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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】防護壁装置および水素ステーション
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/06 20060101AFI20250312BHJP
   B60S 5/02 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
A62C3/06 Z
B60S5/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023003641
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2021170270の分割
【原出願日】2016-11-14
(65)【公開番号】P2023029622
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】茨木 博
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-112999(JP,A)
【文献】特開2011-033070(JP,A)
【文献】特開2006-271900(JP,A)
【文献】特開2008-297782(JP,A)
【文献】実開昭47-035539(JP,U)
【文献】特開平03-112567(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0027848(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/06
B60S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に面して地面に設置され水素を供給するディスペンサーを有する水素ステーションに設けられる防護壁装置であって、
前記ディスペンサーの前記道路に面する側に前記地面から上方に向けて立設されることにより、前記ディスペンサーと前記道路との間を自己の壁面で区画し、かつ、上端が前記ディスペンサーの前記道路側と反対側の端面よりも前記道路側に位置することにより、前記ディスペンサーの上方空間の少なくとも一部を閉鎖する障壁と、
前記障壁の少なくとも前記ディスペンサー側に面する表面に対して散水し水膜を形成する散水ヘッドと、を有することを特徴とする防護壁装置。
【請求項2】
前記障壁のうち前記水膜が形成される表面は、少なくとも一部に凹凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の防護壁装置。
【請求項3】
前記障壁は光透過性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の防護壁装置。
【請求項4】
道路に面して地面に設置され水素を供給するディスペンサーと、
前記ディスペンサーの前記道路に面する側に前記地面から上方に向けて立設されることにより、前記ディスペンサーと前記道路との間を自己の壁面で区画し、かつ、上端が前記ディスペンサーの前記道路側と反対側の端面よりも前記道路側に位置することにより、前記ディスペンサーの上方空間の少なくとも一部を閉鎖する障壁と、前記障壁の少なくとも前記ディスペンサー側に面する表面に対して散水し水膜を形成する散水ヘッドを有する防護壁装置と、
を備えたことを特徴とする水素ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池自動車などに水素を供給する水素ステーションにおいて、水素を供給するディスペンサーを囲む防護壁装置およびこれを有する水素ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
水素を燃料として用いる燃料電池自動車は、走行時に二酸化炭素を排出せず、また、大気汚染の原因となるNOx等の物質も排出しない。また、数分程度の燃料供給で数百kmの走行が可能であるので、充電に時間を要する電気自動車よりも利便性が高い。このため、将来の普及を見込んだ燃料電池自動車に対する技術開発が行われている。
【0003】
燃料電池自動車に対する燃料供給は、水素ステーションにおいて行われる。水素が漏洩、引火すると大規模な爆発を起こす可能性もあるので、水素ステーションには防火設備が設けられる。防火設備を備えた水素ステーションとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-66086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水素ステーションの防火のため、その周囲には防火壁が設けられる。また、水素を供給するディスペンサーの配置についても、公道から一定以上の距離を設けるよう、法令にて定められている。この距離は、ディスペンサーにおいて火災が発生した場合の漏洩拡散、爆風圧、火炎長、輻射熱などを考慮して定められている。
【0006】
水素ステーションは、建設費が非常に高く、普及を阻害する一因となっている。水素ステーションは、ディスペンサーを道路から一定以上離隔させる必要があるため、大きな敷地面積を必要とする。都市部において大きな敷地を確保することは難しく、また、敷地を確保できたとしても土地の価格が高額となる。このため、水素ステーションの建設費がより高額となる要因となっている。
