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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】多剤式毛髪処理剤及び毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20250312BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20250312BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20250312BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20250312BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20250312BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q5/12
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/64
A61K8/67
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020133967
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022030173
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-08-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】小原 妙
(72)【発明者】
【氏名】阿部 伎
(72)【発明者】
【氏名】木内 愛海
(72)【発明者】
【氏名】三好 樹
【審査官】河村 明希乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-048751(JP,A)
【文献】特開2018-070457(JP,A)
【文献】特開2009-119158(JP,A)
【文献】特開2016-185936(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143751(WO,A1)
【文献】特開2010-215541(JP,A)
【文献】特開2012-092040(JP,A)
【文献】特開2012-153678(JP,A)
【文献】特開2015-078143(JP,A)
【文献】特開2013-040153(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003625(WO,A1)
【文献】特表2017-519005(JP,A)
【文献】国際公開第2015/188325(WO,A1)
【文献】特開2016-006129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の組成物および第二の組成物を備える多剤式毛髪処理剤であって、
前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8.0以上であるヘアミスト組成物であって、
前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物であって、
前記第一の組成物における前記成分(1-A)の含有質量に対する前記第二の組成物における前記成分(2-A)の含有質量の割合(2-A)/(1-A)が、0.27~26.7であって、
前記第一の組成物を毛髪に適用した後に、前記第二の組成物を適用する、多剤式毛髪処理剤。
【請求項2】
前記成分(1-A)がアルギニンである請求項1に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項3】
前記第一の組成物に、さらに、成分(1-B)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを含有する請求項1又は2に記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項4】
前記第二の組成物に、さらに、成分(2-B)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを含有する請求項1から3のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項5】
前記第二の組成物に、さらに、成分(2-C)ホスホコリン基含有重合体を含有する請求項1から4のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項6】
前記第二の組成物に、さらに、成分(2-D)加水分解タンパク質を含有する請求項1から5のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項7】
前記第一の組成物における前記成分(1-A)の含有質量に対する前記第一の組成物における前記成分(1-B)の含有質量の割合(1-B)/(1-A)が、0.01~3である請求項3からのいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
【請求項8】
さらに、第三の組成物を備える、請求項1からのいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤であって、
第三の組成物が、成分(3-A)ビタミンC誘導体を含有する油性組成物である、多剤式毛髪処理剤。
【請求項9】
さらに、第四の組成物を備える、請求項1からのいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤であって、
第四の組成物が、成分(4-A)一鎖型カチオン界面活性剤を含有する水中油型組成物である、多剤式毛髪処理剤。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤を毛髪に適用する毛髪処理方法。
【請求項11】
以下工程(i)~(ii)を含む毛髪処理方法。
工程(i)第一の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8.0以上であるヘアミスト組成物である、工程
工程(ii)前記工程(i)の後、第二の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物であり、
前記第一の組成物における前記成分(1-A)の含有質量に対する前記第二の組成物における前記成分(2-A)の含有質量の割合(2-A)/(1-A)が、0.27~26.7である、工程
【請求項12】
さらに、以下工程(iii)および/または以下工程(iv)を含む請求項11に記載の毛髪処理方法。
工程(iii)前記工程(ii)の後、第三の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第三の組成物が、成分(3-A)ビタミンC誘導体を含有する油性組成物である、工程
工程(iv)前記工程(ii)または前記工程(iii)の後、第四の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第四の組成物が、成分(4-A)一鎖型カチオン界面活性剤を含有する水中油型組成物である、工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、多剤式毛髪処理剤及び毛髪処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪化粧料は、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、整髪料など用途に応じた様々なアイテムがあり、求められる機能も多岐にわたっているが、加齢やダメージ等による毛髪強度の低下を改善することは、重要な項目となっている。
【0003】
毛髪強度向上効果を有する技術として、ヒドロキシエチルウレアからなる毛髪内部損傷改善剤(例えば、特許文献1参照)や、所定のペプチドを配合した毛髪処理剤(例えば、特許文献2参照)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-91615号公報
【文献】特開2011-144126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の毛髪内部損傷改善剤は、毛髪強度向上効果が有る程度はあるものの、一方で毛髪のハリコシ向上効果に優れない場合があった。
特許文献2に記載の毛髪処理剤は、毛髪の初期弾性率及び破断強度の向上又は悪化抑制の効果が有る程度はあるものの、一方で毛髪のハリコシ向上効果に優れない場合があった。
【0006】
本発明は、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果に優れる組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、塩基性アミノ酸を含有する組成物を毛髪に適用することを試みたところ、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果は不十分であった。
次に、多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物を毛髪に適用することを試みたところ、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果は不十分であった。
さらに、塩基性アミノ酸を含有する第一の組成物、および多鎖型カチオン界面活性剤を含有する第二のベシクル組成物を備える、多剤式毛髪処理剤を毛髪に適用することを試みたところ、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果は未だ不十分な場合があった。
さらに、塩基性アミノ酸の酸解離状態を調整し得る第一の組成物の25℃におけるpH等を鋭意検討した結果、第一の組成物および第二の組成物を備える多剤式毛髪処理剤であって、前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8.0以上であるヘアミスト組成物であって、前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物である、多剤式毛髪処理剤が、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[13]を提供する。
