(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F25B 29/00 20060101AFI20250312BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20250312BHJP
F24F 11/41 20180101ALI20250312BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20250312BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
F25B29/00 361B
F25B1/00 101Z
F24F11/41 230
F25B47/02 520E
F24F7/08 A
F24F7/08 101J
(21)【出願番号】P 2021110091
(22)【出願日】2021-07-01
【審査請求日】2024-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】松岡 慎也
(72)【発明者】
【氏名】中西 喬也
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-020573(JP,A)
【文献】国際公開第2008/072929(WO,A2)
【文献】特開2005-291586(JP,A)
【文献】特開2018-077040(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064566(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107883601(CN,A)
【文献】欧州特許第01655553(EP,B1)
【文献】特開2008-249267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 29/00
F25B 1/00
F24F 11/41
F25B 47/02
F24F 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(25)と第1熱交換器(30)とを含む第1冷媒回路(RC1)を有する第1ユニット(110)と、
第1空間(S11)に配置され、第2熱交換器(52)を有する第2ユニット(120)と、
第3熱交換器(52)を有する第3ユニット(120)と、
前記第2熱交換器(52)及び前記第3熱交換器(52)を個別に蒸発器又は凝縮器として機能させるための中間冷媒回路(RC3)を有する中間ユニット(70)と、
第1補助熱交換器(131)、及び、第1冷媒配管(135)によって前記第1補助熱交換器(131)と直列に接続された第2補助熱交換器(132)を含む補助冷媒回路(RC2)と、前記第1補助熱交換器(131)を通った外気を前記第1空間(S11)に供給する給気ファン(137)と、前記第2補助熱交換器(132)を通った前記第1空間(S11)の空気を外部に放出する排気ファン(138)とを有する熱回収ユニット(130)と、
前記熱回収ユニット(130)の動作を制御する制御部(115)と、
を備え、
前記第1冷媒回路(RC1)と前記中間冷媒回路(RC3)とが、液冷媒が流れる第1連絡管(11)、高圧のガス冷媒が流れる第2連絡管(12)、及び低圧のガス冷媒が流れる第3連絡管(13)により接続されており、
前記補助冷媒回路(RC2)が、前記第1冷媒回路(RC1)と前記中間冷媒回路(RC3)との間において、前記第2連絡管(12)及び前記第3連絡管(13)に接続されており、
前記第1冷媒配管(135)と前記第1連絡管(11)とを接続
し、デフロスト運転を行う際に液冷媒が流れるバイパス管(16)を備える、空気調和システム(100)。
【請求項2】
前記第1冷媒配管(135)と前記バイパス管(16)の接続位置(P)よりも前記第1補助熱交換器(131)側の当該第1冷媒配管(135)上に設けられた電動弁(136)をさらに備え、
前記第1熱交換器(30)を除霜する第1運転中、前記第2連絡管(12)と前記第1補助熱交換器(131)とが接続されるとともに、前記第3連絡管(13)と前記第2補助熱交換器(132)とが接続されており、
前記制御部(115)が、前記電動弁(136)を閉止させる、請求項1に記載の空気調和システム(100)。
【請求項3】
前記第2連絡管(12)と前記第1補助熱交換器(131)とを接続する配管(14)上に設けられた第1遮断弁(161)をさらに備え、
前記第1熱交換器(30)を除霜する第1運転中、前記第2連絡管(12)と前記第1補助熱交換器(131)とが接続されるとともに、前記第3連絡管(13)と前記第2補助熱交換器(132)とが接続されており、
前記制御部(115)が、前記第1遮断弁(161)を閉止させる、請求項1又は請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記第1熱交換器(30)を除霜する第1運転中、前記第3連絡管(13)と前記第2補助熱交換器(132)とが接続されるとともに、前記第2連絡管(12)と前記第1補助熱交換器(131)とが接続されており、
前記制御部(115)が、前記排気ファン(138)を運転させ、かつ、前記給気ファン(137)を停止させる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和システム(100)。
【請求項5】
前記冷媒は可燃性冷媒であり、
前記第2連絡管(12)と前記第2補助熱交換器(132)とを接続する配管(15)上に設けられた第2遮断弁(162)と、前記バイパス管(16)上に設けられた第3遮断弁(163)と、をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気調和システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源側ユニットと、複数の利用側ユニットと、補助熱交換器を有する給気用ユニットと、補助熱交換器を有する排気用ユニットとが配管で接続された空気調和システムであって、冷房運転する利用側ユニットと暖房運転する利用側ユニットとを同時に利用可能とした空気調和システム(いわゆる冷暖フリーシステム)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の前記空気調和システムは、いずれか一方の補助熱交換器を蒸発器として使用するとともに、他方の補助熱交換器を凝縮器として使用することによって、給気及び排気から熱回収することができる。特許文献1の前記空気調和システムでは、暖房運転中の当該空気調和システムがデフロスト運転しているときに、前記補助熱交換器によって熱回収する技術については何ら記載されていない。
【0005】
本開示は、熱回収用の補助熱交換器を備えた空気調和システムにおいて、デフロスト運転中に補助熱交換器による熱回収を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の空気調和システムは、
圧縮機と第1熱交換器とを含む第1冷媒回路を有する第1ユニットと、
第1空間に配置され、第2熱交換器を有する第2ユニットと、
第3熱交換器を有する第3ユニットと、
前記第2熱交換器及び前記第3熱交換器を個別に蒸発器又は凝縮器として機能させるための中間冷媒回路を有する中間ユニットと、
第1補助熱交換器、及び、第1冷媒配管によって前記第1補助熱交換器と直列に接続された第2補助熱交換器を含む補助冷媒回路と、前記第1補助熱交換器を通った外気を前記第1空間に供給する給気ファンと、前記第2補助熱交換器を通った前記第1空間の空気を外部に放出する排気ファンとを有する熱回収ユニットと、
前記熱回収ユニットの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記第1冷媒回路と前記中間冷媒回路とが、液冷媒が流れる第1連絡管、高圧のガス冷媒が流れる第2連絡管、及び低圧のガス冷媒が流れる第3連絡管により接続されており、
前記補助冷媒回路が、前記第1冷媒回路と前記中間冷媒回路との間において、前記第2連絡管及び前記第3連絡管に接続されており、
前記第1冷媒配管と前記第1連絡管とを接続するバイパス管を備える。
【0007】
