(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】蓄電池制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20250312BHJP
G01R 31/396 20190101ALI20250312BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20250312BHJP
H02J 1/00 20060101ALN20250312BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
G01R31/396
H02H7/18
H02J7/00 S
H02J1/00 309W
(21)【出願番号】P 2021046498
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】竹井 英俊
(72)【発明者】
【氏名】植杉 淳司
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-343445(JP,A)
【文献】特開2006-014480(JP,A)
【文献】特開2006-109540(JP,A)
【文献】特開2006-153758(JP,A)
【文献】特開2012-253836(JP,A)
【文献】特開2020-156200(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0081128(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/396
H02H 7/00
H02J 1/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を構成する電池モジュールの電圧制御を行う制御基板と、当該電池モジュールの接続状態を管理する蓄電池制御システムであり、
前記制御基板に設けられ、前記電池モジュールを構成する直列に接続されたセル電池の各々の電圧を測定するセル電圧測定回路と、
前記セル電圧測定回路における前記セル電池が接続される正極端子及び負極端子からなる測定端子の各々において、前記直列に接続された隣接する前記測定端子の前記負極端子と前記正極端子との間に設けられたスイッチ部と、
前記スイッチ部のそれぞれのオンオフ制御を行う導通制御部と
を備えることを特徴とする蓄電池制御システム。
【請求項2】
前記導通制御部が、前記電池モジュールが有する負極端子及び正極端子が前記測定端子の全てに正常に接続されている場合、前記スイッチ部のそれぞれをオン状態とし、前記電池モジュールが有する負極端子及び正極端子のいずれか一つでも前記測定端子に正常に接続されていない場合、前記スイッチ部のそれぞれをオフ状態とする
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電池制御システム。
【請求項3】
前記スイッチ部が、光絶縁素子である
ことを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の蓄電池制御システム。
【請求項4】
前記電池モジュールの前記正極端子及び前記負極端子の各々が接続される、前記制御基板の接続端子の正極端子、負極端子それぞれの間に設けられ、前記接続端子の正極端子から前記接続端子の負極端子に流れる電流の有無を検出する接続検出部と、
前記接続検出部から供給される前記電流の有無を示す情報により、前記電池モジュールが前記接続端子に正常に接続されているか否かを判定する判定制御部と
を、更に備えることを特徴とする
請求項1に記載の蓄電池制御システム。
【請求項5】
前記接続検出部が、
前記接続端子の各々の間に直列に接続された電流検出部とスイッチ部とを備え、
前記判定制御部が、
前記電池モジュールと前記接続端子との接続状態を検出する際、前記スイッチ部をオン状態とし、
前記電流検出部により電流の検出を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の蓄電池制御システム。
【請求項6】
前記電流検出部及び前記スイッチ部
の各々が、
それぞれ光絶縁素子である
ことを特徴とす
る請求項5に記載の蓄電池制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の屋根等にソーラーパネルを設置し、ソーラーパネルが発電した電力を家庭用の電力として利用するような電源システムが普及している。このような電源システムで使用する蓄電池ユニットとして、複数のバッテリーセルを直列接続してバッテリースタックを構成し、所望の電圧を得られるようにした構成のものが提案されている(例えば特許文献1)。例えば、リチウムイオン電池のバッテリーセルの電圧は、2V~4V程度である。これに対して、家庭用の電源の電圧は、数百Vである。この場合、バッテリーセルを数十個直列に接続することで、家庭で使用する数百Vの電圧が確保される。