[1]
第一の組成物および第二の組成物を備える多剤式毛髪処理剤であって、
前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8
.0以上であるヘアミスト組成物であって、
前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有
組成物である、多剤式毛髪処理剤。
[2]
前記成分(1-A)がアルギニンである[1]に記載の多剤式毛髪処理剤。
[3]
前記第一の組成物に、さらに、成分(1-B)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビ
スエトキシジグリコールを含有する[1]又は[2]に記載の多剤式毛髪処理剤。
[4]
前記第二の組成物に、さらに、成分(2-B)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビ
スエトキシジグリコールを含有する[1]から[3]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理
剤。
[5]
前記第二の組成物に、さらに、成分(2-C)ホスホコリン基含有重合体を含有する[1
]から[4]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
[6]
前記第二の組成物に、さらに、成分(2-D)加水分解タンパク質を含有する[1]から
[5]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
[7]
前記第一の組成物における前記成分(1-A)の含有質量に対する前記第二の組成物にお
ける前記成分(2-A)の含有質量の割合(2-A)/(1-A)が、0.27~26.7
である[1]から[6]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
[8]
前記第一の組成物における前記成分(1-A)の含有質量に対する前記第一の組成物にお
ける前記成分(1-B)の含有質量の割合(1-B)/(1-A)が、0.01~3であ
る[1]から[7]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤。
[9]
さらに、第三の組成物を備える、[1]から[8]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤
であって、
第三の組成物が、成分(3-A)ビタミンC誘導体を含有する油性組成物である、多剤式
毛髪処理剤。
[10]
さらに、第四の組成物を備える、[1]から[9]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤
であって、
第四の組成物が、成分(4-A)一鎖型カチオン界面活性剤を含有する水中油型組成物で
ある、多剤式毛髪処理剤。
[11]
[1]から[10]のいずれかに記載の多剤式毛髪処理剤を毛髪に適用する毛髪処理方法

[12]
以下工程(i)~(ii)を含む毛髪処理方法。
工程(i)第一の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8.0以上であるヘアミスト組
成物である、工程
工程(ii)第二の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物である、工程
[13]
さらに、以下工程(iii)および/または以下工程(iv)を含む[12]に記載の毛髪処
理方法。
工程(iii)第三の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第三の組成物が、成分
(3-A)ビタミンC誘導体を含有する油性組成物である、工程
工程(iv)第四の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第四の組成物が、成分(4-A)一鎖型カチオン界面活性剤を含有する水中油型組成物である、工程
【発明の効果】
【0009】
本発明は、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果に優れる。さらに、毛髪表面の滑らかさの向上効果も有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書においては、「~」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。
【0011】
本発明の第一の組成物および第二の組成物を備えた多剤式毛髪処理剤は、更に第三の組成物および第四の組成物を備えることができる。ここで、第三の組成物および第四の組成物は、どちらか一方のみを使用しても良い。本発明の第一の組成物及び第二の組成物、必要に応じて第三の組成物および第四の組成物を備えた多剤式毛髪処理剤は、使用前に混合することなく、第一の組成物、次いで第二の組成物、必要に応じてその後に第三の組成物、必要に応じてその後に第四の組成物の順で、毛髪に適用することができる処理剤である。
【0012】
〔第一の組成物〕
<成分(1-A)塩基性アミノ酸>
本発明の第一の組成物における成分(1-A)は、塩基性アミノ酸である。本発明において、塩基性アミノ酸は、分子内に一つのアミノ基のほかに、塩基性を示す残基をもつアミノ酸を指す。塩基性アミノ酸としては、特に限定されないが、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、リジン、アルギニン、ヒスチジン、及びオルニチンが挙げられ、中でも成分(1-A)はアルギニン、リジンおよびヒスチジンからなる群より選択される一種以上が好ましく、アルギニンであることがより好ましい。
【0013】
本発明の第一の組成物が成分(1-A)を含有しない場合、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果に優れない。本発明の第一の組成物中の成分(1-A)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、0.01~1質量%(以下、単に「%」と略す)であることが好ましく、0.05~0.7%であることがより好ましく、特に毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、0.08~0.6%がさらに好ましく、0.3~0.6%が特に好ましい。
【0014】
<成分(1-B)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール>
本発明の第一の組成物における成分(1-B)は、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールである。本発明の第一の組成物において、成分(1-B)は必須成分ではないものの、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、本発明の第一の組成物は成分(1-B)を含有することが好ましい。
【0015】
シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールは、エトキシジグリコールとシクロヘキサンジカルボン酸のジエステルである。具体的な商品としては、Neosolue-Aqulio(日本精化社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明の第一の組成物中の成分(1-B)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果の点で、0.02~2%であることが好ましく、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、0.05~2%であることがより好ましく、特に毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、0.8~1.2%が特に好ましい。
【0017】
本発明において、特に限定されないが、第一の組成物における成分(1-A)の含有質量に対する第一の組成物における成分(1-B)の含有質量の割合(1-B)/(1-A)が、毛髪強度向上効果の点で、0.01~3であることが好ましく、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、0.5~3であることがより好ましく、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、0.7~2.3であることがさらにより好ましく、1.5~2.3が特に好ましい。
【0018】
本発明の第一の組成物は、本技術の効果を損なわない範囲で、本発明の必須成分以外の成分として、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、植物・微生物由来の抽出物、保湿剤・抗炎症剤・細胞賦活剤等の各種薬効剤、香料等を含有することができる。
【0019】
<pH>
本発明の第一の組成物の25℃におけるpHは、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、8.0以上であり、8.5以上であることが好ましく、9.0以上であることがより好ましい。
ここで、本発明におけるpHは、25℃における値であり、東亜ディーケーケー社製HM-30R型を用いて、ガラス電極測定法により測定されたものである。なお、本発明の第一の組成物のpHは、ミストとする直前の組成物の25℃におけるpHである。本発明の第一の組成物は、特に限定されないが、pHを有する点から、水系溶媒を含有することが好ましく、水を含有することがより好ましく、水の含有量は本発明の第一の組成物中の50~90%であることがより好ましい。
【0020】
<剤型>
本発明の第一の組成物はヘアミスト組成物である。第一の組成物が化粧料等の分野で一般的に用いられる方法で、ミスト状にならないものである場合、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果に優れない。本発明の第一の組成物は、特に限定されないが、その組成物が吐出等されることにより、ミストとなり得る。
【0021】
<形態>