冷暖フリーシステムを構成する空気調和システムにおいて、第1熱交換器の除霜運転中は、第2連絡管及び第3連絡管に略同圧のガス冷媒が流れ、第2連絡管と第3連絡管との間の圧力差が無くなるため、第1補助熱交換器及び第2補助熱交換器に冷媒が流れなくなる。本開示の空気調和システムでは、第1連絡管と第1冷媒配管とを接続するバイパス管を設けることによって、液冷媒を、バイパス管から第2補助熱交換器を通して第3連絡管に戻すことができる。これにより、第1熱交換器の除霜運転中に、第2補助熱交換器を利用して排気から熱回収することが可能となる。
【0008】
(2)好ましくは、前記第1冷媒配管と前記バイパス管の接続位置よりも前記第1補助熱交換器側の当該第1冷媒配管上に設けられた電動弁をさらに備え、
前記第1熱交換器を除霜する第1運転中、前記第2連絡管と前記第1補助熱交換器とが接続されるとともに、前記第3連絡管と前記第2補助熱交換器とが接続されており、
前記制御部が、前記電動弁を閉止させる。
この構成によれば、第1熱交換器を除霜する第1運転中に、液冷媒が、第1補助熱交換器側へ流れるのを抑制することができる。これにより、第1運転時に、液冷媒を、バイパス管から排気側の第2補助熱交換器を通して第3連絡管に確実に戻すことができる。この場合、給気側の第1補助熱交換器によって熱交換された冷風が、給気ファンによって第1空間に供給されるのを抑制することができる。またこの場合、第1運転の開始から完了までの時間を短縮することができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記第2連絡管と前記第1補助熱交換器とを接続する配管上に設けられた第1遮断弁をさらに備え、
前記第1熱交換器を除霜する第1運転中、前記第3連絡管と前記第2補助熱交換器とが接続されるとともに、前記第2連絡管と前記第1補助熱交換器とが接続されており、
前記制御部が、前記第1遮断弁を閉止させる。
この構成によれば、第1運転中に、液冷媒が、第1補助熱交換器側へ流れるのを確実に抑制することができる。
【0010】
(4)好ましくは、前記第1熱交換器を除霜する第1運転中、前記第3連絡管と前記第2補助熱交換器とが接続されるとともに、前記第2連絡管と前記第1補助熱交換器とが接続されており、
前記制御部が、前記排気ファンを運転させ、かつ、前記給気ファンを停止させる。
この構成によれば、第2補助熱交換器によって、第1運転中に第1空間の排気から熱回収することができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記冷媒は可燃性冷媒であり、
前記第2連絡管と前記第2補助熱交換器とを接続する配管上に設けられた第2遮断弁と、前記バイパス管上に設けられた第3遮断弁と、をさらに備える。
この構成によれば、第1~第3遮断弁を閉じることによって第1冷媒回路と補助冷媒回路とを完全に分離することができる。これにより、熱回収ユニットから冷媒が漏洩した場合において、当該熱回収ユニットからの冷媒の漏洩量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る空気調和システムの概略的な構成図である。
【
図5】
図3のX-X線における概略的な断面説明図である。
【
図6】
図3のY-Y線における概略的な断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の空気調和システムを詳細に説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る空気調和システムの全体構成である。本開示の空気調和システム100は、ビルや工場等に設置されて空調対象空間の空気調和を実現する。空気調和システム100は、空気調和機101と、冷媒流路切換装置140とを備えている。空気調和機101は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで空調対象空間を冷暖房する。本実施形態で示す空気調和機101は、冷媒としてR32を使用している。なお、R32は微燃焼性を有する冷媒である。本開示の空気調和機は、R32以外の冷媒を使用する構成であってもよい。
【0015】
空気調和システム100は、建物Bの内部に形成された室内空間S1を空調対象空間としている。建物Bの内部には、複数の室内空間S1が設けられている。以下の説明では、第1の室内空間S1を第1空間S11と称し、第1空間S11とは別の第2の室内空間S1を第2空間S12と称し、建物Bの外部の空間を室外空間S2と称する。本開示における室外空間S2は屋外空間である。
【0016】
空気調和機101は、熱源側ユニットとしての室外ユニット110と利用側ユニットとしての室内ユニット120及び熱回収ユニット130を有している。本実施形態の空気調和機101は、1台の室外ユニット110に対して2台以上の室内ユニット120と1台の熱回収ユニット130とが接続されている。室内ユニット120は、冷媒流路切換装置140を介して室外ユニット110に接続されている。空気調和機101は、冷媒流路切換装置140によって室内ユニット120毎に冷房運転及び暖房運転を自由に選択して、対象空間の空調を行うことができる。
【0017】
空気調和システム100では、第1空間S11のために設けた室内ユニット120によって、第1空間S11の空調を行うと共に、熱回収ユニット130によって、第1空間S11の換気を行うことができる。空気調和システム100では、第2空間S12のために設けた室内ユニット120によって、第2空間S12の空調を行うことができる。室外ユニット110は、室外空間S2に設置されている。熱回収ユニット130は、建物Bの内部における室内空間S1の外部に設置されている。
【0018】
[室外ユニットの構成]
図2は、空気調和システム100の冷媒回路図である。
図1に示すように、室外ユニット110は、例えば建物Bの屋上やベランダ等の屋外や、地下等の室外空間S2に設置される。
図2に示すように、室外ユニット110内には、各種の機器が配設され、これらの機器が冷媒配管を介して接続されることで、熱源側冷媒回路RC1が構成されている。熱源側冷媒回路RC1は、第1連絡管11、第2連絡管12及び第3連絡管13を介して、熱回収ユニット130内の補助冷媒回路RC2と、冷媒流路切換装置140内の中間冷媒回路RC3とに接続されている。
【0019】
図2に示すように、熱源側冷媒回路RC1は、液側閉鎖弁21、ガス側第1閉鎖弁22、ガス側第2閉鎖弁23、アキュムレータ24、圧縮機25、第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、第3流路切換弁28、室外熱交換器30、第1室外膨張弁34、及び第2室外膨張弁35を備えている。熱源側冷媒回路RC1は、これらの機器が複数の冷媒配管を介して接続されることにより構成されている。室外ユニット110内には、室外ファン33や制御部115(
図7参照)等が配設されている。
【0020】
液側閉鎖弁21、ガス側第1閉鎖弁22、及びガス側第2閉鎖弁23は、冷媒の充填やポンプダウン等の際に開閉される手動の弁である。液側閉鎖弁21の一端は、第1連絡管11に接続されている。液側閉鎖弁21の他端は、第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35まで延びる冷媒配管に接続されている。ガス側第1閉鎖弁22の一端は、第2連絡管12に接続されている。ガス側第1閉鎖弁22の他端は、第2流路切換弁27まで延びる冷媒配管に接続されている。ガス側第2閉鎖弁23の一端は、第3連絡管13に接続されている。ガス側第2閉鎖弁23の他端は、アキュムレータ24まで延びる冷媒配管25cに接続されている。
【0021】
アキュムレータ24は、圧縮機25に吸入される低圧冷媒を一時的に貯留し、ガス冷媒と液冷媒とを分離するための容器である。
【0022】
圧縮機25は、圧縮機用モータを内蔵する密閉式の構造を有しており、例えばスクロール方式やロータリ方式などの容積式の圧縮機である。圧縮機25は、吸入配管25bから吸入した低圧冷媒を圧縮した後、吐出配管25aから吐出する。圧縮機25の内部には、冷凍機油が収容されている。この冷凍機油は、冷媒とともに冷媒回路内を循環することがある。本実施形態の室外ユニット110は、1台の圧縮機25を備えている。ただし、室外ユニット110は、並列に接続された2台以上の圧縮機25を備えていてもよい。
【0023】
