IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -ロボット作業装置 図1
  • -ロボット作業装置 図2
  • -ロボット作業装置 図3
  • -ロボット作業装置 図4
  • -ロボット作業装置 図5
  • -ロボット作業装置 図6
  • -ロボット作業装置 図7
  • -ロボット作業装置 図8
  • -ロボット作業装置 図9
  • -ロボット作業装置 図10
  • -ロボット作業装置 図11
  • -ロボット作業装置 図12
  • -ロボット作業装置 図13
  • -ロボット作業装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】ロボット作業装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20250312BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
G05D1/43
A01B69/00 303M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021074975
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169128
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平木 秀憲
(72)【発明者】
【氏名】中次 幸一
(72)【発明者】
【氏名】越河 義治
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207158(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03778145(EP,A1)
【文献】特開平07-203706(JP,A)
【文献】特開2016-186751(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187122(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0004217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィールド上で作業を行う作業ツールを具備し、フィールド上を自律走行しながら作業を行う作業ロボットを備えたロボット作業装置であって、
前記作業ロボットの走行経路を設定すると共に前記作業ロボットの動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
フィールド上における前記作業ロボットの作業領域として、第1の領域と第2の領域が基地から離れたところに設定されている場合に、前記作業ロボットが前記第1の領域における作業終了地点から前記基地を経由して前記第2の領域における作業開始地点に移動するために、前記作業終了地点から前記基地までの第1走行経路と前記基地から前記作業開始地点までの第2走行経路を最短経路で設定するに際して、
前記基地と前記作業開始地点とを結ぶ直線から外れたところに中継点を設け、前記中継点を経由する前記第2走行経路を設定することで、前記第1走行経路と前記第2走行経路とが重ならないように設定する、
ロボット作業装置。
【請求項2】
前記作業終了地点と前記基地とを結ぶ直線から外れたところに中継点を別に設け、当該中継点を経由する前記第1走行経路を設定する、
請求項1記載のロボット作業装置。
【請求項3】
前記中継点を複数設け、複数の前記中継点を選択的に経由させることで前記第1走行経路と前記第2走行経路を更新する、
請求項1又は2記載のロボット作業装置。
【請求項4】
前記第1走行経路と前記第2走行経路では、前記作業ツールを非作業状態にする、
請求項1~3のいずれか1項記載のロボット作業装置。
【請求項5】
前記作業ツールは、フィールド上の草刈りを行うためのブレード装置である
請求項1~4のいずれか1項記載のロボット作業装置。
【請求項6】
前記作業ツールは、フィールド上の収集対象物収集する収集装置である
請求項1~4のいずれか1項記載のロボット作業装置。
【請求項7】
前記第1の領域と前記第2の領域の間に空き領域が存在する
請求項1~6のいずれか1項記載のロボット作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールド上で自律走行しながら作業を行うロボット作業装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業領域内を自律走行しながら走行経路に沿って芝刈りなどの作業を行う作業ロボットが知られている(下記特許文献1参照)。この従来技術によると、予めユーザーが指定した仮想境界線を介して作業領域を複数領域に分割することで、作業領域内に優先作業領域を設定し、設定された優先作業領域内で機体を自律走行させて作業を行っている。
【0003】
