(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-03-11
(45)【発行日】2025-03-19
(54)【発明の名称】探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法
(51)【国際特許分類】
G01V 3/40 20060101AFI20250312BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
G01V3/40
G01R33/02 L
G01R33/02 U
(21)【出願番号】P 2025005253
(22)【出願日】2025-01-15
【審査請求日】2025-01-15
(31)【優先権主張番号】2024110302514
(32)【優先日】2024-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525018124
【氏名又は名称】中勘地球物理有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】張 青杉
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-219683(JP,A)
【文献】特開2001-124507(JP,A)
【文献】特開平8-178663(JP,A)
【文献】特開平11-132704(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112649766(CN,A)
【文献】特開2014-29332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0349723(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0022192(US,A1)
【文献】特開2004-309461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-15/00;99/00
G01R33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法であって、
磁気ベクトル測定装置本体を十字型フレーム構造として設計し、その十字型フレーム構造の縦管の中央下部に回転可能なスリーブ(5)が設けられるステップS1と、
統合された磁気ベクトル測定装置本体の前記十字型フレーム構造の上下両端に磁気プローブ(4)が設けられ、その磁気プローブ(4)がキャップにより磁気ベクトル測定装置本体の前記十字型フレーム構造内に密封されるステップS2と、
前記磁気プローブ(4)の3磁気軸座標と、姿勢計の3軸座標との回転関係を検出し、該3磁気軸座標を(X
M、Y
M、Z
M)、該姿勢計の3軸座標を(Xz、Yz、Zz)と記し、該姿勢計の3軸がそれぞれロール軸、ピッチ軸、方位軸であるステップS3と、
検出された各パラメータに対して補正計算を行い、D型縦管(1)の球面座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求め、その後、姿勢計座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求め、最後に地理座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求めるステップS4と、
を含むことを特徴とする探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【請求項2】
前記磁気ベクトル測定装置本体の製造方法は、具体的には、
前記D型縦管(1)を基礎とし、そのD型縦管(1)のD面を基準として、そのD型縦管(1)の中央に2つの構造横管(2)を用いて十字構造フレームを構築するステップと、
前記D型縦管(1)の中央に穴を掘り、外部の2つの細い横管を中央の前記2つの構造横管(2)の外側に接続し、これら2つの細い横管の外側の上端にGPSアンテナを固定するステップと、
前記十字型フレーム構造中央の前記D型縦管(1)と前記構造横管(2)の接合部位に電磁シールドキャビネット(3)を固定設置し、その電磁シールドキャビネット(3)内に磁力計本体と記録システム、姿勢計本体と電源を設置するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【請求項3】
前記ステップS3において、前記磁気プローブ(4)の3磁気軸座標と前記姿勢計のロール軸、ピッチ軸、方位軸の2セットの座標との間の回転関係を検出するステップは、具体的には、
前記D型縦管(1)の球面座標系を設定するステップであって、該D型縦管(1)の球面座標系を(γ、θ、φ :Z
C、X
C)とし、該D型縦管(1)の中心軸をZ
C軸とし、前記磁気ベクトル測定装置本体の十字構造フレーム中心を原点とし、前記姿勢計の2つのGPSアンテナ接続線をX
C軸とするステップと、
前記磁気プローブ(4)の3軸座標系と前記D型縦管(1)の球面座標系、前記姿勢計の3軸座標系と前記D型縦管(1)の球面座標系の回転関係をそれぞれ検出するステップと、
2回の検出で取得した2セットのデータを整理し、その中で品質が最も良い10列のデータを検出基礎データとして選択し、各種特徴点のデータ値をそれぞれ分析して求めるステップと、
前記D型縦管(1)の球面座標系におけるX
M軸とY
M軸の方位角と極角を計算するステップであって、該D型縦管(1)の球面座標系におけるX
M軸の極角をθ
Xm、該D型縦管(1)の球面座標系におけるY
M軸の極角をθ
Ym、該D型縦管(1)の球面座標系におけるX
M軸の方位角をφ
Xm、該D型縦管(1)の球面座標系におけるY
M軸の方位角をφ
Ymと記するステップと、
前記D型縦管(1)の球面座標系におけるX
Z軸とY
Z軸の方位角と極角を計算するステップであって、該D型縦管(1)の球面座標系におけるX
Z軸の方位角をφ
Xz、該D型縦管(1)の球面座標系におけるY
Z軸の方位角をφ
Yz、該D型縦管(1)の球面座標系におけるX
Z軸の極角をθ
Xz、該D型縦管(1)の球面座標系におけるY