第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28は、四路切換弁である。第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28は、空気調和機101の運転状況に応じて冷媒の流れを切り換える。第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28の一の冷媒流入口には、吐出配管25a又は吐出配管25aから延びる分岐管が接続されている。第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28の一の冷媒流入口には、ガス側第2閉鎖弁23とアキュムレータ24とを接続する冷媒配管25cから延びる分岐管が接続されている。第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28は、運転時において、一の冷媒流路における冷媒の流れが遮断されるように構成されており、事実上、三方弁として機能している。
【0024】
室外熱交換器30は、クロスフィン型式やマイクロチャネル型式の熱交換器である。室外熱交換器30は、第1熱交換部31と、第2熱交換部32とを含んでいる。第1熱交換部31は室外熱交換器30の上部に設けられており、第2熱交換部32は第1熱交換部31よりも下部に設けられている。
【0025】
第1熱交換部31のガス側端は、第3流路切換弁28まで延びる冷媒配管に接続されている。第1熱交換部31の液側端は、第1室外膨張弁34まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0026】
第2熱交換部32のガス側端は、第1流路切換弁26まで延びる冷媒配管に接続されている。第2熱交換部32の液側端は、第2室外膨張弁35まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0027】
第1熱交換部31及び第2熱交換部32を通過する冷媒は、室外ファン33が生成する空気流と熱交換する。室外ファン33は、例えばプロペラファンであり、室外ファン用モータ(図示省略)により駆動される。室外ファン33は、室外ユニット110内に流入し室外熱交換器30を通過して室外ユニット110外へ流出する空気流を生成する。
【0028】
第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35は、例えば開度調整が可能な電動弁である。第1室外膨張弁34の一端は、第1熱交換部31から延びる冷媒配管に接続されている。第1室外膨張弁34の他端は、液側閉鎖弁21まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0029】
第2室外膨張弁35の一端は、第2熱交換部32から延びる冷媒配管に接続されている。第2室外膨張弁35の他端は、液側閉鎖弁21まで延びる冷媒配管に接続されている。第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35は、運転状況に応じて開度が調整され、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。
【0030】
圧縮機25、室外ファン33、第1室外膨張弁34、第2室外膨張弁35、第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、及び第3流路切換弁28は、制御部115(
図7参照)により動作制御される。室外ユニット110の制御部115は、通信線を介して、室内ユニット120の室内制御部54(
図7参照)及び冷媒流路切換装置140の制御部(図示せず)と信号の送受信を行う。
【0031】
[室内ユニットの構成]
室内ユニット120は、天井埋込み型、天井吊下げ型、床置き型、又は壁掛け型である。本実施形態の空気調和システム100は、2台以上の室内ユニット120を備えている。
【0032】
室内ユニット120内には、利用側冷媒回路RC4が設けられている。利用側冷媒回路RC4は、室内膨張弁51と、室内熱交換器52とを備えている。利用側冷媒回路RC4は、室内膨張弁51と室内熱交換器52とが冷媒配管によって接続されることで構成されている。
【0033】
室内ユニット120内には、室内ファン53及び室内制御部54(
図7参照)が配設されている。室内膨張弁51は、開度調整が可能な電動弁である。室内膨張弁51の一端は、液管LPに接続されている。室内膨張弁51の他端は、室内熱交換器52まで延びる冷媒配管に接続されている。室内膨張弁51は、内部を通過する冷媒をその開度に応じて減圧する。
【0034】
室内熱交換器52は、例えば、クロスフィン型式やマイクロチャネル型式の熱交換器である。室内熱交換器52の液側端は、室内膨張弁51から延びる冷媒配管に接続されている。室内熱交換器52のガス側端は、ガス管GPに接続されている。室内熱交換器52に流入した冷媒は、室内ファン53が生成する空気流と熱交換し、室内熱交換器52から排出される。
【0035】
室内ファン53は、例えばクロスフローファンやシロッコファンである。室内ファン53は、室内ファン用モータ(図示省略)によって駆動される。室内ファン53は、室内空間S1から室内ユニット120内部に流入し、室内熱交換器52を通過してから室内空間S1へ流出する空気流を生成する。
【0036】
室内膨張弁51及び室内ファン53は、室内ユニット120の室内制御部54(
図7参照)によって動作制御される。室内制御部54には、室外ユニット110の制御部115及び図示しないリモートコントローラが接続される。室内制御部54は、リモートコントローラに入力された設定温度等の運転条件に基づいて室内ファン53や室内膨張弁51を駆動させる。
【0037】
[冷媒流路切換装置の構成]
図1及び
図2に示すように、冷媒流路切換装置140は、室外ユニット110と複数の室内ユニット120との間に設けられている。冷媒流路切換装置140は、ケーシング141を有している。冷媒流路切換装置140は、室外ユニット110及び各室内ユニット120へ流入する冷媒の流れを切り換える。
図2に示すように、ケーシング141内には、複数のヘッダ管55,56,57,58と複数の切換ユニット70とが収容されている。
【0038】
(ヘッダ管)
図2に示すように、複数のヘッダ管55,56,57,58は、第1ヘッダ管55と、第2ヘッダ管56と、第3ヘッダ管57と、第4ヘッダ管58とを含む。第1ヘッダ管55は、第1連絡管11に接続される。第2ヘッダ管56は、第2連絡管12に接続される。第3ヘッダ管57は、第3連絡管13に接続される。
【0039】
(切換ユニット)
冷媒流路切換装置140は、複数の切換ユニット70を備えている。各切換ユニット70は、冷媒流路切換装置140の中間冷媒回路RC3を形成する。各切換ユニット70には、それぞれ1台の室内ユニット120が接続される。ただし、冷媒流路切換装置140のすべての切換ユニット70に室内ユニット120が接続される必要はなく、室内ユニット120が接続されていない切換ユニット70が冷媒流路切換装置140に存在していてもよい。
【0040】
(中間冷媒回路について)
複数の切換ユニット70は、すべて同一の構造であり、各切換ユニット70の中間冷媒回路RC3は、それぞれ複数の弁EV1,EV2,EV3と、複数の冷媒配管と、を備えている。
【0041】
切換ユニット70において、複数の弁EV1,EV2,EV3は、第1弁EV1と、第2弁EV2と、第3弁EV3とを含む。これらの弁EV1,EV2,EV3は、開度を調整可能な電動弁により構成されている。第2弁EV2及び第3弁EV3は、全閉状態、全開状態、及び開度調整状態のいずれかを取るように制御部(図示せず)によって動作制御される。第1弁EV1は、最小開度状態、全開状態、全閉状態、及び開度調整状態のいずれかの状態を取るように制御部(図示せず)によって動作制御される。
【0042】
切換ユニット70は、第2ヘッダ管56と、第1弁EV1とを接続する第1冷媒管P1を備えている。第1冷媒管P1の途中には、フィルタF1が設けられている。切換ユニット70は、第2冷媒管P2を備えている。第2冷媒管P2の一端は、第1弁EV1に接続されている。切換ユニット70は、利用側ガス配管61を備えている。利用側ガス配管61の一端は、室内ユニット120のガス管GPに接続されている。利用側ガス配管61の他端は、第2弁EV2に接続されている。第2冷媒管P2の他端は、利用側ガス配管61に接続されている。利用側ガス配管61には、フィルタF2が設けられている。
【0043】
