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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】流路切り替え装置
(51)【国際特許分類】
   F17D 3/03 20060101AFI20250312BHJP
【FI】
F17D3/03
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021072157
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166751
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304007732
【氏名又は名称】株式会社日阪プロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】小石 茂喜
(72)【発明者】
【氏名】鵜川 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】原 真一
(72)【発明者】
【氏名】今野 学
(72)【発明者】
【氏名】箭内 寿之
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-190310(JP,A)
【文献】特開2004-261019(JP,A)
【文献】特開2010-007842(JP,A)
【文献】特開平10-278997(JP,A)
【文献】特開2015-174692(JP,A)
【文献】特開2002-336677(JP,A)
【文献】特表平10-511329(JP,A)
【文献】中国実用新案第210304932(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105042113(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0138720(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102121569(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106629552(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0027273(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17D
F16L
F16K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に設けられた上位配管に接続されるとともに下方に向けて開口する第1液口が形成された第1管路と、下方に設けられた下位配管に接続されるとともに上方に向けて開口する第2液口が形成された第2管路と、上記第1管路の第1液口と第2管路の第2液口との間に設けられた第3管路とを備え、
上記第1管路および/または第2管路に液体を流通させるか、または第1管路から第3管路を介して第2管路に液体を流通させるように切り替える弁機構を備えた流路切り替え装置において、
上記第3管路における上記第1液口に隣接した位置に上記第2管路から第3管路に流通させた洗浄液を排出するための第1ドレン口を設けるとともに、上記第2液口に隣接した位置に上記第1管路から第3管路に流通させた洗浄液を排出するための第2ドレン口を設け、
上記弁機構は、上記第1液口を開閉する第1バルブと、上記第2液口を開閉する第2バルブと、上記第1ドレン口を開閉する第1ドレンバルブと、上記第2ドレン口を開閉する第2ドレンバルブとを備えることを特徴とする流路切り替え装置
【請求項2】
上方に設けられた上位配管に接続されるとともに下方に向けて開口する第1液口が形成された第1管路と、下方に設けられた下位配管に接続されるとともに上方に向けて開口する第2液口が形成された第2管路と、上記第1管路の第1液口と第2管路の第2液口との間に設けられた第3管路とを備え、
上記第1管路および/または第2管路に液体を流通させるか、または第1管路から第3管路を介して第2管路に液体を流通させるように切り替える弁機構を備えた流路切り替え装置において、
上記第3管路における上記第1液口に隣接した位置に第1ドレン口を設けるとともに、上記第2液口に隣接した位置に第2ドレン口を設け、
上記弁機構は、上記第1液口を開閉する第1バルブと、上記第2液口を開閉する第2バルブと、上記第1ドレン口を開閉する第1ドレンバルブと、上記第2ドレン口を開閉する第2ドレンバルブとを備え、
