(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】固形化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/895 20060101AFI20250312BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20250312BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20250312BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20250312BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20250312BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
A61K8/895
A61K8/25
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/89
A61Q1/02
(21)【出願番号】P 2019022039
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-12-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】西村 佳世子
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】野田 定文
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-218469号公報(JP,A)
【文献】国際公開第06/120876号(WO,A1)
【文献】特開2005-314369号公報(JP,A)
【文献】特開2016-124863号公報(JP,A)
【文献】特開2012-184207号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)シリコーンエラストマー 5~15質量%
成分(B)イソドデカン
成分(C)トリメチルシロキシケイ酸 0.1~10質量%
成分(D)光輝性粉体 20~60質量%、及び、
成分(E)液状の脂肪酸エステル油
を配合し、前記成分(A)及び成分(D)を含む粉体全量が全化粧料中40~70質量%であり、
ファニキュラー領域にある固形化粧料。
【請求項2】
酸化チタン被覆ガラス末を、固形化粧料全体に対して0.1~10質量%含有する請求項1記載の固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション、アイシャドウ、チークカラーなどのメーキャップ化粧料の分野において、油性化粧料及び粉体化粧料が一般的に知られている。最近では、粉体化粧料と油性化粧料の中間の領域、例えばファニキュラー領域と呼ばれる領域の化粧料の開発が行われてきた。また。このようなファニキュラー領域の化粧料として、使用時に高い弾力性を有し、心地よい使用感の化粧料が検討されてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、粉体化粧料と油性化粧料の中間の領域においては、従来の粉体化粧料や油性化粧料では得られない、独特の弾力性をもつユニークな使用感の、弾性ゲル状化粧料の検討がなされている。
しかしながら、特許文献1では、一般的な固形粉末化粧料と比べて液状シリコーン油を多く配合することから、化粧塗膜に経時でヨレが生じやすく、化粧持ちにおいて満足できるものではなかった。
【0004】
特許文献2では、ラウロイルリシン粉末や球状シリコーン粒子を配合することで、密着感及び化粧持ちに優れるソフトな感触の固形化粧料が検討されている。
しかしながら、特許文献2では伸び広がりやソフトな感触に優れるものの、アイシャドウのような動きの多い部位周辺に適用する製剤としては化粧持ちが十分ではなく、粒径の大きい光輝性粉体を多量に配合すると、経時で粉落ち等の問題が生じた。
【0005】
さらに、特許文献3にはイヌリン脂肪酸エステルを配合することで実使用性に優れた弾性ゲル状油性化粧料が公開されている。しかしながら、イヌリン脂肪酸を配合することで、使用時にべたつきが生じ、サラサラとした使用感を得るのは困難であった。
【0006】
特許文献4では、常温で液状の油剤と粉体の特定の特定比率の領域において、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物と、皮膜形成成分である特定のデキストリン脂肪酸エステルとを組み合わせることにより、使用時に高い弾力性を有し、耐水性、耐皮脂性に優れた均一な化粧膜が形成される化粧料が開示されている。しかしながら、特定のデキストリン脂肪酸エステルはタック性を有するものであることから使用時のべたつきが生じやすく、サラサラとした使用感を得ることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-314369号公報