本発明の第一の組成物は、化粧料等の分野で一般的に用いられる方法でヘアミストの範囲の粒子にさえなればよく、粒子径については特に調整する必要が無いが、均一に毛髪に噴霧できるという点で、平均粒子径は10~300μmであることが好ましく、50~200μmであることがより好ましく、80~150μmであることがさらに好ましい。本発明のヘアミスト組成物における平均粒子径は、25℃とした組成物をミストとして吐出し、レーザー回折粒度分布測定装置(LDSA3400A、マイクロトラック・ベル社製)にて、噴射孔からの距離15cmにおける平均粒子径を測定することにより得ることができる。
【0022】
本発明の第一の組成物における吐出方式としては、特に限定されないが、エアゾール式、ノンエアゾール式などが挙げられる。
【0023】
エアゾール式ヘアミスト組成物は、組成物(原液)を噴射剤と共に耐圧容器に充填することにより得ることができる。噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。噴射剤の量は、良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るために、原液と噴射剤の質量割合(原液/噴射剤)が5/95~99/1であることが好ましく、20/80~95/5であることがより好ましい。また、耐圧容器内の圧力が良好な噴射特性を得る点から、25℃の温度で0.12~0.45MPaになるように調整するのが好ましい。
【0024】
ノンエアゾール式ヘアミスト組成物は、組成物をポンプスプレー容器やトリガー式スプレー容器に充填することにより得ることができる。
ポンプスプレー容器としては、特に限定されないが、Z-155ファインミスト(竹内容器社製)等が挙げられる。
トリガー式スプレー容器としては、特に限定されないが、MIT-03ミニトリガー(竹内容器社製)等が挙げられる。
【0025】
<製造方法>
本発明の第一の組成物の製造方法は、特に制限されず、一般的な方法により製造することができる。特に制限されないが、具体的には、水等の溶媒に成分(1-A)等を混合溶解させることにより、製造することができる。
【0026】
〔第二の組成物〕
<成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤>
本発明の第二の組成物における成分(2-A)は、多鎖型カチオン界面活性剤である。多鎖型カチオン界面活性剤は、特に限定されないが、多鎖としては、二鎖、三鎖、四鎖、十鎖等が挙げられる。成分(2-A)は、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、二鎖型であることが好ましい。
成分(2-A)は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートおよびジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェートからなる群より選択される一種以上であることが好ましい。
【0027】
本発明の第二の組成物中の成分(2-A)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、0.02~1%であることが好ましく、0.05~0.5%であることがより好ましく、0.08~0.12%がさらに好ましい。
【0028】
<成分(2-B)シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール>
本発明の第二の組成物における成分(2-B)は、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールである。本発明の第二の組成物において、成分(2-B)は必須成分ではないものの、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、本発明の第二の組成物は成分(2-B)を含有することが好ましい。
【0029】
本発明の第二の組成物中の成分(2-B)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、0.02~1%であることが好ましく、0.08~1.2%であることがより好ましく、特に毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、0.8~1.2%が特に好ましい。
【0030】
<成分(2-C)ホスホコリン基含有重合体>
本発明の第二の組成物における成分(2-C)は、ホスホコリン基含有重合体である。
本発明の第二の組成物において、成分(2-C)は必須成分ではないものの、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、本発明の第二の組成物は成分(2-C)を含有することが好ましい。
【0031】
ホスホコリン基含有重合体は、ホスホコリン基を含む単量体(以下、「ホスホコリン基含有単量体」と表記することがある)が重合したポリマーである。成分(2-C)において、ホスホコリン基含有単量体の種類については、特に制限されないが、例えば、ホスホコリン基とビニル基を有する単量体等が挙げられ、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよび2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルエタノールアミンからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンであることがより好ましい。
【0032】
ここで、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下、「MPC」と表記することがある)は、下記一般式(1)で示される。
【0033】
【化1】
【0034】
本発明の第二の組成物における成分(2-C)において、ホスホコリン基含有単量体は1種単独で含まれていてもよく、また2種以上組み合わされて含まれていてもよい。また、ホスホコリン基含有重合体は、ホスホコリン基含有単量体および疎水性モノマーとの共重合体であっても良い。
【0035】
本発明の第二の組成物における成分(2-C)は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、重量平均分子量が5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。また、本発明に用いられる成分(2-C)は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、重量平均分子量が100万以下であることが好ましく、80万以下であることが好ましい。なお、重量平均分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0036】
本発明の第二の組成物における成分(2-C)における疎水性モノマーの種類は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、スチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルであることが好ましい。また、ホスホコリン基含有単量体と疎水性モノマーの構成モル比については、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、比率(ホスホコリン基含有単量体:疎水性モノマー)は50:50~97:3であることが好ましい。
【0037】
本発明の第二の組成物における成分(2-C)は、特に限定されないが、具体的に例示するならば、MPCの単独重合体として、例えば、ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール(ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)を含有する、LIPIDURE-HM、LIPIDURE-HM-500、LIPIDURE-HM-600(以上、日油社製)、MPCとメタクリル酸ブチルとの共重合体として、ポリクオタニウム-51を含有する、LIPIDURE-PMB、LIPIDURE B(以上、日油社製)、MPC、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸ナトリウムとの共重合体として、ポリクオタニウム-65を含有する、LIPIDURE A(日油社製)、MPCとメタクリル酸ステアリルとの共重合体として、ポリクオタニウム-61を含有する、LIPIDURE NA 、LIPIDURE-NR(以上、日油社製)、ポリクオタニウム-64を含有する、LIPIDURE C(日油社製)等の市販品が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0038】
本発明の第二の組成物における成分(2-C)として、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、成分(2-C)は、ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール(ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、ポリクオタニウム-51およびポリクタニウム-65からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、ポリクオタニウム-51であることがより好ましい。
【0039】
本発明の第二の組成物中の成分(2-C)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、0.01~1%が好ましく、0.05~0.5%がより好ましく、0.08~0.16%がさらにより好ましい。
【0040】
<成分(2-D)加水分解タンパク質>
本発明の第二の組成物における成分(2-D)は、加水分解タンパク質である。
本発明の第二の組成物において、成分(2-D)は必須成分ではないものの、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、本発明の第二の組成物は成分(2-D)を含有することが好ましい。
【0041】