切換ユニット70は、第3冷媒管P3を備えている。第3冷媒管P3の一端は、第2弁EV2に接続されている。第3冷媒管P3の他端は、第3ヘッダ管57に接続されている。第3冷媒管P3の途中には、フィルタF3が設けられている。
【0044】
切換ユニット70は、利用側液配管62を備えている。利用側液配管62の一端は、室内ユニット120の液管LPに接続されている。利用側液配管62の他端は、過冷却熱交換器59に接続されている。過冷却熱交換器59の内部には、第1伝熱管59aと、第2伝熱管59bとが設けられている。過冷却熱交換器59は、第1伝熱管59aを流れる冷媒と第2伝熱管59bを流れる冷媒との間で熱交換を行う。利用側液配管62の他端は、第1伝熱管59aの一端に接続されている。
【0045】
切換ユニット70は、第4冷媒管P4を備えている。第4冷媒管P4の一端は、第1伝熱管59aの他端に接続されている。第4冷媒管P4の他端は、第1ヘッダ管55に接続されている。
【0046】
切換ユニット70は、第4冷媒管P4の途中から分岐する第5冷媒管P5を備えている。第5冷媒管P5の一端は、第3弁EV3の一端に接続されている。第5冷媒管P5の途中には、フィルタF4が設けられている。
【0047】
切換ユニット70は、第6冷媒管P6及び第7冷媒管P7を備えている。第6冷媒管P6の一端は、第3弁EV3に接続されている。第6冷媒管P6の他端は、過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bの一端に接続されている。第7冷媒管P7の一端は、過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bに接続されている。第7冷媒管P7の他端は、第4ヘッダ管58に接続されている。第4ヘッダ管58は、接続管63を介して、第3ヘッダ管57に接続されている。
【0048】
第4ヘッダ管58には、第1ヘッダ管55から第4冷媒管P4、第5冷媒管P5、第3弁EV3、第6冷媒管P6、過冷却熱交換器59、及び第7冷媒管P7を経て冷媒が流入する。さらに第4ヘッダ管58に流入した冷媒は、接続管63を通って第3ヘッダ管57に流入する。
【0049】
[熱回収ユニットの構成]
熱回収ユニット130は、室内空間S1に冷却・加熱処理した空気(外気)を供給するとともに、室内空間S1より排出される空気(排気)から熱回収しつつ、室内空間S1を換気することができる装置であり、外気処理ユニットとも称される。熱回収ユニット130は、建物Bの内部における室内空間S1の外部に配置されている。熱回収ユニット130は、室内空間S1の天井裏の空間に配置されており、ダクトを通じて室内空間S1及び室外空間S2とつながっている。なお、本実施形態では、熱回収ユニット130を室内空間S1の天井裏の空間に配置した場合を例示しているが、本開示の熱回収ユニットは、天井吊下げ型、天井埋込み型、床置き型、又は壁掛け型であってもよく、天井裏以外の場所に配置してもよい。
図2及び
図3に示すように、熱回収ユニット130は、給気側補助熱交換器131と、排気側補助熱交換器132と、補助熱交換器用切換弁133と、熱交換部134とを備えている。熱回収ユニット130内には、補助冷媒回路RC2が設けられている。補助冷媒回路RC2は、給気側補助熱交換器131、排気側補助熱交換器132、及び補助熱交換器用切換弁133が補助冷媒配管135によって接続されることで構成されている。補助冷媒配管135は、第1補助冷媒管135a、第2補助冷媒管135b、第3補助冷媒管135c、第4補助冷媒管135d、及び第5補助冷媒管135eを含んでいる。
【0050】
給気側補助熱交換器131及び排気側補助熱交換器132は、例えば、クロスフィン型式やマイクロチャネル型式の熱交換器である。給気側補助熱交換器131の一側端は、補助熱交換器用切換弁133から延びる第1補助冷媒管135cに接続されている。給気側補助熱交換器131の他側端は、第2補助冷媒管135bの一端に接続されている。第2補助冷媒管135bの他端は、排気側補助熱交換器132の一側端に接続されている。第2補助冷媒管135bの中途部には、電動弁136が設けられている。電動弁136は、開度調整が可能な電動弁である。排気側補助熱交換器132の他側端は、補助熱交換器用切換弁133から延びる第3補助冷媒管135aに接続されている。
【0051】
補助熱交換器用切換弁133は、4個のポートを有する四方切換弁であり、各ポートに第1補助冷媒管135a、第2補助冷媒管135b、第4補助冷媒管135d、及び第5補助冷媒管135eが接続されている。第4補助冷媒管135dは、第1分岐配管14に接続されており、第5補助冷媒管135eは、第2分岐配管15に接続されている。補助熱交換器用切換弁133は、第1補助冷媒管135a、第2補助冷媒管135b、第4補助冷媒管135d、及び第5補助冷媒管135eの間の冷媒の流れを切り換える。
【0052】
補助冷媒回路RC2は、第1分岐配管14を介して第2連絡管12に接続されるとともに、第2分岐配管15を介して第3連絡管13に接続される。言い換えると、熱回収ユニット130の補助冷媒回路RC2は、冷媒流路切換装置140を介することなく、室外ユニット110の熱源側冷媒回路RC1に接続されている。
【0053】
(バイパス管)
図1及び
図2に示す如く、空気調和システム100は、第1連絡管11と熱回収ユニット130とを接続するバイパス管16をさらに備えている。バイパス管16は、空気調和システム100がデフロスト運転を行う際に液冷媒を流すための配管であり、通常の冷房時、及び暖房時には利用することがない配管である。バイパス管16の一側の端部は、第1連絡管11と接続されており、他側の端部は、補助冷媒回路RC2を構成する補助冷媒配管135に接続されている。バイパス管16と補助冷媒配管135との接続位置を接続位置Pと称する。
【0054】
図3に示すように、バイパス管16は、補助冷媒配管135のうち、第2補助冷媒管135bと接続されている。このため、バイパス管16と補助冷媒配管135との接続位置Pは、排気側補助熱交換器132と給気側補助熱交換器131の間に位置している。電動弁136は、第2補助冷媒管135bにおいて、接続位置Pよりも給気側補助熱交換器131側に配置されている。
【0055】
図1及び
図2に示すように、バイパス管16には、第3遮断弁163が配置されている。第3遮断弁163は、「閉」とすることで、バイパス管16における冷媒の流れを遮断することができる弁である。第3遮断弁163は、デフロスト運転時以外の空気調和システム100の運転中は「閉」とされている。
【0056】
(給気ファン及び排気ファン)
図3に示すように、熱回収ユニット130内には、給気ファン137及び排気ファン138が配設されている。給気ファン137及び排気ファン138は、例えばシロッコファンである。給気ファン137は、給気ファン用モータ(図示省略)によって駆動される。給気ファン137は、室外空間S2(
図1参照)から熱回収ユニット130内部に流入し、給気側補助熱交換器131を通過してから室内空間S1(
図1参照)へ流出する空気流を生成する。排気ファン138は、排気ファン用モータ(図示省略)によって駆動される。排気ファン138は、室内空間S1(
図1参照)から熱回収ユニット130内部に流入し、排気側補助熱交換器132を通過してから室外空間S2(
図1参照)へ流出する空気流を生成する。
【0057】
(給気通路及び排気通路の構成)
図3に示すように、還気取入口157は、室内空間S1(
図1参照)からの空気(還気RA)をケーシング150内に取り入れるために用いられる。還気取入口157は、図示しないダクト等を介して室内空間S1に繋がっている。排気吹出口155は、ケーシング150内に取り入れられた還気RAを、排気EAとして室外空間S2(
図1参照)に排出するために用いられる。排気吹出口155は、図示しないダクト等を介して室外空間S2に繋がっている。外気取入口158は、室外空間S2からの空気(外気OA)をケーシング150内に取り入れるために用いられる。外気取入口158は、図示しないダクト等を介して室外空間S2に繋がっている。給気吹出口156は、ケーシング150内に取り入れられた外気OAを、給気SAとして室内空間S1に供給するために用いられる。給気吹出口156は、図示しないダクト等を介して室内空間S1に繋がっている。
【0058】
(熱交換部)
図4は、熱交換部の斜視図である。