上記第3管路における上記第1ドレン口と第2ドレン口との間に、当該第3管路を開閉する開閉弁を設けたことを特徴とする流路切り替え装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流路切り替え装置に関し、上方の第1管路と下方の第2管路との間に第3管路を備え、弁機構によって流路の切り替えを行う流路切り替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製薬等の分野において、薬剤の原液を収容する複数の供給タンクと、上記原液を複数種類混合して薬剤を調製する複数の調製タンクとの間に、複数の配管および流路切り替え装置としてのインターフェイスバルブを設けたライン切替システムが知られている(特許文献1)。
上記特許文献1のライン切替システムでは、例えば第1供給タンクから第1調製タンクに対して第1原液を送液しながら、第2供給タンクから第2調製タンクに対して第2原液を送液することが可能となっている。
また上記ライン切替システムを構成するインターフェイスバルブは、上方に設けられた上位配管に接続されるとともに下方に向けて開口する第1液口が形成された第1管路と、下方に設けられた下位配管に接続されるとともに上方に向けて開口する第2液口が形成された第2管路と、上記第1管路の第1液口と第2管路の第2液口との間に設けられた第3管路とを備えており、上記第1管路および/または第2管路に液体を流通させるか、または第1管路から第3管路を介して第2管路に流路を切り替える弁機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5255478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記ライン切替システムでは、上記配管および流路切り替え装置としてのインターフェイスバルブの各管路に原液を流通させた後、滅菌媒体や洗浄媒体を流通させて当該管路の洗浄や滅菌を行う必要がある。
しかしながら、上記特許文献1に記載されたライン切替システムのインターフェイスバルブの構成では、例えば上位配管に接続された第1管路に原液を流通させている状態では、下位配管に接続された上記第2管路の洗浄や滅菌を行うことができない。
つまり、第2管路を洗浄するためには上記第2液口を閉鎖している弁機構の洗浄も行わなければならないが、特許文献1の構成の場合、第2液口を開放しても第3液菅に空気溜まりができて洗浄液を流通させることができず、洗浄を十分に行うことができなかったり、流通する洗浄液の圧力によって第1液口を閉鎖している弁に隙間が生じてしまい、第1管路を流れる原液にコンタミネーションが生じたりするおそれがあった。
このため特許文献1のライン切替システムでは、上記供給タンクから調製タンクへの原液の送液が全て終了した後でなければ洗浄や滅菌を行うことができず、非効率的なものとなっていた。
このような問題に鑑み、本発明は第1、第2管路の一方に流体を流通させた状態であっても、他方の管路の洗浄や滅菌を行うことが可能な流路切り替え装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、請求項1に記載した本発明は、上方に設けられた上位配管に接続されるとともに下方に向けて開口する第1液口が形成された第1管路と、下方に設けられた下位配管に接続されるとともに上方に向けて開口する第2液口が形成された第2管路と、上記第1管路の第1液口と第2管路の第2液口との間に設けられた第3管路とを備え、
上記第1管路および/または第2管路に液体を流通させるか、または第1管路から第3管路を介して第2管路に液体を流通させるように切り替える弁機構を備えた流路切り替え装置において、
上記第3管路における上記第1液口に隣接した位置に上記第2管路から第3管路に流通させた洗浄液を排出するための第1ドレン口を設けるとともに、上記第2液口に隣接した位置に上記第1管路から第3管路に流通させた洗浄液を排出するための第2ドレン口を設け、
上記弁機構は、上記第1液口を開閉する第1バルブと、上記第2液口を開閉する第2バルブと、上記第1ドレン口を開閉する第1ドレンバルブと、上記第2ドレン口を開閉する第2ドレンバルブとを備えることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載した本発明は、上方に設けられた上位配管に接続されるとともに下方に向けて開口する第1液口が形成された第1管路と、下方に設けられた下位配管に接続されるとともに上方に向けて開口する第2液口が形成された第2管路と、上記第1管路の第1液口と第2管路の第2液口との間に設けられた第3管路とを備え、
