051】
パレット410は、金属製の板材からなり、上面視した場合に略矩形形状を有する。工作機械10に備わるテーブルには、パレット410を把持するためのクランプ機構が内蔵されている。パレット410上には、イケールまたはクランプ装置等の治具が取り付けられ、その治具を介してパレット410にワークが保持される。
【0052】
パレット410は、第1把持部120Aを有する。第1把持部120Aは、上記の把持部120に対応しており、マスターハンド210が把持可能なように構成されている。第1把持部120Aは、パレット410の側面に設けられている。第1把持部120Aは、パレット410に対して着脱可能に設けられている。
【0053】
マスターハンド210が第1把持部120Aを把持することによって、ロボット21は、パレット410を搬送可能である。
【0054】
図7は、図1中のパレットストッカを示す斜視図である。図8は、図7中の2点鎖線VIIIで囲まれた範囲のパレットストッカを示す斜視図である。
【0055】
図7および図8、ならびに、パレットストッカ31を示す他の図中には、パレットストッカ31における座標軸であるX軸、Y軸およびZ軸が示されている。X軸は、パレットストッカ31の幅方向(左右方向)に対応する水平方向に延び、Y軸は、上下方向に延び、Z軸は、パレットストッカ31の奥行き方向(前後方向)に対応する水平方向に延びている。X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する3軸である。
【0056】
図3図7および図8を参照して、パレットストッカ31は、フレーム体550と、複数の支持部560と、複数の棚板510とを有する。
【0057】
フレーム体550は、直方体形状の枠体をなしている。フレーム体550は、X軸方向およびY軸方向の各方向が長手方向となり、Z軸方向が短手方向となる直方体形状の枠体をなしている。フレーム体550は、4本の柱551を有する。4本の柱551は、上面視におけるフレーム体550の四隅に配置されている。各柱551は、Y軸方向(上下方向)に延びている。
【0058】
支持部560は、棚板510を支持可能なように構成されている。複数の支持部560は、上下方向において、互いに間隔を開けて並んでいる。
【0059】
支持部560は、左右に一対のプレート561を有する。一対のプレート561は、X軸方向において、互いに間隔を開けて設けられている。プレート561は、X軸-Y軸平面により切断された場合にL字状の断面形状をなしながら、Z軸方向に延びている。Z軸方向におけるプレート561の両端部は、Z軸方向に並ぶ2本の柱551にそれぞれ接続されている。
【0060】
棚板510は、パレット410を載置可能なように構成されている。棚板510は、上面視において、X軸方向が長手方向となり、Z軸方向が短手方向となる矩形状をなし、かつ、Y軸方向が厚み方向となる板形状をなしている。
【0061】
棚板510は、左右に一対の縦フレーム532と、前後に一対の横フレーム531とを有する。一対の縦フレーム532は、X軸方向において、互いに間隔を開けて設けられている。一対の縦フレーム532は、X軸方向における棚板510の両端部にそれぞれ設けられている。縦フレーム532は、Y軸方向が厚み方向となる板材からなり、Z軸方向に延びている。一対の横フレーム531は、Z軸方向において、互いに間隔を開けて設けられている。横フレーム531は、X軸方向に延びるとともに、その両端で一対の縦フレーム532にそれぞれ接続されている。
【0062】
図7および図8に示されるように、棚板510は、支持部560により支持されている。一対の縦フレーム532は、一対のプレート561に載置されている。一対の縦フレーム532は、棚板510の重量を受けている。
【0063】
図8に示されるように、支持部560は、ピン562をさらに有する。ピン562は、プレート561に設けられている。ピン562は、プレート561の頂面から上方に向けて突出している。縦フレーム532には、ピン孔533が設けられている。ピン孔533は、Y軸方向において縦フレーム532を貫通する貫通孔からなる。ピン562は、ピン孔533に配置されている。このような構成により、支持部560に対する棚板510の位置ずれを防いでいる。
【0064】
図3に示されるように、棚板510は、複数のパレット支持部520(520p,520q,520r)をさらに有する。
【0065】
各パレット支持部520は、パレット410を支持可能に構成されている。各パレット支持部520は、X軸方向およびZ軸方向において互いに間隔を開けて並ぶ4つのテーパコーン受け部525から構成されている。テーパコーン受け部525は、横フレーム531に設けられている。テーパコーン受け部525は、横フレーム531の頂面から上方に向けて突出している。テーパコーン受け部525は、パレット410の底面に設けられたテーパコーンを受け入れ可能な凹形状をなしている。
【0066】
パレット支持部520p、パレット支持部520qおよびパレット支持部520rは、挙げた順に、X軸方向に並んでいる。
【0067】
棚板510は、サイズの異なるパレット410の載置に対応している。たとえば、棚板510は、400mm×400mmサイズのパレット410の載置と、500mm×500mmサイズのパレット410の載置とに対応している。パレット410が400mm×400mmサイズである場合、パレット支持部520p、パレット支持部520qおよびパレット支持部520rを用いて、3つのパレット410を棚板510に載置可能である。パレット410が500mm×500mmサイズの場合、パレット支持部520pおよびパレット支持部520rを用いて、2つのパレット410を棚板510に載置可能である。
【0068】
図3および図7に示されるように、棚板510は、第2把持部120Bを有する。第2把持部120Bは、上記の把持部120に対応しており、マスターハンド210が把持可能なように構成されている。第2把持部120Bは、X軸方向における棚板510の中心位置に設けられている。第2把持部120Bは、棚板510(横フレーム531)の前面からZ軸方向に突出している。第2把持部120Bは、パレット支持部520(テーパコーン受け部525)よりも下方に設けられている。第2把持部120Bは、棚板510に対して着脱可能に設けられている。