Z軸の極角をθ
Yzと記するステップと、
2回目の測定の磁気測定データに基づいて、Z
M軸の方位角をφ
ZD、Z
M軸の極角をθ
ZD、X
M軸の方位角をc、磁気北方位角をφ
T0として、前記D型縦管(1)の方位角φ
ZD0を求めるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【請求項4】
前記各種特徴点のデータ値をそれぞれ分析して求めるステップは、具体的には、
初回の観測データにおける前記磁気プローブ(4)のX
MとY
Mの磁気軸で観測された磁場成分の最大値と最小値を解析して求め、最大値をT
x11とT
y11、最小値をT
x12とT
y12とし、磁場成分の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φ
mx11、φ
my11、φ
mx12、φ
my12、φ
mxo11、φ
mxo12、φ
myo11、φ
myo12を分析して求めるステップと、
2回目の観測データにおける前記磁気プローブ(4)のX
MとY
Mの磁気軸で観測された磁場成分の最大値と最小値を解析して求め、最大値をT
x21とT
y21、最小値をT
x22とT
y22とし、磁場成分の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φ
mx21、φ
my21、φ
mx22、φ
my22、φ
mxo21、φ
mxo22、φ
myo21、φ
myo22を分析して求めるステップと、
初回の観測姿勢計データにおけるロール軸X
Zとピッチ軸Y
Zで観測された傾斜角の最大値と最小値を解析して求め、最大値をθ
zx11とθ
zy11、最小値をθ
zx12とθ
zy12とし、傾斜角の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φ
zx11、φ
zy11、φ
zx12、φ
zy12、φ
zxo11、φ
zxo12、φ
zyo11、φ
zyo12を分析して求めるステップと、
再分析により、2回目の観測姿勢計データにおけるロール軸X
Zとピッチ軸Y
Zで観測された傾斜角の最大値と最小値を解析して求め、最大値をθ
zx21とθ
zy21、最小値をθ
zx22とθ
zy22とし、傾斜角の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φ
zx21、φ
zy21、φ
zx22、φ
zy22、φ
zxo21、φ
zxo22、φ
zyo21、φ
zyo22を分析して求めるステップと、
その後の計算に関連する基礎パラメータをそれぞれ計算するステップであって、その基礎パラメータは、試験場の総磁場強度値Tと、2回目の測定時の前記D型縦管(1)の中心軸の垂直面と総磁場強度値Tベクトルとのなす角度JTI2と、M
X磁気軸と前記D型縦管(1)の中心軸の垂直面とのなす角度Jmxとを含むステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【請求項5】
前記基礎パラメータの計算式は以下の通りであり、
【数1】
SJb2が正の値を取り、
【数2】
My磁気軸と前記D型縦管(1)の中心軸の垂直面とのなす角度Jmyを計算し、具体的な計算ステップは次の通りである、
【数3】
ことを特徴とする請求項4に記載の探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【請求項6】
前記φ
Xmの計算式は次の通りであり、
φ
Xm = φ
TO-φ
mx11
前記θ
Xmと前記θ
Ymの計算式は次のとおりであり、
θ
Xm = 90°-J
mx
θ
Ym = 90°-J
my
前記φ
Ymの計算式は次のとおりであり、
φ
Ym = cos
-1(-cotθ
Xm cotθ
Ym)+φ
Xm
前記φ
Xzと前記φ
Yzの計算式は次のとおりであり、
φ
Xz = φ
zx21-φ
ZD0
φ
Yz = φ
zy21-φ
ZD0
前記θ
Xzと前記θ
Yzの計算式は次のとおりである、
【数4】
ことを特徴とする請求項3に記載の探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【請求項7】
前記D型縦管(1)の方位角φ
ZD0を求める前記ステップは、具体的には、
前記地磁気ベクトルTと、X
M軸と同方向の単位ベクトルMとのなす角度Dを計算し、その計算結果からX
M軸で測定された地磁場成分値T
Xmを計算するステップであって、その計算式は次のとおりであるステップと、
【数5】
(式中、a=Jmx、b=JTI2、θ
ZD = θ
zx21-θ
Xz)
フィッティング計算モードを利用してZ
Mの方位角φ
ZD0を求めるステップであって、その計算ステップは以下の通りであり、
cは、X
M軸の2回目の磁気測定データの最大値、最小値及び2つのゼロ点の方位角に対応する4つの値をとり、それらをc1、c2、c3、c4と記し、ここで、c1=φ
mx21-DT0、c2=φ
mx22-DT0、c3=φ
mxo21-DT0、c4=φ
mxo22-DT0であり、
φ
ZDが与えられ、上記の式を用いてc1、c2、c3、c4にそれぞれ対応するT
Xm値を求め、式中のsinθ
VM、cosθ
VMとcos cのすべてのc値は、対応するc1、c2、c3、c4値を取り、T
Xm(n) = TcosD
(n)、n=1、2、3、4であり、
上記の式で計算した理論値と実測値の平均二乗偏差の和であるフィッティング差MDを求め、
【数6】
実際の計算では、φ
ZDを20°~60°、ステップサイズを0.01°とし、ステップサイズごとにフィッティング差MD
(i)をそれぞれ計算し、
【数7】
上記の式で、iはφ
ZDの番号を表し、0~4000であり、方位角φ
ZD(i)値に対応する計算式は以下の通りであり、
φ
ZD(i)=20+0.01i
上記のすべてのMD
(i)に対してトレンド分析を行い、トレンドの中で最も小さいMD
(i)を選択するステップであって、このi値に対応するφ
ZD(i)値は前記D型縦管(1)の中心軸の方位角φ
ZD0であるステップと、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【請求項8】