【0003】
バッテリースタックを構成するバッテリーセルに対しては、バランス調整が不可欠である。そこで、このような蓄電池ユニットには、各バッテリーセルの電圧を検出するAFE(Analog Front End)やバランス調整回路が具備される。そして、AFEにより各バッテリーセルの電圧が検出され、各バッテリーセルの充電量が均一となるように、バランス調整が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、複数のバッテリーセルを直列接続してバッテリースタックを構成するような蓄電池ユニットでは、高電圧と低電圧とが混在する。このような環境下では、定格を厳守しないと、回路素子が破壊される危険性がある。
【0006】
すなわち、複数のバッテリーセルを直列に接続して生成される電圧は、数百Vの高電圧である。これに対して、バッテリーセルの電圧は数V程度の低電圧である。AFEは、このような数百Vとなるバッテリースタック(蓄電池)から、数V程度のバッテリーのセル電圧を検出しており、コネクタ等の接続が確実に行われていないと、定格を超えた電圧がAFEに印加され、AFEが破壊される危険性がある。
【0007】
上述の課題を鑑み、本発明は、電池モジュールの接続が確実に行えているかを検知でき、素子の保護を図れるようにした蓄電池制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る蓄電池制御システムは、蓄電池を構成する電池モジュールの電圧制御を行う制御基板と、当該電池モジュールの接続状態を管理する蓄電池制御システムであり、前記制御基板に設けられ、前記電池モジュールを構成する直列に接続されたセル電池の各々の電圧を測定するセル電圧測定回路と、前記セル電圧測定回路における前記セル電池が接続される正極端子及び負極端子からなる測定端子の各々において、前記直列に接続された隣接する前記測定端子の前記負極端子と前記正極端子との間に設けられたスイッチ部と、前記スイッチ部のそれぞれのオンオフ制御を行う導通制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓄電池を構成する電池モジュールと制御基板とのコネクタ接続を確実に行うことができ、素子の保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る電源システムの概要を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る電源システムで用いられる蓄電池ユニットの概要の説明図である。
【
図3】電池モジュールのコネクタと制御管理モジュールのコネクタとを接続する中継ケーブルの概要の説明図である。
【
図4】電池モジュールのコネクタと制御管理モジュールのコネクタとを接続する中継ケーブルの概要の説明図である。
【
図6】制御管理モジュールの構成を示すブロック図である。
【
図7】BMS基板に配置されるAFE回路素子の概要を示すブロック図である。
【
図8】電池モジュールに対応させてAFE回路素子を配置したときの説明図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態にかかる蓄電制御システムの概要のブロック図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態にかかる蓄電制御システムの概要のブロック図である。
【
図12】スイッチ部の具体構成を示す接続図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態にかかる蓄電制御システムの概要のブロック図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態にかかる蓄電制御システムでの制御を示すフローチャートである。
【
図15】本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
【
図16】本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<全体システム>
図1は、本発明に係る電源システム10の概要を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電源システム10は、パワーコンディショナー1と、ソーラーパネル2と、蓄電池ユニット3とを含んで構成される。
【0013】
パワーコンディショナー1は、直流電源と交流電源との変換、電源電圧の制御、買電及び売電などの処理を行う。すなわち、商用電源5では交流電源を用いているのに対して、太陽光発電や蓄電には直流電源を用いる。また、商用電源5の電圧と、ソーラーパネル2や蓄電池ユニット3で用いるバッテリーの電圧は異なっている。パワーコンディショナー1は、商用電源5、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3との間で、直流電源と交流電源との変換及び電源電圧の制御を行っている。そして、パワーコンディショナー1は分電盤6に電力を供給し、分電盤6は各部屋のコンセントに電力を分配する。
