IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -測定システム及び遠心機 図1
  • -測定システム及び遠心機 図2
  • -測定システム及び遠心機 図3
  • -測定システム及び遠心機 図4
  • -測定システム及び遠心機 図5
  • -測定システム及び遠心機 図6
  • -測定システム及び遠心機 図7
  • -測定システム及び遠心機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】測定システム及び遠心機
(51)【国際特許分類】
   G01N 11/00 20060101AFI20250312BHJP
   G01N 21/25 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
G01N11/00 A
G01N11/00 C
G01N21/25
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020138249
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2021043188
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-05-05
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2019163458
(32)【優先日】2019-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393030408
【氏名又は名称】株式会社シンキー
(74)【代理人】
【識別番号】100196014
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 直紀
(72)【発明者】
【氏名】土橋 豊
(72)【発明者】
【氏名】野澤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝宣
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】瓦井 秀憲
【審判官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-522636(JP,A)
【文献】特開2017-109164(JP,A)
【文献】特開2017-176990(JP,A)
【文献】特開2017-192912(JP,A)
【文献】特開2016-159188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 11/00
G01N 21/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公転軸線を中心とした公転、及び自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行うことが可能な容器に収納され、蛍光する物質を含む被処理材料を照明可能な照明部と、
前記容器が、前記公転軸線を中心とした公転、及び前記自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行っている際に、前記被処理材料による蛍光が含む所定の波長成分の強度を測定する測定部と、
前記所定の波長成分の強度に応じて、前記被処理材料の撹拌状況を判断する処理部と、
を備える、測定システム。
【請求項2】
前記所定の波長成分は、第1の波長成分と第2の波長成分を含み構成され、前記測定部は、前記第1の波長成分の強度と、前記第2の波長成分の強度と個別に測定する、請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記処理部は、(i)前記第1の波長成分の強度、及び、前記第2の波長成分の強度の絶対値、(ii)前記第1の波長成分の強度、及び、前記第2の波長成分の強度の絶対値の時間変化、(iii)前記第1の波長成分の強度及び前記第2の波長成分の強度間の相対値、(iv)前記第1の波長成分の強度及び前記第2の波長成分の強度間の相対値の時間変化、のうち少なくとも1つに基づいて、前記被処理材料の撹拌状況を判断する、請求項に記載の測定システム。
【請求項4】
前記測定部は、前記容器の開放端を閉塞可能な蓋部に配置される、請求項1~の何れか一項に記載の測定システム。
【請求項5】
請求項1~の何れか一項に記載の測定システムと、
前記公転軸線を中心に回転可能な公転体と、
該公転体に保持されて、前記自転軸線を中心に回転可能な自転体と、