成分(2-D)は、天然より得られるタンパク質を従来の方法により加水分解したものでもよく、さらに市販のものを用いてもよい。成分(2-D)としては、特に限定されないが、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、加水分解カゼイン、加水分解ケラチン、加水分解小麦タンパク、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解大豆タンパク、加水分解エンドウタンパク、加水分解コンキオリンタンパク、加水分解コメタンパク、加水分解シロバナルーピンタンパク、加水分解カラスムギタンパク、加水分解アーモンドタンパク、加水分解アマランスタンパク、加水分解ジャガイモタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解ホホバタンパク、加水分解アクチン、加水分解アボカドタンパク、加水分解綿実タンパク、加水分解ヘーゼルナッツタンパクおよび加水分解ローヤルゼリータンパクからなる群から選ばれた1種以上であることが好ましく、これらのなかでも、加水分解カゼイン、加水分解ケラチン、加水分解小麦タンパク、加水分解コラーゲン、加水分解シルクおよび加水分解大豆タンパクからなる群から選ばれた1種以上であることがより好ましく、さらにこれらのなかでも、加水分解コラーゲン、加水分解シルクおよび加水分解大豆タンパクからなる群から選ばれた1種以上であることがさらにより好ましく、加水分解ケラチンであることが特に好ましい。
【0042】
加水分解ケラチンとしては、1種で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、この加水分解ケラチンは、例えば、羊毛由来、羽毛由来のものを用いることができる。毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、加水分解ケラチンは、羊毛由来であることが好ましい。
【0043】
加水分解ケラチンの数平均分子量(Mn)としては、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、100以上50,000以下が好ましい。上記Mnの下限としては、200がより好ましく、300がさらに好ましい。また、上記Mnの上限としては、30,000がより好ましく、10,000がさらに好ましい。
【0044】
加水分解ケラチンの数平均分子量(Mn)は、「{(総窒素量×(平均アミノ酸分子量-18))/アミノ態窒素量}+18」により算出される値である。ここで、「総窒素量」は、ケルダール法で測定でき、「平均アミノ酸分子量」は、アミノ酸分析によるアミノ酸組成比から求められ、「アミノ態窒素量」は、Van Slyke法で測定できる。
【0045】
本発明の第二の組成物中の成分(2-D)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、0.01~0.4%であることが好ましく、0.04~0.3%であることがより好ましく、特に毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、0.08~0.2%が特に好ましい。
【0046】
本発明において、特に限定されないが、第一の組成物における成分(1-A)の含有質量に対する第二の組成物における成分(2-A)の含有質量の割合(2-A)/(1-A)は、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、0.27~26.7であることが好ましい。ここで、本発明における割合(2-A)/(1-A)は、毛髪に対して適用した第二の組成物中の成分(2-A)の質量を、適用した第一の組成物中の成分(1-A)の質量で、除することで算出することとする。
【0047】
本発明の第二の組成物は、本技術の効果を損なわない範囲で、本発明の必須成分以外の成分として、油剤、成分界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、植物・微生物由来の抽出物、保湿剤・抗炎症剤・細胞賦活剤等の各種薬効剤、香料等を含有することができる。また、各種成分はベシクル製造時に添加してもよく、ベシクル製造後に添加してもよい。また、ベシクルに内包させてもよく、内包させなくてもよい。本発明の第二の組成物は、特に限定されないが、ベシクル形成効率の点で、水系溶媒を含有することが好ましく、水を含有することがより好ましく、水の含有量は本発明の第二の組成物中の50~99%であることがより好ましく、60~98%であることがさらにより好ましい。
【0048】
<pH>
本発明の第二の組成物の25℃におけるpHは、ベシクル組成物がベシクルとして剤の中で安定に存在できる点から、2.0~5.0が好ましく、2.5~4.0がより好ましく、3.0~3.5がさらにより好ましい。
【0049】
<剤型>
本発明の第二の組成物はベシクル組成物である。本発明においては、ベシクル組成物は閉鎖小胞体を意味し、偏光顕微鏡観察でマルテローゼクロス像が観察されるもの、もしくは、透過型電子顕微鏡観察で多重層構造のマルチラメラベシクルが観察されるものをいう。
本発明においては、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、第二の組成物中のベシクルが成分(2-A)を内包することが、好ましい。第二の組成物のベシクル中には、ベシクルの経時安定性の点から、成分(2-A)以外のカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上を内包することが好ましい。
【0050】
本発明の第二の組成物のζ電位は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点から、5~100であることが好ましく、7~80であることがより好ましく、10~50であることがさらに好ましい。本発明の第二の組成物におけるζ電位は、大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計LEZ-600を用いて温度25℃にて測定した値である。
【0051】
<製造方法>
本発明の第二の組成物の製造方法については、特に制限されず、一般的な方法により製造することができる。例えば、ボルテクスイング法〔A.D.Bangham, J.Mol.Biol., 13, 238(1965)〕、ソニケーション法〔C.Huang, Biochem., 8, 344(1969)〕、プレベシクル法〔H.Trauble, Neurosci.Res.Prog.Bull.,9, 273(1971)〕、エタノール注入法〔S.Batzri, Biochem.Biophys.Acta., 298, 1015(1973)〕、フレンチプレス押出法〔Y.Barenholz, FEBS Lett., 99, 210(1979)〕、コール酸除去法〔Y.Kagawa, J.Biol.Chem.,246, 5477(1971)〕、トリトンX-100バッチ法〔W.J.Gerritsen, Eur.J.Biochem., 85, 255(1978)〕、Ca2+融合法〔D.Papahadojopoulos,Biochem.Biophys.Acta., 394, 483(1975)〕、エーテル注入法〔D.Deazer, Biochem.Biophys.Acta., 443, 629(1976)〕、アニーリング法〔R.Lawaczeck, Biochem.Biophys.Acta., 443, 313(1976)〕、凍結融解融合法〔M.Kasahara, J.Biol.Chem., 252, 7384(1977)〕、W/O/Wエマルジョン法〔S.Matsumoto, J.Colloid Interface Sci., 62, 149(1977))、逆相蒸発法〔F.Szoka, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 75, 4194(1978)〕、多価アルコール法〔特開昭60-7932号公報〕等により製造することができる。
【0052】
〔第三の組成物〕
本発明の第三の組成物は、本発明の多剤式毛髪処理剤において必須の組成物ではないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、本発明の多剤式毛髪処理剤は第三の組成物を備えることが好ましい。
【0053】
<成分(3-A)ビタミンC誘導体>
本発明の第三の組成物における成分(3-A)は、ビタミンC誘導体である。
ビタミンC誘導体としては、特に限定されないが、毛髪強度向上効果および毛髪のハリコシ向上効果の点で、ジパルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル等のアスコルビン酸アルキルエステル、アスコルビン酸リン酸エステルおよびアスコルビン酸硫酸エステルからなる群から選ばれた1種以上であることがより好ましく、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルであることがさらにより好ましい。
【0054】
本発明の第三の組成物中の成分(3-A)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、0.02~5%であることが好ましく、0.2~4.5%であることがより好ましく、2~4%がさらに好ましい。
【0055】
本発明の第三の組成物は、本技術の効果を損なわない範囲で、本発明の必須成分以外の成分として、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、植物・微生物由来の抽出物、保湿剤・抗炎症剤・細胞賦活剤等の各種薬効剤、香料等を含有することができる。本発明の第三の組成物は、油性組成物である上で、特に限定されないが、油剤を含有することが好ましく、油剤の含有量は本発明の第三の組成物中の50~99%であることがより好ましく、60~98%であることがさらにより好ましい。
【0056】
<剤型>
本発明の第三の組成物は毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、油性組成物であることが好ましい。本発明における油性組成物は、油系ベース部分が、分離等をしていない一液相のものであり、油中水型の可溶化や、油中水型のエマルション等が挙げられる。また、このような油系ベースに、さらに粉体や、これを造粒した顆粒等を配合したものであってもよい。本発明における油性組成物は、少量の水を含有するものであってもよい。このような水の具体的な含有量としては、特に限定されるものではないが、第三の組成物中、5%未満であることが好ましく、1%未満であるとより好ましく、0.5%未満であるとより好ましい。
【0057】
<製造方法>
本発明の第三の組成物の製造方法は、特に制限されず、一般的な方法により製造することができる。