【0014】
ソーラーパネル2は、昼間の太陽が現れる時間には発電を行えるが、夜間、太陽が沈むと発電が行えず、発電量が安定しない。蓄電池ユニット3は、昼間、商用電源5とパワーコンディショナー1を介して系統から充電を行うことが可能であり、ソーラーパネル2とパワーコンディショナー1を介して充電を行うことが可能であり、パワーコンディショナー1を介して電力の供給を補うことも可能である。蓄電池ユニット3は、夜間、商用電源5とパワーコンディショナー1を介して系統から充電を行うことが可能であり、パワーコンディショナー1を介して電力の供給を補うことも可能である。
【0015】
また、パワーコンディショナー1は、電力が不足している場合には、商用電源5から電源を買い取り、ソーラーパネル2による電力が余剰になるときには、商用電源5に電源を売るような、買電及び売電などの処理を行っている。
【0016】
また、電源システム10には、EV(Electric Vehicle)スタンド4を組み込むことができる。EVスタンド4は、電気自動車への充電を行う他、電気自動車に搭載されているバッテリーを利用して、電力を蓄積するのに用いることができる。また、EVスタンド4は、パワーコンディショナー1を介して電力の供給を補うことも可能である。
【0017】
図2は、本発明に係る電源システム10で用いられる蓄電池ユニット3の概要の説明図である。
図2に示すように、蓄電池ユニット3は、例えば7個の電池モジュール11-1~11-7と、制御管理モジュール12とから構成される。電池モジュール11-1~11-7には、複数のバッテリーセルからなるバッテリースタックが設けられている。また、電池モジュール11-1~11-7には、それぞれ、コネクタ13-~13-7及びコネクタ14-1~14-7が備えられている。
【0018】
制御管理モジュール12は、電池モジュール11-1~11-7の充放電状態を管理している。制御管理モジュール12には、コネクタ45-~45-7及びコネクタ56-1~56-7が備えられている。
【0019】
電池モジュール11-1~11-7のコネクタ13-1~13-7と、制御管理モジュール12のコネクタ45-1~45-7とは、
図3に示すような中継ケーブル60-1~60-7により接続される。電池モジュール11-1~11-7のコネクタ14-1~14-7と、制御管理モジュール12のコネクタ56-1~56-7とは、
図4に示すような中継ケーブル70-1~70-7により接続される。
【0020】
図3は、電池モジュール11-1~11-7のコネクタ13-1~13-7と、制御管理モジュール12のコネクタ45-1~45-7とを接続する中継ケーブル60(60-1~60-7)の概要の説明図である。
【0021】
図3に示すように、中継ケーブル60は、電池モジュール11-1~11-7側のコネクタ61(61-1~61-7)と、制御管理モジュール12側のコネクタ62(62-1~62-7)と、その間のケーブル63(63-1~63-7)とからなる。ケーブル63(63-1~63-7)は、正極の配線と負極の配線との2線になる。
【0022】
図4は、電池モジュール11-1~11-7のコネクタ14-1~14-7と、制御管理モジュール12のコネクタ56-1~56-7とを接続する中継ケーブル70(70-1~70-7)の概要の説明図である。
【0023】
図4に示すように、中継ケーブル70(70-1~70-7)は、電池モジュール11-1~11-7側のコネクタ71(71-1~71-7)と、制御管理モジュール12側のコネクタ72(72-1~72-7)と、その間のケーブル73(73-1~73-7)とからなる。ケーブル73(73-1~73-7)は、バッテリースタックを構成するバッテリーセルに応じた数の配線からなる。
【0024】
図5は、電池モジュール11(11-1~11-7)の一例の説明図である。なお、電池モジュール11-1~11-7は、全て、同様に構成されている。
【0025】
図5に示すように、電池モジュール11(11-1~11-7)には、直列接続されたバッテリーセル20-1、20-2、…、20-nからなるバッテリースタックが設けられている。バッテリーセル20-1、20-2、…、20-nとしては、例えば、リン酸鉄リチウムイオン電池が用いられる。リン酸鉄リチウムイオン電池は、リン酸鉄リチウムを正極に使用するもので、電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくく、安全性が高いという特徴がある。1つのバッテリーセル20-1、20-2、…、20-nのセル電圧は、セル構造により異なる。リチウムイオン電池の場合、セル電圧は、2V~4Vである。リン酸鉄リチウムイオン電池では、セル電圧は、例えば3.3V程度である。