前記公転体と前記自転体との少なくとも一方に回転力を付与する駆動部と、
を備え、
前記自転体は、前記容器を保持する遠心機。
【請求項6】
公転軸線を中心とした公転、及び自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行うことが可能な容器に収納され、蛍光する物質を含む被処理材料を照明するステップと、
前記容器が、公転軸線を中心とした公転、及び自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行っている際に、前記被処理材料による蛍光が含む所定の波長成分の強度を測定するステップと、
前記所定の波長成分の強度に応じて、前記被処理材料の撹拌状況を判断するステップと、
を含む前記被処理材料の状態判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理材料に作用するせん断応力を測定する測定システム、及び該測定システムを備える遠心機に関する。
【背景技術】
【0002】
容器を公転させながら自転させることによって、当該容器に収納された被処理材料を処理する遠心機が知られている。この遠心機は、各種の用途に利用され、例えば、被処理材料の撹拌処理と脱泡処理とを同時に行う撹拌・脱泡装置として利用される(特許文献1)。また、この遠心機は、被処理材料を粉砕するボールミルとしても利用される(特許文献2参照)。さらに、この遠心機は、被処理材料を乳化する乳化装置等としても利用される(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4084493号公報
【文献】特開2002-143706号公報
【文献】特開2010-194470号公報
【文献】特開2013-244475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような遠心機に対しては、ユーザから、処理中の被処理材料の状態を知るための機構の搭載を求められることがある。このような要求に応えるためか、例えば、特許文献4には、処理中の被処理材料の温度情報を得るための機構が開示されている。しかしながら、ユーザからは、処理中の被処理材料の他の情報も知りたいという要望が寄せられている。このような情報を知る方法として、処理中の被処理材料に作用するせん断応力等を測定することが考えられるが、従来そのような測定を行うことは困難とされている。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みなされたものである。その目的は、遠心機による処理中の被処理材料に作用するせん断応力等を測定するための測定システム、及び該測定システムを備える遠心機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0007】
すなわち、ある観点に従う発明は、公転軸線を中心とした公転、及び自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行うことが可能な容器に収納された被処理材料を照明可能な照明部と、前記容器が、前記公転軸線を中心とした公転、及び前記自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行っている際に、前記被処理材料による反射光、及び/又は、前記被処理材料による蛍光が含む所定の波長成分の強度を測定する測定部と、前記所定の波長成分の強度に応じて、前記被処理材料の状態を判断する処理部と、を備える、測定システムである。
【0008】
また、前記所定の波長成分は、第1の波長成分と第2の波長成分を含み構成され、前記測定部は、前記第1の波長成分の強度と、前記第2の波長成分の強度と個別に測定し得る。
【0009】
また、前記処理部は、(i)前記第1の波長成分の強度、及び、前記第2の波長成分の強度の絶対値、(ii)前記第1の波長成分の強度、及び、前記第2の波長成分の強度の絶対値の時間変化、(iii)前記第1の波長成分の強度及び前記第2の波長成分の強度間の相対値、(iv)前記第1の波長成分の強度及び前記第2の波長成分の強度間の相対値の時間変化、のうち少なくとも1つに基づいて、前記被処理材料の状態を判断し得る。
【0010】
また、前記測定部は、前記容器の開放端を閉塞可能な蓋部に配置され得る。
【0011】
また、前記照明部は、前記蓋部に配置され得る。
【0012】
また、ある観点に従う発明は、上記何れかに記載の測定システムと、前記公転軸線を中心に回転可能な公転体と、該公転体に保持されて、前記自転軸線を中心に回転可能な自転体と、前記公転体と前記自転体との少なくとも一方に回転力を付与する駆動部と、を備え、前記自転体は、前記容器を保持する遠心機である。