上記第1管路および/または第2管路に液体を流通させるか、または第1管路から第3管路を介して第2管路に液体を流通させるように切り替える弁機構を備えた流路切り替え装置において、
上記第3管路における上記第1液口に隣接した位置に第1ドレン口を設けるとともに、上記第2液口に隣接した位置に第2ドレン口を設け、
上記弁機構は、上記第1液口を開閉する第1バルブと、上記第2液口を開閉する第2バルブと、上記第1ドレン口を開閉する第1ドレンバルブと、上記第2ドレン口を開閉する第2ドレンバルブとを備え、
上記第3管路における上記第1ドレン口と第2ドレン口との間に、当該第3管路を開閉する開閉弁を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の流路切り替え装置によれば、第3管路に第1、第2ドレン口を設けたことで、例えば第1管路に原液を流通させている状態であっても、上記第2管路の洗浄や滅菌を行うことが可能となる。
つまり、第2管路の第2液口を開放し、さらに第3管路の第1ドレン口を開放することで、第2液口より第3管路に流入した洗浄媒体や滅菌媒体によって第2液口および第2バルブを洗浄または滅菌することができる。
その際、第3管路における第1ドレン口を第1管路に近接した位置に設けているため、第3管路に液体を流通させた後に第1ドレン口を閉鎖した場合であっても、当該第1ドレン口と上記第1液口との間に液体が滞留しないようにすることができ、いわゆるデッドレグを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施例における調剤システムについての配管図
図2】第1実施例におけるインターフェイスバルブの断面図
図3】第1実施例における3-2インターフェイスバルブの動作を説明する図
図4】第1実施例における3-2インターフェイスバルブの洗浄および滅菌動作を説明する図
図5】第2実施例における3-2インターフェイスバルブの動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について説明すると、図1はライン切替システムとしての調剤システム1の配管図を示し、液体からなる医薬品の原料を収容した第1~第3供給タンク2a~2cから、第1~第4調製タンク3a~3dに対して原液を送液し、第1~第4調製タンク3a~3dで複数の原液を混合させて薬剤を調製するものとなっている。
そして上記第1~第3供給タンク2a~2cと上記第1~第4調製タンク3a~3dとの間には、上記第1~第3供給タンク2a~2cに接続された第1~第3上位配管4a~4cと、上記第1~第4調製タンク3a~3dに接続された第1~第4下位配管5a~5dと、これら第1~第3上位配管4a~4cと第1~第4下位配管5a~5dとが交差する位置に設けられた本発明にかかる流路切り替え装置としてのインターフェイスバルブ6とが設けられている。
また本実施例の調剤システム1では、上記原液の送液後に当該原液が流通した流路を洗浄媒体としての洗浄液によって洗浄するとともに、滅菌媒体としての過熱蒸気によって滅菌することが可能となっており、このため上記第1~第3上位配管4a~4cおよび第1~第4下位配管5a~5dに対して洗浄液および過熱蒸気(以下洗浄液等と呼ぶ)を供給する洗浄/滅菌媒体供給手段7を備えている。
また本実施例の調剤システム1は図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
【0009】
上記第1~第3供給タンク2a~2cにはそれぞれ異なる医薬品の原液が収容され、下端部には自重により原液を排出させるための排出口を備え、制御手段によって制御される開閉弁が設けられている。
上記第1~第3上位配管4a~4cは第1~第3供給タンク2a~2cの排出口にそれぞれに対応して接続されており、略水平、すなわち水平か、もしくは液体の流通方向下流側が若干下方に傾斜するように設けられている。なお本実施例では説明のため第1~第3上位配管4a~4cを同じ高さ位置に並行に設けたものとなっている。
【0010】
上記第1~第4調製タンク3a~3dには、第1~第3供給タンク2a~2cから供給された原液が流入するようになっており、内部でこれらの原液が混合されることで薬剤が調製されるようになっている。
上記第1~第4調製タンク3a~3dの上方には流入口が設けられ、流入口は上記第1~第3供給タンク2a~2cの排出口の位置よりも低い位置に設定されるとともに、各流入口には制御手段によって制御される開閉弁が設けられている。
第1~第4下位配管5a~5dは第1~第3上位配管4a~4cの下方となる位置に設けられており、また上記第1~第4調製タンク3a~3dの流入口にそれぞれ対応して接続され、略水平、すなわち水平か、もしくは液体の流通方向下流側が若干下方に傾斜するように設けられている。