【0069】
マスターハンド210が第2把持部120Bを把持することによって、ロボット21は、棚板510を搬送可能である。ロボット21は、パレットストッカ31における複数の支持部560の間で棚板510の位置替えを実行する。このロボット21を用いた棚板510の位置替えについては、後で詳細に説明する。
【0070】
図7に示されるように、パレットストッカ31は、固定式棚板515をさらに有する。固定式棚板515は、基本的に棚板510と同様の構造を有するが、第2把持部120Bが設けられていない点で棚板510と異なる。固定式棚板515は、複数の支持部560の間で位置替えが不可であり、パレットストッカ31における位置が固定されている。
【0071】
パレットストッカ31は、2つの固定式棚板515を有する。2つの固定式棚板515は、パレットストッカ31における最上段および最下段にそれぞれ配置されている。棚板510は、その最上段に配置される固定式棚板515と、最下段に配置される固定式棚板515の間における上下方向の範囲で、位置替えが可能である。
【0072】
図3を参照して、ワーク用ハンド310は、ワークWを把持可能なように構成されている。ワーク用ハンド310は、一対の把持爪320を有する。一対の把持爪320は、互いに間隔を開けて対向している。
【0073】
ワーク用ハンド310は、一対の把持爪320によりワークWを把持するクランプ状態と、一対の把持爪320がワークWを解放するアンクランプ状態との間で動作可能に構成されている。一対の把持爪320を互いに近づく方向にスライド移動させることによって、ワーク用ハンド310が、アンクランプ状態からクランプ状態に動作する。一対の把持爪320を互いに遠ざかる方向にスライド移動させることによって、ワーク用ハンド310が、クランプ状態からアンクランプ状態に動作する。
【0074】
ワーク用ハンド310は、一対の把持爪320をスライド移動させるための動力源として、ピストンシリンダ330およびサーボモータ340を有する(後出の図9を参照)。
【0075】
ワーク用ハンド310は、第3把持部120Cをさらに有する。第3把持部120Cは、上記の把持部120に対応しており、マスターハンド210が把持可能なように構成されている。第3把持部120Cは、一対の把持爪320のスライド方向に対して直交する方向に延びるグリップ形状を有する。第3把持部120Cは、ワーク用ハンド310に対して着脱可能に設けられている。
【0076】
マスターハンド210が第3把持部120Cを把持することによって、ロボット21にワーク用ハンド310を装着可能である。ロボット21は、ワーク用ハンド310を用いて、ワークWを搬送可能である。
【0077】
ティーチング用ハンド710は、タッチプローブ720を有する。ティーチング用ハンド710は、タッチプローブ720を用いたロボット21のティーチング作業に使用される。
【0078】
ティーチング用ハンド710は、第4把持部120Dをさらに有する。第4把持部120Dは、上記の把持部120に対応しており、マスターハンド210が把持可能なように構成されている。タッチプローブ720は、計測対象と接触するピン状の接触子720gを有する。第4把持部120Dは、接触子720gがピン状に延びる方向に対して直交する方向に延びるグリップ形状を有する。第4把持部120Dは、ティーチング用ハンド710に対して着脱可能に設けられている。
【0079】
マスターハンド210が第4把持部120Dを把持することによって、ロボット21にティーチング用ハンド710を装着可能である。
【0080】
第1把持部120A、第2把持部120B、第3把持部120Cおよび第4把持部120Dは、互いに同一のグリップ形状を有する。マスターハンド210は、第1把持部120A、第2把持部120B、第3把持部120Cおよび第4把持部120Dのいずれか1つの把持部120を選択的に把持可能なように構成されている。
【0081】
図9は、図1中の搬送システムの制御系を示すブロック図である。図9を参照して、搬送システム100は、制御装置610をさらに有する。
【0082】
制御装置610の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コンピュータプロセッサなどの演算器、メモリまたはストレージといった記憶装置、ならびに、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアとによって実現されている。ソフトウェアを構成するコンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、または、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体(Computer-readable storage medium)に記録されてもよいし、一時的でないコンピュータ可読記憶媒体(Non-transitory computer-readable storage medium)に記録されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータプログラム製品に含まれてもよい。以下に説明する各ブロックは、機能単位のブロックを示している。
【0083】
制御装置610は、操作受け付け部660と、ロボット制御部620とを有する。操作受け付け部660は、たとえば、タッチパネルディスプレイからなる表示部670(操作部)を通じた作業者の操作を受け付ける。操作受け付け部660は、作業者の操作に応じた信号をロボット制御部620に出力する。
【0084】
ロボット制御部620は、ロボット21の動作(マスターハンド210に装着されるワーク用ハンド310の動作を含む)を制御する。
【0085】
ロボット制御部620は、プログラム記憶部621と、プログラム解析部622と、軸制御部623と、ハンド制御部624と、パラメータ記憶部625とを有する。
【0086】
プログラム記憶部621は、ロボット21の動作を指令する各種の動作プログラム641を記憶している。プログラム記憶部621に記憶される動作プログラム641は、たとえば、ロボット21の移動および停止などを定義する動作指令、マスターハンド210の位置および向き(姿勢)を定義する位置指令、直線移動および円弧移動などの移動経路を定義する経路指令、ならびに、移動速度を定義する速度指令を含む。動作プログラム641は、ロボット制御部620に接続される入出力装置630を介して入力され、プログラム記憶部621に格納される。
