(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】場所打ち杭の施工方法、該施工方法に用いる吊荷仮受装置、及び場所打ち杭用の掘削機
(51)【国際特許分類】
E02D 5/34 20060101AFI20250312BHJP
E04B 1/16 20060101ALI20250312BHJP
E04B 1/35 20060101ALI20250312BHJP
E04C 5/16 20060101ALI20250312BHJP
E04G 21/12 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
E04B1/16 A
E04B1/35 K
E04B1/35 G
E04C5/16
E04G21/12 105B
(21)【出願番号】P 2024178752
(22)【出願日】2024-10-11
【審査請求日】2024-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310022992
【氏名又は名称】株式会社 CUP商会
(74)【代理人】
【識別番号】100096080
【氏名又は名称】井内 龍二
(74)【代理人】
【識別番号】100194098
【氏名又は名称】高田 一
(72)【発明者】
【氏名】勝本 祐司
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-069577(JP,A)
【文献】特開2006-083664(JP,A)
【文献】中国実用新案第215406021(CN,U)
【文献】中国実用新案第215857660(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/34
E04B 1/16
E04B 1/35
E04C 5/16
E04G 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋籠を連結しながら杭穴に建て込む建込工程を含む場所打ち杭の施工方法であって、
前記建込工程が、
クレーンで吊られた上側の鉄筋籠と、前記杭穴に先に吊り込んで、該杭穴より所定量突出させた状態で前記杭穴に吊り下げられた下側の鉄筋籠とを連結する連結工程を含み、
該連結工程が、
前記クレーンで吊られた吊荷を仮受けする吊荷仮受装置で前記上側の鉄筋籠を仮受けした状態で、該上側の鉄筋籠の下部と、前記下側の鉄筋籠の上部とを連結具で連結する工程を含むことを特徴とする場所打ち杭の施工方法。
【請求項2】
前記鉄筋籠が、複数の主筋と、これら主筋と交差して配設される複数のフープ筋と、前記複数の主筋と交差して配設される複数の補強リングとを含んで構成され、
前記連結工程において、
前記上側の鉄筋籠を構成する最下段の補強リングを前記吊荷仮受装置の仮受け部で受け止めることにより前記上側の鉄筋籠を仮受けすることを特徴とする請求項1記載の場所打ち杭の施工方法。
【請求項3】
前記最下段の補強リングを少なくとも4カ所で受け止めるように前記仮受け部を前記最下段の補強リングの下に配設することを特徴とする請求項2記載の場所打ち杭の施工方法。
【請求項4】
前記建込工程が、
前記連結工程において前記上側の鉄筋籠と前記下側の鉄筋籠とを連結した後、前記吊荷仮受装置で前記上側の鉄筋籠を仮受けした状態を解除してから、前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠と前記下側の鉄筋籠とを前記杭穴に吊り込む工程を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかの項に記載の場所打ち杭の施工方法。
【請求項5】
前記杭穴は、地盤にケーシングを圧入し、継ぎ足しながら前記ケーシング内を掘削して形成され、
前記建込工程の後、前記杭穴に前記鉄筋籠を吊った状態で生コンを前記杭穴に打設する打設工程を含み、
該打設工程が、
前記生コンを所定高さまで打設した後、前記鉄筋籠を前記クレーンで吊った状態で前記ケーシングを1個分引き抜いて切り離した後、撤去するケーシング撤去工程を繰り返し行う工程を含み、
前記ケーシング撤去工程が、
切り離した前記ケーシングを前記クレーンで吊って支持する工程と、
前記クレーンで吊って支持した前記ケーシングを前記吊荷仮受装置で仮受けした状態にする仮受工程と、
該仮受工程の後、前記クレーンで吊った状態の前記鉄筋籠を前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り替える第1吊替工程と、を含むことを特徴とする請求項1記載の場所打ち杭の施工方法。
【請求項6】
前記打設工程が、
前記杭穴にトレミー管を建て込み、該トレミー管を前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り下げた後、前記トレミー管に前記生コンを流し込む工程を含み、
前記ケーシング撤去工程が、
前記生コンを所定高さまで打設した後、前記トレミー管を前記クレーンで吊って支持し、
前記仮受工程の後、前記クレーンで吊って支持された前記トレミー管を前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り替える第2吊替工程をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の場所打ち杭の施工方法。
【請求項7】
前記打設工程が、
前記ケーシング撤去工程の後に、前記吊荷仮受装置を所定位置に戻す戻し工程と、
前記鉄筋籠を前記クレーンで吊り下げた状態に吊り替える第3吊替工程と、を含むことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の場所打ち杭の施工方法。
【請求項8】
前記打設工程が、
前記ケーシング撤去工程の前又は後に、前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り下げられた前記トレミー管を前記クレーンで吊り下げた状態に吊り替えて、前記トレミー管を引き上げて一部を切り離した後に撤去するトレミー管撤去工程を含むことを特徴とする請求項6記載の場所打ち杭の施工方法。
【請求項9】
請求項1記載の場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置であって、
前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠を前記杭穴の上方で仮受けするための仮受け部と、
該仮受け部を支持する支持機構とを備えていることを特徴とする吊荷仮受装置。
【請求項10】
前記支持機構が、前記仮受け部を所定方向に移動させる移動機構と、該移動機構が取り付けられる基部とを含んで構成され、
前記仮受け部が、1以上の門型架台と、該門型架台に配設された仮受け治具とを含んで構成され、
前記門型架台の脚部の間隔が、前記杭穴の直径よりも大きく、
前記移動機構が、前記門型架台の脚部を移動可能に支持する案内部を含んで構成されていることを特徴とする請求項9記載の吊荷仮受装置。
【請求項11】
前記仮受け治具が、
前記上側の鉄筋籠の補強リングに係止させる係止部と、
該係止部が出し入れ可能に収容される収容部とを備えていることを特徴とする請求項10記載の吊荷仮受装置。
【請求項12】
前記門型架台の脚部が伸縮可能に構成されていることを特徴とする請求項10又は請求項11記載の吊荷仮受装置。
【請求項13】
前記仮受け部が、仮受けした前記上側の鉄筋籠の倒潰を防止するためのガードを備えていることを特徴とする請求項9~11のいずれかの項に記載の吊荷仮受装置。
【請求項14】
請求項5記載の場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置であって、
前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠、及び切り離した前記ケーシングを場所打ち杭用の掘削機の上方で仮受けするための仮受け部と、
該仮受け部を支持する支持機構とを備えていることを特徴とする吊荷仮受装置。
【請求項15】
前記支持機構が、前記仮受け部を所定方向に移動させる移動機構と、該移動機構が取り付けられる基部とを含んで構成され、
前記基部又は前記移動機構が前記掘削機に取り付け可能に構成されていることを特徴とする請求項14記載の吊荷仮受装置。
【請求項16】
前記仮受け部が、1以上の門型架台と、該門型架台に配設された仮受け治具とを含んで構成され、
前記門型架台の脚部の間隔が、前記ケーシングの直径よりも大きく、
前記移動機構が、前記門型架台の脚部を移動可能に支持する案内部を含んで構成され、
該案内部が、前記ケーシングの直径よりも長いことを特徴とする請求項15記載の吊荷仮受装置。
【請求項17】
前記仮受け治具が、
少なくとも前記上側の鉄筋籠の補強リングに係止可能な係止部と、
該係止部が出し入れ可能に収容される収容部とを備えていることを特徴とする請求項16記載の吊荷仮受装置。
【請求項18】