【0011】
上記インターフェイスバルブ6は上記第1~第3上位配管4a~4cと第1~第4下位配管5a~5dとが交差する位置に設けられており、以下の説明では、各インターフェイスバルブ6を上位配管4と下位配管5とが交差する位置に基づいて命名するものとする。例えば、第1上位配管4aと第2下位配管5bとが交差する位置に設けられているインターフェイスバルブ6を、1-2インターフェイスバルブ6として命名する。
また本実施例の調剤システム1においては、第1~第3上位配管4a~4cにおける上記インターフェイスバルブ6の下流側に隣接した位置に、それぞれ制御手段によって制御される開閉弁8が設けられている。
各インターフェイスバルブ6の具体的な構成については後述するが、上記上位配管4と下位配管5とを連通させる第3管路23と、インターフェイスバルブ6内において液体の流路を切り替える弁機構とを備えている。
これにより、各インターフェイスバルブ6では、上記上位配管4および/または下位配管5に液体を流通させるか、または上位配管4から第3管路23を介して下位配管5に液体を流通させるように流路を切り替えるようになっている。
【0012】
上記洗浄/滅菌媒体供給手段7は、具体的な構成については説明を省略するが、洗浄液と過熱蒸気とを切り替えて供給可能な構成を有しており、第1~第3上位配管4a~4cに洗浄液等を流通させる上位側供給配管9と、第1~第4下位配管5a~5dに洗浄液等を流通させる下位側供給配管10とが接続されている。
上記上位側供給配管9は上記第1~第3上位配管4a~4cの上流端部分のそれぞれに接続されるように分岐して設けられており、各分岐位置にはそれぞれ制御手段によって開閉される開閉弁が設けられている。
上記下位側供給配管10は上位側供給配管9と同じ高さ位置に設けられており、上記第1~第4下位配管5a~5dの上流端部分の位置で下方に分岐して接続されている。また分岐位置にはそれぞれ制御手段によって開閉される開閉弁が設けられている。
また上記第1~第4下位配管5a~5dの下流端部分には、洗浄液等を回収するための第1~第4ドレンタンク11a~11dが設けられており、具体的には上記第1~第4調製タンク3a~3dの流入口に設けられた開閉弁の位置に設けられている。
ここで上記開閉弁は三方弁となっており、上記制御手段の制御によって流路を切り替えることで、原液を第1~第4調製タンク3a~3dに、洗浄液等を第1~第4ドレンタンク11a~11dに流入させるようになっている。
さらに、各インターフェイスバルブ6には、後述するように第3管路23に形成したドレン口Dより排出される洗浄液等を流通させるドレン配管12が接続され、当該ドレン配管12は洗浄液等を回収するための第5ドレンタンク11eに接続されている。
【0013】
次に、図2を用いてインターフェイスバルブ6について説明すると、インターフェイスバルブ6は、上記上位配管4に接続されるとともに下方に向けて開口する第1液口21aが形成された第1管路21と、上記下位配管5に接続されるとともに上方に向けて開口する第2液口22aが形成された第2管路22と、上記第1管路21の第1液口21aと第2管路22の第2液口22aとの間に設けられた上記第3管路23とを備えている。
上記第3管路23には、第1ドレン口Daおよび第2ドレン口Dbを設け、これら第1ドレン口Daおよび第2ドレン口Dbを制御手段によって制御される第1ドレンバルブDVaおよび第2ドレンバルブDVbによって開閉するように構成したものとなっている。
【0014】
上記第1管路21および当該第1管路21の第1液口21aを開閉する第1バルブ24について説明する。なお、第2管路22の第2液口22aを開閉する第2バルブ25も同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
上記第1管路21の両端には上方通路に接続されるポート21bが形成されており、略中央部には膨出部21cが形成され、当該膨出部21cの下方に上記第1液口21aが形成されている。
上記第1バルブ24は上記膨出部21cの上方に設けられたダイヤフラム弁となっており、弾性体からなる弁体24aと、当該弁体24aを上下方向に変形させる駆動手段として駆動モータ24bとを備えている。なお、駆動手段としてはモータに限らず、シリンダや手動等であってもよい。
そして、上記膨出部21cにおける第1液口21aの周囲には平坦面が形成されており、上記第1バルブ24の弁体24aが着座する弁座を形成している。
【0015】