【0058】
〔第四の組成物〕
本発明の第四の組成物は、本発明の多剤式毛髪処理剤において必須の組成物ではないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、本発明の多剤式毛髪処理剤は第四の組成物を備えることが好ましい。
ここで、本発明の多剤式毛髪処理剤において、第三の組成物を備えずに、第四の組成物を備えることもできる。本発明の多剤式毛髪処理剤において、第三の組成物を備えずに、第四の組成物を備えることは、毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で好ましい。本発明の多剤式毛髪処理剤においては、第三の組成物を備え、かつ、第四の組成物を備えることは、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点でより好ましい。
【0059】
<成分(4-A)一鎖型カチオン界面活性剤>
本発明の第四の組成物における成分(4-A)は、一鎖型カチオン界面活性剤である。成分(4-A)の一鎖型カチオン界面活性剤としては、アミン塩型および第四級アンモニウム塩型等が挙げられる。成分(4-A)は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、具体的には、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウムからなる群から選ばれた1種以上であることが好ましく、特に毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムであることが特に好ましい。
【0060】
本発明の第四の組成物中の成分(4-A)の含有量は、特に限定されないが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、0.01~5%であることが好ましく、0.2~2%であることがより好ましく、0.5~0.8%がさらに好ましい。
【0061】
本発明の第四の組成物は、本技術の効果を損なわない範囲で、本発明の必須成分以外の成分として、油剤、成分界面活性剤、増粘剤、粉体、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、植物・微生物由来の抽出物、保湿剤・抗炎症剤・細胞賦活剤等の各種薬効剤、香料等を含有することができる。本発明の第四の組成物は、水中油型である点で、特に限定されないが、水系溶媒を含有することが好ましく、水を含有することがより好ましく、水の含有量は本発明の第四の組成物中の50~90%であることがより好ましい。
【0062】
<剤型>
本発明の第四の組成物は毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の点で、水中油型組成物であることが好ましい。
【0063】
<製造方法>
本発明の第四の組成物の製造方法は、特に制限されず、一般的な方法により製造することができる。具体的には、分散乳化法、転相乳化法、転相温度乳化法等が挙げられる。
【0064】
<pH>
本発明の第四の組成物の25℃におけるpHは、毛髪表面のpHを等電点付近に寄せてキューティクルを整える観点から、2.5~6.5が好ましく、3.0~6.0がより好ましく、4.0~5.0がさらにより好ましい。
【0065】
<多剤>
本発明の多剤式毛髪処理剤において、多剤式とは、複数の剤を備えることをいう。複数の剤を備えるとは、複数の剤がセット品とされることを含み、セット品でなくとも製品群において順番に使用することを示されることを含む。
【0066】
〔毛髪処理方法〕
本発明の毛髪処理方法は、
第一の組成物および第二の組成物を備える多剤式毛髪処理剤であって、
前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8.0以上であるヘアミスト組成物であって、
前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物である、多剤式毛髪処理剤を毛髪に適用する毛髪処理方法であることが好ましい。
【0067】
ここで、本発明の毛髪処理方法は、
以下の工程(i)~(ii)を含むことが好ましい。
工程(i) 第一の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8.0以上であるヘアミスト組成物である、工程
工程(ii) 第二の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物である、工程
【0068】
<工程(i)>
本発明における工程(i)は、第一の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第一の組成物が、成分(1-A)塩基性アミノ酸を含有し、25℃におけるpHが8.0以上であるヘアミスト組成物である、工程である。
【0069】
本発明における工程(i)において、第一の組成物は乾燥した毛髪、濡れた毛髪のどちらに対して適用してもよいが、組成物が毛髪表面にしっかりと延展するという観点から、濡れた毛髪に適用するのが好ましく、毛髪洗浄剤により毛髪を洗浄した後の濡れた毛髪に適用するのがより好ましい。ここで、毛髪洗浄剤としては、毛髪強度向上効果の観点から、成分として(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルクを含有することが好ましい。
【0070】
本発明における工程(i)において、毛髪に適用する第一の組成物の量は、毛髪の乾燥質量に対する第一の組成物の質量の比(第一の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果の観点から、0.005~0.3が好ましく、0.01~0.1がより好ましく、0.02~0.07がさらに好ましい。
【0071】
本発明における第一の組成物を毛髪に適用後、毛髪全体になじませるには、毛髪に組成物を揉み込む、毛髪に手ぐしを通す、毛髪をタッピングする等の手を用いる方法をとることができるが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果の向上効果の観点から、毛髪に組成物を揉み込むことが好ましい。
【0072】
本発明における工程(i)において、本発明における第一の組成物を毛髪全体になじませた後は、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果の観点から、放置することが好ましい。放置する時間は、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果の向上効果の観点から、0~10分が好ましく、1~8分がより好ましく、2~5分がさらに好ましい。
【0073】
本発明における第一の組成物を毛髪全体になじませた後は、工程(ii)の前に毛髪上の第一の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果の観点から、すすぎ流さないことが好ましい。
【0074】
<工程(ii)>
本発明における工程(ii)は、第二の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第二の組成物が、成分(2-A)多鎖型カチオン界面活性剤を含有するベシクル含有組成物である、工程である。
【0075】
本発明における工程(ii)において毛髪に適用する第二の組成物の量は、毛髪の乾燥質量に対する第二の組成物の質量の比(第二の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、0.05~1.0が好ましく、0.1~0.5がより好ましく、0.15~0.3がさらに好ましい。
【0076】
本発明における第二の組成物を毛髪に適用後、毛髪全体になじませるには、毛髪に組成物を揉み込む、毛髪に手ぐしを通す、毛髪をタッピングする等の手を用いる方法をとることができるが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、毛髪をタッピングすることが好ましい。
【0077】
本発明における工程(ii)において、本発明における第二の組成物を毛髪全体になじませた後は、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、放置することが好ましい。放置する時間は、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、1~10分が好ましく、2~8分がより好ましく、3~5分がさらに好ましい。
【0078】
本発明における工程(ii)の後、後述の工程(iii)など、毛髪に更に他の組成物を適用する工程を行わない場合において、毛髪上の第二の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、すすぎ流すことが好ましい。
【0079】
本発明の毛髪処理方法は、
工程(i)~(ii)に、さらに、以下の工程(iii)および/または工程(iv)を含むことが好ましい。
工程(iii) 第三の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第三の組成物が、成分(3-A)ビタミンC誘導体を含有する油性組成物である、工程
工程(iv) 第四の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第四の組成物が、成分(4-A)一鎖型カチオン界面活性剤を含有する水中油型組成物である、工程
【0080】
<工程(iii)>
本発明における工程(iii)は、第三の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第三の組成物が、成分(3-A)ビタミンC誘導体を含有する油性組成物である、工程である。
【0081】
本発明において、工程(iii)は、必須の工程ではないものの、毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、工程(ii)の後、毛髪に適用することが好ましい工程である。
【0082】
本発明における工程(ii)の後、工程(iii)を行う場合において、工程(iii)の前に毛髪上の第二の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、すすぎ流さないことが好ましい。
【0083】