請求項14~17のいずれかの項に記載の吊荷仮受装置を備えていることを特徴とする場所打ち杭用の掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場所打ち杭の施工方法、該施工方法に用いる吊荷仮受装置、及び場所打ち杭用の掘削機に関し、特に、施工時の作業安全性を高めることができる場所打ち杭の施工方法、該施工方法に用いる吊荷仮受装置、及び場所打ち杭用の掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の建設現場では、構造物の耐震強度等を高めるため地盤に杭を打ち込み、構造物を支える杭基礎を形成する工法が一般に採用されている。杭基礎の施工法の一つに場所打ち杭による施工方法がある。場所打ち杭とは、例えば、円筒状に組み立てられた鉄筋籠を掘削した杭穴内に建て込み、建て込み後に生コンを杭穴内に打設し、固めて形成したものである。場所打ち杭による施工方法には、地面を掘削する方法等の違いにより、オールケーシング工法、アースドリル工法、リバース工法などのいくつかの工法が知られている。
【0003】
オールケーシング工法による場所打ち杭の概略的な施工工程は、以下のとおりである(例えば、下記の特許文献1を参照)。
(1)掘削機を据え付ける。(2)掘削機によるケーシング(ケーシングチューブともいう)の圧入、ハンマグラブなどによるケーシング内部の掘削、及びケーシングの連結を繰り返し、所定深度(支持層)まで掘削して杭穴を形成する。(3)杭穴に鉄筋籠を連結しながら建て込む。(4)杭穴にトレミー管を建て込み、生コンを打設する。(5)埋め戻し作業を行う。
【0004】
上記のような場所打ち杭の施工工程には、クレーンを用いてケーシングや鉄筋籠などの吊荷を吊った状態で作業を行う工程が含まれている。
例えば、鉄筋籠を連結しながら杭穴に建て込む建込工程では、クレーンで下側の鉄筋籠を杭穴に吊り込み、下側の鉄筋籠の上部を杭穴(ケーシングの開口部)より突出させた状態で下側の鉄筋籠をケーシングの開口部に吊り筋用の治具を用いて仮支持させる。次にクレーンで上側の鉄筋籠を吊って下側の鉄筋籠の真上に移設し、クレーンで吊った上側の鉄筋籠と、杭穴に仮支持された下側の鉄筋籠とを連結し、連結した鉄筋籠を杭穴に吊り込む作業が繰り返し行われるようになっている。
【0005】
上記建込工程に関して、下記の特許文献1には、下側の鉄筋籠の主筋と上側の鉄筋籠の主筋とを作業者が機械式継手で連結する作業例が記載されている。また、下記の特許文献2には、下側の鉄筋籠の主筋と上側の鉄筋籠の主筋とを作業者がUボルトなどの金具で連結する作業例が記載されている。
【0006】
また、上記建込工程後の生コンを打設する工程においては、一般的に、杭穴に鉄筋籠を自立状態とし、生コンの投入量に合わせてケーシングの一部を杭穴から引き抜いて切り離し、切り離したケーシングをクレーンで仮置き場に降ろす撤去作業が繰り返し行われるようになっている。
【0007】
ところが、近年、場所打ち杭を構築する鉄筋籠は、巨大地震に対抗するため、特に地震時に水平力を受ける杭頭の配筋の太径化及び多本数化が著しくなっており、杭頭の過大な荷重を従来同様の脚部主筋、すなわち、杭頭の鉄筋籠と比べて細径、及び低本数の主筋からなる鉄筋籠が支える配筋になってきている。このように、近年の鉄筋籠は、従前の鉄筋籠とは、その配筋、杭自体の構造、及び杭長が著しく変化してきている。
【0008】
そのため、上記生コンを打設する工程において、従前のように、杭穴に鉄筋籠を自立状態とした場合、鉄筋の自重や生コンの沈下などの影響により鉄筋籠に座屈が発生する虞があり、係る座屈の発生を防止する対策が必要になってきている。その対策の一つとして、上記生コンを打設する工程において、杭穴に鉄筋籠を自立状態とするのではなく、クレーンなどで吊り下げた状態で生コンを打設することが行われている。
【0009】
[発明が解決しようとする課題]
上記鉄筋籠を連結しながら建て込む工程では、クレーンで上側の鉄筋籠を吊った状態、すなわち、上側の鉄筋籠が揺動しやすい不安定な状態、かつ吊荷である上側の鉄筋籠の真下で、上側の鉄筋籠と下側の鉄筋籠とを作業者が機械式継手や金具などの連結具で連結しなければならず、作業安全性が十分に確保されていないという課題があった。
【0010】
また、上記生コンを打設する工程において、例えば、鉄筋籠をクレーンの親(主巻)フックを用いて吊り下げた状態で生コンを打設する場合、鉄筋籠を親フックで吊ったままの状態では、切り離したケーシングの撤去が行えないため、上記したケーシングの撤去作業を行う際、前記親フックを一旦フリーな状態にするために鉄筋籠の吊替作業を行わなければならなかった。
【0011】
すなわち、撤去するケーシングを1個分引き抜いて切り離した後、切り離したケーシングをクレーンの子(補巻)フックを用いて吊り上げ、吊り上げたケーシングの真下で、親フックを用いて吊り下げている鉄筋籠を、掘削機の作業台上に位置するケーシングの開口部に吊り筋用の治具などを用いて吊り替える作業を行い、前記親フックを一旦フリーな状態にしなければならなかった。
そのため、上記生コンを打設する工程においても、前記子フックを用いて吊り上げた前記ケーシングの真下、すなわち、吊荷の真下で鉄筋籠の吊替作業が行われ、作業安全性が十分に確保されていないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2022-242178号公報
【文献】特開2014-173418号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0013】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、施工時の作業安全性を高めることができる場所打ち杭の施工方法、その施工方法に用いる吊荷仮受装置、及び場所打ち杭用の掘削機を提供することを目的としている。
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係る場所打ち杭の施工方法(1)は、
鉄筋籠を連結しながら杭穴に建て込む建込工程を含む場所打ち杭の施工方法であって、
前記建込工程が、
クレーンで吊られた上側の鉄筋籠と、前記杭穴に先に吊り込んで、該杭穴より所定量突出させた状態で前記杭穴に吊り下げられた下側の鉄筋籠とを連結する連結工程を含み、
該連結工程が、
前記クレーンで吊られた吊荷を仮受けする吊荷仮受装置で前記上側の鉄筋籠を仮受けした状態で、該上側の鉄筋籠の下部と、前記下側の鉄筋籠の上部とを連結具で連結する工程を含むことを特徴としている。
【0015】
上記場所打ち杭の施工方法(1)によれば、前記連結工程において、前記吊荷仮受装置で前記上側の鉄筋籠を仮受けした状態で、該上側の鉄筋籠の下部と、前記下側の鉄筋籠の上部とを前記連結具で連結することが可能となる。
すなわち、前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠が前記吊荷仮受装置で安定した状態で仮支持されるため、前記連結工程において、前記上側の鉄筋籠が揺動したり、落下したりするような事故の発生を防止することができる。したがって、前記鉄筋籠の連結作業を行う作業者の安全を確保した状態で施工することが可能となり、施工時の作業安全性を高めることができる。
【0016】
また本発明に係る場所打ち杭の施工方法(2)は、上記場所打ち杭の施工方法(1)において、
前記鉄筋籠が、複数の主筋と、これら主筋と交差して配設される複数のフープ筋と、前記複数の主筋と交差して配設される複数の補強リングとを含んで構成され、
前記連結工程において、
前記上側の鉄筋籠を構成する最下段の補強リングを前記吊荷仮受装置の仮受け部で受け止めることにより前記上側の鉄筋籠を仮受けすることを特徴としている。
【0017】
上記場所打ち杭の施工方法(2)によれば、前記最下段の補強リングを前記吊荷仮受装置の仮受け部で受け止めることにより前記上側の鉄筋籠を仮受けする。したがって、前記吊荷仮受装置が前記上側の鉄筋籠の下部と前記下側の鉄筋籠の上部とを連結する作業の邪魔になることがなく、前記連結工程を円滑に行うことができ、施工時の作業性を高めることができる。
【0018】
また本発明に係る場所打ち杭の施工方法(3)は、上記場所打ち杭の施工方法(2)において、前記最下段の補強リングを少なくとも4カ所で受け止めるように前記仮受け部を前記最下段の補強リングの下に配設することを特徴としている。
【0019】
上記場所打ち杭の施工方法(3)によれば、前記最下段の補強リングを少なくとも4カ所で受け止めるように前記仮受け部を前記最下段の補強リングの下に配設するので、前記上側の鉄筋籠をより安定した状態で仮受けすることができる。
【0020】
また本発明に係る場所打ち杭の施工方法(4)は、上記場所打ち杭の施工方法(1)~(3)のいずれかにおいて、
前記建込工程が、前記連結工程において前記上側の鉄筋籠と前記下側の鉄筋籠とを連結した後、前記吊荷仮受装置で前記上側の鉄筋籠を仮受けした状態を解除してから、前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠と前記下側の鉄筋籠とを前記杭穴に吊り込む工程を含むことを特徴としている。
【0021】
上記場所打ち杭の施工方法(4)によれば、前記上側の鉄筋籠と前記下側の鉄筋籠とを連結した後、前記吊荷仮受装置で前記上側の鉄筋籠を仮受けした状態を解除してから、前記クレーンで吊った状態の前記上側の鉄筋籠と前記下側の鉄筋籠とを前記杭穴に吊り込むので、連結した鉄筋籠をより安全に前記杭穴に吊り込むことが可能となる。
【0022】
また本発明に係る場所打ち杭の施工方法(5)は、上記場所打ち杭の施工方法(1)~(4)のいずれかにおいて、
前記杭穴は、地盤にケーシングを圧入し、継ぎ足しながら前記ケーシング内を掘削して形成され、
前記建込工程の後、前記杭穴に前記鉄筋籠を吊った状態で生コンを前記杭穴に打設する打設工程を含み、
該打設工程が、