また、ロボット芝刈り機において、複数の領域間の移動を行う際に、複数の領域間に走行ルートを設定することが知られている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5973608号公報
【文献】米国特許第9538702号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された従来技術では、1つの優先作業領域内の作業が終了すると、複数領域に分割された別の領域に機体を移動させ、その領域内で作業が行われる。そして、機体のバッテリー残量が設定値以下になり、バッテリーへの充電が必要になると、機体を充電基地まで帰還させるようにしている。しかしながら、この従来技術では、領域間をどのように走行するかまでは、明示されていない。
【0006】
また、特許文献2に示された従来技術によると、複数の領域間を移動する際に、第1の領域の作業完了地点から第2の領域の作業開始地点への走行ルートが設定されているので、途中でバッテリーへの充電が必要になった場合には、第2の領域に向かう走行ルート上の起点から充電基地への往復ルートが設定されることになる。この場合、この往復ルートで走行経路が重なることになって、機体の走行で生じるタイヤ痕でフィールドのダメージが大きくなってしまう問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題に対処するために提案されたものである。すなわち、走行経路の重なりを極力無くすことで、フィールドのダメージを軽減すること、複数の領域間を移動させる際に、バッテリーへの充電等を考慮した場合であっても、より効率的な移動を可能にすること、などが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明は、以下の構成を具備するものである。
フィールド上で作業を行う作業ツールを具備し、フィールド上を自律走行しながら作業を行う作業ロボットを備えたロボット作業装置であって、前記作業ロボットの走行経路を設定すると共に前記作業ロボットの動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、フィールド上における前記作業ロボットの作業領域として、第1の領域と第2の領域が基地から離れたところに設定されている場合に、前記作業ロボットが前記第1の領域における作業終了地点から前記基地を経由して前記第2の領域における作業開始地点に移動するために、前記作業終了地点から前記基地までの第1走行経路と前記基地から前記作業開始地点までの第2走行経路を最短経路で設定するに際して、前記基地と前記作業開始地点とを結ぶ直線から外れたところに中継点を設け、前記中継点を経由する前記第2走行経路を設定することで、前記第1走行経路と前記第2走行経路とが重ならないように設定する、ロボット作業装置。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を備えた本発明によると、走行経路の重なりを極力無くすことで、フィールドのダメージを軽減することができ、また、複数の領域間を移動させる際に、バッテリーへの充電等を考慮した場合であっても、より効率的な移動が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】フィールド及び基地を含むロボット作業装置を示す説明図。
図2】ロボット作業装置(作業ロボットが草刈り作業を行う例)の構成例を示した説明図。
図3】ロボット作業装置(作業ロボットが収集作業を行う例)の構成例を示した説明図。
図4】ロボット作業装置のシステム構成を示した説明図。
図5】ロボット作業装置の制御部を説明する説明図。
図6】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図。
図7】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図。
図8】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図。
図9】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図((a)は前回或いは複数回前の設定例で(b)が今回の設定例を示している。)。
図10】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図((a)が前回或いは複数回前の設定例であり(b)が今回の設定例を示している。)。
図11】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図((a)が前回或いは複数回前の設定例であり(b)が今回の設定例を示している。)。
図12】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図。
図13】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図。