【文献】特許第5784932号
【文献】特開2008-273942号公報
【文献】特開2016-190838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、とれや塗布時の伸び広がりが良好で、べたつきがなく、化粧持続性・均一性等に優れ、さらには視覚効果にも優れた化粧膜が形成される固形化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、成分(A)シリコーンエラストマー 5~15質量%
成分(B)イソドデカン
成分(C)トリメチルシロキシケイ酸 0.1~10質量%
成分(D)光輝性粉体 20~60質量%、及び、
成分(E)液状の脂肪酸エステル油
を配合し、上記成分(A)及び成分(D)を含む粉体全量が全化粧料中40~70質量%であり、
ファニキュラー領域にある固形化粧料に関する。
酸化チタン被覆ガラス末を、固形化粧料全体に対して0.1~10質量%含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の固形化粧料は、使用時に弾力性を有し、耐水性、化粧持ちに優れたものであって、べたつきのない使用感と発色の良さ、塗布後優れた視覚効果を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、従来公知の化粧品材料を特定の範囲で組み合わせることにより、使用時の弾力性と、化粧料としての性能とを併せ持った固形化粧料を開発したものである。
【0012】
光輝性粉体は、ふわふわとした感触であるため塗布後の粉飛びが起こりやすく、化粧持ちが低下しやすい傾向にあった。このため、化粧料に高配合する場合は、化粧崩れが顕著になるという問題があった。本発明においては、特定の化粧料ベースに高配合することで上述のとれを改善し、さらに粉飛びや化粧持ちの問題も解決することができた。さらには、光輝性粉体を高配合したものであるため、特徴的な優れた視覚効果を有する化粧膜を得ることができるものである。
【0013】
本発明の固形化粧料は、成分(A)シリコーンエラストマーを配合したものである。上記シリコーンエラストマーは、シリコーンポリマーを三次元網目状につないだ、架橋ポリマーのことを示す。上記シリコーンエラストマーを配合することにより、弾力性のある油性化粧料を得ることができる。本発明に用いられる成分(A)のシリコーンエラストマーは、固体状のまま使用してもよく、液状油と均一に混合したものを使用してもよい。化粧料中への分散性を向上させる観点から、液状油と混合した分散液として用いるのが好ましい。
【0014】
上記シリコンエラストマーとしては特に限定されず、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(PEG-15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等があげられる。
【0015】
これらのシリコーンエラストマーのうち、使用感の観点から(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上を、本発明の化粧料中に含有することが好ましい。
【0016】
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、化粧料にそのまま配合しても、液状油に分散させた油分散体として配合してもよく、固体状のものとして、トレフィルE-506S(有効分100質量%)(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられ、油分散体として、デカメチルシクロペンタシロキサン(KF-995)との混合物であるKSG-15(有効分7質量%)、低粘度ジメチルポリシロキサン(KF-96A-6cs)との混合物であるKSG-16(有効分25質量%)(以上、信越化学工業社製)、ジメチコンとの混合物であるトレフィルE-508(有効分70%)などの市販品を用いることができる。
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーとしては、固体状のもとして、KSP-100(有効分100質量%)(信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーとしては、固体状のもとして、KSP-300(有効分100質量%)(信越化学工業社製)などの市販品を用いることができる。
【0017】