このような構成により、上記第1バルブ24の駆動モータ24bが弁体24aを下方に向けて変形させると、弁体24aが第1液口21aの周囲に密着し、これにより第1液口21aが閉鎖されて第1管路21から第3管路23への液体の流通が阻止されるようになっている。
しかしながら、上記弁体24aが第1液口21aを塞いだ状態であっても、液体は上記膨出部21cの内部を弁体24aの側方を通過するようにして流通可能であり、第1管路21の液体の流通が許容されるようになっている。
そして上記駆動モータ24bが弁体24aを上方に向けて変形させると、弁体24aが第1液口21aから離座して第1液口21aが開口し、第1管路21から第3管路23へと液体が流通することとなる。
ここで、上位配管4におけるインターフェイスバルブ6の下流側に設けた開閉弁8を閉鎖することで、第1管路21に流入した液体の流路を上記第3管路23へと切り替えることができる。
【0016】
上記第3管路23は上下方向に設けられており、その側面に上記第1、第2ドレン口Da、Dbが設けられ、当該第1、第2ドレン口Da、Dbは上記ドレン配管12を介して上記第5ドレンタンク11eに接続されている。
各ドレン配管12には上記第1管路21と同様の膨出部12aが形成されており、第1ドレン口Daに接続されたドレン配管12の膨出部12aには上記第1ドレンバルブDVaが設けられ、第2ドレン口Dbに接続されたドレン配管12の膨出部12aには上記第2ドレンバルブDVbが設けられている。
上記第1、第2ドレンバルブDVa、DVbもダイヤフラム弁となっており、第3管路23とは反対側から第1、第2ドレン口Da、Dbに弁体DVaa、DVbaを着座および離座させるものとなっている。
【0017】
また上記第3管路23には、第1ドレン口Daと第2ドレン口Dbとの間に冷却手段としてのウォータージャケット26が設けられており、当該ウォータージャケット26の内部には図示しない冷却液供給手段から供給された冷却液が循環することで、上記第3管路23が冷却されるようになっている。
これにより、上記洗浄/滅菌媒体供給手段7から供給された過熱蒸気が上記第3管路23を流通する際、ウォータージャケット26が第3管路23を冷却することで当該過熱蒸気が冷却されるようになっている。
その結果、例えばインターフェイスバルブ6の第1管路21に原液が流通している状態において、第2管路22から第3管路23へと過熱蒸気を流通させた場合、ウォータージャケット26が過熱蒸気を冷却することで、第1管路21を流通する原液への熱による影響を防止することが可能となっている。
【0018】
以下、上記調剤システム1の動作について説明する。最初に図1を用いて、第1~第3供給タンク2a~2cからそれぞれ任意の調製タンク3に対して原料を送液する際の動作を説明する。
図1では、第1供給タンク2aから第3調製タンク3cに第1原料を送液し、第2供給タンク2bから第2調製タンク3bに第2原料を送液し、第3供給タンク2cから第4調製タンク3dに対して第3原料を送液している。
まず第1供給タンク2aから第3調製タンク3cに第1原液を送液するため、制御手段は第1供給タンク2aの開閉弁を開閉し、また第1上位配管4aに沿って設けられた1-1~1-3インターフェイスバルブ6を制御して、第1原料を1-3インターフェイスバルブ6まで流通させる。
この時第1-1、1-2インターフェイスバルブ6では、第1上位配管4aに接続された第1管路21の第1液口21aが閉鎖されており、これにより第1原液は第3管路23に流入することなく、第1管路21を流通するようになっている。
そして制御手段は、1-3インターフェイスバルブ6の下流側に位置する開閉弁8を閉鎖するとともに、1-3インターフェイスバルブ6の第1バルブ24および第2バルブ25を作動させて、第1、第2液口21a、22aを開放させる。
これにより、第1上位配管4aを流通する第1原液は第1液口21aから上記第3管路23に流入し、その後第2管路22に接続された第3下位配管5cへと流通して第3調製タンク3cに供給されることとなる。
【0019】
これと同様、第2供給タンク2bから第2調製タンク3bに第2原液を送液する際には、第2上位配管4bに沿って設けられた2-1~2-2インターフェイスバルブ6を制御して第2原料を2-2インターフェイスバルブ6まで流通させる。
2-2インターフェイスバルブ6では、第2上位配管4bから上記第3管路23を介して第2下位配管5bへと第2原液を流通させ、これにより第2原液は第2調製タンク3bへと供給される。
そして第3供給タンク2cから第4調製タンク3dに第3原液を送液する際には、第3原液を第3上位配管4cに沿って設けられた3-4インターフェイスバルブ6まで流通させ、3-4インターフェイスバルブ6において第3上位配管4cから第4下位配管5dへと第3原液の流路を切り替えて第4調製タンク3dに供給させる。