図14】ロボット作業装置の制御部による走行経路等の設定例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1に示すように、ロボット作業装置1は、フィールドF上で作業を行う作業ロボット10を備えている。作業ロボット10は、フィールドFにて作業を行うための後述する作業ツールを具備しており、フィールドF上を自律走行しながら作業を行う。作業ロボット10が行う作業は、特に限定されないが、例えば、草刈り作業、収集作業、掃除作業などである。
【0013】
ロボット作業装置1は、フィールドFに対して基地20が設けられる。基地20は、フィールドFの内側に設けてもよいし、図示のようにフィールドFの外側に設けてもよい。基地20は、例えば、電動式の作業ロボット10における充電基地であり、また、作業ロボット10が収集作業を行う場合には、収集対象物の排出場所になる。
【0014】
また、ロボット作業装置1は、必要に応じて、管理装置30を備えている。管理装置30は、作業ロボット10を遠隔制御するためのものであり、作業ロボット10が自身の制御部で動作する場合、または基地20が管理装置も兼ねて作業ロボット10を遠隔制御する場合は省略することができる。管理装置30は、フィールドF内に設けてもよいし、フィールドFの外に隣接する施設などに設けてもよい。
【0015】
ロボット作業装置1は、フィールドF上に作業ロボット10の作業領域Waを設定する。作業ロボット10は、設定された作業領域Wa内で自律走行しながら作業を行う。図1に示すように、複数の作業領域Waが設定されている場合には、作業ロボット10は、1つの作業領域Waでの作業が終了すると、他の作業領域Waに移動する。ここでの作業領域Waは、位置情報に基づく仮想領域としてシステム上に設定することができるが、フィールドF内にワイヤーやマーカー或いはビーコンなどを用いて、物理的な領域を設定しても良い。
【0016】
作業ロボット10は、作業領域Wa内では、設定された走行経路Rwに沿って走行するか、或いは任意の方向にランダム走行して、作業領域Wa内の全体で走行しながら作業を行う。作業領域Wa内に設定される走行経路Rwは、図示のような直線的な経路に限らず、任意の経路が設定可能である。
【0017】
図2及び図3には、ロボット作業装置1の構成例を示している。作業ロボット10は、フィールドF上を走行するための車輪などを有する走行部11、フィールドF上での作業を行う作業ツール12、走行部11を駆動する走行駆動部(モーター)11A、作業ツール12を駆動する作業駆動部(モーター)12A、これらの動作を制御する制御部(CPU)10A、作業ロボット10の電源となるバッテリー14などを備えている。
【0018】
走行部11は、左右の走行車輪を備えており、各走行車輪を独立駆動する走行駆動部11Aの制御で、作業ロボット10は、前後進と左右回りの旋回と任意方向への操舵が可能になっている。
【0019】
作業ロボット10が備える作業ツール12は、図2に示す例は、フィールドF上の草刈りを行うためのブレード装置12Sである。ブレード装置12Sは、作業駆動部12Aで回転駆動或いは往復直線駆動することでフィールドF上の草を刈り取る。
【0020】
また、作業ロボット10は、自律走行するための位置検知部16を備えている。位置検知部16は、一例としては、GPSなどの衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)における衛星100から発信される電波信号を受信するGNSSセンサ、フィールドF内又はフィールドF周囲に配置されるビーコンなどが発信する電波を受信する受信装置などを用いることができる。なお、位置検出部16は、複数あってもよい。
【0021】
作業ロボット10の自律走行は、位置検知部16の検知位置が制御部10Aに入力され、設定された走行経路の位置と検知位置が一致するように、或いは設定された作業領域Wa内に検知位置が含まれるように、制御部10Aが走行駆動部11Aを制御することで実行される。
【0022】
作業ロボット10は、必要に応じて、他の装置との間で情報の送受信を行う通信部17を備えている。作業ロボット10が通信部17によって情報の送受信を行う相手は、1つの例としては、施設などに設置された管理装置30であり、他の例としては、基地20が備える制御部20Aである。また、作業ロボット10は、フィールドF上に配備された他の作業ロボット10と情報を送受信することができる。
【0023】
管理装置30は、施設などに配備されたコンピュータ或いはネットワークに接続されたサーバーであり、作業ロボット10の通信部17と情報の送受信を行う通信部31を備えている。基地20は、作業ロボット10の通信部17と情報の送受信を行う通信部21を備える制御部20Aと、バッテリー14への充電を行う充電装置22を備えている。通信部17,21,31間の通信は、直接又はネットワークを介して行うことができる。なお、作業ロボット10の制御部10Aが単独で制御処理を実行する場合には、通信部17,21,31及び管理装置30は省くことができる。基地20の制御部20Aが管理装置30を兼用することもできる。
【0024】