【0013】
また、ある観点に従う発明は、公転軸線を中心とした公転、及び自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行うことが可能な容器に収納された被処理材料を照明するステップと、前記容器が、公転軸線を中心とした公転、及び自転軸線を中心とした自転のうち、少なくとも一方を行っている際に、前記被処理材料による反射光、及び/又は、前記被処理材料による蛍光が含む所定の波長成分の強度を測定するステップと、前記所定の波長成分の強度に応じて、前記被処理材料の状態を判断するステップと、を含む前記被処理材料の状態判断方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、遠心機による処理中の被処理材料に作用するせん断応力等を測定するための測定システム、及び該測定システムを備える遠心機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る遠心機の概略構成を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る測定システムの概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る測定システムのブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る測定システムの概略断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る測定システムの概略断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る測定システムの概略断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る測定システムの概略断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る測定システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。なお、本発明は、各数値を実質的に判断する。例えば、第1の数値と第2の数値とが等しいという場合において、本発明では、両者の値が数学的に厳密に等しい場合に発揮される効果と同等の効果を発揮するのであれば、両者の値に差があったとしても、両者の値が等しいとして取り扱う。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る遠心機の概略構成を示す断面図である。同図に示すように、遠心機1は、公転体10と、自転体20と、支持基板30と、駆動部40と、制御部50とを含み構成される。その他、遠心機1は、図示しないバランスウエイト等を含み構成される。
【0018】
公転体10は、軸部11と、第1アーム12と、第2アーム13とを含み構成される。公転体10は、軸部11を支持基板30に回転可能に支持されて、駆動部40により、仮想の直線である公転軸線L1を中心に回転させられる。
【0019】
第1アーム12は、公転軸線L1に直交する第1の方向に延びて、途中で屈曲するように構成され、自転体20を取り付けられる。第2アーム13は、第1の方向と反対方向である第2の方向に延びて、公転体10の回転時のバランスを取り、静寂性等を向上させるための上記バランスウエイトを取り付けられる。
【0020】
自転体20は、軸部21及びホルダ部22を含み構成される。自転体20は、軸部21を、公転体10の第1アーム12の屈曲した部分より先端側に回転可能に保持されて、駆動部40により、仮想の直線である自転軸線L2を中心に回転させられる。なお、上述の配置に基づき、自転軸線L2は、公転軸線L1に対して所定の傾斜角度を有する。
【0021】
ホルダ部22は、有底筒状に構成されて、軸部21と反対の端面が開口している。ホルダ部22は、当該開口した部分より、図2に示す容器110を底部より受け入れて保持する。
【0022】
駆動部40は、例えば、モータ、並びに、該モータで生成された回転力を軸部11及び軸部21に伝達するギヤ、プーリー、及びベルト等を含み構成される。制御部50は、駆動部40の動作を制御すること等、遠心機1全体の動作を制御するものである。
【0023】
