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特許7649212熱交換器の製造方法および熱交換器の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】熱交換器の製造方法および熱交換器の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 53/08 20060101AFI20250312BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
B21D53/08 F
F28D1/047 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021120934
(22)【出願日】2021-07-21
(65)【公開番号】P2023016546
(43)【公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 金
(72)【発明者】
【氏名】是澤 亮輔
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-155995(JP,A)
【文献】特開2000-202555(JP,A)
【文献】特開平11-248386(JP,A)
【文献】特開昭61-283429(JP,A)
【文献】特開平09-276941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 53/08
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並んで配置された複数の熱交換部を有し、前記第1方向に直交する第2方向の第1端部において前記複数の熱交換部の相対位置が固定された熱交換器の製造方法であって、
前記熱交換器の前記第2方向の中間部において、前記複数の熱交換部の前記第1方向の外側に、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に伸びるガイド部材を配置する第1工程と、
前記熱交換器の前記第2方向の第2端部において、前記複数の熱交換部の前記第1方向の内側に隙間を設ける第2工程と、
前記隙間を減少させながら、前記熱交換器の前記第1端部側の部分を立ち上げて前記ガイド部材の周りに前記熱交換器を曲げる第3工程と、を有する、
熱交換器の製造方法。
【請求項2】
前記熱交換器を曲げる工程では、前記熱交換器の前記第2端部の前記第2方向への移動を拘束しない、
請求項1に記載の熱交換器の製造方法。
【請求項3】
第1方向に並んで配置された複数の熱交換部を有し、前記第1方向に直交する第2方向の第1端部において前記複数の熱交換部の相対位置が固定された熱交換器の製造装置であって、
ベース部材と、
前記ベース部材に支持され、前記熱交換器の前記第2方向の第2端部において前記複数の熱交換部の前記第1方向の内側に挿入可能な舌部材と、
前記熱交換器の前記第2方向の中間部において、前記複数の熱交換部の前記第1方向の外側に配置され、前記第1方向および前記第2方向に直交する第3方向に伸びるガイド部材と、
前記熱交換器の前記第1端部側を支持しつつ、前記ガイド部材と同位相で回転可能なクランパと、を有し、
前記舌部材は、前記ベース部材に対して前記第1方向に移動可能である、
熱交換器の製造装置。
【請求項4】
前記舌部材は、前記第2方向に自由に移動可能である、
請求項3に記載の熱交換器の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器の製造方法および熱交換器の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1方向に並んで配置された一対の熱交換部を有する熱交換器が利用されている。熱交換部は、熱交換チューブと、フィンと、を有する。熱交換チューブは、第2方向に伸び、第3方向に並んで配置される。フィンは、熱交換チューブに装着され、第2方向に並んで配置される。熱交換器は、一対の熱交換部を第3方向の周りに曲げて利用される場合がある。熱交換器には、熱交換効率の低下を抑制することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-127341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、熱交換効率の低下を抑制することができる熱交換器の製造方法および熱交換器の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の熱交換器の製造方法は、ガイド部材を配置する第1工程と、複数の熱交換部の第1方向の内側に隙間を設ける第2工程と、熱交換器を曲げる第3工程と、を持つ。