図3は、作業ロボット10が作業ツール12として収集対象物Oを拾い上げて収容部13に収める収集装置12Pを備える例を示している。この例では、収集装置12Pと収容部13の一方又は両方に、収集された収集対象物Oの収集量を計量する計量部15が設けられている。計量部15としては、収集装置12Pが拾い上げた収集対象物Oの数量をカウントするカウンター、収容部13に収められた収集対象物Oの数量又は重量を計量する計量器、作業ツール12の作業負荷を計測する負荷計測器などを用いることができる。計量部15が計量した情報は制御部10Aに入力される。図3に示した作業ロボット10における他の構成は、図2に示した例と同様である。
【0025】
図4は、ロボット作業装置1のシステム構成例を示している。作業ロボット10の制御部10Aは、前述したように通信部17を介して情報の送受信を行っており、管理装置30の制御部(CPU)30Aは、通信部31を介して情報の送受信を行っている。また、基地20の制御部(CPU)20Aは通信部21を介して情報の送受信を行っている。
【0026】
制御部10A,20A,30Aは、それぞれ時刻を計時して出力するリアルタイムクロック(real-time clock)などの計時部50,51,52を備え、また、情報やプログラムを記憶するメモリ60,61,62をそれぞれ備えている。また、制御部10A,20A,30Aは、通信部17,21,31相互の情報交換によって統合した1つの制御部Uを構成しており、制御部10A,20A,30Aの1つが備える機能は、他の制御部10A,20A,30Aで代替えできるようになっている。
【0027】
作業ロボット10の制御部10Aには、設定入力部19から、作業指示情報(既設作業スケジュール、作業領域、走行経路等の情報)が入力され、作業状態検知部10Tからの情報が入力され、位置検知部16から作業ロボット10の現在位置に関する情報が入力され、バッテリー14からバッテリー残量に関する情報が入力される。そして、制御部10Aは、これらの入力情報に基づいて、走行駆動部11Aと作業駆動部12Aを制御して、入力された作業指示情報に応じた作業ロボット10の作業を実行する。
【0028】
作業状態検知部10Tは、作業ツール12がブレード装置12Sの場合には、ブレードの負荷等の駆動状態を検知するものであり、作業ツール12が収集装置12Pの場合には、計量部15から収集された収集対象物Oの収集量に関する情報を検知する。
【0029】
基地20に設けた制御部20Aには、作業ロボット10のバッテリー14に充電する充電装置22から充電経過情報等が入力される。
【0030】
管理装置30の制御部30Aには、設定入力部34から、作業指示情報(作業スケジュール、作業領域、走行経路等の情報)や管理施設の情報(営業時間、使用者、使用場所、フィールドの状態、フィールドにおける植物の生育情報、収集対象物Oの供給量、管理施設のイベント及びその時間等の情報)が入力される。
【0031】
そして、ロボット作業システム1の制御部U(10A,20A,30A)が行う制御は、図5に示すように、走行部11(走行駆動部11A)の自律走行制御を行う走行動作制御部P1、作業部12(作業駆動部12A)の動作制御を行う作業動作制御部P2、作業ロボット10の走行経路等を設定する設定部P3を有している。ここでの走行動作制御部P1、作業動作制御部P2、設定部P3は、制御部U(10A,20A,30A)のCPUを動作制御するプログラムである。
【0032】
以下、制御部U(10A,20A,30A)による走行経路等の設定例を、図6図14によって説明する。ここでは、共通して、複数の作業領域として第1の領域Wa(1)と第2の領域Wa(2)が設定されており、作業ロボット10が第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1から第2の領域Wa(2)における作業開始地点G2に移動する際の走行経路が設定されている。
【0033】
この際、第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1から第2の領域Wa(2)における作業開始地点G2に直接移動する走行経路は設定しておらず、作業終了地点G1から基地20までの走行経路と、基地20から作業開始地点G2までの走行経路が設定される。これによると、第1の領域Wa(1)の作業が完了して、第2の領域Wa(2)に向かう際に、基地20に一旦帰還して作業ロボット10の充電を行うことができるので、第2の領域Wa(2)での作業中に充電切れが生じることを抑止することができ、効率的な作業を実行することができる。
【0034】
そして、作業終了地点G1から基地20までの走行経路と、基地20から作業開始地点G2までの走行経路は、少なくとも一部が異なる経路に設定される。これによって、基地20に戻る走行経路と基地20から作業領域Waに向かう走行経路との重なりを極力無くすことができ、作業ロボット10のタイヤ痕などによるフィールドFのダメージを軽減することが可能になる。
【0035】