【0087】
動作プログラム641は、たとえば、SLIM(Standard Language for Industrial Manipulators)と呼ばれる言語で記述されている。動作プログラム641に含まれる各位置指令における具体的な位置および向き(姿勢)は、ロボット21をティーチング操作と呼ばれる手動操作により動作させることによって得られる。ティーチング操作によるロボット21の動作に伴って、ロボット21に内蔵される各駆動用サーボモータ23の回転角度位置がパラメータとして取得され、取得されたパラメータが入出力装置630を介してパラメータ記憶部625に格納される。
【0088】
プログラム解析部622は、操作受け付け部660からの信号に応じて、プログラム記憶部621に格納された動作プログラム641であって、実行する動作プログラム641を読み出す。プログラム解析部622は、動作プログラム641を解析して、移動に関する指令を抽出し、その指令を軸制御部623に送信する。プログラム解析部622は、動作プログラム641を解析して、ハンド動作に関する指令を抽出し、その指令をハンド制御部624に送信する。
【0089】
軸制御部623は、プログラム解析部622からの指令に応じて、複数の駆動用サーボモータ23を制御する。ハンド制御部624は、プログラム解析部622からの指令に応じて、マスターハンド210および/またはワーク用ハンド310を制御する。
【0090】
具体的には、軸制御部623は、各位置指令に応じたパラメータをパラメータ記憶部625から読み出し、各駆動用サーボモータ23の回転角度位置が読み出した回転角度位置となり、マスターハンド210の移動経路が指令された移動経路(直線移動または円弧移動)となり、さらに、指令された速度で移動するように、各駆動用サーボモータ23に対する回転指令(制御信号)を生成し、各駆動用サーボモータ23に送信する。複数の駆動用サーボモータ23は、軸制御部623からの回転指令に応じた駆動電流が供給されることによって、マスターハンド210を指令された位置に移動させる。
【0091】
ハンド制御部624は、プログラム解析部622からの指令に応じて、一対のピストン226がスライド動作するように、エアバルブの開閉指令を生成し、その開閉指令をクランプ機構220に送信する。ハンド制御部624は、プログラム解析部622からの指令に応じて、一対の把持爪320がスライド移動するように、エアバルブの開閉指令を生成し、その開閉指令をピストンシリンダ330に送信したり、サーボモータ340に対する回転指令(制御信号)を生成し、その回転指令をサーボモータ340に送信したりする。
【0092】
続いて、搬送システム100におけるロボット21の使用形態の具体例について説明する。図10から図15は、ワークストッカを用いたワーク加工のステップを示す上面図である。図10から図15は、図2に対応している。
【0093】
図2を参照して、初期状態として、パレットストッカ31に複数のパレット410が格納されている。パレット410には、イケールまたはクランプ装置等の治具(不図示)が搭載されている。ワークストッカ71には、未加工のワークWが格納されている。ハンドストッカ81には、複数のワーク用ハンド310と、ティーチング用ハンド710とが格納されている。ワーク用ハンド310は、複数のワーク用ハンド310の間で形状または大きさが互いに異なる一対の把持爪320を有してもよい。
【0094】
図9および図10を参照して、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210が、パレットストッカ31に格納されたパレット410の第1把持部120Aを把持するように、ロボット21を制御する。
【0095】
本ステップでは、マスターハンド210が、パレットストッカ31に向けて移動し、Z軸方向において、パレット410の第1把持部120Aと対向するように位置決めされる。マスターハンド210がZ軸方向に移動することによって、第1把持部120Aがグリップ挿入孔221に挿入される。マスターハンド210が第1把持部120Aを把持する。マスターハンド210が上方に移動することによって、パレット410が棚板510から持ち上げられる。
【0096】
図9および図11を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210により把持したパレット410が工作機械10の加工エリア12に移動するように、ロボット21を制御する。
【0097】
本ステップでは、マスターハンド210が加工エリア12に進入し、パレット410をテーブル(不図示)に載置する。パレット410は、テーブルに内蔵されたクランプ機構によって、テーブルに保持される。マスターハンド210は、第1把持部120Aを開放し、加工エリア12から退出する。
【0098】
図9および図12を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210が、ハンドストッカ81に格納されたワーク用ハンド310の第3把持部120Cを把持するように、ロボット21を制御する。
【0099】
本ステップでは、マスターハンド210が、ハンドストッカ81に向けて移動する。マスターハンド210が第3把持部120Cを把持することによって、ロボット21にワーク用ハンド310を装着する。
【0100】
図9および図13を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、ワーク用ハンド310がワークWを把持するように、ロボット21およびワーク用ハンド310を制御する。
【0101】
本ステップでは、ワーク用ハンド310が、ワークストッカ71に向けて移動する。ワーク用ハンド310により、未加工のワークWを把持する。
【0102】
図9および図14を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、ワーク用ハンド310により把持したワークWが、工作機械10の加工エリア12に配置されたパレット410により保持されるように、ロボット21およびワーク用ハンド310を制御する。