熱交換器は、第1方向に並んで配置された複数の熱交換部を有する。第1方向に直交する第2方向の第1端部において複数の熱交換部の相対位置が固定される。ガイド部材は、第1方向および第2方向に直交する第3方向に伸びる。第1工程では、熱交換器の第2方向の中間部において、複数の熱交換部の第1方向の外側に、ガイド部材を配置する。第2工程では、熱交換器の第2方向の第2端部において、複数の熱交換部の第1方向の内側に隙間を設ける。第3工程では、隙間を減少させながら、熱交換器の第1端部側の部分を立ち上げてガイド部材の周りに熱交換器を曲げる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】熱交換器を含む室外機の平面図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】実施形態の熱交換器の製造装置に含まれる端部支持装置の側面図。
図4】実施形態の熱交換器の製造方法の第1説明図。
図5】実施形態の熱交換器の製造方法の第2説明図。
図6】実施形態の熱交換器の製造方法の第3説明図。
図7】実施形態の熱交換器の製造方法の第4説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の熱交換器の製造方法および熱交換器の製造装置を、図面を参照して説明する。
図1は、熱交換器10を含む室外機1の平面図である。図1には、室外機1の天板を取り外した状態が記載されている。本願において、直交座標系のX方向、Y方向およびZ方向が以下のように定義される。X方向(第1方向)は、第2熱交換部12の第2ヘッダ17と第1熱交換部11の第1ヘッダ16とが並ぶ方向である。+X方向は、第2ヘッダ17から第1ヘッダ16に向かう方向である。Y方向(第2方向)は、第2ヘッダ17への熱交換チューブ20の接続部分において、熱交換チューブ20が伸びる方向である。-Y方向は、当該接続部分において熱交換チューブ20から第2ヘッダ17に向かう方向である。Z方向(第3方向)は、第2ヘッダ17が伸びる方向である。+Z方向は、室外機1の上方向である。
【0008】
室外機1は、室内熱交換器を有する室内機(不図示)とともに、冷凍サイクル装置である空気調和装置を構成する。室外機1は、ケーシング2と、機器ユニット4と、ファン6と、熱交換器(室外熱交換器)10と、を有する。機器ユニット4、ファン6および熱交換器10は、ケーシング2の内部に配置される。
【0009】
ケーシング2は、直方体の箱状である。ケーシング2は、例えばX方向に短く、Y方向に長い。ケーシング2のX方向の面には、通風孔(不図示)が形成される。
機器ユニット4は、ケーシング2の内部において、例えば-Y方向に配置される。機器ユニット4は、圧縮機5のほか、四方弁や膨張弁など(いずれも不図示)を含む。
ファン6は、ケーシング2の内部において、例えばY方向の中央部に配置される。ファン6は、ケーシング2の通風孔を通して、ケーシング2の内部に風を導入する。
【0010】
熱交換器10は、ケーシング2の内部において、中央部から+Y方向にかけて配置される。熱交換器10は、Z方向から見て、L字状に折れ曲がった形状である。熱交換器10は、一対の熱交換部11,12を有する。一対の熱交換部11,12は、第1熱交換部11および第2熱交換部12である。第1熱交換部11は、折れ曲がった熱交換器10の内側に配置される。第2熱交換部12は、折れ曲がった熱交換器10の外側に配置される。
【0011】
熱交換器10は、共通ヘッダ15、第1ヘッダ16および第2ヘッダ17を有する。共通ヘッダ15は、熱交換器10の第1端部Aに配置される。第1ヘッダ16および第2ヘッダ17は、熱交換器10の第2端部Bに配置される。第1ヘッダ16は、第1熱交換部11の-Y方向の端部に配置される。第2ヘッダ17は、第2熱交換部12の-Y方向の端部に配置される。共通ヘッダ15、第1ヘッダ16および第2ヘッダ17の内部には、冷媒が流通する冷媒空間(不図示)が形成される。
【0012】
図2は、図1のII-II線における断面図である。一対の熱交換部11,12は、熱交換チューブ20およびフィン25を有する。熱交換チューブ20およびフィン25は、アルミニウムやアルミニウム合金等の、熱伝導率が高く比重が小さい材料で形成される。