本発明における工程(iii)において毛髪に適用する第三の組成物の量は、毛髪の乾燥質量に対する第三の油性組成物の質量の比(第三の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、0.005~0.04が好ましく、0.01~0.03がより好ましく、0.015~0.02がさらに好ましい。
【0084】
本発明における第三の組成物を毛髪に適用後、毛髪全体になじませるには、毛髪に組成物を揉み込む、毛髪に手ぐしを通す、毛髪をタッピングする等の手を用いる方法をとることができるが、毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、毛髪に組成物を揉み込むことが好ましい。
ここで、毛髪全体になじませる際には、毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、第三の組成物を毛髪の毛先に塗布することにより、毛髪の毛先を中心にして毛髪全体になじませることが好ましい。
【0085】
本発明における工程(iii)において、本発明における第三の組成物を毛髪全体になじませた後は、放置しても放置しなくても良いが、毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、放置しないことが好ましい。放置する場合の放置時間は、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、3分以内が好ましく、2分以内がより好ましく、1分以内がさらに好ましい。
【0086】
本発明における工程(iii)の後、後述の工程(iv)など、毛髪に更に他の組成物を適用する工程を行わない場合において、毛髪上の第三の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、すすぎ流すことが好ましい。
【0087】
<工程(iv)>
本発明における工程(iv)は、第四の組成物を毛髪に適用する工程であって、前記第四の組成物が、成分(4-A)一鎖型カチオン界面活性剤を含有する水中油型組成物である、工程である。
【0088】
本発明において、工程(iv)は、必須の工程ではないものの、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、工程(i)の後において、工程(ii)又は工程(iii)の後に、毛髪に適用することが好ましく、工程(i)、工程(ii)および工程(iii)の後に、毛髪に適用することがより好ましい。
【0089】
本発明における工程(ii)又は工程(iii)の後、工程(iv)を行う場合において、工程(iv)の前に毛髪上の第二の組成物又は第三の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、すすぎ流さないことが好ましい。
【0090】
本発明における工程(iv)において毛髪に適用する第四の組成物の量は、毛髪の乾燥質量に対する第四の組成物の質量の比(第四の組成物の質量/毛髪の乾燥質量)で、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、0.02~0.15が好ましく、0.04~0.1がより好ましく、0.06~0.08がさらに好ましい。
【0091】
本発明における第四の組成物を毛髪に適用後、毛髪全体になじませるには、毛髪に組成物を揉み込む、毛髪に手ぐしを通す、毛髪をタッピングする等の手を用いる方法をとることができるが、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、毛髪をタッピングすることが好ましい。
【0092】
本発明における工程(iv)において、本発明における第四の組成物を毛髪全体になじませた後は、放置しても放置しなくても良いが、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、放置しないことが好ましい。放置する場合の放置時間は、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、3分以内が好ましく、2分以内がより好ましく、1分以内がさらに好ましい。
【0093】
本発明における工程(iv)の後、毛髪に更に他の組成物を適用する工程を行わない場合において、毛髪上の第三の組成物をすすぎ流してもすすぎ流さなくてもよいが、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、すすぎ流さないことが好ましい。
【0094】
工程(ii)、工程(iii)又は工程(iv)における毛髪上の組成物をすすぎ流す工程の後、毛髪を乾燥させても乾燥させなくてもどちらでもよいが、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、乾燥させることが好ましい。毛髪の乾燥は、タオルドライ、自然乾燥のほか、ドライヤー等の加熱乾燥等により行うことができる。
【0095】
毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさの向上効果の観点から、乾燥工程中及び乾燥工程後に、毛髪を手や、くし、ブラシ等の道具を用いて整えることが好ましい。
【実施例
【0096】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0097】
実施例1~28及び比較例1~8;多剤型ヘアトリートメント
表3~表6に示す組成及び下記製造方法にて、試料(ヘアミスト:step1 実施処方-1~8、step1 比較処方-1~3、ベシクル含有ヘア美容液step2 実施処方-1~13、step2 比較処方-1~2、ヘアオイル:step3 実施処方-1、step3 比較処方-1、ヘアトリートメント:step4 実施処方-1、step4 比較処方-1)を調製し、表1および表2に示す組合せおよび順序において、以下に示す方法により、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果および毛髪表面の滑らかさ向上効果の各項目について、以下に示す評価方法及び判定方法により評価判定した。結果を併せて表1~表6に示した。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
(製造方法)
<ヘアミスト:step1 実施処方-1~8、step1 比較処方-1~3>
A:No.1~7を均一に混合溶解し、所定の容器に充填し、ヘアミストを得た。
<ベシクル含有ヘア美容液:step2 実施処方-1~13、step2 比較処方-1~2>
A:No.1~9を均一に混合溶解し、ベシクル含有ヘア美容液を得た。
<ヘアオイル:step3 実施処方-1、step3 比較処方-1>
A:No.1~5を均一に混合溶解し、ヘアオイルを得た。
<ヘアトリートメント:step4 実施処方-1、step4 比較処方-1>
A:No.1、2、4を加熱混合溶解した。
B:No.3を加熱した。
C:AにBを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、ヘアトリートメントを得た。
【0105】
〔評価方法1、2〕:<1>毛髪強度向上効果、<2>毛髪のハリコシ向上効果
実施例1~28、比較例1~8において、表1~6に記載の試料を記載の順序にて、10cm、1gの毛束(ビューラックス社製、ライトブラウン毛)に対して、適用した。
ここで、表1および表2中、「○」は毛髪に適用することを表し、「○」の中の数字は、毛髪に適用する順番を表す。表1および表2中、「-」は毛髪に対して適用しないことを表す。例えば、実施例1は、step1として、step1実施処方-1を毛髪に適用し、step2として、step2実施処方-1を毛髪に適用し、それ以降のstep3またはstep4は行わないことを表す。また、実施例5は、step1として、step1実施処方-1を毛髪に適用し、step2として、step2実施処方-1を毛髪に適用し、step3として、step4実施処方-1を毛髪に適用し、step4として、step3実施処方-1を毛髪に適用することを表す。
【0106】
ここで、適用した試料の質量は、以下のようにした。
step1 実施処方-1~8、step1 比較処方-1~3:0.3g
step2 実施処方-1~13、step2 比較処方-1~2:1.0g
step3 実施処方-1、step3 比較処方-1:1.0g
step4 実施処方-1、step4 比較処方-1:1.0g
【0107】
さらに、各step後の放置時間と、洗い流しの有無は、以下のようにした。
step1後の放置時間は2分とし、step1後の放置後には、洗い流しを行わなかった。
step2後の放置時間は5分とし、step2後の放置後には、シャワーで洗い流しを行った。
step3後の放置時間は3分とし、step3後の放置後には、シャワーで洗い流しを行った。
step4後の放置時間は3分とし、step4後の放置後には、シャワーで洗い流しを行った。
【0108】
最終step後の放置後、シャワーで洗い流しを行い、ヘアドライヤーで乾燥させた後、<1>毛髪強度向上効果を評価するために、EZ-Test(島津製作所社製)による引っ張り強度を測定し、<2>毛髪のハリコシ向上効果を評価するために、KES-FB2-A純曲げ試験機(カトーテック社製)を用いた毛髪の曲げ試験を行い、曲げ応力を測定し、下記〔判定方法1、2〕に従って判定した。
【0109】
〔判定方法1〕:<1>毛髪強度向上効果
未処理毛と比較して引っ張り強度が大幅に向上した:◎
未処理毛と比較して引っ張り強度が向上した:○
未処理毛と比較して引っ張り強度に差が見られなかった:△
未処理毛と比較して引っ張り強度が低下した:×
〔判定方法2〕:<2>毛髪のハリコシ向上効果
未処理毛と比較して曲げ応力が大幅に向上した:◎
未処理毛と比較して曲げ応力が向上した:○
未処理毛と比較して曲げ応力に差が見られなかった:△
未処理毛と比較して曲げ応力が低下した:×
【0110】
〔評価方法3〕:<3>毛髪の滑らかさの向上効果
実施例1~28、比較例1~8において、表1~3に記載の試料を記載の順序にて、
化粧品専門パネル20名(髪の長さ:60cm)に対して、毛髪に適用した。
ここで、表1および表2中、「○」は毛髪に適用することを表し、「○」の中の数字は、毛髪に適用する順番を表す。表1および表2中、「-」は毛髪に対して適用しないことを表す。例えば、実施例1は、step1として、step1実施処方-1を毛髪に適用し、step2として、step2実施処方-1を毛髪に適用し、それ以降のstep3またはstep4は行わないことを表す。また、実施例5は、step1として、step1実施処方-1を毛髪に適用し、step2として、step2実施処方-1を毛髪に適用し、step3として、step4実施処方-1を毛髪に適用し、step4として、step3実施処方-1を毛髪に適用することを表す。