前記生コンを所定高さまで打設した後、前記鉄筋籠を前記クレーンで吊った状態で前記ケーシングを1個分引き抜いて切り離した後、撤去するケーシング撤去工程を繰り返し行う工程を含み、
前記ケーシング撤去工程が、
切り離した前記ケーシングを前記クレーンで吊って支持する工程と、
前記クレーンで吊って支持した前記ケーシングを前記吊荷仮受装置で仮受けした状態にする仮受工程と、
該仮受工程の後、前記クレーンで吊った状態の前記鉄筋籠を前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り替える第1吊替工程と、を含むことを特徴としている。
【0023】
上記場所打ち杭の施工方法(5)によれば、さらに、前記打設工程の前記ケーシング撤去工程において、切り離した前記ケーシングを前記クレーンで吊って支持する工程と、前記クレーンで吊って支持した前記ケーシングを前記吊荷仮受装置で仮受けした状態にする仮受工程と、該仮受工程の後、前記クレーンで吊った状態の前記鉄筋籠を前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り替える第1吊替工程とが行われる。
そのため、前記クレーンで吊って支持した前記ケーシングを前記吊荷仮受装置で仮受けした状態にしてから前記第1吊替工程、すなわち、前記鉄筋籠の吊替作業を行うことができる。
したがって、前記クレーンで吊って支持した前記ケーシングが落下するような事故の発生を防止することができ、前記鉄筋籠の吊替作業を行う作業者の安全を確保した状態で施工することが可能となり、施工時の作業安全性を高めることができる。
なお、前記鉄筋籠は、例えば、前記クレーンの第1巻上手段で吊り、前記切り離したケーシングは、前記クレーンの第2巻上手段で吊るようにすればよい。
【0024】
また本発明に係る場所打ち杭の施工方法(6)は、上記場所打ち杭の施工方法(5)において、
前記打設工程が、
前記杭穴にトレミー管を建て込み、該トレミー管を前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り下げた後、前記トレミー管に前記生コンを流し込む工程を含み、
前記ケーシング撤去工程が、
前記生コンを所定高さまで打設した後、前記トレミー管を前記クレーンで吊って支持し、
前記仮受工程の後、前記クレーンで吊って支持された前記トレミー管を前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り替える第2吊替工程をさらに含むことを特徴としている。
【0025】
上記場所打ち杭の施工方法(6)によれば、さらに、前記クレーンで吊って支持した前記ケーシングを前記吊荷仮受装置に仮受けさせた状態にしてから前記第2吊替工程、すなわち、前記トレミー管の吊替作業を行うことができる。
したがって、前記クレーンで吊って支持した前記ケーシングが落下するような事故の発生を防止することができ、前記トレミー管の吊替作業を行う作業者の安全を確保した状態で施工することが可能となり、施工時の作業安全性を高めることができる。
なお、前記トレミー管は、例えば、前記クレーンの第3巻上手段で吊るようにしてもよいし、又は前記第1巻上手段で吊るようにしてもよい。
【0026】
また本発明に係る場所打ち杭の施工方法(7)は、上記場所打ち杭の施工方法(5)又は(6)において、
前記打設工程が、
前記ケーシング撤去工程の後に、前記吊荷仮受装置を所定位置に戻す戻し工程と、
前記鉄筋籠を前記クレーンで吊り下げた状態に吊り替える第3吊替工程と、を含むことを特徴としている。
【0027】
上記場所打ち杭の施工方法(7)によれば、前記打設工程が、前記ケーシング撤去工程の後に、前記戻し工程と前記第3吊替工程とを含んでいる。したがって、前記第3吊替工程において、前記吊荷仮受装置が前記鉄筋籠の吊替作業の邪魔になることがなく、前記生コンの次の打設作業とその後の前記ケーシング撤去工程を円滑に行うことができ、施工時の作業性を高めることができる。
【0028】
また本発明に係る場所打ち杭の施工方法(8)は、上記場所打ち杭の施工方法(6)において、
前記打設工程が、
前記ケーシング撤去工程の前又は後に、前記地盤に埋設されている前記ケーシングの上部開口部に吊り下げられた前記トレミー管を前記クレーンで吊り下げた状態に吊り替えて、前記トレミー管を引き上げて一部を切り離した後に撤去するトレミー管撤去工程を含むことを特徴としている。
【0029】
上記場所打ち杭の施工方法(8)によれば、さらに、前記ケーシング撤去工程の前又は後に、前記トレミー管撤去工程を行うので、前記トレミー管撤去工程において、前記吊荷仮受装置が前記トレミー管の撤去作業の邪魔になることがなく、前記トレミー管を引き上げて一部を切り離した後に撤去する作業を安全かつ円滑に行うことができる。
【0030】
また本発明に係る吊荷仮受装置(1)は、上記場所打ち杭の施工方法(1)~(4)のいずれかに用いる吊荷仮受装置であって、
前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠を前記杭穴の上方で仮受けするための仮受け部と、
該仮受け部を支持する支持機構とを備えていることを特徴としている。
【0031】
上記吊荷仮受装置(1)によれば、前記仮受け部によって、前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠を前記杭穴の上方で仮受けした状態にできるので、前記鉄筋籠の連結工程での作業安全性を確保することができる。
また、前記仮受け部、及び前記支持機構といった少ない構成要素で作業安全性を高めることができる装置を提供することができる。
【0032】
また本発明に係る吊荷仮受装置(2)は、上記吊荷仮受装置(1)において、
前記支持機構が、前記仮受け部を所定方向に移動させる移動機構と、該移動機構が取り付けられる基部とを含んで構成され、
前記仮受け部が、1以上の門型架台と、該門型架台に配設された仮受け治具とを含んで構成され、
前記門型架台の脚部の間隔が、前記杭穴の直径よりも大きく、
前記移動機構が、前記門型架台の脚部を移動可能に支持する案内部を含んで構成されていることを特徴としている。
【0033】
上記吊荷仮受装置(2)によれば、前記門型架台に配設された前記仮受け治具で前記上側の鉄筋籠を仮受けした状態で、すなわち、作業空間を確保した状態で、前記鉄筋籠の連結作業を行うことができる。
また、前記移動機構により前記仮受け部を所定方向に移動させることができるので、前記仮受け部を利用しない工程において、前記仮受け部を前記杭穴の上方から退避させることができ、前記仮受け部が施工作業の邪魔にならないようにすることができる。すなわち、前記連結工程以外の工程において、前記門型架台を前記杭穴の近傍から退避させておくことが可能となり、前記門型架台が施工作業の邪魔にならないようにすることができる。
【0034】
また本発明に係る吊荷仮受装置(3)は、上記吊荷仮受装置(2)において、
前記仮受け治具が、
前記上側の鉄筋籠の補強リングに係止させる係止部と、
該係止部が出し入れ可能に収容される収容部とを備えていることを特徴としている。
【0035】
上記吊荷仮受装置(3)によれば、前記仮受け治具が、前記収容部に出し入れ可能に収容される前記係止部を備えているので、前記係止部の出し入れにより前記上側の鉄筋籠の仮受け作業を効率よく行うことができる。
【0036】
また本発明に係る吊荷仮受装置(4)は、上記吊荷仮受装置(2)又は(3)において、
前記門型架台の脚部が伸縮可能に構成されていることを特徴としている。
【0037】
上記吊荷仮受装置(4)によれば、前記門型架台の脚部が伸縮可能に構成されているので、前記上側の鉄筋籠を仮受けする高さ位置を、前記鉄筋籠の仕様に応じて調整することができ、適切な作業空間を確保することができる。
【0038】
また本発明に係る吊荷仮受装置(5)は、上記吊荷仮受装置(1)~(4)のいずれかにおいて、前記仮受け部が、仮受けした前記上側の鉄筋籠の倒潰を防止するためのガードを備えていることを特徴としている。
【0039】
上記吊荷仮受装置(5)によれば、前記仮受け部に前記ガードが設けられているので、仮受けした前記上側の鉄筋籠の倒潰を防止することが可能となり、作業安全性をより高めることができる。
【0040】
また本発明に係る吊荷仮受装置(6)は、上記場所打ち杭の施工方法(5)~(8)のいずれかに用いる吊荷仮受装置であって、
前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠、及び切り離した前記ケーシングを場所打ち杭用の掘削機の上方で仮受けするための仮受け部と、
該仮受け部を支持する支持機構とを備えていることを特徴としている。
【0041】
上記吊荷仮受装置(6)によれば、前記仮受け部によって、前記クレーンで吊られた前記上側の鉄筋籠を前記掘削機の上方で仮受けした状態にできるので、前記鉄筋籠の連結工程での作業安全性を確保することができる。
また、前記仮受け部によって、切り離して吊り上げた前記ケーシングを前記掘削機の上方で仮受けした状態にできるので、前記ケーシング撤去工程での作業安全性を確保することができる。
また、前記仮受け部、及び前記支持機構といった少ない構成要素で作業安全性を高めることができる装置を提供することができる。
【0042】
また本発明に係る吊荷仮受装置(7)は、上記吊荷仮受装置(6)において、
前記支持機構が、前記仮受け部を所定方向に移動させる移動機構と、該移動機構が取り付けられる基部とを含んで構成され、
前記基部又は前記移動機構が前記掘削機に取り付け可能に構成されていることを特徴としている。
【0043】