以上のように構成される遠心機1は、被処理材料Mを収納した容器110を自転体20のホルダ部22に保持した状態で、公転軸線L1を中心に公転体10を回転させつつ、自転軸線L2を中心に自転体20を回転させる。これにより、容器110が、公転軸線L1を中心に公転しつつ、自転軸線L2を中心に自転するので、該容器110に収納されている被処理材料Mが処理される(なお、遠心機1では、公転軸線L1を中心に公転体10を回転させることと、自転軸線L2を中心に自転体20を回転させることとのうち、何れか一方のみを行うことも可能であり、この場合においても、自転体20に搭載された容器110に収納されている被処理材料Mを処理することが可能である)。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る測定システムを示す概略断面図である。同図に示すように、測定システム100は、容器110と、測定部120とを含み構成される。その他、測定システム100は、図3に示す各構成等を含む。
【0025】
容器110は、一方向に開口した有底筒状に形成されており、被処理材料Mを収納する。容器110は、一般的に有底円筒形状であり、図示しない蓋部が開口部に取り付けられるように構成してもよい。容器110は、その中心を通る仮想の直線である中心線CLが、自転軸線L2と重なるように図1に示すホルダ部22に搭載される(この際、容器110は、図示しないアダプタを介してホルダ部22に搭載されてよい。)。
【0026】
測定部120は、容器110に設けられ、少なくとも、被処理材料Mに作用するせん断応力を検知する検知面122が、容器110に収納された被処理材料Mに(直接)当接可能に配置される。つまり、測定部120は、検知面122が容器110の内部空間側に露出するように配置される。
【0027】
また、測定部120は、容器110の底部112及び側壁部114のうち、少なくとも一方に設けられる(図2は、測定部120が、底部112及び側壁部114に設けられる場合を示している。)。そして、測定部120は、底部112及び側壁部114のうち、少なくとも一方に複数設けられてもよい。このように、測定部120が底部112及び/又は側壁部114に複数設けられる場合において、測定部120の検知面122は、容器110の中心線CL上に中心をおき、該中心線CLに対し垂直な仮想平面上に位置する仮想の円周上に配置されることが好ましい。このように配置されることにより、容器110を自転体20のホルダ部22に保持させた際、自転軸線L2に対して一定の距離に検知面122を配置することができ、測定部120を用いた測定を安定して行うことができる。
【0028】
また、測定部120の検知面122は、容器110で処理される被処理材料Mの量によっては(具体的には、被処理材料Mの量が多い場合)、容器110の底部112の中心Cに設けられることも想定され得る。ただし、一般的に、検知面122(測定部120)は、容器110の角部116(なお、角部116とは、容器110の底部112と側壁部114とが接する部分である。)の近傍に配置されることが好ましい。これは、図1に示すように、容器110は、公転軸線L1に対し傾斜した自転軸線L2を中心に回転(自転)させられるものであり、このことに起因して、容器110に収納された被処理材料Mは、処理中において容器110の角部116付近に集められるためである。つまり、検知面122(測定部120)を、容器110の角部116の近傍に配置することで、測定部120を用いた測定を安定して行うことができる。
【0029】
なお、具体的には、測定部120が、底部112に設けられる場合において、検知面122は、底部112の中心Cより角部116に近い位置に配置される。また、測定部120が、側壁部114に配置される場合において、検知面122は、側壁部114の開放端118より角部116に近い位置に配置される。
【0030】
ここで、測定部120は、検知面122において、上述したように、被処理材料Mに作用するせん断応力を検知して測定する。また、測定部120は、検知面122において、被処理材料Mに作用する圧力や、被処理材料Mの温度等も検知して測定してよい。なお、本願でいう、被処理材料Mに作用するせん断応力とは、検知面122と平行な方向へ、該検知面122に対して滑らせるように被処理材料Mに作用する力である。また、本願でいう、被処理材料Mに作用する圧力とは、検知面122と垂直、かつ、該検知面122に対して向かう方向へ被処理材料Mに作用する力である。
【0031】
被処理材料Mは、流体として挙動するものであればよく、その組成や用途を特に限定されない。被処理材料Mとしては、流体成分(樹脂等)のみを含む材料や、流体成分のほかに粒状成分(粉状成分)を含む材料等を適用できる。例えば、被処理材料Mとしては、接着剤、シーラント剤、液晶材料、LEDの蛍光体と樹脂とを含む混合材料、半田ペースト、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、液状の薬剤等の材料を適用できる。また、被処理材料Mとしては、粒状(粉状)材料と、これを粉砕するためのメディア(例えばジルコニアボール)を適用することも可能である。あるいは、被処理材料Mとして、乳化処理の対象となる流体を適用することも可能である。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係る測定システムのブロック図である。同図に示すように、測定システム100は、第1部分200と、第2部分300とを含み構成される。