図4に示すように、本実施形態における熱交換部134は、第1の空気流A1と、第2の空気流A2とがほぼ直交するように構成された直交型の全熱交換器である。この熱交換部134は、仕切板134aと、隔壁板134bとを有している。仕切板134aと隔壁板134bとは適宜の接着剤により交互に積層されている。熱交換部134は、全体としてほぼ四角柱形状に形成されている。
【0059】
仕切板134aは、伝熱性及び透湿性を有し、平板状に形成されている。隔壁板134bは、ほぼ三角形状の断面が連続して形成された波板状に形成されている。隔壁板134bは、隣り合う2枚の仕切板134aの間に空気の通路を形成する。隔壁板134bは、仕切板134aと隔壁板134bとの積層方向(
図4における上下方向)で1枚ごとに90度角度を変えて積層されている。これにより、1枚の仕切板134aを挟んでその両側に、第1の空気流A1を通すための給気側通路134dと第2の空気流A2を通すための排気側通路134cとが互いに直交して形成される。排気側通路134cを流れる空気と、給気側通路134dを流れる空気とは、伝熱性及び透湿性を有する仕切板134aを介して顕熱及び潜熱の交換(全熱交換)が行われるようになっている。空気調和システム100では、熱回収ユニット130によって、第1補助冷媒回路RC2を流れる冷媒で熱回収するとともに、熱交換部134によって、ケーシング150を流れる空気間(還気RAと外気OAとの間)でさらに熱回収することによって、空気調和機101の運転効率をさらによくすることができる。
【0060】
図5は、
図3のX-X線における概略的な断面説明図である。
図6は、
図3のY-Y線における概略的な断面説明図である。
図3、
図5及び
図6に示すように、熱回収ユニット130は、ケーシング150を有している。ケーシング150の内部は、熱交換部134によって室内空間S1側と室外空間S2側(
図1参照)との2つの領域に区画されている。
図5に示すように、ケーシング150内には、熱交換部134よりも第1の空気流A1の上流側に上流側給気通路151aが形成され、熱交換部134よりも第1の空気流A1の下流側に下流側給気通路151bが形成されている。上流側給気通路151aと下流側給気通路151bとによって、室内空間S1と室外空間S2とを熱交換部134を経由して連通させる給気通路151が構成されている。
【0061】
図6に示すように、ケーシング150内には、熱交換部134よりも第2の空気流A2の上流側に上流側排気通路152aが形成され、熱交換部134よりも第2の空気流A2の下流側に下流側排気通路152bが形成されている。上流側排気通路152aと下流側排気通路152bとによって、室内空間S1と室外空間S2とを熱交換部134を経由して連通させる排気通路152が構成される。
【0062】
図5及び
図6に示すように、下流側給気通路151bと上流側排気通路152aとの間には、区画壁153が設けられている。上流側給気通路151aと下流側排気通路152bとの間には、区画壁154が設けられている。
【0063】
図5に示すように、下流側給気通路151bにおいて、給気吹出口156の近傍には給気ファン137及び給気側補助熱交換器131が配置されている。この給気ファン137が運転されることによって第1の空気流A1が生成され、室外空間S2の外気OAが給気通路151を通り、給気側補助熱交換器131によって熱交換されるとともに、給気SAとして室内空間S1に供給される。給気側補助熱交換器131は、補助冷媒回路RC2を流れる冷媒と、給気通路151を通る空気(外気OA)の間で熱交換(熱回収)する。
【0064】
図6に示すように、下流側排気通路152bにおいて、排気吹出口155の近傍には排気ファン138及び排気側補助熱交換器132が配置されている。この排気ファン138が運転されることによって第2の空気流A2が生成され、室内空間S1からの還気RAが排気通路152を通り、排気側補助熱交換器132によって熱交換されるとともに、排気EAとして室外空間S2に排出される。排気側補助熱交換器132は、補助冷媒回路RC2を流れる冷媒と、排気通路152を通る空気(排気EA)の間で熱交換(熱回収)する。
【0065】
[制御部について]
図7は、空気調和システム100の制御ブロック図である。
図7に示すように、空気調和システム100は、制御部115を備えている。制御部115は、空気調和機101の動作を制御する装置であり、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリを備えたマイクロコンピュータにより構成される。制御部115は、LSI、ASIC、FPGA等を用いてハードウェアとして実現されるものであってもよい。制御部115は、メモリにインストールされたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の機能を発揮する。なお、制御部115は、空気調和機101の一部として当該空気調和機101と一体で設けてもよいし、空気調和機101とは別の装置として別体で設けてもよい。
【0066】
本実施形態の制御部115は、室外ユニット110に設けられている。制御部115は、室外ユニット110に内蔵された圧縮機25、第1流路切換弁26、第2流路切換弁27、第3流路切換弁28、室外ファン33、第1室外膨張弁34、及び第2室外膨張弁35が接続されている。制御部115は、室内ユニット120の室内制御部54を介して、室内膨張弁51、及び室内ファン53が接続されている。制御部115は、熱回収ユニット130の補助熱交換器用切換弁133、電動弁136、給気ファン137、及び排気ファン138が接続されている。なお、制御部115は、熱回収ユニット130の制御部(図示せず)を介して、補助熱交換器用切換弁133、電動弁136、給気ファン137、及び排気ファン138に接続されていてもよい。制御部115は、冷媒流路切換装置140(切換ユニット70)の制御部(図示せず)を介して、第1弁EV1、第2弁EV2、及び第3弁EV3が接続されている。制御部115は、第1遮断弁161及び第2遮断弁162が接続されている。制御部115は、空気調和システム100の運転状況に応じて、接続されている上記各部の動作を制御する。
【0067】
[遮断弁について]
図1及び
図2に示すように、空気調和システム100は、第1遮断弁161及び第2遮断弁162を有している。第1遮断弁161及び第2遮断弁162は電動弁であり、第1遮断弁161が第1分岐配管14に配置され、第2遮断弁162が第2分岐配管15に配置されている。第1遮断弁161及び第2遮断弁162は、制御部115により動作が制御される。制御部115には、冷媒センサ180(
図7参照)が接続されている。
【0068】
空気調和システム100では、冷媒センサ180(
図7参照)が、熱回収ユニット130から漏洩した冷媒を検知することができる位置に配置されている。冷媒センサ180が冷媒を検知した場合に、制御部115が、第1~第3遮断弁161,162,163を作動させる。空気調和システム100では、第1~第3遮断弁161,162,163が作動した場合、熱回収ユニット130の補助冷媒回路RC2が、空気調和システム100におけるその他の各冷媒回路RC1,RC3,RC4から完全に切り離される。このため、空気調和システム100では、仮に熱回収ユニット130から燃焼性を有する冷媒(本実施形態ではR32)が漏出したとしても、その時点で補助冷媒回路RC2内に貯留されている冷媒量を越えて、当該熱回収ユニット130から冷媒が漏洩するのを抑制することが可能となる。なお、本開示の空気調和システムで、可燃性を有さない冷媒を使用する場合、第1及び第2遮断弁、及び冷媒センサは設けなくてもよい。
【0069】
[空気調和システムの運転]
以下、空気調和システム100によって、稼働している室内ユニット120のすべてが冷房を行う場合(以下、「全冷房運転」ともいう)、稼働している室内ユニット120のすべてが暖房を行う場合(以下、「全暖房運転」ともいう)、及び、稼働している室内ユニット120の一部が冷房、他が暖房を行う場合(以下、「冷暖房混合運転」ともいう)について、
図2を参照して説明する。
【0070】
(全冷房運転)
全冷房運転では、制御部115によって、以下のように各弁が調整される。切換ユニット70の第1弁EV1は全閉とされ、第2弁EV2は全開とされ、第3弁EV3は開度調整され、室内膨張弁51は開度調整され、第1及び第2室外膨張弁34,35は全開とされ、第1及び第2遮断弁161,162は全開とされ、第3遮断弁163は全閉とされる。室外ユニット110の第1流路切換弁26は、圧縮機25の吐出配管25aと第2熱交換部32のガス側端とを接続するように切り換えられる。第2流路切換弁27は、吐出配管25aと第2連絡管12とを接続するように切り換えられる。第3流路切換弁28は、吐出配管25aと第1熱交換部31のガス側端とを接続するように切り換えられる。