【0111】
ここで、適用した試料の質量は、以下のようにした。
step1 実施処方-1~8、step1 比較処方-1~3:0.3g
step2 実施処方-1~13、step2 比較処方-1~2:1.0g
step3 実施処方-1、step3 比較処方-1:1.0g
step4 実施処方-1、step4 比較処方-1:1.0g
【0112】
さらに、各step後の放置時間と、洗い流しの有無は、以下のようにした。
step1後の放置時間は2分とし、step1後の放置後には、洗い流しを行わなかった。
step2後の放置時間は5分とし、step2後の放置後には、シャワーで洗い流しを行った。
step3後の放置時間は3分とし、step3後の放置後には、シャワーで洗い流しを行った。
step4後の放置時間は3分とし、step4後の放置後には、シャワーで洗い流しを行った。
【0113】
最終step後の放置後、シャワーで洗い流しを行い、ヘアドライヤーで乾燥させた後の毛髪の滑らかさの項目について下記の[評価基準(イ)]に従って5段階評価を行った。その後、各評価について、下記〔判定方法3〕に従って判定した。
【0114】
[評価基準(イ)]5段階評価基準:
[評点]:[評価結果]
5点 :なめらかさが十分ある
4点 :なめらかさががほぼ十分ある
3点 :なめらかさが少し足りない
2点 :なめらかさがだいぶ足りない
1点 :なめらかさが不足している
〔判定方法3〕:<3>毛髪の滑らかさの向上効果[判定]:[評点]
◎ :4.0以上
○ :3.0以上~4.0未満
△ :2.0以上~3.0未満
× :2.0未満
【0115】
まず、step1 実施処方-1~8、step1 比較処方-1~3における組成物のpHは、25℃において、東亜ディーケーケー社製HM-30R型を用いて、ガラス電極測定法により測定したところ、step1 実施処方-1~8、step1 比較処方-1およびstep1 比較処方-3は9.0であり、step1 比較処方-2は、7.0であった。
さらに、step2 実施処方-1~13は偏光顕微鏡観察によりマルテローゼクロス像が観察されベシクル組成物であることが確認され、step2 比較処方-1~2では、偏光顕微鏡観察でマルテローゼクロス像が観察されず、透過型電子顕微鏡観察で多重層構造のマルチラメラベシクルが観察されなかった。
【0116】
表1~表6の結果から明らかなように、実施例1~28は、「毛髪強度向上効果」、「毛髪のハリコシ向上効果」、「毛髪の滑らかさの向上効果」の各項目について良好であった。
Step1を実施せず、第一の組成物を備えない比較例1は、「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」が劣っていた。
またStep2を実施せず、第二の組成物を備えない比較例2では、「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」「毛髪の滑らかさの向上効果」が劣っていた。
Step1及びStep2の使用順序を入れ替えた比較例3においても同様に「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」「毛髪の滑らかさの向上効果」が劣っていた。
またStep1において、第一の組成物がアルギニンを含有しない比較例4においては、「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」が劣っていた。
Step1において、第一の組成物の25℃におけるpHが8.0未満である比較例5においては「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」「毛髪の滑らかさの向上効果」が劣っていた。
Step1において、第一のヘアミスト組成物ではなく、第一のローション組成物を備えた比較例6においては、「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」が劣っていた。
Step2において、第二の組成物が多鎖型カチオン界面活性剤を含有しない比較例7においては、「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」が劣り、比較例8においては「毛髪強度向上効果」「毛髪のハリコシ向上効果」「毛髪の滑らかさの向上効果」が劣っていた。
【0117】
実施例29:多剤型ヘアトリートメント
Step1:ヘアミスト、Step2:ヘアトリートメント
<step1 実施処方-9 ヘアミスト>
(成分) (%)
1.アルギニン 0.3
2.ヒスチジン 0.2
3.エタノール 20.0
4.クエン酸 0.05
5.クエン酸ナトリウム 0.01
6.精製水 残量
7.(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク(注7)
0.05
(注7)PROMOIS S-700SIGF(成和化成社製)
<step2 実施処方-14 ヘアトリートメント>
(成分) (%)
1.セトステアリルアルコール 1.5
2.セタノール 2.5
3.ステアリルアルコール 1.5
4.ベヘニルアルコール 1.2
5.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.5
6.塩化ステアリルトリメチルアンモニム 1.0
7.塩化ジステアリルジメチルアンモニム 0.2
8.ステアリルPGトリモニウムクロリド 0.5
9.テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル 5.0
10.オクチルドデカノール 2.0
11.デシルテトラデカノール 1.0
12.シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
0.5
13.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート
0.2
14.コレステロール 0.05
15.セラミドNG 0.01
16・セラミドNP 0.01
17.メチルパラベン 0.3
18.オレイン酸エチル 0.5
19.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
20.ジメチコン(25℃において100mm/s) 5.0
21.ジメチコン(25℃において100万mm/s) 1.0
22.ジグリセリン 1.5
23.ジプロピレングリコール 1.0
24.乳酸 0.01
25.乳酸Na 0.01
26.ポリクオタニウム-104 0.5
27.加水分解ケラチン(羊毛) 0.5
28.ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール 3.0
28.香料 0.3
29.精製水 残量
【0118】
(製造方法)
<step1 実施処方-9 ヘアミスト>
A:No.1~7を均一に混合溶解し、ヘアミストを得た。
<step2 実施処方-14 ヘアトリートメント>
A:No.13~16を事前に混合、高圧処理を行った。
B:No.1~12、No.17~23を加熱混合溶解した。
C:No.24~25、29を加熱混合溶解した。
D:CにBを添加し、乳化混合した。
E:Dを冷却し、A、No.26~28を添加し、ヘアトリートメントを得た。
【0119】
(使用方法)
日本人女性(髪の長さ:60cm)に対して、シャンプーを適用し、シャワーで洗い流した後に、
step1として、step1 実施処方-9を3.5g 適用し、step1後の放置時間は2分とし、step1後の放置後には、洗い流しを行わなかった。
その後、step2として、step2 実施処方-14を20g 適用し、step2後の放置時間は5分とし、step2後の放置後には、シャワーで洗い流しを行なった。
【0120】
以上のようにして得られた実施例29の多剤型ヘアトリートメントは、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果、毛髪の滑らかさの向上効果の各項目について良好であった。
【0121】
実施例30:多剤型ヘアトリートメント
Step1:ヘアミスト、Step2:ヘアトリートメント、Step3:ヘアオイル、Step4:ヘアコンディショナー
<step1 実施処方-10 ヘアミスト>
(成分) (%)
1.アルギニン 0.5
2.エタノール 20.0
3.クエン酸 0.05
4.クエン酸ナトリウム 0.01
5.精製水 残量
6.(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク(注7)
0.05
<step2 実施処方-15 ヘアトリートメント>
(成分) (%)
1.セトステアリルアルコール 1.5
2.セタノール 2.5
3.ステアリルアルコール 1.5
4.ベヘニルアルコール 1.2
5.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.5
6.塩化ステアリルトリメチルアンモニム 0.5
7.塩化ジステアリルジメチルアンモニム 0.5
8.ステアリルPGトリモニウムクロリド 0.5
9.テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル 1.0
10.安息香酸アルキル(C12-15) 2.0
11.イソノナン酸イソノニル 1.0
12.水添ポリデセン 2.0
13.シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
0.5
14.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート
0.2
15.コレステロール 0.05
16.セラミドNG 0.02
17.メチルパラベン 0.3
18.オレイン酸エチル 0.5
19.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
20.ジメチコン(25℃において100mm/s) 5.0
21.ジメチコン(25℃において100万mm/s) 1.0
22.ジグリセリン 1.5
23.ジプロピレングリコール 1.0
24.乳酸 0.01
25.乳酸Na 0.01
26.ポリクオタニウム-10 0.5