【0103】
本ステップでは、ワーク用ハンド310が、加工エリア12に進入し、ワークWをパレット410上の治具に対して配置する。治具がワークWを保持するとともに、ワーク用ハンド310がワークWを開放する。ワーク用ハンド310は、加工エリア12から退出する。本ステップに続いて、工作機械10が、加工エリア12においてワークWの加工を実行する。
【0104】
図9および図15を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、加工済みのワークW’をワークストッカ71に格納するように、ロボット21およびワーク用ハンド310を制御する。
【0105】
本ステップでは、ワーク用ハンド310が、加工エリア12に進入する。ワーク用ハンド310が加工済みのワークW’を把持するとともに、パレット410上の治具がワークW’を開放する。ワークW’を把持したワーク用ハンド310が、加工エリア12から退出し、ワークストッカ71に向けて移動する。ワーク用ハンド310は、ワークW’をワークストッカ71に配置するとともに、ワークW’を解放する。以上のステップにより、ワークストッカ71を用いたワーク加工が完了する。
【0106】
図16から図20は、段取りステーションを用いたワーク加工のステップを示す上面図である。図16から図20は、図2に対応している。
【0107】
図2を参照して、初期状態は、上記のワークストッカ71を用いたワーク加工と同様である。
【0108】
図9および図16を参照して、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210が、パレットストッカ31に格納されたパレット410の第1把持部120Aを把持するように、ロボット21を制御する。制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210により把持したパレット410が段取りステーション61に移動するように、ロボット21を制御する。
【0109】
本ステップでは、マスターハンド210が段取りステーション61に向けて移動し、パレット410を段取りステーション61に設置されたパレット載置台(不図示)に載置する。マスターハンド210は、第1把持部120Aを開放する。マスターハンド210は、段取りステーション61から退出する。
【0110】
図9および図17を参照して、次に、作業者が、パレット410に対してワークWをセッティングする。本ステップでは、パレット410上の治具を用いて、未加工のワークWをパレット410に対して保持する。
【0111】
図9および図18を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210が、段取りステーション61に配置されたパレット410の第1把持部120Aを把持するように、ロボット21を制御する。
【0112】
図9および図19を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210により把持したパレット410が加工エリア12に移動するように、ロボット21を制御する。本ステップに続いて、工作機械10が、加工エリア12においてワークWの加工を実行する。
【0113】
図9および図20を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210が、加工エリア12に配置されたパレット410の第1把持部120Aを把持するように、ロボット21を制御する。制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210により把持したパレット410が段取りステーション61に移動するように、ロボット21を制御する。本ステップに続いて、作業者は、パレット410上の治具から加工済みのワークW’を取り外す。以上のステップにより、段取りステーション61を用いたワーク加工が完了する。
【0114】
図21から図23は、パレットストッカに対するパレット投入のステップを示す上面図である。図21から図23は、図2に対応している。
【0115】
図9および図21を参照して、初期状態として、パレットストッカ31にパレット410が格納されていない。作業者は、段取りステーション61におけるパレット載置台(不図示)にパレット410を載置する。
【0116】
図9および図22を参照して、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210が、段取りステーション61に配置されたパレット410の第1把持部120Aを把持するように、ロボット21を制御する。制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210により把持したパレット410がパレットストッカ31に移動するように、ロボット21を制御する。
【0117】
図9および図22を参照して、次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、マスターハンド210により把持したパレット410を棚板510に載置するように、ロボット21を制御する。
【0118】
以上のステップを繰り返すことによって、パレットストッカ31に複数のパレット410を投入することができる。
【0119】
搬送システム100におけるロボット21のさらなる使用形態として、パレットストッカ31における棚板510の位置替えがある。以下では、ロボット21を用いた棚板510の位置替えについて、詳細に説明する。図24は、図7中のパレットストッカを示す正面図である。
【0120】
図24を参照して、パレットストッカ31は、「1st」、「2nd」、「3rd」、「4th」および「5th」の複数フロアからなる多段式の棚構造を有する。
【0121】
「1st」と示される最下段のフロアと、「5th」と示される最上段のフロアとの各フロアには、固定式棚板515が配置されている。
【0122】
「2nd」と示される下から2番目のフロアには、上下に間隔を開けて支持部560(2-1)および支持部560(2-2)が設けられている。ロボット21は、棚板510を、支持部560(2-1)および支持部560(2-2)の間で移動させることが可能である。