【0013】
熱交換チューブ20は、偏平管状である。熱交換チューブ20の延伸方向に直交する断面の形状は長円形状である。熱交換チューブ20の内部には、冷媒流路22が形成される。冷媒流路22は、熱交換チューブ20の全長にわたって形成される。複数の冷媒流路22が、熱交換チューブ20の断面の長手方向に並んで配置される。複数の熱交換チューブ20が、Z方向に並んで配置される。熱交換チューブ20の一方端部は、共通ヘッダ15の内部の冷媒空間に開口する。熱交換チューブ20の他方端部は、第1ヘッダ16および第2ヘッダ17の内部の冷媒空間に開口する。
【0014】
フィン25は、Z方向に伸びる長方形の平板状である。フィン25の長辺に複数の切欠き27が形成される。複数の切欠き27は、折れ曲がった熱交換器10の内側に形成される。複数の切欠き27に複数の熱交換チューブ20が配置される。フィン25は、熱交換チューブ20から、折れ曲がった熱交換器10の外側に伸びる。複数のフィン25が、熱交換チューブ20の延伸方向に並んで配置される。
【0015】
室外機1の熱交換器10は、冷房運転時に凝縮器として機能し、暖房運転時に蒸発器として機能する。冷房運転および暖房運転の一方において、冷媒は、以下のように熱交換器10を流通する。冷媒は、第1ヘッダ16から熱交換器10の内部に流入する。冷媒は、第1熱交換部11の熱交換チューブ20を流通し、共通ヘッダ15に流入する。冷媒は、共通ヘッダ15で折り返し、第2熱交換部12の熱交換チューブ20を流通する。冷媒は、第2ヘッダ17から熱交換器10の外部に流出する。冷房運転および暖房運転の他方において、冷媒は、以上とは逆に熱交換器10を流通する。
【0016】
ファン6によりケーシング2の内部に導入された風は、熱交換器10のフィン25の間を流通する。ケーシング2の内部に導入された風と、熱交換チューブ20を流通する冷媒との間で、熱交換が行われる。
【0017】
熱交換器10の製造装置40について説明する。
図4は、熱交換器10の製造方法の第1説明図である。図4に示されるように、製造装置40は、YZ面と平行に形成された熱交換器10を、L字状に折り曲げる。以下、熱交換器10を折り曲げる前の状態の製造装置40について説明する。
【0018】
製造装置40は、テーブル45と、第1クランパ41と、第2クランパ42と、ガイド部材43と、制御部49と、端部支持装置30と、を有する。
テーブル45の+X面は、YZ面と平行である。テーブル45の+X面に、熱交換器10が配置される。テーブル45は、熱交換器10のY方向の中央部から-Y方向にかけて、熱交換器10を支持する。
【0019】
第1クランパ41の-X面および第2クランパ42の+X面は、YZ面と平行である。第2クランパ42の+X面に、熱交換器10が配置される。第2クランパ42は、熱交換器10のY方向の中央部から+Y方向にかけて、熱交換器10を支持する。第1クランパ41および第2クランパ42は、熱交換器10を柔らかにX方向に挟む。第1クランパ41および第2クランパ42と熱交換器10とのY方向の相対移動が許容される。
【0020】
ガイド部材43は、Z方向に伸びる円筒状または円柱状である。ガイド部材43の中心軸Cは、Z方向と平行である。ガイド部材43は、一対の熱交換部11,12の+X方向(X方向の外側)に配置される。ガイド部材43は、熱交換器10のY方向の中間部に配置される。ガイド部材43および第1クランパ41は、相互に接続されている。
【0021】
ガイド部材43は、中心軸Cの周りに回転可能である。第1クランパ41および第2クランパ42は、ガイド部材43と同位相で回転する。駆動機構(不図示)は、ガイド部材43、第1クランパ41および第2クランパ42を回転させる。駆動機構は、第2クランパ42の回転に伴って、第2クランパ42を熱交換器10と平行に移動させる。これにより、第2クランパ42は、熱交換器10の中央部から第1端部Aを継続的に支持する。
制御部49は、駆動機構の動作を制御する。
【0022】
図3は、端部支持装置30の拡大図である。端部支持装置30は、ベース部材31と、舌部材34と、を有する。ベース部材31は、ベース板32と、支柱33と、を有する。
【0023】
ベース板32は、YZ面と平行である。図4に示されるように、ベース板32は、テーブル45に収容される。ベース板32の+X面およびテーブル45の+X面は、同一平面に含まれる。ベース板32の+X面に、枕部材37が装着される。枕部材37は、第2熱交換部12の第2ヘッダ17をX方向に支持する。これにより、第2熱交換部12のフィン25とベース板32との接触圧力が減少する。枕部材37は、Y方向に移動自在(自由に移動可能)である。これにより、第2熱交換部12の第2端部Bは、Y方向に自由に移動可能である。