前記ステップS4において検出された各パラメータに対して補正計算を行うステップは、具体的には、
前記磁気プローブ(4)で測定した、その磁気プローブ(4)の3軸座標系データの総磁場強度値Tベクトルを単位ベクトルtに正規化し、その単位ベクトルtの前記D型縦管(1)の球面座標系における極角θ
Tcと方位角φ
Tcを求めるステップであって、具体的な計算ステップは次のとおりであるステップと、
【数8】
前記D型縦管(1)の球面座標系における単位ベクトルtの極角θ
Tcと方位角φ
Tcが既知であり、姿勢計座標系におけるtの極角θ
Tzと方位角φ
Tzを求めるステップであって、具体的な計算ステップは次のとおりであり、
前記姿勢計のロール軸X
Zとピッチ軸Y
Zとのなす角度φを求め、
【数9】
前記θ
Tz、前記φ
Tzを以下の計算式で求めるステップと、
【数10】
姿勢計座標系における単位ベクトルtの極角θ
Tzと方位角φ
Tcが既知であり、地理座標系におけるtの極角θ
TDと方位角φ
TDを求めるステップであって、具体的な計算ステップは次のとおりであり、
【数11】
上記の式において、φ
XD角がφ
Xz角度と前記姿勢計の実測方位角の和に等しく、θ
XDが姿勢計で実測したピッチ角であり、θ
YDが姿勢計で実測したロール角であり、計算結果φ
TDが実測した磁気ベクトルの磁気偏角であり、θ
TDが磁気ベクトルの傾斜角の余角であるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地磁気ベクトル測定及び測位技術分野に関し、特に探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球物理探査技術は重力、磁気、電気、地震などの多くの分野にかかわり、その中の磁気探査は歴史が長く、簡単で実行しやすく、空気、空、大地、井戸、水中などの多種のシーンのデータ収集を実現することができ、総フィールド測定、総フィールド勾配測定、三成分測定、三成分勾配測定、配向測定(垂直成分)など、様々な測定モードを採用することができる。
近年、探査技術の進歩に伴い、航空磁気ベクトル測定はますます業界の注目を集めており、磁気ベクトル測定の各技術段階に対する研究もますます深くなり、3軸磁束ゲート磁力計も迅速に普及、応用され、その中で、3軸磁束ゲート磁力計を採用して航空磁気ベクトル(勾配)測定を展開することは重要な話題の一つである。
【0003】
地球物理探査の中で、磁力計を用いて磁気探査を行うことは最も経済的で迅速な方法であり、野外で磁気ベクトルパラメータを正確に観測することは長年の研究改善目標であり、そのため磁束ゲート磁力計は広く応用され、急速に改良された。
磁気ベクトルパラメータには、総磁場値の強度(振幅値)と方位の2項目が含まれ、現在、3軸磁束ゲート磁力計で実地観測を行うことが多い。
すなわち、3磁気軸が直交する磁力計を用いて総磁場値の3つの直交方位成分を実地観測し、その後、総磁場値の強度と方位を合成して計算する。
この方法で合成した総磁場値ベクトルの振幅値は、ここでは説明しないが、そのベクトル方位の正確な測定は姿勢計などの装置を利用する必要があり、そのため、どのように磁力計、姿勢計及びその他の関連装置を集成して設置し、姿勢測定と磁気ベクトル測定を完璧に結合させるかは、磁気測定従事者にとって重要な問題である。
【0004】
従来の航空磁気ベクトル測定作業は、多くは有人操縦ヘリコプター或いは固定翼飛行機を採用し、磁力計と姿勢計を硬いブラケットなどを介して強固に飛行機に設置しており、適合する完璧な標定方案がないため、測定精度は十分ではない。
従って、既存のニーズを満たすことができないため、探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、地磁気ベクトル測定の精度を大幅に向上させ、探査効果を向上させることができ、航空磁気ベクトル及び磁気ベクトル垂直勾配測定作業を展開するだけでなく、地上の地磁気ベクトル測定作業にも用いることができ、実用性の高い探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法を提供することにあり、上述した背景技術で提起された課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術方案を提供する。
探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法であって、
S1:磁気ベクトル測定装置本体を十字型フレーム構造として設計し、十字型構造の縦管の中央下部に回転可能なスリーブが設けられるステップと、
S2:統合された磁気ベクトル測定装置本体の十字型フレームの上下両端に磁気プローブが設けられ、磁気プローブがキャップにより磁気ベクトル測定装置本体の十字型フレーム内に密封されるステップと、
S3:磁気プローブの3磁気軸座標と、姿勢計の3軸座標との回転関係を検出し、3磁気軸座標を(XM、YM、ZM)、姿勢計の3軸座標を(Xz、Yz、Zz)と記し、姿勢計の3軸がそれぞれロール軸、ピッチ軸、方位軸であるステップと、
S4:検出された各パラメータに対して補正計算を行い、D型縦管の球面座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求め、その後、姿勢計座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求め、最後に地理座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求めるステップと、
を含む探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【0007】
前記磁気ベクトル測定装置本体の製造方法は、具体的には、
D型縦管を基礎とし、D型縦管のD面を基準とし、D型縦管の中央に2つの構造横管を用いて十字構造フレームを構築するステップと、
D型縦管の中央に穴を掘り、外部の2つの細い横管を中央の2つの構造横管の外側に接続し、2つの細い横管の外側の上端にGPSアンテナを固定するステップと、