【0123】
「3rd」と示される真ん中のフロアには、上下に間隔を開けて支持部560(3-1)、支持部560(3-2)および支持部560(3-3)が設けられている。ロボット21は、棚板510を、支持部560(3-1)、支持部560(3-2)および支持部560(3-3)の間で移動させることが可能である。
【0124】
「4th」と示される上から2番目のフロアには、上下に間隔を開けて支持部560(4-1)および支持部560(4-2)が設けられている。ロボット21は、棚板510を、支持部560(4-1)および支持部560(4-2)の間で移動させることが可能である。
【0125】
一例として、上下方向における支持部560(2-1)および支持部560(2-2)の間隔は、100mmであり、上下方向における支持部560(3-1)、支持部560(3-2)および支持部560(3-3)の間隔は、100mmであり、上下方向における支持部560(4-1)および支持部560(4-2)の間隔は、200mmである。
【0126】
各フロアにおける支持部560の間隔は、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。第1フロアにおける支持部560の間隔は、第2フロアにおける支持部560の間隔と同じであってもよいし、異なってもよい。上下に隣り合うフロア間における支持部560の間隔は、各フロアにおける支持部560の間隔よりも大きくてもよい。
【0127】
現在の棚板510の配置として、「2nd」のフロアでは、支持部560(2-1)により棚板510が支持されてる。「3rd」のフロアでは、支持部560(3-3)により棚板510が支持されている。「4th」のフロアでは、支持部560(4-1)により棚板510が支持されている。固定式棚板515および棚板510には、400mm×400mmサイズのパレット410が載置されている。
【0128】
このような棚板510の配置において、各フロアに載置可能なワークの最大高さは、「1st」のフロアで300mmであり、「2nd」のフロアで300mmであり、「3rd」のフロアで200mmであり、「4th」のフロアで200mmであり、「5th」のフロアで400mmである。
【0129】
たとえば、「2nd」のフロアにおいて、棚板510が支持部560(2-1)から支持部560(2-2)に移された場合を想定すると、載置可能なワークの最大高さは、「1st」のフロアで400mmとなり、「2nd」のフロアで200mmとなる。
【0130】
また別の例として、「4th」のフロアにおいて、棚板510が支持部560(4-1)から支持部560(4-2)に移され、「3rd」のフロアにおいて、棚板510が支持部560(3-3)から支持部560(3-2)に移され、「2nd」のフロアにおいて、棚板510が取り除かれた場合を想定すると、載置可能なワークの最大高さは、「1st」のフロアで600mmとなり、「3rd」のフロアで600mmとなる。
【0131】
このように棚板510の位置替えを実行することによって、パレットストッカ31に格納されるパレット410に載置可能なワークの最大高さを自在に調整することができる。
【0132】
図25は、パレットストッカにおける棚板の位置替えのための制御系を示すブロック図である。図26は、パレットストッカにおける棚板の位置替えの流れを示すフローチャートである。図27および図28は、表示部における位置替え用画面を示す図である。
【0133】
図24から図28を参照して、制御装置610は、表示制御部650をさらに有する。表示制御部650は、表示部670における画面表示を制御する。
【0134】
作業者は、タッチパネルディスプレイからなる表示部670を通じて、棚板510の位置替えモードの起動のための操作を行なう。操作受け付け部660は、作業者の操作を受け付けるとともに、その操作に応じた信号を表示制御部650に出力する。これにより、表示制御部650は、図27に示される棚板510の位置替え用画面671を表示部670に表示させる。
【0135】
図27に示されるように、位置替え用画面671は、パレットストッカ画像部680を有する。パレットストッカ画像部680は、Z軸方向に見た場合のパレットストッカ31の画像に対応している。パレットストッカ画像部680は、パレットストッカ31を模式的に示した画像であってもよい。位置替え用画面671の初期画面では、現状の棚板510の配置(一例として、支持部560(2-1)、支持部560(3-3)および支持部560(4-1)の各支持部560により支持される棚板510の配置)がパレットストッカ画像部680に示されている。後述の第1位置表示部691および第2位置表示部692は、空欄である。
【0136】
位置替え用画面671は、第1操作部681をさらに有する。第1操作部681は、作業者による操作によって、棚板510の位置替えの対象となるフロアが選択されるように構成されている。第1操作部681は、「2nd」、「3rd」および「4th」とそれぞれ示された複数のタブを含む。「2nd」のタブは、パレットストッカ画像部680において「2nd」のフロアに対応する位置に示され、「3rd」のタブは、パレットストッカ画像部680において「3rd」のフロアに対応する位置に示され、「4th」のタブは、パレットストッカ画像部680において「4th」のフロアに対応する位置に示されている。
【0137】
位置替え用画面671は、第2操作部682をさらに有する。第2操作部682は、作業者による操作によって、位置替えの対象となる棚板510の移動後の支持部560が選択されるように構成されている。
【0138】
第2操作部682は、「2-1」、「2-2」、「3-1」、「3-2」、「3-3」、「4-1」および「4-2」とそれぞれ示された複数のタブを含む。「2-1」、「2-2」、「3-1」、「3-2」、「3-3」、「4-1」および「4-2」とそれぞれ示された複数のタブは、それぞれ、パレットストッカ画像部680において、支持部560(2-1)、支持部560(2-2)、支持部560(3-1)、支持部560(3-2)、支持部560(3-3)、支持部560(4-1)および支持部560(4-2)に対応する位置に示されている。
【0139】