【0071】
停止中の室内ユニット120においては、制御部115によって、全冷房運転、全暖房運転、及び冷暖房混合運転のいずれを行う場合においても、室内膨張弁51が全閉とされ、この室内ユニット120に対応する第1弁EV1は最小開度とされ、第2弁EV2及び第3弁EV3は全閉とされる。
【0072】
圧縮機25が駆動すると、圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管25a、第1流路切換弁26及び第3流路切換弁28等を経て、室外熱交換器30に流入し、凝縮する。室外熱交換器30において凝縮した冷媒は、第1及び第2室外膨張弁34,35、液側閉鎖弁21等を通過して第1連絡管11に流入する。
【0073】
第1連絡管11に流入した冷媒は、冷媒流路切換装置140の第1ヘッダ管55を流れ、各切換ユニット70の第4冷媒管P4へ流入する。第4冷媒管P4へ流入した冷媒は、過冷却熱交換器59の第1伝熱管59aに流入し、さらに利用側液配管62を経て室内ユニット120に流入する。
【0074】
第4冷媒管P4へ流入した冷媒は、第5冷媒管P5にも分岐して流れ、第3弁EV3の開度に応じて減圧され、過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bに流入する。この過冷却熱交換器59において、第1伝熱管59aを流れる冷媒と第2伝熱管59bを流れる冷媒との間で熱交換され、第1伝熱管59aを流れる冷媒が過冷却されて室内ユニット120に流入する。
【0075】
過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bを流れる冷媒は、第7冷媒管P7から第4ヘッダ管58に流入し、接続管63を経て第3ヘッダ管57に流入する。室内ユニット120に流入した冷媒は、室内膨張弁51により減圧された後に室内熱交換器52において蒸発する。
【0076】
室内ユニット120において、室内熱交換器52で蒸発した冷媒は、ガス管GPから利用側ガス配管61に流入し、主に第2弁EV2を通過して第3ヘッダ管57に流入する。第3ヘッダ管57に流入した冷媒は、第3連絡管13及びガス側第2閉鎖弁23を経て、アキュムレータ24に流入し、圧縮機25へ吸入される。
【0077】
(冷房運転時の熱回収ユニットによる処理について)
空気調和システム100が冷房運転中である場合、制御部115によって補助熱交換器用切換弁133が切換えられて、第1補助冷媒管135aと第4補助冷媒管135dとが接続されると共に、第3補助冷媒管135cと第5補助冷媒管135eとが接続される(
図3参照)。熱回収ユニット130の排気側補助熱交換器132には、第2連絡管12及び第1分岐配管14から高圧のガス冷媒が供給され、当該ガス冷媒が第1補助冷媒管135aから排気側補助熱交換器132に流入する。このとき、制御部115によって電動弁136の開度を調整することによって、排気側補助熱交換器132に流入する冷媒の量を調整するとともに、冷媒の圧力を減圧する。前記ガス冷媒は、排気側補助熱交換器132において空気(排気EA)と熱交換して凝縮されて液冷媒となる。この液冷媒は、第2補助冷媒管135bを介して給気側補助熱交換器131に供給される。前記液冷媒は、給気側補助熱交換器131において空気(外気OA)と熱交換して蒸発されて低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、第2分岐配管15を介して第3連絡管13に戻される。熱回収ユニット130は、このようにして、冷房運転時において、外気OAを冷却して室内空間S1に供給する。第2流路切換弁27を介して第2連絡管12に流れる高圧のガス冷媒は、第1弁EV1を全閉としているため、室内ユニット120には流れない。
【0078】
(全暖房運転について)
全暖房運転では、制御部115によって、以下のように各弁が調整される。切換ユニット70の第1弁EV1は全開とされ、第2弁EV2は全閉とされ、第3弁EV3は全閉とされ、室内膨張弁51は全開とされ、第1及び第2室外膨張弁34,35は開度調整され、第1及び第2遮断弁161,162は全開とされ、第3遮断弁163は全閉とされる。室外ユニット110の第1流路切換弁26は、冷媒配管25cと第2熱交換部32のガス側端とを接続するように切り換えられる。第2流路切換弁27は、吐出配管25aと第2連絡管12とを接続するように切り換えられる。第3流路切換弁28は、冷媒配管25cと第1熱交換部31のガス側端とを接続するように切り換えられる。
【0079】
圧縮機25が駆動すると、圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管25a及び第2流路切換弁27等を経て、第2連絡管12に流入する。第2連絡管12に流入した冷媒は、冷媒流路切換装置140の第2ヘッダ管56、切換ユニット70の第1冷媒管P1を経て第1弁EV1を通過し、利用側ガス配管61から室内ユニット120のガス管GPに流入する。
【0080】
ガス管GPに流入した冷媒は、室内ユニット120の室内熱交換器52に流入して凝縮する。凝縮した冷媒は、室内膨張弁51を通過して液管LPを流れ、切換ユニット70の利用側液配管62に流入する。利用側液配管62に流入した冷媒は、過冷却熱交換器59、第4冷媒管P4を経て、第1ヘッダ管55に流入する。
【0081】
第1ヘッダ管55に流入した冷媒は、第1連絡管11を流れ室外ユニット110に流入し、第1及び第2室外膨張弁34,35において減圧される。減圧された冷媒は、室外熱交換器30を通過する際に蒸発し、第1流路切換弁26及び第3流路切換弁28等を経て、アキュムレータ24に流入し、圧縮機25に吸入される。
【0082】
(暖房運転時の熱回収ユニットによる処理について)
空気調和システム100が暖房運転中である場合、制御部115によって補助熱交換器用切換弁133が切換えられて、第3補助冷媒管135cと第4補助冷媒管135dとが接続されると共に、第1補助冷媒管135aと第5補助冷媒管135eとが接続される(
図3参照)。熱回収ユニット130の給気側補助熱交換器131には、第2連絡管12及び第1分岐配管14から高圧のガス冷媒が供給され、当該ガス冷媒が第4補助冷媒管135d及び第3補助冷媒管135cから給気側補助熱交換器131に流入する。このとき、制御部115によって電動弁136の開度を調整することによって、給気側補助熱交換器131に流入する冷媒の量を調整するとともに、冷媒の圧力を減圧する。前記ガス冷媒は、給気側補助熱交換器131において空気(外気OA)と熱交換して凝縮されて液冷媒となる。前記液冷媒は、第2補助冷媒管135bを介して排気側補助熱交換器132に供給され、排気側補助熱交換器132において空気(排気EA)と熱交換して蒸発されて低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒は、第1補助冷媒管135a、第5補助冷媒管135e、及び第2分岐配管15を介して第3連絡管13に戻される。熱回収ユニット130は、このようにして、暖房運転時において、外気OAを加熱して室内空間S1に供給する。
【0083】
(冷暖混合運転)
冷暖混合運転では、制御部115によって、以下のように各弁が調整される。稼働している室内ユニット120のうち、冷房運転を行う室内ユニット120(以下、「冷房側室内ユニット120」ともいう)に対応する切換ユニット70(以下、「冷房側切換ユニット70」ともいう)において、第1弁EV1は最小開度とされ、第2弁EV2は全開とされ、第3弁EV3は開度調整され、冷房側室内ユニット120の室内膨張弁51は開度調整され、第1及び第2遮断弁161,162は全開とされ、第3遮断弁163は全閉とされる。室外ユニット110の第1流路切換弁26は、冷媒配管25cと第2熱交換部32のガス側端とを接続するように切り換えられる。第2流路切換弁27は、吐出配管25aと第2連絡管12とを接続するように切り換えられる。第3流路切換弁28は、吐出配管25aと第1熱交換部31のガス側端とを接続するように切り換えられる。
【0084】