十字型フレーム中央のD型縦管と構造横管の接合部位に電磁シールドキャビネットを固定設置し、電磁シールドキャビネット内に磁力計本体と記録システム、姿勢計本体と電源を設置するステップと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記ステップS3において、磁気プローブの3磁気軸座標と姿勢計のロール軸、ピッチ軸、方位軸の2セットの座標との間の回転関係を検出するステップは、具体的には、
D型縦管の球面座標系を設定するステップであって、D型縦管の球面座標系を(γ、θ、φ :ZC、XC)と記し、D型縦管の中心軸をZC軸とし、磁気ベクトル測定装置本体の十字構造フレームの中心を原点とし、姿勢計の2つのGPSアンテナ接続線をXC軸とするステップと、
磁気プローブの3軸座標系とD型縦管の球面座標系、姿勢計の3軸座標系とD型縦管の球面座標系の回転関係をそれぞれ検出するステップと、
2回の検査で取得した2セットのデータを整理し、その中で品質が最も良い10列のデータを検査基礎データとして選択し、各種特徴点のデータ値をそれぞれ分析して求めるステップと、
D型縦管(1)の球面座標系におけるXM軸とYM軸の方位角と極角を計算するステップであって、D型縦管(1)の球面座標系におけるXM軸の極角をθXm、D型縦管(1)の球面座標系におけるYM軸の極角をθYm、D型縦管(1)の球面座標系におけるXM軸の方位角をφXm、D型縦管(1)の球面座標系におけるYM軸の方位角をφYmと記するステップと、
D型縦管(1)の球面座標系におけるXZ軸とYZ軸の方位角と極角を計算するステップであって、D型縦管(1)の球面座標系におけるXZ軸の方位角をφXz、D型縦管(1)の球面座標系におけるYZ軸の方位角をφYz、D型縦管(1)の球面座標系におけるXZ軸の極角をθXz、D型縦管(1)の球面座標系におけるYZ軸の極角をθYzと記するステップと、
2回目の測定の磁気測定データに基づいて、ZM軸の方位角をφZD、ZM軸の極角をθZD、XM軸の方位角をc、磁気北方位角をφT0とすると、D型縦管(1)の方位角φZD0を求めるステップと、を含む。
【0009】
好ましくは、各種特徴点のデータ値をそれぞれ分析して求めるステップは、具体的には、
初回の観測データにおける磁気プローブ(4)のXMとYMの磁気軸で観測された磁場成分の最大値と最小値を解析して求め、最大値をTx11とTy11、最小値をTx12とTy12とし、磁場成分の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φmx11、φmy11、φmx12、φmy12、φmxo11、φmxo12、φmyo11、φmyo12を分析して求めるステップと、
2回目の観測データにおける磁気プローブ(4)のXMとYMの磁気軸で観測された磁場成分の最大値と最小値を解析して求め、最大値をTx21とTy21、最小値をTx22とTy22とし、磁場成分の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φmx21、φmy21、φmx22、φmy22、φmxo21、φmxo22、φmyo21、φmyo22を分析して求めるステップと、
初回の観測姿勢計データにおけるロール軸XZとピッチ軸YZで観測された傾斜角の最大値と最小値を解析して求め、最大値をθzx11とθzy11、最小値をθzx12とθzy12とし、傾斜角の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φzx11、φzy11、φzx12、φzy12、φzxo11、φzxo12、φzyo11、φzyo12を分析して求めるステップと、
再分析により、2回目の観測姿勢計データにおけるロール軸XZとピッチ軸YZで観測された傾斜角の最大値と最小値を解析して求め、最大値をθzx21とθzy21、最小値をθzx22とθzy22とし、傾斜角の最大値、最小値、及びゼロ点に対応する地理的方位角φzx21、φzy21、φzx22、φzy22、φzxo21、φzxo22、φzyo21、φzyo22を分析して求めるステップと、
その後の計算に関連する基礎パラメータをそれぞれ計算するステップであって、基礎パラメータは、試験場の総磁場強度値Tと、2回目の測定時のD型縦管(1)の中心軸の垂直面と総磁場強度値Tベクトルとのなす角度JTI2と、MX磁気軸とD型縦管(1)の中心軸の垂直面とのなす角度Jmxとを含むステップと、を含む。
【0010】
好ましくは、前記基礎パラメータの計算式は以下の通りであり、
【数1】
SJb2が正の値を取り、
【数2】
My磁気軸とD型縦管の中心軸の垂直面とのなす角度Jmyを計算し、具体的な計算ステップは次の通りである。
【数3】
【0011】
好ましくは、前記φ
Xmの計算式は次の通りであり、
φ
Xm = φ
TO-φ
mx11
θ
Xmとθ
Ymの計算式は次のとおりであり、
θ
Xm = 90°-J
mx
θ
Ym = 90°-J
my
φ
Ymの計算式は次のとおりであり、
φ
Ym = cos
-1(-cotθ
Xm cotθ
Ym)+φ
Xm
φ
Xzとφ
Yzの計算式は次のとおりであり、
φ
Xz = φ
zx21-φ
ZD0
φ
Yz = φ
zy21-φ
ZD0
θ
Xzとθ
Yzの計算式は次のとおりである。
【数4】
【0012】
好ましくは、D型縦管の方位角φ
ZD0を求める前記ステップは、具体的には、
地磁気ベクトルTと、X
M軸と同方向の単位ベクトルMとのなす角度Dを計算し、その計算結果からX
M軸で測定された地磁場成分値T
Xmを計算するステップであって、計算式は次のとおりであるステップと、
【数5】
(式中、a=Jmx、b=JTI2、θ
ZD = θ
zx21-θ
Xz)
フィッティング計算モードを利用してZ
Mの方位角φ
ZD0を求めるステップであって、計算ステップは以下の通りであり、
cは、X
M軸の2回目の磁気測定データの最大値、最小値及び2つのゼロ点の方位角に対応する4つの値をとり、それらをc1、c2、c3、c4と記し、ここで、c1=φ
mx21-DT0、c2=φ
mx22-DT0、c3=φ
mxo21-DT0、c4=φ
mxo22-DT0であり、
φ
ZDが与えられ、上記の式を用いてc1、c2、c3、c4にそれぞれ対応するT