【0026】
電池モジュール11(11-1~11-7)には、コネクタ13(13-1~13-7)及びコネクタ14(14-1~14-7)が設けられる。コネクタ13(13-1~13-7)は、電池モジュール11の充放電を行うためのコネクタである。コネクタ14(14-1~14-7)は、バッテリーセル20-1、20-2、…、20-nのセル電圧を監視するためのコネクタである。
【0027】
図6は、制御管理モジュール12の構成を示すブロック図である。
図6に示すように、制御管理モジュール12には、端子台31と、ブレーカ33と、HV(High-Voltage)基板40と、BMS(Battery Management System)基板50とが実装されている。
【0028】
端子台31は、パワーコンディショナー1からの配線を接続するコネクタである。端子台31には、正極端子31aと、負極端子31bと、接地端子31cとが配設されている。この例では、接地端子31cは0電位として筐体に接続している。端子台31の正極端子31a及び負極端子31bから伸びる配線が充放電ライン35a及び35bを形成する。ブレーカ33は、大電流が流れたときの保護用である。
【0029】
通信コネクタ32は、パワーコンディショナー1からの通信用のシールド線を接続するコネクタである。通信コネクタ32は、BMS基板50上の通信コネクタ51と接続される。パワーコンディショナー1からのデータは、通信コネクタ32を介して受信され、マイクロプロセッサ54に送られる。また、マイクロプロセッサ54からのデータが通信コネクタ32を介してパワーコンディショナー1に送られる。
【0030】
HV基板40は、電池モジュール11-1~11-7の充放電を行うための基板である。HV基板40には、リレー41と、電流センサ42と、通信コネクタ43と、コネクタ45-1~45-7が実装されている。
【0031】
リレー41は、蓄電池ユニット3の動作を開始/停止させるスイッチとなる。電流センサ42は、電池モジュール11-1~11-7への充放電電流を検出している。通信コネクタ43は、BMS基板50上の通信コネクタ52と接続される。通信コネクタ43は、例えば電流センサ42の検出電流をマイクロプロセッサ54に送信している。
【0032】
コネクタ45-1~45-7は、それぞれ、電池モジュール11-1~11-7側のコネクタ13-1~13-7と接続する端子である。電池モジュール11-1~11-7側のコネクタ13-1~13-7は充放電用のコネクタであり、コネクタ13-1~13-7からは、バッテリースタックを構成するバッテリーセル20-1、20-2、…、20-nの両端からの配線が導出されている。コネクタ45-1~45-7は直列接続して、所望の充放電電圧が得られるようにしている。そして、最も電位の高いコネクタ45-1の正極が充放電ライン35aと接続され、最も電位の低いコネクタ45-7の負極が充放電ライン35bと接続される。
【0033】
BMS基板50は、電池モジュール11-1~11-7の状態を監視及び制御するための基板である。BMS基板50には、通信コネクタ51及び52、AFE(Analog Front End)53、マイクロプロセッサ54、光絶縁素子であるフォトカップラ55、コネクタ56-1~56-7が実装されている。
【0034】
通信コネクタ51は、通信コネクタ32と接続され、パワーコンディショナー1との間でデータの送受を行う。通信コネクタ52は、通信コネクタ43と接続され、HV基板40との間でデータの送受を行う。
【0035】
AFE53は、電池モジュール11-1~11-7のそれぞれのセル電圧を検出し、ディジタルデータに変換する。
【0036】
マイクロプロセッサ54は、パワーコンディショナー1からのデータ、HV基板40からのデータ、AFE53からのデータ等を基に、各種の制御を行う。
【0037】
光絶縁素子としては、フォトカプラやディジタルアイソレータ等の素子であり、AFE53とマイクロプロセッサ54との間を接続する。AFE53には高電圧が印加されるので、AFE53とマイクロプロセッサ54との間は、フォトカップラ55でアイソレーションを行っている。
【0038】
コネクタ56-1~56-7は、それぞれ、電池モジュール11-1~11-7側のコネクタ14-1~14-7と接続する端子である。コネクタ14(14-1~14-7)は、バッテリーセル20-1、20-2、…、20-nのセル電圧を監視するためのコネクタである。コネクタ56-1~56-7は、それぞれ、電池モジュール11-1~11-7のセル電圧をBMS基板50側に伝達している。
【0039】
図7は、BMS基板50に配置されるAFE回路素子530の概要を示すブロック図である。本実施形態では、電池モジュール11-1~11-7に対応させた数だけ、
図7に示すようなAFE回路素子530を配置して、AFE53の機能を実現している。なお、ここでは、AFE回路素子530の機能の中で、本発明の説明に必要な部分に限定して説明する。