【0033】
第1部分200は、上述した容器110と、測定部120とを含み構成される。その他、第1部分200は、第1通信部202と、電源部204とを含み構成される。また、第1部分200は、図示しない処理部、及び記憶部等を含んでよい。
【0034】
第1通信部202は、測定部120で測定した各情報(具体的には、被処理材料Mに作用するせん断応力、圧力、及び、被処理材料Mの温度等)を受け取って、無線通信回線を利用して、当該情報を送信する(なお、本願においては、可視光通信回線、赤外線通信回線等も無線通信回線に含む。)。無線通信回線としては、公知の無線通信回線を利用することができる。なお、第1通信部202は、無線通信回線を利用して、後述する第2通信部302から送信された所定の情報を受け取るように構成してもよい。
【0035】
電源部204は、測定部120及び第1通信部202等に電源供給できるように構成される。例えば、電源部204は、電池を利用したものであってよい。
【0036】
なお、第1通信部202、電源部204、処理部、及び記憶部等は、容器110に設けられてよく、その他、容器110に取り付けられる蓋部、ホルダ部22、及び容器110をホルダ部22に搭載するために用いられる図示しないアダプタ等に設けられてもよい。
【0037】
第2部分300は、本願発明でいう算出部に対応する構成であり、第2通信部302と、処理部304と、入力部306(例えば、キーボード等のユーザインターフェース)と、出力部308(例えば、ディスプレイやプリンタ等)とを含み構成される。なお、第2部分300は、図示しない記憶部、電源部等を含んでよく、例えば、ノートパソコン、タブレット端末、スマートホン等により構成し得る。また、第2部分300は、遠心機1に組み込まれるものとして構成してもよい。
【0038】
第2通信部302は、第1通信部202により送信された情報を受信する。なお、第2通信部302は、無線通信回線を利用して、所定の情報を送信できるように構成してもよい。
【0039】
処理部304は、第2通信部302から情報を受け取り、所定の処理を行う。例えば、処理部304は、受け取った情報である被処理材料Mに作用するせん断応力、圧力、及び、被処理材料Mの温度等を出力部308に出力してよい。
【0040】
また、処理部304は、受け取った情報に基づき、被処理材料Mの粘度を算出してもよい。例えば、処理部304は、数式(1)を使用して被処理材料Mの粘度を算出する。
【0041】
【数1】
【0042】
上式において、τ[Pa]は、被処理材料Mに作用するせん断応力(測定部120で測定したせん断応力)である。Pv[W/m]は、撹拌動力である。μ[Pa・s]は、被処理材料Mの粘度である。
【0043】
ここで、撹拌動力は、任意の方法を用いて求めてよいが、例えば、数式(2)を使用して求めてよい。
【0044】
【数2】
【0045】
上式において、ρは被処理材料Mの密度[kg/m]である。hは被処理材料Mの投入高さ[m]である(図2参照)。rは容器110の半径[m]である(図2参照)。ωは自転角速度[rad/s]である(図1参照)。Rは公転半径[m]である(図1参照)。Ωは公転角速度[rad/s]である(図1参照)。また、k、a、b、c、d、e、f、及びgは係数であり、例えば、0<k<1、0<a<1、-1<b<0、0<c<1、0<d<1、-2≦e≦2(但し、e≠0)、0<f<1、0<g≦2とすることができる。なお、数式(2)にも、被処理材料Mの粘度は含まれているが、該被処理材料Mの粘度が未知のままの数式(2)を数式(1)に代入して計算を行い、当該被処理材料Mの粘度を求めるは可能である。
【0046】
また、撹拌動力は、遠心機1の公転体10及び自転体20を回転させるための駆動部40の消費電力[W]に基づいて求めてよい。その他、撹拌動力は、被処理材料Mの温度上昇[℃/s](なお、当該温度上昇は、測定部120により測定した被処理材料Mの温度に基づくものであって良い。)や、遠心機1に図示しないトルク計を組み込み、該トルク計により測定した自転体20の回転トルク[N・m]に基づき求めてもよい。
【0047】
また、処理部304は、算出した被処理材料Mの粘度に基づいて、被処理材料Mの平均せん断速度を求めてもよい。例えば、処理部304は、数式(3)を用いて被処理材料Mの平均せん断速度を求めてもよい。