支柱33は、図3に示されるように、ベース板32から+X方向に伸びる。支柱33は、舌部材34を移動可能に支持する。
【0024】
舌部材34は、YZ面と平行である。舌部材34は、移動機構(不図示)によりX方向に移動可能である。移動機構は、例えばラック・アンド・ピニオン機構である。制御部49は、移動機構の動作を制御する。
舌部材34は、Y方向に移動自在(自由に移動可能)である。図4に示されるように、舌部材34は、第1熱交換部11の第1ヘッダ16をX方向に支持する。舌部材の+X面には、押圧部材36および係合部材35が装着される。係合部材35は、第1ヘッダ16の+Y方向に配置される。押圧部材36は、第1ヘッダ16の-Y方向に配置される。第1ヘッダ16がY方向に移動すると、第1ヘッダ16により係合部材35または押圧部材36が押されて、舌部材34がY方向に移動する。これにより、第1熱交換部11の第2端部Bは、Y方向に自由に移動可能である。
【0025】
熱交換器10の製造方法について説明する。
図4は、熱交換器10の製造方法の第1説明図である。図5は第2説明図であり、図6は第3説明図であり、図7は第4説明図である。この製造方法は、YZ面と平行に形成された熱交換器10を、製造装置40によりL字状に折り曲げる。
【0026】
図4に示されるように、熱交換器10の一対の熱交換部11,12が、YZ面と平行に形成されている。一対の熱交換部11,12が、X方向に並んで配置される。第1熱交換部11が+X方向に配置され、第2熱交換部12が-X方向に配置される。第1熱交換部11のY方向の長さは、第2熱交換部12のY方向の長さより短い。第1ヘッダ16は、第2ヘッダ17の+Y方向に配置される。+Y方向の第1端部Aにおいて、一対の熱交換部11,12の相対位置が、共通ヘッダ15により固定されている。
【0027】
第2クランパ42、テーブル45およびベース板32の+X面に、熱交換器10が配置される。共通ヘッダ15が、第2クランパ42により支持される。第2熱交換部12の第2ヘッダ17が、ベース板32の枕部材37により支持される。第2熱交換部12のフィン25は、第2クランパ42、テーブル45およびベース板32の+X面に軽く当たっている。
【0028】
熱交換器10のY方向の中間部において、一対の熱交換部11,12の+X方向(X方向の外側)に、Z方向に伸びるガイド部材43および第1クランパ41が配置される(第1工程)。ガイド部材43および第1クランパ41は、第1熱交換部11の熱交換チューブ20およびフィン25に軽く当たっている。
【0029】
舌部材34が、一対の熱交換部11,12のX方向の内側に挿入される。第1熱交換部11の第1ヘッダ16が、舌部材34により支持される。係合部材35と押圧部材36との間に、第1ヘッダ16が配置される。舌部材34とベース板32とのX方向の間隔はS1である。
【0030】
図5に示されるように、熱交換器10の-Y方向の第2端部Bにおいて、一対の熱交換部11,12のX方向の内側に、隙間Gが設けられる(第2工程)。制御部49が舌部材34を+X方向に移動させることにより、隙間Gが形成される。舌部材34とベース板32とのX方向の間隔はS2(>S1)である。
【0031】
図6に示されるように、制御部49は、熱交換器10を折り曲げる(第3工程)。制御部49は、ガイド部材43、第1クランパ41および第2クランパ42を、中心軸Cの周りに回転させる。第2クランパ42は、熱交換器10の+Y方向の部分を立ち上げる。熱交換器10は、ガイド部材43の外周に沿って、ガイド部材の周りに折れ曲がる。舌部材34はY方向に移動自在なので、第1熱交換部11の第2端部BのY方向への移動が拘束されない。折れ曲がる熱交換器10の内側にある第1熱交換部11の-Y方向への伸長が許容される。枕部材37はY方向に移動自在なので、第2熱交換部12の第2端部BのY方向への移動が拘束されない。折れ曲がる熱交換器10の外側にある第2熱交換部12の+Y方向への収縮が許容される。
【0032】
熱交換器10が折れ曲がるとき、ガイド部材43の周りで、一対の熱交換部11,12の間に押圧力が作用する。この押圧力が、第1熱交換部11のフィン25を変形させる可能性がある。一対の熱交換部11,12の内側に設けられた隙間Gは、一対の熱交換部11,12の間に作用する押圧力を減少させる。これにより、第1熱交換部11のフィン25の変形が抑制される。