【0040】
図7において、端子A1、A2、…、Am(mは任意の整数)は、バッテリースタックのセル電圧を検出するための測定端子である。バッテリースタックのセル電圧を検出する場合、端子A1から端子Amの順に、最も高い電位の電極から最も電位の低い電極となるように、バッテリーセルを接続する。
【0041】
端子A1、A2、…、Amの段間の抵抗Ra及びスイッチ回路Saは、バッテリーセルをバランスさせるためのものである。すなわち、スイッチ回路Saをオンすると、バッテリーセルの両極が抵抗Raを介して接続され、バッテリーセル内のエネルギーがジュール熱により消費される。これにより、バッテリーセルの中で充電量が多いセルのエネルギーを消費させ、各バッテリーセルの充電量を均一化することができる。
【0042】
端子D1及び端子D2は、データの入出力の端子である。AFE53とマイクロプロセッサ54との間は、端子D1及び端子D2を通じて、データが入出力される。
【0043】
図8は、電池モジュール11-1~11-7に対応させて、AFE回路素子530-1~530-7を配置したときの説明図である。
【0044】
図5に示したように、電池モジュール11-1~11-7には、バッテリーセル20-1、20-2、…、20-nからなるバッテリースタックが設けられている。各バッテリーセル20-1、20-2、…、20-nの両端及び段間は、それぞれ、AFE回路素子530-1~530-7の端子A1、A2、…、Amに接続される。また、各AFE回路素子530-1~530-7は直列に接続される。
【0045】
図8に示した構成により、各電池モジュール11-1~11-7のバッテリースタックを構成するバッテリーセルのセル電圧は、AFE回路素子530-1~530-7により検出される。そして、各電池モジュール11-1~11-7のバッテリースタックを構成するバッテリーセルのセル電圧は、AFE回路素子530-1~530-7によりディジタル値に変換され、光絶縁素子であるフォトカップラ55を介して、マイクロプロセッサ54に送られる。
【0046】
<第1の実施形態>
本発明にかかる蓄電池制御システムは、上述のように構成される蓄電池ユニット3における電池モジュール11-1~11-7とBMS基板30との接続部に適用される。
【0047】
図8に示したように、電池モジュール11-1~11-7とAFE回路素子530-1~530-7とを対応させた場合、電池モジュール11-1~11-7とBMS基板30との接続が不十分であると、AFE回路素子530-1~530-7に損傷を与える可能性がある。
【0048】
例えば、
図8において、電池モジュール11-7とAFE回路素子530-7との間の配線が欠落した状態を想定する。このとき、電池モジュール11-1~電池モジュール11-6からの電源はAFE回路素子530-1~530-6に供給されるが、AFE回路素子530-7には、電源は供給されない。
【0049】
この状態で、AFE回路素子530-1~530-7を直列接続したとすると、AFE回路素子530-7の端子Amに電圧が供給されない状態で、AFE回路素子530-7の端子A1にAFE回路素子530-6の端子Amからの電圧が供給されることになる。AFE回路素子530-7の端子Amの電圧が決まらない状態で、AFE回路素子530-7の端子A1に電圧が供給されると、電位が逆転し、AFE回路素子530-1~530-7に損傷を与える危険性がある。
【0050】
そこで、本実施形態では、各電池モジュール11-1~11-7とAFE回路素子530-1~530-7との間の接続状態を検出できるようにしている。
【0051】
図9は、本発明の第1の実施形態にかかる蓄電制御システムの概要のブロック図である。前述したように、電池モジュール11-1~11-7とBMS基板30との間は、中継ケーブル70-1~70-7により接続される。ここで、中継ケーブル70-1~70-7のコネクタ72-1~72-7と、BMS基板30のコネクタ56-1~56-7との間の接続が不完全であると、上述のように、AFE回路素子530-1~530-7に損傷を与える危険性がある。
【0052】
本実施形態では、コネクタ56-1~56-7からAFE回路素子530-1~530-7への経路中に、接続検出部101(101-1~101-7)が設けられる。より具体的には、接続検出部101-1は、
図10A及び
図10Bに示すように構成される。なお、他の接続検出部101-2~102-7も同様である。
【0053】
図10A及び
図10Bは、接続検出部101-1の具体構成を示す接続図である。
図10A及び
図10Bに示すように、接続検出部101-1は、絶縁素子であるフォトカップラ121及び122と、MOSトランジスタ123とから構成される。入力電気信号を発光素子でいったん光信号に変え、その光信号を受光素子で再度電気信号に戻して出力する光絶縁素子であれば、フォトカップラ121としていずれの素子を用いてもよい。
【0054】