成分(A)の含有量は、製品の弾力感とユニークな使い心地の観点から、固形化粧料全体に対して5~15質量%である。5質量%より少ないと弾力のあるソフトな感触が得られにくく、15質量%よりも多いと耐衝撃性に弱くなる傾向がある。上記成分(A)の含有量は、7~13質量%がより好ましい。
【0018】
本発明の固形化粧料は、成分(B)としてイソドデカンを含むものである。上記イソドデカンを配合することにより、イソドデカンが揮発後に化粧膜が密着し、化粧持ちを高めることができる。上記イソドデカンとしては、具体的な市販品としてマルカゾールR(丸善石油化学株式会社製)、パーメチル99A(INEOS MANUFACTURING DEUTSCHLAND製)が例示できる。
【0019】
成分(B)の含有量は、固形化粧料全体に対して0.1~10質量%が好ましく、1~5質量%がより好ましい。0.1質量%以下だと十分な化粧持ち効果が発揮されにくく、10質量%よりも多いと内容物の収縮が懸念される。
【0020】
さらに、本発明の固形化粧料は、成分(C)として皮膜形成性樹脂を配合するものである。本発明に用いられる成分(C)である皮膜形成性樹脂は、揮発性溶媒等に溶解させたのち、該混合溶液をシャーレに広げて乾燥させた後、皮膜を形成する性質を有する樹脂のことである。上記皮膜形成性樹脂としては特に限定されず、化粧料に通常使用されるものであれば利用することができる。ただし、得られた皮膜は乾燥に伴い割れが生じてもよく、一枚の膜として得られなくてもよい。
【0021】
上記皮膜形成性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、炭化水素樹脂等が挙げられる。これらの皮膜形成性樹脂のなかでも、耐水性、耐皮脂性に優れる点でシリコーン樹脂がより好ましい。上記シリコーン樹脂としては、具体的には、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン等が挙げられ、なかでも、トリメチルシロキシケイ酸を用いることが特に好ましい。上記皮膜形成性樹脂として、これらのうち1種又は2種以上を含有することができる。
【0022】
上記皮膜形成性樹脂の市販品としては、SR1000(トリメチルシロキシケイ酸)、SILFORM FLEXIBLE RESIN(ポリメチルシルセスキオキサン)(モメンティブ社製)等が挙げられる。
これらを使用する場合は、成分(B)のイソドデカンに溶解して使用するのが好ましいが、これに限るものではなく、シクロペンタシロキサン等の揮発性油剤や、他の不揮発性油剤に溶解して使用してもよい。
【0023】
また、上記シリコーン樹脂は揮発性油剤と混合された市販品を用いることもでき、このような混合物としては、例えば、X-21-5616(トリメチルシロキシケイ酸60部とイソドデカン40部)(信越化学社製)等が挙げられ、これらを1種又は2種以上含有することができる。
【0024】
本発明における成分(C)の含有量は特に制限されないが、固形化粧料全体に対して0.1~10質量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、1~7質量%である。
【0025】
本発明の固形化粧料は、成分(D)として光輝性粉体を配合したものである。上記光輝性粉体は、光の反射、干渉、拡散等により光沢を有する粉体である。このような成分(D)としては特に限定されず、例えば、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆合成雲母、合成金雲母、合成雲母、ガラス末、酸化チタン被覆ガラス末、窒化硼素、オキシ塩化ビスマス、アルミニウム末等が挙げることができる。上記光輝性粉体としては、これらのうち1種又は2種以上を配合することができる。
【0026】
成分(D)の含有量は、固形化粧料全体に対して20~60質量%であり、25~50質量%がより好ましい。成分(D)の含有量が、20質量%未満であると仕上がりに良好な艶感を付与できず、60質量%を超えると粉っぽさを生じ、弾力のある良好な感触や伸び広がり性が悪くなるため好ましくない。
【0027】
成分(D)の光輝性粉体の平均粒径は特に限定されないが、良好な光輝性を与える観点より、1~200μmが好ましく、25~190μmがより好ましい。なお、成分(D)の光輝性粉体は、フッ素化合物、シリコーン化合物、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等の通常公知の処理剤により表面処理を施したものであってもよい。
また、上記粉体は、着色を目的として、酸化鉄、群青、紺青等の無機顔料、赤色202号、赤色226号、黄色4号、黄色401号、黄色205号、青色1号、青色404号などの有機色素、カルミン等の天然色素等から選ばれる1種又は2種以上の色材を処理したものであってもよい。
【0028】