【0007】
これについて、ディスペンサーを公道から一定以上離隔させることと同等の措置を講ずることで、法令で定められた基準を満たすようにすることもできる。ディスペンサーを公道から一定以上離隔させることと同等の措置としては、例えば、ディスペンサーの道路側を鉄筋コンクリート製障壁、またはコンクリートブロック製障壁、あるいは鋼板製障壁で囲むことが挙げられる。この措置を取ることで、ディスペンサーと道路との距離を小さくすることができるので、必要な敷地面積を小さくすることができ、水素ステーションの建設費を低減できる。
【0008】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、水素ステーションのディスペンサーを壁で囲んだ防護壁装置およびこれを有する水素ステーションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る防護壁装置は、道路に面して地面に設置され水素を供給するディスペンサーを有する水素ステーションに設けられる防護壁装置であって、
前記ディスペンサーの前記道路に面する側に前記地面から上方に向けて立設されることにより、前記ディスペンサーと前記道路との間を自己の壁面で区画し、かつ、上端が前記ディスペンサーの前記道路側と反対側の端面よりも前記道路側に位置することにより、前記ディスペンサーの上方空間の少なくとも一部を閉鎖する障壁と、
前記障壁の少なくとも前記ディスペンサー側に面する表面に対して散水し水膜を形成する散水ヘッドと、を有することを特徴として構成されている。
【0010】
また、請求項2の発明に係る防護壁装置は、前記障壁のうち前記水膜が形成される表面は、少なくとも一部に凹凸部を有することを特徴として構成されている。
【0011】
また、請求項3の発明に係る防護壁装置は、前記障壁は光透過性を有することを特徴として構成されている。
【0012】
また、請求項4の発明に係る水素ステーションは、道路に面して地面に設置され水素を供給するディスペンサーと、
前記ディスペンサーの前記道路に面する側に前記地面から上方に向けて立設されることにより、前記ディスペンサーと前記道路との間を自己の壁面で区画し、かつ、上端が前記ディスペンサーの前記道路側と反対側の端面よりも前記道路側に位置することにより、前記ディスペンサーの上方空間の少なくとも一部を閉鎖する障壁と、前記障壁の少なくとも前記ディスペンサー側に面する表面に対して散水し水膜を形成する散水ヘッドを有する防護壁装置と、
を備えたことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る防護壁装置によれば、障壁に散水されることで障壁の耐熱性を高くし、火災発生の際の防火性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態の防護壁装置を備えた水素ステーションの構成図である。
図2】防護壁装置の縦断面図である。
図3】防護壁装置のディスペンサーに対向する面側を正面とした正面図である。
図4】第2の形態の防護壁装置の縦断面図である。
図5】第3の形態の防護壁装置の縦断面図である。
図6】第4の形態の防護壁装置における障壁の部分拡大断面図である。
図7】第5の形態の防護壁装置の縦断面図である。
図8】第6の形態の防護壁装置の縦断面図である。
図9】第7の形態の防護壁装置の縦断面図である。
図10】第7の形態の防護壁装置の散水時における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態の防護壁装置5を備えた水素ステーションの構成図を示している。この図に示す水素ステーションは、燃料を改質してステーション内で水素を製造することが可能なオンサイト型として構成されている。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の水素ステーションは、道路1に面して設置されており、法令等で定められた所定の隔壁2に囲まれた領域に設けられる。隔壁2に囲まれた領域内で、さらに水素の製造(改質)及び貯蔵を行う場所は、高さ2m以上の隔壁3によって囲まれている。
【0017】
水素の原料となる燃料は、水素ステーションの地下に設けられる燃料タンク10に貯蔵される。燃料タンク10からの燃料は、水素製造装置11に送られ、ここで燃料が改質されて水素が製造される。製造された水素は気体の状態であり、これが圧縮機12に送られて圧縮され、圧縮水素の状態で貯蔵タンク13に貯蔵される。
【0018】
水素ステーション内には、水素を自動車に対して供給するディスペンサー4が配置されている。ディスペンサー4の周囲には、防護壁装置5が配置されている。防護壁装置5は、平面視略コ字状の障壁20を有している。障壁20は、ディスペンサー4の周囲のうち、ディスペンサー4の道路1に面する側と、ディスペンサー4の道路1に面する側とは異なる側である両側に配置されていて、ディスペンサー4の周囲を囲んでいる。
【0019】
図2には、防護壁装置5の縦断面図を示している。この図に示すように、障壁20は、地面から垂直に立ち上がっている。障壁20は、透明な素材によって形成されている。障壁20を形成する透明な素材として、アクリル等の強化透明樹脂を用いることができる。また、透明な素材として、強化ガラスなどを用いることもできる。このため、道路1側からは、障壁20を介してディスペンサー4及び水素ステーション内の店舗施設6等を透過して見ることができる。
【0020】