ここで、作業終了地点G1から基地20までの走行経路と、基地20から作業開始地点G2までの走行経路は、直線的な経路であってもよいし、非直線的な経路であってもよい。また、作業終了地点G1から基地20までの走行経路と、基地20から作業開始地点G2までの走行経路は、直接的に向かう経路であってもよいし、中継点を経由して向かう経路であってもよい。
【0036】
図6に示す例では、第1の領域Wa(1)と第2の領域Wa(2)には、作業用の走行経路Rwが設定されている。ここでの走行経路Rwは、パターン走行を行う経路であり、図示の例では、平行な逆向きの直線経路が交互に並ぶストライプパターンの経路になっている。第1の領域Wa(1)における走行経路Rwは、作業開始地点G0から作業終了地点G1までの経路であり、第2の領域Wa(2)における走行経路Rwは、作業開始地点G2から作業終了地点G3までの経路になる。
【0037】
そして、基地20から第1の領域Wa(1)の作業開始地点G0までの走行経路Rs、第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1から基地20までの走行経路Rt、基地20から第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2までの走行経路Rdがそれぞれ重ならないように設定されている。図6に示した例では、走行経路Rs,Rt,Rdは、それぞれ直接的且つ直線的な経路になっている。
【0038】
図7に示す例は、走行経路Rdに中継点Prを設けている。図7に示すように、基地20と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2の間に障害物などの回避領域Avが設定されている場合には、この回避領域Avを避ける迂回経路を設定するために、中継点Prを設定する。このような中継点Prは、作業終了地点G1と基地20との間と、基地20と作業開始地点G2との間の一方又は両方に設けることができ、また、基地20と作業開始地点G0との間にも必要に応じて設けることができる。
【0039】
前述した中継点は、複数設けることができる。例えば、RTK-GNSS(GPS)を採用した場合、位置精度が良くなることで、中継点が一つのみ設定されると、その場所に集中して作業ロボット10が走行や旋回を行い、フィールドにダメージを与えてしまう可能性がある。これを軽減するため、中継点を複数設定しておき、複数の中継点のうちの一つを任意に選択することで、フィールドにダメージを与えにくくなる。
【0040】
図8には、複数の中継点Pr(1),Pr(2),Pr(3),Pr(4)を設けた例を示している。ここでは、基地20と第1の領域Wa(1)の作業開始地点G0との間に中継点Pr(1)を設け、第1の領域Wa(1)の作業終了地点G1と基地20との間に中継点Pr(2)を設け、基地20と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2との間に中継点Pr(3),Pr(4)を設けている。このように複数の中継点を設けている場合には、これらの中継点を適宜選択的に経由させることで、走行経路Rs,Rt,Rdを、重なりを抑止しながら任意に設定することができる。
【0041】
図9に示した例は、第1の領域Wa(1)における作業開始地点G0と第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)における作業開始地点G2の少なくとも1つは、過去に設定された地点と異なる地点に設定されている。
【0042】
すなわち、図9(a)に示すように、前回或いは複数回前の設定において、第1の領域Wa(1)における作業開始地点G0と第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)における作業開始地点G2が設定されている場合に、今回の設定では、図9(b)に示すように、第1の領域Wa(1)における作業開始地点G0と第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)における作業開始地点G2の位置を異なる地点に変更する。これによって、走行経路Rs,Rt,Rdが前回と今回で重なるのを抑止することができる。
【0043】
図10に示した例は、第1の領域Wa(1)と第2の領域Wa(2)では、パターン走行が設定され、過去に設定されたパターン走行の角度と今回のパターン走行の角度が変更されている。
【0044】
すなわち、図10(a)に示すように、前回或いは複数回前の設定で、第1の領域Wa(1)と第2の領域Wa(2)内の走行経路Rwが、Y方向に沿ったストライプパターンのパターン走行である場合に、今回の設定では、図10(b)に示すように、第1の領域Wa(1)と第2の領域Wa(2)内の走行経路RwをX方向に沿ったストライプパターンのパターン走行にする。このように、パターン走行の角度を変更することで、第1の領域Wa(1)における作業開始地点G0と第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)における作業開始地点G2の位置を異なる地点に変更することができ、これによって、走行経路Rs,Rt,Rdが前回と今回で重なるのを抑止することができる。なお、図10では、パターン走行の角度を90°に変更しているが、パターン走行の角度はこれに限らず、任意に変更可能である。