【0048】
【数3】
【0049】
上式において、γavは被処理材料Mの平均せん断速度[1/s]である。
【0050】
なお、処理部304は、算出した、被処理材料Mの粘度や平均せん断速度を、出力部308に出力してよい。また、処理部304は、受け取った情報である被処理材料Mに作用するせん断応力、圧力、及び、被処理材料Mの温度や、算出した被処理材料Mの粘度及び/又は平均せん断速度に基づいて、遠心機1の制御(例えば、公転体10や自転体20の回転速度の制御、遠心機1のエラー検出等)を行ってもよい。なお、遠心機1の制御を行う場合において、第2部分300は、遠心機1に指示するため、第2通信部302を利用してよく、また、図示しない別途の通信部を利用してもよい(これらの場合において、遠心機1は、第2部分300からの指示を制御部50で受け付けて、該制御部50により駆動部40の制御等を行う。)。
【0051】
以上のように、測定システム100では、遠心機1における処理中の被処理材料Mに作用するせん断応力を測定できる。また、測定システム100は、被処理材料Mに作用する圧力や、被処理材料Mの温度を測定することも可能である。さらに、これらに基づいて、遠心機1における処理中の被処理材料Mの粘度や平均せん断速度を算出することもできる。これらの情報は、出力部308を介して、ユーザに示すことができ、また、遠心機1の制御にも利用でき得る。したがって、遠心機1のユーザに対し、処理中の被処理材料Mの状態(種々の情報)を提示できる等、多くの利便性を提供できる。
【0052】
なお、上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0053】
例えば、測定システムは、図4のように構成してもよい。同図に示すように、測定システム400は、被覆部402を含む点で測定システム100と異なる。
【0054】
被覆部402は、測定部120を覆うものであり、図示するように容器110の底部112及び/又は側壁部114を利用して構成してよい。この場合において、被覆部402とされる底部112又は側壁部114は、遠心機1による処理中の被処理材料Mに作用するせん断応力や圧力により変形可能に構成されている。例えば、被覆部402とされる底部112又は側壁部114は、底部112又は側壁部114の他の部分と比べて薄く構成されてよい。このようにすることで、遠心機1による処理中の被処理材料Mに作用するせん断応力や圧力を、被覆部402を介して、検知面122(測定部120)で測定することが可能となる。このように構成することは、測定部120に被処理材料Mに対する耐性がない場合に特に有効になる。
【0055】
また、被覆部402は、測定部120を覆うように、容器110の底部112又は側壁部114の内面に設けられる(貼り付けられる)図示しない部材として構成してもよく、また、図5に示すような、容器110の内部に挿入される第2容器404として構成してもよい。このような容器110の底部112又は側壁部114の内面に設けられる部材、及び、第2容器404は、上述のように、遠心機1による処理中の被処理材料Mに作用するせん断応力や圧力により変形可能に構成される。具体的には、容器110の底部112又は側壁部114の内面に設けられる部材、及び、第2容器404は、ゴム等の柔軟性を有する材料により構成してよく、当該材料は、被処理材料Mに対する耐性があるものとされる。
【0056】
なお、被覆部402は、測定部120による測定に及ぼす影響を低減するため、遠心機1による処理中の被処理材料Mに作用するせん断応力や圧力により、できるだけ容易に変形するように構成することが好ましい。加えて、測定部120におり被処理材料Mの温度も測定する場合において、被覆部402は、被処理材料Mの温度を測定部120に伝達できるよう、できるだけ熱抵抗が小さくなるように構成することが好ましい。例えば、被覆部402をできるだけ薄くすることで、これらのことを実現することができる。
【0057】
また、測定システムは、図6のように構成してもよい。同図に示すように、測定システム500は、角部502を含む点で測定システム100と異なる。
【0058】
角部502は、容器110の底部112と側壁部114とが接する部分(より厳密には、底部112と側壁部114とをつなぐ部分)であり、傾斜面とされる。角部502は、図示するように、容器110の断面において、底部112と側壁部114とを直線でつなぐものであってよく、また、底部112と側壁部114とを曲線を含みつなぐものであってもよい。このように構成される角部502は、実質的に、底部112として取り扱うことができ、また、側壁部114としても取り扱うことができる。そして、測定システム500では、検知面122(測定部120)が、角部502に配置される。