障壁20の上端部には、ディスペンサー4側に向かって突出する固定部材20aが設けられ、固定部材20aの下面には散水ヘッド21が取付けられている。このため、散水ヘッド21は、障壁20よりディスペンサー4側に配置される。散水ヘッド21は、水の供給を受けて障壁20に向かって散水を行うことができる。散水ヘッド21は、障壁20の両面のうち、ディスペンサー4と対向する側の面に対して散水できるように、障壁20の上端部において斜め下方を向くように配置されている。散水ヘッド21から障壁20に向かって散水されることで、障壁20のディスペンサー4と対向する面には、水膜23が形成される。表面に水膜23が形成された障壁20も光を透過することができるので、道路1側から障壁20を介してディスペンサー4及び水素ステーション内の店舗施設6等を透過して見ることができる。
【0021】
障壁20の下部では、散水された水が回収され、再循環ポンプ22によって再度、散水ヘッド21に水が供給される。すなわち、散水ヘッド21で散水される水は循環しており、節水を図ることができる。
【0022】
図3には、防護壁装置5のディスペンサー4に対向する面側を正面とした正面図を示している。この図に示すように、散水ヘッド21は、水平方向に沿って複数が配置され、各散水ヘッド21は給水配管25に接続されている。給水配管25は、散水ヘッド21に水を供給する。本実施形態では、給水配管25は散水ヘッド21に対し、水素ステーションにおける異常の有無に関わらず、水を供給する。このため、散水ヘッド21からは、障壁20に対して常時散水がなされる。散水ヘッド21から常時散水されるため、障壁20の表面には常時、水膜23が形成され、意匠性を高くすることができる。
【0023】
各散水ヘッド21は、略扇状に散水を行うことができる。散水ヘッド21から散水された水は、下方に向かって広がり、隣接する散水ヘッド21から散水された水と合流する。このため、障壁20の表面には、全体に渡って均一な水膜が形成される。
【0024】
障壁20に対する散水量は、障壁20の表面における流量が5×10-53/(sec・m2)~1×10-33/(sec・m2)の範囲である。これにより、水素ステーションにおいて火災が発生し、そのエネルギーが100kW/m2の場合に、水膜によりそのエネルギーを遮断することができる。
【0025】
このように、透光性を有する素材で障壁20を形成し、障壁20の上端部から障壁20の表面に対して散水ヘッド21から散水して水膜を形成することにより、火災発生時に障壁20を保護して、火炎を遮断すると共に、輻射熱に耐える耐熱性を持たせることができる。このため、道路1側からディスペンサー4や店舗施設6等を透過できる透光性を確保しつつ、防火性能も持たせた防護壁装置5とすることができる。これにより、ディスペンサー4を道路1に近い位置に配置することができ、水素ステーションの敷地面積が大きくならないようにすることができるので、水素ステーションの建設費の増大を抑制することができる。
【0026】
図4には、第2の形態の防護壁装置の縦断面図を示している。この図に示すように、固定部材20aを障壁20のディスペンサー4側及びそれと反対側の両側に突出させ、それぞれに散水ヘッド21を設けて、障壁20の両面に散水するようにしてもよい。これにより、障壁20の両面が水膜23で覆われ、火災発生時の遮熱性をより大きくすることができる。
【0027】
図5には、第3の形態の防護壁装置の縦断面図を示している。この図に示すように、本形態において、障壁20の上端部には、ディスペンサー4側に向かって傾斜状の折り返し部20bが形成されている。折り返し部20bに固定部材20が設けられ、散水ヘッド21が取付けられている。散水ヘッド21は、障壁20のディスペンサー4側の面に向かって斜め下方に散水し、その水が折り返し部20bから垂直な面に渡って水膜23を形成する。このように、障壁20に折り返し部20bを形成し、その折り返し部20bに散水ヘッド21を設けることで、ディスペンサー4の側方に加えて上方も水膜23に覆われた障壁20で囲むことができ、火災発生時には障壁20により火炎や輻射熱をより遮断することができる。
【0028】
ここまで説明した実施形態では、障壁20の表面は平滑面であるが、図6に示すように、障壁20の水膜23が形成される側の面に凹凸部20cを有していてもよい。障壁20の表面に凹凸部20cを有していることにより、水膜23の表面にも凹凸模様が形成され、意匠性を高くすることができる。また、凹凸部20cを水平方向において波状とするなど、様々な形状とすることができる。
【0029】
図7には、第5の形態の防護壁装置の縦断面図を示している。この図に示すように、本形態において、散水ヘッド21は、ディスペンサー4の障壁20と対向する側に配置されている。散水ヘッド21は障壁20に向かって散水できるように設置されており、図7に示されているように、散水ヘッド21から障壁20に対して散水することで、障壁20の表面には水膜23が形成される。このように、散水ヘッド21は必ずしも障壁20の上部に設けられていなくてもよい。ディスペンサー4側に散水ヘッド21を設けることで、障壁20側の構成を簡易化することができる。また、本形態において、散水ヘッド21は障壁20に向かって常時散水してもよいし、水素ステーションの異常検出時にのみ散水してもよい。
【0030】