【0045】
図11に示した例は、第1の領域Wa(1)の作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2の位置を過去の設定時と今回の設定時でシフトさせている。すなわち、図11(a)に示すように、前回或いは複数回前の設定で、第1の領域Wa(1)の作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2の位置が設定されている場合に、今回の設定では、図11(b)に示すように、所定距離だけ作業終了地点G1と作業開始地点G2の位置をY方向にシフトさせる。これによって、走行経路Rt,Rdが前回と今回で重なるのを抑止することができる。シフトさせる地点は、第1の領域Wa(1)の作業開始地点G0と第2の領域Wa(2)の作業終了地点G3でもよく、任意の地点を選択可能である。また、シフトする方向はX方向でもよく、任意の方向が選択できる。
【0046】
なお、図6図11に示した例は、第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2は、異なる地点に設定されていた。これに対して、図12に示すように、第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2を同じ地点に設定する場合がある。このような場合には、図12に示すように中継点Prを設定することで、走行経路Rtと走行経路Rdが重なることを抑止することができる。
【0047】
また、図13に示すように、第1の領域Wa(1)における作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2と基地20が直線上に配置される(基地20と作業終了地点G1とを結ぶ線の延長線上に作業開始地点G2がある)場合がある。このような場合には、図13に示すように中継点Prを設定することで、走行経路Rtと走行経路Rdが重なることを抑止することができる。
【0048】
また、図14に示すように、第1の領域Wa(1)と第2の領域Wa(2)の間に空き領域Saが存在する場合がある。このような場合で、この空き領域Sa内に第1の領域Wa(1)の作業終了地点G1と第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2間の走行経路Rd2が設定されているような場合、図14に示すように中継点Prを設けることで、第1の領域Wa(1)の作業終了地点G1から基地20までの走行経路Rtと、基地20から中継点Prを経由して作業終了地点G1までの走行経路Rd1との重なりを抑止することできる。この際、基地20から第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2までの走行経路は、走行経路Rd1に走行経路Rd2を加えた経路になる。
【0049】
前述した実施形態において、第1の領域Wa(1)と第2の領域Wa(2)内の作業中の走行経路Rwは、作業ロボット10の作業ツール12が作動状態になっていて、作業ツール12がブレード装置12Sである場合には、その走行経路Rwに沿って草刈り作業が行われ、作業ツール12が収集装置12Pである場合には、その走行経路Rwに沿って収集対象物Oの収集作業が行われる。
【0050】
これに対して、作業ロボット10が第1の領域Wa(1)の作業終了地点G1から第2の領域Wa(2)の作業開始地点G2に移動する際に設定される走行経路Rt,Rd、或いは、基地20から第1の領域Wa(1)の作業開始地点G0までの走行経路Rsは、作業ツール12を非作業状態にしている。これによると、作業以外の作業ロボット10の走行で、作業ツール12が非作業状態になるので、無駄なバッテリー消費や作業ツール12の寿命低下を抑制することができる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1:ロボット作業装置,10:作業ロボット,
10A,20A,30A,U:制御部,10T:作業状態検知部,
11:走行部,11A:走行駆動部,
12:作業ツール,12S:ブレード装置,12P:収集装置,
12A:作業駆動部,13:収容部,14:バッテリー,
15:計量部,16:位置検知部,
17,21,31:通信部,19,34:設定入力部,
20:基地,22:充電装置,
30:管理装置,50,51,52:計時部,60,61,62:メモリ,
100:衛星,
P1:走行動作制御部,P2:作業動作制御部,P3:設定部,
F:フィールド,O:収集対象物,
Wa:作業領域,Wa(1):第1の領域,Wa(2):第2の領域,
Av:回避領域,Sa:空き領域,
Rw,Rs,Rt,Rd,Rd1,Rd2:走行経路,
G0,G2:作業開始地点,G1,G3:作業終了地点,
Pr,Pr(1),Pr(2),Pr(3),Pr(4):中継点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14