上記吊荷仮受装置(7)によれば、前記移動機構により前記仮受け部を所定方向に移動させることができるので、前記連結工程や前記ケーシング撤去工程以外の前記仮受け部を利用しない工程において、前記仮受け部が施工作業を妨げないように、前記仮受け部を退避させることができる。また、前記基部又は前記移動機構が前記掘削機に取り付け可能となっているので、コンパクトな構成にすることができる。また、前記掘削機と一体化された構成にすることができ、前記掘削機と一体化させた状態での据付けが可能となり、据付け作業が煩雑にならないようにすることができる。
【0044】
また本発明に係る吊荷仮受装置(8)は、上記吊荷仮受装置(7)において、
前記仮受け部が、1以上の門型架台と、該門型架台に配設された仮受け治具とを含んで構成され、
前記門型架台の脚部の間隔が、前記ケーシングの直径よりも大きく、
前記移動機構が、前記門型架台の脚部を移動可能に支持する案内部を含んで構成され、
該案内部が、前記ケーシングの直径よりも長いことを特徴としている。
【0045】
上記吊荷仮受装置(8)によれば、前記門型架台に配設された前記仮受け治具の上に、前記上側の鉄筋籠を載せた状態で、すなわち、作業空間を確保した状態で、前記鉄筋籠の連結作業を行うことができる。
また、前記門型架台又は前記仮受け治具の上に、前記切り離したケーシングを載せた状態で、すなわち、作業空間を確保した状態で、前記鉄筋籠や前記トレミー管の吊替作業(前記第1吊替工程、前記第2吊替工程)を行うことができる。
また、前記移動機構が前記案内部を含んで構成され、該案内部が、前記ケーシングの直径よりも長いため、前記連結工程や前記ケーシング撤去工程以外の工程において、前記門型架台を前記杭穴の外側に退避させておくことが可能となり、前記門型架台が施工作業の邪魔にならないようにすることができる。
【0046】
また本発明に係る吊荷仮受装置(9)は、上記吊荷仮受装置(8)において、
前記仮受け治具が、
少なくとも前記上側の鉄筋籠の補強リングに係止可能な係止部と、
該係止部が出し入れ可能に収容される収容部とを備えていることを特徴としている。
【0047】
上記吊荷仮受装置(9)によれば、前記仮受け治具が、前記収容部に出し入れ可能に収容される前記係止部を備えているので、前記係止部の出し入れにより、少なくとも前記上側の鉄筋籠の仮受け作業を効率よく行うことができる。なお、前記収容部から出した状態の前記係止部で切り離した前記ケーシングを仮受けするようにしてもよく、係る使用方法により、切り離した前記ケーシングの仮受け作業も効率よく行うことが可能となる。
【0048】
また本発明に係る場所打ち杭用の掘削機は、上記吊荷仮受装置(6)~(9)のいずれかを備えていることを特徴としている。
上記場所打ち杭用の掘削機によれば、上記吊荷仮受装置(6)~(9)の効果を奏する掘削機として機能させることができ、場所打ち杭の施工時の作業安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法を説明するための図であり、(a)は、上側の鉄筋籠を吊荷仮受装置に仮受けする前の状態、(b)は、上側の鉄筋籠を吊荷仮受装置に仮受けした状態を示す側面図である。
【
図2】実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置の要部構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図3】実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置を備えた掘削機の要部構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図4】実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法を説明するための図であり、(a)は、1台目の生コンを所定高さまで打設した状態、(b)はケーシングを1個分引き抜いた状態を示す図である。
【
図5】実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法を説明するための図であり、(a)は切り離したケーシングを吊荷仮受装置で仮受けした状態、(b)は鉄筋籠の吊替えを行った状態を示す図である。
【
図6】実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法を説明するための図であり、(a)は切り離したケーシングを撤去している状態、(b)はトレミー管の一部を切り離して撤去している状態を示す図である。
【
図7】実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法を説明するための図であり、2台目の生コンを所定高さまで打設した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明に係る場所打ち杭の施工方法、該施工方法に用いる吊荷仮受装置、及び場所打ち杭用の掘削機を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0051】
図1は、実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法を説明するための図であり、特に鉄筋籠の建込工程に含まれる連結工程を説明するための図である。なお、本実施の形態では、場所打ち杭の施工方法にアースドリル工法を適用した場合について説明する。
【0052】
図1(a)は、連結工程において、上側の鉄筋籠30Aを吊荷仮受装置10に仮受けする前の状態、(b)は、連結工程において、上側の鉄筋籠30Aを吊荷仮受装置10に仮受けした状態を示す側面図である。
図2は、実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置10の要部構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【0053】
実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法を説明する前に、
図2に基づいて場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置10の構成を説明する。
吊荷仮受装置10は、鉄筋籠の連結工程において、図示しないクレーンで吊られた上側の鉄筋籠30Aを杭穴4の上方で仮受けするための仮受け部11と、仮受け部11を所定方向、この場合、水平方向に移動させる移動機構13と、移動機構13が取り付けられる基部15とを備え、杭穴4を囲うように地盤上に配設されている。移動機構13と基部15を含んで、仮受け部11を支持する支持機構21が構成されている。
【0054】
仮受け部11は、1対の門型架台12と、各門型架台12に配設された仮受け治具18とを含んで構成されている。門型架台12は、台部12aと、台部12aの両端に取り付けられた脚部12bとを備えている。各門型架台12の台部12aに仮受け治具18が2つ取り付けられ、計4つの仮受け治具18が、杭穴4を4等分する対角線上に対向配置可能な形態で取り付けられている。台部12aの形状は、
図2に示したような矩形形状に限定されるものではなく、杭穴4側に配置される側面が円弧状に切り欠かれた形状のものであってもよい。
門型架台12の脚部12bの間隔は、杭穴4の直径よりも2倍程度大きく、杭穴4を跨ぐ形態となっている。また、門型架台12の脚部12bは、油圧式ジャッキなどの昇降機構(図示せず)を備え、上下に伸縮可能な構成となっている。門型架台12の高さは、門型架台12の下で作業者が鉄筋籠の連結作業を行える程度の高さに調整可能となっている。
【0055】
仮受け治具18は、上側の鉄筋籠30Aの最下段の補強リング33に係止させる係止部18aと、係止部18aが出し入れ可能に収容される収容部18bとを備え、収容部18bが台部12aの上に固定されている。また、仮受け治具18は、係止部18aを収容部18bに出し入れするための油圧式スライダーなどの摺動機構(図示せず)を備えている。係止部18aは、鉄筋籠30Aの隣り合う主筋31の間に挿入可能で、かつ上側の鉄筋籠30Aを支持可能な形状、材質の部材で構成されている。なお、収容部18bの取付け形態は、台部12aの上に固定する形態の他、例えば、収容部18bを台部12aに嵌め込む形態、台部12aに収容部18bを形成する形態、又は台部12aと収容部18bとを一体化して台部12aの上面が平坦となる形態にしてもよい。
【0056】
移動機構13は、門型架台12の脚部12bを移動可能に支持する2本のレール部14を含んで構成されている。2本のレール部14は、案内部の一例であり、杭穴4の両側に所定の間隔を有して平行に配設され、所定の長さを有している。所定の長さは、少なくとも杭穴4の直径より長く、1対の門型架台12を杭穴4から退避させた状態で、門型架台12が施工作業の邪魔にならない程度の長さに設定されている。
【0057】
また、門型架台12の脚部12bは下端部に図示しない車輪を備え、該車輪がレール部14に乗せられるようになっている。また、前記車輪は、回転をホールドするストッパー機能を備えている。したがって、作業者が、手動で門型架台12をレール部14に沿って移動させたり、任意の位置でホールドさせ、門型架台12を固定したりすることが可能になっている。なお、別の構成例では、レール部14が油圧式スライドレールや電動式スライドレールなどで構成されてもよい。