Xm値を求め、式中のsinθ
VM、cosθ
VMとcos cのすべてのc値は、対応するc1、c2、c3、c4値を取り、T
Xm(n) = TcosD
(n)、n=1、2、3、4であり、
上記の式で計算した理論値と実測値の平均二乗偏差の和であるフィッティング差MDを求め、
【数6】
実際の計算では、φ
ZDを20°~60°、ステップサイズを0.01°とし、ステップサイズごとにフィッティング差MD
(i)をそれぞれ計算し、
【数7】
上記の式で、iはφ
ZDの番号を表し、0~4000であり、方位角φ
ZD(i)値に対応する計算式は以下の通りであり、
φ
ZD(i)=20+0.01i
上記のすべてのMD
(i)に対してトレンド分析を行い、トレンドの中で最も小さいMD
(i)を選択するステップであって、このi値に対応するφ
ZD(i)値はD型縦管の中心軸の方位角φ
ZD0であるステップと、を含む。
【0013】
好ましくは、前記ステップS4において検出された各パラメータに対して補正計算を行うステップは、具体的には、
磁気プローブで測定した磁気プローブの3軸座標系データの総磁場強度値Tベクトルを単位ベクトルtに正規化し、単位ベクトルtのD型縦管の球面座標系における極角θ
Tcと方位角φ
Tcを求めるステップであって、具体的な計算ステップは次のとおりであるステップと、
【数8】
D型縦管の球面座標系における単位ベクトルtの極角θ
Tcと方位角φ
Tcが既知であり、姿勢計座標系におけるtの極角θ
Tzと方位角φ
Tzを求めるステップであって、具体的な計算ステップは次のとおりであり、
姿勢計のロール軸X
Zとピッチ軸Y
Zとのなす角度φを求め、
【数9】
θ
Tz、φ
Tzを求め、計算式は以下の通りであるステップと、
【数10】
姿勢計座標系における単位ベクトルtの極角θ
Tzと方位角φ
Tcが既知であり、地理座標系におけるtの極角θ
TDと方位角φ
TDを求めるステップであって、具体的な計算ステップは次のとおりであり、
【数11】
上記の式において、φ
XD角がφ
Xz角度と姿勢計の実測方位角の和に等しく、θ
XDが姿勢計で実測したピッチ角であり、θ
YDが姿勢計で実測したロール角であり、計算結果φ
TDが実測した磁気ベクトルの磁気偏角であり、θ
TDが磁気ベクトルの傾斜角の余角であるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、従来技術と比較して、以下の有益な効果を有する。
【0015】
本発明は、地磁気ベクトル測定の精度を大幅に向上させ、探査効果を向上させることができ、統合された磁気ベクトル測定装置本体は、航空磁気ベクトル及び磁気ベクトル垂直勾配測定作業を展開するための姿勢を自動的に安定させるポッド装置として、上述した背景技術における磁気ベクトル測定の振幅値及び方位測定の問題を解決することができ、また、尾舵やスリングなどの部品を除去して適切に簡略化し、地上地磁気ベクトル測定作業に用いることができ、実用性がより高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明の磁気ベクトル測定装置本体の模式図である。
【
図2】
図2は本発明の磁気ベクトル測定装置本体をスタンドに垂直に置く図である。
【
図3】
図3は本発明の磁気ベクトル測定装置本体をスタンドに傾斜して置く図である。
【
図5】
図5は本発明の磁気ベクトル測定装置本体の座標系を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 D型縦管
2 構造横管
3 電磁シールドキャビネット
4 磁気プローブ
5 回転可能なスリーブ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における技術方案について、本発明の実施形態における図面を参照して明確かつ完全に説明するが、説明した実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者が創意工夫せずに得た他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
【0019】
従来の航空磁気ベクトル測定作業の多くが有人操縦ヘリコプターや固定翼航空機を採用し、磁力計と姿勢計を硬いブラケットなどを介して強固に飛行機に設置しており、適合する完璧な標定方案がないため、測定精度が十分ではないという問題を解決するため、
図1~
図6を参照して、本実施例は、以下の技術方案を提供する。
【0020】
探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法であって、
図6に示すように、
S1:磁気ベクトル測定装置本体を十字型フレーム構造として設計し、十字型構造の縦管の下部に回転可能なスリーブ5が設けられるステップと、
S2:統合される磁気ベクトル測定装置本体の十字型フレームの上下両端に磁気プローブ4が設けられ、磁気プローブ4がキャップにより磁気ベクトル測定装置本体の十字型フレーム内に密封されるステップと、
S3:磁気プローブ4の3磁気軸座標と、姿勢計の3軸座標との回転関係を検出し、3磁気軸座標を(X
M、Y
M、Z
M)、姿勢計の3軸座標を(Xz、Yz、Zz)と記し、姿勢計の3軸がそれぞれロール軸、ピッチ軸、方位軸であるステップと、
S4:検出された各パラメータに対して補正計算を行い、D型縦管1の球面座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求め、その後、姿勢計座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求め、最後に地理座標系における地磁気ベクトルTの極角と方位角を求めるステップと、
を含む探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法。
【0021】
磁気プローブ4は姿勢計本体、GPSアンテナなどと有機的に統一され、電磁シールドキャビネット3を使用して電源、本体などの機器による磁気プローブ4に対する干渉を低減する。