位置替え用画面671は、第1位置表示部691と、第2位置表示部692とをさらに有する。
【0140】
第1位置表示部691は、位置替えの対象となる棚板510の移動前の位置を表示する。第2位置表示部692は、位置替えの対象となる棚板510の移動後の位置を表示する。
【0141】
作業者による第1操作部681の操作に伴って、表示制御部650は、位置替えの対象となるフロアを特定する。表示制御部650は、特定したフロアにおける現在の棚板510の位置を、第1位置表示部691に表示させる。図27では、一例として、作業者が、第1操作部681において「3rd」のタブを操作した場合が想定されている。表示制御部650は、第1位置表示部691に、「3rd」のフロアにおける現在の棚板510の位置として「3-3」を表示させる。
【0142】
作業者による第2操作部682の操作に伴って、表示制御部650は、棚板510の移動後の位置を特定する。表示制御部650は、特定した棚板510の移動後の位置を第2位置表示部692を表示させる。図27では、一例として、作業者が、第2操作部682において「3-1」のタブを操作した場合が想定されている。表示制御部650は、第2位置表示部692に、棚板510の移動後の位置として「3-1」を表示させる。
【0143】
位置替え用画面671は、第3操作部693をさらに有する。第3操作部693は、棚板510の位置替えの処理を開始するために、作業者により操作される。
【0144】
図28に示されるように、表示制御部650は、棚板510の位置替えが完了すると、パレットストッカ画像部680における棚板510の位置を更新する。図27では、表示制御部650が、支持部560(3-1)により支持される棚板510をパレットストッカ画像部680に表示させている。
【0145】
図24および図25に示されるように、ロボット制御部620は、複数の支持部560のうちの第1支持部560Aから第2支持部560Bへの棚板510の位置替えの指令を受け付けた場合に、棚板510をマスターハンド210により把持しつつ、第1支持部560Aから第2支持部560Bに移動させるように、ロボット21を制御する。図24中では、一例として、支持部560(3-3)が、第1支持部560Aに対応し、支持部560(3-1)が、第2支持部560Bに対応している。
【0146】
より具体的には、作業者が第3操作部693を操作すると、操作受け付け部660は、作業者の操作を受け付けるとともに、その操作に応じた信号をプログラム解析部622に出力する。プログラム解析部622に対して出力される信号は、位置替えの対象となる棚板510の移動前後の位置を特定するための信号を含む。
【0147】
プログラム記憶部621は、ロボット21の動作を指令する各種の動作プログラム641を記憶している。動作プログラム641は、棚板位置替え用の動作プログラム641Pを含む。棚板位置替え用の動作プログラム641Pは、棚板510の位置替え時のロボット21の動作を指令するものであり、棚板510の移動前の位置と、棚板510の移動後の位置との組み合わせ毎に作成されている。
【0148】
プログラム解析部622は、操作受け付け部660からの信号により棚板510の位置替えの指令を受け付け、プログラム記憶部621から、対応する棚板位置替え用の動作プログラム641Pを読み出す。プログラム解析部622は、動作プログラム641Pを解析して、移動に関する指令を抽出し、その指令を軸制御部623に送信する。プログラム解析部622は、動作プログラム641Pを解析して、マスターハンド210の動作に関する指令を抽出し、その指令をハンド制御部624に送信する。
【0149】
軸制御部623は、プログラム解析部622からの指令に応じて、複数の駆動用サーボモータ23を制御する。ハンド制御部624は、プログラム解析部622からの指令に応じて、マスターハンド210を制御する。
【0150】
図3から図5、ならびに、図24および図25を参照して、ロボット制御部620は、センサ230により棚板510上にパレット410が存在しないことが検知された場合に、その棚板510の位置替えを実行する。
【0151】
より具体的には、棚板位置替え用の動作プログラム641Pは、位置替えの対象となる棚板510上のパレット410の有無を検知するためのロボット21の動作を指令するプログラムを含む。プログラム解析部622は、その動作プログラムに基づいた指令を軸制御部623およびハンド制御部624に送信する。
【0152】
図24中では、位置替えの対象となる、支持部560(3-3)に支持された棚板510上の空間に、第1位置PA、第2位置PBおよび第3位置PCが示されている。図3および図24に示されるように、第1位置PAは、棚板510の左端のパレット支持部520pにパレット410が載置されている場合に、そのパレット410が配置される位置に対応する。第2位置PBは、棚板510の中央のパレット支持部520qにパレット410が載置されている場合に、そのパレット410が配置される位置に対応する。第3位置PCは、棚板510の右端のパレット支持部520rにパレット410が載置されている場合に、そのパレット410が配置される位置に対応する。
【0153】
軸制御部623は、センサ230がZ軸方向において第1位置PAと対向して位置決めされるように、複数の駆動用サーボモータ23を制御する。ハンド制御部624は、センサ230によるセンシングを実行させる。センサ230が光電センサからなる場合、センサ230の出光部から第1位置PAに向けて光を出射し、その光の反射光をセンサ230の受光部で受光する。センサ230は、受光量に対応する信号をプログラム解析部622に出力する。プログラム解析部622は、センサ230からの信号に基づいて、受光量が予め定められた閾値を超えるか否かを判断する。プログラム解析部622は、受光量が閾値を超える場合には、棚板510上にパレット410が存在すると判定し、受光量が閾値以下である場合には、棚板510上にパレット410が存在しないと判定する。
【0154】
軸制御部623は、センサ230がZ軸方向において第2位置PBと対向して位置決めされるように、複数の駆動用サーボモータ23を制御する。ハンド制御部624は、センサ230による上記センシングを実行させる。軸制御部623は、センサ230がZ軸方向において第3位置PCと対向して位置決めされるように、複数の駆動用サーボモータ23を制御する。ハンド制御部624は、センサ230による上記センシングを実行させる。