また、門型架台12の台部12aは、杭穴4の上方で鉄筋籠やケーシングなどの吊荷を移動運搬させたりするときの作業者の安全を確保するための避難シェルターとしての機能も有しており、台部12aの大きさ(面積)は、少なくとも複数の作業者が、台部12aの下に避難することができる大きさを有していることが好ましい。
係る構造にすることにより、杭穴4の上方で吊荷を移動させるときに、作業者を門型架台12の台部12aの下に安全が確保された状態で留まらせることができ、吊荷移動後に次の作業へスムーズに移行することができ、作業効率を高めることが可能となる。
【0058】
基部15は、平行に配設された2本のレール部14の両端部に取り付けられた2枚の側面板16と、各レール部14を支持する支持部17を備えている。側面板16は、門型架台12の車止めとしての機能を兼ね備えている。
【0059】
また、仮受け部11を構成する門型架台12の台部12aには、仮受けした上側の鉄筋籠30Aの倒潰を防止するためのガード19が取り付けられている。
ガード19は、台部12aに立設された2本の支柱19aと、これら支柱19aの上部に取り付けられた円弧状のガード部19bとを備えている。ガード部19bは、杭穴4よりも大きい円弧形状を有している。
【0060】
次に、
図1を参照しながら、鉄筋籠の建込工程における連結工程について説明する。
まず、
図1(a)に示す状態になるまでの工程について説明する。
始めに、図示しないクレーン機能を備えたアースドリル掘削機と、吊荷仮受装置10とを地盤に水平に据付ける。このとき、吊荷仮受装置10の中心を杭芯に合わせる。次に、アースドリル掘削機のケリーバ(図示せず)を杭芯に合わせた後、ケリーバの先端にドリリングバケット(図示せず)を取り付け、表層ケーシング20Bの建て込み深度まで掘削する。次に、表層ケーシング20Bを掘削穴に建て込む。表層ケーシング20Bを建て込んだ後、安定液を注入しながら所定深度まで掘削して杭穴4を形成し、その後、杭底処理を行う。
【0061】
次に、
図1に示した、鉄筋籠を連結しながら杭穴4に建て込む建込工程に進む。建込工程は、アースドリル掘削機のクレーンで吊った鉄筋籠を杭穴4の中央に鉛直に挿入する工程である。建込工程は、クレーンで吊られた上側の鉄筋籠30Aと、杭穴4に先吊り込んで、表層ケーシング20Bより所定量突出させた状態で杭穴4、すなわち表層ケーシング20Bに吊り下げられた下側の鉄筋籠30Bとを連結する連結工程を含んでいる。
【0062】
上側の鉄筋籠30Aは、複数の主筋(縦筋)31と、これら主筋31と交差部を有する複数のフープ筋(横筋)32と、これら主筋31と交差部を有する複数の補強リング33とを含んで構成され、略円筒形状に構築されている。これら主筋31と補強リング33との交差部は、例えば、図示しない各種の鉄筋固定用金具、鉄線結束等によって固定され、また、主筋31とフープ筋32との交差部は、図示しない鉄線結束、金具等によって固定されている。
上側の鉄筋籠30Aは、連結前の1籠で構成されている。鉄筋籠30Aの大きさは、施工現場ごとに異なり、その直径は0.6m~3m程度であり、鉄筋籠30Aの長さは、1籠で12m~14m程度に及ぶものもある。主筋31は、1本ずつ配置される場合の他、2本を横又は縦に束ねて配置される場合もある。なお、上側の鉄筋籠30Aは、下側の鉄筋籠30Bよりも太径、及び多本数の主筋31で構築されてもよい。
【0063】
下側の鉄筋籠30Bは、杭穴4に吊り込まれた状態の鉄筋籠を示しており、上側の鉄筋籠30Aと同様、複数の主筋31と、複数のフープ筋(横筋)32と、複数の補強リング33とを含んで構成され、略円筒形状に構築されている。下側の鉄筋籠30Bは、連結工程の段階に応じて、1籠又は連結された2籠以上を含んで構成されている。なお、下側の鉄筋籠30Bは、複数の補強リング33を備えていない鉄筋籠を含んでもよい。
下側の鉄筋籠30Bは、表層ケーシング20Bの開口部に取り付けられた吊り筋用の治具(図示せず)で最上段の補強リング33が仮支持され、杭穴4に吊り下げられた状態となっている。
【0064】
連結工程では、まず、クレーンで下側の鉄筋籠30Bを杭穴4に吊り込んでいき、最上段の補強リング33より上の部分を杭穴4、すなわち表層ケーシング20Bより突出させた状態に保持する。その後、表層ケーシング20Bの開口部に吊り筋用の治具(図示せず)を取り付け、最上段の補強リング33を吊り筋用の治具に係止させて、
図1(a)に示すように、下側の鉄筋籠30Bを杭穴4に吊り下げた状態にする。
【0065】
次に、吊荷仮受装置10のセッティングを行う。まず、レール部14の両端に退避させていた1対の門型架台12を下側の鉄筋籠30Bの付近まで中央側に移動させる。次に、門型架台12の台部12aに設けられた仮受け治具18の係止部18aを収容部18bから杭芯に向けて水平方向に突出させる。突出させる長さは、少なくとも係止部18aを上側の鉄筋籠30Aの最下段の補強リング33に係止させることが可能な長さである。
【0066】
吊荷仮受装置10のセッティングを終えた後、
図1(a)に示すように、図示しないアースドリル掘削機のクレーンで吊られた上側の鉄筋籠30Aを下側の鉄筋籠30Bの真上に移設した後、上側の鉄筋籠30Aを降下させていく。その後、
図1(b)に示すように、上側の鉄筋籠30Aの最下段の補強リング33を仮受け治具18の係止部18aで受け止めることにより、吊荷仮受装置10で上側の鉄筋籠30Aを仮受けした状態にする。なお、仮受け状態においても上側の鉄筋籠30Aは、クレーンで吊られた状態になっている。
【0067】
その後、作業者が、門型架台12の下で、吊荷仮受装置10で仮受けされた上側の鉄筋籠30Aの下部、すなわち、最下段の補強リング33より下側の主筋31と、表層ケーシング20Bより上に突出させた状態の下側の鉄筋籠30Bの上部、すなわち、最上段の補強リング33より上側の主筋31とを図示しない連結具で連結する作業を行う。
該連結具は、
図1(b)に示したような、主筋同士を横方向に重ね合わせるケースでは、例えば、Uボルトなどの固定用金具を用いることができ、また、主筋同士を縦方向に重ね合わせるケースでは、機械式継手などの連結具を用いることができ、用いる連結具の種類は、連結様式に応じて適宜選択される。
【0068】
クレーンで吊られた状態の上側の鉄筋籠30Aと下側の鉄筋籠30Bとの連結作業を終えた後、連結された鉄筋籠30をクレーンで少し吊り上げて、吊荷仮受装置10での仮受け状態を解除し、仮受け治具18の係止部18aを収容部18b内に収容する。
その後、クレーンで吊られた、連結された鉄筋籠30Cを杭穴4に吊り込む工程を行う。さらに連結する鉄筋籠がある場合は、上記同様に、鉄筋籠30Cを杭穴4に吊り下げた状態にして、上記連結工程を繰り返す。一方、連結する鉄筋籠がない場合は、鉄筋籠30Cを杭穴4の所定深さ位置まで吊り込み、建込工程を終え、次の生コンの打設工程に進む。
【0069】
上記実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法によれば、鉄筋籠の連結工程において、吊荷仮受装置10の門型架台12に設けられた仮受け治具18で上側の鉄筋籠30Aの最下段の補強リング33を仮受けした状態で、上側の鉄筋籠30Aの最下段の補強リング33より下側の主筋31と、杭穴4に仮支持された下側の鉄筋籠30Bの最上段の補強リング33より上側の主筋31とを連結具で連結することが可能となる。
すなわち、吊荷仮受装置10によって、クレーンで吊られた上側の鉄筋籠30Aが安定した状態で仮支持されるため、上記連結工程において、上側の鉄筋籠30Aが揺動したり、落下したりするような事故の発生を防止することができる。また、吊荷仮受装置10の仮受け部11によって、連結作業の支障とならない状態で上側の鉄筋籠30Aを仮受けすることができる。したがって、鉄筋籠の連結作業を行う作業者の安全を確保した状態で施工することが可能となり、施工時の安全性や作業性を高めることができる。
【0070】
また、上記場所打ち杭の施工方法によれば、上側の鉄筋籠30Aの最下段の補強リング33を4カ所(補強リング33を4等分する対角線上)で受け止めることができるように、仮受け治具18を配設するので、上側の鉄筋籠30Aを安定した状態で仮受けすることができる。
【0071】
また、上記場所打ち杭の施工方法によれば、上側の鉄筋籠30Aと下側の鉄筋籠30Bとを連結した後、吊荷仮受装置10で上側の鉄筋籠30Aを仮受けした状態を解除してから、クレーンで吊った状態の連結された鉄筋籠30Cを杭穴4に吊り込むので、連結された鉄筋籠30Cをより安全に杭穴4に吊り込むことが可能となる。
【0072】
また、上記実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置10によれば、門型架台12と仮受け治具18とを備えた仮受け部11によって、クレーンで吊られた上側の鉄筋籠30Aを杭穴4の上方で安定した状態で仮受けできる。したがって、鉄筋籠の連結工程での作業安全性を確保することができ、また、作業空間を確保した状態で、鉄筋籠の連結作業を効率よく行うことができる。
また、移動機構13により門型架台12を水平方向に移動させることができるので、仮受け部11を利用しない工程において、仮受け部11を退避させることができ、仮受け部11が施工作業の邪魔にならないようにすることができる。
【0073】
また、上記吊荷仮受装置10によれば、仮受け治具18が、収容部18bに出し入れ可能に収容される係止部18aを備えているので、係止部18aの出し入れによって上側の鉄筋籠30Aの仮受け作業を効率よく行うことができる。