成分(D)の光輝性粉体は、市販品として、酸化チタン被覆雲母及びその色材処理品である、チミロンスーパーレッド、チミロンスーパーブルー、チミロンスーパーゴールド、チミロンスプレンディッドレッド、チミロンスプレンディッドブルー、チミロンスプレンディッドゴールド、チミロンスプレンディッドバイオレット〔何れも、メルク社製〕、フラメンコオレンジ、フラメンコレッド、フラメンコブルー、フラメンコスーパーパール、フラメンコスパークルオレンジ、フラメンコスパークルレッド、フラメンコスパークルブルー、フラメンコラージスパークル、クロイゾネブルー、クロイゾネレッド、クロイゾネコッパー、クロイゾネルージュフランベ、デュオクロムYR、デュオクロムBR、デュオクロムRY、デュオクロムGY〔何れも、エンゲルハード社製〕、酸化チタン被覆合成金雲母である、プロミネンスSF、プロミネンスBF、プロミネンスRYE、プロミネンスGF、プロミネンスRYF、プロミネンスYF、プロミネンスVH、プロミネンスSH〔何れも、トピー工業社製〕、等が挙げられる。
【0029】
さらに成分(D)は、酸化チタン被覆ガラス末を配合することが好ましい。酸化チタン被覆ガラス末を配合することで仕上がりの艶感が特に良好となる。これまでは酸化チタン被覆ガラス末を多量に配合すると、目元に使用した場合に酸化チタン被覆ガラス末が頬に落ちてくる等の化粧持ちでの課題があった。しかしながら、本発明において成分(B)揮発性油剤、及び成分(C)皮膜形成性樹脂との組合せにより、酸化チタン被覆ガラス末由来の艶感のある美しい仕上がりが持続し、化粧料を塗布した部位以外に酸化チタン被覆ガラス末が散ってしまうという問題を解決することができた。
上記酸化チタン被覆ガラス末の市販品としては、メタシャイン1040RS、メタシャイン1080RS、メタシャイン1120RS〔何れも、日本板硝子社製〕等が挙げられる。
【0030】
上記酸化チタン被覆ガラス末の含有量は、固形化粧料全体に対して0.1~15質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、効果が得られないおそれがあり、15質量%を超えると、ジャリジャリとした使用感が強くなり、滑らかな感触が損なわれるため好ましくない。上記含有量は、下限が1質量%であり、上限が13質量%であることがより好ましい。
【0031】
さらに、本発明における固形化粧料は、成分(A)と成分(D)を含む粉体の総量が固形化粧料全体に対して40~70質量%であることを特徴とする。粉体の総量がこの範囲であると、特徴的な弾力のある良好な感触の化粧料を得ることができる。
固形化粧料全体に対しての粉体の総量が40質量%未満であると、油性感が増し、ベタつきが生じ、弾力のある良好な感触も得られにくくなる。70質量%を超えると粉っぽさを生じ弾力のある良好な感触や延び広がり性が悪くなるため好ましくない。
【0032】
本発明の固形化粧料は、成分(A)及び(D)以外の粉体を含有してもよい。他の粉体としては特に限定されず、通常化粧料に用いられるものであれば任意に使用することができる。これらの粉体の大きさ、形状等は限定されず、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明に用いられる成分(E)は液状の脂肪酸エステル油であり、液状とは常温で粘度100cs以下を意味する。成分(E)は本発明において、成分(A)シリコーンエラストマーや、成分(B)イソドデカンとの相溶性の観点から好ましい。
【0034】
なお、本発明において粘度は、B型粘度計、例えば、単一円筒型回転粘度計ビストロンVS-A1(芝浦システム社製)で20℃の条件下で測定した値である。
【0035】
成分(E)は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソセチル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル等が挙げられる。成分(E)はこれらの中でも特にイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(日清オイリオグループ社製)、等を用いることができる。
市販品として、サラコス99、サラコス913、エステモールN-01(日清オイリオグループ社製)等を用いることができる。
【0036】
本発明の成分(E)の含有量は、特に限定されるものではないが、固形化粧料全体に対して1~20質量%が好ましく、2~6質量%がより好ましい。
【0037】
本発明の固形化粧料は、成分(E)以外の油性成分を含有してもよい。他の油性成分としては液状油、半固形油、固形油等のいずれであってもよく、通常化粧料に用いられるものであれば任意に使用することができる。
【0038】
他の油性成分としては液状シリコーン油を含有してもよいが、含有量は固形化粧料全体に対して30質量%以下が好ましい。含有量が30質量%を超えると化粧膜によれが生じやすくなるおそれがある。
【0039】