【0155】
プログラム解析部622は、上記センシングにより、第1位置PA、第2位置PBおよび第3位置PCのいずれの位置にもパレット410が存在しないと判定した場合に、棚板510の位置替えの処理を続行する。プログラム解析部622は、上記センシングにより、第1位置PA、第2位置PBおよび第3位置PCの少なくとも1つの位置にパレット410が存在すると判定した場合に、棚板510の位置替えの処理を停止する。この場合に、制御装置610は、パレット410の存在を作業者に報知するためのアラートを発信してもよい。
【0156】
パレットストッカ31における棚板510の位置替えの流れを説明する。図25から図28を参照して、作業者により棚板510の位置替えモードの起動が操作された場合に、制御装置610(表示制御部650)は、位置替え用画面671を表示部670に表示させる(S100)。
【0157】
次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、棚板510の位置替えの指令を受け付ける(S101)。
【0158】
本ステップにおいて、作業者は、位置替え用画面671における第1操作部681を操作することによって、位置替えの対象となるフロア(棚板510)を指定し、位置替え用画面671における第2操作部682を操作することによって、位置替えの対象となる棚板510の移動後の位置(支持部560)を指定する。プログラム解析部622は、操作受け付け部660からの信号が入力されることにより、棚板510の位置替えの指令を受け付ける。
【0159】
次に、制御装置610(表示制御部650)は、棚板510の移動前後の位置を表示部670に表示させる(S102)。
【0160】
本ステップにおいて、表示制御部650は、棚板510の位置替えの対象となるフロアにおける棚板510の移動前の位置を、第1位置表示部691に表示させ、棚板510の移動後の位置を、第2位置表示部692に表示させる。
【0161】
次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、棚板510の位置替えの処理を開始する(S103)。
【0162】
本ステップにおいて、作業者は、位置替え用画面671における第3操作部693を操作する。ロボット制御部620は、作業者による第3操作部693の操作を受けて、棚板510の位置替えの処理を開始する。
【0163】
次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、センサ230によるセンシングを実行するように、ロボット21およびセンサ230を制御する(S104)。
【0164】
本ステップにおいて、プログラム解析部622は、センサ230が、Z軸方向において、第1位置PA、第2位置PBおよび第3位置PCと順に対向して位決めされ、第1位置PA、第2位置PBおよび第3位置PCの各位置において、センサ230によるセンシングを実行するように、ロボット21およびセンサ230を制御する。
【0165】
次に、制御装置610(ロボット制御部620)は、位置替えの対象となる棚板510上にパレット410が存在するか否かを判定する(S105)。
【0166】
制御装置610は、S105のステップにおいて、棚板510上の第1位置PA、第2位置PBおよび第3位置PCの少なくとも1つの位置にパレット410が存在すると判定した場合、パレット410の存在を作業者に報知するためのアラートを発信する(S106)。
【0167】
本ステップでは、表示制御部650が、表示部670に、位置替えの対象となる棚板510上にパレット410が存在する旨のコメントを表示させてもよい。作業者は、パレット410を棚板510上から退避させる作業をロボット21に行なわせた後、再び、SS101のステップを開始させる。
【0168】
制御装置610(ロボット制御部620)は、S105のステップにおいて、棚板510上の第1位置PA、第2位置PBおよび第3位置PCのいずれの位置にもパレット410が存在しないと判定した場合、棚板510の位置替えを実行する(S107)。
【0169】
本ステップでは、マスターハンド210が、パレットストッカ31に向けて移動し、Z軸方向において、位置替えの対象となる棚板510の第2把持部120Bと対向するように位置決めされる。マスターハンド210がZ軸方向に移動することによって、第2把持部120Bがグリップ挿入孔221に挿入される。マスターハンド210が第2把持部120Bを把持する。マスターハンド210が上方に移動することによって、棚板510が第1支持部560Aから持ち上げられる。マスターハンド210は、棚板510が第1支持部560A上の空間から退避するように、Z軸方向に移動する。
【0170】
マスターハンド210は、Y軸方向に移動する。マスターハンド210は、棚板510が第2支持部560B上の空間に進出するように、Z軸方向に移動する。マスターハンド210が下方に移動することによって、棚板510が第2支持部560Bに載置される。マスターハンド210が第2把持部120Bを開放する。マスターハンド210がZ軸方向に移動することによって、第2把持部120Bがグリップ挿入孔221から退出する。
【0171】
次に、制御装置610(表示制御部650)は、パレットストッカ画像部680における棚板510の位置を更新する(S108)。以上のステップにより、棚板510の位置替えが完了する。
【0172】
以上に説明した、この発明の実施の形態における搬送システム100の構成をまとめると、本実施の形態における搬送システム100は、ハンドとしてのマスターハンド210を有するロボット21と、ワークWを保持するためのパレット410を載置可能な棚板510と、各々が棚板510を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部560とを有し、パレット410を格納するためのパレットストッカ31と、複数の支持部560のうちの第1支持部560Aから第2支持部560Bへの棚板510の位置替えの指令を受け付けた場合に、棚板510をマスターハンド210により把持しつつ、第1支持部560Aから第2支持部560Bに移動させるように、ロボット21を制御するロボット制御部620とを備える。