また、上記吊荷仮受装置10によれば、門型架台12の脚部12bが伸縮可能に構成されているので、上側の鉄筋籠30Aを仮受けする高さ位置を、鉄筋籠の仕様に応じて調整することができ、適切な作業空間を確保することができる。
また、上記吊荷仮受装置10によれば、門型架台12にガード19が設けられているので、仮受けした上側の鉄筋籠30Aの倒潰を防止することが可能となり、作業安全性をより高めることができる。なお、ガード19が設けられていない構成にしてもよく、また、ガード19が門型架台12に着脱可能に構成されてもよい。
また、上記吊荷仮受装置10によれば、門型架台12の台部aを作業者の避難シェルターとして機能させることができ、杭穴4の上方で吊荷を移動させるときに、作業者を門型架台12の台部12aの下に安全が確保された状態で留まらせることができ、吊荷移動後に次の作業へスムーズに移行することができ、作業効率を高めることが可能となる。
【0074】
なお、上記吊荷仮受装置10は、仮受け治具18を構成する係止部18aが収容部18bに出し入れ可能に構成されているが、別の構成例では、係止部18aが固定された形態のものであってもよい。その場合は、係止部18aを出し入れする代わりに、門型架台12を移動させるようにすればよい。
また、別の構成例では、各レール部14が長手方向の中央で分割された形態にして、左右の仮受け部11が分離可能な形態にしてもよい。係る構成によれば、装置の運搬が容易となる。
また、上記吊荷仮受装置10では、支持機構21が、移動機構13と基部15を含み、門型架台12を水平方向に移動可能に支持するものであってが、別の構成例では、支持機構21が、門型架台12を固定した状態で支持する機構で構成されてもよい。
【0075】
図3は、実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置を備えた掘削機を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
上記した実施の形態(1)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置10は、アースドリル工法に対応した装置であった。一方、実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置10Aは、オールケーシング工法に対応した装置であり、オールケーシング工法用の掘削機1に取り付けられている。なお、
図3において、
図2に示した吊荷仮受装置10と同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0076】
掘削機1は、例えば、全周回転掘削機としての機能を備え、ケーシング20を全周回転させながら切削圧入したり、ケーシング20を垂直に引き抜いたりすることが可能な装置である。オールケーシング工法は、背景技術の欄で述べたように、掘削工程、建込工程、打設工程を含んでいる。
【0077】
吊荷仮受装置10Aは、仮受け部11と、仮受け部11を所定方向、この場合、水平方向に移動させる移動機構13と、移動機構13が取り付けられる基部15とを備え、基部15又は移動機構13が掘削機1に取り付け可能に構成されている。移動機構13と基部15とを含んで、仮受け部11を支持する支持機構21が構成されている。
【0078】
仮受け部11は、建込工程で行われる鉄筋籠の連結工程において、図示しないクレーンで吊られた上側の鉄筋籠を掘削機1の上方で仮受けしたり、打設工程で行われるケーシング撤去工法において、切り離したケーシング20A(
図5参照)を掘削機1の上方で仮受けしたりするための構造部品である。
仮受け部11は、1対の門型架台12と、各門型架台12に配設された仮受け治具18とを含んで構成されている。仮受け部11の細部構成は、上記した吊荷仮受装置10の仮受け部11と同様であるので、ここではその説明を省略する。
なお、
図3に示した吊荷仮受装置10Aには、上記した吊荷仮受装置10に設けられたガード19が設けられていないが、吊荷仮受装置10Aにガード19を設けてもよい。
【0079】
移動機構13は、門型架台12の脚部12bを移動可能に支持する2本のレール部14を含んで構成され、これらレール部14が、掘削機1の作業台2の横幅よりも長くかつ作業台2の外側に配設された状態で掘削機1に取り付けられている。レール部14が案内部の一例である。移動機構13の細部構成は、上記した吊荷仮受装置10の移動機構13と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0080】
基部15は、平行に配設された2本のレール部14の両端部に取り付けられた2枚の側面板16と、2本のレール部14を支持する支持部17とを備えている。
基部15又は移動機構13を掘削機1に取り付ける構成は、クレーンで吊られた上側の鉄筋籠や切り離したケーシング20Aを仮受け可能な強度を有する取付構造であれば、特に限定されない。例えば、基部15の支持部17、又は移動機構13のレール部14を掘削機1の作業台2や本体部3にボルトなどの締結具、連結板、作業台2上に配設される支持板、その他の固定具などを用いて取り付ける構成とすることができる。なお、掘削機1の本体部3には、反力用のカウンターウェイト3aが必要に応じて取り付け可能となっている。
【0081】
次に実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法について説明する。
実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法において、掘削機1に装備された吊荷仮受装置10Aを利用する工程は、建込工程に含まれる鉄筋籠の連結工程と、打設工程に含まれるケーシング撤去工程である。
【0082】
実施の形態(2)における建込工程に含まれる鉄筋籠の連結工程は、掘削機1に吊荷仮受装置10Aが取り付けられ、ケーシング20の上部開口部20a(
図4参照)が、掘削機1の作業台2より上に位置している条件が実施の形態(1)と相違しているだけである。そのため、実施の形態(2)における建込工程に含まれる鉄筋籠の連結工程は、基本的に、上記した実施の形態(1)における建込工程に含まれる鉄筋籠の連結工程と同様の手順で、吊荷仮受装置10Aを用いて行うことが可能であるので、ここではその説明を省略する。
【0083】
次に実施の形態(2)における打設工程に含まれるケーシング撤去工程について、
図4~7に基づいて説明する。なお、上記のとおり、実施の形態(2)では、場所打ち杭の施工方法にオールケーシング工法を適用している。
【0084】
図4(a)は、1台目(1段目)の生コンを所定高さ(打設長)まで打設した状態、
図4(b)は、ケーシング20を1個分引き抜いた状態を示す図である。
図5(a)は、切り離したケーシング20Aを吊荷仮受装置10Aの仮受け部11で受けた状態、
図5(b)は、鉄筋籠30の吊替えを行った状態を示す図である。
図6(a)は、切り離したケーシング20Aを撤去している状態、
図6(b)は、トレミー管40の一部を切り離して撤去している状態を示す図である。
図7は、2台目(2段目)の生コンを所定高さまで打設した状態を示す図である。
【0085】
まず、
図4(a)に示す状態になるまでの工程について説明する。
始めに、場所打ち杭用の掘削機1を地盤に据付ける。すなわち、掘削機1を、図示しないクローラクレーンなどのクレーンにより吊り上げ、地盤上に予め設置された設置台の上に杭芯を合わせて据付ける。掘削機1には、吊荷仮受装置10Aが取り付けられている。
【0086】
次に、掘削工程に進む。掘削工程は、地盤にケーシング20を圧入し、継ぎ足しながらケーシング20内を掘削して所定深さの杭穴4を形成する工程である。
具体的には、まず、掘削機1にケーシング20(ファーストケーシング)をセットし、ケーシング20を回転させながら地盤に切削圧入した後、クレーンにハンマグラブを取り付け、ケーシング20の内部を掘削する。先のケーシング20を所定の深さまで圧入して、内部の掘削が完了したら、ハンマグラブを一旦引き上げて、継ぎ足し用のケーシング20をクレーンで吊り、先のケーシング20と連結する。この作業を繰り返して、所定の深度まで掘削し、杭穴4を形成し、その後、杭底処理を行う。なお、現場の状況に応じて、ハンマグラブの代わりにドリリングバケットを使用してもよい。
【0087】
次に、鉄筋籠を連結しながら杭穴4に建て込む建込工程に進む。建込工程は、クレーンで鉄筋籠30を吊り込み、杭穴4内のケーシング20の軸線に合わせて鉄筋籠30をケーシング20の内側に挿入する工程である。この連結工程は、基本的に
図1を用いて説明した実施の形態(1)における連結工程と同様の手順で、吊荷仮受装置10Aを用いて行うようになっているので、ここではその説明を省略する。
【0088】
図4に示す建て込み後の鉄筋籠30は、複数の鉄筋籠が連結されて構築されたものであり、上部(杭頭)の鉄筋籠は、下部の鉄筋籠よりも太径、及び多本数の主筋で構築されている。なお、図示した鉄筋籠30は、3つの鉄筋籠が連結されているものであるが、連結数は、杭長や杭径などに応じて適宜設計される。
【0089】
鉄筋籠30の建て込みには、図示しないクレーンが使用される。このクレーンには、少なくとも2つのフックを備えた装置、例えば、第1巻上手段としての第1(主巻)ウインチのワイヤーに取り付けられた親フック6、第2巻上手段としての第2(補巻)ウインチのワイヤーに取り付けられた子フック7を備えた装置を用いることが好ましい。また、親フック6、子フック7の他に、第3巻上手段としての第3ウインチのワイヤーに取り付けられた孫フック8を備えた装置を用いることがさらに好ましい。