本発明の固形化粧料には、上記の必須成分のほかに、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、水性成分、水溶性高分子、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、染料、顔料、香料、保湿剤、美白剤及び抗炎症剤などの薬効成分などを適宜添加することができる。
【0040】
本発明の固形化粧料の製造方法としては特に限定されないが、必要に応じて油剤成分を加温した上で均一混合し、ミキサーで撹拌しながら粉末成分に添加する方法等を挙げることができる。
また、充填方法としては特に限定されないが、バルクが噛み込んだ空気を抜くことができるため、押出し成形装置により充填することが好ましい。
【0041】
本発明の固形化粧料は、メーキャップ化粧料として好適に使用することができ、より具体的には例えば、ファンデーション、頬紅、アイシャドウ、アイライナー等として用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例を示して本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%を表す。
【0043】
実施例に先立ち、本発明で用いた試験方法、評価方法を説明する。
(評価方法1、2:官能特性(弾力のある感触、とれの良さ、化粧膜の均一性・密着感)及び化粧持ち)
化粧品評価専門パネル20名に実施例及び比較例の化粧料を使用してもらい、官能特性(弾力のある感触、とれの良さ、化粧膜の均一性・密着感)及び化粧持ちについて各自が以下の基準に従って5段階評価し、化粧料毎に評点を付し、さらに全パネルの評点の平均点を以下の4段階の判断基準に従って判定した。なお、化粧持ちについては、化粧料塗布直後の状態と塗布後5時間(日常生活)の状態を比較し、評価した。
【0044】
(評価基準)
評価結果 : 評点
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
(判定基準)
評点の平均点 : 判定
4.5以上 : ◎
3.5以上~4.5未満: ○
1.5以上~3.5未満: △
1.5未満 : ×
【0045】
実施例1~7及び比較例1~11の固形化粧料は、次の原料を混合して得られた化粧料基材を押出し成形し、プレスして空気を抜くことで調製した。
なお、表中、デカメチルシクロペンタシロキサンは、KSG-15に含まれるベースオイルに由来する。また、低粘度ジメチルポリシロキサンは、KSG-16に含まれるベースオイルに由来する。表1中の、シリコーンエラストマー配合量は有効分換算である。
【0046】
KSG-15(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 有効分7% デカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物 信越化学工業社製
KSG-16(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 有効分25% 低粘度ジメチルポリシロキサンとの混合物 信越化学工業社製
KSP-100(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 有効分100% 信越化学工業社製
KSP-300(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン) 有効分100% 信越化学工業社製
デカメチルシクロペンタシロキサン:KF-995 信越化学工業社製
イソドデカン:X-21-5616 トリメチルシロキシケイ酸60部とイソドデカン40部 信越化学工業社製
トリメチルシロキシケイ酸:X-21-5616 トリメチルシロキシケイ酸60部とイソドデカン40部 信越化学工業社製
低粘度ジメチルポリシロキサン:KF-96A-6cs 信越化学工業社製
フェニル変性シリコーン油:シリコーンKF-56A 信越化学工業社製
イソノナン酸イソトリデシル:サラコス99 日清オイリオグループ社製
酸化チタン被覆雲母(平均粒径25~60μm) チミロンシリーズ(メルク社製)
酸化チタン被覆ガラス末(平均粒径40~120μm) メタシャインシリーズ 日本板硝子社製
デキストリン脂肪酸エステル:レオパールKS2(千葉製粉社製)
【0047】
【0048】
表1の結果より、本発明の固形化粧料は弾力のある感触を有しつつ、化粧料としての性能にも優れていることが示された。また、本発明の要件を満たさない比較例1~9は、すべての項目を同時に満たすことはできなかった。また、デキストリン脂肪酸エステルを追加した比較例10は、光輝性粉体が同量である比較例3と比べて、さらりとした使用感が低下していることが示された。また、通常の粉末化粧料に光輝性粉体を高配合した比較例11は、化粧膜の均一性・密着感及び化粧持ちが不充分であった。