コネクタ56-1からAFE回路素子530-1への配線の中で最大電位となる配線L+と、最小電位となる配線L-とすると、フォトカップラ121を構成するフォトトランジスタ側及びフォトカップラ122を構成するダイオード側は、配線L+と配線L-との間に接続される。フォトカップラ121のダイオード側は、MOSトランジスタ123により駆動される。MOSトランジスタ123のゲートには、接続検出信号S1が供給される。フォトカップラ122のトランジスタ側からは、接続確認結果信号S2が導出される。
【0055】
図10Aは、中継ケーブル70-1のコネクタ72-1と、BMS基板30のコネクタ56-1とが確実に接続されている状態を示す。
図10Aに示すように、中継ケーブル70-1のコネクタ72-1と、BMS基板30のコネクタ56-1との間の接続が完全であれば、MOSトランジスタ123のゲートに、マイクロプロセッサ54から接続検出信号S1を供給すると、MOSトランジスタ123がオンし、フォトカップラ121がオンし、配線L+と配線L-との間に電流が流れる。これにより、フォトカップラ122がオンし、フォトカップラ122から接続確認結果信号S2が出力される。
【0056】
これに対して、
図10Bは、中継ケーブル70-1のコネクタ72-1と、BMS基板30のコネクタ56-1との間の接続が不完全な状態を示す。
図10Bに示すように、中継ケーブル70-1のコネクタ72-1と、BMS基板30のコネクタ56-1との間の接続が不完全なら、配線L+と配線L-との間に電流が流れず、フォトカップラ122から接続確認結果信号S2は出力されない。
【0057】
このように、本発明の第1の実施形態では、電池モジュール11-1~11-7の第1正極端子及び第1負極端子の各々が接続される、BMS基板50のコネクタ56-1~56-7(接続端子)の第2正極端子からの配線L+、第2負極端子からの配線L-のそれぞれの間に、接続検出部101-1~101-7が設けられる。接続検出部101-1~101-7は、第2正極端子からの配線L+と、第2負極端子からの配線L-に流れる電流の有無を検出する。マイクロプロセッサ54(判定制御部)は、接続検出部101-1~101-7から供給される電流の有無を示す情報により、電池モジュール11-1~11-7が接続端子に正常に接続されているか否かを判定する。これにより、電池モジュール11(11-1~11-7)とBMS基板30との間の接続状態が判定できる。
【0058】
<第2の実施形態>
図11は、本発明の第2の実施形態にかかる蓄電制御システムの概要のブロック図である。前述したように、電池モジュール11-1~11-7とAFE回路素子530-1~530-7とを対応させた場合、電池モジュール11-1~11-7とBMS基板30との接続が不十分であると、AFE回路素子530-1~530-7に損傷を与える可能性がある。そこで、この実施形態では、AFE回路素子530-1~530-7を直列接続する経路中に、スイッチ部102-1、102-2、…を設けることで、AFE回路素子530-1~530-7の損傷を抑えるようにしている。
【0059】
図12は、スイッチ部102(102-1、102-2、…)の具体構成を示す接続図である。
図12に示すように、スイッチ部102(102-1、102-2、…)は、光絶縁素子であるフォトMOSリレー131から構成される。入力電気信号を発光素子でいったん光信号に変え、その光信号を受光素子で再度電気信号に戻して出力する光絶縁素子であれば、いずれの素子を用いてもよい。
【0060】
図12において、AFE回路素子530-1の配線L-と、その下段にあるAFE回路素子530-2の配線L+との間に、フォトMOSリレー131が設けられる。フォトMOSリレー131のダイオード側は、MOSトランジスタ132により駆動される。
【0061】
MOSトランジスタ132のゲートに接続開始信号S3を供給していないときには、フォトMOSリレー131がオフしている。これにより、AFE回路素子530-1の配線L-と、その下段にあるAFE回路素子530-2の配線L+との間は、遮断されている。
【0062】
MOSトランジスタ132のゲートに接続開始信号S3が供給されると、フォトMOSリレー131がオンする。これにより、AFE回路素子530-1の配線L-と、その下段にあるAFE回路素子530-2の配線L+との間が接続される。
【0063】
このように、この実施形態では、BMS基板50(制御基板)に電池モジュール11-1~11-7を構成する直列に接続されたセル電池の各々の電圧を測定するAFE回路素子530-1~530-7(セル電圧測定回路)が設けられる。そして、AFE回路素子530-1~530-7におけるセル電池が接続される正極端子及び負極端子からなる端子A1~Am(測定端子)の各々において、直列に接続された隣接する端子A1~Amの負極端子と正極端子との間に、スイッチ部102-1~102-6が設けられる。スイッチ部102-1~102-6は、それぞれ、マイクロプロセッサ54(導通制御部)によりオンオフ制御される。これにより、電池モジュール11(11-1~11-7)とBMS基板30との間が未接続の状態であっても、AFE回路素子530-1~530-7を直列接続する経路を遮断することで、AFE回路素子530-1~530-7の損傷を抑制できる。