磁気ベクトル測定装置本体に対する標定は主に検出と補正計算の2方面の内容を含み、すなわち、磁気プローブ4の(XM、YM、ZM)の3磁気軸と姿勢計の3軸(XZ、YZ、ZZ)の間の空間関係を検出する。そして、磁気プローブ4で測定した元の磁気三成分データ(XM、YM、ZM)を、上記空間関係を用いて座標変換し、最終的に地理座標系(XD、YD、ZD)における磁気三成分データに変換する。
【0022】
磁気ベクトル測定装置本体の製造方法は、具体的には、
統合された磁気ベクトル測定装置本体を十字型フレーム構造として設計し、十字型構造の縦管の下部に安定した回転可能なスリーブ5が設けられるステップであって、回転可能なスリーブ5を安定ブラケットに固定した後、十字型フレーム全体を、D型縦管1を回転軸として回転させることができるステップと、
D型縦管1を基礎とし、D型縦管1のD面を基準とし、D型縦管1の中央に2つの構造横管2を用いて十字構造フレームを構築するステップであって、D型縦管1と中央の2つの構造横管2の十字が垂直になり、D型縦管1のD面が十字面に垂直になり、かつ中央の2つの横管が一直線になるように構築し、D型縦管1の円弧面を前方に向けて風抵抗を減少させることができ、D面の上下両端に磁気プローブ4が設置されるため、プローブの姿勢を制御しやすく、プローブの安定性を高めることができるステップと、
D型縦管1の中央に穴を掘り、外側の2つの細い横管を中央の2つの構造横管2の外側に接続し、2つの細い横管の外側上端にGPSアンテナを固定するステップであって、構造横管2の一端には方向舵を設置し、他端には先端キャップを設置し、方向舵はプラスチック薄板で囲まれ、プラスチック薄板には風抵抗を調節するためのブレードカット線が設けられるステップと、
十字型フレーム中央のD型縦管1と構造横管2の接合部位に電磁シールドキャビネット3を固定設置し、電磁シールドキャビネット3内に磁力計本体と記録システム、姿勢計本体と電源を設置するステップであって、電磁シールドキャビネット3は、炭素繊維板と構造部材を用いて3つの直方体フレームに分けられ、十字型フレーム中央の十字交差点の後方上部、後方下部、前方下部の3つの部位にそれぞれ固定され、姿勢計本体の電磁シールドキャビネット3の前面と下面が垂直になり、また、電磁シールドキャビネット3は長方形の扁平箱状のフェアリングであり、フェアリングの内側に銅製の金網が貼り付けられ、外側にパーマロイ箔シートが貼り付けられ、内側の銅製金網は主に電磁シールドの役割を果たし、外側のパーマロイ箔シートは主に磁気シールドの役割を果たすステップと、を含む。
【0023】
姿勢計電磁シールドキャビネット3の前面パネルをD型縦管1のD面に貼り付け、姿勢計の前方を電磁シールドキャビネット3の前方に貼り付け、姿勢計の底面を電磁シールドキャビネット3に固定し、磁力計本体、記録システム、電源をそれぞれ対応する電磁シールドキャビネット3に固定し、D型縦管1の両端に磁気プローブ4を設置し、磁気プローブ4をD型縦管1のD面に貼り付け、磁気プローブ4の長手方向の中心軸はD型縦管1のD面の長手方向の中心軸と一致し、磁気プローブ4は角柱形状であり、磁気プローブ4及びGPSケーブルはD型縦管1、構造横管2の内部を通過し、磁気ベクトル測定装置本体の中央で本体と連結されている。
回転スリーブは電磁シールドキャビネット3の下に設置し、回転スリーブはD型縦管1と密着して取り付けられ、姿勢計の3軸と磁気プローブ4の3軸の方位をほぼ一致させることができる。磁気プローブ4は干渉がわずかであり、ケーブルの影響も微弱であり、D型縦管1は全体が炭素繊維管であり、断面はD型であり、ケーブルを挿通するために中央に穴が掘られている。
構造横管2は断面円形の炭素繊維管を分割したものであり、ケーブルを挿通するために中央に穴が掘られ、D型縦管1の下部に回転可能なスリーブ5が設けられ、回転可能なスリーブ5はD型縦管1と密着して取り付けられ、回転可能であるが緩みはなく、回転時に縦管が揺れることはない。
回転可能なスリーブ5をブラケット上のクリップに締結して磁気ベクトル測定装置本体全体の回転を実現するとともに、D型縦管1上のスリーブの上下両端の位置にシールを設置して、スリーブが外れないようにするとともに、回転時の摺動支持面を確保することができる。
【0024】
ステップS3において、磁気プローブ4の3磁気軸座標と姿勢計のロール軸、ピッチ軸、方位軸の2セットの座標との間の回転関係を検出するステップは、具体的には、
D型縦管1の球面座標系を設定するステップであって、
図5の座標系に示すように、D型縦管1の球面座標系を(γ、θ、φ:Z
C、X
C)と記し、D型縦管1の中心軸をZ
C軸とし、磁気ベクトル測定装置本体の十字構造フレームの中心を原点とし、姿勢計の2つのGPSアンテナ接続線をX
C軸とするステップと、
磁気プローブ4の3軸座標系(X
M、Y
M、Z
M)とD型縦管1の球面座標系(γ、θ、φ:Z
C、X
C)、姿勢計の3軸座標系(Xz、Yz、Zz)とD型縦管1の球面座標系の回転関係をそれぞれ検出するステップであって、磁気プローブ4の3軸座標系と姿勢計の3軸座標系とを間接的に結びつけ、検出と補正の目的を達成するステップと、
2回の検査で取得した2セットのデータを整理し、その中で品質が最も良い10列のデータを検査基礎データとして選択し、各種特徴点のデータ値をそれぞれ分析して求めるステップと、
D型縦管1の球面座標系におけるX
M軸とY
M軸の方位角と極角を計算するステップであって、D型縦管1の球面座標系におけるX
M軸の極角をθ
Xm、D型縦管1の球面座標系におけるY
M軸の極角をθ
Ym、D型縦管1の球面座標系におけるX
M軸の方位角をφ
Xm、D型縦管1の球面座標系におけるY
M軸の方位角をφ
Ymと記するステップと、
D型縦管1の球面座標系におけるX
Z軸とY
Z軸の方位角と極角を計算するステップであって、D型縦管1の球面座標系におけるX
Z軸の方位角をφ
Xz、D型縦管1の球面座標系におけるY
Z軸の方位角をφ
Yz、D型縦管1の球面座標系におけるX
Z軸の極角をθ
Xz、D型縦管1の球面座標系におけるY
Z軸の極角をθ
Yzと記するステップと、
2回目の測定の磁気測定データに基づいて、Z
M軸の方位角をφ
ZD、Z
M軸の極角をθ
ZD、X
M軸の方位角をc、磁気北方位角をφ
T0とすると、D型縦管1の方位角φ