【0020】
そして原液の供給が終了した流路については、上記洗浄/滅菌媒体供給手段7から洗浄液等を流通させることにより洗浄および滅菌を行い、その後新たな原液を流通させることが可能となっている。
以下、図3を用いて新たな原液を流通させるために行うライン切替システムとしての調剤システム1の動作を3-2インターフェイスバルブ6を用いて説明する。
図1に示す状態において、3-2インターフェイスバルブ6では、図3(a)に示すように、第3上位配管4cに接続された第1管路21を第3原液が流通し、第2下位配管5bに接続された第2管路22を第2原液が流通している。
【0021】
その後、第2供給タンク2bから第2調製タンク3bへの第2原液の供給が終了すると、図3(b)、(c)に示すように第2原液が流通していた第2下位配管5bを含む流路の洗浄および滅菌を行う。
この場合、洗浄/滅菌媒体供給手段7からは第2下位配管5bへと洗浄液等を供給し、第2調製タンク3bに隣接して設けられた第2ドレンタンク11bに回収させるが、その際の洗浄液等の流路は原液を流通させる際の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
3-2インターフェイスバルブ6では、図3(b)に示すように3-2インターフェイスバルブ6の第1管路21は図3(a)の状態を維持しており、洗浄液等は第2下位配管5bを介して第2管路22を流通するようになっている。
このように第2管路22に洗浄液等を流通させたものの、上記第2管路22の第2液口22aは第2バルブ25によって閉鎖されていることから、厳密には第2液口22aと第2バルブ25の弁体25aとが密着している部分の洗浄が終了していないこととなる。
【0022】
そこで本実施例では、図3(c)に示すように、制御手段が3-2インターフェイスバルブ6の第2バルブ25および第1ドレンバルブDVaを作動させ、第2液口22aおよび第1ドレン口Daを開放する。
これにより、洗浄液等が第2管路22から第3管路23へと流入するため、上記第2液口22aおよび第2バルブ25の弁体25aが密着していた部分で洗浄液等の流れが生じ、これらの洗浄および滅菌を行うことができる。
その後、第3管路23に流入した洗浄液等は上記第1ドレン口Daよりドレン配管12へと排出され、その後上記第5ドレンタンク11eに回収される。
また、上記第3管路23はウォータージャケット26によって冷却されているため、第3管路23に流入した過熱蒸気は第1ドレン口Daより排出されるまでの間に冷却され、上記第1管路21を流通する第3原液が加熱されないようになっている。
なお、上記第2管路22の洗浄および滅菌を行うために、上記図3(b)に示す工程を省略し、最初から図3(c)に示すように洗浄液等を第3管路23を介して第1ドレン口Daより排出させるようにしてもよい。
【0023】
このようにして第2原液が流通していた第2下位配管5bおよび第2管路22の洗浄および滅菌が終了すると、この第2下位配管5bに別の原液を流通させて第2調製タンク3bに送液することが可能となる。
ここでは、上記第1供給タンク2aから第1原液を第2調製タンク3bに送液する際の動作を説明する。
詳細な動作の説明は省略するが、上記第1供給タンク2aから供給される第1原液は、上記第1上位配管4aを流通したのち1-2インターフェイスバルブ6において第2下位配管5bへと流入し、その後2-2インターフェイスバルブ6の第2管路22、3-2インターフェイスバルブ6の第2管路22を通過して、第2調製タンク3bに流入することとなる。
このとき3-2インターフェイスバルブ6では、図3(d)に示すように、第2管路22の第2液口22aを第2バルブ25によって閉鎖し、これにより第1原液は第2管路22に接続された第2下位配管5bを流通することとなる。
【0024】
次に図3(e)は、第2原液が流通していた第2下位配管5bおよび第2管路22の洗浄および滅菌が終了した後に、第3供給タンク2cから第2調製タンク3bに第3原液を送液する際における、3-2インターフェイスバルブ6の動作を説明するものとなっている。
換言すると、ここではインターフェイスバルブ6における、第1管路21から第3管路23を介して第2管路22へと流路を切り替える際の動作を説明するものとなっている。
第3供給タンク2cから第2調製タンク3bへと第3原液を送液するには、3-2インターフェイスバルブ6において第3上位配管4cから第2下位配管5bへと流路を切り替える必要がある。
そこで制御手段は、3-2インターフェイスバルブ6の下流側の開閉弁8を閉鎖するとともに、上記第1、第2バルブ24、25を開放し、第1、第2ドレンバルブDVa、DVbを閉鎖したままとする。