27.加水分解ケラチン(羊毛) 0.5
28.ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール 2.0
29.香料 0.3
30.精製水 残量
<step3 実施処方-2 ヘアオイル>
(成分) (%)
1.テトラデカン酸アスコルビル 1.5
2.軽質流動イソパラフィン 残量
3.BHT 0.05
4.香料 0.4
5.フェノキシエタノール 0.5
6.バオバブオイル 0.1
7.アルガンオイル 0.1
8.モリンガオイル 0.1
9.椿油 0.1
10.安息香酸アルキル(C12-15) 2.0
11.ジメチコン(25℃において100mm/s) 10.0
12.ジメチコン(25℃において100万mm/s) 5.0
13.ジメチコン(25℃において10mm/s) 15.0
14.オレイン酸エチル 0.5
15.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
<step4 実施処方-2 ヘアコンディショナー>
(成分) (%)
1.セトステアリルアルコール 4.5
2.ベヘニルアルコール 1.0
3.ステアリン酸グリセリル 0.5
4.塩化ジステアリルジメチルアンモニム 0.5
5.クオタニウム-33 1.0
6.ジメチコン(25℃において100mm/s) 5.0
7.ジメチコン(25℃において100万mm/s) 1.0
8.ジメチコン(25℃において1000万mm/s) 1.0
9.コメ胚芽油 0.1
10.サフラワー油 0.1
11.アルモンド油 0.1
12.EDTA 0.05
13.精製水 残量
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.クエン酸 0.05
16.クエン酸ナトリウム 0.01
17.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5
18.グリセリン 5.0
19.アモジメチコン(注8) 2.5
20.ジグルコシル没食子酸 0.05
21.加水分解ダイズタンパク 0.1
22.加水分解シルク 0.1
23.ジプロピレングリコール 1.0
24.ローズマリーエキス 0.01
25.アセロラエキス 0.01
26.香料 0.3
(注8)SM8904 Cosmetic Emulsion(東レ・ダウコーニング社製)
【0122】
(製造方法)
<step1 実施処方-10 ヘアミスト>
A:No.1~6を均一に混合溶解し、ヘアミストを得た。
<step2 実施処方-15 ヘアトリートメント>
A:No.14~16を事前に混合、高圧処理を行った。
B:No.1~13、No.17~21を加熱混合溶解した。
C:No.22~25、29~30を加熱混合溶解した。
D:CにBを添加し、乳化混合した。
E:Dを冷却し、A、No.26~28を添加し、ヘアトリートメントを得た。
<step3 実施処方-2 ヘアオイル>
A:No.1~15を均一に混合溶解し、ヘアオイルを得た。
<step4 実施処方-2 ヘアコンディショナー>
A:No.1~11を加熱混合溶解した。
B:No.12~18を加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.19~26を添加し、ヘアコンディショナーを得た。
【0123】
(使用方法)
日本人女性(髪の長さ:60cm)に対して、シャンプーを適用し、シャワーで洗い流した後に、
step1として、step1 実施処方-10を3.5g 適用し、step1後の放置時間は2分とし、step1後の放置後には、洗い流しを行わなかった。
その後、step2として、step2 実施処方-15を20g 適用し、step2後の放置時間は5分とし、step2後の放置後には、シャワーで洗い流しを行なった。
その後、step3として、step3 実施処方-2を2g 適用し、step3後の放置時間はなく洗い流しを行わなかった。
その後、step4として、step4 実施処方-2を9g 適用し、step4後の放置時間は2分とし、step4後の放置後には、シャワーで洗い流しを行い、ヘアドライヤーで乾燥させた。
【0124】
以上のようにして得られた実施例30の多剤型ヘアトリートメントは、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果、毛髪の滑らかさの向上効果の各項目について良好であった。
【0125】
実施例31:多剤型ヘアトリートメント
Step1:ヘアミスト、Step2:ヘアトリートメント、Step3:ヘアオイル、Step4:ヘアコンディショナー
<step1 実施処方-11 ヘアミスト>
(成分) (%)
1.ヒスチジン 0.4
2.エタノール 10.0
3.トリプロピレングリコール 10.0
4.クエン酸 0.05
5.精製水 残量
<step2 実施処方-16 ヘアトリートメント>
(成分) (%)
1.セトステアリルアルコール 2.5
2.ベヘニルアルコール 1.5
3.ステアリン酸グリセリル 1.0
4.ベヘニルアルコール 1.2
5.塩化ベヘニルトリメチルアンモニム 1.5
6.塩化ステアリルトリメチルアンモニム 0.5
7.クオタニウム-33 0.5
8.デシルテトラデカノール 2.0
9.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(注9)
1.0
10.安息香酸アルキル(C12-15) 2.0
11.イソノナン酸イソトリデシル 1.5
12.トリエチルヘキサノイン 2.0
13.シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール
1.0
14.ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート
0.16
15.コレステロール 0.05
16.セラミドNG 0.02
17.セラミドNP 0.02
18.メチルパラベン 0.3
19.オリーブ脂肪酸エチル 0.5
20.ジメチコン(25℃において10mm/s) 5.0
21.ジメチコン(25℃において1000万mm/s) 0.5
22.グリセリン 1.0
23.ジプロピレングリコール 1.0
24.乳酸 0.01
25.乳酸Na 0.01
26.ポリクオタニウム-7 0.5
27.加水分解ケラチン(羊毛) 0.5
28.ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール 1.0
29.香料 0.7
30.精製水 残量
(注9)エルデュウPS-203(味の素社製)
<step3 実施処方-3 ヘアオイル>
(成分) (%)
1.テトラデカン酸アスコルビル 2.0
2.軽質流動イソパラフィン 残量
3.BHT 0.05
4.香料 0.4
5.フェノキシエタノール 0.5
6.コメ胚芽油 0.1
7.ブドウ種子油 0.1
8.ホホバ油 0.1
9.オリーブ油 0.1
10.デシルテトラデカノール 10.0
11.ジメチコン(25℃において100mm/s) 15.0
12.ジメチコン(25℃において100万mm/s) 2.0
13.ジメチコン(25℃において10mm/s) 10.0
14.オレイン酸エチル 0.1
15.オリーブ脂肪酸エチル 0.1
<step4 実施処方-3 ヘアコンディショナー>
(成分) (%)
1.セトステアリルアルコール 4.0
2.ベヘニルアルコール 2.0
3.ステアリン酸グリセリル 1.0
4.塩化ジステアリルジメチルアンモニム 0.5
5.クオタニウム-33 1.0
6.ジメチコン(25℃において100mm/s) 5.0
7.ジメチコン(25℃において100万mm/s) 1.0
8.ジメチコン(25℃において1000万mm/s) 1.0
9.水添ポリデセン 1.0
10.アボガド油 0.1
11.バオバブオイル 0.1
12.EDTA 0.05
13.精製水 残量
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
15.クエン酸 0.05
16.クエン酸ナトリウム 0.01
17.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 1.5
18.ジグリセリン 1.0
19.アモジメチコン(注10) 1.0
20.ジグルコシル没食子酸 0.05
21.加水分解ダイズタンパク 0.1
22.トコトリエノール 0.1
23.ジプロピレングリコール 1.0
24.イラクサエキス 0.01
25.アップルミントエキス 0.01
26.香料 0.3
(注10)BELSIL ADM 1650(旭化成ワッカーシリコーン社製)
【0126】
(製造方法)
<step1 実施処方-11 ヘアミスト>
A:No.1~5を均一に混合溶解し、ヘアミストを得た。
<step2 実施処方-16 ヘアトリートメント>
A:No.14~16を事前に混合、高圧処理を行った。
B:No.1~13、No.17~21を加熱混合溶解した。
C:No.22~25、29~30を加熱混合溶解した。
D:CにBを添加し、乳化混合した。
E:Dを冷却し、A、No.26~28を添加し、ヘアトリートメントを得た。
<step3 実施処方-3 ヘアオイル>
A:No.1~15を均一に混合溶解し、ヘアオイルを得た。
<step4 実施処方-3 ヘアコンディショナー>
A:No.1~11を加熱混合溶解した。
B:No.12~18を加熱混合溶解した。
C:BにAを添加し、乳化混合した。
D:Cを冷却し、No.19~26を添加し、ヘアコンディショナーを得た。
【0127】
(使用方法)
日本人女性(髪の長さ:60cm)に対して、シャンプーを適用し、シャワーで洗い流した後に、
step1として、step1 実施処方-11を3.5g 適用し、step1後の放置時間は2分とし、step1後の放置後には、洗い流しを行わなかった。
その後、step2として、step2 実施処方-16を20g 適用し、step2後の放置時間は5分とし、step2後の放置後には、シャワーで洗い流しを行なった。
その後、step3として、step3 実施処方-3を2g 適用し、step3後の放置時間はなく洗い流しを行わなかった。
その後、step4として、step4 実施処方-3を9g 適用し、step4後の放置時間は2分とし、step4後の放置後には、シャワーで洗い流しを行い、ヘアドライヤーで乾燥させた。
【0128】
以上のようにして得られた実施例31の多剤型ヘアトリートメントは、毛髪強度向上効果、毛髪のハリコシ向上効果、毛髪の滑らかさの向上効果の各項目について良好であった。