ZD0を求めるステップと、を含む。
【0025】
各種特徴点のデータ値をそれぞれ分析して求めるステップは、具体的には、
初回の観測データにおける磁気プローブ4のXMとYMの磁気軸で観測された磁場成分の最大値と最小値、及び磁場成分の最大値、最小値及びゼロ点に対応する地理的方位角φmx11、φmy11、φmx12、φmy12、φmxo11、φmxo12、φmyo11、φmyo12を分析して求めるステップであって、最大値をTx11とTy11、最小値をTx12とTy12と記するステップと、
2回目の観測データにおける磁気プローブ4のXMとYMの磁気軸で観測された磁場成分の最大値と最小値、及び磁場成分の最大値、最小値及びゼロ点に対応する地理的方位角φmx21、φmy21、φmx22、φmy22、φmxo21、φmxo22、φmyo21、φmyo22を分析して求めるステップであって、最大値をTx21とTy21、最小値をTx22とTy22と記するステップと、
初回の観測姿勢計データにおけるロール軸XZとピッチ軸YZで観測された傾斜角の最大値と最小値、及び傾斜角の最大値、最小値及びゼロ点に対応する地理的方位角φzx11、φzy11、φzx12、φzy12、φzxo11、φzxo12、φzyo11、φzyo12を分析して求めるステップであって、最大値をθzx11とθzy11、最小値をθzx12とθzy12と記するステップと、
再分析により、2回目の観測姿勢計データにおけるロール軸XZとピッチ軸YZで観測された傾斜角の最大値と最小値、及び傾斜角の最大値、最小値及びゼロ点に対応する地理的方位角φzx21、φzy21、φzx22、φzy22、φzxo21、φzxo22、φzyo21、φzyo22を分析して求めるステップであって、最大値をθzx21とθzy21、最小値をθzx22とθzy22と記するステップと、
その後の計算に関連する基礎パラメータをそれぞれ計算するステップであって、基礎パラメータは、試験場の総磁場強度値Tと、2回目の測定時のD型縦管1の中心軸の垂直面と総磁場強度値Tベクトルとのなす角度JTI2と、MX磁気軸とD型縦管1の中心軸の垂直面とのなす角度Jmxとを含むステップと、を含む。
【0026】
磁気プローブ4の3軸座標系とD型縦管1の球面座標系と、姿勢計の3軸座標系とD型縦管1の球面座標系との回転関係をそれぞれ検出するステップは、具体的には、
磁場が穏やかで、人間の妨害がない野外の静かな地域を試験場として選択するステップであって、試験過程における地磁場の変化幅が比較的小さいステップと、
野外において、非磁性三脚及び磁気偏角計を用いて試験場の磁気偏角DT0を実地観測及び確認し、地磁場水平成分の地理的方位角φT0を確認するステップであって、
φT0 = 360° + DT0であるステップと、
移動局(ポッド装置)用支持ブラケットを架設し、ブラケットを調整してD型縦管1に係合されるスナップリングの初期位置をできるだけ垂直にしてブラケットを安定させるステップであって、ブラケットは炭素繊維管、PE管継手などを採用して加工し、磁性がなく、安定してしっかりしており、圧力水袋などの重りを採用して安定性を高めることができ、折りたたむことができ、携帯しやすいステップと、
移動局のD型縦管1ができるだけ垂直になるように、移動局をブラケットに取り付けるステップと、
電源を入れ、姿勢計と磁力計のサンプリングレートを200Hz以上に設定し、自動的に記録するステップと、
移動局を2~3週間、毎週約1分ずつ、水平方向に等速回転させ、この2~3週の期間に対応するデータ系列を記録するステップであって、データ系列は、時間(ミリ秒までの精度)、経緯度及び海抜高度、地理的方位角(0.01度までの解像度)、ロール角(0.01度までの解像度)、ピッチ角(0.01度までの解像度)、磁気三成分xm-ym-zm(0.01nTまでの解像度)など、10列、約2~3万行のデータを含むステップと、
ブラケットにおける回転スリーブの角度を調整してD型縦管1を北東方向に約20度傾斜させて固定し、移動局を再び水平に均一速度で2~3週間回転させ、前のステップと同様の10列、約2~3万行のデータを取得するステップと、
取得した2回のデータを検査するステップであって、データの変化パターンが安定しており、急な変化がなく、この期間(10分以下)の日内変化が安定しており、変化幅が微弱であれば、野外検査は完了するステップと、含む。
【0027】
基礎パラメータの計算式は以下の通りであり、
【数12】
SJb2が正の値を取り、
【数13】
My磁気軸とD型縦管1の中心軸垂直面とのなす角度Jmyを計算し、具体的な計算ステップは次の通りである。
【数14】
φ
Xmの計算式は次の通りであり、
φ
Xm = φ
TO-φ
mx11
θ
Xmとθ
Ymの計算式は次のとおりであり、
θ
Xm = 90°-J
mx
θ
Ym = 90°-J
my
φ
Ymの計算式は次のとおりであり、
φ
Ym = cos
-1(-cotθ
Xm cotθ
Ym)+φ
Xm
φ
Xzとφ
Yzの計算式は次のとおりであり、
φ
Xz = φ
zx21-φ
ZD0
φ
Yz = φ
zy21-φ
ZD0
θ
Xzとθ
Yzの計算式は次のとおりである。
【数15】
D型縦管1の方位角φ
ZD0を求める前記ステップは、具体的には、
地磁気ベクトルTと、X
M軸と同方向の単位ベクトルMとのなす角度Dを計算し、その計算結果からX
M軸で測定された地磁場成分値T
Xmを計算するステップであって、計算式は次の通りであるステップと、
【数16】
(式中、a=Jmx、b=JTI2、θ
ZD = θ
zx21-θ
Xz)
フィッティング計算モードを利用してZ
Mの方位角φ
ZD0を求めるステップであって、計算ステップは以下の通りである。
cは、X
M軸の2回目の磁気測定データの最大値、最小値及び2つのゼロ点の方位角に対応する4つの値をとり、それらをc1、c2、c3、c4と記す。
ここで、c1=φ
mx21-DT0、c2=φ
mx22-DT0、c3=φ
mxo21-DT0、c4=φ
mxo22-DT0、である。
φ
ZDが与えられ、上記の式を用いてc1、c2、c3、c4にそれぞれ対応するT
Xm値を求め、式中のsinθ
VM、cosθ
VMとcos cのすべてのc値は、対応するc1、c2、c3、c4値を取り、T