【0173】
このような構成によれば、ロボット21を用いることによって、パレットストッカ31における棚板510の位置替えを自動化することができる。これにより、ロボット21の用途を増やして、搬送システム100における自動化の範囲を広げることができる。
【0174】
特に本実施の形態では、作業者が空間113の外側からパレットストッカ31にアクセス不可であるため、ロボット21を用いた自動化によって、棚板510の位置替えを簡易かつ安全に行なうことができる。
【0175】
また、搬送システム100は、表示部670と、パレットストッカ31の画像を表示部670に表示させるとともに、棚板510の位置替えの実行の前後で、パレットストッカ31の画像における棚板510の位置を第1支持部560Aから第2支持部560Bに更新する表示制御部650とをさらに備える。
【0176】
このような構成によれば、作業者は、表示部670を通じて、位置替えの実行の前後における棚板510の位置を確認することができる。
【0177】
また、搬送システム100は、ロボット21に搭載され、物体の有無を検知可能なセンサ230をさらに備える。ロボット制御部620は、センサ230により棚板510上にパレット410が存在しないことが検知された場合に、棚板510の位置替えを実行する。
【0178】
このような構成によれば、パレット410が載置されたままの棚板510に対して、ロボット21による位置替えが実行されることを防止できる。
【0179】
また、パレットストッカ31は、位置替えが不可である固定式棚板515をさらに有する。このような構成によれば、固定式棚板515の上方に隣り合って配置された棚板510の位置替えを実行することによって、固定式棚板515に載置可能なワークの最大高さも調整することができる。
【0180】
本実施の形態における搬送システム100の制御方法は、複数の支持部560のうちの第1支持部560Aから第2支持部560Bへの棚板510の位置替えの指令を受け付けるステップ(S101)と、その指令に応じて、棚板510をマスターハンド210により把持しつつ、第1支持部560Aから第2支持部560Bに移動させるように、ロボット21を制御するステップ(S107)とを備える。
【0181】
本実施の形態におけるプログラムは、搬送システム100を制御するためのコンピュータにより実行されるプログラムである。プログラムは、コンピュータに、複数の支持部560のうちの第1支持部560Aから第2支持部560Bへの棚板510の位置替えの指令を受け付けるステップ(S101)と、その指令に応じて、棚板510をマスターハンド210により把持しつつ、第1支持部560Aから第2支持部560Bに移動させるように、ロボット21を制御するステップ(S107)とを実行させる。
【0182】
このような構成によれば、ロボット21を用いることによって、パレットストッカ31における棚板510の位置替えを自動化することができる。これにより、ロボット21の用途を増やして、搬送システム100における自動化の範囲を広げることができる。
【0183】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0184】
10,10S,10T 工作機械、12 加工エリア、14 カバー体、16 開口部、18 操作盤、21 ロボット、22 ロボットベース、23 駆動用サーボモータ、26 基台部、27 第1アーム、28 第2アーム、29 ハンド取り付け部、31,31S,31T パレットストッカ、51 搬送用操作盤、56,56h,56i,56j,56k 柵、61,61S,61T 段取りステーション、71 ワークストッカ、81 ハンドストッカ、100 搬送システム、101 旋回中心軸、102,103,105 回動中心軸、104,106 回転中心軸、113 空間、120 把持部、120A 第1把持部、120B 第2把持部、120C 第3把持部、120D 第4把持部、121 溝部、126,231 中心軸、210 マスターハンド、220 クランプ機構、221 グリップ挿入孔、226 ピストン、227 突起部、230 センサ、310 ワーク用ハンド、320 把持爪、330 ピストンシリンダ、340 サーボモータ、410 パレット、510 棚板、515 固定式棚板、520,520p,520q,520r パレット支持部、525 テーパコーン受け部、531 横フレーム、532 縦フレーム、533 ピン孔、550 フレーム体、551 柱、560 支持部、560A 第1支持部、560B 第2支持部、561 プレート、610 制御装置、620 ロボット制御部、621 プログラム記憶部、622 プログラム解析部、623 軸制御部、624 ハンド制御部、625 パラメータ記憶部、630 入出力装置、641,641P 動作プログラム、650 表示制御部、660 操作受け付け部、670 表示部、671 位置替え用画面、680 パレットストッカ画像部、681 第1操作部、682 第2操作部、691 第1位置表示部、692 第2位置表示部、693 第3操作部、710 ティーチング用ハンド、720 タッチプローブ、720g 接触子、PA 第1位置、PB 第2位置、PC 第3位置、W ワーク。
【要約】
【課題】自動化の範囲を広げることが可能な搬送システム、搬送システムの制御方法およびプログラム、を提供する。
【解決手段】搬送システムは、ハンド(210)を有するロボット(21)と、ワークを保持するためのパレット(410)を載置可能な棚板(510)と、各々が棚板(510)を支持可能であり、上下方向に間隔を開けて並ぶ複数の支持部(560)とを有し、パレット(410)を格納するためのパレットストッカ(31)と、複数の支持部(560)のうちの第1支持部(560A)から第2支持部(560B)への棚板(510)の位置替えの指令を受け付けた場合に、棚板(510)をハンド(210)により把持しつつ、第1支持部(560A)から第2支持部(560B)に移動させるように、ロボット(21)を制御するロボット制御部(620)とを備える。
【選択図】図24
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28