【0064】
<第3の実施形態>
図13は、本発明の第3の実施形態にかかる蓄電制御システムの概要のブロック図である。この実施形態では、コネクタ56-1~56-7からAFE回路素子530-1~530-7への経路中に、接続検出部101(101-1~101-7)を設けるとともに、AFE回路素子530-1~530-7を直列接続する経路中に、スイッチ部102(102-1、102-2、…)を設けることで、AFE回路素子530-1~530-7の損傷を抑えるようにしている。
【0065】
図14は、本発明の第3の実施形態にかかる蓄電制御システムでの制御を示すフローチャートである。
(ステップST101)マイクロプロセッサ54は、接続検出部101-1~102-7に接続検出信号を送信する。
【0066】
(ステップST102)マイクロプロセッサ54は、接続検出部101-1~102-7からの接続検出確認信号を判定し、全ての電池モジュール11-1~11-7とBMS基板50との接続が行われたかを判定する。
【0067】
(ステップST103)マイクロプロセッサ54は、全てのAFE回路素子530-1~530-7で電池モジュール11-1~11-7との接続が行われたと判定すると(ステップST102:Yes)、スイッチ部102-1、102-2、…に接続開始信号を供給し、スイッチ部102-1、102-2、…をオンさせる。
【0068】
(ステップST104)マイクロプロセッサ54は、電池モジュール11-1~11-7との接続が行われていない接続箇所が何れか1つでもあると判定すると(ステップST102:No)、スイッチ部102-1、102-2、…はオフ状態に維持し、警告を報知して、ユーザに、電池モジュール11-1~11-7の接続の確認を促す。
【0069】
本実施形態では、全ての電池モジュール11-1~11-7とBMS基板50との接続が確実に行われてから、スイッチ部102-1、102-2、…をオンさせることで、AFE回路素子530-1~530-7の損傷を防止し、各バッテリーセルの電圧を正確に計測することができる。
【0070】
また、上述した実施形態において、電源システムを
図15に示す構成としてもよい。
図15は、本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
図15の電源システム10Aにおいて、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3及びEVスタンド4の各々は、パワーコンディショナー1A、1B、1Cのそれぞれに独立して接続されている。
図15において、パワーコンディショナー1A、1B及び1Cの各々は、分電盤6を介して、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3、EVスタンド4のそれぞれの間における電力(電気エネルギー)の供給または需給を行っている。
図15における、蓄電池ユニット3の構成及び動作については、すでに説明した本実施形態における蓄電池ユニット3と同様である。
【0071】
また、上述した実施形態において、電源システムを
図16に示す構成としてもよい。
図16は、本発明に係る電源システムの他の構成例の概要を示すブロック図である。
図16の電源システム10Bにおいて、ソーラーパネル2及び蓄電池ユニット3の各々はパワーコンディショナー1Dに接続され、EVスタンド4は、パワーコンディショナー1Cに接続されている。
図16において、パワーコンディショナー1C及び1Dの各々は、分電盤6を介して、ソーラーパネル2、蓄電池ユニット3、EVスタンド4のそれぞれの間における電力(電気エネルギー)の供給または需給を行っている。
図16における、蓄電池ユニット3の構成及び動作については、すでに説明した本実施形態における蓄電池ユニット3と同様である。
【0072】
上述した実施形態における電源システム10の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0073】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0074】
3…蓄電池ユニット、11(11-1~11-7)…電池モジュール、12…制御管理モジュール、13(13-1~13-7)… コネクタ、14(14-1~17-7)…コネクタ、54…マイクロプロセッサ、56(56-1~56-7)…コネクタ、101(101-1~101-7)… 接続検出部、102(102-1~102-6)…スイッチ部、121,122…フォトカップラ、131…フォトMOSリレー、530-1~530-7…AFE回路素子