これにより、第3上位配管4cを流通する第3原液は第1管路21から第3管路23を介して第2管路22へと流入し、その後第2下位配管5bを流通して第2調製タンク3bへと供給されるようになっている。
【0025】
次に、図4(a)、(b)は、インターフェイスバルブ6全体を洗浄および滅菌を行う際の動作を説明するものとなっている。
制御手段は、上記洗浄/滅菌媒体供給手段7から上記上位側供給配管9および上記下位側供給配管10に洗浄液等を流通させ、これにより洗浄液が上位側供給配管9に接続された第3上位配管4cと、下位側供給配管10に接続された第2下位配管5bを流通するようになる。
その状態で、最初は図4(a)に示すように、第1バルブ24を作動させて第1管路21の第1液口21aを開放するとともに、第2ドレンバルブDVbを作動させて第3管路23の第2ドレン口Dbを開放する。
そして洗浄液が第1管路21から第3管路23へと流通するとともに、洗浄液の一部は第3管路23に分岐して上記第2ドレン口Dbより排出されることとなる。
これにより、第1液口21aおよび第1バルブ24の弁体24aが洗浄および滅菌されることとなる。なお、このときはウォータージャケット26による第3管路23の冷却は不要である。
【0026】
続いて図4(b)に示すように、第1バルブ24、第2ドレンバルブDVbを作動させて第1管路21の第1液口21aおよび第3管路23の第2ドレン口Dbを閉鎖し、第2バルブ25および第1ドレンバルブDVaを作動させて、第2管路22の第2液口22aおよび第3管路23の第1ドレン口Daを開放する。
そして洗浄液を第2管路22から第3管路23へと流通させると、洗浄液の一部が第3管路23に分岐して第1ドレン口Daより排出される。これにより、第2液口22aおよび第2バルブ25の弁体25aが洗浄および滅菌されることとなる。
【0027】
このように、本実施例のインターフェイスバルブ6を備えた調剤システム1によれば、上位配管4に原液を流通させている間であっても、下位配管5に流通させる原液の変更を行うために、下位配管5を流通していた原液の流路の洗浄および滅菌を行うことができる。
つまり下位配管5を洗浄する際、第3管路23の接続された第2管路22の第2液口22aを開口させて、第3管路23の第1ドレン口Daから洗浄液等を排出させることにより、当該第2液口22aおよび第2バルブ25の弁体25aの洗浄および滅菌をすることができる。
なお、上位配管4を洗浄する際も同様であり、第1管路21の第1液口21aを開口させて、第3管路23の第2ドレン口Dbを介して洗浄液等を排出させれば、当該第1液口21aに密着していた第1バルブ24の弁体24aを洗浄および滅菌をすることができる。
さらに、第3管路23に滅菌媒体としての過熱蒸気が流入した際には、第3管路23にウォータージャケット26を設けて過熱蒸気を冷却するため、第1管路21または第2管路22を流通する原液が熱によって変性してしまうのを防止することができる。
【0028】
このように、本実施例のインターフェイスバルブ6によれば、第3管路23に第1、第2ドレン口Da、Dbを形成して、第2管路22より第3管路23に流入させた洗浄液等を、第1管路21に近接した第1ドレン口Daより排出させるようになっている。
このようにすることで、第3管路23における洗浄液のデッドレグを防止することができる。ここでデッドレグとは、分岐した管路がバルブ等によって閉鎖された際に、当該閉鎖された分岐管路によって形成される液だまりのことをいう。
この上記デッドレグが形成されると、流体の滞留により衛生上の問題が発生するおそれがあり、その後流通する原液に影響を及ぼすおそれがあることから、薬剤を調整する薬剤調整システムを構成する調剤システム1ではこのようなデッドレグが極力形成されないようにすることが求められる。
本実施例の場合、第2供給タンク2bから第2調製タンク3bへと第2原液を供給した後、当該第2原液が流通した流路を洗浄液等で洗浄および滅菌するが、この洗浄液や過熱蒸気が冷却されて生成された水が上記インターフェイスバルブ6の第3管路23に残留してデッドレグとなるおそれがある。
しかしながら、本実施例では第3管路23における第1ドレン口Daを第1管路21に近接した位置に設けているため、洗浄液等が滞留せずに流通が維持されることから、第3管路23に洗浄液等を流通させた後に第1ドレン口Daを閉鎖した場合であっても、当該第1ドレン口Daと上記第1液口21aとの間に液体が残留しないようになっている。