稼働している室内ユニット120のうち、暖房運転を行う室内ユニット120(以下、「暖房側室内ユニット120」ともいう)に対応する切換ユニット70(以下、「暖房側切換ユニット70」ともいう)において、第1弁EV1は全開とされ、第2弁EV2は全閉とされ、第3弁EV3は全閉とされ、暖房側室内ユニット120の室内膨張弁51は全開とされ、第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35は開度調整される。本実施形態では、第1空間S11の室内ユニット120(冷房側室内ユニット120)を冷房運転し、第2空間S12の室内ユニット120(暖房側室内ユニット120)を暖房運転している。この場合、第1空間S11用として設けられている熱回収ユニット130では、給気側補助熱交換器131が、第1空間S11の冷房側室内ユニット120に合わせて蒸発器として機能し、排気側補助熱交換器132は、凝縮器として機能する。
【0085】
圧縮機25が駆動すると、圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒の一部は、吐出配管25a及び第2流路切換弁27を経て、第2連絡管12に流入する。圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒の他の一部は、吐出配管25a及び第3流路切換弁28を経て室外熱交換器30の第1熱交換部31において凝縮され、第1室外膨張弁34を経て一部が第1連絡管11に流入し、残りが第2室外膨張弁35に流入する。第1熱交換部31において凝縮された冷媒は、第2室外膨張弁35を経て第2熱交換部32において蒸発し、第1流路切換弁26を経て圧縮機25に吸入される。冷暖混合運転において、第2熱交換部32の使い方は、室内ユニット120及び熱回収ユニット130における冷媒の凝縮量及び蒸発量のバランスに応じて変更する。冷暖混合運転においては、室内ユニット120及び熱回収ユニット130における冷媒の凝縮量及び蒸発量のバランスに応じて、第1熱交換部31及び第2熱交換部32の両方が凝縮器又は蒸発器として機能する。
【0086】
第2連絡管12に流入した冷媒は、冷媒流路切換装置140の第2ヘッダ管56に流入し、暖房側切換ユニット70の第1冷媒管P1、第1弁EV1、利用側ガス配管61を流れて、ガス管GPに流入する。
【0087】
ガス管GPに流入した冷媒は、暖房側室内ユニット120の室内熱交換器52において凝縮する。凝縮した冷媒は、液管LPから暖房側切換ユニット70の利用側液配管62に流入し、過冷却熱交換器59、第4冷媒管P4を流れて第1ヘッダ管55に流入する。
【0088】
室外ユニット110から第1連絡管11に流入した冷媒も第1ヘッダ管55に流入する。第1ヘッダ管55に流入した冷媒は、冷房側切換ユニット70の第4冷媒管P4、過冷却熱交換器59、利用側液配管62、液管LPを経て冷房側室内ユニット120に流入する。このとき過冷却熱交換器59を通過した冷媒は、第4冷媒管P4から分岐して第5冷媒管P5を流れ第3弁EV3で減圧された冷媒によって過冷却される。
【0089】
冷房側室内ユニット120に流入した冷媒は、室内膨張弁51において減圧され、室内熱交換器52において蒸発し、室内を冷房する。蒸発した冷媒は、ガス管GPを流れて、冷房側切換ユニット70の利用側ガス配管61に流入し、第2弁EV2を経て第3冷媒管P3及び第3ヘッダ管57に流入し、第3連絡管13を流れてアキュムレータ24に流入し、圧縮機25に吸入される。
【0090】
熱回収ユニット130は、給気側補助熱交換器131が、第1空間S11の冷房側室内ユニット120に合わせて蒸発器として機能し、外気OAを冷却して、室内空間S11に給気SAを供給する。熱回収ユニット130は、排気側補助熱交換器132が凝縮器として機能し、還気RAから熱回収してガス冷媒を蒸発させ、昇温した還気RAを排気EAとして室外空間S2に放出する。
【0091】
[デフロスト運転について]
空気調和システム100において、前述した全暖房運転を行うと、蒸発器となる室外熱交換器30の表面に霜が付く場合がある。空気調和システム100は、室外熱交換器30を除霜するデフロスト運転を実行可能に構成されている。デフロスト運転では、室外ユニット110の室外熱交換器30で冷媒が放熱及び凝縮し、各室内ユニット120の室内熱交換器52で冷媒が蒸発する冷凍サイクル(デフロストサイクル)が行われる。また、全暖房運転からデフロスト運転へ切り換わる前には、準備運転が実行される。
【0092】
(準備運転)
暖房運転中に、室外熱交換器30の表面に霜が付いたことを示す条件が成立したと制御部が判断すると、空気調和システム100は、前記制御部によって、全暖房運転からデフロスト運転へ移行するための準備運転が開始される。室外熱交換器30の表面に霜が付いたことを示す条件は、例えば室外熱交換器30を流れる冷媒の温度や圧力、室外熱交換器30を通過する空気温度、暖房運転の継続時間等に基づいて判断される。準備運転は、所定時間の間実行され、その後、デフロスト運転に移行する。
【0093】
空気調和システム100は、準備運転において、圧縮機25の回転数を段階的に小さくし、その後停止する。空気調和システム100は、準備運転において、圧縮機25の回転数の低下に伴い室内膨張弁51の開度を小さくする。空気調和システム100は、準備運転において、全暖房運転時の各流路切換弁26,27,28の状態を維持する。空気調和システム100は、準備運転における基本的な冷媒の流れを全暖房運転と同様とする。
【0094】
(デフロスト運転)
空気調和システム100は、準備運転が開始された後所定時間が経過すると、デフロスト運転を実行する。デフロスト運転が開始すると、各流路切換弁26,27,28は、制御部によって切り換えられる。デフロスト運転が開始すると、室内ユニット120の室内ファン53をOFFとする。室外ユニット110の第1流路切換弁26は、吐出配管25aと第2熱交換部32のガス側端とを接続する。第2流路切換弁27は、冷媒配管25cと第2連絡管12とを接続する。第3流路切換弁28は、吐出配管25aと第1熱交換部31のガス側端とを接続する。
【0095】
デフロスト運転では、切換ユニット70の第1弁EV1及び第2弁EV2は、開度調整される。第3弁EV3は、全閉とされる。室内膨張弁51は、開度調整される。第1及び第2室外膨張弁34,35は、開度調整される。第1遮断弁161は、全閉とされる。第2及び第3遮断弁162,163は、全開とされる。
【0096】
デフロスト運転中は、以下のような冷凍サイクル(デフロストサイクル)が行われる。デフロスト運転が開始されると、圧縮機25の回転数が目標回転数まで徐々に大きくなる。デフロスト運転の開始直後には、室内膨張弁51を所定の開度で開放する。
【0097】
圧縮機25が駆動すると、圧縮機25により圧縮された高圧のガス冷媒は、吐出配管25a、第1流路切換弁26及び第3流路切換弁28を経て、室外熱交換器30(第1熱交換部31及び第2熱交換部32)に流入する。室外熱交換器30では、冷媒が、室外熱交換器30の表面に付着した霜に放熱する。これにより、室外熱交換器30の表面の霜が融けていく。室外熱交換器30に流入し放熱・凝縮した冷媒は、第1室外膨張弁34及び第2室外膨張弁35を経て、第1連絡管11及び第1ヘッダ管55に流入する。
【0098】
デフロスト運転では、室内膨張弁51は所定開度で開放しているため、冷媒が、第1連絡管11、第1ヘッダ管55、第4冷媒管P4、第1伝熱管59a、利用側液配管62、及び液管LPから室内膨張弁51を介して室内ユニット120へ流れる。冷媒は、室内膨張弁51で減圧された後、室内熱交換器52で蒸発する。室内熱交換器52は、室内ユニット120の内部にあるため、冷媒が蒸発しても室内空間の温度にはさほど影響しない。本実施形態では、デフロスト運転中に室内ファン53を停止しているため、この影響はより小さい。
【0099】
室内熱交換器52で蒸発したガス冷媒は、ガス管GP、利用側ガス配管61、第2弁EV2、第3冷媒管P3、第3ヘッダ管57、及び第3連絡管13を流れるとともに、ガス管GP、利用側ガス配管61、第2冷媒管P2、第1弁EV1、第1冷媒管P1、第2ヘッダ管56、及び第2連絡管12を流れ、室外ユニット110に流入し、アキュムレータ24を経て圧縮機25に吸入される。
【0100】
デフロスト運転中において、制御部115が室外熱交換器30の除霜を完了する条件が成立したと判断すると、空気調和システム100は、デフロスト運転を終了して、通常の運転(全暖房運転)を再開する。室外熱交換器30の除霜を完了する条件は、例えば室外熱交換器30を流れる冷媒の温度及び圧力、室外熱交換器30を通過する空気温度、デフロスト運転の継続時間等に基づいて判断される。