図8には、第6の形態の防護壁装置の縦断面図を示している。この図に示すように、本形態では、障壁20及びディスペンサー4とは別に、所定間隔毎に支柱26が設けられ、この支柱26に支持された支持体27に散水ヘッド21が配置されている。散水ヘッド21は、障壁20の表面に散水できるように設置されており、障壁20の表面に水膜23を形成することができる。このように、障壁20及びディスペンサー4とは別に設置される設置物である支持体27に散水ヘッド21を設けることで、障壁20及びディスペンサー4側の構成を簡易化することができる。また、散水ヘッド21を設ける設置物としては、水素ステーションの屋根や照明設備など、障壁20の上方に位置するものであればよい。この場合、本形態のような専用の支柱26などを不要とできる。また、散水ヘッド21を障壁20及びディスペンサー4以外の設置物に設ける場合、散水ヘッド21は、障壁20のディスペンサー4と対向する面の側と、障壁20の道路と対向する面の側とのいずれか一方または両方に向かって散水するように配置できる。また、本形態において、散水ヘッド21は障壁20に向かって常時散水してもよいし、水素ステーションの異常検出時にのみ散水してもよい。
【0031】
図9には、第7の形態の防護壁装置の縦断面図を示している。この図に示すように、本形態では、障壁20の上部に箱状の収納部28が設けられる。収納部28は、内部に巻回されたシート29を収納している。シート29は、吸水性を有する防火布などによって形成されており、通常時には図9に示すように収納部28内に収納されている。水素ステーションの異常検出時には、シート29は収納部28から降下して障壁20の表面を覆うことができる。また、収納部28には、障壁20側に向かって散水できるように散水ヘッド21が配置されている。
【0032】
図10には、異常検出時における第7の形態の防護壁装置の縦断面図を示している。この図に示すように、異常検出時には、シート29は収納部28から降下して障壁20のディスペンサー4の表面を覆う。そして、散水ヘッド21から障壁20に向かって散水されることで、障壁20の表面を覆うシート29の表面に水膜23が形成される。このため、障壁20の表面がシート29及び水膜23で保護されるので、防火性を高くすることができる。加えて、シート29は吸水性を有しているので、障壁20の表面に直接散水する場合に比べて、障壁20の表面に存在する水の量が多くなり、防火性をより高くすることができる。
【0033】
シート29は、無地であってもよいが、異常発生中である旨の文字や記号などが表示されていてもよい。これにより、異常が検出されてシート29が収納部28から降下することで、異常が発生していることを道路の通行人等にも認識させやすくすることができる。また、本形態では、シート29は障壁20のディスペンサー4と対向する面を覆って散水されるが、道路と対向する面を覆って散水されてもよく、また、障壁20の両面を覆って散水されてもよい。
【0034】
本形態において、シート29は吸水性を有しているが、水を含むことのできる含水性を有しているシート素材を用いていればよい。例えば、粗い編目を有するシート素材を用いて、表面張力により編目間の空隙部分に散水された水を保持させるようにしてもよい。また、親水性を有するシート素材を用いてもよい。この場合、散水された水がシートの表面で広がりやすく、シート全体に均一な水膜を形成できる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は上述の実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において、様々に適用されうる。
【0036】
散水ヘッド21からの散水について、上述の実施形態では、常時行うこととしたが、通常時には散水を行わず、水素ステーションにおいて水素漏洩、火災、設備の温度上昇等の異常が検出された場合に、散水ヘッド21から散水するようにしてもよい。水素ステーションにおける異常検出は、ディスペンサー4の近傍に水素漏洩センサを配置しておき、この水素漏洩センサで水素の漏洩が検出するなどにより、行うことができる。水素漏洩センサで水素の漏洩が検出された場合に、散水ヘッド21からの散水が行われる。また、火災感知器等によっても、水素ステーションにおける異常検出を行うことができる。さらに、店舗施設や事務所、あるいは水素関連施設などで異常が検出された場合、例えば、これらに設置される発信機が操作された場合や、水素漏洩が検出された場合、センサから火災などの出力がなされた場合などに、異常が検出されたものとして散水ヘッド21から散水を行うようにしてもよい。
【0037】
また、障壁20について、上述の実施形態では、透明な素材で形成されるが、透光性を有する素材であれば、透明でなくてもよい。また、擦りガラスのように、光を散乱させる表面処理がされていてもよい。また、障壁20の片面に散水ヘッド21からの散水がされる場合において、上述の実施形態では、障壁20の両面のうちディスペンサー4と対向する面に散水されるが、障壁20の両面のうち道路と対向する面に散水できるように、散水ヘッド21が配置されていてもよい。
【0038】
また、散水ヘッド21の一部について、ディスペンサー4側を向くように配置しておき、異常検出時には、散水ヘッド21から障壁20と共にディスペンサー4に対しても散水を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 道路
2 隔壁
3 隔壁
4 ディスペンサー
5 防護壁装置
6 店舗施設
10 燃料タンク
11 水素製造装置
12 圧縮機
13 貯蔵タンク
20 障壁
21 散水ヘッド
22 再循環ポンプ
23 水膜
25 給水配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10