Xm(n) = TcosD
(n)、n=1、2、3、4である。
上記の式で計算した理論値と実測値の平均二乗偏差の和であるフィッティング差MDを求める。
【数17】
実際の計算では、φ
ZDを20°~60°、ステップサイズを0.01°とし、ステップサイズごとにフィッティング差MD
(i)をそれぞれ計算する。
【数18】
上記の式で、iはφ
ZDの番号を表し、0~4000であり、方位角φ
ZD(i)値に対応する計算式は以下の通りである。
φ
ZD(i)=20+0.01i
上記のすべてのMD
(i)に対してトレンド分析を行い、トレンドの中で最も小さいMD
(i)を選択するステップであって、このi値に対応するφ
ZD(i)値はD型縦管1の中心軸の方位角φ
ZD0であるステップと、を含む。
【0028】
ステップS4において検出された各パラメータに対して補正計算を行うステップは、具体的には、
磁気プローブ4で測定した磁気プローブ(4)の3軸座標系(X
M、Y
M、Z
M)データの総磁場強度値Tベクトルを単位ベクトルtに正規化し、単位ベクトルtのD型縦管1の球面座標系(γ、θ、φ :Z
C、X
C)における極角θ
Tcと方位角φ
Tcを求めるステップであって、具体的な計算ステップは次の通りであるステップと、
【数19】
D型縦管1の球面座標系(γ、θ、φ :Z
C、X
C)における単位ベクトルtの極角(θ
Tc)と方位角(φ
Tc)が既知であり、姿勢計座標系(γ、θ、φ :Z
C、X
C)におけるtの極角(θ
Tz)と方位角(φ
Tz)を求めるステップであって、具体的な計算ステップは次の通りである。
姿勢計のロール軸X
Zとピッチ軸Y
Zとのなす角度φを求め、
【数20】
θ
Tz、φ
Tzを求め、計算式は以下の通りであるステップと、
【数21】
姿勢計座標系における単位ベクトルtの極角θ
Tzと方位角φ
Tcが既知であり、地理座標系におけるtの極角θ
TDと方位角φ
TDを求めるステップであって、地理座標系におけるX
D軸は地理的な北を指し、Y
D軸は地理的な東を指し、Z
D軸は下を指し、原点はXz、Yz、Zzの原点と同じであり、具体的な計算ステップは次のとおりである。
【数22】
上記の式において、φ
XD角がφ
Xz角度(ピッチ軸と2つのGPSアンテナ接続線の間の角度、東方向は正)と姿勢計の実測方位角の和に等しく、θ
XDが姿勢計で実測したピッチ角であり、θ
YDが姿勢計で実測したロール角であり、計算結果φ
TDが実測した磁気ベクトルの磁気偏角であり、θ
TDが磁気ベクトルの傾斜角の余角であるステップと、を含む。
【0029】
以上の計算により、各測定点で実測された全地磁気の磁気偏角、磁気傾斜角を求めることができ、全地磁気Tを元の三成分データから直接取得することができ、地磁気ベクトルの正確な測定を達成することができる。
【0030】
航空磁気ベクトル測定が必要な場合には、航空磁気ベクトル測定を実現するように、統合された磁気ベクトル測定装置本体を無人機の下に吊り下げ、統合された磁気ベクトル測定装置本体の航空飛行中の姿勢を安定させるために、統合された磁気ベクトル測定装置本体の重心を十字交差点の後下方に配置し、かつ吊りロープは吊り点がスライド可能であり、構造横管2の尾部に円錐型尾翼を配置し、航空飛行時の吊り点を風抵抗の変化に応じて移動させることにより、統合された磁気ベクトル測定装置本体の動的バランスを保証し、安定姿勢目標を達成する。
地上で磁気ベクトル測定が必要な場合には、炭素繊維管を、PE管継手を通じて取り付けてブラケットを形成し、ブラケットには回転可能なスリーブ5をスナップできるスナップリングが設けられ、ブラケットを確実に取り付けた後、磁気ベクトル測定装置本体を回転可能なスリーブ5を介してブラケットのスナップリングに固定することで測定を行うことができ、手動で磁気ベクトル測定装置本体を、D型縦管1を軸に安定して回転させることができる。
ブラケット上の回転可能なスリーブ5に固定されるスナップリングは、一定方位に傾斜角度を調整することができ、磁気ベクトル測定装置本体を、D型縦管1を軸に安定して水平回転又は傾斜後に回転させることができる。
【0031】
なお、本明細書において、第1及び第2等の関係用語は、単に1つの実体(エンティティ)または操作を別の実体または操作と区別するために用いられるだけであり、必ずしもこれらの実体または操作の間にそのような実際の関係または順序が存在することを要求または暗示するものではない。
さらに、含む、包含する、またはその他の任意の変形用語は、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または装置が、これらの要素だけでなく、明示的に記載されていないその他の要素も含む、またはそのようなプロセス、方法、物品または装置に固有の要素も含むように、非排他的な包含を意図している。
【0032】
本発明の実施例を示し、説明したが、当業者にとっては、本発明の原理及び精神を逸脱することなく、これらの実施例に多様な変更、修正、置換及び変形が可能であることが理解される。
【要約】
【課題】地磁気ベクトル測定及び測位分野に属する探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び方法を提供する。
【解決手段】探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法であって、磁気ベクトル測定装置本体を十字型フレーム構造として設計するステップS1と、十字型フレームの上下両端に磁気プローブが設けられるステップS2と、磁気プローブの3磁気軸座標と姿勢計の3軸座標との回転関係を検出するステップS3と、検出された各パラメータに対して補正計算を行うステップS4とを含む。従来の技術において使用時に磁力計や姿勢計を硬いスタンドなどによって硬く飛行機に設置しており、完璧な標定方案がないため、測定精度が高くないという課題を解決するため、地磁気ベクトル測定の精度を大幅に向上させ、航空磁気ベクトル及び磁気ベクトル垂直勾配測定作業を展開するだけでなく、地上の地磁気ベクトル測定作業にも用いることができ、実用性がより高い探査用地磁気ベクトル測定装置の統合及び標定方法を提供する。
【選択図】
図1