【0101】
(デフロスト運転中の熱回収ユニットによる処理について)
空気調和システム100では、デフロスト運転中に、制御部115(
図7参照)によって、第1遮断弁161を全閉、第2遮断弁162を全開、第3遮断弁163を全開とするとともに、給気ファン137を停止し、かつ、排気ファン138を運転させる。
【0102】
このため、空気調和システム100では、デフロスト運転中に、第1連絡管11を流れる液冷媒を、バイパス管16を介して補助冷媒回路RC2へ流すことができる。バイパス管16から第2補助冷媒管135bに流れた液冷媒は、排気側補助熱交換器132へ流入する。液冷媒は、排気側補助熱交換器132で排気EAと熱交換して蒸発する。蒸発したガス冷媒は、第1補助冷媒管135a、補助熱交換器用切換弁133、及び第2分岐配管15を介して、第3連絡管13を流れて室外ユニット110に流入し、アキュムレータ24を経て圧縮機25に吸入される。
【0103】
空気調和システム100では、デフロスト運転中に排気EAから熱回収することができるため、デフロスト運転中の運転効率をよくすることができる。空気調和システム100では、デフロスト運転中に熱源側冷媒回路RC1を流れる冷媒量を増やすことができるため、室外熱交換器30に付着した霜をより短時間で除去することが可能となる。これにより、デフロスト運転の所要時間を短縮することができ、第1空間S11について空調が行われない期間を短くすることで、第1空間S11にいるユーザの快適度を向上させることができる。
【0104】
空気調和システム100では、デフロスト運転中に給気ファン137を停止することができる。このため、空気調和システム100では、デフロスト運転中に温度の低い外気OAが第1空間S11に供給されるのを抑制することができる。
【0105】
空気調和システム100では、制御部115(
図7参照)によってデフロスト運転中に電動弁136を閉としている。これにより、バイパス管16から補助冷媒配管135に流入する液冷媒の給気側補助熱交換器131側への供給を遮断することができる。このため、空気調和システム100では、デフロスト運転中に外気OAが給気側補助熱交換器131において熱交換して冷却され、第1空間S11に冷却された外気OAが流入するのを確実に抑制することができる。
【0106】
空気調和システム100では、制御部115(
図7参照)によってデフロスト運転中に第1遮断弁161を閉としている。これにより、バイパス管16から補助冷媒配管135に流入する液冷媒の給気側補助熱交換器131側への供給をより確実に遮断することができる。このため、空気調和システム100では、デフロスト運転中に外気OAが給気側補助熱交換器131において熱交換して冷却され、第1空間S11に冷却された外気OAが流入するのをより確実に抑制することができる。
【0107】
[実施形態の作用効果]
上述した本実施形態における空気調和システム100は、圧縮機25と室外熱交換器30とを含む熱源側冷媒回路RC1を有する室外ユニット110と、第1空間S11に配置され、室内熱交換器52を有する室内ユニット120と、室内熱交換器52を有する室内ユニット120と、各室内熱交換器52を個別に蒸発器又は凝縮器として機能させるための中間冷媒回路RC3を有する切換ユニット70と、給気側補助熱交換器131、及び、補助冷媒配管135によって給気側補助熱交換器131と直列に接続された排気側補助熱交換器132を含む補助冷媒回路RC2と、給気側補助熱交換器131を通った外気を第1空間S11に供給する給気ファン137と、排気側補助熱交換器132を通った第1空間S11の空気を外部に放出する排気ファン138とを有する熱回収ユニット130と、熱回収ユニット130の動作を制御する制御部115と、を備え、熱源側冷媒回路RC1と中間冷媒回路RC3とが、液冷媒が流れる第1連絡管11、高圧のガス冷媒が流れる第2連絡管12、及び低圧のガス冷媒が流れる第3連絡管13により接続されており、補助冷媒回路RC2が、熱源側冷媒回路RC1と中間冷媒回路RC3との間において、第1連絡管11及び第2連絡管12に接続されており、補助冷媒配管135と第1連絡管11とを接続するバイパス管16を備える。
【0108】
以上のような構成では、第1連絡管11と補助冷媒配管135とを接続するバイパス管16を設けることによって、液冷媒を、バイパス管16から排気側補助熱交換器132を通して第3連絡管13に戻すことができる。これにより、室外熱交換器30の除霜運転中に、排気側補助熱交換器132を利用して排気EAから熱回収することが可能となる。
【0109】
上述した本実施形態における空気調和システム100は、補助冷媒配管135とバイパス管16の接続位置Pよりも給気側補助熱交換器131側の補助冷媒配管135上に設けられた電動弁136をさらに備えている。空気調和システム100は、室外熱交換器30を除霜するデフロスト運転中、第2連絡管12と給気側補助熱交換器131とが接続されるとともに、第3連絡管13と排気側補助熱交換器132とが接続されており、制御部115が、電動弁136を閉止させる。
この構成によれば、室外熱交換器30を除霜するデフロスト運転中に、液冷媒が、給気側補助熱交換器131側へ流れるのを防止することができる。これにより、デフロスト運転時に、液冷媒を、バイパス管16から排気側補助熱交換器132を通して第3連絡管13に確実に戻すことができる。この場合、給気側補助熱交換器131によって熱交換された冷風が、給気ファン137によって第1空間S11に供給されるのを抑制することができる。またこの場合、デフロスト運転の開始から完了までの時間を短縮することができる。
【0110】
上述した本実施形態における空気調和システム100は、第2連絡管12と給気側補助熱交換器131とを接続する第1分岐配管14上に設けられた第1遮断弁161をさらに備えている。空気調和システム100は、室外熱交換器30を除霜するデフロスト運転中、第2連絡管12と給気側補助熱交換器131とが接続されるとともに、第3連絡管13と排気側補助熱交換器132とが接続されており、制御部115が、第1遮断弁161を閉止させる。
この構成によれば、デフロスト運転中に、液冷媒が、給気側補助熱交換器131側へ流れるのを確実に抑制することができる。
【0111】
上述した本実施形態における空気調和システム100は、室外熱交換器30を除霜するデフロスト運転中、第2連絡管12と給気側補助熱交換器131とが接続されるとともに、第3連絡管13と排気側補助熱交換器132とが接続されており、制御部115が、排気ファン138を運転させ、かつ、給気ファン137を停止させる。
この構成によれば、排気側補助熱交換器132によって、デフロスト運転中に第1空間S11の排気EAから熱回収することができる。
【0112】
上述した本実施形態における空気調和システム100は、冷媒として可燃性冷媒であるR32を用いている。空気調和システム100は、第3連絡管13と排気側補助熱交換器132とを接続する第2分岐配管15上に設けられた第2遮断弁162と、バイパス管16上に設けられた第3遮断弁163と、をさらに備えている。
この構成によれば、第1~第3遮断弁161,162,163を閉じることによって熱源側冷媒回路RC1と補助冷媒回路RC2とを完全に分離することができる。これにより、熱回収ユニット130から冷媒が漏洩した場合において、当該熱回収ユニット130からの冷媒の漏洩量を抑制することができる。
【符号の説明】
【0113】
11 :第1連絡管
12 :第2連絡管
13 :第3連絡管
16 :バイパス管
25 :圧縮機
30 :室外熱交換器(第1熱交換器)
52 :室内熱交換器(第2熱交換器、第3熱交換器)
70 :中間ユニット
RC1 :熱源側冷媒回路(第1冷媒回路)
RC2 :補助冷媒回路
RC3 :中間冷媒回路
100 :空気調和システム
110 :室外ユニット(第1ユニット)
115 :制御部
120 :室内ユニット(第2ユニット)
130 :熱回収ユニット
131 :給気側補助熱交換器(第1補助熱交換器)
132 :排気側補助熱交換器(第2補助熱交換器)
135 :補助冷媒配管(第1冷媒配管)
136 :電動弁
137 :給気ファン
138 :排気ファン
151 :給気通路
152 :排気通路
161 :第1遮断弁
162 :第2遮断弁
163 :第3遮断弁
S11 :第1空間
P :接続位置