これと同様、本実施例では第3管路23における第2ドレン口Dbを第2管路22に近接した位置に設けていることから、洗浄液等が滞留せずに流通が維持されることから、第3管路23に洗浄液等を流通させた後に第2ドレン口Dbを閉鎖した場合であっても、当該第2ドレン口Dbと上記第2液口22aとの間に液体が残留しないようになっている。
この第2実施例におけるインターフェイスバルブ6は、特に上位配管4と下位配管5との距離が離隔しており、インターフェイスバルブ6の第3管路23を長く設定しなければならないときに有用となる。
【0029】
図5は第2実施例におけるインターフェイスバルブ6の構成および動作を説明する図である。
本実施例のインターフェイスバルブ6は、上記第1実施例のインターフェイスバルブ6に対し、上記第3管路23に形成した第1ドレン口Daと第2ドレン口Dbとの間に第3バルブ27を設けた構成となっており、上記第1ドレン口Daおよび第2ドレン口Dbを上記第3バルブ27に近接した位置に設けたものとなっている。
上記第3バルブ27としては、上記第1、第2バルブ24、25と同様のダイヤフラム弁を用いることが可能であるが、第3バルブ27を構成する弁体は作動時に第3管路23を完全に閉鎖するように構成されている。
そして本実施例のインターフェイスバルブ6では、上記ウォータージャケット26を第1ドレン口Daと第2ドレン口Dbとの間に、上記第3バルブ27の動作を妨げないように設けられている。
【0030】
このような構成を有するインターフェイスバルブ6を備えた調剤システム1の動作を、第1実施例と同様3-2インターフェイスバルブ6の動作を用いて説明する。
図5(a)は、3-2インターフェイスバルブ6において第3上位配管4cに接続された第1管路21に第3原液が流通し、第2下位配管5bに接続された第2管路22に第2原液が流通した状態を示している。
そして第2原液の供給が終了すると、図5(b)に示すように洗浄/滅菌媒体供給手段7が第2下位配管5bに洗浄液等を供給し、第2管路22が洗浄液等によって洗浄される。
【0031】
続いて制御手段は、図5(c)に示すように、3-2インターフェイスバルブ6の第2バルブ25を作動させて第2液口22aを開口させ、また第2ドレンバルブDVbを作動させて第3管路23の第2ドレン口Dbを開口させる。そして上記第3バルブ27については閉鎖した状態を維持する。
すると、第2管路22を流通する洗浄液等の一部は上記第3管路23に流入し、その後第3管路23を流通した後上記第2ドレン口Dbより排出されることとなり、これにより第2液口22aに密着していた第2バルブ25の弁体25aを洗浄および滅菌することができる。
本実施例では、上記第2ドレン口Dbを上記第3管路23に設けた第3バルブ27に隣接した位置に設けていることから、洗浄液等を流通させた際におけるドレン口Dと第3バルブ27との間にデッドレグが形成されないようになっている。
また本実施例では、洗浄液等が排出される第2ドレン口Dbと第1管路21との間に距離を確保できることから、過熱蒸気による第1管路21を流通する原液への熱による影響を低減することができる。また洗浄液等と原液が第1バルブ24と第3バルブ27の2つのバルブで遮断されているので、洗浄液等により原液が汚染されるのを防ぐこともできる。
【0032】
なお、図示による説明は省略するが、3-2インターフェイスバルブ6において、第3上位配管4cから第2下位配管5bへと原液の流路を切り替える際には、第1管路21の第1液口21aおよび第2管路22の第2液口22aを開放し、さらに第3管路23の第3バルブ27を開放すればよい。
また、第3上位配管4cにおいて第3原液の流通が終了した場合には、当該第1管路21の洗浄および滅菌を行うために、第3バルブ27を閉鎖した状態で第1管路21の第1液口21aを開口させるとともに、第3管路23の第1ドレン口Daを開口させて、当該第1ドレン口Daより洗浄液等の排出を行うようにすればよい。
さらに、インターフェイスバルブ6全体の洗浄および滅菌を行う際には、上記第3管路23の第3バルブ27も開放して、第3管路23を第1液口21aから第2液口22aまで流通させるようにして洗浄および滅菌を行えばよい。またこのとき第1ドレン口Da、第2ドレン口Dbを開放して洗浄および滅菌を行えばよく、このときウォータージャケット26による第3管路23の冷却は不要である。
【符号の説明】
【0033】
1 調剤システム 2 供給タンク
3 調製タンク 4 上位配管
5 下位配管 6 インターフェイスバルブ
7 洗浄/滅菌媒体供給手段 21 第1管路
21a 第1液口 22 第2管路
22a 第2液口 23 第3管路
24 第1バルブ 25 第2バルブ
26 ウォータージャケット 27 第3バルブ
Da、Db 第1、第2ドレン口
DVa、DVb 第1、第2ドレンバルブ
図1
図2
図3
図4
図5