【0033】
制御部49は、隙間Gを減少させながら、熱交換器10を折り曲げる。制御部49が舌部材34を-X方向に移動させることにより、隙間Gが減少する。熱交換器10を折り曲げる途中での、舌部材34とベース板32とのX方向の間隔をS3とする。S2>S3>S1が成立する。折れ曲がる前の熱交換器10と折れ曲がる途中の熱交換器10との角度(立ち上がり角度)をθ(°)とする。以下の数式1が成立する。
θ/90=1-(S3-S1)/(S2-S1) ・・・(1)
【0034】
図7に示されるように、制御部49は、θ=90°まで熱交換器10を立ち上げる。制御部49は、舌部材34とベース板32とのX方向の間隔S4がS1になるまで、隙間Gを減少させる。隙間Gが最小になり、熱交換器10が所定の形状になる。以上により、熱交換器10の折り曲げが完了する。
【0035】
以上に詳述されたように、実施形態の熱交換器10の製造方法は、ガイド部材43を配置する第1工程と、一対の熱交換部11,12のX方向の内側に隙間Gを設ける第2工程と、熱交換器10を曲げる第3工程と、を持つ。熱交換器10は、X方向に並んで配置された一対の熱交換部11,12を有する。X方向に直交するY方向の第1端部Aにおいて一対の熱交換部11,12の相対位置が固定される。第1工程では、熱交換器10のY方向の中間部において、一対の熱交換部11,12のX方向の外側に、Z方向に伸びるガイド部材43を配置する。第2工程では、熱交換器10のY方向の第2端部において、一対の熱交換部11,12のX方向の内側に隙間Gを設ける。第3工程では、隙間Gを減少させながら、ガイド部材43の周りに熱交換器10を曲げる。
【0036】
熱交換器10が折れ曲がるとき、ガイド部材43の周りで、一対の熱交換部11,12の間に押圧力が作用する。一対の熱交換部11,12の内側に隙間Gを設けることにより、この押圧力が減少する。第1熱交換部11のフィン25の変形が抑制される。フィン25の間に風が流通して、風と冷媒との間の熱交換が促進される。したがって、熱交換効率の低下を抑制することができる。隙間Gを減少させながら熱交換器10を曲げることにより、所定形状の熱交換器10が完成する。
【0037】
第3工程では、熱交換器10の第2端部BのY方向への移動を拘束しない。
熱交換器10の折れ曲がりに伴う一対の熱交換部11,12の伸長および収縮が許容される。一対の熱交換部11,12のフィン25の変形が抑制される。したがって、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0038】
実施形態の熱交換器10の製造装置は、ベース部材31と、舌部材34と、を持つ。舌部材34は、ベース部材31に支持され、熱交換器10のY方向の第2端部Bにおいて一対の熱交換部11,12のX方向の内側に挿入可能である。舌部材34は、ベース部材31に対してX方向に移動可能である。
【0039】
舌部材34をX方向に移動させることにより、一対の熱交換部11,12のX方向の内側に隙間Gが設けられる。第1熱交換部11のフィン25の変形が抑制され、熱交換効率の低下を抑制することができる。隙間Gを減少させながら熱交換器10を曲げることにより、所定形状の熱交換器10が完成する。
【0040】
舌部材34は、Y方向に自由に移動可能である。
折れ曲がる熱交換器10の内側にある第1熱交換部11の伸長が許容される。第1熱交換部11のフィン25の変形が抑制され、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0041】
実施形態の熱交換器10は、複数の熱交換部として、一対の熱交換部11,12を有する。熱交換器10は、3個以上の熱交換部を有してもよい。
【0042】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、一対の熱交換部11,12のX方向の内側に隙間Gを設け、隙間Gを減少させながら熱交換器10を曲げる。これにより、フィン25の変形が抑制され、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
A…第1端部、B…第2端部、G…隙間、X…第1方向、Y…第2方向、Z…第3方向、10…熱交換器、11…第1熱交換部(熱交換部)、12…第2熱交換部(熱交換部)、31…ベース部材、34…舌部材、40…製造装置、43…ガイド部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7