【0059】
ここで、上記のように、容器110は、公転軸線L1に対し傾斜した自転軸線L2を中心に回転(自転)させられるものであり、このことに起因して、容器110に収納された被処理材料Mは、処理中において容器110の角部502近傍に集められる。このことから、測定システム500では、遠心機1における処理中の被処理材料Mに作用するせん断応力等をより確実に測定できる。
【0060】
(他の実施形態)
処理中の被処理材料Mの状態を知るための他の機構として、測定システム700を用いることができる。図7は、測定システム700を示す概略断面図である。測定システム700は、蓋部710と、測定部720と、照明部722とを含み構成される。なお、以下において、上述した構成と共通する符号を付された構成は、特に説明しない限り、共通する機能を有する。
【0061】
蓋部710は、容器110の開放端118を閉塞するものであり、容器110に対し着脱可能に構成される。
測定部720は、容器110に収納された被処理材料Mに反射された光を受光可能な状態で蓋部710に配置される。例えば、測定部720は、蓋部710の容器110の内部側に向く面に配置される。測定部720は、受光した光が含む所定の波長成分(波長域)の強度を測定する。測定部720が測定する波長成分は、1つであって良く、複数であってもよい。例えば、測定部720は、受光した光が含む赤色成分の強度、緑色成分の強度、及び青色成分の強度を測定する。
【0062】
照明部722は、容器110に収納された被処理材料Mを照明可能に蓋部710に配置される。例えば、照明部722は、蓋部710の容器110の内部側に向く面に配置される。照明部722は、通常、可視光を発光するものであり、例えば、白色光を発するLEDであって良い。その他、照明部722は、特定波長域のみの可視光を発光するものであってもよい。
【0063】
図8は、測定システム700を示すブロック図である。同図に示すように、測定システム700は、第1部分800と、第2部分300とを含み構成される。
第1部分800は、上述した蓋部710と、測定部720と、照明部722とを含み構成される。その他、第1部分800は、第1通信部202と、電源部204とを含み構成される。また、第1部分800は、図示しない処理部、及び記憶部等を含んでよい。
【0064】
以上のように構成される測定システム700は、遠心機1における処理中の被処理材料Mの状態を判断できる。具体的には、測定システム700では、照明部722により被処理材料Mを照明し、被処理材料Mに反射された光(被処理材料Mによる反射光)を測定部720で受光する。測定部720は、受光した光が含む所定の波長成分の強度、例えば、赤色成分の強度、緑色成分の強度、及び青色成分の強度を測定する。第1通信部202は、測定部720で測定した各情報(具体的には、各波長成分の強度)を受け取って、無線通信回線を介して、当該情報を送信する。
【0065】
第2通信部302は、第1通信部202により送信された情報を受け取り、処理部304に出力する。処理部304は、第2通信部302から受け取った情報に基づき、被処理材料Mの状態を判断する。これは、被処理材料Mの中には、状態に応じて、色が変化するものや、光の反射率(反射量)が変化するもの等が存在ことに基づく。例えば、被処理材料Mが2液接着剤や2液シール材である場合、一般に、それらの主剤と硬化剤との色が異なることから、状態(撹拌状況)に応じて色が変化する。また、被処理材料Mが樹脂(特に高粘度の樹脂)である場合、脱泡状況に応じて泡による光の散乱が異なることから、状態(脱泡状況)に応じて光の反射量が変化する。さらに、被処理材料Mが、乳化液や懸濁化液である場合にも、処理の状態に応じて、色や光の反射量が変化する。これらのことから、処理部304は、被処理材料Mで反射された各波長成分の強度に基づいて、被処理材料Mの状態を判断できる。例えば、処理部304は、被処理材料Mの処理中において、(i)赤色成分の強度、緑色成分の強度、及び青色成分の強度のうち少なくとも2つの絶対値、(ii)赤色成分の強度、緑色成分の強度、及び青色成分の強度のうち少なくとも2つの絶対値の時間変化、(iii)赤色成分の強度、緑色成分の強度、及び青色成分の強度のうち少なくとも2つの間の相対値、(iv)赤色成分の強度、緑色成分の強度、及び青色成分の強度のうち少なくとも2つの間の相対値の時間変化、のうちの少なくとも1つに基づいて、被処理材料Mの状態を判断する。例えば、処理部304は、図示しない記憶部に記憶されている上記(i)~(iv)と、被処理材料Mの状態との関係を示すテーブルを参照することで、この判断を行う。また、処理部304が、機械学習を利用する等して、この判断を行うことも想定される。処理部304は、被処理材料Mの状態の判断結果を出力部308に出力し、及び/又は、当該被処理材料Mの処理状況の判断結果に応じて、遠心機1を制御する。なお、処理部304は、受け取った情報である各波長成分の強度を出力部308に出力してもよい。