【0090】
鉄筋籠30の建込工程では、例えば、親フック6に吊り下げられたトラバーサー6b、トラバーサー6bに吊り下げられた吊り筋6cなどを含む吊り具6aによって鉄筋籠30が吊られるようになっている。
吊り筋6cを鉄筋籠30に取り付ける方法としては、例えば、吊り筋6cの下端に固定されたフック部材やシャックル(図示せず)などを鉄筋籠30の補強リング33に係止させる方法などが採用され得る。なお、
図4では、鉄筋籠30を2点吊りした例を示しているが、鉄筋籠30のサイズによっては、4点吊りしてもよい。この時、トラバーサー6bに代えて、円環状のリング部材を用いてもよい。
【0091】
なお、鉄筋籠30は、杭穴4に自立状態にするのではなく、杭穴4に吊り下げた状態(杭底に接触していない状態)で保持されている。例えば、
図4(a)に示すように、鉄筋籠30は、クレーンで吊り下げた状態で保持されてもよいし、ケーシング20の上部開口部20aに配設した吊り治具25(
図5(b))などで吊り下げた状態で保持されるようにしてもよい。
【0092】
次に、杭穴4に鉄筋籠30を吊り下げた状態で生コン5を杭穴4に打設する打設工程に進む。
まず、
図4(a)に示すように、トレミー管40を鉄筋籠30の中心に建て込み、トレミー管40の上端部にホッパー部41を取り付け、ケーシング20の上部開口部20aに配設したカンザシ筋26でトレミー管40を支持した状態にする。なお、トレミー管40の建て込みには、クレーンが使用される。
【0093】
次に、生コン(コンクリート)5の打設を開始する。すなわち、生コン5をトレミー管40に流し込み、打ち上がり量を確認しながら、杭底から所定の高さまで生コン5を打設し、
図4(a)に示した、1台目(1段目)の生コン5を所定高さまで(例えば、ケーシング1個分の高さ分)打設した状態にする。
【0094】
次に、打設工程で行われるケーシング撤去工程について説明する。
図4(a)に示したように、生コン5を所定高さまで打設した後、
図4(b)に示したように、トレミー管40をクレーンの孫フック8に取り付けられた吊り具8aで吊り下げて支持するとともに、鉄筋籠30をクレーンの親フック6に取り付けられた吊り具6aで吊り下げて支持した状態を保持する。また、ケーシング20を引き抜く前に、作業台2上に出ているケーシング20にクレーンの子フック7に取り付けられた吊り具7aを取り付ける。なお、トレミー管40をクレーンの孫フック8に取り付けられた吊り具8aで吊り下げる方法に代えて、吊り具8aを予めトラバーサー6bに取り付けておいて、トラバーサー6bに取り付けた吊り具8aでトレミー管40を吊り下げて支持するようにしてもよい。
【0095】
その後、掘削機1によりケーシング20を1個分引き抜く作業を開始する。掘削機1はケーシング20をキャッチした状態で垂直方向に引き抜く機能を備えている。そして、ケーシング20の連結部20bが作業台2の上まできたら引き抜き作業を停止して、ケーシング20の連結部20bの金具を取り外した後、切り離したケーシング20Aをクレーンで吊り上げる作業を開始する。
【0096】
その後、
図5(a)に示したように、切り離したケーシング20Aの下端部が吊荷仮受装置10Aの仮受け治具18よりも上にきた時点で、切り離したケーシング20Aの吊り上げを停止する。
次に、クレーンで吊り上げて支持したケーシング20Aの下に吊荷仮受装置10Aの仮受け部11を配設する仮受工程に進む。
すなわち、
図4(b)に示した、掘削機1の作業台2の両側に位置している吊荷仮受装置10Aの門型架台12を、
図5(a)に示したように、クレーンで吊り上げて支持したケーシング20Aの近くまで移動させた後、仮受け治具18の係止部18aを収容部18bから突出させて、係止部18aの上に、切り離したケーシング20Aを載せて仮受け状態にする。
【0097】
なお、別の形態では、係止部18aは収容部18bに収容した状態で、収容部18bの上に切り離したケーシング20Aを載せて仮受け状態にしてもよい。また、さらに別の形態では、仮受け治具18が門型架台12の台部12aに嵌め込まれているような場合は、門型架台12の台部12aの上に、切り離したケーシング20Aを載せて仮受け状態にしてもよい。
【0098】
その後、
図5(b)に示した、鉄筋籠30の吊替工程(第1吊替工程)、及びトレミー管40の吊替工程(第2吊替工程)に進む。
鉄筋籠30の吊替工程では、
図5(a)に示した、クレーンの親フック6で吊り下げた状態の鉄筋籠30を、地盤に埋設されている(作業台2上の)ケーシング20の上部開口部20aに吊り替える作業を行う。例えば、
図5(b)に示したように、ケーシング20の上部開口部20aに吊り筋6c用の吊り治具25を取り付ける。そして、吊り治具25に鉄筋籠30を吊り下げている吊り筋6cを固定し、吊り治具25及び吊り筋6cにより鉄筋籠30を杭穴4に吊り下げて支持した状態とし、次に、鉄筋籠30を吊り下げていた、クレーンの親フック6とトラバーサー6bを引き上げる。
【0099】
また、トレミー管40の吊替工程では、
図5(a)に示した、クレーンの孫フック8で吊り下げた状態のトレミー管40を、地盤に埋設されている(作業台2上の)ケーシング20の上部開口部20aに吊り替える作業を行う。例えば、
図5(b)に示したように、ケーシング20の上部開口部20aに2本のカンザシ筋26を配設し、2本のカンザシ筋26の間にトレミー管40の上端部の鍔部を載せて、トレミー管40を杭穴4に吊り下げて支持した状態とし、トレミー管40を吊り下げていた、クレーンの孫フック8と吊り具8aを引き上げる。
【0100】
この鉄筋籠30の吊替工程(第1吊替工程)、及びトレミー管40の吊替工程(第2吊替工程)においては、切り離したケーシング20Aが吊荷仮受装置10Aの門型架台12に設けられた仮受け治具18の上に載せて仮受けされた状態であるので、作業安全性が確保された状態で吊替作業を行うことが可能となっている。
【0101】
そして、鉄筋籠30の吊替工程(第1吊替工程)、及びトレミー管40の吊替工程(第2吊替工程)の作業を終えた後、
図6(a)に示した、切り離したケーシング20Aの撤去作業を行う。
すなわち、吊荷仮受装置10Aの門型架台12に設けられた仮受け治具18の上に仮受けされた状態のケーシング20Aをクレーンで吊り上げ、クレーンを旋回させて、ケーシング20Aを所定の仮置き場に降ろし、ケーシング20Aからクレーンの吊り具7aを取り外し、子フック7とともに吊り具7aを吊り上げてクレーンを所定位置に戻す。
ケーシング撤去工程を終えた後、
図6(a)に示したように、吊荷仮受装置10Aの門型架台12をレール部14に沿って作業台2の両側に移動させて、門型架台12を所定位置に戻す、すなわち、戻し工程を行う。なお、並行して仮受け治具18の係止部18aを収容部18b内に収容してもよい。
【0102】
その後、トレミー管撤去工程に進む。
図6(b)に示したように、トレミー管撤去工程では、地盤に埋設されている(作業台2上の)ケーシング20の上部開口部20aに吊り下げられたトレミー管40をクレーンの孫フック8で吊り下げた状態に吊り替える。その後、クレーンでトレミー管40を吊り上げ、トレミー管40の連結部がケーシング20の上部開口部20aの上に位置した状態で引き上げを停止する。なお、トレミー管40の引き上げ量は、杭穴4内のトレミー管40の下端部が生コン5の中に2m以上挿入された状態を維持できる範囲である。
【0103】
その後、ケーシング20の上部開口部20aに2本のカンザシ筋26を配設し、2本のカンザシ筋26の間にトレミー管40の連結部の鍔部を載せて、トレミー管40を杭穴4に吊り下げて支持した状態とする。その後、トレミー管40の連結部の金具を外して切り離した状態とし、クレーンの孫フック8に吊られたトレミー管40Aを吊り上げて、クレーンを旋回させて、トレミー管40Aを所定の仮置き場に降ろし、トレミー管40Aからクレーンの吊り具8aを取り外し、孫フック8とともに吊り具8aを吊り上げてクレーンを所定位置に戻す。なお、クレーンの孫フック8に代えて、子フック7、又は親フック6で、切り離したトレミー管40を吊るようにしてもよい。
【0104】
トレミー管撤去工程を終えた後、
図6(b)に示した、地盤に埋設されている(作業台2上の)ケーシング20の上部開口部20aに吊り筋6cと吊り治具25で吊り下げられた鉄筋籠30を、
図7に示した、クレーンの親フック6と吊り具6aで吊り下げた状態に吊り替える作業(第3吊替工程)を行う。その後、2台目(2段目)の生コン5の打設工程に進む。すなわち、生コン5をトレミー管40に流し込み、打ち上がり量を確認しながら、所定の高さまで生コン5を打設する。
【0105】
以降、
図4(b)~
図6(b)で説明したケーシング撤去工程を繰り返し、杭頭まで生コン5の打設を行い、打設工程を終える。その後、埋め戻し作業を行い、次の場所打ち杭の施工作業に進む。
【0106】
上記実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法によれば、オールケーシング工法における鉄筋籠の連結工程において、吊荷仮受装置10Aの門型架台12に設けられた仮受け治具18で上側の鉄筋籠の最下段の補強リング33を仮受けした状態で、上側の鉄筋籠の最下段の補強リング33より下側の主筋31と、杭穴4に仮支持された下側の鉄筋籠の最上段の補強リング33より上側の主筋31とを連結具で連結することが可能となる。
すなわち、吊荷仮受装置10Aによって、クレーンで吊られた上側の鉄筋籠が安定した状態で仮支持されるため、上記連結工程において、上側の鉄筋籠が揺動したり、落下したりするような事故の発生を防止することができる。また、吊荷仮受装置10Aによって、連結作業の支障とならない状態で上側の鉄筋籠を仮受けすることができる。
したがって、鉄筋籠の連結作業を行う作業者の安全を確保した状態で施工することが可能となり、施工時の安全性や作業性を高めることができる。
【0107】
また、上記実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法によれば、オールケーシング工法における打設工程のケーシング撤去工程において、切り離したケーシング20Aをクレーンの子フック7で吊り上げて支持する工程と、子フック7で吊り上げて支持したケーシング20Aの下に吊荷仮受装置10Aの仮受け部11(すなわち、仮受け治具18の係止部18a)を配設する仮受工程と、仮受工程で仮受け部11を配設した後、クレーンの親フック6で吊り下げた状態の鉄筋籠30を地盤に埋設されているケーシング20の上部開口部20aに吊り替える第1吊替工程とが行われる。
そのため、クレーンの子フック7で吊り上げて支持したケーシング20Aを吊荷仮受装置10Aの仮受け治具18の係止部18aに仮受けさせた状態にしてから第1吊替工程、すなわち、鉄筋籠の吊替作業を行うことができる。
したがって、子フック7で吊り上げて支持したケーシング20Aが落下するような事故の発生を防止することができ、鉄筋籠30の吊替作業を行う作業者の安全を確保した状態で施工することができ、施工時の作業安全性を高めることができる。
【0108】
また、上記場所打ち杭の施工方法によれば、クレーンの子フック7で吊り上げて支持したケーシング20Aを吊荷仮受装置10Aの仮受け治具18の係止部18aに仮受けさせた状態にしてから第2吊替工程、すなわち、トレミー管40の吊替作業を行うことができる。
したがって、子フック7で吊り上げて支持したケーシング20Aが落下するような事故の発生を防止することができ、トレミー管40の吊替作業を行う作業者の安全を確保した状態で施工することができ、施工時の作業安全性を高めることができる。
【0109】
また、上記場所打ち杭の施工方法によれば、打設工程が、ケーシング撤去工程の後に、戻し工程と第3吊替工程とを含んでいるので、第3吊替工程において、吊荷仮受装置10Aの仮受け部11が鉄筋籠30の吊替作業の邪魔になることがなく、生コン5の次の打設作業とその後のケーシング撤去工程を円滑に行うことができる。
【0110】
また、上記場所打ち杭の施工方法によれば、ケーシング撤去工程の前又は後に、トレミー管撤去工程を行うので、トレミー管40を引き上げて一部のトレミー管40Aを切り離した後に撤去する作業を安全かつ円滑に行うことができる。
【0111】
また、実施の形態(2)に係る場所打ち杭の施工方法に用いる吊荷仮受装置10Aによれば、門型架台12と仮受け治具18とを備えた仮受け部11によって、鉄筋籠の連結工程においてクレーンで吊られた上側の鉄筋籠を杭穴4の上方で安定した状態で仮受けできる。したがって、鉄筋籠の連結工程での作業安全性を確保することができ、また、作業空間を確保した状態で、鉄筋籠の連結作業を行うことができる。
また、上記吊荷仮受装置10Aによれば、門型架台12と仮受け治具18とを備えた仮受け部11によって、切り離したケーシング20Aを仮受けした状態にできるので、ケーシング撤去工程での作業安全性を確保することができる。
また、移動機構13により仮受け部11を水平方向に移動させることができるので、鉄筋籠の連結工程やケーシング撤去工程以外の仮受け部11を利用しない工程において、仮受け部11が施工作業の邪魔にならないようにすることができる。
また、吊荷仮受装置10Aは掘削機1に取り付け可能となっているので、仮受け部11、移動機構13、及び基部15といった少ない構成要素で、すなわち、コンパクトで低コストな構成で作業安全性を高めることができる装置を提供することができる。
【0112】
また、吊荷仮受装置10Aによれば、仮受け部11が、2つの門型架台12を含んで構成され、これら門型架台12の脚部12bの間隔が、掘削機1の作業台2の縦幅よりも大きい。そのため、門型架台12の上に、切り離したケーシング20Aを載せた状態で、すなわち、安全な作業空間を確保した状態で、鉄筋籠30やトレミー管40の吊替作業(第1吊替工程、及び第2吊替工程)を行うことができる。なお、門型架台12の構造は、図示した形態に限定されるものではなく、種々の形態に変更可能である。
また、移動機構13が案内部としてのレール部14を含んで構成され、レール部14が、作業台2の横幅よりも長くかつ作業台2の外側に配設された状態で、掘削機1に取り付け可能に構成されている。そのため、ケーシング撤去工程以外の工程において、門型架台12を作業台2の外側に退避させておくことが可能となり、門型架台12が施工作業の邪魔にならないようにすることができる。
【0113】
また、実施の形態に係る場所打ち杭用の掘削機1は、吊荷仮受装置10Aを備えているので、吊荷仮受装置10Aの効果を奏する掘削機として機能させることができ、場所打ち杭の施工時の作業安全性を高めることができる。
【0114】
なお、上記実施の形態(2)では、場所打ち杭の施工方法の一例として、オールケーシング工法を適用したが、地盤にケーシングを圧入した後、引く抜く工程を含む他の場所打ち杭の施工方法においても本発明を適用することができる。
【0115】
また、上記実施の形態(2)に係る吊荷仮受装置10Aは、基部15又は移動機構13が掘削機1に取り付け可能に構成されているが、本発明に係る吊荷仮受装置の構成はこれに限定されない。
別の実施の形態に係る吊荷仮受装置では、基部15が掘削機1の外周の地盤に配置される構造、例えば、基部15が複数の支柱を含む土台などを含んで構成され、掘削機1に取り付けない構造のものであってもよい。この場合は、例えば、掘削機1を地盤に据付けた後に、吊荷仮受装置を地盤に据付けることとなる。さらに別の実施の形態に係る吊荷仮受装置は、掘削機1の作業台2上に配置する構成のものであってもよい。
【0116】
また、上記実施の形態(2)に係る吊荷仮受装置10Aは、仮受け部11を構成する門型架台12の脚部12bの間隔が、掘削機1の作業台2の幅(縦幅)よりも大きく、レール部14が作業台2の外側に配設されているが、本発明に係る吊荷仮受装置の構成はこれに限定されない。
例えば、掘削機1が大型で、作業台2の面積が広い場合には、門型架台12の脚部12bの間隔が作業台2の幅(縦幅)よりも小さく、かつケーシング20の直径より大きく、レール部14が作業台2の上面に取り付けられた構成であってよい。
【0117】
また、上記実施の形態(2)に係る吊荷仮受装置10Aは、移動機構13が、案内部としてのレール部14を備え、門型架台12をレール部14に沿って水平方向に直線移動させるように(平行移動形式で)構成されているが、本発明に係る吊荷仮受装置の移動機構の構成はこれに限定されない。
別の実施の形態に係る吊荷仮受装置では、例えば、仮受け部を構成する2つの門型架台のそれぞれ一方の脚部が、掘削機1の作業台2の一側面側に一定間隔(例えば、ケーシングの直径と同程度の間隔)を設けて配設された基部に回転可能に支持(軸支)され、これら一方の脚部を中心に台部が水平方向に旋回移動可能な構成とする。そして、
図5(b)の平面図に示したように、2つの門型架台の台部が平行になる位置まで旋回させた後、2つの門型架台の他方の脚部を、掘削機1の作業台2の他側面側(一側面側に対向する側面)に設けられた基部に取り付ける構成(旋回移動形式)としてもよい。
また、上記吊荷仮受装置10Aでは、支持機構21が、移動機構13と基部15を含み、門型架台12を水平方向に移動可能に支持するものであってが、別の構成例では、支持機構21が、門型架台12を固定した状態で支持する機構で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 掘削機
2 作業台
3 本体部
3a カウンターウェイト
4 杭穴
5 生コン
6 親フック(第1巻上手段)
6a 吊り具
6b トラバーサー
6c 吊り筋
7 子フック(第2巻上手段)
7a 吊り具
8 孫フック(第3巻上手段)
8a 吊り具
10、10A 吊荷仮受装置
11 仮受け部
12 門型架台
12a 台部
12b 脚部
13 移動機構
14 レール部(案内部)
15 基部
16 側面板
17 支持部
18 仮受け治具
18a 係止部
18b 収容部
19 ガード
19a 支柱
19b ガード部
20、20A ケーシング
20B 表層ケーシング
20a 上部開口部
20b 接続部
21 支持機構
25 吊り治具
26 カンザシ筋
30 鉄筋籠
30A 上側の鉄筋籠
30B 下側の鉄筋籠
30C 鉄筋籠
31 主筋
32 フープ筋
33 補強リング
40、40A トレミー管
41 ホッパー部
【要約】
【課題】施工時の作業安全性を高めることができる場所打ち杭の施工方法を提供すること。
【解決手段】鉄筋籠を連結しながら杭穴4に建て込む建込工程を含む場所打ち杭の施工方法であって、建込工程が、クレーンで吊られた上側の鉄筋籠30Aと、杭穴4に先に吊り込んで、杭穴4より所定量突出させた状態で杭穴4に吊り下げられた下側の鉄筋籠30Bとを連結する連結工程を含み、連結工程が、クレーンで吊られた吊荷を仮受けする吊荷仮受装置10で上側の鉄筋籠30Aを仮受けした状態で、上側の鉄筋籠30Aの下部と、下側の鉄筋籠30Bの上部とを連結具で連結する工程を含む。
【選択図】
図1