【0066】
以上のように、測定システム700は、遠心機1による処理中の被処理材料Mの情報(状態)をユーザに提供できると共に、当該情報に基づく遠心機1の制御も可能とし、よって、遠心機1のユーザに対し多くの利便性を提供できる。
【0067】
なお、測定部720は、容器110に収納された被処理材料Mに反射された光を受光可能であることを条件に、また、照明部722は、容器110に収納された被処理材料Mを照明可能であることを条件に、蓋部710以外に配置することも想定される。例えば、当該条件を満たしたうえで、測定部720及び照明部722は、ホルダ部22の図示しない蓋部に配置してもよい。
また、測定部720が、1つの波長成分のみを測定する場合において、処理部304は、被処理材料Mの処理中において、当該1つの波長成分の強度の絶対値、及び/又は、その時間変化に基づいて被処理材料Mの状態を判断してよい。
【0068】
また、照明部722は、可視光に加えて、又は、可視光を発光することなく、紫外光や赤外光を発光するものとすることも想定される。この場合において、測定部720は、被処理材料Mによる蛍光も受光し、受光した光に含まれる被処理材料Mによる蛍光を含む波長成分の強度を測定する。これは、被処理材料Mの中には、蛍光するものも存在することに基づく。例えば、被処理材料Mに含まれている所定の物質が蛍光する場合において、当該被処理材料Mの状態(撹拌状況)により、当該所定の物質の分布が変化する結果、蛍光強度が変化する(具体例として、被処理材料M中で、当該所定の物質が偏在していると蛍光強度は不安定となるが、被処理材料Mの処理が進むことで、当該所定の物質が被処理材料M中で一様に分布するため、蛍光強度は一定化する。)。このことから、処理部304は、被処理材料Mの処理中において、被処理材料Mによる蛍光を含む波長成分の強度の絶対値、及び/又は、蛍光を含む波長成分の強度の時間変化に基づいて被処理材料Mの状態を判断できる。なお、測定部720が、受光した光に含まれる被処理材料Mによる蛍光を含む波長成分の強度を複数測定する(例えば、被処理材料Mによる蛍光を含む第1の波長成分の強度と、被処理材料Mによる蛍光を含む第2の波長成分の強度を測定する)ことも想定され、この場合において、処理部304は、被処理材料Mの処理中において、(i)被処理材料Mによる蛍光を含む波長成分の強度のうち少なくとも2つの絶対値、(ii)被処理材料Mによる蛍光を含む波長成分の強度のうち少なくとも2つの絶対値の時間変化、(iii)被処理材料Mによる蛍光を含む波長成分の強度のうち少なくとも2つの間の相対値、(iv)被処理材料Mによる蛍光を含む波長成分の強度のうち少なくとも2つの間の相対値の時間変化、のうちの少なくとも1つに基づいて、被処理材料Mの状態を判断する。処理部304は、上述した被処理材料Mによる反射光に基づき判断する場合と同様に、テーブルを参照したり、機械学習を利用したりする等して、この判断を行ってよい。
【0069】
また、上述した処理部304により行われる処理は、第1部分800に設ける図示しない処理部において行うことも想定される。この場合、当該処理部は、測定部720で測定した各情報を受け取って、上記同様の処理を行い、第1通信部202に出力する。
【0070】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、自転公転式の遠心機の分野に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1:遠心機、10:公転体、11:軸部、12:第1アーム、13:第2アーム、20:自転体、21:軸部、22:ホルダ部、30:支持基板、100:測定システム、110:容器、112:底部、114:側壁部、116:角部、118:開放端、120:測定部、122:検知面、200:第1部分、202:第1通信部、204:電源部、300:第2部分、302:第2通信部、304:処理部、306:入力部、308:出力部、400:測定システム、402:被覆部、404:第2容器、500:測定システム、502:角部、700:測定システム、710:蓋部、720:測定部、722:照明部、800:第1部分、C:中心、CL:中心線、L1:公転軸線、L2:自転軸線、M:被処理材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8